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技術 燃料電池用電極

出願人 株式会社キャタラートヨタ自動車株式会社
発明者 片岡幹裕水谷宣明
出願日 2015年2月9日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2015-023691
公開日 2016年8月12日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2016-146305
状態 特許登録済
技術分野 燃料電池(本体) 触媒 無消耗性電極
主要キーワード 無機酸水溶液中 粉末ケーキ 物質拡散性 フッ素系アイオノマー 水保持性 高結晶性カーボン 結晶カーボン 燃料電池作動環境
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課題

本発明は、耐久性の高い高結晶性カーボンブラックを用いつつも、高い初期電圧を与えることができる燃料電池用電極触媒、及びそれを具備する燃料電池を提供する。

解決手段

触媒担体、前記触媒担体に担持されている白金又は白金合金触媒粒子、及び前記触媒担体を被覆しているプロトン伝導性アイオノマーを含む、燃料電池用電極であって、前記触媒担体が、300〜700m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0nm以上である高結晶性カーボンブラックであり、かつ触媒酸量が0.55mmol/g以上0.70mmol/g未満である、燃料電池用電極、並びにこの燃料電池用電極を具備する燃料電池。

概要

背景

燃料ガス酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池エネルギー源として注目されている。この燃料電池には、電解質膜として固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池がある。一般に、こうした固体高分子型燃料電池では、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、電極触媒層接合した膜電極接合体MEA:Membrane Electrode Assembly)が用いられる。

この膜電極接合体は、一般に、電解質膜の両面に電極形成用触媒インクを塗工することによって製造される。電極形成用触媒インクは、白金等の触媒粒子、触媒粒子を担持するための触媒担体(例えば、カーボン粒子)、及びプロトン伝導性を有するアイオノマーを含み、これらが分散媒に分散されている。

燃料電池内での電気化学反応は、電極層を通過するガスと、アイオノマーと、触媒担体に担持された触媒粒子とが接する、いわゆる三相界面で起こる。三相界面における触媒粒子の量を増やして触媒粒子へのガス接触機会を増やすことで、発電性能を向上させることができる。この観点から、特許文献1では、電極形成用触媒インクの調製に当たり、触媒粒子と、触媒担体を覆うアイオノマーとの体積比率を特定することで、発電性能を向上させている。

さらに、特許文献2においては、アイオノマーによる触媒担体の被覆率を向上させる検討がなされている。ここでは、パーフルオロスルホン酸系樹脂であるアイオノマーが、カーボン粒子である触媒担体を、水とアルコールとを含む分散媒中で被覆できるように、アイオノマーと分散媒との溶解度パラメータ等に着目している。

なお、触媒担体としては、従来から低結晶性又は高結晶性カーボンブラックが用いられることが知られている。

特許文献3は、低結晶性カーボンブラックを用いた燃料電池用電極を開示しており、白金担持カーボン酸処理を行い、カーボン担体上に0.7mmol/g触媒以上の酸を残存させている。これにより、白金担持カーボンが親水性となり、電極層の水保持性が向上し、電極層中プロトン移動抵抗が低下することによって、発電性能が向上するとしている。

一方で、低結晶性カーボンブラックは、燃料電池作動環境下において、カーボン電気化学的に酸化されて二酸化炭素として消失することで、耐久性が劣るという課題がある。

また、高結晶性カーボンブラックは、低結晶性カーボンブラックと比較して、耐久性は高いが、初期電圧が低くなるという課題がある。特許文献4では、高結晶性カーボンブラックの課題として比表面積が低いために、カーボン担体に担持された触媒粒子が凝集して触媒活性が低下するとしている。また、高結晶カーボンブラックの比表面積が300m2/gを超えると、耐酸化性が低下すること、及び電解質(アイオノマーに相当)によってカーボン担体を十分に被覆できないために、酸素還元反応に使用されない触媒粒子が増えることを開示している。

概要

本発明は、耐久性の高い高結晶性のカーボンブラックを用いつつも、高い初期電圧を与えることができる燃料電池用電極触媒、及びそれを具備する燃料電池を提供する。触媒担体、前記触媒担体に担持されている白金又は白金合金の触媒粒子、及び前記触媒担体を被覆しているプロトン伝導性アイオノマーを含む、燃料電池用電極であって、前記触媒担体が、300〜700m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0nm以上である高結晶性カーボンブラックであり、かつ触媒酸量が0.55mmol/g以上0.70mmol/g未満である、燃料電池用電極、並びにこの燃料電池用電極を具備する燃料電池。

目的

本発明は、耐久性の高い高結晶性のカーボンブラックを用いつつも、高い初期電圧を与えることができる燃料電池用電極、及びその電極を含む電極層を有する膜電極接合体、並びにその膜電極接合体を具備する燃料電池を提供する

効果

実績

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請求項1

触媒担体、前記触媒担体に担持されている白金又は白金合金触媒粒子、及び前記触媒担体を被覆しているプロトン伝導性アイオノマーを含む、燃料電池用電極であって、前記触媒担体が、300〜700m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0nm以上である高結晶性カーボンブラックであり、かつ触媒酸量が0.55mmol/g以上0.70mmol/g未満である、燃料電池用電極。

請求項2

水浸pHが3.3以下である、請求項1に記載の燃料電池用電極。

請求項3

前記プロトン伝導性アイオノマーの前記触媒担体への被覆率が、88%以上である、請求項1又は2に記載の燃料電池用電極。

請求項4

前記プロトン伝導性アイオノマーが、側鎖にリン酸基スルホン酸基ホスホン酸基といった酸性官能基を側鎖に有する炭化水素系又はフッ素系の高分子電解質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。

請求項5

請求項1〜4に記載の燃料電池用電極を含む電極層を、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に有する、膜電極接合体

請求項6

技術分野

0001

本発明は、燃料電池用電極、及びその電極を含む電極層を有する膜電極接合体、並びにその膜電極接合体を具備する燃料電池に関する。より詳しくは、本発明は、高い耐久性を有し、かつ高い初期電圧を与えることができる燃料電池用電極及びその電極を含む電極層を有する膜電極接合体、並びにその膜電極接合体を具備する燃料電池に関する。

背景技術

0002

燃料ガス酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギー源として注目されている。この燃料電池には、電解質膜として固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池がある。一般に、こうした固体高分子型燃料電池では、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、電極触媒層接合した膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が用いられる。

0003

この膜電極接合体は、一般に、電解質膜の両面に電極形成用触媒インクを塗工することによって製造される。電極形成用触媒インクは、白金等の触媒粒子、触媒粒子を担持するための触媒担体(例えば、カーボン粒子)、及びプロトン伝導性を有するアイオノマーを含み、これらが分散媒に分散されている。

0004

燃料電池内での電気化学反応は、電極層を通過するガスと、アイオノマーと、触媒担体に担持された触媒粒子とが接する、いわゆる三相界面で起こる。三相界面における触媒粒子の量を増やして触媒粒子へのガス接触機会を増やすことで、発電性能を向上させることができる。この観点から、特許文献1では、電極形成用触媒インクの調製に当たり、触媒粒子と、触媒担体を覆うアイオノマーとの体積比率を特定することで、発電性能を向上させている。

0005

さらに、特許文献2においては、アイオノマーによる触媒担体の被覆率を向上させる検討がなされている。ここでは、パーフルオロスルホン酸系樹脂であるアイオノマーが、カーボン粒子である触媒担体を、水とアルコールとを含む分散媒中で被覆できるように、アイオノマーと分散媒との溶解度パラメータ等に着目している。

0006

なお、触媒担体としては、従来から低結晶性又は高結晶性カーボンブラックが用いられることが知られている。

0007

特許文献3は、低結晶性カーボンブラックを用いた燃料電池用電極を開示しており、白金担持カーボン酸処理を行い、カーボン担体上に0.7mmol/g触媒以上の酸を残存させている。これにより、白金担持カーボンが親水性となり、電極層の水保持性が向上し、電極層中プロトン移動抵抗が低下することによって、発電性能が向上するとしている。

0008

一方で、低結晶性カーボンブラックは、燃料電池作動環境下において、カーボン電気化学的に酸化されて二酸化炭素として消失することで、耐久性が劣るという課題がある。

0009

また、高結晶性カーボンブラックは、低結晶性カーボンブラックと比較して、耐久性は高いが、初期電圧が低くなるという課題がある。特許文献4では、高結晶性カーボンブラックの課題として比表面積が低いために、カーボン担体に担持された触媒粒子が凝集して触媒活性が低下するとしている。また、高結晶カーボンブラックの比表面積が300m2/gを超えると、耐酸化性が低下すること、及び電解質(アイオノマーに相当)によってカーボン担体を十分に被覆できないために、酸素還元反応に使用されない触媒粒子が増えることを開示している。

先行技術

0010

特開2009−152112号公報
特開2014−060097号公報
特開2011−003492号公報
特開2006−179463号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、耐久性の高い高結晶性のカーボンブラックを用いつつも、高い初期電圧を与えることができる燃料電池用電極、及びその電極を含む電極層を有する膜電極接合体、並びにその膜電極接合体を具備する燃料電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、鋭意検討した結果、非常に高い結晶性のカーボンブラックを用いることで、比表面積を増やしても耐酸化性を維持できること、また比表面積を増やしたことで触媒粒子の凝集を防止できることを見出した。また、非常に高い結晶性のカーボンブラックを用いると通常はアイオノマー被覆率が悪化するが、本発明者らは、これを特定の表面処理によって大幅に改善し、それにより耐久性が高く、かつ高い初期電圧を与えることができる燃料電池用電極を開発することに成功した。

0013

すなわち、本発明は、以下の態様を含む:
《態様1》
触媒担体、前記触媒担体に担持されている白金又は白金合金の触媒粒子、及び前記触媒担体を被覆しているプロトン伝導性アイオノマーを含む、燃料電池用電極であって、
前記触媒担体が、300〜700m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0nm以上である高結晶性カーボンブラックであり、かつ
触媒酸量が0.55mmol/g以上0.70mmol/g未満である、
燃料電池用電極。
《態様2》
水浸pHが3.3以下である、態様1に記載の燃料電池用電極。
《態様3》
前記プロトン伝導性アイオノマーの前記触媒担体への被覆率が、88%以上である、態様1又は2に記載の燃料電池用電極。
《態様4》
前記プロトン伝導性アイオノマーが、側鎖にリン酸基スルホン酸基ホスホン酸基といった酸性官能基を側鎖に有する炭化水素系又はフッ素系の高分子電解質である、態様1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。
《態様5》
態様1〜4に記載の燃料電池用電極を含む電極層を、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に有する、膜電極接合体。
《態様6》
態様5に記載の膜電極接合体、アノード側ガス流路アノード側ガス拡散層アノード側セパレータカソード側ガス流路カソード側ガス拡散層、及びカソード側セパレータ単セルとして具備する、燃料電池。

発明の効果

0014

本発明の燃料電池用電極によれば、耐久性の高い高結晶性のカーボンブラックを用いつつも、高い初期電圧を与えることができる。また、本発明の燃料電池用電極によれば、様々な湿度条件において燃料電池の発電性能を向上させることができる。

0015

理論に拘束されないが、これは、アイオノマー被覆率が向上したことで、電極層を通過するガスと、アイオノマーと、触媒担体に担持された触媒粒子とが接する三相界面が増加したこと、及び/又は電極層中の空隙を閉塞させる要因となる未被覆アイオノマーを低減することで電極層中の空隙が増加して物質拡散性が改善したことが原因として考えられる。

図面の簡単な説明

0016

実施例において得られた触媒酸量とアイオノマー被覆率との関係を示している。
実施例において得られた水浸pHとアイオノマー被覆率との関係を示している。
実施例において得られた低湿度条件でのアイオノマー被覆率と初期電圧との関係を示している。
実施例において得られた中湿度条件でのアイオノマー被覆率と初期電圧との関係を示している。
実施例において得られた高湿度条件でのアイオノマー被覆率と初期電圧との関係を示している。
膜電極接合体及び燃料電池の一態様を例示している。

0017

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。

0018

《燃料電池用電極》
本発明の燃料電池用電極は、触媒担体、触媒担体に担持されている白金又は白金合金の触媒粒子、及び触媒担体を被覆しているプロトン伝導性アイオノマーを含む。ここで、この電極は、触媒酸量が0.55mmol/g以上0.70mmol/g未満である。

0019

触媒酸量は、逆滴定法によって測定される値である。逆滴定法においては、電極0.5gを0.1NNaOH水溶液20mlに懸濁した後に、ろ過する;ろ液5mlに0.05mlのメチルオレンジ投入し、0.05NHCl水溶液滴定を行う;そして、滴定時のHCl投入量とNaOH水溶液によるHCl消費量との差分から、触媒酸量を算出する。これは、好ましくは0.58mmol/g以上、0.60mmol/g以上、又は0.650mmol/g以上であり、1.0mmol/g以下、0.80mmol/g以下、0.75mmol/g以下、又は0.70mmol/g未満である。本発明者らは、触媒酸量がこのような特定の範囲である場合、触媒担体が非常に高い結晶性カーボンブラックであっても、アイオノマーが高い被覆率で触媒担体を被覆することができることを見出した。また、水保持性が向上することで、触媒層中のプロトン移動抵抗が低下することによって、低加湿時の発電性能が向上する傾向になることも見出した。

0020

本発明の燃料電池用電極の水浸pHは3.3以下であることが好ましい。水浸pHは、より好ましくは3.3以下又は3.0以下であり、2.0以上又は2.5以上である。ここで、電極の水浸pHは、電極0.5gを純水20mlに懸濁した時の懸濁液のpHである。このような範囲であると、触媒担体が非常に高い結晶性カーボンブラックであっても、アイオノマーが高い被覆率で触媒担体を被覆することができる。

0021

〈触媒担体〉
本発明で用いられる触媒担体は、300〜700m2/gのBET比表面積を有し、かつ結晶子サイズLcが2.0nm以上である高結晶性カーボンブラックである。このような高結晶性カーボンブラックは通常疎水性を有し、アイオノマーの被覆率が低下するが、触媒酸量を上記のように選択することによって、アイオノマーの被覆率を大幅に向上できることを見出した。

0022

触媒担体のBET比表面積は、触媒担体0.2gを真空雰囲気下、150℃で2hr加熱処理した後に、N2ガスの吸着量から比表面積を算出によって測定される。本発明で用いられる触媒担体のBET比表面積は、より好ましくは350〜650m2/g、又は400〜600m2/gの範囲である。このような範囲であれば、高結晶性カーボンブラックである触媒担体が耐久性を維持しつつ、かつこれを含む燃料電池用電極が高い初期電圧を与えることができる。

0023

結晶子サイズLcは、カーボンブラックの積層体状の結晶の厚みを示しており、粉末X線回折によって測定される。結晶子サイズLcは、2.0nm以上であり、好ましくは、2.2nm以上又は2.5nm以上であり、また20.0nm以下又は15.0nm以下である。このような範囲であることによって、高い耐久性を維持することができる。

0024

触媒担体のアイオノマーによる被覆率は、好ましくは88%以上、90%以上、又は92%以上である。ここで、触媒担体のアイオノマーによる被覆率は、次のようにして測定される:単セルの温度を40℃に設定し、カソード側の電極を純水又は非プロトン伝導溶媒フッ素溶媒)に浸し、アノード側の電極に45℃に加熱したバブラを通過させた加湿水素を1.0L/minで供給し、50mV〜1.0Vの範囲で、50mV/sで電位掃引した。得られるサイクリックボルタモグラムの0.1〜0.4Vの電気量の積分から電気二重層分を差し引いて、その電気量から電気化学的活性表面積(ECSA)を算出する。そして、純水使用時のECSAに対する非プロトン伝導溶媒使用時のECSAの百分率からアイオノマー被覆率を計算する。

0025

本発明で用いる触媒担体は、カーボンブラック、活性炭等のカーボン系材料を、例えば不活性雰囲気下で、1〜10時間(特に3〜8時間)、1800〜2500℃(特に2000〜2200℃)にて加熱処理して得ることができる。このような加熱処理により、カーボン材料結晶化度を高めることができる。

0026

ただし、このようにして得た高結晶性カーボンブラックは、BET比表面積が低い場合があり、この場合、高温で(例えば、80℃〜100℃)で、酸水溶液中(例えば、1〜10Nの無機酸水溶液中)で、高結晶性カーボンブラックを、数日間賦活処理を行って、BET比表面積を高めてもよい。また、200〜600℃に加熱をして、空気中で高結晶性カーボンブラックを1〜10時間賦活処理をして、BET比表面積を高めてもよい。

0027

〈触媒粒子〉
本発明で用いる触媒粒子は、触媒担体に担持される白金又は白金合金の微粒子である。

0028

白金合金としては、白金と、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)から選択される1種以上との合金を挙げることができる。

0029

触媒粒子の平均粒径は、触媒担体が担持できるかぎり特に限定されないが、例えば粉末X線回折によって測定した場合に1.0〜10nm、1.5〜8.0nm、又は2.0〜5.0nmとすることができる。

0030

〈プロトン伝導性アイオノマー〉
本発明で用いるプロトン伝導性アイオノマーとしては、側鎖にリン酸基、スルホン酸基やホスホン酸基といった酸性官能基を側鎖に有する炭化水素系又はフッ素系の高分子電解質を挙げることができる。一般的に、アイオノマーは金属イオンを含むが、本分野で用いられる場合、アイオノマーは金属イオンを含まなくてもよい。

0031

炭化水素系又はフッ素系の高分子電解質としては、(i)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子、(ii)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部又は全部の水素原子フッ素原子置換された高分子や、(iii)主鎖が芳香環を有する高分子等が挙げられる。また、高分子電解質としては、酸性基を有する高分子電解質、塩基性基を有する高分子電解質のいずれも用いることができる。酸性基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。このうち、スルホン酸基又はホスホン酸基が好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。

0032

このような樹脂としては、特開2013−127865号公報、特開2011−238406号公報等に記載の樹脂を挙げることができる。

0033

〈他の成分〉
本発明の燃料電池用電極には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分を含んでもよい。

0034

《膜電極接合体及び燃料電池》
図1に、上記の燃料電池用電極を含むアノード電極層(20)及びカソード電極層(30)を、プロトン伝導性を有する電解質膜(10)の両面に有する膜電極接合体(100)を示す。また、図1にこの膜電極接合体(10)、アノード側ガス流路(21)、アノード側ガス拡散層(22)、アノード側セパレータ(23)、カソード側ガス流路(31)、カソード側ガス拡散層(32)、及びカソード側セパレータ(33)を単セルとして具備する、燃料電池(200)も示す。

0035

電解質膜(10)は、プロトンをアノード電極層(20)からカソード電極層(30)へ伝導する役割をもつプロトン交換膜である。電解質膜(10)は、例えば、側鎖にリン酸基、スルホン酸基やホスホン酸基といった酸性官能基を側鎖に有する炭化水素系又はフッ素系の高分子電解質から構成される。このような電解質膜12としては、具体的に、NAFION(デュポン社、商標)、FLEMION(旭硝子株式会社、商標)、ACIPLEX(旭化成ケミカルズ株式会社、商標)等が挙げられる。

0036

アノード電極層(20)及びカソード電極層(30)は、燃料電池(200)における電極として機能する層である。アノード電極層(20)及びカソード電極層(30)の両方には、燃料電池用電極が含まれている。

0037

ガス拡散層(22,32)は、例えば、反応ガスや水をその厚み方向に通過可能にする無数の孔を有する多孔質カーボンから構成される。ガス拡散層(22,32)は、アノード電極層(20)及びカソード電極層(30)に反応ガスを均一に拡散させると共に、膜電極接合体(100)の乾燥を抑制する能を有する。ガス拡散層(22,32)としては、例えばカーボンペーパーカーボンクロスカーボンフェルト等の炭素多孔体ポリイミド炭化したもの、カーボンブラックとフッ素樹脂との混合物やカーボン不織布にフッ素をコートしたもの等が使用できる。

0038

セパレータ(23,33)は、電子伝導性を有する材料から構成されている。セパレータ(23,33)に使用できるこのような材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレス等が挙げられる。アノード側セパレータ(23)のガス拡散層(22)側の表面には、燃料ガスとしての水素等を流通させるためのアソード側ガス流路(21)が形成されている。同様に、カソード側セパレータ(33)のガス拡散層(32)側の表面には、酸化剤ガスとしての空気(酸素)等を流通させるためのカソード側ガス流路(31)が形成されている。

0039

本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、これによって限定されるものではない。

0040

《電極の調製》
〈実施例1〉
高結晶性カーボンブラック(BET比表面積:350m2/g、Lc=2.2nm)10gを、1.5Nの硝酸水溶液中に分散させた。この分散液を100℃に加温し、45時間均一に撹拌することによって、賦活処理を行った。その後、分散液を放冷し、ろ過をしてカーボンブラックを分離した。分離をしたカーボンブラックを、ろ過廃液の伝導率が50μmS/cm以下になるまで、繰り返してろ過洗浄した。洗浄したカーボンブラック7gを、0.1Nの硝酸水溶液1Lに分散させ、白金(Pt)担持率が30wt%となるPt量0.3gを含むジニトロジアミンPt硝酸溶液、及び99.5%エタノール20gをこの分散液に加え、十分に馴染ませて、90℃で3時間、加熱した。

0041

加熱終了後、この分散液をろ過廃液の伝導率が50μmS/cm以下になるまで、繰り返してろ過洗浄し、得られた粉末ケーキを80℃の送風乾燥で15時間乾燥した。次に、アルゴンガス中で、この乾燥粉末を、5℃/minの昇温速度で、2時間、700℃で熱処理して、Pt/C電極を得た。

0042

さらに、このPt/C電極をカーボン量に対して、80倍の純水に分散させ、Pt:Coのモル比が7:1となるように、硝酸コバルト(Co)水溶液を滴下投入した。ここで、硝酸Co水溶液は、市販の硝酸Co六水和物を純水に溶解させたものを用いた。投入後、純水で希釈した水素化ホウ素ナトリウムを、Coモル量の6倍滴下投入した。15時間程度撹拌後に、ろ過廃液の伝導率が5μmS/cm以下になるまで、繰り返してろ過洗浄した。得られた粉末ケーキを80℃の送風乾燥で15時間乾燥した。送風乾燥後に、この乾燥粉末を800℃で熱処理をして合金化させて、PtCo/C電極を得た。

0043

PtCo/C電極の表面処理を行うために、その粉末を、100倍量の0.5Nの硝酸水溶液に分散させ、この分散液を90℃に加温して、45時間撹拌した。撹拌終了後、分散液を放冷し、ろ過をして電極を分離した。分離したPtCo/C電極を、ろ過廃液の伝導率が50μmS/cm以下になるまで繰り返してろ過洗浄し、得られた粉末ケーキを80℃の送風乾燥で15時間乾燥し、実施例1用の電極を得た。

0044

実施例1の電極の触媒酸量は0.6mmol/g、水浸pHは3.2であった。また、触媒担体のLcは2.2nmであった。

0045

〈実施例2〉
BET比表面積が250m2/gで、Lcが2.5nmである高結晶性カーボンブラックを原料として用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2用の電極を得た。

0046

実施例2の電極の触媒酸量は0.6mmol/g、水浸pHは3.1であった。また、触媒担体のLcは2.5nmであった。

0047

〈比較例1〉
実施例1において、高結晶性カーボンブラックを1.5Nの硝酸水溶液中に分散させた後の賦活条件を、100℃:45時間の撹拌から、80℃:0.5時間の撹拌に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1用の電極を得た。

0048

比較例1の電極の触媒酸量は0.40mmol/g、水浸pHは4.2であった。また、触媒担体のLcは2.2nmであった。

0049

〈比較例2〉
実施例1において、高結晶性カーボンブラックを1.5Nの硝酸水溶液中に分散させた後の賦活条件を、100℃:45時間の撹拌から、80℃:21時間の撹拌に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2用の電極を得た。

0050

比較例2の電極の触媒酸量は0.50mmol/g、水浸pHは4.2であった。また、触媒担体のLcは2.2nmであった。

0051

〈比較例3〉
BET比表面積が800m2/gで、Lcが1.9nmである低結晶性カーボンブラックを原料として用いたこと、及び賦活処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3用の電極を得た。

0052

比較例3の電極の触媒酸量は0.60mmol/g、水浸pHは2.9であった。また、触媒担体のLcは1.9nmであった。

0053

〈比較例4〉
BET比表面積が790m2/gで、Lcが1.7nmである低結晶性カーボンブラックを原料として用いたこと、及び賦活処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4用の電極を得た。

0054

比較例4の電極の触媒酸量は0.60mmol/g、水浸pHは3.1であった。また、触媒担体のLcは1.7nmであった。

0055

《MEAの作製》
上記のようにして得た各例用の電極1.2g、純水4g、フッ素系アイオノマー溶液4.74g(アイオノマー濃度10wt%)、1−プロパノール8.8g、プロピレングリコール2.4gを超音波分散した。得られた電極形成用触媒インクをテフロンシート基材ドクターブレードで塗布し、80℃で15時間乾燥した。得られたシートを13cm2に切り出し、電解質膜へ熱圧着させて、実施例1〜2及び比較例1〜4の電極を含むMEAを作製した。

0056

《評価》
〈アイオノマー被覆率〉
各電極の触媒担体がどの程度アイオノマーによって被覆されているかの目安として、次のようにしてアイオノマー被覆率を求めた:まず、単セルの温度を40℃に設定し、カソード側の電極を純水又は非プロトン伝導溶媒に浸し、アノード側の電極に45℃に加熱したバブラを通過させた加湿水素を1.0L/minで供給し、50mV〜1.0Vの範囲で、50mV/sで電位を掃引する。得られるサイクリックボルタモグラムの0.1〜0.4Vの電気量の積分から電気二重層分を差し引いて、その電気量から電気化学的活性表面積(ECSA)を算出した。そして、プロトン伝導性である純水使用時のECSAに対する非プロトン伝導溶媒使用時のECSAの百分率を計算することによって、アイオノマー被覆率を計算した。

0057

〈初期電圧〉
加湿環境下での電極性能を比較するため、初期電圧の測定を行った。単セルの温度を、それぞれ低加湿(30%RH)時に82℃、高加湿(80%RH)時に60℃、過加湿(165%RH)時に45℃に設定し、カソード側の電極に55℃に加熱したバブラを通過させた加湿空気を2.0L/minで供給し、アノード側の電極に55℃に加熱したバブラを通過させた加湿水素を0.5L/minで供給し、IV(電流電圧特性)を測定した。電流電圧特性が安定した後、各電極の初期電圧を、低加湿環境下では1.2A/cm2での電圧値高加湿環境下では2.5A/cm2での電圧値、過加湿環境下では、2.0A/cm2での電圧値で、比較した。

0058

〈耐久性〉
初期電圧測定法と同様の電池環境下で、1.3Vで2時間保持前後でIV特性を測定し、この前後の比を耐久性の指標とした。

0059

《結果》
上記の評価方法によって得られた結果を表1に示す。

0060

また、図1に、上記の評価方法によって得られた触媒酸量とアイオノマー被覆率との関係を示す。さらに、図2に、水浸pHとアイオノマー被覆率との関係を示す。高結晶性カーボンブラックのみで比較すると、酸触媒量が高い又は水浸pHが低いと、アイオノマー被覆率が向上していることが分かる。

0061

図3〜5に、各湿度条件でのアイオノマー被覆率と初期電圧との関係を示す。アイオノマー被覆率を向上させることで、全ての条件で初期電圧を向上させることができた。

0062

比較例1及び2と、比較例3及び4とを比較すると、低結晶性カーボンブラックを用いた電極の方が、初期電圧が高くなる傾向を有している。しかし、高結晶性カーボンブラックのアイオノマー被覆率を向上させたことで、実施例1及び2の電極は、比較例3及び4の低結晶性カーボンブラックを用いた電極よりも、高い初期電圧を達成することに成功した。

実施例

0063

さらに、表1に示すように、実施例1及び2の電極は、比較例3及び4の低結晶性カーボンブラックを用いた電極よりも高い耐久性を有していることが確認できた。

0064

10電解質膜
20アノード電極層
21アノード側ガス流路
22アノード側ガス拡散層
23アノード側セパレータ
30カソード電極層
31カソード側ガス流路
32カソード側ガス拡散層
33カソード側セパレータ
100膜電極接合体
200 燃料電池

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