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技術 電気装置および開閉装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 木村俊則吉田育弘後藤圭二稲葉繁
出願日 2015年1月30日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2015-016498
公開日 2016年8月8日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-143474
状態 特許登録済
技術分野 消弧付高圧スイッチの駆動機構及び操作回路
主要キーワード 酸性ガス雰囲気 固定スタッド 駆動レバ CR並列回路 結露環境 電流投入 電荷供給源 撥水性コーティング
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月8日)のものです。
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図面 (20)

課題

絶縁部材導電部材が接触するジャンクション部での部分放電の発生を抑制して、絶縁部材の長期信頼性を高めることのできる電気装置および開閉装置を得る。

解決手段

電気装置は、不飽和ポリエステルを主成分とする絶縁部材と、絶縁部材に固定された導電部材と、絶縁部材と導電部材が接触するジャンクション部と、ジャンクション部を含む絶縁部材の表面である第1の領域に設けられた第1のコーティング層と、第1の領域以外の絶縁部材の表面である第2の領域に設けられた第2のコーティング層と、を備え、第1のコーティング層が設けられた第1の領域の表面抵抗率が、第2のコーティング層が設けられた第2の領域の表面抵抗率より小さいことを特徴とするものである。

概要

背景

従来、高電圧機器用の絶縁構造部品として炭酸カルシウム粉末を配合したポリエステルプリミックス成形部品が広く使用されている。このポリエステルプリミックス成形部品は、低価格であること、成形が容易であることなどの特徴があり、例えば、開閉装置真空バルブ接点可動スタッドを介して接続される絶縁ロッドや開閉装置の外箱として用いられる絶縁フレームの材料として一般的に用いられている。
しかし、ポリエステルプリミックス成形部品は、大気中に塩素ガス窒素酸化物などの酸性ガスが高い濃度で含まれる環境下で使用されると、ポリエステルプリミックス成形部品に含まれる炭酸カルシウムが塩素ガスや窒素酸化物と反応して、塩化カルシウム硝酸カルシウムが生成される。これらの物質潮解性が強く、大気中の水分を吸って成形部品の表層潮解層が形成される。この潮解層が形成されることにより、ポリエステルプリミックス成形部品は、沿面の絶縁性能が低下するという問題がある。

従来、上述のような潮解層が形成されることによる沿面の絶縁性能低下を改善する方法として、ポリエステルプリミックス成形部品の表面全体エポキシ樹脂コーティングを施す方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、潮解層が形成されることによる沿面の絶縁性能低下を改善する別の方法として、ポリエステルプリミックス成形部品の一部の表面に沿面抵抗低下防止層として酸性ガスに対する耐性を有する合成樹脂フィルム被着する方法が開示されている。(例えば、特許文献2参照)。合成樹脂フィルムとしては、フッ素系樹脂ポリエステル系樹脂シリコーン樹脂などを基材とする粘着テープ熱収縮チューブが用いられている。

概要

絶縁部材導電部材が接触するジャンクション部での部分放電の発生を抑制して、絶縁部材の長期信頼性を高めることのできる電気装置および開閉装置を得る。電気装置は、不飽和ポリエステルを主成分とする絶縁部材と、絶縁部材に固定された導電部材と、絶縁部材と導電部材が接触するジャンクション部と、ジャンクション部を含む絶縁部材の表面である第1の領域に設けられた第1のコーティング層と、第1の領域以外の絶縁部材の表面である第2の領域に設けられた第2のコーティング層と、を備え、第1のコーティング層が設けられた第1の領域の表面抵抗率が、第2のコーティング層が設けられた第2の領域の表面抵抗率より小さいことを特徴とするものである。

目的

この発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、絶縁部材と導電部材が接触するジャンクション部での部分放電の発生を抑制して、絶縁部材の長期信頼性を高めることのできる電気装置および開閉装置を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

不飽和ポリエステルを主成分とする絶縁部材と、前記絶縁部材に固定された導電部材と、前記絶縁部材と前記導電部材が接触するジャンクション部と、前記ジャンクション部を含む前記絶縁部材の表面である第1の領域に設けられた第1のコーティング層と、前記第1の領域以外の前記絶縁部材の表面である第2の領域に設けられた第2のコーティング層と、を備え、前記第1のコーティング層が設けられた前記第1の領域の表面抵抗率が、前記第2のコーティング層が設けられた前記第2の領域の表面抵抗率より小さいことを特徴とする電気装置

請求項2

請求項1記載の電気装置を備え、前記絶縁部材は、駆動力を発生させる開閉機構部の動作を電流投入および遮断が行われる遮断部に伝達する円柱状の絶縁ロッドであり、前記導電部材は、前記絶縁ロッドの前記遮断部の側の上部端面と前記開閉機構部の側の下部端面にそれぞれ埋設された第1および第2の導電部材であることを特徴とする開閉装置

請求項3

前記ジャンクション部を含む前記絶縁部材の表面である前記第1の領域の表面抵抗率の経時的な低下の方が、前記第1の領域以外の前記絶縁部材の表面である前記第2の領域の表面抵抗率の経時的な低下よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の開閉装置。

請求項4

前記第1のコーティング層は、接触角が90°より大きく150°以下である撥水性コーティング材で形成され、前記第2のコーティング層は、接触角が150°より大きい超撥水性コーティング材で形成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の開閉装置。

請求項5

前記撥水性コーティング材は、経時的な変化によって表面抵抗率が109Ω以下に低下し、前記超撥水性コーティング材は、前記表面抵抗率が109Ω以上を維持することを特徴とする請求項4に記載の開閉装置。

請求項6

前記絶縁部材は、充填材として炭酸カルシウムまたは水和アルミナが添加された樹脂であり、前記撥水性コーティング材は、フッ素樹脂系のコーティング液であり、前記超撥水性コーティング材は、フッ素樹脂系コーティング液に疎水性シリカを分散することで超撥水性化したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の開閉装置。

請求項7

前記超撥水性コーティング材は、下塗材としてエポキシ樹脂塗料防食材を設け、前記下塗材の上に塗布されていることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の開閉装置。

請求項8

前記絶縁ロッドの側面に傾斜面を有するヒダを設け、前記絶縁ロッドの側面沿面に設けられた前記ヒダの鉛直方向上側を傾斜させた前記傾斜面の水平方向に対する角度をθ1、前記ヒダの鉛直方向下側の面の水平方向に対する角度をθ2、前記超撥水性コーティング材の転落角をφとすると、θ1>φであり、θ2<θ1であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の開閉装置。

請求項9

前記絶縁ロッドの前記上部端面および前記下部端面は、前記第1および第2の導電部材と接する部分で盛り上り形状を有し、前記ジャンクション部が前記上部端面および前記下部端面の陰に入る形状であることを特徴する請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の開閉装置。

請求項10

請求項1記載の電気装置を備え、前記絶縁部材は、電流の投入および遮断が行われる遮断部を内部に収納する箱状の絶縁フレームであり、前記導電部材は、前記絶縁フレームの端子入出力部に固定され、導体から成ることを特徴とする開閉装置。

請求項11

前記ジャンクション部を含む前記絶縁部材の表面である前記第1の領域の表面抵抗率の経時的な低下の方が、前記第1の領域以外の前記絶縁部材の表面である前記第2の領域の表面抵抗率の経時的な低下よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の開閉装置。

請求項12

前記第1のコーティング層は、接触角が90°より大きく150°以下である撥水性コーティング材で形成され、前記第2のコーティング層は、接触角が150°より大きい超撥水性コーティング材で形成されることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の開閉装置。

請求項13

前記撥水性コーティング材は、経時的な変化によって表面抵抗率が109Ω以下に低下し、前記超撥水性コーティング材は、前記表面抵抗率が109Ω以上を維持することを特徴とする請求項12に記載の開閉装置。

請求項14

前記絶縁部材は、充填材として炭酸カルシウムまたは水和アルミナが添加された樹脂であり、前記撥水性コーティング材は、フッ素樹脂系のコーティング液であり、前記超撥水性コーティング材は、フッ素樹脂系コーティング液に疎水性シリカを分散することで超撥水性化したことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の開閉装置。

請求項15

前記超撥水性コーティング材は、下塗材としてエポキシ樹脂塗料や防食材を設け、前記下塗材の上に塗布されたことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の開閉装置。

請求項16

前記絶縁フレームの前記端子入出力部に傾斜面を有するヒダを設けたことを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の開閉装置。

技術分野

0001

この発明は、高電圧機器で用いられる電気装置および開閉装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、高電圧機器用の絶縁構造部品として炭酸カルシウム粉末を配合したポリエステルプリミックス成形部品が広く使用されている。このポリエステルプリミックス成形部品は、低価格であること、成形が容易であることなどの特徴があり、例えば、開閉装置の真空バルブ接点可動スタッドを介して接続される絶縁ロッドや開閉装置の外箱として用いられる絶縁フレームの材料として一般的に用いられている。
しかし、ポリエステルプリミックス成形部品は、大気中に塩素ガス窒素酸化物などの酸性ガスが高い濃度で含まれる環境下で使用されると、ポリエステルプリミックス成形部品に含まれる炭酸カルシウムが塩素ガスや窒素酸化物と反応して、塩化カルシウム硝酸カルシウムが生成される。これらの物質潮解性が強く、大気中の水分を吸って成形部品の表層潮解層が形成される。この潮解層が形成されることにより、ポリエステルプリミックス成形部品は、沿面の絶縁性能が低下するという問題がある。

0003

従来、上述のような潮解層が形成されることによる沿面の絶縁性能低下を改善する方法として、ポリエステルプリミックス成形部品の表面全体エポキシ樹脂コーティングを施す方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、潮解層が形成されることによる沿面の絶縁性能低下を改善する別の方法として、ポリエステルプリミックス成形部品の一部の表面に沿面抵抗低下防止層として酸性ガスに対する耐性を有する合成樹脂フィルム被着する方法が開示されている。(例えば、特許文献2参照)。合成樹脂フィルムとしては、フッ素系樹脂ポリエステル系樹脂シリコーン樹脂などを基材とする粘着テープ熱収縮チューブが用いられている。

先行技術

0004

特公平6−064958号公報
特開昭62−123610号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、開閉装置の絶縁ロッドの両端の間には、例えば7kVや12kVの定格電圧が常時印加されているため、電極絶縁物と空気とが接するトリプルジャンクション部が高電界となり、部分放電の発生や沿面閃絡の起点となるという問題がある。従来においては、コーティングを施してもこのトリプルジャンクションの電界を抑制する効果がないため、部分放電の抑制や沿面閃絡電圧の向上といった効果は得られていなかった。
さらには、塩分や水分あるいは粉塵に曝され、さらに高温高湿な環境や結露が生じる環境に置かれると、沿面にドライバンドが生成し局所的な放電が発生するため、放電のエネルギーによりコーティング層に亀裂や剥離が発生したり、コーティングしていない沿面に炭化路が形成されたりして、最終的には全路破壊に至る可能性がある。

0006

以下に、ドライバンドの形成メカニズムについて説明する。エポキシ樹脂コーティングの表面に塩分や水分が付着すると、表面抵抗が低下し漏れ電流が流れるようになる。この漏れ電流によるジュール熱により表面の水分が蒸発する。このとき水分が蒸発した部位の表面抵抗が上昇するために、その部位に電圧が集中印加され電位分布偏りが生じる。この電位分布の偏りによって放電が発生すると、その放電の熱によりさらに水分が蒸発した部位の乾燥が進む。このようにして絶縁ロッドの表面に他の部位よりも乾燥が進んだ部位(以下、ドライバンドと記す)が形成される。このドライバンドが形成されると、ドライバンドに電圧が集中印加されるため沿面閃絡電圧が低下する。このため、絶縁ロッドの沿面長は沿面閃絡電圧の低下を見込んで長く設定する必要がある。
また、塩分や水分の付着が繰り返されると、このドライバンドの形成とドライバンドでの放電の発生が繰り返されるので、エポキシ樹脂コーティング層に放電による熱衝撃が繰り返し加わり、結果としてエポキシ樹脂コーティング層に亀裂や剥離が発生する。こうなると、この弱点部から酸性ガスや窒素酸化物が侵入して劣化進展するという問題点がある。

0007

また、ポリエステルプリミックス成形部品の一部の表面に沿面抵抗低下防止層として酸性ガスに対する耐性を有する合成樹脂フィルムを被着する方式では、低下防止層が形成されていない絶縁ロッドの表面(以下、主表面と記す)や沿面抵抗低下防止層の表面に塩分や水分が付着すると、上述したように漏れ電流が発生し、この漏れ電流によるによるジュール熱で水分が蒸発しその部位の表面抵抗の増加による電界集中でドライバンドが発生する。このドライバンドが主表面(ポリエステルプリミックス成形体表面)に形成された場合、ドライバンドに電圧が集中印加され放電が継続的に発生する場合がある。そうすると放電の熱によって絶縁材料の劣化が促進され、主表面に絶縁材料が炭化してできた炭化路が形成される場合がある。このような現象により炭化路の発生が促進され電界集中がさらに大きくなると、絶縁材料の主表面の全路破壊に至る恐れがある。

0008

この発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、絶縁部材導電部材が接触するジャンクション部での部分放電の発生を抑制して、絶縁部材の長期信頼性を高めることのできる電気装置および開閉装置を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

この発明に係わる電気装置は、不飽和ポリエステルを主成分とする絶縁部材と、前記絶縁部材に固定された導電部材と、前記絶縁部材と前記導電部材が接触するジャンクション部と、前記ジャンクション部を含む前記絶縁部材の表面である第1の領域に設けられた第1のコーティング層と、前記第1の領域以外の前記絶縁部材の表面である第2の領域に設けられた第2のコーティング層と、を備え、前記第1のコーティング層が設けられた前記第1の領域の表面抵抗率が、前記第2のコーティング層が設けられた前記第2の領域の表面抵抗率より小さいことを特徴とするものである。

発明の効果

0010

この発明による電気装置によれば、絶縁部材と導電部材が接触するジャンクション部を含む絶縁部材の表面である第1の領域に第1のコーティング層を設け、ジャンクション部付近の表面抵抗率を小さくすることで導電性を持たせ、ジャンクション部の電界を緩和することができる。これにより、ジャンクション部での部分放電が抑制されるため、絶縁性能が向上するという効果を得ることができる。また、第1の領域以外の絶縁部材の表面である第2の領域に第2のコーティング層を設けることで、絶縁部材と窒素酸化物などの酸性ガスとの反応が抑制され、潮解性の硝酸塩の生成による表面抵抗率の経時的な低下を抑制する効果を得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

この発明の実施の形態1に係る開閉装置の断面側面図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置の断面図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置の断面図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置の正面図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの断面模式図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの断面拡大図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの断面拡大図である。
この発明の実施の形態1に係る撥水コーティング材の特性を説明するための模式図である。
この発明の実施の形態1に係る撥水コーティング材の特性を説明するための模式図である。
この発明の実施の形態1に係る撥水コーティング材の特性を説明するための模式図である。
この発明の実施の形態1に係る撥水コーティング材の特性図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの材料特性の説明図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドのコーティング層の特性を説明する図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの経時的な電界分布の変化を示す等電位線図である。
図14に示した絶縁ロッドについて説明するための等価回路図である。
図14に示した絶縁ロッドの表面抵抗率と漏れ電流の関係を示す特性図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの等価回路図である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの別の変形例の断面模式図である。
この発明の実施の形態2に係る開閉装置における絶縁ロッドの断面模式図である。
この発明の実施の形態2に係る開閉装置における絶縁ロッドの断面拡大図である。
この発明の実施の形態3に係る開閉装置の断面側面図である。
この発明の実施の形態3に係る開閉装置における絶縁フレームの断面拡大図である。
図22のA−A断面図である。
この発明の実施の形態3に係る開閉装置における絶縁フレームの変形例を示す断面拡大図である。

実施例

0012

実施の形態1.
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態1について説明する。
図1は、実施の形態1における開閉装置の断面側面図である。図1に示すように、開閉装置1は、遮断部2と開閉機構部3とで構成されている。開閉機構部3の駆動力発生部3aの駆動力は、ピン4を介して駆動レバー5に伝達される。駆動レバー5は、支持台7に固定された水平軸6を中心として回転可能である。駆動レバー5の端部には、連結部材8が取り付けられており、駆動レバー5の回転により連結部材8は上下方向に駆動される。この連結部材8の上下方向の駆動によって、連結部材8の上部に取り付けられた操作ロッド9を介して絶縁ロッド10が上下方向に駆動される。絶縁ロッド10の上部には、接続部材11を介して真空バルブ20の可動スタッド21が取り付けられている。真空バルブ20の可動スタッド21の先端部には、可動接点22が取り付けられている。真空バルブ20の固定スタッド23の先端部には、固定接点24が取り付けられており、この固定接点24と可動接点22とが接触および離間することで、遮断部2において電流投入および遮断が行われる。

0013

真空バルブ20の固定スタッド23は、引出端子13aを挟んで真空バルブ固定部14に固定されている。また、真空バルブ20の可動スタッド21には、フレッキシブル導体15の一端が接続されている。フレッキシブル導体15の他端は、端子支持部16に固定されている。フレッキシブル導体15は、端子支持部16で引出端子13bと電気的に接続されている。引出端子13aおよび引出端子13bは、それぞれ端子入出力部17a、17bにより絶縁フレーム18に固定されている。引出端子13aおよび引出端子13bは、絶縁フレーム18によって支持台7とは電気的に絶縁されている。
図2および図3は、この発明の実施の形態1における開閉装置の断面図であり、開閉装置1の遮断部2を上方から見下ろした時の断面図である。図2は、真空バルブ固定部14の部分の断面図であり、図3は端子支持部16の部分の断面図である。図2に示すように、真空バルブ固定部14は、絶縁フレーム18を横通しするように設けられている。また、図3に示すように、端子支持部16は、絶縁フレーム18にV字状に設けられており、その両端が絶縁フレーム18に固定されている。

0014

図4は、この発明の実施の形態1における開閉装置1を端子入出力部17a、17b側から見た時の正面図である。この発明の実施の形態1では、開閉装置1がA相、B相およびC相に対応して3台並んでいる。この発明の実施の形態1では、各相の開閉装置1は独立しており、遮断部2の絶縁フレーム18は箱状の形状となっている。なお、別の構成として、3相の絶縁フレーム18が一体となっており、各相間絶縁板配備されて相間絶縁を確保するタイプの絶縁フレームであってもよい。
図1から図4において、支持台7、開閉機構部3、駆動レバー5、連結部材8および操作ロッド9は電気的に接地されている。系統電流の流れる経路は、引出端子13a、固定スタッド23、固定接点24、可動接点22、可動スタッド21、フレッキシブル導体15および引出端子13bの経路である。電流投入状態では、固定接点24と可動接点22とが接触しており、上述した経路で電流が流れる。電流遮断時には、開閉機構部3の駆動力が駆動レバー5などを介して伝わり、可動接点22が、例えば1m/sという高速度で下に動くことで固定接点24と可動接点22とが離間される。このように、電流遮断時には、可動接点22は高速度で動くため、絶縁ロッド10には衝撃に耐え得る強度が求められる。

0015

また、可動スタッド21に接続された接続部材11には、系統電圧が印加される。絶縁ロッド10の一方の端部には接続部材11が接続され、他方の端部には操作ロッド9が接続されている。操作ロッド9は接地電位であるため、絶縁ロッド10には、高い絶縁性能を長期にわたって維持することが求められる。
さらに、絶縁フレーム18にも高い絶縁性能を長期にわたって維持すること、および機械的強度が求められる。真空バルブ20が電流投入状態であると、絶縁フレーム18の引出端子13aおよび13bと支持台7との間には系統電圧が印加されるため、これに耐え得る絶縁性能が必要である。また、真空バルブ20の固定接点24と可動接点22とが開いたときは、絶縁フレーム18の引出端子13aと引出端子13bとの間に系統電圧が印加されるので、絶縁フレーム18にはこれに耐え得る絶縁性能が必要である。さらに、絶縁フレーム18は真空バルブの固定接点24と可動接点22との開閉衝撃に耐え得る機械的強度必要がある。

0016

このような絶縁ロッド10や絶縁フレーム18の主材料として、良好な機械的特性、良好な成形性および高い絶縁性能をもち、低価格で入手しやすい不飽和ポリエステル樹脂が一般的に用いられている。ここで不飽和ポリエステル樹脂とは、主成分である不飽和ポリエステルに、充填材として炭酸カルシウムや水和アルミナが添加されており、さらにエポキシフェノールガラスファイバーを加えた材料でBMC(Bulk Molding Compound)とも呼ばれる材料のことを指す。上述した利点に加えて、この材料は寸法精度に優れ、複雑な形状でも一体成形できるため、部品数組立工数の削減ができるという特徴がある。

0017

図5は、この発明の実施の形態1における開閉装置1の絶縁ロッド10の断面模式図である。また、図6および図7は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置の絶縁ロッドの断面拡大図であり、絶縁ロッド10の上部端面25a付近の拡大図である。絶縁ロッド10は、円柱状の絶縁部材で構成されており、図5に示したC軸を中心とする軸対称の形状である。絶縁ロッド10の素材は、上述した不飽和ポリエステル樹脂である。絶縁ロッド10の上部端面25aには、第1の導電部材として接続部材11が埋め込まれている。また、絶縁ロッド10の下部端面25bには、第2の導電部材として操作ロッド9が埋め込まれている。接続部材11と操作ロッド9には、ねじ部27a、27bが設けられており、絶縁ロッド10にねじ込むことで強固に固定している。
図5から図7において、金属である接続部材11と、誘電体である絶縁ロッド10と、空気が接する部分は、トリプルジャンクション部28a、28bと呼ばれている。トリプルジャンクション部28a、28bは高電界となることが知られている。図5から図7において、トリプルジャンクション部28aおよび28bには、第1のコーティング層29が設けられている。また、絶縁ロッド10の素材表面26において、トリプルジャンクション部28a、28b以外の素材表面26には、第2のコーティング層30が設けられている。

0018

ここで、図6を参照して、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30の境界位置36について説明する。第1のコーティング層29と第2のコーティング層30の境界位置36には自由度があり、第1のコーティング層29を絶縁ロッド10の上部端面25aの半分程度から上部端面25aの全体の範囲で塗布する。図6においては、第1のコーティング層29を上部端面25aの半分に塗布した場合を示している。よって、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30の境界位置36は、絶縁ロッド10の上部端面25aの1/2の位置に設けられている。
また、図7に示すように、第1のコーティング層29を上部端面25aの全体に塗布してもよい。その場合、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30の境界位置36は、絶縁ロッド10の上部端面25aの角部37に位置する。第1のコーティング層29と第2のコーティング層30の境界位置36は、図6で示したように、絶縁ロッド10の上部端面25aの1/2の位置から上部端面25aの角部30の間に位置にあればよい。
なお、下部端面25bについても、上部端面25aと同様に、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30の境界位置36は、第1のコーティング層29の下部端面25bの1/2の位置から下部端面25bの角部30の間に位置することは言うまでもない。境界位置36が角部37に位置する場合は、第1のコーティング層29は、下部端面25bの全体に塗布されている。

0019

さらにここで、以降で使用される用語の定義について説明する。まず、撥水性コーティング超撥水性コーティングについて説明する。図8および図9は、撥水コーティング材の特性を説明するための模式図である。図8および図9に示すように、コーティングを施した平板38上に水滴39を置いた時の、水滴39の端部における接線40と平板38との間の角が接触角41および接触角42である。図8に示すように、接触角41が90°以下の時を「濡れた状態」と言い、図9に示すように、接触角42が90°より大きい時を「撥水性」、さらに接触角が150°より大きい時を「超撥水性」と言う。
このため、単に「撥水性」と言うと接触角が90°よりも大きい場合全てを含むのであるが、この発明の実施の形態1では、「超撥水性コーティング」については、撥水性能を高めた特別な材料として「撥水性コーティング」とは別材料とみなすこととする。よって、「撥水性コーティング」と言った場合は、接触角が90°より大きく150°以下の場合を指すこととする。
次に、転落角43について説明する。図10に示すように、転落角43は、コーティングを施した平板38上に水滴39を置き、平板38を徐々に傾斜させていった時に水滴39が転落する角度をさす。また、図11は、この発明の実施の形態1に係る撥水性コーティング材の特性図である。図11は、水滴39の重量と転落角43の関係の一例を示す特性図である。水滴39の重量が小さくなると転落角43は大きくなる傾向があり、撥水性コーティング(上述のように、接触角が90°より大きく150°以下)では水滴39の重量の影響が大きい。しかし、超撥水性コーティングでは、5mg(半径1mm)の水滴39に対しても転落角43は10°という小さい値を示す。

0020

図5から図7において、素材表面26にはコーティングが施されており、上部端面25aのトリプルジャンクション28aと下部端面25bのトリプルジャンクション28bの周辺には第1のコーティング層29を設け、それ以外の素材表面26には第2のコーティング層30を設ける。
第1のコーティング層29は、エタノール溶剤としたフッ素樹脂系の撥水性コーティング材である。また、第2のコーティング層30は、エタノールを溶剤としたフッ素樹脂系コーティング液疎水性シリカを分散することで超撥水性化した超撥水性コーティング材である。
コーティング材の塗布はスプレーにて行い、第1のコーティング層29、第2のコーティング層30ともに厚さ約30μmの緻密な膜となる。これらのコーティング材は、BMCには影響を与えない材料で構成され、塗布も簡単に行えるという特徴がある。また、フッ素系樹脂は耐久性が高く、耐トラッキング性も高いため沿面絶縁の長期信頼性確保に適しているという特徴がある。

0021

図6および図7において、上部端面25aと下部端面25bは水平面44に対して角度θの斜面となっている。これは、θを転落角43よりも大きくすることによって、高湿度環境下や結露環境下においても沿面に水滴39が付着しないようにするためである。沿面に水滴39が付着しないため、漏れ電流が増大することが無く、通常のコーティングの無い沿面のように漏れ電流が増大してジュール熱によりドライバンドが形成され放電が発生することが無い。この結果、沿面耐圧が維持されるという効果がある。図5から図7において、上部端面25aと下部端面25bでは、トリプルジャンクション部28a、28b以外は、超撥水性コーティングが施されるので、水平面に対する角度θを20°とした。
なお、図7では、第1のコーティング層29(撥水性コーティング)が角部36まで施されているので、角度θを20°とすることによって、大きな水滴は落下するが小さな水滴は残ることになる(図11参照)。しかし、小さな水滴が第1のコーティング層29に残ったとしても、撥水性があるため導電経路は形成されず、漏れ電流が増大することが無い。このため、沿面耐圧が維持される。

0022

このように構成された絶縁ロッド10におけるコーティング層の効果について説明する。絶縁ロッド10の素材である不飽和ポリエステル樹脂には、充填材として炭酸カルシウムまたは水和アルミナが添加されているが、開閉装置1の部品として長期にわたって使用されると、大気中に含まれる窒素酸化物などの酸性ガスとの反応で、表面に潮解性の硝酸塩が生成して蓄積される。この硝酸塩によって、沿面の表面抵抗率が経時的に低下していく。炭酸カルシウムから生じた潮解性物質の場合は湿度50%、水和アルミナから生じた潮解性物質の場合は湿度65%以上で潮解するため、周囲の空気がこれらの湿度を超えると表面抵抗は大きく低下する。しかも、劣化が進んで硝酸塩の生成量が増えるほど潮解状態での表面抵抗は低くなる。このため、絶縁ロッド10の不飽和ポリエステル樹脂が露出している表面は長期的に耐電圧性能が低下する。

0023

図12は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの材料特性の説明図である。不飽和ポリエステル樹脂を硝酸雰囲気中で加速劣化させた後に放電開始電圧測定実験を行った結果、図12に示すように、20年相当の劣化で放電開始電界も低下することが分った。このため、初期においてはトリプルジャンクション28a、28bの電界で部分放電が起こっていなくても、長期的に劣化が進むと部分放電が発生するという問題がある。
この発明の実施の形態1では、素材表面26に第1のコーティング層29および第2のコーティング層30を設けたため、素材の不飽和ポリエステル樹脂と窒素酸化物などの酸性ガスとの反応が抑制され、潮解性の硝酸塩の生成による表面抵抗率の経時的な低下を抑制するという効果がある。このため、コーティングをしない場合のような、劣化による放電開始電圧の低下が抑制される。

0024

さらに、第1のコーティング層29および第2のコーティング層30は撥水性を持つため、コーティングの表面に塩分や水分が付着しても水滴39となり、また、絶縁ロッド10の沿面は斜面や鉛直面で構成されるため水滴は落下する。このため、高湿度や結露が発生するような環境下でも絶縁ロッド10の沿面に水分が付着して湿潤することがない。このため、コーティングの無い通常の絶縁ロッド10のように、沿面に水分が付着して漏れ電流が増大し、ジュール熱でドライバンドが形成して局所的な放電が発生するということが無い。この結果、沿面閃絡電圧が上昇する。また、水滴39が表面に付着した塩分や塵、劣化生成物など沿面耐圧に影響する物質を洗い流す効果があるため、沿面閃絡電圧がさらに向上するという効果がある。

0025

次に、図13を参照して、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30に分けてコーティングする効果について述べる。図13は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドのコーティング層の特性を説明する図である。
不飽和ポリエステル樹脂材に第1のコーティング材A(撥水性コーティング)および第2のコーティング材B(超撥水性コーティング)を施し、硝酸雰囲気中での加速劣化実験を行った結果、以下のことが分かった。第1のコーティング材Aも第2のコーティング材Bも撥水性を維持し、表面抵抗率の低下を抑制するが、表面抵抗率の経時的な低下を完全に阻止することはできなかった。図13に示すように、第1のコーティング材A(撥水性コーティング)を施した第1のコーティング層29は、第2のコーティング材B(超撥水性コーティング)を施した第2のコーティング層30より表面抵抗の経年低下率が大きく、40年に達する前から後述する表面抵抗率の低下が等電位線に影響するレベルにまで低下し導電性を持つようになる。一方、第2のコーティング材B(超撥水性コーティング)を施した第2のコーティング層30は、少なくとも40年相当の劣化までは導電性を持たず、良好な絶縁特性を示した。さらに、超撥水性を維持した。

0026

そこで、第2のコーティング層30(超撥水性コーティング)だけを沿面全体に塗布した場合は以下のようになる。第2のコーティング層30は、表面抵抗率の低下を抑制するため、放電開始までの時間が長くなり寿命を長くするという効果がある。しかし、トリプルジャンクション部28a、28bの電界を緩和する効果は無いため、経時的に徐々に劣化が進行すると、放電開始電界も徐々に低下する。このため、最終的には最も電界の高いトリプルジャンクション部28a、28bから部分放電が発生するようになる。すると、放電のエネルギーでコーティング層がダメージを受けて部分的な剥離による素材露出部が生成すると、ここから表面抵抗率の低下や放電開始電界の低下といった劣化が加速度的に進展し、最終的に沿面閃絡が生じてしまう。
一方、この発明の実施の形態1のようにコーティング層を塗り分けると、第1のコーティング層29(撥水性コーティング)は経時的に表面抵抗率が低下し導電性をもつようになるため、次節(図14から図17)で説明するメカニズムによって、トリプルジャンクション部28a、28bの電界を緩和する。このため、放電開始電圧が向上するという効果がある。この結果、第2のコーティング層30だけを設けた場合よりも放電開始までの時間が延びるという効果がある。

0027

また、コーティング材は、第1のコーティング材Aも第2のコーティング材Bも劣化後においても撥水性を示し、特に、超撥水性コーティングは超撥水性を維持する。このため、前述のドライバンドの形成の抑制や、水滴が沿面付着物を洗い流す効果を維持し、沿面絶縁の信頼性が長期的に維持される。
以上の絶縁ロッド10の経時的な電界分布の変化を図14から図17を用いて詳細に説明する。図14は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの経時的な電界分布の変化を示す等電位線図である。絶縁ロッド10は軸対称であるが、図14では中心軸を通る断面の右半分を示している。図14では、解析都合上、上部端面25a、下部端面25bの角度θを0°としたが、角度θを0°以外とした場合も等電位線は同様の変化を示す。また、コーティング層の厚みを実態と合わせて薄く描いているため、図14の中でコーティング層は図示されていない。

0028

図14は、第2のコーティング層30(超撥水性コーティング)だけを沿面全体に塗布した場合の等電位線の経時変化を示す。図14(a)は、初期の等電位線の分布を示す。初期からしばらくの間は表面抵抗率が低下しても等電位線は図14(a)と同じ状態を維持する。このメカニズムと表面抵抗率の値は、次節の図15図16で説明する。なお、この期間は、劣化生成物が潮解する高湿度環境下でも表面抵抗率が大きいため等電位線の分布は変わらない。また、前述のように水和アルミナから生じた潮解性物質が潮解するのは、湿度65%以上である。
図14(b)は、第2のコーティング層30の表面抵抗率がさらに低下して、表面抵抗率の低下が等電位線に影響する期間に入ってからの潮解湿度以上での等電位線を示す。図14(b)では、トリプルジャンクション部28a付近に等電位線が集まり、トリプルジャンクション部28aの電界が高くなっている。図14(b)のトリプルジャンクション部28aの電界は、図14(a)のトリプルジャンクション部28aの電界の3倍となっている。
なお、表面抵抗率の低下が等電位線に影響する期間でも、潮解湿度以下では等電位線は、図14(a)のようになっている。このため、潮解湿度以上の時にトリプルジャンクション部28aの電界が高くなって部分放電が発生し、潮解湿度以下では部分放電が停止するという状況が繰り返される。部分放電が発生するようになると、前述のように、放電のエネルギーでコーティング層がダメージを受けて部分的な剥離による素材露出部が生成し、さらにここから表面抵抗率の低下や放電開始電界の低下といった劣化が加速度的に進展し、最終的に沿面閃絡が生じてしまう。

0029

このような電位分布の変化が起こる表面抵抗率の値は、図15CR並列回路から計算できる。図15は、図14に示した絶縁ロッドについて説明するための等価回路図である。また、図16は、図14に示した絶縁ロッドの表面抵抗率と漏れ電流の関係を示す特性図である。Cは、絶縁ロッド10の静電容量で2pFとした。Rは表面抵抗を示す。図16に示すように、表面抵抗率Rが低下しても10の9乗Ωまでは漏れ電流に変化は無い。この状態では等電位線は図14(a)のままである。表面抵抗率が低下して10の9乗Ωを切るころから漏れ電流が増大し、等電位線も変化し始め図14(b)のようになる。
絶縁ロッド10の経時的な電界分布の変化は以上のようであるが、経時的に徐々に劣化が進行すると、放電開始電界も徐々に低下していく。このため、図14のように第2のコーティング層30(超撥水性コーティング)だけを沿面全体に塗布した場合は、等電位線が変化しはじめる前の段階で、放電開始電界がトリプルジャンクション部28aの電界を下回り部分放電が発生してしまう。
この発明の実施の形態1のように、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30を塗り分けると、図17のような回路となる。図17は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの等価回路図である。R(A)が第1のコーティング層29、R(B)が第2のコーティング層30の抵抗を示す。図13で示したように表面抵抗率が変化すると、第2のコーティング層30は40年までは等電位線に影響しない低下であるが、第1のコーティング層29は低下が大きいため、導電性を持ち等電位線が変化する。
つまり、第1のコーティング層29に形成される撥水性コーティング材は、経時的な変化によって表面抵抗率が109Ω以下に低下するが、第2のコーティング層30に形成される超撥水性コーティング材は、表面抵抗率が109Ω以上を維持する。このため、図17の点Dの電位印加電圧と近い値となり、第1のコーティング層29は電界が緩和される。すなわち、トリプルジャンクション部28a、28bは、第1のコーティング層29に覆われているため、表面抵抗率が109Ω程度に低下した所から電界が低下していく。第1のコーティング層29の部分放電開始電界も徐々に下がっていくが、第1のコーティング層29の表面抵抗率の低下によるトリプルジャンクション部28a、28bの電界の低下の方が早いため、部分放電が抑制される。この結果、第1のコーティング層29と第2のコーティング層30を塗り分けた方が、第2のコーティング層30だけを設けた場合よりも寿命が長くなるという効果がある。

0030

コーティング層を塗り分ける別の効果として以下がある。開閉装置1の定格電圧が上がると接続部材11に印加する電圧も高くなるため、トリプルジャンクション部28a、28bの電界が高くなる。そこで、絶縁物や電極の構造を変えたりして電界緩和する必要がある。しかし、この発明の実施の形態1のようにコーティング層を塗り分けると、トリプルジャンクション部28a、28bの電界が緩和されるため、絶縁ロッド10の構造を大きく変える必要なく定格電圧の高い開閉装置1に適用できるという効果がある。
図18は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置における絶縁ロッドの変形例を示す断面模式図である。図18に示すように、上部端面25aおよび下部端面25bにおいて素材表面が盛り上がった形状をしているため、トリプルジャンクション部28a、28bが端面の陰に入る形をしている。このため、図5に示した絶縁ロッドに比べてトリプルジャンクション部28a、28bの電界が緩和されるという効果がある。この図18に示した絶縁ロッド10においても、上述したようにコーティング層を塗り分ける方法を適用すれば、より高い定格電圧の開閉装置1に適用できる。

0031

以上のように、この発明の実施の形態1による開閉装置1の絶縁ロッド10は、素材表面26にコーティング層を設けて、その素材の不飽和ポリエステル樹脂と窒素酸化物などの酸性ガスとの反応を抑制したため、表面抵抗率の経時的な低下をおさえるという効果がある。さらに、コーティング層は撥水性を持つため、コーティングの表面に塩分や水分が付着しても水滴となって落下するため、ドライバンドが形成して局所的な放電が発生するということが無い。このため、沿面閃絡が防止される。
さらに、第1のコーティング層29(撥水性コーティング)をトリプルジャンクション部28a、28bの付近に設け、第2のコーティング層30(超撥水性コーティング)をそれ以外の絶縁ロッド10の沿面に設けて塗り分けたため、第1のコーティング層29の表面抵抗率が低下して導電性を持つようになるとトリプルジャンクション部28a、28bの電界が緩和され部分放電が抑制されるため、コーティング層の長期信頼性が向上し、沿面絶縁性能の信頼性も向上するという効果がある。

0032

実施の形態2.
図19は、この発明の実施の形態2における開閉装置1の絶縁ロッド10の断面模式図である。また図20は、図19の断面拡大図であり、絶縁ロッド10の上部端面25a付近の拡大図である。実施の形態2において、実施の形態1と同一の符号については、実施の形態1と同一の構成であるので説明を省略する。実施の形態1において、絶縁ロッド10沿面は円柱形状であったが、実施の形態2においては、図19に示すように、絶縁ロッド10の側面31にヒダ32を設けている。ヒダ32の上面33は、水平面44に対して角度θ1の斜面となっている。また、図20に示すように、ヒダ32の下面34も斜面であるが、水平面44に対する角度θ2は上面33の角度θ1より小さくする。
実施の形態2は、絶縁ロッド10の側面31にヒダ32を設けた点以外は実施の形態1と同様の構造であり、上部端面25aには第1の導電部材として接続部材11が埋め込まれており、下部端面25bには第2の導電部材として操作ロッド9が埋め込まれている。上部端面25aと下部端面25bも水平面44に対して、角度θの斜面となっている。トリプルジャンクション部28a、28b部が端面の陰に入る形をしている点は、実施の形態1の変形例である図18と同様の構造である。

0033

素材表面26にはコーティングが施されており、上部端面25aのトリプルジャンクション部28aと下部端面25bのトリプルジャンクション部28bの周辺には第1のコーティング層29を設け、それ以外の素材表面26には第2のコーティング層30を設ける。
第1のコーティング層29および第2のコーティング層30の材料は、実施の形態1と同じように、それぞれ、エタノールを溶剤としたフッ素樹脂系の撥水性コーティング材、及び、エタノールを溶剤としたフッ素樹脂系コーティング液に疎水性シリカを分散することで超撥水性化した超撥水性コーティング材である。
なお、この発明の実施の形態2における絶縁ロッド10の素材は、不飽和ポリエステル樹脂である。
実施の形態1に述べたように、不飽和ポリエステル樹脂材に第2のコーティング材B(超撥水性コーティング)を施し、硝酸雰囲気中での加速劣化実験を行った所、超撥水性は維持された。転落角も経年的な変化は小さいので、図11から例えばθ=20度とするとよい。

0034

ヒダ32の下面34の角度θ2は、上面33のθ1より小さくした。これは、ヒダ32の下面34では、水滴39の重さの分だけ転落しやすいこと、汚損物質や水滴39は、上から落下する場合が多いのでヒダ32の上面の角度θ1を転落角43より大きくしておけば、水滴39の落下による沿面を洗い流す効果で沿面耐圧を向上させることができるということを考えた結果の処置である。なお、下部端面25bはヒダ32の上面33と同じ角度θ1にしたが、これは、下部端面25bが操作ロッド9に近いが、操作ロッド9が放電の電荷供給源であり、かつ沿面閃絡時には放電路が操作ロッド9から伸びていくため、下部端面25bを転落角43より大きくして水滴39が無い状態に保つことで放電を抑制するバリアとするためである。

0035

なお、この発明の実施の形態2で用いた超撥水性コーティングでは、転落角43に経年的な変化が小さいが、転落角43の経年的な変化があるコーティング材を用いる場合は、加速劣化試験等で開閉装置1が寿命を迎える時点における転落角43を調べて、ヒダ32の上面33や上部端面25aと下部端面25bの水平面44に対する角度をその転落角43より大きくしておけばよい。
以上の角度設定により、装置寿命を通して、高湿度環境下や結露環境下においても、沿面に水滴39が付着せず漏れ電流が抑制されるため、ドライバンドが形成されることが無く沿面耐圧が維持されるという効果がある。

0036

この発明の実施の形態2における絶縁ロッド10は、沿面にヒダ32を設けたため、沿面長を保ったまま全長を短くすることができる。開閉装置1の構造を示す図1において、絶縁フレーム18も不飽和ポリエステル樹脂で形成されているが、引出端子13bと支持台7の間の沿面長は絶縁ロッド10の沿面長より長くなっている。これは、絶縁ロッド10の上下にフレッキシブル導体15、接続部材11、操作ロッド9、連結部材8があって、これらを収納するために長い沿面長が必要であるためである。このため、絶縁ロッド10の全長が短くなると、フレッキシブル導体15と連結部材8の間の距離も短くでき、開閉装置1の高さが小さくなり小形化されるという効果がある。

0037

また開閉装置1において、閉極されて系統電流が流れている状態では、開閉装置1の各導体接続部の接触抵抗によって発熱が生じ、周囲の空気の温度が上昇するため、上昇気流が発生する。そのため、絶縁ロッド10の周囲を流れる空気は下方から上方に向かって流れる。この発明の実施の形態2に係る開閉装置1のように、絶縁ロッド10にヒダ32を設けると、上方に向かって流れる空気はヒダ32とヒダ32の間の部位には接触しにくくなる。この結果、空気中に窒素酸化物などの酸性ガスが含まれている場合でも、不飽和ポリエステル樹脂に含まれる炭酸カルシウムが塩素ガスや窒素酸化物と反応して、塩化カルシウムや硝酸カルシウムが生成されることを抑制することができ、沿面絶縁の長期信頼性をさらに高めることができる。

0038

実施の形態3.
図21は、この発明の実施の形態3に係る開閉装置の断面側面図である。また、図22は、図21に示した開閉装置における絶縁フレームの拡大断面図である。また図23は、図22のA−A断面図である。実施の形態3において、実施の形態1及び実施の形態2と同一の符号については、実施の形態1及び実施の形態2と同一の構成であるので説明を省略する。実施の形態1においては、絶縁ロッド10にコーティングを設けたが、この発明の実施の形態3においては、絶縁フレーム18にコーティングを設けた。
図21および図22に示すように、実施の形態3では、端子入出力部17a、17bの導体と絶縁フレーム18の絶縁物、および周囲の空気が接するトリプルジャンクション部28cに第1のコーティング層29を設けた。また、トリプルジャンクション部28cについては、電界緩和のため、絶縁フレーム18の内側、つまり絶縁フレーム18の裏面についても第1のコーティング層29を設けることが好ましい。第1のコーティング層29(撥水性コーティング)は、トリプルジャンクション部28cから3cm程度の範囲を目安として塗るとよい。また、図22および図23に示すように、引出端子13a、13bと絶縁フレーム18の接触部45にも第1のコーティング層29を塗布することが好ましい。絶縁フレーム18にコーティングを塗布する工程の後に引出端子13a、13bを設置することになるので、あらかじめこの45にも第1のコーティング層29(撥水性コーティング)を塗っておくとよい。それ以外の絶縁フレーム18の表面には、第2のコーティング層30を設ける。第1のコーティング層29および第2のコーティング層30の材料は実施の形態1と同じように、それぞれ、エタノールを溶剤としたフッ素樹脂系の撥水性コーティング材、及び、エタノールを溶剤としたフッ素樹脂系コーティング液に疎水性シリカを分散することで超撥水性化した超撥水性コーティング材である。なお、絶縁フレーム18の素材は、不飽和ポリエステル樹脂である。

0039

第2のコーティング層30(超撥水性コーティング材)は、下塗り材としてエポキシ樹脂塗料防食材を塗っても良い。エポキシ樹脂は炭酸カルシウムや水和アルミナを含まないため、窒素酸化物などの酸性ガス雰囲気に曝されても表面に潮解性の硝酸塩が生成しない。このため、表面抵抗率の長期的な低下が起こりにくいという効果がある。さらに、第2のコーティング層30(超撥水性コーティング材)は付着性が高いので、開閉装置1が設置される環境の特性に応じたコーティング材や防食材の上に塗布することができる。この第2のコーティング層30(超撥水性コーティング材)を下塗り材の上に塗布する方法は、実施の形態1や実施の形態2の第2のコーティング層30に適用しても同様の効果を奏する。
この発明の実施の形態3は、絶縁フレーム18にコーティングを設け、第1のコーティング層29(撥水性コーティング)をトリプルジャンクション部28cの付近に設け、第2のコーティング層30(超撥水性コーティング)をそれ以外の沿面に設けて塗り分けたため、第1のコーティング層29の表面抵抗率が低下して導電性を持つようになるとトリプルジャンクション部28cの電界が緩和され部分放電が抑制されるため、コーティング層の長期信頼性が向上し、沿面絶縁性能の信頼性も向上するという効果がある。

0040

トリプルジャンクション部28c以外は、絶縁フレーム18表面も裏面も全て第2のコーティング層30を塗っても良い。この場合は、第1のコーティング層29を設ける場所にマスクを施し、絶縁フレーム18全体を第2のコーティング層30をスプレー塗りまたは第2のコーティング材Bの液に絶縁フレーム18を浸すことで一気に塗布する。
図24は、この発明の実施の形態3に係る開閉装置における絶縁フレームの変形例を示す断面拡大図である。図24では、絶縁フレーム18のヒダ35の上面を斜面とし、水平面44に対する角度θ1は開閉装置1が寿命を迎える時点における転落角43よりも大きく取った場合の端子入出力部17aを示す。なお、ヒダ35の上面の斜面は、第2のコーティング層30(超撥水性コーティング)を設ける。これにより、装置寿命を通して、高湿度環境下や結露環境下においても、付着した水滴が落下しやすくなる。このため、表面に付着した塩分や塵、劣化生成物など沿面耐圧に影響する物質を水滴が洗い流す効果があるため、沿面閃絡電圧がさらに向上するという効果がある。
なお、実施の形態1から3においては、開閉装置1の絶縁ロッド10と絶縁フレーム18に基づいて説明をおこなったが、変電機器回転電機などの高電圧電気機器を含む電気装置についても適用できる。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

0041

1開閉装置、2遮断部、3開閉機構部、4ピン、5駆動レバー、6水平軸、7支持台、8連結部材、9操作ロッド、10絶縁ロッド、11接続部材、13a、13b引出端子、14真空バルブ固定部、15フレッキシブル導体、16端子支持部、17a、17b 端子入出力部、18絶縁フレーム、20 真空バルブ、21可動スタッド、22可動接点、23固定スタッド、24固定接点、25a 上部端面、25b 下部端面、26素材表面、27aねじ部、27b ねじ部、28aトリプルジャンクション部、28b トリプルジャンクション部、29 第1のコーティング層、30 第2のコーティング層、31 側面、32ヒダ、33 上面、34
下面、35 ヒダ、36境界位置、37 角部、38平板、39水滴、40 接線、41接触角、42 接触角、43転落角、44 水平面、45 接触部

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