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技術 測定方法および電子顕微鏡

出願人 日本電子株式会社
発明者 河野祐二
出願日 2015年2月27日 (7年0ヶ月経過) 出願番号 2015-038469
公開日 2016年9月5日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2016-162542
状態 特許登録済
技術分野 電子顕微鏡2 電子顕微鏡(3)
主要キーワード 立体角領域 回転関係 アンダーフォーカス 微分位相 オーバーフォーカス 回転レンズ 走査透過電子顕微鏡像 カメラ長
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する分割型検出器の検出領域の方向を測定することができる測定方法を提供する。

解決手段

本発明に係る測定方法は、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器を備えた電子顕微鏡において、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定する測定方法であって、デフォーカスに伴う走査透過電子顕微鏡像のずれの方向から、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定する工程(ステップS11)を含む。

概要

背景

走査透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope:STEM)は、収束させた電子線を試料上で走査し、この走査と同期させながら試料からの透過電子あるいは散乱電子による検出信号の強度をマッピングすることで走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を得る電子顕微鏡である。走査透過電子顕微鏡は、原子レベルの極めて高い空間分解能が得られる電子顕微鏡として、近年、注目を集めている。

このような走査透過電子顕微鏡に搭載される電子検出器として、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器が知られている。分割型検出器は、分割された複数の検出領域について独立した検出系を備え、各検出系は検出面上の特定の検出領域に入射した電子のみを検出する。走査透過電子顕微鏡では検出面と回折面を一致させて像を取得する。すなわち、これは試料から特定の立体角領域に透過・散乱した電子を検出することに対応する。したがって、分割型検出器を用いることにより、試料による電子散乱の立体角依存性を同時に取得し、定量的に評価することができるという利点がある(例えば特許文献1参照)。

概要

容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する分割型検出器の検出領域の方向を測定することができる測定方法を提供する。本発明に係る測定方法は、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器を備えた電子顕微鏡において、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定する測定方法であって、デフォーカスに伴う走査透過電子顕微鏡像のずれの方向から、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定する工程(ステップS11)を含む。

目的

本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する分割型検出器の検出領域の方向を測定することができる測定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器を備えた電子顕微鏡において、走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を測定する測定方法であって、デフォーカスに伴う前記走査透過電子顕微鏡像のずれの方向から、前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を測定する工程を含む、測定方法。

請求項2

請求項1において、前記検出領域の方向を測定する工程では、同じ前記検出領域で得られたデフォーカス量の異なる複数の前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求める、測定方法。

請求項3

請求項1において、前記検出領域の方向を測定する工程では、デフォーカス状態において異なる複数の前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求める、測定方法。

請求項4

請求項1において、前記検出領域の方向を測定する工程では、デフォーカス状態において異なる2つの前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像のうちの一方の前記走査透過電子顕微鏡像から他方の前記走査透過電子顕微鏡像を減算した画像を生成する、測定方法。

請求項5

請求項4において、2つの前記検出領域は、対向する位置に配置されている、測定方法。

請求項6

試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、前記試料を透過した電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を求める演算部と、を含み、前記演算部は、デフォーカスに伴う前記走査透過電子顕微鏡像のずれの方向から、前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を求める処理を行う、電子顕微鏡。

請求項7

請求項6において、前記演算部は、同じ前記検出領域で得られたデフォーカス量の異なる複数の前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求める処理を行う、電子顕微鏡。

請求項8

請求項6において、前記演算部は、デフォーカス状態において異なる複数の前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求める処理を行う、電子顕微鏡。

請求項9

請求項6ないし8のいずれか1項において、前記演算部で求められた前記検出領域の方向に基づいて、前記検出領域の方向を変化させる制御を行う制御部を含む、電子顕微鏡。

請求項10

試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、前記試料を透過した電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を示す画像を生成する処理を行う画像処理部と、を含み、前記画像処理部は、デフォーカス状態において異なる2つの前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像のうちの一方の前記走査透過電子顕微鏡像から他方の前記走査透過電子顕微鏡像を減算した画像を生成する、電子顕微鏡。

請求項11

請求項10において、2つの前記検出領域は、対向する位置に配置されている、電子顕微鏡。

技術分野

0001

本発明は、測定方法および電子顕微鏡に関する。

背景技術

0002

走査透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope:STEM)は、収束させた電子線を試料上で走査し、この走査と同期させながら試料からの透過電子あるいは散乱電子による検出信号の強度をマッピングすることで走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を得る電子顕微鏡である。走査透過電子顕微鏡は、原子レベルの極めて高い空間分解能が得られる電子顕微鏡として、近年、注目を集めている。

0003

このような走査透過電子顕微鏡に搭載される電子検出器として、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器が知られている。分割型検出器は、分割された複数の検出領域について独立した検出系を備え、各検出系は検出面上の特定の検出領域に入射した電子のみを検出する。走査透過電子顕微鏡では検出面と回折面を一致させて像を取得する。すなわち、これは試料から特定の立体角領域に透過・散乱した電子を検出することに対応する。したがって、分割型検出器を用いることにより、試料による電子散乱の立体角依存性を同時に取得し、定量的に評価することができるという利点がある(例えば特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開2011−243516号公報

発明が解決しようとする課題

0005

図15は、従来の分割型検出器を備えた走査透過電子顕微鏡101の動作を説明するための図である。なお、図15では、走査透過電子顕微鏡101の要部のみを図示している。

0006

走査透過電子顕微鏡101では、図15に示すように、電子線EBは、照射レンズ系102によって、試料Sの表面に収束される。そして、試料Sを透過した電子線EBは結像レンズ系104によりカメラ長が調整された後に分割型検出器106で検出される。分割型検出器106の後方にはCCDカメラ108が配置されている。

0007

このような分割型検出器を備えた走査透過電子顕微鏡を用いて、試料の電磁場可視化する手法として、微分位相コントラスト(Differential Phase Contrast:DPC)法が知られている。これは、電子線が試料を透過する際の偏向量を測定し、そこから電子線偏向の原因となる試料中の電磁場を計算する手法である。

0008

DPC法により測定を行う場合、STEM像に対して分割型検出器の検出領域の方向をあわせる必要がある。STEM像に対して分割型検出器の検出領域の方向がわからなければ、試料を透過する電子線にどの方向の電磁場が働いて電子線が偏向されたのかを特定することができない。

0009

図16(A)は、試料Sの結晶方位と、分割型検出器106の各検出領域D1,D2,D3,D4の相対的な方位と、の関係の一例を示す図である。図16(B)は、検出領域
D2で得られたSTEM像と検出領域D4で得られたSTEM像との差をとった画像I(D2−D4)を模式的に示す図、および検出領域D1で得られたSTEM像と検出領域D3で得られたSTEM像との差をとった画像I(D1−D3)を模式的に示す図である。

0010

図16(A)に示すように検出領域D2,D4が[110]方向に並び、検出領域D1,D3が[−110]方向に並ぶように検出領域D1,D2,D3,D4を配置する。この状態で撮影を行い、各検出領域D1,D2,D3,D4ごとにSTEM像を取得する。そして、図16(B)に示す画像I(D2−D4)および画像I(D1−D3)を生成する。なお、撮影されたSTEM像のX方向が試料Sの[110]方向であり、STEM像のY方向が試料Sの[−110]方向である。

0011

図16(B)に示す画像I(D2−D4)から、電子線が試料を透過する際の[110]方向における偏向の情報を得ることができ、画像I(D1−D3)から[−110]方向における偏向の情報を得ることができる。この結晶方位と偏向の関係から、例えば、試料における電磁場の分布を知ることができる。

0012

ここで、従来のSTEM像に対する分割型検出器106の各検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定する方法について説明する。図17図22は、従来の測定方法を説明するための図である。

0013

STEM像に対する分割型検出器106の各検出領域D1,D2,D3,D4の方向を知るためには、まず、結像レンズ系104を調整し、図17のように試料面と検出面105が共役になるように設定する。この状態でスキャンを行うと、図18に示すように、検出面105形状の像I1が取得できる。さらに分割型検出器106をリトラクトするなどして、CCDカメラ108によってスキャンしているプローブの像I2(図19参照)を取得すると、スキャン領域が確認できる。これらを合わせることにより、図20に示すように検出面105の各検出領域D1,D2,D3,D4とCCDカメラ108の方向の関係が分かる。

0014

次に、図15に示すSTEM像を取得する設定に戻す。この条件では、図21(A)に示すように、照射系絞り(図示せず)の影の像I4が観察される。デフォーカスを加えて、検出面105を回折面からずらすと、絞りの影がスキャンに伴って動く。例えば、X方向のみにスキャンして、長い露光時間で撮影すると、図21(B)に示すような絞りの影の軌跡を示す像I5が得られる。この絞りの影の動きの方向αと、図20に示す像I3の検出面105の各検出領域D1,D2,D3,D4の方向から、図22に示すように、STEM像に対する分割型検出器106の検出領域D1,D2,D3,D4の方向がわかる。図22に示す方向αがSTEM像のX方向である。

0015

このように、従来のSTEM像に対する検出領域の方向を測定する方法では、分割型検出器に対するCCDカメラの向き、スキャン方向とCCDカメラの向きの2段階で、STEM像(スキャン方向)に対する検出領域の方向を測定していた。そのため、従来の測定方法では、測定に必要な画像I1〜I5を取得するだけでも時間がかかってしまう。STEM像に対する分割型検出器の検出領域の方向は、スキャン方向を変えることでも変わるため、スキャン方向を変えるたびに、上記の測定を行うことはユーザーにとって大きな負担となる。また、従来の測定方法では、CCDカメラが必要であった。

0016

本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する分割型検出器の検出領域の方向を測定することができる測定方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する分割型検出器の検出領
域の方向を測定することができる電子顕微鏡を提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

(1)本発明に係る測定方法は、
検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器を備えた電子顕微鏡において、走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を測定する測定方法であって、
デフォーカスに伴う前記走査透過電子顕微鏡像のずれの方向から、前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を測定する工程を含む。

0018

このような測定方法では、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定することができる。また、このような測定方法では、CCDカメラ等の機材を用いることなく、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定することができる。

0019

(2)本発明に係る測定方法において、
前記検出領域の方向を測定する工程では、同じ前記検出領域で得られたデフォーカス量の異なる複数の前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求めてもよい。

0020

このような測定方法では、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定することができる。

0021

(3)本発明に係る測定方法において、
前記検出領域の方向を測定する工程では、デフォーカス状態において異なる複数の前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求めてもよい。

0022

このような測定方法では、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定することができる。さらに、このような測定方法では、1回の撮影で測定に用いる走査透過電子顕微鏡像を得ることができる。

0023

(4)本発明に係る測定方法において、
前記検出領域の方向を測定する工程では、デフォーカス状態において異なる2つの前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像のうちの一方の前記走査透過電子顕微鏡像から他方の前記走査透過電子顕微鏡像を減算した画像を生成してもよい。

0024

このような測定方法では、デフォーカス状態において異なる2つの検出領域で得られた走査透過電子顕微鏡像のうちの一方の走査透過電子顕微鏡像から他方の走査透過電子顕微鏡像を減算した画像から、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を知ることができる。

0025

(5)本発明に係る測定方法において、
2つの前記検出領域は、対向する位置に配置されていてもよい。

0026

(6)本発明に係る電子顕微鏡は、
試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
前記試料を透過した電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を求める演算部と、
を含み、
前記演算部は、デフォーカスに伴う前記走査透過電子顕微鏡像のずれの方向から、前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を求める処理を行う。

0027

このような電子顕微鏡では、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定することができる。また、このような電子顕微鏡では、CCDカメラ等の機材を用いることなく、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を測定することができる。

0028

(7)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記演算部は、同じ前記検出領域で得られたデフォーカス量の異なる複数の前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求める処理を行ってもよい。

0029

(8)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記演算部は、デフォーカス状態において異なる複数の前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像の相対的な位置ずれの方向から前記検出領域の方向を求める処理を行ってもよい。

0030

(9)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記演算部で求められた前記検出領域の方向に基づいて、前記検出領域の方向を変化させる制御を行う制御部を含んでもよい。

0031

(10)本発明に係る電子顕微鏡は、
試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
前記試料を透過した電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
前記走査透過電子顕微鏡像に対する前記検出領域の方向を示す画像を生成する処理を行う画像処理部と、
を含み、
前記画像処理部は、デフォーカス状態において異なる2つの前記検出領域で得られた前記走査透過電子顕微鏡像のうちの一方の前記走査透過電子顕微鏡像から他方の前記走査透過電子顕微鏡像を減算した画像を生成する。

0032

このような電子顕微鏡では、画像処理部が、デフォーカス状態において異なる2つの検出領域で得られた走査透過電子顕微鏡像のうちの一方の走査透過電子顕微鏡像から他方の走査透過電子顕微鏡像を減算した画像を生成するため、当該画像から、容易に、走査透過電子顕微鏡像に対する検出領域の方向を知ることができる。

0033

(11)本発明に係る電子顕微鏡において、
2つの前記検出領域は、対向する位置に配置されていてもよい。

図面の簡単な説明

0034

第1実施形態に係る電子顕微鏡の構成を模式的に示す図。
第1実施形態に係る電子顕微鏡の分割型検出器の構成を模式的に示す図。
第1実施形態に係る電子顕微鏡の分割型検出器の検出面を模式的に示す図。
分割型検出器の検出領域の方向を求める手法を説明するための図。
分割型検出器の検出領域の方向を求める手法を説明するための図。
分割型検出器の検出領域の方向を求める手法を説明するための図。
図7(A)および図7(B)はデフォーカス量の異なる2枚のSTEM像を模式的に示す図であり、図7(C)は検出面の状態を模式的に示す図である。
、第1実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート
図9(A)はデフォーカス状態において検出領域D1で得られたSTEM像を模式的に示す図であり、図9(B)はデフォーカス状態において検出領域D3で得られたSTEM像を模式的に示す図であり、図9(C)は検出面の状態を模式的に示す図である。
第2実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート。
第3実施形態に係る電子顕微鏡の構成を模式的に示す図。
図12(A)はデフォーカス状態において検出領域D1で得られたSTEM像を模式的に示す図であり、図12(B)はデフォーカス状態において検出領域D3で得られたSTEM像を模式的に示す図である。
図13(A)は第3実施形態に係る電子顕微鏡の画像処理部で生成された画像I(D1−D3)を模式的に示す図であり、図13(B)は検出面の状態を模式的に示す図である。
第3実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート。
従来の分割型検出器を備えた電子顕微鏡の構成を模式的に示す図。
図16(A)は試料の結晶方位と分割型検出器の各検出領域の相対的な方位の関係の一例を表す図であり、図16(B)は画像I(D2−D4)と画像I(D1−D4)を模式的に示す図である。
従来の測定方法を説明するための図。
従来の測定方法を説明するための図。
従来の測定方法を説明するための図。
従来の測定方法を説明するための図。
従来の測定方法を説明するための図。
従来の測定方法を説明するための図。

実施例

0035

以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。

0036

1. 第1実施形態
1.1.電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を模式的に示す図である。

0037

電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子線源10と、照射レンズ系11と、偏向器12と、対物レンズ13と、試料ステージ14と、中間レンズ15と、投影レンズ16と、分割型検出器20と、電源30と、処理部40と、操作部50と、表示部52と、記憶部54と、を含む。

0038

電子線源10は、電子線EBを発生させる。電子線源10としては、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。

0039

照射レンズ系11は、電子線源10で発生した電子線EBを収束させる。偏向器12は、電子線EBを偏向させる。電源30から供給される走査信号を偏向器12に供給することにより、収束した電子線EBで試料S上を走査することができる。これにより、電子顕微鏡100を、走査透過電子顕微鏡(STEM)として機能させることができる。

0040

対物レンズ13は、電子線EBを試料S上に収束させ、試料Sを透過した電子を結像する。

0041

試料ステージ14は、試料Sを保持する。また、試料ステージ14は、試料Sを水平方向や鉛直方向に移動させたり試料Sを傾斜させたりすることができる。

0042

中間レンズ15は、対物レンズ13の後方焦点面(回折面)を投影レンズ16の物面に結像する。投影レンズ16は、中間レンズ15の像面を分割型検出器20の検出面23上に結像する。電子顕微鏡100では、分割型検出器20の検出面23と回折面とを一致させて走査電子顕微鏡像(STEM像)を取得する。

0043

分割型検出器20は、投影レンズ16の後方(電子線EBの下流側)に設けられている。図2は、分割型検出器20の構成を模式的に示す図である。図3は、分割型検出器20の検出面23を模式的に示す図である。

0044

分割型検出器20は、図2および図3に示すように、電子線を光に変換する電子−光変換素子22と、電子−光変換素子22を4つの検出領域D1,D2,D3,D4に分割するとともに各検出領域D1,D2,D3,D4からの光を伝送する光伝送路24と、光伝送路24から伝送された検出領域D1,D2,D3,D4ごとの光を電気信号に変換する4つの光検出器28と、を備えている。

0045

電子−光変換素子22は、例えば、シンチレーター蛍光板であり、入射した電子を後段の光検出器28で検出可能な強度を持つ光に変換する。

0046

光伝送路24は、多数の光ファイバー束ねられたバンドル光ファイバーであり、電子−光変換素子22側の端部は電子-光変換素子22全面からの光を受光するように一体に纏められ、その反対側の端部は受光した光をその受光位置に応じて各光検出器28に伝送するように分岐している。すなわち、光伝送路24は、電子−光変換素子22の発光面を検出面23とし、検出面23が4つの検出領域D1,D2,D3,D4に分割されるように構成されている。

0047

また、光伝送路24は、光の伝送経路を変更することで電子−光変換素子22の電子線入射面内で4つの検出領域D1,D2,D3,D4を回転させる回転部26を有している。光伝送路24は、真空側に配置される光伝送路24aと、大気側に配置される光伝送路24bと、で構成され、光伝送路24aと光伝送路24bとは、回転部26によって相互に回転可能に接続されている。回転部26は、光伝送路24全体の中心軸を維持しつつ、当該中心軸周りで光伝送路24bを回転させることができる。この回転によって検出領域D1,D2,D3,D4を回転させることができる。

0048

駆動部27は、回転部26を動作させて、光伝送路24bを回転させることができる。

0049

光検出器28は、例えば光電子増倍管(photomultiplier tube:PMT)と前置増幅器複合装置であり、分岐した光伝送路24から出射した光を電気信号に変換し、増幅する。この信号は、各検出領域D1,D2,D3,D4に入射した電子線の検出信号として、処理部40に入力される。

0050

なお、検出面23の分割数、すなわち検出領域の数は特に限定されず、分割型検出器20は、2つ以上の検出領域を有することができる。分割型検出器20は、検出面23がその動径方向および偏角方向(円周方向)に区画されることにより、複数の検出領域を有していてもよい。例えば、分割型検出器20は、検出面23が動径方向に4つ、偏角方向に4つに分割されることにより、16個の検出領域を有してもよい。

0051

電源30は、図1に示すように、電子線源10や、光学系11,12,13,15,16、分割型検出器20の駆動部27(図2参照)に電圧又は電流印加する。電源30は、制御部42からの制御信号に基づいて、電子線源10や、光学系11,12,13,15,16、駆動部27に電圧又は電流を印加する。

0052

操作部50は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部40に送る処理を行う。操作部50は、例えば、ボタンキータッチパネル型ディスプレイマイクなどである。操作部50は、例えば、ユーザーからの観察倍率観察領域などの入力値受け付ける。

0053

表示部52は、処理部40によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部52は、例えば、画像処理部44で生成されたSTEM像を表示する。また、表示部52は、例えば、演算部46で算出されたSTEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報を表示する。

0054

記憶部54は、処理部40のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。記憶部54は、処理部40が各種の制御処理計算処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部54は、処理部40の作業領域として用いられ、処理部40が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。

0055

処理部40は、記憶部54に記憶されているプログラムに従って、各種の制御処理や計算処理を行う。処理部40は、記憶部54に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する、制御部42、画像処理部44、演算部46として機能する。処理部40の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASICゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。なお、処理部40の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。

0056

処理部40は、制御部42と、画像処理部44と、演算部46と、を含む。

0057

制御部42は、電子線源10や、電子顕微鏡100を構成する光学系11,12,13,15,16、分割型検出器20の駆動部27に電圧又は電流を印加するための電源30の出力電圧または出力電流を制御するための処理を行う。

0058

画像処理部44は、分割型検出器20の出力信号を用いてSTEM像を生成する処理を行う。画像処理部44は、例えば、分割型検出器20の各検出領域D1,D2,D3,D4ごとに明視野STEM像を生成する処理や、検出領域D1,D2,D3,D4の検出信号を加減算等して画像を生成する処理を行うことができる。

0059

演算部46は、STEM像に対する分割型検出器20の検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める処理を行う。演算部46は、デフォーカスに伴うSTEM像のずれの方向から、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定する。

0060

以下、STEM像に対する分割型検出器20の検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める手法について説明する。

0061

図4および図5は、STEM像に対する分割型検出器20の検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める手法について説明するための図である。なお、図4は、ジャストフォーカスの状態を示し、図5は、オーバーフォーカスの状態を示している。

0062

図4に示すように、ジャストフォーカスの状態では、各検出領域が検出する電子線EBは試料Sの一点を通っている。これに対して、図5に示すように、オーバーフォーカスにすると、像がぼけるのと同時に、試料面において電子線EBが通る位置は、検出される検出領域の方向に移動する。この状態で、試料S上をスキャンすると、得られた明視野STEM像では、像が検出領域の方向とは逆向きに動く。この移動を検出することで、検出領域の方向とSTEM像(スキャン方向)との関係、すなわち、STEM像に対する検出領域の方向がわかる。このように、デフォーカスに伴うSTEM像のずれ(移動)の方向から、STEM像に対する検出領域の方向を測定することができる。

0063

なお、ここでは、オーバーフォーカスの状態にして検出領域の方向を測定する例について説明したが、アンダーフォーカスの状態にしても同様に、検出領域の方向を測定することができる。

0064

図6は、STEM像に対する分割型検出器20の検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める手法について説明するための図であり、アンダーフォーカスの状態を示している。

0065

アンダーフォーカスにすると、図6に示すように、試料面において電子線EBが通り位置は、検出される検出領域とは逆の方向に移動する。この状態で、試料S上をスキャンすると、明視野STEM像では、像が検出領域の方向に動き、検出領域の方向とSTEM像との関係がわかる。すなわち、図6に示すアンダーフォーカスの場合、図5に示すオーバーフォーカスの場合と検出領域に対する像の移動方向が逆になるが、同様にSTEM像に対する検出領域の方向を測定することができる。

0066

次に、演算部46の処理について説明する。

0067

演算部46は、デフォーカスに伴うSTEM像のずれの方向を求めるために、同じ検出領域D1,D2,D3,D4で得られたデフォーカス量の異なる複数のSTEM像の相対的な位置ずれの方向を求め、当該位置ずれの方向から検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める。

0068

演算部46は、まず、同じ検出領域(例えば、検出領域D1)で得られたデフォーカス量の異なる2枚のSTEM像を取得する。

0069

図7(A)および図7(B)は、検出領域D1で得られたデフォーカス量の異なる2枚のSTEM像I1(D1)およびSTEM像I2(D1)を模式的に示す図である。なお、STEM像I1(D1)およびSTEM像I2(D1)は、ともにオーバーフォーカスで撮影され、STEM像I2(D1)は、STEM像I1(D1)よりもデフォーカス量が大きい。また、STEM像I1(D1)とSTEM像I2(D2)とは、デフォーカス量以外の撮影条件視野倍率等)は同じである。図7(C)は、STEM像I1(D1)およびSTEM像I2(D1)を撮影したときの検出面23の状態を模式的に示す図である。

0070

演算部46は、取得したSTEM像I1(D1)とSTEM像I2(D1)の相互相関を取り、STEM像I1(D1)とSTEM像I2(D1)との間の位置ずれの方向を求める。上述したように、オーバーフォーカス側へと変化させたときの位置ずれの方向、すなわち、STEM像I1(D1)からSTEM像I2(D1)へと変化させたときの位置ずれの方向(図7(B)に示す矢印の方向)と逆方向が光軸Zに対する検出領域D1の方向(図7(C)に示す矢印の方向)となる。なお、光軸Zは、電子顕微鏡100を構成している光学系の中心を通る軸である。このようにして演算部46は、検出領域D1の方向
を求めることができる。

0071

演算部46は、検出領域D1で得られたデフォーカス量の異なる3つ以上のSTEM像を用いて上述した処理を行なった後、最小二乗法等により検出領域D1の方向を求める処理を行ってもよい。これにより、より測定精度を高めることができる。

0072

演算部46は、他の検出領域D2,D3,D4で得られたSTEM像に対しても同様の処理を行い、各検出領域D2、D3,D4の方向を求める。この結果、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向、すなわち、STEM像と検出領域D1,D2,D3,D4の回転関係を求めることができる。

0073

演算部46で求められたSTEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報は、例えば、表示部52に表示される。

0074

また、制御部42は、演算部46が求めたSTEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報に基づいて、検出領域D1,D2,D3,D4の方向を変化させる制御を行う。例えば、制御部42は、演算部46が求めた検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報に基づいて、予め設定されていた検出領域D1,D2,D3,D4の方向となるように光伝送路24bを回転させる制御を行う。これにより、検出領域D1,D2,D3,D4を所望の方向に位置させることができる。

0075

なお、上述した実施形態では、分割型検出器20が4つの検出領域D1,D2,D3,D4を有し、演算部46が4つの検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める例について説明したが、分割型検出器20が5つ以上(または3つ以下)の複数の検出領域を有する場合でも、演算部46は、同様の手法で、検出領域の方向を求めることができる。

0076

電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。

0077

電子顕微鏡100では、演算部46は、デフォーカスに伴うSTEM像のずれの方向から、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める処理を行う。具体的には、演算部46は、同じ検出領域で得られたデフォーカス量の異なる複数のSTEM像の相対的な位置ずれの方向から検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める処理を行う。そのため、電子顕微鏡100では、容易に、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定することができる。また、電子顕微鏡100では、例えば、ユーザーが実際のSTEM像を観察しながら、表示部52にリアルタイムに表示される検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報を確認して、検出領域D1,D2,D3,D4の方向を変える作業を行うことができる。

0078

さらに、電子顕微鏡100では、分割型検出器20で得られたSTEM像から検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求めることができるため、CCDカメラ等の機材が不要となる。

0079

1.2.測定方法
次に、第1実施形態に係る電子顕微鏡100を用いた、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定するための測定方法について説明する。図8は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100を用いた、測定方法の一例を示すフローチャートである。

0080

例えば、ユーザーが操作部50を介して、処理部40にSTEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定するための処理の開始を要求すると、処理部40は操
作部50からの操作信号を受け付けて処理を開始する。

0081

まず、演算部46は、同じ検出領域で得られたデフォーカス量の異なるSTEM像を取得する(ステップS10)。

0082

具体的には、まず、電子顕微鏡100において、STEM像の撮影を行う。電子顕微鏡100では、電子線源10から放出された電子線EBを、照射レンズ系11によりオーバーフォーカスにし、対物レンズ13で試料S上に収束する。この収束された電子線EBを、偏向器12によって試料S上で走査しながら、処理部40が分割型検出器20の各検出領域D1,D2,D3,D4の検出信号を取り込む。そして、画像処理部44が試料S上の各点の検出信号の強度を画像上のピクセル強度として、検出領域D1,D2,D3,D4ごとにSTEM像(明視野STEM像)を生成する。生成された各検出領域D1,D2,D3,D4ごとのSTEM像は、記憶部54に記憶される。

0083

次に、照射レンズ系11によりデフォーカス量を変えて、同様に撮影を行い各検出領域D1,D2,D3,D4ごとのSTEM像を記憶部54に記憶させる。そして、演算部46は、記憶部54からこれらのSTEM像の情報を読み出してデフォーカス量の異なる2つのSTEM像を各検出領域D1,D2,D3,D4ごとに取得する。

0084

なお、制御部42が、電源30を介して、光学系11,12,13,15,16を制御することにより、デフォーカス量の異なるSTEM像の撮影を自動で行うことができる。

0085

次に、演算部46は、同じ検出領域で得られたデフォーカス量の異なるSTEM像間の位置ずれの方向を求める(ステップS11)。

0086

演算部46は、上述したように、同じ検出領域で得られたデフォーカス量の異なるSTEM像間の相互相関をとり、STEM像間の位置ずれの方向を求める。これにより、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求めることができる。

0087

そして、処理部40は、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報を、表示部52に表示させる。また、制御部42は、演算部46が求めたSTEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向の情報に基づいて、検出領域D1,D2,D3,D4の方向を変化させる制御を行う。そして、処理部40は処理を終了する。

0088

本実施形態に係る測定方法では、デフォーカスに伴うSTEM像のずれの方向から、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定する工程を含む。具体的には、検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定する工程では、同じ検出領域D1,D2,D3,D4で得られたデフォーカス量の異なる複数のSTEM像の相対的な位置ずれの方向から検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める。したがって、本実施形態に係る測定方法では、容易に、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定することができる。また、CCDカメラ等の機材を用いることなく、検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定することができる。

0089

2. 第2実施形態
2.1.電子顕微鏡
次に、第2実施形態に電子顕微鏡について説明する。なお、第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成は、上述した図1に示す電子顕微鏡100の構成と同様であり、その図示を省略する。以下、第1実施形態に係る電子顕微鏡100と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。

0090

上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100では、演算部46は、同じ検出領域D1,D2,D3,D4で得られたデフォーカス量の異なる複数のSTEM像の相対的な位置ずれの方向を求めることにより、デフォーカスに伴うSTEM像のずれの方向を求めて、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定していた。

0091

これに対して、第2実施形態に係る電子顕微鏡では、演算部46は、デフォーカス状態において異なる複数の検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像の相対的な位置ずれの方向から検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求めることにより、デフォーカスに伴うSTEM像のずれの方向を求めて、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定する。

0092

以下、演算部46の処理について説明する。

0093

演算部46は、まず、デフォーカス状態において異なる検出領域で得られたSTEM像を取得する。

0094

図9(A)は、デフォーカス状態において検出領域D1で得られたSTEM像I(D1)を模式的に示す図であり、図9(B)は、デフォーカス状態において検出領域D3で得られたSTEM像I(D3)を模式的に示す図である。なお、STEM像I(D1)およびSTEM像I(D3)は、オーバーフォーカス状態において同時に撮影された像である。すなわち、STEM像I(D1)とSTEM像I(D3)とは、検出領域が異なる以外の撮影条件(視野、倍率等)は同じである。図9(C)は、STEM像I(D1)およびSTEM像I(D3)を撮影したときの検出面23の状態を模式的に示す図である。

0095

演算部46は、取得したSTEM像I(D1)とSTEM像I(D3)の相互相関を取り、STEM像I(D1)とSTEM像I(D3)との間の位置ずれの方向を求める。STEM像I(D1)に対するSTEM像I(D3)の位置ずれの方向(図9(B)に示す矢印の方向)と逆方向が、検出領域D1から検出領域D3へ向かう方向(図9(C)に示す矢印の方向)となる。このようにして演算部46は、検出領域D1と検出領域D3の方向を求めることができる。

0096

演算部46は、例えば、検出領域D1と検出領域D3との組み合わせだけではなく、他の検出領域D1,D2,D3,D4の組み合わせについてもそれぞれ上述した処理を行なった後、最小二乗法等により各検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める処理を行ってもよい。これにより、より測定精度を高めることができる。

0097

第2実施形態に係る電子顕微鏡では、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第2実施形態に係る電子顕微鏡によれば、1回の撮影で測定に用いるSTEM像を得ることができるため、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100(デフォーカス量を変えて2回の撮影を行う)と比べて、STEM像の撮影の回数を減らすことができる。

0098

2.2.測定方法
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡を用いた、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定するための測定方法について説明する。図10は、第2実施形態に係る電子顕微鏡を用いた、測定方法の一例を示すフローチャートである。以下、第1実施形態に係る測定方法と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。

0099

まず、演算部46は、デフォーカス状態において異なる検出領域D1,D2,D3,D
4で得られたSTEM像を取得する(ステップS20)。

0100

具体的には、まず、電子顕微鏡において、STEM像の撮影を行う。電子顕微鏡100では、電子線源10から放出された電子線EBを、照射レンズ系11によりオーバーフォーカスにし、対物レンズ13で試料S上に収束する。この収束された電子線EBを、偏向器12によって試料S上で走査しながら、処理部40が分割型検出器20の各検出領域D1,D2,D3,D4の検出信号を取り込む。そして、画像処理部44が試料S上の各点の検出信号の強度を画像上のピクセル強度として、検出領域D1,D2,D3,D4ごとにSTEM像を生成する。生成された各検出領域D1,D2,D3,D4ごとのSTEM像は、記憶部54に記憶される。

0101

演算部46は、記憶部54からこれらのSTEM像の情報を読み出して異なる検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像を取得する。

0102

次に、演算部46は、異なる検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像間の位置ずれの方向を求める。(ステップS21)。

0103

演算部46は、上述したように、異なる検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像間の相互相関をとり、各検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求める。これにより、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を求めることができる。

0104

第2実施形態に係る測定方法によれば、上述した第1実施形態に係る測定方法と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第2実施形態に係る測定方法によれば、1回の撮影で測定に用いるSTEM像を得ることができるため、上述した第1実施形態に係る測定方法と比べて、STEM像の撮影の回数を減らすことができる。

0105

3. 第3実施形態
3.1.電子顕微鏡
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を模式的に示す図である。以下、第3実施形態に係る電子顕微鏡300において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。

0106

第3実施形態に係る電子顕微鏡300では、画像処理部44が、デフォーカス状態において異なる2つの検出領域で得られたSTEM像のうちの一方のSTEM像から他方のSTEM像を減算した画像を生成する点で、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100と異なる。

0107

以下、画像処理部44の処理について説明する。

0108

画像処理部44は、まず、デフォーカス状態において異なる位置に配置された検出領域で得られたSTEM像を取得する。

0109

図12(A)は、デフォーカス状態において検出領域D1で得られたSTEM像I(D1)を示す図であり、図12(B)は、デフォーカス状態において検出領域D3で得られたSTEM像I(D3)を示す図である。なお、STEM像I(D1)およびSTEM像I(D3)は、オーバーフォーカス状態で同時に撮影された像である。すなわち、STEM像I(D1)とSTEM像I(D3)とは、検出領域が異なる以外の撮影条件(視野、
倍率等)は同じである。

0110

次に、画像処理部44は、STEM像I(D1)からSTEM像I(D3)を減算した画像I(D1−D3)を生成する処理を行う。画像処理部44は、各ピクセルごとに、STEM像I(D1)の強度からSTEM像I(D3)の強度を引き算して、画像I(D1−D3)を生成する。そして、画像処理部44は、生成された画像I(D1−D3)を表示部52に表示させる処理を行う。

0111

図13(A)は、画像処理部44で生成された画像I(D1−D3)を模式的に示す図である。図13(B)は、STEM像I(D1)およびSTEM像I(D3)を撮影したときの検出面23の状態を模式的に示す図である。

0112

図13(A)に示すように、画像I(D1−D3)には、検出領域D1から検出領域D3へ向かう方向(図13(B)に示す矢印の方向)に明暗のコントラストがつく。したがって、画像I(D1−D3)を確認することで、STEM像に対する検出領域D1,D3の方向を知ることができる。

0113

なお、ここでは、画像処理部44が対向する位置に配置された検出領域D1,D3で得られたSTEM像間で減算した画像を生成する例について説明したが、これに限定されずに、画像処理部44が異なる検出領域で得られたSTEM像のうちの一方のSTEM像から他方のSTEM像を減算した画像を生成する処理を行うことによって、生成された画像から同様に、検出領域の方向を知ることができる。

0114

第3実施形態に係る電子顕微鏡300では、画像処理部44が、デフォーカス状態において異なる2つの検出領域で得られたSTEM像のうちの一方のSTEM像から他方のSTEM像を減算した画像を生成するため、当該画像から、容易に、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を知ることができる。したがって、電子顕微鏡300では、例えば、リアルタイムに、表示部52に表示される当該画像を見ながら、検出領域D1,D2,D3,D4を所望の方向に回転させることができる。

0115

3.2.測定方法
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡300を用いた、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を測定するための測定方法について説明する。図14は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300を用いた、測定方法の一例を示すフローチャートである。以下、第1実施形態および第2実施形態に係る測定方法と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。

0116

まず、画像処理部44は、デフォーカス状態において異なる検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像を取得する(ステップS30)。

0117

具体的には、まず、電子顕微鏡300において、STEM像の撮影を行う。そして、画像処理部44は、記憶部54から撮影されたSTEM像の情報を読み出して異なる検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像を取得する。

0118

次に、画像処理部44は、異なる検出領域D1,D2,D3,D4で得られたSTEM像のうちの検出領域D1で得られたSTEM像から、検出領域D1に対向する位置にある検出領域D3を減算した画像を生成する(ステップS31)。

0119

そして、画像処理部44は、生成した画像を表示部52に表示させる。これにより、STEM像に対する検出領域D1,D3の方向を求めることができる。

0120

第3実施形態に係る測定方法によれば、デフォーカス状態において異なる2つの検出領域で得られたSTEM像のうちの一方のSTEM像から他方のSTEM像を減算した画像から、容易に、STEM像に対する検出領域D1,D2,D3,D4の方向を知ることができる。したがって、例えば、リアルタイムに、表示部52に表示される当該画像を見ながら、検出領域D1,D2,D3,D4を所望の方向に回転させることができる。

0121

4. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。

0122

例えば、上述した実施形態では、検出領域D1,D2,D3,D4を回転させる方法として、分割型検出器20の光伝送路24b(図2参照)を回転させる例について説明したが、検出領域D1,D2,D3,D4を回転させる方法はこれに限定されない。例えば、図1に示す電子顕微鏡100において、試料Sと分割型検出器20の電子−光変換素子22(検出面23)との間に試料Sを透過した電子線を回転させる回転レンズ(図示せず)を設けてもよい。回転レンズは、例えば、軸対称レンズであり、中間レンズ15と投影レンズ16との間に配置される。回転レンズで像を回転させることにより、STEM像に対して検出領域D1,D2,D3,D4を回転させることができる。

0123

また、上述した実施形態では、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器20として、図2に示すように、電子−光変換素子22と、光伝送路24と、光検出器28と、を含んで構成された装置を挙げて説明したが、分割型検出器は透過電子の移動を検出することができればこの構成に限定されない。例えば、本発明に係る電子顕微鏡の分割型検出器としてCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いてもよい。

0124

例えば、CCDカメラの二次元的に配列された複数の画素からなる検出面を分割して複数の検出領域として用いる場合に、上述した実施形態を適用して、STEM像に対する検出領域の方向を測定することができる。

0125

なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。

0126

本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

0127

10…電子線源、11…照射レンズ系、13…対物レンズ、14…試料ステージ、15…中間レンズ、16…投影レンズ、20…分割型検出器、22…光変換素子、23…検出面、24,24a,24b…光伝送路、26…回転部、27…駆動部、28…光検出器、30…電源、40…処理部、42…制御部、44…画像処理部、46…演算部、50…操作部、52…表示部、54…記憶部、100,101…走査透過電子顕微鏡、102…照射レンズ系、104…結像レンズ系、105…検出面、106…分割型検出器、108…CCDカメラ、300…電子顕微鏡

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