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技術 めっき方法

出願人 豊田合成株式会社
発明者 樋江井貴雄川原敦
出願日 2015年3月6日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2015-044836
公開日 2016年9月8日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2016-164294
状態 特許登録済
技術分野 電気メッキ方法,物品 化学的被覆 電気分解または電気泳動による被覆
主要キーワード 回転スペース 電気密度 アクセレータ 非導電性基材 金属外観 ニッケル被膜 無電解ニッケルめっき処理 車両用外装品
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

外観形状が良好なめっき製品を得ることができるめっき方法を提供することである。

解決手段

非導電性基材11上に導電性被膜11aを形成する無電解めっき工程と、前記非導電性基材11の形状に応じて配置される補助電極12を用いて前記導電性被膜11a上に金属被膜を形成する電解めっき工程を備えるめっき方法であって、前記無電解めっき工程では、前記非導電性基材11に前記補助電極12を位置合わせした状態で、該非導電性基材11を前記補助電極12とともに無電解めっき液21に浸漬して前記導電性被膜11aを形成し、前記電解めっき工程では、前記非導電性基材11に前記補助電極12を位置合わせした状態で該非導電性基材11を前記補助電極12とともに電解めっき液に浸漬して前記金属被膜を形成し、前記無電解めっき工程において、前記補助電極12を陽極とし、前記無電解めっき液21中に浸漬された導電部材22を陰極として通電する。

概要

背景

自動車に取り付けられるラジエータグリルバックパネルフォグカバー等、金属外観を有する車両用装飾品は、基材上に金属被膜を形成して製造されたものが多く使用されている。このような車両用装飾品を製造する方法として、合成樹脂からなる基材上に無電解めっき処理により導電性被膜を形成して導電性を付与した後、電解めっき処理により複数層の金属被膜を形成するめっき方法が知られている。

図5にそのめっき工程の一部を例示する。合成樹脂基材として、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂からなるものを使用して、まず、前処理工程により合成樹脂基材に導電性を付与する。前処理工程は、ABS樹脂基材を脱脂処理してABS樹脂基材表面に付着している油脂等を除去する脱脂工程、クロム酸等でエッチングしてABS樹脂基材表面を粗化凹凸化)するエッチング工程、無電解ニッケルめっき析出させるためのPdSn錯体等の触媒をABS樹脂基材表面に吸着させるキャタリスト工程、吸着された触媒を活性化させるアクセレータ工程、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤の存在する無電解ニッケルめっき液中で無電解ニッケルめっき処理をすることにより、ABS樹脂基材表面に導電性被膜としてのニッケル被膜を形成する無電解ニッケルめっき工程等からなる。

前処理工程により合成樹脂基材に導電性が付与された後、例えば、銅めっき工程、半光沢ニッケル(SBN)めっき工程、光沢ニッケル(BN)めっき工程、ジュールニッケル(DN)めっき工程、クロムめっき工程等の電解めっき工程を順次行う。このようにして、ニッケル被膜上に複数層の金属被膜を形成し、車両用装飾品に各種機能を付与するとともに、金属調光輝外観を付与している。

なお、これら各工程の間には、各工程で使用した薬剤が次工程に混入しないよう、複数回の洗浄工程が適宜設けられている。
このように製造される車両用装飾品では、その形状が複雑であったり、その表面に窪み部分が形成されていたりすると、電解めっき処理によって形成された金属被膜の各層の厚みが均質とならない場合がある。これは、電解めっき処理で金属被膜を形成する際、複雑な形状の内部や、窪み部分等では電気密度が低くなりやすく、当該部分での金属被膜が極端に薄くなってしまうことによる。このため、車両用装飾品全体での金属被膜が均質化されず、車両用装飾品としての外観形状が良好とはならないといった問題があった。

特許文献1に記載される電気めっき方法では、被めっき物の内部にまで均質な金属被膜を形成するために、被めっき物の内部に補助電極を配置して電解めっき処理を行うことが開示されている。補助電極を用いることで、被めっき物の内部や窪み部分等での電気密度を高くすることができ、被めっき物内部での金属被膜を被めっき物外部での金属被膜と同様の厚さに形成することができる。

しかし、このような電気めっき方法を、非導電性基材上に金属被膜を形成するめっき方法に応用する場合、電解めっき処理に先立って行う無電解めっき処理時に、補助電極にも、非導電性基材と同じように金属イオンが析出して導電層が形成されてしまって好ましくない。

図6(a)により説明すると、無電解ニッケルめっき処理時には、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤の存在する無電解ニッケルめっき液300中での酸化還元反応により、ABS樹脂基材100上には導電性被膜としてのニッケル被膜101が形成される。無電解ニッケルめっき処理前の各工程で、ABS樹脂基材100の形状に合わせて配置された補助電極200にも、ABS樹脂基材100とともに前処理がなされると、補助電極200の表面が改質されて、導電層としてのニッケル被膜201が同様に形成される。

図6(b)に示すように、無電解ニッケルめっき処理に続く銅めっき処理では、銅めっき液400中に浸漬された陽極500とともに、補助電極200を陽極に接続し、陰極側のABS樹脂基材100との間で通電する。補助電極200がプラスに荷電することにより、補助電極200上に形成されたニッケル被膜201が剥離し、マイナスに荷電したABS樹脂基材100の表面に、剥離したニッケル被膜201が付着することがある。このため、ABS樹脂基材100のニッケル被膜101上に剥離片による突起物202が形成された状態で、銅めっき層102が形成されることになる。また、その後の半光沢ニッケル(SBN)めっき処理、光沢ニッケル(BN)めっき処理、ジュールニッケル(DN)めっき処理、クロムめっき処理等の各電解めっき処理においても、突起物202の上に各金属被膜が積層されることになる。このため、得られた車両用装飾品の表面が平滑とならず、その外観形状が悪化してしまうことがあった。

一方、特許文献2に記載のめっき方法では、補助電極を用いずに、被めっき物の内外に亘って均質な被膜を形成することが開示されている。ここでは、被めっき物を、外部と連通し落下防止した回転自在な支持体に設けたセル内に個別に配置し、支持体を一定方向に回転させることで電気めっき処理をしている。

概要

外観形状が良好なめっき製品を得ることができるめっき方法を提供することである。非導電性基材11上に導電性被膜11aを形成する無電解めっき工程と、前記非導電性基材11の形状に応じて配置される補助電極12を用いて前記導電性被膜11a上に金属被膜を形成する電解めっき工程を備えるめっき方法であって、前記無電解めっき工程では、前記非導電性基材11に前記補助電極12を位置合わせした状態で、該非導電性基材11を前記補助電極12とともに無電解めっき液21に浸漬して前記導電性被膜11aを形成し、前記電解めっき工程では、前記非導電性基材11に前記補助電極12を位置合わせした状態で該非導電性基材11を前記補助電極12とともに電解めっき液に浸漬して前記金属被膜を形成し、前記無電解めっき工程において、前記補助電極12を陽極とし、前記無電解めっき液21中に浸漬された導電部材22を陰極として通電する。

目的

本発明は、従来の技術に存在するこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、大型な装置を必要とせず、外観形状が良好なめっき製品を得ることができるめっき方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

非導電性基材上に導電性被膜を形成する無電解めっき工程と、前記非導電性基材の形状に応じて配置される補助電極を用いて前記導電性被膜上に金属被膜を形成する電解めっき工程を備えるめっき方法であって、前記無電解めっき工程では、前記非導電性基材に前記補助電極を位置合わせした状態で、該非導電性基材を前記補助電極とともに無電解めっき液に浸漬して前記導電性被膜を形成し、前記電解めっき工程では、前記非導電性基材に前記補助電極を位置合わせした状態で該非導電性基材を前記補助電極とともに電解めっき液に浸漬して前記金属被膜を形成し、前記無電解めっき工程において、前記補助電極を陽極とし、前記無電解めっき液中に浸漬された導電部材陰極として通電することを特徴とするめっき方法。

請求項2

前記無電解めっき工程において、前記導電部材をイオン交換膜被覆し、該イオン交換膜の内部を金属イオンを含まない電解液で満たす請求項1に記載のめっき方法。

請求項3

前記非導電性基材と前記補助電極とを冶具に連結して一体物とし、前記無電解めっき工程、前記電解めっき工程の各工程間で、前記一体物を移動させる請求項1又は2に記載のめっき方法。

請求項4

基材上に導電性被膜を形成する前処理工程と、前記基材の形状に応じて配置される補助電極を用いて前記導電性被膜上に金属被膜を形成する電解めっき工程と、前記前処理工程と前記電解めっき工程との間で行われる洗浄工程を備えるめっき方法であって、前記前処理工程では、前記基材に前記補助電極を位置合わせした状態で該基材上に前記導電性被膜を形成し、前記洗浄工程では、前記基材に前記補助電極を位置合わせした状態で、該基材を補助電極とともに洗浄液に浸漬し、前記電解めっき工程では、前記基材に前記補助電極を位置合わせした状態で、該基材を補助電極とともに電解めっき液に浸漬し、かつ、前記補助電極を陽極側に接続して前記導電性被膜上に前記金属被膜を形成し、前記洗浄工程において、前記補助電極を陽極とし、前記洗浄液中に浸漬された導電部材を陰極として通電することを特徴とするめっき方法。

請求項5

前記洗浄工程において、前記洗浄液を酸性電解液で構成する請求項4に記載のめっき方法。

請求項6

前記基材は合成樹脂材料からなる非導電性基材であり、前記前処理工程は、無電解めっき工程を備える請求項4又は5に記載のめっき方法。

請求項7

前記基材と前記補助電極とを冶具に連結して一体物とし、前記前処理工程、前記洗浄工程、前記電解めっき工程の各工程間で、前記一体物を移動させる請求項4乃至6のいずれか一項に記載のめっき方法。

技術分野

0001

この発明は、基材上に金属被膜を形成するめっき方法に関するものである。

背景技術

0002

自動車に取り付けられるラジエータグリルバックパネルフォグカバー等、金属外観を有する車両用装飾品は、基材上に金属被膜を形成して製造されたものが多く使用されている。このような車両用装飾品を製造する方法として、合成樹脂からなる基材上に無電解めっき処理により導電性被膜を形成して導電性を付与した後、電解めっき処理により複数層の金属被膜を形成するめっき方法が知られている。

0003

図5にそのめっき工程の一部を例示する。合成樹脂基材として、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂からなるものを使用して、まず、前処理工程により合成樹脂基材に導電性を付与する。前処理工程は、ABS樹脂基材を脱脂処理してABS樹脂基材表面に付着している油脂等を除去する脱脂工程、クロム酸等でエッチングしてABS樹脂基材表面を粗化凹凸化)するエッチング工程、無電解ニッケルめっき析出させるためのPdSn錯体等の触媒をABS樹脂基材表面に吸着させるキャタリスト工程、吸着された触媒を活性化させるアクセレータ工程、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤の存在する無電解ニッケルめっき液中で無電解ニッケルめっき処理をすることにより、ABS樹脂基材表面に導電性被膜としてのニッケル被膜を形成する無電解ニッケルめっき工程等からなる。

0004

前処理工程により合成樹脂基材に導電性が付与された後、例えば、銅めっき工程、半光沢ニッケル(SBN)めっき工程、光沢ニッケル(BN)めっき工程、ジュールニッケル(DN)めっき工程、クロムめっき工程等の電解めっき工程を順次行う。このようにして、ニッケル被膜上に複数層の金属被膜を形成し、車両用装飾品に各種機能を付与するとともに、金属調光輝外観を付与している。

0005

なお、これら各工程の間には、各工程で使用した薬剤が次工程に混入しないよう、複数回の洗浄工程が適宜設けられている。
このように製造される車両用装飾品では、その形状が複雑であったり、その表面に窪み部分が形成されていたりすると、電解めっき処理によって形成された金属被膜の各層の厚みが均質とならない場合がある。これは、電解めっき処理で金属被膜を形成する際、複雑な形状の内部や、窪み部分等では電気密度が低くなりやすく、当該部分での金属被膜が極端に薄くなってしまうことによる。このため、車両用装飾品全体での金属被膜が均質化されず、車両用装飾品としての外観形状が良好とはならないといった問題があった。

0006

特許文献1に記載される電気めっき方法では、被めっき物の内部にまで均質な金属被膜を形成するために、被めっき物の内部に補助電極を配置して電解めっき処理を行うことが開示されている。補助電極を用いることで、被めっき物の内部や窪み部分等での電気密度を高くすることができ、被めっき物内部での金属被膜を被めっき物外部での金属被膜と同様の厚さに形成することができる。

0007

しかし、このような電気めっき方法を、非導電性基材上に金属被膜を形成するめっき方法に応用する場合、電解めっき処理に先立って行う無電解めっき処理時に、補助電極にも、非導電性基材と同じように金属イオンが析出して導電層が形成されてしまって好ましくない。

0008

図6(a)により説明すると、無電解ニッケルめっき処理時には、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤の存在する無電解ニッケルめっき液300中での酸化還元反応により、ABS樹脂基材100上には導電性被膜としてのニッケル被膜101が形成される。無電解ニッケルめっき処理前の各工程で、ABS樹脂基材100の形状に合わせて配置された補助電極200にも、ABS樹脂基材100とともに前処理がなされると、補助電極200の表面が改質されて、導電層としてのニッケル被膜201が同様に形成される。

0009

図6(b)に示すように、無電解ニッケルめっき処理に続く銅めっき処理では、銅めっき液400中に浸漬された陽極500とともに、補助電極200を陽極に接続し、陰極側のABS樹脂基材100との間で通電する。補助電極200がプラスに荷電することにより、補助電極200上に形成されたニッケル被膜201が剥離し、マイナスに荷電したABS樹脂基材100の表面に、剥離したニッケル被膜201が付着することがある。このため、ABS樹脂基材100のニッケル被膜101上に剥離片による突起物202が形成された状態で、銅めっき層102が形成されることになる。また、その後の半光沢ニッケル(SBN)めっき処理、光沢ニッケル(BN)めっき処理、ジュールニッケル(DN)めっき処理、クロムめっき処理等の各電解めっき処理においても、突起物202の上に各金属被膜が積層されることになる。このため、得られた車両用装飾品の表面が平滑とならず、その外観形状が悪化してしまうことがあった。

0010

一方、特許文献2に記載のめっき方法では、補助電極を用いずに、被めっき物の内外に亘って均質な被膜を形成することが開示されている。ここでは、被めっき物を、外部と連通し落下防止した回転自在な支持体に設けたセル内に個別に配置し、支持体を一定方向に回転させることで電気めっき処理をしている。

先行技術

0011

特開2001−073198号公報
特開2004−068107号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかし、特許文献2に記載のめっき方法では、支持体を回転させる回転機構が必要な上、複数形成された各セル内に、複数の被めっき物を個別に配置するための大きな回転スペースが必要であり、装置が大型かつ複雑になってしまうといった問題があった。

0013

本発明は、従来の技術に存在するこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、大型な装置を必要とせず、外観形状が良好なめっき製品を得ることができるめっき方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

請求項1に記載の発明は、非導電性基材上に導電性被膜を形成する無電解めっき工程と、前記非導電性基材の形状に応じて配置される補助電極を用いて前記導電性被膜上に金属被膜を形成する電解めっき工程を備えるめっき方法であって、前記無電解めっき工程では、前記非導電性基材に前記補助電極を位置合わせした状態で、該非導電性基材を前記補助電極とともに無電解めっき液に浸漬して前記導電性被膜を形成し、前記電解めっき工程では、前記非導電性基材に前記補助電極を位置合わせした状態で該非導電性基材を前記補助電極とともに電解めっき液に浸漬して前記金属被膜を形成し、前記無電解めっき工程において、前記補助電極を陽極とし、前記無電解めっき液中に浸漬された導電部材陰極として通電することを要旨とする。

0015

無電解めっき処理を非導電性基材に補助電極を位置合わせした状態で行うと、非導電性基材とともに補助電極も無電解めっき液に浸漬されて、無電解めっき液中に溶解している金属イオンに晒される。この点、上記構成によれば、無電解めっき処理時に、導電部材を陰極とし補助電極を陽極として通電していることから、補助電極はプラスに荷電し、補助電極へ金属イオンが近づくことが抑制され、補助電極上に金属が析出することが抑制される。これにより、補助電極上に導電層が形成されにくくなり、導電層が形成された補助電極の電解めっき工程への持ち込みを回避することができる。無電解めっき工程に続く電解めっき工程では、導電層が表面に形成されていない状態の補助電極を使用することができ、電解めっき処理中に導電層が剥離する事態を抑制することができる。非導電性基材に形成された導電性被膜の表面に、補助電極から剥離された導電層に起因する突起物が形成されることが抑制され、外観形状が良好なめっき製品を得ることができる。

0016

請求項2に記載の発明は、前記無電解めっき工程において、前記導電部材をイオン交換膜被覆し、該イオン交換膜の内部を金属イオンを含まない電解液で満たすことを要旨とする。

0017

上記構成によれば、無電解めっき液中に浸漬された導電部材への金属イオンの析出を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、前記非導電性基材と前記補助電極とを冶具に連結して一体物とし、前記無電解めっき工程、前記電解めっき工程の各工程間で、前記一体物を移動させることを要旨とする。

0018

上記構成によれば、非導電性基材と補助電極とを冶具に連結した一体物を各工程間で移動させることができる。非導電性基材と補助電極の移動、設置が容易であり、作業性が向上する。また、非導電性基材と補助電極とを連結した一体物を無電解めっき処理しても、補助電極上に導電層が形成されることが抑制されることから、導電性被膜上へ突起物が形成されることが抑制される。

0019

請求項4に記載の発明は、基材上に導電性被膜を形成する前処理工程と、前記基材の形状に応じて配置される補助電極を用いて前記導電性被膜上に金属被膜を形成する電解めっき工程と、前記前処理工程と前記電解めっき工程との間で行われる洗浄工程を備えるめっき方法であって、前記前処理工程では、前記基材に前記補助電極を位置合わせした状態で該基材上に前記導電性被膜を形成し、前記洗浄工程では、前記基材に前記補助電極を位置合わせした状態で、該基材を補助電極とともに洗浄液に浸漬し、前記電解めっき工程では、前記基材に前記補助電極を位置合わせした状態で、該基材を補助電極とともに電解めっき液に浸漬し、かつ、前記補助電極を陽極側に接続して前記導電性被膜上に前記金属被膜を形成し、前記洗浄工程において、前記補助電極を陽極とし、前記洗浄液中に浸漬された導電部材を陰極として通電することを要旨とする。

0020

前処理工程では、基材に補助電極を位置合わせした状態で該基材上に導電性被膜を形成しているため、基材上に導電性被膜が形成されるのみならず、補助電極上にも導電層が形成されることがある。導電層が表面に形成された補助電極を電解めっき工程で使用すると、電解めっき処理中に導電層が剥離し、マイナスに荷電した被めっき物表面に付着して突起物を形成することがある。この点、上記構成によれば、洗浄工程において、補助電極を陽極とし、洗浄液に浸漬された導電部材を陰極として通電するため、補助電極に形成された導電層を剥離することができる。これにより、導電層が形成された補助電極の電解めっき工程への持ち込みを抑制することができる。電解めっき工程では、表面に導電層が形成されていない補助電極を使用することができ、電解めっき処理中に導電層が剥離する事態を抑制することができる。基材の導電性被膜の上に、補助電極から剥離された導電層に起因する突起物が形成されることが抑制され、外観形状が良好なめっき製品を得ることができる。

0021

請求項5に記載の発明は、前記洗浄工程において、前記洗浄液を酸性電解液で構成することを要旨とする。
上記構成によれば、補助電極からの導電層の剥離を効率的に行うことができる。

0022

請求項6に記載の発明は、前記基材は合成樹脂材料からなる非導電性基材であり、前記前処理工程は、無電解めっき工程を備えることを要旨とする。
合成樹脂基材からなる非導電性基材に、無電解めっき処理によって導電性を付与する際、非導電性基材に補助電極を位置合わせした状態で無電解めっき処理を行うと、非導電性基材とともに補助電極も無電解めっき液に浸漬されて、非導電性基材上には導電性被膜が形成され、補助電極上にも導電層が形成される。この点、上記構成によれば、補助電極上に形成された導電層が、洗浄工程において剥離される。これにより、電解めっき工程への導電層の持ち込みが抑制され、電解めっき処理中に導電層が剥離する事態を抑制することができる。

0023

請求項7に記載の発明は、前記基材と前記補助電極とを冶具に連結して一体物とし、前記前処理工程、前記洗浄工程、前記電解めっき工程の各工程間で、前記一体物を移動させることを要旨とする。

0024

上記構成によれば、基材と補助電極とを冶具に連結した一体物を各工程間で移動させることができる。基材と補助電極の移動、設置が容易であり、作業性が向上する。また、基材と補助電極とを連結した一体物に前処理を施して補助電極上に導電層が形成されたとしても、電解めっき工程の前に、補助電極表面から導電層が剥離されることから、導電性被膜の上へ突起物が形成されることが抑制される。

発明の効果

0025

本発明によれば、大型な装置を必要とせず、外観形状が良好なめっき製品を得ることができる。

図面の簡単な説明

0026

第一実施形態での無電解めっき工程を説明する図。(a)は、無電解めっき前の状態を示す図。(b)は、無電解めっき処理の状態を示す図。
無電解めっき工程後の電解めっき工程を説明する図。
第二実施形態での無電解めっき工程と、無電解めっき工程後の洗浄工程を説明する図。(a)は、無電解めっき処理の状態を示す図。(b)は、無電解めっき工程後の洗浄処理前の状態を示す図。(c)は、無電解めっき工程後の洗浄処理の状態を示す図。
実験1の説明図。
樹脂基材上に金属被膜を形成する工程を説明する図。
従来の電気めっき工程を説明する図。
実験2で洗浄液について検討した結果を示す図。(a)は、洗浄液として水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合。(b)は、洗浄液として硫酸を使用した場合。
実験2で補助電極表面の金属ニッケル剥離性について検討した結果を示す図。(a)は、洗浄液として0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合。(b)は、洗浄液として0.1mol/L硫酸を使用した場合。

0027

(第一実施形態)
以下、この発明を具体化した第一実施形態のめっき方法について説明する。ここでは、ABS樹脂からなる非導電性基材上に導電性被膜を形成して導電性を付与する無電解めっき工程と、導電性被膜上に各種機能を備えた金属被膜を積層する複数回の電解めっき工程とを備えた従来公知のめっき方法を例に挙げて説明する。本実施形態では、無電解めっき工程に特徴があることから、無電解めっき工程として無電解ニッケルめっき工程を例に挙げ、この部分を中心に説明する。なお、無電解めっきの種類、基材の材質等は、ここで説明する内容に限定されるものではなく、適宜変更することができる。

0028

図1(a)に示すように、ABS樹脂からなる非導電性基材11は、表面に凹凸、窪み等が存在する形状に形成されているものとする。非導電性基材11は、補助電極12とともに冶具13に連結されて一体化され、一体物1を構成している。補助電極12は、無電解ニッケルめっき工程に続く電解めっき工程において、非導電性基材11内部における電流密度を確保するため、非導電性基材11の凹部、窪み等に位置合わせされて連結されている。ここで、補助電極12の材質は特に限定されないが、チタンプラチナ等の不溶性電極を用いることが好ましい。

0029

非導電性基材11及び補助電極12は、非導電性基材11に導電性を付与する無電解ニッケルめっき工程を含む前処理工程、及びその後の電解めっき工程に供される。前処理工程とは、ABS樹脂基材を脱脂処理してABS樹脂基材表面に付着している油脂等を除去する脱脂工程、クロム酸等でエッチングしてABS樹脂基材表面を粗化(凹凸化)するエッチング工程、無電解ニッケルめっきを析出させるためのPdSn錯体等の触媒をABS樹脂基材表面に吸着させるキャタリスト工程、吸着された触媒を活性化させるアクセレータ工程、及び無電解ニッケルめっき工程を含む従来公知の工程として構成される。前処理工程及び電解めっき工程に含まれる各工程の間には、必要に応じて複数回の洗浄工程が設けられる。これら工程のすべてにおいて、非導電性基材11、補助電極12、及び冶具13が連結されて一体化された一体物1を、連結状態で移動させる。

0030

図1(a)に示すように、無電解ニッケルめっき槽2内は、無電解ニッケルめっき液21で満たされている。無電解ニッケルめっき液21は、従来公知の組成のものを使用することができる。また、無電解ニッケルめっき槽2の側壁には、金属電解板22があらかじめ固定されている。図1(a)では、金属電解板22が1箇所に設けられていることが示されているが、複数箇所に設けられていてもよく、その配設位置も特に限定されない。金属電解板22は、イオン交換膜23で被覆され、イオン交換膜23の内部は、金属イオンを含まない電解液24で満たされている。

0031

金属電解板22の材質は、不溶性電極として用いられる従来公知の金属板を使用することができる。例えば、ステンレス鋼白金イリジウム合金等が挙げられる。
イオン交換膜23は、無電解ニッケルめっき液21中のニッケルイオンが金属電解板22に付着することを抑制するために設けられていることから、金属イオン(本実施形態では、ニッケルイオン)を通さない孔径を有するものを選択する。イオン交換膜23としては、陽イオン交換膜陰イオン交換膜等従来公知のものを使用することができる。例えば、スルホ化されたテトラフルオロエチレンを基にしたフッ素樹脂の共重合体であるナフィオンを材料とした陽イオン交換膜を好適に挙げることができる。

0032

イオン交換膜23の内部に満たされている電解液24は、従来公知の電解液を使用することができる。酸性電解液であってもアルカリ性電解液であってもよい。電解液24は、無電解ニッケルめっき液21の液性に応じて選択することもできる。例えば、無電解ニッケルめっき液21が酸性めっき浴である場合は、硫酸等酸性のものを使用し、無電解ニッケルめっき液21がアルカリ性めっき浴である場合は、アンモニア水等アルカリ性のものを選択してもよい。また、無電解ニッケルめっき液21と同じ組成で、かつ、ニッケルイオンを含まないものを電解液24としてもよい。

0033

図1(b)に示すように、脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程を経た一体物1を、無電解ニッケルめっき液21が満たされた無電解ニッケルめっき槽2内に入れ、無電解ニッケルめっき処理を行う。無電解ニッケルめっき処理により、非導電性基材11上には導電性被膜11aが形成されて、合成樹脂等からなる非導電性基材11に導電性が付与される。

0034

本実施形態では、無電解ニッケルめっき処理の際、補助電極12を陽極とし、無電解ニッケルめっき液21に浸漬された金属電解板22を陰極として通電する。この通電により、補助電極12はプラスに荷電し、無電解ニッケルめっき液21中のニッケルイオンが電気的に反発することから、補助電極12上に金属ニッケルが析出することが抑制される。

0035

なお、補助電極12への通電は、一体物1が無電解ニッケルめっき液21に浸漬されている間、常時通電されていることが好ましい。また、印加電圧は、補助電極12へ金属ニッケルを析出させないことを基準として、無電解(ニッケル)めっき液21の組成、補助電極12の材質、電解液24の組成等に応じて適宜設定する。

0036

無電解ニッケルめっき工程を経た一体物1は、その表面に付着した無電解ニッケルめっき液21を洗い流すため、1回乃至複数回の洗浄工程を経て、電解めっき工程に供される。電解めっき工程及び洗浄工程は、従来公知の方法で行うことができる。また、電解めっき工程は、付与すべき金属被膜の特性、機能に応じて適宜選択することができる。

0037

次に、本実施形態のめっき方法の作用について説明する。
非導電性基材11は、脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程等の一連の工程を経た後、無電解ニッケルめっき処理がなされる。したがって、非導電性基材11の表面は粗化されているとともに、表面に吸着された触媒が活性化して、無電解ニッケルめっき工程において、金属ニッケルが析出しやすい表面形状となっている。無電解ニッケルめっき液21に浸漬された非導電性基材11の表面には、無電解ニッケルめっき液21中に溶解しているニッケルイオンが吸着し、金属ニッケルとして析出する。これにより、非導電性基材11上には、非導電性基材11に導電性を付与する導電性被膜11aが形成される。

0038

一方、補助電極12にも、非導電性基材11とともに冶具13に一体に連結された一体物1として、脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程、無電解ニッケルめっき処理等の一連の前処理工程がなされる。したがって、一体物1として非導電性基材11とともに表面処理された補助電極12の表面も改質されている。

0039

しかし、補助電極12は、無電解ニッケルめっき液21に浸漬された状態で、陽極に接続されてプラスに荷電している。補助電極12の表面が、金属ニッケルが析出しやすい表面形状となっていても、ニッケルイオンが電気的に反発して近づけない。このため、補助電極12の表面への金属ニッケルの析出が抑制され、導電層の形成が抑制される。

0040

図2により、無電解ニッケルめっき工程の後の、電解めっき工程について説明する。電解めっき処理として例えば、銅めっきを行う場合、銅めっき液41で満たされた銅めっき槽4に一体物1を浸漬する。そして、銅めっき液41中に配設された銅板42及び補助電極12を陽極に接続し、非導電性基材11を陰極に接続して通電する。これにより、非導電性基材11の導電性被膜11a上には、銅が析出して金属被膜(銅被膜)11bが形成される。

0041

本実施形態の補助電極12は、無電解ニッケルめっき工程において、その表面に金属ニッケルが析出せず、導電層が形成されていないことから、プラスに荷電した補助電極12から金属ニッケルが剥離することがない。このため、銅めっき工程において、マイナスに荷電した非導電性基材11の導電性被膜11a上に、金属ニッケルの剥離による突起物の形成が抑制される。非導電性基材11の導電性被膜11aの上には、平滑な銅被膜11bが形成される。

0042

本実施形態のめっき方法では、次に示す効果を得ることができる。
(1)無電解ニッケルめっき工程において、非導電性基材11には、導電性被膜11aが形成される一方、プラスに荷電している補助電極12には、金属ニッケルの析出が抑制されて導電層が形成されない。非導電性基材11にのみ選択的に金属ニッケルを析出させることができる。そして、導電性被膜が形成されていない補助電極12によれば、後に続く電解めっき工程への、金属ニッケルが析出した状態の補助電極12の持ち込みが回避される。したがって、無電解ニッケルめっき工程に続く電解めっき工程において、補助電極12を陽極側に接続し、非導電性基材11を陰極側に接続して通電しても、補助電極12から金属ニッケルが剥離する事態が回避される。非導電性基材11の導電性被膜11a上に、剥離片の付着による突起物の形成が抑制される。

0043

(2)従来のめっき方法で使用していた無電解ニッケルめっき槽2内に金属電解板22とイオン交換膜23とともに配設し、無電解ニッケルめっき液21中に浸漬された補助電極12と金属電解板22との間で導電することにより、効率的に金属ニッケルの析出を抑制することができる。従来の設備に大きな改変を加えることなく、外観形状に優れた車両用外装品を容易に得ることができる。コスト的にも有利である。

0044

(3)非導電性基材11と補助電極12とを冶具13に一体に連結して一体物1として構成していることから、各工程の間で非導電性基材11及び補助電極12を移動させることが容易である。一連の工程の最初に、非導電性基材11と補助電極12とを冶具13に一体化させて一体物1を調整することで、その後の各工程において、非導電性基材11に対して補助電極12を位置合わせする必要がなく、作業性が向上する。

0045

(第二実施形態)
次に、この発明を具体化した第二実施形態のめっき方法について説明する。ここでは、ABS樹脂からなる非導電性基材上に導電性被膜を形成して導電性を付与する無電解めっき工程と、各種機能を備えた金属被膜を積層する複数回の電解めっき工程とを備えた従来公知のめっき方法を例に挙げて説明する。本実施形態では、無電解めっき工程後の洗浄工程に特徴があることから、無電解めっき工程として無電解ニッケルめっき工程を例に挙げ、無電解ニッケルめっき工程、及び無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程を中心に説明する。また、第一実施形態と共通する部材については、同じ部材番号を付して説明する。なお、無電解めっきの種類、基材の材質等は、ここで説明する内容に限定されるものではなく、適宜変更することができる。

0046

図3(a)に示すように、ABS樹脂からなる非導電性基材11は、表面に凹凸、窪み等が存在する形状に形成されているものとする。非導電性基材11は、補助電極12とともに冶具13に連結されて一体化され、一体物1を構成している。補助電極12は、無電解ニッケルめっき工程に続く電解めっき工程において、非導電性基材11内部における電流密度を確保するため、非導電性基材11の凹部、窪み等に位置合わせされて連結されている。ここで、補助電極12の材質は特に限定されないが、チタン、プラチナ等の不溶性電極を用いることが好ましい。

0047

非導電性基材11及び補助電極12は、非導電性基材11に導電性を付与する無電解ニッケルめっき工程を含む前処理工程、前処理工程後の1回乃至複数回の洗浄工程、及びその後の電解めっき工程に供される。前処理工程とは、脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程、無電解ニッケルめっき工程を含む従来公知の工程として構成される。前処理工程及び電解めっき工程の各工程の間には、前処理工程後の1回乃至複数回の洗浄工程以外にも、必要に応じて1回乃至複数回の洗浄工程が設けられる。これら工程のすべてにおいて、非導電性基材11、補助電極12、及び冶具13が連結されて一体化された一体物1を、連結状態で移動させる。

0048

図3(a)に示すように、無電解ニッケルめっき槽25内は、無電解ニッケルめっき液21で満たされている。本実施形態では、第一実施形態と異なり、無電解ニッケルめっき槽25内には、金属電解板、イオン交換膜が存在しない、無電解ニッケルめっき槽25としては、従来公知の構成のものを使用することができる。また、無電解ニッケルめっき液21も、従来公知の組成のものを使用することができる。

0049

脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程等の一連の工程を経た一体物1を、無電解ニッケルめっき液21が満たされた無電解ニッケルめっき槽25内に入れ、無電解ニッケルめっき処理を行う。これら一連の工程により、非導電性基材11の表面は粗化されているとともに、表面に吸着された触媒が活性化している。また、補助電極12の表面も改質されている。したがって、無電解ニッケルめっき処理により、非導電性基材11上には、金属ニッケルが析出して導電性被膜11aが形成される一方、補助電極12上にも、金属ニッケルが析出して導電層12aが形成される。

0050

図3(b)に示すように、無電解ニッケルめっき処理がされた一体物1は、その表面に付着した無電解ニッケルめっき液21等を洗い流すため、洗浄液31で満たされた洗浄槽3に入れられる。本実施形態の洗浄液31としては、電解質が溶解した電解液を使用する。洗浄液31に含まれる電解質としては従来公知のものを選択することができるが、水酸化ナトリウム塩化ナトリウム、硫酸、硫酸カリウム等を例示することができる。また、洗浄液31における電解質濃度は、適宜設定することができるが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液の場合、0.1mol/L以上、硫酸の場合、0.05mol/L以上であることが好ましい。

0051

洗浄槽3には、その側壁に金属電解板32があらかじめ固定されている。洗浄槽3内に配設される金属電解板32の材質は、特に限定されず、従来公知の金属板を使用することができる。例えば、ステンレス鋼、白金−イリジウム合金等が挙げられる。図3(b)では、金属電解板32が1箇所に設けられていることが示されているが、複数箇所に設けられていてもよく、その配設位置は特に限定されない。

0052

図3(c)に示すように、無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程では、洗浄液31で満たされた洗浄槽3内に一体物1を入れ、補助電極12を陽極とし、金属電解板32を陰極として通電する。補助電極12がプラスに荷電することにより、無電解ニッケルめっき処理で補助電極12上に析出した金属ニッケルは、補助電極12から剥離して、洗浄液31中に浮遊する。

0053

通電は、一体物1が洗浄液31に浸漬されている間、常時通電されていることが好ましい。通電を続けることにより、補助電極12上から析出した金属ニッケルのほぼ全部が剥離し、補助電極12上に形成された導電層12aをほぼ消失させることができる。また、印加電圧は、補助電極12から金属ニッケルを剥離させることを基準として、補助電極12の材質、洗浄液31の組成等に応じて適宜設定する。

0054

このようにして、本実施形態の無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程では、一体物1に付着した無電解ニッケルめっき液21等の洗浄と、補助電極12上に形成された導電層12aの剥離とが同時に行われる。無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程は、補助電極12上の導電層12aの剥離を兼ねる洗浄工程に続いて、一体物1に付着した洗浄液31を洗浄するための洗浄工程をさらに行うことが好ましい。

0055

複数回の洗浄工程を経た一体物1は、電解めっき工程に供される。電解めっき工程は、付与すべき金属被膜の特性、機能に応じて適宜選択して行うことができ、それぞれ従来公知の方法で行うことができる。

0056

次に、本実施形態のめっき方法の作用について説明する。
非導電性基材11及び補助電極12は、冶具13に一体に連結されて、脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程等の一連の工程を経た後、無電解ニッケルめっき処理がなされる。そのため、非導電性基材11の表面は粗化されているとともに、表面に吸着された触媒が活性化して、無電化ニッケルめっき工程において、金属ニッケルが析出しやすい表面状態となっている。また、一体物1として非導電性基材11とともに表面処理された補助電極12の表面も改質されている。このため、無電解ニッケルめっき液21に浸漬された非導電性基材11及び補助電極12の表面には、無電解ニッケルめっき液21中に溶解しているニッケルイオンが吸着し、金属ニッケルとして析出する。これにより、非導電性基材11上には、非導電性基材11に導電性を付与する導電性被膜11aが形成されるとともに、補助電極12上には、導電層12aが形成される。

0057

導電層12aが形成された補助電極12は、無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程において、陽極側に接続され、金属電解板32を陰極として通電される。この通電により補助電極12はプラスに荷電し、補助電極12の表面に析出した金属ニッケルが剥離する。補助電極12へ通電を続けることで導電層12aがほぼ消失する。

0058

図2に示すように、無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程を経た一体物1は、補助電極12上の導電層12aがほぼ消失した状態で電解めっき工程に供される。電解めっき工程として例えば、銅めっきを行う場合、銅めっき液41で満たされた銅めっき槽4に一体物1を浸漬する。そして、銅めっき液41中に配設された銅板42及び補助電極12を陽極に接続し、非導電性基材11を陰極に接続して通電する。これにより、非導電性基材11の導電性被膜11a上には、銅が析出して金属被膜(銅被膜)11bが形成される。本実施形態の補助電極12は、洗浄槽3での洗浄工程を経ることにより、導電層12aがほぼ消失していることから、プラスに荷電した補助電極12からの金属ニッケルの剥離が起こらない。このため、銅めっき工程において、マイナスに荷電した非導電性基材11の導電性被膜11a上に、金属ニッケルの剥離による突起物の形成が抑制される。非導電性基材11の導電性被膜11aの上には、平滑な銅被膜11bが形成される。

0059

本実施形態のめっき方法では、第一実施形態の(2)に加えて、次に示す効果を得ることができる。
(4)非導電性基材11及び補助電極12が一体化された状態で、脱脂工程、エッチング工程、キャタリスト工程、アクセレータ工程、無電解ニッケルめっき工程等の一連の前処理が行われることから、非導電性基材11上には、導電性被膜11aが形成され、補助電極12上には、導電層12aが形成される。しかし、無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程では、洗浄液31中に浸漬された補助電極12をプラスに荷電しているため、補助電極12上に付着された金属ニッケルが剥離して導電層12aがほぼ消失する。これにより、非導電性基材11にのみ選択的に導電性被膜11aが形成された状態となり、電解めっき工程への、金属ニッケルが析出した補助電極12の持ち込みが回避される。したがって、その後に続く電解めっき工程において、補助電極12を陽極側に接続し、非導電性基材11を陰極側に接続して通電しても、補助電極12から金属ニッケルが剥離する事態が回避され、非導電性基材11の導電性被膜11a上に、剥離片の付着による突起物の形成が抑制される。

0060

(5)従来のめっき方法で使用していた洗浄槽3内に金属電解板32を配設し、洗浄液31中に浸漬された補助電極12と金属電解板32との間で導電することにより、効率的に金属ニッケルを剥離することができる。従来の設備に大きな改変を加えることなく、外観形状に優れた車両用外装品を容易に得ることができ、コスト的にも有利である。

0061

なお、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。また、以下の態様を組み合わせて実施してもよい。
・ 上記各実施形態では、無電解めっき工程として、無電解ニッケルめっき処理を例に挙げて説明したが、無電解銅めっき処理でもよく、或いは、他の無電解めっき処理でもよい。

0062

・ また、第二実施形態では、非導電性基材11に導電性を付与するために無電解ニッケルめっき工程を例に挙げて説明したが、無電解めっき工程により導電性を付与することに限られない。スパッタリング金属蒸着により非導電性基材11に導電性を付与してもよい。この場合、非導電性基材11ではなく、金属等の導電性基材を使用してもよい。

0063

・ 第一実施形態と第二実施形態とを組み合わせてもよい。つまり、無電解ニッケルめっき工程で、無電解ニッケルめっき槽2中に金属電解板22をイオン交換膜23とともに配設して通電し、洗浄工程で、洗浄槽3中に金属電解板32を配設して通電する構成としてもよい。これにより、電解めっき工程への導電層12aの持ち込みをより効果的に抑制することができる。

0064

・ 第一実施形態では、従来公知の洗浄工程を実施することができる。特に、無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程についても、従来公知の洗浄工程を実施することができる。洗浄槽3内の洗浄液31に浸漬して洗浄する処理ではなく、例えば、一体物1の表面に水を吹き付けて洗浄してもよい。

0065

(実験1)実験1は、第一実施形態に対応するものである。
図4に示すように、無電解ニッケルめっき液21で満たされた無電解ニッケルめっき槽2内に、SUS材からなる金属電解板22を浸漬するとともに、金属電解板22の周囲を、内部に金属イオンを含有しない電解液24で満たしたイオン交換膜23で被覆した。そして、Ti−Ptからなる補助電極12を無電解ニッケルめっき液21に浸漬し、金属電解板22を陰極とし、補助電極12を陽極として通電した。

0066

まず、実験1の第1の検討事項として、イオン交換膜23としてデュポン株式会社製Nafion117とNafion324を使用し、通電時間の検討を行った。ここでは、通電時間、無通電時間を変更して、補助電極12上に金属ニッケルが析出するか否かの検討をした。通電は、通電時間を60秒、無通電時間を180秒としたもの、通電時間を150秒、無通電時間を90秒としたもの、及び240秒間常時通電したもの、の3種類で検討した。

0067

無電解ニッケルめっき液21としては、奥野製薬工業株式会社製のアルカリ性無電解ニッケルめっき液(商品名「化学ニッケル」)を使用した。商品名「化学ニッケル」の、硫酸ニッケル水和物を含有するA液と、還元剤としての次亜リン酸ナトリウム及びpH調整剤としてのアンモニア水を含有するB液とを混合したアルカリ性めっき液を調整して、無電解ニッケルめっき液21とした。A液、B液ともそれぞれ160ml/Lの濃度に調整した。また、イオン交換膜23内の電解液24としては、10%硫酸を使用した。

0068

その結果を、表1に示す。表中、○は金属ニッケルの析出なし、△は一部析出あり、×は析出ありである。

0069

この結果より、Nafion117、Nafion324のいずれを使用した場合も、常時通電することにより、金属ニッケルの析出を抑制できることがわかった。

0070

次に、実験1の第2の検討事項として、電解液24と印加電圧について検討した。無電解ニッケルめっき液21としては、検討事項1で使用したものと同様のものを使用した。また、電解液24は、10%硫酸、2.5%アンモニア水、及び奥野製薬工業株式会社製のアルカリ性無電解ニッケルめっき液(商品名「化学ニッケル」)のB液(以下、160ml/L化学ニッケル B液という。)の3種類で検討した。イオン交換膜は、Nafion117を使用した。3種類の電解液24について、それぞれ印加電圧を0.5〜1.5Vの範囲で変更し、補助電極12上に金属ニッケルが析出するか否かの検討をした。その結果を表2に示す。表中、○は金属ニッケルの析出なし、△は一部析出あり、×は析出ありである。

0071

この結果より、電解液24として10%硫酸を使用した場合には、0.6〜1.5V印加し、160ml/L化学ニッケルB液を使用した場合には、0.7〜1.5V印加し、2.5%アンモニア水を使用した場合には、電圧を1.0〜1.7V印加することにより、金属ニッケルの析出を抑制することができることがわかった。

0072

(実験2)実験2は、第二実施形態に対応するものである。
まず、実験2の第1の検討事項として、無電解ニッケルめっき工程後の洗浄工程で使用する洗浄液31を選定する検討を行った。洗浄液31で満たされた洗浄槽3内に、SUS材からなる金属電解板32を浸漬し、補助電極12を陽極、金属電解板32を陰極に接続して通電し、補助電極12の通電性から洗浄液31として好適な電解液濃度の下限値を検討した。洗浄液31としては、水酸化ナトリウム水溶液と、硫酸の2種類を選択し、各濃度において電流値を変更してそのときの電圧値を測定した。このとき、電流値が1.0Aのときに、電圧値が15V以下であることを選択の目安とした。その結果を図7に示す。図7(a)は、洗浄液31として水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合、図7(b)は、洗浄液31として硫酸を使用した場合である。

0073

この結果より、洗浄液31として水酸化ナトリウム水溶液を使用する場合には、0.1mol/L以上の濃度、硫酸を使用する場合には、0.05mol/L以上の濃度とすることで、補助電極12と金属電解板32との間で良好な通電性を確保できることがわかった。

0074

次に、実験2の第2の検討事項として、補助電極12に析出した金属ニッケルの剥離性についての検討を行った。金属ニッケルが析出した補助電極12と、SUS材からなる金属電解板32を洗浄液31中に浸漬して通電し、通電時間を変えて、補助電極12表面の金属ニッケルの状態を観察した。洗浄液31は、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.1mol/L硫酸のそれぞれについて検討した。また、通電時間は、0〜240秒間常時通電した。その結果を図8に示す。観察される補助電極12の色は、付着した金属ニッケルの状態を示す。図8(a)は、洗浄液31として0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合、図8(b)は、洗浄液31として0.1mol/L硫酸を使用した場合である。

実施例

0075

この結果より、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液では、240秒通電しても補助電極12上に形成された金属ニッケルは剥離しなかった。一方、0.1mol/L硫酸では、80秒の連続通電により、補助電極12上の金属ニッケルがほぼ消失した。これにより、洗浄液31としては、硫酸が適用可能であることがわかった。

0076

1…一体物、11…非導電性基材、11a…導電性被膜、11b…金属被膜、12…補助電極、13…冶具、22…金属電解板(導電部材)、23…イオン交換膜、24…電解液、31…洗浄液、32…金属電解板(導電部材)。

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