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技術 波長可変型面発光レーザ

出願人 サンテック株式会社
発明者 諫本圭史山下清隆西山伸彦
出願日 2015年2月6日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2015-022313
公開日 2016年8月12日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-146399
状態 特許登録済
技術分野 半導体レーザ
主要キーワード 内周輪郭 複数ペア 配設密度 波長走査型光源 可動基板 ハンドル基板 酸化処理前 赤外線レーザ光
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月12日)のものです。
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図面 (10)

課題

下部DBR層における内部応力の発生を抑制しつつ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを提供すること。

解決手段

波長可変型面発光レーザは、固定基板2と、固定基板2の上面に順次成膜された下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6と、固定基板2の上側に対向配置されると共に固定基板2に対して上下方向に変位することができるよう配置された上部DBR層と、を有する。下部DBR層3は、酸化物からなる複数の低屈折率層と、低屈折率層よりも屈折率の高い複数の高屈折率層とを交互に積層してなる。下部DBR層3には、上下方向の全体に形成されると共に上方に開口した開口穴33が、下部DBR層3の広がり方向の全域にわたって分散配置されている。

概要

背景

一般に、面発光半導体レーザは、活性層の上部と下部とに、それぞれ分散ブラッグ反射層DBR層)を備え、一対のDBR層の間で光を共振させることにより、活性層の法線方向にレーザ光発振させるよう構成されている。
そして、面発光レーザの中でも、発振させる光の波長を変動させることができる、波長可変型面発光レーザ(VCSEL)が種々開発されている。特許文献1に開示された可変波長型面発光レーザは、活性層の下方に下部DBR層を配置してなる下側積層部と、下側積層部の上側にギャップを介して対向配置された上部DBR層を備えた上側ミラー部と、を有する。そして、下側積層部に対して、上側ミラー部を上下動できるよう構成することで、上部DBR層と下部DBR層との間のキャビティ長を変化させることができるように構成されている。これにより、上部DBR層と下部DBR層との間で共振させる光の波長を変化させ、発振させるレーザ光の波長を変化させながら出力することができる。

このような波長可変型面発光レーザは、特許文献1に開示されているように、例えば、波長走査型光源タイプの光断層画像表示システムSSOCT)の光源として用いることが検討されている。この場合、OCTによる深さ方向の分解能を向上させるべく、発振させるレーザ光の波長帯域を広くすることが望まれる。OCTに限らず、例えば、ガスセンシング光学デバイスの評価等、種々の用途において、波長可変型面発光レーザが発振するレーザ光の波長帯域の拡大、すなわち、高強度のレーザ光を放出することができる波長帯域の拡大が、要望されている。

しかしながら、波長可変型面発光レーザにおいて、レーザ光の波長帯域を拡げるためには、上部DBR層及び下部DBR層の反射波長帯域(高い反射率を得ることができる波長帯域)を拡げる必要があるが、下部DBR層は、製造上の観点から、反射波長帯域を拡げることが困難である。すなわち、下部DBR層は、半導体基板上に活性層等と共に成膜されるため、下部DBR層の材料等には制約が生じる。そのため、従来の成膜方法では、下部DBR層の反射波長帯域を拡げることは困難である。

また、DBR層の形成方法として、低屈折率層酸化層とすることで、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率の差を大きくして、反射波長帯域を拡げることが検討されている。このような酸化DBR層を製造するにあたっては、例えば、ガリウム砒素GaAs)からなる層とアルミニウム砒素(AlAs)からなる層とを交互に成膜(結晶成長)し、その上に活性層等を形成した後、アルミニウム砒素の層を酸化させることで、酸化アルミニウム(AlxOy)の層とガリウム砒素の層とを積層してなるDBR層を形成する手法がある。このような、DBR層を形成する方法として、酸化処理前のDBR層におけるAlAs層を、その端面から酸化ガス水蒸気)を供給することで酸化して、AlxOy層とする手法が開示されている(非特許文献1)。

概要

下部DBR層における内部応力の発生を抑制しつつ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを提供すること。波長可変型面発光レーザは、固定基板2と、固定基板2の上面に順次成膜された下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6と、固定基板2の上側に対向配置されると共に固定基板2に対して上下方向に変位することができるよう配置された上部DBR層と、を有する。下部DBR層3は、酸化物からなる複数の低屈折率層と、低屈折率層よりも屈折率の高い複数の高屈折率層とを交互に積層してなる。下部DBR層3には、上下方向の全体に形成されると共に上方に開口した開口穴33が、下部DBR層3の広がり方向の全域にわたって分散配置されている。

目的

本発明によれば、下部DBR層における内部応力の発生を抑制しつつ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

固定基板と、該固定基板の上面に順次成膜された下部DBR層、下部コンタクト層活性層、上部コンタクト層と、上記固定基板の上側に対向配置されると共に該固定基板に対して上下方向に変位することができるよう配置された上部DBR層と、を有し、上記下部DBR層は、酸化物からなる複数の低屈折率層と、該低屈折率層よりも屈折率の高い複数の高屈折率層とを交互に積層してなり、上記下部DBR層には、上下方向の全体に形成されると共に上方に開口した開口穴が、上記下部DBR層の広がり方向の全域にわたって分散配置されていることを特徴とする波長可変型面発光レーザ

請求項2

上記下部コンタクト層と上記活性層と上記上部コンタクト層とからなる積層部には、広がり方向において他の部位と隔離された状態で立設された柱状部が形成されており、該柱状部の一部には、酸化物からなるアパーチャが、外周面から中心側へ向かって環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の波長可変型面発光レーザ。

請求項3

上記柱状部の直径をLm、上記アパーチャの内径をDm、上記下部DBR層の広がり方向における任意の点から最寄りの上記開口穴又は最寄りの上記下部DBR層の端縁までの距離をLx、としたとき、Lx/(Lm−Dm)≦5が満たされることを特徴とする請求項2に記載の波長可変型面発光レーザ。

技術分野

0001

本発明は、波長可変型面発光レーザに関する。

背景技術

0002

一般に、面発光半導体レーザは、活性層の上部と下部とに、それぞれ分散ブラッグ反射層DBR層)を備え、一対のDBR層の間で光を共振させることにより、活性層の法線方向にレーザ光発振させるよう構成されている。
そして、面発光レーザの中でも、発振させる光の波長を変動させることができる、波長可変型面発光レーザ(VCSEL)が種々開発されている。特許文献1に開示された可変波長型面発光レーザは、活性層の下方に下部DBR層を配置してなる下側積層部と、下側積層部の上側にギャップを介して対向配置された上部DBR層を備えた上側ミラー部と、を有する。そして、下側積層部に対して、上側ミラー部を上下動できるよう構成することで、上部DBR層と下部DBR層との間のキャビティ長を変化させることができるように構成されている。これにより、上部DBR層と下部DBR層との間で共振させる光の波長を変化させ、発振させるレーザ光の波長を変化させながら出力することができる。

0003

このような波長可変型面発光レーザは、特許文献1に開示されているように、例えば、波長走査型光源タイプの光断層画像表示システムSSOCT)の光源として用いることが検討されている。この場合、OCTによる深さ方向の分解能を向上させるべく、発振させるレーザ光の波長帯域を広くすることが望まれる。OCTに限らず、例えば、ガスセンシング光学デバイスの評価等、種々の用途において、波長可変型面発光レーザが発振するレーザ光の波長帯域の拡大、すなわち、高強度のレーザ光を放出することができる波長帯域の拡大が、要望されている。

0004

しかしながら、波長可変型面発光レーザにおいて、レーザ光の波長帯域を拡げるためには、上部DBR層及び下部DBR層の反射波長帯域(高い反射率を得ることができる波長帯域)を拡げる必要があるが、下部DBR層は、製造上の観点から、反射波長帯域を拡げることが困難である。すなわち、下部DBR層は、半導体基板上に活性層等と共に成膜されるため、下部DBR層の材料等には制約が生じる。そのため、従来の成膜方法では、下部DBR層の反射波長帯域を拡げることは困難である。

0005

また、DBR層の形成方法として、低屈折率層酸化層とすることで、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率の差を大きくして、反射波長帯域を拡げることが検討されている。このような酸化DBR層を製造するにあたっては、例えば、ガリウム砒素GaAs)からなる層とアルミニウム砒素(AlAs)からなる層とを交互に成膜(結晶成長)し、その上に活性層等を形成した後、アルミニウム砒素の層を酸化させることで、酸化アルミニウム(AlxOy)の層とガリウム砒素の層とを積層してなるDBR層を形成する手法がある。このような、DBR層を形成する方法として、酸化処理前のDBR層におけるAlAs層を、その端面から酸化ガス水蒸気)を供給することで酸化して、AlxOy層とする手法が開示されている(非特許文献1)。

0006

特開2007−278868号公報

先行技術

0007

伊賀健一、小山二三夫著 「面発光レーザの基礎と応用」、共立出版、1999年6月25日、p.105〜p.108

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、後の酸化処理によって低屈折率層とするAlAsは、端面から順に酸化されていくが、層全体を酸化させることができないと、酸化した領域と、酸化していない領域とが形成されることとなり、両者の境界部に応力が生じることとなる。その結果、場合によっては、境界部を起点として、下部DBR層にクラックが生じるなどの不具合を招く原因となりうる。

0009

本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、下部DBR層における内部応力の発生を抑制しつつ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の一態様は、固定基板と、
該固定基板の上面に順次成膜された下部DBR層、下部コンタクト層、活性層、上部コンタクト層と、
上記固定基板の上側に対向配置されると共に該固定基板に対して上下方向に変位することができるよう配置された上部DBR層と、を有し、
上記下部DBR層は、酸化物からなる複数の低屈折率層と、該低屈折率層よりも屈折率の高い複数の高屈折率層とを交互に積層してなり、
上記下部DBR層には、上下方向の全体に形成されると共に上方に開口した開口穴が、上記下部DBR層の広がり方向の全域にわたって分散配置されていることを特徴とする波長可変型面発光レーザにある。

発明の効果

0011

上記波長可変型面発光レーザにおいて、下部DBR層における低屈折率層を、酸化物からなる層としている。これにより、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率差を容易に大きくすることができる。その結果、下部DBR層の反射波長帯域を拡げることができ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを得ることが可能となる。

0012

そして、上記波長可変型面発光レーザは、開口穴が、下部DBR層の広がり方向の全域にわたって分散配置されている。そのため、下部DBR層を形成するにあたり、低屈折率層を、その広がり方向の全体にわたって確実に酸化させることができる。

0013

すなわち、低屈折率層の酸化処理は、固定基板上に、酸化前の下部DBR層と、下部コンタクト層と、活性層と、上部コンタクト層とを成膜した後に行うことができる。ここで、上方に開口した開口穴が下部DBR層に形成されていることにより、開口穴を通じて、酸化ガス(例えば水蒸気)を酸化前の各低屈折率層に供給することができる。そして、開口穴が、下部DBR層の広がり方向の全域にわたって分散配置されていることにより、低屈折率層を、その広がり方向の全体にわたって確実に酸化させやすくなる。その結果、低屈折率層に酸化部と未酸化部とが存在する状態が形成されることを防ぎ、内部応力が生じることを防ぐことができる。そのため、下部DBR層に、酸化部と未酸化部との間の境界部を起点としたクラックが生じるなどの不具合を防ぐことができる。

0014

以上のごとく、本発明によれば、下部DBR層における内部応力の発生を抑制しつつ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを提供することができる。

図面の簡単な説明

0015

実施形態1における、波長可変型面発光レーザの断面説明図。
実施形態1における、可動基板の平面説明図。
実施形態1における、下部DBR層の拡大断面説明図。
実施形態1における、固定基板周辺の波長可変型面発光レーザの一部の断面説明図。
実施形態1における、上部コンタクト層側から見た開口穴の配置の平面説明図。
実施形態1における、成膜基板の断面説明図。
実施形態1における、未酸化基板の断面説明図。
比較例1における、固定基板周辺の波長可変型面発光レーザの一部の断面説明図。
比較例1における、上部コンタクト層側から見た開口穴の配置の平面説明

実施例

0016

(実施形態1)
波長可変型面発光レーザの実施形態につき、図1図7を用いて説明する。
波長可変型面発光レーザ1は、図1に示すごとく、固定基板2と、固定基板2の上面に順次成膜された下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6と、固定基板2の上側に対向配置されると共に該固定基板2に対して上下方向に変位することができるよう配置された上部DBR層7と、を有する。

0017

図3に示すごとく、下部DBR層3は、酸化物からなる複数の低屈折率層31と、低屈折率層31よりも屈折率の高い複数の高屈折率層32とを交互に積層してなる。
図4図5に示すごとく、下部DBR層3には、上下方向の全体に形成されると共に上方に開口した開口穴33が、下部DBR層3の広がり方向の全域にわたって分散配置されている。

0018

本明細書において、上下は、便宜的な表現であり、固定基板2に対して活性層5等が積層された側を上方とし、その反対側を下方として説明する。
また、本実施形態において、下部コンタクト層4はnコンタクト層であり、上部コンタクト層6はpコンタクト層である。ただし、下部コンタクト層4と上部コンタクト層6の極性は逆にすることもできる。

0019

下部DBR層3は、低屈折率層31と高屈折率層32とを複数ペア積層してなり、例えば、2ペア〜8ペア積層してなることが好ましい。ただし、本実施形態においては、低屈折率層31と高屈折率層32との積層数は、6ペアである。

0020

低屈折率層31は、例えば酸化アルミニウム(AlxOy)、又は、酸化アルミニウム(AlxOy)とガリウム砒素(GaAs)との合金からなり、高屈折率層32は、例えばガリウム砒素(GaAs)からなる。また、低屈折率層31及び高屈折率層32は、それぞれ、発振させるレーザ光の波長の1/4程度の光学厚みを有するよう構成されている。

0021

また、上部DBR層7も、下部DBR層3と同様に、低屈折率層と高屈折率層とを複数ペア積層してなる。
図1に示すごとく、上部DBR層7は、固定基板2に対して、上下方向に変位可能に配された可動基板11に設けられている。本実施形態においては、上部DBR層7は、可動基板11の下面に設けられている。また、可動基板11の上面には、AR層反射防止膜)12が形成されている。

0022

可動基板11は、例えばSi(シリコン)からなると共に、図1図2に示すごとく、固定基板2に対してスペーサ13を介して固定される外周部111と、外周部111の内側において上下方向に振動する振動部112とを有する。振動部112と外周部111とは、複数のヒンジ部113によって部分的に連結されている。そして、振動部112に、上部DBR層7及びAR層12が配設されている。図2は、上部DBR層7を設けた可動基板11を下側から見た平面図である。

0023

可動基板11の上方には、絶縁層14を介してハンドル基板15が配設されている。絶縁層14は、例えばSiO2(酸化珪素)からなり、ハンドル基板15は、例えばSiからなる。ハンドル基板15は、上部DBR層7の上方となる位置に開口部を備えている。そして、可動基板11とハンドル基板15との間に電圧源16が接続されている。この電圧源16の電圧は、振動部112を静電引力によって上下に変位させることができる程度とされる。このように、ハンドル基板15と可動基板11と電圧源16とによって構成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によって、上部DBR層7が活性層5及び下部DBR層3に対して上下に振動するよう構成されている。

0024

なお、固定基板2と上部コンタクト層6との間には、電流源17が接続されている。そして活性層5に電流源17より電流注入することによって、上部DBR層7と下部DBR層3との間のキャビティで、キャビティ長の整数分の一と一致した波長でレーザ発振する。このレーザ光がハンドル基板15の中央の開口部より上方に向けて出力される。

0025

ここで、波長可変型面発光レーザ1は、上述のような構成を備えるため、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6を挟んで、上下方向に対向配置された下部DBR層3と上部DBR層7との間のキャビティ長を変動させることができる。すなわち、ハンドル基板15と可動基板11との間に印加する電圧を変化させることによって、静電引力により振動部112の位置を上下方向に変化させる。これにより、下部DBR層7に対する上部DBR層7の位置を変動させ、キャビティ長を変化させる。その結果、下部DBR層3と上部DBR層7との間において共振する光の波長を変動させることができ、発振させるレーザ光の波長を変化させることができる。

0026

本実施形態においては、固定基板2の上面において、その全面にわたって、下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6が形成されている。すなわち、下部DBR層7の全面にわたって、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6が形成されている。それゆえ、上述したように、図4図5に示すごとく、下部DBR層7に形成された開口穴33は、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6にも、連続して形成されている。つまり、下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6からなる積層体に、その厚み方向の全体にわたって貫通するように、開口穴33が形成されている。

0027

開口穴33は、図5に示すごとく、固定基板2(下部DBR層3)の広がり方向の全体にわたって、万遍なく形成されている。すなわち、複数の開口穴33は、等間隔に配設されている。ただし、複数の開口穴33の配置は、等間隔であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。

0028

図4図5に示すごとく、下部コンタクト層4と活性層5と上部コンタクト層6とからなる積層部には、広がり方向において他の部位と隔離された状態で立設された柱状部8(メサ構造部)が形成されている。柱状部8の一部には、酸化物からなるアパーチャ81が、外周面から中心側へ向かって環状に形成されている。

0029

アパーチャ81は、活性層5と上部コンタクト層6との間に形成されている。また、環状のアパーチャ81の内周側に、酸化されていない導電性の非酸化部811が形成されている。アパーチャ81は、例えば、酸化アルミニウム(AlxOy)とガリウム砒素(GaAs)との合金からなる。また、非酸化部811は、AlyGa1‐yAsからなる(yは0.6〜0.99程度)。

0030

柱状部8の周囲には、上部コンタクト層6から下部コンタクト層4までの深さ分、環状の溝部83が形成されている。
本実施形態において、柱状部8は略円柱形状を有し、アパーチャ81は略円環状に形成されている。開口穴33は、柱状部8が形成された部分とは異なる領域において、固定基板2の広がり方向に、多数、分散配置されている。

0031

そして、柱状部8の直径をLm、アパーチャ81の内径をDm、下部DBR層3における任意の点から最寄りの開口穴33又は下部DBR層3の端縁35までの距離をLx、としたとき、Lx/(Lm−Dm)≦5が満たされる。すなわち、開口穴33は、この条件が満たされるように、互いの間隔や端縁35との位置関係を考慮して、分散配置されている。より好ましくは、Lx/(Lm−Dm)≦2.5が満たされるようにする。

0032

ここで、距離Lxは、下部DBR層3の法線方向から見たとき、下部DBR層3において任意に選んだ点から、複数の開口穴33及び下部DBR層3の端縁35のうち最も近い部位までの距離を意味する。したがって、上記条件が満たされる下部DBR層3の構成としては、下部DBR層3上の何れの点を選んでも、Lx/(Lm−Dm)≦5が満たされるように、開口穴33が分散配置された構成である。
また、柱状部8の形状が円柱形状でない場合には、「柱状部の直径Lm」とは、柱状部8の外形内接円を意味する。同様に、アパーチャ81の内周輪郭の形状が円形でない場合には、「アパーチャの内径Dm」とは、アパーチャ81の内接円を意味する。

0033

次に、本実施形態の波長可変型面発光レーザ1の製造方法につき、説明する。
まず、図6に示すごとく、例えばGaAsからなる固定基板2の上面に、酸化処理前の状態の下部DBR層3を形成する。酸化処理前の状態の下部DBR層3とは、低屈折率層31を酸化させる前の状態の下部DBR層3であり、以下において、適宜「未酸化DBR層30」という。すなわち、例えば、固定基板2の上面に、アルミニウム砒素(AlAs)からなる層とガリウム砒素(GaAs)からなる層とを交互に成膜(結晶成長)することにより、未酸化DBR層30を形成する。AlAsからなる層(低屈折率層31とする層)については、AlAsにGaをドープしたAlxGa1-xAsを用いることもできる(xは0.8〜1.0程度)。

0034

次いで、例えばnドープされたガリウム砒素からなる下部コンタクト層4と、例えばガリウム砒素およびインジウムガリウム砒素からなる活性層5とを、順次成膜する。次いで、アパーチャ81を形成するためのアパーチャ前駆体層810を形成する。ここで、アパーチャ前駆体層810とは、後の工程において部分的に酸化させることによって一部をアパーチャ81とするための層を意味する。アパーチャ前駆体層810は、例えば、AlyGa1-yAsを用いることができる。

0035

次いで、例えばpドープされたガリウム砒素からなる上部コンタクト層6を成膜する。
以上により得られたもの(図6)を、便宜的に、成膜基板101という。
本実施形態においては、固定基板2の全面にわたって、酸化処理前の状態の下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、アパーチャ前駆体層810、上部コンタクト層6を形成する。

0036

次いで、図7に示すごとく、エッチングによって、上部コンタクト層6とアパーチャ前駆体層810と活性層5と下部コンタクト層4とを部分的に除去して、環状の溝部83を形成して、その内側に柱状部8を形成する。また、エッチングによって、上部コンタクト層6から下部DBR層3までを貫通するように、開口穴33を多数形成する。この状態のものを、便宜的に、未酸化基板102という。

0037

次いで、未酸化基板102を、所定の酸化雰囲気(例えば約450℃の水蒸気雰囲気)中に所定時間置くことにより、未酸化DBR層30の低屈折率層31及びアパーチャ前駆体層810の一部を酸化させる。なお、未酸化DBR層30の低屈折率層31は、酸化処理前の低屈折率層31であるが、これについても適宜、単に低屈折率層31というものとする。

0038

低屈折率層31及びアパーチャ前駆体層810には、開口穴33を通じて酸化ガス(水蒸気)が送り込まれる。つまり、開口穴33の内側面に露出した低屈折率層31及びアパーチャ前駆体層810の端縁に、水蒸気が接触し、低屈折率層31及びアパーチャ前駆体層810の広がり方向に酸化が進む。また、溝部83からも、同様に、水蒸気が侵入し、低屈折率層31及びアパーチャ前駆体層810の端縁から酸化が進む。なお、未酸化基板102の端面からも、低屈折率層31及びアパーチャ前駆体層810の端縁に水蒸気が接触し、同様に酸化が内側へ進む。

0039

ここで、アパーチャ前駆体層810については、柱状部8における酸化範囲が正確に行われることが重要である。つまり、柱状部8におけるアパーチャ前駆体層810は、図4に示すごとく、柱状部8の外周面から所定の領域までを酸化して、アパーチャ81とし、それよりも内側の領域を酸化させずに、非酸化部811として残す必要がある。すなわち、アパーチャ81の内径は、例えば5〜10μmとし、その内側の部分を非酸化部811とする。なお、柱状部8以外におけるアパーチャ前駆体層810についても、一部に酸化部812が形成され、未酸化部813が残る。

0040

一方、低屈折率層31については、全体を酸化させる。つまり、低屈折率層31に未酸化の状態の領域が残らないようにする。
なお、アパーチャ前駆体層810の一部が酸化されて形成された、酸化部812と未酸化部813との境界部においては、層の厚みが数十nm程度と十分薄いであるため、問題となるような内部応力は生じない。

0041

このような状態を得るために、開口穴33の配設密度、柱状部8の直径、アパーチャ前駆体層810及び低屈折率層31の酸化速度等を適宜調整している。
具体的には、本実施形態においては、アパーチャ前駆体層810と低屈折率層31との酸化速度を異ならせるために、両者の組成を適宜調整する。具体的には、アパーチャ前駆体層810をAlyGa1-yAsによって構成し、低屈折率層31をAlAs又はAlxGa1-xAsとし、xは0.8〜1.0程度、yは0.6〜0.99程度の間で、それぞれ適宜調整する。

0042

ただし、アパーチャ前駆体層810及び低屈折率層31の組成及び膜厚の調整には限界があるため、上述のように、開口穴33を適切な配設間隔にて形成することにより、アパーチャ81と下部DBR層3との酸化を適切に行えるようにする。すなわち、アパーチャ前駆体層810と低屈折率層31とを一度に酸化させたときにアパーチャ81の内径を適切な大きさに確保することができるようにすべく、開口穴33を適切な配設間隔にて形成する。その条件として、「柱状部8の直径Lm」と、「アパーチャ81の内径Dm」と、「下部DBR層3における任意の点から最寄りの開口穴33又は下部DBR層3の端縁35までの距離Lx」との関係を、Lx/(Lm−Dm)≦5としている。これにより、アパーチャ81が適切な大きさとなるまでアパーチャ前駆体層810が酸化した時点で、確実に低屈折率層31が全体にわたって酸化した状態とすることができる。
また、より好ましくは、Lx/(Lm−Dm)≦2.5とすることにより、一層確実に、低屈折率層31の全体を酸化させることができる。

0043

一方、距離Lxを小さくすればするほど、低屈折率層31の全体を早期に酸化させることができ、未酸化部のない状態をより確実に防ぎやすいが、固定基板2に対する下部DBR層3の密着性を考慮して、下部DBR層3における開口穴33の形成密度は、面積比率において、例えば30%以下とすることが好ましい。

0044

本実施形態の波長可変型面発光レーザ1は、波長走査型光源タイプの光断層画像表示システム(SS−OCT)の光源として用いることができる。また、本実施形態の波長可変型面発光レーザ1が発振するレーザ光は、赤外線レーザ光とすることができ、例えば、その波長を980〜1200nmの間で走査できるよう構成することができる。

0045

次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
上記波長可変型面発光レーザ1において、下部DBR層3における低屈折率層31を、酸化物からなる層としている。これにより、高屈折率層32と低屈折率層31との間の屈折率差を容易に大きくすることができる。本実施形態においては、例えば、高屈折率層32の屈折率を3.5程度、低屈折率層31の屈折率を1.5〜1.7程度とすることができる。その結果、下部DBR層3の反射波長帯域を拡げることができ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザ1を得ることが可能となる。

0046

そして、波長可変型面発光レーザ1は、開口穴33が、下部DBR層3の広がり方向の全域にわたって分散配置されている。そのため、下部DBR層3を形成するにあたり、低屈折率層31を、その広がり方向の全体にわたって確実に酸化させることができる。

0047

すなわち、低屈折率層31の酸化処理は、固定基板2上に、酸化前の下部DBR層3と、下部コンタクト層4、活性層5と、上部コンタクト層6とを成膜した後に行うことができる。ここで、上方に開口した開口穴33が下部DBR層3に形成されていることにより、開口穴33を通じて、酸化ガス(水蒸気)を酸化前の各低屈折率層31に供給することができる。そして、開口穴33が、下部DBR層3の広がり方向の全域にわたって分散配置されていることにより、低屈折率層31を、その広がり方向の全体にわたって確実に酸化させることができる。その結果、低屈折率層31に酸化部と未酸化部とが存在する状態が形成されることを防ぎ、内部応力が生じることを防ぐことができる。そのため、下部DBR層3に、酸化部と未酸化部との間の境界部を起点としたクラックが生じるなどの不具合を防ぐことができる。

0048

また、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6からなる積層部には、柱状部8が形成されており、柱状部8の一部にアパーチャ81が形成されている。これにより、下部コンタクト層4と上部コンタクト層6との間に流れる電流の絞込みと、光の横モードを抑制して、シングルモードのレーザ光の発振を効率的に行うことができる。そして、かかる構造において、下部DBR層31に開口穴33を形成した構造を採用することにより、アパーチャ81の酸化と下部DBR層3における低屈折率層31の酸化とを一つの工程にて行いやすくなる。

0049

特に、柱状部8の直径Lm、アパーチャ81の内径Dmとの関係において、下部DBR層3における任意の点から最寄りの開口穴33又は下部DBR層3の端縁35までの距離Lxは、Lx/(Lm−Dm)≦5を満たす。これにより、アパーチャ81を正確に形成すると共に、下部DBR層3における低屈折率層31の全体をより確実に酸化させることができる。

0050

すなわち、アパーチャ81の機能上、アパーチャ81の内側には、非酸化部(導電部)を適切な大きさに残す必要がある。つまり、アパーチャ81の内径Dmの大きさは、その内側の非酸化部811からシングルモードのレーザ光を出射させるために適切な大きさ(例えば5〜10μm)があり、設計上の制約がある。それゆえ、アパーチャ81の酸化と低屈折率層31の酸化とを一つの工程で行う場合、アパーチャ81の内径が適切な大きさとなるまで、アパーチャ81の酸化を進めた時点で、確実に低屈折率層31の全体を確実に酸化させる必要がある。アパーチャ81の酸化速度と、低屈折率層31の酸化速度とは、材料の調整等によってある程度は調整することができるが、成膜状態等の観点から限界がある。そこで、Lx/(Lm−Dm)≦5とすることにより、アパーチャ81の内径Dmが適切な大きさとなった時点で、確実に低屈折率層31の全体が酸化した状態とすることができる。したがって、アパーチャ81と低屈折率層31とを一度に、より確実に形成することができ、波長可変型面発光レーザ1の生産効率を向上させることができる。

0051

以上のごとく、本実施形態によれば、下部DBR層における内部応力の発生を抑制しつつ、発振するレーザ光を広い波長帯域にわたって変化させることができる波長可変型面発光レーザを提供することができる。

0052

なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
例えば、固定基板2、下部DBR層3、下部コンタクト層4、活性層5、上部コンタクト層6の積層体は、その機能を阻害しない限り、各層の間に他の層を介在させていてもよい。また、上部コンタクト層6の上面には、光学膜が形成されていてもよい。

0053

また、波長可変型面発光レーザは、OCT用の光源に限らず、例えば、ガスセンシング、光学デバイスの評価等、種々の用途において用いることができる。
また、固定基板に対する上部DBR層の上下方向の変位は、実施形態に示した機構に限らず、種々の機構を採用することができる。また、上部DBR層は、可動基板の上面に形成することもできるし、可動基板自身が上部DBR層を構成してもよい。
また、柱状部の周囲の溝部は、開口穴と接続されていてもよい。

0054

(比較例1)
本比較例は、図8図9に示すごとく、下部DBR層3に、開口穴を設けていない例である。
ただし、柱状部8の周囲の溝部830が、下部DBR層3にまで、連続形成されている。

0055

かかる構成の固定基板2と下部DBR層3(未酸化DBR層30)と下部コンタクト層4と活性層5とアパーチャ81(アパーチャ前駆体層810)と上部コンタクト層6との積層体9を、実施形態1に示した方法と同様の方法にて、酸化処理を行うと、下部DBR層3に、未酸化部39が残ってしまう。すなわち、柱状部8におけるアパーチャ81の酸化と共に下部DBR層3を酸化させる場合、アパーチャ81についても、下部DBR層3についても、溝部83及び積層体9の外周端から酸化が進むこととなる。この場合、アパーチャ81の内側に非酸化部811を適切な大きさで残すために、酸化処理を途中で止めることとなる。この段階で、下部DBR層3の酸化も止まる。この時点で、下部DBR層3の全体が酸化されている状態が得られないと、図9に示すごとく、酸化部34と未酸化部39との境界部38が、下部DBR層3(低屈折率層31)に形成されることとなる。

0056

上述のごとく、アパーチャ前駆体層810及び未酸化DBR層30の材料等を調整することで、ある程度は酸化速度に差をつけることが可能であるが、それには限界がある。それゆえ、上記構成においては、適切な大きさの内径を有するアパーチャ81と下部DBR層3とを同一工程にて酸化させると、境界部38が形成されやすい。その結果、境界部38に内部応力が生じ、クラック等の要因となりうる。

0057

これに対し、実施形態1の波長可変型面発光レーザ1のように、下部DBR層3に開口穴33を設けることにより、上記のような不具合を防ぐことができる。

0058

1波長可変型面発光レーザ
2固定基板
3 下部DBR層
31低屈折率層
32高屈折率層
33開口穴
4 下部コンタクト層
5活性層
6 上部コンタクト層
7 上部DBR層

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