図面 (/)

技術 二酸化炭素還元電極及びこれを用いた二酸化炭素還元装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 飯島剛世登裕明
出願日 2015年2月19日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2015-030910
公開日 2016年8月22日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2016-151064
状態 特許登録済
技術分野 化合物または非金属の製造のための電極 非金属・化合物の電解製造;そのための装置 無消耗性電極
主要キーワード FeO粉末 還元層 アルミナ容器 還元槽 酸化電極 イオンクロマトグラフィ 還元電極 電極装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

解決手段

三級アミン化合物からなる還元触媒を含む水溶液からなる電解液中で二酸化炭素を還元してメタノールを生成するために用いられる二酸化炭素還元電極1及びこれを用いた二酸化炭素還元装置である。二酸化炭素還元電極1は、導電性基板11と、この基板11上に設けられた還元層12とを有する。還元層12は、表面に水酸基を有する金属酸化物、又は少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる。

概要

背景

近年、化石燃料枯渇問題の解決に向けて、水や二酸化炭素からエネルギー源として有用な水素有機物を生成するための研究が重要視されている。特に、光触媒又は水分解電極を用いた水分解による水素の生成に関する研究が進められている。しかし、水素は、エネルギー源として、汎用性があるとは言いがたく、貯蔵運搬に関して多くの課題がある。

そこで、二酸化炭素から汎用性のあるメタノール等のアルコールを生成する開発が進められている。例えば、三級アミン化合物からなる触媒を含む水溶液からなる電解液中で、Au等からなる金属電極により二酸化炭素を還元することにより、メタノールを生成する技術が開発されている(特許文献1参照)。

概要

メタノールの生成効率の高い二酸化炭素還元電極及び二酸化炭素還元装置を提供すること。三級アミン化合物からなる還元触媒を含む水溶液からなる電解液中で二酸化炭素を還元してメタノールを生成するために用いられる二酸化炭素還元電極1及びこれを用いた二酸化炭素還元装置である。二酸化炭素還元電極1は、導電性基板11と、この基板11上に設けられた還元層12とを有する。還元層12は、表面に水酸基を有する金属酸化物、又は少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

三級アミン化合物からなる還元触媒を含む水溶液からなる電解液(3)中で二酸化炭素還元してメタノールを生成するために用いられる二酸化炭素還元電極(1)であって、該二酸化炭素還元電極(1)は、導電性基板(11)と、該基板(11)上に設けられた還元層(12)とを有し、該還元層(12)は、表面に水酸基を有する金属酸化物、又は少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなることを特徴とする二酸化炭素還元電極(1)。

請求項2

上記金属酸化物は、CuO又はAg2Oであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素還元電極(1)。

請求項3

上記アルカリ金属はLi及び/又はCsであり、上記アルカリ土類金属はCaであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素還元電極(1)。

請求項4

上記還元層(12)は、Li2CuO2、Li2Cu、Cs2CuO2、CsAgO、又はCaFeOからなることを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素還元電極(1)。

請求項5

上記還元層(12)は、Li2CuO2、又はLi2Cuからなることを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素還元電極(1)。

請求項6

上記三級アミン化合物は、複素環アミンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二酸化炭素還元電極(1)。

請求項7

上記三級アミン化合物は、ピリジン又はピリジン誘導体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二酸化炭素還元電極(1)。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の二酸化炭素還元電極(1)と、酸化電極(2)と、該酸化電極(2)と上記二酸化炭素還元電極(1)とが浸漬された上記電解液(3)と、該電解液(3)中において上記二酸化炭素還元電極(1)と上記酸化電極(2)とを隔てるイオン交換膜(4)と、上記電解液(3)に二酸化炭素を供給する供給口(5)とを有することを特徴とする二酸化炭素還元装置(6)。

技術分野

0001

本発明は、二酸化炭素還元してメタノールを生成するための二酸化炭素還元電極、およびこれを用いて二酸化炭素還元装置に関する。

背景技術

0002

近年、化石燃料枯渇問題の解決に向けて、水や二酸化炭素からエネルギー源として有用な水素有機物を生成するための研究が重要視されている。特に、光触媒又は水分解電極を用いた水分解による水素の生成に関する研究が進められている。しかし、水素は、エネルギー源として、汎用性があるとは言いがたく、貯蔵運搬に関して多くの課題がある。

0003

そこで、二酸化炭素から汎用性のあるメタノール等のアルコールを生成する開発が進められている。例えば、三級アミン化合物からなる触媒を含む水溶液からなる電解液中で、Au等からなる金属電極により二酸化炭素を還元することにより、メタノールを生成する技術が開発されている(特許文献1参照)。

先行技術

0004

特表2012−516392号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上述のように触媒を含む水溶液中で金属電極を用いて二酸化炭素を還元すると、二酸化炭素からのメタノールの生成効率が低くなる。即ち、三級アミン化合物と二酸化炭素とから生成される反応中間体と金属電極との反応性よりも電解液中の水素イオンと金属電極との反応性の方が高いため、水の電気分解が進行して水素が発生し易いという問題がある。特に、反応性を高めるために電流密度を高くするとその傾向が顕著になり、二酸化炭素からのメタノールの生成効率がより一層低下する。

0006

本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、メタノールの生成効率の高い二酸化炭素還元電極及び二酸化炭素還元装置を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様は、三級アミン化合物からなる還元触媒を含む水溶液からなる電解液中で二酸化炭素を還元してメタノールを生成するために用いられる二酸化炭素還元電極であって、
該二酸化炭素還元電極は、導電性基板と、該基板上に設けられた還元層とを有し、
該還元層は、表面に水酸基を有する金属酸化物、又は少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなることを特徴とする二酸化炭素還元電極。

0008

本発明の他の態様は、上記二酸化炭素還元電極と、酸化電極と、該酸化電極と上記二酸化炭素還元電極とが浸漬された上記電解液と、該電解液中において上記二酸化炭素還元電極と上記酸化電極とを隔てるイオン交換膜と、上記電解液に二酸化炭素を供給する供給口とを有することを特徴とする二酸化炭素還元装置にある。

発明の効果

0009

上記二酸化炭素還元電極(以下、適宜「還元電極」という)は、表面に水酸基を有する金属酸化物、又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる還元層を有している。このような還元層は、電解液中において三級アミン化合物と二酸化炭素とから生成される反応中間体との反応性が高い。そのため、メタノール生成効率の向上が可能になる。また、電流密度を高くしても、メタノールの生成効率を充分に高くすることができる。このメカニズムは次のようにして起こると考えられる。

0010

即ち、還元層が表面に水酸化物を有する金属酸化物からなる場合には、電解液中で、負電荷分極した反応中間体と水酸基とが入れ替わり、反応中間体と金属酸化物における金属との間で配位結合が形成される。また、還元層がアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる場合には、イオン化傾向の高いアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が電解液中で正電荷に分極し、負電荷に分極した反応中間体との間で配位結合が形成される。これらの配位結合の形成により、還元電極においては反応中間体からのメタノールの生成反応が進行し易くなり、上述のようにメタノールの生成効率が向上すると考えられる。

0011

上記二酸化炭素還元装置(以下、適宜「還元装置」という)は、還元電極と、酸化電極と、電解液と、イオン交換膜と、二酸化炭素を供給する供給口とを有する。還元装置においては、上記供給口から供給された二酸化炭素と、上記電解液中に含まれる触媒とから反応中間体が生成される。この反応中間体が還元電極において還元されることにより、メタノールが生成される。還元電極は、上述のごとく反応中間体と配位結合を形成することができる還元層を有している。そのため、上記還元装置は、二酸化炭素の還元によるメタノールの生成効率が高い。

図面の簡単な説明

0012

実施例1における還元電極の断面図。
実施例1における、基板上に還元層を形成する各工程を基板のFTO膜の形成面側から示す説明図。
実施例1における、基板上に還元層を形成する各工程を基板の断面側から示す説明図。
実施例1における、還元装置の断面構成を示す説明図。
実施例4の還元電極の作製時に用いられる電気化学セルの構成を示す説明図。
実施例1及び実施例2における還元電極の還元層と、反応中間体との間で配位結合が形成されるメカニズムを示す説明図(a)、実施例3〜実施例7における還元電極の還元層と、反応中間体との間で配位結合が形成されるメカニズムを示す説明図(b)。
比較例1〜比較例4における還元電極と、反応中間体を含む電解液との間での進行する反応のメカニズムを示す説明図。

0013

次に、還元電極及び還元装置の好ましい実施形態について説明する。
還元電極において、導電性の基板は、全体が導電性を有していても、表面が部分的に導電性を有していてもよい。具体的には、例えば導電性の層を有する基板を用いることができる。導電性の基板の材質は適宜選択できる。

0014

還元電極における還元層の厚みは適宜調整可能である。還元層の厚みは、例えば0.0005〜5mmの範囲にすることができる。還元層は、基板の表面の少なくとも一部に形成されていればよい。具体的には、例えば、還元層は、基板の片面又は両面に形成されていても、基板の全表面を覆うように形成されていてもよい。

0015

表面に水酸基を有する金属酸化物からなる還元層は、金属酸化物からなる還元層であって、その表面に水酸基を有する層である。表面に存在する水酸基は、大気中の水分等から形成されると考えられる。このような金属酸化物としては、例えばCuO、Ag2O、AgO、TiO2、SnO、ZnO、Fe2O3、CdO、NiO、In2O3、Au2O3、Ga2O3、Cu2O、MoO2等を用いることができる。

0016

少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる還元電極としては、例えばアルカリ金属の酸化物、アルカリ金属を含む複合酸化物、アルカリ金属を含む合金、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属を含む複合酸化物、アルカリ土類金属を含む合金等を用いることができる。また、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを含む複合酸化物、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを含む合金等を用いることもできる。具体的には、例えばLi2CuO2、Cs2CuO2、CsAgO、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4、Li2FePO4F、CaFeO、KAgO、Li4SiO2、Li2Cu等を用いることができる。

0017

二酸化炭素の還元触媒としては、三級アミン化合物が用いられる。三級アミン化合物としては、例えば複素環アミンを用いることができる。複素環アミンは、単環であっても多環であってもよい。具体的には、ピリジンイミダゾールピロールピラゾールトリアゾールビピリジル等を用いることができる。また、これらの複素環アミンは、アルキル基ヒドロキシル基ハロゲン基アミノ基、ヒドラジノ基等の置換基を有していてもよい。アルキル基等の炭化水素鎖を有する置換基の炭素数が大きくなると、立体障壁が大きくなり、三級アミンの二酸化炭素に対する触媒活性が低下するおそれがある。かかる観点からは、置換基の炭素数は5以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。

0018

還元装置において、酸化電極は還元電極の対極である。酸化電極としては、例えば貴金属等からなる電極を用いることができる。電解液としては、例えば上述の還元触媒を含有する水溶液を用いることができる。イオン交換膜としては、各種市販品を採用することができる。

0019

(実施例1)
次に、二酸化炭素還元電極及び二酸化炭素還元装置の実施例について図面を用いて説明する。図1に示すごとく、本例の還元電極1は、導電性の基板11と、この基板11上に設けられた還元層12とを有する。基板11は、石英ガラス基板111と、その表面に形成されたフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜112とからなる。還元層12は、導電性を有するFTO膜112上に形成されている。本例における還元層12は、CuOからなり、表面に水酸基を有している。

0020

本例の還元電極1の製造方法について説明する。まず、スキージ法により基板11上に還元層12を形成する。具体的には、まず、導電性の基板11として、FTO膜112が表面に形成された石英ガラス基板111を準備した(図2(a)、図3(a)参照)。基板11としては、名科学工業(株)の製品を用いた。基板11において、FTO膜112は、石英ガラス基板111の片側面に積層されている。基板11の寸法は、縦30mm×横30mm×厚み1.8mmである。

0021

次に、図2(b)、図3(b)に示すごとく、内部がくり抜かれた板状のスペーサ120を準備した。スペーサ120の外形寸法は基板11と同様に縦30mm×横30mmであり、内部空間の寸法は縦25mm×横25mmである。スペーサ120の厚みは1mmである。このスペーサ120を基板11のFTO膜111の形成面上に載置した。次いで、図2(c)、図3(c)に示すごとく、スキージ法により、スペーサ120の内部空間内にCuOペーストを塗布することにより、基板11のFTO膜111上にCuOペースト層121を形成した。CuOペーストとしては、エタノール500μl当たり中に含まれるCuO粉末シグマアルドリッチ社製の試薬)の量が0.500mgとなる割合で配合されたペーストを用いた。

0022

次いで、CuOペースト層121を温度50℃で1時間乾燥させた後、スペーサ120を取り外した。次いで、CuOペースト層121が積層された基板11を温度550℃で1時間焼成した。これにより、図2(d)、図3(d)に示すごとく、厚み0.02mmの還元層12を基板11上に形成した。この還元層12は、CuOからなり、表面に水酸基を有している。

0023

なお、上述の例においては、スキージ法により、還元層12を作製したが、還元層12は、例えばスピンコータ法、電気泳動法電析法等により作製することもできる。

0024

次に、還元電極1を用いて還元装置を組み立てた。図4に示すごとく、還元装置6は、還元電極1と、酸化電極2と、触媒(ピリジン)を含有する電解液3と、イオン交換膜4(以下、適宜「膜4」という)と、CO2を供給するための供給口5とを有する。電解液3は、濃度0.01mol/Lのピリジン水溶液である。還元装置6においては、50mlの電解液3がケース60内に注入されている。ケース60は、(株)イーシーフロンティア製のH型セルVB−9である。即ち、ケース60は、H型であり、2つのケース601、602と両者を連結する連結部603とからなる。

0025

ケース601内には、還元電極1と、Ag/AgClからなる参照電極19とが挿入されている。還元電極1と参照電極19とは電気的に接続されている。一方、ケース602内には、還元電極1の対極である酸化電極2が挿入されている。酸化電極2は、Ptワイヤからなる。還元電極1は、ポテンショスタット69の正極に電気的に接続されており、酸化電極2は、ポテンショスタット69の負極に電気的に接続されている。連結部603には、膜4(シグマアルドリッチ社製のナフィオン117)が配置されている。膜4は、還元電極1と酸化電極2との間に存在し、電解液3を分離している。ケース60内において、還元電極1、参照電極19、酸化電極2、及び膜4は、電解液3中に浸されている。還元装置6においては、ケース601側が還元槽を構成し、ケース602側が酸化槽を構成している。

0026

各ケース601、602の開口部は、栓603、604により密閉されている。ケース601側の栓603には、二酸化炭素を供給する管50が挿入されている。この管50の供給口5から電解液3中に二酸化炭素(CO2)が供給される。

0027

また、還元装置6は、図4に示すように、電流計71及び電圧計72を備える電気化学アナライザ7に電気的に接続されている。電気化学アナライザ7は、ビー・エー・エス(株)製のALSモデル660Eである。電流計71は、還元電極1と酸化電極2との間に接続されており、電圧計72は、還元電極1と参照電極19との間に接続されている。

0028

次に、還元装置6を用いてCO2の還元を行い、メタノールの生成量分析を行った。具体的には、図5に示すごとく、供給口5から還元装置6のケース601内(還元槽側)の電解液3中に、G1レベル、即ち純度99.99995vol%の炭酸ガス(CO2)を1時間吹き込んだ。炭酸ガスの流速は10ml/minである。次いで、ポテンショスタット69によって還元電極1に2Vの電圧印加することにより、二酸化炭素の還元反応を実施した。還元反応中も10ml/minの流速で炭酸ガスを電解液3中に吹き込み続けた。この還元反応を2時間実施し、還元生成物であるメタノール(MeOH)、一酸化炭素(CO)、水素(H2)、メタン(CH4)、及びギ酸(HCOOH)の定量を行った。

0029

各還元生成物の定量は、次の装置及び条件により行った。
(1)メタノール
装置:ガスクロマトグラフィ(FID)((株)島津製作所製のGC−2014)
条件:70℃での定温測定
操作:還元反応後の電解液をシリンジにより装置に注入した。

0030

(2)一酸化炭素、水素、メタン
装置:ガスクロマトグラフィ(TCD)(アジレント・テクノロジー(株)製のアジレント 7890A)
条件:初期温度60℃から20℃/minの昇温速度で温度180℃まで昇温
操作:還元反応後のケース内ガスをシリンジにより装置に注入した。

0031

(3)ギ酸
装置:イオンクロマトグラフィサーモフィッシャーサイエンティフィック社製のDionex IC20)
条件:炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム電離液により分離・抽出
操作:反応後の電解液をシリンジにより装置に注入した。

0032

上述の(1)に示すガスクロマトグラフィによって測定されるメタノールの生成量を後述の表1に示す。また、(1)〜(3)の方法によって測定される各還元生成物の生成量から、下記の式(α)に基づいて、メタノール生成の選択性Sを算出した。その結果を後述の表1に示す。なお、式(α)において、Aはメタノールの生成量(mol)であり、Bは一酸化炭素の生成量(mol)であり、Cは水素の生成量(mol)であり、Dはメタンの生成量(mol)であり、Eはギ酸の生成量(mol)である。
S(%)=100×A/(A+B+C+D+E)・・・(α)

0033

(実施例2〜7)
次に、還元層12の組成が実施例1とは異なる複数の還元電極1を作製した(図1参照)。なお、後述の実施例2〜7において、実施例1と同じ符号は、実施例1と同様の構成要素等を示すものであって、先行する説明を参照する。

0034

実施例2の還元電極1は、還元層12がAg2Oからなり、その他の構成は実施例1と同様である。実施例2の還元電極1は、上述の実施例1におけるCuO粉末の代わりにAg2O粉末(シグマアルドリッチ社製の試薬)を用いた点を除いては実施例1と同様にして作製した。

0035

実施例3の還元電極1は、還元層12がLi2CuO2からなり、その他の構成は実施例1と同様である。実施例3の還元電極1は、上述の実施例1におけるCuO粉末の代わりにLi2CuO2粉末を用いた点を除いては実施例1と同様にして作製した。Li2CuO2粉末は、次のようにして調整した。具体的には、まず、乳鉢を用いてLi2CO3粉末とCuO粉末とを等モルずつ混合した。混合粉アルミナ容器に移し、温度685℃で24時間焼成した。次いで、焼成後に得られる焼結体を乳鉢中で粉砕することにより、上述のLi2CuO2粉末を得た。

0036

実施例4の還元電極1は、還元層12がLi2Cuからなり、その他の構成は実施例1と同様である。実施例4の還元電極は、図5に示す電気化学セル8により、上述の実施例3の還元電極1におけるLi2CuO2からなる還元層12を還元することにより作製した。まず、以下のようにして電気化学セル8を構築した。図5に示すごとく、まず、実施例3の還元電極1と、導電性の基板11とをケース80内の電解液800中に浸漬した。ケース80内は、栓801により密閉されている。導電性の基板11は、実施例1と同様のFTO膜112が表面に形成された石英ガラス基板111である。電解液800は、濃度0.1mol/LのNa2SO4水溶液である。還元電極1は、ポテンショスタット81の正極に電気的に接続されており、基板11は、ポテンショスタット81の負極に電気的に接続されている。また、ケース80内には、Ag/AgClからなる参照電極19が挿入されており、電圧計72が還元電極1と参照電極19との間に接続されている。また、還元電極1と基板11との間を流れる電流値計測するための電流計71が設けられている。また、電気化学セル8には、還元電極1の還元層12に光851を照射するための光源85が設けられている。

0037

このような構成の電気化学セル8の還元電極1に2Vの電圧を印加しながら、還元層12に光851を照射した。光851の波長は365nmで、強度は10mW/cm2である。この電圧の印加と光の照射により、Li2CuO2からなる還元層12を還元し、Li2Cuからなる還元層を生成させた。このようにして、実施例4の還元電極を作製した。

0038

実施例5の還元電極1は、還元層12がCs2CuO2からなり、その他の構成は実施例1と同様である。実施例5の還元電極1は、上述の実施例1におけるCuO粉末の代わりにCs2CuO2粉末を用いた点を除いては実施例1と同様にして作製した。Cs2CuO2粉末は、次のようにして調整した。具体的には、まず、乳鉢を用いてCs2CO3粉末とCuO粉末とを等モルずつ混合した。混合粉をアルミナ容器に移し、温度500℃で10時間焼成した。次いで、焼成後に得られる焼結体を乳鉢中で粉砕することにより、上述のCs2CuO2粉末を得た。

0039

実施例6の還元電極1は、還元層12がCsAgOからなり、その他の構成は実施例1と同様である。実施例6の還元電極1は、上述の実施例1におけるCuO粉末の代わりにCsAgO粉末を用いた点を除いては実施例1と同様にして作製した。CsAgO粉末は、次のようにして調整した。具体的には、まず、乳鉢を用いてCs2CO3粉末とAg2O粉末とを等モルずつ混合した。混合粉をアルミナ容器に移し、温度500℃で10時間焼成した。次いで、焼成後に得られる焼結体を乳鉢中で粉砕することにより、上述のCsAgO粉末を得た。

0040

実施例7の還元電極1は、還元層12がCaFeOからなり、その他の構成は実施例1と同様である。実施例7の還元電極1は、上述の実施例1におけるCuO粉末の代わりにCaFeO粉末を用いた点を除いては実施例1と同様にして作製した。CaFeO粉末は、次のようにして調整した。具体的には、まず、無水酢酸カルシウム((CH3CO2)2Ca・H2O)と硝酸鉄(Fe(NO3)3)とを等モルで水中に溶解させた。次いで、溶液中に分子量600のポリエチレングリコール(PEG)を入れた後、溶液を温度120℃で撹拌しながら乾燥させて水分を飛ばした。得られた固形分を温度450℃で2時間焼成した後、さらに温度1050℃で10時間焼成した。次いで、焼成後に得られる焼結体を乳鉢中で粉砕することにより、上述のCaFeO粉末を得た。

0041

上記のようにして得られた実施例1〜実施例7の還元電極1をそれぞれ用いて実施例1の同様の構成の還元装置6を作製した(図4参照)。そして、実施例1と同様にして各還元装置を用いてCO2の還元を行い、メタノールの生成量、及びメタノール生成の選択性を調べた。その結果を後述の表1に示す。

0042

(比較例1〜4)
次に、実施例1〜実施例7の比較用として4種類の金属電極からなる還元電極を作製した。比較例1の還元電極はPtからなる。比較例2の還元電極はCuからなる。比較例3の還元電極はAgからなる。比較例4の還元電極はTiからなる。また、各比較例の還元電極を用いて実施例1と同様の構成の還元装置を作製した。そして、実施例1と同様にして各還元装置を用いてCO2の還元を行い、メタノールの生成量、及びメタノール生成の選択性を調べた。その結果を後述の表1に示す。

0043

(実施例1〜7と比較例1〜4との比較)
各実施例1〜7及び比較例1〜4におけるメタノールの生成量、及びメタノール生成の選択性は、次の表に示す通りである。

0044

0045

表1より知られるように、実施例の還元電極1を用いた電極装置6においては、CO2の還元生成物であるメタノールの生成量が高く、さらにメタノールの選択性も高い。これに対し、比較例の還元電極を用いた還元装置においては、メタノールの生成量が低かったり、選択性が低くなっていた。即ち、実施例のように、表面に水酸基を有する金属酸化物、又は少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる還元層12を有する還元電極1を用いることにより、メタノールの生成効率を充分に高められることがわかる。このメカニズムについて、図6及び図7を用いて考察する。

0046

即ち、実施例1及び実施例2のように、還元層12が表面に水酸化物を有する金属酸化物からなる場合には、図6(a)に示されるように、電解液中で、負電荷に分極した反応中間体31と、還元層12の表面に存在する水酸基とが入れ替わる。これにより、反応中間体31と、還元層12内の金属酸化物において正電荷に分極にした金属Mとの間で配位結合が形成される。その結果、反応中間体31と還元層12との間に結合が形成されるため、反応中間体31の還元が起こり易くなり、メタノールの生成効率が高くなると考えられる。

0047

また、実施例3〜実施例7のように、還元層12がアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる場合には、図6(b)に示されるように、イオン化傾向の高いLi、Cs等のアルカリ金属及び/又はCa等のアルカリ土類金属が電解液中で正電荷に分極し、負電荷に分極した反応中間体31と配位結合が形成される。図6(b)においては、アルカリ金属であるLiを例にしてこの配位結合の形成される様子を図示しているが、Cs等の他のアルカリ金属や、Ca等の他のアルカリ土類金属についても同様である。これらの配位結合の形成により、還元層12においては反応中間体31からのメタノールの生成反応が進行し易くなり、上述のようにメタノールの生成効率が高くなると考えられる。

0048

一方、比較例1〜4のように、Ptなどの金属からなる還元電極9の場合には、図7に示すごとく、還元電極9を構成する金属Mと反応中間体31とが引きつけ合い難い。そのため、反応中間体31と還元電極9との反応性よりも電解液中の水素イオンと還元電極9との反応性の方が高くなり、反応中間体31からのメタノールの生成よりも水の電気分解が進行し易く、水素が発生し易い。

0049

以上のように、実施例のように表面に水酸基を有する金属酸化物、又は少なくともアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む酸化物又は合金からなる還元層12を有する還元電極1を用いることにより、メタノールの生成効率を充分に高められる。

0050

また、実施例1及び実施例2のように、還元層12を構成する金属酸化物は、CuO又はAg2Oであることが好ましい。この場合には、上述の表1に示すように、メタノールの生成効率を確実に高めることができる。

0051

また、実施例3〜実施例7のように、アルカリ金属はLi及び/又はCsであり、アルカリ土類金属はCaであることが好ましい。さらに、還元層12は、Li2CuO2、Li2Cu、Cs2CuO2、CsAgO、又はCaFeOからなることがより好ましい。これらの場合には、上述の表1に示すように、メタノールの生成効率を確実に高めることができる。また、メタノールの生成効率をより高めるという観点からは、還元層12は、Li2CuO2、又はLi2Cuからなることがさらにより好ましい(表1参照)。

0052

また、本例においては、二酸化炭素を還元するための還元触媒として、ピリジンを用いた例について説明した。しかし、上述のメカニズムに基づけば、ピリジンだけでなく、他の三級アミン化合物を触媒に用いてもピリジンの場合と同様の反応中間体31が生成され、この反応中間体31と還元層12との反応性が高められることがわかる(図6参照)。したがって、還元触媒としては、各種三級アミン化合物を用いることが可能である。

0053

三級アミン化合物は、複素環アミンであることが好ましく、ピリジン又はピリジン誘導体であることより好ましい。この場合には、上述の表1に示すように、メタノールの生成効率を確実に高めることができる。

実施例

0054

以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。

0055

1二酸化炭素還元電極
11導電性の基板
12還元層
2酸化電極
3電解液
6 二酸化炭素還元装置

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 凸版印刷株式会社の「 電極触媒層」が 公開されました。( 2019/05/30)

    【課題】排水性やガス拡散性が向上でき、高出力が可能な高分子形燃料電池用の電極触媒層を提供する。【解決手段】高分子電解質膜に接合される電極触媒層2,3である。電極触媒層2,3は、触媒13、炭素粒子14、... 詳細

  • 凸版印刷株式会社の「 電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池」が 公開されました。( 2019/05/30)

    【課題】十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。【解決手段】高分子電解質膜11の表面に接... 詳細

  • 栗田工業株式会社の「 ポリプロピレン樹脂の親水化処理方法」が 公開されました。( 2019/05/30)

    【課題】ポリプロピレン樹脂表面に十分に密着しためっきを形成することができるポリプロピレン樹脂の親水化処理方法の提供。【解決手段】処理装置1が、処理槽2と、循環ポンプ5を備えた配管4から連続するダイヤモ... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ