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課題
解決手段
ラックバーの1対のストロークエンド位置信号を受信し、ストロークエンド位置の一方から他方のストロークエンド位置側へ第1所定量オフセットした位置をソフトウェアラックストッパ位置として設定し、転舵角が一方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも他方のストロークエンド位置側へ第2所定量オフセットした位置以上であってステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータへの指令信号を減少させ、転舵輪が他方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも一方側のストロークエンド位置側へ第3所定量オフセットした位置以上であってステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータへの指令信号を減少させる、または切り戻し方向への電動モータへの指令信号を増大させるストロークエンド制御を行う。
概要
背景
従来、特許文献1に記載の技術では、パワーステアリング装置において、機械的な最大操舵位置(以下、ストロークエンド位置と記載する。)まで操舵し、急激に操舵が止められることによる衝撃等を抑制するために、ストロークエンド位置に向けてアシストトルクを低減している。
概要
左右の切り込み時に安定した操舵感を得る。ラックバーの1対のストロークエンド位置信号を受信し、ストロークエンド位置の一方から他方のストロークエンド位置側へ第1所定量オフセットした位置をソフトウェアラックストッパ位置として設定し、転舵角が一方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも他方のストロークエンド位置側へ第2所定量オフセットした位置以上であってステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータへの指令信号を減少させ、転舵輪が他方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも一方側のストロークエンド位置側へ第3所定量オフセットした位置以上であってステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータへの指令信号を減少させる、または切り戻し方向への電動モータへの指令信号を増大させるストロークエンド制御を行う。
目的
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、左右の切り込み時に安定した操舵感を得ることが可能なパワーステアリング装置の制御装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
ステアリングホイールの操舵操作に伴い回転するピ二オン軸と、前記ピ二オン軸と噛合い前記ピ二オン軸の回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を操舵させるラックバーと、を有する操舵機構と、前記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、を備えたパワーステアリング装置の制御装置であって、前記ステアリングホイールの操作状態に応じて前記電動モータを駆動する指令信号を演算するモータ指令信号演算部と、前記転舵輪の転舵角を示す信号である舵角信号を受信する舵角信号受信部と、前記ラックバーの1対のストロークエンド位置に関する信号であるストロークエンド位置信号を受信するストロークエンド位置信号受信部と、1対の前記ストロークエンド位置の一方から他方の前記ストロークエンド位置側へ第1所定量オフセットした位置を一方側ソフトウェアラックストッパ位置として設定し、1対の前記ストロークエンド位置の他方から一方の前記ストロークエンド位置側へ前記第1所定量オフセットした位置を他方側ソフトウェアラックストッパ位置として設定するソフトウェアラックストッパ位置設定部と、前記転舵角が前記一方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも他方の前記ストロークエンド位置側へ第2所定量オフセットした位置以上であって前記ステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への前記電動モータへの指令信号を減少させ、前記転舵輪が前記他方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも一方側の前記ストロークエンド位置側へ第3所定量オフセットした位置以上であって前記ステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への前記電動モータへの指令信号を前記電動モータのトルクが減少するように出力し、または切り戻し方向への前記電動モータへの指令信号を前記電動モータのトルクが増大するように出力するストロークエンド制御を行うストロークエンド制御部と、を有することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
請求項2
請求項1に記載のパワーステアリング装置の制御装置は、前記操舵機構に生じる操舵トルクの情報の信号である操舵トルク信号を受信するトルク信号受信部と、前記操舵トルクに基づき前記ストロークエンド位置を設定し前記ストロークエンド位置信号受信部へ出力するストロークエンド位置設定部と、を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項3
請求項2に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記ストロークエンド位置設定部は、前記操舵トルクおよび前記転舵角に基づき前記ストロークエンド位置を設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項4
請求項3に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記ストロークエンド位置設定部は、前記操舵トルクが所定値以上、かつ前記転舵角の変化量が所定値以下の状態が所定時間経過したときの前記転舵角を前記ストロークエンド位置として設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項5
請求項1に記載のパワーステアリング装置の制御装置は、前記ストロークエンド位置を設定し前記ストロークエンド位置信号受信部へ出力するストロークエンド位置設定部を備え、前記ストロークエンド位置設定部は、複数回前記ストロークエンド位置を更新することを特徴とするパワーステアリング装置の制御措置。
請求項6
技術分野
0001
本発明は、ステアリングホイールの操舵力をアシストするパワーステアリング装置の制御装置に関する。
背景技術
0002
従来、特許文献1に記載の技術では、パワーステアリング装置において、機械的な最大操舵位置(以下、ストロークエンド位置と記載する。)まで操舵し、急激に操舵が止められることによる衝撃等を抑制するために、ストロークエンド位置に向けてアシストトルクを低減している。
先行技術
0003
特開2006−1329号公報
発明が解決しようとする課題
0004
特許文献1のような構成では、ストロークエンド位置で十分にアシストトルクが低減できないおそれがあった。そこで、ストロークエンド位置に代えて、制御上の最大操舵位置(以下、ソフトウェアラックストッパ位置と記載する。)を設定し、ソフトウェアラックストッパ位置に向けてアシストトルクを低減することが考えられる。しかしながら、ソフトウェアラックストッパ位置からストロークエンド位置に向けて更に切り込み操舵する場合、左右で切り込み操舵量が異なると、運転者に違和感を与えるおそれがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、左右の切り込み時に安定した操舵感を得ることが可能なパワーステアリング装置の制御装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0005
上記目的を達成するため、本発明のパワーステアリング装置の制御装置では、ラックバーの1対のストロークエンド位置信号を受信し、1対の前記ストロークエンド位置の一方から他方の前記ストロークエンド位置側へ第1所定量オフセットした位置を一方側ソフトウェアラックストッパ位置として設定し、1対の前記ストロークエンド位置の他方から一方の前記ストロークエンド位置側へ前記第1所定量オフセットした位置を他方側ソフトウェアラックストッパ位置として設定し、転舵角が前記一方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも他方の前記ストロークエンド位置側へ第2所定量オフセットした位置以上であってステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータへの指令信号を減少させ、転舵輪が前記他方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも一方側の前記ストロークエンド位置側へ第3所定量オフセットした位置以上であってステアリングホイールが切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータへの指令信号を減少させる、または切り戻し方向への電動モータへの指令信号を増大させるストロークエンド制御を行うこととした。
発明の効果
0006
すなわち、ストロークエンド位置信号に基づいてソフトウェアラックストッパ位置を設定するため、ソフトウェアラックストッパ位置からストロークエンド位置まで更に切り込まれる際、その切り込み量が左右で異なることによる違和感を抑制することができる。
図面の簡単な説明
0007
実施例1のパワーステアリング装置を表す概略システム図である。
実施例1のパワーステアリング装置の制御構成を表す制御ブロック図である。
実施例1のストロークエンド制御において使用するゲインマップである。
実施例1のソフトウェアストロークエンド位置演算処理を表すフローチャートである。
実施例2のソフトウェアストロークエンド位置演算処理を表すフローチャートである。
実施例3のソフトウェアストロークエンド位置演算処理を表すフローチャートである。
実施例
0008
〔実施例1〕
図1は実施例1のパワーステアリング装置を表す概略システム図である。ステアリングホイール1には、ステアリングシャフト2が接続されている。ステアリングシャフト2のステアリングホイール1と反対側の端部にはトーションバー11aを介してピニオンシャフト2bが接続されている。ピニオンシャフト2bは、ピニオン2aを有する。ピニオン2aとラックバー4を収容するラック収装部40との接続部位には、ピニオン2aとラック歯4aとが噛合うラック&ピニオン機構3を有する。これにより、ステアリングホイール1の回転方向運動を軸方向運動に変換し、転舵輪30を転舵する。ラック収装部40には、ラックバー4の軸力をアシストするパワーステアリング機構5を有する。パワーステアリング機構5は、電動モータ5aと、電動モータ5aのトルクを軸力に変換してラックバー4にアシスト力を付与するギヤ機構5bとを有する。
0009
ステアリングシャフト2上には、運転者のステアリングホイール操舵操作量である操舵角θを検出する操舵角センサ10を有する。ステアリングシャフト2とピニオンシャフト2bとの間には、トーションバー11aの捩れ量に基づいて運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ11を有する。電動モータ5aには、電動モータ5aの回転角を検出するモータ回転角センサ13を有する。また、車速VSPを検出する車速センサ12を有する。制御装置20は、操舵角センサ10、トルクセンサ11、車速センサ12、モータ回転角センサ13からの信号を受信する受信部を有する。制御装置20は、各種信号に基づいて電動モータ5aの電流を制御し、最適なアシスト力を付与する。
0010
図2は実施例1のパワーステアリング装置の制御構成を表す制御ブロック図である。
トルク演算部201では、トルクセンサ11の検出信号に基づいて運転者の操舵トルクTsを演算する。アシスト演算部202では、操舵トルクTsに基づいて基準となるアシストトルクTasを演算し、加算部209に出力する。位相補償演算部203では、トルクセンサ11に内蔵される低剛性のトーションバー11aにより生じる位相差を補償し、システムの振動を抑制する位相補償トルクTxを演算し、加算部209に出力する。操舵角演算部204では、操舵角センサ10の検出信号に基づいてステアリングホイール1の操作量である操舵角θsを演算する。操舵速度演算部205では、操舵角センサ10の検出信号に基づいてステアリングホイール1の操舵速度Δθsを演算する。ダンピングトルク演算部206では、操舵速度Δθsに基づいて車両の収斂性及び安定性を向上する粘性抵抗を付与するダンピングトルクTdを演算し、加算部209に出力する。
0011
ソフトウェアラックストッパ位置設定部207は、操舵トルクTs、車速VSP及び操舵角θsを受信する信号受信部2071と、物理的なストロークエンド位置を設定するストロークエンド位置設定部207aと、設定されたストロークエンド位置を受信するストロークエンド位置信号受信部2072と、を有する。ストロークエンド位置設定部207aは、予め設定された物理的なストロークエンド位置に相当するストロークエンド基準値θrealend_defaultを記憶する基準値情報記憶部を有する。ソフトウェアラックストッパ位置設定部207は、操舵トルクTsと、車速VSPと、操舵角θsとに基づいて制御上のストロークエンド位置である右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendと、左側ソフトウェアラックストッパ位置θLendとを演算する。この演算の詳細については後述する。尚、右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendと左側ソフトウェアラックストッパ位置θLendの両方を、総称してソフトウェアラックストッパ位置θendとも記載し、右側ストロークエンド位置θRrealendと左側ストロークエンド位置θLrealendの両方を、総称してストロークエンド位置θrealendとも記載する。
0012
ストロークエンド制御部208は、ソフトウェアラックストッパ位置θendと、車速VSPと、操舵角θsとに基づいて、制御開始位置θRもしくはθLからソフトウェアラックストッパ位置θendに向けてアシストトルクを低減する一方、ソフトウェアラックストッパ位置θendから制御開始位置θRもしくはθLに向けてアシストトルクを通常のアシストトルクとなるように増大させるストロークエンド制御トルクTendを演算する。
0013
図3は実施例1のストロークエンド制御において使用するゲインマップである。横軸には操舵角θが設定され、縦軸にゲインが設定されている。横軸には、右側ストロークエンド位置θRrealendから所定乖離角θxだけ左側ソフトウェアラックストッパ位置θLend側にオフセットした右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendが設定されている。更に、右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendから所定量θ1だけ左側ソフトウェアラックストッパ位置θLend側にオフセットした右側制御開始値θRが設定されている。同様に、横軸には、左側ストロークエンド位置θLrealendから所定乖離角θxだけ右側ソフトウェアラックストッパ位置θRend側にオフセットした左側ソフトウェアラックストッパ位置θLendが設定されている。更に、左側ソフトウェアラックストッパ位置θLendから所定量θ1だけ右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendにオフセットした左側制御開始値θLが設定されている。操舵角θの中立位置は、θLとθRとの間に存在し、この範囲内ではゲインを0として特に制御は行わない。一方、操舵角θがθRを超えてθRendに近づくと、ゲインが徐々に大きくなる。同様に、操舵角θがθLを超えてθLendに近づくと、ゲインが徐々に大きくなる。大きなゲインが出力されると、ストロークエンド制御トルクTendは、絶対値が大きな負値として出力され、最終的なアシストトルクが小さくなる。尚、ソフトウェアラックストッパ位置θendからストロークエンド位置θrealendに向けて、運転者が更にステアリングホイール1を切り込んだとしても、継続的にアシストトルクは制限される。
0014
このストロークエンド制御トルクTendは、擬似的にストロークエンド付近であることを運転者に報知すると共に、強い衝撃で物理的なストロークエンド位置に衝突することを回避するものである。図3に示すように、ストロークエンド制御は、操舵の中立位置によらず、ストロークエンド位置θrealendを基準に制御領域を設定しているため、組み付け誤差や、アライメント等により中立位置がずれた場合であっても、中立位置の影響を受けることなくストロークエンド制御を実施できる。よって、ストロークエンド制御後、物理的なストロークエンドまでの間の操舵量が大きく変動することがなく、運転者に与える違和感を抑制できる。
0015
ストロークエンド制御部208は、ストロークエンド制御トルクTendを演算し、加算部209に出力する。モータトルク指令演算部210では、各種トルク指令から最終的に演算されたアシストトルクTに基づいて、電動モータ5aに指令する電流値を決定し、電動モータ5aに出力する。
0016
図4は実施例1のソフトウェアストロークエンド位置演算処理を表すフローチャートである。
ステップS1では、ソフトウェアラックストッパ位置θendの設定値が有効値か否かを判断し、有効値であれば本制御フローを終了し、有効値でなければステップS2に進む。有効値か否かは、例えば予め設定された物理的なストロークエンド位置に相当するストロークエンド基準値θrealend_defaultから離れた所定範囲内か否かを表し、所定範囲内であればソフトウェアラックストッパ位置θendは有効値であると判断する。
ステップS2では、操舵トルクTsが所定値T0以上か否かを判断し、所定値T0以上のときはステップS3へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。この所定値T0は、ストロークエンド位置θrealendまで操舵したときに発生する通常時よりも大きな操舵トルクに基づいて設定される。
ステップS3では、操舵角θsが所定値θ0以上か否かを判断し、所定値θ0以上のときはステップS4へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。この所定値θ0は、ストロークエンド基準値θrealend_defaultより若干中立寄りの位置に設定された値であり、ほぼストロークエンド位置θrealendに到達していることを確認できる値である。
0017
ステップS4では、車速VSPが所定値VSP0以下か否かを判断し、所定値VSP0以下のときはステップS5へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。この所定値VSP0は車庫入れ時等とは異なり、通常の走行状態を表す所定値である。言い換えると、この車速VSP0以上であれば、ストロークエンド位置まで操舵するとは考えられないため、所定値VSP0以上のときは本制御フローを終了する。
ステップS5では、所定時間だけ操舵角θsが一定か否かを判断し、一定であればステップS6に進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。操舵角θsが所定時間継続的に一定であれば、ストロークエンド位置に突き当たった状態であると考えられるからである。
0018
ステップS6では、ソフトウェアラックストッパ位置θendを設定する。具体的には、現在の操舵角θsがストロークエンド位置に相当すると判断し、θrealend=現在の操舵角θsに設定する。そして、θrealendから所定乖離角θxだけ中立位置側にオフセットしたソフトウェアラックストッパ位置θendを設定する。
ステップS7では、設定されたθendから予め設定されたフルストローク量θmaxを減算もしくは加算し、他方のソフトウェアラックストッパ位置θendを設定する。例えば、右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendが演算されると、θRrealendからθmaxを減算して左側ストロークエンド位置θLrealendを演算し、θLrealendに所定乖離角θxを加算して左側ソフトウェアラックストッパ位置θLendを設定する(図3参照)。一方、左側ソフトウェアラックストッパ位置θLendが演算されると、θLrealendにθmaxを加算して右側ストロークエンド位置θRrealendを演算し、θRrealendから所定乖離角θxを減算して右側ソフトウェアラックストッパ位置θRendを設定する(図3参照)。これにより、一方のソフトウェアラックストッパ位置θendが設定された段階で、両方のソフトウェアラックストッパ位置θendを設定でき、両方のストロークエンド位置θrealendを検出する必要が無い。
0019
〔実施例1の効果〕
以下、実施例1にあっては、下記の作用効果が得られる。
(1−1)ステアリングホイール1の操舵操作に伴い回転するピニオン2aを有するピニオンシャフト2b(ピ二オン軸)と、ピニオン2aと噛合いピニオンシャフト2bの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を操舵させるラックバー4と、を有するラック&ピニオン機構(操舵機構)と、ラックバー4(操舵機構)に操舵力を付与する電動モータ5aと、を備えたパワーステアリング装置の制御装置であって、
ステアリングホイール1の操作状態に応じて電動モータ5aを駆動する指令信号を演算するモータトルク指令演算部210と、
転舵輪30の転舵角を示す信号である操舵角θs(舵角信号)を受信する信号受信部2071(舵角信号受信部)と、
ラックバー4の1対のストロークエンド位置に関する信号であるストロークエンド位置信号θrealendを受信するストロークエンド位置信号受信部2072と、
1対のストロークエンド位置の一方から他方のストロークエンド位置側へ所定乖離角θx(第1所定量)オフセットした位置を一方側ソフトウェアラックストッパ位置として設定し、1対のストロークエンド位置の他方から一方のストロークエンド位置側へ所定乖離角θxオフセットした位置を他方側ソフトウェアラックストッパ位置として設定するソフトウェアラックストッパ位置設定部207と、
操舵角θsが一方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも他方のストロークエンド位置側へ所定量θ1(第2所定量)オフセットした位置以上であってステアリングホイール1が切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータ5aへの指令信号を減少させ、転舵輪30が他方側ソフトウェアラックストッパ位置よりも一方側のストロークエンド位置側へ所定量θ1(第3所定量)オフセットした位置以上であってステアリングホイール1が切り込み方向へ操舵操作されているとき、切り込み方向への電動モータ5aへの指令信号を電動モータ5aのトルクが減少するように指令する、または切り戻し方向への電動モータ5aへの指令信号を電動モータ5aのトルクが増大するように指令するストロークエンド制御を行うストロークエンド制御部208と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
すなわち、ストロークエンド位置信号に基づいてソフトウェアラックストッパ位置θendを設定するため、ソフトウェアラックストッパ位置θendからストロークエンド位置θrealendまで更に切り込まれる際、その切り込み量が左右で異なることによる違和感を抑制することができる。
0020
尚、実施例1では操舵角センサ10の検出信号に基づいて操舵角θsを演算したが、モータ回転角センサ13から転舵角を検出し、転舵角に基づいて操舵角を推定するものであってもよい。また、実施例1では、ソフトウェアラックストッパ位置設定部207内にストロークエンド位置設定部207aを設け、更に設定されたストロークエンド位置を受信するストロークエンド位置信号受信部2072を備えた構成としたが、ソフトウェアラックストッパ位置設定部207の外部であって制御装置20内に操舵トルクTs、操舵角θs、車速VSP、モータ回転角等からストロークエンド位置を演算し、その演算結果を受信する構成としてもよい。また、実施例1では、右側制御開始値θR及び左側制御開始値θLを、それぞれソフトウェアラックストッパ位置から所定量θ1オフセットしたが、左右で異なる所定量を設定してもよい。
0021
(1−2)上記(1−1)に記載の制御装置は、操舵トルクTs(操舵機構に生じる操舵トルクの情報の信号である操舵トルク)信号を受信する信号受信部2071(トルク信号受信部)と、操舵トルクTsに基づきストロークエンド位置を設定しストロークエンド位置信号受信部2072へ出力するストロークエンド位置設定部207aと、を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
具体的には、ステップS2に示すように、ストロークエンド位置において更に切り込み操舵する場合、操舵トルクが通常操舵時よりも増大することを利用してストロークエンド位置を検出することにより、作業者がストロークエンド位置を確認しながらストロークエンド位置を設定するような作業が不要となる。
0022
(1−3)上記(1−2)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド位置設定部207aは、操舵トルクTsおよび操舵角θsに基づきストロークエンド位置を設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
具体的には、ステップS3に示すように、操舵角θsがおおよそストロークエンド位置であることを表すθ0以上か否かを併せて判断し、ストロークエンド位置を設定することにより、より正確なストロークエンド位置を設定することができる。
0023
(1−4)上記(1−3)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド位置設定部207aは、操舵トルクTsが所定値T0以上、かつ操舵角θsの変化量が所定値以下の状態が所定時間経過したときの操舵角θsをストロークエンド位置θrealendとして設定することを特徴とするパワーステアリング装置。
具体的には、ステップS2及びS5に示すように、ストロークエンド位置において更に切り込み操舵する場合、操舵トルクが通常操舵時よりも増大し、かつ転舵角が変化しないことを利用してストロークエンド位置を検出することにより、より正確なストロークエンド位置を検出することができる。
0024
(1−5)上記(1−2)に記載のパワーステアリング装置の制御装置は、車両速度の情報の信号である車速信号VSPを受信する信号受信部2071(車速信号受信部)を備え、
ストロークエンド位置設定部207aは、操舵トルクTsが所定値T0以上、かつ車速VSPが所定値VSP0以下のときの操舵角θsをストロークエンド位置θrealendとして設定することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的には、ステップS2及びS4に示すように、車速VSPがある程度以上出ている状態においてストロークエンド位置まで操舵操作される可能性は低いため、車庫入れのような車両速度が低い状態であることをストロークエンド位置設定条件とすることにより、より正確にストロークエンド位置を検出することができる。
0025
(1−6)上記(1−1)に記載のパワーステアリング装置の制御装置は、1対のストロークエンド位置θRrealend及びθLrealendの間の角度および一方のストロークエンド位置の情報に基づき、他方のストロークエンド位置を推定するストロークエンド位置設定部207aを有することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的には、ステップS7に示すように、一方のストロークエンド位置情報と、両ストロークエンド位置間の角度情報の2つの情報が有れば、他方のストロークエンド位置を推定することができるため、両方のストロークエンド位置を検出する必要が無く、素早くソフトウェアラックストッパ位置を設定できる。
0026
(1−7)上記(1−1)に記載のパワーステアリング装置の制御装置は、ストロークエンド位置θrealendを設定しストロークエンド位置信号受信部2072へ出力するストロークエンド位置設定部207aを備え、
ストロークエンド位置設定部207aは、複数回ストロークエンド位置θrealendを更新することを特徴とするパワーステアリング装置の制御措置。
ストロークエンド位置θrealendに設けられたラバー製のストッパの劣化、アライメントの変化、タイヤ、ホイールの交換、バッテリ交換によるメモリ情報の消失等によりストロークエンド位置θrealendは変化しうる。これに対し、ストロークエンド位置情報θrealendを更新することにより、適切なストロークエンド位置情報に基づきストロークエンド制御を行うことができる。
0027
(1−12)上記(1−1)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド制御部208は、ステアリングホイール1が切り込み方向へ操舵操作されているとき、操舵角θsがソフトウェアラックストッパ位置θendへ近づくほど、切り込み方向への電動モータ5aのアシストトルクが減少するように、または切り戻し方向への電動モータ5aのアシストトルクが増大するように電動モータ5aへの指令信号を可変制御することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的には、図3のゲインマップに示すように、通常操舵時における最大転舵角がソフトウェアラックストッパ位置θendとなるように電動モータ5aへの指令信号を可変制御することにより、繰り返しストロークエンド位置θrealendまで操舵操作されることによる装置の耐久性の低下を抑制することができる。
0028
〔実施例2〕
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図5は実施例2のソフトウェアストロークエンド位置演算処理を表すフローチャートである。
ステップS21からS22では、実施例1のステップS2からS4と同様に、各種センサ信号に基づいてストロークエンド位置に到達しているか否かを判断し、到達していると判断したときはステップS23に進む。
ステップS23では、ストロークエンド制御を実行中か否かを判断し、実行していなければ本制御フローを終了する。一方、実行しているときは、前回設定されたストロークエンド位置θrealendに基づいてストロークエンド制御を継続しつつステップS24に進む。
0029
ステップS24では、今回のソフトウェアラックストッパ位置θend_currentを算出する。具体的には、現在の操舵角θsがストロークエンド位置に相当すると判断し、今回のストロークエンド位置θrealend_current=現在の操舵角θsに設定する。そして、θrealend_currentから所定乖離角θxだけ中立位置側にオフセットしたソフトウェアラックストッパ位置θend_currentとして算出する。尚、この時点では、まだソフトウェアラックストッパ位置θend_currentを新たなソフトウェアラックストッパ位置θendとして更新しない。
0030
ステップS25では、ストロークエンド基準値θrealend_defaultと今回のストロークエンド位置θrealend_currentとの差の絶対値が所定角度θzより小さいか否かを判断し、小さいときはストロークエンド位置付近にあると判断してステップS26に進む。一方、所定角度θzよりも大きいときは、転舵輪30が側溝にはまり込んだり、段差に当接しているといった理由により、ストロークエンド位置ではないにも関わらずステップS21からS22の条件を満たしている可能性が考えられる。よって、この場合は本制御フローを終了し、ソフトウェアラックストッパ位置θendの更新を行わないこととする。
0031
ステップS26では、今回のストロークエンド位置θrealend_currentが現在設定されているストロークエンド位置θrealendがより大きいか否か、言い換えると、より中立位置から遠い位置か否かを判断し、大きいときはステップS27に進んで今回のストロークエンド位置θrealend_currentをストロークエンド位置θrealendに設定して更新し、ストロークエンド位置θrealend_currentに基づいて算出された今回のソフトウェアラックストッパ位置θend_currentを新たなソフトウェアラックストッパ位置θendとして更新する。一方、今回のストロークエンド位置θrealend_currentが現在設定されているストロークエンド位置θrealendより小さいときは、ソフトウェアラックストッパ位置θendを更新しない。これは、ストロークエンド制御によってソフトウェアラックストッパ位置付近での操舵トルクTsが増加し、実際のストロークエンド位置よりも手前の位置をストロークエンド位置として誤認する場合が想定される。このとき、実際よりも中立位置側の位置として誤認したストロークエンド位置に基づいてソフトウェアラックストッパ位置を更新してしまうと、ソフトウェアラックストッパ位置θendが徐々に中立位置側に移行してしまい、操舵可能な領域が不要に狭められることを防止するためである。
0032
以上説明したように、実施例2にあっては実施例1の作用効果に加えて、下記の作用効果が得られる。
(2−8)上記(1−7)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド制御部208は、ストロークエンド位置設定部207aがストロークエンド位置θendを更新しているとき、ストロークエンド位置の前回値θrealendに基づきストロークエンド制御を実施することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的にはステップS23に示すように、ストロークエンド位置θrealendを更新中であってもストロークエンド制御を実施することができる。
0033
(2−9)上記(1−7)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド位置設定部207aは、ストロークエンド位置の基準値となるストロークエンド基準値θrealend_defaultの情報を記憶する基準値情報記憶部を備え、前記ストロークエンド基準値θrealend_defaultと、更新予定である今回値θrealend_currentとの差が所定値θz以上のとき、今回値θrealend_currentに更新しないことを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的には、ステップS25に示すように、ストロークエンド位置基準値θrealend_defaultと今回値θrealend_currentの差が所定値以上有る場合、転舵輪30が側溝にはまっている等の理由によりストロークエンド位置ではないにも拘わらずストロークエンド位置の条件を満足している可能性が有るため、このようなときは今回値に更新しないことにより、誤った値への更新を抑制することができる。
0034
(2−10)上記(1−7)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド位置設定部207aは、ストロークエンド位置として更新予定の今回値θrealend_currentと、今回値の前の値である前回値θrealendのうち、中立位置より遠い側の値を新しい前記ストロークエンド位置として採用することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的にはステップS26に示すように、ソフトウェアラックストッパにより操舵トルクが増加し、ソフトウェアラックストッパ位置θendをストロークエンド位置θrealendと誤認することにより、ソフトウェアラックストッパ位置θendが中立位置側へ徐々に移行することを防止することができる。
0035
〔実施例3〕
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例2と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図6は実施例3のソフトウェアストロークエンド位置演算処理を表すフローチャートである。実施例2では、ステップS27において新たに算出されたソフトウェアラックストッパ位置θend_currentをソフトウェアラックストッパ位置θendとして更新した。これに対し、実施例3では、ステップS271において、新たに算出されたソフトウェアラックストッパ位置θend_currentから所定値θpだけ中立位置側にオフセットした値を、新たなソフトウェアラックストッパ位置θendとして設定する。これにより、ステップS26において前回値よりも大きな今回値に更新した際、仮に大き目のストロークエンド位置θrealendを誤認識した場合であっても、値の更新を繰り返すことで徐々に正常値に戻すことができる。
0036
以上説明したように、実施例3にあっては実施例1,2の作用効果に加えて、下記の作用効果が得られる。
(3−11)上記(2−10)に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、
ストロークエンド位置設定部207aは、今回値θendと前回値θend_currentのうち大きい方の値から所定値θpだけ中立位置側にオフセットした値を新しいソフトウェアラックストッパ位置θend(ストロークエンド位置)として採用することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
具体的には、ステップS271に示すように、実際のストロークエンド位置よりも大きな値をストロークエンド位置として誤認識した場合であっても、値の更新を繰り返すことにより、徐々に正常値に戻すことができる。
0037
1ステアリングホイール
2ステアリングシャフト
2aピニオン
2bピニオンシャフト
3 ラック&ピニオン機構
4ラックバー
4aラック歯
5パワーステアリング機構
5a電動モータ
10操舵角センサ
11トルクセンサ
11aトーションバー
12車速センサ
13モータ回転角センサ
20制御装置
30転舵輪
40 ラック収装部
207ソフトウェアラックストッパ位置設定部
207aストロークエンド位置設定部
208ストロークエンド制御部
209加算部
210モータトルク指令演算部
2071信号受信部
2072 ストロークエンド位置信号受信部