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技術 微細シリカ粉末の製造方法

出願人 近藤勝義梅田純子株式会社栗本鐵工所
発明者 近藤勝義梅田純子道浦吉貞霜村潤
出願日 2015年3月4日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-042072
公開日 2016年9月5日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-160154
状態 特許登録済
技術分野 珪素及び珪素化合物
主要キーワード カルボン酸水溶液中 炭化物粉 シリカ純度 微細シリカ粉末 二次焼成温度 一次焼成温度 籾殻灰 一次焼成後
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

有機系廃棄物由来平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を効率的に製造する方法を提供する。

解決手段

微細シリカ粉末の製造方法は、シリカを含む有機系廃棄物を一次焼成して炭化物を生成する工程と、この炭化物とシリカからなる複合炭化物粉砕して平均粒径が3μm以下の微細炭化物粉にする工程と、この微細炭化物粉を二次焼成して炭素成分を分解・除去し平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を得る工程とを備える。

概要

背景

微細シリカ粉末酸化ケイ素)は、例えばセメント混和材として利用されている。一般的なセメント混和材としてのシリカ粉末は、鉱物由来のシリカ粉末である。セメント中シリカ水和反応で生成される水酸化カルシウムと反応(ポゾラン反応)し、セメントの緻密化および硬化を促進する。

鉱物由来のシリカ粉末の場合、水酸化カルシウムとの反応速度が遅いため、セメントが固まるまでに比較的長い時間を要している。

鉱物由来のシリカ粉末に比べて、籾殻等の植物系有機系)廃棄物から抽出したシリカ粉末は、多孔質であるため、水酸化カルシウムとの反応性もよく、セメントが固まるまでの時間を短縮することができる。特に、鉱物系シリカは結晶構造を有するのに対して、有機系廃棄物由来のシリカは非晶質(アモルファス)構造であるため、高い反応活性を有する。ゆえに、上記のポゾラン反応の進行には、非晶質で多孔質構造を有する有機系廃棄物由来のシリカ粉末がより適している。そこで、近年、有機系廃棄物由来のシリカ粉末をセメント混和材として利用することが試みられている。

有機系廃棄物由来のシリカ粉末の製造方法は、例えば、国際公開番号WO2007/026680号公報(特許文献1)や、国際公開番号WO2008/053711号公報(特許文献2)に開示されている。

特許文献1に記載されたアモルファス酸化ケイ素粉末の製造方法は、六炭糖および五炭糖のうちの少なくともいずれか一方と、酸化ケイ素とを含む木質材農作物または植物を投入原料として用意する工程と、この投入原料を硝酸硫酸リン酸または有機酸によって加水分解処理し、六炭糖の含有量を10重量%以下および/または五炭糖の含有量を20重量%以下にする工程と、加水分解処理して得られた残渣分を400℃以上1200℃以下で燃焼する工程とを備える。

特許文献2に記載された非晶質シリカの製造方法は、酸化ケイ素を含む有機系廃棄物を出発原料として準備する工程と、有機系廃棄物を、水酸基を有するカルボン酸水溶液中に浸漬する工程と、続いて有機系廃棄物を水洗処理する工程と、さらに有機系廃棄物を大気雰囲気中で加熱する工程とを備える。

上記方法によるシリカ粉末(酸化ケイ素粉末)の製造方法であれば、不純物含有量が少ない高純度のシリカ粉末が得られるが、セメント混和材としての用途であるならばそれほどの高純度は要求されない。

概要

有機系廃棄物由来で平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を効率的に製造する方法を提供する。微細シリカ粉末の製造方法は、シリカを含む有機系廃棄物を一次焼成して炭化物を生成する工程と、この炭化物とシリカからなる複合炭化物粉砕して平均粒径が3μm以下の微細炭化物粉にする工程と、この微細炭化物粉を二次焼成して炭素成分を分解・除去し平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を得る工程とを備える。

目的

本発明の目的は、有機系廃棄物由来で平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を比較的短時間で効率的に製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

シリカを含む有機系廃棄物一次焼成して炭化物を生成する工程と、前記炭化物とシリカからなる複合炭化物粉砕して平均粒径が3μm以下の微細炭化物粉にする工程と、前記微細炭化物粉を二次焼成して炭素成分を分解・除去し平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を得る工程とを備える、微細シリカ粉末の製造方法。

請求項2

前記一次焼成の温度範囲は450℃〜700℃である、請求項1に記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項3

前記一次焼成において、前記有機系廃棄物を450℃〜700℃の温度範囲に保持する時間は30分〜50分の範囲である、請求項2に記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項4

前記一次焼成は、空気の流入を遮断した雰囲気で行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項5

前記一次焼成後炭化物中炭素含有量は、質量基準で、20%〜50%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項6

前記炭化物の粉砕処理時間は、60分以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項7

前記二次焼成の温度範囲は750℃〜900℃である、請求項1〜6のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項8

前記二次焼成において、前記微細炭化物粉を750℃〜900℃の温度範囲に保持する時間は20分〜50分の範囲である、請求項6に記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項9

前記二次焼成は、空気を含む雰囲気下で行われる、請求項1〜8のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項10

前記二次焼成後の微細シリカ粉末は、非晶質で多孔質の構造を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項11

前記二次焼成後の微細シリカ粉末中の炭素含有量は、質量基準で、0.1%以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項12

前記二次焼成後の微細シリカ粉末のシリカ純度は95%以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

請求項13

前記有機系廃棄物は、籾殻稲わら米ぬか麦わら、木材、おが樹皮バガストウモロコシサトウキビサツマイモ大豆落花生キャッサバユーカリシダパイナップルゴム、古紙からなる群から選ばれたいずれかである、請求項1〜12のいずれかに記載の微細シリカ粉末の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、各種用途に使用される微細シリカ粉末を効率的に製造する方法に関するものである。

背景技術

0002

微細シリカ粉末(酸化ケイ素)は、例えばセメント混和材として利用されている。一般的なセメント混和材としてのシリカ粉末は、鉱物由来のシリカ粉末である。セメント中シリカ水和反応で生成される水酸化カルシウムと反応(ポゾラン反応)し、セメントの緻密化および硬化を促進する。

0003

鉱物由来のシリカ粉末の場合、水酸化カルシウムとの反応速度が遅いため、セメントが固まるまでに比較的長い時間を要している。

0004

鉱物由来のシリカ粉末に比べて、籾殻等の植物系有機系)廃棄物から抽出したシリカ粉末は、多孔質であるため、水酸化カルシウムとの反応性もよく、セメントが固まるまでの時間を短縮することができる。特に、鉱物系シリカは結晶構造を有するのに対して、有機系廃棄物由来のシリカは非晶質(アモルファス)構造であるため、高い反応活性を有する。ゆえに、上記のポゾラン反応の進行には、非晶質で多孔質構造を有する有機系廃棄物由来のシリカ粉末がより適している。そこで、近年、有機系廃棄物由来のシリカ粉末をセメント混和材として利用することが試みられている。

0005

有機系廃棄物由来のシリカ粉末の製造方法は、例えば、国際公開番号WO2007/026680号公報(特許文献1)や、国際公開番号WO2008/053711号公報(特許文献2)に開示されている。

0006

特許文献1に記載されたアモルファス酸化ケイ素粉末の製造方法は、六炭糖および五炭糖のうちの少なくともいずれか一方と、酸化ケイ素とを含む木質材農作物または植物を投入原料として用意する工程と、この投入原料を硝酸硫酸リン酸または有機酸によって加水分解処理し、六炭糖の含有量を10重量%以下および/または五炭糖の含有量を20重量%以下にする工程と、加水分解処理して得られた残渣分を400℃以上1200℃以下で燃焼する工程とを備える。

0007

特許文献2に記載された非晶質シリカの製造方法は、酸化ケイ素を含む有機系廃棄物を出発原料として準備する工程と、有機系廃棄物を、水酸基を有するカルボン酸水溶液中に浸漬する工程と、続いて有機系廃棄物を水洗処理する工程と、さらに有機系廃棄物を大気雰囲気中で加熱する工程とを備える。

0008

上記方法によるシリカ粉末(酸化ケイ素粉末)の製造方法であれば、不純物含有量が少ない高純度のシリカ粉末が得られるが、セメント混和材としての用途であるならばそれほどの高純度は要求されない。

先行技術

0009

国際公開番号WO2007/026680号公報
国際公開番号WO2008/053711号公報

発明が解決しようとする課題

0010

有機系廃棄物由来のシリカ粉末をセメント混和材として利用すれば、セメントが硬化するまでの時間を短縮することができる。セメントを岩盤などのすき間に注入して硬化させる場合があるが、その場合、シリカ粉末の粒径が大きいと、流動性が悪くなり、岩盤のすき間を完全に塞ぐことが難しくなる。

0011

シリカ粉末の流動性を高めるには、シリカ粉末を粉砕して微細なシリカ粉末とすることが必要である。例えば、平均粒径が3μm以下の有機系廃棄物由来のシリカ微粉末であれば、比表面積が増大することで、さらに良好な反応性を示すことに加えて、流動性も向上するので、岩盤のすき間等をセメントで完全に塞ぐことができ、硬化時間も短縮できる。

0012

ここで問題になるのは、焼成後の数ミリ程度の粗大なシリカ粉末を平均粒径が3μm以下の微細粉にするための粉砕処理の時間が非常に長いことである。本願発明者が有機系廃棄物由来のシリカ粉末(炭素含有量0.08%)をロッキングミル機械的に粉砕したところ、平均粒径が4μm程度になるまでの処理時間が約4時間であり、平均粒径が3μm程度になるまでの処理時間が約8時間であり、平均粒径が1μm程度になるまでの処理時間が約14時間であった。このような長時間の粉砕処理は、実用化の障害になる。

0013

本発明の目的は、有機系廃棄物由来で平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を比較的短時間で効率的に製造する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明による微細シリカ粉末の製造方法は、シリカを含む有機系廃棄物を一次焼成して脆性炭化物を生成する工程と、この炭化物とシリカから成る複合炭化物を粉砕して平均粒径が3μm以下の微細炭化物粉にする工程と、この微細炭化物粉を二次焼成して炭素成分を分解・除去することで平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を得る工程とを備える。

0015

一次焼成の好ましい温度範囲は450℃〜700℃である。

0016

好ましくは、一次焼成において、有機系廃棄物を450℃〜700℃の温度範囲に保持する時間は30分〜50分の範囲である。

0017

好ましくは、一次焼成は、空気の流入を遮断した雰囲気で行われる。

0018

一次焼成後炭化物中の炭素含有量は、好ましくは、質量基準で、20%〜50%の範囲内にある。

0019

炭化物の粉砕処理時間は、好ましくは、60分以下である。

0020

好ましい二次焼成の温度範囲は750℃〜900℃である。

0021

二次焼成において、微細炭化物粉を750℃〜900℃の温度範囲に保持する時間は20分〜50分の範囲である。

0022

二次焼成は、好ましくは、空気を含む雰囲気下で行われる。

0023

二次焼成後の微細シリカ粉末は、非晶質で多孔質の構造を有する。好ましくは、二次焼成後の微細シリカ粉末中の炭素含有量は0.1%以下である。さらに好ましくは、二次焼成後の微細シリカ粉末のシリカ純度は95%以上である。

0024

有機系廃棄物は、籾殻、稲わら米ぬか麦わら、木材、おが樹皮バガストウモロコシサトウキビサツマイモ大豆落花生キャッサバユーカリシダパイナップルゴム、古紙からなる群から選ばれたいずれかである。

発明の効果

0025

本発明の製造方法によれば、有機系廃棄物由来で平均粒径が3μm以下の微細シリカ粉末を効率的に製造することができる。

図面の簡単な説明

0026

籾殻燃焼灰から得たシリカ粉末を粉砕処理した時の粉砕処理時間と粉砕処理後の粉末の平均粒径との関係を示す図である。
籾殻炭化物を粉砕処理した時の粉砕処理時間と粉砕処理後の粉末の平均粒径との関係を示す図である。
籾殻炭化物の炭素量と粉砕処理後の粉末の平均粒径との関係を示す図である。

実施例

0027

本願発明者が行った種々の実験の結果を踏まえて、本願発明の実施形態を説明する。出発原料として用いた有機系廃棄物は籾殻であったが、シリカを含む有機系廃棄物であれば、籾殻以外のものを出発原料として用いることができる。例えば、稲わら、米ぬか、麦わら、木材、おが屑、樹皮、バガス、トウモロコシ、サトウキビ、サツマイモ、大豆、落花生、キャッサバ、ユーカリ、シダ、パイナップル、竹、ゴム、古紙等を出発原料として用いてもよい。

0028

[籾殻燃焼灰の粉砕処理(比較例)]
籾殻を投入原料として準備した。この籾殻をクエン酸溶液(50℃、1%濃度)で酸洗浄処理し、その後に水洗処理して取り出した。水洗処理後の籾殻を電気炉内において空気を含む雰囲気下で800℃にて30分間焼成して、シリカ粉末を得た。

0029

シリカ粉末のシリカ純度は99.52%であり、炭素含有量は0.08質量%であった。

0030

上記のシリカ粉末をロッキングミル(直径2mmのアルミナボールを使用)で粉砕し、粉砕処理時間と粉砕粉末の平均粒径との関係を調べた。その結果を表1および図1に示す。

0031

0032

表1および図1から明らかなように、800℃の温度での焼成後の籾殻灰から得られるシリカ粉末を微細粉にするまでの粉砕処理時間が非常に長い。具体的には、セメント混和材としての利用価値が高まる平均粒径3μmの微細シリカ粉末にするには、約8時間の粉砕処理が必要である。このような長時間の粉砕処理は、実用化に対して大きな障害となる。

0033

[籾殻炭化物の粉砕処理(本発明の実施例)]
籾殻を投入原料として準備した。この籾殻を、電気炉内において空気の流入を遮断して、600℃にて30分間保持して、籾殻炭化物(炭化物とシリカからなる複合炭化物)とした。

0034

籾殻炭化物の炭素含有量は39.2質量%であった。

0035

上記の籾殻炭化物をロッキングミル(直径2mmのアルミナボールを使用)で粉砕し、粉砕処理時間と粉砕粉末の平均粒径との関係を調べた。その結果を表2および図2に示す。

0036

0037

表2および図2から明らかなように、籾殻炭化物を微細粉にするまでの粉砕処理時間は、800℃焼成後の籾殻燃焼灰に対するものに比べて、はるかに短くなる。具体的には、セメント混和材としての利用価値が高まる平均粒径3μmの微細粉末にするのに、約30分の粉砕処理を行うだけで良い。このような短時間の粉砕処理は、実用化に向けて大きなメリットとなる。

0038

[籾殻炭化物の炭素含有量と粉砕処理との関係]
籾殻炭化物の炭素量が粉砕処理に対してどのように影響するのかを調べた。具体的には、籾殻炭化物の炭素量を異ならせた9種類の試料を作製し、それらに対して同一条件で1時間の粉砕処理を行った後に得られた微細粉末の平均粒径を調べた。その結果を、表3および図3に示す。

0039

0040

表3および図3から明らかなように、1時間の粉砕処理時間で平均粒径を3μm以下にするには、炭素含有量を、質量基準で、20%以上にする必要がある。炭素含有量の上限は50%程度が好ましい。

0041

炭素含有量が少ない籾殻燃焼灰を粉砕するのに比べて、炭素含有量が多い籾殻炭化物(炭化物とシリカからなる複合炭化物)を粉砕処理した方がより微細な粉末が得られる理由を以下のように考察する。

0042

籾殻には、70〜80%の炭水化物多糖類)がセルロースヘミセルロースリグニンとして含まれており、これらが細胞壁や繊維の主成分となっている。多糖類の状態では、それらは弾力性があって変形し易い構造である。すなわち、これらの炭水化物は延性を有するため、粉砕し難い構造であり、シリカ成分の微細粉砕において障害となる。

0043

籾殻や稲わらを400〜500℃以上の温度に加熱すると、セルロースやヘミセルロースなどの多糖類の分子構造が壊れ、水素酸素が除去されて炭化物を生成する。このような炭化物は脆性であり、しかも籾殻等の内部においてシリカに内包された状態であり、しかもシリカと炭化物が交互に層状構造で存在する。そのため、粉砕加工時に脆い炭化物が粉砕され、同時にシリカも粉砕される。

0044

上記の理由により、炭素含有量が多いほど、粉砕性が向上すると考えられる。いいかえれば、炭素含有量が多いほど、短時間の粉砕処理で微細化を実現することができると考えられる。

0045

[好ましい炭素量にするための一次焼成の条件]
籾殻等の有機系廃棄物の炭化物を粉砕して平均粒径3μm以下の微細粉末にするまでの粉砕処理時間を短く(例えば、1時間以内)するには、炭化物の炭素含有量を20%以上にするのが好ましい。そこで、本願発明者は、炭化物の炭素含有量を20%以上にするための一次焼成処理の条件を調べた。条件は、空気の流入を遮断した状態での一次焼成の保持温度と保持時間である。その結果を、表4に示す。

0046

0047

表4の結果から理解できることは、炭素含有量は温度と保持時間とによって影響されるということである。見かけ上、300℃以上の温度で保持時間を30分以上60分未満にすれば、全体の炭素含有量が20%以上になっている。

0048

しかしながら、300℃の温度で30分間保持するという条件で一次焼成した試料では、全体の約5%が十分に炭化せず、籾殻形状のままで残存した。この理由としては、ヘミセルロースの発熱ピークが332℃であり、セルロースの発熱ピークが438℃であることと関係がある。

0049

上記の点を踏まえると、好ましい一次焼成温度は450℃以上である。

0050

籾殻に対する一次焼成温度を700℃以上の高温にすると、炭化物の灰化が進み、炭素含有量が減少する可能性がある。しかしながら、700℃の温度であっても保持時間が30分であれば、22%の炭素含有量を維持できている。他方、600℃の温度で保持時間を60分にすると、炭素含有量が7.5%となった。

0051

上記の結果から、好ましい一次焼成温度は450℃〜700℃の範囲であり、好ましい保持時間は30分〜50分の範囲であることが認められる。

0052

一次焼成条件の異なる試料1(300℃x30分)、試料2(450℃x30分)、試料4(600℃x45分)に対して、1時間の粉砕処理を行い、平均粒径を測定した。その結果を表5に示す。

0053

0054

表5から明らかなように、試料2および試料4については、粉砕後の微細粉の平均粒径が、それぞれ1.07μmおよび0.90μmであり、十分な微細粉化を実現できた。他方、試料1については、一次焼成温度が300℃と低いことで完全に炭化しない籾殻が残存していたため、粉砕後の粉末の平均粒径が415.88μmであった。

0055

粉砕処理後の試料1、試料2および試料4に対して、空気を含んだ雰囲気の炉内で800℃の温度で30分間保持する二次焼成を行い、二次焼成後の炭素含有量を測定した。その結果を表6に示す。

0056

0057

表6から明らかなように、試料2および試料4に関しては、二次焼成後の炭素含有量は0.042%以下となっており、二次焼成過程において、一次焼成後の炭素成分が空気中の酸素によって燃焼・分解することで炭素含有量を大幅に低下させることができることが認められた。籾殻のままで残存しているものを含む試料1に関しては、二次焼成後の炭素含有量が0.084%であり、試料2および試料4に比べて高い値を示した。

0058

上記の結果から、籾殻を炭化物にし、その炭化物の状態で粉砕して平均粒径が3μm以下の微細粉にした後に、空気を含む雰囲気のもと、800℃程度の温度で二次焼成すれば、炭素含有量を大幅に減少させて、シリカ純度を向上させることができるものと認められた。

0059

[好ましい二次焼成の条件]
籾殻炭化物を3μm以下の平均粒径になるまで粉砕した後に、二次焼成し、炭素含有量を低下させてシリカ純度を高める。本願発明者は、二次焼成処理を以下の条件で行った。

0060

一次焼成後の炭化物を粉砕した後、粉砕後の微細炭化物粉を電気炉内に投入し、炉内に空気を供給しながら炉内温度を500℃になるまで上昇させた。炉内温度が500℃になった時点で空気の流入を停止し、800℃まで昇温し、800℃で30分間保持した。

0061

表6に記載したように、二次焼成後の試料2の炭素含有量は0.042%であり、試料4の炭素含有量は0.042%であった。

0062

二次焼成の温度に関しては、保持温度が750℃の場合、炭素含有量を0.1%以下にするのが困難となり、高純度シリカを得るには不都合である。保持温度が900℃を超えると、シリカが結晶化するおそれがあり、人体への悪影響が懸念される。

0063

したがって、好ましい二次焼成温度は750℃〜900℃の範囲であり、保持時間は20分〜50分の範囲である。

0064

[一次焼成前の籾殻の洗浄処理
本願発明者は、一次焼成前の籾殻に対する洗浄処理の有無の影響を調べた。その結果を表7に示す。

0065

0066

表7において、試料および条件の詳細は以下の通りである。

0067

「未処理」:籾殻に対して洗浄処理を行わずに一次焼成した試料。

0068

「20℃常温水」:籾殻に対して20℃の常温水で洗浄処理をした試料。

0069

「50℃温水」:籾殻に対して50℃の温水で洗浄処理をした試料。

0070

「50℃クエン酸0.5%」:籾殻に対して、濃度0.5%で50℃のクエン酸で酸洗浄処理をした試料。

0071

「50℃クエン酸1%」:籾殻に対して濃度1.0%で50℃のクエン酸で酸洗浄処理をした試料。

0072

「一次焼成」の条件:600℃×30分間
「粉砕処理」の時間:60分
「二次焼成」の条件:800℃×30分間
表7の結果から明らかなように、一次焼成前の洗浄処理の有無に関わらず、粉砕処理後の微細粉の平均粒径はいずれも1μm以下であり、二次焼成後の炭素含有量はいずれも0.06%以下である。シリカ純度に関しては、未処理のものが最も低く、酸洗浄したものが最も高かった。したがって、平均粒径が3μm以下で99%以上の高純度の微細シリカ粉末を得る場合には、一次焼成前に酸洗浄処理を行うのが好ましい。微細シリカ粉末をセメント混和材として使用する場合には、シリカ純度は95%程度ものであっても不都合はないと思われるので、一次焼成前に必ずしも洗浄処理を行う必要はない。

0073

表7に記載した各試料の二次焼成後の元素分析結果を表8に示す。

0074

0075

表8の各試料は、籾殻を一次焼成して炭化物を生成し、炭化物を平均粒径3μm以下になるまで粉砕処理し、その後に粉砕後の微細炭化物粉を二次焼成して微細シリカ粉末にしたものである。比較例として、炭化物の粉砕処理を行わない従来製法(一次焼成から引き続いて二次焼成)で得られたシリカ粉末のシリカ純度および炭素量を表9に示す。

0076

0077

最終的に得られるシリカ粉末のシリカ純度および炭素含有量に関しては、途中段階での炭化物の粉砕処理の有無によって、特に変化は見られない。途中段階での炭化物の粉砕処理を行う最大のメリットは、短時間で平均粒径3μm以下の微細粉を得られることである。途中段階の炭化物粉砕処理で平均粒径を3μm以下にすれば、二次焼成後に得られる最終のシリカ粉末の平均粒径も3μm以下になる。二次焼成後の微細シリカ粉末は、非晶質で多孔質の構造を有している。微細シリカ粉末の好ましい炭素含有量は、質量基準で、0.1%以下である。また、好ましい微細シリカ粉末の純度は95%以上である。

0078

今回の実験では、有機系廃棄物の代表例として籾殻を出発原料に選んだが、シリカを含む他の有機系廃棄物を出発原料としても、同様の結果が得られるであろう。

0079

本発明は、微細シリカ粉末を効率的に製造する方法として有利に利用され得る。

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