図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2016年9月15日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

ヒドロシリル化反応水素化反応、およびカルボニル化合物還元反応の三反応の少なくとも1つの反応に優れた触媒活性を発揮し得る、鉄−ケイ素結合を有する単核二価錯体を提供すること。

解決手段

式(1)で表される単核鉄二価錯体。(式中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、Xで置換されていてもよいアルキル基等を表し、Xは、ハロゲン原子等を表し、L1は、イソニトリルアミンイミン含窒素ヘテロ環ホスフィンホスファイトおよびスルフィドから選ばれる少なくとも1種の二電子配位子を表し、L1が複数存在する場合、2個のL1が互いに結合していてもよく、L2は、CO配位子および前記L1以外の二電子配位子を表し、L2が複数存在する場合、2個のL2が互いに結合していてもよく、m1は1〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表すが、m1+m2は3または4を満たす。)

概要

背景

炭素炭素二重結合や同三重結合を有する化合物に対してSi−H官能性化合物付加反応するヒドロシリル化反応は、有機ケイ素化合物を合成する有用な手段であり、工業的にも重要な合成反応である。
このヒドロシリル化反応の触媒としては、Pt、Pd、Rh化合物が知られており、その中でも最も多く用いられているものはSpeier触媒、Karstedt触媒に代表されるPt化合物である。

Pt化合物を触媒とする反応の問題点としては、末端オレフィンにSi−H官能性化合物を付加する際、オレフィンが内部転位する副反応が生じることが挙げられる。この系では内部オレフィンに対しては付加反応性を示さず、未反応オレフィン付加生成物中に残留してしまうことから、反応を完結させるためには、副反応で残留する分を見込んであらかじめ過剰のオレフィンを用いる必要がある。
また、オレフィンの種類により、α付加体とβ付加体の選択性が劣るという問題もある。

最も大きな問題点は、中心金属であるPt、Pd、Rhはいずれも極めて高価な貴金属元素であるということであり、より安価に使用できる金属化合物触媒が望まれていることから、数多くの研究が進められている。
例えば、鉄−カルボニル錯体(Fe(CO)5、Fe3(CO)12)による反応が知られているが(非特許文献1)、この反応では160℃といった高温下での反応条件、または光照射(非特許文献2)が必要である。
シクロペンタジエニル基配位子として有する鉄−カルボニル錯体を使用した、メチルビニルジシロキサンメチルハイドロジェンジシロキサンの反応例も報告されているが(非特許文献3)、この反応では脱水素シリル化反応優先して進行する。
ピリジン系配位子を有する鉄触媒の反応では(非特許文献4)、反応助剤として大過剰の還元剤(NaBHEt3)が必要であるのみならず、PhSiH3、Ph2SiH2はオレフィンに対して付加するものの、より有用性の高いトリアルキルシラン類アルコキシシラン類シロキサン類はオレフィンに対する付加反応性が乏しい。

ビスイミノピリジン配位子を有するFe錯体も報告されており(非特許文献5,6)、アルコキシシラン類、シロキサン類に対しても温和な条件下で優れた反応性を示すことが開示されている。しかし、この錯体を用いた反応では、内部オレフィンに対する反応性が低いこと、錯体合成時には、禁水性ナトリウムと毒性の高い水銀からなり、取り扱いに注意を要するNaアマルガムを使用すること(もしくは禁水性のNaBEt3Hを使用すること)、錯体化合物自体の安定性が低く、取り扱いにはグローブボックス等の特殊な設備が必要となるほか、保存は窒素雰囲気下で行わなければならない等といった問題点がある。

一方、オレフィンの水素化反応についても多くの報告がある。例えば、Fe(CO)5を触媒として使用した、熱反応による水素化(非特許文献7)や、光反応による水素化(非特許文献8)が報告されている。しかし、熱反応では高温(180℃)、高圧(28気圧)条件を必要とし、かつターンオーバー数も0.5と低く、十分な活性を有しているとは言えない。また、光反応は室温下でも進行するものの、ターンオーバー数は33と不十分である。
非特許文献9には、有機アルミニウム化合物を反応助剤とし、鉄触媒を用いた反応例が報告されているが、ターンオーバー数が17と触媒活性は低い。
非特許文献10には、グリニャール化合物塩化鉄触媒とを併用した反応例が報告されているが、この系では、室温下で反応するものの、高圧(20気圧)条件が必要であり、かつターンオーバー数も20と低い。
リン系化合物を配位子として有する鉄触媒も報告されており(非特許文献11)、この系では、室温下で比較的低圧(4気圧)の条件下で反応するものの、反応基質スチレンと一部のアルケン化合物に限られ、かつターンオーバー数も十分とは言えない。
また、上記非特許文献5には、ビスイミノピリジン配位子を有するFe触媒の例も報告されており、室温下、比較的低圧(4気圧)条件下でターンオーバー数が1814と良好な反応性を有しているが、この反応では上記ビスイミノピリジン配位子を有するFe錯体と同様に合成時の安全性、化合物の安定性等の問題点がある。
また、非特許文献12には、高分子固定化した鉄触媒が開示されており、繰り返し再使用可能な利点があるが、水の溶媒としての利用が必須であり適用範囲が狭い。
非特許文献13には、有機無機複合体(MOF)に固定した鉄触媒が開示されており、繰り返し再使用可能な利点があるが、強い還元剤で触媒前駆体を活性化する必要がある。
これらの従来触媒は、通常困難とされている3〜4置換オレフィンの水素化反応に適用された例が報告されていない。
非特許文献14は、通常困難とされている4置換オレフィンの水素化反応に有効な単核鉄錯体が開示されているが、長時間(48時間)の反応時間を必要とし、かつターンオーバー数も20と低いものである。

カルボニル化合物還元する方法としては、アルミニウムホウ素の水素化合物貴金属触媒存在下で水素を用いる方法がある。カルボニル化合物のうち、ケトンアルデヒドについては、温和な条件で反応を進行させ得る、安定で取り扱いやすいヒドリド反応剤や水素化用貴金属触媒が知られているが、エステルアミドのようなカルボン酸誘導体の還元には、リチウムアルミニウムヒドリド、ボラン等の強力な還元剤を用いる方法が主に用いられている(非特許文献15)。しかし、これらの還元剤は発火性禁水性物質であるため取り扱いに難がある。また、反応後のアルミニウム、あるいはホウ素化合物目的物から除去する時にも取り扱いに注意が必要である。加えて、カルボン酸誘導体の還元には高温高圧の水素が必要である。
空気中で安定かつ取り扱いが容易なヒドロシラン化合物メチルハイドロジェンポリシロキサンを還元剤として使用する方法が数多く報告されているが、反応には強い酸またはルイス酸の添加や、高価な貴金属触媒を必要とする。最近、安価な鉄を触媒とするカルボニル化合物の還元反応が報告されており、そのうちの一部は、従来法では過酷な条件を必要とするアミドの還元反応に適用した例も出ている。具体的な鉄触媒の例として非特許文献16〜21が挙げられるが、より高いターンオーバー数を示す高活性触媒が望まれている。

また、ヒドロシリル化反応、水素化反応、またはカルボニル化合物の還元反応に触媒活性を示す金属錯体化合物として、単核ルテニウム錯体が報告されている(非特許文献22〜24)。これらのルテニウム錯体を用いた場合、上記反応が比較的温和な条件下で進行しうるが、前述のように、より安価な金属を用いた触媒が求められている。

概要

ヒドロシリル化反応、水素化反応、およびカルボニル化合物の還元反応の三反応の少なくとも1つの反応に優れた触媒活性を発揮し得る、鉄−ケイ素結合を有する単核鉄二価錯体を提供すること。 式(1)で表される単核鉄二価錯体。(式中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、Xで置換されていてもよいアルキル基等を表し、Xは、ハロゲン原子等を表し、L1は、イソニトリルアミンイミン含窒素ヘテロ環ホスフィンホスファイトおよびスルフィドから選ばれる少なくとも1種の二電子配位子を表し、L1が複数存在する場合、2個のL1が互いに結合していてもよく、L2は、CO配位子および前記L1以外の二電子配位子を表し、L2が複数存在する場合、2個のL2が互いに結合していてもよく、m1は1〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表すが、m1+m2は3または4を満たす。) なし

目的

最も大きな問題点は、中心金属であるPt、Pd、Rhはいずれも極めて高価な貴金属元素であるということであり、より安価に使用できる金属化合物触媒が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

式(1)で表されることを特徴とする単核二価錯体。(式中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、Xで置換されていてもよい、アルキル基アリール基アラルキル基オルガノオキシ基モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、モノオルガノホスフィノ基、ジオルガノホスフィノ基、モノオルガノシリル基、ジオルガノシリル基トリオルガノシリル基、またはオルガノチオ基を表すか、R1〜R3のいずれかとR4〜R6のいずれかの少なくとも1組が一緒になった架橋置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、オルガノオキシ基、モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、またはオルガノチオ基を表し、L1は、イソニトリルアミンイミン含窒素ヘテロ環ホスフィンホスファイトおよびスルフィドから選ばれる少なくとも1種の二電子配位子を表し、L1が複数存在する場合、2個のL1が互いに結合していてもよく、L2は、CO配位子および前記L1以外の二電子配位子を表し、L2が複数存在する場合、2個のL2が互いに結合していてもよく、m1は1〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表すが、m1+m2は3または4を満たす。)

請求項2

前記L1が、イソニトリルを表す(ただし、L1が複数存在する場合、2個のL1が互いに結合していてもよい)請求項1記載の単核鉄二価錯体。

請求項3

前記L2が、トリオルガノヒドロシランである(ただし、L2が複数存在する場合、2個のL2が互いに結合していてもよい)請求項1または2記載の単核鉄二価錯体。

請求項4

前記m1およびm2がいずれも2である請求項1〜3のいずれか1項記載の単核鉄二価錯体。

請求項5

前記R1〜R6が、互いに独立して、Xで置換されていてもよい、アルキル基、アリール基またはアラルキル基(Xは前記と同じ意味を表す。)であり、かつ、前記L2が、H−SiR7R8R9およびH−SiR10R11R12(式中、R7〜R12は、互いに独立して、Xで置換されていてもよい、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xは前記と同じ意味を表す。)で表されるトリオルガノヒドロシランであり、R1〜R3のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組もしくはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって、またはR10〜R12のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組もしくはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって架橋置換基を形成していてもよく、R1〜R3のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組またはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって架橋置換基を形成し、かつ、R10〜R12のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組およびR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって架橋置換基を形成していてもよい請求項4記載の単核鉄二価錯体。

請求項6

前記R1〜R3のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つとが一緒になって架橋置換基を形成している請求項1〜5のいずれか1項記載の単核鉄二価錯体。

請求項7

前記R1〜R3のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つまたはR7〜R9のいずれか1つとが一緒になって架橋置換基を形成し、かつ、R10〜R12のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つおよびR7〜R9のいずれか1つのうち前記架橋置換基の形成に関与してないSi上の置換基とが一緒になって架橋置換基を形成している請求項5記載の単核鉄二価錯体。

請求項8

前記R1〜R3のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つとが一緒になってYで置換されていてもよいo−フェニレン基を形成し(Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、Yが複数存在する場合それらは互いに同一でも異なっていてもよい)、かつ、R10〜R12のいずれか1つと、R7〜R9のいずれか1つとが一緒になってYで置換されていてもよいo−フェニレン基(Yは前記と同じ意味を表す。)を形成している請求項7記載の単核鉄二価錯体。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項記載の単核鉄二価錯体からなるヒドロシリル化反応水素化反応およびカルボニル化合物還元反応から選ばれる少なくとも1つの反応に活性を有する触媒

請求項10

請求項9記載の触媒の存在下、脂肪族不飽和結合を有する化合物と、Si−H結合を有するヒドロシランまたはオルガノヒドロポリシロキサンとをヒドロシリル化反応させることを特徴とする付加化合物の製造方法。

請求項11

請求項9記載の触媒の存在下、脂肪族不飽和結合を有する化合物を水素化させることを特徴とするアルカン化合物の製造方法。

請求項12

請求項9記載の触媒の存在下、アミド化合物をSi−H結合を有するシランまたはオルガノヒドロポリシロキサンで還元することを特徴とするアミン化合物の製造方法。

請求項13

請求項9記載の触媒の存在下、アルデヒド化合物ケトン化合物またはエステル化合物をSi−H結合を有するシランまたはオルガノヒドロポリシロキサンで還元することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、鉄−ケイ素結合を有する単核鉄錯体に関し、さらに詳述すると、工業的に有用なヒドロシリル化反応水素化反応、およびカルボニル化合物還元反応の少なくとも1つの反応に触媒活性を有する単核鉄錯体に関する。

背景技術

0002

炭素炭素二重結合や同三重結合を有する化合物に対してSi−H官能性化合物付加反応するヒドロシリル化反応は、有機ケイ素化合物を合成する有用な手段であり、工業的にも重要な合成反応である。
このヒドロシリル化反応の触媒としては、Pt、Pd、Rh化合物が知られており、その中でも最も多く用いられているものはSpeier触媒、Karstedt触媒に代表されるPt化合物である。

0003

Pt化合物を触媒とする反応の問題点としては、末端オレフィンにSi−H官能性化合物を付加する際、オレフィンが内部転位する副反応が生じることが挙げられる。この系では内部オレフィンに対しては付加反応性を示さず、未反応オレフィン付加生成物中に残留してしまうことから、反応を完結させるためには、副反応で残留する分を見込んであらかじめ過剰のオレフィンを用いる必要がある。
また、オレフィンの種類により、α付加体とβ付加体の選択性が劣るという問題もある。

0004

最も大きな問題点は、中心金属であるPt、Pd、Rhはいずれも極めて高価な貴金属元素であるということであり、より安価に使用できる金属化合物触媒が望まれていることから、数多くの研究が進められている。
例えば、鉄−カルボニル錯体(Fe(CO)5、Fe3(CO)12)による反応が知られているが(非特許文献1)、この反応では160℃といった高温下での反応条件、または光照射(非特許文献2)が必要である。
シクロペンタジエニル基配位子として有する鉄−カルボニル錯体を使用した、メチルビニルジシロキサンメチルハイドロジェンジシロキサンの反応例も報告されているが(非特許文献3)、この反応では脱水素シリル化反応優先して進行する。
ピリジン系配位子を有する鉄触媒の反応では(非特許文献4)、反応助剤として大過剰の還元剤(NaBHEt3)が必要であるのみならず、PhSiH3、Ph2SiH2はオレフィンに対して付加するものの、より有用性の高いトリアルキルシラン類アルコキシシラン類シロキサン類はオレフィンに対する付加反応性が乏しい。

0005

ビスイミノピリジン配位子を有するFe錯体も報告されており(非特許文献5,6)、アルコキシシラン類、シロキサン類に対しても温和な条件下で優れた反応性を示すことが開示されている。しかし、この錯体を用いた反応では、内部オレフィンに対する反応性が低いこと、錯体合成時には、禁水性ナトリウムと毒性の高い水銀からなり、取り扱いに注意を要するNaアマルガムを使用すること(もしくは禁水性のNaBEt3Hを使用すること)、錯体化合物自体の安定性が低く、取り扱いにはグローブボックス等の特殊な設備が必要となるほか、保存は窒素雰囲気下で行わなければならない等といった問題点がある。

0006

一方、オレフィンの水素化反応についても多くの報告がある。例えば、Fe(CO)5を触媒として使用した、熱反応による水素化(非特許文献7)や、光反応による水素化(非特許文献8)が報告されている。しかし、熱反応では高温(180℃)、高圧(28気圧)条件を必要とし、かつターンオーバー数も0.5と低く、十分な活性を有しているとは言えない。また、光反応は室温下でも進行するものの、ターンオーバー数は33と不十分である。
非特許文献9には、有機アルミニウム化合物を反応助剤とし、鉄触媒を用いた反応例が報告されているが、ターンオーバー数が17と触媒活性は低い。
非特許文献10には、グリニャール化合物塩化鉄触媒とを併用した反応例が報告されているが、この系では、室温下で反応するものの、高圧(20気圧)条件が必要であり、かつターンオーバー数も20と低い。
リン系化合物を配位子として有する鉄触媒も報告されており(非特許文献11)、この系では、室温下で比較的低圧(4気圧)の条件下で反応するものの、反応基質スチレンと一部のアルケン化合物に限られ、かつターンオーバー数も十分とは言えない。
また、上記非特許文献5には、ビスイミノピリジン配位子を有するFe触媒の例も報告されており、室温下、比較的低圧(4気圧)条件下でターンオーバー数が1814と良好な反応性を有しているが、この反応では上記ビスイミノピリジン配位子を有するFe錯体と同様に合成時の安全性、化合物の安定性等の問題点がある。
また、非特許文献12には、高分子固定化した鉄触媒が開示されており、繰り返し再使用可能な利点があるが、水の溶媒としての利用が必須であり適用範囲が狭い。
非特許文献13には、有機無機複合体(MOF)に固定した鉄触媒が開示されており、繰り返し再使用可能な利点があるが、強い還元剤で触媒前駆体を活性化する必要がある。
これらの従来触媒は、通常困難とされている3〜4置換オレフィンの水素化反応に適用された例が報告されていない。
非特許文献14は、通常困難とされている4置換オレフィンの水素化反応に有効な単核鉄錯体が開示されているが、長時間(48時間)の反応時間を必要とし、かつターンオーバー数も20と低いものである。

0007

カルボニル化合物を還元する方法としては、アルミニウムホウ素の水素化合物貴金属触媒存在下で水素を用いる方法がある。カルボニル化合物のうち、ケトンアルデヒドについては、温和な条件で反応を進行させ得る、安定で取り扱いやすいヒドリド反応剤や水素化用貴金属触媒が知られているが、エステルアミドのようなカルボン酸誘導体の還元には、リチウムアルミニウムヒドリド、ボラン等の強力な還元剤を用いる方法が主に用いられている(非特許文献15)。しかし、これらの還元剤は発火性禁水性物質であるため取り扱いに難がある。また、反応後のアルミニウム、あるいはホウ素化合物目的物から除去する時にも取り扱いに注意が必要である。加えて、カルボン酸誘導体の還元には高温高圧の水素が必要である。
空気中で安定かつ取り扱いが容易なヒドロシラン化合物メチルハイドロジェンポリシロキサンを還元剤として使用する方法が数多く報告されているが、反応には強い酸またはルイス酸の添加や、高価な貴金属触媒を必要とする。最近、安価な鉄を触媒とするカルボニル化合物の還元反応が報告されており、そのうちの一部は、従来法では過酷な条件を必要とするアミドの還元反応に適用した例も出ている。具体的な鉄触媒の例として非特許文献16〜21が挙げられるが、より高いターンオーバー数を示す高活性触媒が望まれている。

0008

また、ヒドロシリル化反応、水素化反応、またはカルボニル化合物の還元反応に触媒活性を示す金属錯体化合物として、単核ルテニウム錯体が報告されている(非特許文献22〜24)。これらのルテニウム錯体を用いた場合、上記反応が比較的温和な条件下で進行しうるが、前述のように、より安価な金属を用いた触媒が求められている。

先行技術

0009

A. N. Nesmeyanov, et al., Tetrahedron, 1962, 17, 61
M. S. Wrighton, et al., J. Organomet. Chem., 1977, 128, 345
H. Nakazawa, et al., J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 804
H. Nakazawa, et al., Organometallics, 2012, 31, 3825
P. J. Chirik, et al., J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 13794
P. J. Chirik, et al., Science, 2012,335, 567
Frankel, et al., J. Org. Chem., 1964,29, 3292
M. S. Wrighton, et al., J. Am. Chem. Soc., 1976, 98, 551
R. E. Harmon, et al., J. Chem, Rev., 1973, 73, 21
L. Lefort, et al., Dalton Trans., 2010, 39, 8464
J. C. Peters, et al., Inorg. Chem., 2004, 43, 7474
R. Hudson, et al., Green Chem, 2013, 15, 2141.
K. Manna, et al., J. Am. Chem. Soc., 2014, 136, 13182.
P. J. Chirik, et al., Acs. Catal., 2012, 2, 1760
W. R. Brown, Organic Reactions, 1941, 6, 470
H. Nagashima, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 9511
M. Beller, et al., Angew. Chem. Int.Ed., 2009, 48, 9507
H. Nishiyama, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 9384
H. Nishiyama, et al., Chem. Eur. J.,2010, 16, 3090
H. Nagashima, et al., Chem. Commun., 2011, 47, 6581
M. Beller, et al., Angew. Chem., 2012, 51, 1662
串元・砂田祐輔・永島英夫、ジシラメタサイクル骨格を有する新規ルテニウム錯体の開発と触媒作用、日本化学会第94年会予稿集、2014、2PB−039
砂田祐輔・井上諒子・大串元・永島英夫、ジシラメタラサイクル骨格を持つ新規ルテニウム錯体の開発と触媒機能、第61回有機金属化学討論会予稿集、2014、2PB−13
大串元・山本泰士・砂田祐輔・永島英夫、ジシラメタラサイクル骨格を持つ新規ルテニウム錯体の開発と触媒作用、第18回ケイ素化学協会シンポジウム、2014、P43

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヒドロシリル化反応、水素化反応、およびカルボニル化合物の還元反応の三反応の少なくとも1つの反応に優れた触媒活性を発揮し得る、鉄−ケイ素結合を有する単核鉄錯体、およびこの錯体を使用して温和な条件下で各反応を行う方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、鉄−ケイ素結合を有する所定の単核鉄二価錯体が、ヒドロシリル化反応、水素化反応およびカルボニル化合物の還元反応の少なくとも1つの反応に優れた触媒活性を発揮し得、温和な条件下でそれぞれの反応が進行することを見出し、本発明を完成した。

0012

すなわち、本発明は、
1. 式(1)で表されることを特徴とする単核鉄二価錯体、



(式中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、Xで置換されていてもよい、アルキル基アリール基アラルキル基オルガノオキシ基モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、モノオルガノホスフィノ基、ジオルガノホスフィノ基、モノオルガノシリル基、ジオルガノシリル基トリオルガノシリル基、またはオルガノチオ基を表すか、R1〜R3のいずれかとR4〜R6のいずれかの少なくとも1組が一緒になった架橋置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、オルガノオキシ基、モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、またはオルガノチオ基を表し、L1は、イソニトリルアミンイミン含窒素ヘテロ環ホスフィンホスファイトおよびスルフィドから選ばれる少なくとも1種の二電子配位子を表し、L1が複数存在する場合、2個のL1が互いに結合していてもよく、L2は、CO配位子および前記L1以外の二電子配位子を表し、L2が複数存在する場合、2個のL2が互いに結合していてもよく、m1は1〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表すが、m1+m2は3または4を満たす。)
2. 前記L1が、イソニトリルを表す(ただし、L1が複数存在する場合、2個のL1が互いに結合していてもよい)1の単核鉄二価錯体、
3. 前記L2が、トリオルガノヒドロシランである(ただし、L2が複数存在する場合、2個のL2が互いに結合していてもよい)1または2の単核鉄二価錯体、
4. 前記m1およびm2がいずれも2である1〜3のいずれかの単核鉄二価錯体、
5. 前記R1〜R6が、互いに独立して、Xで置換されていてもよい、アルキル基、アリール基またはアラルキル基(Xは前記と同じ意味を表す。)であり、かつ、前記L2が、H−SiR7R8R9およびH−SiR10R11R12(式中、R7〜R12は、互いに独立して、Xで置換されていてもよい、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xは前記と同じ意味を表す。)で表されるトリオルガノヒドロシランであり、R1〜R3のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組もしくはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって、またはR10〜R12のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組もしくはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって架橋置換基を形成していてもよく、R1〜R3のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組またはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって架橋置換基を形成し、かつ、R10〜R12のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組およびR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって架橋置換基を形成していてもよい4の単核鉄二価錯体、
6. 前記R1〜R3のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つとが一緒になって架橋置換基を形成している1〜5のいずれかの単核鉄二価錯体、
7. 前記R1〜R3のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つまたはR7〜R9のいずれか1つとが一緒になって架橋置換基を形成し、かつ、R10〜R12のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つおよびR7〜R9のいずれか1つのうち前記架橋置換基の形成に関与してないSi上の置換基とが一緒になって架橋置換基を形成している5の単核鉄二価錯体、
8. 前記R1〜R3のいずれか1つと、R4〜R6のいずれか1つとが一緒になってYで置換されていてもよいo−フェニレン基を形成し(Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、Yが複数存在する場合それらは互いに同一でも異なっていてもよい)、かつ、R10〜R12のいずれか1つと、R7〜R9のいずれか1つとが一緒になってYで置換されていてもよいo−フェニレン基(Yは前記と同じ意味を表す。)を形成している7の単核鉄二価錯体、
9. 1〜8のいずれかの単核鉄二価錯体からなるヒドロシリル化反応、水素化反応およびカルボニル化合物の還元反応から選ばれる少なくとも1つの反応に活性を有する触媒、
10. 9の触媒の存在下、脂肪族不飽和結合を有する化合物と、Si−H結合を有するヒドロシランまたはオルガノヒドロポリシロキサンとをヒドロシリル化反応させることを特徴とする付加化合物の製造方法、
11. 9の触媒の存在下、脂肪族不飽和結合を有する化合物を水素化させることを特徴とするアルカン化合物の製造方法。
12. 9の触媒の存在下、アミド化合物をSi−H結合を有するシランまたはオルガノヒドロポリシロキサンで還元することを特徴とするアミン化合物の製造方法、
13. 9の触媒の存在下、アルデヒド化合物ケトン化合物またはエステル化合物をSi−H結合を有するシランまたはオルガノヒドロポリシロキサンで還元することを特徴とするアルコール化合物の製造方法
を提供する。

発明の効果

0013

本発明の単核鉄錯体を触媒として用い、脂肪族不飽和基含有化合物とSi−H基を有するシラン、あるいはポリシロキサンとのヒドロシリル化反応を行うと、室温〜100℃以下の条件下で付加反応が可能になる。特に工業的に有用なポリシロキサン、並びにトリアルコキシシランおよびジアルコキシシランとの付加反応が良好に進行する。さらに、公知文献では同反応において、不飽和基への付加反応よりも、脱水素シリル化反応による不飽和基含有化合物が生成する反応が優先して進行することがたびたび示されているが、本発明の触媒を用いると不飽和基への付加反応が優先的に進行する。
水素化反応は、室温〜100℃、および水素ガス1〜20気圧程度の温和な条件下で行うことができ、しかも従来の方法では困難であった多置換アルケンの水素化にも有効である。
カルボニル化合物の還元反応では、アミド化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物を、取り扱いが容易なSi−H基を有するシラン、あるいはポリシロキサンと反応させることによって目的とする還元化合物を得ることができる。

図面の簡単な説明

0014

実施例1で得られた鉄錯体Aの1H−NMRスペクトル図である。
実施例1で得られた鉄錯体Aの13C−NMRスペクトル図である。
実施例2で得られた鉄錯体Bの構造を示す図である。
実施例2で得られた鉄錯体Bの1H−NMRスペクトル図である。
実施例3で得られた鉄錯体Cの1H−NMRスペクトル図である。

0015

以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る単核鉄錯体は、式(1)で表されるように、2つのFe−Si結合を有し、かつ、Feに一酸化炭素(CO)以外の二電子配位子(L1,L2)が、L1が1個以上、かつ、L1とL2の合計で3個または4個配位している二価錯体である。

0016

0017

式(1)において、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、Xで置換されていてもよい、アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、モノオルガノホスフィノ基、ジオルガノホスフィノ基、モノオルガノシリル基、ジオルガノシリル基、トリオルガノシリル基、またはオルガノチオ基を表すか、R1〜R3のいずれかとR4〜R6のいずれかの少なくとも1組が一緒になった架橋置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、オルガノオキシ基、モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、またはオルガノチオ基を表す。
アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、また、その炭素数も特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、その具体例としては、メチルエチル、n−プロピルイソプロピルn−ブチルイソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルn−オクチル、n−ノニルn−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコサニル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基シクロプロピルシクロブチルシクロペンチルシクロヘキシルシクロヘプチルシクロオクチル、シクロノニル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。

0018

アリール基としても、その炭素数は特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、その具体例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリルフェナントリル、o−ビフェニリル、m−ビフェニリル、p−ビフェニリル基等が挙げられる。
アラルキル基としても、その炭素数は特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基であり、その具体例としては、ベンジルフェニルエチルフェニルプロピルナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピル基等が挙げられる。

0019

オルガノオキシ基としては、特に限定されるものではないが、RO(Rは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基を表す。)で示されるアルコキシ基、アリールオキシ基アラルキルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜30、特に炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、その具体例としては、メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、c−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、特に限定されるものではないが、炭素数6〜30、特に炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、その具体例としては、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、アントリルオキシ、フェナントリルオキシ基等が挙げられる。
アラルキルオキシ基としては、特に限定されるものではないが、炭素数7〜30、特に炭素数7〜20のアラルキルオキシ基が好ましく、ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシ、フェニルプロピルオキシ、1または2−ナフチルメチルオキシ、1または2−ナフチルエチルオキシ、1または2−ナフチルプロピルオキシ基等が挙げられる。
オルガノチオ基としては、上記オルガノオキシ基の酸素原子硫黄原子で置換した基等が挙げられる。

0020

モノオルガノアミノ基としては、特に限定されるものではないが、RNH2(Rは上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシアリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、メチルアミノエチルアミノ、n−プロピルアミノイソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、n−ヘプチルアミノ、n−オクチルアミノ、n−ノニルアミノ、n−デシルアミノ、n−ウンデシルアミノ、n−ドデシルアミノ、n−トリデシルアミノ、n−テトラデシルアミノ、n−ペンタデシルアミノ、n−ヘキサデシルアミノ、n−ヘプタデシルアミノ、n−オクタデシルアミノ、n−ノナデシルアミノ、n−エイコサニルアミノ基等の直鎖または分岐鎖モノアルキルアミノ基シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノシクロヘキシルアミノ、シクロヘプチルアミノ、シクロオクチルアミノ、シクロノニルアミノ基等のモノシクロアルキルアミノ基;アニリノ、1または2−ナフチルアミノ基等のモノアリールアミノ基ベンジルアミノフェニルエチルアミノ、フェニルプロピルアミノ、1または2−ナフチルメチルアミノ基等のモノアラルキルアミノ基などが挙げられる。

0021

ジオルガノアミノ基としては、特に限定されるものではないが、R2NH(Rは互いに独立して、上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、ジメチルアミノジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−s−ブチルアミノ、ジ−t−ブチルアミノ、ジ−n−ペンチルアミノ、ジ−n−ヘキシルアミノ、ジ−n−ヘプチルアミノ、ジ−n−オクチルアミノ、ジ−n−ノニルアミノ、ジ−n−デシルアミノ、ジ−n−ウンデシルアミノ、ジ−n−ドデシルアミノ、ジ−n−トリデシルアミノ、ジ−n−テトラデシルアミノ、ジ−n−ペンタデシルアミノ、ジ−n−ヘキサデシルアミノ、ジ−n−ヘプタデシルアミノ、ジ−n−オクタデシルアミノ、ジ−n−ノナデシルアミノ、ジ−n−エイコサニルアミノ、N−エチルメチルアミノ、N−イソプロピルメチルアミノ、N−ブチルメチルアミノ基等の直鎖または分岐鎖ジアルキルアミノ基ジシクロプロピルアミノ、ジシクロブチルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ、ジシクロオクチルアミノ、ジシクロノニルアミノ、シクロペンチルシクロヘキシルアミノ基等のジシクロアルキルアミノ基;N−メチルアニリノ、N−エチルアニリノ、N−n−プロピルアニリノ基等のアルキルアリールアミノ基ジフェニルアミノ、4,4′−ビスナフチルアミノ、N−フェニル−1または2−ナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基ジベンジルアミノビス(フェニルエチル)アミノ、ビス(フェニルプロピル)アミノ、ビス(1または2−ナフチルメチル)アミノ基等のジアラルキルアミノ基などが挙げられる。

0022

モノオルガノホスフィノ基としては、特に限定されるものではないが、RPH(Rは上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、メチルホスフィノ、エチルホスフィノ、n−プロピルホスフィノ、イソプロピルホスフィノ、n−ブチルホスフィノ、イソブチルホスフィノ、s−ブチルホスフィノ、t−ブチルホスフィノ、n−ペンチルホスフィノ、n−ヘキシルホスフィノ、n−ヘプチルホスフィノ、n−オクチルホスフィノ、n−ノニルホスフィノ、n−デシルホスフィノ、n−ウンデシルホスフィノ、n−ドデシルホスフィノ、n−トリデシルホスフィノ、n−テトラデシルホスフィノ、n−ペンタデシルホスフィノ、n−ヘキサデシルホスフィノ、n−ヘプタデシルホスフィノ、n−オクタデシルホスフィノ、n−ノナデシルホスフィノ、n−エイコサニルホスフィノ基等の直鎖または分岐鎖モノアルキルホスフィノ基;シクロプロピルホスフィノ、シクロブチルホスフィノ、シクロペンチルホスフィノ、シクロヘキシルホスフィノ、シクロヘプチルホスフィノ、シクロオクチルホスフィノ、シクロノニルホスフィノ基等のモノシクロアルキルホスフィノ基;フェニルホスフィノ、1または2−ナフチルホスフィノ基等のモノアリールホスフィノ基;ベンジルホスフィノ基等のモノアラルキルホスフィノ基などが挙げられる。

0023

ジオルガノホスフィノ基としては、特に限定されるものではないが、R2P(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、ジメチルホスフィノ、ジエチルホスフィノ、ジ−n−プロピルホスフィノ、ジイソプロピルホスフィノ、ジ−n−ブチルホスフィノ、ジイソブチルホスフィノ、ジ−s−ブチルホスフィノ、ジ−t−ブチルホスフィノ、ジ−n−ペンチルホスフィノ、ジ−n−ヘキシルホスフィノ、ジ−n−ヘプチルホスフィノ、ジ−n−オクチルホスフィノ、ジ−n−ノニルホスフィノ、ジ−n−デシルホスフィノ、ジ−n−ウンデシルホスフィノ、ジ−n−ドデシルホスフィノ、ジ−n−トリデシルホスフィノ、ジ−n−テトラデシルホスフィノ、ジ−n−ペンタデシルホスフィノ、ジ−n−ヘキサデシルホスフィノ、ジ−n−ヘプタデシルホスフィノ、ジ−n−オクタデシルホスフィノ、ジ−n−ノナデシルホスフィノ、ジ−n−エイコサニルホスフィノ基等の直鎖または分岐鎖ジアルキルホスフィノ基;ジシクロプロピルホスフィノ、ジシクロブチルホスフィノ、ジシクロペンチルホスフィノ、ジシクロヘキシルホスフィノ、ジシクロヘプチルホスフィノ、ジシクロオクチルホスフィノ、ジシクロノニルホスフィノ基等のジシクロアルキルホスフィノ基;シクロヘキシルフェニルホスフィノ基等のアルキルアリールホスフィノ基;ジフェニルホスフィノ、ビス(1または2−ナフチル)ホスフィノ基等のジアリールホスフィノ基;ジベンジルホスフィノ、ビス(フェニルエチル)ホスフィノ、ビス(1または2−ナフチルメチル)ホスフィノ基等のジアラルキルホスフィノ基などが挙げられる。

0024

モノオルガノシリル基としては、特に限定されるものではないが、RSiH2(Rは上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、メチルシリル、エチルシリル、n−プロピルシリル、イソプロピルシリル、n−ブチルシリル、イソブチルシリル、s−ブチルシリル、t−ブチルシリル、n−ペンチルシリル、n−ヘキシルシリル、n−ヘプチルシリル、n−オクチルシリル、n−ノニルシリル、n−デシルシリル、n−ウンデシルシリル、n−ドデシルシリル、n−トリデシルシリル、n−テトラデシルシリル、n−ペンタデシルシリル、n−ヘキサデシルシリル、n−ヘプタデシルシリル、n−オクタデシルシリル、n−ノナデシルシリル、n−エイコサニルシリル基等の直鎖または分岐鎖モノアルキルシリル基;シクロプロピルシリル、シクロブチルシリル、シクロペンチルシリル、シクロヘキシルシリル、シクロヘプチルシリル、シクロオクチルシリル、シクロノニルシリル基等のモノシクロアルキルシリル基;フェニルシリル、1または2−ナフチルシリル基等のモノアリールシリル基;ベンジルシリル、フェニルエチルシリル、フェニルプロピルシリル、1または2−ナフチルメチルシリル基等のモノアラルキルシリル基などが挙げられる。

0025

ジオルガノシリル基としては、特に限定されるものではないが、R2SiH(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、ジメチルシリル、ジエチルシリル、ジ−n−プロピルシリル、ジイソプロピルシリル、ジ−n−ブチルシリル、ジイソブチルシリル、ジ−s−ブチルシリル、ジ−t−ブチルシリル、ジ−n−ペンチルシリル、ジ−n−ヘキシルシリル、ジ−n−ヘプチルシリル、ジ−n−オクチルシリル、ジ−n−ノニルシリル、ジ−n−デシルシリル、ジ−n−ウンデシルシリル、ジ−n−ドデシルシリル、ジ−n−トリデシルシリル、ジ−n−テトラデシルシリル、ジ−n−ペンタデシルシリル、ジ−n−ヘキサデシルシリル、ジ−n−ヘプタデシルシリル、ジ−n−オクタデシルシリル、ジ−n−ノナデシルシリル、ジ−n−エイコサニルシリル、エチルメチルシリル、イソプロピルメチルシリル、ブチルメチルシリル基等の直鎖または分岐鎖ジアルキルシリル基;ジシクロプロピルシリル、ジシクロブチルシリル、ジシクロペンチルシリル、ジシクロヘキシルシリル、ジシクロヘプチルシリル、ジシクロオクチルシリル、ジシクロノニルシリル、シクロペンチルシクロヘキシルシリル基等のジシクロアルキルシリル基;(メチル)フェニルシリル、(エチル)フェニルシリル、(n−プロピル)フェニルシリル基等のアルキルアリールシリル基;ジフェニルシリル、ビス(1または2−ナフチル)シリル、フェニル−1または2−ナフチルシリル基等のジアリールシリル基;ジベンジルシリル、ビス(フェニルエチル)シリル、ビス(フェニルプロピル)シリル、ビス(1または2−ナフチルメチル)シリル基等のジアラルキルシリル基などが挙げられる。

0026

トリオルガノシリル基としては、特に限定されるものではないが、R3Si(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが好ましく、Rにおける好ましい炭素数は上記アルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ基と同様である。その具体例としては、トリメチルシリルトリエチルシリルトリ−n−プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリ−n−ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリ−s−ブチルシリル、トリ−t−ブチルシリル、トリ−n−ペンチルシリル、トリ−n−ヘキシルシリル、トリ−n−ヘプチルシリル、トリ−n−オクチルシリル、トリ−n−ノニルシリル、トリ−n−デシルシリル、トリ−n−ウンデシルシリル、トリ−n−ドデシルシリル、トリ−n−トリデシルシリル、トリ−n−テトラデシルシリル、トリ−n−ペンタデシルシリル、トリ−n−ヘキサデシルシリル、ジ−n−ヘプタデシルシリル、ジ−n−オクタデシルシリル、ジ−n−ノナデシルシリル、トリ−n−エイコサニルシリル、エチルジメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル、ジブチルメチルシリル基等の直鎖または分岐鎖トリアルキルシリル基トリシクロプロピルシリル、トリシクロブチルシリル、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリシクロヘプチルシリル、トリシクロオクチルシリル、トリシクロノニルシリル基等のトリシクロアルキルシリル基;(メチル)ジフェニルシリル、(エチル)ジフェニルシリル、(n−プロピル)ジフェニルシリル基等のアルキルアリールシリル基;トリフェニルシリル、トリ(1または2−ナフチル)シリル、ジフェニル−1または2−ナフチルシリル基等のトリアリールシリル基;トリベンジルシリル、トリ(フェニルエチル)シリル、トリ(フェニルプロピル)シリル、トリ(1または2−ナフチルメチル)シリル基等のトリアラルキルシリル基などが挙げられる。

0027

なお、上記各置換基は、R上の少なくとも1つの水素原子が置換基Xで置換されていてもよく、Xとしては、ハロゲン原子、オルガノオキシ基、モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、またはオルガノチオ基等が挙げられ、オルガノオキシ基、モノオルガノアミノ基、ジオルガノアミノ基、オルガノチオ基としては上記と同様のものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素塩素臭素ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましく、好適なフッ素置換アルキル基として、トリフロロプロピル基ノナフロロヘキシル基、ヘプタデシルフロロデシル基等が挙げられる。

0028

上記各置換基の中でも、R1〜R6は、互いに独立して、Xで置換されていてもよい、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。

0029

また、R1〜R3のいずれかとR4〜R6のいずれかの少なくとも1組が結合した架橋置換基としては、二つのSi原子架橋可能な置換基であれば特に限定されるものではなく、例えば、−O−、−S−、−NH−、−NR−(Rは上記と同じ。)、−PR−(Rは上記と同じ。)、−NH−(CH2)k−NH−(kは1〜10の整数を表す。)、−NR−(CH2)k−NR−(kは上記と同じ。Rは互いに独立して上記と同じ。)、−PH−(CH2)k−PH−(kは上記と同じ。)、−PR−(CH2)k−PR−(kは上記と同じ。Rは互いに独立して上記と同じ。)、−C=C−、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数7〜30のアラルキレン基、−(CH2O)k−(kは上記と同じ。)、−(CH2)k−O−(CH2)k−(kは互いに独立して上記と同じ。)、−O−(CH2)k−O−(Rおよびkは上記と同じ。)、−R′−O−(CH2)k−O−R′−(R′は、互いに独立して炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜30のアリーレン基、または炭素数7〜30のアラルキレン基を表し、kは上記と同じ。)、−(CH2S)k−(kは上記と同じ。)、−(CH2)k−S−(CH2)k−(kは互いに独立して上記と同じ。)、−S−(CH2)k−S−(kは上記と同じ。)、−R′−S−(CH2)k−O−R′−(R′は、互いに独立して上記と同じ意味を表し、kは上記と同じ。)、−SiR2−(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)、−(CH2)k−SiR2−(CH2)k−(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表し、kは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)等が挙げられる。

0030

炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレンエチレンプロピレントリメチレンテトラメチレンペンタメチレンヘキサメチレン基等が挙げられる。
炭素数6〜30のアリーレン基としては、o−フェニレン(1,2−フェニレン)、1,2−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,3−ナフチレン基等が挙げられる。
炭素数7〜30のアラルキレン基としては、−(CH2)k−Ar−(Arは、炭素数6〜20のアリーレン基を表し、kは上記と同じ意味を表す。)、−Ar−(CH2)k−(Arおよびkは上記と同じ意味を表す。)、−(CH2)k−Ar−(CH2)k−(Arは上記と同じ意味を表し、kは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)等が挙げられる。
なお、上記アルキレンアリーレン、アラルキレン基は、それらの水素原子の少なくとも1つが、置換基X(Xは上記と同じ。)で置換されていてもよい。

0031

架橋置換基をZとして表記すると、2つのケイ素原子つなぐZの数は1〜3であり、このような架橋置換基Zを有する単核鉄錯体は下記式で示される。

0032

(式中、R1,R2,R5,R6,L1,L2,m1およびm2は上記と同じ意味を表し、Zは架橋置換基を表す。)

0033

具体的な架橋置換基を有するジシラメタラサイクル構造としては下記式で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0034

(式中、Meはメチル基を意味する。)

0035

式中、R1,R2,R4およびR5は、上記と同じ意味を表し、R17〜R20(置換基Y)は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R25〜R30は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の非置換もしくは置換の一価炭化水素基を表すが、R17〜R20およびR25〜R30が、水素原子のものが好適である。
一価炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、これらの具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
なお、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子としては、上記と同様のものが挙げられる。

0036

L1は、配位子に含まれる2つの電子が鉄に配位する、イソニトリル、アミン、イミン、含窒素ヘテロ環、ホスフィン、ホスファイトおよびスルフィドから選ばれる少なくとも1種の二電子配位子を表す。
本発明において、二電子配位子L1の配位数m1は、1〜4の整数を表すが、2が好ましい。なお、m1が2〜4の場合、2個のL1が、互いに結合していてもよい。

0037

イソニトリルとしては、例えば、RNC(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
アミンとしては、R3N(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示される3級アミンが挙げられる。
イミンとしては、RC(=NR)R(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
含窒素へテロ環としては、例えば、ピロールイミダゾールピリジンピリミジンオキサゾリンイソオキサゾリン等が挙げられる。
ホスフィンとしては、例えば、R3P(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
ホスファイトとしては、例えば、(RO)3P(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
スルフィドとしては、例えば、RSR(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。

0038

これらの中でも、二電子配位子L1としては、イソニトリル、含窒素ヘテロ環、およびホスファイトから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、特に、一酸化炭素と同じ電子配置を有するイソニトリルが最適である。

0039

イソニトリルの具体例としては、上記のとおり、RNC(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で表されるものが挙げられるが、特に、Rが、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基のものが好ましく、炭素数6〜10のアリール基のものがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基等の置換基を有するフェニル基のものがより一層好ましい。
使用可能なイソニトリルとしては、メチルイソシアニド、エチルイソシアニド、n−プロピルイソシアニド、シクロプロピルイソシアニド、n−ブチルイソシアニド、イソブチルイソシアニド、sec−ブチルイソシアニド、t−ブチルイソシアニド、n−ペンチルイソシアニド、イソペンチルイソシアニドネオペンチルイソシアニド、n−ヘキシルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、シクロヘプチルイソシアニド、1,1−ジメチルヘキシルイソシアニド、1−アダマンチルイソシアニド、2−アダマンチルイソシアニド等のアルキルイソシアニドフェニルイソシアニド、2−メチルフェニルイソシアニド、4−メチルフェニルイソシアニド、2,4−ジメチルフェニルイソシアニド、2,5−ジメチルフェニルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、2,4,6−トリメチルフェニルイソシアニド、2,4,6−トリt−ブチルフェニルイソシアニド、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニド、1−ナフチルイソシアニド、2−ナフチルイソシアニド、2−メチル−1−ナフチルイソシアニド等のアリールイソシアニド;ベンジルイソシアニド、フェニルエチルイソシアニド等のアラルキルイソシアニドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0040

含窒素ヘテロ環の具体例としては、上記のとおりであるが、中でもピリジン環が好ましい。
使用可能なピリジン環含有化合物としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のピリジン類、2,2′−ビピリジン、4,4′−ジメチル−2,2′−ビピリジン、5,5′−ジメチル−2,2′−ビピリジン、4,4′−ジエチル−2,2′−ビピリジン、4,4′−ジtert−ブチル−2,2′−ビピリジン等のビピリジン類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0041

ホスファイトとしては、上記のとおり、(RO)3P(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で表されるものが挙げられるが、特に、Rが、置換もしくは非置換の、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基のものが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基のものがより一層好ましい。
使用可能なホスファイト化合物としては、トリメチルホスファイトトリエチルホスファイトトリイソプロピルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリn−デシルホスファイト、4−メチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタントリメチロールエタンサイクリックホスファイト)、4−エチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン(トリメチロールプロパンホスファイト)等のトリアルキルホスファイト類、メチルジフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイト類、トリフェニルホスファイト等のトリアリールホスファイト類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0042

一方、L2は、COおよびL1以外の二電子配位子を表し、二電子配位子としては、CO配位子およびL1以外であれば特に限定されるものではなく、金属錯体の二電子配位子として従来用いられている任意の配位子を用いることができるが、典型的には、窒素酸素イオウリン等の非共有電子対不対電子)を含む、アミン、イミン、含窒素ヘテロ環、ホスフィン、ホスファイト、アルシンアルコールチオールエーテル、スルフィド等の化合物;π電子を含む、アルケン、アルキン;不対電子とπ電子双方を含む、アルデヒド、ケトン、ニトリル、イソニトリル等の化合物;アゴスティック相互作用で結合する、分子状水素(H−H結合に含まれるσ電子が配位する)、ヒドロシラン(Si−H結合に含まれるσ電子が配位する)などが挙げられる。

0043

上記アミン、イミン、含窒素へテロ環、ホスフィン、ホスファイト、スルフィドおよびイソニトリルとしては上記L1で例示したものと同様のものが挙げられる。
アルシンとしては、例えば、R3As(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
アルコールとしては、例えば、ROH(Rは上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
チオールとしては、上記アルコールの酸素原子を硫黄原子で置換したものが挙げられる。

0044

エーテルとしては、例えば、ROR(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
ケトンとしては、例えば、RCOR(Rは互いに独立して上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。
アルケンとしては、例えば、エテンプロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、シクロペンテン1−ヘキセンシクロヘキセン、1−ヘプテン1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の炭素数2〜30のアルケンが挙げられる。
アルキンとしては、例えば、エチンプロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等の炭素数2〜30のアルケンが挙げられる。
ヒドロシランとしては、例えば、トリオルガノヒドロシランが挙げられ、具体的にはトリ炭素数1〜30オルガノヒドロシランが挙げられ、より具体的には、R1R2R3SiH(R1〜R3は上記と同じ意味を表す。)で示されるものが挙げられる。

0045

本発明において、二電子配位子L2は、鉄と比較的弱く結合するものが触媒活性という点から有利であることから、上記で例示した中でも、特に、チオール、スルフィド、トリオルガノヒドロシランがより好ましく、特に、SiHR7R8R9およびSiHR10R11R12(R7〜R12は、互いに独立して、Xで置換されていてもよい、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xは上記と同じ意味を表す。)で表される2つのトリオルガノヒドロシランがより一層好ましい。
ここで、アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては、先に例示した基と同様のものが挙げられるが、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。

0046

なお、本発明において、二電子配位子L2の配位数m2は0〜3の整数を表すが、2が好ましい。また、m1+m2は、3または4を満たすが、好ましくは4である。なお、m2が2または3の場合、2個のL2が、互いに結合していてもよい。その代表例としては、エチレンジアミンエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ブタジエンや、下記式で示されるようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ただし、本発明の単核鉄錯体では、L1およびL2の中の3個が結合して3つの配位性2電子官能基を含む配位子、例えば、η6−アリーレン構造はとらない。

0047

(式中、Meはメチル基を、Phはフェニル基を意味する。R7、R9、R10、R11およびZは上記と同じ意味を表す。)

0048

なお、式(1)の単核鉄錯体には、例えば、L1が2個、L2が2個(それらをL2a,L2bとして区別する)の場合、下記式で示されるような配位構造異性体が存在するが、本発明の単核鉄錯体はそれら全ての配位構造異性体を含む。

0049

(式中、R1〜R6およびL1は上記と同じ意味を表し、L2aおよびL2bは上記L2と同じ意味を表す。)

0050

なお、L2が、SiHR7R8R9およびSiHR10R11R12(R7〜R12は上記と同じ意味を表す。)で表されるトリオルガノヒドロシランの場合、単核鉄錯体を構成する4つのケイ素原子の2つ以上は、上述した架橋置換基Zにより繋がれていてもよい。ケイ素原子の組み合わせは、ケイ素−鉄共有結合をもつケイ素原子どうし、Si−Hで配位しているケイ素原子どうし、ケイ素−鉄共有結合と、Si−Hで配位しているケイ素原子の組み合わせのいずれでもよい。この場合、2つのケイ素原子をつなぐZの数は1〜3であり、一方、錯体全体に含まれるZの総数は、1〜12である。
このような架橋置換基Zを有する単核鉄錯体を1つの配位構造を用いて表現した場合、下記式で示されるような構造が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、上述のとおりこれ以外の配位構造異性体も存在し、その場合にも同様の架橋置換基Zを有する構造が存在する。

0051

(式中、R1〜R12、L1およびZは上記と同じ意味を表す。)

0052

具体的なジシラメタラサイクル構造を有する単核鉄錯体の構造としては下記式(L1を除いて表現している)で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0053

(式中、Meはメチル基を意味する。)

0054

特に、本発明においては、L1が2つ配位するとともに、二電子配位子であるトリオルガノヒドロシランのSi−Hがアゴスティック配位している単核鉄錯体が好ましい。このような鉄錯体を、1つの配位構造を用いて便宜的に表現すると、式(2)で示されるような構造が挙げられるが、上述のとおり、本発明ではこれ以外の配位構造異性体であってもよい。

0055

(式中、L1は上記と同じ意味を表す。)

0056

式(2)において、R1〜R12は上記と同じ意味を表すが、R1〜R6は、互いに独立して、X(Xは上記と同じ意味を表す。)で置換されていてもよい、アルキル基、アリール基またはアラルキル基が好ましい。
ここで、アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては、先に例示した基と同様のものが挙げられるが、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
上記式(2)においても、単核鉄錯体を構成する4つのケイ素原子の2つ以上は架橋置換基により繋がれていてもよく、具体的には、R1〜R3のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組もしくはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になって、またはR10〜R12のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組もしくはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になってアルキレン基、アリーレン基やアラルキレン基といった架橋置換基を形成していてもよく、またはR1〜R3のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組またはR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になってアルキレン基、アリーレン基やアラルキレン基といった架橋置換基を形成し、かつ、R10〜R12のいずれかと、R4〜R6のいずれかの少なくとも1組およびR7〜R9のいずれかの少なくとも1組が一緒になってアルキレン基、アリーレン基やアラルキレン基といった架橋置換基を形成していてもよい。
ここで、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基の具体例としては、先に例示した基と同様のものが挙げられるが、それぞれ炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数7〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数7〜20のアリーレン基がより好ましい。

0057

本発明で好適に用いることのできる単核鉄錯体を典型的な配位構造を用いて表すと、式(3)または(4)で示されるものが挙げられ、具体的には式(5)〜(10)で示されるものが挙げられ、より具体的にはA〜Cで示されるものが挙げられるが、これらに限られるものではなく、また、上述のとおり、これらの配位構造異性体も好適に用いることができる。

0058

(式中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R10、R11、R17〜R20およびL1は、上記と同じ意味を表す。)

0059

(式中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R10、R11およびR17〜R20は、上記と同じ意味を表し、Meはメチル基を表す。)

0060

(式中、Meはメチル基を意味する。)

0061

本発明の単核鉄錯体は、公知の有機合成反応を組み合わせて製造できる。
例えば、上記鉄錯体A〜Cは、シクロヘキサジエニル基シクロオクタジエニル基等のシクロアルカジエニル基およびアリル基や2−メチルアリル基等のアルケニル基を配位子として有する鉄−オレフィン錯体と、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン等のビスシリル化合物およびt−ブチルイソシアニド等のイソニトリル化合物、ホスファイト化合物、またはビピリジン化合物とを、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中で反応させて得ることができる。
この場合、ビスシリル化合物の使用量は、鉄−オレフィン錯体に対して、1〜10モル倍程度とすることができるが、2〜5モル倍が好ましい。
イソニトリル化合物、ホスファイト化合物、ビピリジン化合物の使用量は、鉄−オレフィン錯体に対して、1〜10モル倍程度とすることができるが、2〜5モル倍が好ましい。
また、有機溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限りにおいて各種の溶媒類が使用でき、例えば、ペンタンヘキサンヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類ジエチルエーテルジイソプロピルエーテルジブチルエーテルシクロペンチルメチルエーテルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエンキシレンメシチレン等の芳香族炭化水素類などを用いることができる。
反応温度は、有機溶媒の融点から沸点の範囲で適宜設定すればよいが、10〜100℃が好ましく、30〜80℃がより好ましい。
反応時間は、通常、1〜48時間程度である。
反応終了後は、溶媒を留去した後、再結晶法等の公知の精製法にて目的物を得ることができるが、調製した鉄錯体を単離せずに目的とする反応の触媒として用いてもよい。

0062

本発明の単核鉄錯体は、既に述べたとおり、ヒドロシリル化反応、水素化反応、カルボニル化合物の還元反応のいずれか1つ以上の反応に触媒活性を発揮するが、2つの反応に触媒活性を発揮するものも、3つの反応すべてに触媒活性を発揮するものも存在する。
本発明の単核鉄錯体を触媒として使用し、脂肪族不飽和結合を含有する、オレフィン化合物シラン化合物またはオルガノポリシロキサン化合物等の脂肪族不飽和結合を有する化合物と、Si−H結合を有する、シラン化合物またはオルガノポリシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応を行う場合、触媒の使用量は特に限定されるものではないが、室温〜100℃程度の温和な条件下で反応を進行させて収率よく目的物を得ることを考慮すると、触媒の使用量は0.005モル%以上とすることが好ましい。
本発明の単核鉄錯体を触媒として使用し、脂肪族不飽和結合を含有するオレフィン化合物を水素ガスによって還元し、飽和化合物を得る反応を行う場合も、触媒の使用量は特に限定されるものではないが、室温下、かつ、水素圧が1気圧程度の温和な条件下で反応を進行させて収率よく目的物を得ることを考慮すると、触媒の使用量は0.05モル%以上とすることが好ましい。

0063

本発明の単核鉄錯体を触媒として使用し、カルボニル化合物をSi−H基を含有するシランまたはシロキサンで還元する場合も、触媒の使用量は特に限定されるものではないが、温和な条件下で反応を進行させて収率よく目的物を得ることを考慮すると、触媒の使用量は0.1モル%以上とすることが好ましい。
還元反応に供し得るカルボニル化合物としては、アミド、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸カルボン酸塩(例えば、ナトリウム塩カリウム塩等)基等を有する化合物が挙げられ、これらを本発明の鉄錯体触媒の存在下、Si−H基を含有するシランまたはシロキサンと反応させることによって、それぞれ対応するアミンやアルコール化合物へと導くことができる。
なお、いずれの反応においても、触媒使用量の上限は特に制限はないが、経済的な観点から5モル%程度である。

0064

以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
鉄錯体の合成は、シュレンクテクニックまたはグローブボックスを用いてすべての操作をアルゴン雰囲気下で行い、遷移金属化合物の調製に用いた溶媒は、全て公知の方法で脱酸素脱水を行った後に用いた。
アルケンのヒドロシリル化反応、水素化反応、およびアミドの還元反応および溶媒精製は、全て不活性ガス雰囲気下で行い、各種反応に用いた溶媒等は、全て予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。
1H,13C−NMRの測定は日本電子(株)製JNM−ECA600,JNM−LA400を、IR測定は日本分光(株)製FT/IR−550を、元素分析はPerkin Elmer製2400II/CHNを、X線結晶構造解析は(株)リガク製VariMax、MoKα線0.71069オングストロームを用いてそれぞれ行った。
なお、以下に示す化学構造式においては慣用的な表現法に従って水素原子を省略している。また、Meはメチル基を表す。

0065

(1)鉄錯体の合成
[実施例1]鉄錯体Aの合成



(式中、Meはメチル基を意味する。)

0066

アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η6−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン)(η4−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン)鉄(0)錯体(40mg,0.15mmol)と2,4,6−トリメチルフェニルイソシアニド(66mg、0.45mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水したヘキサン(40mL)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(64mg,0.33mmol)を加え、反応容器内を水素雰囲気に置換した後、高圧水銀灯ウシ電機(株)製,UM−453B−A(450W))を用いて光照射をしながら室温下で48時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をトルエン(10mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の黒色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液減圧下で乾燥させて上記式で代表的に表される鉄錯体A(36mg/0.05mmol/35%)を得た。
得られた鉄錯体Aの1H−NMRの測定結果図1に、13C−NMRの測定結果を図2にそれぞれ示す。

0067

1H−NMR(C6D6,600MHz)δ=−11.54(s,JSi-H=14.7Hz,2H,Si−H),0.90(s,24H,SiMe2),1.82(s,6H,Me),1.91(s,12H,C6H3Me2),6.30(s,4H,C6H2),7.29−7.33(m,4H,C6H4),7.71−7.75(m,4H,C6H4).
13C−NMR(C6D6,150MHz)δ=9.70(s,SiMe2),19.2(s,C6H2Me3),20.7(s,C6H2Me3),129.0(s,Ph),129.3(s,Ph),131.1(s,Ph),131.6(s,Ph),134.6(s,Ph),136.8(s,Ph),156.6(s,ipso of C6H4),177.5(s,CN−Mes).
IR(KBpellet):ν=1958(νSi-H),2056(νFe-CN)cm-1
Anal.Calcd.for C40H56N2FeSi4:C,65.54;H,7.70;N,3.82 Found:C,65.32;H,7.48;N,3.67

0068

[実施例2]鉄錯体Bの合成



(式中、Meはメチル基を意味する。)

0069

アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η6−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン)(η4−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン)鉄(0)錯体(100mg,0.38mmol)と2,6−ジメチルフェニルイソシアニド(149mg、1.14mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水したヘキサン(60mL)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(162mg,0.83mmol)を加え、反応容器内を水素雰囲気に置換した後、高圧水銀灯(ウシオ電機(株)製,UM−453B−A(450W))を用いて光照射をしながら室温下で48時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をトルエン(10mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の黒色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液を減圧下で乾燥させて上記式で代表的に表される鉄錯体B(115mg/0.16mmol/43%)を得た。
得られた鉄錯体Bの構造を図3に、1H−NMRの測定結果を図4にそれぞれ示す。

0070

1H−NMR(C6D6,600MHz)δ=−11.48(s,JSi-H=16.1Hz,2H,Si−H),0.90(s,24H,SiMe2),1.94(s,12H,C6H3Me2),6.53−6.58(m,4H,C6H3Me2),6.62−6.66(m,2H,C6H3Me2),7.31−7.35(m,4H,C6H4),7.71−7.76(m,4H,C6H4).
IR(KBrpellet):ν=1960(νSi-H),2052(νFe-CN)cm-1
Anal.Calcd.for C38H52N2FeSi4:C,64.74;H,7.43;N,3.97 Found:C,64.56;H,7.24;N,3.87

0071

[実施例3]鉄錯体Cの合成



(式中、Meはメチル基を意味する。)

0072

アルゴン雰囲気下、100mLのシュレンク管に(η6−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン)(η4−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン)鉄(0)錯体(50mg,0.19mmol)とアダマンチルイソシアニド(92mg,0.57mmol)を仕込み、ここへ脱気・脱水したヘキサン(50mL)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、1,2−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(80mg,0.42mmol)を加え、反応容器内を水素雰囲気に置換した後、高圧水銀灯(ウシオ電機(株)製,UM−453B−A(450W))を用いて光照射をしながら室温下で48時間撹拌した。反応終了後、減圧乾燥し、得られた乾燥物をトルエン(5mL)に溶解させ、遠心分離にて副生した少量の黒色不溶物を取り除いた。その後、トルエン溶液を減圧下で乾燥させて上記式で代表的に表される鉄錯体C(55mg/0.07mmol/38%)を得た。
得られた鉄錯体Cの1H−NMRの測定結果を図5に示す。

0073

1H−NMR(C6D6,600MHz)δ=−11.57(s,JSi-H=13.1Hz,2H,Si−H),0.88(s,24H,SiMe2),1.08−1.16(m,12H,CH2),1.47−1.49(m,12H,CH2),1.51−1.55(m,6H,CH),7.32−7.35(m,4H,C6H4),7.79−7.84(m,4H,C6H4).
IR(KBrpellet):ν=1987(νSi-H),2073(νRu-CN)cm-1

0074

(2)鉄錯体を用いたヒドロシリル化

0075

[実施例4]鉄錯体Aを用いたスチレンの1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンによるヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブ磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を50℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー1として表1に示す。

0076

1,1,1,3,3−pentamethyl−3−[(1E)−2−phenylethenyl]−disiloxane(表1,(II)の化合物)
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=0.11(s,6H,Si(CH3)2),0.22(s,9H,Si(CH3)3),6.42(d,JH-H=19.3Hz,1H,−CH=CH−),6.93(d,JH-H=19.3Hz,1H,−CH=CH−),7.24−7.29(m,1H,C6H5),7.31−7.39(m,2H,C6H5),7.43−7.47(m,2H,C6H5).
Ethylbenzene(表1,(III)の化合物)
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.26(t,2H,JH-H=7.7Hz,CH3),2.67(q,2H,JH-H=7.7Hz,CH2),7.16−7.24(m,3H,C6H5),7.27−7.33(m,2H,C6H5).

0077

[実施例5]鉄錯体Bを用いたスチレンの1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンによるヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体B(7.1mg,0.01mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)を加えた後、溶液を50℃で23時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー2として表1に示す。

0078

[実施例6]鉄錯体Cを用いたスチレンの1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサンによるヒドロシリル化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加え、5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体C(7.7mg,0.01mmol)を加えた。ここにスチレン(104mg,1.0mmol)を加え、さらに1,1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン(163mg,1.1mmol)、ジメトキシエタン(3.6mg,0.04mmol)を加えた後、溶液を80℃で24時間撹拌した。冷却後、内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。これらの結果をエントリー3として表1に示す。

0079

1,1,1,3,3−pentamethyl−3−(2−phenylethyl)−disiloxane(表1,(I)の化合物)
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=−0.03(s,6H,Si(CH3)2),−0.02(s,9H,Si(CH3)3),0.775−0.81(m,2H,SiCH2),2.52−2.57(m,2H,CH2C6H5),7.09−7.13(m,2H,C6H5),7.17−7.22(m,3H,C6H5).

0080

a 鉄に対し4当量のジメトキシエタン存在下で反応を行った。

0081

(3)鉄錯体を用いた1−オクテンの水素化反応

0082

[実施例7]鉄錯体Aを用いた1−オクテンの水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(3.7mg,0.005mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。その後、シュレンク内を水素で置換し、溶液を1気圧の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー1として表2に示す。

0083

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(t,JHH=7.2Hz,6H,CH3),1.16−1.36(m,12H,−(CH2)6−).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=14.27,22.86,29.48,32.10.

0084

[実施例8]低触媒濃度の鉄錯体Aを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(3.7mg,0.005mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(1.12g,10mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を20気圧の水素雰囲気下、80℃で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー2として表2に示す。

0085

[実施例9]鉄錯体Bを用いた水素化反応
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体B(3.5mg,0.005mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−オクテン(112mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で30分間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー3として表2に示す。

0086

0087

(4)鉄錯体を用いたスチレンの水素化

0088

[実施例10]鉄錯体Aを用いたスチレンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(3.7mg,0.005mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(114μL,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー1として表3に示す。

0089

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=1.13(t,JHH=7.2Hz,3H,CH2CH3),2.54(q,JHH=7.2Hz,2H,CH2CH3),7.02−7.11(m,3H,C6H5),7.11−7.20(m,2H,C6H5).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=15.6,28.8,125.6,127.8,128.3,144.3.

0090

[実施例11]鉄錯体Bを用いたスチレンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体B(3.5mg,0.005mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(114μL,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー2として表3に示す。

0091

[実施例12]鉄錯体Cを用いたスチレンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体C(3.8mg,0.005mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、スチレン(114μL,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で24時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー3として表3に示す。

0092

0093

(5)鉄錯体Aを用いたオレフィンの水素化

0094

[実施例13]メチル−10−ウンデセノエートの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、メチル−10−ウンデセノエート(198mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー1として表4に示す。

0095

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(t,3H,JH-H=7.4Hz,−CH3),1.17−1.35(m,14H,−CH2−),1.53−1.67(m,2H,−CH2−),2.30(t,2H,JH-H=7.7Hz,−CH2C(=O)−),3.66(s,3H,OMe).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=14.25,22.83,25.12,29.31,29.40,29.45,29.60,29.70,32.04,34.28,51.57,174.50

0096

[実施例14]トランススチルベンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、トランス−スチルベン(180mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー2として表4に示す。

0097

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=2.93(s,4H,CH2),7.12−7.23(m,6H,C6H5),7.24−7.32(m,4H,C6H5).
13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ=37.9,125.9,128.3,128.5,141.8.

0098

[実施例15]シクロペンテンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、シクロペンテン(88.4μL,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー3として表4に示す。

0099

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=1.52(s,10H,CH2).
13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ=25.9.

0100

[実施例16]1−メチル−1−シクロヘキセンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、1−メチル−1−シクロヘキセン(118μL,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー4として表4に示す。

0101

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.86(d,JHH=5.8Hz,3H,CH3),1.04−1.28(m,4H,CH2),1.28−1.39(m,1H,CH),1.54−1.72(m,6H,CH2).
13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ=22.9,26.3,26.4,32.7,35.4.

0102

[実施例17]エチル−2,3−ジメチルアクリレートの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、エチル−2,3−ジメチルアクリレート(128mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー5として表4に示す。

0103

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.93−0.96(m,6H,Me),1.28(t,3H,OCH2CH3),2.00−2.04(m,1H,CH and CH2C(=O)),4.19(q,2H,OCH2CH3).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=14.6,22.9,26.0,43.6,60.3,173.5.

0104

[実施例18](±)−リモネンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、(±)−リモネン(136mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した(trans:cis=1:1)。これらの結果をエントリー6として表4に示す。

0105

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.847(d,2H,JHH=6.8Hz,CH(CH3)2 of trans−isomer),0.859(d,3H,JHH=6.8Hz,CH3 of trans−isomer),0.860(d,2H,JHH=6.8Hz,CH(CH3)2 of cis−isomer),0.909(d,3H,JHH=6.8Hz,CH3 of cis−isomer),0.87−1.09(m,2H,CH and CH2),1.18−1.58(m,6H,CH and CH2),1.62−1.77(m,3H,CH2).
13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ=19.5.20.0,20.4,22.9,25.5,29.3,29.7,31.6,33.0,33.1,35.8,43.2,44.0.

0106

[実施例19]α−メチルスチルベンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、DME(2mL)に溶解させた。この溶液に、α−メチルスチルベン(194mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー7として表4に示す。

0107

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=1.30(d,3H,JHH=6.8Hz,CH3),2.78−2.91(m,1H,CH(Me),2.98−3.08(m,1H,CH2Ph),7.12−7.40(m,10H,Ph).
13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ=21.2,42.0,45.1,125.9,126.1,127.0,128.1,128.3,129.4,141.0,147.2.

0108

[実施例20]2,3−ジメチル−2−ブテンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、ジメトキシエタン(2mL)に溶解させた。この溶液に、2,3−ジメチル−2−ブテン(84mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を10気圧の水素雰囲気下、80℃で6時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー8として表4に示す。

0109

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.84(d,JH-H=6.7Hz,12H,CH3),1.40(septet,JH-H=6.7Hz,12H,CH).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=19.4,33.7.

0110

[実施例21]2,3−ジメチル−1H−インデンの水素化
20mLのシュレンクチューブに磁気撹拌子を加えて5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、シュレンクチューブ内をアルゴン雰囲気に置換した。そのシュレンクチューブに、触媒として鉄錯体A(7.3mg,0.01mmol)を加え、DME(2mL)に溶解させた。この溶液に、2,3−ジメチル−1H−インデン(144mg,1.0mmol)を加えた。得られた溶液をオートクレーブ内に移し、オートクレーブ内を水素で置換した。その後、溶液を20気圧の水素雰囲気下、80℃で10時間撹拌した。内標としてアニソール(108mg,1.0mmol)を加え、1H−NMRスペクトルを測定し、生成物の構造および収率を決定した。得られた化合物は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。これらの結果をエントリー9として表4に示す。

0111

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.94(d,3H,J=6.9Hz,CH3CHCH2),1.14(d,3H,J=7.2Hz,CH3CH),2.49−2.61(m,2H),2.94(m,1H),3.17,(quintet,1H,J=6.9Hz,CH3CH),7.06−7.24(m,4H,C6H4).
13C−NMR(CDCl3,100MHz)δ=14.5,15.0,37.8,39.2,42.6,123.5,124.3,126.0,126.1,142.8,149.0.

0112

0113

(6)鉄錯体を用いたアミドの還元

0114

[実施例22]鉄錯体Aを用いたN,N−ジメチルホルムアミドの還元
NMRチューブを5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、触媒として鉄錯体A(18mg,0.025mmol)を加え、重ベンゼン0.4mLをシリンジで加えた。その後、ジメチルフェニルシラン(30mg,0.22mmol)を加え、N,N−ジメチルホルムアミド(36.5mg,0.5mmol)を加えた後、減圧下でNMRチューブを焼き切り真空封管した。溶液を120℃で10時間撹拌した後、1H−NMRスペクトルによりアミンの生成を確認した。これらの結果をエントリー1として表5に示す。

0115

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=2.12(s,9H,NMe3).

0116

[実施例23]鉄錯体Bを用いたN,N−ジメチルホルムアミドの還元
NMRチューブを5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、触媒として鉄錯体B(18mg,0.025mmol)を加え、重ベンゼン0.4mLをシリンジで加えた。その後、ジメチルフェニルシラン(30mg,0.22mmol)を加え、N,N−ジメチルホルムアミド(36.5mg,0.5mmol)を加えた後、減圧下でNMRチューブを焼き切り真空封管した。溶液を120℃で10時間撹拌した後、1H−NMRスペクトルによりアミンの生成を確認した。これらの結果をエントリー2として表5に示す。

0117

0118

(7)鉄錯体Bを用いたアルデヒドの還元反応
[実施例24]4−メトキシベンズアルデヒドの還元
NMRチューブを5Paに減圧しながら加熱乾燥した後、触媒として鉄錯体B(18mg,0.025mmol)を加え、重ベンゼン0.4mLをシリンジで加えた。その後、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(101mg,0.75mmol)、4−メトキシベンズアルデヒド(68mg,0.5mmol)、内部標準物質としてヘキサメチルベンゼン(32.4mg,0.05mmol)を加えた後、減圧下でNMRチューブを焼き切り真空封管した。溶液を60℃で10時間撹拌した後、1H−NMRスペクトルによりアルコールのシリルエーテル体の生成を確認した(収率94%)。得られたアルコールのシリルエーテル体は、1H,13C−NMRスペクトルによりその構造を確認した。

実施例

0119

1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.12(s,6H,SiMe2),0.18(d,6H,JSi-H=3.9Hz,Si(H)Me2),3.79(s,3H,OMe),4.70(s,2H,CH2),4.73(sept,1H,JSi-H=3.9Hz,SiH),6.86−6.89(m,2H,C6H4),7.20−7.23(m,2H,C6H4).
13C−NMR(CDCl3,99.5MHz)δ=−0.99,0.74,55.21,64.01,113.76,128.20,132.91,158.95.

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ