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技術 量子井戸構造、積層構造体および半導体装置

出願人 株式会社FLOSFIA
発明者 織田真也佐々木貴博人羅俊実
出願日 2015年2月25日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2015-035937
公開日 2016年9月1日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-156073
状態 特許登録済
技術分野 CVD 気相成長(金属層を除く) 再結晶化技術 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード ガリウムアセチルアセトナート 非酸素雰囲気 塩化金属 コランダム構造 原料微粒子 硫化金属 供給箇所 逆格子
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年9月1日)のものです。
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図面 (9)

課題

回転ドメインと反りが低減できるバッファ層として有用な量子井戸構造を提供する。

解決手段

第1の層と、第1の同とは異なる材料を主成分とする第2の層とが、少なくとも1層ずつ交互に積層されている量子井戸構造であって、第1の層の主成分が、コランダム構造を有する酸化物であり、第2の層の主成分が、アルミニウムを含む酸化物である量子井戸構造および前記量子井戸構造をバッファ層として用いた積層構造体ならびに前記量子井戸構造または前記積層構造体を含む半導体装置

概要

背景

高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子として、バンドギャップの大きな酸化ガリウム(Ga2O3)を用いた半導体装置が注目されており、インバータなどの電力用半導体装置への適用が期待されている。当該酸化ガリウムは、非特許文献1によれば、インジウムアルミニウムをそれぞれ、あるいは組み合わせて混晶とすることにより、バンドギャップを制御することが可能であり、中でも、InX1AlY1GaZ1O3(0≦X1≦2、0≦Y1≦2、0≦Z1≦2、X1+Y1+Z1=1.5〜2.5)で表されるInAlGaO系半導体は、極めて魅力的な材料である。

特許文献1には、α−Al2O3基板上に、p型のα−(AlX2Ga1−X2)2O3単結晶膜(0≦X2<1)を形成したGa2O3系半導体素子が記載されている。しかしながら、特許文献2記載の半導体素子では、結晶品質にも問題があったりして、半導体素子に適用するには制約が多く、また、MBE法では、α−Ga2O3単結晶膜(X2=0の場合)が作製困難であり、しかも、p型半導体を得るのに、イオン注入高温での熱処理が必要であったため、p型のα−Ga2O3そのものが実現困難であり、実際には、特許文献1記載の半導体素子自体は実現困難なものであった。

特許文献2には、アルミニウムおよびガリウムを含むコランダム構造酸化物結晶が記載されており、高温時の相転移が抑制されることが記載されている。しかしながら、大きなバンドギャップを有する混晶としては、まだ多くの課題があり、例えば、バッファ層として用いても、エピタキシャル成長させた結晶に回転ドメインが存在していたり、反りが発生したりして、必ずしも満足のいくものではなかった。

概要

回転ドメインと反りが低減できるバッファ層として有用な量子井戸構造を提供する。第1の層と、第1の同とは異なる材料を主成分とする第2の層とが、少なくとも1層ずつ交互に積層されている量子井戸構造であって、第1の層の主成分が、コランダム構造を有する酸化物であり、第2の層の主成分が、アルミニウムを含む酸化物である量子井戸構造および前記量子井戸構造をバッファ層として用いた積層構造体ならびに前記量子井戸構造または前記積層構造体を含む半導体装置。

目的

本発明は、回転ドメインと反りが低減できるバッファ層として有用な量子井戸構造を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1の層と、第1の層とは異なる材料を主成分とする第2の層とが、少なくとも1層ずつ交互に積層されている量子井戸構造であって、第1の層の主成分が、コランダム構造を有する酸化物であり、第2の層の主成分が、アルミニウムを含む酸化物であることを特徴とする量子井戸構造。

請求項2

コランダム構造を有する酸化物が半導体である請求項1記載の量子井戸構造。

請求項3

コランダム構造を有する酸化物が、ガリウムインジウムおよびアルミニウムから選ばれる1種または2種以上の金属を少なくとも含有する請求項1または2に記載の量子井戸構造。

請求項4

アルミニウムを含む酸化物が半導体である請求項1〜3のいずれかに記載の量子井戸構造。

請求項5

アルミニウムを含む酸化物が、ガリウム、鉄、インジウム、バナジウムチタンクロムロジウムニッケルまたはコバルトをさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の量子井戸構造。

請求項6

第2の層の金属元素中のアルミニウム濃度が1原子%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の量子井戸構造。

請求項7

第1の層と第2の層とが、少なくとも2層ずつ積層されている請求項1〜6のいずれかに記載の量子井戸構造。

請求項8

表面の一部または全部にコランダム構造を有する下地基板上に、ミストを用いて結晶成長されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の量子井戸構造。

請求項9

請求項1〜8のいずれかに記載の量子井戸構造上に、コランダム構造を有する材料を主成分として含む第3の層が積層されている積層構造体

請求項10

量子井戸構造がバッファ層を構成している請求項9記載の積層構造体。

請求項11

コランダム構造を有する材料が、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムから選ばれる1種または2種以上を含む酸化物半導体を主成分として含む請求項9または10に記載の積層構造体。

請求項12

請求項1〜8のいずれかに記載の量子井戸構造または請求項9〜11のいずれかに記載の積層構造体を含む半導体装置

技術分野

0001

本発明は、新規量子井戸構造および積層構造体ならびに前記量子井戸構造または前記積層構造体を用いた半導体装置に関する。

背景技術

0002

高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子として、バンドギャップの大きな酸化ガリウム(Ga2O3)を用いた半導体装置が注目されており、インバータなどの電力用半導体装置への適用が期待されている。当該酸化ガリウムは、非特許文献1によれば、インジウムアルミニウムをそれぞれ、あるいは組み合わせて混晶とすることにより、バンドギャップを制御することが可能であり、中でも、InX1AlY1GaZ1O3(0≦X1≦2、0≦Y1≦2、0≦Z1≦2、X1+Y1+Z1=1.5〜2.5)で表されるInAlGaO系半導体は、極めて魅力的な材料である。

0003

特許文献1には、α−Al2O3基板上に、p型のα−(AlX2Ga1−X2)2O3単結晶膜(0≦X2<1)を形成したGa2O3系半導体素子が記載されている。しかしながら、特許文献2記載の半導体素子では、結晶品質にも問題があったりして、半導体素子に適用するには制約が多く、また、MBE法では、α−Ga2O3単結晶膜(X2=0の場合)が作製困難であり、しかも、p型半導体を得るのに、イオン注入高温での熱処理が必要であったため、p型のα−Ga2O3そのものが実現困難であり、実際には、特許文献1記載の半導体素子自体は実現困難なものであった。

0004

特許文献2には、アルミニウムおよびガリウムを含むコランダム構造酸化物結晶が記載されており、高温時の相転移が抑制されることが記載されている。しかしながら、大きなバンドギャップを有する混晶としては、まだ多くの課題があり、例えば、バッファ層として用いても、エピタキシャル成長させた結晶に回転ドメインが存在していたり、反りが発生したりして、必ずしも満足のいくものではなかった。

0005

特開2013−58637号公報
特開2015−017027号公報

先行技術

0006

金子健太郎、「コランダム構造酸化ガリウム系混晶薄膜成長と物性」、京都大学博士論文、平成25年3月

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、回転ドメインと反りが低減できるバッファ層として有用な量子井戸構造を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、第1の層と、第1の層とは異なる材料を主成分とする第2の層とが、少なくとも1層ずつ交互に積層されている量子井戸構造であって、第1の層の主成分が、コランダム構造を有する酸化物であり、第2の層の主成分が、アルミニウムを含む酸化物であることを特徴とする量子井戸構造の創製に成功し、このような量子井戸構造をバッファ層として用いれば、バッファ層上に結晶成長された結晶において、回転ドメインだけでなく、反りも低減されており、従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。

0009

すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 第1の層と、第1の層とは異なる材料を主成分とする第2の層とが、少なくとも1層ずつ交互に積層されている量子井戸構造であって、
第1の層の主成分が、コランダム構造を有する酸化物であり、
第2の層の主成分が、アルミニウムを含む酸化物であることを特徴とする量子井戸構造。
[2] コランダム構造を有する酸化物が半導体である前記[1]記載の量子井戸構造。
[3] コランダム構造を有する酸化物が、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムから選ばれる1種または2種以上の金属を少なくとも含有する前記[1]または[2]に記載の量子井戸構造。
[4] アルミニウムを含む酸化物が半導体である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の量子井戸構造。
[5] アルミニウムを含む酸化物が、ガリウム、鉄、インジウム、バナジウムチタンクロムロジウムニッケルまたはコバルトをさらに含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の量子井戸構造。
[6] 第2の層の金属元素中のアルミニウム濃度が1原子%以上である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の量子井戸構造。
[7] 第1の層と第2の層とが、少なくとも2層ずつ積層されている前記[1]〜[6]のいずれかに記載の量子井戸構造。
[8] 表面の一部または全部にコランダム構造を有する下地基板上に、ミストを用いて結晶成長されてなる前記[1]〜[7]のいずれかに記載の量子井戸構造。
[9] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載の量子井戸構造上に、コランダム構造を有する材料を主成分として含む第3の層が積層されている積層構造体。
[10] 量子井戸構造がバッファ層を構成している前記[9]記載の積層構造体。
[11] コランダム構造を有する材料が、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムから選ばれる1種または2種以上を含む酸化物半導体を主成分として含む前記[9]または[10]に記載の積層構造体。
[12] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載の量子井戸構造または前記[9]〜[11]のいずれかに記載の積層構造体を含む半導体装置。

発明の効果

0010

本発明の量子井戸構造は、回転ドメインと反りが低減できるバッファ層として有用である。

図面の簡単な説明

0011

実施例で用いた成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。
実施例で用いた霧化・液滴化部を説明する図である。
図2における超音波振動子を説明する図である。
実施例におけるTEM像を示す。
実施例におけるバッファ層のTEM像を示す。
実施例における結晶性酸化物半導体膜のXRDデータを示す。
比較例1におけるXRDデータを示す。
比較例2におけるXRDデータを示す。

0012

本発明の結晶性酸化物半導体膜は、第1の層と、第1の層とは異なる材料を主成分とする第2の層とが、少なくとも1層ずつ交互に積層されている量子井戸構造であって、第1の層の主成分が、コランダム構造を有する酸化物であり、第2の層の主成分が、アルミニウムを含む酸化物であることを特徴とする。

0013

第1の層は、コランダム構造を有する酸化物を主成分としていれば特に限定されないが、該酸化物が、半導体、すなわち、酸化物半導体であるのが好ましく、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムからなる1種または2種以上を少なくとも含有しているのがより好ましく、少なくともガリウムを含むのが最も好ましい。前記酸化物半導体としては、例えば、α−Ga2O3、α−(AlxGa1−x)2O3(但し、1>X>0)、α−(InYGa1−Y)2O3(但し、1>Y>0)、α−(AlZ1GaZ2InZ3)2O3(但し、1>Z1,Z2,Z3>0およびZ1+Z2+Z3=1)などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、例えば酸化物半導体がα−Ga2O3である場合、前記層の金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上の割合でα−Ga2O3が含まれていればそれでよい。本発明においては、前記層中の金属元素中のガリウムの原子比が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であるのがより好ましい。

0014

第2の層は、第1の層とは異なる材料であって、アルミニウムを含む酸化物を主成分としていれば特に限定されないが、該酸化物が、半導体であるのが好ましく、ガリウム、鉄、インジウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、ニッケルまたはコバルトをさらに含むのがより好ましく、ガリウムをさらに含むのが最も好ましい。このような酸化物半導体としては、例えば、α−(AlxGa1−x)2O3(但し、1>X>0)、α−(AlZ1GaZ2InZ3)2O3(但し、1>Z1,Z2,Z3>0およびZ1+Z2+Z3=1)などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、例えば酸化物半導体がα−(AlxGa1−x)2O3である場合、前記層の金属元素中のアルミニウムおよびガリウムの原子比の合計が0.5以上の割合でα−(AlxGa1−x)2O3が含まれていればそれでよい。本発明においては、前記層中の金属元素中のアルミニウムおよびガリウムの原子比の合計が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であるのがより好ましい。なお、「第1の層とは異なる材料」は、例えば第1の層とは同じ成分を有していても、第1の層とは異なる組成比であればそれでよい。

0015

また、本発明においては、第2の層の金属元素中のアルミニウムの濃度が1原子%以上であるのが、回転ドメインと反りとをより低減できるので好ましく、2原子%以上であるのがより好ましい。なお、アルミニウム濃度の上限は、特に限定されないが、通常、99原子%以下であり、好ましくは80原子%以下であり、より好ましくは50原子%以下であり、最も好ましくは30原子%以下である。

0016

前記量子井戸構造の形成手段は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、基体上にミストを用いて結晶成長することにより形成する手段が好ましい。
以下、前記量子井戸構造の好ましい形成手段として、基体上にミストを用いて、前記量子井戸構造を形成する手段等を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。

0017

原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を反応させてバッファ層を形成する。なお、原料溶液を、第1の層の原料溶液および第2の層の原料溶液として、交互に使用することで、第1の層と第2の層とが交互に積層されている量子井戸構造を形成することができる。

0018

(原料溶液)
原料溶液は、霧化または液滴化が可能な材料を含んでいれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよいが、本発明においては、金属または金属化合物であるのが好ましく、ガリウム、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、ニッケル、コバルト、亜鉛マグネシウムカルシウムシリコンイットリウムストロンチウムおよびバリウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含むのがより好ましい。なお、第2の層の原料溶液では、アルミニウムが少なくとも含まれる。

0019

本発明においては、前記原料溶液として、前記金属を錯体または塩の形態で有機溶媒または水に溶解または分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体カルボニル錯体アンミン錯体ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、有機金属塩(例えば金属酢酸塩金属シュウ酸塩金属クエン酸塩等)、硫化金属塩、硝化金属塩リン酸化金属塩、ハロゲン化金属塩(例えば塩化金属塩、臭化金属塩ヨウ化金属塩等)などが挙げられる。

0020

また、前記原料溶液には、ハロゲン化水素酸酸化剤等の添加剤を混合してもよい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸塩酸ヨウ化水素酸などが挙げられるが、中でも、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H2O2)、過酸化ナトリウム(Na2O2)、過酸化バリウム(BaO2)、過酸化ベンゾイル(C6H5CO)2O2等の過酸化物次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸硝酸オゾン水過酢酸ニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。

0021

前記原料溶液には、ドーパントが含まれていてもよい。前記ドーパントは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記ドーパントとしては、例えば、スズ、ゲルマニウムケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブ等のn型ドーパント、またはp型ドーパントなどが挙げられる。ドーパントの濃度は、通常、約1×1016/cm3〜1×1022/cm3であってもよいし、また、ドーパントの濃度を例えば約1×1017/cm3以下の低濃度にしてもよい。また、さらに、本発明によれば、ドーパントを約1×1020/cm3以上の高濃度で含有させてもよい。

0022

(基体)
前記基体は、前記膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。

0023

前記基板は、板状であって、前記結晶膜支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよいが、前記基板が、絶縁体基板であるのが好ましく、また、表面に金属膜を有する基板であるのも好ましい。前記基板としては、例えば、コランダム構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、またはβ−ガリア構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、六方晶構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、前記特定の結晶構造を有する基板材料が、原子比で、基板材料の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。

0024

基板材料は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。前記のコランダム構造を有する基板材料としては、例えば、前記のコランダム構造を有する材料として例示したものと同じものなどが挙げられるが、本発明においては、α−Al2O3またはα−Ga2O3が好ましい。そして、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、サファイア基板(好ましくはc面サファイア基板)や、α型酸化ガリウム基板などが好適な例として挙げられる。β−ガリア構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えばβ−Ga2O3基板、又はGa2O3とAl2O3とを含みAl2O3が0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板などが挙げられる。また、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えば、SiC基板ZnO基板GaN基板などが挙げられる。なお、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板上には、直接または別の層(例:緩衝層)を介して、各層を積層してもよい。

0025

本発明においては、前記基体が、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板であるのが好ましく、サファイア基板またはα型酸化ガリウム基板であるのがより好ましく、c面サファイア基板であるのが最も好ましい。

0026

積層方法
前記積層方法としては、特に限定されないが、好適には、前記原料溶液を霧化または液滴化し(霧化・液滴化工程)、生成されるミストまたは液滴をキャリアガスによって前記基体に供給し(ミスト・液滴供給工程)、供給されたミストまたは液滴を反応させて、前記基体上に成膜する(成膜工程)。

0027

前記霧化・液滴化工程は、原料溶液を調整し、前記原料溶液を霧化または液滴化してミストを発生させる。前記金属の配合割合は、特に限定されないが、原料溶液全体に対して、0.0001mol/L〜20mol/Lが好ましい。霧化または液滴化手段は、前記原料溶液を霧化または液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の霧化手段または液滴化手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段または液滴化手段であるのが好ましい。前記ミストまたは前記液滴は、初速度がゼロで、空中に浮遊するものが好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮かびガスとして搬送することが可能なミストであるのがより好ましい。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。

0028

前記ミスト・液滴供給工程では、前記キャリアガスによって前記ミストまたは前記液滴を基体へ供給する。キャリアガスの種類としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素アルゴン等の不活性ガス、または水素ガスフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、キャリアガス濃度を変化させた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、反応炉内での線速(より具体的には、反応炉は高温になっており、環境に依存して変化してしまうため、室温を仮定して換算される線速)で、0.1m/s〜100m/sが好ましく、1m/s〜10m/sがより好ましい。

0029

成膜工程では、前記ミストまたは前記液滴を反応させて、前記基体表面の一部または全部に成膜する。前記反応は、前記ミストまたは前記液滴から膜が形成される反応であれば特に限定されないが、本発明においては、熱反応が好ましい。前記熱反応は、熱でもって前記ミストまたは前記液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度以下が好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが蒸発温度の計算が簡単になる等の点で好ましい。なお、真空の場合には、蒸発温度を下げることができる。また、膜厚は成膜時間を調整することにより、設定することができる。本発明においては、量子井戸における第1の層および第2の層の厚さが、それぞれ200nm以下であるのが好ましく、100nm以下であるのがより好ましく、20nm以下であるのが最も好ましい。

0030

本発明においては、量子井戸構造の形成後、得られた量子井戸構造をバッファ層として用いることができる。また、本発明においては、前記バッファ層上に、コランダム構造を有し、かつアルミニウム、ガリウムおよびインジウムからなる1種または2種以上を少なくとも含有する酸化物半導体を主成分として含む結晶性酸化物半導体膜を形成するのが好ましい。

0031

また、本発明においては、結晶性酸化物半導体膜の形成は、公知の手段を用いてもよく、前記の量子井戸構造の形成と同様であってよいが、本発明においては、ミストCVDにより、結晶性酸化物半導体膜を形成するのが好ましい。より具体的に例えば、原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって基体まで搬送し、ついで該基体上で該ミストまたは該液滴を反応させて結晶性酸化物半導体膜を形成する。なお、原料溶液および基体については、前記のバッファ層形成における原料溶液および基体と同様であってよい。また、積層方法についても、前記のバッファ層形成における積層方法と同様であってよい。

0032

上記のようにして、量子井戸構造を有するバッファ層を介して得られた結晶性酸化物半導体膜は、膜中の回転ドメインの含有率が、例えば0.02体積%以下にまで低減されており、さらに、反りも例えば0.3μm以下にまで低減されたものとなる。なお、「回転ドメインの含有率」は、X線回折装置を用いて測定されるものであり、より具体的には、X線回折装置を用いて得られる回転ドメインのカウント数から求めることができる。また、前記反りは、膜の両端(例えば5mm間の両端)の点を通る最短の直線と、凹または凸の頂点との最短の距離をいう。本発明においては、例えば膜の5mm間の両端の点を通る最短の直線と、凹または凸の頂点との最短の距離を反りとした場合には、反りが0.06μm/mm以下であるのが好ましい。なお、前記回転ドメインの含有率は、通常、約0.02体積%以下であるが、本発明においては、0.01体積%以下であるのが好ましく、実質的に回転ドメインを含まないのがより好ましい。例えば、X線回折測定により求められる前記結晶性酸化物半導体膜中の回転ドメインのピーク強度が、主ピークの強度の10%以下であるのがより好ましい。

0033

また、結晶性酸化物半導体薄膜の厚さは、特に限定されず、1μm以下であってもよいし、1μm以上であってもよいが、本発明においては、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。なお、前記結晶性酸化物半導体膜の結晶は、通常、単結晶であるが、多結晶であってもよい。

0034

前記結晶性酸化物半導体膜は、前記基体および前記バッファ層とともに、積層構造体として、半導体装置等に用いることができる。また、本発明においては、前記結晶性酸化物半導体膜を、前記基体等から剥離する等の公知の手段を用いた後に、半導体装置等に用いてもよい。

0035

前記結晶性酸化物半導体膜または前記結晶性積層構造体を用いて形成される半導体装置としては、例えば、半導体レーザダイオードまたはトランジスタなどが挙げられ、より具体的には例えば、MISHEMT等のトランジスタやTFT、半導体‐金属接合を利用したショットキーバリアダイオード、他のP層と組み合わせたPN又はPINダイオード受発光素子等が挙げられる。

0036

1.成膜装置
まず、図面を用いて、本実施例で用いた成膜装置1を説明する。成膜装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)源2bと、キャリアガス(希釈)源2bから送り出されるキャリアガス(希釈)の流量を調節するための流量調節弁3bと、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ石英製の供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8とを備えている。ホットプレート8上には、基板10が設置されている。
図2は、霧化・液滴化部を示している。原料溶液4aが収容されている容器からなるミスト発生源4が、水5aが収容されている容器5に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器5の底部には、超音波振動子6が備え付けられており、超音波振動子6と発振器16とが接続されている。そして、発振器16を作動させると、超音波振動子6が振動し、水5aを介して、ミスト発生源4内に超音波が伝播し、原料溶液4aが霧化または液滴するように構成されている。
図3は、図2に示されている超音波振動子6を示している。超音波振動子6は、支持体6e上の円筒状の弾性体6d内に、円板状の圧電体素子6bが備え付けられており、圧電体素子6bの両面に電極6a、6cが設けられている。そして、電極に発振器を接続して発振周波数を変更すると、圧電振動子の厚さ方向の共振周波数及び径方向の共振周波数を持つ超音波が発生されるように構成されている。

0037

2.原料溶液の作製
(第1の層の原料溶液)
アルミニウムアセチルアセトナート9mol/Lに対し、ガリウムアセチルアセトナート3mol/Lの割合となるように水溶液を調整し、この際、さらに塩酸を体積比で2%となるように含有させ、これを第1の原料溶液とした。
(第2の層の原料溶液)
ガリウムに対するゲルマニウムの原子比が1:0.01となるように酸化ゲルマニウムを添加した臭化ガリウム0.1mol/Lの水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを第2の原料溶液とした。

0038

(結晶性酸化物半導体膜の原料溶液)
ガリウムに対するゲルマニウムの原子比が1:0.01となるように酸化ゲルマニウムを添加した臭化ガリウム0.1mol/Lの水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを第3の原料溶液とした。

0039

3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として4インチのc面サファイア基板を用いて、c面サファイア基板をホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3(3a、3b)を開いてキャリアガス源2(2a、2b)からキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用いた。

0040

4.量子井戸構造の形成
超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを微粒子化させて原料微粒子4bを生成した。この原料微粒子4bが、キャリアガスによって成膜室7内に導入され、そして、大気圧下、600℃にて、成膜室7内でミストが反応して、基板10上に薄膜が形成された。なお、原料溶液4aとして、上記2.で得られた第1の原料溶液と第2の原料溶液とを交互に使用することで、第1の層と第2の層とが交互に各50層ずつ積層されている量子井戸構造を形成した。なお、第1の原料溶液を使用した成膜時間は3分/層であり、第2の原料溶液を使用した成膜時間は30秒/層であった。また、X線回折装置を用いて同定したところ、第1の層は、アルミニウム濃度が2原子%であるα−(Al0.02Ga0.98)2O3で構成されており、第2の層は、α−Ga2O3で構成されていた。

0041

5.結晶性酸化物半導体膜の形成
上記4.で得られた量子井戸構造をバッファ層として用いた。また、第3の原料溶液を原料溶液4aとして用いて、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを微粒子化させて原料微粒子4bを生成した。この原料微粒子4bが、キャリアガスによって成膜室7内に導入され、そして、大気圧下、500℃にて、成膜室7内でミストが反応して、バッファ層(量子井戸構造)上に薄膜が形成された。なお、成膜時間は180分であり、膜厚は8μmであった。得られた薄膜について、X線回折装置(リガク社製、Smartlab)を用いて測定したところ、α−Ga2O3であり、回転ドメインの含有率は0%であった。なお、得られた結晶性酸化物半導体膜のTEM像を図4に示し、バッファ層(量子井戸構造)のTEM像を図5に示す。また、結晶性酸化物半導体膜のXRDデータを図6に示す。

0042

(比較例1)
原料溶液として下記の比較例用原料溶液を用いて、成膜温度を600℃とし、成膜時間を60分としたこと以外は、上記5.と同様にして成膜することによりバッファ層を形成した。バッファ層の形成後、上記5.と同様にして、バッファ層上に成膜することにより、α−Ga2O3膜を形成した。相の同定は、X線回折装置を用いた。XRDデータを図7に示す。

0043

(比較例1用原料溶液)
アルミニウムアセチルアセトナート14mol/Lに対し、ガリウムアセチルアセトナート2mol/Lの割合となるように水溶液を調整し、この際、さらに塩酸を体積比で2%となるように含有させ、これを比較例用原料溶液とした。

0044

(比較例2)
バッファ層を形成しなかったこと以外、上記実施例と同様にしてα−Ga2O3膜を形成した。XRDデータを図8に示す。

0045

6.評価
上記5.で得られた結晶性酸化物半導体膜および比較例で得られたα−Ga2O3膜について、各物性を評価した。結果を下記表1に示す。なお、反りは、5mm間の両端の点を通る最短の直線と、凹または凸の頂点との最短の距離を測定した。また、表1中、「1010異相ピークの有無」は、1 0 10面の逆格子マッピングを測定し、基板と膜以外のピークの有無を確認した。また、回転ドメインの含有率等は、X線回折装置(リガク社製、Smartlab)を用いて測定した。なお、測定の条件は次の通りである。

0046

X線測定条件)
104面Φスキャンを実施
XG_CURRNT200mA
XG_VOLTAGE 45kV
X線源CuKα1
検出器モノクロメータSC−70
SCAN_SPEED 200 deg/min
SCAN_STEP0.200 deg
Φスキャン 0〜360deg
CBO選択スリットPB
入射光学素子Ge(220)x2
入射平行スリットSoller_slit_open
長手制限スリット5.0mm
受光平行スリット Soller_slit_5.0deg
受光光学素子PSA_open
受光平行スリット Soller_slit_5.0deg
HV660V
PHA561.25mV

0047

0048

表1の結果から、実施例のα−Ga2O3膜は、回転ドメインがなく、結晶性等の成膜品質に優れており、反りも低減されていることがわかる。

0049

また、実施例および比較例2のα−Ga2O3膜につき、ホール効果測定を実施した。結果を下記表2に示す。表2の結果から、実施例で得られた結晶性酸化物半導体膜は、電気特性も優れていることがわかる。

実施例

0050

0051

本発明の量子井戸構造は、バッファ層として有用であり、さらには、半導体(例えば化合物半導体電子デバイス等)、電子部品電気機器部品光学電子写真関連装置、工業部材などあらゆる分野に用いることができるが、特に、半導体装置に有用である。

0052

1成膜装置
2aキャリアガス源
2bキャリアガス(希釈)源
3a流量調節弁
3b 流量調節弁
4ミスト発生源
4a原料溶液
4b原料微粒子
5容器
5a 水
6超音波振動子
6a電極
6b圧電体素子
6c 電極
6d弾性体
6e支持体
7成膜室
8ホットプレート
9供給管
10基板
16発振器

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