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技術 インクジェット印刷用塗工紙及びその製造方法

出願人 王子ホールディングス株式会社
発明者 浅野晋一清水陵戸谷和夫
出願日 2016年2月4日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2016-020294
公開日 2016年9月23日 (1年10ヶ月経過) 公開番号 2016-168836
状態 未査定
技術分野 インクジェット記録方法及びその記録媒体 紙(4)
主要キーワード バインダー含有率 印刷ロット 粒状形状 白色光沢 微粒子状炭酸カルシウム カラーラベル キュムラント平均粒子径 キャスト加工

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図面 (3)

課題

白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性インク定着性塗工層強度を有し、インクジェット商業印刷機を用いて高品質印刷物が得られるインクジェット印刷用塗工紙を提供する。

解決手段

基紙2上の少なくとも一方の面2aに、顔料及びバインダーを含有する塗工層3を有するインクジェット印刷用塗工紙1において、バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)を前記顔料100質量部に対して200質量部以上9900質量部以下含むインクジェット印刷用塗工紙1とする。

概要

背景

インクジェット方式を用いて印刷するインクジェット印刷の用途は、フォトプリント端末PC(パーソナルコンピュータ)用プリンターファックスまたは複写機に留まらない。インクジェット印刷は、多品種小ロット印刷、可変情報印刷を可能とする、いわゆるオンデマンド印刷分野でも実用化が進んでいる。近年、インクジェット方式では、印刷速度の高速化および画質の向上が図られている。このため、インクジェット方式を用いる印刷は、印刷ロットあたりの印刷部数が5000部以下の、オフセット印刷が用いられていた分野にも広がりを見せている。この他、従来グラビア印刷で印刷されていた分野についても、インクジェット商業印刷の適用が検討されている。

インクジェット方式では、各種の方法により、インク微小液滴印刷用紙の表面に射出して、印刷用紙の表面に画像や文字を形成する。インクジェット方式は、高速化、フルカラー化が容易である上、出力時の騒音が低く、装置が低価格であることから、多方面で利用されている。

インクジェット商業印刷では、連続して印刷を行なうことが好ましい。インクジェット商業印刷では、通常、インクジェットインクを射出するインクジェットヘッドとして、ラインヘッドが採用されている。従来のインクジェットヘッドとしては、端末PC用プリンターに多く用いられているシリアル型ヘッドもある。しかし、シリアル型ヘッドを用いる場合には、印刷用紙の搬送を止めて印刷を行なう必要がある。このため、シリアル型ヘッドは、印刷用紙を搬送しながら印刷する場合には使用できない。これに対し、ラインヘッドは、印刷用紙を連続的に搬送しながら印刷できるので、輪転方式などのインクジェット商業印刷に適している。

最近、インクジェット商業印刷市場では、印刷速度のさらなる高速化が進められている。現在、インクジェット商業印刷機として、印刷用紙の搬送速度が60m/min以上のもの、更に高速では200m/minを超えるものが登場している。

インクジェット商業印刷機では、インクジェットヘッドから印刷用紙の表面にインク液滴を射出し、画像を形成した後、印刷物を乾燥している。インクジェット商業印刷機に用いられている乾燥装置としては、いろいろな種類のものがある。例えば、乾燥装置として、UV(紫外線ランプハロゲンランプLEDランプ熱風乾燥装置の他、印刷用紙を搬送する搬送ロールヒートロール)の表面を熱して印刷物を乾燥させるものなどがある。インクジェット商業印刷機において印刷物を乾燥させる温度は、印刷スピードや、印刷物のインク量などに応じて調整している。

インクジェット商業印刷機で印刷する場合に使用される印刷用紙としては、高いインク吸収性が求められる。印刷用紙のインク吸収性が不十分であると、インクの吸収ムラが生じたり、印刷物の異なる色の境界線ににじみが発生したりして、印刷品質が低下する。また、印刷用紙のインク吸収性が不十分であると、印刷用紙にインクが定着しにくくなる。このため、印刷後に印刷用紙の表面を擦ると、印刷物からインクが脱落するといる不都合が生じる。

また、インクジェット印刷機は、無版印刷方式であるため、可変情報の印刷に適している。このため、インクジェット商業印刷機は、顧客情報を取り扱うドキュメントプロセッシングサービスDPS)や、ダイレクトメールDM)の印刷にも広く用いられている。この用途では、文字情報などの可変情報に加えて、宣伝効果を高める写真画像や図柄の印刷も実施されている。インクジェット方式を用いて写真画像や図柄を印刷する場合、可変情報のみを印刷する場合と比較して、印刷用紙に射出されるインク量が非常に多くなる。したがって、写真画像や図柄を印刷する場合、使用される印刷用紙には、より高いインク吸収性が要求される。

最近、広告カタログなどにおける宣伝効果をさらに高めるために、グロスタイプ印刷用塗工紙に、インクジェット方式を用いて写真画像や図柄を含む印刷物の印刷を行ないたいという要求が高まってきている。
従来、オフセット印刷、グラビア印刷に使用されるグロスタイプの印刷用塗工紙として、例えば、特許文献1に記載の印刷用塗加工紙がある。この印刷用塗被加工紙は、顔料としてカオリン重質炭酸カルシウムとを含有し、接着剤としてラテックス澱粉とを含有する塗被液を塗工してなるものである。
しかし、従来、オフセット印刷などで用いられているグロスタイプの印刷用塗工紙は、インクジェット商業印刷機を用いて高速で連続して写真画像や図柄を印刷する場合には、インク吸収性が十分でない。

このため、上記の要求に対して、現在、以下に示す(1)〜(3)のいずれかの対応を行っている。
(1)グロスタイプの印刷用塗工紙を用いず、インク吸収性が良好な非塗工タイプの印刷用紙を用いてインクジェット印刷を行う。
(2)グロスタイプの印刷用塗工紙を使用して、所謂、コンポジット印刷を行なう。具体的には、写真画像や図柄は、インクジェット印刷機を用いて印刷せず、オフセット印刷機を用いて印刷する。その後、射出されるインク量の少ない可変情報のみを、インクジェット印刷機を用いて印刷する。
(3)グロスタイプの印刷用塗工紙を使用して、インクジェット印刷機のみで、写真画像や図柄を含む印刷物を超低速で印刷する。
(1)の対応を選択した場合、印刷物の品質が不十分となる。(2)(3)の対応を選択した場合、印刷物の品質は良好となるが、生産性が不十分となる。

従来、インクジェット方式を用いて写真画像を印刷する場合に使用されるインクジェット専用印刷用紙として、多孔質顔料を含むインク受容層が表面に設けられたインクジェット専用印刷用紙がある。この印刷用紙は、高いインク吸収性を有している。しかし、多孔質顔料を含むインク受容層を有するインクジェット専用印刷用紙は、表面の白紙光沢度が低い。このため、所謂マット調の印刷物しか得られなかった。

表面の白紙光沢度の高いインクジェット印刷用の印刷用紙としては、所謂キャスト加工を行って平滑な表面を形成したものがある。例えば、基紙上に形成した多孔質顔料を含む塗工液の塗工面に、クロムメッキ加工を施した金属ロールの平滑面を密着させる方法により製造された印刷用紙がある。
また、表面の白紙光沢度の高い他のインクジェット印刷用の印刷用紙としては、基紙上にポリエチレン樹脂を塗工し、その上に多孔質顔料を含む塗工液を塗布することにより、光沢性発現させた所謂RC(レジンコート)ベースのものもある。
しかし、キャスト加工を行った印刷用紙もRCベースの印刷用紙も、製造に手間がかかり、費用が高いという問題がある。

また、インクジェット印刷適性を有する印刷用塗工紙としては、以下に示すように、これまで様々な研究がなされている。
例えば、特許文献2には、オフセット印刷用紙であって、高速・連続印刷するインクジェット印刷適性を併せ持つ印刷用塗工紙において、支持体に隣接する塗工層の接着剤の質量比率スムースター透気度の範囲を規定したものが記載されている。

特許文献3では、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙において、その塗工層に塩化カルシウムを含有させることを提案している。
特許文献4では、印刷用塗工紙の塗工層上に、炭酸カルシウム以外のカルシウム化合物を含有するオーバーコート層を設けることが記載されている。また、特許文献4では、オーバーコート層のカルシウム化合物の含有量を規定している。

特許文献5には、顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙が記載されている。特許文献5では、原紙にカルシウム化合物を含有すること、ならびにそのカルシウム化合物の含有量を規定している。
特許文献6には、塗工層に用いる顔料として炭酸カルシウムを規定し、その比率、および最適な坪量および表面電気抵抗値範囲を規定したフォーム用紙が記載されている。また、特許文献6には、フォーム用紙を、電子写真印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷のいずれの印刷方式にも利用できることが記載されている。

特許文献7では、インクジェット記録方式及び電子写真記録方式共用の用紙において、カルボン酸を含有させることを規定している。
特許文献8には、平均二次粒子径を規定した凝集軽質炭酸カルシウムを含有させ、その最適添加量を規定した塗工液を塗工してなる多目的記録用紙が記載されている。

概要

白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性、インク定着性塗工層強度を有し、インクジェット商業印刷機を用いて高品質の印刷物が得られるインクジェット印刷用塗工紙を提供する。基紙2上の少なくとも一方の面2aに、顔料及びバインダーを含有する塗工層3を有するインクジェット印刷用塗工紙1において、バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)を前記顔料100質量部に対して200質量部以上9900質量部以下含むインクジェット印刷用塗工紙1とする。

目的

本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性、インク定着性、塗工層強度を有し、インクジェット商業印刷機を用いて高品質の印刷物が得られるインクジェット印刷用塗工紙を提供する

効果

実績

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請求項1

基紙上の少なくとも一方の面に、顔料及びバインダーを含有する塗工層を有するインクジェット印刷用塗工紙であって、前記バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックスを含み、前記塗工層は、前記顔料100質量部に対して、前記ラテックスを200質量部以上9900質量部以下含有することを特徴とするインクジェット印刷用塗工紙。

請求項2

前記ラテックスの粒子径が、150nm以上250nm以下である、請求項1に記載のインクジェット印刷用塗工紙。

請求項3

前記ラテックスが、スチレンブタジエン共重合体ラテックスを含む、請求項1または2に記載のインクジェット印刷用塗工紙。

請求項4

前記顔料が、無定形シリカ軽質炭酸カルシウムおよび焼成カオリンから選択される1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用塗工紙。

請求項5

基紙のステキヒトサイズ度が3秒以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用塗工紙。

請求項6

基紙上の少なくとも一方の面に、顔料及びバインダーを含有する塗工液を塗布、乾燥して塗工層を設けるインクジェット印刷用塗工紙の製造方法であって、前記バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックスを含み、前記塗工液は、前記顔料100質量部に対して、前記ラテックスを200質量部以上9900質量部以下含有することを特徴とするインクジェット印刷用塗工紙の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、インクジェット印刷用塗工紙に関し、詳しくは、白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性インク定着性塗工層強度を有するインクジェット商業印刷機に適したインクジェット印刷用塗工紙に関する。

背景技術

0002

インクジェット方式を用いて印刷するインクジェット印刷の用途は、フォトプリント端末PC(パーソナルコンピュータ)用プリンターファックスまたは複写機に留まらない。インクジェット印刷は、多品種小ロット印刷、可変情報印刷を可能とする、いわゆるオンデマンド印刷分野でも実用化が進んでいる。近年、インクジェット方式では、印刷速度の高速化および画質の向上が図られている。このため、インクジェット方式を用いる印刷は、印刷ロットあたりの印刷部数が5000部以下の、オフセット印刷が用いられていた分野にも広がりを見せている。この他、従来グラビア印刷で印刷されていた分野についても、インクジェット商業印刷の適用が検討されている。

0003

インクジェット方式では、各種の方法により、インク微小液滴印刷用紙の表面に射出して、印刷用紙の表面に画像や文字を形成する。インクジェット方式は、高速化、フルカラー化が容易である上、出力時の騒音が低く、装置が低価格であることから、多方面で利用されている。

0004

インクジェット商業印刷では、連続して印刷を行なうことが好ましい。インクジェット商業印刷では、通常、インクジェットインクを射出するインクジェットヘッドとして、ラインヘッドが採用されている。従来のインクジェットヘッドとしては、端末PC用プリンターに多く用いられているシリアル型ヘッドもある。しかし、シリアル型ヘッドを用いる場合には、印刷用紙の搬送を止めて印刷を行なう必要がある。このため、シリアル型ヘッドは、印刷用紙を搬送しながら印刷する場合には使用できない。これに対し、ラインヘッドは、印刷用紙を連続的に搬送しながら印刷できるので、輪転方式などのインクジェット商業印刷に適している。

0005

最近、インクジェット商業印刷市場では、印刷速度のさらなる高速化が進められている。現在、インクジェット商業印刷機として、印刷用紙の搬送速度が60m/min以上のもの、更に高速では200m/minを超えるものが登場している。

0006

インクジェット商業印刷機では、インクジェットヘッドから印刷用紙の表面にインク液滴を射出し、画像を形成した後、印刷物を乾燥している。インクジェット商業印刷機に用いられている乾燥装置としては、いろいろな種類のものがある。例えば、乾燥装置として、UV(紫外線ランプハロゲンランプLEDランプ熱風乾燥装置の他、印刷用紙を搬送する搬送ロールヒートロール)の表面を熱して印刷物を乾燥させるものなどがある。インクジェット商業印刷機において印刷物を乾燥させる温度は、印刷スピードや、印刷物のインク量などに応じて調整している。

0007

インクジェット商業印刷機で印刷する場合に使用される印刷用紙としては、高いインク吸収性が求められる。印刷用紙のインク吸収性が不十分であると、インクの吸収ムラが生じたり、印刷物の異なる色の境界線ににじみが発生したりして、印刷品質が低下する。また、印刷用紙のインク吸収性が不十分であると、印刷用紙にインクが定着しにくくなる。このため、印刷後に印刷用紙の表面を擦ると、印刷物からインクが脱落するといる不都合が生じる。

0008

また、インクジェット印刷機は、無版印刷方式であるため、可変情報の印刷に適している。このため、インクジェット商業印刷機は、顧客情報を取り扱うドキュメントプロセッシングサービスDPS)や、ダイレクトメールDM)の印刷にも広く用いられている。この用途では、文字情報などの可変情報に加えて、宣伝効果を高める写真画像や図柄の印刷も実施されている。インクジェット方式を用いて写真画像や図柄を印刷する場合、可変情報のみを印刷する場合と比較して、印刷用紙に射出されるインク量が非常に多くなる。したがって、写真画像や図柄を印刷する場合、使用される印刷用紙には、より高いインク吸収性が要求される。

0009

最近、広告カタログなどにおける宣伝効果をさらに高めるために、グロスタイプ印刷用塗工紙に、インクジェット方式を用いて写真画像や図柄を含む印刷物の印刷を行ないたいという要求が高まってきている。
従来、オフセット印刷、グラビア印刷に使用されるグロスタイプの印刷用塗工紙として、例えば、特許文献1に記載の印刷用塗加工紙がある。この印刷用塗被加工紙は、顔料としてカオリン重質炭酸カルシウムとを含有し、接着剤としてラテックス澱粉とを含有する塗被液を塗工してなるものである。
しかし、従来、オフセット印刷などで用いられているグロスタイプの印刷用塗工紙は、インクジェット商業印刷機を用いて高速で連続して写真画像や図柄を印刷する場合には、インク吸収性が十分でない。

0010

このため、上記の要求に対して、現在、以下に示す(1)〜(3)のいずれかの対応を行っている。
(1)グロスタイプの印刷用塗工紙を用いず、インク吸収性が良好な非塗工タイプの印刷用紙を用いてインクジェット印刷を行う。
(2)グロスタイプの印刷用塗工紙を使用して、所謂、コンポジット印刷を行なう。具体的には、写真画像や図柄は、インクジェット印刷機を用いて印刷せず、オフセット印刷機を用いて印刷する。その後、射出されるインク量の少ない可変情報のみを、インクジェット印刷機を用いて印刷する。
(3)グロスタイプの印刷用塗工紙を使用して、インクジェット印刷機のみで、写真画像や図柄を含む印刷物を超低速で印刷する。
(1)の対応を選択した場合、印刷物の品質が不十分となる。(2)(3)の対応を選択した場合、印刷物の品質は良好となるが、生産性が不十分となる。

0011

従来、インクジェット方式を用いて写真画像を印刷する場合に使用されるインクジェット専用印刷用紙として、多孔質顔料を含むインク受容層が表面に設けられたインクジェット専用印刷用紙がある。この印刷用紙は、高いインク吸収性を有している。しかし、多孔質顔料を含むインク受容層を有するインクジェット専用印刷用紙は、表面の白紙光沢度が低い。このため、所謂マット調の印刷物しか得られなかった。

0012

表面の白紙光沢度の高いインクジェット印刷用の印刷用紙としては、所謂キャスト加工を行って平滑な表面を形成したものがある。例えば、基紙上に形成した多孔質顔料を含む塗工液の塗工面に、クロムメッキ加工を施した金属ロールの平滑面を密着させる方法により製造された印刷用紙がある。
また、表面の白紙光沢度の高い他のインクジェット印刷用の印刷用紙としては、基紙上にポリエチレン樹脂を塗工し、その上に多孔質顔料を含む塗工液を塗布することにより、光沢性発現させた所謂RC(レジンコート)ベースのものもある。
しかし、キャスト加工を行った印刷用紙もRCベースの印刷用紙も、製造に手間がかかり、費用が高いという問題がある。

0013

また、インクジェット印刷適性を有する印刷用塗工紙としては、以下に示すように、これまで様々な研究がなされている。
例えば、特許文献2には、オフセット印刷用紙であって、高速・連続印刷するインクジェット印刷適性を併せ持つ印刷用塗工紙において、支持体に隣接する塗工層の接着剤の質量比率スムースター透気度の範囲を規定したものが記載されている。

0014

特許文献3では、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙において、その塗工層に塩化カルシウムを含有させることを提案している。
特許文献4では、印刷用塗工紙の塗工層上に、炭酸カルシウム以外のカルシウム化合物を含有するオーバーコート層を設けることが記載されている。また、特許文献4では、オーバーコート層のカルシウム化合物の含有量を規定している。

0015

特許文献5には、顔料とバインダーを主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙が記載されている。特許文献5では、原紙にカルシウム化合物を含有すること、ならびにそのカルシウム化合物の含有量を規定している。
特許文献6には、塗工層に用いる顔料として炭酸カルシウムを規定し、その比率、および最適な坪量および表面電気抵抗値範囲を規定したフォーム用紙が記載されている。また、特許文献6には、フォーム用紙を、電子写真印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷のいずれの印刷方式にも利用できることが記載されている。

0016

特許文献7では、インクジェット記録方式及び電子写真記録方式共用の用紙において、カルボン酸を含有させることを規定している。
特許文献8には、平均二次粒子径を規定した凝集軽質炭酸カルシウムを含有させ、その最適添加量を規定した塗工液を塗工してなる多目的記録用紙が記載されている。

先行技術

0017

特開昭59—30992号公報
特開2011—246838号公報
特開2012—77395号公報
特開2012—77393号公報
特開2012—77392号公報
特開2008—297679号公報
特開2005—8993号公報
特開2005—8992号公報

発明が解決しようとする課題

0018

しかしながら、特許文献2〜特許文献8に記載の印刷用塗工紙は、インク吸収性が十分でなかった。このため、特許文献2〜特許文献8に記載の印刷用塗工紙では、インクジェット商業印刷機を用いて、高速で写真画像や図柄を含む印刷物を印刷する場合に、満足できる品質の印刷物を得ることはできなかった。

0019

本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性、インク定着性、塗工層強度を有し、インクジェット商業印刷機を用いて高品質の印刷物が得られるインクジェット印刷用塗工紙を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0020

本発明者等は、上記課題を解決すべく、基紙上に設ける塗工層の材料に着目して鋭意研究を重ねた。
その結果、基紙上の少なくとも一方の面に、顔料及びバインダーを含有する塗工層であって、当該バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックスを前記顔料に対して所定範囲の比率で含有する塗工層を設ければよいことを見出した。

0021

本発明は、以下の発明を含む。
項目1)
基紙上の少なくとも一方の面に、顔料及びバインダーを含有する塗工層を有するインクジェット印刷用塗工紙であって、
前記バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックスを含み、
前記塗工層は、前記顔料100質量部に対して、前記ラテックスを200質量部以上9900質量部以下含有することを特徴とするインクジェット印刷用塗工紙。
(項目2)
前記ラテックスの粒子径が、150nm以上250nm以下である、項目1に記載のインクジェット印刷用塗工紙。
(項目3)
前記ラテックスが、スチレンブタジエン共重合体ラテックスを含む、項目1または2に記載のインクジェット印刷用塗工紙。
(項目4)
前記顔料が、無定形シリカ軽質炭酸カルシウムおよび焼成カオリンから選択される1種または2種以上である、項目1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用塗工紙。
(項目5)
基紙のステキヒトサイズ度が3秒以下である、項目1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用塗工紙。
(項目6)
基紙上の少なくとも一方の面に、顔料及びバインダーを含有する塗工液を塗布、乾燥して塗工層を設けるインクジェット印刷用塗工紙の製造方法であって、
前記バインダーは、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックスを含み、
前記塗工液は、前記顔料100質量部に対して、前記ラテックスを200質量部以上9900質量部以下含有することを特徴とするインクジェット印刷用塗工紙の製造方法。

発明の効果

0022

本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、基紙上の少なくとも一方の面に、顔料及びバインダーを含有する塗工層であって、当該バインダーはガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックスを前記顔料に対して所定範囲の比率で含有する塗工層を有しているので、白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性、インク定着性、塗工層強度を有している。このため、本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、インクジェット商業印刷機を用いて、高速で写真画像や図柄を含む印刷物を印刷した場合に、高品質の印刷物が得られる。

図面の簡単な説明

0023

本発明のインクジェット印刷用塗工紙の一例を説明するための概略断面図である。
本発明のインクジェット印刷用塗工紙の他の例を説明するための概略断面図である。

0024

「第1実施形態」
図1は、本発明のインクジェット印刷用塗工紙の一例を説明するための概略断面図である。図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1は、基紙2上の一方の面2aおよび他方の面2bに、塗工層3を有するものである(なお、本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、基紙の片面のみに本発明所定の塗工層を有する形態のものも含む。)。
[塗工層]
塗工層3は、顔料及びバインダーを含有している。

0025

[バインダー]
図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1は、塗工層3のバインダーが、ガラス転移点(Tg点)が10℃以上60℃以下のラテックス(以下、「ラテックス(a)」という場合もある。)を塗工層3中の顔料に対して所定範囲の比率で含有するものである。ラテックス(a)を塗工層3のバインダーに塗工層3中の顔料に対して所定範囲の比率で含有させることにより、白紙光沢度が高くなり、優れたインク吸収性、インク定着性、塗工層強度が得られる。バインダーに、顔料に対して所定比率でラテックス(a)を含有させることにより、上記効果が得られるメカニズムなどについては、定かではない。例えば以下に示す(1)〜(6)は推測されるが、これらはあくまでも推測であり、本発明の範囲を限定するものではない。

0026

(1)塗工層3となる塗工液を塗工して塗工紙を製造する場合、一般的には、ドライヤーなどの乾燥機を用いて、100℃から200℃の温風で塗工層3を乾燥させている。塗工層3のバインダーが、Tg点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)を含有している場合、塗工層3となる塗工液を乾燥する乾燥熱により、ラテックス(a)の一部が溶け皮膜化し、硬化する。ラテックス(a)は、顔料との結着力が強いものであるので、少量の使用で高い塗工層強度を発現する。よって、塗工液を乾燥する際に溶解した一部のラテックス(a)によって、良好な塗工層強度が得られる。

0027

(2)一方、塗工液を乾燥する乾燥熱により皮膜化しなかったラテックス(a)は、粒状形状が保たれた状態のまま塗工層3中に残存し、空隙を形成する。この空隙が、印刷時にインクジェット印刷用塗工紙1に射出されるインクを吸収するため、優れたインク吸収性が得られる。また、塗工層3中に形成された空隙が、塗工層3中に吸収したインクを保持するため、優れたインク定着性が得られる。

0028

(3)上述したように、ラテックス(a)は、高いインク吸収性を発現できる。このため、本発明の一態様としては、良好なインク吸収性とインク定着性を保持したまま、バインダー含有率を従来の塗工紙より高めることが可能であり、より高い塗工層強度を得ることもできる。

0029

(4)上述したように、ドライヤーなどの乾燥機を用いて塗工層3を乾燥させる際、皮膜化しないラテックス(a)は、粒状形態が保たれているので、バインダー成分が基紙層浸透することなく塗工層内に止まり易くなると考えられる。このように塗工層内のバインダー成分が増加すると白紙光沢が高くなる。また、塗工層形成後に平滑化処理を実施した際の光沢向上効果も、ラテックス(a)を用いないときに比べて高くなる。

0030

(5)Tgを規定したラテックスと顔料を併用することにより、高いインク吸収性とインク定着性が得られる。併用によるインク吸収性とインク定着性が向上する理由は定かではないが、顔料は、ラテックスとは異なり粒子間の空孔の他に顔料内部の空孔が効果を持っているため、顔料配合により層の空孔量が増し、この空孔量の増大によりインクの吸収性が向上するのではないかと考えられる。

0031

(6)ラテックスと顔料とを併用する際、顔料100重量部に対して200重量部以上9900重量部の割合で用いることにより、優れたインク吸収性、インク定着性、白紙光沢、塗工層強度が得られる。顔料、ラテックスは、ともにインク吸収性、インク定着性を向上させる材料であるが、これらの併用により相乗効果が得られる。これら併用系においてラテックスの配合比を増加させると、塗工層強度、インク定着性は良化する傾向がある。一方、顔料の配合比を増加させるとインクインク吸収性が向上する。塗工層におけるラテックス(a)の配合量を、顔料100部に対して200部未満および9900部を超える範囲とした場合にインク吸収性が低下する理由については明らかではない。推測すると、ラテックス配合量が上記9900部を超える範囲にある場合においては、両状形態であり得るラテックス同士が近接しやすい状況となり、粒と粒の間にできる空孔が塞がってしまうためにインク吸収性が低下すると考えられる。また、ラテックス配合量が上記200部未満の範囲にある場合においては、粒状形態をもつラテックスの絶対量が不足するためにインク吸収性が低下すると考えられる。

0032

本願発明におけるラテックス(a)の添加部数としては、顔料100質量部に対して、200質量部以上9900質量部以下であるが、高いインク吸収性と白紙光沢性を発現するという観点からは、300質量部以上5000質量部以下であることがより好ましい。

0033

バインダーにラテックス(a)を含有させることによる上記効果として特に高いものを得るためには、Tg点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)の中でも、Tg点が25℃以上及び/又は50℃以下であるものを用いることがさらに好ましい。ラテックス(a)のTg点が25℃以上であると、より優れた白紙光沢度、インク吸収性およびインク定着性が得られる。また、ラテックス(a)のTg点は50℃以下であることが特に好ましい。ラテックス(a)のTg点が50℃以下であると、塗工層強度がより高いものとなる。30℃以上及び/又は50℃以下のものがさらに特に好ましい。

0034

ラテックスとして、Tg点が10℃未満のもののみを塗工層3のバインダーに含有させると、塗工層3となる塗工液を乾燥する際に、ラテックスの皮膜化が必要以上に進む。その結果、乾燥後の塗工層3の中に残存する粒状形状が保たれた状態のラテックスが不足する。したがって、インク吸収性およびインク定着性が不十分となる。
また、ラテックスとして、Tg点が60℃を超えるもののみを塗工層3のバインダーに含有させると、塗工層3となる塗工液を乾燥する際に、ラテックスの皮膜化がほとんど起こらない。その結果、製造されたインクジェット印刷用塗工紙1は、塗工層強度が不十分であるものとなる。

0035

ラテックス(a)の粒子径は、150nm以上250nm以下であることが好ましい。ラテックス(a)の粒子径が、150nm以上であると、粒状形状が保たれた状態のまま塗工層3中に残存するラテックス(a)による塗工層3中の空隙量を十分に確保できる。したがって、インクジェット印刷用塗工紙1のインク吸収性およびインク定着性が、より一層向上する。また、ラテックス(a)の粒子径が、250nm以下であると、塗工液を乾燥する際に溶解するラテックス(a)によって、効果的に塗工層強度を向上させることができる。なお、本発明にいう粒子径とは、キュムラント平均粒子径のことをいい、例えば、大塚電子FPAR−1000を用いて測定することができる。

0036

ラテックス(a)は、10℃以上60℃以下のTg点を有するラテックスであればよく、特に限定されるものではない。非限定的に例示すると、スチレン—ブタジエン共重合体またはアクリロニトリル—ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックスアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル重合体あるいはメチルメタクリレート—ブタジエン共重合体などのアクリル系共重合体ラテックスエチレン酢酸ビニル共重合体塩化ビニル—酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン樹脂ラテックス、アルキド樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、またはこれらの各種共重合体カルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、あるいはメラミン樹脂尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂を用いることができる。

0037

これらのラテックスの中でも、顔料との強い決着力が得られるため、ラテックス(a)として、スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)を用いることが好ましい。

0038

塗工層3のバインダーは、ラテックス(a)のみからなってもよいが、さらに他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、塗工層に用いられる公知成分の1種以上を採用することができる。当該他の成分としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコールカルボキシメチルセルロールヒドロキシエチルセルロースセルロースナノファイバー、一般塗工紙に用いられるガラス転移点が10℃未満のラテックス、ガラス転移点が60℃を超えるラテックス並びにカゼインゼラチン及び大豆タンパク等の蛋白質等が挙げられる。当該他の成分を併用することにより白紙光沢度、塗工層強度の更なる向上が期待できる。

0039

塗工層3には粘度調整成分を配合できる。当該粘度調整成分としては、前記他の成分として列挙した澱粉等の成分の他に、ポリカルボン酸系共重合体保水剤なども含めた公知のものを用いることができる。前記澱粉としては、公知のものを選択でき、例えば、酸化澱粉エーテル化澱粉カチオン化澱粉リン酸エステル化澱粉デキストリン等の澱粉系化合物などから選択される一種以上を採用することができる。上記ポリビニルアルコールとしては、公知のものを選択でき、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコール部分鹸化ポリビニルアルコールカルボキシ変性ポリビニルアルコールアセトアセチル変性ポリビニルアルコールケイ素変性ポリビニルアルコールジアセトン変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類などから選択される一種以上を採用することができる。上記セルロース誘導体としては、公知のものを選択でき、例えば、上記例示のものの塩も含めた一種以上を用いることができる。粘度調整成分の含有量は、インクジェット印刷用塗工紙の白色光沢度への影響も考慮して、塗工層全体に対して、0.01部以上2.0部以下が好ましく、0.01部以上1.5部以下が特に好ましい。

0040

塗工層3におけるバインダーの含有量は、塗工層3に用いる顔料100重量部に対して200重量部以上9900重量部以下の範囲内となる量である。より好ましくは、300重量部以上5000重量部である。この範囲内では、一般に、バインダー配合比が高いほどインク吸収性、インク定着性、白紙光沢、塗工層強度が良好となる。上記配合比が9900重量部を超えるとインク吸収性が低下する。また、200重量部未満となるとインク吸収性、インク定着性、白色光沢度、塗工層強度などの品質が低下する。

0041

[顔料]
塗工層3に使用する顔料としては、特に規定しないが、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、カオリン、重質炭酸カルシウム、凝集炭酸カルシウムタルク硫酸カルシウム硫酸バリウム二酸化チタン酸化亜鉛アルミナ炭酸マグネシウム酸化マグネシウム微粒子シリカコロイダルシリカアルミノ珪酸マグネシウム微粒子状珪酸カルシウム微粒子状炭酸カルシウムホワイトカーボンサチンホワイトベントナイトゼオライトセリサイトスメクタイト等の無機顔料や、ポリスチレン樹脂、スチレン・アクリル共重合樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂塩化ビニリデン樹脂ベンゾグアナミン樹脂、並びにこれらの微小中空粒子貫通孔型の有機材料からなる有機顔料粒子等が挙げられ、これらの中から1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。

0042

これら顔料の中でも、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリンの中から1種もしくは2種以上を選択することが好ましい。そのような選択をすることで、インク吸収性およびインク定着性がより一層向上するとともに、インクジェット画像発色性、白紙光沢度が向上する。
軽質炭酸カルシウムの形状としては、針状、立方状紡錘状等がある。これらの中でも、特に針状軽質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。なお、本発明における針状軽質炭酸カルシウムは、柱状の軽質炭酸カルシウムを含むものである。
また、顔料が、焼成カオリンを含有する場合には、優れたインク吸収性およびインク定着性向上効果が得られ、しかも比較的高い白紙光沢度向上効果が得られる。焼成カオリンは、カオリンを高熱処理することで、結晶水が除去され多孔質化したものであるため、粒子間の空隙のおかげで高いインク吸収性およびインク定着性が得られる。なお、本発明においては、塗工層が顔料とともにバインダーを含有するため、多孔質化顔料を配合することによる白紙光沢性の低下が抑制される。これは、顔料間の空隙にバインダー成分がとりこまれるためと考えられる。

0043

塗工紙を製造する際には、通常、塗工層3となる塗工液を塗工して、ドライヤーなどの乾燥機を用いて温風で乾燥している。乾燥中の塗工液は、温風によって流動する。塗工液中の針状軽質炭酸カルシウムは、立方状など他の形状のものと比較して、塗工液を乾燥するための温風による塗工液の流れに沿って配列しやすい。このため、塗工層3中に針状軽質炭酸カルシウムが含まれていると、配向ムラが生じにくく、高い白紙光沢度が得られる。
また、針状軽質炭酸カルシウムは、塗工層3中において適度な空隙を形成する。これにより、インクが塗工層3の表面に付着した際に、所謂毛管現象によって瞬時にインクが吸収され、高いインク吸収性およびインク定着性が得られる。無定形シリカや焼成カオリンは、顔料内部に緻密な空孔構造を有すため塗工時の塗工液の粘度が高くなり、塗工層の不動化を短時間で生じさせる。これにより嵩高い塗工層が形成され、高いインク乾燥性が発現する。

0044

助剤
塗工層3には、その他必要に応じて公知の各種助剤が含有されていてもよい。
本発明に使用する助剤としては、ポリエチレンエマルジョン脂肪酸塩類やその誘導体マイクロクリスタリンワックス等の離型剤分散剤消泡剤防腐剤粘性改良剤着色剤有色顔料)、潤滑剤、蛍光増白剤耐水化剤等が挙げられ、これらの中から、1種類又は2種類以上を適宜選択して使用できる。着色剤(有色顔料)は基紙層と塗工層のどちらに添加することは可能であるが、万遍なく基紙層と塗工層の両方に添加する方が、色ムラが抑制でき好ましい。

0045

[基紙]
本発明に使用する基紙2は、シート状の紙であれば何ら限定されるものではないが、例えば通常のインクジェット記録用紙、印刷用塗工紙、板紙に用いられる坪量30〜500g/m2程度の紙支持体を好適に使用することができる。なお、ステキヒトサイズ度が3秒以下の基紙を用いることにより、塗工層を通過したインクが瞬時に基紙全体に広がることができるためインク吸収性に優れた塗工紙を得ることができる。基紙2として使用する紙支持体のパルプ原料も、特に限定されるものではない。例えば、脱墨パルプ機械パルプ化学パルプ等、通常の製紙方法で製造される紙のパルプ原料として一般的に用いられるパルプ原料の中から、1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。
基紙2を得るために使用する抄紙機は、特に限定されるものではなく、長網式抄紙機、短網式抄紙機、円網式抄紙機、オントップフォーマー抄紙機、ギャップフォーマー抄紙機、ヤンキー抄紙機等の従来公知の抄紙機で適宜抄紙することができる。基紙2として使用する紙支持体は、1層抄きでも多層抄きでも構わない。

0046

基紙2として使用する紙支持体としては、必要に応じてクリア塗工層を施して表面処理したものを用いることもできる。当該クリア塗工をする装置としては2ロースコーターサイズプレスロッドメタリングサイズプレスコーターゲートロールコーターインクラインサイズプレスコーター等の従来公知の装置を適宜使用することができる。

0047

このクリア塗工層は、接着剤を主成分とすることができる。接着剤として、酸化澱粉、酵素変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉系、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白系、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、ポリビニルアルコール等の合成物、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の合成ゴム系酢酸ビニル系共重合体アクリル系共重合体等のビニルポリマー系が挙げられ、これらの中から、1種類又は2種類以上を適宜選択して使用できる。クリア塗工層を設けることにより、紙力が高く、また白紙光沢度が高いインクジェット印刷用塗工紙となる。

0048

また、基紙2として使用する紙支持体は、塗工層3となる塗工液を塗工する前に、予めカレンダー処理を施して紙支持体の表面を平滑化したものであってもよい。

0049

インク定着剤
インクジェット商業印刷機用インクには、水性顔料インク水性染料インクなどの水性インクが使われる。これらの水性インクでの印刷物のインク定着性や発色性を向上させる目的で、塗工層3や基紙2に、インク定着剤を含有させることができる。

0050

インク定着剤には、有機系と無機系がある。
有機系インク定着剤としては、例えば、水溶性或いは水性エマルジョンタイプなどが使用される。

0051

具体的には、カチオン性樹脂として、ポリエチレンアミンポリプロピレンポリアミンカチオン性ポリビニルピロリドンポリトリメチルアンモニウムメタクリレートビニルイミダゾリウムメタクロライドビニルピロリドン共重合体ジアリルジメチル級アンモニウム塩酸塩ジシアンジアミドポリエチレンポリアミンジメチルアミノプロピルアクリルアミド共重合体ポリアルコキシジアルキル第4級アンモニウム塩、モノアリルアミン—ジアルルアミン塩酸塩共重合体、ポリアリルアミン塩酸塩、ジシアンジアミド—ホルマリン重縮合体エピクロルヒドリンジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・SO2共重合体、ジアリルアミン塩・SO2共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート級塩重合物、アクリルアミド—ジアリルアミン塩共重合体等が挙げられ、1種あるいは2種以上を併用しても良い。これらカチオン性樹脂の分子量は、特に限定するものではないが、高分子量となるとインク吸収性が低下するため、分子量30,000以下のものの使用が望ましい。

0052

無機系インク定着剤としては、例えば、マグネシウムアルミニウム、カルシウム、スカンジウムチタンバナジウムマンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛ガリウムゲルマニウムストロンチウム、イットニウム、ジルコニウムモリブデンインジウムバリウムランタンセリウムプラセオジミウムネオジミウム、サマリウムユーロピウムガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウムイッテルビウムハフニウムタングステンビスマスから選択される金属塩または錯体が挙げられる。

0053

インク定着剤の使用量は、基紙2に内添する場合、基紙2に使用するパルプ100質量%に対して、0.1質量%以上1質量%以下であることが望ましい。インク定着剤を基紙2の表面に塗工する場合には、インク定着剤の付着量が0.02g/m2以上5.0g/m2以下であることが望ましい。どちらの場合も、インク定着剤の使用量を下限値以上とすることで、インク定着剤を含有させることによる効果が十分に得られる。また、どちらの場合もインク定着剤の使用量が上限値以下であると、インク定着剤の基紙表面プロファイルムラに起因するインク吸収ムラの発生を抑制できる。

0054

また、インク定着剤を塗工層3に含有させる場合には、塗工層に対して1質量%以上15質量%以下の範囲とすることが好ましい。インク定着剤の含有量を塗工層に対して1質量%以上とすることにより、インク定着剤によって得られる効果を確実にすることができる。一方、インク定着剤の含有量を塗工層に対して15質量%以下とすることにより、インク定着剤を含有させることによるインク吸収性の低下を防ぎ、優れた印字品質が得られる。

0055

〔蛍光増白剤〕
本発明には、得られる塗工紙のISO白色度を高める目的で蛍光増白効果のある薬品を用いることができる。この際用いられる蛍光増白剤はアミノスチルベンスルホン酸誘導体を使用することが好ましいが、その他蛍光増白効果のある薬品であれば使用上問題はない。アミノスチルベンのスルホン酸誘導体はじめISO白色度の減衰が起こりにくい薬品の使用が好ましい。また、ポリビニルアルコールなどを併用した場合にISO白色度の向上効果が高まる薬品を選択することが好ましい。
蛍光増白剤は、基紙と塗工層どちらにでも添加可能であるが、基紙層に添加されるほうがISO白色度の減衰が起こりにくく好ましい。また、基紙に添加する場合でも、基紙の内添材料と混合し使用するよりもサイズプレス等で表面に塗布すると少ない量で効率的にISO白色度を高められ好ましい。

0056

[塗工および仕上げ
本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、基紙の一方の面および/または他方の面上に塗工層となる塗工液を塗工して、乾燥する方法を用いて製造できる。
塗工液は、顔料と、バインダーと、水などの溶媒とを混合し、一般的に固形分濃度が10〜65質量%程度となるように調製することにより得られる。

0057

塗工液は、基紙上に好ましくは乾燥重量で3〜40g/m2、より好ましくは5〜20g/m2になるように塗工する。塗工層3を形成する装置としては、ブレードコーターロールコーターエアーナイフコーターロッドコーターカーテンコータースプレーコーターバーコーターグラビアコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター等の従来公知の塗工装置の中から適宜選択して使用することができる。

0058

塗工後、基紙上の湿潤状態の塗工層を乾燥させる方法としては、熱風乾燥蒸気乾燥ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の従来公知の乾燥方法の中から適宜選択して使用することができる。
また、塗工層を形成した後、カレンダー処理により、平滑化しても良い。カレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダーソフトカレンダーなどが挙げられ、熱を加えながら平滑化処理する熱カレンダーを用いることもできる。

0059

本発明の一例として図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1は、基紙2上に、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)を含むバインダーを含有する塗工層3を有している。このため、白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性、インク定着性、塗工層強度を有するものとなる。
したがって、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1は、インクジェット商業印刷機を用いて、高速で写真画像や図柄を含む印刷物を印刷する場合に、好ましく利用できる。例えば、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1に、インクジェット商業印刷機を用いて印刷することで、広告やカタログ、パッケージ分野や物流分野で使用される箱や封筒等となる高品質な印刷物が得られる。

0060

また、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1は、写真画像や図柄をオフセット印刷した後、可変情報のみをインクジェット印刷機を用いて印刷するコンポジット印刷を行なう場合にも、好適に使用できる。

0061

「第2実施形態」
図2は、本発明のインクジェット印刷用塗工紙の他の例を説明するための概略断面図である。図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11は、基紙12上の一方の面12aおよび他方の面12bに、それぞれ塗工層13、13を有するものである。
図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11において基紙12は、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1の基紙2と同じものであるので、説明を省略する。

0062

図2に示す塗工層13は、基紙12上に形成された最表面塗工層13bと、最表面塗工層13bと基紙12との間に形成された1層の下塗り塗工層13aとからなる。最表面塗工層13bおよび下塗り塗工層13aは、それぞれ顔料及びバインダーを含有している。
塗工層13は、Tg点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)を含むものである。

0063

ラテックス(a)は、最表面塗工層13bには必ず含まれないと所望とする効果が得られない。したがって、塗工層13を形成している最表面塗工層13bおよび下塗り塗工層13aの厚みや材料は、それぞれ異なっていてもよいし、同じであってもよい。また、ラテックス(a)が、最表面塗工層13bと下塗り塗工層13aの両方に含まれている場合、各層のラテックス(a)の含有量は、それぞれ異なっていてもよいし、同じであってもよい。

0064

図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11において、最表面塗工層13bの含有するラテックス(a)の含有量が多いほど、優れたインク定着性、インク吸収性および白紙光沢度が得られる。
図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11において、最表面塗工層13bの下層に形成された下塗り塗工層13aの含有するラテックス(a)の含有量が多いほど、優れたインク吸収性が得られる。
また、最表面塗工層13bと下塗り塗工層13aの両方に、ラテックス(a)が含まれている場合、白紙光沢度、インク吸収性、インク定着性および塗工層強度のバランスが良好なものとなり、好ましい。

0065

図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11において、塗工層13の含有するラテックス(a)以外の成分の好ましい態様については、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1の塗工層3と同様である。また、塗工層13の含有するラテックス(a)以外の成分については、最表面塗工層13bまたは下塗り塗工層13aにのみ含まれていてもよいし、最表面塗工層13bと下塗り塗工層13aの両方に含まれていてもよい。また、ラテックス(a)以外の成分についても、最表面塗工層13bと下塗り塗工層13aの両方に含まれている場合、各層の含有量は、それぞれ異なっていてもよいし、同じであってもよい。

0066

図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11を製造する方法としては、塗工層13を形成する工程以外は、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1と同様の方法を用いることができる。
図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11は、例えば、基紙12の一方の面12aおよび他方の面12b上に、それぞれ下塗り塗工層13aとなる塗工液を塗工して乾燥し、その後、最表面塗工層13bとなる塗工液を塗工して乾燥する方法を用いて製造できる。
下塗り塗工層13aまたは最表面塗工層13bとなる塗工液を塗工して乾燥する方法としては、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1における塗工層3となる塗工液を塗工して乾燥する方法を用いることができる。
例えば、下塗り塗工層13aを抄紙機付属オンマシン塗工装置で塗工し、最表面塗工層13bをオフマシン塗工装置で塗工してもよい。或いは、下塗り塗工層13aと最表面塗工層13bを抄紙機付属のオンマシン塗工装置で塗工してもよい。この場合、下塗り塗工層13aはサイズプレスで塗工してもよい。

0067

下塗り塗工層13aと、最表面塗工層13bを有する場合、塗工量は両方合わせて、乾燥重量で3〜40g/m2とすることが好ましく、より好ましくは5〜20g/m2になるように塗工する。

0068

図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11は、基紙12上に、ガラス転移点が10℃以上60℃以下のラテックス(a)を顔料に対して所定範囲の比率で含むバインダーを含有する塗工層13を有している。したがって、図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11は、図1に示すインクジェット印刷用塗工紙1と同様に、白紙光沢度が高く、かつ優れたインク吸収性、インク定着性、塗工層強度を有するものとなる。なお、図2に示すインクジェット印刷用塗工紙は、白紙光沢度が高くなる傾向にある

0069

「他の例」
本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、上述した第1実施形態および第2実施形態に記載のものに限定されない。
例えば、塗工層3、13は、図1および図2に示すように、基紙2、12の一方の面2a、12aと他方の面2b、12bの両面に存在していてもよいし、一方の面2a、12aのみに存在していてもよい。
また、図1および図2に示すように、基紙2、12の両面に塗工層3、13を設ける場合、一方の面2a、12と他方の面2b、12bに形成した塗工層3、13は同じものであってもよいが、異なるものであってもよい。

0070

また、図2に示すインクジェット印刷用塗工紙11では、下塗り塗工層13aが1層である場合を例に挙げて説明したが、下塗り塗工層13aは2層以上であってもよい。すなわち、塗工層13は、2層からなるものであってもよいし、3層以上の層からなる積層体であってもよい。
なお、塗工層が2層以上からなる積層体である場合においては、少なくとも最表面塗工層中でのラテックス(a)の含有量が、その最表面塗工層中の顔料100質量部に対して200質量部以上9900質量部以下となる範囲内であれば本発明のインクジェット印刷用塗工紙に該当する。

0071

本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、印刷後の表面に接着剤層を設けるダイレクト葉書(4面や6面等)用として使用することもできる。
また、本発明のインクジェット印刷用塗工紙が、塗工層の設けられていない面を有する場合、塗工層の設けられていない面に対して、公知の加工を適宜行なってもよい。具体的には例えば、本発明のインクジェット印刷用塗工紙の塗工層の設けられていない面側に、各種の粘着剤層を設けたり、擬似接着層を設けたり、接着剤層を介して別のシートを張り合わせて積層体を形成したりしてもよい。

0072

以下に、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらによって制約を受けるものではない。なお、製造例、実施例、比較例において%および部とあるものはすべて質量%および質量部を示す。

0073

「粒子径測定」
ラテックスの粒子径は、大塚電子製FPAR−1000による測定で得られるキュムラント平均粒子径を用いた。

0074

「材料」
以下に示す実施例および比較例においてバインダーおよび顔料に使用した材料は、以下の通りである。
「バインダー」
<ラテックス(a)>
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407、日本エイアンドエル製、Tg点=40℃、粒子径=190nm)
(a2)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:0597C、JSR製、Tg点=28℃、粒子径=125nm)
(a3)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol2507H、日本ゼオン製、Tg点=58℃、粒子径=250nm)
(a4)アクリロニトリル—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol1577、日本ゼオン製、Tg点=26℃、粒子径=40nm)

0075

<ラテックス(b)>
(b1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ3000N、JSR社製、Tg点=—37℃、粒子径=90nm)
(b2)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:0589、JSR製、Tg点=0℃、粒子径=220nm)
<その他ラテックス>
(c1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:NipolV1004、日本ゼオン製、Tg点=85℃、粒子径=300nm)
<その他>
(d1)酸化澱粉(商品名:エースA、王子コンスターチ社製)
(d2)ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、株式会社クラレ製)

0076

「顔料」
(e1)針状軽質炭酸カルシウム(商品名=TP—123CS、奥多摩工業社製、粒子径=0.45μm、短径0.29μm、長径2.4μm、アスペクト比8.3)
(e2)焼成カオリン(商品名=アルファテックスイメリスミネラルズ・ジャパン製、粒子径=0.48μm)
(e3)無定形シリカ(ファインシールX−37、株式会社トクヤマ製、2次粒子径=3.7μm)
(e4)カオリン(Hydrite RS、イメリスミネラルズ・ジャパン製、粒子径=0.77μm)

0077

「基紙Aの作成」
LBKP(CSF460ml)100%からなるパルプスラリーに、填料としてタルクを支持体灰分が5%となるように添加した。その後、パルプ固形分に対して硫酸アルミニウム0.97%、カチオン澱粉0.3%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.01%、ポリアクリルアミド(商品名:リアライザーR−300、ソーマル社製)0.07%を順次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面で2.0g/m2(固形分)塗布・乾燥し、クリア塗工層を形成した。その後、マシンカレンダーで平滑化処理を施して、ステキヒトサイズ度1秒の坪量86g/m2の基紙Aを得た。
「基紙Bの作成」基紙Aのアルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)を0.15%とする以外は同様に基紙Bを得た。このときのステキヒトサイズ度は5secであった。

0078

実施例1
「塗工液の調製」
焼成カオリン100部(アルファテックス:イメリスミネラルズ・ジャパン製)、(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス250部(SBRバインダー、PB2407:日本エイアンドエル株式会社製)にカチオン性樹脂5部(DK6810、星光PMC製)と水を加えて、固形分濃度が35%の塗工液を調製した。なお、バインダー材料の添加部数は、固形物換算の顔料100質量部に対する添加部数を意味する。

0079

「インクジェット印刷用塗工紙の作製」
基紙Aにブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で5g/m2になるように前記塗工液を両面に塗工し、乾燥した。この後、スーパーカレンダーを用いて、線圧30kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量96g/m2のインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0080

実施例2
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)の添加部数を400部に変える以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0081

実施例3
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)の添加部数を2000部に変える以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
実施例4
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)の添加部数を5000部に変える以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0082

実施例5
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)の添加部数を9900部に変える以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
実施例6
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)400部を(a2)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:0597C)400部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0083

実施例7
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス400部を(a3)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(Nipol2507H)400部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
実施例8
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)400部を(a4)アクリロニトリル—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol1577)400部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0084

実施例9
(e2)焼成カオリン(商品名=アルファテックス)100部を(e3)無定形シリカ(商品名:ファインシールX−37)100部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
実施例10
(e2)焼成カオリン(商品名=アルファテックス)100部を(e1)軽質炭酸カルシウム(商品名:TP—123CS)100部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0085

実施例11
(e2)焼成カオリン(商品名=アルファテックス)100部を(e4)カオリン(商品名:Hydrite RS)100部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0086

実施例12
基紙Aを基紙Bに変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
実施例13
「インクジェット印刷用塗工紙の作製」
基紙Aにブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で2.5g/m2になるように前記塗工液を両面に塗工し、乾燥して下塗り塗工層を形成し、次いで、ブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で2.5g/m2になるように前記塗工液を両面に塗工し、乾燥して最表面塗工層を形成した。この後、スーパーカレンダーを用いて、線圧30kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量96g/m2のインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0087

比較例1
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)に代えて、(b2)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:0589)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
比較例2
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)に代えて、(c1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:NipolV1004)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0088

比較例3
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)に代えて、(b1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ3000N)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
比較例4
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)の添加部数を180部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。
比較例5
(a1)スチレン—ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PB2407)の添加部数を10000部に変える以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用塗工紙を得た。

0089

比較例6
顔料として軽質炭酸カルシウム50部(商品名=TP−123CS、奥多摩工業社製、粒子径=0.45μm、短径0.29μm、長径2.4μm、アスペクト比8.3)とカオリン50部(Hydrite RS、イメリスミネラルズ・ジャパン製、粒子径=0.77μm)にバインダーOJ3000N 10部、酸化澱粉3部(エースA、王子コーンスターチ製)と水を混合して固形分濃度50%の塗工用塗被液を得た。
この塗被液を基紙Aにブレードコーターを用いて、片面の乾燥重量で15g/m2になるように前記塗工液を両面に塗工し、乾燥した。この後、スーパーカレンダーを用いて、線圧50kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量116g/m2の印刷用塗工紙を得た。

0090

比較例7
顔料として無定形シリカ100部(商品名=ファインシールX−37、株式会社トクヤマ製、二次粒子径=3.7μm)にバインダーPVA20部(PVA−117、クラレ製)、酸化澱粉3部(エースA、王子コーンスターチ製)とカチオン性樹脂10部(DK−6810、星光PMC製)と水を混合して固形分濃度15%の塗工用塗被液を得た。
この塗被液を基紙Aにエアーナイフコーターを用いて、片面の乾燥重量で5g/m2になるように前記塗工液を両面に塗工し、乾燥した。この後、スーパーカレンダーを用いて、線圧20kg/cm、2ニップの条件で平滑化処理を施して、坪量96g/m2のインクジェット印刷用紙を得た。

0091

実施例1〜12、比較例1〜7において使用したラテックス(a)、ラテックス(b)、その他ラテックスのTg、バインダーの添加部数、ラテックス(b)とラテックス(a)との質量比(b:a)、ラテックス(a)の粒子径および種類、顔料中の軽質炭酸カルシウムおよび焼成カオリンの含有量(%)を表1に示す。表1において「SBR」は、スチレン—ブタジエン共重合体ラテックスである。「NBR」は、アクリロニトリル—ブタジエン共重合体ラテックスである。表1に示す軽質炭酸カルシウムおよび焼成カオリンの含有量、バインダーの添加部数は、固形分換算したものである。また、表1においてはラテックス(b2)の添加部数およびTgを括弧内に記載した。

0092

0093

実施例、比較例で得られたインクジェット印刷用塗工紙、印刷用塗工紙、インクジェット印刷用紙について、下記の評価を行い、その結果を表2に示した。

0094

「白紙光沢度」JIS P8142に準拠して、75度における白紙面光沢度を測定した。

0095

「インクジェット印刷適性」
(インク吸収性の評価)
得られたインクジェット印刷用塗工紙にラインヘッド搭載カラーラベルプリンター(LX−P5500顔料インクモデル、Canon製)でブラックベタ印刷文字印刷を行ない、その印刷部分を目視評価した。

0096

◎:ベタ印刷部分にムラなし。文字と白紙部にニジミなし。良好。
○:ベタ印刷部分にムラ、文字部から白紙部にインクのニジミが若干みられるが、使用上問題のないレベル
△:ベタ印刷部分にムラ、文字部から白紙部にインクのニジミが見られるレベル(使用するプリンターの設定を変更すれば使用可能なレベル)。
×:ベタ印刷部分全面にムラ、文字そのものが潰れ文字の形状が判別できないレベル(使用するプリンターの設定を変更しても使用不能なレベル)。

0097

(インク定着性の評価)
上記インク吸収性の評価と同様にして、インクジェット印刷用塗工紙に、ラインヘッド搭載カラーラベルプリンター(LX−P5500顔料インクモデル、Canon製)でブラックベタ印刷と文字印刷を行なった。印刷終了後、1分後に、1≠Tcmサイズのゼロックス用紙を人差し指に巻きつけ、一定の力で、印刷面を擦り取った。

0098

◎:擦りとった印刷部のインク剥がれが、まったく見られないレベル。良好。
○:擦りとった印刷部のインク剥がれが、少量見られるものの極僅かで、使用上問題のないレベル。
△:擦りとった印刷部のインク剥がれがあるが、下地の白紙部が露出するまでには至らないレベル(評価には乾燥機を有さないプリンターで評価しているが、印刷後に乾燥機を有する状態で使用する場合、乾燥の条件を調節すれば使用可能なレベル)。
×:擦りとった印刷部のインクが殆ど剥がれ取られ、下地の白紙部が露出しているレベル。

0099

(塗工層強度)
得られたインクジェット印刷用塗工紙を用いて、RI印刷試験機(明製作所製)で、印刷インキ(商品名:FusionG EZN、DICCorporation社製)を、1ml使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。
◎:ピッキングが全く発生せず、良好。
○:ピッキングが少し発生するが、実用上問題ないレベル。
△:ピッキングが発生し、断裁等の処理時に負担が大きいが、実施上問題のないレベル。
×:ピッキングが多く発生し、劣る。

0100

0101

表から明らかなように、本発明のインクジェット印刷用塗工紙は、比較例との対比において、白紙光沢度に優れ、インクジェット適性に優れるものであった。特に、実施例2〜4は、実施例1、5と比較してもインク吸収性が特に良好である。詳細には、実施例2は、実施例1と比較して塗工層強度、インク吸収性、インク定着性が良好である。また、実施例4は、インク吸収性が良好である。
したがって、顔料100重量部に対してラテックス(a)を300重量部以上5000重量部以下とすることで、併用による相乗効果が得られ、インク吸収性などについて特に有利な効果が得られることがわかる。

実施例

0102

ラテックスのTg点と効果との関係を検討すると、Tgが40℃である実施例2においては、Tgがそれぞれ28℃、58℃である実施例6、7と比較してインク吸収性が良好である。
また、実施例6と実施例8の比較から、本発明範囲のラテックスのなかでも、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを採用することで、より高い塗工層強度が得られることがわかる。
なお、ラテックスとともに用いられる顔料としては、焼成カオリン、無定形シリカ、炭酸カルシウム、カオリンのいずれを用いた場合においても、良好なインク吸収性が得られている(実施例2、9〜11)。実施例2、9においては、特に良好なインク吸収性がみられており、実施例10、11においては、塗工層強度、白紙光沢性が特に良好である。
実施例2は実施例12よりインク吸収性、インク定着性が良好となっている。これは、実施例2の基紙のステキヒトサイズの相違に起因するものとも理解できる。
バインダー種、Tgが同じである実施例1〜5、比較例4、5の比較から、顔料100に対するラテックスの配合比を高めるにしたがって白紙光沢度が良化することが見て取れる。
ラテックスとして、Tg点が10℃以上のものを用いた実施例2は、Tgが10℃以下のものを用いた比較例1、3よりもインク吸収性、インク定着性ともに良好である。また、実施例2は、Tgが60℃以上であるラテックスを用いた比較例2よりも、塗工層強度、白紙光沢性が良好である。
一般的な塗工紙に相当する比較例6においては、白紙光沢、塗工層強度は良好であるが、インク定着性、インク吸収が実施例1〜12より劣ってしまっている。比較例7のインクジェット専用紙は、インク定着性、インク吸収性は良好であるが、塗工層強度、白紙光沢性において、実施例1−12より劣る。

0103

1、11:インクジェット印刷用塗工紙、2、12:基紙、2a、12a:一方の面、2b、12b:他方の面、3、13:塗工層、13a:下塗り塗工層、13b:最表面塗工層。

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