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技術 細胞の再プログラミングのための方法とその用途

出願人 ジェネシステクノロジーズリミティド
発明者 アルフォース,ジャン‐エリックエラヨウビルウェイダ
出願日 2016年3月24日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-059620
公開日 2016年8月18日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-146841
状態 拒絶査定
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード FF対 例外項目 予備的ステップ 多層組織 基準特徴 形態基準 取り付き 活性電位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月18日)のものです。
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図面 (20)

課題

解決手段

1つ以上の再プログラミング剤の細胞内レベル一過性的に増加させて、1つ以上の遺伝子調節因子内因性発現を直接又は間接的に誘導させることと、細胞の形質転換を支援するための条件中に配置させて、並びに再プログラミング剤の不在下で1つ以上の遺伝子調節因子を安定して発現させるために十分な期間時間で、1つ以上の再プログラミング剤の細胞内レベルを維持し、その発現が所望の細胞の表現型及び/又は機能的特徴を有するような複数の第2の遺伝子を安定して発現させるのに十分な期間時間で、形質転換を支援する培養条件中で細胞を維持し、第2の遺伝子の少なくとも1つが、胚幹細胞の表現型及び機能的特徴の特性を有さず、これによって期間時間の最終にて、最初の細胞が異なる型の所望の細胞へ形質転換され、維持する。

概要

背景

細胞再プログラミング
従来より、医療、科学、及び診断分野において、卵母細胞又は他の幹細胞と融合又は交換されることなく、容易に取得可能な細胞を一般的に取得が困難である細胞へと再プログラムする、或いは細胞が新しい又は異なる機能性を有するように細胞を再プログラムするための要望がある。

第1の機序によると、幹細胞は、別の幹細胞、プロジェニタ-、前駆細胞、又は体細胞へ自然に分裂又は分化し得る。第2の機序によると、特定の条件下に配置される場合、体細胞は、その表現型一過性的に変化させるか又は特定のマ-カ-を発現することがあり、次いで元の条件に配置される際に、元に戻る。第3の機序によると、多くの細胞の表現型は、特定の遺伝子の強制発現(例えば、c-myc遺伝子線維芽細胞に安定してトランスフェクトし、それらを、神経プロジェニタ-特性を有する不死化細胞に戻す)を通して変化され得るが、しかしながらこの強制遺伝子発現が一旦排除されると、細胞はゆっくりとその元の状態に戻る。従って、上記の3つの機序は、真の再プログラミングとは考えられるべきではなく、第1番目は、(より退行分化した状態からより分化した状態への)既に存在している細胞プログラムの一部である自然的な分化と考えられ、第2番目は、一過性の表現型変化であり、第三番目は、一定に強制された細胞型である。真の幹細胞とは、(i)ほぼ「無限に」自己再生する(体細胞よりも極めて長期間)細胞、(ii)癌性細胞ではない細胞、(iii)強制遺伝子発現又は同様な手段(標準幹細胞培地中で維持されなければならないような)によって人工的に維持されない細胞、(iv)プロジェニタ-、前駆体細胞、体細胞又は他のより分化した細胞型へと分化し得る細胞、及び(v)幹細胞の全ての特性を有するが、ただ特定のマ-カ-又は遺伝子発現あるいは形態学外観を有しない細胞である。

多数の科学公開論文及び特許公開が、一般的には幹細胞への有効な再プログラミング又は退行分化を主張しているにもかかわらず、それらが上記の機序のうちの1つに該当するために、これら公開のほとんど全てが本当の意味での再プログラミングを開示していない。例えば、Bhasin著(WO第2010/088735号)、Cifarelliら著(米国特許第2010/0003223号)、Kremerら著(米国特許第2004/0009595号)、及びWinnierら著(米国特許2010/0047908号)の全てが、補足物質を備えた異なる培地中での培養後の再プログラミング、退行分化、及び/又は細胞表面マ-カ-における変化のみに基づいた表現型細胞の変化としての取得された幹細胞に言及していて、これらは真のサイプログラミング又は実際の幹細胞(幹細胞マ-カ-を伴い、分化マ-カ-を伴わない非癌性で自己再生可能な細胞)の証拠がない。Oct4及びSox2の増加した発現を用いたBenneti著(WO第2009/079007号)でも同じことが言える。他には、Akamatsuら著(WO2010/052904号)及びYouら著(WO2007/097494号、米国特許第2009/0246870)などでは、幹細胞を生成したと言及しているが、これらが不死化腫瘍発生性ではなく、並びに一過性の代わりに安定的であるという真の幹細胞の証拠がなく、これらはレトロウイルス(cMycと同様)から誘導された一定の人工的遺伝子導入を経て生じたものである。他には、Chenら著(米国特許第2005/0176707号)及びYouら著(米国特許第2009/0227023号)などでは、「多能性細胞」を言及しているが、これは幹細胞ではない。更には、これら主張された多能性細胞は安定的ではなく(Youら著の場合、細胞は増殖すらもできなかった)、両者ともに、一定の培地補充剤及び表現型変化を強要する条件を用いた。更に他にも、Oliveriら著(WO第2009/018832号)及びZahnerら著(米国特許2002/0136709号)などは、ゲノム全域にわたるDNA脱メチル化反応及びヒストンアセチル化を通しての多分化能性、全能性多能性、及び/又は単分化能性の細胞の自動的な生成を記載したが、安定で、非癌性の本当の意味での細胞系の証拠はない。

本当の意味での再プログラミングは、Yamanakaのグル-プ(Takahashiら、2007年)とThomsonのグル-プ(Yuら、2007年)によって個別に、これら以前の他のグル-プによる可能性もあるが、作り出され誘導された多分化能性幹細胞iPS細胞)を使用して達成されたと考えられているが、これら細胞の多くは、その後癌性であり、そのいくつかは癌性ではないと認められた。これら細胞が、非遺伝子組み込みの一過性トランスフェクション(Soldnerら,2009年、Woltjenら,2009年、Yuら,2009年)によって、並びに同様な方法による、RNA(Warrenら,2010年)又はタンパク質(Kimら,2009年、Zhouら,2009年)単独によって、或いは小分子(Lyssiotisら,2009年)によって誘導され得ることが後に示されたために、これら細胞は本当の意味での再プログラミングによって誘導され得る。しかしながら、これら細胞は本質的に胚幹細胞と同一であり、無秩序な増殖、奇形腫形成、及び腫瘍形成の可能性などの同様な問題を有する。

より好ましいオプションとしては、それらが容易に奇形腫及び無秩序増殖を形成しないようにそれらの結合及び分化能力がより制限されている多能性幹細胞又は多分化能性様細胞を有することである。従って、多能性幹細胞、多能性幹様細胞、及び幹様細胞を生成する方法、並びに容易に取得可能な細胞を、極めて望ましい多能性幹細胞、多能性幹様細胞、及び幹様細胞へと再プログラミング又は形質転換する方法の要望がある。
神経幹様細胞(NSLC)

中枢神経系(CNS)の修復は、医療科学が克服せねばならないフロンティアの1つである。アルハイマ-病、パ-キンソン病、及び脳卒中などのような病状は、それに冒された人々にとって、破壊的な症状である。これら病状に関する中心的願望は、神経回路網再構成し、神経系の機能を順次戻すことができる細胞群を開発することである。このために、神経幹細胞及びプロジェニタ-細胞に関心を向けた多大な進展がある。現在まで、多能性神経プロジェニタ-細胞は、神経制限細胞又はグリア制限細胞のいずれかに、分化経路内で初期に作用すると一般的に考えられてきた。

神経幹細胞は、疾患又は損傷からの組織再生に関する有望性を有するが、このような治療では、必要な細胞型を創り出すために、細胞機能にわたる正確な制御を必要とするであろう。細胞増殖及び分化を調節する機能の完全な理解は未だなく、従って、脳又は成長中の胎児の脳の所与の領域から誘導された神経幹細胞群の可変性を徹底的に追求することは困難である。

CNSは、制限された再生能力を有し、特に嗅球ニュ-ロンを補充する海馬歯状回顆及び脳室下帯内において、大人では神経幹細胞の制限された数を維持すると伝統的に信じられていた(Singec Iら,2007年、Zielton R,2008年)。前駆体細胞の利用可能性は、成熟した神経系中の欠陥移植組織に基づく修復のための重要な必須条件である。従って、神経移植のためのドナ-細胞は、胎児の脳から大量に誘導される。免疫拒絶反応に加えて、このことが、大きな倫理的問題を生じ、並びに神経幹細胞がそれぞれの細胞分裂によってその能力いくらか損失し得るために、このようなアプロ-チが多数の患者の治療のために用いることができるかどうかが疑問である。

神経幹細胞は、神経変性疾患の細胞交換治療のための有望な治療的可能性を提供する(Mimeaultら,2007年)。現時点まで、ドナ-物質源としてヒト胎児組織の種々の型を開発するために、多数の治療的移植が実行されてきた。しかしながら、倫理上及び実用上の考慮並びに入手不能性が、移植治療のための細胞源としての利用可能性を制限している(Ninomiy Mら,2006年)。

患者に特異的な細胞の誘導への障壁及び制限を克服するために、皮膚細胞を用いて、神経幹細胞及び/又はニュ-ロンへの分化形質転換を誘導する1つのアプロ-チがあった(Levesqueら,2000年)。分化形質転換は、過去数年間、増大する注目を集めてきていて、哺乳類細胞の分化形質転換は、共培養中又は細胞培養条件の操作によって達成された。細胞運命改変は、細胞培養を微小線維阻害物質(Sheaら,1991年)、ホルモン(Yeomanら,1976年)、及びカルシウムイオノホア(Shea,1990年、Satoら,1991年)でインヴィトロ処理することによって、人工的に誘導され得る。哺乳類上皮細胞は、筋肉様形状及び機能を獲得するよう誘導され得(Paterson及びRudland,1985年)、膵臓外分泌管細胞は、インシュリン分泌外分泌表現型を獲得し得(Bouwens,1998a,b)、並びに骨髄幹細胞は、肝臓細胞(Theiseら,2000年)及び神経細胞(Woodburyら,2000年)へと分化され得る。他には、細胞骨格アセチル化及びメチル化阻害物質の存在下での体細胞の培養によって、体細胞を神経細胞へと分化形質転換させたPageら著(米国特許第2003/0059939号)などがあるが、プライミング剤の取り出し後、ニュ-ロン形態及び確立されたシナプスが、インヴィトロにおいて数週間までも続かず、神経プロジェニタ-又は神経幹細胞の完全に機能的型及び安定型への完全な変換は、全く示されていない。分化形質転換に続く安定な表現型の獲得は、技術分野が直面している主な課題の1つである。

安定で、有効な、及び好ましくは自家性の神経幹細胞、神経プロジェニタ-細胞、並びに種々の神経学的疾患及び疾病の治療で用いられるためのニュ-ロン及びグリア細胞の要望が生物医学分野である。多くの細胞の他の型に関して同様な要望があるのも真実である。近年、基本的なヘリックス-ル-プ-ヘリックス(bHLHクラスの遺伝子が、神経系統発達における複数の工程の重要な調節因子であること、並びに複数個神経因性bHLH因子過剰発現が、未決定外胚葉神経組織への変換をもたらすことの証拠が得られている。前神経性bHLHタンパク質は、プロジェニタ-細胞への分化及び神経系全体にわたる神経原性プログラムを経てのそれらの進行を制御する(Bertrandら,2002年)。MASH1、NeuroD2、MATH1-3、及びNeurogenin1-3は、哺乳類ニュ-ロン決定及び分化中に発現されたbHLH転写因子である(Johnsonら、1990年、Takebayashら,1997年、McCormickら,1996年、Akazawaら,1995年)。マウス中のMASH1、Ngb1、Ngn2又はNeuroDの標的破壊は、ニュ-ロンの特異的サブセットの損失へと導く(Guillemotら,1993年、Fodeら,1998年、Miyataら,1999年)。

米国特許第6,087,168号(Levesqueら著)は、皮膚基底細胞生存可能なニュ-ロンへと変換または分化形質転換するための方法を記載している。1つの例では、本方法は、神経分化役割を果たす神経原性転写因子をコ-ド化する少なくとも1つのcDNAを含有する1つ又はそれ以上の発現ベクタ-を使用しての皮膚細胞のトランスフェクションを含む。好適なcDNAとしては、NeuroD1、NeuroD2、ASH1などのようなヘリックス-ル-プ-ヘリクス活性化物質、並びにZic3及びMyT1のような亜鉛-フィンガ-型活性化物質が挙げられる。トランスフェクション工程の次には、ヒトMSX1遺伝子及び/又はヒトHES1遺伝子(又は非ヒト相同性相当物)などのような、ニュ-ロンの分化を抑制するとして知られているアンチセンスオリゴヌクレオチドを少なくとも1つ培地に添加する工程が続いた。最後に、トランスフェクトされた細胞が、レチノイド及び脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞増殖因子(NGF)、ニュ-ロトロフィン3(NT-3)、又はニュ-ロトロフィン4(NT-4)などの少なくとも1つのニュ-ロトロフィン又はサイトカインの存在下で増殖された。この技法は、26%のニュ-ロン細胞を産出するが、これらの細胞の機能性及び安定性のいずれも確立されなかった。更に、この方法によると、神経幹細胞又は神経プロジェニタ-細胞も産生されない。

後のプロセス(Levesqueら著,2005年,米国特許第6949380号)では、皮膚基底細胞を骨形成タンパク質(BMP)の拮抗物質曝すことによって、更にMSX 1遺伝子及び/又はHES1遺伝子のセグメントを含む少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド存在下で細胞を増殖させることによって、皮膚基底細胞の神経プロジェニタ-細胞、ニュ-ロン細胞、又はグリア細胞への変換を記載している。しかし、本方法で、神経プロジェニタ-細胞又はグリア細胞のいずれかが生産された証拠又は例はない。更には、生産され得た、又は生産され得ない細胞に関する機能性、安定性、増殖及び収率の情報がないために、これら細胞が実際にニュ-ロン細胞へと分化された皮膚由来の前駆体細胞(Fernadesら,2004年)であることは可能である。

上記記載を鑑みて、安定で、効果的で、並びに好ましくは自家性である神経幹細胞、神経プロジェニタ-細胞、ニュ-ロン及びグリア細胞、並びに他の細胞型、幹細胞及びプロジェニタ-細胞への要望がある。真の細胞退行分化及び細胞再プログラミングをもたらし得る方法への要望も更にある。

本発明は、これらの要望に対処し、幹様細胞及びプロジェニタ-様細胞並びにこれらの幹様細胞及びプロジェニタ-様細胞から誘導又は分化された細胞の種々の型、並びに本当の意味での細胞退行分化及び細胞再プログラミングをもたらし得る方法を提供する。

本発明の更なる特徴は、本明細書の開示の概要、図面及び記載から明らかになるであろう。

概要

細胞退行分化、形質転換及び真核細胞再プログラミングのための方法。1つ以上の再プログラミング剤の細胞内レベルを一過性的に増加させて、1つ以上の遺伝子調節因子内因性発現を直接又は間接的に誘導させることと、細胞の形質転換を支援するための条件中に配置させて、並びに再プログラミング剤の不在下で1つ以上の遺伝子調節因子を安定して発現させるために十分な期間時間で、1つ以上の再プログラミング剤の細胞内レベルを維持し、その発現が所望の細胞の表現型及び/又は機能的特徴を有するような複数の第2の遺伝子を安定して発現させるのに十分な期間時間で、形質転換を支援する培養条件中で細胞を維持し、第2の遺伝子の少なくとも1つが、胚幹細胞の表現型及び機能的特徴の特性を有さず、これによって期間時間の最終にて、最初の細胞が異なる型の所望の細胞へ形質転換され、維持する。なし

目的

より好ましいオプションとしては、それらが容易に奇形腫及び無秩序増殖を形成しないようにそれらの結合及び分化能力がより制限されている多能性幹細胞又は多分化能性様細胞を有することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

第1の型の細胞を異なる型の所望の細胞へと形質転換する方法であって、i)第1の型の細胞を提供することと、ii)前記第1の型の細胞中で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベル一過性的に増加させて、これによって前記一過性増加が少なくとも1つの遺伝子調節因子内因性発現を直接的又は間接的に誘導させることと、iii)前記細胞を、前記所望の細胞の形質転換を支援するための条件中に配置させて、並びに前記再プログラミング剤の不在下において前記少なくとも1つの遺伝子調節因子を安定して発現させるために十分な期間時間で、前記少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを維持することと、iv)その発現が前記所望の細胞の表現型的及び/又は機能的特徴の特性を有するような複数個の第2の遺伝子を安定して発現させるのに十分な期間時間で、前記所望の細胞の形質転換を支援する培養条件中で前記細胞を維持することであって、前記第2の遺伝子の少なくとも1つが、胚幹細胞の表現型的及び機能的特徴の特性を有さず、これによって前記期間時間の最終にて、前記第1の型の細胞が前記異なる型の所望の細胞へ形質転換される、維持することと、を含む方法。

技術分野

0001

関連出願
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとみなす、2009年10月31日に出願された米国仮出願第61/256,967号に優先権を主張するものである。

0002

技術分野
本発明は、真核細胞再プログラミングの分野に関し、特に細胞退行分化に関する。本発明はまた、ヒト体細胞(及び他の細胞)からの安定な神経幹様細胞(NSLCs)を発生させる方法と、そのように発生された細胞のヒトの治療における用途に関する。

背景技術

0003

細胞再プログラミング
従来より、医療、科学、及び診断分野において、卵母細胞又は他の幹細胞と融合又は交換されることなく、容易に取得可能な細胞を一般的に取得が困難である細胞へと再プログラムする、或いは細胞が新しい又は異なる機能性を有するように細胞を再プログラムするための要望がある。

0004

第1の機序によると、幹細胞は、別の幹細胞、プロジェニタ-、前駆細胞、又は体細胞へ自然に分裂又は分化し得る。第2の機序によると、特定の条件下に配置される場合、体細胞は、その表現型一過性的に変化させるか又は特定のマ-カ-を発現することがあり、次いで元の条件に配置される際に、元に戻る。第3の機序によると、多くの細胞の表現型は、特定の遺伝子の強制発現(例えば、c-myc遺伝子線維芽細胞に安定してトランスフェクトし、それらを、神経プロジェニタ-特性を有する不死化細胞に戻す)を通して変化され得るが、しかしながらこの強制遺伝子発現が一旦排除されると、細胞はゆっくりとその元の状態に戻る。従って、上記の3つの機序は、真の再プログラミングとは考えられるべきではなく、第1番目は、(より退行分化した状態からより分化した状態への)既に存在している細胞プログラムの一部である自然的な分化と考えられ、第2番目は、一過性の表現型変化であり、第三番目は、一定に強制された細胞型である。真の幹細胞とは、(i)ほぼ「無限に」自己再生する(体細胞よりも極めて長期間)細胞、(ii)癌性細胞ではない細胞、(iii)強制遺伝子発現又は同様な手段(標準幹細胞培地中で維持されなければならないような)によって人工的に維持されない細胞、(iv)プロジェニタ-、前駆体細胞、体細胞又は他のより分化した細胞型へと分化し得る細胞、及び(v)幹細胞の全ての特性を有するが、ただ特定のマ-カ-又は遺伝子発現あるいは形態学外観を有しない細胞である。

0005

多数の科学公開論文及び特許公開が、一般的には幹細胞への有効な再プログラミング又は退行分化を主張しているにもかかわらず、それらが上記の機序のうちの1つに該当するために、これら公開のほとんど全てが本当の意味での再プログラミングを開示していない。例えば、Bhasin著(WO第2010/088735号)、Cifarelliら著(米国特許第2010/0003223号)、Kremerら著(米国特許第2004/0009595号)、及びWinnierら著(米国特許2010/0047908号)の全てが、補足物質を備えた異なる培地中での培養後の再プログラミング、退行分化、及び/又は細胞表面マ-カ-における変化のみに基づいた表現型細胞の変化としての取得された幹細胞に言及していて、これらは真のサイプログラミング又は実際の幹細胞(幹細胞マ-カ-を伴い、分化マ-カ-を伴わない非癌性で自己再生可能な細胞)の証拠がない。Oct4及びSox2の増加した発現を用いたBenneti著(WO第2009/079007号)でも同じことが言える。他には、Akamatsuら著(WO2010/052904号)及びYouら著(WO2007/097494号、米国特許第2009/0246870)などでは、幹細胞を生成したと言及しているが、これらが不死化腫瘍発生性ではなく、並びに一過性の代わりに安定的であるという真の幹細胞の証拠がなく、これらはレトロウイルス(cMycと同様)から誘導された一定の人工的遺伝子導入を経て生じたものである。他には、Chenら著(米国特許第2005/0176707号)及びYouら著(米国特許第2009/0227023号)などでは、「多能性細胞」を言及しているが、これは幹細胞ではない。更には、これら主張された多能性細胞は安定的ではなく(Youら著の場合、細胞は増殖すらもできなかった)、両者ともに、一定の培地補充剤及び表現型変化を強要する条件を用いた。更に他にも、Oliveriら著(WO第2009/018832号)及びZahnerら著(米国特許2002/0136709号)などは、ゲノム全域にわたるDNA脱メチル化反応及びヒストンアセチル化を通しての多分化能性、全能性多能性、及び/又は単分化能性の細胞の自動的な生成を記載したが、安定で、非癌性の本当の意味での細胞系の証拠はない。

0006

本当の意味での再プログラミングは、Yamanakaのグル-プ(Takahashiら、2007年)とThomsonのグル-プ(Yuら、2007年)によって個別に、これら以前の他のグル-プによる可能性もあるが、作り出され誘導された多分化能性幹細胞iPS細胞)を使用して達成されたと考えられているが、これら細胞の多くは、その後癌性であり、そのいくつかは癌性ではないと認められた。これら細胞が、非遺伝子組み込みの一過性トランスフェクション(Soldnerら,2009年、Woltjenら,2009年、Yuら,2009年)によって、並びに同様な方法による、RNA(Warrenら,2010年)又はタンパク質(Kimら,2009年、Zhouら,2009年)単独によって、或いは小分子(Lyssiotisら,2009年)によって誘導され得ることが後に示されたために、これら細胞は本当の意味での再プログラミングによって誘導され得る。しかしながら、これら細胞は本質的に胚幹細胞と同一であり、無秩序な増殖、奇形腫形成、及び腫瘍形成の可能性などの同様な問題を有する。

0007

より好ましいオプションとしては、それらが容易に奇形腫及び無秩序増殖を形成しないようにそれらの結合及び分化能力がより制限されている多能性幹細胞又は多分化能性様細胞を有することである。従って、多能性幹細胞、多能性幹様細胞、及び幹様細胞を生成する方法、並びに容易に取得可能な細胞を、極めて望ましい多能性幹細胞、多能性幹様細胞、及び幹様細胞へと再プログラミング又は形質転換する方法の要望がある。
神経幹様細胞(NSLC)

0008

中枢神経系(CNS)の修復は、医療科学が克服せねばならないフロンティアの1つである。アルハイマ-病、パ-キンソン病、及び脳卒中などのような病状は、それに冒された人々にとって、破壊的な症状である。これら病状に関する中心的願望は、神経回路網再構成し、神経系の機能を順次戻すことができる細胞群を開発することである。このために、神経幹細胞及びプロジェニタ-細胞に関心を向けた多大な進展がある。現在まで、多能性神経プロジェニタ-細胞は、神経制限細胞又はグリア制限細胞のいずれかに、分化経路内で初期に作用すると一般的に考えられてきた。

0009

神経幹細胞は、疾患又は損傷からの組織再生に関する有望性を有するが、このような治療では、必要な細胞型を創り出すために、細胞機能にわたる正確な制御を必要とするであろう。細胞増殖及び分化を調節する機能の完全な理解は未だなく、従って、脳又は成長中の胎児の脳の所与の領域から誘導された神経幹細胞群の可変性を徹底的に追求することは困難である。

0010

CNSは、制限された再生能力を有し、特に嗅球ニュ-ロンを補充する海馬歯状回顆及び脳室下帯内において、大人では神経幹細胞の制限された数を維持すると伝統的に信じられていた(Singec Iら,2007年、Zielton R,2008年)。前駆体細胞の利用可能性は、成熟した神経系中の欠陥移植組織に基づく修復のための重要な必須条件である。従って、神経移植のためのドナ-細胞は、胎児の脳から大量に誘導される。免疫拒絶反応に加えて、このことが、大きな倫理的問題を生じ、並びに神経幹細胞がそれぞれの細胞分裂によってその能力いくらか損失し得るために、このようなアプロ-チが多数の患者の治療のために用いることができるかどうかが疑問である。

0011

神経幹細胞は、神経変性疾患の細胞交換治療のための有望な治療的可能性を提供する(Mimeaultら,2007年)。現時点まで、ドナ-物質源としてヒト胎児組織の種々の型を開発するために、多数の治療的移植が実行されてきた。しかしながら、倫理上及び実用上の考慮並びに入手不能性が、移植治療のための細胞源としての利用可能性を制限している(Ninomiy Mら,2006年)。

0012

患者に特異的な細胞の誘導への障壁及び制限を克服するために、皮膚細胞を用いて、神経幹細胞及び/又はニュ-ロンへの分化形質転換を誘導する1つのアプロ-チがあった(Levesqueら,2000年)。分化形質転換は、過去数年間、増大する注目を集めてきていて、哺乳類細胞の分化形質転換は、共培養中又は細胞培養条件の操作によって達成された。細胞運命改変は、細胞培養を微小線維阻害物質(Sheaら,1991年)、ホルモン(Yeomanら,1976年)、及びカルシウムイオノホア(Shea,1990年、Satoら,1991年)でインヴィトロ処理することによって、人工的に誘導され得る。哺乳類上皮細胞は、筋肉様形状及び機能を獲得するよう誘導され得(Paterson及びRudland,1985年)、膵臓外分泌管細胞は、インシュリン分泌外分泌表現型を獲得し得(Bouwens,1998a,b)、並びに骨髄幹細胞は、肝臓細胞(Theiseら,2000年)及び神経細胞(Woodburyら,2000年)へと分化され得る。他には、細胞骨格アセチル化及びメチル化阻害物質の存在下での体細胞の培養によって、体細胞を神経細胞へと分化形質転換させたPageら著(米国特許第2003/0059939号)などがあるが、プライミング剤の取り出し後、ニュ-ロン形態及び確立されたシナプスが、インヴィトロにおいて数週間までも続かず、神経プロジェニタ-又は神経幹細胞の完全に機能的型及び安定型への完全な変換は、全く示されていない。分化形質転換に続く安定な表現型の獲得は、技術分野が直面している主な課題の1つである。

0013

安定で、有効な、及び好ましくは自家性の神経幹細胞、神経プロジェニタ-細胞、並びに種々の神経学的疾患及び疾病の治療で用いられるためのニュ-ロン及びグリア細胞の要望が生物医学分野である。多くの細胞の他の型に関して同様な要望があるのも真実である。近年、基本的なヘリックス-ル-プ-ヘリックス(bHLHクラスの遺伝子が、神経系統発達における複数の工程の重要な調節因子であること、並びに複数個神経因性bHLH因子過剰発現が、未決定外胚葉神経組織への変換をもたらすことの証拠が得られている。前神経性bHLHタンパク質は、プロジェニタ-細胞への分化及び神経系全体にわたる神経原性プログラムを経てのそれらの進行を制御する(Bertrandら,2002年)。MASH1、NeuroD2、MATH1-3、及びNeurogenin1-3は、哺乳類ニュ-ロン決定及び分化中に発現されたbHLH転写因子である(Johnsonら、1990年、Takebayashら,1997年、McCormickら,1996年、Akazawaら,1995年)。マウス中のMASH1、Ngb1、Ngn2又はNeuroDの標的破壊は、ニュ-ロンの特異的サブセットの損失へと導く(Guillemotら,1993年、Fodeら,1998年、Miyataら,1999年)。

0014

米国特許第6,087,168号(Levesqueら著)は、皮膚基底細胞生存可能なニュ-ロンへと変換または分化形質転換するための方法を記載している。1つの例では、本方法は、神経分化役割を果たす神経原性転写因子をコ-ド化する少なくとも1つのcDNAを含有する1つ又はそれ以上の発現ベクタ-を使用しての皮膚細胞のトランスフェクションを含む。好適なcDNAとしては、NeuroD1、NeuroD2、ASH1などのようなヘリックス-ル-プ-ヘリクス活性化物質、並びにZic3及びMyT1のような亜鉛-フィンガ-型活性化物質が挙げられる。トランスフェクション工程の次には、ヒトMSX1遺伝子及び/又はヒトHES1遺伝子(又は非ヒト相同性相当物)などのような、ニュ-ロンの分化を抑制するとして知られているアンチセンスオリゴヌクレオチドを少なくとも1つ培地に添加する工程が続いた。最後に、トランスフェクトされた細胞が、レチノイド及び脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経細胞増殖因子(NGF)、ニュ-ロトロフィン3(NT-3)、又はニュ-ロトロフィン4(NT-4)などの少なくとも1つのニュ-ロトロフィン又はサイトカインの存在下で増殖された。この技法は、26%のニュ-ロン細胞を産出するが、これらの細胞の機能性及び安定性のいずれも確立されなかった。更に、この方法によると、神経幹細胞又は神経プロジェニタ-細胞も産生されない。

0015

後のプロセス(Levesqueら著,2005年,米国特許第6949380号)では、皮膚基底細胞を骨形成タンパク質(BMP)の拮抗物質曝すことによって、更にMSX 1遺伝子及び/又はHES1遺伝子のセグメントを含む少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド存在下で細胞を増殖させることによって、皮膚基底細胞の神経プロジェニタ-細胞、ニュ-ロン細胞、又はグリア細胞への変換を記載している。しかし、本方法で、神経プロジェニタ-細胞又はグリア細胞のいずれかが生産された証拠又は例はない。更には、生産され得た、又は生産され得ない細胞に関する機能性、安定性、増殖及び収率の情報がないために、これら細胞が実際にニュ-ロン細胞へと分化された皮膚由来の前駆体細胞(Fernadesら,2004年)であることは可能である。

0016

上記記載を鑑みて、安定で、効果的で、並びに好ましくは自家性である神経幹細胞、神経プロジェニタ-細胞、ニュ-ロン及びグリア細胞、並びに他の細胞型、幹細胞及びプロジェニタ-細胞への要望がある。真の細胞退行分化及び細胞再プログラミングをもたらし得る方法への要望も更にある。

0017

本発明は、これらの要望に対処し、幹様細胞及びプロジェニタ-様細胞並びにこれらの幹様細胞及びプロジェニタ-様細胞から誘導又は分化された細胞の種々の型、並びに本当の意味での細胞退行分化及び細胞再プログラミングをもたらし得る方法を提供する。

0018

本発明の更なる特徴は、本明細書の開示の概要、図面及び記載から明らかになるであろう。

0019

本発明は、幹様細胞及びプロジェニタ-様細胞、並びにこれら幹様細胞及びプロジェニタ-様細胞から誘導又は分化された細胞に関する。本発明は、細胞退行分化及び細胞再プログラミングのための方法に更に関する。本発明は、再プログラミングのために有用な組成物及び方法、並びに関連する治療用組成物及び方法を更に特徴とする。

0020

1つの特別な態様は、体細胞又は非ニュ-ロン細胞を、ニュ-ロン系統及びグリア系統に沿った分化を実行する能力を有する神経幹細胞の1つまたはそれ以上の形態学的、生理学的、免疫学的特徴を有する細胞へと再プログラムするための技術の開発に関する。いくつかの実施形態によると、本発明は、特に、ヒト体細胞、ヒトプロジェニタ-細胞及び/又はヒト幹細胞、並びにこのような方法を用いることから得られた細胞、細胞系及び組織からの安定な神経幹様細胞(NSLCs)の発生の方法に関する。

0021

更に、本発明は、神経幹細胞特異的マ-カ-を発現する神経幹様細胞へのヒト体細胞の退行分化に関する。本発明によると、個々人のドナ-から採取された単一の細胞型から作り出され得、次いで同一の個々人へ再プログラムされ移植され得るような、分化したニュ-ロン細胞の種々の型への細胞の変換をもたらすことが可能である。導入の際には、本発明による細胞は、神経幹細胞特異的マ-カ-を発現し、神経幹様細胞になる。

0022

特別な態様では、本発明は、第1の型の細胞を所望の異なる型の細胞へと形質転換する方法に関する。本方法は、i)第1の型の細胞を取得することと、ii)再プログラミング剤の一過性の増加が、少なくとも1つの遺伝子調節因子内因性発現を直接的又は間接的に誘導する中で、第1の型の細胞内で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを一過性で増加させることと、iii)所望の細胞の増殖及び/又は形質転換を支援し、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを維持するような条件下で、再プログラミング剤の不在下で少なくとも1つの遺伝子調節因子を安定に発現させるために十分な期間時間で細胞を配置することと、iv)所望の細胞の増殖及び/又は形質転換を支援する培養条件下で、細胞を維持すること、とを含む。このような条件は、複数個の第2の遺伝子を安定して発現させるのに十分な期間時間で維持される。本発明によると、1つ又はそれ以上の第2の遺伝子の発現は、胚幹細胞の表現型的特徴及び機能的特徴の特性ではない一方、所望の細胞の表現型的特徴及び機能特徴の特性である。従って、この期間時間の最後には、異なる型の所望の細胞が得られる。

0023

別の特別な態様によると、本発明は、第1の型の細胞を第2の異なる型の細胞へと形質転換する方法に関する。本方法は、少なくとも1つの再プログラミング剤のレベルを上述の細胞内で増加させることが可能な2つまたはそれより多くの薬剤に第1の型の細胞を接触させて、細胞のクロマチン及び/又はDNAを直接的又は間接的に再構築させることを含む。少なくとも1つの再プログラミング剤は、所望の異なる型の細胞又は異なる細胞系統の形態学的及び機能的特性の発現を直接的又は間接的に誘導するように選択される。

0024

別の態様によると、本発明は、第1の型の細胞を第2の異なる型の細胞へと形質転換する方法に関する。本方法は、細胞のクロマチン及び/又はDNAを、この細胞のクロマチン及び/又はDNAを再構築させることが可能な薬剤と接触させることと、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを増加させること、とを含む。少なくとも1つの再プログラミング剤は、所望の異なる型の細胞又は異なる細胞系統の形態学的及び機能的特性の発現を直接的又は間接的に誘導するように選択される。

0025

本発明の他の態様は、第1の型の細胞を所望の異なる型の細胞へと形質転換する方法に関し、本方法は、少なくとも1つの再プログラミング剤が、所望の第2の細胞型の形態学的及び機能的特性の発現を直接的又は間接的に誘導するように選択される中で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを増加させることと、第2の遺伝子の発現が所望の細胞の表現型的及び機能的特徴の特性であるように複数個の第2の遺伝子を安定して発現させるために十分な期間時間で、所望の細胞の形質転換を支援するための培養条件下で、第1の型の細胞を維持すること、とを含み、少なくとも1つの第2の遺伝子は、胚幹細胞の表現型的及び機能的特徴の特性を有しない。この期間時間の最後には、所望の異なる型の細胞が得られ、得られた細胞が、第1の細胞型中で発現された複数個の遺伝子の安定的な抑制によって、更に特性評価される。

0026

本発明の他の態様では、第1の型の細胞が所望の異なる型の細胞へと再プログラミングされるような工程に関し、本工程は、少なくとも1つの再プログラミング剤が、少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的または間接的に誘導し、並びにこの少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現が、所望の異なる型の細胞の存在のために必要である中で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルの一過性の増加と、上述の少なくとも1つの遺伝子調節因子の安定的な発現と、複数個の第2の次遺伝子の安定的な発現と、とを含み、この中で第2の次遺伝子の安定的発現は、少なくとも1つの遺伝子調節因子の安定的な発現の結果であり、この中で(i)複数個の第2の遺伝子の安定的な発現は、所望の細胞の表現型的又は機能的特徴の特性であって、(ii)少なくとも1つの第2の遺伝子の安定的な発現は、胚幹細胞の表現型的及び機能的特徴の特性ではなく、並びに(i)及び(ii)は、第1の型の細胞の所望の異なる型の細胞への良好な再プログラミングを示唆している。

0027

特別な実施形態では、工程における少なくとも1つの再プログラミング剤は、MDB2ポリペプチドを伴う、Msi1ポリペプチド、又はNgn2ポリオペプチドである。特別な実施形態では、少なくとも1つの遺伝子調節因子は、Sox2、Msi1、又はこれら両者である。更なる実施形態では、少なくとも1つの遺伝子調節因子は、神経幹様細胞に関する表Aで表示された1つまたはそれより多くの遺伝子であってもよい。

0028

別の態様によると、本発明は、幹様細胞(SLC)を得る方法に関し、本方法は、i)第1の型の細胞を提供することと、ii)少なくとも1つの再プログラミング剤のレベルを細胞内にて一過性で増加させることであって、一過性の増加が少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導するものであり、iii)幹様細胞中への形質転換を支援するための条件に細胞を配置させて、再プログラミング剤の不在下で少なくとも1つの遺伝子調節因子を安定して発現させるために十分な期間時間で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを維持することと、iv)その発現が、幹様細胞の表現型的及び/又は機能的特徴の特性を有するような複数個の第2の次遺伝子を安定して発現させるような十分な期間時間で、幹様細胞中への形質転換を支援するための条件で細胞を維持すること、とを含み、この中で、少なくとも1つの第2の遺伝子は、胚幹細胞の表現型的及び機能的特徴の特性を有さない。この期間時間の最後にて、幹様細胞が得られる。

0029

別の態様によると、本発明は、幹様細胞を得るための方法に関する。本方法は、幹様細胞中への第1の型の細胞の直接的又は間接的な形質転換を操作することが可能である、所望の幹細胞型に特異的な少なくとも1つのポリペプチドの細胞内レベルを増加させることを含む。収量又は幹様細胞の型を増加させるために、本方法は、第1の型の細胞のクロマチン及び/又はDNAを、ヒストンアセチル化剤、ヒストン脱アセチル化阻害剤、DNA脱メチル化剤、及び/又はDNAメチル化の阻害剤と接触させること、及び/又は幹様細胞中への第1の型の細胞の直接的又は間接的な形質転換を操作することが可能であるような所望の幹細胞型に特異的な、少なくとも1つの他のポリペプチドの細胞内レベルを増加させることを更に含んでもよい。

0030

別の態様によると、本発明は、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法に関する。本方法は、NSLC中への第1の型の細胞の形質転換を直接的又は間接的に操作可能であるような、少なくとも1つの神経幹細胞特異的ポリペプチドの細胞内レベルを増加させることを含む。収量又はNSLCの型を増加させるために、方法は、第1の型の細胞のクロマチン及び/又はDNAを、ヒストンアセチル化剤、ヒストン脱アセチル化の阻害剤、DNA脱メチル化剤、及び/又はDNAメチル化の阻害剤と接触させること、及び/又はNSLC中への第1の型の細胞の直接的又は間接的な形質転換を操作することが可能であるような少なくとも1つの他の神経幹細胞特異的ポリペプチドの細胞内レベルを増加させることを更に含んでもよい。

0031

本発明の他の態様は、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法に関する。本方法の1つの実施形態では、Musashi1、Musashi1及びNeurogenin2、Musashi1及びメチル-CpG結合ドメインタンパク質2(MBD2)、又はNeurogenin2及びメチル-CpG結合ドメインタンパク質2をコ-ド化するポリヌクレオチドで皮膚細胞をトランスフェクトすることを含み、これによって、NSLC中への皮膚細胞の再プログラミングが行われる。別の実施形態では、方法は、(i)ヒストン脱アセチル化の阻害剤、(ii)DNAメチル化の阻害剤、(iii)ヒストンアセチル化剤、及び/又は(iv)MBD2ポリペプチドのようなDNA脱メチル化剤に皮膚細胞を曝すこと、及び/又はMBD2ポリペプチドをコ-ド化するポリヌクレオチドでトランスフェクトすることを含み、更にMUSASHI1をコ-ド化するポリヌクレオチド及び/又はNGN2をコ-ド化するポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることを含み、これによって、皮膚細胞がNSLC中に再プログラムされる。角化細胞及びCD34+細胞のようないくつかの他の細胞もまた使用され得、再プログラムされる。

0032

1つの特別な実施形態では、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法は、第1の型の細胞を提供することと、次のポリペプチド:Musashi1(Msi1)、Musashi1(Msi1)及びNeurogenin2(Ngn2)、Musashi1(Msi1)及びメチル-CpG結合ドメインタンパク質2(MBD2)、及びNeurogenin2(Ngn2)及びメチル-CpG結合ドメインタンパク質2(MBD2)の1つ又はそれより多くの一過性発現が可能である1つ又はそれより多くのポリヌクレオチドを細胞中に導入することと、並びにその発現がNSLCの表現型的及び機能的特徴の特性を有する複数個の遺伝子を安定的に発現させるような十分な期間時間で、NSLC中への形質転換を支援する培養条件中に細胞を配置させること、とを含む。この期間時間の最後にて、NSLCが取得され、得られたNSLCは、第1の細胞型中で発現された複数個の遺伝子の安定的な抑制によって更に特性評価される。

0033

別の実施形態によると、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法は、NSLCではない第1の型の細胞を提供することと、少なくとも1つの神経幹細胞特異的ポリペプチドの細胞内レベルを増加させることであって、この中でポリペプチドは第1の型の細胞のNSLC中への直接的又は間接的形質転換を操作することが可能であり、並びに第1の型の細胞のクロマチン又はDNAを、ヒストンアセチル化剤、ヒストン脱アセチル化の阻害剤、DNA脱メチル化剤、及び/又はDNAメチル化の化学的阻害剤に接触させること、とを含む。

0034

別の実施形態によると、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法は、非-NSLCを取得することと、非-NSLCを、MBD2ポリペプチドをコ-ド化する第1のポリヌクレオチドとMUSASHI1ポリペプチド及び/又はNGN2ポリペプチドをコ-ド化する少なくとも1つの第2のポリヌクレオチドでコトランスフェクトすることと、前述のNSLCが得られるまで、NSLCの形質転換を支援するための条件中に、コトランスフェクトされた細胞を配置させること、とを含む。

0035

本発明の特定の態様は、本明細書に記載された方法を用いて得られた、単離された細胞、細胞系、組成物、細胞の3D組み立て品、及び細胞を含む組織に関する。追加の態様は、このような単離された細胞、細胞系、組成物、細胞の3D組み立て品、及び医学的治療の組織の用途、並びに哺乳類の組織又は臓器再生の方法に関する。

0036

更に、他の態様は、被験者の組織の修復又は再生のための方法に関する。1つの実施形態では、方法は、本明細書で定義された再プログラムされた細胞の必要とする対象者への投与を含み、投与は、所与の組織又は臓器の生物学的機能を増加または支援するために十分な再プログラムされた細胞の投与量を提供し、これによって、被験者の病状を寛解する。

0037

本発明の利点は有意であり、免疫抑制剤の必要性を排除することによる細胞治療コストの低減、又は胎児組織の必要がなく、これによって倫理的及び時間的拘束が排除されること、生産コストの低減、並びにウィルスや他の疾病の可能な感染のための健康上の危害がないことなどが挙げられる。更に、細胞は新鮮に生成されるために、複数回を経過した細胞よりも更に効能が高い傾向にある。

0038

追加的態様として、本発明の利点及び特徴は、以下の好適な実施例の非制限的記載を読めば明らかになるであろうが、この実施形態は例示であり、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。

図面の簡単な説明

0039

本発明による、トランスフェクトされていない細胞及びMsi1及びMBD2でトランスフェクトされた細胞の種々の時点にての細胞形態変化を示す光顕微鏡写真(10×)のパネルである。
本発明による、Cellomics(登録商標)(10×)を用いて取得され、並びにMBD2の存在中、Msi1又はNgn2でトランスフェクトされた細胞中でのNCAM陽性細胞を示している光顕微鏡写真のパネルである。HFFsは、サイトカラシンB(10μg/ml)で前処理され、pCMV6-XL5-Msi1及びpCMV6-XL5-MBD2、若しくはpCMV6-XL4-Ngn2及びpCMV6-XL5-MBD2でトランスフェクトされた。トランスフェクションに続いて24時間後、培地が交換され、EGF(20ng/ml)とbFGF(20ng/ml)を補充した増殖培地(NPBM、Lonza)中、1週間、細胞が培養された。培地をNGF(20ng/ml)、bFGF(20ng/ml)、ATRA(5μM)及びホルスコリン(10μM)が補充されたNbActive(BrainBits(登録商標))に変えることによって、分化が誘導された。
本発明による、Cellomics(10×)を用いて取得され、並びにMBD2の存在中、Msi1又はNgn2でトランスフェクトされた細胞中でのMAP2b陽性細胞を示している光顕微鏡写真のパネルである。MAP2b陽性細胞は、トランスフェクトされていない細胞中及びPax6/MBD2でトランスフェクトされた細胞中では検出不能であった。HFFsは、サイトカラシンB(10μg/ml)で前処理され、pCMV6-XL5-Msi1、pCMV6-XL4-Ngn2、若しくはpCMV6-XL5-Pax6、及びpCMV6-XL5-MBD2でトランスフェクトされた。トランスフェクションに続いて24時間後に、培地が交換されて、EGF(20ng/ml、Peprotech)とbFGF(20ng/ml、Peprotec)を補充した増殖培地(NPBM、Lonza)中、1週間、細胞が培養された。培地をNT-3(20ng/ml)、bFGF(20ng/ml)、ATRA(5μM)及びホルスコリン(10μM)が補充されたNbActive(BrainBits)に交換することによって、分化が誘導された。細胞が、37℃、5%CO2、5%O2にて、2週間インキュベ-トされた。
図4(A)は本発明による、実施例VからのNSLCsによって形成された神経球が、アキュタ-ゼを用いた単一細胞懸濁液中に完全に溶解されたことを示す写真のパネルであり、神経球形成能力を明らかにするために、1つの単一細胞が経時的に監視された。神経球は、Sox2に関して陽性染色された。図4(B)は本発明による、Cellomicsを用いて取得された免疫組織化学法の結果からの写真のパネルである。神経球のマ-カ-を検出するために、免疫組織化学法が20日目に実施され、正常なヒト神経プロジェニタ-細胞(hNPC、Lonza)によって形成された神経球における発現レベルと比較された。Sox2に加えて、神経幹細胞マ-カ-のMusashi、CD133、ネスチン、及びGFAPに関して陽性染色された。細胞は、更に細胞セットの双方(NSLC及びhNPC)の三分化能力を示唆するβIII-チュ-ブリン(ニュ-ロンのマ-カ-)、O4(希突起神経膠細胞のマ-カ-)、及びGFAP(星状細胞のマ-カ-)に関して陽性染色し、並びに細胞が最終的に分化されないことを示唆するNGFrec及びNeuN(分化されたニュ-ロンに関するマ-カ-)について陰性染色した。
本発明による、Cellomicsを用いて取得された免疫組織化学法の結果からの光顕微鏡写真のパネルである。接着培養(細胞の浮遊及び神経球の形成を防止する培養)中で繊維芽細胞に関するマ-カ-並びに神経幹細胞に関するマ-カ-(Sox2、ネスチン、GFAP)の発現を検出するために、HFFs、NSLCs、及びhNPCs上で免疫組織化学法が実施された。Hoechst色素(写真の最上部)で核が染色された。HFFsは繊維芽細胞マ-カ-を発現したが、一方これらHFFsから生成されたNSLCsは発現しなかった。それに比べ、NSLCsは神経幹細胞マ-カ-をhNPCsと同様に発現したが、一方HFFsはこれらのマ-カ-のいずれも発現しなかった。
本発明による、ヒトNSLCsを示すパネル光顕微鏡写真である。ヒトNSLCsは、BDNF(20ng/ml、Peprotech)及びbFGF(40ng/ml、Peprotech)の存在下、NS-A分化培地(StemCell Technologies)の存在中で、3週間、ニュ-ロン系統に分化するよう誘導された。分化の異なる時点にて、Cellomics(10×)を用いた免疫染色は、Sox2陽性細胞の減少とp75、βIII-チュ-ブリン及びGABA陽性細胞の数及び染色の強度の増加、並びに分化した形態によって示されたような、細胞の分化を示したが、一方Hoechst色素染色によって示されたように、細胞の総数は減少した。
本発明による、光顕微鏡写真の別のパネルである。HFF、角化細胞、及びCD34+が、pCMV6-Mし1-Ngn2及びpCMV6-XL5-MBD2でトランスフェクトされた。トランスフェクションに続いて24時間後に、培地が、EGF(20ng/ml、Peprotech)とbFGF(20ng/ml、Peprotech)が補充された増殖培地(StemCell Technologies)に交換され、2週間培養され、次いで分析された。Cellomics(10×)を用いた光顕微鏡写真は、3つの型の細胞から生み出されたNSLCsは、ネスチン、Sox2及びGFAP(神経幹細胞のマ-カ-)に関しては陽性であったが、一方元のHFFは陽性ではなかった。
本発明による、ニュ-ロンに対してのHFFの分化形質転換に及ぼすCDM培地の影響を示す光顕微鏡写真のパネルである。HFFは、サイトカラシンB(10μg/ml)とヒストン脱アセチル化阻害剤(VPA、4mM)とDNAメチル化阻害剤(5-Aza、5μM)で前処理され、次の成分(EGF(4.2×10-10M)、bFGF(2.8×10-10M)、ITS(8.6×10-4M)、L-3,3’,5-トリヨ-ドチロニン(2.0駈ける10-10M)、エタノ-ルアミン(10-4M)、GlutaMAX(登録商標)(4×10-3M)、グルタチオン(3.3×10-6M))で補充された、Dulbeccoの修飾Eagle培地(DMEM、L-グルタミン及びピルビン酸ナトリウムを伴う高グルコ-ス(4.5g/L))とHamのF-12培地の3:1比を含有するCDM培地中で培養された。24時間後に、培地が、CDM培地75%とニュ-ロン増殖培地(Lonza、Cat#CC-3210)25%に交換され、それに続く3日間で、培地の比が50%:50%、25%:75%に変えられて、次いで第3日目までにニュ-ロン増殖培地100%に変えられた。異なる時点にて、βIII-チュ-ブリン(ニュ-ロンマ-カ-)及びHoechst色素(核を染色するため)での免疫染色後に、光顕微鏡写真がCellomicsによって撮影された。細胞は数日間の内に分化形質転換を開始し、分化形質転換した細胞は、βIII-チュ-ブリン陽性であったが、1週間後に、繊維芽細胞形状への自然復帰とβIII-チュ-ブリン発現の損失が観察された。
本発明による、Msi1及びNgn2によるトランスフェクションに続いての異なる時点でのCDM培地中の再プログラムされた細胞の特性を示している光顕微鏡写真のパネルである。トランスフェクトされた細胞は、サイトカラシンB(10μg/ml)、VPA(4mM)及び5-AZA(5μM)で処理され、微細線維の分裂及び細胞の丸まり並びにクロマチンの緩みが生じた。1週間後と2週間後に、Cellomics(10×)を用いて、三次元CDM上の免疫組織化学法が実施された。細胞は、MAP2bのようなニュ-ロン成熟マ-カ-に関して陽性であったが、トランスフェクトされていないコントロ-ルCDN中の細胞では陰性であった。
本発明による、光顕微鏡写真の別のパネルである。4日目以内のCDM中の細胞が、2つのベクタ-pCMV6-XL5-Msi1及びpCMV6-XL4-Ngn2を別個に或いはpCMV-XL5-MBD2と組み合わせて一緒に、6時間リポトランスフェクトされた。これと並行して、Neucleofectionを用いて、6時間後に、新鮮なHFFsでトランスフェクションが行われて、6時間後に、リポフェクタミン培地が新鮮なCDM倍日交換されるのと同時に、これら新鮮なHFFsがCDMの最上部に配置された。24時間後、培地が、Noggin(50ng/ml、Peprotech)、組み換え体hFGF(20ng/ml、Peprotech)、及び組み換え体hEGF(20ng/ml、Peprotech)を加えたニュ-ロン増殖培地(NPBM、Lonza)に1週間交換された。7日目に、NS-A分化培地(StemCell Technologies)を24日間添加することによって、分化が誘導された。Cellomics(10×)を用いて、種々の時点にて免疫組織化学試験が行われた。ネスチン(神経幹細胞に関するマ-カ-)に対する特異的抗体を使用して、CDMが染色され、CDM内の細胞は、トランスフェクションに続く試験された全ての時点にて8日、15日、及び21日)ネスチンを発現した。トランスフェクトされていないコントロ-ルCDM内の細胞は、いかなるネスチンも発現しなかった。
本発明による、ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真を示すパネルである。接着培養又は懸濁培養(神経球として)として増殖されたNSLCsは、双方共にテロメラ-ゼ(幹細胞中で発現されるが、正常に分化した体細胞中では発現されない)を発現した。初期継代及び後期継代の双方のNSLCsがテロメラ-ゼを発現する(NSLCsが作り出された元のHFFsはテロメラ-ゼを発現しなかった)。サンプル(NSLCs)を遠心沈殿させて、BCAアッセイを用いて、上澄み液タンパク質濃度が決定された。それぞれの細胞抽出物からの蛋白質900ngが、TRAP反応緩衝液、dNTPs、鋳型基質(TS)プライマ-、TRAPプライマ-混合物及びTaqポリメラ-ゼを含有するTRAP反応混合物直接添加された。鋳型合成のために、反応混合物を30℃で30分間インキュベ-トし、続いて伸張したテロメラ-ゼ生成物増幅のために、PCR法(初期変性に関して95℃/15分、32サイクルに関して94℃/30秒、59℃/30秒、72℃/1分)を行った。テロメラ-ゼ活性を検出するために、10%の非変性TBEゲル上の反応生成物に関して、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を行った。電気泳動後、ゲルをSYBR(登録商標)GreenI核酸ゲル染色剤で30分間染色し、これに続いて、Gel-Documentation System(Alpha Innotech)を用いて画像取得を行った。すべての4つのサンプルがテロメラ-ゼ陽性(TRAP生成物ラダ-によって示されたように)であった。
本発明による、一過性トランスフェクション後2週間で、Msi1及びNgn2遺伝子組込みに関して解析された2つの異なるNSLCサンプルのサザンブロット法解析を示す写真を示しているパネルである。Dig標識PCRプロ-ブは、Msi1/Ngn2プラスミドDNAが、ゲノム当り1、10又は100個の組込みの等価性のためにHFFゲノムDNA中に固定されているような陽性対照サンプル中で明確な信号を示した。トランスフェクトされていないHFF及びNSLCサンプル#1並びに#2からのゲノムDNAを分解した制限酵素中で出現した数個の弱く同一のバンドが存在して、これはNSLCsのゲノムDNA中へのプラスミドDNA組込みがないことを示唆している。1.2kbのDig標識PCRプロ-ブが、Ngn2遺伝子の小部分を含有するがために、これらの微弱なバンドは、内因性Ngn2遺伝子を表している可能性がある。適切な制限酵素(NEB)で完全に分解された多数のプラスミドに属するので、DNA kbラダ-のレ-ン内で陽性信号が存在した。このデ-タは、一過性トランスフェクション後に、ホストゲノムへのプラスミド組込みを有するNSLCsが全くない、又は極めて少ないこと、並びに一過性トランスフェクトされた遺伝子が短期間の間だけ(2週間未満)細胞中に存在することを示している。
本発明による、NSLCsで処理されたEAEマウスにおける改善及び極めて良好な臨床スコアを示す折れ線グラフ棒グラフ内のパネルである。メス生後8週間のC57BL/6マウスが、乾燥した(死滅させて乾燥した)結核菌H37Ra(Difco,Inc)5mg/mlを含有するCFA中のMOG35-55(Sheldon Biotechnology Centre McGill University)で背中二箇所で免疫化されて、0日及び2日目に、PBS中の百日咳毒素(List Biological Laboratories, Inc)200ngを腹腔注入した。一旦マウスがEAEの症状を示したら(免疫化後13日目)、NSLC(100万個の細胞)200μl、hNPC(100万個の細胞)、生理食塩水、又はシクロスポリンを加えた生理食塩水を静脈注射した。生理食塩水対照グル-プ以外の全てのマウスが、シクロスポリンを毎日注射された。マウスは、臨床疾患について毎日評価され、デ-タは平均の毎日のスコアを表している。NSLCsの単一の注射を受けたマウスは、hNPCs又はシクロスポリン単独の注射を受けたマウスよりも著しく低い疾患重篤度を有した。
本発明による、実施例XVII 2部によるロ-タロッド試験評価の結果を示す折れ線グラフである。実験を開始する前に、ラットをロ-タロッド上で訓練させた。ラットは静止する及び回転する(20rpmの回転)ロ-タロッド上に配置され、ロ-タロッドから落ちてしまうまで、ロ-タロッド上を歩くラットが居続けた時間を監視した。外科左脳半球切除及び治療の前(手術前)及び後(手術後)に測定が取得された。デ-タ測定点は、20rpmの一定速度で行われた毎60秒の試験セッション中でのそれぞれの動物による落下の平均数を表している。各グル-プは、8匹のラットで構成された。
本発明による、実施例XVIIの2部によるウォ-キングビ-ム評価の結果を示す折れ線グラフである。左脳半球切除及び処置後に、ラットが100cmの長さのビ-ムを渡るための彼らの能力が測定された。手術後2日目に、全てのグル-プが試験で不合格になり、ラットはビ-ム上で平衡を保っていることは不可能である。手術後1週間で、全ての動物は、その歩行能力に改善を示したが、異なる処置をしたグル-プ間の顕著な有意差はなかった。4週間〜26週間では、NSLCsで処置した動物が、他のグル-プに比べて著しい歩行能力の改善を示す。
本発明による、実施例XIXに記載されたようなヌクレオフェクタ-を用いた種々の多分化能ベクタ-で一過性トランスフェクトしたADSCsの写真を示すパネルである。トランスフェクションに続いて、細胞が、ADSC完全培地(StemPro(登録商標)-43)と胚幹細胞培地(mTeSR1(登録商標)、StemCell Technologies)の50:50混合物を含む懸濁液中、6ウェルプレ-ト中で培養された。培養2日後に、同一のプラスミドで細胞が再トランスフェクトされ、チアゾビン(0.5μM)、ALK-5阻害剤(SB341542、Stemgent、2μM)、及びMEKの阻害剤(PD0325901、Stemgent、0.5μM)を補充されたmTeSR1完全培地の存在中、Matrigel(登録商標)(BD Bioscience)でコ-ティングされた96ウェルプレ-トで平板培養された。培地を毎日交換し、37℃、5%CO2、5%O2で22日間、細胞を培養し、次いで多分化能マ-カ-の発現を分析するために、AP染色及び免疫組織化学法が行われた。細胞はコロニ-を形成し、pEF-Rex1-EF-Oct4-2A-Klf4-2A-RFPでのトランスフェクト後に、多分化能マ-カ-Oct4とAPの双方を発現したことが確認された。
本発明による、種々の多分化能ベクタ-で一過性にトランスフェクトされたADSCsの写真を示すパネルである。トランスフェクションに続いて、細胞が、Matrigelがコ-ティングされた24ウェルプレ-ト上のStemProMSCSFM培地に平板培養され、37℃、5%CO2、5%O2でインキュベ-トされた。1日目に、培地が、75%StemPro MSC及び25%hES細胞培地の混合物に交換され、StemPro MSC SFM培地のパ-センテ-ジが、4日間にわたって毎日減少されて、4日目までに100%hES細胞培地を有するようにされた。次いで、培地が2日毎に交換された。hES細胞培地は、20%のKnockout(登録商標)Serum Replacement(KSR、Invitrogen)、1mMのGlutaMax(登録商標)、100μMの非必須アミノ酸、100μMのβ-メルカプトエタノ-ル、及び10ng/mlのFgf-2が補充された、Dulbeccoの修飾Eagleの培地(DMEM、Invitrogen)で構成された。トランスフェクション後の細胞の部分集団を特性化するために、生細胞染色、免疫組織化学法及びAP染色が用いられた。Oct4/UTF1/MBD2、Oct4/Dppa4/MBD2、FoxD3/Dppa4/MBD2、Oct4/FoxD3/Dppa4、及びSox2/FoxD3/UTF1でトランスフェクトされた感染細胞が、14日目にてSSEA-4+、TRA1-60及びTRA-1-81*表現型(初期多分化能マ-カ-)に関して陽性であった。
本発明による、種々の多分化能ベクタ-によって一過性トランスフェクトされたADSCsの写真を示しているパネルである。トランスフェクションに続いて、細胞が、Matrigel(BD Biosciences)がコ-ティングされた24ウェルプレ-ト上のStemPro MSC SFM培地に、37℃、5%CO2、5%O2にて播種された。1日目に、培地が75% StemPro MSCと25% hES細胞培地の混合物に交換され、StemPro MSC SFM培地のパ-センテ-ジが、4日目までに100% hES細胞培地を有するように、4日間にわたって毎日減少された。次いで、培地が2日ごとに交換された。hES細胞培地は、20%のKnockout(登録商標)Serum Replacement(KSR、Invitrogen)、1mMのGlutaMAX、100μMの非必須アミノ酸、100μMのβ-メルカプトエタノ-ル及び10ng/mlのFgf-2が補充されたDulbeccoの修正Eagleの培地(DMEM、Invitrogen)からなる。トランスフェクション後の細胞のサブ集団を特性評価するために、生細胞染色、免疫組織化学法及びAP染色が使用された。Oct4/UTF1/MBD2、Oct4/Dppa4/MBD2、FoxD3/Dppa4/MBD2、Oct4/FoxD3/Dppa4、及びSox2/FoxD3/UTF1でトランスフェクトされたトランスフェクション細胞が、14日目にて、SSEA-4+、TRA1-60、及びTRA-1-81+表現型(初期多分化能性マ-カ-)に関して陽性であった。
本発明による、一過性トランスフェクトされたHFFsの写真を示すパネルである。次に示す3つのDNAプラスミド:pCMV-Oct4nuc-IRES2-Sox2nuc、pCMV-Klf4nuc-IRES2-Cmycnuc及びpCMV-Nanognuc-IRES2-Lin28が用いられたことを除けば、実施例IIに記載された手法に従って、Nucleofector(登録商標)II装置(Lonza)を用いて、HFFsが一過性にトランスフェクトされた。細胞は、VPA及び5-Azaで前処理又前処理されなかった。トランスフェクションに続いて、Matrigel(BD Biosciences)でコ-ティングされた6ウェルプレ-ト上のVPA(2mM)及び5-AZA(2.5μM)を補充された又は補充されていない繊維芽細胞培地に平板培養され、37℃、5%CO2、5%O2でインキュベ-トされた。1日目と2日目に、培地が、VPAと5-AZAが補充された又は補充されていない100%mTeSR1培地(StemCell Technologies)に交換された。3日目と6日目に、細胞は上記のように再トランスフェクトされ、VPAと5-AZAが補充された又は補充されていないmTeSR1培地中、Matrigelコ-ティングプレ-ト上で平板培養された。培地は、上記のように毎日交換された。7日目〜14日目に、潜在的に再プログラムされた細胞の生存能力クロ-ン増殖を促進するために、培地がY27632(Stemgent、10μM)で補充された。20日目に、Alkaline Phosphatase Detection Kit(Millipore)を用いて並びに免疫組織化学分析法によって、細胞が分析された。いくつかの細胞は、多分化能マ-カ-AP、SSEA-4及びTRA-1-81(Mel2ヒト胚幹細胞系(正の対照)と同様))に関して陽性染色であった。これらクロ-ンは、阻害剤(すなわち、VPA及び5-AZA)を含まない条件下でのみ得られた。これら阻害剤で処理された条件に関しては、クロ-ンは観察されなかった。
本発明による、トランスフェクトされたNSLCs及びBG-01の写真を示すパネルである。NSLCs及びBG-01 Nsは、2つのエピソ-ムベクタ-pEF-Oct4nuc-IRES2-MBD2(NC1)又はpCMV-FoxD3-2A-Oct4-2A-Klf4(F72)によって、実施例IIに先に記載されたようにトランスフェクトされた。トランスフェクションに続いて、細胞が回収され、増殖培地とmTeSR1培地(50:50)の存在中、37℃、5%CO2の増殖条件で、コ-ティングされていないペトリ皿上で平板培養された。48時間後に、細胞が同一のプラスミドで再トランスフェクトされ、Matrigelがコ-ティングされた96ウェルプレ-トに加え、小分子BIX01294(Stemgent、2μM)及びBayk8644(Stemgent、2μM)で補充されたmTeSR1培地の存在中、37℃、5%CO2で、22日間培養されて、その後、多分化能マ-カ-に関する細胞の部分集合を特性化するために、生細胞染色及び免疫組織化学法が実施された。細胞は、多分化能様細胞を示唆する、TRA-1-81及びSSEA-4の双方に関して陽性であるコロニ-を形成した。
本発明による、異なる培地条件中に配置されたMsi1/Ngn2及びpCMV6-XL5-MBD2でトランスフェクトされ、並びに異なる形態及び分化度を示している繊維芽細胞の17日目にての明視野写真を示すパネルである。(a)1日〜12日に細胞が神経分化培地中にあり、次いで12日〜17日に、サイトカインを加えた神経分化培地中にある。(b)1日〜12日に細胞が神経分化培地中にあり、次いで12日目〜17日目に、サイトカインを加えたNbActive4培地中にある。(c)1日〜12日に細胞が、サイトカイン+Fgf-2を加えた神経分化培地中にあり、次いで12日〜17日に、同じ培地であるがFgf-2を含まない培地中にある。(d)1日〜12日に細胞が、サイトカイン+Fgf-2を加えたNbActive4培地中にあり、次いで12日〜17日目に、同じ培地であるがFgf-2を含まない培地中にある。(e)1日〜12日に細胞が、サイトカイン+Fgf-2を加えたCDM II培地中にあり、次いで12日〜17日に、同じ培地であるがFgf-2を含まない培地中にある。
本発明による、図21でMsi1/Ngn2及びpCMV6-XL5-MBD2でトランスフェクトされた繊維芽細胞の17日目にての免疫化学法の結果の写真を示すパネルである。図22A及び22B:1日〜12日に細胞がNS-A増殖培地中にあって、次いで12日〜17日に、サイトカインが補充されたNS-A増殖培地(A)又はNBActive4培地(B)にあった。Bではより多くの細胞があるが、両方の場合、12日〜17日の分化は、βIII-チュ-ブリンの発現を誘導するためには短すぎた。図22C〜E:1日目〜17日目に、細胞がNS-A分化培地(C)又はNbActive4培地(D)中にあり(1日〜12日に、FGF-2補充が行われた)、又は1日〜12日に、CDM II培地中にあり、次いで12日〜17日に、NS-A分化培地(E)にある。Cでは非常に多数の細胞が存在し、D及びEでは極めて少数の細胞が存在した。すべての場合で、細胞は、GFAP及びβIII-チュ-ブリンの双方に関して免疫陽性であって、1日目以降に分化培地又は非増殖培地中に細胞を配置することは、EでのGFAP陽性細胞よりも強いβIII-チュ-ブリンを伴って、ニュ-ロン及びグリア細胞中へのより直接的な形質転換を誘導したと思われる。
本発明による、NSLC対HFF(セット1)、又はNSLC対hNPC(セット2)のいずれかの間の遺伝子発現比較のグロ-バルな概要を提供している2つの熱マップを示すパネルである。NSLCは、HFF又はhNPCのいずれかと比較する場合、明確な遺伝子発現プロファイルを有する。強度に基づいて(強度がより高くなると、発現における相対的変化がより高くなる)、NSLCは、HFFよりもhNPCに極めて類似している。
本発明によるNSLCsの写真を示すパネルである。NSLCが、それらが皮膚由来前駆体細胞(SKPs)の群であるかどうかを確認するために、テストされた。EGF及びbFGFに応答して増殖することが可能であるSKPsは、ネスチン及びフィブロネクチンを発現し、ニュ-ロン及び脂肪細胞までを含める中胚葉後代の双方へと分化し得る。このために、SKPsを脂肪細胞へと転じる標準プロトコルが実施され、この中で、脂肪細胞由来幹細胞(ADSCs)及びNSLCsがStemPro培地中で培養されて、DMEM/F12(50:50)、ITS(1:100)、HEPES(1:100)、GlutaMAX(1:100)、T3(0.2nM)、ロシグリタゾン(0.5μg/ml)、IBMX(100μM)及びデキサメタゾン(1μM)からなる分化培地中で、これらの細胞を培養することによって、脂肪細胞へと向かう分化が誘導された。3日後、IBMXとデキサメタゾンが培地から回収された。10日目に、細胞が4%ホルムアルデヒド溶液で10分間固定されて、Oil Red O(Invitrogen)染色溶液で染色された。脂肪細胞は、Oil Red Oによって特異的に染色された脂質小滴で赤く現れた(左側写真では明るい白色)が、NSLCsは陽性染色であり、細胞中に脂質小滴の存在はなかったが、代わりに取り込まれたニュ-ロン細胞形態を有した。これらの結果は、NSLCsが皮膚由来前駆体細胞(SKPs)ではないことに一致する。

実施例

0040

本発明は、細胞退行分化及び細胞再プログラミングのための方法に関する。本発明の重要な態様は、インヴィトロ退行分化及びインヴィトロ再プログラミングの工程後に移植され得るような細胞の異なる型に発達させるために、患者自身の細胞を使用することが可能なことである。従って、本技術は、免疫学的拒絶及び疾病の感染のリスクなどのような非ホスト細胞の移植に関連する問題を排除する。更に、細胞が「新しく作られる」ために、複数回にわたって既に細胞分裂した天然細胞の代替源よりもより有効な能力を有する。
用語の意味

0041

本明細書及び添付された請求項で使用するとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈によって別途明確に指示されない限り、複数の支持対象を含む。従って、例えば、「a cell」という表示は、1つまたはそれよりも多くのそのような細胞又はそのような細胞から誘導された細胞系を含み、「an agent」という表示は、1つまたはそれ以上のそのような薬剤を含み、並びに「the method」という表示は、本明細書に記載された方法を変更または置き換え得る当該技術分野の当業者既知である等価の工程及び方法に関するものを含む。

0042

本系最初で使用するとき、用語「ポリヌクレオチド」は、任意のDNA又はRNA配列を指し、コ-ド化ヌクレオチド配列を含む。本用語は、それが天然であろうと非天然であろうと、特別な細胞、組織又は生物体中の全てのポリヌクレオチドを包含するよう意図されている。これは、DNA及びそれらの断片、RNA及びそれらの断片、cDNA及びそれらの断片、発現された配列タグランダム人工配列を含む人工的配列が挙げられる。

0043

本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」は、所望の機能的生物学的活性(例えば、DNA脱メチル化)を有する任意のアミノ酸配列を指す。本用語は、完全蛋白質、それらの断片、融合蛋白質炭水化物又は脂質鎖又は組成物を含むその他同類物を包含するよう意図されている。

0044

分化形質導入」は、既に分化された細胞を分化された細胞の別の型に直接切り替えることを指す。

0045

「退行分化」は、遺伝子又は代謝経路活性化又は不活性化による分化された細胞の表現型特性の損失を指す。

0046

「マ-カ-」は、特別な細胞型又は細胞の表現型の特性である遺伝子、ポリペプチド、又は生物学的機能を指す。

0047

遺伝子改変DNA配列」は、DNA配列の構成成分配列要素が、自然界では見出せない方法でDNA配列内に組織化されたようなDNA配列を意味する。

0048

シグナル配列」は、それがポリペプチドをコ-ド化する核酸配列に組み込まれる場合、前記ポリペプチドを発現する細胞から翻訳したポリペプチドの分泌を指示し、或いはポリペプチドに容易に細胞膜を横切らせるような核酸配列を指す。シグナル配列によってコ-ド化されたポリペプチド配列が、翻訳したポリペプチドのN-末端に配置されるように、
シグナル配列は、ポリペプチドをコ-ド化する核酸配列の5’末端に配置されることが好ましい。「シグナルペプチド」とは、シグナル配列の翻訳から生じたペプチド配列を意味する。

0049

ユビキタスプロモ-タ-」は、プロモ-タ-が操作可能となるよう結合された核酸配列によってコ-ド化されたポリペプチド又はペプチドの発現を操作するプロモ-タ-を指す。好適なユビキタスプロモ-タ-としては、ヒトサイトメガロウイルス即時型(CMV)プロモ-タ-、シミアンウィルス40初期プロモ-タ-(SV40)、Rous肉腫ウィルス(RSV)、又はアデノウィルス主要後期プロモ-タ-が挙げられる。

0050

「遺伝子発現プロファイル」は、細胞機能の広範囲な写真を創り出す、複数の遺伝子の活性を直ちに測定するアッセイを意味する。例えば、これらプロファイルは、能動的に分裂し又は分化しているヒト神経幹細胞と体細胞との間を識別し得る。

0051

「トランスフェクション」は、外部ヌクレオチド配列(例えば、DNA分子)を細胞に中へと、好ましくは非ウィルス性方法によって導入する遺伝子送達の方法を指す。本発明による好適な実施形態では、対象のポリペプチドをコ-ド化する発現ベクタ-の一過性トランスフェクションによって、外部DNAが細胞へ導入され、かくして、外部DNAは導入されるが、細胞によって及び有糸分裂中に、時間をかけて除去される。「一過性トランスフェクション」とは、導入された発現ベクタ-及びベクタ-によってコ-ド化されたポリペプチドが、ホスト細胞のゲノム中、あるいは細胞中のいずれかに永久的に組み込まれることがなく、従って、これらがホスト細胞又はその後代から時間をかけて排除される可能性がある方法を意味する。トランスフェクション法を用いて、蛋白質、ポリペプチド、又は他の化合物もまた、細胞中に送達され得る。

0052

「神経プロジェニタ-細胞」は、ニュ-ロンとグリア細胞(希突起神経膠細胞と星状細胞)へ分化し得る神経系の未成熟細胞を指す。「神経幹細胞」は、生理学的特徴として神経プロジェニタ-細胞を形成する能力を有し、並びに分化を好む生理学的条件下にてニュ-ロン及びグリア細胞を形成する、外胚葉由来の多能性幹細胞である。「神経幹様細胞」又は「NSLC」は、生理学的特徴として他の神経幹様細胞及び神経プロジェニタ-様細胞を形成する能力を有し、並びに分化を好む生理学的条件下にてニュ-ロン様細胞及びグリア様細胞を形成する、任意の細胞由来の多能性幹細胞を指す。

0053

「神経球」は、適切な増殖条件下で、神経幹細胞及び神経プロジェニタ-細胞の増殖の結果として形成された浮遊する球体を形成する、神経幹細胞及び神経プロジェニタ-細胞の細胞凝集体を指す。NSLCsもまた、NSLCsと神経プロジェニタ-様細胞の凝集体からなる神経球を形成する。

0054

再プログラム化細胞」は、安定な分化形質転換、退行分化、又は形質転換が行われた細胞を指す。いくつかの再プログラム化細胞は、引き続いて再分化するよう誘導される。再プログラム化細胞は、細胞特異的マ-カ-又はマ-カ-のセット、形態、及び/又は元の細胞の特性ではなかった生物学的機能を発現する。「再プログラム化体細胞」は、体細胞の分化状態を変更または逆転させる工程を指し、これは、劣った分化状態又は新しい分化状態のいずれかへの分化した状態の完全的又は部分的のいずれかの変換であり得る。

0055

「再生」は、細胞、組織又は器官の修復またはデノボ構成に寄与する能力を指す。

0056

「分化」は、細胞の系列委託の発達工程を指す。分化は、1つまたはそれ以上の細胞特異的マ-カ-の未分化細胞マ-カ-の発現に対する増加を測定することによって評価分析され得る。

0057

「系統」は、より未分化の細胞が漸進的生理学的変化を行い、特徴的な機能(例えば、ニュ-ロン及びグリアが神経プロジェニタ-系統であり、神経プロジェニタ-細胞が胚盤胞及び胚幹(ES)細胞から形成された外胚葉系統である)を有するより分化した細胞になるような、細胞発達の経路を指す。

0058

「組織」は、一緒に特異的な機能または機能のセットを行う細胞(同一又は異なる)と細胞外マトリックス(ECM)の集合を指す。

0059

「CDM」は、生きている組織等価物又はマトリックス、生きている骨格、又は細胞由来マトリックスを意味する。
細胞形質転換

0060

本発明のいくつかの態様は、所与の体細胞を多分化能性、多能性及び/又は単分化能性細胞へと形質転換する又は再プログラムするための方法及び細胞に関する。本発明のいくつかの態様は、体細胞を多分化能性、多能性又は単分化能性細胞へと再プログラミングするための状態調節の方法に関する。

0061

用語「形質転換する」又は「再プログラムする」は、細胞が退行分化され又は分化形質転換されて多分化能性、多能性及び/又は単分化能性細胞になる現象を指すために互換的に使用される。退行分化した細胞は、引き続いて細胞の異なる型へと再分化されることが可能である。細胞は、種々の程度まで再プログラムまたは変換され得る。例えば、細胞の少しの部分が変換されることも、又は個々の細胞が多能性に再プログラムされるが、必ずしも多分化能性に再プログラムされないことも可能である。従って、用語「形質転換」又は「再プログラミング」法は、「新しい」細胞が、新しい又は異なる特異的細胞系統の形態的又は機能的特徴を示すように細胞を再プログラムすることが可能であるような方法を指す(例えば、ニュ-ロン細胞への繊維芽細胞の形質転換)。

0062

本明細書で使用するとき、用語「体細胞」は、幹細胞、プロジェニタ-細胞、及び生殖系細胞(すなわち、卵原細胞及び精原細胞)及びそれらから誘導された細胞(例えば、卵子細胞精子細胞)を除いた、生物の身体を形成する任意の分化した細胞を指す。例えば、内臓、皮膚、骨、血液、及び結合組織は、全て体細胞から作り上げられている。本発明による体細胞は、成体又は胎児体細胞から単離された分化した細胞であり得る。体細胞は動物、好ましくはヒト被験者から取得され、当業者が利用できる標準的培養プロトコルに従って培養される。

0063

本明細書で使用するとき、用語「幹細胞」は、有糸細胞分裂を経て、それら自体を再生する能力を保持するような細胞、並びに多種多様な特殊な細胞型へと分化し得る細胞を指す。これは、未分化胚芽細胞中に見出される胚幹細胞と、成体組織中見出される成体幹細胞との双方を含む。「全能細胞」は、3つの胚芽胚葉の全て(中胚葉、内胚葉及び外胚葉)から誘導された細胞、並びに全生物体(例えば、ヒトの場合は、女性子宮内配置されるような人間)へと発達する能力を有する細胞を指す。本明細書で使用されるような用語「多分化能」は、3つの全ての胚芽胚葉の分化した細胞になる細胞の能力を意味することが意図されている。「多能性細胞」は、細胞の緊密に関連した族(例えば、赤血球白血球血小板などに分化する造血幹細胞)の細胞のみを産生し得る細胞を指す。「単分化能細胞」は、組織のただ1つの型/細胞型(例えば、皮膚細胞)へと発達/分化する潜在能力を有する細胞を指す。

0064

本発明は、異なる型の細胞への任意の細胞の再プログラミングを与える。本願は、幹様細胞、特に神経幹様細胞(NSLCs)の調製に焦点を絞っているが、本明細書に記載された原理により、細胞の多くの異なる型が発生され得るために、本発明はそのように制限されるものではない。同様に、実施例セクションが、繊維芽細胞、角化細胞、CD34+細胞、脂肪細胞由来幹細胞(ADSCs)、神経幹細胞(NSLCsを含む)、及び細胞由来マトリックス(CDM)内の細胞が再プログラムされるような実施形態を記載してはいるが、本発明はそのような細胞に限定されるものではない。本発明は、実質的に関心のあるいかなる細胞の再プログラミングに適用されてもよい。

0065

従って、本発明の一般的な態様は、細胞の第1の型の第2の異なる型への形質転換の方法に関する。本明細書で使用するとき、第1の型の細胞の例としては、限定されるものではないが、生殖細胞、胚幹細胞及びそれらの誘導体、成体幹細胞及びそれらの誘導体、プロジェニタ-細胞及びそれらの誘導体、中胚葉、内胚葉又は外胚葉から誘導された細胞、並びに脂肪細胞由来幹細胞(ADSC)、間葉幹細胞、造血幹細胞(CD34+細胞)、皮膚由来前駆体細胞、毛胞細胞、繊維芽細胞、角化細胞、皮膚細胞、内皮細胞上皮細胞顆粒膜上皮細胞、メラニン形成細胞、脂肪細胞、軟骨細胞肝細胞リンパ細胞(B及びTリンパ細胞)顆粒細胞巨大赤血球単球単核細胞、膵臓島細胞セルトリ細胞、ニュ-ロン、グリア細胞、心筋細胞、及び他の筋細胞などのような内胚葉又は外胚葉系統が挙げられる。

0066

本明細書で使用するとき、第2の細胞の型の例としては、限定されるものではないが、生殖細胞、胚幹細胞及びそれらの誘導体、成体幹細胞及びそれらの誘導体、プロジェニタ-細胞及びそれらの誘導体、中胚葉、内胚葉又は外胚葉から誘導された細胞、並びに脂肪細胞由来幹細胞、間葉幹細胞、造血幹細胞(CD34+細胞)、皮膚由来前駆体細胞、毛胞細胞、繊維芽細胞、角化細胞、皮膚細胞、内皮細胞、上皮細胞、顆粒膜上皮細胞、メラニン形成細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、肝細胞、リンパ細胞(B及びTリンパ細胞)顆粒細胞、巨大赤血球、単球、単核細胞、膵臓島細胞、セルトリ細胞、ニュ-ロン、グリア細胞、心筋細胞、及び他の筋細胞などのような内胚葉又は外胚葉系統が挙げられる。更に、上記の「-様」細胞(細胞の既知の天然型の特徴と同様な特徴を有するが完全に同一ではない特徴を有する細胞)のそれぞれは、第2の型の細胞の例でまた誘導される。

0067

1つの特別な態様によると、第1の型の細胞を第2の異なる型へと形質転換する方法は、i)第1の型の細胞を提供することと、ii)第1の型の細胞中で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを一過性で増加させることであって、これによって、一過性の増加が少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導するものであり、iii)所望の細胞の形質転換を支援するための条件下に細胞を配置させて、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを、再プログラミング剤の不在下での少なくとも1つの遺伝子調節因子を安定して発現させるのに十分な期間時間で維持することと、並びにiv)所望の細胞の形質転換を支援する培養条件中、その発現が所望の細胞の表現型的及び機能的特徴の特性を有するような複数個の第2の遺伝子を安定して発現をさせるのに十分な期間時間で維持すること、とのステップを含む。少なくとも1つの安定発現された第2の遺伝子は、胚幹細胞の表現型的及び機能的特徴の特性を有さない。この期間時間の最後には、第1の型の細胞が、異なる型の所望の細胞中に形質転換されている。好ましくは、形質転換後に得られた異なる型の細胞は、第1の型の細胞中で発現された複数個の遺伝子の安定した抑制によって、更に特性評価される。

0068

種々の実施形態によると、ステップiii)は、ステップII)に連続して、ステップii)と同時に、又はステップii)の前に行われてもよい。

0069

関連する態様によると、本発明は、第1の型の細胞が異なる型の所望の細胞へと再プログラムされる工程に関し、本工程は、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを一過性で増加させることと、この中で少なくとも1つの再プログラミング剤が、少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導し、並びに少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現が、異なる型の所望の細胞の存在のために必要であって、前記少なくとも1つの遺伝子調節因子の安定な発現と、複数個の第2の遺伝子の安定な発現と、とを含み、この中で、複数個の第2の遺伝子の安定な発現が、少なくとも1つの遺伝子調節因子の安定な発現の結果であり、並びに(i)複数個の第2の遺伝子の安定な発現が、所望の細胞の表現型的及び/又は機能的特徴の特性であり、(ii)少なくとも1つの第2の遺伝子の安定な発現が、胚幹細胞の表現型的及び機能的特徴の特性ではなく、並びに(i)及び(ii)が、第1の型の細胞の異なる型の所望の細胞への再プログラミングが成功裏に行われたことを示唆している。

0070

本明細書で使用するとき、「一過性の増加」は、永久的である必要がなく、従ってそれが経時的に減少または消失してもよいような増加を指す。例えば、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞なレベルの一過性の増加と言及する場合、特別な細胞的事象が起こる(例えば、遺伝子調節因子の安定な内因性発現を誘導すること)ための十分な時間に増加が存在することを意味する。典型的には、一過性の増加は永久的ではなく、例えば発現ベクタ-のゲノム組込みに関連しない増加である。

0071

本明細書で使用するとき、「再プログラミング剤」は、異なる型の所望の細胞の形態的及び/又は機能的特性の発現を直接的又は間接的に誘導が可能である化合物を指す。好適な化合物は、第1の型の細胞の異なる型の所望の細胞への直接的又は間接的な形質転換を操作可能であるような化合物である。好適な実施形態では、再プログラミング剤は、本明細書に記載されたように、少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導するために選択される。本発明による再プログラミングで有益であり得る多くの化合物があり、これら化合物は、単独又は組み合わされて使用され得る。種々の実施形態では、再プログラミング剤は、表Aに従って選択されたポリヌクレオチド又はポリペプチドである。

0072

いくつかの実施形態では、再プログラミング剤は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又はそれ以上の上記表中の再プログラミング剤のうちのいずれか1つの機能性又は配列同一性占有するポリペプチドである。

0073

再プログラミング剤の不在下で、少なくとも1つの遺伝子調節因子の安定な発現を可能にする「十分な期間時間」を同定すること並びに細胞が所望の細胞への形質転換を支援する培養条件中で維持されるような「十分な期間時間」を同定することは、当業者の技術の範囲内である。十分又は適当な時間期間は、限定されるものではないが、細胞の特別な型及び後成的状態(例えば、第1の型の細胞及び所望の細胞)、開始物質の量(例えば、形質転換される細胞の数)、再プログラミング剤の量と型)、遺伝子調節因子、培養条件、再プログラミングを加速する化合物の存在(例えば、細胞周期回転を増加させる、後成的状態を変更する、並びに/又は細胞生存性を増強させる化合物)などを含む種々の因子によって変動するであろう。種々の実施形態では、再プログラミング剤の不在下で、少なくとも1つの遺伝子調節因子の安定な発現を可能にする十分な期間時間は、約1日、約2〜4日、約4〜7日、約1〜2週、約2〜3週又は約3〜4週である。種々の実施形態では、細胞が所望の細胞への形質転換を支援する培養条件中で維持され、並びに複数個の第2の遺伝子の安定した発現を可能にするような十分な期間時間は、約1日、約2〜4日、約4〜7日、約1〜2週、約2〜3週又は3〜4週、約4〜6週又は約6〜8週である。好適な実施形態では、形質転換期間の最後に、形質転換された所望の細胞の数は、開始時に提供された第1の型の細胞の量と実質的に等価であるか、又はそれよりも高い。

0074

本発明は、第1の型の細胞内において、再プログラミング剤の細胞内レベルを増加させるために好適な種々のタイプの化合物を包含する。好ましくは、化合物は、細胞のクロマチン及び/又はDNAを直接的又は間接的に再構築することが可能であるべきで、これによって、異なる型の所望の細胞の形態的及び機能的特性の発現を直接的又は間接的にもたらす。好適な化合物は、本明細書で定義された再プログラミング剤、又は同様な活性を有し並びに以前に再プログラミング剤の表中に表示された遺伝子の内因性変種の発現を活性化又は増強させる能力を有する任意の他の化合物であり、これらは異なる型の所望の細胞への第1の型の細胞の形質転換を直接的又は間接的に操作することが可能である。

0075

以下で説明されるように、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルの増加は、異なる手段によって達成され得る。好適な実施形態では、再プログラミング剤は、ポリペプチドであり、そのようなポリペプチドの細胞内レベルを増加させることは、ポリペプチドをコ-ド化するポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)を有する発現ベクタ-トランスフェクション(又はコトランスフェクション)、或いはポリペプチドの細胞内送達によるものが挙げられる。本発明のよると、一過性発現が一般的に好適である。追加の適切な化合物としては、再プログラミング剤の表中で表示された遺伝子の内因性変種の発現を増加させることが可能である化合物と、限定されるものではないが、表B中の再プログラミング因子を含む遺伝子調節因子が挙げられ得る。

0076

本発明の原理によると、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを増加させることが、少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導する。本明細書で使用するとき、「遺伝子調節因子」は、その発現が、第1の型の所与の細胞の多分化能性、多能性及び/又は単分化能性細胞への形質転換へと導く一連の細胞内事象に関連しているようなポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。典型的には、遺伝子調節因子の発現は、第1の型の細胞の遺伝子を抑制する一方で、多分化能性、多能性及び/又は単分化能性細胞の表現型的及び機能的特性に必要な遺伝子を、直接的又は間接的に活性化する。本発明による遺伝子調節因子の例としては、限定されものではないが、以前表Aで表示されたポリヌクレオチド及びポリペプチドが挙げられる。

0077

いくつかの実施形態では、遺伝子調節因子は、以前表Aで提供された遺伝子調節因子のうちのいずれか1つの少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又はそれ以上の機能性又は配列同一性を占有するポリペプチドである。

0078

本明細書で使用するとき、所望の細胞を指す場合の「増殖を支援する条件」又は「形質転換を支援する条件」は、所望の細胞型の増殖を導く並びに/又はそのような所望の細胞型に向かう形質転換を導くような種々の好適な培養条件(温度、pH、O2分圧細胞培地、因子、化合物、増殖基質(例えば、ラミニンコラ-ゲン、フィブロネクチン、Matrigel、低結合表面ナノ構造化又は荷電表面など)、3D環境など)を指す。特別な細胞型の増殖又は形質転換は、特異的な条件下で刺激されること並びに他によって阻害されることは当業者には既知であるが、所望の細胞型の増殖又は形質転換へと導く適切な条件(例えば培養条件)を選択することは当業者の技術の範囲内である。

0079

用語「表現型的及び機能的特徴」は、所望の細胞又は胚幹細胞を指す場合、その同一性又は機能を確認するために測定又は評価され得るような、特定の遺伝子及び細胞表面マ-カ-の発現を含む生物学的、生化学的、生理学的及び視覚的特性を指す。

0080

本発明の好適な実施形態による適切な再プログラミング剤の例は、MUSASHI1である。いくつかの実施形態では、このポリペプチドは、繊維芽細胞のような第1の細胞を神経幹様細胞(NSLC)中へと操作するために適している。他の実施形態では、上述の細胞内レベルが増加される少なくとも1つの再プログラミング剤は、Musashi1(Msi1)単独、Musashi1(Msi1)とNeurogenin2(Ngn2)、Musashi1(Msi1)とメチル-CpG結合ドメイン蛋白質2(MBD2)、又はNeurogenin2(Ngn2)とメチル-CpG結合ドメイン蛋白質2(MBD2)のうちのいずれかである。これらポリペプチドが、早くも胚幹細胞(又はそれよりも初期の細胞)から前体細胞(又はそれよりも後期の細胞)に至るまで、全細胞系統の全体を通して発現される傾向にあるために、これらの適切な細胞内レベルが推奨される。

0081

MBD2は、転写抑制物質とDNAデメチラ-ゼ(dMTア-ゼ)の双方で報告されたメチル-CpG-結合蛋白質の族の一員である。本明細書で使用するとき、用語「MBD2」は、ヒトメチル-CpG結合ドメイン蛋白質2を一般的に指す。ヒトMBD2のGeneBank(登録商標)(NCBI)受入番号はNM_003927.3/AF072242であり、UniProt(登録商標)受入番号はNP-003918/Q9UBB5であり、並びにUniGene(登録商標)受入番号はHs.25674である。

0082

本明細書で使用するとき、用語「Msi1」は、ヒトmusashiホモログ1を一般的に指す。ヒトMsi1のGeneBank(NCB)受入番号はNM_002442.2/AB012851であり、UniProt受入番号はNP-002433/O43347であり、並びにUniGene受入番号はHs.158311である。

0083

本明細書で使用するとき、用語「Ngn2」は、ヒトneurogenin2を一般的に指す。ヒトNgn2のGeneBank(NCBI)受入番号は、NM_024019.2/BC036847で、UniProt受入番号はNP-076924/Q9H2A3で、並びにUniGene受入番号はHs.567563である。

0084

追加的態様によると、第1の型の細胞を、異なる型の所望の細胞へ形質転換する方法は、1)細胞内で、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを増加させることが可能な1つまたはそれ以上の化合物と第1の型の細胞を接触させるて、細胞のクロマチン及び/又はDNAを直接的又は間接的に再構築すること、若しくは、2)第1の型の細胞のクロマチン及び/又はDNAを、細胞のクロマチン及び/又はDNAを再構築することが可能な薬剤と接触させて、少なくとも1つの再プログラミング剤の細胞内レベルを増加させること、とのいずれかのステップを含む。

0085

種々の実施形態によると、ステップ2)が、ステップ1)に引き続いて、ステップ1)と同時に、又はステップ1)の前に実行されてもよい。

0086

特別な態様によると、本発明は、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法に関し、方法は、NSLCではない第1の型の細胞を提供することと、少なくとも1つの神経幹細胞に特異的なポリペプチドの細胞内レベルを増加させることと、このポリペプチドは第1の型の細胞のNSLCへの直接的又は間接的形質転換が可能であり、並びに第1の型の細胞のクロマチン及び/又はDNAをヒストンアセチル化剤、ヒストン脱アセチル化の阻害剤、DNA脱メチル化剤、及び/又はDNAメチル化の化学的阻害剤と接触させること、とを含む。

0087

第2のステップに関して、用語「クロマチン及び/又はDNAを再構築する」は、クロマチンに対する動的な構造的変化を指す。これらの変化は、転写調節のために必要な局所的変化から、異なる型の所望の細胞の遺伝子特性の新しいセットの転写を可能にするためのクロマチン構造又は染色体分離開放に必要な、並びに異なる型の所望の細胞の特性ではない特定の遺伝子の転写を妨害するためのクロマチン構造又は染色体分離の閉鎖に必要な広範囲の変化にまで及ぶことができる。いくつかの実施形態では、クロマチン構造の開放は、具体的には、ヒストンのアセチル化、及びDNAの脱メチル化を指し、一方クロマチン構造の閉鎖は、具体的には、ヒストンの脱アセチル化、及びDNAのメチル化を指す。

0088

本明細書で使用するとき、「化合物」は、所望の生物学的機能に影響を及ぼすことが可能な化合物を指す。この用語としては、限定されるものではないが、DNA、RNA、蛋白質、ポリペプチド、及び成長因子、サイトカイン、ホルモン又は小分子を含む他の化合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、クロマチン及び/又はDNAを再構築することが可能な化合物としては、限定されるものではないが、ヒストンアセチル化剤、ヒストン脱アセチル化の阻害剤、DNA脱メチル化剤、DNAメチル化の阻害剤及びそれらの組み合わせが挙げられる。

0089

「DNAメチル化の阻害剤」は、DNAメチル化を阻害することができる薬剤を指す。DNAメチル化阻害剤は、抑制された遺伝子発現を回復する能力が立証されている。DNAメチル化を阻害するために好適な薬剤としては、限定されるものではないが、5-アザシチジン、5-アザ-2-デオキシシチジン、1-β-D-アラビノフラノシル-5-アザシトシン、及びジヒドロ-5-アザシチジン、及びゼブラリン(ZEB)、BIX(ヒストンリジンメチルトランスフェラ-ゼ阻害剤)、並びにRG108が挙げられる。

0090

「ヒストン脱アセチル化の阻害剤」は、凝縮クロマチン及び転写的沈黙したクロマチンの形成へと導くであろうヒストンのリジン残基からのアセチル基の除去を妨害する薬剤を指す。ヒストンデアセチラ-ゼ阻害剤は数個のグル-プに分離され、これらグル-プは(1)トリコスタチン(A)のようなヒドロキサム酸類、(2)環式テトラペプチド、(3)ベンズアミド、(4)求電子性ケトン、並びに(5)酪酸フェニル及びバルプロン酸などのような脂肪酸族を含む。ヒストン脱アセチル化を阻害する好適な薬剤としては、限定されるものではないが、バルプロン酸(VPA)、フェニルブチレ-ト、トリコスタチンA(TSA)、Na-ブチレ-ト、及びベンズアミドが挙げられる。VPAは、NeuroDを含む神経原性転写因子の誘導を経て、ニュ-ロン運命を促進し、かつグリア細胞運命を同時に阻害する。

0091

「ヒストンアセチル化剤」は、クロマチンを開放し、それを転写的に活性な状態に戻すようなヒストンのリジン残基にアセチル基を挿入する薬剤を指す。好適なヒストンアセチル化剤としては、限定されるものではないが、ポリアミン、CREB(cAMP要素結合蛋白質)、及びBniP3が挙げられる。

0092

「DNA脱メチル化剤」は、DNAからメチル基を除去し、高メチル化を阻害し、抑制された遺伝子発現を回復させる能力を所有する薬剤を指す。デメチラ-ゼは、抑制的メチル残基を除去することによって、遺伝子を活性化すると予想される。好適なDNA脱メチル化剤は、限定されるものではないが、MBD2及びGadd45bが挙げられる。

0093

いくつかの実施形態では、再プログラミング剤は、1つまたはそれ以上の次の機能を有し、それが第1の型の細胞の1つまたはそれ以上のマ-カ-の発現を減少させること(例えば、表Cを参照)、及び/又はそれが異なる型の所望の細胞の1つ又はそれ以上のマ-カ-の発現を増加させること(例えば、表Aを参照)である。所望の異なる型の細胞のための選択可能なマ-カ-を示す細胞が、次いで選択され、所望の異なる型の細胞の特性に関して評価される。

0094

本発明によると、所望の細胞への形質転換は、その発現が所望の細胞の表現型的及び/又は機能的特徴の特性であるような複数個の第2の遺伝子の安定な発現をもたらす。その発現が所望の細胞の表現型的及び/又は機能的特徴の特性である遺伝子は、限定されるものではないが、表A中に表示された遺伝子である。

0095

いくつかの実施形態では、その発現が所望の細胞の表現型的及び/又は機能的特徴の特性であるような二次遺伝子の発現は、次の表3に従って定義されたマ-カ-の発現をもたらす。

0096

いくつかの実施形態では、所望の細胞への第1の型の細胞の形質転換は、第1の型の細胞中で典型的に発現された複数個の遺伝子の安定な制止をもたらす。このような抑制された遺伝子の例としては、限定されるものではないが、表C(表4)中に定義されたような遺伝子が挙げられる。

0097

好適な実施例では、第1の細胞型中で発現される表C中に表示された1つまたはそれ以上のいずれかの遺伝子の安定な抑制もまた、相当するマ-カ-の消失によって特性化される(表Cを参照)。

0098

細胞の再プログラミングを促進するための多くの代替的ステップがあることを、当業者は理解されるであろう。これらステップは、細胞の骨格構造をすること不安定化(例えば、細胞をサイトカラシンBにさらすことによる)、細胞のクロマチン構造を緩和すること(例えば、5アザシチジン(5-Aza)及びバルプロン酸(VPA)又はMBD2などのようなDNA脱メチル化剤を使用することによる)、神経原性転写因子(例えば、Msi1又はNgn2)をコ-ド化する少なくとも1つのcDNAを含有する1つまたはそれ以上の発現ベクタ-で細胞をトランスフェクトすること、所望の異なる型の細胞の分化委託を誘導するための所望の異なる型の細胞に対する適切な培地及び適当な分化培地を使用すること、所望の異なる型の細胞の委託への誘導に悪影響を及ぼす抑制的経路を阻害すること、所望の異なる型の細胞に関する適切な基質(例えば、NSLCsのためのラミニ又は浮遊する神経球の培養のための低結合表面など)の上で細胞を増殖させること、並びに所望の異なる型の細胞(又は-様細胞)が、適当な温度、pH及び低酸素環境(例えば、約2〜5%O2)のようなインヴィヴォ中で正常に露出されるような環境内で細胞を増殖させることが挙げられる。種々の実施形態では、本発明は、これら方法及び他の関連した方法並びに細胞再プログラミングを促進するための技術を包含する。

0099

したがって、第2の異なる型の細胞への第1の型の細胞を形質転換する方法は、追加の条件的ステップを含んでもよい。1つの実施形態では、細胞を形質転換する方法は、第1の型の細胞を細胞骨格構造攪乱物質で前処理するステップを更に含む。本明細書で使用するとき、「細胞骨格構造」は、F-アクチンの糸状網、ミオシン軽鎖及び重鎖微小管、及び3つの化学的に異なっているサブユニットのうちの1つ、アクチン、チュ-ブリン、又はIF蛋白質の数個の部類のうちの1つから構成される中間径繊維(IFs)を指す。したがって、用語「細胞骨格構造攪乱物質」は、細胞を不安定化するために細胞骨格構造を阻害し得、並びに引き続き細胞の形状と細胞及び核機能との間のフィ-ドバック機構を排除し得るような任意の分子を指す。本発明による適切な細胞骨格構造攪乱物質としては、限定されるものではないが、サイトカラシンB又はDのようなアクチン細胞骨格構造阻害物質のサイトカラシン族、及び2,3-ブタンジオンモノオキシムなどのようなミオシン阻害物質が挙げられる。このような前処理は、再プログラミングを増進させる。好適な実施形態では、神経原性転写因子の導入前、導入中、又は導入後に、少なくとも1つの細胞骨格構造阻害物質の存在下で1日、細胞が培養される。

0100

所望の細胞の形質転換を支援するための条件下に細胞を配置すること、並びに/又は所望の細胞の形質転換を支援する条件下で細胞を維持することは、所望の異なる型の細胞の形態的及び機能的特性の発現を誘導するための1つまたはそれ以上の因子を含む培地中で細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の因子は、細胞の再プログラミングで有益であるような再プログラミング因子であって、これら再プログラミング因子は、単独で又は組み合わせて使用され得る。

0101

他の実施形態では、所望の異なる型の細胞の形態的及び機能的特性の発現を誘導するために適切な1つまたはそれ以上の因子を含む培地中で細胞を培養するステップは、以前い定義されたように、ステップiii)又はiv)に連続して又は同時に、あるいはステップ1)又は2)に引き続いて又は同時に実行される。

0102

多くの異なるタイプの培地、及び細胞の再プログラミング中で有益であり得る多くの再プログラミング因子並びにこれら再プログラミング因子が、単独または組み合わされて使用され得ることを当業者は認識する。種々の実施形態では、再プログラミング因子は、表Bに従って選択される。

0103

いくつかの実施形態では、再プログラミング因子は、1つまたはそれ以上の次に機能を有し、第1の型の1つまたはそれ以上のマ-カ-の発現を減少させる及び/又は所望の細胞の1つまたはそれ以上のまか-の発現を増加させることである。次いで、所望の細胞に対する選択可能なマ-カ-細胞を示す細胞が選択され、並びに単分化能性、多能性、多分可能性、又は類似した特性(必要に応じて)に関して評価される。

0104

特別な実施形態では、以前に定義されたようなステップi)〜iv)のうちのいずれか1つのステップの前、ステップ中若しくはステップ後、あるいは以前に定義されたようなステップ1)又は2)のステップ中、又はステップ後に、細胞が無血清培地中で培養される。
神経幹様細胞(NSLCs)の取得

0105

神経幹様細胞(NSLCs)を生成するための好適な実施形態によると、本発明の方法は、幹様細胞(SLCs)に向かっての再プログラミング及び/又は分化を推進するための選択された薬剤、化合物及び因子で細胞が処理されるように実行される。次いで、このように再プログラムされた体細胞は、薬剤で更に処理され、並びに/又は神経幹様細胞(NSLCs)に向かっての再プログラミングを推進するために、並びにNSLCsの増殖を長期間にわたって推進するために適切な条件下で培養される。本発明によるNSLCsは、パ-キンソン病や脊髄損傷などのような神経疾患及び損傷の実質的な治療のために、ニュ-ロン様細胞及び/又はグリア様細胞へ分化するための能力、並びにニュ-ロン細胞及び/又はグリア細胞へと分化する潜在能力を有する。本明細書で記載された方法はまた、細胞治療のための組織適合性細胞を生み出すために有用である。

0106

したがって、本発明のいくつかの態様は、個々の患者からニュ-ロンを発生させること、並びにこれによって、自己移植を、神経外傷、脳卒中、多発硬化症、パ-キンソン病、ハンチントン病、アルツハイマ-病などの神経変性疾患の治療法として可能にすることに関する。したがって、本発明は、関心の対象である疾患又は外傷を治療する神経学的治療法を提供する。

0107

したがって、本発明の別の態様は、神経幹様細胞(NSLC)を得るための方法に関し、方法は、1)第1の型の細胞を、上述の細胞内で神経幹細胞特異的ポリペプチドの細胞内レベルを増加させることが可能な1つ又はそれ以上の神経幹細胞調節ポリペプチドと接触させて、細胞のクロマチン及び/又はDNAを直接的又は間接的に再構築させて、並びにNSLCへの第1の型の細胞の形質転換を直接的又は間接的に操作すること、あるいは、2)第1の型の細胞のクロマチン及び/又はDNAを、ヒストンアセチル化剤、ヒストン脱アセチル化の阻害剤、DNA脱メチル化剤、及び/又はDNAメチル化の阻害剤と接触させて、少なくとも1つの神経幹細胞特異的ポリペプチドの細胞内レベルを増加させて、NSLCへの第1の型の細胞の形質転換を直接的又は間接的に操作することのいずれかを含む。

0108

好適な実施形態では、ステップ1)は、MUSASHI1ポリペプチドの細胞内レベルを増加させることを含む。以下で説明されるように、限定されるものではないが、これは、MUSASHI1ポリペプチドの一過性発現による、好ましくはこのポリペプチドをコ-ド化する発現ベクタ-をトランスフェクトすることによる、とを含む異なる方法によって達成され得る。

0109

好適な実施形態では、ステップ2)は、MBD2ポリペプチドの細胞内レベルを増加させること、又は細胞をVPA及び5-AZAで処理することを含む。以下で説明するように、限定されるものではないが、これは、MBD2ポリペプチドの一過性発現、好ましくはこのポリペプチドをコ-ド化する発現ベクタ-をトランスフェクトすることによって、及び/又は細胞をVPA及び5-AZAで前処理及び/又は処理することを含む異なる方法によって達成され得る。

0110

1つの特別な実施形態では、少なくとも2つの神経幹細胞のための選択可能なマ-カ-を呈する細胞の別の型への第1の型の細胞の再プログラミングは、第1の型の細胞を、神経原性転写因子をコ-ド化するcDNAを含有するベクタ-と1つのDNA脱メチル化剤でトランスフェクトすることを必要とする。退行分化を増強させるために、細胞は、DNAメチル化を阻害する、ヒストン脱アセチル化を阻害する、及び/又は細胞骨格構造を崩壊させる薬剤に露出又は前露出される。例えば、細胞骨格構造を崩壊させる薬剤で細胞を前処理し、続いてDNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチル化及びヒストン脱アセチル化の阻害剤の存在中で、2つの神経原性転写因子を含有する1つまたはそれ以上のベクタ-で細胞をトランスフェクトすることによって、退行分化が増強され得る。ヒストン脱アセチル化剤、ヒストン脱アセチル化の阻害剤、DNA脱メチル化剤、及び/又はDNAメチル化の阻害剤は、先に定義されている。

0111

先に定義されたように、方法は、先に定義されたような細胞骨格構造崩壊剤で第1の型の細胞を前処理するステップ、及び/又は先に定義されたような、NSLCsの形態的及び機能的特性の出現及び維持のために適切な1つまたはそれ以上の再プログラミング因子(例えば、レチノイド化合物、神経栄養因子、bFGF、EGF、SHH、Wnt3a、神経ペプチドY、エストロゲン)を含む培地中で細胞を培養するステップの予備的ステップを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、細胞BMP信号伝達経路を阻害すること(例えば、NOGGIN、フェチュイン、又はホリスタチンによる)を更に含む。

0112

好適な実施形態では、第1の細胞からのNSLCの発生は、1つまたはそれ以上の再プログラミング剤の使用を含む。好適な薬剤としては、限定されるものではないが、Musashi-1(Msi1)及びNeurogenin2(Ngn2)が挙げられる。他の可能性のある薬剤は、表A及びBに示されている。

0113

本発明はまた、ニュ-ロン形成を上方制御する蛋白質又は転写物をコ-ド化するDNA発現ベクタ-の使用に関する。Msi1及びNgn2などの定義された再プログラミング剤をコ-ド化する遺伝子的に処理されたDNA配列が、モノ-、ビ-、又はポリ-シストロンベクタ-を用いて、細胞中に導入され得る。内因性多能性遺伝子の発現は、その細胞中での発現が、細胞の退行分化を直接的又は間接的にもたらす蛋白質をcDNAがコ-ド化していることを示唆する。新しく退行分化された哺乳類細胞は、上述の哺乳類細胞、組織及び器官を再生するために、ニュ-ロン系統へと再分化することが可能である。

0114

本発明は、一過性トランスフェクションを介して、遺伝子的に処理されたDNA配列をヒ体細胞中に導入することによって、NSLCsを発生させるための方法に更に関する。トランスフェクション過程中で導入されたDNAは、核内ゲノム中には挿入されないために、細胞が有糸分裂を行う際に、外部DNAは経時的に減少する。非複製型を維持する非ウィルスベクタ-は、低い免疫原性を有し、並びに調製かつ使用するために容易かつ安全である。更に、プラスミドはDNAの大きな断片に対応可能である。

0115

1つの特別な実施形態では、方法は、個人から細胞を取得すること、並びにインヴィトロで細胞を再プログラミングしてNSLCsを発生させることから開始する。本発明の重要な観点は、ニュ-ロン細胞又はグリア細胞(ニュ-ロン様細胞又はグリア様細胞を含む)への体細胞又は非ニュ-ロン細胞の安定した再プログラミングである。これらは、次いで細胞が取得された同一の患者に戻されて移植され得、これによって、考えられる神経外傷、脳卒中、及び神経変性疾患を含む多くの神経的病状のための自己治療法を作り出すことが可能である。これらはまた、細胞が取得された異なる個人に移植されることもできる。したがって、本発明の細胞及び方法は、アルツハイマ-病、パ-キンソン病、多発性硬化症、又は脊髄損傷などのような神経的疾患を治療、予防、又は安定化するために有用であり得る。本技術は、インヴィヴォでのNSLCsの移植又はインヴィトロでの分化の誘導、並びにインヴィヴォでの神経プロジェニタ-細胞又は特異的なニュ-ロン又はグリア細胞の移植によって実行され得る、臨床治療のための神経幹細胞、神経プロジェニタ-細胞、ニュ-ロン及びグリア細胞の十分なソ-スを提供する。

0116

別の実施形態では、方法は、体細胞又は非ニュ-ロン細胞を単離し、細胞形態とクロマチン構造を変更する1つ又はそれ以上の薬剤にさらすこと、並びに神経原性転写因子をコ-ド化する少なくとも1つのcDNAを含有する1つまたはそれ以上の遺伝子で細胞をトランスフェクトすることを含む。遺伝子トランスフェクションステップは、細胞内で神経原性転写因子の発現を誘導する別の薬剤に置き換えられてもよい。DNA及びヒストンの後成的改変(具体的には、DNA脱メチル化及び開放染色体構造)を誘導することは、細胞の真の再プログラミングを促進する。別の実施形態では、例えば5%O2の低酸素環境中で細胞がインキュベ-トされ、これによって、細胞の再プログラミングを補助する。

0117

方法論は、NSLC中への細胞の再プログラミングを可能にする。再プログラムされた細胞の発達の更なる過程及び拡大は、細胞が曝されるインサイチュ環境因子に依存する。本発明の実施形態は、発生したNSLCを増大させる適切な分化培地中、例えば、神経幹細胞が増殖するよう促進するための上皮細胞成長因子(EGF)及び塩基性線維芽細胞成長因子が加えられた、Neural Progenitor proliferation Medium(StemCell Technologies)中で、再プログラムされた細胞を増殖することを更に含む。

0118

本発明によって得られたNSLCsは、適切な培地中で、例えば、ニュ-ロン細胞及び/又はグリア細胞へと向かうNSLCsの分化を誘導するためのオ-ルトランスレチノン酸又はビタミンAのようなレチノイド化合物とびBDNFを含有するNS-A分化培地(StemCell Technologies)又はNbActive培地(BrainBits(登録商標))中で、ニュ-ロン、星状細胞、及び/又は希突起神経膠細胞系へと分化され得る。ニュ-ロン細胞は、ニュ-ロン細胞型に関連する1つまたはそれ以上の神経特異的な形態学的、生理学的、機能的及び/又は免疫学的特徴を表す細胞を含む。有用な基準特徴としては、形態学的特徴(例えば、長脚又は神経突起)、ニュ-ロン特異的マ-カ-又は抗原のセットの発現のような生理学的及び/又は免疫学的特徴、ド-パミン又はγアミノ酪酸(GABA)のような神経伝達物質の合成、並びにイオンチャンネル又はニュ-ロンの活性電位特性のような機能特性が挙げられる。

0119

本方法によると、再プログラムされた細胞は、未トランスフェクト細胞と比較しての示差接着特性に基づいて選択され得、例えば、再プログラムされた細胞は、浮遊する神経球を形成し、かつラミニン上で良好に成長することができるのに対し、未トランスフェクト繊維芽細胞は正規の細胞培養処理されたプレ-ト上に取り付きかつ良好に成長する。再プログラムされた細胞は、1つまたはそれ以上の神経幹細胞に特異的なマ-カ-及び形態、並びに元の細胞に関連するいくつかの又は全ての特異的マ-カ-の損失を表す。更に、神経様細胞NLCs)の機能性のいくつかは、例えば、パッチクランプ法シナプトフィシン及びMAP2bに関する免疫染色法、及び酵素結合免疫吸着検定法ELISA)などの免疫化学的方法によって異なる時点にて評価され得る。

0120

特定の実施形態では、本発明は、組織損傷の部位にて中枢神経系再生を開始しかつ指向することが可能であり、並びに個々の患者自身の細胞をドナ-又は出発細胞として用いる個々の患者のためにカスタマイズされ得るNSLCsを提供する。本発明は、個々の患者から細胞を発生させることに使用され得、これによって、多くの神経学的病状のための治療法として可能である自己移植を創り出すことができる。したがって、本技術は、免疫的拒絶及び疾患の感染のリスクなどの非ホスト細胞の移植に関連する問題を排除する。本発明の大きな利点は、移植に適した自己移植片のための本質的に無制限の供給を提供することである。したがって、本発明の方法は、現行の材料の供給源及び移植の方法に関連する重要な問題を排除するであろう。
ポリヌクレオチドの送達

0121

特定の実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチド、例えば、MBD2ポリペプチド、MUSASHI1ポリペプチド及び/又はNgn2ポリペプチドをコ-ド化するポリヌクレオチドの使用に関する。ポリヌクレオチドを細胞に導入する方法は、当業者に周知である。ヌクレオフェクション及び/又はリポフェクションなどのトランスフェクション法、又はトランスフェクションの他のタイプが用いられ得る。例えば、所望のポリペプチドをコ-ド化するポリヌクレオチドが、複製及び/又は発現のために、真核細胞中のトランスフェクションのために中間のベクタ-中にクロ-ニングが行われ得る。核酸の記憶又は操作のための、あるいは蛋白質の生産のための中間のベクタ-は、例えば、原核細胞ベクタ-(例えば、プラスミド)、シャトルベクタ-、昆虫ベクタ-、又はウィルスベクタ-であり得る。所望のポリペプチドはまた、融合核酸によってコ-ド化され得る。

0122

クロ-ン化された核酸の発現を得るために、典型的には、転写に向かうプロモ-タ-を含有する発現ベクタ-にサブクロ-ン化される。好適な細菌及び原核細胞プロモ-タ-は、周知であり、例えば、SambrookとRussell著(Molecular Cloning:a laboratory manual、Cold Spring Habor Laboratory Press)に記載されている。選択した核酸の発現に向かわせるために使用されるプロモ-タ-は、個々の用途に依存する。例えば、強い構成型プロモ-タ-が、発現及び精製のために典型的に使用される。対照的に、退行分化蛋白質又は化合物がインヴィヴォで使用される場合、蛋白質の特別な使用に依存して、構成型あるいは誘導可能なプロモ-タ-又は化合物のいずれかが使用される。更には、HSVTK又は同様な活性を有するプロモ-タ-のような弱いプロモ-タ-が使用され得る。プロモ-タ-はまた。転写活性化反応性の要素、例えば、低酸素反応要素、Ga14反応性要素、lacリプレッサ-反応性要素、及びtet-調節系及びRU-486系などのような小分子制御系などの要素を典型的に含む。

0123

プロモ-タ-に追加して、発現ベクタ-は、典型的に、原核細胞又は真核細胞のいずれかのホスト細胞中での核酸の発現に必要である追加の要素を含有する転写ユニット又は発現カセットを含有する。典型的な発現カセットは、したがって、例えば核酸に操作可能となるように結合されたプロモ-タ-、並びに例えば、転写物の有効なポリアデニル化、転写終結リボソ-ム結合、及び/又は翻訳終結のために必要とされる信号を含有する。カセットの追加の要素としては、例えば、エンハンサ-、異種性スプライシングされたイントロン信号などが挙げられる。

0124

真核細胞ウィルスからの調節要素を含有する発現ベクタ-は、例えば、SV40ベクタ-、パピロ-マウィルスベクタ-、及びEpstein-Barrウィルスから誘導されたベクタ-などのような真核細胞発現ベクタ-中で頻繁に使用される。他の代表的な真核細胞ベクタ-としては、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウィルスpDSVE、並びにSV40初期プロモ-タ-、SV40後期プロモ-タ-、メタロチオネインプロモ-タ-、ネズミ乳房腫瘍ウィルスプロモ-タ-、ニワトリ肉腫ウィルスプロモ-タ-、ポリヒドリンプロモ-タ-、又は真核細胞中での発現に有効であると示された他のプロモ-タ-などの指示の元で、蛋白質を発現させる任意の他のベクタ-が挙げられる。

0125

大量の退行分化蛋白質を発現し、必要に応じて、標準的技法を用いて精製され得る細菌、哺乳類、酵母、昆虫、又は他の細胞を生成するために、標準トランスフェクション法が用いられ得る。

0126

外部ヌクレオチド配列をホスト細胞へ導入するための任意の手法が用いられ得る。これらは、限定されるものではないが、リン酸カルシウムトランスフェクション法、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション法、ポリブレン介在トランスフェクション法、プロトプラスト融合法電気泳動法電気窄孔法、脂質介在送達法(例えば、リポソ-ム法)、マイクロインジェクション法遺伝子銃法、DNAの導入、プラスミドベクタ-、ウィルスベクタ-(エピソ-ム及び組込みの両者)並びにクロ-ン化ゲノムDNA、cDNA、合成DNA又は他の外部遺伝子物質をホスト細胞に導入するための周知の他のいずれかの方法が挙げられる(例えば、Sambrookら著、supra参照)。選択した蛋白質を発現することが可能なホスト細胞に、少なくとも1つの遺伝子を成功裏に導入することが可能であるように用いられる特別な遺伝子操作手技が必要なだけである。

0127

通常のウィルス及び非ウィルス系遺伝子送達法が、核酸を哺乳類細胞又は標的組織へと導入するために用いられ得る。このような方法は、インヴィトロで、再プログラミングポリペプチドをコ-ド化する核酸を細胞に投与するために用いられ得る。好ましくは、インヴィヴォ又はエクスヴィヴォの遺伝子治療用途のために、核酸が投与される。非ウィルスベクタ-送達システムとしては、DNAプラスミド、裸核酸、及びリポソ-ムのような送達ビヒクルとの核酸複合体などが挙げられる。ウィルスベクタ-送達システムとしては、細胞への送達後エピソ-ムゲノム又は組込みゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウィルスが挙げられる。

0128

核酸の非ウィルス送達の方法としては、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、弾道法、ビロソ-ム法、リポソ-ム法、免疫リポソ-ム法、ポリカチオン又は脂質-核酸複合体法、裸DNA法、人工ビリオン法、及びDNAの薬剤増強組込み法などが挙げられる。ポリヌクレオチドの効果的受容体認識リポフェクションに適したカチオン性及び中性脂質が知られている。核酸は、細胞へ(エクスヴィヴォ投与)又は標的組織へ(インヴィヴォ投与)送達され得る。免疫脂質複合体などのような標的化リポソ-ムを含む脂質:核酸複合体の調製物は、当業者に周知である。

0129

核酸の送達のためのRNA又はDNAウィルス系システムの使用は、体内の特異的細胞へのウィルスの標的化のための並びにウィルスペイロ-ドを核へと輸送するための高度に進化した過程の利点を生かす。ウィルスベクタ-は、患者に(インヴィヴォ)直接的に投与され得、並びにインヴィトロで細胞を処理するために使用され得、この中で、修飾細胞が患者に投与される(エクスヴィヴォ)。送達のための通常のウィルス系システムは、レトロウィルスレンチウィルスポックスウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、水疱性口炎ウィルス及びヘルペスウイルスベクタ-が挙げられ、レトロウィルス、レンチウイルス、及びアデノ随伴ウィルス遺伝子送達法を含む特定のベクタ-によるホストゲノム中への組込みが可能ではあるが、挿入された移入遺伝子の長期間の発現をしばしばもたらす。更には、高い形質導入効率が、多くの異なる細胞型及び標的組織中で観察されている。

0130

pLASN及びMFG-Sは、臨床試験で用いられてきたレトロウィルスベクタ-の例である。一過性発現が好ましい適用において、アデノウィルス系システムは有用である。アデノウィルス系ベクタ-は、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率を可能し、並びに感染が可能であるために、分裂している細胞及び非分裂の細胞の双方に拡散を送達可能である。このようなベクタ-を使用して、発現の高い力価及びレベルが取得されてきた。アデノウィルスベクタ-は、比較的単純なシステム中で大量に生産され得る。

0131

遺伝子治療ベクタ-は、典型的には全身投与(例えば、静脈注入、腹腔内注入、筋肉内注入、皮下注入、又は頭蓋内注入)によって、個々の患者に投与することによって、インヴォヴォにて送達され得る。あるいは、ベクタ-は、個々患者から体外移植された細胞(例えばリンパ球骨髄穿刺液、組織生検など)又は不特定ドナ-の造血幹細胞のような細胞にエクスヴィヴォにて送達され得、これに続いて、通常は再プログラムされた細胞の選択後に、患者に細胞が再移植される。

0132

診断、研究、又は遺伝子治療(例えば、宿主生物体へのトランスフェクトされた細胞の再注入)のためのエクスヴィヴォでの細胞トランスフェクションは、当業者に周知である。好適な実施形態では、細胞が被験生体から単離され、核酸(遺伝子又はcDNA)でトランスフェクトされ、被験生体(例えば患者)へと再注入される。エクスヴィヴォトランスフェクションに好適な種々の細胞型が、当業者には周知である。

0133

治療的核酸を含有するベクタ-(例えば、レトロウィルス、アデノウィルス、リポソ-ムなど)はまた、インヴィヴォにおける細胞のトランスフェクションのために、成体に直接的に投与され得る。あるいは、裸DNAが投与され得る。投与は、最終的に血液又は組織細胞と接触するように分子を導入するために通常用いられる任意のル-トによる。このような核酸を投与する好適な方法は、選択可能であり、かつ当業者に周知であり、並びに特別な組成物を投与するために1つ以上のル-トが使用され得るが、特定なル-トは、他のル-トよりもより即効性でかつより効果的な反応をしばしば提供することができる。

0134

薬剤学的許容可能な担体が、投与される特定の組成物、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって、ある程度決定される。したがって、多種多様な本発明の医薬組成物の好適な構造がある。
ポリペプチドの送達

0135

本明細書に記載された方法の全てではないにしてもほとんどで、代替的可能性は、ポリヌクレオチドの使用をバイパスすることと、増加した細胞内レベルが望まれるような化合物(例えば、ポリペプチド)と第1の型の細胞を接触させることからなる。他の実施形態では、例えば特定のインヴィトロ状態で、細胞が1つ又はそれ以上の機能的ポリペプチドを含有する培地中で培養される。

0136

ポリペプチドを投与する上で重要な因子は、ポリペプチドが細胞の原形質膜、又は核などの細胞内区画を通過する能力を有することを確実にすることである。細胞の膜は、小さな、非イオン性親油性化合物に対しては自由透過性であり、並びに極性化合物巨大分子、及び治療的又は診断的薬剤に対しては固有非透過性であるような脂質-蛋白質二重層から構成される。しかし、細胞膜を通過させてポリペプチドを輸送させる能力を有するような蛋白質、脂質及び他の化合物が述べられている。例えば、「膜輸送ポリペプチド」は、膜輸送担体として作用する能力を有する両親媒性又は疎水性アミノ酸サブ配列を有する。本発明による、増加した細胞内レベルが所望されるようなポリペプチドは、それらの細胞への取り込みを促進するために、好適なペプチド配列に結合され得る。増強された細胞の取り込みを提供する他の好適な化学的部分もまた、ポリペプチドに共有的又は非共有的のいずれかで結合され得る。ポリペプチドを細胞膜を通過して輸送させる能力を有するような、他の好適な担体もまた使用される。

0137

所望のポリペプチドはまた、リポソ-ム及び免疫リポソ-ムのようなリポソ-ム誘導体を介在して、動物細胞、好ましくは哺乳類細胞へと導入され得る。用語「リポソ-ム」は、水性相封入する、1つまたはそれ以上の同心円状に配列した脂質二重層から構成された小胞を指す。水性相は、典型的には、細胞に送達される化合物を含有する。特定の実施形態では、特別な細胞型、組織などに特異的である標的部分を用いて、リポソ-ムを標的化することが望ましい可能性がある。種々の標的部分(例えば、リガンド、受容体、及びモノクロ-ナル抗体)を用いてのリポソ-ムの標的化は、先に述べられている。
細胞及び細胞系

0138

本発明は、細胞、細胞系、幹細胞及び本明細書で記載されたいずれかの方法から誘導された精製された細胞調製物を包含する。いくつかの実施形態では、本発明の細胞、細胞系、幹細胞及び精製された細胞調製物は、限定されるものではないが、ヒト、霊長類イヌネコウマウシ、又はヒツジなどを含む哺乳類由来である。好適な実施形態では、それらはヒトに由来する。

0139

したがって、本発明の別の態様は、修飾した細胞、細胞系、多分可能性、多能性又は単分化能性細胞及び精製した細胞調製物に関し、これら細胞のいずれかは、Musashi1(Msi1);Msi1及びNgn2;Msi1及びMBD2;Ngn2及びMBD2;Msi1、Ngn2及びMBD2;Msi1、Ngn2、Nestin及びMBD2;Msi1とNgn2とMBD2を含むことが好ましい表Aからの他の可能な組み合わせをコ-ド化する外因性ポリヌクレオチドを含む。好適な実施形態では、本発明による細胞は、幹様細胞であり、より好ましくは神経幹様細胞(NSLC)であって、細胞は以下の1つ又はそれ以上の特性を所有する。特性は、Sox2、Nestin、GFAP、Msi1、及びNgn2からなるグル-プから選択された1つ又はそれ以上の神経幹細胞マ-カ-を発現すること、NSLCがそこから取得された細胞(表C参照)に特異的な1つまたはそれ以上の遺伝子の減少した発現をすること、神経球コロニ-形成アッセイ中での神経球を形成すること、懸濁液中又は接着培養として培養されることが可能なこと、外因性再プログラミング剤の存在なしに、一ヶ月間を超えて、好ましくは2か月間を超えて、3か月間を超えて、5か月間を超えて、及び1年間以上にわたって培養されることが可能なこと、低継代数にて36時間毎に分裂することが可能なこと、テロメラ-ゼ活性に対して陽性であること、ニュ-ロン様細胞、星状様細胞、希突起膠様細胞及びそれらの組み合わせへと分化することが可能であること、分化後のテロメラ-ゼ及び1つまたはそれ以上の神経幹細胞マ-カ-の減少した発現をすること、ニュ-ロン様細胞への分化後に、長さで1つの細胞の直径よりも大きな、1つまたはそれ以上の形態的神経突起様過程(軸索及び/又は樹状突起)を有すること、ニュ-ロン様細胞への分化後、神経特異的チュ-ブリン、微小管関連蛋白質2、NCAM、及び神経伝達物質のためのマ-カ-からなるグル-プから選択される少なくとも1つ神経特異的抗原の発現をすること、ニュ-ロン様細胞への分化後、1つ又はそれ以上の機能的神経マ-カ-(例えば、シナプシン)の発現をすること、ニュ-ロン様細胞への分化後、1つまたはそれ以上の向神経因子を放出することが可能であること、腫瘍コロニ-形成アッセイが陰性であること、SCIDマウスでの腫瘍成長が陰性であること、SCIDマウスでの混合腫瘍成長が陰性であること、除脳モデルの空隙へのNSLCsの適切な数の置換後に、1つまたはそれ以上の範関数測度の著しい改善が可能であること、NSLCsの適切な数のEAEモデルへの注入後に、1つまたはそれ以上の範関数測度の著しい改善が可能であること、並びにCNS損傷中又は神経変性モデル中のhNPCsよりも1つまたはそれ以上の範関数測度の著しい改善が可能であることの項目である。上記項目の全ての例は、本願の実施例部分に記載されている。

0140

好適な実施形態では、本発明によるNSLCは、以下の特性の全てを所有し、これらは、体細胞よりの著しく長い時間の自己再生の能力、癌性細胞ではないこと、安定であり、並びに強制的遺伝子発現又は同様の法によって人工的に維持されることがなく、標準神経幹細胞培地中で維持され得ること、プロジェニタ-細胞、前駆体細胞、体細胞又は同一の細胞系統の別のより分化した細胞型へと分化することができること、幹細胞の特性を有し、並びに特定のマ-カ-又は遺伝子発現あるいは形態的外観のみを有しないこと、インヴィヴォにての未秩序成長、奇形種形成、及び腫瘍形成を示さないことである。

0141

1つの特別な実施形態では、本発明による再プログラムされた細胞(NSLCs)は、それらの神経幹細胞マ-カ-と、ニュ-ロン様細胞、星状様細胞、及び希突起膠様細胞に向かって分化するそれらの能力を失うことなく、数か月間にわたって増殖することが可能である。神経系統の発生は、形態、表現型変化及び機能性に基づいて特性化される。

0142

いくつかの実施形態では、本発明の細胞は、以下の特性及び特徴のうちの1つまたはそれ以上を有してもよく、これらは、自己再生性、インヴィトロ及びインヴィヴォでの多系統分化、クロ-ン形成能、正常核型、明確に定義された培養条件下でのインヴィトロにおける広範な増殖、及び凍結及び溶解される能力、並びに幹細胞に典型的な一般的に知られた及び/又は望ましい特徴又は特性のいずれかである。本発明の細胞は、多能性又は多分可能性細胞の分子マ-カ-(すなわち、先に定義されたような遺伝子及び表面マ-カ-)を更に発現してもよい。

0143

本発明の別の態様は、組織特異的自家自己性幹細胞及び/又はプロジェニタ-細胞の生成に関する。これら幹細胞及び/又はプロジェニタ-細胞は、細胞の変性の疾患を治療するための細胞治療用途で用いられてもよい。細胞の変性の疾患としては、例えば、脳卒中、アルツハイマ-病、パ-キンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症黄斑退化症などのような神経変性疾患、骨粗鬆症骨関節炎骨折、骨破断糖尿病肝臓損傷変性疾患心筋梗塞火傷及び癌などのような骨溶解性疾患が挙げられる。本発明による細胞は、ホストへと移植又は移入され得ると想定される。本発明の利点は、免疫系拒絶のリスクがなく、移植のための多数の自己幹細胞が生成され得ることである。これらの細胞は、個人への移植に適した組織の生成へと導くことができる。組織は被移植者から誘導されるために、非血縁ドナ-からの組織で起こり得るような免疫応答を刺激することはない。そのような移植は、組織(例えば、静脈動脈、皮膚、筋肉)、固形臓器移植片(例えば、心臓肝臓腎臓)、ニュ-ロン細胞移植片、又は例えば白血病又はリンパ腫などの種々の悪性疾患の治療で使用されるような骨髄移植片を構成することができる。神経幹細胞、神経プロジェニタ-細胞、又はニュ-ロン細胞(並びにNSLCs及びそれらの誘導体)移植片はまた、例えば、神経疾患、脳卒中、脊髄損傷、パ-キンソン病など、並びに心筋梗塞のような可能性のあるいくつかの神経疾患の治療でも用いられ得る。

0144

本発明の別の態様は、後続するホストへの移植又は移入のためのエクスヴィヴォで処理された組織を生成するための方法に関し、これら処理された組織の細胞の構成成分は、本発明による細胞、又はそれらから誘導された細胞を含む。例えば、本発明の細胞の増殖した培養物は、成長因子及び/又はモルフォゲンでのインヴィトロ処理によって分化され得る。分化した細胞の群が、次いで損傷又は障害の部位の近くでレシピエント宿主に移植されるか、又は記載されたように、処理された組織を発生させるために、インヴィトロで培養される。

0145

本明細書で記載された本発明の方法及び細胞は、例えば細胞系を発生させるように、細胞の不死化のために用いられ得る。本明細書で開示された方法を使用して、体細胞が、分化した表現型を有する細胞へと形質転換され得、これによって、種々の組織からの細胞系の発生を促進する。したがって、本発明は、このような不死化細胞を包含する。

0146

更には、本発明による細胞を誘導させる方法は、限定されるものではないが、科学的及び治療的用途で有益である可能性があり、これらは、(a)細胞生育及び遺伝子研究を包含する科学的発見及び研究(例えば、細胞の分化、退行分化、又は再プログラミングを研究するためのモデル細胞系としてヒト幹細胞の代わりに使用する)、(b)医薬品開発及び発見(例えば、特定の医薬品候補物質及び薬品の効能及び毒性に関するスクリ-ニング、細胞の分化、退行分化、又は再プログラミングを仲介する候補薬物及び薬品に関するスクリ-ニング)、(c)遺伝子治療(例えば、遺伝子治療のための送達装置としての)、並びに(d)限定されるものではないが、パ-キンソン病、アルツハイマ-病、ハンチントン病、テイ-サックス病、ゴ-シェ病、脊髄損傷、脳卒中、火傷及び他の皮膚損傷心臓疾患、糖尿病、ル-プス病、骨関節炎、肝臓疾患、ホルモン異常、腎臓疾患、白血病、リンパ腫、多発性硬化症、リウマチ性関節炎デュシェ-ヌジストロフィ-、個体発生不全先天性異常不妊症流産、及び他の癌、変性疾患並びに他の疾病及び疾患などの損傷、外傷、疾病及び疾患の治療である。

0147

追加的態様は、治療方法、処置の方法並びに哺乳類(例えば、ヒトの被験者)の組織又は臓器を再生する方法に関する。1つの特別な方法は、哺乳類組織又は臓器を再生する方法に関し、これは本明細書で記載したようなSLC、NSLC、又は他の所望の細胞又は人工的組織構築物に、再生される組織又は臓器を接触させることを含む。SLC、NSLC、所望の細胞又は人工的組織構築物は、適切なル-トを使用して(例えば、細胞を組織又は臓器、若しくは血流中に髄腔内注入又は直接的に注入すること)、被験者に投与することによって、再生される組織又は臓器の近くに配置されてもよい。

0148

必要としている被験者の組織又は臓器を修復又は再生する別の方法は、組織又は臓器の細胞中での少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導する化合物、及び/又は被験者のインヴィヴォでの形質転換又は退行分化を可能にする細胞中で少なくとも1つの遺伝子調節因子の内因性発現を直接的又は間接的に誘導する化合物を被験者に投与することを含む。したがって、少なくとも1つの遺伝子調節因子の発現は、細胞を異なる型の細胞(例えば、神経幹様細胞)へと再プログラムし、これら異なる型の細胞は、上述の組織又は臓器の修復又は再生に有効である。

0149

別の方法は、患者から細胞又は組織(例えば、造血幹細胞、繊維芽細胞、又は角化細胞)を取得することと、そのような細胞又は組織の複数個を再プログラムすること、並びに再プログラムされた細胞又は組織を患者に再導入することを含む。関連する態様では、複数個の所望の細胞、SLC及び/又は神経幹様細胞(NSLC)又は本明細書で記載された再プログラムされた組織を含む医薬組成物に関する。

0150

本発明の治療法は、限定されるものではないが、脳、脊髄、心臓、目、網膜内耳、皮膚、筋肉、腸、膵臓(β細胞を含む)、腎臓、肝臓、、骨、骨髄軟骨、軟骨板、毛包、歯、血管、内分泌腺及び外分泌腺を含む)、卵巣生殖器乳房及び胸部組織などを含む種々の組織及び臓器の再生及び修復に適用され得る。

0151

関連する態様は、複数個の所望の細胞、本明細書で記載されたようなSLC及び/又は神経幹様細胞(NSLC)を含む医薬組成物に関する。
組織

0152

本明細書の別の態様は、必要とする被験者に移植され得る、本明細書で記載されたような再プログラムされた細胞を含有する組織に関する。

0153

いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、細胞とこれら細胞から生成された細胞外マトリクスを含むインヴィトロで生成された3D組織構築物などの組織内での細胞の再プログラミングを提供する。更には、トランスフェクトされた細胞は、完全に自己性で作られ得、これによって宿主拒絶が防止され、完全に免疫適合性にすることが可能で、並びにインヴィヴォにて移植される再プログラムした細胞のための担体としてのこれら3D組織構築物の最上部に播種され得る。有利なことに、これら新しく創り出された細胞は、インヴィトロの診断的目的又は細胞治療/組織交換アプロ-チにおける必要とする患者へのそのような組織構築物の移植のために、これら組織内において、細胞が未分化及び/又は分化された状態で使用され得る。

0154

本発明は、3Dのニュ-ロン様多層組織を更に包含する。本発明による神経幹様細胞へと再プログラムされたCDM内の細胞は、CDM内のニュ-ロン様細胞、星状様細胞、希突起膠様細胞へと容易に分化する。したがって、CDM内の細胞を再プログラムして、3Dのニュ-ロン様多層組織(30個の細胞層まで)を形成するために、本発明のCDM及び再プログラミングの方法を用いることが可能である。このような3D組織は、ニュ-ロン(又は具体的には、ニュ-ロン様細胞)、星状細胞(又は具体的には、星状様細胞)、及び希突起神経膠細胞(又は具体的には、希突起神経膠様細胞)を含み、並びにこれは完全に自己性で作られ、手動で取り扱うことができて、かつ比較的簡単に移植され得、並びにインヴィトロCNS組織モデルとして使用可能である。

0155

1つの特別な態様は、インヴィトロで培養された細胞と、インヴィトロで培養された細胞の3D組み立て品と、これら細胞から生成された細胞外マトリックスを含む人工的組織構築物に関する。細胞は、所望の細胞、本明細書に記載された方法のうちのいずれか1つを用いて取得されたSLC及び/又は複数個の神経幹様細胞(NSLC)であり得る。
スクリ-ニング法

0156

本発明の別の態様は、第1の型の細胞を所望の異なる型の細胞へと形質転換することが可能な新しい化合物(例えば、小分子、医薬品など)を同定するための方法に関する。これら新しい化合物は、研究目的で又は被験者の組織の修復または再生で使用するための薬剤として有用であり得る。

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