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技術 表面被覆部材の製造方法、部材表面の前処理方法、処理済み部材及び表面被覆部材

出願人 スリーエムイノベイティブプロパティズカンパニー
発明者 石原葉子安藤太一市川正明
出願日 2015年2月12日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2015-025529
公開日 2016年8月18日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-148083
状態 特許登録済
技術分野 研磨体及び研磨工具 物理蒸着
主要キーワード 長底辺 部材表 研磨機器 表面被覆部材 ピークカウント 輸送用機器 接触ロール 成形構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月18日)のものです。
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図面 (4)

課題

耐摩耗性に優れ、硬質膜剥離が十分に抑制された表面被覆部材、及びその製造方法を提供すること。

解決手段

少なくとも一部の表面が硬質膜でコーティングされた表面被覆部材を製造する方法であって、上部材表面の少なくとも一部を研磨フィルム研磨して、研磨面を形成する研磨工程と、上研磨面に前記硬質膜をコーティングするコーティング工程と、を含み、上記研磨フィルムが、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、上記研磨部が、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含む、表面被覆部材の製造方法。

概要

背景

近年、自動車などの輸送用機器部品製品加工工具家庭用機器部品等の様々な分野において、部材表面にダイヤモンドライクカーボン窒化クロム等の硬質膜コーティングして、摩擦係数の低減、耐摩耗性の向上等を図ることが提案されている。

このような硬質膜のコーティングに関し、例えば、特許文献1及び2には、基材表面に所定の粗面化処理を施してダイヤモンドライクカーボン膜をコーティングすることが開示されている。

概要

耐摩耗性に優れ、硬質膜の剥離が十分に抑制された表面被覆部材、及びその製造方法を提供すること。少なくとも一部の表面が硬質膜でコーティングされた表面被覆部材を製造する方法であって、上部材表面の少なくとも一部を研磨フィルム研磨して、研磨面を形成する研磨工程と、上研磨面に前記硬質膜をコーティングするコーティング工程と、を含み、上記研磨フィルムが、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、上記研磨部が、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含む、表面被覆部材の製造方法。なし

目的

本発明の目的の一つは、耐摩耗性に優れ、硬質膜の剥離が十分に抑制された表面被覆部材、及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも一部の表面が硬質膜コーティングされた表面被覆部材を製造する方法であって、部材表面の少なくとも一部を研磨フィルム研磨して、研磨面を形成する研磨工程と、前記研磨面に前記硬質膜をコーティングするコーティング工程と、を含み、前記研磨フィルムが、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、前記研磨部が、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含む、表面被覆部材の製造方法。

請求項2

前記研磨面のRzが0.02μm以上0.15μm以下である、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記成形構造が、横置きの三角柱状を有し、前記複数の成形構造は、前記基材からの高さが互いに略同一であり、互いの側辺が略平行になるよう配置されている、請求項1又は2に記載の製造方法。

請求項4

前記成形構造は、その側辺が研磨方向に対して10°〜80°の角度を成すように配置されている、請求項3に記載の製造方法。

請求項5

前記硬質膜が、ダイヤモンドライクカーボン窒化クロム又は窒化チタンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。

請求項6

硬質膜でコーティングされる部材表面の前処理方法であって、前記部材表面を研磨フィルムで研磨して研磨面を形成する研磨工程を含み、前記研磨フィルムが、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、前記研磨部が、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含む、前処理方法。

請求項7

請求項6に記載の前処理方法で処理された表面を有する、処理済み部材。

請求項8

請求項7に記載の処理済み部材に硬質膜をコーティングしてなる、表面被覆部材。

技術分野

0001

本発明は、少なくとも一部の表面が硬質膜コーティングされた表面被覆部材を製造する製造方法に関する。また、本発明は、部材表面の前処理方法、及び当該前処理方法により処理された処理済み部材に関する。また、本発明は、少なくとも一部の表面が硬質膜でコーティングされた表面被覆部材に関する。

背景技術

0002

近年、自動車などの輸送用機器部品製品加工工具家庭用機器部品等の様々な分野において、部材表面にダイヤモンドライクカーボン窒化クロム等の硬質膜をコーティングして、摩擦係数の低減、耐摩耗性の向上等を図ることが提案されている。

0003

このような硬質膜のコーティングに関し、例えば、特許文献1及び2には、基材表面に所定の粗面化処理を施してダイヤモンドライクカーボン膜をコーティングすることが開示されている。

先行技術

0004

特開2004−84014号公報
特開2012−41589号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上記のような硬質膜としては、硬質膜自体の特性(摩擦特性耐腐食性等)に加えて、部材からの剥離を防止して長期寿命を得る観点から、部材との密着性が良好で耐摩耗性に優れることが求められる。

0006

本発明の目的の一つは、耐摩耗性に優れ、硬質膜の剥離が十分に抑制された表面被覆部材、及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的の一つは、耐摩耗性に優れた表面被覆部材を形成するための部材表面の前処理方法、及び当該前処理方法で処理された処理済み部材を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一側面は、少なくとも一部の表面が硬質膜でコーティングされた表面被覆部材を製造する、表面被覆部材の製造方法に関する。この製造方法は、部材表面の少なくとも一部を研磨フィルム研磨して、研磨面を形成する研磨工程と、上記研磨面に上記硬質膜をコーティングするコーティング工程と、を含み、この製造方法において、上記研磨フィルムは、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、上記研磨部は、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含む。

0008

本発明の他の一側面は、硬質膜でコーティングされる部材表面の前処理方法に関する。この前処理方法は、上記部材表面を研磨フィルムで研磨して研磨面を形成する研磨工程を含み、この前処理方法において、上記研磨フィルムは、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、上記研磨部は、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含む。

0009

本発明のさらに他の一側面は、上記前処理方法で処理された表面を有する、処理済み部材に関する。また、本発明のさらに他の一側面は、上記処理済み部材に硬質膜をコーティングしてなる、表面被覆部材に関する。

発明の効果

0010

本発明によれば、耐摩耗性に優れ、硬質膜の剥離が十分に抑制された表面被覆部材、及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、耐摩耗性に優れた表面被覆部材を形成するための部材表面の前処理方法、及び当該前処理方法で処理された処理済み部材が提供される。

図面の簡単な説明

0011

研磨フィルムの一態様を示す断面斜視図である。
研磨フィルムの成形構造の配置例を模式的に示す平面図である。
研磨フィルムの製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
研磨フィルムによる部材表面の研磨方法の一例を示す模式図である。

0012

本発明の好適な実施形態について以下に説明する。

0013

本実施形態に係る表面被覆部材は、少なくとも一部の表面が硬質膜でコーティングされた部材である。また、本実施形態に係る表面被覆部材の製造方法は、部材表面の少なくとも一部を研磨フィルムで研磨して、研磨面を形成する研磨工程と、研磨面に硬質膜をコーティングするコーティング工程と、を含む。

0014

本実施形態において、研磨フィルムは、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備えるものであり、研磨部は、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の研磨粒子を含むものである。なお、本明細書中、研磨粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置LA−920(株式会社堀場製作所(京都府京都市)製)を用いて測定されるメジアン径を示す。

0015

本実施形態に係る製造方法によれば、耐摩耗性に優れ、硬質膜の剥離が十分に抑制された表面被覆部材を製造することができる。

0016

本実施形態に係る製造方法においては、上記特定の研磨フィルムで部材表面を研磨することによって、部材表面に特徴的な粗面形状が形成されると考えられる。そして、このような特徴的な粗面形状が形成された研磨面に硬質膜をコーティングすることによって、硬質膜と部材との間の密着性が向上し、耐摩耗性に優れた表面被覆部材が形成されると考えられる。

0017

本実施形態に係る製造方法に供される部材としては、例えば、超硬合金ダイス鋼粉末ハイス高速度鋼などの合金工具鋼ステンレス鋼アルミ合金焼き入れ鉄鋼材料等の硬質材を含む部材が挙げられる。

0018

以下、本実施形態に係る製造方法の各工程について詳述する。

0019

研磨工程は、部材表面の少なくとも一部を後述の研磨フィルムで研磨して、研磨面を形成する工程である。

0020

研磨工程においては、研磨フィルムとして、基材と、該基材上に突出した複数の成形構造を有する研磨部とを備え、研磨部に含まれる研磨粒子の平均粒径が0.3μm以上10μm以下である研磨フィルムを用いる。このような研磨フィルムで研磨することで、研磨面が特徴的な粗面形状を有するものとなり、硬質膜の耐摩耗性、耐剥離性が向上すると考えられる。

0021

研磨フィルムの基材としては、例えば、ポリエステルなどのポリマーフィルム金属フィルム、これらの組み合わせ及びこれらの処理品等を用いることができる。

0022

基材には、研磨部の基材に対する接着性を向上させるための易接着処理が施されていてもよい。易接着処理としては、例えば、基材表面へのプライマーの塗布等が挙げられる。

0023

基材の厚さは、その材質及び研磨フィルムの要求特性(柔軟性、機械的強度等)に応じて適宜調整することができる。例えば、基材の厚さは10〜500μmであってよく、好ましくは50〜150μmである。

0024

研磨フィルムの研磨部は、例えば、樹脂材料と該樹脂材料中に分散された研磨粒子を含む研磨材料から形成されたものであってよい。また、研磨フィルムの研磨部は、樹脂材料及び該樹脂材料中に分散された研磨粒子を含む研磨材料で形成された上層と、基材と上層とを接合する接合材料で形成された下層とを含むものであってもよい。

0025

研磨部は、基材上に突出するように成形された成形構造を有している。このような成形構造を研磨部が有することで、研磨フィルムによる研磨では、研磨部の頂上部で研磨を行い、研磨により生じた研磨屑は凹部に溜めることができる。このため、研磨屑が、部材と研磨部との間に侵入して部材表面を傷付けることを十分に防止することができる。そして、本実施形態では、このような特徴的な研磨様式によって、硬質膜との密着性に優れる特徴的な粗面形状が形成できると考えられる。

0026

研磨部は複数の成形構造を有し、複数の成形構造は、基材からの高さが互いに略同一であることが好ましい。成形構造の基材からの高さは、例えば5μm以上であってよく、10μm以上であってもよく、500μm以下であってよく、1000μm以下であってもよい。

0027

成形構造は、例えば、横置きの三角柱状(側面が基材側に接する三角柱状)であってよい。またこのとき、複数の成形構造は、互いの側辺が略平行になるように基材上に配置されていることが好ましい。さらにこのような成形構造は、その側辺が研磨方向に対して10°〜80°の角度を成すように配置されていることが好ましい。

0028

研磨部は、上述のとおり、樹脂材料と該樹脂材料中に分散された研磨粒子を含む研磨材料から形成されたものであってよい。このとき、樹脂材料としては、例えば、光硬化性アクリル化合物熱硬化性エポキシ化合物熱硬化性フェノール化合物等の硬化物等が挙げられる。

0029

また、研磨部は、樹脂材料及び該樹脂材料中に分散された研磨粒子を含む研磨材料で形成された上層と、基材と上層とを接合する接合材料で形成された下層とを含むものであってもよい。このとき、接合材料としては、例えば光硬化性アクリレート化合物ポリウレタン化合物等の硬化物等が挙げられる。

0030

研磨部に含まれる研磨粒子としては、例えば、ダイヤモンドアルミナシリコンカーバイドアルミナジルコニアアルミナセラミック等が挙げられる。

0031

研磨粒子の平均粒径は、0.3μm以上であり、好ましくは0.4μm以上であり、0.5μm以上であってもよい。また、研磨粒子の平均粒径は、10μm以上であり、好ましくは9.5μm以上であり、9μm以下であってもよい。

0032

図1は、本実施形態に係る研磨フィルムの一態様を示す断面斜視図である。図1の研磨フィルムは、基材1及び基材1上に設けられた研磨部2を備えている。研磨部2は、研磨対象の部材と接する上層4と、基材1と上層4とを接合する下層5とを有している。上層4は、樹脂材料5とその中に分散された研磨粒子6とを有している。下層3は、結合材料からなり、必ずしも研磨粒子を含む必要はない。また、研磨部2は、基材1と側面で接する三角柱状の成形構造7を複数有している。

0033

なお、下層3は、研磨粒子を含んでいてもよく、上層4と同じ組成であってもよい。すなわち、図1の研磨フィルムは研磨部2は上層4と下層5とを備えるものとして記載したが、本実施形態に係る研磨フィルムは、研磨部2が、樹脂材料5と研磨粒子6とを有する研磨材料から形成された単層の研磨部であってもよい。

0034

研磨部2は、平行に配置された複数の成形構造7の列を有する。成形構造7の頂角βは、通常30°〜150°であり、45°〜140°であってもよい。図1において、成形構造7の長手方向と平行な断面は二等辺三角形であるが、本実施形態において、成形構造7の上記断面は二等辺三角形でなくてもよい。成形構造7の上記断面が二等辺三角形でない場合は、成形構造7は急斜面緩斜面とを有するものとなる。

0035

成形構造7の頂上部のリッジは、研磨フィルムのほぼ全域にわたって基材表面と平行な平面上に存在していることが好ましい。これにより、研磨部2の被研磨面への当りが均一化する。図3中の符号hは、基材表面からの成形構造の高さを示す。高さhは、通常2〜600μmであり、4〜300μmであってもよい。複数の成形構造の高さのばらつきは、成形構造の平均高さの20%以内であることが好ましく、10%以内であることがより好ましい。

0036

図3中、符号sは、研磨部2の上層4の高さを示す。高さsは、例えば、成形構造の高さhの5〜95%であってよく、10〜90%であってもよい。

0037

図3中、符号wは、成形構造7の短底辺の長さ(すなわち、成形構造7の幅)を示す。長さwは、例えば2〜2000μmであってよく、4〜1000μmであってもよい。符号pは、成形構造7の頂上間距離(すなわち、成形構造のピッチ)を示す。頂上間距離pは、例えば2〜4000μmであってよく、4〜2000μmであってもよい。

0038

成形構造7は、互いに接していても離間して配置されていてもよい。図3中の符号uは、成形構造7の長底辺間距離を示す。距離uは、例えば0〜2000μmであってよく、0〜1000μmであってもよい。

0039

成形構造7の長さは、研磨フィルムのほぼ全域に亘って伸長されていてよい。また、成形構造7は、適当な長さで中断されていてもよい。成形構造7の基材と接する面(三角柱の側面)は、アスペクト比2以上であればよく、好ましくは5以上である。その端部は揃えても揃えなくてもよく、例えば、端部を下から鋭角を付けて切り四方に斜面が有する寄せ棟形状としてもよい。

0040

図2は、研磨フィルムの成形構造の配置例を模式的に示す平面図である。図2中の矢印Aは、研磨工程において、被研磨面(すなわち、部材表面)が進行する方向と平行な方向を示す。矢印Aが示す方向は、研磨フィルムの長手方向ということができ、長手方向と垂直な方向は研磨フィルムの横方向ということができる。研磨工程で研磨する部材が円筒状部材である場合、横方向は円筒状部材の軸と平行になる。

0041

図2の研磨フィルム10において、成形構造7はその長手方向(すなわち、三角柱の側辺)と研磨フィルム10の長手方向とが、角度γを成すように配置されている。角度γは、例えば、10°〜80°とすることができる。このような角度γを成すように成形構造7が配置されることで、研磨屑の凹部へ流れやすくなるとともに、研磨フィルムによる特徴的な粗面形状が形成されやすくなる。

0042

研磨フィルムは、例えば以下の方法により製造することができる。

0043

まず、研磨粒子と、樹脂材料を形成する結合剤と、溶剤とを含む研磨材塗布液を調製する。溶剤は、結合剤を溶解可能な揮発性溶剤であることが好ましく、例えば、室温〜170℃で揮発性を示す有機溶媒であってよい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトントルエンキシレンエタノールイソプロピルアルコール酢酸エチル酢酸ブチルテトラヒドロフランプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。

0044

次いで、規則的に複数配置された凹部を有する鋳型シートを準備する。凹部の形状は、形成する成形構造を反転させた形状であればよい。鋳型シートの材料としては、例えば、ニッケル等の金属、ポリプロピレン等のプラスチックを用いてよい。また、結合剤が光硬化性樹脂である場合には、紫外線可視光線等を透過可能な材料を用いることが好ましい。

0045

これらの研磨材塗布液及び鋳型シートを用いて、研磨フィルムを製造することができる。図3は、研磨フィルムの製造方法の一例を模式的に示す工程図である。

0046

図3(a)に示すように、鋳型シート8に研磨材塗布液9を充填する。充填量は、溶剤を蒸発させ、結合剤を硬化させた後に、上層4を形成するために十分な量とする。例えば、溶剤を蒸発させた後に、凹部の底からの深さが図3に示すsの寸法となる量を充填すればよい。充填は、例えば、研磨材塗布液をロールコータ等の塗布装置で鋳型シートに塗布することにより行うことができる。

0047

図3(b)に示すように、充填された研磨材塗布液から溶剤を蒸発させて除去する。その際、例えば、鋳型シート8を50〜150℃に加熱してもよい。加熱時間は特に制限されず、例えば、0.2〜10分間としてよい。結合剤が熱硬化性樹脂である場合には、硬化温度まで加熱して硬化工程を同時に行うこともできる。また、溶剤の揮発性が高い場合は、室温で数分〜数時間放置することで蒸発させてもよい。

0048

図3(c)に示すように、この鋳型シートに結合剤塗布液10を更に充填して凹部を結合剤で満たす。このとき充填される結合剤は、基材及び上層との接着性が良好な結合剤であることが好ましい。当該結合剤により、基材及び上層を接合する接合材料からなる下層が形成される。結合剤は、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂であってよく、好ましくは光硬化性樹脂である。

0049

図3(d)に示すように、鋳型シート8に基材1を重ねて結合剤を基材に接着させる。接着は、例えば、ロール加圧ラミネート等の方法により行うことができる。

0050

次いで、加熱又は光照射によって結合剤を硬化させて、基材及び上層を接合する接合材料を形成する。なお、図3(d)では、光照射する場合を示している。本実施形態では、例えば、基材として光透過性の基材(透明基材)を用いた場合には、透明基材の上から紫外線(UV)等の光を照射することができる。

0051

その後、必要に応じて、鋳型シートを50〜150℃に加熱して研磨部の上層3中の熱硬化性樹脂を硬化させる工程等を行い、図3(e)に示すように鋳型シート8を除去することにより、研磨フィルムを得ることができる。

0052

本実施形態において、研磨工程では、上述の研磨フィルムで部材表面の少なくとも一部を研磨して、研磨面を形成する。このとき、研磨面のRzは、0.02μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましい。また、研磨面のRzは,0.15μm以下であることが好ましく、0.11μm以下であることがより好ましい。すなわち、研磨工程では、得られる研磨面のRzが上記範囲内となるように、研磨の条件を適宜調整することができる。なお、本明細書中、研磨面のRzは、JIS B 0601:2001に準拠して求めた値を示す。

0053

研磨工程における研磨は、例えば、部材表面に研磨フィルムを押し当ててつつ一方向に摺動させることで行うことができる。また、具体的な研磨方法は、部材の形状等に応じて適宜設定することができる。例えば、部材が円筒状であるとき、研磨工程における研磨は、図4に示す方法で行うことができる。

0054

図4は、研磨フィルムによる部材表面の研磨方法の一例を示す模式図である。図4において、研磨フィルム11は、繰り出しロール12から繰り出され、接触ロール13を経て巻き取りロール14に巻き取られる。接触ロール13はエアシリンダー15によって円筒状部材16の外周面に押し当てられる。円筒状部材16を矢印方向に回転させ、研磨フィルム11を、研磨フィルム11の被研磨面が進行する方向と逆方向に送ることで、研磨が行われる。

0055

研磨荷重は、円筒状部材16の材質等に応じて、研磨面のRzが上記範囲内となるように適宜調整することができる。

0056

コーティング工程は、研磨工程で形成された研磨面に、硬質膜をコーティングする工程である。

0057

コーティング工程は、公知の硬質膜の形成方法により行うことができる。例えば、コーティング工程は、真空蒸着スパッタリング等の物理蒸着によって、研磨面に硬質膜をコーティングする工程であってよい。

0058

本実施形態において硬質膜は、ISO14577−4:2007に準拠して測定されるビッカース硬度が700以上のものであってよく、1000以上のものであることが好ましい。なお、硬質膜のビッカース硬度は例えば3000以下であってよい。

0059

硬質膜としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボン、窒化クロム、窒化チタン等が挙げられる。

0060

硬質膜の厚さは特に制限されないが、例えば0.1〜3.0μmであってよく、0.1〜5.0μmであってもよい。

0061

本実施形態に係る製造方法では、研磨工程で形成された研磨面に硬質膜を形成することで、耐摩耗性に優れ、硬質膜の剥離が十分に抑制された表面被覆部材が製造される。

0062

以上、本発明に係る表面被覆部材の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。

0063

例えば、本発明は、その一側面において、硬質膜でコーティングされる部材表面の前処理方法に関するものである。当該前処理方法は、部材表面を、上述した特定の研磨フィルムで研磨する研磨工程を含む。このような研磨工程により、研磨面が形成された部材は、硬質膜のコーティング対象として好適に用いることができる。

0064

また、本発明は、他の側面において、上記前処理方法で処理された表面を有する、処理済み部材に関するものであってよい。また、本発明は、他の側面において、上記処理済み部材に硬質膜をコーティングしてなる、表面被覆部材に関するものであってもよい。

0065

以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。

0066

(実施例1)
金属シャフトSKH51、φ10mm×30mの円筒状)の円筒側面を、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム662XA(スリエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:9μm)を用い、図3に示す方法で研磨した。研磨機器は、スーパーフィニッシャーSP−100(株式会社田精機(庫県川西市)製)を用い、研磨条件は以下のとおりとし、研磨フィルムと金属シャフトとの接触面に用いる研削液として、SIMTECH500(5%希釈溶液)を用いた。研磨後の金属シャフトの円筒側面について、JIS B 0601:2001に準拠した方法で表面粗度を測定したところ、Rzは0.1053μmであった。
<研磨条件>
シャフト回転数:960rpm
フィルム送り速度:20mm/min
切り込み量:0.5mm
加圧:0.4MPa
オシレーション:600cpm
バックアップロール硬度:70度(ショアA硬度

0067

次いで、研磨後の金属シャフトの円筒側面を窒化クロム(CrN)の硬質膜でコーティングして、表面被覆部材を得た。なお、硬質膜の厚さは2.8μmとした。

0068

得られた表面被覆部材について、ASTMC1624−05(2010)に準拠したスクラッチテストを行い、硬質膜が剥離して金属シャフトの表面が露出し始めたときの臨界剥離荷重を求めた。測定の結果、臨界剥離荷重は101.4Nであった。

0069

(比較例1)
研磨フィルムとして、3MTMダイヤモンドマイクロフィニッシングフィルム675L(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:9μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.2669μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は96.68Nであった。

0070

(比較例2)
研磨フィルムとして、3MTMダイヤモンドラッピングフィルム661X(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:9μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.0762μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は93.98Nであった。

0071

なお、比較例1の研磨フィルムは、静電塗布によって研磨砥粒基材フィルム接着剤層に配置した研磨フィルムであり、比較例2の研磨フィルムは、研磨砥粒を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し硬化させた塗布研磨材である。

0072

実施例1及び比較例1〜2の結果を表1に示す。

0073

0074

なお、実施例1と比較例2において、研磨後の円筒側面の表面粗度測定において、ピークカウント(評価長さ2.5mm)を行ったところ、実施例1では264.4、比較例2では247.5であった。Rz及びピークカウントの結果から、実施例1及び比較例2〜3において研磨面がそれぞれ異なる粗面形状を有していることが確認された。

0075

(実施例2)
金属シャフト(SKH51、φ10mm×30mの円筒状)の円筒側面を、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム662XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:9μm)を用いて、実施例1と同条件で研磨した。研磨後の金属シャフトの円筒側面について、JIS B 0601:2001に準拠した方法で表面粗度を測定したところ、Rzは0.1061μmであった。

0076

次いで、研磨後の金属シャフトの円筒側面をダイヤモンドライクカーボン(DLC)の硬質膜でコーティングして、表面被覆部材を得た。なお、硬質膜の厚さは0.8μmとした。

0077

得られた表面被覆部材について、ASTMC1624−05(2010)に準拠したスクラッチテストを行い、硬質膜が剥離して金属シャフトの表面が露出し始めたときの臨界剥離荷重を求めた。測定の結果、臨界剥離荷重は70.91Nであった。

0078

(比較例3)
研磨フィルムとして、3MTMダイヤモンドマイクロフィニッシングフィルム675L(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:9μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.3249μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は46.69Nであった。

0079

(比較例4)
研磨フィルムとして、3MTMダイヤモンドラッピングフィルム661X(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:9μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.0930μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は45.25Nであった。

0080

実施例2及び比較例3〜4の結果を表2に示す。

0081

0082

(実施例3)
研磨フィルムとして、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム662XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:2μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.0445μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は98.56Nであった。

0083

(実施例4)
研磨フィルムとして、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム663XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:0.5μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.0236μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は96.53Nであった。

0084

(比較例5)
研磨フィルムとして、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム663XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:15μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.2513μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は94.35Nであった。

0085

実施例1、実施例3、実施例4及び比較例5の結果を表3に示す。

0086

0087

(実施例5)
研磨フィルムとして、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム662XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:2μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.0478μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は91.10Nであった。

0088

(実施例6)
研磨フィルムとして、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム663XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:0.5μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.0259μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は70.50Nであった。

0089

(比較例6)
研磨フィルムとして、トライザクトTMダイヤモンドラッピングフィルム663XA(スリーエムジャパン株式会社製、研磨粒子の平均粒径:15μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、金属シャフトの研磨及び表面被覆部材の作製を行った。研磨後の金属シャフトの円筒側面のRzは0.2817μmであり、得られた表面被覆部材の臨界剥離荷重は43.40Nであった。

0090

実施例2、実施例5、実施例6及び比較例6の結果を表4に示す。

実施例

0091

0092

1…基材、2…研磨部、3…下層、4…上層、5…樹脂材料、6…研磨粒子、7…成形構造、10…研磨フィルム、11…研磨フィルム、12…繰り出しロール、13…接触ロール、14…巻き取りロール、15…エアシリンダー15。

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