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技術 一酸化窒素ガス検知方法、一酸化窒素ガス検知素子、一酸化窒素ガス検知装置

出願人 学校法人東北工業大学
発明者 丸尾容子
出願日 2015年2月4日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-019896
公開日 2016年8月8日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-142667
状態 特許登録済
技術分野 化学的手段による非生物材料の調査、分析 化学反応による材料の光学的調査・分析
主要キーワード 試料空気 環境科学 吸光光度分析 紫外可視光 検知剤 ファイバ状 一酸化窒素濃度 一酸化窒素ガス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年8月8日)のものです。
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図面 (8)

課題

一酸化窒素ガスを高精度にかつ簡便に検知可能とする。

解決手段

一酸化窒素ガス検知方法は、PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)よりなる検知剤多孔体の孔内に配置して構成される検知素子測定対象検知対象の空気中に暴露する暴露工程と、暴露工程により検知対象の空気中に暴露された検知素子の吸光度を、紫外可視光遮断した状態で測定する測定工程と、検知対象の空気中に暴露する前にあらかじめ測定された検出素子の吸光度と、測定工程により測定された吸光度との比較に基づいて、検知対象の空気中の一酸化窒素ガスを検出する検出工程とを有する。

概要

背景

近年医学の分野で、生体内で生成する一酸化窒素が注目され、血管の弛緩作用や発ガン機構神経伝達・学習・記憶等に関与していると言われている。また、気管支喘息患者には呼気中に含まれる一酸化窒素が上昇するとの報告が有り(非特許文献1:日本呼吸学会誌48(1),17-22(2010))、呼気一酸化窒素濃度を測定できる簡易型測定器販売されている。代表的な測定器にAerocrine製Niox Mino(http://www.niox.com/en-US/feno-asthma/)やチェスト株式会社のNIOXMINO(http://www.chest-mi.co.jp/product/一酸化窒素ガス分析装置niox-mino/)が有り、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたり、日本で薬事承認されている。これら装置は、イオン電極を用い、呼気を吹き込んで測定を行う。しかし、呼気の吹き込みは個体差があり測定結果のばらつきの原因となるなど問題点が多かった。またポンプを使用する必要があり、呼気以外への適用が難しいという問題点があった。

また比色法によって測定する方法として酵素により亜硝酸イオンに変換して、その後ザルツマン試薬による発色反応によって測定する方法(http://www.cosmobio.co.jp/product/detail/cbl-20130517-1.asp?entry_id=11049)も報告されている。しかし、この方法は溶液の測定に限定され、また一酸化窒素を直接測定するのではなく、一酸化窒素の酸化産物である亜硝酸イオンを測定するものであった。

また大気中の一酸化窒素については、横環境科学研究所により大気中の一酸化窒素をPTIOを含浸させたろ紙暴露して、PTIOの酸化力により一酸化窒素を亜硝酸イオンに変換し、その後溶液に溶出させて、ザルツマン反応により亜硝酸イオンを測定する方法が報告されている。(http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/mamoru/kenkyu/shiryo/pub/d0001/d0001.pdf)しかし、この方法によると複雑な溶液を使った操作を必要とする。さらにザルツマン試薬によって発色した色がPTIOと干渉するなどの問題があった。

概要

一酸化窒素ガスを高精度にかつ簡便に検知可能とする。一酸化窒素ガス検知方法は、PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)よりなる検知剤多孔体の孔内に配置して構成される検知素子測定対象検知対象の空気中に暴露する暴露工程と、暴露工程により検知対象の空気中に暴露された検知素子の吸光度を、紫外可視光遮断した状態で測定する測定工程と、検知対象の空気中に暴露する前にあらかじめ測定された検出素子の吸光度と、測定工程により測定された吸光度との比較に基づいて、検知対象の空気中の一酸化窒素ガスを検出する検出工程とを有する。

目的

本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とする

効果

実績

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請求項1

PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)よりなる検知剤多孔体の孔内に配置して構成される検知素子検知対象の空気中に暴露する暴露工程と、前記暴露工程により検知対象の空気中に暴露された前記検知素子の吸光度を、紫外可視光遮断した状態で測定する測定工程と、検知対象の空気中に暴露する前にあらかじめ測定された前記検出素子の吸光度と、前記測定工程により測定された吸光度との比較に基づいて、検知対象の空気中の一酸化窒素ガスを検知する検知工程とを有することを特徴とする一酸化窒素ガス検知方法

請求項2

請求項1に記載の一酸化窒素ガス検知方法において、検知素子の1つの波長の吸光度を測定し、一酸化窒素ガス濃度に換算する一酸化窒素検知方法。

請求項3

請求項1に記載の一酸化窒素ガス検知方法において、検知素子の2つの波長の吸光度を測定し、一酸化窒素濃度に換算する一酸化窒素ガス検知方法。

請求項4

請求項1に記載の一酸化窒素検知ガス方法において、検知素子の3つの波長の吸光度を測定し、一酸化窒素ガス濃度に換算する一酸化窒素ガス検知方法。

請求項5

請求項2に記載の一酸化窒素ガス検知方法において、1つの波長は、550nm〜575nmの間、若しくは330nm〜350nmの間、若しくは230nm〜250nmの間のいずれか1つであることを特徴とする一酸化窒素ガス検知方法。

請求項6

請求項3記載の一酸化窒素ガス検知方法において、2つの波長が、550nm〜575nmの間、若しくは330nm〜350nmの間、若しくは230nm〜250nmの間のうちのいずれか2つであることを特徴とする一酸化窒素ガス検知方法。

請求項7

請求項4記載の一酸化窒素ガス検知方法において、3つの波長が、550nm〜575nmの間、330nm〜350nmの間、及び230nm〜250nmの間であることを特徴とする一酸化窒素ガス検知方法。

請求項8

透明な多孔体と、前記多孔体の孔内に配置されたPTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)よりなる検知剤とを備えることを特徴とする一酸化窒素ガス検知素子。

請求項9

PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)を多孔体の孔内に配置して構成される検知素子と、所定波長の光を放出する発光部と、前記発光部から放出されて前記検知素子を透過した光を受光する受光部と、前記受光部が受光した光量に基づいて、検知素子の吸光度を測定する測定部とを備えることを特徴とする一酸化窒素ガス検知装置

技術分野

0001

本発明は、空気中に存在する一酸化窒素ガスを検知する一酸化窒素検知方法、一酸化窒素ガス検知素子、一酸化窒素ガス検知装置に関する。

背景技術

0002

近年医学の分野で、生体内で生成する一酸化窒素が注目され、血管の弛緩作用や発ガン機構神経伝達・学習・記憶等に関与していると言われている。また、気管支喘息患者には呼気中に含まれる一酸化窒素が上昇するとの報告が有り(非特許文献1:日本呼吸学会誌48(1),17-22(2010))、呼気一酸化窒素濃度を測定できる簡易型測定器販売されている。代表的な測定器にAerocrine製Niox Mino(http://www.niox.com/en-US/feno-asthma/)やチェスト株式会社のNIOXMINO(http://www.chest-mi.co.jp/product/一酸化窒素ガス分析装置niox-mino/)が有り、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたり、日本で薬事承認されている。これら装置は、イオン電極を用い、呼気を吹き込んで測定を行う。しかし、呼気の吹き込みは個体差があり測定結果のばらつきの原因となるなど問題点が多かった。またポンプを使用する必要があり、呼気以外への適用が難しいという問題点があった。

0003

また比色法によって測定する方法として酵素により亜硝酸イオンに変換して、その後ザルツマン試薬による発色反応によって測定する方法(http://www.cosmobio.co.jp/product/detail/cbl-20130517-1.asp?entry_id=11049)も報告されている。しかし、この方法は溶液の測定に限定され、また一酸化窒素を直接測定するのではなく、一酸化窒素の酸化産物である亜硝酸イオンを測定するものであった。

0004

また大気中の一酸化窒素については、横環境科学研究所により大気中の一酸化窒素をPTIOを含浸させたろ紙暴露して、PTIOの酸化力により一酸化窒素を亜硝酸イオンに変換し、その後溶液に溶出させて、ザルツマン反応により亜硝酸イオンを測定する方法が報告されている。(http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/mamoru/kenkyu/shiryo/pub/d0001/d0001.pdf)しかし、この方法によると複雑な溶液を使った操作を必要とする。さらにザルツマン試薬によって発色した色がPTIOと干渉するなどの問題があった。

先行技術

0005

日本呼吸学会誌48(1),17-22(2010)

発明が解決しようとする課題

0006

本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは気体状態の一酸化窒素をポンプ等を必要とせず、高精度にかつ簡便に検知可能とすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するための本発明の一酸化窒素ガス検知方法は、PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)よりなる検知剤多孔体の孔内に配置して構成される検知素子を測定対象検知対象の空気中に暴露する暴露工程と、暴露工程により検知対象の空気中に暴露された検知素子の吸光度を、紫外可視光遮断した状態で測定する測定工程と、検知対象の空気中に暴露する前にあらかじめ測定された検出素子の吸光度と、測定工程により測定された吸光度との比較に基づいて、検知対象の空気中の一酸化窒素ガスを検出する検出工程とを有することを特徴とする。

0008

本発明に係る一酸化窒素ガス検知方法は、まず、可視光領域で実質的に透明な例えばガラスからなる多孔体と、その多孔体の孔内に配置されたPTIOよりなる検知剤を備えるようにした一酸化窒素ガス検知素子を用意し、検知対象の空気中に暴露する。一酸化窒素ガス検知素子の孔内に一酸化窒素が侵入すると、孔内に配置されたPTIOにより一酸化窒素が酸化されて、二酸化窒素が生成するとともに、PTIOはイミノニトロオキサイド化合物になる。それとともにPTIO特有光吸収度合いが減少し、イミノニトロオキサイド化合物による光吸収度合いが増加する。従って、検知対象の空気中への暴露前後の吸光度を測定することで、検知対象の空気中の一酸化窒素を検出することが可能となる。このとき、一連の操作を紫外可視光を遮断した状態で行う。ガラスからなる多孔体内に配置されたPTIOは、紫外可視光を吸収すると分解されるので一酸化窒素を酸化するためには紫外可視光を遮断する必要がある。

0009

上記吸収が変化するので測定する波長は550nm〜575nmの間、及び330nm〜350nmの間、及び230nm〜250nmの間から選択する。なお、多孔体は、孔径が20nm以下であればよい。

0010

本発明にかかる一酸化窒素ガス検知素子は、可視光領域で透明な多孔体と、前記多孔体の孔内に配置されたPTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)よりなる検知剤とを備えることを特徴とする。

0011

本発明にかかる一酸化窒素ガス検知装置は、PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル3-オキシド)を多孔体の孔内に配置して構成される検知素子と、所定波長の光を放出する発光部と、前記発光部から放出されて前記検知素子を透過した光を受光する受光部と、前記受光部が受光した光量に基づいて、検知素子の吸光度を測定する測定部とを備えることを特徴とする。

0012

以上説明したように、本発明によれば、ガラスからなる多孔体の孔内に,PTIOからなる検知剤を備えるようにした検知素子を、紫外可視光を遮断した状態で用いるようにしたので、空気中に含まれている一酸化窒素を、高精度にかつ簡便に測定することが出来るようになるという優れた効果が得られる。

発明の効果

0013

以上説明したように、本発明においてはPTIOを担持させた多孔質の検知素子を用い、紫外可視光を遮断した状態で使用し、3つの波長で測定を行うことにより、検知対象の空気中に含まれる一酸化窒素ガスを高感度且つ高精度にしかも簡便に測定することができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施の形態における一酸化窒素ガス検知素子について説明するための説明図である。
本発明の実施の形態における検知素子の光吸収スペクトルを示す図である。
一酸化窒素に暴露前後の検知素子の光吸収スペクトルを示す図である。
一酸化窒素の濃度を0.8ppm〜2.5ppmの濃度範囲で作製した試料空気に、本実施の形態例における検知素子を1時間暴露することによる340nm及び570nmにおける吸光度差の測定結果を示す特性図である。
一酸化窒素の濃度を0.8ppm〜2.5ppmの濃度範囲で作製した試料空気に、本実施の形態例における検知素子を1時間暴露することによる240nmにおける吸光度差の測定結果を示す特性図である。
一酸化窒素の濃度を2.5ppmの濃度範囲で作製した試料空気に、本実施の形態例における検知素子を1時間及び5時間暴露することによる光吸収スペクトルの測定結果を示す特性図である。
本実施の形態例における一酸化窒素検知素子を用いた測定装置の構成例を示す図である。

実施例

0015

以下、図面を参照して本発明の最良の形態について説明する。しかしながら、かかる実施例が本発明の技術的範囲を限定するものではない。

0016

本発明の実施の形態における一酸化窒素ガス検知方法について説明する。図1は、本発明の実施の形態における一酸化窒素ガス検知方法を説明するための図である。まず、一酸化窒素ガス検知素子(以下、検知素子)の作製方法について説明する。図1(a)に示すように、PTIO 0.0780gにエタノール100mlを加え溶解して含浸液101を容器102の中に作製する。

0017

次に、図1(b)に示すように、検知剤溶液(含浸液)101に、平均孔径4nmの多孔質ガラスである多孔体103を浸漬する。多孔体103は、例えば技研科学社製の多孔質ガラスである。また、多孔体103は、例えば8(mm)× 8(mm) で厚さ1(mm)のチップサイズである。なお、多孔体103は、平均孔径が20nm以下であると良い。また、ここでは検知素子103aを板状としたが、これに限るものではなく、ファイバ状に形成するようにしても良い。

0018

多孔体103をガラス(硼珪酸ガラス)から構成した場合、この平均孔径を20nm以下とすることで、可視UV波長領域(波長200nm〜2000nm)での透過スペクトルの測定において、可視光領域(350nm〜800nm)では光が透過する。しかし、平均孔径が20nmを越えて大きくなると、可視光領域で急激な透過率の減少が観測されることが判明している(特許第3639123号公報参照)。このことにより、多孔体は、可視光領域において実質的に透明とするために、平均孔径が20nm以下とした方がよい。本実施の形態における多孔体103の比表面積は1g当たり100m2以上である。なお、多孔体103は、多孔質ガラスに限らず、担持する検知剤(検知溶液)と反応しない透明な(透光性を有する)材料から構成されていてもよい。

0019

上述した多孔体103を検知剤溶液101に24時間浸漬し、多孔体103の孔内に検知剤溶液を含浸させた後、検知剤が含浸した多孔体103を風乾し、図1(c)に示すように、窒素ガス気流中に24時間放置して乾燥し、検知素子103aを作製する。このときに容器は遮光フィルムで覆って光が入らないようにする。これにより、検知素子103aには、PTIOよりなる検知剤が導入され、検知素子103aの多孔質の孔内に上記検知剤が担持されているものとなる。このように構成された検知素子103aによれば、孔内に一酸化窒素ガスが浸入すると、孔内に配置されたPTIOとが反応する。

0020

検知素子の孔内に一酸化窒素が侵入すると、孔内に配置されたPTIOにより一酸化窒素が酸化されて、二酸化窒素が生成するとともに、PTIOはイミノニトロオキサイド化合物になる。それとともにPTIO特有の光吸収特性が減少し、イミノニトロオキサイド化合物による光吸収特性が増加する。

0021

なお、検知素子の作成の際に光の遮光は行わないようにすると、検知素子103aには、PTIOよりなる検知剤が導入され、検知素子103aの多孔質の孔内に上記検知剤が担持されているものとなるが、多孔質ガラス上のPTIOは徐々に分解されて、作製された検知素子はPTIO特有の光吸収特性を有さなくなる。このように構成された検知素子によれば、すでにPTIOが存在しないため、一酸化窒素の検出ができなくなる。PTIOは溶液においては比較的安定で光による分解は起こりにくく、多孔質ガラスの孔内において特に光に対して不安定になると考えられる。

0022

次に、上記手法により作成された検知素子103aを用いた一酸化窒素ガスの検出方法について説明する。まず、大気の空気中において検知素子103aの厚さ方向の吸光度を測定する。例えば、図1(d)に示すように、光強度I0の入射光を透過させた透過光の強度Iを測定し、これらより吸光度(=log10(I0/I))を求める。検知素子を構成している多孔体が、可視光領域(350nm〜800nm)において高い透過率を有しているので、検知素子の透過率を測定することで、検知素子の吸光度を測定することができる。すなわち、本実施の形態例によれば、検知素子を検知対象である空気に暴露する前と暴露する後とでの検知素子の吸光度を測定することで、検知対象の空気に含まれる一酸化窒素ガスを検知することができる。

0023

図2は、本発明の実施の形態における検知素子の光吸収スペクトルを示す図である。吸光度の測定の結果、図2に示すように、240nm付近、340nm付近及び570nm付近にピークを持つ光吸収が測定される。

0024

次に、図1(e)に示すように、例えば、2ppmの濃度の一酸化窒素ガスが存在する検知対象の空気104中に、検知素子103aを5時間暴露する。この暴露は、室温(約20℃)の状態で行う。この後、暴露後の検知素子103aを検知対象の空気104中より取り出し、図1(f)に示すように、暴露後の検知素子103aの厚さ方向の吸光度を再び測定する。上述した2回(検知対象の空気104への暴露前と暴露後)の吸光度の測定(吸光光度分析)結果を図3に示す。

0025

図3は、一酸化窒素暴露を含む空気に暴露前の検知素子と、暴露後の検知素子の光吸収スペクトルを示す図である。図3では、横軸は波長、縦軸は吸光度であり、検知対象の空気に暴露する(晒す)前の吸光度の測定結果を実線で示し、暴露した後の吸光度の測定結果を破線で示す。図3に示すように、波長240nm付近(230nm〜250nmの間の波長領域)の吸収、340nm付近(330nm〜350nmの間の波長領域)の吸収及び570nm付近(550nm〜575nmの間の波長領域)の吸収において、実線と破線との間に大きな違いが見られる。

0026

図3に示したように、一酸化窒素ガスが含まれる空気に検知素子103aを暴露した後の、検知素子103bの吸光度の測定(破線)では、おおよそ波長240nmを中心とした吸収が増加している。また波長340nmを中心とした吸収と波長570nmを中心とした吸収は減少している。従って、本実施の形態における検知素子における光吸収の変化の測定や、色の変化の観察により、一酸化窒素ガスの検知及びその濃度などの測定が可能となる。例えば、黄緑色の発光ダイオード中心波長570nm)や紫外LED(中心波長345nm中心波長240nm)からの光の透過率を測定することで上記光吸収の変化が測定可能である。

0027

上述した検知工程の一連の操作を紫外可視光を遮断した状態で、酸素存在下で行う。ガラスからなる多孔体内に配置されたPTIOは、紫外可視光を吸収すると分解されるので一酸化窒素を酸化するためには紫外可視光を遮断する必要がある。またPTIOはガラスからなる多孔体内で、水分が存在する時には自己分解を起こし、徐々に分解される。但し大気中に酸素が存在すると自己分解の速度は非常に遅くなる。そこで測定時には酸素がある状態で行う。

0028

次に、本実施の形態における検知素子を用いた測定例について説明する。例えば、一酸化窒素ガスの濃度を1ppm〜2.5ppmの濃度範囲で作製した試料空気に、本実施の形態の一酸化窒素検知素子を1時間暴露する。この暴露前と暴露後とにおける検知素子の、波長240nm、340nm及び570nmにおける吸光度の差と、試料空気における一酸化窒素ガスの濃度との関係を調べると、図4A及び図4Bに示すようになる。

0029

このように、吸光度差と一酸化窒素ガス濃度の相関関係から、吸光度差を一酸化窒素ガス濃度に換算することができ、吸光度に基づいて該濃度を求めることができる。

0030

吸光度差が発生する上述の3つの波長領域(550nm〜575nmの間の波長領域、330nm〜350nmの間の波長領域、230nm〜250nmの間の波長領域)の少なくとも1つの領域について測定を行うことで、一酸化窒素ガスの検知及びその濃度を求めることができ、さらには、複数(2つ又は3つ)の波長領域での測定を行うことで、より高精度且つ正確な測定が可能となる。

0031

図4A及び図4Bは、一酸化窒素ガスの濃度を0.8ppm〜2.5ppmの濃度範囲で作製した試料空気に、本実施の形態例の検知素子を1時間暴露することによる吸光度差の測定結果を示す特性図であり、図4Aは340nm及び570nmにおける吸光度差を示し、図4Bでは240nmにおける吸光度差を示す。図4A及び図4Bから明らかなように、一酸化窒素濃度が高い試料空気に暴露された検知素子ほど、吸光度の差が大きいものとなる。また、分光計は0.0005の吸光度の差が検出可能であるために1時間暴露では570nmの吸光度差では45ppb、340nmの吸光度差では20ppbの検出が可能である。これにより高感度で一酸化窒素が検出可能であることが判る。

0032

また、一酸化窒素の濃度を2.5ppmの濃度で作製した試料空気に、本実施の形態の一酸化窒素検知素子を、1時間及び5時間暴露する。この暴露の前後における検知素子の、吸光度の差を調べると、図5に示すようになる。

0033

図5は、一酸化窒素の濃度を2.5ppmの濃度範囲で作製した試料空気に、本実施の形態例の検知素子を1時間及び5時間暴露することによる光吸収スペクトルの測定結果を示す特性図である。図5では、横軸は波長、縦軸は吸光度であり、検知対象の空気に暴露する(晒す)前の吸光度の測定結果を実線で示し、1時間暴露した後の吸光度の測定結果を破線で示し、5時間暴露した後の吸光度の測定結果を一点鎖線で示す。図5から明らかなように、暴露時間が長いほど、吸光度の差が大きくなっている。

0034

以上に説明したように、本実施の形態例における一酸化窒素検知素子によれば、光を透過する多孔質ガラスである多孔体を基質とし、この複数の孔内にPTIOを含む検知剤を担持させたので、空気中に含まれるppbレベルの極微量な一酸化窒素を、精度良く測定することが可能となる。また、図5を用いて説明したように、測定の時間を長くするほど吸光度の変化が大きく測定されるので、本検知素子は時間的に蓄積した濃度の測定が可能であり、ppb以下の極微量な濃度の一酸化窒素の測定も暴露時間を長くすることで可能である。

0035

図6は、本実施の形態例における一酸化窒素検知素子を用いた測定装置の構成例を示す図である。一酸化窒素検知素子を用いた測定装置としては、例えば、発光光の中心波長が340nmの発光ダイオード(発光部)110とフォトディテクタ(受光部)120との間に本検知素子103aを配置し、発光ダイオード110から出力されて検知素子103aを透過した光をフォトディテクタ120で検出し、測定部140によってフォトディテクタ120からの出力信号を処理して検知素子103aの吸光度の変化を出力する構成とすればよい。このような簡便な装置構成で、上述した極微量な一酸化窒素の測定が容易に行える。フォトディテクタ120により受光された光量はアナログ又はデジタル電気信号に変換され、測定部140(各種分析装置、コンピュータ装置など)により処理される。

0036

また例えば、発光光の中心波長が570nmの発光ダイオードとフォトディテクタとの間に本検知素子を配置し、検知素子を透過した光をフォトディテクターで検出可能とし、フォトディテクタからの出力信号を処理して検知素子の吸光度の変化を出力する構成とすればよい。このような簡便な装置構成で、上述した極微量な一酸化窒素の測定が容易に行える。

0037

また図4A及び図4Bに示したように吸光度を測定する波長によって、感度が異なることより複数の波長を組み合わせることにより、より精度よく濃度の測定が可能になる。

0038

本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。

0039

101:検知剤溶液、102:容器、103:多孔体、103a:検知素子、104:検知対象の空気、110:発光ダイオード、120:フォトディテクタ、140:測定部

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    【課題・解決手段】励起光と蛍光とを光学的なフィルタにより分離することなく検査対象から放出された蛍光のみを測定し、蛍光の種類の適用範囲が低減されるのを防止し得る蛍光検査システム、誘電泳動デバイス及び分子... 詳細

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