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技術 ゴムロール及びゴムロールの製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 土屋翔鈴木賢中尾智大政岡昭夫吉川文隆末藤純平
出願日 2015年2月2日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2015-018721
公開日 2016年8月8日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-142340
状態 特許登録済
技術分野 ロール及びその他の回転体 圧延材の移送 積層体(2)
主要キーワード アルキメデス螺旋 セラミック中空体 接触対象物 繊維テープ 蛇行調整 製鉄工場 エボナイト 略平行四辺形状
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

鋼板を搬送する際の鋼板の蛇行調整能力に優れるゴムロールを提供する。

解決手段

ゴムロール1aは、ブライドルロールである。ゴムロール1aは、円筒状のロール本体2aと、このロール本体2aの外周面側にゴム材料を含んでライニングされた弾性層5とを備え、弾性層5の表面に、繊維領域7aがロール本体2aの軸方向に交差する方向に延びるように、それぞれの延びる方向を揃えて軸方向に沿って複数形成されている。

概要

背景

製鉄所冷間圧延工程では、圧延した鋼板を巻き取る前に、圧延中の板厚変動防止のため摩擦力を高めたゴムロールで、搬送中の鋼板に張力を付与する処理が行われる。鋼板がスリップして蛇行すると、巻き取られたコイル巻きずれ(いわゆるタケノコ)が生じるため、ゴムロールには鋼板を堅固に掴むための高摩擦係数を有することが要求される。特許文献1には、ゴムロール中のゴム植物系粉体を添加することで、ゴムロールの摩擦係数を高める技術が開示されている。

概要

鋼板を搬送する際の鋼板の蛇行調整能力に優れるゴムロールを提供する。ゴムロール1aは、ブライドルロールである。ゴムロール1aは、円筒状のロール本体2aと、このロール本体2aの外周面側にゴム材料を含んでライニングされた弾性層5とを備え、弾性層5の表面に、繊維領域7aがロール本体2aの軸方向に交差する方向に延びるように、それぞれの延びる方向を揃えて軸方向に沿って複数形成されている。

目的

本発明は上記の問題に着目して為されたものであって、鋼板の蛇行調整能力に優れるゴムロール及びゴムロールの製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

円筒状のロール本体と、該ロール本体の外周面側にゴム材料を含んでライニングされた弾性層とを備えるゴムロールであって、前記弾性層の表面に、繊維領域が前記ロール本体の軸方向に交差する方向に延びるように、それぞれの延びる方向を揃えて前記軸方向に沿って複数形成されていることを特徴とするゴムロール。

請求項2

前記繊維領域は、前記弾性層の表面を周回して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴムロール。

請求項3

前記繊維領域は、前記軸方向に沿って螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のゴムロール。

請求項4

前記ゴムロールは、ブライドルロールであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のゴムロール。

請求項5

前記ゴム材料には、エチレンプロピレンゴムクロロスルフォン化ポリエチレンゴム塩素化ポリエチレンゴムアクリロニトリルブタジエンゴム水素添加アクリルニトリルブタジエンゴムのうち少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のゴムロール。

請求項6

前記ゴム材料には、球状のセラミック中空体が含まれることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のゴムロール。

請求項7

前記セラミック中空体は、粒径が20μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のゴムロール。

請求項8

前記セラミック中空体は、前記ゴム材料に、1重量%以上15重量%以下の割合で配合されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のゴムロール。

請求項9

円筒状のロール本体と、該ロール本体の外周面側にゴム材料を含んでライニングされた弾性層とを備えるゴムロールを製造する方法であって、前記弾性層の表面に、繊維領域を前記ロール本体の軸方向に交差する方向に延びるように、それぞれの延びる方向を揃えて前記軸方向に沿って複数形成する工程を含むことを特徴とするゴムロールの製造方法。

請求項10

繊維が織り込まれた帯状繊維テープを前記弾性層の表面を周回するように巻き付けて前記繊維領域を形成することを特徴とする請求項9に記載のゴムロールの製造方法。

請求項11

前記繊維テープを前記軸方向に沿って螺旋状に巻き付けて前記繊維領域を形成することを特徴とする請求項10に記載のゴムロールの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ゴムロール及びゴムロールの製造方法に関する。

背景技術

0002

製鉄所冷間圧延工程では、圧延した鋼板を巻き取る前に、圧延中の板厚変動防止のため摩擦力を高めたゴムロールで、搬送中の鋼板に張力を付与する処理が行われる。鋼板がスリップして蛇行すると、巻き取られたコイル巻きずれ(いわゆるタケノコ)が生じるため、ゴムロールには鋼板を堅固に掴むための高摩擦係数を有することが要求される。特許文献1には、ゴムロール中のゴム植物系粉体を添加することで、ゴムロールの摩擦係数を高める技術が開示されている。

先行技術

0003

特開平08−188657号公報

0004

しかし特許文献1のようにゴムに植物系粉体を添加した場合、ゴムロールの表面で油が付いている箇所や鋼板に与える張力が比較的小さい箇所では、鋼板を十分に掴むことができずに鋼板が蛇行する場合があり、蛇行調整能力が十分ではないという問題がある。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は上記の問題に着目して為されたものであって、鋼板の蛇行調整能力に優れるゴムロール及びゴムロールの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するために、本発明のゴムロールに係るある態様は、円筒状のロール本体と、このロール本体の外周面側にゴム材料を含んでライニングされた弾性層とを備えるゴムロールであって、弾性層の表面に、繊維領域がロール本体の軸方向に交差する方向に延びるように、それぞれの延びる方向を揃えて軸方向に沿って複数形成されていることを要旨とする。
また本発明のゴムロールの製造方法に係るある態様は、円筒状のロール本体と、このロール本体の外周面側にゴム材料を含んでライニングされた弾性層とを備えるゴムロールを製造する方法であって、弾性層の表面に、繊維領域をロール本体の軸方向に交差する方向に延びるように、それぞれの延びる方向を揃えて軸方向に沿って複数形成する工程を含むことを要旨とする。

発明の効果

0007

したがって本発明によれば、鋼板の蛇行調整能力に優れたゴムロールを得ることができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の実施の形態に係るゴムロールの概略を一部を切り欠いて説明する斜視図である。
本発明の実施の形態に係るゴムロールの概略を示す正面図である。
本発明の実施の形態に係るゴムロールが用いられる圧延設備を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係るゴムロールを軸を含む平面で断面した際の概略を示す断面図である。
図4中のA部分の拡大図である。
図5中のB部分の拡大図である。
セラミック中空体割れた状態を概略的に説明する断面図である。
本発明の実施の形態に係るゴムロールの製造方法を模式的に説明する正面図である(その1)。
本発明の実施の形態に係るゴムロールの製造方法を模式的に説明する正面図である(その2)。
本発明の実施の形態に係るゴムロールの製造方法を模式的に説明する正面図である(その3)。
本発明の実施の形態に係るゴムロールの製造方法を模式的に説明する正面図である(その4)。
本発明の他の実施の形態に係るゴムロールの概略を一部を切り欠いて模式的に示す正面図である。

実施例

0009

以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。

0010

(ゴムロールの構造)
本発明の実施の形態に係るゴムロール1aは、図3に示すように、製鉄工場における冷間圧延設備の中で、鋼板を圧延するタンデム圧延機最終スタンド11と、圧延された鋼板14を巻き取るカローゼルリール13との間に設けられ、搬送中の鋼板14に張力を与えるブライドルロールとして用いられる。図3に示したブライドルロールは、入側に配置された上下2段のゴムロール1c,1dと出側に配置された上下2段のゴムロール1a,1bとを有する。本発明の実施の形態に係るゴムロール1aは、出側に配置された上下2段のゴムロール1a,1bに適用され、以下、下段のゴムロール1aを例として説明する。

0011

ゴムロール1aは、図1図2及び図4に示すように、中空で円筒状で炭素鋼製のロール本体2aと、このロール本体2aに軸を貫通して設けられた円柱状のロール軸2bと、ロール本体2aの外周面にライニングされたエボナイト層3と、このエボナイト層3の外周面にライニングされた弾性層5とを備える。弾性層5は、ゴムロール1aの軸方向に沿って交互に配置されたゴム層6及び繊維層7によって構成される。弾性層5の表面は、図1及び図2に示すように、複数のゴム領域6aと複数の繊維領域7aとが、軸方向に繰り返し交互に表われるように形成されている。

0012

ゴム領域6aはゴム層6の表面であるとともに、繊維領域7aは、繊維層7の表面である。ゴム領域6aと繊維領域7aとは、ゴムロール1aの外周面を正面から見たとき、図2に示すように、いずれも軸方向に対して所定の角度θ1で交差するように延びている。ゴム領域6a及び繊維領域7aが、それぞれ軸方向となす鋭角側の角度θ1は約20度程度に構成できる。
またゴム領域6aの延びる方向と繊維領域7aの延びる方向とは揃っており、互いに平行である。複数のゴム領域6aはそれぞれ弾性層5の外周面を周回するように、軸方向の両端部を除いて等幅で軸方向に沿って、いわゆるアルキメデス螺旋に類似した螺旋状に形成されている。また複数の繊維領域7aもそれぞれ、ゴム領域6aと同様に、ゴムロール1aを周回するように、ゴムロール1aの外周面上に、軸方向の両端部を除いて等幅で螺旋状に形成されている。図1中には、弾性層5の一部が、螺旋に沿って一部切り欠かれた状態が示されており、図中奥側に示すゴムロール1aの一端から外周面の上部に2番目に現れる繊維領域7aが、破線で示すように螺旋を描いて周回し、切り欠き部の位置まで連続した状態が示されている。

0013

エボナイト層3は、弾性層5とロール本体2aとの間に介在し、弾性層5とロール本体2aとの接着性を向上させる。ゴムロール1aがエボナイト層3を有することにより、圧延によりゴムロール1aに負荷される線荷重が大きくなっても、弾性層5とロール本体2aとの接着部への負担が緩衝され、弾性層5がゴムロール1aから剥がれることを抑制できる。
弾性層5の内部は、図5に示すように、所定の厚みのゴム層6と繊維層7とが、エボナイト層3の外周面に対して所定の角度θ2で傾斜した状態で設けられている。ゴム層6と繊維層7がエボナイト層3の外周面に対してなす鋭角側の角度θ2は適宜設定可能であり、図5に例示した弾性層5では約45度に形成されている。

0014

ゴム層6と繊維層7とは、互いに重なり合って接着されている。弾性層5の外周面は、ゴム層6の表面と繊維層7のエボナイト層3と反対側の端部とが軸方向に繰り返し表われることにより、複数のゴム領域6aと複数の繊維領域7aとが形成される。弾性層5の外周面は鋼板14の主面が接触する面であり、鋼板14は複数のゴム領域6aと複数の繊維領域7aとに同時に接触して搬送されることとなる。
ゴム領域6aの軸方向の長さWgと繊維領域7aの軸方向の長さWsとからなる繰り返しピッチの長さは、例えば3mm程度に形成でき、図3に示したゴムロール1aの場合、弾性層5は約34回のピッチで繰り返し形成されている。ゴム領域6aの長さWgはWg=5〜7mm程度に形成できる。また繊維層7の長さWsは、ゴム層6の長さWgよりも短く、Ws=1〜1.5mm程度に形成できる。図5に示す弾性層5は、Ws:Wg=1:4〜7程度に構成され、鋼板14に対して高い摩擦係数を有することができる。

0015

ゴム層6の内部は、ゴムロール1aを、軸を含む平面で断面したときの断面形状が、弾性層5の軸方向の両端部を除き、略平行四辺形状である。そのため厚み方向(図5中の上下方向)で略等幅に形成される。また繊維層7は、隣り合うゴム層6,6の平行四辺形斜辺と斜辺の間に挟まれ、ゴム層6の間に介在する。繊維層7の断面形状は、2つの底角のうち一方が略90度であるとともに他方が角度θ2の鋭角である台形状であり、鋭角の底角側の斜辺をエボナイト層3の外周面に接着させた状態で設けられている。すなわち、台形の直角側の底角をゴムロール1aの外周面側に向けて設けられている。また繊維層7の、台形の直角側の底角をなす端部は、ゴム層6の表面よりゴムロール1aの径方向外側へ突出し、山状に形成されている。繊維層7は、ナイロン、綿、ポリエステルガラス繊維等の繊維素材が織り込まれて構成され、ゴム材料は含浸されていない。

0016

ゴム層6は、図6に示すように、ゴム材料に複数の球状のセラミック中空体…12n−2,12n−1,12n,12n+1,12n+2…を配合して形成されている。ゴム材料の主成分としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴムCPE)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBD)、水素添加アクリルニトリルブタジエンゴム(H−NBR)等を用いることができる。本発明の実施の形態では、水素添加アクリルニトリルブタジエンゴム(H−NBR)が用いられている。

0017

セラミック中空体…12n−2,12n−1,12n,12n+1,12n+2…は、中空で略球形状である。図6及び図7中のセラミック中空体は、破線で中空状態が示されている。セラミック中空体としては、表面改質材料として市販されている、いわゆるセラミックバルーン等を用いることが可能である。セラミック中空体…12n−2,12n−1,12n,12n+1,12n+2…は、図6に示すように、ゴム層6の内部で、弾性層5の外周面側でそれぞれの間隔や深さが不規則な状態で配置されている。そして、図7中の両端及び中央近傍にそれぞれ位置する3個のセラミック中空体12n−2,12n,12n+2で例示したように、弾性層5の外周面近傍に位置するセラミック中空体は、図7中の下向き矢印で示すように、搬送中の鋼板14に接触した際に荷重が負荷されると割れ易い構成とされている。

0018

セラミック中空体が割れる前のゴム層6の表面は比較的滑らかであるが、セラミック中空体が割れると、ゴム層6の表面に不規則な凹凸状態が多数形成され、ゴム層6の表面は荒れた状態が形成される。またセラミック中空体は中空であるため、中実である場合よりもより細かい破砕状態を形成することが可能であり、ゴム層6の表面の荒れの程度を大きくすることが可能となり、ゴムロール1aの摩擦係数を高めるとともに耐摩耗性を向上することができる。
セラミック中空体の粒径は、20μm以上300μm以下であることが好ましい。20μm未満の場合、鋼板14からの荷重を受けてもセラミック中空体が割れる量が少なくなり、ゴム層6に高い摩擦係数を付与することができない。また300μmを超える場合、セラミック中空体がゴム混練り作業の時点で割れ易くなるため、所望のゴム層6の摩擦係数を安定して得ることができない。すなわちセラミック中空体の割れの程度を制御することが困難となる。

0019

またセラミック中空体は、ゴム層6のゴム材料に対して1重量%以上15重量%以下の割合で配合されている。セラミック中空体の粒径を20μm以上300μm以下の間で形成し、セラミック中空体の配合割合を変化させた場合に得られたゴム層6の物性値の変化を表1に示す。

0020

0021

表1中に示した抗張力は、JIS K 62513のダンベル状3号形試験片準拠して行って測定した。また摩擦係数はゴムロール1aを製作し、旋盤上で、製作したゴムロール1aの外周面に沿ってステンレス製帯鋼(0.6t×14)を略90度屈曲するように巻き付けた上で、この帯鋼の下部に重りをさげるとともに、上部にを付け刃物台に固定した。そしてゴムロール1aを25rpmで回転させながら、重りと秤にかかる荷重の関係を計測して算出した。
表1に示すように、セラミック中空体を1重量%以上15重量%以下の割合で配合した場合、抗張力については、全く配合しない場合(0%)の範囲内の大きさである一方、摩擦係数については、全く配合しない場合(0%)より約1.3倍大きくすることができる。
一方、配合割合が1重量%未満の場合、抗張力及び摩擦係数について、いずれも全く配合しない場合(0%)と同程度であり、ゴムロールの摩擦係数を大きくすることができない。また配合割合が15重量%を超える場合、抗張力については全く配合しない場合(0%)より低下し、ゴムロール1aとしての機能を果たすことができない。表2に、本発明の実施の形態に係るゴムロールを、図2に示した2本のブライドルロールとして用いて、蛇行調整能力及び摩耗量、ロール寿命を評価した結果を示す。

0022

0023

表2において、比較例1に係るゴムロールは、弾性層が繊維テープ17を有さずにゴムテープ16のみで構成され、H−NBRを主成分とするゴム材料中に20μm以上300μm以下の粒径のセラミック中空体が、1重量%以上15重量%以下の割合で配合されたものである。また比較例2に係るゴムロールは、弾性層が繊維テープ17を有するとともに、H−NBRを主成分とするゴム材料中にセラミック中空体が配合されていないものである。
耐摩耗性の評価はブライドルロールのロールプロフィールを測定してロールの最摩耗部の深さを摩耗量とした。また蛇行調整能力は、本発明の実施の形態に係るゴムロール1aを適用して操業を開始した後、カローゼルリールに巻き取られるコイルに生じる巻きずれが、規定の許容範囲を超えた状態が発生した時点までのゴムロール1aの使用期間で評価した。また表中では比較例2及び実施例の蛇行調整能力の値を、比較例の値を1としたときの比で表した。

0024

またロール寿命は、鋼板がスリップを起した時点の使用期間、又はゴム硬度が100になった時点の使用期間のうち先に到来した試用期間とした。ゴム硬度は、TECKLOCK社製ゴム硬度計(GS‐719N タイプA)で測定し、測定法はJIS k 6253Aに準拠して行った。
表2に示すように、実施例に係るゴムロールは、耐摩耗性について、比較例1の半分以下であるとともに、比較例2の5分の1程度にまで摩耗量を抑えることができた。また蛇行調整能力について、比較例1の2倍、比較例2の4倍の期間巻きずれを防止できた。またロール寿命についても、比較例1の2倍、比較例2の4倍の期間スリップが発生しなかった。

0025

またセラミック中空体を配合した弾性層を有するゴムロールの場合、粒径が20μm以上300μm以下と微小であるため、鋼板に押し疵を発生させることなく、鋼板の品質に影響を及ぼすことがなかった。またゴムロールから弾性層を剥がす際、バイトを破損させることなく、再ライニングすることができた。この点、球形状のセラミック中空体ではなく角張った部位を有する多角形状に形成されたセラミック材料や、球形状であっても中実、且つ、より大径に形成されたセラミック材料を含有したゴム材料の弾性層を有するゴムロールを使用して比較した場合、鋼板に押し疵が発生して品質不良が生じるとともに、弾性層を剥がす際にバイトが破損し、再ライニング不可能であった。すなわち本発明の実施の形態で用いるセラミック中空体は、中空であって粒径が20μm以上300μm以下の球形状に成形されていることにより、鋼板への悪影響を抑制し、ライニング作業の作業性を高めながら、適度に割れた状態が形成されることにより、ゴムロール1aの摩擦係数を効率的に高めることができる。

0026

本発明の実施の形態に係るゴムロール1aによれば、弾性層5の外周面に繊維領域7aが軸方向に所定のピッチで繰り返し形成されていることにより、鋼板14がゴムロール1aの軸方向に変位する動きに対して高い摩擦力を生じさせ、鋼板14の蛇行を効果的に抑制することができる。よって蛇行調整能力に優れたゴムロールとすることができるとともに、摩擦力が高まることに伴い、耐摩耗性を高めることができる。
また繊維層7の端部がゴム層6の表面より径方向外側へ突出するように形成されているため、ゴムロール1aの外周面には、山状の繊維領域7aと平坦なゴム領域6aとによって、凹凸パターンが軸方向に繰り返し形成される。そのため、ゴムロール1aの外周面に接触する鋼板14に対してより高い摩擦力を生じさせることができる。
またゴムロール1aの経時使用により、弾性層5の表面が摩耗して内部が露出しても、露出した部分にもゴム層6と繊維層7との繰り返しパターンが現れるため、鋼板14に対して高い摩擦力を作用させ続けることができ、ゴムロール1aを長寿命化することができる。

0027

(ゴムロールの製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係るゴムロール1aの製造方法を、図8〜11を参照して説明する。まず図8に示すように、外周面にエボナイト層3をライニングしたロール本体を用意する。次にいずれも帯状のゴムテープ16及び繊維テープ17を所定の長さ用意する。ゴムテープ16は、エボナイト層3上にライニングされた後で、上記したゴム層6をなす素材であり、セラミック中空体…12n−2,12n−1,12n,12n+1,12n+2…が所定割合で配合されたものである。ゴムテープ16として、例えば断面が矩形をなす直方体状の素材を使用できる。
また繊維テープ17は、エボナイト層3上にライニングされた後で、上記した繊維層7をなす素材であり、所定の繊維が織り込まれている。繊維テープ17は、ゴムテープ16より薄く、例えば主面が矩形をなすシート状のものを使用できる。尚、図9図11においては、説明のため、ゴムテープ16及び繊維テープ17の、長手方向のライニング終端側(図中左側に位置する先端)の端部の図示を省略している。

0028

次に図9に示すように、エボナイト層3の外周面上でゴムロール1aの長手方向の一方側(図9中の右側)の端部に、ゴムテープ16の長手方向の一端側の一つの側面を接着させつつ、エボナイト層3の外周面に巻き付ける。このとき巻き付かせるゴムテープ16の長手方向が、軸方向と所定の角度θ1をなすようにゴムテープ16を周回させ、図9中の回転矢印で示すように、ゴムテープ16を螺旋状に巻き付ける。
またゴムテープ16を巻き付かせる際、図9中の上側のゴムテープ16の断面形状で例示するように、ゴムテープ16を、断面形状が略平行四辺形状となるように変形させたままエボナイト層3の外周面に接着する。平行四辺形は、4つの内角のうち鋭角をなす2つの内角の角度が所定の角度θ2であるように形成される。すなわちゴムテープ16の平行四辺形状の螺旋の進行方向の前側(図9中の左側)の斜辺をなす側面16aが、エボナイト層3の外周面に対して所定の角度θ2で傾斜する。ゴムテープ16を変形させるには、例えばロール本体2aを回転させながら、回転するロール本体2aのエボナイト層3の上面の一端に、所定の角度θ2でゴムテープ16を傾斜した状態で接着させて行うことができる。
またゴムテープ16を巻き付けると同時に、ゴムテープ16の螺旋の進行方向前側の傾斜した側面16aに、繊維テープ17の長手方向の一端側の主面17aを接着し、繊維テープ17とゴムテープ16とを貼り合わせる。よって繊維テープ17もゴムテープ16の傾斜した側面16aに応じて、所定の角度θ2で傾斜した状態で、ゴムテープ16と並行してエボナイト層3の外周面を周回する。

0029

そして図10に示すように、先行して形成された螺旋円に含まれる繊維テープ17の傾斜した主面上に、後続の螺旋円に含まれるゴムテープ16の、螺旋の進行方向後側の傾斜した側面16bを重ね合わせる。そして先行の螺旋円に含まれるゴムテープ16と、後続の螺旋円に含まれるゴムテープ16との間に、先行の螺旋円に含まれる繊維テープ17を傾斜した状態で挟み込む。
尚、繊維テープ17は、ゴムテープ16及び繊維テープ17を傾斜させてエボナイト層3の外周面に接着させたとき、図5に示したように、繊維層7のエボナイト層3と反対側の端部が、ゴム層6の上面よりゴムロール1aの径方向外側へ突出する長さに設定されている。図9〜11では、便宜のため、繊維テープ17が突出する状態の図示は省略されている。

0030

先行の螺旋円に含まれる繊維テープ17の傾斜面に、後続の螺旋円に含まれるゴムテープ16の傾斜した後側の側面16bを重ね合わせながら、ゴムテープ16及び繊維テープ17を、ゴムロール1aの長手方向の一端から他端まで巻き付ける。そして図11に示すように、ゴムテープ16及び繊維テープ17でエボナイト層3の外周面上をすべて被覆して、弾性層を形成する。すなわち本発明の実施の形態に係るゴムロール1aの製造方法では、従来のように、ロール本体2aの長手方向の長さと略同じ幅のシート状のゴムを用いてライニングすることなく、ロール本体2aの長手方向の長さより短い長さとされた厚み及び幅を有する直方体状のゴムテープ16と、繊維テープ17とを、軸方向に対して所定の角度θ2で傾斜させた状態で螺旋状に密に巻き付ける。そしてゴムロール1aと、隣接するゴムロール1a,1a間に挟み込まれた繊維テープ17とを一体化することにより、弾性層を形成してライニングを行う。尚、ゴムテープ16と繊維テープ17間の接着性を高めるため、接着材が適宜用いられてよい。

0031

その後、ゴムテープ16及び繊維テープ17の両端部の、ロール本体の稜線からはみ出す不要な余剰部分を切断して手入れを行って、ゴムロール1aを成形する。そして成形されたゴムロール1aに所定の加硫処理及び寸法出し処理等を施して、図1図7に示したゴムロール1aを製造する。
本発明の実施の形態に係るゴムロール1aの製造方法によれば、先行の螺旋円に含まれる繊維テープ17の傾斜面に、後続の螺旋円に含まれるゴムテープ16の傾斜した側面を重ね合わせながら、ゴムテープ16と繊維テープ17との巻き付け作業を並行して行う。そのため繊維テープ17が、先行の螺旋円に含まれるゴムテープ16と後続の螺旋円に含まれるゴムテープ16との間に密に挟み込まれる。よって、ゴムテープ16と繊維テープ17との一体性を高め、繊維テープ17を安定して弾性層内に配置できる。

0032

また本発明の実施の形態に係るゴムロール1aの製造方法では、ゴムテープ16及び繊維テープ17を、軸方向に対して所定の角度θ2で傾斜させた状態で螺旋状に巻き付けてライニングすることにより、1本のゴムテープ16をロール本体の外周面側に螺旋状に巻き付けても、ゴムテープ16が部分的に歪むことなく、弾性層の外周面を軸方向に沿って一様に滑らかに形成することができる。
本発明は上記のとおり開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。例えば、本発明に係るゴムロールは、図12に示した他の実施の形態に係るゴムロール1xのように、それぞれ空間的に分離した複数のゴム層…8m−1,8m,8m+1…及び繊維層…9p−1,9p,9p+1…からなる弾性層20が、ロール本体2a及びロール軸2bからなるロール本体の外周面側に、エボナイト層3を介して設けられてもよい。また複数のゴム層…8m−1,8m,8m+1…及び繊維層…9p−1,9p,9p+1…と軸方向とのなす角度がいずれも略90度となるように構成されてもよい。

0033

複数のゴム層…8m−1,8m,8m+1…の表面には、空間的に互いに分離した複数のゴム領域…18q−1,18q,18q+1…が形成されるとともに、複数の繊維層…9p−1,9p,9p+1…の表面にも、空間的に互いに分離した複数の繊維領域…19r−1,19r,19r+1…が形成される。ゴム層及び繊維層はいずれも、軸方向となす角度が略90度である。図12に示したゴムロール1xの他の構成は、図1〜11で説明したゴムロール1aと同様である。図12に示したゴムロール1xは、エボナイト層3の外周面に、この外周と略同じ長さのゴムテープ16及び繊維テープ17を周回させて1個のリング状として接着する工程を、軸方向の一端から他端まで繰り返し行うことにより製造できる。

0034

また本発明に係るゴムロールは、図3に示した出側に配置されたブライドルロールをなす2本のゴムロール1a,1bに限定されることなく、入側に配置されたブライドルロールをなす2本のゴムロール1c,1dに適用されてもよい。また本発明に係るゴムロールは、ブライドルロールに限定されることなく、製鉄所内で鋼板を搬送する他のゴムロール、例えば鋼板の表面に付着した処理液を絞る液絞り用のリンガーロールとして用いられてもよい。
また本発明に係るゴムロールは、ゴムロールの接触対象物が鋼板に限定されることなく、他の産業分野工業用ゴムロールとしても適用可能である。例えば製紙工場で紙を搬送するために用いられるゴムロールであってもよい。また図1図12で示したような本発明の実施の形態及び他の実施の形態のそれぞれの技術的思想を互いに組み合わせて構成してもよい。以上のように、本発明は、本明細書及び図面に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

0035

1aゴムロール
2aロール本体
2bロール軸
3エボナイト層
5弾性層
6ゴム層
6aゴム領域
7繊維層
7a繊維領域
12nセラミック中空体
16ゴムテープ
17 繊維テープ

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