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技術 余熱乾燥式食器洗い乾燥機およびその製造方法

出願人 住友大阪セメント株式会社
発明者 茂啓二郎
出願日 2015年3月13日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2015-051306
公開日 2016年9月23日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2016-168273
状態 特許登録済
技術分野 食器の洗浄、乾燥 流動性材料の適用方法、塗布方法
主要キーワード ピロリン酸ナトリウム水溶液 光輝焼鈍処理 珪酸成分 ナノジルコニア 余熱乾燥 専用洗剤 アルカリ環境下 内壁面材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年9月23日)のものです。
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課題

内壁面に設けられた薄膜における干渉色の発生を防止し、その薄膜の表面に水滴が残存することを防止した余熱乾燥食器洗い乾燥機およびその製造方法を提供する。

解決手段

本発明の余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁を有し、該内壁の表面に、酸化ジルコニウム縮合リン酸を含む薄膜が設けられている。

概要

背景

余熱乾燥食器洗い乾燥機とは、食器洗浄した後、食器洗い乾燥機内の食器、付属品および内壁に残った水分を、洗浄中の余熱蒸発させ、その蒸気を、ステンレス鋼からなる内壁の表面(以下、「内壁面」と言う。)にて結露させ、その結露水流下させて排水する方式の食器洗い乾燥機である。すなわち、余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、ヒーターで乾燥する方式の食器洗い乾燥機や、ファンや扉を開けて、残った熱で乾燥を促進する方式の食器洗い乾燥機とは異なる。日本製品の食器洗い乾燥機のなかでは、余熱乾燥式食器洗い乾燥機は少数であるが、欧米製品の食器洗い乾燥機のなかでは、省エネルギーの観点から、余熱乾燥式食器洗い乾燥機が広く普及している。

余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁面は、材質面で高温アルカリ性洗剤への耐久性汚れが付着し難い平滑性熱伝導が少なくとも要求される。このような観点から、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁を構成する素材としては、例えば、光輝焼鈍ステンレス鋼が挙げられる。
しかしながら、光輝焼鈍ステンレス鋼の欠点としては、その表面が疎水性であるため、洗浄後の表面が水滴となり、乾燥に時間がかかることが挙げられる。乾燥時間が長くなることは、省エネルギーの観点から好ましくない。

食器洗い乾燥機の内壁面材に、親水性被膜が設けられたステンレス鋼板を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、親水性被膜が高温のアルカリ性洗剤に長時間接触した場合の耐久性が不足している点と、親水性被膜を光輝焼鈍処理ステンレス鋼に設けた場合、虹色干渉色が発生する点とが問題として挙げられる。耐アルカリ性の問題は、親水性被膜が珪酸成分を多く含有していることに起因する。珪酸成分は高温のアルカリ性溶液に対して溶解する性質を示すため、親水性被膜も長期間の使用に耐えることができない。また、干渉色が発生する問題は、実用上は問題がないかもしれないが、審美的には好ましくない。干渉色を発生させないために、ステンレス鋼板の表面を光輝焼鈍処理面とするのではなく、粗面とすると、汚れが付着し易いという欠点があった。また、膜厚を大きくすると被膜に亀裂が入り易くなり、膜厚を薄くすると被膜の機能が充分に発揮されないという欠点があった。

耐アルカリ性の親水性被膜の組成としては、例えば、珪酸成分を少なくし、珪酸成分の代わりにリン酸成分を導入した組成が開示されている(例えば、特許文献2〜5参照)。しかしながら、この組成においても、食器洗い乾燥機の高温アルカリ環境下での耐久性が充分ではなく、光輝焼鈍ステンレス鋼においてが発生する問題も解決するには至っていなかった。

概要

内壁面に設けられた薄膜における干渉色の発生を防止し、その薄膜の表面に水滴が残存することを防止した余熱乾燥式食器洗い乾燥機およびその製造方法を提供する。本発明の余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁を有し、該内壁の表面に、酸化ジルコニウム縮合リン酸を含む薄膜が設けられている。なし

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内壁面に設けられた薄膜における干渉色の発生を防止し、その薄膜の表面に水滴が残存することを防止した余熱乾燥式食器洗い乾燥機およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁を有し、該内壁の表面に、酸化ジルコニウム縮合リン酸を含む薄膜が設けられたことを特徴とする余熱乾燥食器洗い乾燥機

請求項2

前記薄膜は、干渉色が発生しないことを特徴とする請求項1に記載の余熱乾燥式食器洗い乾燥機。

請求項3

前記薄膜の表面は、食器洗い機専用洗剤洗浄し、該洗剤すすいだ後の水の接触角が20度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の余熱乾燥式食器洗い乾燥機。

請求項4

前記薄膜は、酸化物換算にて80質量%以上の酸化ジルコニウムを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の余熱乾燥式食器洗い乾燥機。

請求項5

加温された光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、ジルコニウム化合物を含有する第1の塗布液を塗布し、続いて、縮合リン酸を含有する第2の塗布液を塗布して、前記第1の塗布液と前記第2の塗布液からなる塗膜を形成する工程と、前記塗膜を熱処理して、前記光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、前記酸化ジルコニウムと前記縮合リン酸を含む薄膜を形成する工程と、を有することを特徴とする余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法。

請求項6

前記第2の塗布液は、珪酸アルカリを含有することを特徴とする請求項5に記載の余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、余熱乾燥食器洗い乾燥機およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

余熱乾燥式食器洗い乾燥機とは、食器洗浄した後、食器洗い乾燥機内の食器、付属品および内壁に残った水分を、洗浄中の余熱蒸発させ、その蒸気を、ステンレス鋼からなる内壁の表面(以下、「内壁面」と言う。)にて結露させ、その結露水流下させて排水する方式の食器洗い乾燥機である。すなわち、余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、ヒーターで乾燥する方式の食器洗い乾燥機や、ファンや扉を開けて、残った熱で乾燥を促進する方式の食器洗い乾燥機とは異なる。日本製品の食器洗い乾燥機のなかでは、余熱乾燥式食器洗い乾燥機は少数であるが、欧米製品の食器洗い乾燥機のなかでは、省エネルギーの観点から、余熱乾燥式食器洗い乾燥機が広く普及している。

0003

余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁面は、材質面で高温アルカリ性洗剤への耐久性汚れが付着し難い平滑性熱伝導が少なくとも要求される。このような観点から、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁を構成する素材としては、例えば、光輝焼鈍ステンレス鋼が挙げられる。
しかしながら、光輝焼鈍ステンレス鋼の欠点としては、その表面が疎水性であるため、洗浄後の表面が水滴となり、乾燥に時間がかかることが挙げられる。乾燥時間が長くなることは、省エネルギーの観点から好ましくない。

0004

食器洗い乾燥機の内壁面材に、親水性被膜が設けられたステンレス鋼板を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、親水性被膜が高温のアルカリ性洗剤に長時間接触した場合の耐久性が不足している点と、親水性被膜を光輝焼鈍処理ステンレス鋼に設けた場合、虹色干渉色が発生する点とが問題として挙げられる。耐アルカリ性の問題は、親水性被膜が珪酸成分を多く含有していることに起因する。珪酸成分は高温のアルカリ性溶液に対して溶解する性質を示すため、親水性被膜も長期間の使用に耐えることができない。また、干渉色が発生する問題は、実用上は問題がないかもしれないが、審美的には好ましくない。干渉色を発生させないために、ステンレス鋼板の表面を光輝焼鈍処理面とするのではなく、粗面とすると、汚れが付着し易いという欠点があった。また、膜厚を大きくすると被膜に亀裂が入り易くなり、膜厚を薄くすると被膜の機能が充分に発揮されないという欠点があった。

0005

耐アルカリ性の親水性被膜の組成としては、例えば、珪酸成分を少なくし、珪酸成分の代わりにリン酸成分を導入した組成が開示されている(例えば、特許文献2〜5参照)。しかしながら、この組成においても、食器洗い乾燥機の高温アルカリ環境下での耐久性が充分ではなく、光輝焼鈍ステンレス鋼においてが発生する問題も解決するには至っていなかった。

先行技術

0006

特開2003−299606号公報
特開2008−297422号公報
特開2009−178631号公報
特開2009−268991号公報
特開2011−500号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内壁面に設けられた薄膜における干渉色の発生を防止し、その薄膜の表面に水滴が残存することを防止した余熱乾燥式食器洗い乾燥機およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、酸化ジルコニウム縮合リン酸を含む薄膜を、干渉色が発生しないように設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0009

本発明は、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁を有し、該内壁の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜が設けられた余熱乾燥式食器洗い乾燥機を提供する。

0010

本発明は、加温された光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、ジルコニウム化合物を含有する第1の塗布液を塗布し、続いて、縮合リン酸を含有する第2の塗布液を塗布して、前記第1の塗布液と前記第2の塗布液からなる塗膜を形成する工程と、前記塗膜を熱処理して、前記光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、前記酸化ジルコニウムと前記縮合リン酸を含む薄膜を形成する工程と、を有する余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法を提供する。

発明の効果

0011

本発明の余熱乾燥式食器洗い乾燥機によれば、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜が設けられているため、薄膜の表面に干渉色が発生しない上に、薄膜の表面における水の接触角が20度以下で、薄膜の表面に水滴が残存することを防止できる。

0012

本発明の余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法によれば、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜を形成するため、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、干渉色が発生しない上に、水の接触角が20度以下の薄膜を形成することができる。

0013

本発明の余熱乾燥式食器洗い乾燥機およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。

0014

[余熱乾燥式食器洗い乾燥機]
本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁を有し、その内壁の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜が設けられてなる。

0015

本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機において、上記の薄膜を設ける領域は、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁の全面であることが好ましい。

0016

薄膜の厚さは、0.1μm以上かつ1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上かつ0.5μm以下であることがより好ましい。
薄膜の厚さを0.1μm以上とすると、薄膜に充分な親水性が得られる。一方、薄膜の厚さを1μm以下とすると、薄膜が白化することがない。

0017

通常、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼の上に設けられた薄膜は干渉色を発生するが、本実施形態における薄膜は干渉色を発生しない。

0018

また、本実施形態における薄膜の表面は、食器洗い機専用洗剤で洗浄し、この洗剤すすいだ後の接触角が20度以下であることが好ましく、10度以下であることがより好ましい。
上記の接触角を20度以下とすると、薄膜の表面に部分的に水滴が生じることを防止できる。
なお、食器洗い機専用洗剤は、泡立ちのない強アルカリ性の洗剤であり、例えば、アース製薬社製のフィニッシュ登録商標)が挙げられる。本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機において、リンス剤の使用は特に制限されない。

0019

本実施形態において、薄膜の表面における接触角の測定方法としては、共和界面化学社製の接触角計を用いて、水の静的接触角を測定する方法が挙げられる。

0020

本実施形態における薄膜は、酸化物換算にて80質量%以上の酸化ジルコニウムを含有することが好ましく、90質量%以上の酸化ジルコニウムを含有することがより好ましい。
薄膜における酸化ジルコニウムの含有率を80質量%以上とすると、薄膜において、優れた耐アルカリ性を長期間にわたって保持することができる。しかしながら、薄膜における酸化ジルコニウムの含有率が80質量%未満では、薄膜の耐アルカリ性が不充分となり、薄膜が長期間の使用に耐えることができなくなる。
なお、薄膜における酸化ジルコニウム以外の成分は、縮合リン酸塩、および、その他の無機物である。

0021

[余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法]
本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法は、加温された光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、ジルコニウム化合物を含有する第1の塗布液を塗布し、続いて、縮合リン酸を含有する第2の塗布液を塗布して、第1の塗布液と第2の塗布液からなる塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)と、塗膜を熱処理して、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜を形成する工程(薄膜形成工程)と、を有する。加温しない場合には、長時間をかけて小量ずつ塗布すると干渉色は発生しないが、これは製造効率上好ましくない。

0022

塗膜形成工程は、加温された光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、ジルコニウム化合物を含有する第1の塗布液を塗布する第1の塗布工程と、縮合リン酸を含有する第2の塗布液を塗布第2の塗布工程とからなる。

0023

第1の塗布工程は、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムのアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムのアルコキシドのキレート化合物およびジルコニウムの各種塩類からなる群から選択される少なくとも1種のジルコニウム化合物を、酸化物換算したときの酸化ジルコニウムの合計の含有率が、質量比で、後述する第2の塗布工程による希釈を考慮して、好ましくは90%以上になるように調整した第1の塗布液を、予め加温された光輝焼鈍ステンレス鋼の表面の少なくとも一部に塗布して、第1の塗布液からなる塗膜を形成する工程である。
第1の塗布液は、上記のジルコニウム化合物と、このジルコニウム化合物を溶解する溶媒と、を含む。
溶媒としては、アルコール類エーテル類ケトン類等の有機溶剤が用いられる。また、第1の塗布液には、ジルコニウム化合物を溶解可能な範囲で水を添加することもできる。

0024

第1の塗布液において、ジルコニウムのアルコキシドとしては、特に限定されないが、例えば、ノルマルブトキシドプロポキシド等が挙げられる。
また、第1の塗布液には、上記のアルコキシド以外にも、ジルコニウム酸化物ゾル分散液および水溶性塩を含んでいてもよい。

0025

第1の塗布液の塗布方法としては、スプレー法が好適に用いられる。スプレー法によれば、予め加温された光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に第1の塗布液を塗布すると、その表面で溶媒が蒸発するため、その表面から、溶媒とともに付着物(ジルコニウム化合物)が流動しない。その結果として、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に形成された薄膜に干渉色が発生しない。なぜならば、薄膜における干渉色は、溶媒とともに付着物(ジルコニウム化合物)が流動することに起因すると考えられるからである。

0026

塗膜形成工程において、光輝焼鈍ステンレス鋼を加温する温度は25℃以上かつ100℃であることが好ましい。
光輝焼鈍ステンレス鋼を加温する温度を25℃以上とすると、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に第1の塗布液を塗布したときに、溶媒が流動することなく、蒸発する。一方、光輝焼鈍ステンレス鋼を加温する温度を100℃以下とすると、ジルコニウム化合物の粒子紛体となり、第1の塗布液および第2の塗布液からなる塗膜の表面が平滑となる。

0027

第1の塗布工程において、第1の塗布液からなる塗膜の厚さを、第1の塗布液および第2の塗布液からなる塗膜の熱処理後によって形成される薄膜の厚さが0.1μm以上かつ1μm以下となるように、第2の塗布液の塗布量も考慮して、調整することが好ましい。

0028

第2の塗布工程は、上記の第1の塗布液からなるに、縮合リン酸を含有する第2の塗布液を塗布して、第1の塗布液および第2の塗布液からなる塗膜を形成する工程である。

0029

無機リン酸塩は、オルトリン酸(一般的にリン酸)、縮合リン酸、低級リン酸に大別される。縮合リン酸塩とは、オルトリン酸(H3PO4)を加熱することにより脱水反応が起こり、無機高分子となったものの総称である。縮合リン酸は、酸化ジルコニウムの表面に架橋しながら吸着し、下記式(1)に示すように、酸化ジルコニウムの表面の親水基を増大し、親水性を強くすることができる。酸化ジルコニウムの表面に縮合リン酸が吸着してなる吸着生成物は、強アルカリに対して極めて安定である。オルトリン酸は、単分子のため、架橋しないから、酸化ジルコニウムの表面に吸着いても親水性を増大することがない。
縮合リン酸は、主としてナトリウム塩として入手することができる。縮合リン酸のナトリウム塩としては、例えば、ピロリン酸ナトリウムポリリン酸ナトリウムメタリン酸ナトリウム、2リン酸2水素ナトリウム等が挙げられる。これらの縮合リン酸のナトリウム塩のうち水溶性のものは、水溶液として塗布可能である。

0030

0031

縮合リン酸は、酸化ジルコニウムの表面に吸着するものであって、直接、薄膜を形成するものではない。酸化ジルコニウムの表面に吸着しなかった縮合リン酸は、粉末状となって、酸化ジルコニウムの表面に析出するものの、水洗により取り除くことができる。

0032

縮合リン酸を含有する第2の塗布液に珪酸アルカリ混入しておくと、酸化ジルコニウムの表面において、過剰の縮合リン酸が粉末とならずに、珪酸アルカリに吸収されて被膜状となる。珪酸アルカリに吸収された縮合リン酸からなる被膜は、外観上、粉末と異なり見苦しくなく、水洗して取り除く必要がない。
珪酸アルカリとしては、特に限定されないが、例えば、珪酸リチウム珪酸ナトリウム珪酸カリウム等が挙げられる。
珪酸アルカリに吸収された縮合リン酸からなる被膜は、食器洗い乾燥機を使用した時、食器洗い機専用洗剤に溶解するため、自動的に除去される。しかし、酸化ジルコニウムの表面に吸着した縮合リン酸は残存するため、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に形成された薄膜の性能が劣化することはない。

0033

第2の塗布液における縮合リン酸の含有率は、0.5質量%以上かつ5質量%以下であることが好ましい。
第2の塗布液における縮合リン酸の含有率を0.5質量%以上とすると、酸化ジルコニウムの表面に対して縮合リン酸を充分に吸着することができるため、酸化ジルコニウムに充分に親水性を付与することができる。一方、第2の塗布液における縮合リン酸の含有率を5質量%以下とすると、酸化ジルコニウムに吸着しない縮合リン酸の量を少なくすることができるため、経済的である。

0034

第2の塗布液に、珪酸アルカリを添加する場合、第2の塗布液における珪酸アルカリの含有率は、第2の塗布液における縮合リン酸の含有率の1%以上かつ20%以下とすることが好ましい。
第2の塗布液における珪酸アルカリの含有率を、第2の塗布液における縮合リン酸の含有率の1%以上かつ20%以下とすると、縮合リン酸が粉末状に析出することを防止できる。

0035

次いで、上述のようにして形成した第1の塗布液および第2の塗布液からなる塗膜を熱処理して、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜を形成する(薄膜形成工程)。

0036

薄膜形成工程において、上記の塗膜を熱処理する温度(以下、「熱処理温度」と言う。)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。
塗膜の熱処理温度を200℃以上とすると、得られる薄膜は充分な膜強度を有するものとなる。なお、熱処理温度が高過ぎると、基体である光輝焼鈍ステンレス鋼が変色するおそれがあるため、光輝焼鈍ステンレス鋼の材質に応じて、熱処理温度を調整する。熱処理時の雰囲気は、特に限定されず、通常、大気雰囲気とする。
また、得られた薄膜を水洗して、薄膜に含まれる過剰の縮合リン酸を除去することが好ましい。

0037

このようにして薄膜が形成されたステンレス鋼は、所定の工程を経て、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁に設置され、本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機が得られる。
上述のようにして形成された酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜の表面では、食器洗い機専用洗剤で洗浄し、この洗剤をすすいだ後の接触角が20度以下となる。これは、縮合リン酸により、酸化ジルコニウムに導入された水酸基(−OH)に、洗剤中の界面活性剤が一時的に吸着し、親水性が高まるためであると考えられる。また、薄膜の接触角が20度以下であれば、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の余熱乾燥工程中に、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に設けられた薄膜に水滴が形成することなく、水膜となるため、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁面を効率よく乾燥することができる。

0038

本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機によれば、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜が設けられているため、薄膜の表面に干渉色が発生しない上に、薄膜の表面における水の接触角が20度以下で、薄膜の表面に水滴が残存することを防止できる。すなわち、本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、食器洗浄後、薄膜の表面に水滴を形成しないため、乾燥が早く省エネルギー効果も優れている。また、本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機において、前記の薄膜における酸化ジルコニウムの含有量を、酸化物換算にて80質量%以上とすれば、前記の薄膜は、高温アルカリ環境下での耐久性に優れている。

0039

本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機の製造方法によれば、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜を形成するため、光輝焼鈍ステンレス鋼の表面に、干渉色が発生しない上に、水の接触角が20度以下の薄膜を形成することができる。

0040

以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。

0041

「実験例1」
予め60℃に加温した余熱乾燥式食器洗い乾燥機用ステンレス鋼板(光輝焼鈍処理SUS430、40cm×60cm、新日鉄住金社製)の表面に、スプレー法により、1分間で、ナノジルコニアジルコニアゾル粒子径3nm、2%水分散液、住友大阪セメント社製)10gを塗布し、ナノジルコニアジルコニアゾルからなる塗膜を形成した。
次いで、上記の塗膜に、スプレー法により、1分間で、ピロリン酸ナトリウムを5質量%含むピロリン酸ナトリウム水溶液10gを塗布し、上記のステンレス鋼板の表面に、ナノジルコニアジルコニアゾルおよびピロリン酸ナトリウム水溶液からなる塗膜を形成した。
次いで、ナノジルコニアジルコニアゾルおよびピロリン酸ナトリウム水溶液からなる塗膜を、300℃にて1時間焼成し、酸化ジルコニウムとピロリン酸ナトリウムを含む薄膜を形成した。
その後、得られた薄膜を水洗して、薄膜に含まれる過剰のピロリン酸ナトリウムを除去した。

0042

得られた薄膜の表面を目視により観察したところ、薄膜の表面に干渉色が発生していなかった。
また、蛍光X線分析法により、薄膜の厚さを測定した結果、0.2μmであった。
また、蛍光X線分析法により、薄膜の組成を分析した結果、酸化ジルコニウムを98質量%、リンをP2O5換算で2質量%含有していることが確認された。
また、薄膜が形成されたステンレス鋼板を、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁面に設置し、食器洗い機専用洗剤(商品名:フィニッシュ、アース製薬社製)を用いて洗浄、すすぎ、乾燥を行った。その後、共和界面化学社製の接触角計により、薄膜の表面における水の接触角を測定したところ、10度であり、薄膜の表面に水滴が残存していなかった。

0043

「実験例2」
ジルコニウムのアルコキシドであるジルコニウムテトラブトキシドと、テトラメトキシシランとの混合物6重量部、アセト酢酸エチル3重量部、2−プロパノール91重量部を室温(25℃)下にて30分間混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物、あるいは、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物およびテトラメトキシシランとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成し、これらのキレート化合物を含む塗布液を調製した。ジルコニウムテトラブトキシドとテトラメトキシシランの比率を、質量比で、ZrO2:SiO2に換算して、10:0、9:1、8:2となるように調整した。
次いで、予め60℃に加温した余熱乾燥式食器洗い乾燥機用ステンレス鋼板(光輝焼鈍処理SUS430、40cm×60cm、新日鉄住金社製)の表面に、スプレー法により、1分間で、上記の塗布液10gを塗布し、上記の塗布液からなる塗膜を形成した。
次いで、上記の塗膜に、スプレー法により、1分間で、2リン酸2水素2ナトリウムを1質量%と珪酸リチウムを0.02質量%含む混合水溶液10gを塗布し、上記のステンレス鋼板の表面に、上記の塗布液および2リン酸2水素2ナトリウム水溶液からなる塗膜を形成した。
次いで、上記の塗布液および2リン酸2水素2ナトリウム水溶液からなる塗膜を、250℃にて30分間焼成し、酸化ジルコニウムと2リン酸2水素2ナトリウムを含む薄膜を形成した。
その後、得られた薄膜には、過剰の2リン酸2水素2ナトリウムが析出しておらず、洗浄の必要がなかった。

0044

得られた薄膜の表面を目視により観察したところ、薄膜の表面に干渉色が発生していなかった。
また、蛍光X線分析法により、薄膜の厚さを測定した結果、0.2μmであった。
また、蛍光X線分析法により、薄膜の組成を分析した結果、酸化ジルコニウムを98質量%、88質量%、78質量%、リンをP2O5換算で2質量%含有していることが確認された。
また、薄膜が形成されたステンレス鋼板を、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁面に設置し、食器洗い機専用洗剤(商品名:フィニッシュ、アース製薬社製)を用いて洗浄、すすぎ、乾燥を行った。その後、共和界面化学社製の接触角計により、薄膜の表面における水の接触角を測定したところ、5度であり、薄膜の表面に水滴が残存していなかった。
また、薄膜が形成されたステンレス鋼板を、食器洗い機専用洗剤(商品名:フィニッシュ、アース製薬社製)を5質量%含む、90℃の水溶液に100日間浸漬した後、表面を観察したところ、酸化ジルコニウムを78質量%含有する薄膜のみ、わずかに塗膜の剥離が認められた。この結果から、酸化ジルコニウムの含有率は、80質量%以上が好適と考えられる。

0045

「実験例3」
実験例2において、予め余熱乾燥式食器洗い乾燥機用ステンレス鋼板を加熱せず、20℃にて、上記の塗布液および2リン酸2水素2ナトリウム水溶液を塗布したこと以外は実験例2と同様にして、ステンレス鋼板の表面に酸化ジルコニウムと2リン酸2水素2ナトリウムを含む薄膜を形成した。
得られた薄膜の表面を目視により観察したところ、薄膜の表面に干渉色が発生していた。

実施例

0046

「実験例4」
実験例2において、2リン酸2水素2ナトリウムを1質量%と珪酸リチウムを0.02質量%含む混合水溶液10gを塗布しなかったこと以外は実験例2と同様にして、ステンレス鋼板の表面に酸化ジルコニウムを含む薄膜を形成した。
得られた薄膜が形成されたステンレス鋼板を、余熱乾燥式食器洗い乾燥機の内壁面に設置し、食器洗い機専用洗剤(商品名:フィニッシュ、アース製薬社製)を用いて洗浄、すすぎ、乾燥を行った。その後、共和界面化学社製の接触角計により、薄膜の表面における水の接触角を測定したところ、25度であり、薄膜の表面に水滴が付着していることが確認された。

0047

本発明の余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、光輝焼鈍処理されたステンレス鋼からなる内壁の表面に、酸化ジルコニウムと縮合リン酸を含む薄膜が設けられているため、薄膜の表面に干渉色が発生しない上に、薄膜の表面における水の接触角が20度以下で、薄膜の表面に水滴が残存することを防止できる。すなわち、本実施形態の余熱乾燥式食器洗い乾燥機は、食器洗浄後、薄膜の表面に水滴を形成しないため、乾燥が早く省エネルギー効果も優れており、その工業的価値は極めて大きい。

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