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技術 光結合装置、光結合装置の製造方法および電力変換システム

出願人 ルネサスエレクトロニクス株式会社
発明者 野邑由起夫
出願日 2015年2月25日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-035604
公開日 2016年9月1日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-157860
状態 特許登録済
技術分野 フオトカプラ・インタラプタ
主要キーワード 外部モールド 内部モールド 一次封止 複数組分 二次封止 樹脂変色 重モール 応力変形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

光結合装置の特性を向上させる。

解決手段

光結合装置は、発光素子LEDと受光素子PDとの間に、ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIとを有する。そして、内部モールド樹脂MRIは、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物硬化物であり、光透過性を有する樹脂である。また、内部モールド樹脂MRIは、芳香環脂環式化合物とを含む。このように、エポキシ樹脂中の芳香環の割合を小さくすることで、樹脂の変質を抑制することができる。これにより、エポキシ樹脂硬化物の光透過性の低下を抑制し、光信号伝達性能劣化を低減することができる。

概要

背景

フォトカプラは、発光ダイオードなどの発光素子フォトトランジスタなどの受光素子を有しており、入力された電気信号を発光素子で光に変換し、この光を受光素子で電気信号に戻すことにより、電気信号を伝達している。

例えば、特開2008−189833号公報(特許文献1)には、熱硬化性エポキシ樹脂組成物硬化物で発光素子や受光素子を封止したフォトカプラが開示されている。

また、特開2014−33124号公報(特許文献2)には、一次封止樹脂二次封止樹脂とを用いたフォトカプラが開示されている。一次封止樹脂は、一次封止用のエポキシ樹脂、一次封止用のフェノール樹脂硬化剤、一次封止用の無機充填剤、および一次封止用の脂肪酸ワックスを含有し、二次封止樹脂は、二次封止用のエポキシ樹脂、二次封止用のフェノール樹脂硬化剤、二次封止用の無機充填剤、および二次封止用の脂肪酸ワックスを含有している。そして、一次封止用樹脂および二次封止用樹脂の少なくともいずれか一方は、脂肪酸アミドワックスを含有している。

また、特開2005−239901号公報(特許文献3)には、エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された光半導体装置が開示されている。このエポキシ樹脂組成物は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、溶融破砕シリカ(D)を主成分とするエポキシ樹脂組成物である。そして、さらに、フェノール系酸化防止剤(E)を必須成分として含有する。また、このエポキシ樹脂組成物の1mm厚の硬化物は、700nmから1000nmでの光透過率が15%以上であり、かつ、125℃、1000hr処理後の720nmでの光透過率保持率が50%以上である。

概要

光結合装置の特性を向上させる。光結合装置は、発光素子LEDと受光素子PDとの間に、ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIとを有する。そして、内部モールド樹脂MRIは、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物の硬化物であり、光透過性を有する樹脂である。また、内部モールド樹脂MRIは、芳香環脂環式化合物とを含む。このように、エポキシ樹脂中の芳香環の割合を小さくすることで、樹脂の変質を抑制することができる。これにより、エポキシ樹脂硬化物の光透過性の低下を抑制し、光信号伝達性能劣化を低減することができる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

第1搭載部上に搭載された第1素子と、前記第1素子と電気的に接続された第1リードと、前記第1素子を覆う第1樹脂と、第2搭載部上に搭載された第2素子と、前記第2素子と電気的に接続された第2リードと、前記第2素子と前記第1樹脂との間に配置された第2樹脂と、を有し、前記第2樹脂は、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物硬化物であり、光透過性を有し、前記第2樹脂は、芳香環脂環式化合物とを含む、光結合装置

請求項2

請求項1記載の光結合装置において、前記第2樹脂は、芳香環を有さない、光結合装置。

請求項3

請求項1記載の光結合装置において、前記エポキシ樹脂は、式(1)に示すエポキシ樹脂である、光結合装置。

請求項4

請求項3記載の光結合装置において、前記硬化剤は、芳香環を有さない、光結合装置。

請求項5

請求項1記載の光結合装置において、前記第1樹脂は、シリコーン樹脂硬化物である、光結合装置。

請求項6

請求項1記載の光結合装置において、前記第2樹脂は、厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の透過率が10%以上である、光結合装置。

請求項7

請求項1記載の光結合装置において、前記第2樹脂は、厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下である、光結合装置。

請求項8

(a)第1搭載部と第1リードとを有する第1リードフレームおよび第2搭載部と第2リードとを有する第2リードフレームを準備する工程、(b)前記第1搭載部上に第1素子を搭載する工程、(c)前記第1素子上に第1樹脂を形成する工程、(d)前記第2搭載部上に第2素子を搭載する工程、(e)前記第1素子上の第1樹脂と、前記第2素子とを対向させ、前記第2素子と前記第1樹脂との間に第2樹脂を形成する工程、を有し、前記第2樹脂は、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物の硬化物であり、光透過性を有し、前記エポキシ樹脂は、芳香環と脂環式化合物とを含む、光結合装置の製造方法。

請求項9

請求項8記載の光結合装置の製造方法において、前記(e)工程は、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤の熱硬化により前記第2樹脂を形成する工程である、光結合装置の製造方法。

請求項10

請求項8記載の光結合装置の製造方法において、前記エポキシ樹脂は、芳香環を有さない、光結合装置の製造方法。

請求項11

請求項8記載の光結合装置の製造方法において、前記エポキシ樹脂は、式(1)に示すエポキシ樹脂である、光結合装置の製造方法。

請求項12

請求項11記載の光結合装置の製造方法において、前記硬化剤は、芳香環を有さない、光結合装置の製造方法。

請求項13

請求項8記載の光結合装置の製造方法において、前記第1樹脂は、シリコーン樹脂硬化物である、光結合装置の製造方法。

請求項14

請求項8記載の光結合装置の製造方法において、前記第2樹脂は、厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の透過率が10%以上である、光結合装置の製造方法。

請求項15

請求項8記載の光結合装置の製造方法において、前記第2樹脂は、厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下である、光結合装置の製造方法。

請求項16

増幅回路部と、前記増幅回路部に接続される光結合部を備える電力変換システムであって、前記光結合部は、第1搭載部上に搭載された第1素子と、前記第1素子と電気的に接続された第1リードと、前記第1素子を覆う第1樹脂と、第2搭載部上に搭載された第2素子と、前記第2素子と電気的に接続された第2リードと、前記第2素子と前記第1樹脂との間に配置された第2樹脂と、を有し、前記第2樹脂は、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物の硬化物であり、光透過性を有し、前記第2樹脂は、芳香環と脂環式化合物とを含む、電力変換システム。

技術分野

0001

本発明は、光結合装置、光結合装置の製造方法および電力変換システムに関する。

背景技術

0002

フォトカプラは、発光ダイオードなどの発光素子フォトトランジスタなどの受光素子を有しており、入力された電気信号を発光素子で光に変換し、この光を受光素子で電気信号に戻すことにより、電気信号を伝達している。

0003

例えば、特開2008−189833号公報(特許文献1)には、熱硬化性エポキシ樹脂組成物硬化物で発光素子や受光素子を封止したフォトカプラが開示されている。

0004

また、特開2014−33124号公報(特許文献2)には、一次封止樹脂二次封止樹脂とを用いたフォトカプラが開示されている。一次封止樹脂は、一次封止用のエポキシ樹脂、一次封止用のフェノール樹脂硬化剤、一次封止用の無機充填剤、および一次封止用の脂肪酸ワックスを含有し、二次封止樹脂は、二次封止用のエポキシ樹脂、二次封止用のフェノール樹脂硬化剤、二次封止用の無機充填剤、および二次封止用の脂肪酸ワックスを含有している。そして、一次封止用樹脂および二次封止用樹脂の少なくともいずれか一方は、脂肪酸アミドワックスを含有している。

0005

また、特開2005−239901号公報(特許文献3)には、エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された光半導体装置が開示されている。このエポキシ樹脂組成物は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、溶融破砕シリカ(D)を主成分とするエポキシ樹脂組成物である。そして、さらに、フェノール系酸化防止剤(E)を必須成分として含有する。また、このエポキシ樹脂組成物の1mm厚の硬化物は、700nmから1000nmでの光透過率が15%以上であり、かつ、125℃、1000hr処理後の720nmでの光透過率保持率が50%以上である。

先行技術

0006

特開2008−189833号公報
特開2014−33124号公報
特開2005−239901号公報

発明が解決しようとする課題

0007

前述したように、フォトカプラは、発光ダイオードなどの発光素子とフォトトランジスタなどの受光素子を有しており、入力された電気信号を発光素子で光に変換し、この光を受光素子で電気信号に戻すことにより、電気信号を伝達している。

0008

このような光による信号伝送技術によれば、信号伝送経路電気的に分離することができる。即ち、一次電気回路二次電気回路の間を電気的に絶縁しつつ、これらの間の信号の伝達を光を介して行うことができる。

0009

一次電気回路側の発光素子と二次電気回路側の受光素子との間は、樹脂により絶縁され、この樹脂は、光透過性を有する必要がある。

0010

しかしながら、本発明者によれば、フォトカプラにおいて樹脂の変色により光透過性の低下が確認され、その改善が望まれる。

0011

その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。

課題を解決するための手段

0012

本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。

0013

本願において開示される一実施の形態に示される光結合装置は、第1素子と第2素子との間に、第1樹脂と第2樹脂とを有する。そして、第2樹脂は、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物の硬化物であり、光透過性を有する。また、第2樹脂は、芳香環脂環式化合物とを含む。

0014

本願において開示される一実施の形態に示される光結合装置の製造方法は、第1素子上に第1樹脂を形成する工程と、第1素子上の第1樹脂と、第2素子とを対向させ、第2素子と第1樹脂との間に第2樹脂を形成する工程と、を有する。そして、第2樹脂は、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物の硬化物であり、光透過性を有する。また、エポキシ樹脂は、芳香環と脂環式化合物とを含む。

0015

本願において開示される一実施の形態に示される電力変換システムは、増幅回路部と、増幅回路部に接続される光結合部を備える電力変換システムである。この光結合部は、第1素子と第2素子との間に、第1樹脂と第2樹脂とを有する。そして、第2樹脂は、エポキシ樹脂および硬化剤を有する組成物の硬化物であり、光透過性を有する。また、第2樹脂は、芳香環と脂環式化合物とを含む。

発明の効果

0016

本願において開示される、以下に示す代表的な実施の形態に示される光結合装置によれば、装置内の樹脂の変色を抑制することができ、光結合装置の特性を向上させることができる。

0017

本願において開示される、以下に示す代表的な実施の形態に示される光結合装置の製造方法によれば、装置内の樹脂の変色を抑制した、特性の良好な光結合装置を製造することができる。

0018

本願において開示される、以下に示す代表的な実施の形態に示される電力変換システムによれば、システムを構成する装置内の樹脂の変色を抑制することができ、電力変換システムの特性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0019

実施の形態1の光結合装置の構成を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す平面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図であって、図2に続く製造工程を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す平面図であって、図3に続く製造工程を示す平面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図であって、図4に続く製造工程を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図であって、図6に続く製造工程を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図であって、図7に続く製造工程を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図であって、図8に続く製造工程を示す断面図である。
実施の形態1の光結合装置の製造工程を示す断面図であって、図9に続く製造工程を示す断面図である。
比較例1の光結合装置の構成を示す断面図である。
(A)〜(C)は、樹脂界面の隙間の発生のメカニズムを示す模式図である。
(A)〜(C)は、樹脂変色のメカニズムを示す模式図である。
芳香環の酸化変色反応を模式的に示す図である。
比較例2の光結合装置の構成を示す断面図である。
(A)〜(C)は、樹脂変色抑制のメカニズムを示す模式図である。
(A)〜(C)は、低硬度シリコーン樹脂硬化物を用いた場合の隙間の様子を示す模式図である。
(A)〜(C)は、実施の形態2のシリコーン樹脂硬化物を用いた場合の隙間の様子を示す模式図である。
実施の形態3の電力変換システムの一例を示す説明図である。

実施例

0020

以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。

0021

さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。

0022

以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。

0023

また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。

0024

また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、断面図と平面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。

0025

(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の光結合装置について詳細に説明する。

0026

[構造説明]
図1は、本実施の形態の光結合装置の構成を示す断面図である。本実施の形態の光結合装置は、フォトカプラである。図1に示す本実施の形態の光結合装置は、発光素子LEDと、受光素子PDと、これらの間に配置された2種類の樹脂(PR、MRI)とを有する。入力された電気信号を発光素子LEDで光に変換し、この光を受光素子PDで電気信号に戻すことにより、電気信号を伝達することができる。

0027

発光素子(発光チップ)LEDは、電気信号を受けて光信号を出力する光電変換素子である。発光素子LEDとしては、例えば、GaAsやAlGaAsなどを用いた発光ダイオードなどを用いることができる。発光素子LEDは、チップ搭載DP1上に搭載される。チップ搭載部DP1は、例えば銅(Cu)などの金属から成る板状の部材である。発光素子LEDは、チップ搭載部(ダイパッド)DP1上にダイボンド材を介して固着(接着、固定)される。ダイボンド材(マウント材)は、導電性接着材導電性ペースト)である。チップ搭載部DP1の周りには、2つのリードLD1が配置されている。この2つのリードLD1のうちの一つは、チップ搭載部DP1と接続されている(図3参照)。また、発光素子LEDの表面電極と他のリードLD1とは、ワイヤW1を介して電気的に接続されている。ワイヤW1は、例えば金(Au)などの金属材料からなる線形の部材(金属細線)である。

0028

発光素子LED上には、ポッティング樹脂PRが形成されている。別の言い方をすれば、チップ搭載部DP1上の発光素子LEDは、ポッティング樹脂PRで覆われている。ポッティング樹脂PRは、絶縁性を有し、光信号の波長に対して光透過性を有する必要がある。ポッティング樹脂PRとしては、例えば、シリコーン樹脂硬化物などを用いることができる。なお、本実施の形態においては、樹脂(PRや後述のMRI)の原料として用いる各種化合物の混合物を「樹脂組成物」とし、この組成物の硬化物を「樹脂硬化物」として説明する。

0029

シリコーン樹脂硬化物は、オルガノポリシロキサン(−Si−O−Si−O−鎖を主鎖とし、Si上に有機基を有する構造)を主鎖とする高分子化合物である。

0030

シリコーン樹脂硬化物は、光信号の波長に対して光透過性を有する。例えば、シリコーン樹脂硬化物の厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の透過率が10%以上である。また、シリコーン樹脂硬化物の厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下である。

0031

シリコーン樹脂硬化物の強度を向上させるため、シリコーン樹脂組成物に、シリカ等のフィラーを混合してもよい。フィラー(例えば、シリカ)の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、フィラーが含まれていないことが、より好ましい。シリコーン樹脂組成物の、塗布時、即ち、硬化前は、液状の状態である。フィラーの含有量が20重量%を超えると、シリコーン樹脂流動性が低下する。これにより、発光素子LEDの周囲に樹脂を均一に充填できず、発光素子LEDの被覆性が低下する。また、フィラーの含有量が20重量%を超えると、硬化後のシリコーン樹脂の硬度が大きくなりすぎ、発光素子LEDに加わる応力を十分に緩和することが困難となる。

0032

受光素子PDは、光信号を受けて電気信号を出力する光電変換素子である。受光素子PDとしては、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、受光ICなどを用いることができる。受光素子PDは、チップ搭載部(ダイパッド)DP2上に搭載される。チップ搭載部DP2は、例えば銅(Cu)などの金属から成る板状の部材である。受光素子PDは、チップ搭載部DP2上にダイボンド材を介して固着(接着、固定)される。ダイボンド材(マウント材)は、導電性の接着材(導電性ペースト)である。チップ搭載部DP2の周りには、複数のリードLD2が配置されている。複数のリードLD2のうちの一つは、チップ搭載部DP2に接続されている。また、受光素子PDの表面電極と他のリードLD2とは、それぞれワイヤW2を介して電気的に接続されている。ワイヤW2は、例えば金(Au)などの金属材料からなる線形の部材(金属細線)である。

0033

受光素子PDと発光素子LEDとは、互いに対向するように配置されている。即ち、図1において、チップ搭載部DP1とDP2は、一定の距離離間して上下に配置され、チップ搭載部DP1の下側に発光素子LEDが配置され、チップ搭載部DP2の上側に受光素子PDが配置される。なお、発光素子LEDは、ポッティング樹脂PRで覆われている。ポッティング樹脂PRは、透光性樹脂である。

0034

そして、ポッティング樹脂PRと受光素子PDとの間およびその外周は内部モールド樹脂(透光性モールド樹脂)MRIにより封止されている。また、内部モールド樹脂MRIの外周は、外部モールド樹脂(遮光性モールド樹脂MROにより封止されている。

0035

内部モールド樹脂MRIとしては、エポキシ樹脂硬化物(エポキシ樹脂組成物の硬化物)を用いることができる。このエポキシ樹脂硬化物は、酸化チタンなどの反射剤を含まず、光信号の波長に対して光透過性を有する。例えば、シリコーン樹脂硬化物の厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の透過率が10%以上である。また、シリコーン樹脂硬化物の厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下である。

0036

また、このエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂組成物中主剤と硬化剤との反応により形成される。主剤(エポキシ樹脂)のエポキシ基間を硬化剤を介して架橋することで、硬化および高分子化させることができる。なお、主剤および硬化剤は、モノマー、2〜5量体オリゴマー(20量体以下)やプレポリマーのいずれであってもよい。

0037

主剤としては、芳香環の割合が小さい化合物を用いる。芳香環の割合が小さい主剤としては、例えば、環状脂肪型エポキシ樹脂(例えばジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂等)、窒素含有環を有するエポキシ樹脂(例えばトリアジン環系エポキシ樹脂等)等を用いることができる。ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂としては、以下の式(1)に示す化合物を用いることができる。なお、主剤として、芳香環を含有しない化合物を用いてもよい。

0038

0039

硬化剤としては、芳香環の割合が小さい化合物を用いる。より好ましくは、芳香環を含有しない化合物を用いる。芳香環を含有しない硬化剤としては、例えば、酸無水物硬化剤等を用いることができる。酸無水物硬化剤としては、以下の式(2)に示す化合物を用いることができる。

0040

0041

このように、芳香環の割合が小さい化合物を主剤として用いることにより、エポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合が小さくなり、樹脂の変質を抑制することができる。

0042

また、芳香環の割合が小さい化合物を硬化剤として用いることにより、エポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合が小さくなり、樹脂の変質を抑制することができる。

0043

以下に、芳香環の割合が大きい主剤と、芳香環の割合が大きい硬化剤との反応について説明する。主剤として以下の式(3)に示す化合物、硬化剤として以下の式(4)に示す化合物を用い、これらを有する組成物の反応により、エポキシ樹脂硬化物である以下の式(5)に示す化合物を生成することができる。即ち、以下の式(3)に示す化合物のエポキシ基が以下の式(4)に示す化合物のOH基と反応し、重合反応が進む(式(3)、式(4)および式(5)の破線で囲んだ部分参照)。

0044

0045

0046

0047

このような芳香環の割合が大きい主剤と、芳香環の割合が大きい硬化剤とを用いた場合、エポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合が大きくなる。

0048

これに対し、芳香環の割合が小さい主剤や芳香環の割合が小さい硬化剤を用いることにより、エポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合を小さくでき、樹脂の変質を抑制することができる。詳細は後述する。

0049

また、内部モールド樹脂MRIとして用いるエポキシ樹脂硬化物においては、その強度を向上させるため、エポキシ樹脂組成物に、シリカ等のフィラーを混合してもよい。また、シリカ等のフィラーを混合することにより、金属よりなるリードLD1、LD2と、内部モールド樹脂MRIとの熱膨張率の差を低減することができる。シリカ等のフィラーは、例えば、エポキシ樹脂組成物(主剤、硬化剤)に対し、60〜90重量%程度の割合で混合する。

0050

また、内部モールド樹脂MRIとして用いるエポキシ樹脂組成物には、光透過性を確保するために、酸化チタン等の反射剤やカーボン等の着色剤を添加しないことが好ましい。

0051

外部モールド樹脂MROは、外部からの光の入射を防止するために、内部モールド樹脂MRIを被覆するように設けられている。よって、外部モールド樹脂MROは、遮光性を有する。外部モールド樹脂MROとしては、例えば、黒色のエポキシ樹脂硬化物などを用いることができる。

0052

本実施の形態の光結合装置においては、リードLD1を介して、発光素子LEDに、電気信号が供給され、発光素子LEDは、電気信号に応じて、発光する。この発光素子LEDにより発せられた光は、ポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRと内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIを介して、受光素子PDに入射する。そして、受光素子PDにおいて、光が電気信号に変換され、リードLD2を介して接続先の装置(図示せず)に伝達される。

0053

製法説明]
図2図10は、本実施の形態の光結合装置の製造工程を示す断面図または平面図である。

0054

図2に示すように、リードフレームLFのチップ搭載部DP1上に発光素子LEDを搭載する。例えば、リードフレームLFのチップ搭載部DP1上に、ダイボンド材(図示せず)を塗布し、その上に発光素子LEDを搭載し、固定する。リードフレームLFは、チップ搭載部DP1とその外周に配置されたリードLD1との組みが、複数組分、枠(フレーム、F)によって連結された構造となっている。このリードフレームLFのチップ搭載部DP1上に発光素子LEDが搭載される。リードフレームLFの形状に制限はないが、例えば、図3に示すようなリードフレームLFを用いることができる。図3に示すように、チップ搭載部DP1の周りには、2つのリードLD1が配置され、2つのリードLD1のうちの一つは、チップ搭載部DP1と接続されている。

0055

次いで、図4および図5に示すように、発光素子LEDの表面電極とリードLD1との間をワイヤW1により接続する(ワイヤボンド工程)。なお、図5において、発光素子LEDの表面電極を丸形状で示す。

0056

次いで、図6に示すように、チップ搭載部DP1上の発光素子LED上に液状またはペースト状のポッティング樹脂PRを滴下(塗布)し、ポッティング樹脂PRで発光素子LEDを覆う。ポッティング樹脂PRとしては、例えば、シリコーン樹脂硬化物などを用いる。例えば、液状のシリコーン樹脂組成物を塗布後、加熱処理を施すことにより、硬化させる。加熱温度は、例えば160℃〜200℃程度である。その後、シリコーン樹脂硬化物を室温(常温)まで冷却する。

0057

このように、発光素子LEDをポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRで覆うことにより、発光素子LEDを保護することができる。特に、発光素子LEDには、GaAsやAlGaAsのような、いわゆる化合物半導体が用いられることが多い。このような化合物半導体は、例えば、シリコンなどの半導体と比較し、固くて脆い。よって、このような材料を用いた発光素子LEDを、柔らかいシリコーン樹脂硬化物で覆うことにより、発光素子LEDに加わる応力を緩和することができる。シリコーン樹脂硬化物は、エポキシ樹脂硬化物と比較し、柔軟性が高い。特に、発光素子LEDにおいては、応力の印加により発光特性劣化する場合があるが、柔らかいシリコーン樹脂硬化物で覆うことにより、発光特性の劣化を抑制することができる。また、発光素子LEDの近傍のみを覆うことにより、内部樹脂熱膨張差による歪を抑制できる。

0058

次いで、チップ搭載部DP2上に受光素子PDを搭載する。例えば、図7に示すように、リードフレームLFのチップ搭載部DP2上にダイボンド材(図示せず)を塗布し、その上に受光素子PDを搭載し、固定する。受光素子PD用のリードフレームLFは、チップ搭載部DP2とその外周に配置された複数のリードLD2との組みが、複数組分、枠(フレーム)によって連結されている。次いで、受光素子PDの複数の表面電極と複数のリードLD2との間をそれぞれワイヤW2により接続する(ワイヤボンド工程)。

0059

ここでは、発光素子LEDをチップ搭載部DP1に搭載した後、受光素子PDをチップ搭載部DP2に搭載したが、これらの工程の順序に制限はない。また、図7においては、受光素子PD上にポッティング樹脂PRを形成していないが、受光素子PD上にポッティング樹脂PRを形成してもよい。但し、受光素子PDとして、例えば、シリコンのような半導体を用いる場合には、応力変形し難い。このため、ポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRを省略することができる。

0060

次いで、図8に示すように、発光素子LEDが搭載されたリードフレームLFと、受光素子PDが搭載されたリードフレームLFとを対向させ、双方のリードフレームLFを成形金型M1により挟む。なお、必要に応じて、2つのリードフレームLFのリードLD1、LD2の形状をプレス加工等により所望の形状に加工しておいてもよい。

0061

2つのリードフレームLFを成形金型M1により挟み込んだ状態で、成形金型M1間の空間(キャビティ)内に、エポキシ樹脂組成物を注入(充填)し、加熱処理を施し、内部モールド樹脂MRIを形成する。このように、成形金型M1内に形成された空間に、封止用の樹脂を供給し、硬化させる封止方式は、トランスファモールド方式と呼ばれる。

0062

ここで、本実施の形態においては、内部モールド樹脂MRIとしてエポキシ樹脂硬化物を用いる。特に、前述の芳香環の割合が小さい主剤と硬化剤との反応(熱硬化重合、架橋、高分子化)により形成されるエポキシ樹脂硬化物を用いる。本実施の形態の場合も、主剤のエポキシ基が硬化剤と反応し重合が進む。この反応は、加熱により進む。このように、エポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合を小さくすることで、後述するように、樹脂の変質を抑制することができる。これによりエポキシ樹脂硬化物の光透過性の低下を抑制し、光信号の伝達性能の劣化を低減することができる。加熱温度は、例えば160℃〜200℃程度である。その後、上記エポキシ樹脂を室温まで冷却する。

0063

この工程により、発光素子LEDと受光素子PDとが内部モールド樹脂MRIにより一体化される。具体的には、ポッティング樹脂PRと受光素子PDとの間に内部モールド樹脂MRIが形成される。また、ポッティング樹脂PRと受光素子PDとその間の領域とを囲むように、内部モールド樹脂MRIが形成される。そして、発光素子LEDと受光素子PDとの間には、ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIとが配置されるが、これらの樹脂は前述したように光透過性を有するため、光信号の伝達に支障はない。例えば、ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIは、それぞれ、厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の透過率が10%以上である。また、厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下である。

0064

また、このような2重モールド構造(ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIによる封止体構造)を採用することにより、絶縁耐圧を向上させることができる。例えば2重モールド構造を採用した本実施の形態の光結合装置の絶縁耐圧は、10kV以上である。

0065

さらに、前述したように、芳香環の割合の小さいエポキシ樹脂組成物を用いたので、樹脂の変質を抑制することができる。特に、車載用の光結合装置のように、高温の環境下で使用される場合においても、樹脂の変質を抑制し、光の伝達特性の低下を抑制することができる。

0066

また、これにより、装置の長寿命化を図ることができる。具体的には、後述するように、高温長時間保管試験において、150℃×10000時間以上の特性維持を確保することが可能となる。

0067

次いで、図9に示すように、内部モールド樹脂MRIから突出したリードフレームLFを成形金型M2により挟む。この状態で、成形金型M2間の空間(キャビティ)内であって、内部モールド樹脂MRIの外周に、エポキシ樹脂組成物を注入し、加熱処理を施す。これにより、内部モールド樹脂MRIを覆う外部モールド樹脂MROを形成する。外部モールド樹脂MROとしては、例えば、黒色のエポキシ樹脂硬化物などを用いることができる。この外部モールド樹脂MROは、内部モールド樹脂MRIより芳香環の割合が大きくてもよい。外部モールド樹脂MROとしては、例えば、主剤として前述の式(3)に示す化合物、硬化剤として前述の式(4)に示す化合物を用い、これらにカーボン等の着色剤を添加した組成物を硬化させたものを用いることができる。例えば、成形金型M2間の空間(キャビティ)内に、上記組成物を注入し、加熱処理を施す。加熱温度は、例えば160℃〜200℃程度である。その後、上記エポキシ樹脂硬化物を室温まで冷却する。

0068

次いで、図10に示すように、リードフレームLFからリードLD1、LD2を切り離し、外部モールド樹脂MROから突出したリード(アウタリード部)LD1、LD2に曲げ加工を施す。なお、リードLD1、LD2の切断と同時に、リードLD1、LD2を曲げ加工してもよい。

0069

以上の工程により、本実施の形態の光結合装置を形成することができる。

0070

このように、本実施の形態においては、内部モールド樹脂MRIとして、芳香環の割合の小さいエポキシ樹脂硬化物を用いたので、内部モールド樹脂MRIの変質を抑制することができる。

0071

図11は、比較例1の光結合装置の構成を示す断面図である。図11の光結合装置においては、例えば、内部モールド樹脂MRIとして、芳香環の割合が大きいエポキシ樹脂組成物を用いている。

0072

芳香環の割合が大きいエポキシ樹脂硬化物の例としては、主剤にベンゼン環を含有するエポキシ樹脂(例えばオルソクレゾールノボラック系エポキシ樹脂等)を用いたもの、硬化剤にフェノール系の硬化剤を用いたものや前述の式(5)で示す化合物等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂硬化物を用いた場合、ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIとの間に隙間が生じてしまう。

0073

このような隙間の発生について図12を参照しながら説明する。図12は、樹脂界面の隙間の発生のメカニズムを示す模式図である。図12(A)に示す発光素子LEDを覆うポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRの表面には化学結合手がなく、ポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRと内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIとは化学結合しない。また、これらの樹脂は別素材であるため熱膨張率が異なる。例えば、シリコーン樹脂(400ppm)とエポキシ樹脂(22ppm)との熱膨張率は1桁以上の差がある。このため、図12(B)に示すように、内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIの形成時において、熱が加わりその後、室温まで冷却されると、ポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRと内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIとの界面が剥離し、隙間Sが生じる(図12(C))。

0074

また、樹脂間に隙間Sが生じると、隙間S内の空気(酸素)の影響により、内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIが変色する。この変色について図13および図14を参照しながら説明する。図13は、樹脂変色のメカニズムを示す模式図である。図14は、芳香環の酸化変色反応を模式的に示す図である。図13(A)に示すように、ポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRと内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIとの界面に隙間Sが生じた場合、その内部に空気(酸素)が侵入する(図13(B))。この酸素により、エポキシ樹脂が酸化変色する。特に、芳香環は、反応性が高く、酸化により生じた炭素化合物ラジカルフリーラジカル)が、芳香環(ベンゼン環)と結合し、C=C結合、C−C結合、C−R結合などを切っていく(図14)。ベンゼン環は、π電子により電子密度が高く、フリーラジカルに攻撃されやすい。この反応により、新たな炭素化合物ラジカル(フリーラジカル)が生じ、エポキシ樹脂硬化物の酸化変色反応が連鎖的に進行する(図13(C))。特に、高温の環境下においては、酸化変色反応が進行しやすい。

0075

このようなエポキシ樹脂硬化物の酸化変色により、エポキシ樹脂硬化物の光透過性が低下し、光信号の伝達性能が劣化する。

0076

図15は、比較例2の光結合装置の構成を示す断面図である。例えば、図15に示す比較例2の光結合装置のように、発光素子LEDと受光素子PDとの間にポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRを配置する場合には、ポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRと内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIとの界面が発光素子LEDの両側に生じるため、エポキシ樹脂硬化物の酸化変色反応の影響が少ない。言い換えれば、発光素子LEDと受光素子PDとの間の光信号の伝送経路と交差するようにエポキシ樹脂硬化物の変色が生じることがない。しかしながら、発光素子LEDと受光素子PDとの間にポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRを配置する比較例2の構造においては、隙間Sを介して発光側と受光側との間でスパークが生じ、絶縁耐圧が低下する。

0077

これに対し、本実施の形態のように、2重モールド構造(ポッティング樹脂PRと内部モールド樹脂MRIによる封止体構造)を採用することにより、絶縁耐圧を向上させることができる。さらに、芳香環の割合が小さいエポキシ樹脂硬化物を用いた場合、上記酸化変色反応の進行を抑制することができる。これにより、光信号の伝達性能の劣化を抑制することができる。また、高温の環境下においても、光信号の伝達性能の劣化を抑制することができ、高温長寿命化を図ることができる。例えば、高温長時間保管試験において、150℃×10000時間以上の特性維持を確保することが可能となる。

0078

図16は、樹脂変色抑制のメカニズムを示す模式図である。図16(A)に示すように、芳香環の割合が小さいエポキシ樹脂硬化物を用いることで、隙間Sが生じても、エポキシ樹脂硬化物の酸化変色反応が進行し難く、エポキシ樹脂硬化物の酸化変色を抑制することができる。

0079

エポキシ樹脂硬化物の芳香環の割合を小さくするには、図16(B)に示すように、主剤の芳香環を環状脂肪と置換する。例えば、ベンゼン環をジシクロペンタジエンと置換する。また、エポキシ樹脂硬化物の芳香環の割合を小さくするには、図16(C)に示すように、硬化剤を、芳香環を有する化合物から、芳香環を有さない化合物に変更する。例えば、フェノールを酸無水物に変更する。

0080

(実施例)
表1に、芳香環の割合が小さいエポキシ樹脂硬化物の酸化変色試験結果を示す。エポキシ樹脂組成物としては、3種のエポキシ樹脂組成物A、エポキシ樹脂組成物B、エポキシ樹脂組成物Cを用いた。いずれのエポキシ樹脂組成物も、芳香環の割合を低下させた主剤と芳香環の割合を低下させた硬化剤とを有する。比較例(Ref)として、芳香環の割合が大きいエポキシ樹脂、具体的には、オルソクレゾールノボラックよりなる主剤と、フェノールよりなる硬化剤とを有するエポキシ樹脂組成物についても、同様に試験した。

0081

エポキシ樹脂組成物を硬化させ、その硬化物の1mm厚の試料片を、150℃恒温槽(空気中)で500時間放置した。この試験では、エポキシ樹脂硬化物の表面を空気中にさらしているため、製品状態での試験より加速した試験となる。製品状態では、内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIは、外部モールド樹脂MROで覆われ、空気(酸素)の供給経路も僅かであるため表1に示す値より変色の進行は遅い。例えば、製品状態における150℃×10000時間後のエポキシ樹脂硬化物の変色の程度は、本試験による試料片における150℃×500時間後のエポキシ樹脂硬化物の色と対応付けることができる。

0082

0083

表1に示すように、比較例(Ref)の場合には、初期の段階においては、白色であった試料片が、24時間、48時間、168時間、300時間、500時間と経過するにしたがって、変色が進み、500時間後にはコゲ色となっている。

0084

これに対し、芳香環の割合を低下させたエポキシ樹脂組成物については、A〜Cのいずれを用いた試料片(エポキシ樹脂硬化物)も、500時間経過後において変色が確認されていない。このように、芳香環の割合を低下させたエポキシ樹脂硬化物を用いることで、製品状態で150℃×10000時間以上の特性維持を確保できることが判明した。

0085

(まとめ)
このように、芳香環の割合が小さい化合物を主剤(エポキシ樹脂)として用いることにより、エポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合が小さくなり、樹脂の変質を抑制することができる。

0086

芳香環の割合が小さいエポキシ樹脂としては、芳香環と脂環式化合物とを含むものが挙げられる。また、このエポキシ樹脂を硬化させたエポキシ樹脂硬化物は、芳香環と脂環式化合物とを含む。エポキシ樹脂または硬化物中の脂環式化合物の割合は、20%以上が好ましい。脂環式化合物の割合は、(脂環式化合物の数/エポキシ樹脂または硬化物中の芳香環と脂環式化合物の数の合計)×100%で示される。また、エポキシ樹脂または硬化物中に芳香環を有さないものを用いてもよい。

0087

また、前述したオルソクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂(主剤)は、式(6)のとおりである。

0088

0089

芳香環の割合を低減するため、式(6)に示す化合物に代えて、前述の式(1)に示す化合物(ジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂(主剤))を用いる。即ち、ベンゼン環の部分をジシクロペンタジエンと置換する(図16(B)参照)。

0090

この場合、主剤の繰り返し単位構造物(カッコの内部構造物)において、芳香環と脂環式化合物との割合は、1:1である。例えば、芳香環をA、脂環式化合物をBで示した場合、−(A−B)n−となる。この場合、脂環式化合物の割合は、50%程度となる。

0091

また、芳香環の代わりに窒素含有環(例えば、トリアジン環)を用いたエポキシ樹脂を用いてもよい。この場合も、芳香環の割合が小さくなる。芳香環の割合が小さいエポキシ樹脂としては、芳香環と窒素含有環とを含むものが挙げられる。また、このエポキシ樹脂を硬化させたエポキシ樹脂硬化物は、芳香環と窒素含有環とを含む。エポキシ樹脂または硬化物中の窒素含有環の割合は、20%以上が好ましい。また、エポキシ樹脂または硬化物中に芳香環を有さないものを用いてもよい。

0092

また、硬化剤については、芳香環を有さない化合物(例えば、酸無水物)等を用いる。

0093

また、本実施の形態においては、内部モールド樹脂MRIをエポキシ樹脂硬化物としたが、内部モールド樹脂MRIをシリコーン樹脂硬化物としてもよい。シリコーン樹脂硬化物は、酸化チタンなどの反射剤を含まず、光信号の波長に対して光透過性を有する。例えば、シリコーン樹脂硬化物の厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の透過率が10%以上である。また、シリコーン樹脂硬化物の厚さ1mm当たり、700nm〜1000nmの範囲の波長の光の反射率が90%以下である。シリコーン樹脂硬化物は、エポキシ樹脂硬化物より原子間の結合エネルギーが大きく、エポキシ樹脂硬化物より分解し難い。また、シリコーン樹脂硬化物は、分解(酸化)した場合もSiO2のような光透過性の高い化合物となるため変色し難い。このため、光信号の伝達性能の劣化を低減することができる。

0094

(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1の光結合装置の応用例について説明する。

0095

実施の形態1においては、ポッティング樹脂PRとしてシリコーン樹脂硬化物を用いたが、ポッティング樹脂PRとして、シリコーン樹脂硬化物の中でも、ショアA硬度15〜30のゴム状のシリコーン樹脂硬化物を用いてもよい。

0096

このようなシリコーン樹脂硬化物を用いることで、実施の形態1の効果(絶縁耐圧を向上、高温長寿命化)に加え、光信号の伝達特性のさらなる安定化を図ることができる。

0097

例えば、ゲル状で柔らかい、低硬度(ショアA硬度20未満)のシリコーン樹脂硬化物を用いることも考えられる。このようなゲル状で柔らかい、低硬度のシリコーン樹脂硬化物を用いることで、内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIの表面の凹凸に追随してポッティング樹脂(シリコーン樹脂硬化物)PRを変形させることができる。このような場合、実施の形態1において説明した樹脂間の隙間を埋める(樹脂同士を密着させる)ことができ、酸素の浸入を低減し、内部モールド樹脂(エポキシ樹脂硬化物)MRIの変色を低減することができる。

0098

しかしながら、ゲル状で柔らかい、低硬度のシリコーン樹脂硬化物は、タック性を有するため、温度変化(温度の上下変化、リフロー温度サイクル等)により、樹脂間の接合面の位置が変動しやすい。例えば、図17に示すように、温度変化(例えば、常温(25℃)→リフロー温度(260℃)→冷却(25℃))に対応して、光信号の伝送経路にある隙間Sの位置や大きさが変動する。この場合、光信号の伝達特性が変化してしまう。また、凝集破壊が生じ得る。図17は、低硬度のシリコーン樹脂硬化物を用いた場合の隙間の様子を示す模式図である。

0099

これに対し、ある程度の高度、例えばショアA硬度15〜30のゴム状のシリコーン樹脂硬化物を用いることで、低硬度のシリコーン樹脂硬化物を用いる場合より、隙間Sが生じ、酸素の影響が生じ得るものの、図18に示すように、隙間Sの位置や大きさの変化が少なくなる。また、酸素の影響については、実施の形態1で説明したエポキシ樹脂硬化物中の芳香環の割合を低下させることで、樹脂の変色の問題を回避することができる。図18は、本実施の形態のシリコーン樹脂硬化物を用いた場合の隙間の様子を示す模式図である。

0100

このように、例えばショアA硬度15〜30のゴム状のシリコーン樹脂硬化物と芳香環の割合の低いエポキシ樹脂硬化物の組み合わせにより、実施の形態1の効果に加え、光信号の伝達特性の安定化を図ることができる。

0101

(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1または2で説明した光結合装置の適用例について説明する。実施の形態1または2で説明した光結合装置の適用箇所に制限はないが、例えば、以下に説明する電力変換システムに用いることができる。

0102

図19は、本実施の形態の電力変換システム(電力変換装置)の一例を示す説明図(回路ブロック図)である。

0103

図19に示す電力変換システムは、モータMOTなどの負荷と、インバータ(増幅回路部)INVと、電源BATと、制御部(制御回路)CTCと、フォトカプラ(光結合装置、光結合部)PCとを有している。モータMOTとしては、ここでは3相モータを用いている。3相モータは、位相の異なる3相の電圧により駆動するように構成されている。フォトカプラPCは、インバータINVを構成する電気回路と、制御部CTCを構成する電気回路との間に挿入される光結合部である。フォトカプラPCは、インバータINVと制御部CTCとの間を電気的に絶縁し、かつ、制御部CTCからインバータINVに向かって信号を伝送する機能を有する。

0104

図19の電力変換システムにおいては、電源BATが、インバータINVに接続され、電源BATの電圧(電力)がインバータINVに供給されるようになっている。なお、電源BATとインバータINVとの間に図示しないコンバータリレーを介在させて、インバータINVに供給される電圧を変換したり、電源BATとインバータINVとの接続状態スイッチングしたりしても良い。

0105

また、インバータINVにはモータMOTが接続され、電源BATからインバータINVに供給された直流電圧直流電力)は、インバータINVで交流電圧交流電力)に変換されて、モータMOTに供給されるようになっている。モータMOTは、インバータINVから供給された交流電圧(交流電力)によって駆動される。

0106

インバータINVには、制御部(コントローラ)CTCも接続されており、この制御部CTCによってインバータINVが制御されるようになっている。すなわち、電源BATからインバータINVに直流電圧(直流電力)が供給され、制御部CTCにより制御されたインバータINVによって交流電圧(交流電力)に変換されて、モータMOTに供給され、モータMOTを駆動することができる。制御部CTCは、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)により構成されており、MCU(Micro Controller Unit)のような制御用半導体チップを内蔵している。

0107

インバータINVは、3相に対応して6つのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)10を有している。すなわち、3相の各相において、電源BATからインバータINVに供給される電源電位VCC)とモータMOTの入力電位との間、およびモータMOTの入力電位と接地電位(GND)との間にそれぞれIGBT10が接続されている。

0108

制御部CTCによってIGBT10を流れる電流を制御することにより、モータMOTを駆動(回転)させるようになっている。すなわち、制御部CTCによってIGBT10のオンオフを制御することにより、モータMOTを駆動することができる。

0109

このように、モータMOTを駆動する、相対的に大きな電流が流れるインバータINVと、制御信号などの相対的に小さい電流が流れる制御部CTCとが電気的に接続されると、制御部CTC側でノイズが発生する懸念がある。

0110

そこで、図19に示すように、インバータINVと制御部CTCとの間を電気的に絶縁し、かつ、制御部CTCからインバータINVに向かって信号を伝送する機能を有するフォトカプラPCを挿入することで、電力変換システムの信頼性を向上させることができる。

0111

さらに、上記電力変換システムに用いるフォトカプラPCとして、実施の形態1または2で説明した光結合装置を用いることで、電力変換システムの信頼性を向上させることができる。

0112

以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施の形態1においては、光結合装置としてフォトカプラを例示したが、光MOSFETへ実施の形態1で説明した樹脂を適用してもよい。

0113

10 IGBT
BAT電源
CTC 制御部
DP1チップ搭載部
DP2 チップ搭載部
INVインバータ
LD1リード
LD2 リード
LED発光素子
LFリードフレーム
M1成形金型
M2 成形金型
MOTモータ
MRI内部モールド樹脂
MRO外部モールド樹脂
PCフォトカプラ
PD受光素子
PRポッティング樹脂
S 隙間
W1ワイヤ
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