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技術 ヒトキマーゼ阻害剤およびヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防治療用薬剤

出願人 学校法人福岡大学福岡県株式会社エヌ・エル・エー
発明者 浦田秀則黒田理恵子平野吉男阿部征次
出願日 2015年2月17日 (6年2ヶ月経過) 出願番号 2015-028840
公開日 2016年8月22日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-150915
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 食品の着色及び栄養改善 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬
主要キーワード ルテオリニジン OG基 検定サンプル 保険食品 関連臓器 脂肪族有機酸 組織肥満細胞 最終活性
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

ヒトキマーゼ活性関与する高血圧症アトピー性皮膚炎乾癬及び蕁麻疹等の各種疾患の予防と治療に用いられる医薬として有用である新規のヒトキマーゼ阻害剤の提供。

解決手段

式(a)で表されるヒトキマーゼ阻害剤。(R1〜R5は各々独立に水酸基又はメトキシ基;X1は水酸基又は−OG基;Gは糖鎖

概要

背景

レニン−アンジオテンシン系は、全身血圧体液量などの恒常性を保つ内分泌機構の一つである。レニン-アンジオテンシン系では、レニンによってアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIを産生し、さらにアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへ変換される。この変換は循環血中ではアンジオテンシン変換酵素(ACE)による。
アンジオテンシンIIは、その強い血管収縮作用から高血圧性疾患における主要な原因因子であることが知られている。また、アンジオテンシンIIは、増殖因子として繊維芽細胞の増殖などを促し、特に心血管系疾患においては、心筋細胞肥大平滑筋細胞遊走・増殖、線維芽細胞細胞マトリックス産生刺激アポトーシス誘導など広く細胞機能の調節に関わり、線維化や腎硬化動脈硬化巣の形成においても重要な役割を担う。
このように、アンジオテンシンIIは、レニン−アンジオテンシン系の最終活性ペプチドであり、アンジオテンシンIIの産生を抑制することにより、高血圧等のアンジオテンシンIIに起因する疾患を予防することや治療することが期待できる。

アンジオテンシンIIを産生する経路として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生する経路が知られている。そして、アンジオテンシン変換酵素の活性阻害するACE阻害剤は、アンジオテンシンIIに起因する疾患の予防治療薬として、その有効性は臨床において明確にされている。しかしながら、ACE阻害剤には、空などの副作用があることも知られており、また、ACE阻害剤は、高血圧症の予防や治療に有用とされているが、ACE阻害剤を投与しても有効な降圧作用が認められない高血圧症(例えば、塩分過剰摂取による高血圧症)が存在している。

一方、ヒトキマーゼ(以下、「キマーゼ」と記載する場合がある。)は、ACE以外にアンジオテンシンIIを産生する能力を有する酵素であり、ヒト組織局所におけるアンジオテンシンIIの産生に、ACEに依存しない「非ACE依存性経路」として注目されている。
本願発明者らは、ヒト心臓よりアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生する酵素を単離抽出し、その酵素の化学構造および遺伝子クローニングから、ヒトキマーゼがアンジオテンシンIIの産生を担うことを明らかにしている(非特許文献1〜3)。また、ヒトキマーゼは組織結合型の肥満細胞で産生され分泌顆粒に保存され、分泌顆粒から分泌組織局所において生理機能をもつとされる。血管壁において、正常時、ヒトキマーゼは外膜により多く、内膜にはむしろACEが局在しているが、一旦血管が障害をうけると、キマーゼは外膜の再構築および新生内膜増殖に関わると考えられている(非特許文献4)。このキマーゼによる非ACE依存性のアンジオテンシンII産生経路は、ヒトにおいては他の動物種と比較して寄与が高いことが報告されており、ヒト心臓においてのアンジオテンシンIIの生成は約80%をキマーゼが担うという報告もある(非特許文献5)。

ヒトキマーゼは、主にヒトの心臓、皮膚、血管壁、腸管等の組織肥満細胞分泌顆粒内に存在するキモトリプシン様酵素であり、これらの組織が障害されると、分泌顆粒から分泌され細胞外へ放出され、組織中アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する(非特許文献3,6)。
アンジオテンシンIIは心血管の肥大や再構築に深く関与していることが知られており、ヒトキマーゼがアンジオテンシンIIの産生を介して心臓・血管病変に深く関与することが示唆されている。そのため、ヒトキマーゼの活性を阻害するヒトキマーゼ阻害剤は、人体組織におけるアンジオテンシンIIの局所産生を阻害することによって、アンジオテンシンIIに起因する疾患を予防することや治療すること、特には各種心臓疾患血管疾患腎疾患治療剤として利用できる。

なお、ヒトキマーゼは、その発現組織によって付着糖鎖量が異なるが、セリン酵素としての基質特異性はその発現組織の違いにかかわらず同一である。例えば、心臓から抽出したヒトキマーゼ(非特許文献1参照)と、皮膚やから抽出されたヒトキマーゼ(非特許文献7,8参照)は酵素学的には同一の性質を有する。すなわち、ほぼ同じ速度でアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生し、等電点至適pHもおなじである。

これまで、いくつかのヒトキマーゼ阻害剤が報告されている。ヒトキマーゼの活性を阻害する作用を有する物質として、トリアジン誘導体(特許文献1)、置換アミノピリミジニルアセトアミド誘導体(特許文献2)、ベンズイミダゾール誘導体(特許文献3)等が報告されている。
また、本発明者らは、キマーゼ阻害剤が糖耐能異常(特許文献4)や血管機能異常を伴う疾患(特許文献5)の予防や治療に有用であることや、キマーゼ阻害剤とACE阻害剤を併用することにより、心臓病等の循環器系疾患(特許文献6)の予防や治療に有用であることを報告している。キマーゼ阻害剤は、何らかの刺激によって各組織肥満細胞から放出されたキマーゼによるアンジオテンシンII産生を抑制するため、経口投与によっても、組織病変及び全身血行機能障害(例えば、高血圧)の両方の予防・改善に有効であるという利点もある。

さらに、本発明者らは、キマーゼ活性阻害により、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性抑制では降圧効果が認められない、塩分過剰摂取による高血圧症に対しても降圧作用が認められることを報告している(非特許文献5)。なお、塩分過剰摂取による高血圧症は、薬剤抵抗性の高血圧症になりやすい。そのため、塩分過剰摂取による高血圧症に対して、従来の高血圧症の予防治療剤(例えば、ACE阻害剤)では、血圧降下作用がほとんど認められなかったり、血圧降下作用が不十分であることが多いことが知られている。

また、キマーゼ阻害剤は、上述のアンジオテンシンII産生が関与する疾患以外のヒトキマーゼの活性が関与する疾患に対する予防治療用薬剤として有用であることが示唆されている。例えば、アトピー性皮膚炎乾癬蕁麻疹等の皮膚疾患は、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患であるため、キマーゼ阻害剤は、ヒトキマーゼの活性を抑制することにより、有用なアトピー性皮膚炎治療薬になりうることが示唆されている(非特許文献9、非特許文献10参照)。

概要

ヒトキマーゼの活性が関与する高血圧症、アトピー性皮膚炎、乾癬及び蕁麻疹等の各種疾患の予防と治療に用いられる医薬として有用である新規のヒトキマーゼ阻害剤の提供。式(a)で表されるヒトキマーゼ阻害剤。(R1〜R5は各々独立に水酸基又はメトキシ基;X1は水酸基又は−OG基;Gは糖鎖)なし

目的

本発明の目的は、これまで報告されていない新規のヒトキマーゼ阻害剤及びヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防治療用薬剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

下記一般式(a)で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とするヒトキマーゼ阻害剤。(一般式(a)中、R1〜R5は、それぞれ独立に水素原子水酸基又はメトキシ基を示し、X1は水素原子、水酸基又は−OG基を示し、Gは糖鎖を示す。)

請求項2

R1〜R5のうち、任意の3以上が水酸基である請求項1に記載のヒトキマーゼ阻害剤。

請求項3

R1〜R4のすべてが水酸基である請求項1または2に記載のヒトキマーゼ阻害剤。

請求項4

一般式(a)で表される化合物が、シアニジンルテオリニジン及びイデインから選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載のヒトキマーゼ阻害剤。

請求項5

請求項1から4のいずれかに記載のヒトキマーゼ阻害剤を含有するヒトキマーゼの活性関与する疾患の予防治療用薬剤

技術分野

0001

本発明は、ヒトキマーゼ阻害剤及びヒトキマーゼの活性関与する疾患の予防治療用薬剤、並びにその応用に関する。

背景技術

0002

レニン−アンジオテンシン系は、全身血圧体液量などの恒常性を保つ内分泌機構の一つである。レニン-アンジオテンシン系では、レニンによってアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIを産生し、さらにアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへ変換される。この変換は循環血中ではアンジオテンシン変換酵素(ACE)による。
アンジオテンシンIIは、その強い血管収縮作用から高血圧性疾患における主要な原因因子であることが知られている。また、アンジオテンシンIIは、増殖因子として繊維芽細胞の増殖などを促し、特に心血管系疾患においては、心筋細胞肥大平滑筋細胞遊走・増殖、線維芽細胞細胞マトリックス産生刺激アポトーシス誘導など広く細胞機能の調節に関わり、線維化や腎硬化動脈硬化巣の形成においても重要な役割を担う。
このように、アンジオテンシンIIは、レニン−アンジオテンシン系の最終活性ペプチドであり、アンジオテンシンIIの産生を抑制することにより、高血圧等のアンジオテンシンIIに起因する疾患を予防することや治療することが期待できる。

0003

アンジオテンシンIIを産生する経路として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生する経路が知られている。そして、アンジオテンシン変換酵素の活性を阻害するACE阻害剤は、アンジオテンシンIIに起因する疾患の予防治療薬として、その有効性は臨床において明確にされている。しかしながら、ACE阻害剤には、空などの副作用があることも知られており、また、ACE阻害剤は、高血圧症の予防や治療に有用とされているが、ACE阻害剤を投与しても有効な降圧作用が認められない高血圧症(例えば、塩分過剰摂取による高血圧症)が存在している。

0004

一方、ヒトキマーゼ(以下、「キマーゼ」と記載する場合がある。)は、ACE以外にアンジオテンシンIIを産生する能力を有する酵素であり、ヒト組織局所におけるアンジオテンシンIIの産生に、ACEに依存しない「非ACE依存性経路」として注目されている。
本願発明者らは、ヒト心臓よりアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生する酵素を単離抽出し、その酵素の化学構造および遺伝子クローニングから、ヒトキマーゼがアンジオテンシンIIの産生を担うことを明らかにしている(非特許文献1〜3)。また、ヒトキマーゼは組織結合型の肥満細胞で産生され分泌顆粒に保存され、分泌顆粒から分泌組織局所において生理機能をもつとされる。血管壁において、正常時、ヒトキマーゼは外膜により多く、内膜にはむしろACEが局在しているが、一旦血管が障害をうけると、キマーゼは外膜の再構築および新生内膜増殖に関わると考えられている(非特許文献4)。このキマーゼによる非ACE依存性のアンジオテンシンII産生経路は、ヒトにおいては他の動物種と比較して寄与が高いことが報告されており、ヒト心臓においてのアンジオテンシンIIの生成は約80%をキマーゼが担うという報告もある(非特許文献5)。

0005

ヒトキマーゼは、主にヒトの心臓、皮膚、血管壁、腸管等の組織肥満細胞分泌顆粒内に存在するキモトリプシン様酵素であり、これらの組織が障害されると、分泌顆粒から分泌され細胞外へ放出され、組織中アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する(非特許文献3,6)。
アンジオテンシンIIは心血管の肥大や再構築に深く関与していることが知られており、ヒトキマーゼがアンジオテンシンIIの産生を介して心臓・血管病変に深く関与することが示唆されている。そのため、ヒトキマーゼの活性を阻害するヒトキマーゼ阻害剤は、人体組織におけるアンジオテンシンIIの局所産生を阻害することによって、アンジオテンシンIIに起因する疾患を予防することや治療すること、特には各種心臓疾患血管疾患腎疾患治療剤として利用できる。

0006

なお、ヒトキマーゼは、その発現組織によって付着糖鎖量が異なるが、セリン酵素としての基質特異性はその発現組織の違いにかかわらず同一である。例えば、心臓から抽出したヒトキマーゼ(非特許文献1参照)と、皮膚やから抽出されたヒトキマーゼ(非特許文献7,8参照)は酵素学的には同一の性質を有する。すなわち、ほぼ同じ速度でアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生し、等電点至適pHもおなじである。

0007

これまで、いくつかのヒトキマーゼ阻害剤が報告されている。ヒトキマーゼの活性を阻害する作用を有する物質として、トリアジン誘導体(特許文献1)、置換アミノピリミジニルアセトアミド誘導体(特許文献2)、ベンズイミダゾール誘導体(特許文献3)等が報告されている。
また、本発明者らは、キマーゼ阻害剤が糖耐能異常(特許文献4)や血管機能異常を伴う疾患(特許文献5)の予防や治療に有用であることや、キマーゼ阻害剤とACE阻害剤を併用することにより、心臓病等の循環器系疾患(特許文献6)の予防や治療に有用であることを報告している。キマーゼ阻害剤は、何らかの刺激によって各組織肥満細胞から放出されたキマーゼによるアンジオテンシンII産生を抑制するため、経口投与によっても、組織病変及び全身血行機能障害(例えば、高血圧)の両方の予防・改善に有効であるという利点もある。

0008

さらに、本発明者らは、キマーゼ活性阻害により、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性抑制では降圧効果が認められない、塩分過剰摂取による高血圧症に対しても降圧作用が認められることを報告している(非特許文献5)。なお、塩分過剰摂取による高血圧症は、薬剤抵抗性の高血圧症になりやすい。そのため、塩分過剰摂取による高血圧症に対して、従来の高血圧症の予防治療剤(例えば、ACE阻害剤)では、血圧降下作用がほとんど認められなかったり、血圧降下作用が不十分であることが多いことが知られている。

0009

また、キマーゼ阻害剤は、上述のアンジオテンシンII産生が関与する疾患以外のヒトキマーゼの活性が関与する疾患に対する予防治療用薬剤として有用であることが示唆されている。例えば、アトピー性皮膚炎乾癬蕁麻疹等の皮膚疾患は、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患であるため、キマーゼ阻害剤は、ヒトキマーゼの活性を抑制することにより、有用なアトピー性皮膚炎治療薬になりうることが示唆されている(非特許文献9、非特許文献10参照)。

0010

特開平8-208654号公報
特開2003-104984号公報
特開2001-199983号公報
国際公開第2005/018672号パンフレット
国際公開第2001/032214号パンフレット
国際公開第2003/018061号パンフレット

先行技術

0011

Urata H et al., The Journal of Biological Chemistry. 1990; 265: 222348-22357
Urata H et al., The Journal of Biological Chemistry. 1991; 266: 17173-17179
Urata H et al., The Journal of Clinical Investigation. 1993; 91: 1269-1281
Uehara Y et al., Hypertension. 2000; 35: 55-60
Urata H et al.,Circulation Reaserch. 1990; 66: 883-890
Urata H et al., Journal of Hypertension. 1994;12:S17-22
Reilly CF et al., J Biol Chem. 1982;257:8619-8622
Wintroub BU et al., J Clin Invest. 1986;77:196-201
Tani K et al., Journal of Leukocyte Biology, 2000, 67, 585-589
Tomimori Y et al., Biochemical Pharmacology, 2002, 64, 1187-1193

発明が解決しようとする課題

0012

一方、これまで報告されているヒトキマーゼ阻害剤の有効成分である化合物は、ヒトキマーゼへの活性阻害作用が不十分であったり、入手困難であるものも多かったりするのが実状である。
かかる状況下、本発明の目的は、これまで報告されていない新規のヒトキマーゼ阻害剤及びヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防治療用薬剤を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。

0014

すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 下記一般式(a)で表される化合物を有効成分として含有するヒトキマーゼ阻害剤。

0015

(一般式(a)中、R1〜R5は、それぞれ独立に水素原子水酸基又はメトキシ基を示し、X1は水素原子、水酸基又は−OG基を示し、Gは糖鎖を示す。)
<2> R1〜R5のうち、任意の3以上が水酸基である前記<1>に記載のヒトキマーゼ阻害剤。
<3> R1〜R4のすべてが水酸基である前記<1>または<2>に記載のヒトキマーゼ阻害剤。
<4> 一般式(a)で表される化合物が、シアニジンルテオリニジン及びイデインから選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載のヒトキマーゼ阻害剤。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のヒトキマーゼ阻害剤を含有するヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防治療用薬剤。

0016

上記<5>に記載のヒトキマーゼ阻害剤を含有するヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防治療用薬剤として、以下の薬剤に係る発明が挙げられる。
<1a> 前記ヒトキマーゼの活性が関与する疾患が、アンジオテンシンII産生が関与する疾患である前記<5>に記載の予防治療用薬剤。
<2a> 前記ヒトキマーゼの活性が関与する疾患が、アンジオテンシンII産生が関与する疾患である前記<1a>に記載の薬剤。
<3a> 前記アンジオテンシンII産生が関与する疾患が、高血圧症及び/又は高血圧症に起因する疾患である前記<2a>に記載の薬剤。
<4a> 前記高血圧症が、塩分過剰摂取による高血圧症である前記<3a>に記載の薬剤。
<5a> 前記ヒトキマーゼの活性が関与する疾患が、アンジオテンシンII産生が関与しない疾患である前記<5>に記載の薬剤。
<6a> 前記アンジオテンシンII産生が関与しない疾患が、アトピー性皮膚炎、乾癬及び蕁麻疹、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される皮膚疾患である前記<5a>に記載の薬剤。
<7a> 前記皮膚疾患がアトピー性皮膚炎である前記<6a>に記載の薬剤。

発明の効果

0017

本発明のヒトキマーゼ阻害剤は、有効成分として含有される化合物に起因して、ヒトキマーゼに対して優れた酵素活性阻害作用を示す。そのため、当該化合物を含む薬剤は、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防と治療に有用である。

0018

以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。

0019

<1.ヒトキマーゼの活性が関与する疾患>
本明細書において、「ヒトキマーゼの活性が関与する疾患」とは、ヒトキマーゼの酵素活性が増加することによって、症状が発現、増悪進展する疾患を意味する。
ヒトキマーゼの活性が関与する疾患は、アンジオテンシンII産生が関与する疾患と、アンジオテンシンII産生が関与しない疾患に大別される。

0020

アンジオテンシンII産生が関与する疾患とは、アンジオテンシンIIが産生することによって、症状が発現、増悪、進展する疾患を意味する。具体的には、高血圧症、高血圧症に起因する疾患、耐糖能異常に起因する疾患等が挙げられる。

0021

本明細書において、「高血圧症」は、塩分の過剰摂取、運動不足喫煙飲酒ストレス蓄積等に起因する高血圧症の発症者及びその予備健常者に対して軽度に高血圧の者)を含む。また、高血圧症に起因する疾患として、具体的には、高血圧性動脈硬化性疾患、高血圧性循環器系疾患が挙げられる。

0022

高血圧性動脈硬化性疾患としては、血管への脂質沈着が原因となって血管機能異常が起こることによって発症する疾患、血管の脂質沈着が血管機能異常を起こすことで症状を悪化させる疾患、血管の脂質沈着が血管機能異常を起こすことで治癒を遅らせる疾患等が例として挙げられる。具体的には、例えば、不安定狭心症急性心筋梗塞等の心臓急性冠症候群経皮的冠動脈形成術後の再狭窄閉塞性動脈硬化症閉塞性血栓血管炎アテローム性脳動脈硬化症脳梗塞間欠性破行、下肢壊疽腎血管性高血圧症腎動脈腎梗塞において血管の脂質沈着が関与して血管機能異常が起こる場合が挙げられる。

0023

高血圧性循環器系疾患としては、高血圧性臓器障害がすべて含まれる。具体的には、冠動脈疾患心不全動脈硬化性弁膜症等の心臓病;脳血管性病変等の脳疾患上肢・下肢閉塞性動脈硬化症、高血圧性腎症と高血圧性糖尿病性腎症を含む慢性腎臓疾患等の全身血管動脈硬化症疾患が例として挙げられる。

0024

また、アンジオテンシンII産生が関与する疾患である耐糖能異常に起因する疾患としては、糖尿病及び/又は糖尿病合併症が挙げられる。糖尿病合併症には、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症糖尿病性末梢神経障害高インスリン血症インスリン抵抗性症候群、動脈硬化症、心臓急性冠症候群、閉塞性動脈硬化症、血管炎、脳梗塞、高血圧症、腎不全、腎症、腎動脈瘤、腎梗塞、又は肥満症等が含まれる。

0025

ヒトキマーゼの活性が関与する疾患のうち、アンジオテンシンII産生が関与しない疾患としては、アトピー性皮膚炎、乾癬、蕁麻疹などの皮膚疾患;脂肪肝肝硬変及び肺線維症等の線維症関連臓器障害;クローン病及び潰瘍性大腸炎等の消化器系疾患;等が挙げられる。なお、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患でも、アトピー性皮膚炎、乾癬、色素沈着性蕁麻疹等の皮膚疾患はヒトキマーゼの酵素活性増加の関連性が高い。

0026

<2.ヒトキマーゼ阻害剤およびこれを含む応用薬剤>
(ヒトキマーゼ阻害剤)
本発明は、下記一般式(a)で表される化合物または当該化合物の薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒトキマーゼ阻害剤(以下、「本発明のキマーゼ阻害剤」と記載する場合がある。)に関する。なお、一般式(a)で表される化合物はアントシアニジン骨格を有し、当該骨格の同等の位置に、類似する官能基によって置換されている点で共通する。
以下、本明細書において、ヒトキマーゼ阻害剤を「キマーゼ阻害剤」と記載する場合がある。一般式(a)で表される化合物を「化合物(a)」と記載する場合がある。

0027

0028

一般式(a)中のR1〜R5は、それぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基を示し、X1は水素原子、水酸基又は−OG基を示す。ここで、Gは糖鎖であり、詳細は後述する。

0029

上記一般式(a)において、R1〜R5を構成する水酸基又はメトキシ基の数の制限はないが、R1〜R5において水酸基が3以上であることが好適であり、より好適には水酸基が4以上であり、さらに好適にはR1〜R4のすべてが水酸基である。

0030

上記一般式(a)において、X1は、水素原子、水酸基又は−OG基である。X1が−OG基である場合、糖鎖は酸素原子を介してグリコシド結合している。

0031

該糖鎖の構造及び該糖鎖を構成する糖の種類には特に限定はない。糖鎖を構成する糖の数には特に限定はないが、通常は1〜4、好ましくは1又は2である。なお、糖鎖の数が1である場合はいわゆる単糖残基である。糖鎖を構成する糖は、五炭糖でもよく、六炭糖でもよい。
上記糖鎖に含まれている水酸基は、他の基により修飾されていてもよい。例えば、上記水酸基は、後述のようにエステル化されていてもよく、アルコキシ化されていてもよい。

0032

上記糖鎖を構成する糖として具体的には、リボースグルコースマンノースガラクトースラムノースキシロースアラビノースグルクロン酸ルチノース、ソフォロース、ゲンチオビオース、ザンブビオース、ラチロースラミナビオノース、ゲンチオトリオース、ロビノビオース等が挙げられる。

0033

上記糖は、有機酸が単独又は複数エステル化結合した糖(有機酸結合糖)でもよい。該有機酸の結合位置には特に限定はない。該有機酸の結合位置として具体的には、例えば、糖の2位、3位、及び6位の1又は2以上が挙げられる。上記有機酸の種類及び構成には特に限定はない。上記有機酸は芳香族有機酸でもよく、脂肪族有機酸でもよい。

0034

ヒトキマーゼ阻害活性に優れる点で、一般式(a)において、X1が、水素原子、水酸基、ラムノース残基グルコース残基またはガラクトース残基であることが好ましい。この場合、R1〜R4のすべてが水酸基であることが好ましい。

0035

本発明のキマーゼ阻害剤において、化合物(a)は、単独でも2種以上で含有されていてもよい。

0036

本発明のキマーゼ阻害剤において、一般式(a)で表される化合物(化合物(a))の具体例を以下に示す

0037

0038

0039

0040

0041

0042

0043

0044

上記例示した化合物(a)の中でも、優れたキマーゼ阻害活性を有するシアニジン、ルテオリニジン、イデインから選択される少なくとも1種を有効成分として含有することが好ましい。

0045

また、イデインは、キマーゼ活性阻害作用に優れると共に、X1に糖鎖を有する官能基を有しているため、高い生体吸収性が期待できる。

0046

化合物(a)は、人工的に合成したものでも、天然物由来のものでもよい。天然物原料とする場合には、原料動植物から、公知の抽出方法によって得られる抽出物をそのまま用いてもよいし、さらに分離精製を行ってもよい。

0047

化合物(a)として好適な化合物の一つであるシアニジンを含有する天然物として、例えば、ブドウラズベリーブルーベリービルベリーリンゴスモモ等が挙げられる。また、同様に好適な化合物の一つであるルテオリニジンを多く含む天然物として、コーリャン等が挙げられる。また、同様に好適な化合物の一つであるイデインを多く含む天然物として、コケモモ果皮、ヤツデ果皮、紅タデ等が挙げられる。これらの原料植物における使用できる部位としては特に制限はなく、例えば、地上部根部、実等が挙げられる。
これらの原料植物は、1種又は2種以上の化合物(a)を含有する材料として、未加工のまま、又は乾燥物や抽出物として使用することができる。
本明細書において、「乾燥物」とは原料植物を乾燥したものである。具体的には原料植物を公知の乾燥方法で乾燥したものである。乾燥物は、使用性の観点から、通常、粉砕して粉末化され、乾燥粉砕物として使用される。粉砕方法は、特に限定はなく従来公知の粉砕器を使用すればよい。粉末粒径は、その使用態様によって適宜決定される。
本明細書において、「抽出物」とは、抽出対象となる原料植物を未加工のまま、又はこれを必要に応じて乾燥、細切したものを溶媒抽出して、有効成分の含有率を高めた形態のものを総括した概念である。

0048

また、化合物(a)は、薬理学的に許容される塩として含有されていてもよく、その塩の形態としては、特に制限はないが、例えば、アルカリ金属塩ナトリウム塩カリウム塩リチウム塩など)、アルカリ土類金属塩カルシウム塩マグネシウム塩など)、無機塩酢酸塩アンモニウム塩など)、有機アミン塩ジベンジルアミン塩グルコサミン塩エチレンジアミン塩ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩ジシクロヘキシルアミン塩ジエタノールアミン塩、テトラメチルアンモニア塩など)、アミノ酸塩グリシン塩リジン塩アルギニン塩オルニチン塩、アスパラギン塩など)などが挙げられる。

0049

本発明のキマーゼ阻害剤は、ヒトキマーゼの活性を阻害できるため、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患を予防治療することができる。ヒトキマーゼは、ACEとは独立にアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生する酵素であるため、ヒトキマーゼの活性を阻害することが可能な、本発明のキマーゼ阻害剤を含有する薬剤は、いわゆる「非ACE依存性アンジオテンシンII産生抑制剤」として使用でき、ヒトキマーゼ活性阻害に起因してアンジオテンシンII産生を抑制し、アンジオテンシンII産生に起因する疾患を予防治療の予防治療用薬剤として使用できる。
また、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患には、アンジオテンシンIIに起因する疾患以外の疾患も含まれ、本発明のキマーゼ阻害剤を含有する薬剤は、は当該アンジオテンシンIIに起因する疾患以外の疾患の予防治療用薬剤としても使用できる。
具体的なヒトキマーゼの活性が関与する疾患の種類については上記<1.ヒトキマーゼの活性が関与する疾患>にて説明したとおりである。

0050

なお、ヒト以外にもキマーゼを有する動物が存在する。例えば、マウスには数種類のキマーゼが報告されている。そのうち、mouse mast cell protease (MMCP) 4はヒトキマーゼと同様に、アンジオテンシンII産生能を有し、アンジオテンシンII分解能のないキマーゼである(Science. 1996;271:502-505)。すなわち、MMCP4はアンジオテンシンII産生セリン酵素である。そのため、マウスを使用してヒトキマーゼの活性が関与する疾患のモデル実験を行うことができる。
一方、多くの高血圧を対象とした動物実験に使用されてきたラットにはヒトキマーゼと同じ性質を持つキマーゼが存在せず、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患のモデル実験には適していない。というのは、ラットキマーゼはアンジオテンシンIIを産生するよりも速くアンジオテンシンIやIIを分解してしまうからである(The Journal of investigative dermatology. 1984;83:336-339)。

0051

(キマーゼ阻害剤の形態)
本発明のキマーゼ阻害剤は、その有効量を薬学的に許容される担体とともに配合し、固形製剤又は液状製剤として経口又は非経口的に投与することができる。剤形は通常の経口投与または非経口投与に使用されるものならどのような剤形でもよい。
経口投与または非経口投与に利用される剤形としては、具体的には、固形製剤として、粉末剤顆粒剤錠剤カプセル剤トローチ等が挙げられる。また、液状製剤として内用液剤外用液剤懸濁剤乳剤シロップ剤注射液輸液等が例示され、これら剤形やその他の剤形が目的に応じて適宜選択される。

0052

固形製剤において、主剤である本発明のキマーゼ阻害剤に、賦形剤結合剤崩壊剤、潤沢剤、矯味剤安定化剤などの補助剤を用いてもよい。主剤と補助剤の比率は目的に応じて適宜選択される。
固形製剤における賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、D−マンニトールデンプンなどが挙げられる。結合剤の好適な例としては、例えば、結晶セルロース白糖、D−マンニトール、デキストリンヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルボキシメチルセルロースカルシウム等が挙げられる。また、必要に応じて防腐剤抗酸化剤着色剤甘味剤などの製剤添加物を用いてもよい。

0053

また、液状製剤として用いる場合、溶媒としては有効成分である上記化合物の分散性を有し、生体安全性があるものが選択される。溶媒の好適な例としては、例えば、注射用水エタノールプロピレングリコールなどが挙げられる。

0054

また、液状製剤は、主剤である本発明のキマーゼ阻害剤と共に、溶解補助剤懸濁化剤等張化剤緩衝剤、抗酸化剤等の補助成分を含んでいてもよい。
溶解補助剤の好適な例としては、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル炭酸ナトリウムクエン酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、ラウリル硫酸ナトリウムラウリルアミノプロピオン酸レシチン塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムモノステアリン酸グリセリンポリビニルアルコールポリビニルピロリドン、カヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の緩衝液が挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩アスコルビン酸塩などが挙げられる。

0055

また、本発明のキマーゼ阻害剤には、その活性阻害作用を抑制しない範囲で、公知の任意の成分を含有してもよい。例えば、安定剤や湿潤剤乳化剤を加えたり、浸透圧調製剤またはpH調製剤として塩を補助薬として、適宜用いることができる。

0056

上記固形製剤や液状製剤の製法は、一般的な医薬品や医薬部外品の製法を適用することができる。

0057

本発明のキマーゼ阻害剤は、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患の種類や症状の程度によって、剤形、投与量、投与方法を適宜選択すればよい。また、本発明のキマーゼ阻害剤の投与方法は任意であり、経口投与、非経口投与の選択も含めて、対象となる疾患に応じて適宜決定され、制限的であるものではない。典型的の例を挙げると、ヒト対して、化合物(a)基準で0.0025〜50mg/kg体重/日の用量で経口的に投与する方法が挙げられる。
本発明のキマーゼ阻害剤における上記化合物(a)の含有量は、対象となる疾患に対する予防、治療又は症状の改善のために必要な活性阻害作用や投与方法等を案して、必要量が摂取できるような範囲で適宜決定される。すなわち、化合物(a)の有効量の最適範囲の判定は当業者の技術の範囲内であり、制限的であるものではない。

0058

また、本発明のキマーゼ阻害剤の有効成分である化合物(a)には生体吸収性が乏しい化合物も含まれる。生体吸収性に乏しい化合物(a)では、キマーゼ阻害作用に基づく上記薬効が期待できないため、生体吸収性を高めるために生体吸収促進剤を服用することが好ましい。生体吸収促進剤は本発明の薬剤の成分として含有してもよいし、本発明の薬剤と併用して生体吸収促進剤を用いてもよい。
生体吸収促進剤としては、化合物(a)の生体吸収性を高める作用を有するものであればよく、例えば油脂類クエン酸塩を挙げることができる。油脂類としては特に限定されないが、綿実油大豆油パーム油コーン油ヒマワリ油菜種油ごま油、等から得られる植物性油脂や、イワシサバ等の魚類等の畜産類から得られる動物性油脂が挙げられる。クエン酸塩として、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムおよびクエン酸鉄が挙げられる。これらの生体吸収促進剤は1種でもよいし、2種以上を混合してもよい。

0059

さらに、本発明のキマーゼ阻害剤は、種々の疾患の治療において、前記有効成分の他に、必要に応じて他の医薬として有効な成分を含有させることもできる。

0060

また、日常的に飲食することで、本発明のキマーゼ阻害剤を摂取したい場合には、該食品、飲料に含有させて機能性食品としてもよい。ここでいう「機能性食品」とは、一般食品に加えて、健康食品、栄養補助食品栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持の目的で摂取する食品および/又は飲料を意味している。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料保存料、増粘安定剤、酸化防止剤漂白剤防菌防黴剤酸味料調味料、乳化剤、強化剤製造用剤、香料等を添加していてもよい。

0061

(キマーゼ阻害剤の応用薬剤)
本発明のヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防治療用薬剤(以下、「本発明の予防治療用薬剤」又は「本発明の薬剤」と記載する場合がある。)は、上記本発明のキマーゼ阻害剤を含有する。

0062

本明細書において、「予防治療用薬剤」とは、対象となる疾患の予防、治療、症状の改善の少なくともひとつに対して有用な薬剤を意味する。また、本明細書において、「薬剤」とは、医薬品のみならず、医薬部外品も含む。

0063

本発明の薬剤は、本発明のキマーゼ阻害剤以外にもその効能を損なわない範囲で他の薬剤や薬理学的に許容される任意の成分を含んでもよい。また、本発明の薬剤は、実質的な有効成分である化合物(a)を含んでいればよく、本発明のキマーゼ阻害剤を、本発明の薬剤として使用してもよい。

0064

上述のとおり、本発明のキマーゼ阻害剤は、上記化合物(a)を有効成分として含み、化合物(a)は、ヒトキマーゼの活性を阻害する作用を有する。そのため、本発明の予防治療用薬剤は、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患の予防、治療、症状の改善の少なくともひとつに対して有用である。なお、本発明の予防治療用薬剤の対象となる、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患は、<1.ヒトキマーゼの活性が関与する疾患>で上述した通りである。

0065

本発明の薬剤に含有される化合物(a)は、ヒトキマーゼの活性を阻害する。そして、ヒトキマーゼは、ACEとは独立にアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを産生する。そのため、本発明の薬剤は、非ACE依存性のアンジオテンシンII産生抑制剤となり、アンジオテンシンII産生を抑制し、アンジオテンシンIIが関与する疾患を予防治療することができる。なお、アンジオテンシンIIが関与する疾患としては、高血圧症、高血圧症に起因する疾患、耐糖能異常に起因する疾患等が挙げられ、その詳細は<1.ヒトキマーゼの活性が関与する疾患>で上述した通りである。

0066

本発明の薬剤は、高血圧症、特に塩分過剰摂取による高血圧症に対する優れた血圧降下作用を有する血圧降下剤として使用できる。なお、本明細書における「血圧降下作用」とは、高血圧症の発症者及びその予備軍(健常者に対して軽度に高血圧の者)に対する血圧降下作用を意味する。すなわち、高血圧症の発症者及びその予備軍に対しては血圧降下作用により正常に近い血圧に戻す作用である。

0067

なお、塩分過剰摂取による高血圧症は、薬剤抵抗性の高血圧になりやすく、ACE阻害剤やアンジオテンシン受容体拮抗剤(ARB)等の血圧抑制剤の服用を長期間続けると、血圧降下作用が減弱することが多い。
本発明の薬剤は、ACE経路でのアンジオテンシンII産生を抑制するのではなく、ヒトキマーゼの活性を阻害することによって、ヒトキマーゼに起因する非ACE経路でのアンジオテンシンII産生を抑制することを機序とするため、塩分過剰摂取による高血圧症であっても有効な血圧降下作用が認められる。
そのため、本発明の薬剤は、特に塩分過剰摂取による高血圧症や、これによって発症する高血圧症に起因する疾患の予防治療剤として好適である。

0068

なお、本発明の薬剤を血圧降下剤として用いる際、相乗的な予防・治療効果が期待できる場合には、ACE阻害剤やアンジオテンシンII受容体拮抗剤と併用して用いてもよい。
本発明の薬剤は、キマーゼ活性阻害作用により、非ACE依存性アンジオテンシンII産生抑制剤となるが、これとACE阻害剤とを併用して用いることにより、ACE阻害剤又はキマーゼ阻害剤を単独で用いるのに比べ、組織局所のアンジオテンシンIIの産生を完全に抑制し、ACE阻害剤のブラジキニン分解抑制などの作用を維持し、且つ、キマーゼを媒介する様々な生理作用を抑制することにより、相乗的な治療効果を発揮するため効果的である。

0069

ところで、従来の血圧降下剤として頻用されている薬剤として、カルシウム拮抗薬がある。この薬剤は血管拡張性が強いので反射性頻脈を伴うことが多い。心拍はその絶対数や変動が増加すると平均余命が短縮することが日本の疫学的研究で証明されている(例えば、田主丸研究や大迫研究)。したがって、一般国民長期予後を考えると心拍数を減少させるような血圧降下剤の開発が望まれる。現在使用されている血圧降下剤の内、降圧後も心拍数が増加しない薬剤として、ACE阻害薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬などが知られているが、心拍数を減少させる効果は証明されていない。このような背景から十分な降圧とともに心拍数を減少させる降圧薬の開発が望まれている。唯一降圧に伴って心拍数を減少させる薬剤としてβ遮断薬が既存するが、副作用が多岐渡り過度徐脈喘息誘発・れん縮狭心症誘発・インスリン分泌低下・脂質代謝悪化など)実臨床での使用は限られているのが実状である。

0070

本発明の薬剤を血圧降下剤として用いる際の投与量は、血圧降下作用を示す限り、適宜選択すればよいが、典型的の例を挙げると、ヒト対して、化合物(a)基準で0.01mg/kg体重/日以上の用量で経口的に投与する方法が挙げられる。

0071

本発明の薬剤の対象となる高血圧症は特に制限されるものではないが、高血圧症の中でも、塩分過剰摂取に起因する高血圧症は、本発明の薬剤が特に有効な高血圧症の一つである。塩分過剰摂取に起因する高血圧症は、薬剤抵抗性の高血圧症になりやすい。そのため、塩分過剰摂取に起因する高血圧症に対して、従来の高血圧症の予防治療剤(例えば、ACE阻害剤)では、血圧降下作用がほとんど認められなかったり、血圧降下作用が不十分であることが多い。これに対し、本発明の薬剤は、塩分過剰摂取に起因する高血圧症に対して有意な血圧降下作用が認められる。ここで「有意な血圧降下作用」とは、プラセボ期の血圧と本発明の薬剤の摂取期の血圧とを比較したときに、統計的有意に(危険率がP<0.05)低値を示すことを意味する。

0072

また、本発明の薬剤は、血圧降下作用を必ずしも目的とする必要はなく、特定量の化合物(a)の投与による、心拍数低下作用を利用した心拍数低下剤とすることもできる。この場合、高血圧症以外にも、心拍数の増加は発症する疾病における心拍数低下(心拍数増加の抑制)の用途に好適に使用することができる。そして、化合物(a)の他に、対象となる疾患の治療に用いられる他の医薬として有効な成分を併用することもできる。
また、対象となる疾患が高血圧症の場合においても、相乗的な予防・治療効果が期待できる場合には、公知の血圧降下剤と併用することもできる。公知の血圧降下剤としては、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、カルシウムチャンネル拮抗剤、利尿剤サイアザイド系利尿剤・ループ利尿剤・カリウム保持性利尿剤のいずれも含む)、α遮断剤β遮断剤、αβ遮断剤等に分類される血圧降下剤が挙げられる。

0073

また、本発明の薬剤は、ヒトキマーゼの活性が関与する疾患のうち、アンジオテンシンII産生が関与しない疾患の予防、治療、症状の改善の少なくとも一つに対して有用な薬剤として使用することができる。当該アンジオテンシンII産生が関与しない疾患として、<1.ヒトキマーゼの活性が関与する疾患>で上述した通り、アトピー性皮膚炎、乾癬、蕁麻疹などの皮膚疾患;脂肪肝、肝硬変及び肺線維症等の線維症関連臓器障害;クローン病及び潰瘍性大腸炎等の消化器系疾患;等が挙げられる。

0074

なお、予防治療対象である疾患が、これらの疾患である場合における本発明の薬剤の投与量は、疾患の種類のみならず、対象者年齢性別などの個別差を考慮して、適宜選択される。

0075

本発明の薬剤は、上記アンジオテンシンII産生が関与しない疾患の中でも、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患の予防、治療、症状の改善の少なくとも一つに対して特に有用である。本発明の薬剤を皮膚疾患の予防治療用薬剤として使用する場合、通常の経口投与または非経口投与に使用されるものならどのような剤形でもよい。本発明の薬剤は、経口投与において、アトピー性皮膚炎の予防、治療、症状の改善に有用であり、かつ、人体に対する毒性や刺激性が少なく、副作用が小さい。そのため、本発明の薬剤は、日常的に摂取することが可能な経口投与用の剤形が好適な形態のひとつである。具体的な剤形は上記(キマーゼ阻害剤の形態)で記載したため、説明を省略する。

0076

また、非経口投与用の剤形として、皮膚に塗布する形の皮膚外用剤として用いられる場合には、一般的に液状やクリーム状の形態である。この場合、医薬組成物は、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品に配合される、油性成分、可溶化剤保湿剤色素、乳化剤、増粘剤、香料等の任意の成分を含有することができる。
また、本発明の薬剤である有効成分である化合物(a)は、医薬品、医薬部外品以外の製品に配合してもよい。このような製品は特に限定されず、例えば、入浴剤ボディーソープシャンプー等の入浴用組成物が挙げられる。

0077

本発明の薬剤は、ヒトキマーゼの活性が関与する皮膚疾患の種類や症状の程度によって、剤形、投与量、投与方法を適宜選択すればよい。
なお、本発明のキマーゼ阻害剤における上記化合物(a)の含有量は、対象となる疾患に対する予防、治療又は症状の改善のために必要な活性阻害作用や投与方法等を勘案して、必要量が摂取できるような範囲で適宜決定される。また、本発明のキマーゼ阻害剤の投与方法は任意であり、経口投与、非経口投与の選択も含めて、対象となる疾患に応じて適宜決定される。

0078

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。

0079

<評価1:ヒトキマーゼ活性阻害作用の評価(in vitro)>
ヒトキマーゼ活性阻害作用の評価に使用した化合物(a)は以下の通りである。
「化合物(a)」
・シアニジン(SIGMA)
・ルテオリニジン(フナコシ(株))
・イデイン(フナコシ(株))

0080

ヒトキマーゼ阻害活性の評価(in vitro)は、Eur J Biochem 268(22),5885-93(2001)に記載された方法に変更を加えた以下に記述する方法で行った。この評価方法では、ヒトキマーゼの基質となるアンジオテンシンIをDnp/Nma修飾した基質を用い、ヒトキマーゼがこの基質を切断し、アンジオテンシンIIを産生すると蛍光発色することを利用する簡易的な方法である。以下に当該評価方法の概要を記述する。
インキュベーションバッファーは100mM NaCl含有20mMリン酸緩衝液で総インキュベーション溶液量は100μLである。まず、測定対象となる化合物を最終濃度0.02mM、0.1mM、0.2mM、0.5mM、1mMになるように加え、そこへ標準ヒトキマーゼ(SIGMA)が0.0012単位含まれるように調整し、室温で前インキュベーションを30分施行後、基質であるDnp/Nma修飾アンジオテンシンI(蛋白研にて依頼作成)を最終濃度が200μMになるように加え、37℃で30分インキュベーションする。0.5MNaOHを25μL加えてインキュベーションを終了した。産生されたDnpアンジオテンシンIIの発光蛍光(460nm)を測定し、標準DnpアンジオテンシンIIによって作成した標準曲線から産生量を計算した。阻害薬を加えないコントロール対照として、検定サンプルのヒトキマーゼ阻害活性及び阻害率を求めた。

0081

化合物(a)であるシアニジン、ルテオリニジン及びイデインをそれぞれ表1に示す濃度になるように添加して、上述の方法により、ヒトキマーゼ阻害活性率を評価した。結果を表1に示す。

0082

実施例

0083

以上の結果から、化合物(a)であるシアニジン、ルテオリニジン及びイデインは、優れたヒトキマーゼ活性阻害作用を有していることが確認された。

0084

本発明のキマーゼ阻害剤は、優れたヒトキマーゼ活性阻害作用を有し、ヒトキマーゼの活性が関与する各種疾患の予防・治療に用いられる医薬として有効である。

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