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技術 燃料電池用基体の製造方法および燃料電池セルスタックの製造方法

出願人 三菱日立パワーシステムズ株式会社
発明者 吉田慎樋渡研一佃洋
出願日 2015年2月20日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2015-031631
公開日 2016年8月25日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-154095
状態 特許登録済
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 最高作動温度 楕円筒形状 設計管理 wtppm未満 微小単位 略線形 リード膜 発電部分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

緻密膜(固体電解質及びインターコネクタ)が損傷した場合でも運転を維持することが可能な燃料電池用基体の製造方法および燃料電池セルスタックの製造方法を提供する。

解決手段

本発明の燃料電池用基体の製造方法は、任意の量のNa2Oを含む基体の材料について、該材料で調製した坏土焼成した場合の焼成温度収縮率とを関連付けたデータを予め取得する工程と、基体の材料のNa含有量計測し、材料のNa含有量をデータに照らし合わせ、収縮率が所望の範囲になる焼成温度を導き出す工程と、材料で坏土を調製し、該坏土を導き出した焼成温度で焼成する工程と、を含む。

概要

背景

固体酸化物形燃料電池の例として、円筒型固体酸化物形燃料電池(特許文献1から特許文献3参照)や平板型固体酸化物形燃料電池が知られている。
例えば円筒型固体酸化物形燃料電池では、複数の円筒形状のセルスタック電気的に並列に接続されて燃料電池モジュール内部に収容される。各セルスタックにおいて、例えばカルシウム安定化ジルコニア(CSZ)製の多孔質基体管上に、燃料極固体電解質、及び、空気極が積層された燃料電池セルが複数形成され、隣接する燃料電池セルがインターコネクタにより電気的に直列に連結される。固体酸化物形燃料電池の各構成(基体管、燃料極など)は、焼成により形成される。

燃料極及び空気極はそれぞれ、燃料ガス及び酸化剤ガスを固体電解質に向かって通過させる機能がある。固体電解質は高温で高い酸素イオン導電性を示すことにより、空気極側より酸素イオン(O2−)を燃料極に向かって移動させる機能がある。燃料極と固体電解質との界面で燃料ガスと酸素イオンとが反応しこの時酸素イオンから放出される電子により発電が行われる。

概要

緻密膜(固体電解質及びインターコネクタ)が損傷した場合でも運転を維持することが可能な燃料電池用基体の製造方法および燃料電池セルスタックの製造方法を提供する。本発明の燃料電池用基体の製造方法は、任意の量のNa2Oを含む基体の材料について、該材料で調製した坏土を焼成した場合の焼成温度収縮率とを関連付けたデータを予め取得する工程と、基体の材料のNa含有量計測し、材料のNa含有量をデータに照らし合わせ、収縮率が所望の範囲になる焼成温度を導き出す工程と、材料で坏土を調製し、該坏土を導き出した焼成温度で焼成する工程と、を含む。

目的

本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基体管の収縮特性を制御し、品質バラつきを抑制できる燃料電池用基体の製造方法および燃料電池セルスタックの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

燃料電池用基体の製造方法であって、任意の量のNa2Oを含む前記基体の材料について、該材料で調製した坏土焼成した場合の焼成温度収縮率とを関連付けたデータを予め取得する工程と、前記基体の前記材料のNa含有量計測し、前記材料のNa含有量を前記データに照らし合わせ、前記収縮率が所望の範囲になる焼成温度を導き出す工程と、前記材料で坏土を調製し、該坏土を導き出した前記焼成温度で焼成する工程と、を含む燃料電池用基体の製造方法。

請求項2

前記所望の範囲の上限値と下限値との差を1%以内とする請求項1に記載の燃料電池用基体の製造方法。

請求項3

前記Na含有量が40wtppm以上1500wtppm以下である材料を選定し、該材料を用いて前記坏土を調製する請求項1または請求項2に記載の燃料電池用基体の製造方法。

請求項4

前記Na含有量が40wtppm以上1200wtppm以下である材料を選定し、該材料を用いて前記坏土を調製する請求項1または請求項2に記載の燃料電池用基体の製造方法。

請求項5

前記Na含有量が50wtppm以上1000wtppm以下である材料を選定し、該材料を用いて前記坏土を調製する請求項1または請求項2に記載の燃料電池用基体の製造方法。

請求項6

前記Na含有量が100wtppm以上1000wtppm以下である材料を選定し、該材料を用いて前記坏土を調製する請求項1または請求項2に記載の燃料電池用基体の製造方法。

請求項7

多孔質の基体上に、燃料極固体電解質空気極とを備える複数の燃料電池セル、及び、隣接する前記燃料電池セルを電気的に接続するインターコネクタを有する燃料電池セルスタックを製造する方法であって、前記基体の材料で調製した坏土の上に、燃料極材料で調製した燃料極用スラリー固体電解質材料で調製した固体電解質用スラリー、およびインターコネクタ材料で調製したインターコネクタ用スラリーをそれぞれ製膜し、請求項1から請求項6のいずれかに記載の燃料電池用基体の製造方法に従って前記基体の前記材料で調製した坏土の焼成温度を導き出し、前記坏土、前記燃料極用スラリー、前記固体電解質用スラリーおよび前記インターコネクタ用スラリーを導き出した前記焼成温度で一体焼成する燃料電池セルスタックの製造方法。

技術分野

0001

本発明は燃料電池用基体の製造方法および燃料電池セルスタックの製造方法に関し、特に固体酸化物燃料電池において燃料電池セルが形成される基体の製造に関する。

背景技術

0002

固体酸化物形燃料電池の例として、円筒型固体酸化物形燃料電池(特許文献1から特許文献3参照)や平板型固体酸化物形燃料電池が知られている。
例えば円筒型固体酸化物形燃料電池では、複数の円筒形状のセルスタック電気的に並列に接続されて燃料電池モジュール内部に収容される。各セルスタックにおいて、例えばカルシウム安定化ジルコニア(CSZ)製の多孔質基体管上に、燃料極固体電解質、及び、空気極が積層された燃料電池セルが複数形成され、隣接する燃料電池セルがインターコネクタにより電気的に直列に連結される。固体酸化物形燃料電池の各構成(基体管、燃料極など)は、焼成により形成される。

0003

燃料極及び空気極はそれぞれ、燃料ガス及び酸化剤ガスを固体電解質に向かって通過させる機能がある。固体電解質は高温で高い酸素イオン導電性を示すことにより、空気極側より酸素イオン(O2−)を燃料極に向かって移動させる機能がある。燃料極と固体電解質との界面で燃料ガスと酸素イオンとが反応しこの時酸素イオンから放出される電子により発電が行われる。

先行技術

0004

特許第3377642号公報
特許第5198109号公報
特許第5306852号公報

発明が解決しようとする課題

0005

従来、基体管は主成分を規定することにより、焼成後の線膨張係数を調整している。しかしながら、焼成時の基体管の収縮特性に関しては制御しきれず、品質バラつきが生じる問題がある。

0006

一般的なセラミックス焼結では、原料紛体比表面積粒度分布を制御して、焼成後の収縮率を調整する方法が知られているが、そのような方法では基体管の収縮率を制御しきれないのが現状である。基体管の収縮率を制御する新しい因子の明確化とその制御方法確立が必要とされている。

0007

本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基体管の収縮特性を制御し、品質のバラつきを抑制できる燃料電池用基体の製造方法および燃料電池セルスタックの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、燃料電池用の基体の製造方法であって、任意の量のNa2Oを含む基体の材料について、該材料で調製した坏土を焼成した場合の焼成温度と収縮率とを関連付けたデータを予め取得する工程と、前記基体の材料のNa含有量計測し、前記材料のNa含有量を前記データに照らし合わせ、前記収縮率が所望の範囲になる焼成温度を導き出す工程と、前記材料で坏土を調製し、該坏土を導き出した前記焼成温度で焼成する工程と、を含む燃料電池用基体の製造方法を提供する。

0009

Na2Oは基体の原材料に含まれる不純物である。従来、原材料に含まれる不純物の量は少ない方がよいと考えられていた。しかしながら本発明者らは、鋭意研究の結果、Na2Oに焼結を抑制する効果があることを見出した。収縮率は焼成温度とも相関している。上記発明では、予め取得した収縮率と焼成温度とを関連付けたデータに基づいて、基体材料のNa含有量に応じた焼成温度を導きだし、この導き出した焼成温度にて基体を形成することで、焼成時における基体の収縮特性をより緻密に制御できる。その結果、品質のバラつきを抑えられる。

0010

上記発明の一態様において、前記所望の範囲の上限値と下限値との差を1%以内とするとよい。

0011

収縮率が上記範囲となるようにすることで、より品質のバラつきを抑えられる。

0012

上記発明の一態様において、前記Na含有量が40wtppm以上1500wtppm以下である材料を選定し、該材料を用いて前記坏土を調製するとよい。

0013

40wtppm以上1500wtppm以下の範囲のNa含有量と収縮率とは良好な相関関係を示す。上記発明の一態様によれば、Na含有量が40wtppm以上1500wtppm以下である原材料を基体材料として用いることで、焼成時における基体の収縮率を制御できる。

0014

Na含有量が40wtppm未満であると、焼成時の基体の収縮率が大きくなるため、製品寸法の違い(個体差)が大きく生じ、燃料電池モジュールの形成に支障が出る。
Na含有量が1500wtppmより多いと、基体が還元雰囲気下にある場合に、Naが揮発し、発電反応活性を左右する3相界面にNa2Oとして付着し、発電性能低下要因となる。3相界面は、固体電解質、電極(燃料極)、燃料ガス)の3相が接触する部分である。

0015

上記発明の一態様において、前記Na含有量が40wtppm以上1200wtppm以下、好ましくは50wtppm以上1000wtppm以下、さらに好ましくは100wtppm以上1000wtppm以下である材料を選定し、該材料を用いて前記坏土を調製するとよい。

0016

基体は炉内で焼成されるが、炉内では場所により温度差が生じる場合がある。炉内で生じる温度差は、10℃程度である。Na含有量が1200wtppm以下であれば、炉内の焼成温度のバラつきを許容して、焼成時における基体の収縮率を所望の範囲内に制御できる。

0017

Na含有量が50wtppm以上1000wtppm以下の基体の材料は、焼成後の基体管の気孔率のバラつきを抑制できる。Na含有量が100wtppm未満であると、気孔率が急激に低下する傾向がある。そのため、Na含有量が100wtppm以上の材料を選定して坏土を調製することで、より品質を安定させることができる。材料のNa含有量が1000wtppm以下であれば、炉内の焼成温度にバラつきが生じた場合であっても、より確実に焼成時における基体の収縮率を所望の範囲内に制御できる。

0018

本発明は、多孔質の基体上に、燃料極と固体電解質と空気極とを備える複数の燃料電池セル、及び、隣接する前記燃料電池セルを電気的に接続するインターコネクタを有する燃料電池セルスタックを製造する方法であって、前記基体の材料で調製した坏土の上に、燃料極材料で調製した燃料極用スラリー固体電解質材料で調製した固体電解質用スラリー、およびインターコネクタ材料で調製したインターコネクタ用スラリーをそれぞれ製膜し、上記に記載の燃料電池用基体の製造方法に従って前記基体の材料で調製した坏土の焼成温度を導き出し、前記坏土、前記燃料極用スラリー、前記固体電解質用スラリーおよび前記インターコネクタ用スラリーを導き出した前記焼成温度で一体焼成する燃料電池セルスタックの製造方法を提供する。

0019

基体、燃料極、固体電解質およびインターコネクタを一体焼成により形成する場合、基体が収縮すると、基体上に形成される層(燃料極など)も基体の収縮に引っ張られて収縮する。そのため、基体の収縮率がバラツクと基体上にある燃料電池セルの有効面積にもバラつきが生じる。有効面積とは、発電に直接寄与できる燃料電池セルの面積である。燃料電池セルは、基体上に直列に形成されているため、発電性能の低い(電流値の低い)燃料電池セルにて電流値が律速される。上記発明の一態様によれば、基体の収縮を制御できるため、一体焼成した場合に生じる燃料電池セルの有効面積のバラつきを抑えられる。それにより、燃料電池セルスタックの発電性能の個体差を小さく抑えられる。

発明の効果

0020

本発明によれば、Na含有量により基体の材料を選定し、選定した該材料のNa含有量に応じて適切な焼成温度を導き出し、該焼成温度で焼成することで、基体の収縮率を制御できる。それにより、品質のバラつきを抑えて燃料電池セルスタックを製造できる。

図面の簡単な説明

0021

円筒型の燃料電池のセルスタックの一態様を示す概略図である。
収縮率について説明する図である。
Na2O含有量と収縮率との関係を示す図である。
焼成温度と収縮率との関係を示す図である。
収縮率と電池出力との関係を示す図である。
Na2O含有量と気孔率との関係を示す図である。

実施例

0022

図1は、円筒型の燃料電池のセルスタックの一態様を示すものである。円筒型の燃料電池は、発電室内に本実施形態のセルスタック101を複数本収容したものである。但し、セルスタック101を1本収容した場合も採用し得る。

0023

本実施形態では、セルスタックは円筒型(基体が円筒形状)として説明するが、これに限定されない。例えば、セルスタックは楕円型(基体が楕円筒形状)や平板型(基体が平板形状)としても良い。

0024

本実施形態のセルスタック101は、円筒型の内周面に燃料ガスを供給し、外周面側に酸素を含む酸化剤ガス(例えば空気)が供給される。

0025

セルスタック101は、円筒形状の基体管(基体)103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを有する。燃料電池セル105は、燃料極109と固体電解質111と空気極113とが積層して形成されている。また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の軸方向において最も端の一端に形成された燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115(+極)を有する。また、基体管103の軸方向の図示しない最も端の他端においては最も端に形成された燃料電池セル105の燃料極109に電気的に接続されたリード膜(−極)を有する。

0026

燃料ガスは、基体管103の一端から基体管103の内部(内周面)に導入されて基体管103の他端から外部へ排出される。一方、酸素を含む酸化剤ガス(例えば空気)は、基体管103の外周面側に供給される。基体管103を介して供給された燃料ガスは、例えば、メタン(CH4)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H2)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。また、燃料極109は、改質により得られる水素(H2)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111を介して供給される酸素イオン(O2−)とを固体電解質111との界面付近において電気化学的に反応させて水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)を生成するものである。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。

0027

基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極109に拡散させるものである。

0028

基体管103は、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)またはCSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物などを主とする多孔質材料からなる。不純物はジルコニア由来のNa2Oを含んでいる。

0029

基体管103においてNa2Oの含有量は40wtppm以上1500wtppm以下、好ましくは40wtppm以上1200wtppm以下、更に好ましくは50wtppm以上1000wtppm以下、より好ましくは100wtppm以上1000wtppm以下である。

0030

基体管103の開気孔率は30%以上50%以下を有するものである。

0031

燃料極109は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材酸化物で構成され、例えば、Ni−YSZが用いられる。

0032

固体電解質111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを有するYSZが主として用いられる。この固体電解質111は、空気極で生成される酸素イオン(O2−)を燃料極に移動させるものである。

0033

空気極113は、例えば、LaSrMnO3系酸化物、又はLaCoO3系酸化物で構成される。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を、電子を介在して解離させて酸素イオン(O2−)を生成するものである。

0034

インターコネクタ107は、SrTiO3系などのM1−xLxTiO3(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物から構成され、燃料ガスと酸化性ガスとが混合しないように緻密な膜となっている。また、インターコネクタ107は、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した電気導電性を有する。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極109とを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続するものである。

0035

リード膜115は、セルスタック101で発生した電気を外部に取り出す役割を果たす。リード膜115は燃料極109と同じ材料で構成される。

0036

上記セルスタック101を形成する工程を以下で説明する。
基体管103、燃料極109、固体電解質111、空気極113、インターコネクタ107およびリード膜115の材料をそれぞれ入手する。

0037

基体管の材料は、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、またはCSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物などを主とする多孔質材料(粉末)である。基体材料は、粉末であり、平均粒子径0.5μm以上5.0μm以下の微粒子と、平均粒径5μm以上25μm以下の粗粒子とから構成されている。

0038

入手した基体管103の材料(原材料)について、Na含有量を計測する。計測は、ICP分析法または蛍光X線元素分析などにより実施する。計測により得られたNa含有量が40wtppm以上1500wtppm以下である原材料を基体材料として選定する。基体材料のNa含有量は、40wtppm以上1200wtppm以下が好ましく、50wtppm以上1000wtppm以下が更に好ましく、100wtppm以上1000wtppm以下がより好ましい。

0039

基体材料(粉末)に、有機系ビヒクル有機溶剤分散剤バインダを添加したもの)を混合して基体用坏土を調製する。該坏土を例えば押出し成形法により管状に成形する。基体管103の直径及び厚さは、軸方向で略均一にする。

0040

燃料極109の材料に、有機系ビヒクルを混合して燃料極用スラリーを調製する。燃料極109の材料は、例えばNi−YSZの混合粉末である。材料の粉末と有機系ビヒクルとの混合比は、燃料極109の厚さや、スラリー塗布後の膜の状態などを考慮して、適宜選択される。成形した基体材料の外周面上の円周方向に、スクリーン印刷法により上記の燃料極用スラリーを塗布する。燃料極用スラリーは燃料電池セル105に相当する所定の位置に所定の間隔で塗布する。

0041

成形した基体材料の外周面上に、スクリーン印刷法によりリード膜用スラリーを塗布する。リード膜用スラリーとしては、上記燃料極用スラリーを用いることができる。また、燃料極材料と異なる材料を用いる場合は、リード膜材料の粉末と有機系ビヒクルとを混合して、リード膜用スラリーを調製する。

0042

固体電解質111の材料(粉末)に、有機系ビヒクルを混合して固体電解質用スラリーを調製する。材料の粉末と有機系ビヒクルとの混合比は、固体電解質111の厚さや、スラリー塗布後の膜の状態などを考慮して、適宜選択される。燃料極109の外表面上及び隣り合う燃料極109間の基体管103上に相当する位置に、スクリーン印刷法により上記の固体電解質用スラリーを塗布する。

0043

インターコネクタ107の材料(粉末)に、有機系ビヒクルを混合してインターコネクタ用スラリーを調製する。粉末の組成は、インターコネクタに要求される性能に応じて適宜選択される。材料の粉末と有機系ビヒクルとの混合比は、固体電解質111の厚さや、スラリー塗布後の膜の状態などを考慮して、適宜選択される。インターコネクタ用スラリーをスクリーン印刷により塗布する。インターコネクタ用スラリーは、隣接する燃料電池セル105間に相当する位置で、成形した基体材料の外周面の周方向に塗布される。

0044

成形した基体材料、その上に塗布した燃料極用スラリー、固体電解質用スラリー、インターコネクタ用スラリーおよびリード膜用スラリーを、大気中にて実焼成温度(導き出した焼成温度)で一体焼成する。実焼成温度は、基体材料のNa量を、予め取得した焼成温度と収縮率とを関連付けたデータに照らし合わせて導き出す。ここで、「焼成温度」は焼成炉設定値(ばらつきを含む値)である。「実焼成温度」は基準となる焼成温度であり、本実施形態にてNa量と収縮率の相関をとった際の試験温度である。

0045

焼成温度と収縮率とを関連付けたデータは次のようにして取得することができる。任意の量のNaを含む基体の原材料を用いてスラリーを調製する。該スラリーを筒状に成形した後任意の温度で焼成し、焼成前後の収縮率を計測する(後述の図2に関する説明を参照)。成形したスラリーの外表面上には適宜燃料極用スラリー、固体電解質用スラリー、インターコネクタ用スラリーが塗布されているとよい。焼成温度は、炉の実焼成温度とする。

0046

空気極113の材料(粉末)に、有機系ビヒクルを混合して空気極用スラリーを調製する。材料の粉末と有機系ビヒクルとの混合比は、空気極113の厚さや、スラリー塗布後の膜の状態などを考慮して、適宜選択される。空気極用スラリーは、固体電解質111の外表面上及びインターコネクタ107上の所定位置に塗布される。空気極用スラリーは、スクリーン印刷により塗布されても良いし、ディスペンサを用いて塗布されても良い。ディスペンサによる塗布は、回転する基体管103上にディスペンサからスラリーを吐出することにより行われる。

0047

空気極用スラリーの膜が形成された基体管103を、大気中にて焼成する。焼成温度は、具体的に1100℃〜1250℃とされる。ここでの焼成温度は、基体管103〜インターコネクタ107を一体焼成した際の実焼成温度よりも低温とされる。

0048

次に、Na含有量の設定根拠について説明する。

0049

(1)Na含有量と収縮率との相関性について
Na2Oを含むCSZを用いて調製したスラリーを筒状に成形した後、外表面上の所定位置に燃料極用スラリー、固体電解質用スラリー、およびインターコネクタ用スラリーを塗布したものを試験体とした。試験体を所定温度で焼成した場合の収縮率を求めた。Na含有量は40wtppm、60wtppm、100wtppm、300wtppm、550wtppm、700wtppm、800wtppm、1000wtppm、1200wtppm、1500wtppmとした。

0050

焼成前後の基体(発電部分)の長さを計測し、計測収縮率を求めた。図2に、長さを計測する部分を示す。図2(a)は焼成前、図2(b)は焼成後の基体管である。同図において、L0は焼成前の基体(発電部)の長さ、L1は焼成後の基体(発電部)の長さである。計測収縮率は式(A)から求められる。
計測収縮率=(L0−L1)/L0×100・・・(A)

0051

図3に、Na含有量と収縮率との関係を示す。同図において、横軸がNa含有量(wtppm)、縦軸が基準収縮率との差(%)である。「基準収縮率」は、設計目標の収縮率である。「基準収縮率との差」は、計測収縮率(%)から設計目標の収縮率(%)を引いた値である。

0052

図3によれば、Na含有量が40wtppmから1500wtppmの範囲において、Na含有量の増加に伴い、収縮率が低下することが確認された。Na含有量が所定の範囲においては、Na含有量と収縮率とは略線形の関係にあった。これにより、Na含有量は基体管の収縮率を制御する新しい因子であり、その制御方法は基体材料のNa含有量に応じて、収縮率を1%以下の微小単位で制御できることが分かった。すなわち、従来の原料粉体の比表面積または粒度分布と焼成温度による収縮率の制御方法よりも高い精度で収縮率を制御できる。

0053

Na含有量が40wtppm未満であると、焼成時の基体の収縮率が大きくなるため、製品寸法の違い(個体差)が大きく生じ、燃料電池モジュールの形成に支障が出る。

0054

Na2OはNa(単体)に比べて高沸点(Na2O:1950℃、Na単体:883℃)である。燃料電池セル105は、所定の最高作動温度である1000℃を越えて更に高い作動温度の状態に至ることがある。基体が1000℃を越える高温で還元雰囲気下にある場合に、Na含有量が1500wtppmより多くなると、一部のNa単体状態になったものが揮発する。揮発したNaがO2と反応することで発電反応活性を左右する3相界面にNa2Oとして付着し、発電性能低下の要因となる場合がある。3相界面は、固体電解質、電極(燃料極)、燃料(ガス)の3相が接触する部分である。

0055

上より、基体材料はNa含有量が40wtppm以上1500wtppm以下である粉末を選定する。

0056

(2)焼成温度と収縮率とを関連付けたデータの取得
Na2Oを含むCSZを用いて調製したスラリーを筒状に成形した後、外表面上の所定位置に燃料極用スラリー、固体電解質用スラリー、およびインターコネクタ用スラリーを塗布したものを試験体とした。試験体を所定温度で焼成した場合の収縮率を求めた。Na含有量は40wtppm、60wtppm、100wtppm、300wtppm、550wtppm、700wtppm、1000wtppm、1200wtppm、1500wtppmとした。収縮率は、上記(1)と同様に、焼成前後の基体(発電部分)の長さから算出した。

0057

図4に、焼成温度と収縮率とを関連付けたデータを図にしたものである。同図において、横軸が基準温度との差(℃)、縦軸が基準収縮率との差(%)である。「基準温度との差」は、実際の焼成温度(実焼成温度)から基準温度を引いた値である。基準温度は、上記(1)の検討時の焼成温度とした。

0058

図4によれば、同じ温度で焼成した場合、Na含有量に応じて収縮率が変化する。Na含有量が同じ場合、焼成温度を変えることで収縮率を制御できる。

0059

基体管103は、燃料極109、固体電解質111、インターコネクタ107等と一体焼成で形成されることから、それぞれの構成の緻密度を適正に保つ必要がある。焼成温度を高くすると、燃料極109の緻密化が進む。燃料極109が緻密化しすぎると、燃料ガスの拡散性が悪くなる。それにより、燃料電池セル105の発電性能が低下する。焼成温度を低くすると、固体電解質111が緻密化しにくくなる。これらを考慮し、図4では基準温度の−30℃から+20℃の範囲が許容できる焼成温度とする。

0060

また基体管103は、燃料極109、固体電解質111、インターコネクタ107等と一体焼成で形成されることから、基体管103との収縮率を適正に保つ必要がある。そのため、基体管103の収縮率が低くなると、基体管上に形成される膜(燃料極など)の緻密性が低くなる。基体管上に形成される膜(燃料極など)の緻密性が低すぎると、ガスリークが発生し、燃料電池セルの発電性能が低下する。これらを考慮し、基体管103の収縮率の基準との差の下限(−%)を選定する。

0061

一方、基体管103の収縮率が高くなると、基体管上に形成される膜(燃料極など)の収縮率も高くなる。基体管上に形成される膜(燃料極など)の収縮率が大きくなりすぎると、基体管103の焼成後の燃料電池セルの寸法の違い(個体差)が大きく生じるようになる。これにより燃料電池モジュール(燃料電池)の形成に支障が出る。収縮率の変動は1%以内に抑えるとよい。これらを考慮し、基体管103の収縮率の基準との差の上限(+%)を選定する。

0062

燃料電池セル105の寸法に個体差が生じると、燃料電池セルの発電有効面積にも違いがでる。燃料電池セル105は、基体管上に直列に形成されているため、性能の低いセルにて電流値が律速することになる。図5に、基体管103の収縮率と電池出力との関係を示す。同図において、横軸が基準収縮率(%)との差、縦軸が目標電池出力を100%とした場合の差(%)である。目標電池出力は、設計値である。図5は、実物のセルスタックからセルスタックの出力を求める理論式を作成し、該理論式より収縮率の違いによるセルスタックの出力をプロットした図である。

0063

図5によれば、収縮率を基準収縮率の−0.3以上+0.7以下の範囲とすることで、電池出力を目標に近い値で維持できる。例えば、収縮率の目標値を17%以上18%以下とした場合、設計管理値を17.3%+0.7/−0.3とするとよい。

0064

上記を踏まえ図4を参照すると、Na含有量が40wtppm以上1500wtppm以下の基体材料は、基準温度の−30℃から+20℃の範囲で焼成した場合に、収縮率を基準収縮率の−0.3以上+0.7以下の範囲に収めることができる。

0065

また、1mを超える基体管103を焼成する場合、炉内に±5℃程度の温度差が生じる場合がある。図4によれば、Na含有量が40wtppm以上1200wtppm以下の基体材料は、炉内に温度差が生じた場合でも、収縮率を基準収縮率の−0.3以上+0.7以下の範囲に収めることができる。Na含有量が40wtppm以上1000wtppm以下の基体材料では、選択可能な実焼成温度範囲に10℃以上の幅を持たせることができる。

0066

(3)実焼成温度の決定
基体材料のNa含有量を、図4で取得した焼成温度と収縮率とを関連付けたデータに照らし合わせて実焼成温度を導き出す。

0067

例えば、Na含有量が100wtppmである場合、基準温度との差が−30℃から0℃の範囲の温度を実焼成温度として選択できる。実焼成温度を基準温度−20℃から−10℃程度にすると、より確実に収縮率を基準収縮率の−0.3以上+0.7以下の範囲に収めることができる。

0068

例えば、Na含有量が700wtppmである場合、基準温度との差が−10℃から20℃の範囲の温度を実焼成温度として選択できる。実焼成温度を基準温度+5℃から+10℃程度にすると、より確実に収縮率を基準収縮率の−0.3以上+0.7以下の範囲に収めることができる。

0069

(4)SOFCセルスタックについて
Na2Oを含むCSZを用いて調製したスラリーを基準温度で焼成し、焼結体の気孔率を計測した。Na含有量は50wtppm、100wtppm、550wtppm、700wtppmである。

0070

図6に、Na含有量と気孔率との関係を示す。同図において、横軸がNa含有量(wtppm)、縦軸が基準気孔率との差(%)である。「基準気孔率との差」は、基準気孔率(%)から計測気孔率(%)を引いた値である。

0071

図6によれば、Na含有量が50wtppm以上1000wtppm以下であれば、気孔率の変動を±1%以内に抑えることができる。基体管103の開気孔率は30%以上50%以下を有するものであるが、この気孔率に分布バラツキが生じると、燃料電池セル105どうしの性能の差に影響を及ぼすので、気孔率に分布は均一なことが好ましい。特に、Na含有量が100wtppmを下回ると、焼結が進み収縮率が大きくなり、気孔率が急激に低下する傾向があった。基体管103の気孔率が低下すると、燃料ガスが供給されにくくなり、燃料電池セル105の発電性能が低下する。図6によれば、基体材料のNa含有量を100wtppm以上とすることで、基体管103の気孔率のバラつきを抑制しつつ、燃料電池の発電性能を向上させられる。なお、図示しないが、収縮率と気孔率とは略線形の関係であった。

0072

101セルスタック
103基体管
105燃料電池セル
107インターコネクタ
109燃料極
111固体電解質
113空気極
115 リード膜

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