図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2016年9月15日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
課題
解決手段
概要
背景
従来、容器に収納したまま熱水あるいは電子レンジなどの加熱手段により加熱調理して食する形態のレトルト穀物製品が種々開発されている。その中でも、米穀類の粒が型くずれせず、均質な状態のレトルト米飯の製造方法として、原料米穀を水洗、水に浸漬して原料米穀の重量を浸漬前の1.3ないし1.4倍とした後、95℃以上で蒸し、次いで前記で蒸された蒸し米を水にさらして表面のぬめりを取ると共に原料米穀の1.7〜2.0倍の重量に調整し、次いで前記調整された蒸し米の重量の14〜23%の水、調味料と共に容器に充填、密封し、加圧・加熱処理を施すことを特徴とするレトルト米飯の製造方法(特許文献1参照)がある。
しかしながら、この製造方法では、米以外の大麦等の穀物の粒の型くずれ、及び、粒同士の結着を防ぐことはできない。
また、リゾット本来の粒感が残る容器入り即食リゾットの製造方法として、水を添加吸収させていない無洗米又は生米と、デキストリンを溶解してなる調味された液状物とを容器に充填する原料充填工程と、原料充填工程後の前記容器を密封する密封工程と、密封工程後の前記容器を加熱することにより、前記容器内に充填密封された、前記無洗米又は生米と前記液状物とからなる内容物を、リゾットに調理するとともに殺菌する調理殺菌工程と、前記調理殺菌工程後に、前記リゾット入り前記容器を冷蔵する冷蔵工程とを含むことを特徴とする、常温流通可能な容器入り即食リゾットの製造方法の製造方法(特許文献2参照)がある。
しかしながら、この製造方法はリゾットに限定する物であり、穀物の粒の型くずれ、及び、粒同士の結着を防ぐことはできない。
概要
大麦の粒の型くずれがなく、粒同士がほぐれた状態のレトルト大麦加工食品を得ることを課題とする。原料大麦を水に浸漬した後、茹で処理し、次いで茹でた大麦を水洗し、静置した後、容器に充填、適度に空間を残し密封し、加圧・加熱処理を施すことを特徴とするレトルト大麦加工食品の製造方法を用いる。なし
目的
本発明は、大麦の粒の型くずれがなく、粒同士がほぐれた状態のレトルト大麦加工食品を得ることを課題とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
請求項2
前記静置工程が、−5〜15℃の雰囲気下で2〜96時間の条件で行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
請求項3
前記静置工程が、15℃を超えて50℃以下の温度範囲の雰囲気下で1〜72時間の条件で行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
請求項4
請求項5
前記充填工程時に、充填する大麦の重量の10重量%以下の水を加えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の製造方法。
請求項6
前記充填工程時の大麦の水分が60〜80重量%であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の製造方法。
請求項7
請求項1から6のいずれか一項記載の方法により製造された容器入り大麦加工食品。
技術分野
背景技術
0002
従来、容器に収納したまま熱水あるいは電子レンジなどの加熱手段により加熱調理して食する形態のレトルト穀物製品が種々開発されている。その中でも、米穀類の粒が型くずれせず、均質な状態のレトルト米飯の製造方法として、原料米穀を水洗、水に浸漬して原料米穀の重量を浸漬前の1.3ないし1.4倍とした後、95℃以上で蒸し、次いで前記で蒸された蒸し米を水にさらして表面のぬめりを取ると共に原料米穀の1.7〜2.0倍の重量に調整し、次いで前記調整された蒸し米の重量の14〜23%の水、調味料と共に容器に充填、密封し、加圧・加熱処理を施すことを特徴とするレトルト米飯の製造方法(特許文献1参照)がある。
しかしながら、この製造方法では、米以外の大麦等の穀物の粒の型くずれ、及び、粒同士の結着を防ぐことはできない。
0003
また、リゾット本来の粒感が残る容器入り即食リゾットの製造方法として、水を添加吸収させていない無洗米又は生米と、デキストリンを溶解してなる調味された液状物とを容器に充填する原料充填工程と、原料充填工程後の前記容器を密封する密封工程と、密封工程後の前記容器を加熱することにより、前記容器内に充填密封された、前記無洗米又は生米と前記液状物とからなる内容物を、リゾットに調理するとともに殺菌する調理殺菌工程と、前記調理殺菌工程後に、前記リゾット入り前記容器を冷蔵する冷蔵工程とを含むことを特徴とする、常温流通可能な容器入り即食リゾットの製造方法の製造方法(特許文献2参照)がある。
しかしながら、この製造方法はリゾットに限定する物であり、穀物の粒の型くずれ、及び、粒同士の結着を防ぐことはできない。
先行技術
0004
特許第4319598号
特許第4768702号
発明が解決しようとする課題
0005
本発明は、大麦の粒の型くずれがなく、粒同士がほぐれた状態のレトルト大麦加工食品を得ることを課題とするものである。
課題を解決するための手段
0006
上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、原料大麦を水に浸漬した後、茹で処理し、次いで茹でた大麦を水洗し、静置した後、水を加えずに、もしくは水を少量加え、容器に充填、適度に空間を残して密封し、加圧・加熱処理を施す(以下、加圧・加熱処理を施すことを「レトルト」と省略することがある)ことによって、本発明の課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
0007
原料大麦の水への浸漬は、大麦の重量が1.5〜1.8倍になるまで浸漬することが好ましい。浸漬時間としては、常温で30〜120分間程度となる。重量が1.5〜1.8倍になるまで浸漬することにより、茹で工程で得られる大麦の水分の均一化により、レトルト処理した大麦の均一な仕上がりが期待できる。
茹で工程は、茹でた大麦を水洗し、水切りした時点で、好ましくは大麦の水分量が60〜80重量%、より好ましくは大麦の水分量が65〜75重量%になるまで茹でることである。茹で後の大麦の水分が60重量%未満の場合、レトルト処理した大麦が硬くなり、食するのに適さない食感となる。茹で後の大麦の水分が80重量%を超えた場合、レトルト処理した大麦が柔らかくなり、粒同士が結着しやすくなる。
静置は、−5〜15℃の範囲の温度の雰囲気下では2〜96時間、15℃より高く50℃以下である範囲の温度の雰囲気下では1〜72時間行うのが好ましい。茹でた大麦の水分値が高いほど、静置時間を長くする必要がある。静置することによって、大麦の粒の表面の水気が取れ、レトルト処理時の粒表面の過剰な糊化を防止することができ、粒同士の結着や粒の型くずれを防ぐことができる。静置温度が50℃より高くなると大麦が軟らかくなって粒同士が結着しやすくなり、一方、−5℃より低くなると表面の水分が凍結してしまい、そのままレトルト処理すると粒表面の過剰な糊化を防止することができず、粒同士の結着や粒の型くずれを防ぐことができない。しかしながら、−5℃より低い温度の雰囲気下での冷凍後、解凍した後、表面の水気が取れるように−5〜15℃の範囲の温度の雰囲気下では2〜96時間、15℃より高く50℃以下である範囲の温度の雰囲気下では1〜72時間静置した場合、レトルト処理時の粒同士の結着や粒の型くずれを防ぐことは可能である。
容器充填時に水を加える場合は、好ましくは充填時の大麦の重量に対して10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。レトルト処理時の加水量を少なくすることにより、表面の水分が少ない状態を維持でき、粒同士の結着を防ぐことができる。充填時の大麦の水分値が高いほど、加水量を少なくする必要がある。充填時の加水量が10重量%を超えた場合、粒同士の結着や、粒の型くずれを引き起こす。
また、容器密封時に、適度に空間を残し密封することにより、容器の圧迫による大麦の粒同士の結着を防ぐことが出来る。この場合の適度な空間とは、レトルト処理後に容器が内容物の大麦を圧迫しない程度の空間を意味し、容器密封時に通常の大気により空間を確保する事でも有効だが、大麦の品質保持の面からは、窒素ガスの封入が好ましい。
発明の効果
0008
本発明により、大麦の粒の型くずれがなく、粒同士がほぐれた状態のレトルト大麦加工食品を得ることが可能となった。
0010
以下本発明の詳細を以下の実施例及び比較例で説明する。但し、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
0011
<実施例1>
搗精した大麦150gを、常温で水に1時間浸漬した後、沸騰したお湯で10分間茹で、その後、水洗し、大麦の温度が20℃になるまで粗熱を取り、水切りし、その後、5℃の雰囲気下で2時間静置した後に、130mm×200mmの大きさのパウチに120g充填し、充填した大麦の重量に対して5重量%の水を加え、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm2で10分間レトルト処理した。
0012
<実施例2〜4、比較例1、2>
静置温度及び時間が、表1に示す温度及び時間であること以外は、実施例1に準じて加工し、レトルト大麦加工食品を得た。
0013
(表1)
0014
実施例1〜4及び比較例1、2のレトルト大麦加工食品の外観の評価を行い、10名のパネラーで食感を評価した。食感について5段階評価(5点=非常に硬い、4点=硬い、3点=適度な硬さ、2点=軟らかい、1点=非常に軟らかい)を行った。10名の評価の平均値をとり、2.5点以上、3.5点以下をレトルト大麦加工食品として適当な食感であると評価した。
評価結果を表2に示す。
0015
(表2)
0016
実施例1、2即ち、茹で工程後に5℃の雰囲気下で2時間及び96時間静置することで適当な食感で、型くずれもない、ほぐれた大麦のレトルト加工品が得られた。
実施例3、4即ち、茹で工程後に30℃の雰囲気下で1時間及び72時間静置することで適当な食感で、型くずれもない、ほぐれた大麦のレトルト加工品が得られた。
比較例1、2では、粒の型くずれ、粒同士の結着があり、食感評価も3.5点を超えて硬くなり、目的の品質のレトルト大麦加工食品を得られなかった。
0017
<実施例5>
搗精した大麦150gを、常温で水に1時間浸漬した後、沸騰したお湯で20分間茹で、その後、水洗し、大麦の温度が20℃になるまで粗熱を取り、水切りし、5℃の雰囲気下で20時間静置した後に、130mm×200mmの大きさのパウチに120g充填し、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm2で10分間レトルト処理を行った。
0018
<実施例6、7、比較例3>
レトルト処理前の充填時に、表3に示す充填時の大麦の重量に対する重量%の量の水を加えること以外は、実施例5に準じて加工し、レトルト大麦加工食品を得た。
0019
(表3)
0020
実施例5〜7及び比較例3のレトルト大麦加工食品の外観の評価を行い、10名のパネラーで食感を評価した。食感について5段階評価(5点=非常に硬い、4点=硬い、3点=適度な硬さ、2点=軟らかい、1点=非常に軟らかい)を行った。10名の評価の平均値をとり、2.5点以上、3.5点以下をレトルト大麦加工食品として適当な食感であると評価した。
評価結果を表4に示す。
0021
(表4)
0022
実施例5〜7より、充填工程時の茹で後大麦の重量に対する加水量を10重量%以下にした場合、適当な食感で、型くずれもない、ほぐれた大麦のレトルト加工品が得られた。
比較例3では、粒の型くずれがあり、粒同士の結着が強く板状になり、食感評価も4.1点と硬く、この条件では、目的の品質のレトルト大麦加工食品を得られなかった。
0023
<実施例8>
搗精した大麦150gを、常温で水に1時間浸漬した後、沸騰したお湯で8分間茹で、その後、水洗し、大麦の温度が20℃になるまで粗熱を取り、水切りし、5℃の雰囲気下で20時間静置した後に、130mm×200mmの大きさのパウチに120g充填し、レトルト食品用オートクレーブ(株式会社トミー精工製)を使用し、浸漬方式により121℃、1.8kgf/cm2で10分間レトルト処理した。
0024
<実施例9〜12、比較例4、5>
パウチ充填時の大麦の水分を変えるために茹で時間を変えたこと以外は、実施例8に準じて加工し、レトルト大麦加工食品を得た。
0025
実施例8〜12、比較例4、5の茹で時間及びパウチ充填時の大麦の水分を表5に示す。
0026
(表5)
0027
実施例8〜12及び比較例4、5のレトルト大麦加工食品の外観の評価を行い、10名のパネラーで食感を評価した。食感について5段階評価(5点=非常に硬い、4点=硬い、3点=適度な硬さ、2点=軟らかい、1点=非常に軟らかい)を行った。10名の評価の平均値をとり、2.5点以上、3.5点以下をレトルト大麦加工食品として適当な食感であると評価した。
評価結果を表6に示す。
0028
(表6)
0029
実施例8〜12より、充填時の大麦の水分値が60〜80重量%の場合、適当な食感で、型くずれもない、ほぐれたレトルト大麦加工食品が得られた。
比較例4の条件では、粒の型くずれ、粒同士の結着はないが、食感の評価が4.3点と硬くなり、レトルト大麦加工食品として適当な食感ではなかった。また、比較例5の条件では、粒の型くずれ、粒同士の結着がある上、食感の評価が1.9点と軟らかかった。よって、これらの条件では目的の品質のレトルト大麦加工食品を得られなかった。