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技術 鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法、該摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 小田垣智也荒牧則親三木祐司
出願日 2015年3月12日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-049740
公開日 2016年9月23日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-168608
状態 特許登録済
技術分野 連続鋳造
主要キーワード 厚み中心線 直動タイプ 加速運動 平均相対速度 最適範囲内 ノコギリ波状 ロッド軸 流体摩擦
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

本発明は、鋼の連続鋳造において、操業条件である溶鋼温度鋳型振動条件モールドフラックス物性値およびフラックス消費量から鋳型鋳造鋳片間の摩擦力推定する摩擦力推定方法、該摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法を提供する。

解決手段

本発明に係る鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法は、鋼の連続鋳造時における溶鋼温度T[℃]、鋳型3と鋳造鋳片5間の平均相対速度Vr[m/min]、モールドフラック凝固温度Ts[℃]及びフラックス消費量Q[kg/m2]を用いて、鋳型3と鋳造鋳片5間の摩擦力F[kN/m2]を下式により推定することを特徴とするものである。ただし、A、Bはフィッティングパラメータである。

概要

背景

冷却能を有する鋳型溶鋼を連続して注入し、冷却によって外殻凝固した溶鋼、すなわち、鋳造鋳片を引き抜いて必要な長さに切断する連続鋳造設備において、鋳型と鋳造鋳片との間に生じる摩擦力を把握することは、鋳型の最適振動条件波形振動数振幅)の選定拘束性ブレークアウト予知、及び、安定した高速鋳造を実現する上で大変重要である。

把握された鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力に基づいて鋳型の振動条件を最適なものとし、かつ、最適なモールドフラックスを選定することにより、該モールドフラックスが鋳型と鋳造鋳片との間の潤滑油として十分に活用され、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を小さく保持できる。
そして、鋳型と鋳造鋳片との間に潤滑層が十分に存在すれば、焼付きによる拘束性ブレークアウトの発生を防止できるだけでなく、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力が小さくなることで鋳造鋳片に作用する不必要な引張応力がかからなくなるため、鋳造鋳片の横割れを抑制することができる。

概要

本発明は、鋼の連続鋳造において、操業条件である溶鋼温度鋳型振動条件、モールドフラックス物性値およびフラックス消費量から鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する摩擦力推定方法、該摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法を提供する。本発明に係る鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法は、鋼の連続鋳造時における溶鋼温度T[℃]、鋳型3と鋳造鋳片5間の平均相対速度Vr[m/min]、モールドフラック凝固温度Ts[℃]及びフラックス消費量Q[kg/m2]を用いて、鋳型3と鋳造鋳片5間の摩擦力F[kN/m2]を下式により推定することを特徴とするものである。ただし、A、Bはフィッティングパラメータである。

目的

本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであって、センサ交換メンテナンスを必要とせずに鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する摩擦力推定方法と、該摩擦力推定方法により推定された鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力が所定の範囲内となるように操業することによって、最適な操業条件を決定し、拘束性ブレークアウトの発生や横割れ発生を防止した鋼の連続鋳造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鋼の連続鋳造時における溶鋼温度T[℃]、鋳型鋳造鋳片間の平均相対速度Vr[m/min]、モールドフラック凝固温度Ts[℃]及びフラックス消費量Q[kg/m2]を用いて、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力F[kN/m2]を下式により推定することを特徴とする鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法。ただし、A、Bはフィッティングパラメータである。

請求項2

請求項1記載の鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法であって、請求項1記載の式に基づいて鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する摩擦力推定工程と、該摩擦力推定工程で推定された摩擦力が最適範囲内であるかどうかを判定する摩擦力判定工程と、該摩擦力判定工程において前記推定された摩擦力が前記最適範囲外であると判定された場合、前記摩擦力推定工程で推定される摩擦力が前記最適範囲内となるように、鋳型と鋳片鋳片間の平均相対速度、モールドフラックスの種類、フラックス消費量のうちいずれか一つあるいは複数の操業条件を変更する操業条件変更工程とを備えたことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。

請求項3

前記推定された摩擦力の前記最適範囲は30kN/m2以上45kN/m2以下であることを特徴とする請求項2記載の鋼の連続鋳造方法。

請求項4

鋼の連続鋳造時において、鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr[m/min]、溶鋼温度T[℃]、モールドフラックス凝固温度Ts[℃]、フラックス消費量Q[kg/m2]を用いて下式により推定される鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力Fが30kN/m2以上45kN/m2以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。ただし、A、Bはフィッティングパラメータである。

技術分野

0001

本発明は、鋼の連続鋳造時における鋳型鋳造鋳片間の摩擦力推定方法、該摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法に関する。

背景技術

0002

冷却能を有する鋳型に溶鋼を連続して注入し、冷却によって外殻凝固した溶鋼、すなわち、鋳造鋳片を引き抜いて必要な長さに切断する連続鋳造設備において、鋳型と鋳造鋳片との間に生じる摩擦力を把握することは、鋳型の最適振動条件波形振動数振幅)の選定拘束性ブレークアウト予知、及び、安定した高速鋳造を実現する上で大変重要である。

0003

把握された鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力に基づいて鋳型の振動条件を最適なものとし、かつ、最適なモールドフラックスを選定することにより、該モールドフラックスが鋳型と鋳造鋳片との間の潤滑油として十分に活用され、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を小さく保持できる。
そして、鋳型と鋳造鋳片との間に潤滑層が十分に存在すれば、焼付きによる拘束性ブレークアウトの発生を防止できるだけでなく、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力が小さくなることで鋳造鋳片に作用する不必要な引張応力がかからなくなるため、鋳造鋳片の横割れを抑制することができる。

先行技術

0004

特開昭62−286656号公報
特開昭61−279350公報
特公平1−16590公報
特開平4−190951公報

発明が解決しようとする課題

0005

鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を小さく保持するためには、まずは、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を把握する必要がある。
これまでに、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を測定する方法として、油圧計による方法(特許文献1)、ロードセルによる方法(特許文献2)、歪みゲージによる方法(特許文献3)、ピンチロール回転数計による方法(特許文献4)等が開発、適用され、操業結果との対応付けが行われてきた。しかし、これらの方法は、連続鋳造における操業監視技術として工業的に広く利用されるに至っていなかった。その理由は、高温多湿という過酷な鋳造条件下で長期的に測定するためには、センサ交換メンテナンス高頻度で発生し、上記の摩擦力測定方法を利用する上で大きな障害になっていたためである。

0006

本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであって、センサの交換やメンテナンスを必要とせずに鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する摩擦力推定方法と、該摩擦力推定方法により推定された鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力が所定の範囲内となるように操業することによって、最適な操業条件を決定し、拘束性ブレークアウトの発生や横割れ発生を防止した鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

(1)本発明に係る鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法は、鋼の連続鋳造時における溶鋼温度T[℃]、鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr[m/min]、モールドフラック凝固温度Ts[℃]及びフラックス消費量Q[kg/m2]を用いて、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力F[kN/m2]を下式により推定することを特徴とするものである。

0008

ただし、A、Bはフィッティングパラメータである。

0009

(2)本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、上記(1)記載の鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法であって、上記(1)記載の式に基づいて鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する摩擦力推定工程と、該摩擦力推定工程で推定された摩擦力が最適範囲内であるかどうかを判定する摩擦力判定工程と、該摩擦力判定工程において前記推定された摩擦力が前記最適範囲外であると判定された場合、前記摩擦力推定工程で推定される摩擦力が前記最適範囲内となるように、鋳型と鋳片鋳片間の平均相対速度、モールドフラックスの種類、フラックス消費量のうちいずれか一つあるいは複数の操業条件を変更する操業条件変更工程とを備えたことを特徴とするものである。

0010

(3)上記(2)記載のものにおいて、前記推定された摩擦力の前記最適範囲は30kN/m2以上45kN/m2以下であることを特徴とするものである。

0011

(4)本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、鋼の連続鋳造時において、鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr[m/min]、溶鋼温度T[℃]、モールドフラックス凝固温度Ts[℃]、フラックス消費量Q[kg/m2]を用いて下式により推定される鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力Fが30kN/m2以上45kN/m2以下であることを特徴とするものである。

0012

ただし、A、Bはフィッティングパラメータである。

発明の効果

0013

本発明により、鋼の連続鋳造時において鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を操業条件により推定することができ、前記摩擦力を測定するためのセンサの交換やメンテナンスを行うことなく、長期的に監視することができる。さらに、操業条件から推定された前記摩擦力が所定値より大きい場合においては、前記摩擦力が小さくなるように、又は、前記摩擦力が所定値より小さい場合においては、前記摩擦力が大きくなるように鋳型振動条件、モールドフラックスの種類又はフラックス消費量といった操業条件を変更することで、高品質な鋳造鋳片を安定して提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

0014

本発明に係る連続鋳造設備の概略図である。
本発明の実施の形態1に係る推定摩擦力と実測摩擦力との相関図である。
本発明の実施の形態2及び実施例に係る推定摩擦力の最適範囲を示す図である。

0015

[実施の形態1]
本発明の一実施の形態は、図1に示すような鋳型3、ピボット7を介したレバー9の両端に鋳型3と油圧シリンダー11を配置したオシレーション装置13、鋳型3の変位計15、油圧シリンダー11の油圧計17を備えた連続鋳造設備1による鋳造鋳片5の連続鋳造時において、操業条件である溶鋼温度T[℃]、鋳型3と鋳造鋳片5間の平均相対速度Vr[m/min]、モールドフラック凝固温度Ts[℃]及びフラックス消費量Q[kg/m2]を用いて、鋳型3と鋳造鋳片5間の単位面積当たりの摩擦力F[kN/m2]を式(1)により推定するものである。

0016

0017

式(1)において、A、Bはフィッティングパラメータである。

0018

以下、式(1)の導出過程を説明する。
本発明では、鋳型と鋳造鋳片間の潤滑層において潤滑が十分に確保されている場合、鋳型と鋳造鋳片との間に生じる単位面積当たりの摩擦力Fは流体摩擦が支配的であるとし、以下の式(2)が成立すると仮定した。

0019

0020

式(2)において、μは潤滑層粘度、dは潤滑層厚み、Vrは鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度である。

0021

ここで、前記潤滑層粘度μは、モールドフラックスの粘度に影響されるため、該モールドフラックスの粘度の温度依存性を考慮して、溶鋼温度T及びモールドフラックスの凝固温度Tsを用いる経験則μ∝(T-Ts)-1で与えられると仮定した。
前記潤滑層厚みdは、連続鋳造時におけるフラックス消費量Qに比例する(d∝Q)と仮定した。
前記鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vrは、鋳型が鉛直上向きに運動する時の速度を正として算出した鋳型振動速度の瞬時値鋳造速度Vcとの差を、鋳型振動1周期時間平均した値である。

0022

前記潤滑層粘度μ及び前記潤滑層厚みdに関する仮定を式(2)に代入することにより、鋳型と鋳造鋳片間の単位面積当たりの摩擦力Fを推定する式(1)が導出される。
前述のとおり、式(1)中のA、Bはフィッティングパラメータであり、該フィッティングパラメータA、Bが決定されれば、連続鋳造の操業条件である溶鋼温度T、鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr、モールドフラックス凝固温度Ts及びフラックス消費量Qを式(1)に代入して、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力Fが推定できる。

0023

なお、溶鋼温度Tはタンディッシュにおいて測定した値を用いることができる。さらに、フラックス消費量Qは鋳型に一定量のモールドパウダー投入し終えるまでの鋳込み長さから求めた値を用いることができるが、フラックス消費量Qを定常的に測定するのが困難である場合においては、鋳型振動条件、溶鋼温度、モールドフラックスの物性値パラメータとした経験式から求めた値を用いても良い。

0024

前記フィッティングパラメータA、Bは、例えば、鋳型と鋳造鋳片間の単位面積当たりの摩擦力Fの実測値との相関から決定することができ、例えば、以下の方法により求めることができる。
図1に示す連続鋳造設備1において、鋳型3と鋳造鋳片5間に生じる単位面積当たりの摩擦力Fは、オシレーション装置13の油圧シリンダー11の入側圧力P1を入側油圧計17aにより、出側圧力P2を出側油圧計17bにより測定することによって求めた鋳型3の加振に係る負荷から、変位計15により測定した鋳型3の変位の2階時間微分値により与えられる鋳型3の加速運動による負荷を差し引くことにより得られ、式(3)で算出することができる。

0025

0026

ここで、Mは見掛けの鋳型質量(kg)、aは変位計15により測定した鋳型3の変位の時系列データを2階時間微分して求めた鋳型3加振時の加速度(m2/s)、gは重力加速度(m2/s)、Cvは減衰定数(N)、P1は油圧シリンダー11の入側圧力(Pa)、P2は油圧シリンダー11の出側圧力(Pa)、S1は油圧シリンダー11の入側断面積(m2)、S2は油圧シリンダー11の出側断面積(m2)、rはレバー比(L1/L2)、L1は油圧シリンダー11のロッド軸心線からピボット7までの距離(m)、L2は鋳型3の厚み中心線からピボット7までの距離(m)、Dは鋳型幅(m)、Wは鋳型幅(m)、Leは鋳型有効長(m)である。

0027

前記見掛けの鋳型質量Mは、鋳型3の真の質量に加えて油圧シリンダー11と鋳型3とを繋ぐレバー9等の質量も含み、前記減衰定数Cvは油圧による応力減衰を考慮している。
前記見掛けの鋳型質量Mと前記減衰定数Cvは、オフライン時、つまり鋳造を行わずに鋳型3の振動のみを行う空運転時において、鋳型3と鋳造鋳片5間に生じる摩擦力がF=0である関係から決定することができる。

0028

本実施の形態1では、鋳型3の振動の1周期の10分の1より短い周期で鋳型3の変位等をサンプリングし、式(3)により鋳型3と鋳造鋳片5間の摩擦力(以下、実測摩擦力という)を算出した。なお、該実測摩擦力は鋳型3の振動に伴って周期的に変動する値であり、鋳造鋳片5にかかる力(引張応力と圧縮応力の和)の変化量が鋳造鋳片5の表面品質に影響すると考えられるため、鋳型3の振動1周期における最大値最小値の差を前記実測摩擦力の代表値とした。

0029

本実施の形態1に係る摩擦力推定方法により摩擦力を推定した結果の一例を以下に示す。ここでは、表1に示す操業条件で行った鋼の連続鋳造を対象とした。

0030

0031

表1において、振幅は鋳型振動の上死点下死点の差の全振幅である(以下、本明細書中において、振幅は全振幅を表す)。また、表1に示すとおり、モールドフラックス中のCaO/SiO2mass%比及び凝固温度の異なる3種類のモールドフラックス(M1、M2、M3)を用いた。
表2に各モールドフラックス中のCaO/SiO2mass%比及び凝固温度を示す。

0032

0033

表1及び表2の操業条件で連続鋳造した時の鋳型と鋳造鋳片間の実測摩擦力を式(3)により算出し、該実測摩擦力の値との相関から式(1)におけるフィッティングパラメータA、Bを決定した。
前記実測摩擦力との相関から決定された式(1)中の前記フィッティングパラメータA、Bの値はそれぞれA=520、B=20であった。

0034

図2に、決定された前記フィッティングパラメータA、Bの値を用いて推定した摩擦力(以下、推定摩擦力という)と実測摩擦力との相関を示す。推定摩擦力と実測摩擦力との相関性は高く(相関係数R2=0.98)、式(1)を用いることによって鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力Fを精度良く推定できることが分かる。

0035

なお、前記実測摩擦力を求める式(3)は、図1に示すようなピボット7を介したレバー9の両端に鋳型3と油圧シリンダー11を配したオシレーション装置13について導出したものであるが、連続鋳造設備におけるオシレーション装置はこのような形式に限定されず、例えば、鋳型に油圧シリンダーを直結した直動タイプ油圧式オシレーション装置であってもよい。この場合、式(3)においてレバー比をr=1とすれば良い。ただし、式(3)により実測摩擦力を求める際、見掛けの鋳型質量Mと減衰定数Cvの値を変更する必要がある。

0036

フィッティングパラメータA、Bの値は、上記のようにオシレーション装置の変更等、振動系を変更した場合には変更する必要はないが、鋳型形状を変更した場合には、実摩擦力との相関から前記フィッティングパラメータA、Bの値を新たに決定する必要がある。

0037

[実施の形態2]
本発明の他の実施の形態に係る鋼の連続鋳造方法は、実施の形態1で述べた鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法を用いて推定された摩擦力に基づいて連続鋳造時の操業条件を変更するものであって、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する摩擦力推定工程と、該摩擦力推定工程で推定された摩擦力が予め定めた所定の範囲内であるかどうかを判定する摩擦力判定工程と、該摩擦力判定工程において前記摩擦力が前記所定の範囲外であると判定された場合、前記摩擦力推定工程で推定される摩擦力が前記所定の範囲内となるように一つあるいは複数の操業条件を変更する操業条件変更工程とを備えたものである。
以下、各工程を詳細に説明する。

0038

<摩擦力推定工程>
摩擦力推定工程は、実施の形態1に係る鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法を用い、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を式(1)により推定する工程である。

0039

式(1)中のA、Bはフィッティングパラメータであり、実施の形態1で述べたように、式(3)により算出した実測摩擦力との相関からA、Bの値を予め決定する。
そして、決定したフィッティングパラメータA及びBの値を用い、連続鋳造の操業条件である溶鋼温度T、鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr、モールドフラックス凝固温度Ts及びフラックス消費量Qを式(1)に代入して、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定する。

0040

<摩擦力判定工程>
図1に示すような連続鋳造設備1を用いた鋼の連続鋳造時において、鋳型3と鋳造鋳片5間の摩擦力が著しく高い場合、鋳造鋳片5に不必要な引張応力が作用して横割れ発生の危険性が増す。
一方、鋳型3と鋳造鋳片5間の摩擦力が著しく低い場合、鋳型3と鋳造鋳片5との間の潤滑が過多となって、オシレーションマーク深さや溶鋼のメニスカス部における初期凝固シェル倒れ込み(爪)が増大する。その結果、スラグ気泡凝固シェル捕捉されて鋳造鋳片5の表面性状が悪化したり、介在物トラップの危険性が増す。

0041

そこで、当該摩擦力判定工程においては、これらの危険性を回避するため、前記摩擦力推定工程において推定された摩擦力が、鋳造鋳片における横割れ発生や表面性状悪化等を生じることなく鋳造鋳片を製造することができる最適範囲内であるかどうかを判定する。
前記推定された摩擦力が前記最適範囲外である場合、続く操業条件変更工程において連続鋳造の操業条件を変更する。

0042

<操業条件変更工程>
操業条件変更工程は、前記摩擦力判定工程において前記推定された摩擦力が前記最適範囲外であると判定された場合、連続鋳造の操業条件を変更する工程である。
前記推定された摩擦力が前記最適範囲よりも大きい値であると判定された場合、鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を減少させるように、例えば、フラックス消費量の増加、凝固温度の低いモールドフラックスへの変更、鋳型の振動条件(振幅、振動数、波形)の変更、のうちのいずれか一つあるいは複数の操業条件を変更する。

0043

鋳型振動の波形としては、例えば、サイン波の他、鋳型振動時の上昇速度よりも下降速度の方が大きい非サイン波が使用される。

0044

一方、前記推定された摩擦力が前記最適範囲よりも小さい値であると判定された場合、鋳型と鋳造鋳片間の実際の摩擦力を増加させるような操業条件の変更、例えば、フラックス消費量の減少、凝固温度の高いモールドフラックスへの変更、鋳型の振動条件(振幅、振動数、波形)の変更、のうちのいずれか一つあるいは複数の操業条件を変更する。

0045

なお、鋳型の振動条件の変更として、例えば、振動数を大きくする、又は、以下の式(4)で表わされる歪率を小さくすることにより、鋳型と鋳造鋳片間の実際の摩擦力を増加させることができる。
歪率=(非sin波の上死点時刻—sin波の上死点時刻)/(振動周期の1/4)・・・(4)
ここで、非sin波は、振動の上昇時間が長く、加工時間が短いノコギリ波状にsin波を歪ませた波形である。

0046

前記鋳型の振動条件は鋳型と鋳造鋳片間の相対速度に影響するものであるが、実際の摩擦力は該相対速度だけでなく潤滑層厚みにも影響され、該潤滑層厚みは振幅が小さいと薄くなって、摩擦力を増加する方向に作用する。したがって、実際の摩擦力は、鋳型と鋳造鋳片間の相対速度と潤滑層の厚みのバランスで決定される。

0047

なお、前記摩擦力判定工程において判定の基準となる摩擦力の最適範囲は、連続鋳造の操業条件である溶鋼温度、鋳型振動条件、モールドフラックスの種類及びフラックス消費量を変更して鋳造鋳片を製造し、該鋳造鋳片における横割れ発生率及びノロカミブロー欠陥発生率と式(1)より推定された摩擦力との関係から求めることができる。

0048

ここで、横割れ発生率とは、黒皮状態の前記鋳造鋳片を目視で確認し、鋳造鋳片の単位面積当たりの割れ個数により評価したものである。
一方、ノロカミ・ブロー欠陥発生率とは、前記鋳造鋳片の表面を1mmスカーフして目視で確認し、凝固シェルにスラグが捕捉(ノロカミ)あるいは気泡が捕捉(ブロー)されて生じた欠陥の単位面積当たりの個数により評価したものである。

0049

図3に、推定摩擦力と横割れ発生率及びノロカミ・ブロー欠陥率との関係を示す。
図3において、推定摩擦力は式(1)においてフィッティングパラメータをA=520、B=20とし、操業条件である鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr[m/min]、溶鋼温度T[℃]、モールドフラックス凝固温度Ts[℃]及びフラックス消費量Q[kg/m2]を式(1)に代入して算出した。

0050

推定摩擦力が30kN/m2以上45kN/m2以下の範囲内にある場合、横割れ発生率とノロカミ・ブロー欠陥発生率ともにほぼ0個/m2であり、製造された鋳造鋳片に欠陥はほとんど生じていなかった。

0051

推定摩擦力が30kN/m2よりも小さい場合、製造された鋳造鋳片は横割れ、ヘゲ共に悪く、推定摩擦力の減少に伴って横割れ発生率及びノロカミ・ブロー欠陥発生率が増加した。これは、潤滑層厚み過多によるオシレーションマーク深さや爪深さが増大したことが原因であると考えられる。

0052

推定摩擦力が45kN/m2よりも大きい場合、ノロカミ・ブロー欠陥発生率はほぼ0個/m2であったのに対し、推定摩擦力の増加に伴って横割れ発生率は増加した。これは、鋳型内において鋳造鋳片に過大な引張応力がかかったためであると考えられる。

0053

上より、高品質な鋳造鋳片を製造するためには、式(1)より推定された摩擦力の最適範囲は30kN/m2以上45kN/m2以下であることが分かり、前記推定された摩擦力が前記最適範囲内となるように連続鋳造すれば良いことが分かった。

0054

さらに、図3の結果は、鋼の連続鋳造時において、連続鋳造の操業条件である鋳型と鋳造鋳片間の平均相対速度Vr[m/min]、溶鋼温度T[℃]、モールドフラックス凝固温度Ts[℃]、フラックス消費量Q[kg/min]を用いて式(1)により推定される鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力Fが30kN/m2以上45kN/m2以下であれば、当該範囲の摩擦力が式(1)により推定される操業条件においては、横割れやノロカミ・ブロー欠陥等を発生せずに高品質な鋳造鋳片を製造できることを示唆するものである。

0055

本発明に係る鋼の連続鋳造時における鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力推定方法を用いた鋼の連続鋳造方法の効果を実証すべく実験を行った。以下、これについて説明する。
本実施例では、図1に示すような連続鋳造設備1において、表3に示す操業条件にて連続鋳造を行った。
なお、本実施例で使用した3種類のモールドフラックス(M1、M2、M3)の物性値は、前掲した表2に示すとおりである。

0056

0057

摩擦力推定工程において摩擦力の推定に用いる式(1)のフィッティングパラメータA及びBの値は、式(3)により算出した実測摩擦力との相関から決定し、本実施例ではそれぞれA=520、B=20であった。

0058

摩擦力判定工程において、前記摩擦力推定工程で推定された摩擦力の最適範囲は、実施の形態2と同様、30kN/m2以上45kN/m2以下とした(図3参照)。
そして、該摩擦力判定工程において前記推定された摩擦力が前記最適範囲外であると判定された場合、操業条件変更工程において、式(1)により推定される摩擦力が前記最適範囲内となるように操業条件を変更した。

0059

前掲した表3に、式(1)により推定された摩擦力(推定摩擦力)と、各操業条件にて製造された鋳造鋳片における横割れ発生率及びノロカミ・ブロー欠陥発生率の結果を示す。
横割れ発生率及びノロカミ・ブロー欠陥発生率は、前述した実施の形態2と同様の方法により求めた。

0060

発明例1において、操業条件を変更する前における推定摩擦力が51kN/m2で前記最適範囲外であった。そして、ノロカミ・ブロー欠陥発生率は低い値(0.02個/m2)であるものの、横割れ発生率が10個/m2と高い値であった。

0061

そこで、前記推定摩擦力が減少するように、モールドフラックスの種類を凝固温度がTc=1190℃であるM1から凝固温度が低いTc=1120℃であるM2に変更するとともに、フラックス消費量Qを0.36kg/m2から0.39kg/m2へと増加した。
上記変更した操業条件を式(1)に代入して算出される推定摩擦力は最適範囲内である44kN/m2となった。そこで、前記変更した操業条件で実際に鋳造鋳片を製造したところ、該鋳造鋳片の横割れ発生率は0個/m2となった。

0062

発明例2において、操業条件を変更する前における推定摩擦力が24kN/m2で前記最適範囲外であった。そして、横割れ発生率は5個/m2、ノロカミ・ブロー欠陥発生率は0.4個/m2であり、どちらも高い値であった。

0063

そこで、推定摩擦力が増大するように、フラックス消費量Qを0.51kg/m2から0.22kg/m2へと減少し、鋳型振動の振幅を6mmから4mmへと変更した。
上記変更した操業条件を式(1)に代入して算出される推定摩擦力は最適範囲内である30kN/m2となった。そこで、前記変更した操業条件で実際に鋳造鋳片を製造したところ、該鋳造鋳片の横割れ発生率及びノロカミ・ブロー欠陥発生率ともにほぼ0個/m2となった。

実施例

0064

以上より、鋳型振動条件、モールドフラックスの物性値である凝固温度、フラックス消費量といった連続鋳造の操業条件から鋼の鋳型と鋳造鋳片間の摩擦力を推定し、該推定された摩擦力が最適範囲内となるように操業条件を変更することで、横割れ等の欠陥のない高品質な鋳造鋳片を安定して製造できることが実証された。

0065

1連続鋳造設備
3鋳型
5鋳造鋳片
7ピボット
9レバー
11油圧シリンダー
13オシレーション装置
15変位計
17油圧計
17a 入側油圧計
17b 出側油圧計

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