図面 (/)

技術 注入プロトコルのための医薬品の伝播およびパラメータ生成のモデル

出願人 バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
発明者 カラフット、ジョン、エフ.
出願日 2016年4月6日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-076410
公開日 2016年8月25日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-152940
状態 特許登録済
技術分野 注入、注射、留置装置 放射線診断機器
主要キーワード 最大増分 同定問題 パラメータ限界 制御エネルギー 数値的シミュレーション 飽和期間 z変換 中間コンパートメント
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

本発明の目的は、造影剤伝播モデル化するための方法を提供することである。

解決手段

上記目的は、プロセッサを備えた、注入処置のための少なくとも一つのパラメータを決定するパラメータ生成システムによって実施される、生理学薬物動態モデルを使用して患者注入する造影剤の伝播をモデル化する方法であって、プロセッサが、血液の体積流量および造影剤の注入を終止した後の造影剤の伝播に対するその効果をモデル化する前記生理学的薬物動態モデルを実施し、前記生理学的薬物動態モデルにおいて、少なくとも一つの造影剤および希釈剤を含む流体の体積流量が血液の体積流量に及ぼす効果が導入される、方法によって解決することができる。

概要

背景

以下の情報は、下記に説明した技術およびこうした技術を使用できるある一定の環境を理解するために、読者支援するために提供するものである。本明細書で使用した用語は、本書内でそうでないことが明瞭に述べられていない限り、何らかの特定の狭い解釈に限定することを意図してはいない。本明細書に記載した参照は、技術またはその背景についての理解を促進しうる。本明細書で引用した全ての参考文献の開示内容を参照することにより組み込む。

放射線検査のための造影剤投与(例えば、電動注入器を用いたもの)は、一般に臨床医が空の使い捨て注入器に、一定容積の造影剤医薬品を充填することから始まる。その他の手順において、造影剤を予め充填した注入器が使用される。次に、臨床医は、診断画像を可能にするために患者に投与される造影剤の体積流量および容積を決定する。オペレータによって決定される容積および流量を持つ、生理食塩水注入が、たいていの場合、静脈または動脈への造影剤の投与の後に続く。現時点利用可能な数多くの注入器によって、オペレータは、送達する体積流量および容積の複数の個別の相をプログラムできる。例えば、Medrad, Inc.(ペンシルニアインディアノラ)から入手できるSPECTRIS SOLARIS(登録商標)およびSTELLANT(登録商標)注入器は、患者への送達のための最大6個の個別の体積流量および容積の対または相の入力ができる(例えば、造影剤および/または生理食塩水について)。こうした注入器およびそれと併用する注入器制御プロトコルは、例えば、米国特許番号第6,643,537号および公開済み米国出願公開番号第2004−0064041号に開示があり、その開示内容を参照し本書に組込む。こうした段階のフィールド内の値またはパラメータは、一般に、各タイプの処置について、また注入/撮像処置を受ける各患者についてオペレータによる手入力がなされる。別の方法として、以前に手入力した容積および流量の値を保存しておき、コンピュータ記憶装置から後で呼び出すことができる。ところが、こうしたパラメータが、特定の処置と、特定の患者について決定される方法については、継続的な開発がなされている。

その点において、撮像およびその他の処置時の異なる患者についての造影剤投薬要件の違いが認識されてきた。例えば、米国特許番号第5,840,026号(その開示内容を参照し本書に組込む)は、注入前または注入時に得られた患者特異的なデータを使用して、患者への注入をカスタム化する装置および方法を開示している。患者の違いに基づく医用撮像処置のための投薬の要件の違いは認識されてきたが、従来的な医用撮像処置では、医用撮像処置時に造影剤を注入するための、事前設定された用量または標準送達プロトコルが引き続き使用されている。MDCT(またはMSCT)スキャナーを含む、最近利用可能なCTスキャナースキャン速度が増大したことから、世界でこうした高速スキャナーが使用される地域では、単一相の注入が、二相性またはその他の多相性の注入に比べて優勢を占めている。送達のために標準的、固定的または予め決まったプロトコル(単相性、二相性または多相性のいずれであるかによらない)を使用すれば処置が単純化されるが、同一量の造影剤を異なる患者に同一のプロトコルで供給しても、像のコントラスト品質に非常に異なる結果が生じることがある。その上、最新のMDCTスキャナーが導入されて、臨床の実務において、またCT資料においての未決問題は、単一スライスヘリカルスキャナーで使用される標準的造影プロトコルが、MDCTマシンを使用した処置にうまく変換されるかどうかである。

多くの研究で、動脈造影効果の改善および予測をするためのCT血管造影(CTA)中の注入プロセスについての定量分析が試みられてきた。例えば、Baeとその同僚らは、造影剤の挙動についての薬物動態PKモデル構築し、最も均一な動脈造影効果をもたらす駆動関数をつきとめることを目標にした連立微分方程式系を解いた。K. T. Bae, J. P. Heiken, and J. A. Brink,"Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model,"Radiology, vol. 207, pp. 647−55 (1998);K. T. Bae,"Peak contrast enhancement in CT andMRangiography: when does it occur and why? Pharmacokinetic study in a porcine model,"Radiology, vol. 227, pp. 809−16 (2003);K. T. Bae et al., "Multiphasic Injection Method for Uniform Prolonged Vascular Enhancement at CT Angiography: Pharmacokinetic Analysis and Experimental Porcine Method," Radiology, vol. 216, pp. 872−880 (2000); 米国特許番号第5,583,902号、第5,687,208号、第6,055,985号、第6,470,889号および第6,635,030号、これらはその開示内容を参照し本書に組込む。Bae et al.により記載された単純コンパートメントモデル一連微分方程式の逆解は、造影剤の指数関数的な流量の減少は、結果的にCT撮像処置における最適/一定の造影効果をもたらしうることを示している。ところが、PKモデルの逆解により計算された注入プロフィールは、大規模改造なしには、ほとんどのCT用電動注入器で簡単には実現できないプロフィールである。

Baeモデルでは、コントローラフレームワークでのPKモデルの導入は考慮されていない。例えば、連立微分方程式を状態空間形式に変換するとき、結果としての状態行列階数は、システム公式中の自由パラメータ数のために、システムの次数よりも小さい。この階数不足は、行列反転を試みたときに特異点として現れ、また予測および制御のためのシステムのデジタル表現にとって問題である。さらに、Baeモデルは、造影剤物質伝達遅延について直接的に対処するものではなく、心肺モデル全体にわたる複数の連続したサブコンパートメントの導入によって伝達遅延をモデル化するものである。複数のサブコンパートメントは、システムの新しい相応答が追加的なコンパートメントのために異なる(追加的な)ため、シミュレートした出力において伝播遅延をもたらす。血管系の物理的見識に基づくとはいえ、複数コンパートメントの導入はいくらか恣意的である。例えば、コンパートメントは、心肺系を通した造影用ボーラスの分散および遅延のために30のサブコンパートメントに分割されている。

Wada and Ward,"The hybrid model: a new pharmacokinetic model for computer−controlled infusion pumps",IEEE Trans. Biomed Eng, vol. 41(2), pp. 134−142, 1994(その開示内容を参照し本書に組込む)は、Baeがとったアプローチと類似した3コンパートメント薬物動態モデルを導き出し、麻酔剤血漿濃度を調節する試みにおける制御の仕組みにそのモデルを使用している(upload alienating)。彼らは、血流を通した薬剤再循環効果のモデル化も試みており、そのシミュレーションに伝達遅延を盛り込むことによりモデル化した。彼らは、予測誤差5%未満でシミュレーションを生成することができた。

Wada and Ward "Open loop control of multiple drug effects in anesthesia",IEEE Trans. Biomed Eng, vol. 42(7), pp. 666−677, 1995、(その開示内容を参照し本書に組込む)は、その薬物動態(PK)モデルを麻酔薬の複数の効果の制御にも適用した。その制御の仕組みでは、麻酔医許容可能な副作用ベルプラズマ濃度表現)を設定することが要求される。

別のアプローチでは、Fleischmannとその同僚らは、心血管生理機能および造影剤の動態学を「ブラックボックス」として扱い、システムに造影剤の短時間のボーラス(単位インパルス近似)を強制することでそのインパルス応答を決定した。その方法において、インパルス応答についてフーリエ変換が実行され、またこの伝達関数推定を操作して、それまでの慣例より最適な注入軌道推定が決定される。D. Fleischmann and K. Hittmair,"Mathematical analysis of arterial enhancement and optimization of bolus geometry for CT angiography using the discrete Fourier transform,"J Comput Assist Tomogr, vol. 23, pp. 474−84 (1999)(その開示内容を参照し本書に組込む)。

造影剤の単相性投与(一般に、1つの流量で100〜150mlの造影剤)により、不等造影効果曲線が得られる。例えば、D. Fleischmann and K. Hittmair, supra; and K. T. Bae,"Peak contrast enhancement in CT andMRangiography: when does it occur and why? Pharmacokinetic study in a porcine model,"Radiology, vol. 227, pp. 809−16 (2003)(その開示内容を参照し本書に組込む)を参照。FleischmannおよびHittmairはこのようにして、大動脈の撮像の最適化を意図して、造影剤の投与を個別の患者用に合わせた二相性の注入に適応させることを試みた仕組みを提示した。CT造影剤の提示を制御することの基本的な困難は、高浸透圧の薬物が中心血液コンパートメントから急速に拡散することである。さらに造影剤は、造影剤を含まない血液と混合され希釈される。

Fleischmannは、造影剤の少量のボーラス注入試験的ボーラス注入)(16mlの造影剤を4ml/秒で)を、診断スキャン前に注入することを禁止した。ダイナミック造影効果スキャンを関心の血管全体で行った。結果として得られた処理済スキャンデータ試験スキャン)が、患者/造影剤システムのインパルス応答として解釈された。Fleischmannは、試験スキャンのフーリエ変換を試験注入のフーリエ変換で割ることにより、患者伝達関数のフーリエ変換を導き出した。システムが線形時変(LTI)系であり、かつ望ましい出力時間領域信号既知(所定の造影効果レベルでのフラットな診断スキャン)であると仮定して、Fleischmannは、望ましい出力の頻度領域の表現を、患者伝達関数のそれで割ることにより、入力時間信号を導き出した。Fleischmannらの方法は、注入システム限界(例えば、流量の限界)の結果として、現実には実現できない入力信号の計算をするため、計算された連続時間信号の打ち切りおよび近似が必要である。

現在の注入システムの制御の問題に加えて、数多くのこうしたシステムでは、注入システムが動作する方法において利便性および柔軟性を欠いている。その点において、医用注入処置の複雑さと、ヘルスケア産業のあらゆる面におけるあわただしいペースから、オペレータの時間およびスキル重視される。

数多くの現在の定量分析技術において、臨床的実用性は、通常使用への適応の可能性を減らすことになっている。現時点で利用可能な生理学的モデルは、数多くの生理的パラメータ事前の推定を必要とすることがある(例えば、心拍出量器官および大血管血液容積透過性要因)。さらに、モデルは、ある一定の数学的限界のため、試験的ボーラス造影効果に基づく患者ごとの適応にむけて正しく方向付けられてないことがある。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2008/0097197号明細書
非特許文献
(非特許文献1) GERLOWSKI el al.Physiologically Based Pharmacokinetic Modeling:Principles and Applications.Journal of Pharmaceutical Sciences,1983,Vol 72.pp 1104−1125;pg 1103,col 1,para 1;col 2,par 2;pg 1104,col 2,para 3;pg 1105,col 1,para 1;pg 1106,col 2,para 2;pg 1124.col 1,para 4

概要

本発明の目的は、造影剤の伝播をモデル化するための方法を提供することである。上記目的は、プロセッサを備えた、注入処置のための少なくとも一つのパラメータを決定するパラメータ生成システムによって実施される、生理学的薬物動態モデルを使用して患者に注入する造影剤の伝播をモデル化する方法であって、プロセッサが、血液の体積流量および造影剤の注入を終止した後の造影剤の伝播に対するその効果をモデル化する前記生理学的薬物動態モデルを実施し、前記生理学的薬物動態モデルにおいて、少なくとも一つの造影剤および希釈剤を含む流体の体積流量が血液の体積流量に及ぼす効果が導入される、方法によって解決することができる。A

目的

以下の情報は、下記に説明した技術およびこうした技術を使用できるある一定の環境を理解するために、読者を支援するために提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

プロセッサを備えた、注入処置のための少なくとも一つのパラメータを決定するパラメータ生成システムによって実施される、生理学薬物動態モデルを使用して患者注入する造影剤伝播モデル化する方法であって、プロセッサが、血液の体積流量および造影剤の注入を終止した後の造影剤の伝播に対するその効果をモデル化する前記生理学的薬物動態モデルを実施し、前記生理学的薬物動態モデルにおいて、少なくとも一つの造影剤および希釈剤を含む流体の体積流量が血液の体積流量に及ぼす効果が導入される、方法。

請求項2

前記生理学的薬物動態モデルが、造影剤の注入後のコントラスト増強剤を含まない流体の注入時の、造影剤の伝播に対する効果をモデル化する、請求項1の方法。

請求項3

前記生理学的薬物動態モデルが、前記患者の関心領域について時間造影効果曲線推定するために適応される、請求項2の方法。

請求項4

前記生理学的薬物動態モデルが、末梢静脈コンパートメント内の少なくとも一つの非線形飽和期間、または少なくとも一つのコンパートメントを通しての少なくとも一つの設定可能な伝達遅延期間を含む、請求項2の方法。

請求項5

前記生理学的薬物動態モデルのための少なくとも一つのパラメータが、少なくとも部分的に複数の個人からのデータに基づき決定される、請求項2の方法。

請求項6

前記生理学的薬物動態モデルのための少なくとも一つのパラメータが、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者特異的変数に基づき決定される、請求項2の方法。

請求項7

前記生理学的薬物動態モデルのための少なくとも一つのパラメータが、少なくとも部分的に、造影剤の注入により結果的に生成される、前記患者の少なくとも一つの時間造影効果曲線に基づき決定される、請求項2の方法。

請求項8

請求項3の方法であって、前記生理学的薬物動態モデルを使用して前記患者について時間造影効果曲線を推定することと、注入処置の少なくとも一つのパラメータを、少なくとも部分的に前記推定時間造影効果曲線に基づき決定することをさらに含む方法。

請求項9

請求項8の方法であって、診断用造影剤の注入時に時間造影効果曲線を使用して前記生理学的薬物動態モデルを更新し、前記注入処置の少なくとも一つのパラメータを変更することをさらに含む方法。

技術分野

0001

関連出願
本出願は、米国特許出願番号第61/358,400号(2010年6月24日提出)の利益を主張し、また米国特許出願番号第11/575,846号(2007年3月22日提出)、米国特許出願番号第11/691,748号(2007年3月27日提出)、米国特許出願番号第11/576,060号(2007年3月27日提出、現在は米国特許第7,925,330号を取得)、米国特許出願番号第12/519,040号(2009年6月12日提出)、米国特許出願番号第12/519.213号(2009年6月15日提出)、ならびに米国特許出願番号第12/669,292号(2009年1月15日提出)に開示および/主張されたものと関連すると考えられる主題をも含み、それらの開示内容を、参照し本書に組込み、その一部とする。

背景技術

0002

以下の情報は、下記に説明した技術およびこうした技術を使用できるある一定の環境を理解するために、読者支援するために提供するものである。本明細書で使用した用語は、本書内でそうでないことが明瞭に述べられていない限り、何らかの特定の狭い解釈に限定することを意図してはいない。本明細書に記載した参照は、技術またはその背景についての理解を促進しうる。本明細書で引用した全ての参考文献の開示内容を参照することにより組み込む。

0003

放射線検査のための造影剤投与(例えば、電動注入器を用いたもの)は、一般に臨床医が空の使い捨て注入器に、一定容積の造影剤医薬品を充填することから始まる。その他の手順において、造影剤を予め充填した注入器が使用される。次に、臨床医は、診断画像を可能にするために患者に投与される造影剤の体積流量および容積を決定する。オペレータによって決定される容積および流量を持つ、生理食塩水注入が、たいていの場合、静脈または動脈への造影剤の投与の後に続く。現時点利用可能な数多くの注入器によって、オペレータは、送達する体積流量および容積の複数の個別の相をプログラムできる。例えば、Medrad, Inc.(ペンシルニアインディアノラ)から入手できるSPECTRIS SOLARIS(登録商標)およびSTELLANT(登録商標)注入器は、患者への送達のための最大6個の個別の体積流量および容積の対または相の入力ができる(例えば、造影剤および/または生理食塩水について)。こうした注入器およびそれと併用する注入器制御プロトコルは、例えば、米国特許番号第6,643,537号および公開済み米国出願公開番号第2004−0064041号に開示があり、その開示内容を参照し本書に組込む。こうした段階のフィールド内の値またはパラメータは、一般に、各タイプの処置について、また注入/撮像処置を受ける各患者についてオペレータによる手入力がなされる。別の方法として、以前に手入力した容積および流量の値を保存しておき、コンピュータ記憶装置から後で呼び出すことができる。ところが、こうしたパラメータが、特定の処置と、特定の患者について決定される方法については、継続的な開発がなされている。

0004

その点において、撮像およびその他の処置時の異なる患者についての造影剤投薬要件の違いが認識されてきた。例えば、米国特許番号第5,840,026号(その開示内容を参照し本書に組込む)は、注入前または注入時に得られた患者特異的なデータを使用して、患者への注入をカスタム化する装置および方法を開示している。患者の違いに基づく医用撮像処置のための投薬の要件の違いは認識されてきたが、従来的な医用撮像処置では、医用撮像処置時に造影剤を注入するための、事前設定された用量または標準送達プロトコルが引き続き使用されている。MDCT(またはMSCT)スキャナーを含む、最近利用可能なCTスキャナースキャン速度が増大したことから、世界でこうした高速スキャナーが使用される地域では、単一相の注入が、二相性またはその他の多相性の注入に比べて優勢を占めている。送達のために標準的、固定的または予め決まったプロトコル(単相性、二相性または多相性のいずれであるかによらない)を使用すれば処置が単純化されるが、同一量の造影剤を異なる患者に同一のプロトコルで供給しても、像のコントラスト品質に非常に異なる結果が生じることがある。その上、最新のMDCTスキャナーが導入されて、臨床の実務において、またCT資料においての未決問題は、単一スライスヘリカルスキャナーで使用される標準的造影プロトコルが、MDCTマシンを使用した処置にうまく変換されるかどうかである。

0005

多くの研究で、動脈造影効果の改善および予測をするためのCT血管造影(CTA)中の注入プロセスについての定量分析が試みられてきた。例えば、Baeとその同僚らは、造影剤の挙動についての薬物動態PKモデル構築し、最も均一な動脈造影効果をもたらす駆動関数をつきとめることを目標にした連立微分方程式系を解いた。K. T. Bae, J. P. Heiken, and J. A. Brink,"Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model,"Radiology, vol. 207, pp. 647−55 (1998);K. T. Bae,"Peak contrast enhancement in CT andMRangiography: when does it occur and why? Pharmacokinetic study in a porcine model,"Radiology, vol. 227, pp. 809−16 (2003);K. T. Bae et al., "Multiphasic Injection Method for Uniform Prolonged Vascular Enhancement at CT Angiography: Pharmacokinetic Analysis and Experimental Porcine Method," Radiology, vol. 216, pp. 872−880 (2000); 米国特許番号第5,583,902号、第5,687,208号、第6,055,985号、第6,470,889号および第6,635,030号、これらはその開示内容を参照し本書に組込む。Bae et al.により記載された単純コンパートメントモデル一連微分方程式の逆解は、造影剤の指数関数的な流量の減少は、結果的にCT撮像処置における最適/一定の造影効果をもたらしうることを示している。ところが、PKモデルの逆解により計算された注入プロフィールは、大規模改造なしには、ほとんどのCT用電動注入器で簡単には実現できないプロフィールである。

0006

Baeモデルでは、コントローラフレームワークでのPKモデルの導入は考慮されていない。例えば、連立微分方程式を状態空間形式に変換するとき、結果としての状態行列階数は、システム公式中の自由パラメータ数のために、システムの次数よりも小さい。この階数不足は、行列反転を試みたときに特異点として現れ、また予測および制御のためのシステムのデジタル表現にとって問題である。さらに、Baeモデルは、造影剤物質伝達遅延について直接的に対処するものではなく、心肺モデル全体にわたる複数の連続したサブコンパートメントの導入によって伝達遅延をモデル化するものである。複数のサブコンパートメントは、システムの新しい相応答が追加的なコンパートメントのために異なる(追加的な)ため、シミュレートした出力において伝播遅延をもたらす。血管系の物理的見識に基づくとはいえ、複数コンパートメントの導入はいくらか恣意的である。例えば、コンパートメントは、心肺系を通した造影用ボーラスの分散および遅延のために30のサブコンパートメントに分割されている。

0007

Wada and Ward,"The hybrid model: a new pharmacokinetic model for computer−controlled infusion pumps",IEEE Trans. Biomed Eng, vol. 41(2), pp. 134−142, 1994(その開示内容を参照し本書に組込む)は、Baeがとったアプローチと類似した3コンパートメント薬物動態モデルを導き出し、麻酔剤血漿濃度を調節する試みにおける制御の仕組みにそのモデルを使用している(upload alienating)。彼らは、血流を通した薬剤再循環効果のモデル化も試みており、そのシミュレーションに伝達遅延を盛り込むことによりモデル化した。彼らは、予測誤差5%未満でシミュレーションを生成することができた。

0008

Wada and Ward "Open loop control of multiple drug effects in anesthesia",IEEE Trans. Biomed Eng, vol. 42(7), pp. 666−677, 1995、(その開示内容を参照し本書に組込む)は、その薬物動態(PK)モデルを麻酔薬の複数の効果の制御にも適用した。その制御の仕組みでは、麻酔医許容可能な副作用ベルプラズマ濃度表現)を設定することが要求される。

0009

別のアプローチでは、Fleischmannとその同僚らは、心血管生理機能および造影剤の動態学を「ブラックボックス」として扱い、システムに造影剤の短時間のボーラス(単位インパルス近似)を強制することでそのインパルス応答を決定した。その方法において、インパルス応答についてフーリエ変換が実行され、またこの伝達関数推定を操作して、それまでの慣例より最適な注入軌道推定が決定される。D. Fleischmann and K. Hittmair,"Mathematical analysis of arterial enhancement and optimization of bolus geometry for CT angiography using the discrete Fourier transform,"J Comput Assist Tomogr, vol. 23, pp. 474−84 (1999)(その開示内容を参照し本書に組込む)。

0010

造影剤の単相性投与(一般に、1つの流量で100〜150mlの造影剤)により、不等造影効果曲線が得られる。例えば、D. Fleischmann and K. Hittmair, supra; and K. T. Bae,"Peak contrast enhancement in CT andMRangiography: when does it occur and why? Pharmacokinetic study in a porcine model,"Radiology, vol. 227, pp. 809−16 (2003)(その開示内容を参照し本書に組込む)を参照。FleischmannおよびHittmairはこのようにして、大動脈の撮像の最適化を意図して、造影剤の投与を個別の患者用に合わせた二相性の注入に適応させることを試みた仕組みを提示した。CT造影剤の提示を制御することの基本的な困難は、高浸透圧の薬物が中心血液コンパートメントから急速に拡散することである。さらに造影剤は、造影剤を含まない血液と混合され希釈される。

0011

Fleischmannは、造影剤の少量のボーラス注入試験的ボーラス注入)(16mlの造影剤を4ml/秒で)を、診断スキャン前に注入することを禁止した。ダイナミック造影効果スキャンを関心の血管全体で行った。結果として得られた処理済スキャンデータ試験スキャン)が、患者/造影剤システムのインパルス応答として解釈された。Fleischmannは、試験スキャンのフーリエ変換を試験注入のフーリエ変換で割ることにより、患者伝達関数のフーリエ変換を導き出した。システムが線形時変(LTI)系であり、かつ望ましい出力時間領域信号既知(所定の造影効果レベルでのフラットな診断スキャン)であると仮定して、Fleischmannは、望ましい出力の頻度領域の表現を、患者伝達関数のそれで割ることにより、入力時間信号を導き出した。Fleischmannらの方法は、注入システム限界(例えば、流量の限界)の結果として、現実には実現できない入力信号の計算をするため、計算された連続時間信号の打ち切りおよび近似が必要である。

0012

現在の注入システムの制御の問題に加えて、数多くのこうしたシステムでは、注入システムが動作する方法において利便性および柔軟性を欠いている。その点において、医用注入処置の複雑さと、ヘルスケア産業のあらゆる面におけるあわただしいペースから、オペレータの時間およびスキル重視される。

0013

数多くの現在の定量分析技術において、臨床的実用性は、通常使用への適応の可能性を減らすことになっている。現時点で利用可能な生理学的モデルは、数多くの生理的パラメータ事前の推定を必要とすることがある(例えば、心拍出量器官および大血管血液容積透過性要因)。さらに、モデルは、ある一定の数学的限界のため、試験的ボーラス造影効果に基づく患者ごとの適応にむけて正しく方向付けられてないことがある。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2008/0097197号明細書
非特許文献
(非特許文献1) GERLOWSKI el al.Physiologically Based Pharmacokinetic Modeling:Principles and Applications.Journal of Pharmaceutical Sciences,1983,Vol 72.pp 1104−1125;pg 1103,col 1,para 1;col 2,par 2;pg 1104,col 2,para 3;pg 1105,col 1,para 1;pg 1106,col 2,para 2;pg 1124.col 1,para 4

課題を解決するための手段

0014

一態様において、生理学的薬物動態モデルを使用して患者に注入する造影剤の伝播をモデル化する方法(これには、撮像処置に使用するためのコントラスト増強剤が含まれる)には、生理学ベースの薬物動態モデルに、末梢静脈コンパートメント内の少なくとも一つの非線形飽和期間、または少なくとも一つのコンパートメントコンパートメントを通過しての少なくとも一つの設定可能な伝達遅延期間を組み込むことが含まれる。生理学的薬物動態モデルは、例えば、患者の一つ以上の関心領域についての時間造影効果曲線をモデル化、予測または推定するように適応しうる。数多くの実施形態において、生理学的薬物動態モデルが離散化可能である。

0015

少なくとも一つの設定可能な伝達遅延は、例えば、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者特異的な変数(例えば、身長年齢、体重、性別、など)に基づき設定可能である。

0016

生理学的薬物動態モデルは、例えば、造影剤の注入を中止した後の造影剤の伝播をモデル化するために適応できる。モデルは、例えば、血液の体積流量および造影剤の伝播に対するその効果を予測、推定またはモデル化することができる。生理学的薬物動態モデルは、例えば、造影剤の注入後のコントラスト増強剤を含まない流体の注入に対する造影剤の伝播の効果を予測、推定またはモデル化することができる。コントラスト増強剤を含まない流体には、例えば、生理食塩水(例えば、造影剤の注入後の生理食塩水フラッシュの場合など)を含みうる。

0017

生理学的薬物動態モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、複数の個人からのデータをもとに決定できる。生理学的薬物動態モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者特異的な変数に基づき決定できる。生理学的薬物動態学的モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に、造影剤の注入により結果的に生成される少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線に基づき決定できる。複数の関心領域についての時間造影効果曲線を、モデルの一つ以上のパラメータの決定に使用できる。

0018

この方法には、さらに、生理学的薬物動態モデルの次数を低減させることも含まれうる。次数低減モデルの数多くの実施形態において、少なくとも一つのパラメータが、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線に基づき決定される。複数の関心領域についての時間造影効果曲線は、モデルの一つ以上のパラメータの決定に使用しうる。

0019

生理学的薬物動態モデルは、例えば、注入システムおよび撮像システムを備えたシステムに組み込むことができる。このモデルは、例えば、注入処置のための少なくとも一つのパラメータの生成に使用できる。

0020

数多くの実施形態において、この方法はさらに、生理学的薬物動態モデルを使用して、患者についての時間造影効果曲線を推定し、少なくとも部分的に推定時間造影効果曲線について注入処置の少なくとも一つのパラメータを決定することが含まれうる。この方法にはさらに、診断造影剤の注入(例えば、ボーラス追跡法で)中の時間造影効果曲線を使用して、モデルを更新(例えば、モデル予測制御法で)し、例えば、注入処置の少なくとも一つのパラメータを変更することが含まれうる。

0021

別の態様において、生理学的薬物動態モデルを使用して患者に注入する造影剤の伝播をモデル化する方法には、血液の体積流量および造影剤の注入を終止した後の造影剤の伝播に対するその効果のモデル化が含まれる。生理学的薬物動態学的モデルは、例えば、造影剤の注入後のコントラスト増強剤を含まない流体の注入に対する造影剤の伝播の効果の予測、推定またはモデル化をしうる。コントラスト増強剤を含まない流体には、例えば、生理食塩水を含みうる。生理学的薬物動態学的モデルは、例えば、離散化可能としうる。

0022

生理学的薬物動態学的モデルは、例えば、患者の一つ以上の関心領域についての時間造影効果曲線を予測、推定またはモデル化するように適応できる。

0023

生理学的薬物動態学的モデルは、例えば、末梢静脈コンパートメント内の少なくとも一つの非線形飽和期間または少なくとも一つのコンパートメントコンパートメントを通過しての少なくとも一つの設定可能な伝達遅延期間を含みうる。少なくとも一つの設定可能な伝達遅延は、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者特異的な変数に基づき設定可能としうる。

0024

生理学的薬物動態学的モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に複数の個人からのデータに基づき決定しうる。生理学的薬物動態学的モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者特異的な変数に基づき決定しうる。生理学的薬物動態学的モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に、造影剤の注入により結果的に生成される少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線に基づき決定しうる。

0025

この方法は、さらに、生理学的薬物動態モデルの次数を低減させること(例えば、一つ以上のパラメータ、コンパートメントおよび/またはサブシステムの除去または連結)を含みうる。数多くの実施形態において、こうした次数低減生理学的薬物動態モデルのための、少なくとも一つのパラメータは、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線に基づき決定される。

0026

生理学的薬物動態モデルは、例えば、注入システムおよび撮像システム(これは分離、部分的に統合または完全に統合としうる)を含むシステムに組み込むことができる。このモデルは、例えば、注入処置のための少なくとも一つのパラメータの生成に使用できる。

0027

数多くの実施形態において、生理学的薬物動態モデルは、患者についての時間造影効果曲線を推定するため、また少なくとも部分的に推定時間造影効果曲線について注入処置の少なくとも一つのパラメータを決定するために使用できる。

0028

数多くの実施形態において、この方法には、さらに、診断用造影剤の注入中の時間造影効果曲線を使用してモデルを更新し、注入処置の少なくとも一つのパラメータを変更することが含まれる。

0029

本明細書に記載したモデルのいずれも、例えば、システム(例えば、少なくとも一つのプロセッサおよび少なくとも一つのプロセッサと通信状態にある少なくとも一つの記憶システムを含む)に、ソフトウェアハードウェアまたはその組合せとして含めることができる。

0030

別の態様において、システムには、注入処置のための少なくとも一つのパラメータ(例えば、注入プロトコルのパラメータまたは撮像システムパラメータ)を決定するためのパラメータ生成システムが含まれ、そのパラメータ発生装置システムには、末梢静脈コンパートメント内の少なくとも一つの非線形飽和期間、少なくとも一つのコンパートメントを通過しての少なくとも一つの設定可能な伝達遅延期間、または血液の体積流量および造影剤の注入を中止した後の造影剤の伝播に対するその効果をモデル化するための適応を含めた、患者に注入された造影剤の伝播をモデル化するための生理学的薬物動態モデルが含まれる。生理学的薬物動態モデルは、例えば、離散化可能としうる。

0031

少なくとも一つの生理学的薬物動態モデルのためのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線から決定されうる。本明細書の全てのモデルと同様に、一つ以上のパラメータ(全てのパラメータを含む)は、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線から決定されうる。

0032

生理学的薬物動態モデルの次数は、例えば、低減ができる。こうした次数低減モデルのための少なくとも一つのパラメータは、例えば、少なくとも部分的に少なくとも一つの患者の時間造影効果曲線から決定しうる。

0033

このシステムは、さらに、患者に注入された造影剤の伝播を推定、モデル化または予測するためのノンパラメトリックモデルを含みうる。ノンパラメトリックモデルは、例えば、少なくとも部分的に患者の関心領域について少なくとも一つの時間造影効果曲線に基づくことができる。ノンパラメトリックモデルは、例えば、少なくとも部分的に打ち切り特異値分解(tSVD)逆重畳積分法に基づくことができる。

0034

少なくとも一つのパラメータは、例えば、生理学的薬物動態モデルに基づく最適化方法を使用して決定できる。最適化方法は、例えば、条件付き最適化方法としうる。

0035

少なくとも一つのパラメータは、例えば、生理学的薬物動態学的モデルまたはノンパラメトリックモデルのうち少なくとも一つに基づく最適化方法を使用して決定できる。

0036

本明細書に記載したモデル、方法およびシステムは、例えば、数多くの放射線撮像手順で使用するための様々な造影剤に関連して使用できる。その上、本明細書に記載したモデル、方法およびシステムは、造影剤ではない医薬品と関連しても使用できる。

0037

様々な実施形態により提供される利点には、その後の画像処理用のための一貫した造影効果、一部の患者について負荷する造影剤または流体の低減、必要に応じて十分な像コントラストを達成するための造影剤用量の増加、溢血の可能性の減少、画像アーチファクトの低減、撮り直し数の低減、全てのスライスに最適な像コントラストが含まれる、病気の進行または治療時間経過と共に観察するスキャン間での一貫性の向上、および、選択的に早い撮像時間などが含まれるが、これに限定されない。

0038

本明細書で説明した技術は、その属性および付随的な利点と共に、以下の詳細な説明を添付図面と関連付けることで最もよく認識および理解される。

図面の簡単な説明

0039

図1Aは、造影剤などの医薬品の伝播を描写した新しい薬物動態学的モデル(ときには、本明細書でハイブリッドモデルともいう)のモデル構造の実施形態を図示したものである。
図1Bは、注入システムの実施形態を図示したものである。
図1Cは、患者パラメータスキャンパラメータおよび注入プロトコルのパラメータのための制御スクリーン設定の実施形態を図示したものである。
図2は、生理学的薬物動態モデルの総合積分器(all−integrator)ビューの実施形態を図示したもので、ここで、「CP」セクション太線は、ベクトル量を示し、その内部の行列値は、以下に記載した方程式18〜26で定義したものである。
図3は、健常被験者について造影剤造影効果のシミュレーションを図示したものである。
図4は、ピーク大動脈造影効果のシミュレーション、およびハイブリッドモデルにおける心拍出量の関数としてプロットしたピーク大動脈造影効果までの時間を図示したものである。
図5は、生理食塩水フラッシュ注入の効果をシミュレートするモデルの能力を示したシミュレーション結果を図示したものである。
図6Aおよび6Bは、Baeらによるデータをハイブリッドモデル出力と比較したものを図示したものである。(a)5ml/秒注入を使用した患者群からのBaeらの図6a(b)腹大動脈における新規モデルから、同一の造影プロトコルおよび経験的研究のデータについての患者人口統計を使用して、予測した出力。
図7は、下行大動脈から抽出した一人の被験者の(被験者1の)コントラスト増強効果プロフィールを図示したものである。エラーバーは、各測定位置でのコントラスト増強効果の標準偏差を示す。
図8は、一人の被験者の(被験者11の)臨床の撮像データ、ハイブリッドモデルシミュレーション予測およびBaeモデル予測を図示したものである。
図9Aおよび9Bは、(a)被験者6および(b)被験者8についての臨床データと比較したモデル予測を図示したものである。被験者6は47、110ポンド女性で、患者8は53歳、246ポンドの男性であった。
図10A〜10Cは、(a)RMSE(b)PDMEおよび(c)EDIの要約結果の箱髭図を図示したものである。
図11A〜11Cは、シミュレーション検定(x−=Baeモデル、o−−=ハイブリッドモデル)の散布図を図示したもので、(a)RMSE(b)PDME(c)EDIである。
図12は、試験的ボーラススキャン処置から取得した軸方向のCT画像を図示したものである。
図13は、試験的ボーラス造影剤注入による試験的ボーラススキャン分析後の患者から生成した時間造影効果曲線(図12からのデータセット)を図示したものである。
図14は、試験的ボーラススキャンデータを用いたパラメータ推定用に使用するハイブリッド低減モデル構造の実施形態を図示したものである。点線は、モデル同定のために連結したモデルサブシステムを表す。
図15は、パラメータ推定で使用するために再構築した右心および末梢コンパートメント(He1)モデル構造の実施形態を図示したものである。質量流量の期間、QPERおよびQCOは、造影剤を末梢コンパートメント1から2へ、また末梢コンパートメント2から右心へと伝達する。
図16は、パラメータ推定で使用するために再構築した左心および肺コンパートメント(He2)モデル構造の実施形態を図示したものである。心拍出量(QCO)は、造影用ボーラスを肺コンパートメントから左心コンパートメントへと伝達する。
図17は、最尤推定量を持つパラメータを同定するために使用される離散モデルの実施形態のブロック図を図示したものである。
図18は、He2Dサブシステム用のパラメータ対に対するJLH費用関数等高線図を図示したものである。
図19は、パラメータ対の関数としてのJRH費用関数の予測を示す等高線図を図示したものである。
図20は、被験者6データを使用した診断用注入のためのハイブリッドモデルシミュレーション、およびMLE法を使用した推定造影効果曲線を図示したものである。スキャン遅延およびスキャン持続時間値も、被験者6の臨床データセットから抽出したものである。
図21A〜21Cは、最尤推定量を使用したハイブリッドモデルシミュレーションセットからの結果を図示したものである。a)ハイブリッドモデルでシミュレートした20人の患者と、予測造影効果との間の二乗平均平方根誤差、b)シミュレートしたハイブリッドモデルデータと推定応答との間の予測された最大造影効果の差、c)造影効果差指数の結果。点線は、各データセットについての平均値を表す。
図22Aおよび22Bは、ハイブリッドモデルデータからMLE法を使用したシミュレーション結果を図示したものである。それぞれのバーは、異なる長さタイミングのボーラスデータにより、パラメータ推定値が生成された時点での20人の被験者全員の平均を表す。エラーバーは、平均からの1標準偏差を示す。a)シミュレーションと予測された造影効果との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)、b)シミュレーションと予測造影効果データとの間の最大造影効果差パーセント値(PDME)。
図23Aおよび23Bは、推定量の性能に対する同定およびノイズの寄与について長さ短縮試験的ボーラスの影響を示す結果を図示したものである。a)ハイブリッドモデルシミュレーション出力と、25および35秒で終わる試験的ボーラスデータについての推定器の予測との間のRMSE、b)ハイブリッドモデルシミュレーション出力と、25および35秒で打ち切った試験的ボーラスデータについての推定量の予測との間のPDME。
図24A〜24Cは、臨床データセットを使用したMLE法の性能判定基準を図示したものである。水平の点線は平均値を示す。
図25AおよびBは、(a)被験者6および(b)被験者8についての臨床データを使用したMLE予測結果を図示したものである。エラーバーは、特定のz−軸位置での大動脈内で測定した、平均からの+/−1標準偏差を示す。
図26A〜26Cは、臨床データセット(a)RMSE(b)PDME(c)EDIでのコントラスト増強効果を予測するために、ハイブリッドモデル(ハイブリッド)およびMLE法(MLE)を使用して予測造影効果の結果についての箱髭図を図示したものである。
図27は、被験者7のデータおよび行列分割(最小二乗法の解)を使用したインパルス応答、hsysについての解を図示したものである。
図28は、tSVD法を使用した被験者7のデータについての推定インパルス応答を図示したものである。
図29A〜29Cは、左心造影効果をハイブリッドモデルデータで推測するためのtSVDについての性能判定基準を図示したものである。水平の青色の点線は、平均の(a)二乗平均平方根誤差(b)最大造影効果差パーセント値(c)造影効果差指数を表す。
図30Aおよび30Bは、試験的ボーラスベクトルの長さが20〜40秒の範囲であるときのMLEおよびtSVD推定法の性能を比較する、ハイブリッドモデルシミュレーション結果を図示したものである。全てのシミュレーションにおいて、試験的ボーラスデータ(a)RMSE結果(b)PDME結果に対して追加的なノイズは存在しなかった。
図31は、試験的ボーラス長さ35秒についてのシミュレーション結果を図示したものであるが、AWGN(sigma)を試験的ボーラスデータに追加したとき、0から20 HUに変化した。各データポイントは、ハイブリッドモデルを使用してシミュレートした20人の被験者の平均である。
図32A〜32Cは、臨床データセット試験的ボーラスベクトルおよび診断造影効果データ(a)RMSE(b)PDME(c)EDIを使用した、2つの推定方法、MLEおよびtSVDによる結果を図示したものである。
図33A〜33Cは、比較のベースとして臨床データセット(a)RMSE(b)PDME(c)EDIを使用して2つの推定技術を比較した箱髭図を図示したものである。
図34は、臨床データセットの一人の被験者(被験者15)についての試験的ボーラスを図示したものである。「x」の印のある曲線は、肺動脈TECで、丸で示される曲線は、上行大動脈TECである。
図35は、個別化したプロトコル生成からの望ましい結果についての描写を図示したものである。実線の曲線は、ハイブリッドPKモデルで計算したコントラスト増強効果プロフィールであり、垂直の線は、CTスキャン取得の枠で、水平の点線は望ましい造影効果レベルを表す。
図36A〜36Dは、シミュレーションデータおよび異なる処置特性(a)250HU標的および2秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数、(b)250HU標的および8秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数、(c)350HU標的および2秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数、(d)350HU標的および8秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数を使用して、提案される費用関数の3D表面プロットを図示したものである。
図37A〜37Dは、被験者6のシミュレートしたデータについての費用関数および提案された費用関数の2D等高線図を図示したものである。十字は、各予測の真の最小を示す。(a)250HU標的および2秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数、(b)250 HU標的および8秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数、(c)350HU標的および2秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数、(d)350HU標的および8秒のスキャン持続時間での被験者6の費用関数
図38は、被験者の下行大動脈で測定した標本の試験的ボーラス応答を図示したものである。
図39A〜39Dは、[9]に記載したフーリエ逆重畳積分法(Ts=2秒/画像)を使用して計算した注入プロトコルを図示したものである。注入の合計造影剤容積は、図のそれぞれの部分に列挙している。(A)未加工のプロトコル。注入流量は負の値が許容されるため、合計造影剤容積はB〜Dよりも小さい。(B)非負のプロトコル(C)7ml/秒でクランプされ、時間>34秒での注入コマンドが除去された、非負のプロトコル(D)Cと同一のプロトコルであるが、32秒以降の標本が除去されたもの。
図40A〜40Dは、(A)未加工プロトコルを使用した理想的な造影効果プロフィール、(B)非負の注入プロトコルにより生成された造影効果、(C)非負の注入が7ml/秒までクランプされ、34秒以降は注入が許容されないときの造影効果、(D)Cと同様の造影効果プロフィールであるが、32秒後の標本が無視されたものなどで提示された注入プロトコルにより生成された予測(青色)および望ましい(緑色)造影効果レベルを図示したものである。
図41は、望ましい造影効果プロフィール(実線)と、表18でのプロトコル生成アルゴリズムを使用して予測される造影効果(点線)との間の比較結果を図示したものである。造影剤容積115mlおよび流量4.1ml/秒は、図に示された造影効果プロフィールを生成するためのアルゴリズムにより計算された。望ましいスキャン持続時間は30秒であった。
図42は、プロトコル生成の検証実験の実施形態を図示したものである。
図43は、被験者8のデータおよび本章で提示した方法で計算した注入プロトコルを使用したハイブリッドモデルシミュレーション結果を図示したものである。臨床データセットから被験者8を、ハイブリッドモデルをパラメータ化するために使用した。鎖線のTEC(〜130HUでピーク)は、左心試験的ボーラス造影効果曲線である。点線のTECは、注入プロトコル(流量4.52ml/秒、67.8ml、15秒)で生成されたもので、図の左下にある実線の矩形可視化されている(流量×10)。診断TECの上部を横切る鎖線の水平線は、300 HUの標的造影効果MHUである。2本の縦の実線は、アルゴリズムにより計算されたTsDlyで始まり4秒間続くスキャン持続時間の枠を表す。
図44は、シミュレートした20人全ての被験者についてプロットしたスキャン持続時間について、350 HUの標的を越える造影効果値を図示したものである。2秒での水平の点線は、全ての実行についてのスキャン持続時間である。
図45は、シミュレートした20人全ての被験者についてプロットしたスキャン持続時間について、250 HUの標的を越える造影効果値を図示したものである。8秒での水平の点線は、全ての実行についてのスキャン持続時間である。
図46は、臨床データを用いたピカールプロットの例を図示したものである。x軸は指数値で、y軸はフーリエ係数|uib|の対数変換である。特異値は、菱形でプロットし、実線で結ばれている。
図47は、臨床データセットで構成した「L−曲線」の例を図示したものである。

実施例

0040

本明細書および添付した請求項で使用するとき、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈からそうでないことが明瞭に表示されていない限り、複数形も含まれることが意図される。従って、例えば、「(a)パラメータ」への言及には、複数のこうしたパラメータおよび当業者に周知のその同等物などが含まれ、また「(the)パラメータ」への言及は、一つ以上のこうしたパラメータおよび当業者に周知のその同等物などが含まれる。

0041

いくつかの代表的実施形態において、生理学的薬物動態またはPBPKモデル化パラダイムを使用した。数多くの実施形態において、PBPKモデルは、例えば、離散時間領域に変換できる。その上、モデルの数多くの実施形態は、薬物動態における伝達遅延の明白な導入を提供する(すなわち、例えば、肺の脈管構造を通した造影剤の伝播時間)。身体全体血管構造内の薬物の分布を描写しうる。本明細書に記載したモデルは、医薬品一般の分布のモデル化に使用できるが、いくつかの代表的実施形態において、モデルの被験者は、造影剤配分の動脈相中のCT血管造影である。本明細書に記載したモデルは、数多くのモデル化トポロジーを組み合わせ、またBae造影剤モデルの方法でパラメータ化を含むため、こうしたモデルは、本明細書では集合的に「ハイブリッド」モデルという。ただし、上述のとおり、例えば、Baeモデルとは異なり、ハイブリッドモデルは、離散時間領域に変換できる。その上、モデル構造への設定可能な伝達遅延期間の組み込み、および入力(末梢静脈)コンパートメントでの非線形の飽和に加えて、ハイブリッドモデルの数多くの実施形態は、注入相またはコントラスト増強剤がわずかしか、もしくは全くふくまれていない流体を注入する相を含め、様々な造影剤濃度の注入相のシミュレーションを提供する(例えば、希釈剤または生理食塩水の注入相で、これはときには造影剤の注入の後でのフラッシュまたはチェイサー相と呼ばれる)。例えば、造影剤の伝播についてのこれまでの生理学的薬物動態モデルでは、例えば、こうした生理食塩水またはその他の「フラッシュ」相(これは一般に、例えば、CTA撮像処置時に使用される)の生体内でのコントラスト増強効果に対する効果のモデル化はなされない。本明細書のハイブリッドモデルは、末梢コンパートメント内の血液の体積流量が、造影剤または生理食塩水またはコントラスト増強剤を含まないその他のボーラスの体積流量により増大するために、造影剤の注入を終了させた後でさえも、例えば、造影剤移動のモデル化が可能である。コントラスト増強剤の血液の体積流量および質量流量は、独立的に扱われる。数多くの実施形態において、ハイブリッドモデルには、例えば、全身Baeモデルと比較したときと比べて少ない数の状態が含まれるが、ハイブリッドモデルの出力と全身Baeモデルとの間の比較が望ましい。例えば、ハイブリッドモデルを使用して低めの予測誤差が測定された。ある一定の場合において、ハイブリッドモデルは、両方のモデルの性能を比較するために臨床データが使用されるとき、Baeモデルよりも優れている。

0042

数多くの実施形態において、例えば、造影剤の試験注入からの一つ以上の造影剤時間造影効果曲線(TEC)を使用した医薬品の伝播を予測またはモデル化するためにデータ駆動型の方法が使用される。数多くの実施形態において、モデルベースの、またはパラメトリック同定法が、上述のハイブリッドモデルなどのPBPKモデルのための一つ以上のパラメータを同定するために使用される。数多くのこうした実施形態において、ハイブリッドモデルのほとんどの関連性のあるコンパートメント(例えば、末梢静脈コンパートメント、右心コンパートメント、肺コンパートメントおよび左心/大動脈コンパートメント)が造影剤の初回通過中に考慮される、モデル低減方法が採用された。本明細書の代表的研究においては、試験的ボーラスTECから利用可能なデータの長さの制限を考慮して、ハイブリッドモデルの全てのパラメータに適合する試みはなされなかった。しかし、十分なデータがあれば、ハイブリッドモデルの全てのパラメータの同定ができる。

0043

ノンパラメトリックまたはモデルに依存しない同定技術も、医薬品の伝播のノンパラメトリック推定を生成するために使用できる。いくつかの実施形態において、医薬品/患者システムのノンパラメトリック推定は、打ち切り特異値分解(tSVD)逆重畳積分法を使用して、逆問題解くことにより生成された。

0044

本明細書に記載したモデルは、ヒト心血管系における医薬品(造影剤または材料など)の薬物動態を予測するために使用できるだけではなく、例えば、個別の患者および処置について先見的に選択した造影効果標的を達成しつつも、低減した容積または最小容積の造影剤物質を使用して、注入処置の一つ以上のパラメータ(例えば、注入プロトコルおよび/またはスキャンの一つ以上のパラメータ)を生成または計算するためのシステムおよび/または方法も提供しうる。

0045

例えば、数多くの実施形態において、上記のデータ駆動型のコントラスト増強効果予測方法が、処置および患者変数の範囲全体でコントラスト増強効果プロフィールを首尾よく生成する、プロトコル/パラメータ生成の方法、システムまたはアルゴリズムで使用された。

0046

本書で注入処置に関して使用するとき、「注入プロトコル」または「プロトコル」という用語は、注入処置中に患者に送達される流体のタイミング、量、および/または性質を定義する、流量、注入した容積、注入持続時間、造影剤濃度などの、一群の注入の変数またはパラメータを意味する。こうしたパラメータは、注入処置の過程で変化しうる。本書で使用するとき、「相」という用語は、一般に、例えば、注入処置の合計持続時間よりも短い可能性のある、ある期間の時間(または相持続時間)中に患者に送達される流体のタイミング、量、および/または性質を定義する一群のパラメータを意味する。従って、相のパラメータは、その相の持続時間に対応する時間インスタンスについての描写をする。特定の注入処置についての注入プロトコルは、例えば、単相性(単一の相)、二相性(2つの相)または多相性(複数の相であるが、一般に3つ以上の相)として描写しうる。多相性の注入には、少なくとも注入処置の一部についてパラメータが連続的に変化しうる注入も含まれる。

0047

決定が可能なスキャナーパラメータには、患者に伝達される放射線の量、電源入力(例えば、電圧または電流)、タイミング(例えば、スキャン開始時間、停止時間、遅延時間および/または持続時間)が含まれるが、これに限定されない。

0048

いくつかの実施形態において、本明細書に記載したモデルを含むシステムは、例えば、図1Bに図示した二重注入器注入システム100を含む、注入システムを含みうる。二重注入器注入システムは、例えば、米国特許番号第6,643,537号、公開済み米国出願公開番号第2004−0064041号およびPCT国際特許出願番号第PCT/US2007/026194号に開示されている。注入システム100は、例えば、第一の流体および/または第二の流体(例えば、コントラスト増強効果流体、生理食塩水など)を、患者に独立的に(例えば、同時に、互いに異なる流量比率で同時にか、または逐次的にまたは前後して(すなわち、Aの次にB、またはBの次にA))導入する働きをする、2つの流体送達供給源(本明細書ではときには供給源「A」および供給源「B」といい、これには注入器などがある)を含みうる。図1Bの実施形態において、供給源Aは、駆動部材110Aなどの加圧機構と動作できるかたちで連結され、また供給源Bは、ドライブ部材110Bなどの加圧機構と動作できるかたちで連結されている。注入システムは、供給源Aからの流体A(例えば、造影剤)の注入および供給源Bからの流体B(例えば、生理食塩水)の注入をそれぞれ制御する駆動部材110Aおよび110Bの動作を制御する働きをする注入システム100に動作できるかたちで連結された制御システム200が含まれる。制御システム200は、例えば、ディスプレー210を備えたユーザーインタフェースを含みうるか、それと通信しうる。図1B図解した実施形態において、スクリーンディスプレーの一つの実施形態の一部が図示されており、これには例えば、流体Aおよび/または流体Bの三相の注入について注入流量、注入容積および注入持続時間のパラメータの領域が表示されている。一つ以上のこうした相についてのパラメータは、パラメータ生成システムおよびその方法を使用して自動的に入力が可能である。図1Cは、スクリーンディスプレーの別の実施形態を図示したものである。

0049

生成されたプロトコルまたはパラメータを調節および/または無効化するオプション(例えば、コンピュータ技術で周知の、キーパッドキーボードマウスなどの手動入力システム205により)をユーザーに提供しうる。制御システム200は、記憶または記憶システム230と動作できるかたちで接続されたプロセッサ220(例えば、当技術で周知のデジタルマイクロプロセッサ)を含みうる。

0050

当業者にとって明瞭であるとおり、例えば、米国特許番号第7,326,186号、第7,094,216号、第6,866,654号、第6,972,001号、第6,699,219号、第6,471,674号、第6,306,117号、第6,149,627号、第6,063,052号、第5,920,054号、第5,843,037号、第5,827,219号、第5,739,508号および第5,569,181号で開示されている、複数患者流体送達システムを含む、数多くの注入器または流体送達システムもまた、本明細書のモデルと関連した使用に適切である。

0051

撮像システム300は、例えば、上述のとおり、CTシステム磁気共鳴映像法MRI)システム、超音波撮像システム、またはポジトロン放出断層撮影法(PET)システム)または単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)システムとしうる。注入システムは、撮像システム300と通信できるかたちで接続することも、あるいはそれと部分的にまたは完全に統合することもできる。撮像システム300と注入システム100は、例えば、当技術で周知のとおり入出力ポート図2Bの矢印で示した終端で表示)を経由して通信できるように接続することができる。図1Bにおいて、撮像システム300および注入システム100は、例えば、共通の通信ハブ400を経由して通信できるかたちで接続されるよう図示されている。別の方法として、直接的な通信リンク確立しうる。さらに、撮像システム300および注入システム100のうち1つからのデータは、コンピュータ技術で周知の一つ以上の手動入力システム(例えば、キーパッド、キーボード、マウスなど)を使用して手動で入力できる。撮像システム300および注入システムまたは注入器100は、公開済みPCT国際特許出願番号第WO 2008/011401号に記載のあるとおり部分的にまたは完全に統合することもでき、その開示内容を参照によって本書に組込む。注入システムおよび撮像システム300の図示した全ての構成要素のうち一つ、いくつかは、代替的に、その他のシステム構成要素と通信できるように接続して配置された別の個別の構成要素と統合することも、その内部に組み込むこともできる。

0052

本明細書で説明したシステムおよび方法を具体化するソフトウェアおよび/またはハードウェア、またはその任意の部分は、例えば、システムの1つ以上の構成要素内(例えば、注入システム100内および/または撮像システム300内)、またはシステム500で表示された一つ以上の個別またはスタンドアロンシステム内に具体化または組み込むができ、これには、例えば、少なくとも一つのプロセッサ(例えば、デジタルマイクロプロセッサ)、記憶システム520、ディスプレー510および手動入力システム505が含まれうる。図1Bに図示した実施形態において、システム500は、通信ハブ400と通信できるように接続されたものとして表示されている。上述のとおり、直接的な通信リンクを確立することもできる。さらに、一つ以上のシステムからのデータは、コンピュータ技術で周知の一つ以上の手動入力システム(例えば、キーパッド、キーボード、マウスなど)を使用して一つ以上のその他のシステムに入力できる。本発明のシステムおよび方法を具体化するソフトウェア(例えば、そのための一つ以上の実行可能なコンピュータアルゴリズムを含む)は、例えば、記憶530に保存してプロセッサ520により実行できる。当業者にとって明らかなとおり、モデル化および/またはパラメータ生成の方法および/またはシステムの機能性の全てまたは一部分は、代替的に、撮像システム300(これには、例えば、少なくとも一つのプロセッサ320、記憶システム330、ディスプレー310および手動入力システム305が含まれうる)内、および/または注入システム100内に常駐させることができる。

0053

いくつかの代表的実施形態において、本明細書に記載した方法およびシステムは、心胸郭脈管構造のCTに関連して使用される。ところが、心胸郭脈管構造の患者特異的なコントラスト増強効果CTのための、本明細書で説明した方法および/またはシステムは、身体のその他の解剖学的な領域への適用性も持つ。特に、脚の動脈の末梢動脈血管造影は、近代的なCTスキャナーの取得速度が原因で困難を伴う。数多くの事例において、スキャナーは、造影用ボーラスを脈管構造を通して伝達する生理的プロセスを説明するために遅くする必要がある。一般に末梢動脈CTA研究を必要とする患者は、糖尿病でもあるか、またはその他の腎臓機能不全も持つことがあり、潜在的に大量の造影剤による腎臓損傷を受けやすい。したがって、本明細書で説明したとおり、例えば、患者の低減した容積または最小容積の造影剤用量を計算することが望ましい。

0054

本明細書で説明した方法および/またはシステムは、神経CT撮像にも使用できる。正確かつ個別に時間を測った造影剤の短時間のボーラスが、脳動脈のCTAにとって重要である。これらの研究では、造影剤が頭部の静脈に充満する前に、スキャンを同期化することが重要である。

0055

本明細書で説明した方法および/またはシステムは、試験的ボーラスが投与されない予測的なコントラスト増強効果シナリオでも使用できる。一部の放射線医は、スキャンの取得を造影剤の到達と同期化するのに、試験的ボーラス法よりも、ボーラス追跡ソフトウェア好む。これらのケースでは、望ましい標的を達成するために反復的な方法で、事前に造影剤注入プロトコルを決定するために、ハイブリッドモデル(患者人口統計データが入手可能であると想定)を使用することができる。患者の真の血行動態状態は、造影プロトコルの構築時には、一般に入手できない。また、心肺回路を通過した造影剤の伝播には伝達遅延があるため、いったんボーラスが注入されると、特定の患者についてのボーラスに対して及ぼすことのできる「制御」はない。にもかかわらず、このオープンループのアプローチでこのモデルを使用することは、なおも患者の体質や生理機能をなんら考慮することのない投薬よりも優れている。その上、ハイブリッドモデル、およびスキャナーのボーラス追跡取得中収集されたデータをモデル予測制御フレームワークに使用することが可能である。

0056

ガドリニウム(Gd)ベースの造影剤が、動脈および静脈の構造(MR血管造影法)の可視化の改善を提供するために、MRI(磁気共鳴像検査時に日常的に送達される。本明細書で説明した方法および/またはシステムは、例えば、MR(およびその他の撮像用途)に使用でき、一方、例えば、信号強度と例えばGd造影剤の血漿濃度の間の関係は、CT造影剤ではそうであるような線形ではないことが認識される。

0057

ハイブリッドモデル
生理学的薬物動態モデル化(PBPK)は、モデル構造の決定をするとき、関連性のある生理機能および機能を考慮するモデル化アプローチである。PBPKモデルでは、身体が解剖学的な領域に相当する数多くの相互接続したコンパートメントに分離される。各コンパートメントは、生物体の生理的および解剖学的な考慮事項に基づきパラメータ化され(容積、血流、灌流)、それぞれがコンパートメントを出入りする種の対流的伝達を促進する血管コンパートメントにより結合されている。このアプローチの利点は、モデルの構造を変化させることなく、種間でモデルの規模を拡大縮小する能力である。PBPKモデルの数学的根拠は、様々なコンパートメント間での質量保存である。

0058

本明細書の造影剤ハイブリッドモデルの一実施形態のコンパートメントを図1Aに示す。このモデルにおける各サブシステムは、解剖学的な身体の領域を表す。PBPKモデルのサブシステムは、3つのコンパートメント−細胞内、細胞外および血管内の空間に分けられる。造影剤物質は、細胞内空間には侵入しないため、数多くの造影剤伝播のPBPKモデルの実施形態で無視される。

0059

PBPKハイブリッドモデルのいくつかの実施形態についての状態変数、x、は、コンパートメント(xi)内の造影剤の質量である。ithコンパートメント内の血液の体積流量/造影剤はQiで示され、容積は変数Viで示される。サブシステム、Cl、からの造影剤のクリアランスは、不可逆的なプロセスで起こる。造影剤の抽出は、腎臓を通した糸球体ろ過によって起こる。

0060

モデルがCT血管造影時の造影剤の分布の研究および予測を意図している実施形態において、薬剤の身体への初回通過時の血液血漿濃度の数量化が、第一の関心事であり、全身の器官および実質を通して分散するときの造影剤物質の吸収および分布の描写には、肺サブシステムを除いてはあまり関心がない。こうした実施形態において、モデルは、末梢静脈、右心および左心、および全身循環の血管コンパートメントのみを考慮する必要がある。

0061

モデルのコンパートメントを出入りする質量「流束」(J)は:

0062

方程式1において、Qは体積流量であり、Vはそのコンパートメントの見かけの容積である。流れの部分fBODY、およびfPERは、心拍出量の規模をそれぞれの身体セグメントに応じてスケール変更したものである。流れの部分を加算したものは、心拍出量QCO:fPERQCO+fBODYQCO=QCOと等しくなる必要がある。このモデルの血管コンパートメントについて、見かけの容積は、血管内血液容積である。このモデルのサブシステムの質量収支を適用すると、図1Aのサブシステム、末梢、肺、右心、左心、および身体(i=1:5)について以下の全般的な式が得られる。

0063

0064

方程式2において、uexog(t)は、造影剤の外因性投与である。
これは、末梢コンパートメントにおいて非ゼロのみで、次により定義される。

0065

0066

これは、投与流量Qinj(t)、または投与した造影剤の濃度Cinj(t)、が時間の関数として変化しうるためである。体積流量と造影剤濃度の積は、ヨウ素投与レートと呼ばれる。

0067

造影剤は、ヒトの左または右の腕の末梢静脈に注入される。腕の末梢静脈を通して排出される血液の内在性の流量は、2〜4ml/秒の範囲である。おそらくは、小さな末梢静脈への高い流量の造影剤は血流を引き込むため、注入レートは、末梢静脈内の血液の内在性の流量に対して追加的なものである。一般的なCTA検査での流量は、末梢静脈を通して排出される血液の内在性の流量よりも大きい。末梢静脈への造影剤の注入は、結果として、その静脈を通しての内在性の流量に追加的な貢献をすることになる。数学的には、末梢静脈サブシステムは、末梢サブシステムにおける質量収支の線形時変化公式であり、そのため、造影剤の注入により:

0068

方程式4において、QPER_ENDは末梢静脈を通した血液の内在性の流量であり、TBODYは全身を通って再循環して末梢静脈を通って戻る造影剤の伝達遅延である。モデル全体についての時変化モデルの公式化を避けるため、方程式4は、注入後に、QPER(t)=QPER_ENDであることと、注入時に、流量はQPER_END+QInjの合計であることを考慮して、作り直すことができる。循環系に導入される伝達遅延は、TPERおよびTBODYにより示され、末梢および身体サブシステムからの造影剤の出力遅延を表す。時間遅延は、定数またはそれぞれのシステム内の血液の容積および流量の関数としうる。時間遅延に関する詳細は、以下で考察される。その後の展開において、Tinjは、造影剤注入の持続時間を表す。これらの前提のもと、末梢サブシステム動力学は、次の、標準LTI、状態空間公式で表現しうる。

0069

0070

方程式5において、yPER(t)は、末梢サブシステムを出る造影剤の質量流束(単位gI/秒)である。末梢サブシステムの濃度は、xPER(t)を末梢静脈の血液容積で割ったものである。

0071

方程式4の一般的な解は:

0072

飽和挙動は、末梢コンパートメントへの注入流量に影響を及ぼす。経験的な証拠から、末梢静脈の迎合的な性質によるか、または右心房を通った下大静脈への造影剤の逆流によって、注入が8〜10ml/秒を越えると飽和状態になることが示唆されている。よって、末梢コンパートメント動力学の全般的な描写は:

0073

式中、非線形外因性の入力関数は:

0074

図1の右心サブシステムに適用される質量の変換は:

0075

毛細血管床と肺の間の透過性の役割がモデル化されるという点で、肺サブシステムは、純粋な血管サブシステムとは異なる。完全性について、および組織における造影剤の再循環および蓄積の効果が関心となる実施形態について、組織コンパートメントについての考慮がなされる。

0076

0077

方程式10において、QCOは心拍出量、kLUNG_BTは血液コンパートメントから組織コンパートメントへの造影剤の流量伝達係数、kLUNG_TBは組織コンパートメントから血液コンパートメントに戻る流量伝達係数、CLLUNG_Tは組織コンパートメントを出る不可逆的なクリアランス期間を表す。

0078

肺の脈管構造を通しての造影剤の遅延は、左心サブシステムの動力学での入力遅延期間としてモデル化される:

0079

また、yLUNG(t)は肺サブシステムを出る造影剤の質量流束である。TLUNGは、肺の脈管構造を通って移動するボーラスの遅延時間である。これはスカラー定数または心拍出量および肺の血液容積の関数としうる。

0080

造影用ボーラスの初回通過の分布および伝播は、CT血管造影の用途では重要な関心事である。器官、筋肉、および脂肪のコンパートメントは、何回かの再循環の後での造影剤の分布に影響するため、いくつかの実施形態では考慮されない。その他の数多くの実施形態では、全身循環が一つの大きな血管コンパートメントに統合され、全身循環がその方法でモデル化される。

0081

0082

方程式4〜12を統合したモデルの統合公式を、数値的シミュレーションでの実施を容易にするために規定することができる。表記上の便宜を図り、伝達遅延のみが入力および出力の遅延として現れることを確保するために、モデルの各セクションについての状態変数からなる拡張状態ベクトルが定義される。右心、肺および左心サブシステムが、心肺(CP)状態ベクトルに統合される:

0083

式中、心肺(CP)状態ベクトルは、右心、肺および左心状態変数からなる:

0084

合計システムは以下のとおり表現される。

0085

0086

末梢サブシステムへの入力ベクトルは、末梢静脈を通した外因性の造影剤注入と、身体サブシステムから再循環される造影剤とで構成される。

0087

0088

身体サブシステム内の造影剤の血漿濃度は、流れ部分fPERによりスケール変更する。方程式16におけるスカラー関数φ(uexog)は、注入部位と方程式8で説明した右心との間での静脈システムの非線形の飽和挙動を定義する。

0089

0090

状態行列は:

0091

ここで、末梢循環を通る時変化流れ、QPER(t)は、方程式4で定義される。(Bの)制御行列は:

0092

このモデルの総合積分器ビューの実施形態を図2に示す。

0093

数値的シミュレーションについてのモデルパラメータ値の選択において、厳密さ妥当実現可能性の間のバランスをとることができる。個人の真の生理学的なパラメーターと一致するそれぞれの部分サブコンパートメントに対するパラメータ値推論することは困難なことがありうる。数多くの実施形態において、母集団データについて回帰分析によって決定される標準的な生理的「ルックアップ」テーブルおよび関係を、一つ以上のパラメータを決定するために使用した。任意の数の関係を、例えば、一つ以上のパラメータを決定するために使用できる。下述のとおり、患者からの試験的ボーラス造影効果データを使用した様々なPBPKモデル同定法も、パラメータを決定するために使用できる。数多くのシミュレーション研究において、人口統計データ(身長、体重、性別、年齢)および造影剤物質の流量、容積および濃度などの処置固有の値のみに基づくパラメータ値を使用した。

0094

年齢について修正した回帰式を、Guyton, A.,Circulatory physiology:cardiac output and its regulation. 1963, Philadelphia PA: Saundersに記載のあるとおり、心拍出量および血液容積を推定するために使用できる。数多くの実施形態において、心拍出量推定がここでは使用され、またモデルをシミュレートしたとき心拍出量推定が提供される。推定量は:

0095

式中、パラメータh、w、およびaは、身長[インチ]、体重 [ポンド]および年齢[歳]である。心拍出量の推定または測定は、米国公開特許出願番号第2010/0030073号でも考察されている。モデルにおける中心血液の容積推定量は、同様に、開示された回帰式から導き出され、また身長、体重、および性別の関数である。男性についての推定血液容積は:

0096

また、女性については:

0097

モデル全体での局所的な血液容積パラメータは、方程式28または方程式29により推定される合計血液容積と等しい。各サブコンパートメントを通る血液の体積流量は、末梢を除き、方程式27で計算した心拍出量である。異なるサブシステムにおける血液容積を、例えば、Bae, K.T., J.P. Heiken, and J.A. Brink, Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model. Radiology, 1998. 207(3): p. 647−55に記載のある関係に従い設定することができる。ただし、左心血液容積をBaeらによるとおり合計血液容積の3.6%に設定する代わりに、計算に上行大動脈を含めるために、ここに追加的な血液100mlがPBPKモデルのいくつかの実施形態で追加される。数多くの実施形態において、所定の被験者について血液容積を設定するための手順は、身長、体重、年齢および性別を用いて心拍出量および血液容積の推定を計算することである。次に、局所的な血液量が表1の関係を使用して計算される。

0098

0099

追加的なモデルパラメータには、肺、血液および組織のコンパートメント間での流量伝達係数、および中心血液コンパートメントからの造影剤クリアランスが含まれる。血液供給および組織コンパートメントからの造影剤物質の抽出は、ボーラス注入後数分で起こるため、クリアランス時間(CLUNG_T)はゼロに設定できる。同様に、造影剤物質の初回通過において、肺毛細血管床をとおした造影剤物質の通過はほとんどなく、その後の組織への蓄積はごく少ない。肺の伝達速度定数は、よってゼロに設定できる。
考慮される最後のパラメータは、末梢静脈循環を通る造影用ボーラス伝播遅延(TPER)、肺システムを通る伝播時間(TLUNG)、および循環系全体におけるボーラスの再循環遅延(TBODY)である。
数多くの実施形態において、システム再循環遅延は、一定、例えば、30秒に保持される。ただし、一つ以上の患者別または患者特異的な変数または値の考慮は、その他2つの伝播遅延についてなされる。TPERは、末梢静脈サブシステム内の血液容積および、注入速度と内在性の静脈流れの合計の関数である。同様に、肺コンパートメントを通しての伝播遅延は、各被験者について肺の血液量と推定心拍出量の関数である。システム再循環遅延は、一つ以上の患者特異的な変数に応じたものとすることもできる。いくつかの実施形態において、プラグ流れの仮定がTPERおよびTLUNG遅延についてなされる。このモデルで使用した伝達遅延の描写を表2に示す。

0100

0101

様々なパラメータおよび入力の関数としてのこのモデルの性能を、下記に提示し、またBaeモデルによる予測と比較している(どちらも開示済みでSimulinkのモデルの実施による)。ヒトデータセット内でコントラスト増強効果を予測する新しいモデルの能力を説明し、これもまたBaeモデル予測と比較している。

0102

数多くのシミュレーション研究において、注入パラメータおよびモデルパラメータを、造影剤動力学の既知の挙動を模倣するモデルの能力を示すために変化させた。コントラスト増強効果に対する心拍出量の変動の効果を再現するモデルの能力を示すシミュレーションを実行した。注入速度の増大にともなうコントラスト増強効果の飽和挙動が、モデルのシミュレーションにより、造影剤注入後の生理食塩水フラッシュの効果と同様に示された。

0103

図3は、名目的な属性を備えた仮想的な患者についての肺動脈および上行大動脈内をシミュレートしたコントラスト増強効果を示す。このモデルは、MATLAB(R2008b)で実行し、シミュレートした。この例の患者パラメータは、体重=170ポンド、身長=68インチ、性別=男性、年齢=35歳であった。方程式27を使用して、推定心拍出量は6.60 L/分であった。造影剤注入プロトコルは、濃度370 mgI/mlの造影剤を、体積流量(Qinj(t))5ml/秒で、20秒間(容積=100ml)注入することで構成された。容積30mlの生理食塩水を5ml/秒で6秒間注入した。上行大動脈内の造影効果が、期待通り、肺動脈内の最大造影効果後5〜6秒でピークに達することが注目される。同様に、上行大動脈コンパートメント内の造影効果レベルは、肺動脈幹と上行大動脈の間でボーラスが希釈されたため、期待通り肺動脈内のそれより〜100 HU低い。造影剤物質の全身の再循環は、肺動脈内の50秒での第二のコントラスト増強効果ピークと、上行大動脈内で60秒付近で第二のピークが現れることに注目することで理解できる。

0104

一連のシミュレーションを実施した別の実験を実行した。シミュレートした一人の患者について、コントラスト増強効果に対する心拍出量の影響を複製するモデルの能力を示すために、造影剤注入パラメータをセット全体で一定に保った。注入パラメータは:濃度370 mgI/mlの造影剤を5ml/秒で10秒間(容積=50ml)注入した後、生理食塩水フラッシュ相30mlを5ml/秒で行った。仮想的な患者の心拍出量は、低い値(3 L/分)から高い値(8 L/分)に1 L/分の増分で調節した。この実験では、心拍出量は、血液容積とは独立的に操作できるものと仮定した。仮想的な患者についての血液容積は、各心拍出量値について一定に保った(前の実験と同一のパラメータを使用:170ポンド、68インチ、35歳男性)。低い心拍出量値で何らかの再循環現象が発生することを避けるために、前の例のものよりも短い注入持続時間を使用した。

0105

上行大動脈におけるピークコントラスト増強効果レベル、および最大コントラスト増強効果の時間を記録したので、図4グラフで示す。心拍出量の増大に伴い、血管領域での造影用ボーラスの到達時間が減少することがわかるはずである。同様に、心拍出量の増大にともない、前の研究において理論的におよび経験的に実証されたとおり、血管構造内のコントラスト増強効果が低下することが期待される。

0106

ハイブリッドモデルについても、仮想的な35歳男性、身長68インチ、体重170ポンドを使用してMATLAB/Simulinkでシミュレートした。

0107

この組のシミュレーションでは、3つの異なる注入プロトコル、すなわち、370mgI/mlの造影剤を5ml/秒で10秒間(容積=50ml)の後、生理食塩水チェイサーを5ml/秒で6秒間(容積=30ml)、生理食塩水チェイサーを流量2.5ml/秒で6秒間(容積=15ml)、または生理食塩水チェイサーなしを使用した。その結果の時間造影効果曲線を図5に示す。このシミュレーションでは、生理食塩水フラッシュを造影用ボーラスと同一の流量で注入したプロトコルにおいて、ピーク大動脈の造影効果の14%の増大が示された。ピーク造影効果までの時間にも、0.8秒だけ遅延があった。生理食塩水を造影用ボーラスの半分の流量で注入した注入については、ピーク造影効果の増大は、生理食塩水フラッシュを投与しなかったときよりも7%大きかった。ピーク造影効果時間には、0.6秒のずれがあった。これらの結果は、Baeモデルでは複製できないが、これはBaeモデルでは、造影用ボーラスの投与後の生理食塩水チェイサーまたは希釈剤フラッシュ相の効果を考慮できるようには公式化されていないためである。この結果は、動物モデルおよびヒトにおいて他で実証された結果とのモデル応答定性的な一致を実証するものである。

0108

上述のとおり、ハイブリッドPBPKモデルの結果を、Baeモデルからの結果と比較した。Bae, K.T., J.P. Heiken, and J.A. Brink, Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model. Radiology, 1998. 207(3): p. 647−55に開示されている試験コホートからの総合データによって、比較が促進されている。患者は、造影剤注入プロトコルに基づき3群に登録された。これらは研究で使用した、二相性低流量プロトコル、単相性低流量プロトコル、および単相性高流量プロトコルの3つの造影プロトコルであった。生理食塩水フラッシュ相は、この研究のどの群でも使用しなかった。

0109

単相性、高流量コホートからのデータは、新しいモデルの評価のために使用した。その群において、27人の被験者の平均体重は177ポンドで、値の範囲は44.1〜135.0ポンドであった。造影プロトコルは、320mgI/mlの造影剤を5.0ml/秒で25秒間(容積=125ml)注入することで構成された。コホートについて身長、性別または年齢の構成に関するデータは報告されていないが、著者はそのモデルのシミュレーション時に平均身長68インチおよび性別は男性を使用する。単一レベルスキャニングをそれぞれの被験者に対して腹大動脈中心部で15秒毎に120秒間実施した後、60秒毎に最高300秒間実施した。1cm2ROIを腹大動脈上の腹腔動脈に配置した後、肝実質に別のものを配置して、TECが治験担当医師により作成された。

0110

ハイブリッドPBPKモデルを、MATLAB/Simulinkで実行した。経験的な結果は300秒まで収集されたため、造影剤は血管系を通して再循環する十分な時間があった。時間造影効果曲線またはTECにおける適切な下り勾配/再循環の動力学を確保するために、クリアランス期間をモデルに追加した。シミュレートした腎動脈での血液の体積流量の19%に設定されたクリアランス期間として、一般的な糸球体ろ過率(GFR)を、Baeモデル(公称50〜70ml/分)のシミュレーションで設定した。

0111

ハイブリッドモデルの数多くの実施形態には、腎臓コンパートメントは含まれておらず、またこうした実施形態において、クリアランスを模倣するメカニズムは、例えば、肺コンパートメントを通したものとしうる。公開されたBae経験的データを比較するシミュレーションにおいて、この問題では時間尺度が1秒よりも小さい有意な生理的プロセスがないことから、60ml/分クリアランス速度と近似させるために、血液−組織の伝達係数(kLUNG_BT)0.08秒−1およびコンパートメント除去値(CLLUNG_T)0.1秒を使用した。より長い時間のステップで得られるものと同等の結果を出すには過剰な時間がかかるため、ステップの時間が短すぎると非効率的なシミュレーションとなる。0.01および0.001の時間ステップで実施したシミュレーションでは、予測造影効果に何も差異はみられなかった。

0112

Bae研究からの総合患者データを使用したハイブリッドモデルシミュレーションの結果を、図6で総合造影効果データからの結果の隣に示す。このモデルのシミュレーションは、固定ステップソルバー(Runge−Kutta)で、ステップ時間が0.1秒で実施された。造影効果データは、経験的データとより適切な視覚的比較をするためにダウンサンプリングした。

0113

Bae, K.T., J.P. Heiken, and J.A. Brink, Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model. Radiology, 1998. 207(3): p. 647−55にある高流量群の平均ピーク造影効果は、313.7 HUとして報告されており、また新しいモデルでは、ピーク造影効果317.3HU、差パーセント値1.15%.で大動脈の造影効果曲線が生成された。Bae全身モデルでは、ピーク造影効果321.3HU、差パーセント値2.42%で造影効果曲線が生成された。このモデルにより予測されたピーク造影効果までの時間は31秒で、Bae全身モデルにより予測されたピーク造影効果までの時間は31秒で、経験的データは、平均ピーク造影効果時間32秒であった。

0114

Bae, K.T., J.P. Heiken, and J.A. Brink, Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model. Radiology, 1998. 207(3): p. 647−55に提示されている検証結果では、個別のコントラスト増強効果プロフィールのシミュレーションにおけるモデルの有用性の評価はなされていない。Bae全身モデルおよび本明細書のPBPKモデルの、個別のコントラスト増強効果プロフィールを予測する能力を判断するために、シミュレーション結果は、両方のモデルをパラメータ化するために、CTA撮像治験の被験者からの個別の患者の属性(身長、体重、年齢、性別)を用いて提示されている。次に、これらの患者の撮像データの対応する造影効果プロフィール(臨床画像から抽出されたデータ)が、2つのモデルの出力を比較するために使用される。

0115

両方のモデルの予測的な能力を評価するために、二乗平均平方根誤差(RMSE)、最大造影効果差パーセント値(PDME)、およびBae, K.T., J.P. Heiken, and J.A. Brink, Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model. Radiology, 1998. 207(3): p. 647−55に「造影効果差指数(EDI)」として記載のある判定基準次式のとおり、臨床撮像データセットから得られたシミュレートした造影効果曲線と経験的な造影効果曲線の差の合計を、経験的データの曲線下面積で割ったもの)の3つの判定基準を使用した。

0116

0117

式中、下付き文字「Sim」および「Emp」は、それぞれシミュレートした応答データおよび経験的データを表す。

0118

CT血管造影研究データセットを、ハイブリッドモデルおよびBae全身モデルの性能を比較するために使用した。研究の目的は、肺動脈幹のレベルでのタイミングボーラススキャンの特徴を使用して、患者特異的な最適化された造影剤送達アルゴリズムを評価することである。定期的な冠動脈CTA(cCTA)を受ける70人の被験者を、この研究に登録したが、合計20人からのデータをここで提示する比較検定で使用した。これは、試験的ボーラス造影効果データおよび下行大動脈データは、不完全な軸方向のCTデータセットの保管および転送のためこの数についてのみ取得できたためである。

0119

この分析で使用した20人の被験者の人口統計は、表3に要約している。この標本の平均体重は、米国内の成人についての平均(Flegal, K.M., et al., Prevalance and trendsin obesity among US adults, 1999−2000. JAMA, 2002. 288: p. 4に記載のあるとおり)であり、平均年齢は一般的にcCTAが適応された母集団全体の代表である。

0120

0121

研究の全ての被験者を、Dual SourceCTスキャナー(Definition DS、Siemens Medical、およびMalvern PA)で、標準スキャンパラメータを使用してスキャンした。全ての被験者に、300 mgI/ml造影剤物質の20ml試験的ボーラスの後、30ml生理食塩水フラッシュを流量5ml/秒で投与した。タイミングボーラススキャンを、造影剤注入の開始からおよそ(スキャナーソフトウェアにより変動が生じる)5秒後に開始し、上行大動脈でのピーク造影効果の後およそ5秒まで2秒毎に、単一レベルのスキャンを取得した。スキャナーオペレータの裁量で、被験者への過度放射線照射を低減するために、データ取得の停止をしたため、一貫した長さの取得データは得られなかった。

0122

スキャナーオペレータによって肺動脈幹および上行大動脈内に描かれた関心領域またはROIに基づき、スキャナーソフトウェアでTECが作成された。患者特異的な造影剤の流量、容積、造影剤/生理食塩水の混合物、および診断CTスキャンについての個別のスキャン遅延を計算するために、これら2つの領域でのピークまでの時間およびピーク造影効果が、治験ソフトウェアにより使用された。要約した処置固有の結果を表3および表4に示す。スキャナー設定、患者の心拍数、および撮像する生体構造の長さを含む、数多くの要因が、CTA検査のスキャン持続時間に影響する。このデータセットにおけるスキャン遅延が、公開済みのPCT出願番号第WO 2009/012023号に記載のある治験ソフトウェアにより計算された。

0123

治験ソフトウェアにより計算される造影プロトコルは、造影剤のみの部分、造影剤および生理食塩水の混合物相、および最後に生理食塩水のみの「フラッシュ」相の3相から構成されたものであった。表4で相2について報告された容積は、その相での造影剤の容積を指し、一方、相3容積は、フラッシュで送達された生理食塩水の量である。造影剤は、相2で希釈されたため、表4で報告された濃度は、原液の濃度(300mgI/ml)ではない。

0124

0125

半自動細分化ソフトウェアツールを、20人の被験者撮像セットから時間造影効果データを抽出するために使用した(ヘリカル撮像データは、診断スキャンから)。各軸方向のCT画像は、0.375 mmだけ分離した。取得データのブロック間の時間は、0.75〜1秒の間で変動があった。データセットの一例(被験者1)を図7に示す。この特定の取得についてのスキャン遅延は23秒で、そのため時間軸は23秒で始まる。造影効果データは、時間および空間の関数であるため、データセット全体での対応する空間的寸法を、図のx軸上に重ねている。PKモデルは、個々の「コンパートメント」での時間に関する予測を生成するため、ここで採用した比較は、20人の被験者の大動脈から抽出した画像データを時間的に見たものである。

0126

HU値と造影剤物質の血漿濃度の間の関係を決定するために、希釈した量の造影剤物質での実験を治験の前に使用されたスキャナで実施した。希釈した造影剤物質を、放射線不透過容器内に配置し、治験時に使用したものと同一のパラメータを使用してスキャンを実施した。HUとmgI/mlとの間の変換係数は、直線回帰により計算し、27.1HU/(mgI/ml)であった。この定数をハイブリッドモデルおよびBaeモデルシミュレーションで使用して、ヨウ素の血漿濃度をHUに変換した。

0127

臨床の撮像データを使用してBaeモデルに対するハイブリッドモデルの比較を提供するために、Bae全身PKモデルをMATLAB/Simulink内に導入した。Bae, K.T., J.P. Heiken, and J.A. Brink, Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model. Radiology, 1998. 207(3): p. 647−55に記載があり、米国特許番号第5,583,902号でさらに詳述されているこのモデルのパラメータをモデルの設定に使用した。固定時間ステップソルバー(Runge−Kutta)により、モデルを0.1秒毎に実行した。個別の被験者人口統計データ(身長、体重、性別、および年齢)は、方程式27、28および29を使用して計算し、これらは、シミュレートした各被験者について心拍出量および中心血液合計容積推定値を計算するために使用した。開示されているとおりBaeモデルでは、生理食塩水フラッシュ相のモデル化が許容されないため、モデルのシミュレーションに使用された造影プロトコルには、造影剤のみが含まれていた。変換係数27.1 HU/(mgI/ml)を、血漿濃度からHU値への変換に使用した。

0128

ハイブリッドモデルは、セクション4.1.2に提示されたパラメータおよび方法を使用してシミュレートした。Baeモデルと同様、被験者人口統計データおよび方程式27、28および29で定義されている関係により、心拍出量および血液容積の値が提供された。表1〜3のパラメータ値を、モデルを構成するために使用した。各患者についてのモデルをシミュレートするために、患者パラメータについての臨床データおよび生理食塩水フラッシュ相を含めた診断相造影剤注入プロトコルを使用して、MATLAB/Simulink(R2008b)を使用した。Baeモデルと同様、変換係数27.1 HU/(mgI/ml)により血漿濃度をHU値に変換した。

0129

各被験者について予測したHU値は、撮像データ(1秒/標本)からの造影効果曲線の時間的な解と一致させるためにダウンサンプリングした。撮像データの時間セグメントにあたる予測造影効果曲線の部分のみを比較判定基準(MSE、PDME、EDI)の計算に使用した。

0130

全部で20組の人口統計、処置、および撮像データは、十分なモデルのシミュレーションを許容し、判定基準の計算を許容するのに十分であった。被験者11の人口統計および処置データを使用したシミュレーション出力例を、図8の撮像データからコントラスト増強効果プロフィールと共にプロットする。各撮像データポイントのエラーバーは、大動脈内のそれぞれの取得位置での全ての画素の分析により決定されたコントラスト増強効果の標準偏差である。各ポイントでのノイズの原因となるのは、CTスキャナー内の内因性の撮像ノイズ、造影剤流動力学ダ、画像処理メカニズム、および構造の動作である。

0131

体重280ポンド、身長68インチの60歳女性である被験者11からのデータを使用したハイブリッドモデルにより、その患者の大動脈撮像データから取得した造影効果曲線と都合よく(RMSEが15 HU)一致する造影効果曲線が生成された。予測造影効果曲線が測定データと非常に都合よく一致しているため、またより体重の重い患者では従来的な造影剤投薬プロトコルに課題が存在するため、この患者についての結果を図8に示す。合計61mlの300 mgI/ml造影剤を4.1ml/秒で送達し、スキャン持続時間は11秒であった。

0132

Baeモデルでは、適切な造影効果曲線が生成されたが、経験的データを20〜40 HUだけ下回る。ハイブリッドモデルでは、Baeモデルよりも高いピーク造影効果値が予測された。臨床データの線形外挿法により、実際の(大動脈内の生体内でコントラスト増強効果を10〜20秒以上測定する能力を想定)ピーク造影効果値は、Baeモデルで示唆されるよりも大きな値であるべきであり、ハイブリッドモデル予測と一致することが示唆される。モデルからの造影効果予測と2組の撮像データを比較するさらに多くの例を、図9Aおよび9Bに示す。図9Aの比較は、体重110ポンド、身長61インチの37歳女性である被験者6についてであって、心拍数が80回/分であった。300 mgI/mlの造影剤物質77mlを、流量5.9ml/秒で送達し、9秒間スキャンした。図9Bの被験者8は、体重223ポンド、身長70インチの53歳男性であった。この男性の心拍数の平均は58回/分であった。300mgI/mlの造影剤74mlを、4.1ml/秒で注入し、スキャン持続時間は12秒であった。

0133

Baeモデルおよびハイブリッドモデルのどちらも、ある一定のケースで経験的データと異なるコントラスト増強効果プロフィールが予測されている。被験者6では、Baeおよびハイブリッドモデルのどちらも経験的データよりも200HU小さい造影効果最大値が予測されている。被験者8では、ハイブリッドモデルで、経験的データの最大値よりも79 HU小さい最大造影効果が予測されている。Bae最大予測は、経験的データの最大値より111HU小さい。Baeおよびハイブリッドモデルの両方で、経験的データよりも200HU小さい造影効果最大値が予想されている。

0134

ハイブリッドおよびBaeモデルの予測を比較する統計結果を、下記の表およびプロットで示す。各被験者について、患者および処置データを両方のモデルで使用した。各事例において、大動脈コンパートメントについてのモデルの造影効果出力を撮像データセットと比較した。スキャン遅延に相当する時点で開始され、スキャンが完了するまで続くシミュレーションデータセグメントを、二乗平均平方根誤差および造影効果差指数の計算に含めた。表にした結果を表5に示す。3つの比較判定基準は、ハイブリッドモデルシミュレーションについて小さいが、Mann−WhitneyU検定では、全ての測定値についてのメジアン(RMSE−U=455、p=0.229;PDME−U=445、p=0.351;EDI−U=470、p=0.064)間での有意な差は明らかにならなかった。

0135

0136

3つの比較検定についての箱髭図により、データの分布の歪みと、メジアンの同等性が明らかになっている。図10の箱髭図は、メジアンよりも大きいかまたは小さい四分位範囲(IQR)の1.5倍のデータポイントまで伸びる髭部分で描かれている。図10の十字は、メジアンから1.5*IQRよりも離れたデータポイントであるアウトライナーを示す。

0137

データを別のかたちで可視化したものが、図11の一連の散布図として提供されている。チャート目視検査により、被験者6、8、12、16および19の結果がシミュレーション性能において最も大きな変動を示すことが明らかになっている。被験者15〜20についてのハイブリッドモデル予測は、いくらかBaeデータよりも臨床データによく一致していることを示す。ハイブリッドモデルでは、20人の被験者のうち14人で低いRMSE値、20人の被験者のうち13人で低いPDME結果、また20人の被験者のうち17人で低いEDIとなった。

0138

Baeらの公開済みの全身的な生理的薬物動態と比較して、本明細書のハイブリッドモデルは、低減した次数を持ち、離散化可能であり、造影剤伝播遅延を明瞭にモデル化し、CTA処置時に通常実施される生理食塩水フラッシュ注入の効果をモデル化し、および末梢静脈循環における血漿/造影剤の相互作用の時変化効果をモデル化する。上述のとおり、ハイブリッドモデルの出力を、Baeらにより開示された臨床データと比較したものは、良好な一致を示している。さらに、ハイブリッドモデルの、ヘリカルCTAデータから得られたコントラスト増強効果プロフィールとの比較により、Baeモデルとの密接な一致、および数多くの事例において、臨床データに適合する、より適切な能力が明らかになった。

0139

試験的ボーラスデータセットからのモデルを同定する方法を試験するためのハイブリッドモデルの使用を、下記に説明する。数多くの研究において、ハイブリッドモデルの全てのパラメータの適合を試みるよりも、低減方法が採用されている。このモデル低減は、例えば、計算の負担および数値的予測信頼性を低減するために実行することができる。

0140

データ駆動型の方法
数多くの実施形態において、本明細書に記載した方法、システムおよびモデルは、試験的ボーラス注入から得られたコントラスト増強データを使用して、患者特異的なコントラスト増強効果の予測を作成するために使用される。2つの技法を評価したが、一方は、モデル構造(パラメトリック)を想定し、および他方は、ノンパラメトリック「ブラックボックス」アプローチを使用した。モデルベースのアプローチにおいて、モデルパラメータの特定時の計算上の負担を軽減するために、また時変化システムのモデル化の課題を克服するために、モデル低減方法を上述のハイブリッド薬物動態モデルに適用した。

0141

パラメトリックおよびノンパラメトリックのアプローチを含めた、その他のアプローチは、例えば、公開済み米国特許出願番号第2007/0255135号、公開済み米国特許出願番号第2007/0282263号、公開済み米国特許出願番号第2008/0097197号、公開済み米国特許出願番号第20080097197号、公開済み米国特許出願番号第2010/0113887号、公開済み米国特許出願番号第2010/0030073号、および公開済みPCT国際特許出願番号第WO 2009/012023号に考察があり、その開示内容を参照することにより本書に組込む。

0142

パラメトリック(モデルベースの)同定
データ依存型の患者特異的な造影剤伝播モデルを上述のハイブリッドPBPKモデルの次数低減形態を用いて構成するための数多くの実施形態において、モデルパラメータは、例えば、少量の「同定」用造影剤ボーラス(10〜20 ml)の注入の結果得られる2つのCT時間−造影効果曲線(肺動脈幹のレベルでの連続的な低レベルのCTスキャン)の取得後に推定される。

0143

造影剤は、一般に前腕静脈またはの血管内アクセスにより末梢循環系に注入される。数秒後に、造影剤のボーラスが右心に到達する。次に、右心室が、造影用ボーラスを肺循環押し出す。この時点で、造影用ボーラスの移動は、中心循環パラメータ、特に心拍出量により支配される。6〜20秒後、造影剤は、心臓の左側に到達し、左心室により大動脈および状脈管構造に放出される。軸方向のCT取得を肺動脈幹のレベルに位置決めして、CT画像をそのレベルでn秒毎に取得することにより、造影剤の移動の数値的および画像による描写が生成される。

0144

図12は、CT血管造影を受けている患者から取得した断面画像データの軸方向「スライス」を示す。造影剤(20ml、350mgI/ml)の小さな試験的ボーラスを、末梢的に注入し、スキャンを肺動脈幹のレベルで2秒毎に行なった。造影剤が生体構造を通って流れると、血管構造の画像造影効果または明るさが増大する。軸方向の画像が取得されると、スキャナーまたはオフライン処理ソフトウェアが、各画像について関心領域(ROI’s)内での表面統合を実施し、時間に関して平均した減衰値をプロットする。標準的な臨床方法では、造影剤注入の開始から5〜10秒後に取得を開始し、標準管電圧(120kV)ではあるが、低い時間積(10〜30mAs)で、20〜30秒間画像を取得する。

0145

ヒト被験者についての一般的な時間造影効果曲線またはTECを図13に示す。図12に示すとおり、関心領域(ROI)マーカーが、被験者の肺動脈幹および上行大動脈に配置される。

0146

試験的ボーラスTECから入手可能な限定的な長さのデータを使用して、本明細書のハイブリッドモデルの全てのパラメータを適合させる試みは、なされなかった。むしろ、ハイブリッドモデルのほとんどの関連性のあるコンパートメント(末梢静脈コンパートメント、右心コンパートメント、肺コンパートメントおよび左心/大動脈のコンパートメント)が、造影剤の初回通過時に考慮される、モデル低減方法を採用した。このアプローチは、CTA撮像が造影剤物質の初回通過時に実施されることと、スキャナーの短いスキャン取得時間のために、一般に造影剤注入の開始から30秒後に終了することを認識することにより正当化される。また、フィードバックがシステム内に存在するとき、統計的同定技術には内因性の課題がある。造影剤の再循環は、ハイブリッドモデル内での一種のフィードバックとみなされる。

0147

図14は、パラメータ推定に使用したハイブリッドモデルサブシステムの図である。PERおよびRHのコンパートメントは、一つの伝達関数、He1、にまとめられるが、ここで造影剤注入は入力関数uinj(n)で、測定したTEC(図13のROI1)は、パラメータ推定に使用したハイブリッドモデルサブシステムを図示したものである。PERおよびRHのコンパートメントは、一つの伝達関数、He1、にまとめられるが、ここで造影剤注入は入力関数uinj(n)で、肺動脈幹で測定したTEC、yRH(n)(図13のROI1)は出力信号である。yRH(n)は、スキャナー構成に依存し、較正により決定される倍数を使用して血漿濃度に変換される。モデル全体で直線性が想定されるため、注入部位から肺動脈までの造影用ボーラスの伝播遅延を描写する伝達遅延は、He1ブロック内の任意の位置に配置できる。同様に、LUNG_BおよびLHサブシステムは、伝達関数He2を持つ一つのサブシステムにまとめられる。He2ブロックについての入力関数は、yRH(n)で、出力信号は、肺動脈幹、yRH(n)内の、ROI(図13のROI2)(試験的ボーラススキャン時に大動脈に配置された)から導かれた測定濃度TEC yLH(n)である。yRH(n)は、スキャナー構成に依存し、較正によって決定される倍数を使用して 血漿濃度に変換される。モデル全体で直線性が想定されるため、注入部位から肺動脈までの造影用ボーラスの伝播遅延を描写する伝達遅延は、He1ブロック内の任意の位置に配置できる。同様に、LUNG_BおよびLHサブシステムは、伝達関数 He2を持つ一つのサブシステムにまとめられる。He2ブロックの入力関数はyRH(n)で、出力信号は、試験的ボーラススキャン時に大動脈内に配置されたROI(図13のROI2)から導かれた測定濃度TEC yLH(n)である。

0148

2つの異なる演算でパラメータ推定を実施することにより、計算の複雑さが低減される。計算の複雑さの低減に加えて、入出力データを使用して少な目のパラメータが同定されるとき、パラメータ分散の理論的な低減が実現できる。その上、一対の入出力データにより同定されるパラメータの合計数が減少すると、過剰適合の防止に役立つ。

0149

予備的なパラメータ推定時に、HE1システムにRHおよびPERコンパートメントのみを含めると、実験的データの非収束や適合不良が生じた。末梢静脈コンパートメントと右心コンパートメントの間に「中間」コンパートメントを導入することで、He1システムの次数を増やすと、その結果、パラメータ推定量が収束した。末梢コンパートメント間の質量流束は、注入流量と右心に流入する血液流量のどちらでもない新しい体積流量期間QPERにより駆動されるため、この中間コンパートメントは、末梢コンパートメント内での注入流量の効果をモデル化する方法も提供する。モデル構造を図15に示すが、これは、uinj(t)、末梢静脈への造影剤ボーラス注入、およびyRH(t)、肺動脈で測定されたTEC(およびHUから濃度単位への変換)を示す。

0150

He1についての連続時間状態空間公式化:

0151

また、ここで、測定データが肺動脈などの右心構造で収集されたCTデータから入手可能なとき、yHel(t)=yRH(t)である。末梢静脈循環を通した造影剤の伝達遅延は、TPERである。方程式32の入力関数は、投与流量(Qinj)、試験的ボーラスの濃度(Cinj)、および造影用ボーラス持続時間TDURによりパラメータ化される:

0152

式中、u(t)は、単位ステップ関数である。

0153

造影剤注入流量(Qinj)は、方程式31の公式化では省略されているが、これは、同定データセットは、生理食塩水ボーラスフラッシュが試験的ボーラス造影剤容積の後に続くときに取得されると想定されているためである。試験的ボーラスの後の生理食塩水の注入により、末梢コンパートメント(QPER)内の流量が持続時間10〜14秒のあいだ維持される(造影剤および生理食塩水の容積を流量で割ったもの)。一般的な診断用ボーラスは、持続時間が10〜14秒(造影剤)であるため、診断用注入中の末梢流量は、試験的ボーラス注入中と同一であると想定される。

0154

CTデータは、個別の時間ステップでの単一レベルのスキャニングにより取得されるため、同定手順で使用されるデータは、離散化される。方程式31で定義された連続的な状態空間システムの離散化は、線形システム理論の標準的変換により得られる。

0155

0156

下付き文字「D」は、離散化した状態空間行列の形態、またΔは、単一レベルのスキャンの間の時間で定義されたサンプリング間隔を意味する。このアプローチにより、以下の状態空間行列が得られる。

0157

0158

このモデルの第二のサブシステムは、肺および左心コンパートメントの組み合わせで、図14でHe2で表示される。CT血管造影についてのコントラスト増強効果の予測時に、初回通過の循環の効果が支配的であるため、血管領域から肺組織への造影剤の移動は無視できる。ハイブリッドモデルの派生物と同様、心肺回路を通しての造影剤物質の伝播遅延は、伝達遅延TLUNGに一まとめにされる。単離したHe2サブシステムの図式による表示を図16に示す。

0159

He2についての連続時間状態空間動力学は:

0160

また、TECデータが上行大動脈などの左心構造から入手できるとき、yHe2(t)=yLH(t)である。方程式34をシステム方程式に適用すると、AおよびBの行列についての離散時間表現となり(CおよびDの行列は連続時間表現と同等)、Δはサンプリング時間を表す。

0161

0162

2つの離散システムは、本明細書で開発したデータ駆動型のパラメータ推定技術の実施形態の基礎としての役割をする。第一の離散システム(He1D)への入力は、サンプリングした注入入力信号、uinj(n)(方程式33の離散形)であり、また出力は、肺動脈幹で測定したTEC、yRH(n)(図13のROI1)である。第二の離散システム、He2D、への入力は、yRH(n)で、出力ベクトルは、上行大動脈で測定されたTEC、yLH(n)(図13のROI2)である。図17は、2つの離散システムおよびシステムのそれぞれの入力および出力についてのブロック図を示す。パラメータ推定で使用される2つの離散した状態空間システムは:

0163

第一のシステム、He1D、で推定されるパラメータは、VPER1、VPER2、VRH、QPER、QCO、および伝達遅延TPERである。第二のシステムで推定されるパラメータは:VLH、VLUNG、QCO、および肺システムを通しての伝達遅延TLUNGである。

0164

最尤推定量
造影剤または物質の小さいボーラスを患者に注入した後で取得したスキャンデータからパラメータを推定する数多くの実施形態において、パラメータ推定は、2つの異なるステップで発生する。測定した2つの信号、yRH(n)およびyLH(n)を使用し、2つのシステムを連続的に推定することで、収束時間、計算の負荷およびパラメータ変動性は低減されるが、これは、数値最適化による一つの単一同定ステップで同定することが必要なパラメータが少ないためである。例えば、試験的ボーラス造影効果データを用いて10個のパラメータを推定する代わりに、6個のパラメータが、He1D内で、既知の入力関数、uinj(n)および出力信号yRH(n)(これは10個のデータポイントしかないこともある)を使用して同定された後、次にHe2Dについて4個のみのパラメータが、別の個別のパラメータ推定ステップ(yRH(n)およびyLH(n)を入出力データとして使用)で同定される。

0165

まず、「He2」システムは、試験的ボーラス注入からのスキャンデータと、肺動脈および上行大動脈で測定した結果得られるTECs−yRH(n)およびyLH(n)を使用してパラメータ化される。次に、「He1」システムは、信号uinj(n)およびyRH(n)、入力注入関数および肺動脈で測定されたTECを使用してパラメータ化される。パラメータを推定した後、患者についての個別のモデルが、方程式39および40を使用して構成される。上行大動脈での(試験的ボーラス注入により)予測造影効果を測定データに対して比較することにより、適合度が決定される。

0166

多数のノイズ供給源が、ゼロ次サンプリングプロセスを含めた測定プロセスに影響を及ぼすため、例えば、誤差は、通常はシステム全体に配分しうると想定できる。ガウス分布誤差の仮定および独立したノイズプロセスにより、最尤推定(MLE)を、未知のモデルパラメータの推定に使用できる。その他の方法は、例えば、当業者にとって明らかなように未知のパラメータの推定に使用できる。He1DおよびHe2Dのパラメータの推定時にMLEで使用される費用関数は、測定した試験的ボーラスTECデータyRH(n)およびyLH(n)と、それらの構造内の推定試験的ボーラス応答、

0167

の差の二乗を合計したものである。

0168

0169

式中、パラメータ推定ベクトル(「hat」表記、^、は推定パラメータを意味する)は:

0170

最尤推定は、ノイズプロセスがガウス分布であるとき、最小二乗法適合と同等であることが認識される。方程式42および42の分散項、

0171

は、費用関数の一部とならず、また測定したTECからのノイズ推定値に基づき、後で推定しうる。方程式41および方程式42の加算において、Nは、試験的ボーラス造影効果データから入手可能なTEC標本の数であり、指数変数、i、は、離散時間標本の全体にわたる。

0172

行列記法において、問題は、推定パラメータの関数によって、残差の二乗の合計を最小化することとして記述される。

0173

0174

式中、

0175

は、p−値パラメータ推定値

0176

および入力が与えられると、LHおよびRH信号を推定するn−ベクトルである。ベクトル

0177

は、He1DおよびHe2Dシステムの推定値の残差である。

0178

0179

ここで、η(n)はモデルおよび測定の不確実さを表す。

0180

n×pヤコビ行列、VRT(θHe1D)およびVLH(θHe2D)は、パラメータベクトルに関する残差ベクトルの第一の誘導体から構成される。太字のV表記は、ヤコビ行列に使用され、一方でV(太字ではない)は容積に使用されることに注意する。ヤコビ行列の要素ithおよびjthは:

0181

パラメータベクトルの最尤推定値は、通常はΣ=σ2(VTV)−1の共分散で分布し、ここで分散の推定量は[55]である。

0182

0183

パラメータ推定値の分散は、フィッシャー情報行列ヘッセ行列の逆)の逆としても表現でき、これはよく、MATLABの最適化ツールボックスなどの数値的計算パッケージからアクセスできる。

0184

推定パラメータと真のパラメータの間の差であるパラメータバイアスについての近似式は、ヤコビ行列に関連して表現できる。

0185

0186

式中、

0187

であり、式中、Hは、p×pヘッセ行列(ヤコビ導関数)である。

0188

方程式39および方程式40で定義されるモデルは、パラメータが非線形であるため、費用関数の最小化は、非線形最小二乗法NLS)問題である。NLS問題を解くための多数の反復法がある。この問題についての最適化の仕組みは、非負であることの制約をパラメータに供給できる。また、パラメータ推定値に生理的な限界を行使することが妥当である。この問題は条件付き最小化であるため、ガウスニュートンなどの線分探索技術、古典的なレーベンバーグ・丸カートなどの単性単純性)またはハイブリッド技術は適用されない。この理由から、内部−反射ニュートン法に基づく、部分空間信頼領域法を、MATLAB最適化ツールボックス(nonlinsq)に導入したものを、方程式43でのパラメータベクトルの推定に使用した。アルゴリズムは、ソルバーの毎回の反復時に、必須条件結合勾配PCG)法を使用して近似解を計算する。ヤコブおよびヘッセ行列を構成するために、解決プロセス中に有限差分近似を使用した。

0189

下記の実験において、最小化は、費用関数評価に対する収斂条件10−5、およびパラメータに対する許容範囲10−5を用いて実行した。最大関数評価数400を設定し、および各解のステップで許容される最大反復数は500とした。この実験で使用する

0190

についてのパラメータ限界を表6に提示する。

0191

0192

パラメータは、推定の開始前に、パラメータの上限および下限の50%中点初期化した。初期的な条件選択に対するソルバーの感度調査するために、5つのソルバー実行をパラメータ推定ごとに実行した。最適合出力曲線を持つ初期化ベクトルを当初の推定として選択した。He1Dシステムの推定出力ベクトル、

0193

を、コントラスト増強効果の前方予測を実施する際にHe2Dシステムへの入力として使用した。

0194

パラメトリック推定量評価方法
パラメータ推定技術の有効性を実証するために、3つの異なる実験を実施した。最初の2つの実験では、推定量(バイアス、分散)の性質と、データの時間的サンプリングでの打ち切られた入出力データおよび変形物に対するそのロバスト性を決定するために、合成的なデータを使用した。次に、回顧的な臨床データを使用して、ヒト被験者における大動脈のコントラスト増強効果の予測における推定量の性能を、肺動脈幹および上行大動脈で測定したタイミングボーラススキャンTECに基づき判断した。

0195

モデル間の比較。推定量を特性付けるために、推定量によって使用されるものと同一の方程式である方程式39および40で定義したシステムを使用して合成的なデータセットを作成した。よって、ハイブリッドモデルでは、これらの実験で使用されるデータは生成しなかった。この方法の意図は、推定量の性能を測定データから独立して分離することであった。このタイプの比較は、参考資料で「モデル間」比較という用語があてられ、モデル精度、サンプリングノイズおよびノイズ過程変動性など、その他の要因に依存しない推定量の挙動の研究にとって有用である。モデル間という用語は、パラメータを推定するために使用した同一のモデルがデータを生成したことを示す。また、「真の」パラメータ、

0196

(i=1,2について)が既知であるため、解間隔を可視化し、推定量の性能を評価することが有用である。データセットは、表7に指定したパラメータ値を使用して計算した。

0197

0198

方程式33の入力関数、uinj(t)は、持続時間5秒(TDUR)、流量5ml/秒(Qinj)での造影剤濃度370mgI/ml(Cinj)によりパラメータ化された。シミュレーションはMATLABで時間ステップ0.10秒/標本を使用して実施した。CTスキャナーによるTECに対するサンプリングの効果を模倣するために、シミュレートしたTECは、1秒/標本、2秒/標本および5秒/標本の速度でダウンサンプリングした。

0199

また、バイアスおよび分散の推定値を求めるために、方程式46および47で標準偏差0、1および2HU(η(n)を持つ合成的な測定ノイズ(AWGN)で改悪した「真の」パラメータでもシミュレーションを実行した。ノイズレベルおよび標本時間の各組み合わせについて、30回のパラメータ推定を実行した。各シミュレーション実行について、初期的なパラメータ推定値は、公称値の25%の変化があった。5つのパラメータ推定値を計算し、最適なパラメータセットを、パラメータ推定から予測造影効果曲線と、モデル、

0200

により生成されたものとの差の最小残差平均二乗誤差を生成するセットを選択することにより決定した。

0201

最後に、+/−20%で、2%の増分で変化する真のパラメータ値でノイズのないシミュレーションを実行し、費用関数JRH(θHe1D)、およびJLH(θHe2D)のグラフ表示を生成した。また、これらのシミュレーションは、初期的な条件選択に対する推定量の感度の分析もできる。表7の値の25%以内で無作為に変化する初期的な条件を使用しての5つのシミュレーションを実行した。それぞれの初期的な条件セットについて予測した試験的ボーラスとシミュレートした試験的ボーラス造影効果との間の二乗平均平方根誤差を記録して分析した。

0202

ハイブリッドモデルデータを使用した推定量性能。推定量の性能は、打ち切った試験的ボーラス造影効果データに対するノイズおよび感度の存在下で、ハイブリッドモデルデータを使用して決定した。上述のパラメータおよび方法を使用してハイブリッドモデルをシミュレートしたが、ここでシミュレートした被験者人口統計データ、および方程式27、28および29で定義した関係により、心拍出量および血液容積の値が提供された。表1〜3のパラメータ値により、モデルが構成された。MATLAB/Simulink(R2008b)を使用して、各患者について、患者パラメータの臨床データ、および生理食塩水フラッシュ相を含む診断phase造影剤注入プロトコルを使用して、モデルをシミュレートした。同一のパラメータセットを、方程式9および11から合成的な離散型試験的ボーラスデータ

0203

を作成するために使用したが、ここで上付き文字(試験H)は、ハイブリッドモデルから作成した、シミュレートした試験的ボーラス注入応答を表す。上述のシミュレーションに使用した患者人口統計により、方程式15で規定したとおり、モデルシステムがパラメータ化された。一定の流量および造影剤容積注入信号(uDiag(n))を、シミュレートしたそれぞれの「被験者」に伝達して、シミュレートした造影効果曲線

0204

を生成した。注入プロトコル、uDiag(n)は、以下の値を用いてパラメータ化した:Qinj=5ml/秒、Cinj=350mgI/mlで、25秒間の後、生理食塩水相を流量5ml/秒で持続時間8秒間。

0205

ガウスノイズベクトルにより、標準偏差0.1、0.25、0.5、1.0、2.0、5.0、10、および20HUをハイブリッドモデル試験的ボーラスデータに追加したものを用いて、パラメータ推定を実施した。20のデータセットについてハイブリッドモデルによってシミュレートした「真の」造影効果に対する予測造影効果の性能を、4.0−RMSE、最大造影効果差パーセント値(PDME)、および造影効果差指数(EDI)で得られた判定基準を使用して評価した。

0206

研究を実行する技術者にとって、ピークコントラスト増強効果の直後に試験的ボーラススキャンからのデータ収集を停止することは、一般的な慣習である。データ取得を停止する理由には、患者に対する過剰な放射線照射の懸念、および研究時間を短縮する要求が含まれる。試験的ボーラスデータ記録には、ピーク造影効果後の少数データ標本しか含まれていないことがあるため、患者特異的な造影剤送達アルゴリズムが、打ち切られたデータセットの存在下で、機能する必要がある。

0207

MLEパラメータ推定量に対する打ち切られた試験的ボーラススキャンデータの効果を決定するために、シミュレートしたハイブリッドモデルで作成した打ち切られた試験的ボーラスデータベクトルで実験を実施した。ベクトルは、追加的ノイズなしで、持続時間20、25、30、および35秒で打ち切った。次に、シミュレートした試験的ボーラスTECは、25および35秒で打ち切り、ノイズを追加した。標準偏差0.1、0.25、0.5、1.0、2.0、5.0、10、および20HUでAWGNを作成した。全てのケースで、最初のデータポイント

0208

は、注入開始後5秒であった。打ち切り時間25および35は、25秒の取得持続時間は臨床方法で期待でき、また35秒により造影剤ピークやほとんどの処置について左心コンパートメント内のピーク後の数多くの標本の取り込みが確保されるため、特定の試験ポイントとして選択した。

0209

回顧的に収集した臨床データを使用した推定量の性能。推定量の性能は、Medical University of South Carolina(Somatom Definition DS、Siemens Healthcare Malvern PA)でのIRB承認の治験中に収集された臨床データと比較して評価した。データの収集に使用されたデータセットおよび方法は上述のとおりである。

0210

治験中に収集された試験的ボーラスTECは、パラメータ推定値を導き出すために使用し、また半自動の大動脈コントラスト増強データを、上述の方法と同一な推定量の予測された出力を比較するために使用した。

0211

治験中に、スキャナーのオペレータは、肺動脈幹および上行大動脈上にROIを配置することにより、試験的ボーラススキャンデータを取得した。データ収集は、造影剤の注入開始から5秒後に開始した。単一レベルのスキャン取得は、上行大動脈でのコントラスト増強効果のピークが観察されてから2〜4秒後にオペレータによって停止された。次にスキャナーソフトウェアはデータを処理し、TECを作成したが、これがデータファイルエクスポートされ、保存された。診断スキャン造影効果プロフィールデータは、上述のとおり抽出した。

0212

実験的な方法の概要は:(1)試験ボーラスTECデータの抽出;(2)MLE法を使用したパラメトリック推定の実施;(3)臨床データセットからの診断注入プロトコルと、2で同定されたパラメータを使用した予測コントラスト増強効果の生成;(4)臨床データセットからの造影効果曲線の抽出;(5)予測されたコントラスト増強効果の、臨床データ(スキャン遅延からスキャン取得の終了まで)との比較である。

0213

データ駆動の推定量から予測した出力を、RMSE、PDME、およびEDIを使用した実際の臨床データと比較した。

0214

全てのシミュレーションおよび分析は、MATLAB(r2008b)、最適化ツールボックス(v4.1)およびSimulink(v7.2)で実施した。

0215

モデル間の比較に使用する推定量性能。モデル間シミュレーションからの結果を表9〜表12に示す。心肺系、He2D、における各パラメータについて結果として得られる平均推定量バイアスは表9にリストしたとおりである。推定量の性能を測るために使用する適合度の基準は、予測された

0216

および推定yLHの間の平均二乗誤差である。30のシミュレーション全体のMSEの平均(およびMSEの平方根)が各パラメータについてのバイアスのパーセント値に加えて表になっている。He1Dサブシステムパラメータ推定についてのバイアスの結果は、表10に要約したとおりである。

0217

パラメータ推定バイアスは、サンプリング期間0.5および1秒/標本でのQcoおよびTLUNGパラメータを除き、He2Dサブシステムでの追加的ノイズとは独立して増加した。適合のMSEは、3つ全ての標本期間についてノイズシグマの関数として同様に増加することから、サンプリング期間とは独立しているようである。パラメータ推定バイアスは、データサンプリング期間が1秒/標本を越えたとき、He1Dサブシステムで増大した。推定量の予測および真の値の間の残差のMSEは、ノイズの寄与が増大するにつれて、また1秒/標本を越えるサンプリング期間について増大した。

0218

0219

両方のシステムについてのパラメータ推定値の分散を、表8および表9に示す。パラメータ推定分散は、ノイズ寄与の標準偏差が2HUのとき、全てのサンプリング回について最大であった。伝達遅延パラメータ、TLung、の分散は、全てのパラメータ中で最大であった。

0220

0221

左心および右心の推定量(方程式44および45)についてのノイズのない費用関数の等高線図を、パラメータの範囲について作成したが、これを図18および図19に示す。各プロットにおいて、2つのパラメータは、公称値の前後で変動したが、一方でモデルのその他のパラメータは一定であった。結果的なプロットは、指定した範囲についてパラメータ空間を定義するn−空間超平面の2D投影である。解空間の最小付近で楕円細長いとき、数値的ソルバーにおいて真の最小に収束するのに問題があり、分散が増大する可能性を示す。等高線図は、単一の最小値を表示する。数多くのパラメータ対、特に、He2DサブシステムのVLH、VLUNGの対では、最小値付近で長く細い楕円が示される。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ