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技術 カルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 大垣昭男
出願日 2015年2月19日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2015-030447
公開日 2016年8月22日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-150887
状態 未査定
技術分野 光学要素・レンズ ガラスの成形 ガラス組成物(第三版)
主要キーワード 加熱用光 短サイクル 階段面 ひずみ点 温度プロセス 再加熱法 材料形態 軟化ガラス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月22日)のものです。
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図面 (4)

課題

高い性能を有するカルコゲナイド製の光学素子を効率良く安価に製造できる製造方法を提供する。

解決手段

カルコゲナイドガラスガラス片G0をシリンジ1の本体チューブ1a内に入れ、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで2分以内で到達するようにランプ加熱する。粘度4.5×107dPa・s以下に溶融させた溶融ガラスG1を、シリンジ先端部1bから押し出すことにより下金型4へ供給する。下金型4上で硬化する前の溶融ガラスG1に対して上金型6でプレス成形を施し、離型するとガラス成形体G2が得られる。

概要

背景

赤外線透過性を有する光学素子の製造方法として、従来よりさまざまなタイプの技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の再加熱法、特許文献2に記載の溶融成形法、特許文献3に記載の押出し成形法、特許文献4に記載のポリマー成形プロセス等が、従来より知られている。

概要

高い性能を有するカルコゲナイド製の光学素子を効率良く安価に製造できる製造方法を提供する。カルコゲナイドガラスガラス片G0をシリンジ1の本体チューブ1a内に入れ、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで2分以内で到達するようにランプ加熱する。粘度4.5×107dPa・s以下に溶融させた溶融ガラスG1を、シリンジ先端部1bから押し出すことにより下金型4へ供給する。下金型4上で硬化する前の溶融ガラスG1に対して上金型6でプレス成形を施し、離型するとガラス成形体G2が得られる。

目的

本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い性能を有するカルコゲナイド製の光学素子を効率良く安価に製造できる製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

カルコゲナイドガラス光学素子の製造方法であって、カルコゲナイドガラスを容器内に入れ、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで2分以内で到達するように加熱し、粘度4.5×107dPa・s以下に溶融させたカルコゲナイドガラスを、容器から金型へ供給し、金型上で硬化する前のカルコゲナイドガラスに対してプレス成形を施すことを特徴とする製造方法。

請求項2

前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、Ge:12〜35%、Se:50〜70%、As:0〜20%、Sb:0〜25%、As+Sb:0〜25%、を含み、カルコゲナイドガラスの粘度が20〜10000dPa・sを示す温度範囲において、粘度の変化量の絶対値をΔη(dPa・s)とし、温度変化の絶対値をΔT(℃)としたとき、Δη/ΔTの値が80(dPa・s/℃)以上であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。

請求項3

前記容器としてシリンジを用い、ランプ加熱で溶融させたカルコゲナイドガラスをシリンジ先端部から押し出すことにより前記金型へ供給することを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。

請求項4

カルコゲナイドガラスをシリンジ内に入れ、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで1分以内で到達するようにランプ加熱を行うことを特徴とする請求項3記載の製造方法。

請求項5

溶融させたカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜4.5×107dPa・sであることを特徴とする請求項3又は4記載の製造方法。

請求項6

溶融させたカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜1000dPa・sであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項7

シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜4.5×107dPa・sであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項8

シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜100000dPa・sであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項9

シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、1000〜10000dPa・sであることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項10

シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの温度が、軟化点以上、結晶化温度上限以下であることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項11

カルコゲナイドガラスを容器から金型へ供給した後、金型をプレス軸上に移動させてプレス成形を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項12

プレス成形時のカルコゲナイドガラスの温度が、軟化点以上、結晶化温度下限以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項13

プレス成形時において金型の温度がカルコゲナイドガラスの温度よりも低いことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項14

プレス成形を加圧雰囲気で行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項15

カルコゲナイドガラスの粘度が20〜10000dPa・sを示す温度範囲において、粘度の変化量の絶対値をΔη(dPa・s)とし、温度変化の絶対値をΔT(℃)としたとき、Δη/ΔTの値が90(dPa・s/℃)以上であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項16

前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、Ge:25〜33%を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項17

前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、As+Sb:1〜25%を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項18

前記カルコゲナイドガラスが、Asを含まないことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項19

前記カルコゲナイドガラスのガラス転移温度(Tg)が、250℃以上450℃以下であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明はカルコゲナイドガラス光学素子の製造方法に関するものであり、例えば、カルコゲナイドガラスをプレス成形することにより、赤外線透過性を有する光学素子(レンズフィルタープリズム等)を作製する製造方法に関するものである。

背景技術

0002

赤外線透過性を有する光学素子の製造方法として、従来よりさまざまなタイプの技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の再加熱法、特許文献2に記載の溶融成形法、特許文献3に記載の押出し成形法、特許文献4に記載のポリマー成形プロセス等が、従来より知られている。

先行技術

0003

特開平5−4824号公報
米国特許第7,159,419号明細書
特開平5−229838号公報
特開2006−290738号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、特許文献1〜4に記載の製造方法では、以下に説明するように、効率良く安価に高性能の光学素子を製造することが困難である。

0005

特許文献1に記載の再加熱法では、主に金型からの熱伝導ガラス材料成形温度まで加熱するが、カルコゲナイドガラスは熱伝導率が低く熱膨張係数が大きいことから熱衝撃に弱く、急激な加熱は割れの原因となる。そのため、昇温・降温に時間がかかり、成形サイクルタイムが長くなってコストが高くなってしまう。また再加熱法では、融着を防ぐために屈伏点以上軟化点以下の温度で成形を行うが、この温度域ではプリフォームの表面のキズ及び粗さが残存してしまうため、鏡面のプリフォームを作製することが必須になる。プリフォーム加工では材料を捨てる部分が発生するため、高価な材料であるカルコゲナイドガラスではコストが高くなってしまう。さらに、カルコゲナイドガラスは柔らかくキズが入りやすいため、プリフォーム加工の歩留まりも良くない。以上の課題により、カルコゲナイドガラス製のモールドレンズは高価ものとなっている。

0006

特許文献2に記載の溶融成形法では、溶かしたカルコゲナイドガラスを金型に流し込むため、カルコゲナイドガラスを高温に保って低粘度にしておく必要があり、ガラス変質しやすいという問題がある。

0007

特許文献3に記載の成形技術は、カルコゲナイドガラス製のインゴットを加熱して棒材押出し成形するものである。したがって、プレス成形を行うものではなく、鏡面が不要なものであり、加熱温度も低いためスジが残るという問題がある。

0008

特許文献4には、押出し及び射出成形を含む様々なポリマー成形プロセスに使用するのに適したガラスが開示されている。そのガラスは、一般化学式YZを有するカルコゲナイドガラスであって、YはGe,As,Sb又はこれら2つ以上の混合物であり、ZはS,Se,Te又はこれら2つ以上の混合物であり、原子又は元素パーセントで表して、Yは15〜70%の範囲にあり、Zは30〜85%の範囲にあり、GeがAs及びSbの内の一方又は両方と混合された場合には、Geの量は、0<Ge<25%の範囲にあり、500℃以下で10,000dPa・s以下の粘度を有し(1dPa・s=1ポアズ)、1,000〜10,000s-1の範囲の剪断速度下で結晶化に耐性である、となっている。

0009

しかし、500℃以下で10,000dPa・s以下の粘度という低粘性性質を持つため、溶融中の揮発に対してその発生の抑制効果が小さく、揮発による不具合が生じやすいという問題がある。また、熱膨張係数(α)が160×10-7/℃を超えて大きくなるため、溶融からプレス成形時の熱衝撃で割れ等が発生しやすいという問題がある。実施例の試料番号979BUGのガラスで実際にプレス成型を行ったところ、揮発物が金型に堆積した。それがガラス面に転写され、斑点状の欠点として表れたため、所望の面が得られなかった。また、急激な温度変化に耐性がなく、レンズの一部に割れが生じてしまった。

0010

本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い性能を有するカルコゲナイド製の光学素子を効率良く安価に製造できる製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するために、第1の発明の製造方法は、カルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法であって、
カルコゲナイドガラスを容器内に入れ、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで2分以内で到達するように加熱し、
粘度4.5×107dPa・s以下に溶融させたカルコゲナイドガラスを、容器から金型へ供給し、
金型上で硬化する前のカルコゲナイドガラスに対してプレス成形を施すことを特徴とする。

0012

第2の発明の製造方法は、上記第1の発明において、前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、
Ge:12〜35%、
Se:50〜70%、
As:0〜20%、
Sb:0〜25%、
As+Sb:0〜25%、
を含み、カルコゲナイドガラスの粘度が20〜10000dPa・sを示す温度範囲において、粘度の変化量の絶対値をΔη(dPa・s)とし、温度変化の絶対値をΔT(℃)としたとき、Δη/ΔTの値が80(dPa・s/℃)以上であることを特徴とする。

0013

第3の発明の製造方法は、上記第1又は第2の発明において、前記容器としてシリンジを用い、ランプ加熱で溶融させたカルコゲナイドガラスをシリンジ先端部から押し出すことにより前記金型へ供給することを特徴とする。

0014

第4の発明の製造方法は、上記第3の発明において、カルコゲナイドガラスをシリンジ内に入れ、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで1分以内で到達するようにランプ加熱を行うことを特徴とする。

0015

第5の発明の製造方法は、上記第3又は第4の発明において、溶融させたカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜4.5×107dPa・sであることを特徴とする。

0016

第6の発明の製造方法は、上記第3〜第5のいずれか1つの発明において、溶融させたカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜1000dPa・sであることを特徴とする。

0017

第7の発明の製造方法は、上記第3〜第6のいずれか1つの発明において、シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜4.5×107dPa・sであることを特徴とする。

0018

第8の発明の製造方法は、上記第3〜第7のいずれか1つの発明において、シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜100000dPa・sであることを特徴とする。

0019

第9の発明の製造方法は、上記第3〜第8のいずれか1つの発明において、シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、1000〜10000dPa・sであることを特徴とする。

0020

第10の発明の製造方法は、上記第3〜第9のいずれか1つの発明において、シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの温度が、軟化点以上、結晶化温度上限以下であることを特徴とする。

0021

第11の発明の製造方法は、上記第1〜第10のいずれか1つの発明において、カルコゲナイドガラスを容器から金型へ供給した後、金型をプレス軸上に移動させてプレス成形を行うことを特徴とする。

0022

第12の発明の製造方法は、上記第1〜第11のいずれか1つの発明において、プレス成形時のカルコゲナイドガラスの温度が、軟化点以上、結晶化温度下限以下であることを特徴とする。

0023

第13の発明の製造方法は、上記第1〜第12のいずれか1つの発明において、プレス成形時において金型の温度がカルコゲナイドガラスの温度よりも低いことを特徴とする。

0024

第14の発明の製造方法は、上記第1〜第13のいずれか1つの発明において、プレス成形を加圧雰囲気で行うことを特徴とする。

0025

第15の発明の製造方法は、上記第1〜第14のいずれか1つの発明において、カルコゲナイドガラスの粘度が20〜10000dPa・sを示す温度範囲において、粘度の変化量の絶対値をΔη(dPa・s)とし、温度変化の絶対値をΔT(℃)としたとき、Δη/ΔTの値が90(dPa・s/℃)以上であることを特徴とする。

0026

第16の発明の製造方法は、上記第1〜第15のいずれか1つの発明において、前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、Ge:25〜33%を含むことを特徴とする。

0027

第17の発明の製造方法は、上記第1〜第16のいずれか1つの発明において、前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、As+Sb:1〜25%を含むことを特徴とする。

0028

第18の発明の製造方法は、上記第1〜第17のいずれか1つの発明において、前記カルコゲナイドガラスが、Asを含まないことを特徴とする。

0029

第19の発明の製造方法は、上記第1〜第18のいずれか1つの発明において、前記カルコゲナイドガラスのガラス転移温度(Tg)が、250℃以上450℃以下であることを特徴とする。

発明の効果

0030

本発明に係るカルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法によれば、カルコゲナイドガラスが容器内で加熱されて溶融するので、プリフォームを用いたプレス成形のように成形前にガラスをプリフォームに加工する必要がなく、材料を無駄にせず加工時間も短くできる。また、室温から粘度4.5×107dPa・sの軟化点以上の温度まで2分以内で到達させるので、ガラスの結晶化を抑えるとともに、揮発の発生を抑えて金型への堆積を抑制することが可能である。これにより、高い性能を有するカルコゲナイドガラス製の光学素子を効率良く安価に作製することができる。例えば、容器としてシリンジを用いて、シリンジ先端部から下側成形用の金型上に溶融したカルコゲナイドガラスを押し出せば、押し出されたカルコゲナイドガラスに下側成形用の金型の転写面の形状を転写させやすいだけでなく、カルコゲナイドガラスの供給をより正確に制御して短時間で正確な量の供給を行うことができ、短サイクルで精度良く成形を行うことができる。

0031

本発明の製造方法に用いるカルコゲナイドガラスのガラス組成であれば、溶融からプレス成形までの間にガラスが揮発して金型に付着することが抑制される。このため、金型に付着した揮発物の光学素子への転写による不具合が減少し、熱膨張係数が低いため、熱衝撃に耐え、割れ等の不具合も生じにくく安定したプレス成形が可能である。

図面の簡単な説明

0032

カルコゲナイドガラスの溶融成形時温度プロセスを示すグラフ
光学素子の製造方法の一実施の形態を模式的に示す製造工程図。
実施例1,2及び比較例1,2で用いるガラスの粘性曲線を示すグラフ。

0033

以下、本発明に係るカルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法を説明する。本発明に係るカルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法は、カルコゲナイドガラスを容器内に入れて加熱し、溶融させたカルコゲナイドガラスを容器から金型へ供給し、金型上で硬化する前のカルコゲナイドガラスに対してプレス成形を施すものである。本発明者は、前述した課題を解決するため、この製造方法において、ガラスの加熱温度,時間,結晶化,粘度,成形のタイミング等について鋭意検討を行った。その結果、好適な溶融成形プロセスとこれに適したガラス組成範囲を見出した。

0034

図1に、カルコゲナイドガラスの溶融成形時の温度プロセス(時間−温度)を示す。温度領域は、低温度側から順に、安定領域S1(室温T0,ガラス転移点Tg,軟化点Tsを含む。)と、結晶化領域S2と、揮発領域S3と、からなっている。ラインL1〜L3は、同一ガラスの溶融成形を軟化点Tsを超えてから行う3つの代表的な溶融成形パターンを示している。ラインL1の溶融成形パターンでは、金型への供給タイミングt1を軟化点Tsを超えた直後としている。ラインL2の溶融成形パターンでは、金型への供給タイミングt1を結晶化領域S2に入った直後としている。ラインL3の溶融成形パターンでは、金型への供給タイミングt1を揮発領域S3に入った直後としている。

0035

本発明に係るカルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法は、カルコゲナイドガラスを容器内に入れ、室温T0から粘度4.5×107dPa・s(ポアズ)の軟化点Ts以上の温度まで2分以内で到達するように加熱し、粘度4.5×107dPa・s以下に溶融させたカルコゲナイドガラスを、容器から金型へ供給し、金型上で硬化する前のカルコゲナイドガラスに対してプレス成形を施すことを特徴としている。

0036

例えば、前記容器としてシリンジを用い、ランプ加熱で溶融させたカルコゲナイドガラスをシリンジ先端部から押し出すことにより前記金型へ供給することが好ましい。溶融させたカルコゲナイドガラスの金型への供給は押出しに限らず滴下でもよいが、シリンジを用いた押出しによると、シリンジ先端部の温度から粘度が分かるため、一定量の供給の制御が容易になる。また、ハロゲンランプ赤外線ランプ等のランプを用いたランプ加熱により前記加熱を行えば、均一な加熱による均一なガラス溶融が可能になる。

0037

したがって、本発明に係るカルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法によれば、カルコゲナイドガラスが容器内で加熱されて溶融するので、プリフォームを用いたプレス成形のように成形前にガラスをプリフォームに加工する必要がなく、材料を無駄にせず加工時間も短くできる。また、室温T0から粘度4.5×107dPa・sの軟化点Ts以上の温度まで2分以内で到達させるので、ガラスの結晶化を抑えることが可能である。これにより、高い性能を有するカルコゲナイドガラス製の光学素子を効率良く安価に作製することができる。例えば、容器としてシリンジを用いて、シリンジ先端部から下側成形用の金型上に溶融したカルコゲナイドガラスを押し出せば、押し出されたカルコゲナイドガラスに下側成形用の金型の転写面の形状を転写させやすいだけでなく、カルコゲナイドガラスの供給をより正確に制御して短時間で正確な量の供給を行うことができ、短サイクルで精度良く成形を行うことができる。

0038

この製造方法において、図1に示す3つの溶融成形パターンのなかでも好適な基本プロセスは、ラインL3の溶融成形パターンである。すなわち、室温T0から結晶化温度の上限以上(結晶化領域S2の上限以上)の温度まで2分以内で到達させることが好ましい。ラインL3では、室温T0で固体のガラスを短時間で結晶化温度の上限以上の温度になるよう、急加熱して溶融・軟化させる。そして、ガラスが鏡面になったところで成形用の金型へガラスを供給し、結晶化領域S2を短時間で通過させ、その後ガラスが硬化する前にプレス成形を行うことになる。したがって、加熱時及び冷却時に結晶化領域S2を短時間で通過するため、結晶化が効果的に抑制されて、光学素子の高性能化が達成される。また、ガラスの粘度を成形に適した粘度に容易に調整することができる。

0039

本発明に係る製造方法に好適なガラス組成として、前記カルコゲナイドガラスが、原子%表示で、
Ge:12〜35%、
Se:50〜70%、
As:0〜20%、
Sb:0〜25%、
As+Sb:0〜25%、
を含み、カルコゲナイドガラスの粘度が20〜10000dPa・sを示す温度範囲において、粘度の変化量の絶対値をΔη(dPa・s)とし、温度変化の絶対値をΔT(℃)としたとき、Δη/ΔTの値が80(dPa・s/℃)以上であることが好ましい。

0040

上記製造方法に用いるカルコゲナイドガラスのガラス組成であれば、溶融からプレス成形までの間にガラスが揮発して金型に付着することが抑制されるため、金型に付着した揮発物の光学素子への転写による不具合が減少する。また、ガラス成形体の割れの防止には熱膨張係数(α)が関与するが、例えば熱膨張係数(α)を160以下にすれば、急激な温度変化を伴う製造方法でも熱衝撃に耐え、割れ等の不具合が生じにくく安定したプレス成形が可能となる。

0041

上記製造方法に用いるカルコゲナイドガラスは、遠赤外線透過用光学素子等の押出し成形等による精密プレス成形に使用されるガラスである。このガラスのΔη/ΔTの値は、上記のように80(dPa・s/℃)以上であることが好ましく、90(dPa・s/℃)以上であることが更に好ましい。このように設定すれば、押出し成形時の揮発物の金型への付着を効果的に抑制することができる。

0042

揮発の発生原因には、ガラス供給(押出し等)からプレス成形に至る間の温度による粘度の変化が大きく関与する。この温度による粘度の変化が小さいと、ガラス供給からプレス成形までの間に、ガラスが温度低下して高粘度に至るまでの時間が長くなるため、成分の揮発を抑制することが困難になる。その結果、揮発が発生し続けて金型に堆積しやすくなる。これは、温度による粘度変化を一定以上に保てば、揮発の発生が抑えられて金型への堆積が抑制されることを意味する。

0043

上記製造方法に用いるカルコゲナイドガラスは、500℃で10,000dPa・s以上の粘度を有するのが好ましい。500℃の粘度が10,000dPa・s以上であれば、Δη/ΔTの値を80以上に維持することが容易である。

0044

上記製造方法に用いるカルコゲナイドガラスの熱膨張係数(α)は、160×10-7/℃以下が好ましい。160×10-7/℃以下にすることにより、金型とガラスとの熱膨張係数差に起因するガラスのひずみ,割れ等の発生を抑制することができる。

0045

上記製造方法に用いるカルコゲナイドガラスのガラス転移温度(Tg)は、250℃以上450℃以下であることが好ましく、250℃以上400℃以下であることが更に好ましい。金型温度としては通常Tg±50℃の温度を使用するため、ガラス転移温度(Tg)を450℃以下にすると、金型との融着を効果的に防止することができる。また、250℃以上にすると、作製したレンズに反射防止膜をコートするとき、コート温度を十分に高くすることができるため、膜付が良くなるという効果が得られる。

0046

図2の製造工程図に、本発明に係るカルコゲナイドガラス製光学素子の製造方法の一実施の形態を模式的に示す。カルコゲナイドガラスの溶融には、カルコゲナイドガラスのガラス片G0(図2(A))を内部で溶融する容器としてのシリンジ1と、溶融ガラスG1(図2(B))を吐出可能にするプランジャー2と、ガラス片G0を加熱するためにシリンジ1の周囲に配置されるヒーター3(図2(A))と、が用いられる。

0047

シリンジ1は、例えば石英製のガラス容器であり、ヒーター(加熱装置)3からの加熱用光(例えば赤外光)を効率的に短時間で透過させるものとなっている。これにより、シリンジ1内のガラス片(ガラス材料)G0を直接的に加熱することができる。ヒーター3は、赤外光で加熱するものに限らず、シリンジ1を介して間接的にガラス片G0を加熱するものであってもよい。シリンジ1は、円柱状の本体チューブ1aと、本体チューブ1aの下側に設けられた細径のシリンジ先端部1bとを有している。

0048

シリンジ1内のガラス片(ガラス材料)G0は、Ge−Se−Sb,As−Se等の硝材からなっている。その硝材は、Ge,Se,Sb,As等の原料石英管等に投入し、真空封止し、融点以上に溶融し撹拌均質化した後、冷却してガラス化し室温T0で回収したものである。材料形態としては、顆粒きりっぱなしの材料,棒材等、任意の形状のカルコゲナイドガラス材を使用することができる。カルコゲナイドガラス材は比較的高価であるが、この手法により無駄なく使用することができる。

0049

シリンジ1内に収納されているガラス片G0(図2(A))は、ヒーター3によって加熱されて、例えば融点以上の溶融状態又はこれに準じた軟化状態となっている(図2(B)中の溶融ガラスG1)。本体チューブ1a内の溶融ガラスG1の表面上には、プランジャー2が配置されている。プランジャー2は、溶融ガラスG1の表面を覆ってガラス材料のカルコゲナイドガラス成分が揮発,酸化等することを防止している。このプランジャー2の材質としては石英ガラスが挙げられる。プランジャー2の制御により、吐出口であるシリンジ先端部1bから吐出されるガラス流量(つまり押出し量)を容易に調整することができる。

0050

カルコゲナイドガラスのガラス片G0をシリンジ1内にセットした後、加熱によるガラスの結晶化を避けるため、室温T0から粘度4.5×107dPa・sの軟化点Ts以上の温度まで2分以内の短時間で到達するように加熱する。より確実に結晶化を避けるためには、室温T0から粘度4.5×107dPa・sの軟化点Ts以上の温度まで1分以内で到達するように加熱を行うことが好ましい。ガラスを鏡面の状態にするには、加熱後の粘度を適正に設定することが好ましい。つまり、溶融させたカルコゲナイドガラス(溶融ガラスG1)の粘度が400〜4.5×107dPa・sであることが好ましく、400〜1000dPa・sであることが更に好ましい。

0051

上記のように、カルコゲナイドガラスがシリンジ1内で加熱されて溶融するので、プリフォームを用いたプレス成形のように成形前にガラスをプリフォームに加工する必要がなく、材料を無駄にせず加工時間も短くできる。これにより、カルコゲナイドガラス製の光学素子であるガラス成形体G2(図2(D))を、安価に効率よく作製することが可能となる。

0052

上下一対成形用金型4,5のうち、下金型4の上にシリンジ1を配置する(図2(B))。シリンジ1が下金型4に接触しないように、できるだけ下金型4に接近させてシリンジ1を配置する。このときのシリンジ1の位置は、下金型4に接触していなければ特に制限はなく、下金型4に対して真上,真横,斜め等でも問題ない。つまり、シリンジ1を斜めにしたり横にしたりしてもよい。プランジャー2を押して、所望量の溶融ガラスG1(ガラス隗)を下金型4上に押し出す。このとき、下金型4上に押し出された溶融ガラスG1の量が暫時増加するので、シリンジ先端部1bの側面に溶融ガラスG1が付着しないようシリンジ先端部1bを制御して、下金型4から遠ざかる方向へ後退させる。

0053

上記のように、シリンジ先端部1bから下金型4上に溶融ガラスG1を押し出すので、押し出された溶融ガラスG1に下金型4の転写面の形状を転写させやすく、しかも、溶融ガラスG1の供給をより正確に制御して、短時間で正確な量の供給を行うことができるため、短サイクルで精度良く成形を行うことができる。

0054

安定に溶融ガラスG1を押し出すには、シリンジ先端部1bから押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜4.5×107dPa・sであることが好ましい。より安定にガラス材料を押し出すには、シリンジ先端部から押し出されるカルコゲナイドガラスの粘度が、400〜100000dPa・sであることが好ましく、1000〜10000dPa・sであることが更に好ましい。

0055

また、シリンジ1から安定に溶融ガラスG1を押し出すには、シリンジ先端部1bから押し出されるカルコゲナイドガラスの温度が、軟化点Ts以上、結晶化温度上限以下(結晶化領域S2の上限以下)であることが好ましい。これにより、シリンジ先端部1bで溶融ガラスG1が結晶化して詰まりを起こすことがなく、ガラス材料(溶融ガラスG1)の押出しが容易になり、かつ、下金型4に供給された後の軟化ガラス体(溶融ガラスG1)に適度な表面張力が保持され、軟化ガラス体に対して確実にプレス成形を行うことができる。

0056

次に、シリンジ1を下金型4の上から移動させ、上金型5で溶融ガラスG1を加圧する(図2(C))。上金型5で溶融ガラスG1を所定時間加圧した後、上金型5を上昇させて下金型4から離間させると(図2(D))、固化したカルコゲナイドガラスからなるガラス成形体(光学素子であるレンズ)G2が離型されて外部に取り出され、プレス成形が完了する。なお、シリンジ1を移動させずに下金型4の方を移動させてもよく、また、下金型4及び上金型5をプレス軸ax外からプレス軸ax上に移動させてプレス成形を行うようにしてもよい。

0057

本発明に係る製造方法に好適なガラスは、主に押出し成形に用いられるものであるが、押出し及び成形作業雰囲気窒素アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。特に成形作業の雰囲気は不活性ガス充填したうえに、その圧力を大気圧以上に保つことが好ましい。つまり、プレス成形を加圧雰囲気で行うことが好ましい。そのようにすれば、押出しされた溶融ガラスG1からのガラス成分の揮発の抑制やガラス表面の酸化防止を効果的に達成することが可能となる。

0058

成形用の金型4,5の転写面は、凹面に限らず凸面又は平面でもよい。例えば、球面,非球面,自由曲面等に限らず、粗面,階段面等の非平滑面としてもよい。金型4,5は、金属,セラミックス複合部材等の材質からなっており、具体的には、例えば、(金属削除)ジルコニアグラッシーカーボン超硬合金炭化ケイ素ステンレス等の材料で形成される。

0059

プレス成形時の溶融ガラスG1では、その温度が結晶化領域S2(図1)を高速で通過するように設定する。そして、溶融ガラスG1が結晶化領域S2の下限から軟化点Ts付近の温度まで下がったところでプレス成形を開始する。つまり、プレス成形時の溶融ガラスG1の温度は、軟化点Ts以上、結晶化温度下限以下(結晶化領域S2の下限以下)であることが好ましい。そして、金型4,5と同じ温度まで冷却するのが好ましい。

0060

プレス成形時の割れを防ぐためには、金型4,5の温度は溶融ガラスG1の温度よりも低いことが好ましい。つまり、溶融ガラスG1の金型4,5への融着を避けるため、金型温度は上下ともガラス温度より低く設定するのが好ましい。具体的には、プレス成形時の溶融ガラスG1である軟化ガラス体の温度マイナス10℃以下に金型温度を設定するのが好ましい。軟化ガラス体の温度マイナス30℃以下であり、かつ、軟化ガラス体のガラス転移温度(Tg)マイナス50℃以上に金型温度を設定するのが更に好ましい。

0061

プレス成形完了時のガラス温度又は金型温度は、Tg−50℃〜Tg−10℃とすることが好ましい。この温度範囲は、融着しづらく転写性を落とさない温度範囲である。そして、軟化ガラス体をプレス成形しながら成形型の温度まで冷却し固化したところでプレスを完了する。軟化ガラス体のプレス成形を終了するまでに、両金型4,5の温度を維持してもよいが、両金型4,5の温度を徐々に下げてもよい。

0062

冷却条件を更に詳しく説明する。溶融ガラスG1のプレス後、ガラス成形体G2に割れが生じないように室温T0まで冷却する。プレス後の冷却速度は所望のレンズ重量やレンズ形状に依存して適宜設定されるが、プレス完了後、Tg−150℃まで1℃/秒〜0.1℃/秒の冷却速度で下げ、Tg−150℃から室温T0までは4℃/秒〜0.2℃/秒の速度で下げるのが好ましい。

0063

成形直後の結晶化領域S2通過直後のガラスは、組成により結晶化傾向を維持している場合もあるが、Tg−150℃まで冷却速度を1℃/秒〜0.1℃/秒とすれば、結晶化を防ぐことができる。Tg−150℃から室温T0までは、熱衝撃によるガラスの割れを防ぐのみでよいので、4℃/秒〜0.2℃/秒の速めの冷却でよい。また、TgからTg−150℃までの間にあるひずみ点までは冷却時に歪が残りやすいため、1℃/秒〜0.1℃/秒のやや遅めの冷却が好ましく、0.5℃/秒〜0.1℃/秒とするのが更に好ましい。

0064

本発明に係る製造方法に好適なガラス組成は、前述したように、原子%表記で、Ge:12〜35%、Se:50〜70%、As:0〜20%、Sb:0〜25%、As+Sb:0〜25%、を含むものである。このカルコゲナイドガラスの組成範囲について、このように限定した理由等を説明する。

0065

Geはガラスを構成する成分であり、Δη/ΔTの値を大きくする作用が大きい。その含有量が12%以上になると、Δη/ΔTの値を10以上に保つのが容易になり、35%以下になると、結晶化しにくくなる。したがって、その含有量は12〜35%であることが好ましく、15〜34%が更に好ましく、25〜33%がより一層好ましい。

0066

Seはガラスを構成する成分であり、Δη/ΔTの値を小さくする作用が大きい。その含有量が70%以下になると、Δη/ΔTの値を80以上に保つのが容易になり、50%以上になると、結晶化しにくくなる。したがって、その含有量は50〜70%であることが好ましく、53〜67%が更に好ましく、55〜65%がより一層好ましい。

0067

Asはガラスを構成する成分であり、Δη/ΔTの値を小さくする作用が大きい。その含有量が20%以下になると、Δη/ΔTの値を80以上に保つのが容易になる。したがって、その含有量は0〜20%であることが好ましく、0〜18%が更に好ましく、0〜15%がより一層好ましい。AsはSb,Se等と比較して毒性が強いので、Asを含まないことが最も好ましい。

0068

Sbはガラスを構成する成分であり、Δη/ΔTの値を小さくする作用が大きい。その含有量が25%以下になると、Δη/ΔTの値を80以上に保つのが容易になる。したがって、その含有量は0〜25%であることが好ましく、0〜20%が好ましく、0〜15%がより一層好ましい。

0069

AsとSbはともにガラスを安定にする作用があるため、As又はSbを1%以上使用することでガラスの安定度を保つことが容易になる。また、合計量(As+Sb)が25%以下になると、Δη/ΔTを80以上に保つのが更に容易になる。したがって、As+Sb:1〜25%を含むことが好ましく、1〜20%が更に好ましく、1〜18%がより一層好ましい。

0070

以下、本発明を実施したカルコゲナイドガラス製光学素子の構成等を、実施例1〜5及び比較例1,2を挙げて更に具体的に説明する。

0071

表1に示す実施例及び比較例を、次のように作製した。まず、表1に示すガラス組成(原子%)となるように、各成分を混合して石英アンプル内部に入れた。次に、アンプル真空度10-4Pa以下まで真空引きしたのち封止した。そのアンプルを約600〜1000℃の温度範囲で15〜30時間加熱して材料を溶融させ、撹拌して均質化した。その後、溶融状態のガラスを急冷し、得られたガラスをシリンジ1(図2(A))に適した大きさにカットした。カットしたガラス片G0を1塊とし、その大きさは概ね4ccとした。

0072

図2(A)に示すように、ガラス片G0をシリンジ1の本体チューブ1a内に充填し、その周囲に配置されたヒーター3で急速にランプ加熱した。加熱開始時点での作業環境窒素ガス雰囲気とした。また、室温T0から粘度4.5×107dPa・sの軟化点Ts以上の温度まで2分以内で到達するように、本体チューブ1a内のガラス片G0を溶融させて、溶融ガラスG1(図2(B))とした。そして、溶融ガラスG1の粘度が400〜4.5×107dPa・sとなり、ガラス表面が鏡面になっていることを確認した。

0073

図2(B)に示すように、プランジャー2を操作して、溶融ガラスG1をシリンジ先端部1bから押し出すことにより下金型4上に供給した。この下金型4の周囲は窒素ガス雰囲気とした。シリンジ先端部1bから押し出される溶融ガラスG1の粘度が400〜4.5×107dPa・sになった時点で、図2(C)に示すように上金型5をプレス軸ax上に移動させてプレス成形を行った。プレス成形により圧力を一定時間加えた後、図2(D)に示すように上金型5を開放し、得られたガラス成形体G2を冷却して回収した。回収されたガラス成形体G2は、直径25mm,厚さ8mmのレンズ(光学素子)である。

0074

表1に、実施例及び比較例における各種データとして、室温T0からの加熱時間(分)、溶融粘度(dPa・s)、押出し粘度(dPa・s)、成形時の粘度(dPa・s)、金型温度(℃)、成形完了温度(℃)、プレス圧力(kgf)、プレス時間(秒)、溶融ガラスG1のガラス転移温度Tg(℃)、及びガラス成形体G2の熱膨張係数α(×10-7/℃)を示す。また、図3に実施例1,2及び比較例1,2で用いるガラスの粘性曲線を示し、表1に粘度20(dPa・s),10000(dPa・s)のときの各温度(℃)とそのΔη/ΔT、及び500℃のときの粘度(dPa・s)を示す。

0075

上金型5に付着した揮発物の有無を顕微鏡倍率30倍)で観察し確認した。表1において、揮発物が確認できたものを×、確認できなかったものを○、と記した。また、ガラス成形体(レンズ)G2の表面及び内部における割れの発生の有無を評価し、表1において、割れの無いものを○、一部でも割れが観察されたものを×、と記した。

0076

表1に示すように、実施例1〜5では、上金型5への揮発物の付着は見られず、ガラス成形体G2に割れの発生もなく、熱膨張係数αが120,160(×10-7/℃)と比較的小さく、プレス成形時に発生するガラスの収縮による割れも防止できている。したがって、実施例1〜5は、溶融ガラスG1をシリンジ先端部1bから押し出すことにより下金型4へ供給し、上金型5でプレス成形を施す製造方法において好ましいことが分かる。

0077

これに対し、比較例1,2では、ガラス成形体G2に割れが発生し、ガラスの揮発物の付着も見られる。したがって、比較例1,2は上記製造方法において好ましくないことが分かる。熱膨張係数αがそれぞれ210,219(×10-7/℃)と大きいため、急激な温度変化によるストレスに耐えられないものとなっている。また、Δη/ΔTの値がそれぞれ52,69と小さくなっており、揮発発生の抑制が小さいためと推測される。

0078

表1に示すように、実施例1〜5のガラス転移温度Tgは、370℃,254℃であり、250℃を超えている。このため、反射防止膜をコートする際、十分な温度を設定することができ、安定した成膜が可能である。

実施例

0079

0080

1シリンジ
1a本体チューブ
1bシリンジ先端部
2プランジャー
3ヒーター
4下金型
5上金型
G0ガラス片(ガラス材料)
G1溶融ガラス
G2ガラス成形体(光学素子,レンズ)

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