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技術 放射線検出素子及び放射線検出装置

出願人 国立大学法人岩手大学
発明者 中川玲阿部貴美新倉郁生柏葉安兵衛長田洋
出願日 2015年2月20日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-032308
公開日 2016年8月25日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-153771
状態 特許登録済
技術分野 発光性組成物 受光素子1(共通事項、放射線検出)
主要キーワード 光遮蔽体 外部擾乱 計測制御回路 事故対策 紫外線検出素子 放射線環境 X線照射源 光導電型
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図面 (12)

課題

構造が簡単で放射線耐性が高い高感度放射線検出素子を提供する。

解決手段

放射線耐性が高い酸化亜鉛系単結晶基板14あるいは酸化亜鉛系単結晶薄膜上に所定の間隔をあけた1対の電極15を備えた高感度光導電型光検出素子である紫外線センサ13を形成し、その紫外線センサ13に対し、紫外線センサ13が感度を持つ波長発光する放射線耐性の高い発光物質であるシンチレータ11を対向させて配置する。このことにより、放射線耐性が高く、高感度な放射線検出素子1が得られる。

概要

背景

放射線は、医療、工業、農業など様々な分野で広く使用されるようになったほか、原子力発電所のような苛酷放射線環境も存在し、安全性の確保あるいは事故対策のためには放射線検出器によって環境中の放射線情報を知る必要がある。

放射線検出器には放射線の電離作用を利用するものや放射線による発光作用を利用するものなどいくつかの方式があり、放射線によって発光する物質シンチレータ)と光検出器光センサ)を組み合わせたシンチレーション検出器も広く使用されている。多くの場合シンチレータの発光波長可視光で、光検出器には光電子増倍管あるいは半導体フォトダイオードが使用されている。しかし、光電子増倍管は高い電圧が必要なほかその大きさを小さくしにくく、壊れやすいため取り扱いに難点がある。また、半導体フォトダイオードも感度を上げるため高い電圧で使用される。

現在使用されているシンチレーション検出器の代表的なものは、タリウム(Tl)をドーピングしたヨウ化ナトリウム(NaI:Tl)シンチレータと光電子増倍管や半導体フォトダイオードと組み合わせたものである。NaI:Tlシンチレータは感度が高いものの潮解性があり取り扱いが難しいほか、耐放射線強度が低い。このため、小型軽量で取り扱いが容易で耐放射線強度が高いシンチレーション検出器が要求されている。

また、セリウム(Ce)をドーピングしたイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP:Ce)は、NaI:Tlに比べ感度は40%程度であるが、潮解性がなく耐放射線強度が103倍もあるので放射線検出器のシンチレータとして優れていると考えられる。

しかし、YAP:Ceシンチレータの発光波長は他の材料と異なって紫外線領域にあり、370−340nm(ナノメートル付近ピークを持つ。そのため、このような発光波長を効率よく検出する光センサが必要である(非特許文献1参照)。

また、耐放射線強度の大きな放射線検出器を実現するためには、耐放射線強度の大きなシンチレータと共に耐放射線強度の大きい光センサが必要である。

酸化亜鉛バンドギャップが室温で3.37eV(電子ボルト)のいわゆるワイドバンドギャップ半導体であるため本質的に可視光に感度がなく、およそ370nmから短波長領域の紫外線に感度を持つ。このため紫外線センサに最適な材料の1つである。酸化亜鉛を用いた紫外線センサはこれまでにも研究がなされ、特許文献1から4および非特許文献2に記されている。

これら酸化亜鉛を用いた紫外線センサの方式は、光導電型(特許文献1及び特許文献2参照)およびショットキー型(特許文献3及び特許文献4参照)に分類できる。ショットキー型は感度は小さいが応答時間が速いため、高速応答が求められる用途の紫外線センサに適している。一方、光導電型は感度が大きいが時間応答が遅いため、高感度な検出が求められる用途での紫外線センサに適している。また、光導電型はショットキー型に比べ、原理的に耐放射線強度、耐紫外線強度が高い。さらに光導電型は一対のオーミック電極を配置した構造のため、ショットキー接触を必要とするショットキー型に比べ、製作が容易である。

紫外線発光シンチレータと光センサ素子の組み合わせによる放射線検出器はいくつか提案されている(特許文献5、特許文献6及び特許文献7参照)。これらの提案では光検出器としてPINダイオード(特許文献5)、ホトマル(光電子増倍管)及びフォトダイオード(特許文献7)、ガイガーモードAPDアバランシェフォトダイオード)(特許文献6)が使用されている。しかしこれらの素子は、小型堅牢、低い動作電圧、高感度、特性の安定性、耐放射線強度などの条件をすべて満たすには不安がある。

また、前述したように、酸化亜鉛はYAP:Ceシンチレータの発光波長領域に感度を持つ一方、窒化ガリウム(GaN)などの同じ紫外線領域に感度を持つ半導体に比べ、耐放射線強度が10倍以上大きいといわれている。

概要

構造が簡単で放射線耐性が高い高感度放射線検出素子を提供する。放射線耐性が高い酸化亜鉛系単結晶基板14あるいは酸化亜鉛系単結晶薄膜上に所定の間隔をあけた1対の電極15を備えた高感度光導電型光検出素子である紫外線センサ13を形成し、その紫外線センサ13に対し、紫外線センサ13が感度を持つ波長で発光する放射線耐性の高い発光物質であるシンチレータ11を対向させて配置する。このことにより、放射線耐性が高く、高感度な放射線検出素子1が得られる。

目的

この発明は、小型軽量、取り扱いが容易で耐放射線強度が高い放射線検出装置の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

酸化亜鉛系材料の表面に所定の間隔をあけて形成した1対の電極を有する光導電型紫外線検出素子放射線により紫外線発光する発光物質との組み合わせを備える放射線検出素子

請求項2

請求項1に記載の放射線検出素子において、前記酸化亜鉛系材料は酸化亜鉛系単結晶基板あるいは酸化亜鉛系単結晶薄膜であることを特徴とする放射線検出素子。

請求項3

請求項1又は2に記載の放射線検出素子において、前記酸化亜鉛系材料の暗抵抗率が、104Ω・cm以上であることを特徴とする放射線検出素子。

請求項4

請求項1又は2に記載の放射線検出素子において、前記酸化亜鉛系材料にはアクセプタドーピングされていることを特徴とする放射線検出素子。

請求項5

請求項1に記載の放射線検出素子において、前記放射線により紫外線を発光する発光物質がセリウムドープのイットリウムアルミニウムペロブスカイトであることを特徴とする放射線検出素子。

請求項6

請求項1に記載の放射線検出素子において、前記酸化亜鉛系材料に形成する1対の電極の所定の間隔は0.01mm〜1.0mmであることを特徴とする放射線検出素子。

請求項7

請求項1に記載の放射線検出素子において、前記光導電型紫外線検出素子と前記発光物質とが対向して配置されることを特徴とする放射線検出素子。

請求項8

請求項1に記載の放射線検出素子において、前記発光物質が発光した紫外線を前記発光物質と前記光導電型紫外線検出素子との間で集光する集光手段を備えることを特徴とする放射線検出素子。

請求項9

請求項1乃至8のいずれか一項に記載の放射線検出素子を備えた放射線検出装置

技術分野

0001

この発明は、耐放射線強度が高い放射線検出素子及び放射線検出装置に関する。

背景技術

0002

放射線は、医療、工業、農業など様々な分野で広く使用されるようになったほか、原子力発電所のような苛酷放射線環境も存在し、安全性の確保あるいは事故対策のためには放射線検出器によって環境中の放射線情報を知る必要がある。

0003

放射線検出器には放射線の電離作用を利用するものや放射線による発光作用を利用するものなどいくつかの方式があり、放射線によって発光する物質シンチレータ)と光検出器光センサ)を組み合わせたシンチレーション検出器も広く使用されている。多くの場合シンチレータの発光波長可視光で、光検出器には光電子増倍管あるいは半導体フォトダイオードが使用されている。しかし、光電子増倍管は高い電圧が必要なほかその大きさを小さくしにくく、壊れやすいため取り扱いに難点がある。また、半導体フォトダイオードも感度を上げるため高い電圧で使用される。

0004

現在使用されているシンチレーション検出器の代表的なものは、タリウム(Tl)をドーピングしたヨウ化ナトリウム(NaI:Tl)シンチレータと光電子増倍管や半導体フォトダイオードと組み合わせたものである。NaI:Tlシンチレータは感度が高いものの潮解性があり取り扱いが難しいほか、耐放射線強度が低い。このため、小型軽量で取り扱いが容易で耐放射線強度が高いシンチレーション検出器が要求されている。

0005

また、セリウム(Ce)をドーピングしたイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP:Ce)は、NaI:Tlに比べ感度は40%程度であるが、潮解性がなく耐放射線強度が103倍もあるので放射線検出器のシンチレータとして優れていると考えられる。

0006

しかし、YAP:Ceシンチレータの発光波長は他の材料と異なって紫外線領域にあり、370−340nm(ナノメートル付近ピークを持つ。そのため、このような発光波長を効率よく検出する光センサが必要である(非特許文献1参照)。

0007

また、耐放射線強度の大きな放射線検出器を実現するためには、耐放射線強度の大きなシンチレータと共に耐放射線強度の大きい光センサが必要である。

0008

酸化亜鉛バンドギャップが室温で3.37eV(電子ボルト)のいわゆるワイドバンドギャップ半導体であるため本質的に可視光に感度がなく、およそ370nmから短波長領域の紫外線に感度を持つ。このため紫外線センサに最適な材料の1つである。酸化亜鉛を用いた紫外線センサはこれまでにも研究がなされ、特許文献1から4および非特許文献2に記されている。

0009

これら酸化亜鉛を用いた紫外線センサの方式は、光導電型(特許文献1及び特許文献2参照)およびショットキー型(特許文献3及び特許文献4参照)に分類できる。ショットキー型は感度は小さいが応答時間が速いため、高速応答が求められる用途の紫外線センサに適している。一方、光導電型は感度が大きいが時間応答が遅いため、高感度な検出が求められる用途での紫外線センサに適している。また、光導電型はショットキー型に比べ、原理的に耐放射線強度、耐紫外線強度が高い。さらに光導電型は一対のオーミック電極を配置した構造のため、ショットキー接触を必要とするショットキー型に比べ、製作が容易である。

0010

紫外線発光シンチレータと光センサ素子の組み合わせによる放射線検出器はいくつか提案されている(特許文献5、特許文献6及び特許文献7参照)。これらの提案では光検出器としてPINダイオード(特許文献5)、ホトマル(光電子増倍管)及びフォトダイオード(特許文献7)、ガイガーモードAPDアバランシェフォトダイオード)(特許文献6)が使用されている。しかしこれらの素子は、小型堅牢、低い動作電圧、高感度、特性の安定性、耐放射線強度などの条件をすべて満たすには不安がある。

0011

また、前述したように、酸化亜鉛はYAP:Ceシンチレータの発光波長領域に感度を持つ一方、窒化ガリウム(GaN)などの同じ紫外線領域に感度を持つ半導体に比べ、耐放射線強度が10倍以上大きいといわれている。

0012

特開2006−278487号公報
特開平3−241777号公報
特開2007−201393号公報
特開2012−146705号公報
特開2008−24739号公報
特開2010−122166号公報
特開2012−149223号公報

先行技術

0013

“YAP:Ce (Yttrium Aluminum Perovskit, Ce+doped) crystals”、[online]、PROTEUS Inc.、[平成25年12月16日検索]、インターネット
Jian Zhong and Yicheng Lu, ed. by C. W. Litton et al., “Zinc Oxide Materials for Electronic and Optoelectronic Device Applications (Chapter 11) ZnO-Based Ultraviolet Detectors”, John Wiley & Sons Ltd., 2011, pp.285-329

発明が解決しようとする課題

0014

以上の背景から、小型軽量で取り扱いが容易且つ耐放射線強度の高い高感度な放射線検出器が必要とされている。
この発明は、小型軽量、取り扱いが容易で耐放射線強度が高い放射線検出装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0015

この発明は、上記目的を達成するため、酸化亜鉛系材料の表面に所定の間隔をあけて形成した1対の電極を有する光導電型紫外線検出素子と放射線により紫外線を発光する発光物質との組み合わせを備える放射線検出素子及び、このような放射線検出素子を備えた放射線検出装置を提供する。
上記組み合わせは、放射線により酸化亜鉛系材料が感度を持つ領域の紫外線を発光する物質(例えばYAP:Ceシンチレータ)と酸化亜鉛系紫外線センサの組み合わせとするとよい。

0016

また、YAP:Ceシンチレータなどの弱い発光も検出するために、紫外線センサの形式は感度が高い光導電型とするとよい。光導電型センサは、光電流の流れる方向が光あるいは放射線の入射方向と直角なので、その構造上、ショットキー型やpn接合型のフォトダイオードに比べると放射線耐性が高いと考えられる。ショットキー型やpn接合型のフォトダイオードでは、広い金属−半導体の接触面あるいはpn接合面の一箇所でも導通が生じれば、使用不能になる。特に高い逆方向バイアス下で使用される場合には影響が大きい。

0017

このように、耐放射線強度が高いYAP:Ceのようなシンチレータと、耐放射線強度が高い酸化亜鉛系材料を使用した構造的に耐放射線強度が高いと考えられる光導電型紫外線センサを組み合わせることによって、小型軽量、構造簡単、取り扱いが容易で耐放射線強度が高い放射線検出器を提供することができる。

0018

また、この発明は、素子あるいは装置として実現する他、方法、システム等、他の任意の形態で実現することができる。

発明の効果

0019

この発明によれば、小型軽量、構造簡単、取り扱いが容易で耐放射線強度が高い放射線検出器を容易に作製でき、使用目的に応じた素子形状あるいは複数個の素子の組み合わせなども簡単に実現可能となる。酸化亜鉛系紫外線センサは可視光に感度を持たないので、可視光吸収フィルタ無し明るい室内で使用できる。また、光導電型紫外線検出素子はpn接合型やショットキー型のフォトダイオードに比べて発生する電流レベルが高いので外部擾乱の影響をあまり受けない。そのため、検出素子部分で直ちに信号を増幅する必要もなく、電子回路を簡単にできる。

図面の簡単な説明

0020

この発明による放射線検出素子の一実施形態の構成を示す模式的な断面図である。
放射線検出素子の別の構成例を示す図である。
放射線検出素子のさらに別の構成例を示す図である。
図1に示した放射線検出素子を備える放射線検出装置の実施形態の構成を示す図である。
放射線検出装置の別の実施形態の構成を示す図である。
本発明の放射線検出素子の具体的実施例の構造概略を示す図である。
図4の実施例で使用したYAP:CeシンチレータのX線照射による発光スペクトルを示す図である。
図4の実施例で使用したYAP:Ceシンチレータにおける、X線管入力電力X線強度)とYAP:Ceシンチレータの発光強度の関係を示す図である。
図4の実施例で使用した紫外線センサの光電流のスペクトル特性を示す図である。
図4の実施例で得られた、光電流と照射X線強度との関係を示す図である。
図4の実施例で使用したYAP:Ceシンチレータの発光スペクトルと紫外線センサの光電流スペクトルを重ね合わせて示す図である。

実施例

0021

以下この発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、この発明による放射線検出素子の一実施形態の構成を示す模式的な断面図である。この放射線検出素子1は、放射線によって紫外線を発光する発光物質であるシンチレータ11とその発光を受けて光電流を発生する光導電型紫外線検出素子である紫外線センサ13とを備える。シンチレータ11は例えばセリウムドープのイットリウム・アルミニウム・ペロブスカイト(YAP:Ce)などで、発光波長は紫外線領域にある。紫外線センサ13は酸化亜鉛系単結晶あるいは薄膜を使用する。

0022

シンチレータ11をYAP:Ceにより構成する場合は、シンチレータ11による発光の自己吸収がほとんどないので、放射線を十分吸収する厚さを利用できる。
また、YAP:Ceの放射線入射側表面には、内部で発光した紫外線を反射して紫外線センサに向けるための反射手段として反射膜12を付けるのが良い。

0023

紫外線センサ13は酸化亜鉛系単結晶基板14(酸化亜鉛系単結晶薄膜でもよいが、ここでは基板として説明する)の表面に所定の間隔を持つ電極15を形成して作製する。電極の一方が+、他方が−端子となる。電極の形状は自由で、YAP:Ceの発光を効率よく受光できる形状が良い。

0024

電極間の間隔の大きさはセンサの特性と密接に関係するので、使用目的に応じて十分検討する必要がある。光導電素子の利得(G)は、G=τμV/l2により得られる。ここで、Gは光導電素子の利得、τはキャリア寿命、Vは電極間に加える電圧、lは電極間の間隔である。
電極間の間隔が小さいと得られるGは大きくなるが、0.01mmよりも小さくなると電界強度が大きくなり、電極材料マイグレーションが生じる恐れがあるほか、暗電流も増加するため、0.01mmよりも大きいほうがよい。また、電極間の間隔が大きいと得られるGは小さくなるため、大きくとも1.0mm以下であるとよい。

0025

電極材料は、酸化亜鉛系材料とオーミック接触するものが良く、n形の酸化亜鉛系材料ではAl,ITO(酸化インジウムスズ),In,Ga,Znなどやこれらの合金でも良い。電極の付着は、真空蒸着電子ビーム蒸着スパッタリングなどで行われる。

0026

酸化亜鉛系単結晶基板14に用いる酸化亜鉛系単結晶は、欠陥が少なく移動度の高い高品質のものが望ましい。特に抵抗率に関しては、暗電流を低くするために暗抵抗率の高いものが良い。暗抵抗率は104Ω・cm以上であることが望ましく、結晶では108Ω・cm以上、薄膜では106Ω・cm以上のものがより望ましい。酸化亜鉛は通常n形であるので、リチウム(Li)や銅(Cu)などのI族元素窒素(N)やリン(P)などのV族元素アクセプタ不純物としてドーピングすることによって抵抗率を調整できる。特にNは酸化亜鉛中の酸素(O)と原子半径が近く、ドーピングに適していると考えられる。

0027

欠陥が少なく移動度が高い高品質酸化亜鉛系単結晶は水熱合成法などの方法で育成できる。抵抗率制御のために育成中にアクセプタ不純物をドーピングすることもできる。
単結晶は切断後に研磨されて紫外線センサ基板として提供される。酸化亜鉛系薄膜を用いる場合、この単結晶基板上にエピタキシャル成長させても良く、あるいはサファイア基板石英基板上に成長されても良い。しかし、エピタキシャル成長した単結晶薄膜が最も品質が高く、センサに望ましい。

0028

紫外線センサ13の表面は特性の安定化のために、安定化処理反射防止膜あるいは表面保護膜16などが施されることが望ましい。
放射線検出素子1は、YAP:Ceシンチレータ11の発光が紫外線センサ13に入射するようにこれらが対向する配置として組み立てる。この場合、シンチレータ11と紫外線センサ13の間は、図1の例のように空間を持たせてもよい。また、図2Aに示す別例のように、シンチレータ11と紫外線センサ13を密着させてもよい。

0029

さらに、図2Bに示す別例のように、シンチレータ11において発生した紫外線を有効に集めるためのレンズ17のような集光手段を設けてもよい。YAPの形状を板状でなく凸状に変えて集光させても、同様の効果が得られる。これらのように集光することによって、放射線の検出感度を上げることが出来る。密着の場合には、YAPの発光面積に相当する大きさのセンサ受光部を用意し、効率を高めるようにする。
電源18は、電極15へ駆動電圧印加するためのものである。電流計19は、酸化亜鉛系単結晶基板14が紫外線を受けた場合に生成する光電流を計測するためのものである。

0030

図3Aに、以上の放射線検出素子1を用いた放射線検出装置の実施形態の構成を示す。
図3Aに示す放射線検出装置30は、放射線検出素子1中の紫外線センサ13による紫外線の検出結果(電流計19の計測値)を計測制御回路31に入力して処理することにより、放射線量を計測する機能を備える。また、その計測結果を、表示器32により任意の形式で出力表示することができる。
1つの放射線検出装置30に放射線検出素子1は1個である必要はなく、図3Bに示すように複数個の放射線検出素子1を接続してシステムとして使用することで環境情報を取得して、信頼性をさらに高めることが出来る。

0031

〔実施例〕
図4は上述した本発明の放射線検出素子の具体的実施例の構造概略を示したものである。本発明はこのような構造や作製方法に限定されるものではないが、以下にこの具体的実施例を図4に沿って、図5乃至図8のデータも参照しつつ詳細に説明する。なお、図1に示したものと対応する構成要素には、図1と同じ符号を用いる。
11はYAP:Ceシンチレータで、10mm×10mm×0.5mmの大きさである。本実施例では実験都合上、反射膜を付着していないが、反射膜を付着していることが望ましい。本実施例では放射線源としてCuのKα−X線を用いた。

0032

図5は、本実施例で使用したYAP:Ceシンチレータ11のX線照射による発光スペクトルを示している。また、図6は、X線管入力電力(X線強度)とYAP:Ceシンチレータ11の発光強度の関係を示している。測定器の制限で350nm(ナノメートル)より短波長側の測定はできなかった。

0033

図5グラフによると、発光スペクトルのピーク波長はおよそ370nmで、紫外線領域にある。X線管に印加する電圧を40kVで一定にし、電流値を変えてX線管入力電力を変えることによってX線強度を変えた。X線強度が入力電力(電流)に比例することは知られている。
図6のグラフによると、YAP:Ceシンチレータ11の発光ピーク強度はX線管入力に比例している。YAP:Ceの透過率は、360nm付近波長で90%程度であった。

0034

酸化亜鉛単結晶を用いた紫外線センサ13は以下のようにして作製した。酸化亜鉛単結晶は水熱合成法によって育成されたものを用いた。暗抵抗率を高くするため、育成時に窒素(N)がドーピングされている。暗抵抗率はおよそ109Ω・cmであった。鏡面研磨された大きさ5mm×5mm×0.5mmのc面酸化亜鉛単結晶基板14のZn面上に、大きさ1mm×1mmのアルミニウム(Al)電極15を2個、1mmの間隔をあけて蒸着した。電極それぞれにリード線接着されて、紫外線センサ13が出来上がる。表面処理や反射防止膜の付着などは施されていない。
この電極15間の電流−電圧(I−V)特性が直線関係であったことから、Al電極と酸化亜鉛単結晶基板13とはオーム接触をしていると解釈できる。

0035

図7は電源18として1.5Vの直流電源を接続し、電流計19で測定された酸化亜鉛単結晶による紫外線センサ13の光電流のスペクトル特性を示す。このグラフから、酸化亜鉛単結晶による紫外線センサ13は、およそ370nmよりも短波長の紫外線に対して感度を持つが、可視光には感度を持たないことが分かる。

0036

図4のように、YAP:Ceシンチレータ11と酸化亜鉛単結晶を用いた紫外線センサ13を配置し、放射線検出素子を作製した。図に示したように構造は極めて単純・簡単である。シンチレータ11と紫外線センサ13との空隙は1mmで、通常の空気層のみである。また、シンチレータ11で発生する紫外線以外の外部からの紫外線が紫外線センサ13に入り込まないようにするための光遮蔽体21を有している。

0037

〔実施例の機能評価
上記の条件で作製した放射線検出素子1の評価を行った。作製した放射線検出素子1とX線照射源とを図4のように配置し、YAP:CeシンチレータにX線を照射し、センサ印加電圧1.5Vのもとで測定した照射X線強度(X線管入力電力)と光電流の関係を図8に示した。
X線管に40kV(キロボルト)を印加し、管電流を45mAまで5mAステップで変えてX線管入力電力を変えた。図8に示すように、照射X線強度の増加と共に光電流も比例関係を持って増加している。ここで、光電流はX線が直接酸化亜鉛に入射したことによるものではないことは確認されている。

0038

以上のことから放射線検出素子1によって放射線検出が可能であることがわかる。本実施例で使用されたYAP:Ceシンチレータの発光スペクトルと紫外線センサの光電流スペクトルを重ね合わせると、図9のようになって、シンチレータ発光のすべてを光電流に変換することができなかった。発光スペクトルが短波長側にシフトしているシンチレータを使用すれば検出感度は増加すると考える。

0039

以上で実施形態の説明を終了するが、素子及び装置の具体的な構成や、各部の材質や特性等は、ここまでの説明で具体的に述べたものには限られない。
例えば、光導電型紫外線検出素子は、任意の酸化亜鉛系材料を用いて形成することができ、酸化亜鉛系単結晶基板あるいは酸化亜鉛系単結晶薄膜には限られない。酸化亜鉛系材料にドープするアクセプタも、窒素には限られない。
放射線により紫外線を発光する発光物質も、YAP:Ceに限られない。放射線を受けた場合に光導電型紫外線検出素子が感度を持つ波長で発光する発光物質であれば、任意のものを用いることができる。
また、以上の実施形態あるいはその変形として述べた構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて適用可能であることは、もちろんである。

0040

以上の放射線検出素子及び放射線検出装置によれば、小型軽量、構造簡単、取り扱いが容易で耐放射線強度が高い放射線検出器を容易に作製でき、使用目的に応じた素子形状あるいは複数個の素子の組み合わせなども簡単に実現可能とする。使用する電圧も低く、計測制御回路も簡単である。そのため通常環境中のみならず、放射線の強い環境中での使用も可能にする。

0041

1…放射線検出素子、11…シンチレータ、12…反射膜、13…紫外線センサ、14…酸化亜鉛系単結晶基板、15…電極、16…表面保護膜、17…レンズ、18…電源、19…電流計、21…光遮蔽体、30…放射線検出装置、31…計測制御回路、32…表示器

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