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技術 複合遷移金属触媒およびその製造方法

出願人 高知県公立大学法人
発明者 小廣和哉大谷政孝
出願日 2015年3月10日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-047644
公開日 2016年9月15日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-166117
状態 特許登録済
技術分野 鉄化合物(I) 重金属無機化合物(II) 触媒 電池の電極及び活物質
主要キーワード マリモ状 加熱昇温速度 ロックネジ 電気化学的触媒 遷移金属ナノ粒子 細孔分布図 一次結晶 複合ナノ粒子
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

複数種遷移金属塩の混合物から、簡便かつ単工程の操作で、異種遷移金属が内部に均一複合化された多孔性の遷移金属複合ナノ粒子を製造する方法を提供することである。

解決手段

既存の方法論とは真逆の急激な加熱により反応速度を極限まで加速することで、反応性の異なる複数の遷移金属種を瞬時にナノ粒子化することを特徴としている。従来の方法論では、金属イオンごとの反応性の違いをなくすために、ナノ粒子核生成成長の段階で表面被覆剤金属配位子等の添加により極端に反応性を遅くすることが常識とされてきた。本反応では、極端な急速加熱によって触媒として利用可能な数nm以下の1次結晶の迅速な複合化が実現できる。さらに、原理的には酸化還元能の異なる様々な遷移金属が適用可能であるので、多様な複合構造を設計・構築することができる。本発明により、煩雑な多段階操作を必要とせず、遷移金属複合ナノ粒子を簡便に合成することが可能となった。

概要

背景

遷移金属からなるナノ粒子は様々な有機無機化合物を合成するための化学反応触媒二次電池電極材料として、幅広い分野において重要な物質である。特に、3d族遷移金属(Mn、Fe、Co、Ni、Cu)を基盤とする新規ナノ粒子材料の開発が資源埋蔵量の観点から強く望まれている。

特に、遷移金属ナノ粒子を用いる触媒反応においては、粒子組成・サイズ・表面構造の制御が触媒活性を左右する決定的な要因となる。従来、遷移金属ナノ粒子の合成には、溶液内で金属塩を反応させる液相合成法が用いられてきた(特許文献1参照)。反応の際には、目的とするナノ粒子の遷移金属塩と共に粒子表面を被覆する界面活性剤等を添加し、系内に発生した核粒子を長時間の反応でゆっくりと成長させることで、全体の粒子径・形状・表面構造が制御されてきた。

しかしながら、ナノ粒子の性能をさらに向上させる目的で、性質の異なる複数の遷移金属種を1つのナノ粒子として複合化合金化)する場合、粒子の核生成・成長速度が遷移金属ごとに極端に異なるため、得られる粒子は塊状の混合物となり、構造を精密に制御することが難しかった。例えば、一般的な合成法では、異種金属を含む溶液を加熱すると金属ナノ粒子が個々の成分毎に凝集して析出するという問題があった。そこで、多様な遷移金属種の組み合わせで、簡便に粒子の複合化と構造制御を達成する新たな手法の開発は、触媒のさらなる高効率化目指す上で必要不可欠となっている(例えば、非特許文献1参照)。

概要

複数種の遷移金属塩の混合物から、簡便かつ単工程の操作で、異種遷移金属が内部に均一複合化された多孔性の遷移金属複合ナノ粒子を製造する方法を提供することである。既存の方法論とは真逆の急激な加熱により反応速度を極限まで加速することで、反応性の異なる複数の遷移金属種を瞬時にナノ粒子化することを特徴としている。従来の方法論では、金属イオンごとの反応性の違いをなくすために、ナノ粒子の核生成・成長の段階で表面被覆剤金属配位子等の添加により極端に反応性を遅くすることが常識とされてきた。本反応では、極端な急速加熱によって触媒として利用可能な数nm以下の1次結晶の迅速な複合化が実現できる。さらに、原理的には酸化還元能の異なる様々な遷移金属が適用可能であるので、多様な複合構造を設計・構築することができる。本発明により、煩雑な多段階操作を必要とせず、遷移金属複合ナノ粒子を簡便に合成することが可能となった。

目的

本発明の目的は、複数種の遷移金属塩の混合物から、簡便かつ単工程の操作で、異種遷移金属が内部に均一複合化された多孔性の遷移金属複合ナノ粒子を製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

2種以上の遷移金属塩有機添加物とを含む前駆溶液を500℃/分以上の昇温速度で急激に加熱する工程を含んでなることを特徴とする複数種遷移金属が均一に分布した多孔性複合ナノ粒子を合成する方法。

請求項2

前記2種以上の遷移金属塩が、硝酸ニッケル六水和物硝酸コバルト六水和物硝酸鉄水和物、および硝酸マンガン六水和物からなる群から選択される2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項3

前記有機添加物を含む前駆溶液が、メタノールジエチレングリコール溶液またはアセトニトリル/ジエチレングリコール溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記急激に加熱する工程が、密閉した反応管内で実行されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。

請求項5

異種遷移金属が内部に均一複合化されたマリモ状の形状を呈してなる多孔性の遷移金属複合ナノ粒子。

請求項6

前記異種遷移金属が、ニッケルコバルト、鉄及びマンガンからなる群から選択される2種以上である請求項5に記載の多孔性の遷移金属複合ナノ粒子。

請求項7

前記遷移金属複合ナノ粒子の粒径が0.2乃至0.6マイクロメートルであることを特徴とする請求項5または6に記載の多孔性の遷移金属複合ナノ粒子。

請求項8

請求項5乃至7のいずれかに記載の異種遷移金属が内部に均一複合化された遷移金属複合ナノ粒子の複合遷移金属触媒への使用。

技術分野

0001

複数の遷移金属元素から構成されるナノ粒子およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

遷移金属からなるナノ粒子は様々な有機無機化合物を合成するための化学反応触媒二次電池電極材料として、幅広い分野において重要な物質である。特に、3d族遷移金属(Mn、Fe、Co、Ni、Cu)を基盤とする新規ナノ粒子材料の開発が資源埋蔵量の観点から強く望まれている。

0003

特に、遷移金属ナノ粒子を用いる触媒反応においては、粒子組成・サイズ・表面構造の制御が触媒活性を左右する決定的な要因となる。従来、遷移金属ナノ粒子の合成には、溶液内で金属塩を反応させる液相合成法が用いられてきた(特許文献1参照)。反応の際には、目的とするナノ粒子の遷移金属塩と共に粒子表面を被覆する界面活性剤等を添加し、系内に発生した核粒子を長時間の反応でゆっくりと成長させることで、全体の粒子径・形状・表面構造が制御されてきた。

0004

しかしながら、ナノ粒子の性能をさらに向上させる目的で、性質の異なる複数の遷移金属種を1つのナノ粒子として複合化合金化)する場合、粒子の核生成・成長速度が遷移金属ごとに極端に異なるため、得られる粒子は塊状の混合物となり、構造を精密に制御することが難しかった。例えば、一般的な合成法では、異種金属を含む溶液を加熱すると金属ナノ粒子が個々の成分毎に凝集して析出するという問題があった。そこで、多様な遷移金属種の組み合わせで、簡便に粒子の複合化と構造制御を達成する新たな手法の開発は、触媒のさらなる高効率化目指す上で必要不可欠となっている(例えば、非特許文献1参照)。

0005

特開2014−29024号公報

先行技術

0006

The Journal of Supercritical 78(2013)124−131 “Versality of one−pot, single−step synthetic approach for spherical porous (metal) oxide nanoparticles using supercritical alcohols, Pngyu Wang, Kimiyoshi Ueno, Hikaru Takigawa, Kazuya Kobiro; http://dx.doi.org/10.1016/j.supflu.2013.03.023”

発明が解決しようとする課題

0007

上述の問題点を解決するため、本発明の目的は、複数種の遷移金属塩の混合物から、簡便かつ単工程の操作で、異種遷移金属が内部に均一複合化された多孔性の遷移金属複合ナノ粒子を製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明の第1の態様に係る複数種の遷移金属が均一に分布した多孔性の複合ナノ粒子を合成する方法は、2種以上の遷移金属塩と有機添加物とを含む前駆溶液を500℃/分以上の昇温速度で急激に加熱する工程を含んでなることを特徴とする。

0009

前記2種以上の遷移金属塩が、硝酸ニッケル六水和物硝酸コバルト六水和物硝酸鉄水和物、および硝酸マンガン六水和物からなる群から選択される2種以上であることを特徴とする。

0010

前記有機添加物を含む前駆溶液が、メタノールジエチレングリコール溶液またはアセトニトリル/ジエチレングリコール溶液であることを特徴とする。

0011

前記急激に加熱する工程が、密閉した反応管内で実行されてなることを特徴としている。

0012

本発明の第2の態様は、異種遷移金属が内部に均一複合化されたマリモ状の形状を呈してなる多孔性の遷移金属複合ナノ粒子であることを特徴とする。

0013

前記異種遷移金属が、ニッケルコバルト、鉄及びマンガンからなる群から選択される2種以上であることを特徴とする。

0014

前記遷移金属複合ナノ粒子の粒径が0.2乃至0.6マイクロメートルであることを特徴としている。

0015

本発明の第3の態様は、異種遷移金属が内部に均一複合化された遷移金属複合ナノ粒子の複合遷移金属触媒への使用であることを特徴とする。

発明の効果

0016

叙上のとおり、本発明の複数種の遷移金属が均一に分布した多孔性の複合ナノ粒子を合成する方法によれば、2種以上の遷移金属塩と有機添加物とを含む前駆溶液を500℃/分以上の昇温速度で急激に加熱する工程を含んでいることを構成上の最大の特徴としている。それゆえ本発明は、従来技術の方法論とは真逆の急激な加熱により反応速度を極限まで加速することで、反応性の異なる複数の遷移金属種を瞬時にナノ粒子化することができるという顕著な効果を奏することができる。

0017

従来法では、金属イオンごとの反応性の違いをなくすために、ナノ粒子の核生成・成長の段階で表面被覆剤金属配位子等の添加により極端に反応を遅くすることが常識とされてきた。これに対し本発明によれば、急激な加熱によって触媒として利用可能な数nm以下の1次結晶の迅速な複合化が実現できるのである。さらに、原理的には酸化還元能の異なる様々な遷移金属が適用可能であるので、多様な複合構造を設計・構築することができる。

0018

本発明により、煩雑な多段階操作を必要とせず、遷移金属複合ナノ粒子を簡便に合成することが可能となった。とりわけ、密閉した反応管内で急速な昇温を行うと、遷移金属イオンの反応を種類に関係なく急激に進行させることができるため、異なる種類の遷移金属の混合物であっても均一に分布した多孔性のナノ粒子が得られる。

0019

本発明によれば、既存の方法論とは真逆の急激な加熱により反応速度を極限まで加速することで、反応性の異なる複数の遷移金属種を瞬時にナノ粒子化することを特徴としている。従来の方法では、金属イオンごとの反応性の違いをなくすために、ナノ粒子の核生成・結晶成長の段階で表面被覆剤・金属配位子等の添加により反応を遅くすることが常識とされてきた。本反応では、極端な急速加熱によって触媒として利用可能な数nm以下の1次結晶の迅速な複合化が実現できる。さらに、原理的には酸化還元能の異なる様々な遷移金属が適用可能であるので、多様な複合構造を設計・構築することができる。本発明により、煩雑な多段階操作を必要とせず、遷移金属複合ナノ粒子を簡便に合成することが可能となった。

図面の簡単な説明

0020

超急速加熱ナノ粒子合成法の概略図。
実施形態1で製造した複合ナノ粒子のSTEM/EDX分布写真
実施形態1で製造した複合ナノ粒子の高分解能TEM写真
実施形態1で製造した複合ナノ粒子の窒素吸脱着等温線細孔分布図
実施形態1で製造した複合ナノ粒子の電気化学的触媒試験
ナノ粒子合成に係る加熱速度及び反応時間の影響の確認試験結果を示す写真(ゆっくりと加熱・反応時間10分)
ナノ粒子合成に係る加熱速度及び反応時間の影響の確認試験結果を示す写真(休息加熱・反応時間0分)
ナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(有機添加物なし)
ナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(金属塩の量に対して5倍の量のジエチレングリコール
ナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(金属塩の量に対して32倍の量のジエチレングリコール)
ナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(金属塩の量に対して32倍の量のエチレングリコール

0021

以下、本発明の実施の形態を図1図5に基づいて説明する。なお、本発明は実施形態1に限定されない。図1は超急速加熱ナノ粒子合成法の概略図、図2は実施形態1で製造した複合ナノ粒子のSTEM/EDX分布写真、図3は実施形態1で製造した複合ナノ粒子の高分解能TEM写真、図4は実施形態1で製造した複合ナノ粒子の窒素吸脱着等温線と細孔分布図、図5は実施形態1で製造した複合ナノ粒子の電気化学触媒能、図6はナノ粒子合成に係る加熱速度及び反応時間の影響の確認試験結果を示す写真(ゆっくりと加熱・反応時間10分)、図7はナノ粒子合成に係る加熱速度及び反応時間の影響の確認試験結果を示す写真(急速加熱・反応時間0分)、図8はナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(有機添加物なし)、図9はナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(金属塩の量に対して5倍の量のジエチレングリコール)、図10はナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(金属塩の量に対して32倍の量のジエチレングリコール)、および図11はナノ粒子合成に係る有機添加物の影響の確認試験結果を示す写真(金属塩の量に対して32倍の量のエチレングリコール)。

0022

[実施形態1]
<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>
図1に示されるように、急速加熱を特徴とするソルボサーマル法を用いて、昇温速度(500°C/分)、反応時間(0〜10分)、反応温度(250°C〜300°C)の条件下で、溶媒としてメタノールを用いて硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物(前駆体混合物)を反応した。なお、溶媒としてはメタノールの代わりに、アセトニトリルを使用することができる。
その結果、図2の(a)に示されるとおりの粒子表面にナノサイズの凹凸形状を有するマリモ状の多孔性複合ナノ粒子を得た。

0023

<硝酸マンガン六水和物と硝酸コバルト六水和物の混合物>
図1に示されるように、超急速加熱ソルボサーマル法を用いて、昇温速度(500°C/分)、反応時間(0〜10分)、反応温度(250°C〜300°C)の条件下で、溶媒としてメタノールを用いて硝酸マンガン六水和物と硝酸コバルト六水和物の混合物(前駆体混合物)を急速加熱した。なお、溶媒としてはメタノールの代わりに、ジエチレングリコール又はアセトニトリルを使用することができる。
その結果、図2の(b)に示されるとおりのマリモ状の多孔性の複合ナノ粒子を得た。

0024

<硝酸マンガン六水和物と硝酸鉄九水和物の混合物>
図1に示されるように、超急速加熱ソルボサーマル法を用いて、昇温速度(500°C/分)、反応時間(0〜10分)、反応温度(250°C〜300°C)の条件下で、溶媒としてメタノールを用いて硝酸マンガン六水和物と硝酸鉄九水和物の混合物(前駆体混合物)を急速加熱した。なお、溶媒としてはメタノールの代わりに、アセトニトリルを使用することができる。
その結果、図2の(c)に示されるとおりのマリモ状の多孔性の複合ナノ粒子を得た。

0025

<硝酸コバルト六水和物と硝酸鉄九水和物と硝酸マンガン六水和物との混合物>
図1に示されるように、超急速加熱ソルボサーマル法を用いて、昇温速度(500°C/分)、反応時間(0〜10分)、反応温度(250°C〜300°C)の条件下で、溶媒としてメタノールを用いて硝酸マンガン六水和物と硝酸鉄九水和物の混合物(前駆体混合物)を急速加熱した。なお、溶媒としてはメタノールの代わりに、アセトニトリルを使用することができる。
その結果、図2の(d)に示されるとおりのマリモ状の多孔性の複合ナノ粒子を得た。

0026

ここで、複合ナノ粒子の窒素吸脱着等温線図を示す図4の(a)、(c)、(e)及び(g)を参照すると、図4の(a)、(c)はマイクロ孔(<2nm)の存在を示すタイプI(IUPAC分類)に属し、図4の(e)、(g)はメソ孔(2−50nm)の存在を示すタイプIV(IUPAC分類)に属する。また、図2の(b)から、<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>から得られた複合ナノ粒子の細孔ピークが1.1nmであり、図2の(d)から、<硝酸マンガン六水和物と硝酸コバルト六水和物の混合物>から得られた複合ナノ粒子の細孔ピークが1.3nmであり、図2の(f)から、<硝酸マンガン六水和物と硝酸鉄九水和物の混合物>から得られた複合ナノ粒子の細孔ピークが13nmであり、図2の(h)から、<硝酸コバルト六水和物と硝酸鉄九水和物と硝酸マンガン六水和物との混合物>から得られた複合ナノ粒子の細孔ピークが3.5nmであることが分かった。また、図3の(a)、(c)、(e)及び(g)によれば、得られたマリモ状の複合ナノ粒子の外表面にコントラストが認められものの、得られた複合ナノ粒子のコアの部分にはコントラストが殆どなく、異なる種類の遷移金属の混合物であっても均一に分布した多孔性のナノ粒子が得られたことが分かった。図3の(b)、(d)、(f)及び(h)の高速フーリエ変換FFTマッピングからも異なる種類の遷移金属の混合物であっても均一に分布した多孔性のナノ粒子が得られたことが分かった。

0027

つぎに、本発明の効果への加熱速度及び反応時間の影響を確かめた。すなわち、<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>について、室温から300℃に達するまで昇温速度(5.5°C/分)でゆっくりと加熱した。室温から300℃に達するための昇温時間は50分であり、反応時間は10分であった。溶媒としてはアセトニトリルを用いた。その結果、得られた複合ナノ粒子は分散されておらず、複合ナノ粒子同士が互いに紐状に連結されていた(図6参照)。

0028

これに対し、<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>について、昇温速度(500°C/分)で急速に加熱した。室温から300℃に達するための昇温時間は35秒であり、反応時間は0分であった。溶媒としてはアセトニトリルを用いた。その結果、得られた複合ナノ粒子(マリモ状の形状をもつ粒子)は比較的大きい粒径(約0.5マイクロメートル)の粒子の群と、比較的小さい粒径(約0.2マイクロメートル)の粒子の群が分散していた(図7参照)。

0029

図6及び7から、急速加熱昇温速度(500°C/分)かつ反応時間が略なしという条件が、マリモ状の形状をもつ粒子を得るために重要であることが分かった。

0030

つぎに、本発明の効果への有機添加物が及ぼす影響を確かめた。すなわち、前述のとおりの本発明の効果への加熱速度及び反応時間の影響を確かめるために<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>について行った実験の条件と、溶媒を除いて同じ条件で急速加熱を行った。図8は有機添加物のない状態で行った結果を示す。図8から分かるとおり、マリモ状の形状をもつ粒子自体が全く存在しなかった。

0031

これに対し、前述のとおりの本発明の効果への加熱速度及び反応時間の影響を確かめるために<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>について行った実験の条件と、有機添加物の量を除いて同じ条件で急速加熱を行った。図9は有機添加物(ジエチレングリコール)の量を金属塩(硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物)の量の5倍にして実験を行い、図10添加物(ジエチレングリコール)の量を金属塩(硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物)の量の32倍にして実験を行った結果を示す。

0032

結果は、図9に示されるとおり、添加物(ジエチレングリコール)の量を金属塩(硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物)の量の5倍にした場合、球状の粒子の形成が認められるものの、個々に分散していなかった。しかし、添加物(ジエチレングリコール)の量を金属塩(硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物)の量の32倍にすると、得られた複合ナノ粒子(マリモ状の形状をもつ粒子)は比較的大きい粒径(約0.6マイクロメートル)の粒子の群と、比較的小さい粒径(約0.2マイクロメートル)の粒子の群が分散していた。

0033

つぎに、前述のとおりの本発明の効果への加熱速度及び反応時間の影響を確かめるために<硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物の混合物>について行った実験の条件と、有機添加物(ジエチレングリコールの代わりにエチレングリコールを用い、その量を金属塩(硝酸マンガン六水和物と硝酸ニッケル六水和物)の量の32倍にした)を除いて同じ条件で急速加熱を行った。

0034

その結果、球状の粒子の形成が認められるものの、個々に分散していなかった。したがって、添加量が同一であれば、添加物としてはエチレングリコールの代わりにジエチレングリコールの方が優れていることが分かった。

0035

[実施形態2]
図2の(a)、(b)、(c)及び(d)から、前述の実施形態1に係る複数種の遷移金属が均一に分布した複合ナノ粒子を合成する方法によって、異種遷移金属が内部に均一複合化されたマリモ状の形状を呈してなる多孔性の遷移金属複合ナノ粒子が得られる。当該異種遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄及びマンガンからなる群から選択される2種以上である。

0036

また遷移金属複合ナノ粒子の粒径は0.2乃至0.6マイクロメートルである。

0037

[実施形態3]
前述の実施形態1に係る複数種の遷移金属が均一に分布した複合ナノ粒子を合成する方法によれば、極端な急速加熱によって触媒として利用可能な数nm以下の一次結晶の迅速な複合化が実現できる。したがって、異種遷移金属が内部に均一複合化された多孔性の遷移金属複合ナノ粒子の複合遷移金属触媒への用途が実現した。

0038

ここで、図5を参照すると、図5は本発明に基づいて作成された複合遷移金属触媒の水の触媒的酸化反応に対する電気化学性能試験(作用電極印加される電圧電流密度)について示しており、曲線(a)はCoMnOx複合触媒を備えたものであり、一方曲線(b)は触媒充填がなされていないものを示している。

0039

電気化学的性能の試験には、基準電極としてAg/AgCl、作用極としてグラッシーカーボンGC)、対極として白金電極を用いた。GC作用電極の電極面積は0.071cm2であり、触媒充填量は0.2mg/cm2とした。電解液には、0.1モルリットル水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いた。掃引速度を100mV/sとして、リニアスイープボルタンメトリー法で測定を行った。図5によれば、本発明にしたがって得られた遷移金属複合ナノ粒子(CoMnOx)を触媒として作用電極上に添加すると、作用電極に印加される電圧が0.9Vを超えるあたりから印加される電圧に比例して電流密度が増加することが分かった。

0040

以下、本発明の実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。

0041

本発明の実施例に係る急速加熱ナノ粒子合成では、2種以上の遷移金属塩を溶解したメタノール/ジエチレングリコール溶液もしくはアセトニトリル/ジエチレングリコール溶液を用いた。

0042

例として、ニッケル(Ni)−マンガン(Mn)複合ナノ粒子の合成について以下に述べる。

実施例

0043

はじめに、硝酸ニッケル(175マイクロmol)と硝酸マンガン(175マイクロmol)をメタノール/ジエチレングリコール(4.55mL)混合溶媒に溶解させた。充分に金属塩を溶解させた後、得られた前駆体溶液内容積10mLのSUS316製の反応容器に入れ、耐圧ロックネジを用いて封管した。あらかじめ300℃に加熱した溶融塩炉溶融塩硝酸ナトリウム硝酸カリウムの1:1混合物)に投入し、10分間加熱した。その後、すみやかに反応管氷水内に投入し、反応を停止した。管内部に生成した粒子を取り出し、遠心分離操作(6600回転/分)とデカンテーションにより回収した。回収した粒子は、メタノールで3回洗浄した後、減圧乾燥し目的の試料を得た。なお反応に用いる金属塩の組み合わせとしては、コバルト(Co)/マンガン(Mn)、鉄(Fe)/マンガン(Mn)、コバルト(Co)/鉄(Fe)/マンガン(Mn)などが可能である。

0044

本発明によれば、既存の方法論とは真逆の急激な加熱により反応速度を極限まで加速することで、反応性の異なる複数の遷移金属種を瞬時にナノ粒子化することを特徴としている。従来の方法論では、金属イオンごとの反応性の違いをなくすために、ナノ粒子の核生成・成長の段階で表面被覆剤・金属配位子等の添加により極端に反応性を遅くすることが常識とされてきた。

0045

本反応では、極端な急速加熱によって触媒として利用可能な数nm以下の一次結晶の迅速な複合化が実現できる。さらに、原理的には酸化還元能の異なる様々な遷移金属が適用可能であるので、多様な複合構造を設計・構築することができる。本発明により、煩雑な多段階操作を必要とせず、遷移金属複合ナノ粒子を簡便に合成することが可能となった。

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