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技術 液体噴射ヘッド

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 中山雅夫平井栄樹清水稔弘高部本規板山泰裕
出願日 2015年3月3日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2015-041542
公開日 2016年9月5日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2016-159550
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(粒子形成、飛翔制御)
主要キーワード ジルコニア膜 アクチュエーター装置 ジルコニウム層 長手方向外側 配向率 並設方向 金属有機物 PZT
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

圧電体層結晶性を制御しながら絶縁体膜薄膜化を可能にする圧電素子を備えた液体噴射ヘッドを提供する。

解決手段

流路形成基板10上に配設された圧電素子300を有し、該圧電素子300の駆動に伴う振動膜50の変位により、圧力発生室12内に充填された液体に圧力を作用させ、ノズル開口21を介して前記液体を前記ノズル開口21から吐出する液体噴射ヘッドであって、圧電素子300は、振動膜50上に形成される絶縁体膜55と、該絶縁体膜55上に形成される第1電極膜60と、該第1電極膜60上に形成される圧電体層70と、該圧電体層70上に形成される第2電極膜80とを有し、さらに絶縁体膜55は、振動膜50上に成膜した下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した前記下絶縁体膜と同一材料結晶構造が異なる上絶縁体膜とを有する。

概要

背景

電圧印加することにより変位する圧電素子は、例えば、液滴を噴射する液体噴射ヘッド等に搭載される。このような液体噴射ヘッドとしては、例えば、ノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動膜で構成し、この振動膜を圧電素子により変形させて圧力発生室内充填されたインク加圧してノズル開口からインク滴吐出させるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)が知られている。

この種の記録ヘッドにおいて、絶縁体膜上に配設された圧電素子の高密度化を図るには、前記振動膜の変位を稼ぐため、例えばジルコニア膜で形成される絶縁体膜を薄くする必要がある。

特許文献1には、絶縁体膜となるジルコニア膜の成膜条件を規定することで前記ジルコニア膜の表面粗さを制御し、これにより圧電体層の特性を向上させる技術が開示されている。

概要

圧電体層の結晶性を制御しながら絶縁体膜の薄膜化を可能にする圧電素子を備えた液体噴射ヘッドを提供する。流路形成基板10上に配設された圧電素子300を有し、該圧電素子300の駆動に伴う振動膜50の変位により、圧力発生室12内に充填された液体に圧力を作用させ、ノズル開口21を介して前記液体を前記ノズル開口21から吐出する液体噴射ヘッドであって、圧電素子300は、振動膜50上に形成される絶縁体膜55と、該絶縁体膜55上に形成される第1電極膜60と、該第1電極膜60上に形成される圧電体層70と、該圧電体層70上に形成される第2電極膜80とを有し、さらに絶縁体膜55は、振動膜50上に成膜した下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した前記下絶縁体膜と同一材料結晶構造が異なる上絶縁体膜とを有する。

目的

本発明は、上記従来技術に鑑み、圧電体層の結晶性を制御しながら絶縁体膜の薄膜化を可能にする圧電素子を備えた液体噴射ヘッドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

流路形成基板上に配設された圧電素子を有し、該圧電素子の駆動に伴う振動膜変位により、圧力発生室内充填された液体に圧力を作用させ、ノズル開口を介して前記液体を前記ノズル開口から吐出する液体噴射ヘッドであって、前記圧電素子は、前記振動膜上に形成される絶縁体膜と、該絶縁体膜上に形成される第1電極膜と、該第1電極膜上に形成される圧電体層と、該圧電体層上に形成される第2電極膜とを有し、さらに前記絶縁体膜は、前記振動膜上に成膜した下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した前記下絶縁体膜と同一材料結晶構造が異なる上絶縁体膜とを有することを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項2

請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、前記下絶縁体膜は、スパッタ法により成膜するとともに、前記上絶縁体膜は、液相法により成膜したものであることを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項3

請求項2に記載する液体噴射ヘッドにおいて、前記上絶縁体膜の膜厚は、50nm〜100nmの範囲で形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項4

請求項2に記載する液体噴射ヘッドにおいて、前記下絶縁体膜の膜厚は、20nm〜50nmで、かつ前記絶縁体膜の膜厚は、100nm〜150nmの範囲で形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項5

請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載する液体噴射ヘッドにおいて、前記上絶縁体膜の表面粗さRaは、0.7nm以上であることを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項6

請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載する液体噴射ヘッドにおいて、前記液相法により成膜した上絶縁体膜には10%以下のイットリウムを添加したことを特徴とする液体噴射ヘッド。

技術分野

0001

本発明は液体噴射ヘッドに関し、特に圧電素子高密度化を図る場合に適用して有用なものである。

背景技術

0002

電圧印加することにより変位する圧電素子は、例えば、液滴を噴射する液体噴射ヘッド等に搭載される。このような液体噴射ヘッドとしては、例えば、ノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動膜で構成し、この振動膜を圧電素子により変形させて圧力発生室内充填されたインク加圧してノズル開口からインク滴吐出させるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)が知られている。

0003

この種の記録ヘッドにおいて、絶縁体膜上に配設された圧電素子の高密度化を図るには、前記振動膜の変位を稼ぐため、例えばジルコニア膜で形成される絶縁体膜を薄くする必要がある。

0004

特許文献1には、絶縁体膜となるジルコニア膜の成膜条件を規定することで前記ジルコニア膜の表面粗さを制御し、これにより圧電体層の特性を向上させる技術が開示されている。

先行技術

0005

特開2005−260003号公報

発明が解決しようとする課題

0006

図8は、絶縁体膜の表面粗さ(ラフネス)Raと圧電体層(PZT結晶の(100)配向率との相関を示すグラフである。同図に示すように、表面粗さRaの数値が大きくなる程、圧電体層の配向率も大きくなり良好な結晶となる。このことは、表面粗さRaを大きくすれば圧電体層の結晶性を制御しながら絶縁体膜の薄膜化が可能となることを示唆している。すなわち、絶縁体膜の薄膜化を実現できれば、圧電素子の駆動に伴う変位を大きくとることができる。

0007

しかしながら、特許文献1に示すように、絶縁体膜(ジルコニア膜)の成膜条件だけで表面粗さRaを制御することは難しく、圧電体層の結晶性を向上させることは難しかった。すなわち、特許文献1等に示す従来技術においては、圧電素子の高密度化のために絶縁体膜の膜厚を薄くしたいが、薄くすると表面粗さRaが大きくならず、圧電体層の配向率が低くなってしまう。そこで、絶縁体膜の膜厚を厚くせざるを得なかった。

0008

本発明は、上記従来技術に鑑み、圧電体層の結晶性を制御しながら絶縁体膜の薄膜化を可能にする圧電素子を備えた液体噴射ヘッドを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成する本発明の態様は、流路形成基板上に配設された圧電素子を有し、該圧電素子の駆動に伴う振動膜の変位により、圧力発生室内に充填された液体に圧力を作用させ、ノズル開口を介して前記液体を前記ノズル開口から吐出する液体噴射ヘッドであって、前記圧電素子は、前記振動膜上に形成される絶縁体膜と、該絶縁体膜上に形成される第1電極膜と、該第1電極膜上に形成される圧電体層と、該圧電体層上に形成される第2電極膜とを有し、さらに前記絶縁体膜は、前記振動膜上に成膜した下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した前記下絶縁体膜と同一材料結晶構造が異なる上絶縁体膜とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
本態様によれば、絶縁体膜が、振動膜上に成膜した下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した上絶縁体膜とで形成されており、しかも上絶縁体膜は下絶縁体膜と同一材料で結晶構造が異なるものであるので、絶縁体膜の表面粗さRaを大きくすることができる。この結果、第1電極膜を介して絶縁体膜上に形成される圧電体層の配向率を大きくすることができ、圧電体層の結晶性を制御しながら絶縁体膜の薄膜化が可能となる。かくして、圧電素子の駆動に伴う変位を大きくとることができる。

0010

ここで、前記下絶縁体膜は、スパッタ法により成膜するとともに、前記上絶縁体膜は、液相法により成膜するのが望ましい。スパッタ法により形成された下絶縁体膜は柱状の粒子で形成されており、圧電体層からのPbの拡散を良好に抑制する一方、液相法により形成された上絶縁体膜は小さな粒子で形成されており、ヤング率が小さく圧電体層の結晶性を向上させることができるからである。

0011

また、上絶縁体膜の膜厚は、50nm〜100nmの範囲で形成するのが望ましい。下絶縁体膜の膜厚は、20nm〜50nmで、かつ絶縁体膜の膜厚は、100nm〜150nmの範囲で形成するのが望ましい。これにより、絶縁体膜の膜厚を、従来の約400nmから約125nmへと薄膜化が可能になるからである。

0012

さらに、前記上絶縁体膜の表面粗さRaは、0.7nm以上であることが望ましい。大きな表面粗さをRaが得られ、圧電体層の配向性を90%以上にすることができるからである。また、前記液相法により成膜した上絶縁体膜には10%以下のイットリウムを添加するのが望ましい。上絶縁体膜の結晶の安定化を図ることができるからである。

図面の簡単な説明

0013

実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
実施形態に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。
結晶構造が異なる2層の絶縁体膜を示す模式図である。
実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
絶縁体膜のラフネスと圧電体層配向率との相関を示すグラフである。

実施例

0014

以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図、図2は、図1の平面図及び断面図である。これら図1及び図2に示すように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる振動膜50が形成されている。流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより形成され、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板マニホールド部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールドの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。

0015

また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、後述するマスク膜を介して接着剤熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。

0016

一方、このような流路形成基板10の開口面側とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約0.5μmの二酸化シリコン(SiO2)からなる振動膜50が形成され、この振動膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55が形成されている。本実施形態における絶縁体膜55は、振動膜50上に成膜した下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した前記下絶縁体膜と同一材料で結晶構造が異なる上絶縁体膜とからなる2層構造の膜である。かかる絶縁体膜55は、絶縁体膜55と同一材料(本形態ではジルコニウム)を液相法によりオーバーコートすることにより形成している。この場合、液相法によりオーバーコートした絶縁体膜55の表面粗さRaは、0.7nm以上で3nm未満とするのが好ましい。表面粗さRaを0.7nm以上とすることにより、図8に示すように、圧電体層70の配向率を90%以上とすることができるからである。また、このように、液相法により成膜した絶縁体膜55には10%以下のイットリウムを添加するのが望ましい。絶縁体膜55の結晶を安定させるためである。

0017

上述の如く本実施形態における絶縁体膜55は、絶縁体膜55と同一材料であるジルコニウム膜を液相法によりオーバーコートして形成される。この結果、図3に模式的に示すように、本実施形態における絶縁体膜55は、振動膜50(例えば、図1参照)上に成膜された下絶縁体膜55Aと下絶縁体膜55A上に成膜された上絶縁体膜55Bの2層構造となっている。そして、本実施形態においては、下絶縁体膜55Aはスパッタ法により成膜され、また上絶縁体膜55Bは液相法により成膜される。

0018

この結果、スパッタ法により成膜された下絶縁体膜55Aは柱状の粒子が密に集合した結晶構造となり圧電体層70からのPbの拡散を良好に抑制することができる。一方、液相法により成膜された上絶縁体膜55Bは小径の粒子が疎に集合した結晶構造となりヤング率が小さい柔軟な膜とすることができる。ここで、下絶縁体膜55Aの膜厚t1>上絶縁体膜55Bの膜厚t2の関係が成立するように成膜してある。

0019

ここで、絶縁体膜55の膜厚は、100nm〜150nmの範囲に収まるように成膜してある。さらに詳言すると、上絶縁体膜55Bの膜厚が、基準値を70nmとして50nm〜100nmの範囲に収まるように成膜するとともに、下絶縁体膜55Aの膜厚を20〜50nmとしつつ、下絶縁体膜55Aと上絶縁体膜55Bの合計膜厚が、基準値を125nmとして100nm〜150nmの範囲に収まるように成膜する。このことにより、従来、約400nmとなっていた絶縁体膜55の膜厚を、約125nmまで薄膜化することができる。

0020

なお、本実施形態においては、スパッタ法による膜を下絶縁体膜55A、液相法による膜を上絶縁体膜55Bとしたが、この関係により、上述の如くスパッタ法による成膜に伴うメリットと、液相法による成膜に伴うメリットとを同時に享有できる。ただ、下絶縁体膜55A及び上絶縁体膜55Bの上下関係は、本実施形態に限定する必要はない。上下関係が逆でも構わない。要するに、絶縁体膜55が、下絶縁体膜と、該下絶縁体膜上に成膜した下絶縁体膜と同一材料で、結晶構造が異なる上絶縁体膜とからなる2層構造となっていれば良い。

0021

絶縁体膜55上には、下電極膜である第1電極膜60と、圧電体層70と、上電極膜である第2電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極膜60、圧電体層70及び第2電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路配線都合でこれを逆にしても構わない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、本形態では、振動膜50、絶縁体膜55及び第1電極膜60が振動板としての役割を果たす。

0022

また、このような各圧電素子300の第2電極膜80には、リード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。

0023

また、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域に圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にマニホールド部32が設けられている。このマニホールド部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。

0024

保護基板30の圧電素子保持部31とマニホールド部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に第1電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これら第1電極膜60及びリード電極90には、図示しないが、一端が駆動ICに接続された接続配線の他端が接続される。

0025

なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラスセラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。

0026

また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってマニホールド部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。

0027

このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極膜60と第2電極膜80との間に電圧を印加し、振動膜50、絶縁体膜55、第1電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。

0028

以上、本実施形態に係る記録ヘッドによれば、絶縁体膜55が、振動膜50上に成膜した下絶縁体膜55Aと、該下絶縁体膜55A上に成膜した上絶縁体膜55Bとで形成されており、しかも上絶縁体膜55Bは下絶縁体膜55Aと同一材料で結晶構造が異なるものであるので、絶縁体膜55の表面粗さRaを大きくすることができる。この結果、第1電極膜60を介して絶縁体膜55上に形成される圧電体層70の配向率を大きくすることができ、圧電体層70の結晶性を制御しながら絶縁体膜55の薄膜化が可能となる。かくして、圧電素子の駆動に伴う変位を大きくとることができる。

0029

次に、上述の如きインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)の製造方法について、図4図7を参照して説明する。なお、図4図7は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に振動膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板10として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。

0030

次いで、図4(b)に示すように、振動膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、振動膜50(二酸化シリコン膜51上に、ジルコニウム(Zr)層を形成する。次に、ジルコニウム層を熱酸化して酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成し、絶縁体膜55を形成する。本実施形態における絶縁体膜55は、前述の如く振動膜50上に成膜した下絶縁体膜55Aと、該下絶縁体膜55A上に成膜した下絶縁体膜55Aと同一材料で結晶構造が異なる上絶縁体膜55Bとで形成した2層構造の膜として成膜してある。

0031

次いで、図4(c)に示すように、例えば、少なくとも白金イリジウムとからなる第1電極膜60を絶縁体膜55の全面にスパッタ法等により形成後、第1電極膜60を所定形状にパターニングする。なお、この第1電極膜60の表面粗さRaは、絶縁体膜55の表面粗さRaに依存する。本実施形態では、絶縁体膜55を2層構造として表面粗さRaを大きくしてあるので、第1電極膜60に成膜される圧電体層70の配向性を良好に維持することができる。

0032

次に、図4(d)に示すように、第1電極膜60及び絶縁体膜55上に、チタン(Ti)をスパッタ法、例えば、DCスパッタ法で2回以上、本実施形態では2回塗布することにより所定の厚さで連続する種チタン層65を形成する。この種チタン層65の膜厚は、1nm〜8nmの範囲内となるように形成するのが好ましい。種チタン層65をこのような厚さで形成することにより、後述する工程で形成される圧電体層70の結晶性を向上させることができるからである。

0033

次に、このように形成した種チタン層65上に、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。本実施形態では、金属有機物触媒に溶解・分散したいわゆるゾル塗布乾燥してゲル化し、さらに高温焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いてPZTからなる圧電体層70を形成する。

0034

かかる圧電体層70を形成した後は、図5(a)に示すように、例えば、イリジウムからなる第2電極膜80を流路形成基板用ウェハ110の全面に形成する。次いで、図5(b)に示すように、圧電体層70及び第2電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、リード電極90を形成する。具体的には、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成する。その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を圧電素子300毎にパターニングすることでリード電極90が形成される。

0035

次に、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上する。

0036

次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工する。

0037

次いで、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、例えば、窒化シリコン(SiN)からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、このマスク膜52を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることにより、図7に示すように、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。

0038

その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。

0039

(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、液体噴射装置に用いるヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを例示したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。また、本発明は、このような液体噴射ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)に液体吐出手段として搭載されるアクチュエーター装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエーター装置に適用することができる。例えば、アクチュエーター装置は、上述したヘッドの他に、センサー等にも適用することができる。

0040

10流路形成基板、 12圧力発生室、 20ノズルプレート、 21ノズル開口、 30保護基板、 40コンプライアンス基板、 50振動膜、 55絶縁体膜、 55A 下絶縁体膜、 55B 上絶縁体膜、 60 第1電極膜、 70圧電体層、 80 第2電極膜、 300 圧電素子

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