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課題
解決手段
概要
背景
概要
被検眼の眼球形状を確認できる眼軸長測定装置、眼球形状情報取得方法、および眼球形状情報取得プログラムを提供する。 被検眼に照射された測定光と参照光との干渉信号を検出する干渉光学系を備える眼軸長測定装置であって、前記被検眼上における眼軸長の測定位置を変更する測定位置変更手段と、前記干渉光学系からの干渉信号に基づいて前記被検眼の眼軸長を取得する取得手段と、を備え、前記取得手段は、前記測定位置変更手段によって変更された異なる複数の測定位置において眼軸長を取得し、前記複数の測定位置における眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状情報を取得することを特徴とする。
目的
本開示は、上記の問題点に鑑み、被検眼の眼球形状を確認できる眼軸長測定装置、眼球形状情報取得方法、および眼球形状情報取得プログラムを提供することを技術課題とする。
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
被検眼に照射された測定光と参照光との干渉信号を検出する干渉光学系を備える眼軸長測定装置であって、前記被検眼上における眼軸長の測定位置を変更する測定位置変更手段と、前記干渉光学系からの干渉信号に基づいて前記被検眼の眼軸長を取得する取得手段と、を備え、前記取得手段は、前記測定位置変更手段によって変更された異なる複数の測定位置において眼軸長を取得し、前記複数の測定位置における眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状情報を取得することを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項2
請求項1の眼軸長測定装置において、前記測定位置変更手段は、前記異なる複数の測定位置として、少なくとも3つの異なる測定位置に測定位置を変更することを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項3
請求項2の眼軸長測定装置において、前記測定位置変更手段は、前記被検眼の基準軸に対する前記干渉光学系の測定光軸の相対角度を変更することによって、眼軸長の測定位置を変更し、前記少なくとも3つの異なる測定位置として、少なくとも、前記基準軸と前記測定光軸とが一致する第1測定位置に、測定位置を変更することを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項4
請求項3の眼軸長測定装置において、前記測定位置変更手段は、前記少なくとも3つの異なる測定位置として、前記第1測定位置を通る軸の一方の側の領域に位置する第2測定位置と、他方の領域に位置する第3測定位置と、に測定位置を変更することを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項5
請求項4の眼軸長測定装置において、前記第2測定位置と前記第3測定位置とは、前記第1測定位置を通る軸を中心として、対称の測定位置であることを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項6
請求項4又は5の眼軸長測定装置において、前記第1測定位置と、前記第2測定位置と、前記第3測定位置と、は、1つの経線上に位置する測定位置であることを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項7
請求項1〜6のいずれかの眼軸長測定装置において、前記取得手段は、前記複数の測定位置における眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状のタイプを判定し、前記被検眼の眼球形状情報として、判定結果を取得することを特徴とする眼軸長測定装置。
請求項8
前記測定位置変更手段は、被検眼に対して固視光を照射するための固視光源を有し、前記固視光源の位置を変更する固視位置変更手段を備え、前記被検眼の固視位置を変更することによって、前記被検眼上における眼軸長の測定位置を変更することを特徴とする請求項1〜7のいずれかの眼軸長測定装置。
請求項9
前記測定位置変更手段は、前記測定光を被検眼に対して走査する走査光学系を備え、前記測定光を走査することによって、前記被検眼上における眼軸長の測定位置を変更することを特徴とする請求項1〜7のいずれかの眼軸長測定装置。
請求項10
眼球形状情報取得方法であって、同一被検眼上における異なる複数の測定位置において測定された眼軸長を取得する眼軸長取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状情報を取得する形状情報取得ステップと、を備えることを特徴とする眼球形状情報取得方法。
請求項11
技術分野
背景技術
先行技術
0003
特開2005−342204号公報
発明が解決しようとする課題
0004
しかしながら、従来の眼軸長測定装置は1点における測定だけであり、被検眼の眼球形状の変形等による病変等を確認するには不十分であった。
0005
本開示は、上記の問題点に鑑み、被検眼の眼球形状を確認できる眼軸長測定装置、眼球形状情報取得方法、および眼球形状情報取得プログラムを提供することを技術課題とする。
課題を解決するための手段
0006
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
0007
(1) 被検眼に照射された測定光と参照光との干渉信号を検出する干渉光学系を備える眼軸長測定装置であって、前記被検眼上における眼軸長の測定位置を変更する測定位置変更手段と、前記干渉光学系からの干渉信号に基づいて前記被検眼の眼軸長を取得する取得手段と、を備え、前記取得手段は、前記測定位置変更手段によって変更された異なる複数の測定位置において眼軸長を取得し、前記複数の測定位置における眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状情報を取得することを特徴とする。
(2) 眼球形状情報取得方法であって、同一被検眼上における異なる複数の測定位置において測定された眼軸長を取得する眼軸長取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状情報を取得する形状情報取得ステップと、を備えることを特徴とする。
(3) 眼球形状情報取得装置の動作を制御する制御装置において実行される眼球形状情報取得プログラムであって、前記制御装置のプロセッサによって実行されることで、
同一被検眼上における異なる複数の測定位置において測定された眼軸長を取得する眼軸長取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された眼軸長に基づいて、前記被検眼の眼球形状情報を取得する形状情報取得ステップと、を前記眼球形状情報取得装置に実行させることを特徴とする。
図面の簡単な説明
0008
本装置の光学系を示す概略図である。
固視灯の移動を説明するための図である。
本装置の制御動作を示すフローチャートである。
眼球変形の種類を説明するための図である。
眼球形状の演算について説明するための図である。
表示部に表示される画面の一例を示す図である。
角膜形状を用いた眼球形状の演算補正について説明するための図である。
眼球形状の別の演算方法について説明するための図である。
第2実施例の光学系を示す概略図である。
第2実施例の導光光学系について説明するための図である。
第2実施例において取得される断層画像の一例を示す図である。
実施例
0009
<概要>
以下、本実施形態の概要について、図1〜図11を用いて説明する。本実施形態の眼軸長測定装置は、被検眼の眼球形状情報を取得することができる。例えば、眼軸長測定装置は、被検眼の眼軸長を測定する第1測定モード(眼軸長測定モード)と、被検眼の眼球形状情報を取得する第2測定モード(眼球形状情報取得モード)と備え、モードを選択して、測定動作を設定することができる。
0010
眼軸長測定装置は、例えば、干渉光学系(例えば、投光光学系10、受光光学系20など)と、測定位置変更手段(例えば、本実施形態においては、制御部80、固視光学系50など)と、取得手段(例えば、本実施形態においては、制御部80など)と、を備える。例えば、干渉光学系は、被検眼に照射された測定光と参照光との干渉信号を検出してもよい。
例えば、本装置において、第2測定モードに設定された場合に、取得手段は、測定位置変更手段によって変更された異なる複数の測定位置において眼軸長を取得し、複数の測定位置における眼軸長に基づいて、被検眼の眼球形状情報を取得する。
0011
例えば、測定位置変更手段は、被検眼上における眼軸長の測定位置を変更する。例えば、測定位置変更手段は、被検眼の固視位置を変更させ、眼軸長の測定位置を変更する構成であってもよい。この場合、例えば、本実施形態において、測定位置変更手段としては、固視位置変更手段を用いて、固視位置を変更させる構成が挙げられる。例えば、固視位置変更手段は、固視光学系50(例えば、固視光源51、駆動部52等)を制御して、固視位置を変更させる。例えば、固視位置変更手段としては、固視光源51の点灯位置を制御する構成が挙げられる。また、例えば、固視位置変更手段としては、固視光源51を移動させる構成が挙げられる。また、例えば、固視位置変更手段としては、固視光源51から出射された固視光束を走査する構成が挙げられる。このようにして、測定位置変更手段は、眼軸長の測定位置を変更してもよい。
0012
また、例えば、測定位置変更手段としては、走査光学系(例えば、走査光学系123など)によって干渉光学系からの測定光を被検眼上に走査させることによって、眼軸長の測定を変更してもよい。
0013
また、例えば、測定位置変更手段としては、干渉光学系を収納した装置本体と、被検眼との相対位置を調整することによって、眼軸長の測定位置を変更するようにしてもよい。この場合、例えば、装置本体と、被検眼との相対位置を調整する構成としては、装置本体を被検眼に対して移動させる構成、被検者の顎を支持する顎台を装置本体に対して移動させる構成、等を用いてもよい。
0014
なお、例えば、測定位置変更手段は、異なる複数の測定位置としては、2つの異なる測定位置、3つの異なる測定位置等、の任意の数の測定位置に設定することができる。例えば、測定位置変更手段が少なくとも3つの異なる測定位置に測定位置を変更する構成の場合に、取得手段は、測定位置の異なる2つの眼軸長に基づいて眼球形状情報を取得するよりも、より確実に眼球形状情報を取得することができる。
0015
なお、より詳細には、例えば、測定位置変更手段は、例えば、少なくとも3つの異なる測定位置として、少なくとも、被検眼の基準軸と測定光軸とが一致する第1測定位置に測定位置を変更するようにしてもよい。被検眼の基準軸における眼軸長が測定されることによって、別に測定された正常眼の眼軸長との比較等を行い易い。
0016
なお、以下の説明において、被検眼の基準軸は、被検眼の視軸として説明するが、これに限らない。例えば、被検眼の基準軸は、被検眼の光軸であってもよい。ここで、被検眼の視軸とは、例えば、注視する点(例えば、固視位置)と眼の中心窩とを結ぶ線である。また、被検眼の光軸とは、例えば、眼の全ての光学系(例えば、角膜、水晶体等)の曲率中心を通る線であり、視軸とは異なる。例えば、基準軸を被検眼の光軸とする場合、測定位置変更手段は、視軸に対して所定量だけ測定位置をずらすことによって、被検眼の光軸上に測定位置を設定してもよい。より詳細には、例えば、固視を用いて測定位置を設定する場合に、基準軸を視軸とした場合の固視の呈示位置よりも所定量だけ固視の呈示位置をずらすことによって、被検眼の光軸に干渉光学系の光軸を一致させることができる。なお、所定量は、固視をずらすための所定量は、一般的に視軸と光軸がずれる量を用いることができる。
0017
測定位置変更手段は、例えば、第1測定位置の他に、さらに、第1測定位置を通る軸よりも一方の側の領域に位置する第2測定位置と、他方の領域に位置する第3測定位置と、に変更するようにしてもよい。例えば、第1測定位置を通る軸としては、水平方向、鉛直方向、斜め方向(水平方向と鉛直方向の間の方向)等の方向に設定される。
0018
例えば、第1測定位置、第2測定位置、第3測定位置は、1つの経線上に設定されるようにしてもよい。すなわち、第1測定位置、第2測定位置、第3測定位置は、水平方向、鉛直方向、斜め方向(水平方向と鉛直方向の間の方向)に並んで設定されるようにしてもよい。ここで、例えば、経線とは、眼球の視軸を含む平面で眼球を切ったときの切り口の曲線であってもよい。つまり、測定位置変更は、例えば、視軸上に位置する第1測定位置と、第2測定位置及び第3測定位置とが直線的に並ぶように測定位置を変更してもよい。以上のように、測定位置が1つの経線上に位置することによって、取得手段は眼球形状情報の取得を容易に行える。例えば、取得手段は、眼球形状を楕円によって近似する場合などの演算が容易に行える。
0019
なお、例えば、第2測定位置と第3測定位置は、第1測定値を通る軸を中心として対称的であってもよい。これによって、検者は、被検眼の眼球形状の対称性を確認しやすくなる。なお、対称とは、水平方向に対称(左右対称)であってもよいし、鉛直方向に対称(上下対称)であってもよいし、斜め方向に対称であってもよい。
0020
なお、例えば、測定位置変更手段は、第2測定位置、第3測定位置としては、眼内の基準となる位置を回旋点として旋回させた位置で設定されるようにしてもよい。例えば、第2測定位置としては、前眼部では第1測定位置に対して右側にシフトした位置に、眼底部では第1測定位置に対して左側にシフトした位置に、干渉光学系の測定光が照射される。また、例えば、第3測定位置は、前眼部では第1の測定位置に対して左側にシフトした位置に、眼底部では第1測定位置に対して右側にシフトした位置に、干渉光学系の測定光が照射される。
0021
例えば、眼球形状情報とは、各測定位置での眼軸長結果を比較可能にした情報(例えば、複数の測定位置とその測定位置において取得された眼軸長とが関連付けられた情報、複数の測定位置で比較した眼軸長の差分情報等)、正常眼の眼軸長情報に対する取得された被検眼の眼軸長の差分情報、各測定位置での眼軸長結果より眼球の形状を演算した演算結果情報(例えば、眼球形状を示す近似式、眼球形状を示すグラフィック、眼球形状の結果を分類した情報等)、等であってもよい。なお、眼球形状情報とは、眼球の外面形状に限らず、内面形状に関する情報であってもよい。
0022
例えば、複数の測定位置とその測定位置において取得された眼軸長とが関連付けられた情報は、各測定位置で取得された眼軸長が同一画面上に表示される構成であってもよい。また、例えば、各測定位置が示された表示と、各眼軸長の測定結果が表示される構成であってもよい。
0023
例えば、複数の測定位置で比較した眼軸長の差分情報としては、第1測定位置に対しての各測定位置での眼軸長の差分値を表示するようにしてもよい。また、例えば、第2測定位置と第3測定位置との差分値を表示するようにしてもよい。
0024
例えば、正常眼の眼軸長情報に対する取得された被検眼の眼軸長の差分情報は、記憶部に記憶されたデータベースと、被検眼を測定して得られた眼軸長とを比較することによって、取得してもよい。この場合に、例えば、記憶部(例えば、メモリ85)に、複数の測定位置において測定された正常眼の眼軸長がデータベースとして記憶されてもよい。
また、例えば、眼球形状の分類情報としては、眼軸長が疾病等によって変形したときの眼球形状がどのタイプに分類されるかを判定した判定結果であってもよい。例えば、取得手段は、複数の測定位置における眼軸長に基づいて、被検眼の眼球形状のタイプを判定し、被検眼の眼球形状情報として、判定結果を取得する。なお、疾病等によって変形した眼球は、例えば、鼻側突出型、耳側突出型、紡錘型、樽型の4つの形状等に分類される。
0026
また、少なくとも2つの経線上において、それぞれ、少なくとも3つの測定位置において眼軸長を測定し、測定された各経線上において、それぞれの少なくとも3つの測定位置における眼軸長に基づいて被検眼の形状と近似する楕円を求めてもよい。そして少なくとも2の経線上のそれぞれの短径と長径の比率から眼球形状を分類してもよい。
0027
<実施例>
以下、実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る眼軸長測定装置の光学系の概略構成図である。なお、本実施例においては、被検眼の奥行き方向をZ方向(光軸L1方向)、奥行き方向に垂直な平面において水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。
0028
<干渉光学系>
干渉光学系は、例えば、被検眼の眼軸長を測定する。本実施例の干渉光学系は、例えば、タイムドメイン方式の干渉光学系である。もちろん、Time-domainOCT(TD−OCT)に限らず、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)等のフーリエドメイン方式の干渉光学系であってもよい。
0029
干渉光学系は、例えば、光源1と、ビームスプリッタ5と、投光光学系(照射光学系)10と、受光光学系20と、光路長変更部材とを主に備える。光源1は、例えば、低コヒーレント光を出射してもよい。ビームスプリッタ5は、例えば、出射された光を第1分割光と第2分割光に分割してもよい。投光光学系10は、例えば、第1分割光を被検眼の眼底に向けて照射してもよい。受光光学系20は、例えば、受光素子21を備えてもよい。受光素子21は、例えば、被検眼の眼底で反射された第1分割光と、第2分割光を合成して受光する。光路変更部材は、例えば、三角プリズム7であってもよい。光路変更部材は、第1分割光と第2分割光の光路長を変更するために、駆動部71によって移動可能に一方の光路に配置されてもよい。干渉光学系は、受光素子21から出力される受光信号に基づいて被検眼の眼軸長を測定する。
0030
前述の光学系の具体的構成について以下に説明する。照射光学系10は、例えば、被検眼角膜と被検眼眼底に測定光を照射するために配置される。照射光学系10は、例えば、測定光源1(例えば、SLD)と、コリメータレンズ3と、ビームスプリッタ5と、第1三角プリズム(コーナーキューブ)7と、第2三角プリズム9と、偏光ビームスプリッタ11と、1/4波長板13と、ダイクロイックミラー15と、検査窓17と、を有する。
0031
測定光源1は、例えば、低コヒーレント光を出射してもよい。コリメータレンズ3は、測定光源1から出射された光束を平行光束とする。ビームスプリッタ5は、光源1から出射された光を分割してもよい。第1三角プリズム7は、ビームスプリッタ5の透過方向に配置されてもよい、第2三角プリズム9は、ビームスプリッタ5の反射方向に配置されてもよい。
0032
受光光学系20は、例えば、照射光学系10によって照射された測定光による角膜反射光と眼底反射光による干渉光を受光するために配置されてもよい。受光光学系20は、例えば、検査窓17と、ダイクロイックミラー15と、1/4波長板13と、偏光ビームスプリッタ11と、集光レンズ19と、受光素子21と、を有する。本装置は、角膜での反射光と眼底での反射光の干渉光を受光素子21にて検出する。
0033
三角プリズム7は、光路長を変更させるための光路長変更部材として用いられ、駆動部71(例えば、モータ)の駆動によってビームスプリッタ5に対して光軸方向に直線的に移動される。この場合、光路長変更部材は、三角ミラーであってもよい。プリズム7の駆動位置は、位置検出センサ72(例えば、ポテンショメータ、エンコーダ、等)によって検出されてもよい。
0034
光源1から出射された光(直線偏光)は、コリメータレンズ3によってコリメートされた後、ビームスプリッタ5によって第1測定光(参照光)と第2測定光とに分割される。そして、第1測定光(第2分割光)は、三角プリズム7によって反射され、また第2測定光(第1分割光)は、三角プリズム9によって反射され、各々折り返された後、ビームスプリッタ5によって合成される。そして、合成された光は、偏光ビームスプリッタ11によって反射され、1/4波長板13によって円偏光に変換された後、ダイクロイックミラー15及び検査窓17を介して少なくとも被検眼角膜と眼底に照射される。このとき、測定光束は、被検者眼の角膜と眼底にて反射されると、1/2波長分位相が変換される。
0035
角膜反射光及び眼底反射光は、検査窓17及びダイクロイックミラー15を介して、1/4波長板13によって直線偏光に変換される。その後、偏光ビームスプリッタ11を透過した反射光は、集光レンズ19によって集光された後、受光素子21によって受光される。
0036
なお、以上の説明において、光路長変更部材は、光路分割部材によって分割される測定光路のいずれかに配置され、分割された測定光路間の光路差が調整されるように移動されればよい。具体的には、光路長変更部材及び光路分割部材は、図1のように照射光学系10の光路中に配置される他、受光光学系20の光路、又は照射光学系10と受光光学系20の共通光路に配置された構成であってもよい。
0037
<前眼部撮像光学系>
ダイクロイックミラー15の反射方向には、前眼部撮像光学系30が設けられる。前眼部撮像光学系30は、被検眼の前眼部を撮像するために配置される。撮像光学系30は、光源1から出射された光を透過し前眼部照明光源40から出射された光を反射する特性を有するダイクロイックミラー15、対物レンズ31、全反射ミラー33、結像レンズ35、二次元撮像素子37、を有する。ここで、照明光源40によって赤外照明された前眼部像は、検査窓17、ダイクロイックミラー15、対物レンズ31、反射ミラー33、結像レンズ35を介して、二次元撮像素子37に結像される。
<固視光学系>
固視光学系50は、被検眼Eの視線方向を誘導する。図2は、固視光学系について説明するための図である。固視光学系50は、被検眼Eに呈示する固視光源51を有し、複数の方向に被検眼Eを誘導できる。例えば、固視光源51は、可視光を発する。固視光源51からの固視光は、ビームスプリッタ5を透過し、三角プリズム9によって反射させる。そして固視光は再び、ビームスプリッタ5を透過し、偏光ビームスプリッタ11によって反射され、1/4波長板13、ダイクロイックミラー15、検査窓17を透過し、被検眼に投影される。
0038
例えば、固視光学系50は、視標の呈示位置を二次元的に変更させる構成を備える。これによって、視線方向が変更され、結果的に被検眼の視軸に対する測定光軸L1が変更される。例えば、図2(a)のように、測定光軸L1と同じ方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が測定部位として設定される。また、図2(b)のように、被検者から見て測定光軸L1の右側から固視標が呈示されると、被検者は、固視標が呈示される右側を固視するため、眼底の右部分が測定部位として設定される。すなわち、測定光軸L1に対する視標の位置に応じて測定部位が変更される。同様に、図2(c)のように、被検者から見て測定光軸L1の左側から固視標が呈示されると、被検者は、固視標が呈示される左側を固視するため、眼底の左部分が測定部位として設定される。
0039
本実施例の固視光学系50は、例えば、固視光源51を移動させる駆動部52を備える(図2参照)。制御部52は駆動部52を駆動させて固視光源51を移動させることによって、固視位置を変更させる。なお、固視光学系50としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナによって走査させる構成、LCD等の光源の点灯制御によって固視位置を調整する構成等、種々の構成が考えられる。また、固視光学系50は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。なお、固視光源51は、測定光とは異なる色の光源であってもよい。これによって、固視灯の光が測定光に紛れることを低減できる。
0040
<制御系>
次に、本実施例に係る装置の制御系について説明する。制御部80は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。制御部80のCPUは、装置全体の制御を司る。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部80のROMには、装置全体の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。なお、制御部80は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
0041
制御部80には、不揮発性メモリ(記憶手段)85、操作部(コントロール部)84、および表示部(モニタ)82等が電気的に接続されている。不揮発性メモリ(メモリ)85は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、及び、着脱可能に装着されるUSBメモリ等を不揮発性メモリ85として使用することができる。メモリ85には、干渉光学系によって干渉信号の取得を制御するための制御プログラム、取得された干渉信号から眼軸長を取得するための制御プログラム、複数の眼軸長から被検眼の眼球形状情報を取得する制御プログラム等が記憶されている。また、メモリ85には、干渉信号、眼軸長、眼軸長の測定位置の情報等、測定に関する各種情報が記憶される。操作部84には、検者による各種操作指示が入力される。
0043
モニタ82は、装置本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。また、モニタ82は、タッチパネルであってもよい。なお、モニタ82がタッチパネルである場合に、モニタ82が操作部として機能する。モニタ82には、干渉光学系によって取得された干渉信号、眼軸長、測定情報等の各種情報が表示されてもよい。
0045
<制御動作>
以上に説明した装置は、例えば、被検眼の眼軸長を測定する第1測定モードと、被検眼の眼球形状情報を取得する第2測定モードを実行可能である。以下、第2測定モードによって被検眼の眼球形状情報を取得する場合について図3のフローチャートにしたがって説明する。
0046
まず検者は、被検者の顔を図示無き顔支持ユニットに支持させ、測定開始スイッチ84aを操作する。制御部80は測定開始スイッチ84aが操作されると、固視光学系50によって被検者に固視標を投影し、固視誘導を行う。例えば、制御部80は、固視光源51を点灯させ、測定光軸L1上の方向から被検眼Eに固視標を照射する(図2参照)。続いて制御部80は、測定部のアライメントを開始する。制御部80は、被検眼のアライメント状態を検出しながら、測定部を被検眼Eに対して上下左右及び前後方向に移動させ、被検眼Eに対して所定の位置関係に置く。
0047
アライメントが完了すると、測定開始のトリガ信号が自動又は手動にて出力され、制御部80によって測定光源1が点灯される。そして、照射光学系10によって測定光が被検眼に照射されると共に、測定光による被検眼からの反射光が受光光学系20の受光素子21に入射される。
0049
往復移動させる場合、制御部80は、第1三角プリズム7が第1の方向(A方向)に移動されたときに受光素子21から出力される第1の干渉信号を取得すると共に、第1の方向とは反対の第2の方向(B方向)に第1三角プリズム7が移動されたときに受光素子21から出力される第2の干渉信号を取得し、第1の干渉信号と第2の干渉信号の各干渉信号に基づいて被検眼の眼軸長を各々測定する。
0050
上記のように受光素子21から干渉信号が出力されるときのプリズム7の移動位置は、被検眼の眼軸長に応じて異なる。そして、干渉信号が出力されたときのプリズム7の移動位置は、位置検出センサ72から出力される信号に基づいて検出可能である。したがって、眼軸長値は、例えば、所定の演算式又はテーブル表等を用いてプリズム7の移動位置と被検眼の眼軸長との関係を予め求めておくことにより算出できる。
0051
取得された被検眼の眼軸長の情報は、メモリ85に記憶される。また、制御部80は、所定回数の測定が完了したら(又は被検者の眼軸長値が所定数得られたら)、プリズム7の往復移動を終了し、プリズム7の移動位置を初期位置に復帰させる。
0052
<測定位置の変更>
第1の測定が完了すると、制御部80は、被検眼の固視位置を変更する。例えば、制御部80は、駆動部52によって固視光源51の位置を制御し、被検眼Eの固視位置を変更する。例えば、図2に示すように、第1の測定では固視光源51を固視位置M1に配置し、第2の測定では固視位置M1から被検眼に対して水平方向左側に位置する固視位置M2に固視光源51を移動させる。被検眼の視軸L9は、固視光源51の位置が固視位置M1から固視位置M2に切り換わることによって、光軸L1の方向から光軸L2の方向に切り換わる。このように、制御部80は、固視光源51の点灯位置を切り換えることによって、被検者の固視位置を変化させ、測定光軸L1に対して被検眼の視軸L9を傾斜させる。制御部80は、被検者の視軸L9に対して傾斜した方向から測定光を照射して眼軸長を測定する。従って、図2に示すように、視軸L9に対して斜め方向の眼軸長を測定することになる。本実施例では、例えば、視軸に対して±θ°傾斜した方向から被検眼の眼軸長を測定する。そのため、制御部80は、例えば、駆動部52を駆動し、測定光軸L1の方向から固視標を照射するための固視位置M1と、測定光軸L1に対して水平方向左側にθ°傾斜した方向から固視標を投影するための固視位置M2と、測定光軸L1に対して水平方向右側に−θ°傾斜した方向から固視標を投影するための固視位置M3とに固視光源51を移動させてもよい。
0053
なお、固視光源51を移動させる方向は水平方向でなくともよい。例えば、固視光源51は垂直方向に移動させてもよいし、斜め方向に移動させてもよい。さらに固視光源51は、直線的に移動させなくともよく、曲線的に移動させてもよい。
0054
なお、上記の例では、視軸L9に対して左右にθ°傾けた固視位置に固視光源51を移動させたが、視軸に対して左右(または上下)対称的に固視光源51を移動させなくてもよく、左右(または上下)非対称的に固視光源51を移動させてもよい。
0055
制御部80は、例えば、固視光源51の固視位置を切り換えて被検眼Eの眼軸長を測定し、その結果をメモリ85に記憶する。制御部80は、少なくとも2つの異なる固視位置において被検眼Eの眼軸長を測定する。本実施例では、固視位置の切り換えと測定をそれぞれ3回行った場合を説明するが、2回以上固視位置を切り換えて測定を行えばよい。
0056
<眼球変形の分類>
制御部80は、例えば、メモリ85に記憶された眼軸長の測定結果に基づいて眼球形状を判定する。なお、眼球形状を判定する例としては、例えば、いくつかの眼球形状のタイプに分類する方法が考えられる。
0057
例えば、病的近視等における眼球形状の変形は、図4に示すように、正常眼以外に主に4つのタイプに分類できる。例えば、図4(a)は、正常眼である。図4(b)は、左右非対称で眼底が鼻側に突出した鼻側突出型である。図4(c)は、左右非対称で眼底が耳側に突出した耳側突出型である。図4(d)は、左右対称で眼底がとがっている紡錘型である。図4(e)は、左右対称で眼底が丸く出っ張っている樽型である。制御部80は、例えば、被検眼に対して複数の方向から眼軸長に基づいて上記のような眼球変形のタイプを分類する。
0058
例えば、制御部80は、異なる測定位置から測定された3つの眼軸長の内、固視光源51の位置が固視位置M1の場合に測定した眼軸長と、固視光源51の位置が固視位置M2または固視位置M3の場合に測定した眼軸長の長さを比べることによって、眼球変形を分類してもよい。なお、以下の例では、測定光軸L1と視軸L9とのなす角度(以下、画角という)によって異なる測定位置を説明する。
0059
制御部80は、例えば、異なる測定位置として画角0°、画角θ°、画角−θ°の3方向から眼軸長を測定し、眼球の形状を分類してもよい。例えば、制御部80は、まず、画角0°のときに測定した眼軸長に基づいて、眼球が変形しているか判定してもよい。例えば、測定された眼軸長と正常眼の眼軸長との差分が所定より大きい場合、被検眼が病的に変形していると判定してもよい。
0060
さらに、制御部80は、画角θ°における眼軸長と画角−θ°における眼軸長を比較し、その差分の大きさによって眼球形状を分類してもよい。例えば、左眼の被検眼の場合、画角θ°における眼軸長が画角−θ°における眼軸長より大きい場合、被検眼の眼球形状は鼻側突出型であると判定してもよい。逆に、画角θ°における眼軸長が画角−θ°における眼軸長より小さい場合、被検眼の眼球形状は、耳側突出型であると判定してもよい。
0061
なお、画角θ°における眼軸長と画角−θ°における眼軸長の差分が小さい場合、制御部80は、眼球形状が左右対称型であると判定してもよい。この場合、制御部80は、画角0°における眼軸長と画角θ°または−θ°における眼軸長とを比較し、その差分の大きさに基づいて、被検眼が紡錘型であるか樽型であるかを判定してもよい。例えば、制御部80は、両者の差分が大きかった場合、被検眼の眼球形状は紡錘型であると判定し、差分が小さかった場合、被検眼の眼球形状は樽型であると判定してもよい。
0062
もちろん、制御部80は、正常眼の各画角で撮影された眼軸長をメモリ85に記憶しておき、正常眼の被検眼の眼軸長を比較することによって被検眼の眼球変形を分類してもよい。例えば、制御部80は、各画角において測定された正常眼の眼軸長と、被検眼の眼軸長との差分の大きさに基づいて、眼球変形のタイプを分類できるようにしたテーブルを予めメモリ85に記憶しておき、この対応関係に基づいて眼球変形のタイプを分類してもよい。 なお、必ずしも、画角0°における眼軸長を測定しなくともよく、視軸と対称的な画角±θ°における眼軸長のみを測定してもよい。この場合、制御部80は、画角±θ°における眼軸長を比較し、その差分が大きい場合に被検眼の眼球形状が左右非対称型であると判定し、差分がしい際場合に左右対称型であると判定してもよい。
0063
以上のように、複数の異なる測定位置における眼軸長を測定することによって病的な眼球変形を分類することができる。このため、検者は、強度近視の病状、進行状況等を確認でき、さらに、今後の病状などを予想することができる。さらに、CTやMRI等を用いて大がかりな測定を行う必要がなく、スクリーニングとして簡易的に測定できるため、強度近視の早期発見に繋がる。
0064
なお、以上の説明において、制御部80は固視光源51を水平方向に移動させるものとして説明したが、これに限らない。例えば、制御部80は、固視光源51を垂直方向に移動させてもよい。これによって、被検眼の上下方向の眼球形状を分類してもよい。また、水平方向・垂直方向に限らず、例えば、斜め方向に固視光源51を移動させてもよい。
0065
<眼底形状の近似>
なお、制御部80は、メモリ85に記憶された少なくとも複数の測定結果から眼球形状の近似を行ってもよい。例えば、制御部80は、眼軸長の測定結果から眼球形状の近似曲線(楕円)を求めてもよい。図5(a)に示すように、例えば、画角0°、画角θ°、画角−θ°において測定された眼軸長と同じ長さを持つ線分D1,D2,D3の始点をそれぞれ始点P1,P2,P3、終点をそれぞれ終点Q1,Q2,Q3とする。また、線分D1,D2,D3の中点をそれぞれ中点C1,C2,C3とする。例えば、中点C1、中点C2、中点C3を極座標系の原点とし、始点P1,P2,P3と終点Q1,Q2,Q3をそれぞれ極座標で表す。そして、終点Q1,Q2,Q3(または始点P1,P2,P3)の座標を通り、極座標の原点を中心とする楕円を楕円の方程式によって求めることで、眼底の形状を楕円で近似してもよい。制御部80は、上記のような演算を行い、測定された複数の眼軸長から眼球形状を近似してもよい。
0066
なお、制御部80は、近似された楕円形状に基づいて眼球変形のタイプを分類してもよい。例えば、楕円R1の長径Bに対する短径Aの比を求め、その比が所定より大きければ正常眼に分類し、その比が所定より小さければ病的近視眼に分類してもよい。例えば、制御部80は、実験的に得られた短径Aと長径Bの比と、測定した眼球変形のタイプとの対応関係をメモリ85に記憶させておき、被検眼Eの眼底形状を近似した楕円R1の短径Aと長径Bの比と、メモリ85に記憶させた対応関係とに基づいて眼球変形のタイプを分類してもよい。なお、制御部80は、楕円の傾斜角αの大きさに基づいて被検眼の左右対称性を判定してもよい。
0067
<表示>
なお、制御部80は、上記のようにして演算された眼球変形の分類情報を出力してもよい。例えば、上記のようにして分類した眼球変形のタイプの名称を表示部82に表示させてもよい(図6参照)。さらに、近似した楕円R1を表示部82に表示してもよいし、近似した楕円に基づいて算出された眼球のグラフィック画像を表示部82に表示させてもよい。さらに、制御部80は、異なる測定位置において測定された眼軸長の差分を表示部82に表示してもよい。例えば、検者は、表示された差分が大きい場合に、被検眼に病的近視等の異常があると判断できる。近似した楕円R1または眼球のグラフィック画像と、正常眼のグラフィック画像を比較できるように表示部82に表示してもよい。また、制御眼において測定されたデータと、被検眼のデータを比較した比較結果を表示部82に表示してもよい。これによって、検者は、被検眼の変形具合を視覚的に確認でき、病的近視眼の診断を容易に行える。
0068
なお、制御部80は、眼球形状情報として、複数の測定位置と、複数の測定位置において測定された眼軸長とが対応された状態で、表示部82に並列して表示させてもよい。検者は、表示部82に表示させれた眼軸長の測定位置と、その眼軸長を確認し、眼球形状を診断してもよい。
0069
なお、眼球変形を解析する際に角膜形状を用いてもよい。例えば、本装置は、角膜形状を測定するための角膜形状測定手段を備えてもよい。角膜形状測定手段は、例えば、光干渉断層計、シャインプルークカメラ、ケラトメータ、角膜トポグラフィ等であってもよい。
0070
例えば、前述のように、各眼軸長の中点C1、C2、C3を重ね、さらに始点P1、P2、P3が角膜形状Kに合うように線分D1,D2,D3の位置を画角一定のもとで調整してから終点Q1、Q2、Q3の座標を用いて楕円近似を行ってもよい(図7参照)。このように、被検眼の角膜形状に基づいて眼球形状の近似を補正してもよい。
0071
なお、以上の説明において、眼軸長と同じ長さを持つ線分D1,D2,D3の中点を極座標系の原点として、眼球形状の楕円近似を行ったが、これに限らない。例えば、図8に示すように、始点P1,P2,P3から所定の距離だけ離れた位置をそれぞれ基準点U1,U2,U3とする。そして、制御部80は、基準点U1,U2,U3を極座標系の原点に重ねたときの眼軸長の終点Q1、Q2、Q3の座標を用いて近似曲線を求めてもよい。ここで、始点P1,P2,P3から基準点までの所定距離は、例えば、実験的に求められた距離であってもよい。例えば、角膜から眼の回旋中心までの距離(例えば、13mm)であってもよい。この場合も、上記のように角膜形状に基づいて眼球形状の近似を補正してもよい。
0072
また、例えば、受光光学系20によって検出された干渉信号において角膜または水晶体の境界が検出できた場合、角膜、水晶体等の位置を基準として、被検眼の眼球形状を分類してもよい。例えば、制御部80は、線分D1,D2,D3において、水晶体の前面に相当する位置をそれぞれ基準点U1,U2,U3としてもよい。そして、制御部80は、基準点U1,U2,U3を極座標系の原点に重ねたときの終点Q1,Q2,Q3の座標を用いて近似曲線を求めてもよい。なお、水晶体の後面を基準としてもよいし、水晶体の前面と後面の中間の位置を基準としてもよい。
0073
また、光干渉断層計またはシャインプルークカメラ等の断層像撮影手段によって角膜または水晶体の曲面形状が測定できる場合、例えば、水晶体の前面カーブと後面カーブの2つの交点を通る線分の中点を上記のような基準点U1,U2,U3としてもよい。そして、基準点U1,U2,U3を極座標系の原点に重ね、そのときの終点Q1,Q2,Q3の座標を用いて近似曲線を求めてもよい。
0074
なお、上記のように、眼軸長の中点以外を基準点として眼球形状を近似する場合、被検眼の眼球形状が左右非対称であると、取得された楕円の中心が視軸に対してずれる。したがって、制御部は視軸と楕円中心のずれ量によって被検眼の左右対称性を判定し、眼球変形のタイプを分類してもよい。
0075
なお、眼球形状情報と、眼底情報とに基づいた情報を出力するようにしてもよい。例えば、眼底情報としては、眼底の層情報等を用いることができる。例えば、干渉光学系または他の装置によって脈絡膜の厚さを測定することができる場合は、眼球変形の分類情報と、脈絡膜厚を一緒に表示させる構成が挙げられる。眼球変形によって薄くなった脈絡膜の厚さ情報を確認できることでより効果的に診断を行える。
0076
また、上記説明においては、角膜反射光と眼底反射光を干渉させる構成としたが、これに限るものではない。すなわち、光源から出射された光を分割するビームスプリッタ(光分割部材)と、物体光路を形成するサンプルアームと、参照光路を形成するレファレンスアームと、干渉光を受光するための受光素子と、を有し、サンプルアームを介して被検眼眼底に照射された測定光(第1分割光)とレファレンスアームからの参照光(第2分割光)とによる干渉光を受光素子により受光する干渉光学系を備える眼軸長測定装置であっても、本発明の適用は可能である。この場合、サンプルアーム及びレファレンスアームの少なくともいずれかに光路長変更部材が配置される。
0077
<第2実施例>
なお、本装置は、被検眼の光断層像を撮影するフーリエドメイン方式のOCT装置101であってもよい(図9参照)。例えば、OCT装置101は、OCT光学系200を備えてもよい。OCT光学系200は、測定光源127から発せられた光束を測定光と参照光に分割する。さらに、OCT光学系200は、分割された測定光束を被検眼の眼底Erに導き、参照光を参照光学系200bに導く。その後、眼底Erで反射又は後方散乱された測定と参照光とが合成された光の干渉信号を検出器(受光素子)183によって検出する。
0078
OCT光学系200は、例えば、ファイバーカップラー126と、測定光源127と、光ファイバ138a,138b,138c,138dと、測定光学系200aと、参照光学系200bと、分光光学系800と、を備える。
0079
[OCT光源]
測定光源127はOCT光学系200の測定光及び参照光として用いられる低コヒーレントの光を発する光源であり、例えば、SLD光源等が用いられる。測定光源127には、例えば、中心波長840nmで50nmの帯域を持つ光源が用いられる。
0081
[ファイバーカップラー]
ファイバーカップラー126は光分割部材と光結合部材としての役割を兼用する。測定光源127から発せられた光は、導光路としての光ファイバ138aを介して、ファイバーカップラー126によって参照光と測定光とに分割される。測定光は光ファイバ138bを介して被検眼Eへと向かい、参照光は光ファイバ138c(ポラライザ(偏光素子)133)を介して参照ミラー131へと向かう。
0082
[測定光学系]
測定光学系200aは、例えば、測定光を被検眼眼底Erに導く。測定光学系200aは、コリメータレンズ121、フォーカス用光学部材(フォーカシングレンズ)124、走査光学系(光スキャナ)123と、リレーレンズ122等が配置されている。走査光学系123は、例えば、2つのガルバノミラーによって構成され、走査駆動機構151の駆動により、測定光源127から発せられた測定光を眼底上で二次元的(XY方向)に走査させるために用いられる。なお、走査光学系123は、例えば、AOM(音響光学素子)やレゾナントスキャナ等によって構成されていてもよい。
0083
フォーカシングレンズ124は、駆動部124aの駆動によって、光軸方向に移動可能となっており、被検者眼底Erに対する視度を補正するために用いられる。
0084
なお、フォーカシングレンズ124は、駆動部124aの駆動によって光軸方向に移動され、その移動可能範囲が設定されている。フォーカシングレンズ124は、例えば、屈折力が−14Dに対応する位置(−14Dの屈折力でフォーカスが合う位置)から屈折力が+14Dに対応する位置までの範囲を移動可能である。
0085
光ファイバ138bの端部139bから出射した測定光は、コリメータレンズ121によってコリメートされる。その後、測定光は、フォーカシングレンズ124を介して走査光学系123に達し、2つのガルバノミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査光学系123で反射された測定光は、リレーレンズ122を介して、後述するダイクロイックミラー140で反射された後、導光光学系110を介して、被検眼眼底に集光される。
0086
そして、眼底Erで反射した測定光は、導光光学系110を介して、ダイクロイックミラー140で反射され、OCT光学系200に向かう。その後、眼底Erで反射した測定光は、リレーレンズ122、走査光学系123の2つのガルバノミラー、フォーカシングレンズ124及びコリメータレンズ121を介して、光ファイバ138bの端部139bに入射する。端部139bに入射した測定光は、光ファイバ138b、ファイバーカップラー126、光ファイバ138dを介して、光ファイバ138dの端部184aに達する。
0087
[参照光学系]
参照光学系200bは、参照光を生成する。参照光は、眼底Erによって反射された測定光の反射光と合成される光である。参照光学系200bは、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系200bは、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー131)によって形成され、カップラー126からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー126に戻し、検出器183に導く。他の例としては、参照光学系200bは、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー126からの光を戻さず透過させることにより検出器183へと導く。
0088
例えば、参照光を参照ミラー131に向けて出射する光路には、光ファイバ138c、参照光を出射する光ファイバ138cの端部139c、コリメータレンズ129、参照ミラー131が配置されている。光ファイバ138cは、参照光の偏光方向を変化させるため、駆動機構134により回転移動される。すなわち、光ファイバ138c及び駆動機構134は、偏光方向を調整するためのポラライザ133として用いられる。なお、ポラライザとしては、上記構成に限定されず、測定光の光路又は参照光の光路に配置されるポラライザを駆動させることにより、測定光と参照光の偏光状態を略一致させるものであればよい。例えば、1/2波長板や1/4波長板を用いることやファイバに圧力を加えて変形させることで偏光状態を変えるもの等が適用できる。
0089
なお、ポラライザ133(偏光コントローラ)は、測定光と参照光の偏光方向を一致させるために、測定光と参照光の少なくともいずれかの偏光方向を調整する構成であればよい。例えば、ポラライザ133は、測定光の光路に配置された構成であってもよい。
0090
また、参照ミラー駆動部150は、参照ミラー131を駆動させ、参照光の光路長を調整する。
0091
光ファイバ138cの端部139cから出射した参照光は、コリメータレンズ129で平行光束とされ、参照ミラー131で反射される。その後、参照光はコリメータレンズ129によって集光されて光ファイバ138cの端部139cに入射する。端部139cに入射した参照光は、光ファイバ138c、光ファイバ138c(ポラライザ133)を介して、ファイバーカップラー126に達し、ファイバ138dを介して分光光学系800に導かれる。
0093
そして、測定光源127から発せられた光によって前述のように生成される参照光と被検眼眼底Erに照射された測定光である眼底反射光は、ファイバーカップラー126にて合成されて干渉光とされる。その後、干渉光は、光ファイバ138dを通じて端部184aから出射される。分光光学系800(スペクトロメータ部)は、周波数毎の干渉信号を得るために干渉光を周波数成分に分光する。分光光学系800(スペクトロメータ部)は、例えば、コリメータレンズ180、グレーティングミラー(回折格子)181、集光レンズ182、検出器183を有する。検出器83は、赤外域に感度を有する一次元素子(ラインセンサ)を用いている。
0094
ここで、端部184aから出射された干渉光は、コリメータレンズ180にて平行光とされた後、グレーティングミラー181にて周波数成分に分光される。そして、周波数成分に分光された干渉光は、集光レンズ182を介して、検出器183の受光面に集光する。これによって、検出器83上で干渉縞のスペクトル情報(スペクトル信号)が記録される。そして、検出器183からの出力信号に基づいて、フーリエ変換を用いて解析することで、眼の断層像(眼底断層像)を撮像する。すなわち、そのスペクトル情報が制御部170へと入力され、フーリエ変換を用いて解析することで、被検眼の深さ方向における情報が計測可能となる。
0095
ここで、制御部170は、走査光学系123により測定光を眼底上で所定の横断方向に走査することにより断層像を取得できる。例えば、X方向もしくはY方向に走査することにより、被検眼眼底のXZ面もしくはYZ面における断層像(眼底断層像)を取得できる(なお、本実施形態においては、このように測定光を眼底に対して一次元走査し、断層像を得る方式をBスキャンとする)。なお、取得された眼底断層像は、制御部170に接続されたメモリ172に記憶される。さらに、走査光学系123の駆動を制御して、測定光をXY方向に二次元的に走査することにより、検出器183からの出力信号に基づき被検者眼眼底のXY方向に関する二次元動画像や被検眼眼底の三次元画像を取得できる。
0096
[固視標投影ユニット]
次に、固視標投影ユニット300について説明する。固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。固視標投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。固視標投影ユニット300は、第1実施例と同様の構成を備えてもよい。
0097
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナによって走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
0098
[ダイクロイックミラー]
本実施例のOCT装置101は、例えば、ダイクロイックミラー140を備える。例えば、ダイクロイックミラー140は、OCT光学系200の測定光として用いられる波長成分の光を反射し、固視標投影ユニット300に用いられる波長成分の光を透過する特性を有する。
0099
<制御系>
また、制御部170には、表示モニタ175、メモリ172、操作部174、参照ミラー駆動部150、フォーカシングレンズ駆動部124a、光ファイバ138cの駆動機構134、後述する焦点距離可変112等が接続されている。
0101
[集光位置可変系]
集光位置可変系112は、例えば、導光光学系110を通る測定光の集光位置を変化させる。集光位置可変系112は、例えば、光学素子の挿脱機構を備えてもよい。そして、集光位置可変系112は、導光光学系110の光軸に対して光学素子を挿脱することによって導光光学系110を通る測定光の集光位置を変化させてもよい。なお、集光位置可変系112として、例えば、屈折力を変更可能な屈折力可変系113が用いられてもよい。屈折力可変系113は、例えば、屈折力を変化させることによって、測定光の集光位置を変化させてもよい。
0102
なお、本実施例においては、集光位置可変系112として屈折力可変系113を用いた場合について説明する。屈折力可変系113は、例えば、屈折力を変化させることによって、測定光の集光位置を眼底部Erと前眼部Ecで切り換える。なお、屈折力可変系113は、連続的に屈折力を変更してもよい。
0103
屈折力可変系113は、例えば、被検眼Eに対して対物レンズユニット111の奥側に配置される。本実施例においては、屈折力可変系113は、対物レンズユニット111とダイクロイックミラー140の間に配置される。ただし、屈折力可変系113は、対物レンズユニット111に関して被検眼側に配置されてもよいし、対物レンズユニット111の中間に配置されてもよい。
0104
図10(a)は、屈折力可変系113の屈折力を制御して、測定光を眼底部Erに集光させたときの状態を示す。測定光を眼底部Erに集光させる場合、制御部170は屈折力可変系113を制御し、導光光学系110によって被検眼に照射される測定光が平行光束になるように、屈折力可変系113の屈折力を変化させる。被検眼が正視眼であれば、角膜及び水晶体等の屈折力によって、測定光は眼底Erに集光する。被検眼が正視眼でなければ、被検眼Eの屈折度数に合わせて屈折力可変系113の屈折力を調整してもよい。
0105
図10(b)は、屈折力可変系113の屈折力を制御して、測定光を前眼部Ecに集光させたときの状態を示す。測定光を前眼部Ecに集光させる場合、制御部170は屈折力可変系113を制御し、導光光学系110によって被検眼Eに照射される測定光が被検眼Eの前眼部Ecに集光するように、屈折力可変系113の屈折力を変化させる。
0106
このように、屈折力可変系113は、屈折力可変系113自体を光軸L11に対して移動されることなく、制御部170によって電気的に駆動されることで屈折力を変化させることができる。このため、屈折力可変系113は、光軸L11に対して3次元的に固定されてもよい。
0107
なお、本実施例の屈折力可変系113は、例えば、液晶レンズ等を含む構成であってもよい。液晶レンズは、例えば、印加する電圧を制御することによって屈折力が連続的に変化する構造を備えるレンズである。
0109
まず、眼底部Erを撮影する場合、制御部170は、導光光学系110から出射される測定光が平行光束になるように、屈折力可変系113を所定の屈折力に調整する。さらに、制御部170は参照ミラー駆動部150を制御して参照ミラー131を移動させ、光路長を調整する。例えば、制御部170は、予め設定された所定の第1位置に参照ミラー131を移動させる。これによって、参照ミラー131によって反射された参照光と、眼底部Erによって反射された測定光の光路長が等しくなり、ファイバーカップラー126にて参照光と測定光が合波されると干渉信号が生成される。検出器183は、この干渉信号を取得し、画像生成手段(例えば、制御部170)に送る。画像生成手段は、干渉信号を受け取ると、眼底断層画像W1(図11参照)を取得する。
0110
続いて、前眼部Ecの撮影に切り換える場合、制御部170は屈折力可変系113を制御して、測定光が前眼部Ecに集光するように屈折力を調整する。例えば、前述のように、屈折力可変系113の屈折力を大きくし、測定光が前眼部Ecに集光するように切り換える。さらに、制御部170は、参照ミラー駆動部150を制御して参照ミラー131を移動させ、光路長を調整する。例えば、制御部170は、予め設定された所定の第2位置に参照ミラー131を移動させる。これによって、参照ミラー131によって反射された参照光と、前眼部Ecによって反射された測定光の光路長が等しくなり、ファイバーカップラー126にて参照光と測定光が合波されると干渉信号が生成させる。検出器183は、この干渉信号を取得し、画像生成手段に送る。画像生成手段は、干渉信号を受け取ると、前眼部断層画像W2を生成する(図11参照)。
0111
以上のように、測定光の集光位置を切り換える際に参照ミラー131を切り換えることによって、眼底部Erと前眼部Ecの両方の断層画像を取得することができる。制御部170は、前眼部Ecと眼底部Erの断層画像を用いて被検眼の眼軸長を測定してもよい。このとき、眼底断層画像W1と前眼部断層画像W2は位置関係が左右逆になる場合があるため、制御部170は、どちらか一方の画像を反転させてから画像処理によって眼軸長を求めてもよい。
0112
さらに、制御部170は、少なくとも3つの異なる画角から測定された眼軸長を用いて眼球形状を分類してもよい。例えば、制御部170は、走査光学系123によって測定光源127からの測定光を、瞳孔等を支点として眼底上に走査し、異なる画角から眼軸長を測定してもよい。制御部170は、第1実施例と同様に、異なる画角から測定された眼軸長に基づいて、被検眼の眼球変形の種類を分類してもよい。
0113
なお、制御部170は、例えば、図10(b)に示すように、測定光源127からの測定光を平行光束として被検眼に照射する場合、例えば、固視誘導ユニット300によって被検眼の固視を誘導し、視軸を測定光軸L11に対して傾斜させてもよい。これによって、制御部170は、異なる画角から測定された眼軸長を取得し、被検眼の眼球変形のタイプを分類してもよい。
0114
もちろん、走査光学系123によって前眼部及び眼底部上に測定光を走査させることによって、異なる画角における眼軸長を測定し、眼球変形の種類を分類してもよい。
0116
なお、前述では、屈折力可変素子(例えば、液晶レンズ、液体レンズなど)等を用いて屈折力を変化させる場合について説明したが、レンズ等の光学部材を駆動させて屈折力を変化させてもよい。また、参照ミラー131の位置を切り換える構成としたが、参照光学系に光路の異なる参照ミラーを複数設ける構成であってもよい。
0117
なお、上記の構成では、前眼部と眼底部の断層画像を別々に撮影する構成であるが、これに限らない。例えば、本装置は、前眼部と眼底部の断層画像を一度に撮影する構成であってもよい。例えば、干渉光学系は、前眼部と眼底部を一度に撮影できる測定範囲を持つ構成であってもよい。例えば、前眼部と眼底部を一度に撮影できる測定光源を備えてもよい。この場合、制御部170は、前眼部と眼底部が含まれる画像を画像処理することによって、被検眼の眼軸長を取得してもよい。