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技術 車両の車輪支持装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 棚橋敏雄兼原洋治山田浩史
出願日 2015年1月29日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2015-015928
公開日 2016年8月8日 (2年0ヶ月経過) 公開番号 2016-141167
状態 特許登録済
技術分野 リム;ハブ、車輪取付、車軸 車体懸架装置 軸・クランク・連接棒及び関連の軸受 ブレーキ装置 ころがり軸受 静電気の除去
主要キーワード アーシング 軸受支持孔 ロータベアリング ソケット状 ホイール部材 自己放電式 付属部材 前駆動輪

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図面 (11)

課題

電荷が車体などに帯電するとラジオノイズが生じ易くなるため、車両に帯電した電荷を低減する。

解決手段

車輪12を回転可能に支持する軸受16と、軸受支持部材としてのナックル18とを含み、軸受は潤滑剤としてのグリース66にて潤滑された車両の車輪支持装置10。軸受16、ナックル18及びナックルに接続された付属部材としてのブレーキバックプレート62の少なくとも何れかである特定の部材の表面に自己放電式除電器110A〜110Dが設けられ、除電器は、自己放電式除電器の周囲の空気を負の空気イオンに変化させ、空気イオンを特定の部材の正の電荷に引き寄せて中和させることにより除電し、特定の部材の帯電量を低下させることにより、グリース66の帯電量を低下させる。

概要

背景

自動車などの車両が走行すると、空気が車両に摩擦接触する状態にて流れることに起因して車両に静電気が発生する。また、車輪の回転に伴ってタイヤの各部が路面に対し繰り返し接触及び剥離を繰り返すこと、エンジン及びブレーキ装置などにおいて構成部品相対運動することなどによっても、静電気が発生する。

車両は導電性が低いタイヤによって大地から実質的に電気絶縁された状態にあるため、車両に静電気が発生すると、電荷(一般的には正の電荷)が車体などに帯電する。電荷が車体などに帯電するとラジオノイズが生じ易くなるため、車両に帯電した電荷を低減する構造が従来研究され、種々の構造が提案されている。

例えば、下記の特許文献1には、インナレース部材と、アウタレース部材と、これらのレース部材の間に介装された複数の転動体とを有する軸受装置であって、一方のレース部材に接触する弾性部材を含むシール装置を有し、軸受装置の内部が導電性グリースにて充填された軸受装置が記載されている。

概要

電荷が車体などに帯電するとラジオノイズが生じ易くなるため、車両に帯電した電荷を低減する。車輪12を回転可能に支持する軸受16と、軸受支持部材としてのナックル18とを含み、軸受は潤滑剤としてのグリース66にて潤滑された車両の車輪支持装置10。軸受16、ナックル18及びナックルに接続された付属部材としてのブレーキバックプレート62の少なくとも何れかである特定の部材の表面に自己放電式除電器110A〜110Dが設けられ、除電器は、自己放電式除電器の周囲の空気を負の空気イオンに変化させ、空気イオンを特定の部材の正の電荷に引き寄せて中和させることにより除電し、特定の部材の帯電量を低下させることにより、グリース66の帯電量を低下させる。

目的

本発明の主要な課題は、静電気除去装置のような特別な装置を要することなく、車輪支持装置の軸受内のグリースに帯電する電荷を除去し、これにより電荷の帯電に起因してグリースの粘性が高くなって軸受内の粘性抵抗が高くなることを防止することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

車輪を回転可能に支持する軸受と、前記軸受を支持する軸受支持部材とを含み、前記軸受は潤滑剤にて潤滑された車両の車輪支持装置において、前記軸受、前記軸受支持部材及び前記軸受支持部材に当接した状態にて接続された付属部材の少なくとも何れかである特定の部材の表面に自己放電式除電器が設けられ、前記自己放電式除電器は、前記特定の部材に帯電する正の電荷の帯電量に応じて、前記自己放電式除電器の周囲の空気を負の空気イオンに変化させ、前記空気イオンを前記特定の部材の正の電荷に引き寄せて中和させることにより除電し、前記特定の部材の帯電量を低下させることにより、前記潤滑剤の帯電量を低下させるよう構成された空気イオン変換型自己放電式除電器である、車両の車輪支持装置。

請求項2

請求項1に記載の車両の車輪支持装置において、前記軸受は前記車輪と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有し、前記特定の部材は前記軸受支持部材であり、前記軸受支持部材は前記回転レース部材を支持する回転支持部材を含み、前記自己放電式除電器は前記回転支持部材に設けられており、前記回転レース部材と前記回転支持部材との間において電荷の移動が可能である、車両の車輪支持装置。

請求項3

請求項1に記載の車両の車輪支持装置において、前記軸受は前記回転軸と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有し、前記特定の部材は前記軸受支持部材であり、前記軸受支持部材は前記静止レース部材を支持する非回転支持部材を含み、前記自己放電式除電器は前記非回転支持部材に設けられており、前記静止レース部材と前記非回転支持部材との間において電荷の移動が可能である、車両の車輪支持装置。

請求項4

請求項1に記載の車両の車輪支持装置において、前記軸受は前記回転軸と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体と、前記軸受の端部において前記回転レース部材と前記静止レース部材との間をシールする樹脂製のシール部材を有し、前記特定の部材は前記軸受であり、前記自己放電式除電器は前記シール部材に設けられており、前記回転レース部材及び前記静止レース部材の少なくとも一方と前記シール部材との間において電荷の移動が可能である、車両の車輪支持装置。

請求項5

請求項1に記載の車両の車輪支持装置において、前記軸受は前記回転軸と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有し、前記特定の部材は前記付属部材であり、前記付属部材はブレーキバックプレートを含み、前記自己放電式除電器は前記ブレーキバックプレートに設けられており、前記静止レース部材と前記ブレーキバックプレートとの間において電荷の移動が可能である、車両の車輪支持装置。

請求項6

請求項1乃至5の何れか一つに記載の車両の車輪支持装置において、前記車輪は駆動輪であり、前記軸受は前駆動輪と共に回転する回転軸を回転可能に支持し、車輪用駆動軸からの駆動力ユニバーサルジョイントを経て前記回転軸へ伝達される、車両の車輪支持装置。

請求項7

請求項1乃至5の何れか一つに記載の車両の車輪支持装置において、前記自己放電式除電器は、外周の側面に多数の微小凹凸を有する導電性金属箔と、該金属箔の一方の面に付着された粘着剤の層とを有し、前記粘着剤の層による接着により前記特定の部材に固定されている、車両の車輪支持装置。

技術分野

0001

本発明は、車両の車輪支持装置係り、特に車輪を回転可能に支持する軸受を含む車輪支持装置に係る。

背景技術

0002

自動車などの車両が走行すると、空気が車両に摩擦接触する状態にて流れることに起因して車両に静電気が発生する。また、車輪の回転に伴ってタイヤの各部が路面に対し繰り返し接触及び剥離を繰り返すこと、エンジン及びブレーキ装置などにおいて構成部品相対運動することなどによっても、静電気が発生する。

0003

車両は導電性が低いタイヤによって大地から実質的に電気絶縁された状態にあるため、車両に静電気が発生すると、電荷(一般的には正の電荷)が車体などに帯電する。電荷が車体などに帯電するとラジオノイズが生じ易くなるため、車両に帯電した電荷を低減する構造が従来研究され、種々の構造が提案されている。

0004

例えば、下記の特許文献1には、インナレース部材と、アウタレース部材と、これらのレース部材の間に介装された複数の転動体とを有する軸受装置であって、一方のレース部材に接触する弾性部材を含むシール装置を有し、軸受装置の内部が導電性グリースにて充填された軸受装置が記載されている。

先行技術

0005

特開2006−234093号公報
特開2008−181694号公報

0006

〔発明が解決しようとする課題〕
上記特許文献1に記載されているような軸受装置においては、グリースは導電性を有するので、グリースからレース部材へ電荷を移動させることはできる。しかし、電荷が車体などに帯電している状況においては、軸受装置の周囲の部材にも電荷が帯電しているため、レース部材から周囲の部材へ電荷を移動させることができない。そのため、グリースに電荷が帯電することを効果的に防止することができない。レース部材から周囲の部材へ電荷を移動させるためには、例えば上記特許文献2に記載された静電気除去装置のような特別な装置により、軸受装置の周囲の部材に帯電する電荷をアーシングによって除去する必要がある。

0007

本願発明者が行った実験的研究により、静電気除去装置のような特別な装置によりレース部材から軸受装置の周囲の部材へ電荷を移動させるのではなく、空気イオン変換型自己放電式除電器によって電荷を空気中へ放電させることにより除去できることが解った。

0008

本発明は、従来の軸受装置における上記問題に着目してなされたものである。そして、本発明の主要な課題は、静電気除去装置のような特別な装置を要することなく、車輪支持装置の軸受内のグリースに帯電する電荷を除去し、これにより電荷の帯電に起因してグリースの粘性が高くなって軸受内の粘性抵抗が高くなることを防止することである。

0009

〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、車輪を回転可能に支持する軸受と、前記軸受を支持する軸受支持部材とを含み、前記軸受は潤滑剤にて潤滑された車両の車輪支持装置において、前記軸受、前記軸受支持部材及び前記軸受支持部材に当接した状態にて接続された付属部材の少なくとも何れかである特定の部材の表面に自己放電式除電器が設けられた車両の車輪支持装置が提供される。前記自己放電式除電器は、前記特定の部材に帯電する正の電荷の帯電量に応じて、前記自己放電式除電器の周囲の空気を負の空気イオンに変化させ、前記空気イオンを前記特定の部材の正の電荷に引き寄せて中和させることにより除電し、前記特定の部材の帯電量を低下させることにより、前記潤滑剤の帯電量を低下させるよう構成された空気イオン変換型自己放電式除電器である。

0010

車体などに電荷が帯電すると軸受内のグリースのような潤滑剤に電荷が帯電する理由及びオイルに電荷が帯電すると潤滑剤の粘性が高くなる原因は必ずしも明確ではないが、主な理由及び原因は以下の通りであると考えられる。軸受は車輪と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、回転レース部材と静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有し、静止レース部材及び回転レース部材はそれぞれ非回転支持部材及び回転支持部材により支持されている。非回転支持部材はサスペンション部材などを介して車体に接続され、回転支持部材は車輪に接続されている。

0011

よって、車体などに電荷が帯電すると、電荷が非回転支持部材及び回転支持部材を経てそれぞれ静止レース部材及び回転レース部材へ移動する。静止レース部材及び回転レース部材に帯電する電荷の量が多くなると、それらの電荷の一部が軸受内の潤滑剤へ移動し、その結果潤滑剤に電荷が帯電する。潤滑剤に電荷が帯電すると、潤滑剤の分子の自由度を低下させ、このことが潤滑剤の粘性を高くすると推定される。

0012

上記の構成によれば、軸受、軸受支持部材及び軸受支持部材に当接した状態にて接続された付属部材の少なくとも何れかである特定の部材の表面に自己放電式除電器が設けられている。この除電器は、その周囲の空気を負の空気イオンに変化させ、空気イオンを特定の部材の正の電荷に引き寄せて中和させることにより除電し、特定の部材の帯電量を低下させる。よって、軸受内の潤滑剤に帯電する電荷が特定の部材へ移動することにより潤滑剤の帯電量が低下するので、潤滑剤の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して高くなり軸受内の粘性抵抗が高くなることを防止することができる。

0013

なお、上記の構成によれば、複雑な構造の静電気除去装置は不要であり、静電気除去装置を導線によりバッテリマイナス端子及び車体に接続することも不要である。また、自己放電式除電器は、特定の部材に帯電する電荷を利用して所謂自己放電を行い得る例えば薄い導電体であってよいので、静電気除去装置を設置する場合のような大きいスペースは不要である。但し、本発明の車輪支持装置が組み込まれた車両に、静電気除去装置が設置されてもよい。

0014

本発明によれば、上記の構成において、前記軸受は前記車輪と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有している。前記特定の部材は前記軸受支持部材であり、前記軸受支持部材は前記回転レース部材を支持する回転支持部材を含んでいる。前記自己放電式除電器は前記回転支持部材に設けられており、前記回転レース部材と前記回転支持部材との間において電荷の移動が可能であってよい。

0015

上記の構成によれば、特定の部材は軸受支持部材であり、自己放電式除電器は軸受支持部材の回転支持部材に設けられており、回転レース部材と回転支持部材との間において電荷の移動が可能である。よって、自己放電式除電器による除電によって回転支持部材の帯電量を低下させることにより、軸受内の潤滑剤に帯電する電荷が回転レース部材を経て回転支持部材へ移動するので、潤滑剤の帯電量を低下させることができる。

0016

また、本発明によれば、上記の構成において、前記軸受は前記回転軸と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有している。前記特定の部材は前記軸受支持部材であり、前記軸受支持部材は前記静止レース部材を支持する非回転支持部材を含んでいる。前記自己放電式除電器は前記非回転支持部材に設けられており、前記静止レース部材と前記非回転支持部材との間において電荷の移動が可能であってよい。

0017

上記の構成によれば、特定の部材は軸受支持部材であり、自己放電式除電器は軸受支持部材の非回転支持部材に設けられており、静止レース部材と非回転支持部材との間において電荷の移動が可能である。よって、自己放電式除電器による除電によって非回転支持部材の帯電量を低下させることにより、軸受内の潤滑剤に帯電する電荷が静止レース部材を経て非回転支持部材へ移動するので、潤滑剤の帯電量を低下させることができる。

0018

また、本発明によれば、上記の構成において、前記軸受は前記回転軸と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体と、前記軸受の端部において前記回転レース部材と前記静止レース部材との間をシールする樹脂製のシール部材を有している。前記特定の部材は前記軸受であり、前記自己放電式除電器は前記シール部材に設けられており、前記回転レース部材及び前記静止レース部材の少なくとも一方と前記シール部材との間において電荷の移動が可能であってよい。

0019

上記の構成によれば、特定の部材は軸受であり、自己放電式除電器はシール部材に設けられており、回転レース部材及び静止レース部材の少なくとも一方とシール部材との間において電荷の移動が可能である。よって、自己放電式除電器による除電によってシール部材の帯電量を低下させることにより、軸受内の潤滑剤に帯電する電荷がシール部材へ移動するので、シール部材の近傍に存在する潤滑剤の帯電量を低下させることができる。また軸受内の潤滑剤に帯電する電荷が回転レース部材及び静止レース部材の少なくとも一方を経てシール部材へ移動するので、シール部材から離れた領域に存在する潤滑剤の帯電量を低下させることができる。更に、シール部材は樹脂製であるので、シール部材が例えばゴムのような樹脂以外の材料にて形成されている場合に比して、シール部材に帯電する電荷の量が高くなるので、自己放電式除電器による除電作用を高くして効率的に潤滑剤の帯電量を低下させることができる。

0020

また、本発明によれば、上記の構成において、前記軸受は前記回転軸と共に回転する回転レース部材と、静止レース部材と、前記回転レース部材と前記静止レース部材との間に介装された複数の転動体とを有している。前記特定の部材は前記付属部材であり、前記付属部材は前記軸受支持部材により支持されたブレーキバックプレートを含んでいる。前記自己放電式除電器は前記ブレーキバックプレートに設けられており、前記静止レース部材と前記ブレーキバックプレートとの間において電荷の移動が可能であってよい。

0021

上記の構成によれば、特定の部材は付属部材であり、自己放電式除電器は付属部材の一つであるブレーキバックプレートに設けられており、静止レース部材とブレーキバックプレートとの間において電荷の移動が可能である。よって、自己放電式除電器による除電によってブレーキバックプレートの帯電量を低下させることにより、軸受支持部材に帯電する電荷がブレーキバックプレートへ移動する。その結果軸受内の潤滑剤に帯電する電荷がレース部材を経て軸受支持部材へ移動するので、潤滑剤の帯電量を低下させることができる。

0022

また、本発明によれば、上記の構成において、車輪は駆動輪であり、前記軸受は前記駆動輪と共に回転する回転軸を回転可能に支持し、車輪用駆動軸からの駆動力ユニバーサルジョイントを経て前記回転軸へ伝達されるようになっていてよい。

0023

上記の構成によれば、自己放電式除電器による除電によって軸受の帯電量を低下させることにより、回転軸に帯電する電荷が軸受へ移動するので、ユニバーサルジョイントに帯電する電荷の量も低減することができる。よって、ユニバーサルジョイントなどに自己放電式除電器を設けることなく、ユニバーサルジョイント内の潤滑剤に帯電する電荷の量を低減し、これによりユニバーサルジョイント内の潤滑剤の粘性が電荷の帯電に起因して過剰に高くなることを防止することができる。

0024

また、本発明によれば、上記の構成において、前記自己放電式除電器は、外周の側面に多数の微小凹凸を有する導電性の金属箔と、該金属箔の一方の面に付着された接着剤の層とを有し、前記接着剤の層による接着により前記特定の部材に固定されていてよい。

0025

上記の構成によれば、特定の部材の表面に除電を行う金属箔を接着により容易に固定することができる。更に、金属箔は、全面に亘り粘着剤の層を介して特定の部材に密着するので、特定の部材から金属箔への電荷の移動を効率的に行わせることができ、除電の効果を高くすることができる。

図面の簡単な説明

0026

マクファーソンストラットフロントサスペンションに適用された本発明の第一の実施形態にかかる車輪支持装置を車両の後方より見た状態にて示す概略図である。
図1に示された車輪支持装置の一部を分解して示す斜視図である。
図1に示された車輪支持装置の要部を概略的に示す拡大部分断面図である。
図1に示された車輪側のユニバーサルジョイントを示す拡大断面図である。
接着前の自己放電式除電器を示す拡大断面図である。
軸受のインナレース及びアウタレース、ナックルアクスルハブ及びグリースの正の電荷の帯電に起因する電位の関係を示す図である。
自己放電式除電器による除電のメカニズムを示す模式的な説明図であリ、(A)及び(B)はそれぞれ断面図及び平面図である。
ツイストビームリヤサスペンション120に適用された本発明の第二の実施形態にかかる車輪支持装置を車両の斜め前方より見た状態にて示す分解斜視図である。
図8に示された車輪支持装置0の要部を示す拡大部分断面図である。
マクファーソンストラット式フロントサスペンションに適用された本発明の第三の実施形態にかかる車輪支持装置の要部を示す拡大部分断面図である。

実施例

0027

以下に添付の図を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。

0028

[第一の実施形態]
図1は、マクファーソンストラット式フロントサスペンションに適用された本発明の第一の実施形態にかかる車輪支持装置10を車両の後方より見た状態にて示す概略図、図2は、図1に示された車輪支持装置10の一部を分解して示す斜視図である。

0029

これらの図に於いて、車輪支持装置10は、車輪12を回転軸線14の周りに回転可能に支持する軸受16と、軸受16を支持する回転支持部材としてのナックル18とを有している。ナックル18はサスペンション部材としてのマクファーソンストラット20により車両21の車体22に連結されている。マクファーソンストラット20は、シリンダ24とピストン26とを含むショックアブソーバ28を有している。ピストン26は、軸線24Aに沿ってシリンダ24に対し往復動可能にシリンダ24に嵌合している。ピストン26のロッド部26Rはシリンダ24の上端を貫通して上方へ延在している。

0030

なお、本明細書において説明する部材は、特に構成材料について言及する部材を除き、鋼などの導電性を有する金属にて形成されている。更に、金属製の部材の大気に曝される部位は、耐久性を向上させるべく、塗装されており、表面は非導電性塗膜にて覆われている。

0031

ショックアブソーバ28は、ロッド部26Rの上端部にてアッパサポート30により車体22に連結され、シリンダ24の下端部に固定されたブラケット34によりナックル18の上端部に連結されている。なお、サスペンションがマクファーソンストラット式以外のサスペンションである場合には、ショックアブソーバ28の下端部は、図には示されていないゴムブッシュ装置によりナックル18又はサスペンションアームのような他のサスペンション部材に連結されてもよい。

0032

ナックル18の下端部には、サスペンションアームとしてのコントロールアームロアアーム)36の外端ボールジョイント38を介して枢動可能に連結されている。図示の実施形態においては、コントロールアーム36は外端に加えて内端及び後端を有するL形アームであり、内端及び後端はそれぞれゴムブッシュ装置40、42を介して車体のブラケット(図示せず)により揺動可能に支持されている。コントロールアーム36の外端に設けられたボールジョイント38のボール部の中心及びアッパサポート30の中心は互いに共働してキングピン軸44を郭定している。従って、車輪12はキングピン軸44の周りに図には示されていないパワーステアリング装置によりタイロッドを介して駆動され、これにより操舵される。

0033

図1には詳細に示されていないが、ピストン26のロッド部26Rの上端部は、アッパスプリングシート46を貫通して延在し、アッパスプリングシート46はロッド部26Rに固定されている。アッパスプリングシート46とシリンダ24に固定されたロアスプリングシート48との間には、サスペンションスプリングとしての圧縮コイルばね50が弾装されている。

0034

図3に示されているように、軸受16は、回転レース部材としてのインナレース52と、静止レース部材としてのアウタレース54と、インナレース52とアウタレース54との間に介装された複数の転動体としてのボール56とを有している。インナレース52は、アクスルハブ58の回転軸線14に沿って延在するスリーブ部58Sの周りに配置され、スリーブ部58Sに例えば圧入により固定されている。インナレース52の一部はスリーブ部58Sにより形成されていてもよい。アクスルハブ58は、ナックル18と共働して軸受16を支持する回転支持部材を構成している。

0035

アウタレース54の一端にはフランジ部54Fが設けられており、アウタレース54のフランジ部54F以外の部分はナックル18に設けられた軸受支持孔60に密に挿入されている。フランジ部54Fとナックル18との間には、ブレーキバックプレート62の内周部が介装されている。フランジ部54F及びブレーキバックプレート62は、それらに挿通されたボルト64によりナックル18に取り付けられており、よってブレーキバックプレート62は非回転支持部材としてのナックル18に接続された付属部材の一つである。

0036

軸受16の内部空間には、潤滑剤としてのグリース66が充填され、ボール56とインナレース52及びアウタレース54との間の摩擦がグリース66によって低減されるようになっている。軸受16の両端には、樹脂製のシール部材68が配置され、例えば圧入によりアウタレース54に固定されている。よって、アウタレース54とシール部材68との間にて電荷の移動が可能である。

0037

なお、シール部材68がインナレース52と摺動接触することにより、インナレース52とシール部材68との間においても電荷の移動が可能であってよい。シール部材68は、グリース66が軸受16外へ流出することを防止すると共に、軸受16内へ粉塵及び泥水などが侵入することを防止する。更に、グリース66は電荷の移動が容易に行われるよう、導電性を有していることが好ましいが、グリース66が導電性を有していなくても、グリースに帯電する電荷の除去が可能である。

0038

アクスルハブ58はフランジ部58Fを有し、フランジ部58Fには5本のハブボルト70が例えば圧入により固定されている。各ハブボルト70はフランジ部58Fに対しナックル18から離れる方向へ突出し、ブレーキディスク72の内周部に設けられたボルト孔及び車輪12のホイール部材74の内周部に設けられたボルト孔に挿通されている。各ハブボルト70の先端にはナット76が螺合し、これによりブレーキディスク72及びホイール部材74はアクスルハブ58と一体的に連結されている。図2に示されているように、ナックル18にはブレーキキャリパアセンブリ78が取り付けられており、ブレーキキャリパアセンブリ78に設けられたブレーキパッド(図示せず)がブレーキディスク72に押し付けられることにより制動力が発生される。

0039

再び図1を参照すると、ホイール部材74の外周のリム部74Rにはゴムなどよりなるタイヤ80が装着されており、ホイール部材74及びタイヤ80は車輪12を構成している。図1及び図2に示されているように、車輪12は操舵輪であると共に駆動輪であり、回転軸線14の周りに回転するアクスル82が軸受16のインナレース52に挿通されている。アクスル82及びインナレース52は互いに相対回転しないようスプライン係合し、アクスル82はその先端に螺合するハブナット84によりアクスルハブ58と一体的に連結されている。図1に示されているように、アクスル82の内端はユニバーサルジョイント86により中間軸88の外端に連結され、中間軸88の内端はユニバーサルジョイント90により前輪用駆動軸92の外端に連結されている。図には示されていないが、車両の走行時には車両の駆動源から駆動力伝達系を経て駆動軸92へ駆動力が供給される。

0040

ユニバーサルジョイント86及び90は実質的に同一の周知の構成を有している。よって、ユニバーサルジョイント86についてのみ説明する。図4に示されているように、ユニバーサルジョイント86は、ソケット状外輪94と、球状の内輪96と、外輪94と内輪96との間に配置された複数のボール98とを含んでいる。外輪94はアクスル82の内端と一体に形成され、内輪96は中間軸88の外端部に例えば圧入により固定されている。各ボール98は、それぞれ外輪94及び内輪96に設けられた外輪ボール溝及び内輪ボール溝内に部分的に入れられた状態で、ケージ100により保持されている。

0041

中間軸88の駆動力は内輪96、複数のボール98及び外輪94を経てアクスル82へ伝達される。アクスル82及び中間軸88はユニバーサルジョイント86の中心Oの周りに互いに他に対し枢動可能である。ユニバーサルジョイント86の内部空間には、潤滑剤としてのグリース102が充填され、ボール98と外輪94及び内輪96との間の摩擦がグリース102によって低減されるようになっている。ダストブーツ104が一端にて外輪94に取り付けられ、他端にて中間軸88に取り付けられている。ダストブーツ104は、ユニバーサルジョイント86内へ粉塵及び泥水などが侵入することを防止する。

0042

以上の説明から解るように、軸受16、ナックル18及びアクスルハブ58などは、車輪12を回転軸線14の周りに回転可能に支持する車輪キャリアとして機能する。車両が走行する際には、車輪12は車体22に対し上下運動し、キングピン軸44の周りに操舵運動することが避けられない。ユニバーサルジョイント86及び90は互いに共同して等速ジョイントとして機能し、車輪12に駆動力が供給される状況を確保しつつ、車輪12の上下運動及び操舵運動を許容する。

0043

図3に示されているように、アクスルハブ58のフランジ部58Fの円筒状の表面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Aが周方向に延在するよう接着により固定されている。ナックル18の車両横方向の外面及びブレーキバックプレート62の車両横方向の内面には、短冊状をなす自己放電式除電器110B及び110Cが径方向に垂直に延在するよう接着により固定されている。更に、車両横方向の内側のシール部材68の外面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Dが周方向に延在するよう接着により固定されている。

0044

自己放電式除電器110A〜110Dは同一の構造を有している。よって、接着前の除電器110Aの断面を示す図5を参照して除電器110Aについてのみ説明する。除電器110Aは、導電性の金属箔112に導電性の粘着剤114が付着され、粘着剤114を覆う剥離紙116が粘着剤114に取り付けられた複合シートが所定の大きさ及び形状に剪断されることにより形成されている。除電されるべき部材に対する除電器110Aの固定は、剥離紙116を剥取り、金属箔112を粘着剤114にて部材に接着することにより行われる。

0045

後に詳細に説明するように、金属箔112の主として側面112A、即ち金属箔の厚さ方向に沿う面が、後述の除電現象における放電面として機能する。よって、金属箔112の側面112Aは、除電現象が効率的に行われるよう、微小な突起部のような多数の凸部112Bを有することが好ましい。また、金属箔112の表面112C(図5の上面)に表面粗さを増大させる加工が施されることにより、金属箔112の表面に微小な突起部のような多数の凸部が形成されてもよい。

0046

後に詳細に説明するように、金属箔112は導電性を有する任意の金属にて形成されてよいが、アルミニウム、金、銀、銅又はそれらの合金にて形成されることが好ましい。特に、この実施形態のように、除電器が金属部材に固定される場合には、除電器の金属箔は、金属部材を構成する金属材料よりも高い導電性を有することが好ましい。更に、金属箔112の側面が十分に放電面として機能するに足る厚さを有すると共に、曲面にも柔軟に対応するよう変形させて固定することができるよう、金属箔の厚さは約50〜200μm程度であることが好ましい。

0047

なお、除電器110Aの平面形状は、短冊状の長方形に限定されず、長方形以外の多角形円形又は楕円形のような任意の形状であってよいが、廃棄される部分がないよう剪断することができる形状、例えば長方形、正方形ひし形及び六角形などであることが好ましい。また、除電器110Aの大きさは、それが適用される部位に応じて適宜設定されてよいが、除電器110Aが例えば長方形である場合には、短辺が数mm〜十数mm程度であり、長辺が数十mm〜100mm程度であってよい。

0048

前述のように、車両21が走行すると、車両には正の電荷が帯電するので、車輪支持装置10を構成する軸受16及びナックル18などの部材にも正の電荷が帯電する。電荷の帯電量は金属部材よりも樹脂部材において高く、金属部材よりも油剤において低い。車輪支持装置10の場合には、樹脂製のシール部材18の帯電量は、金属製の軸受16、ナックル18及びアクスルハブ58の帯電量よりも高いが、グリース66の帯電量は、軸受16、ナックル18及びアクスルハブ58の帯電量よりも低い。

0049

よって、除電器110Aなどによる除電が行われない場合には、軸受16のインナレース52及びアウタレース54、ナックル18、アクスルハブ58及びグリース66の正の電荷の帯電に起因する電位の関係は、図6において実線にて示された関係であると考えられる。前述のように、タイヤ80が路面に対し繰り返し接触及び剥離を繰り返すことにより、車輪12には正の電荷が発生し帯電する。車輪12に帯電した正の電荷は、軸受16、ナックル18及びアクスルハブ58へ移動し、軸受16のインナレース52及びアウタレース54からグリース66にも移動する。

0050

上記の部材及び部位のうちグリース66の電位が最も低いが、軸受16のインナレース52及びアウタレース54の帯電量が高くなると、それらの部材に帯電する電荷がグリース66へ移動し、その結果グリース66の帯電量も高くなって、その粘性が高くなる。グリース66の粘性が高くなると、車輪12が回転する際の軸受16内の粘性抵抗も高くなる。よって、除電器110Aなどによる除電によって、グリース66の帯電量が低下されることが好ましい。

0051

図7は、除電器110Aによる除電のメカニズムを示す模式的な説明図であり、除電器110Aによる除電は、図7に示されたメカニズムにより行われると推定される。なお、図7において、「+」及び「−」はそれぞれ正及び負の電荷又はイオンを示し、「0」は電荷が0であること、即ち電気的に中和された状態にあることを示している。また、実線の矢印は空気の流動を示し、破線の矢印は電荷又はイオンの移動を示している。

0052

空気は正の電荷を帯びているが、アクスルハブ58における正の電荷の帯電量が非常に多くなると、除電器110Aの周囲、特に多数の凸部112Bを有する金属箔112の側面112Aの周囲において、空気が所謂コロナ放電により正の空気イオンと負の空気イオンとに分離される。正の空気イオンは、アクスルハブ58に帯電する正の電荷との間に作用する斥力により、アクスルハブ58から遠ざかるよう移動する。これに対し、負の空気イオンは、アクスルハブ58に帯電する正の電荷との間に作用するクーロン力によって引き寄せられることにより、アクスルハブ58に近づくよう移動し、アクスルハブ58に帯電する正の電荷は負の空気イオンに近づくよう移動する。

0053

その結果、負の空気イオンと正の電荷との間において電気的中和が生じ、負の空気イオン及び正の電荷が消滅し、空気の電荷が0になる。以上の現象は繰り返し連続的に生じるので、アクスルハブ58に帯電する正の電荷が低減されることによりアクスルハブ58が除電される。なお、空気がコロナ放電により正の空気イオンと負の空気イオンとに分離される事象などは、アクスルハブ58の帯電量が高いほど活発になり、よって、除電の作用は帯電量が高いほど活発になると推定される。また、除電器110Aによる除電は、図7に示されているように、一方向に空気が流動する状況に限られない。

0054

図7(A)の下方部は、ブレーキバックプレート62に固定された除電器110Cのように、除電器が板状の部材に固定された場合において、板状の部材に対し除電器とは反対の側における除電のメカニズムを示している。図示のように、板状の部材に対し除電器とは反対の側においても除電が行われる。

0055

本願発明者が行った実験的研究の結果によれば、除電器110Aの金属箔112(厚さ200μmのアルミ箔)が前述の寸法の長方形又はこれと同程度の大きさの他の形状である場合には、上記除電の効果が及ぶ面方向の範囲は、金属箔112の中央Pcから半径50mm程度の範囲である。また、上記除電の効果が及ぶ厚さ方向の範囲は、上記面方向の除電の効果が及ぶ範囲内にて金属箔112の貼着面から数mm〜十数mm程度の範囲である。なお、除電の効果が及ぶ範囲は、正の電荷の帯電量などの状況に応じて変化する。アクスルハブ58などの部材に対する除電器110A〜110Dの接着面は、それぞれ対応する除電器による除電の効果が及ぶ範囲内にある。

0056

図6において二点鎖線にて示されているように、除電器110Aによる除電により、アクスルハブ58及びインナレース52に帯電する正の電荷が低減されてアクスルハブ58及びインナレース52の電位が低下される。よって、グリース66に帯電する正の電荷がインナレース52へ移動することによって低減され、グリース66の電位が低下される。同様に、除電器110Bによる除電により、ナックル18及びアウタレース54に帯電する正の電荷が低減されてナックル18及びアウタレース54の電位が低下される。よって、グリース66に帯電する正の電荷がアウタレース54へ移動することによって低減され、グリース66の電位が低下される。

0057

アウタレース54の電位は、除電器110C及び110Dによる除電により、それぞれブレーキバックプレート62及びシール部材68に帯電する正の電荷が低減され、ブレーキバックプレート62及びシール部材68の電位が低下されることによっても低下される。更に、除電器110Dは、それに接するグリース66に帯電する正の電荷を低減し、シール部材68を介してインナレース52に帯電する正の電荷を低減する。

0058

なお、ナックル18のように塗装された金属部材の場合には、塗膜にも電荷が帯電するが、除電器に近い塗膜に帯電する電荷は除電器へ移動することによって低減される。また、金属部材に帯電する電荷は、塗膜を通過して除電器へ移動することによって低減される。更に、除電器から離れた部位の塗膜に帯電する電荷は、一旦金属部材へ移動して金属部材内を移動し、金属部材から塗膜を通過して除電器へ移動する。

0059

従って、第一の実施形態によれば、軸受16内のグリース66に正の電荷が過剰に帯電することを防止することができる。よって、グリース66の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して過剰に高くなり車輪12の回転に伴う軸受16内の粘性抵抗が過大になることを防止することができる。

0060

特に、第一の実施形態によれば、車輪12は駆動輪であり、アクスル82はアクスルハブ58に一体的に連結されると共に、内端にてユニバーサルジョイント86により中間軸88の外端に連結されている。除電器110Aによる除電により、アクスルハブ58に帯電する正の電荷が低減されるので、ユニバーサルジョイント86の外輪94に帯電する正の電荷が低減される。よって、外輪94内のグリース102に帯電する正の電荷が低減されるので、グリース102の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して過剰に高くなりアクスル82及び中間軸88の回転に伴うユニバーサルジョイント86内の粘性抵抗が過大になることを防止することができる。

0061

[第二の実施形態]
図8は、ツイストビーム式リヤサスペンション120に適用された本発明の第二の実施形態にかかる車輪支持装置10を車両の斜め前方より見た状態にて示す分解斜視図、図9は、図8に示された車輪支持装置10の要部を示す拡大部分断面図である。なお、図8及び図9において、図1乃至図3に示された部材に対応する部材には、これらの図において付された符号と同一の符号が付されている。

0062

図8に示されたツイストビーム式リヤサスペンション120は、車両の横方向に互いに隔置されて車両の前後方向に延在する左右のトレーリングアーム122L及び122Rと、これらのトレーリングアームを一体に接続するツイストビーム124とを有している。図8において略図にて示されているように、トレーリングアーム122L及び122Rの前端は、車体22又はサブフレーム(図示せず)に設けられたブラケット126L及び126Rによりゴムブッシュ(図示せず)を介して軸線128L及び128Rの周りに枢動可能に支持されている。

0063

トレーリングアーム122L及び122Rの後端部には、車輪取付け用のブラケット130L及び130Rが例えば溶接により一体的に固定されている。ブラケット130L及び130Rは、実質的に車両の前後方向及び鉛直方向に沿って延在している。ブレーキキャリパアセンブリ78はブラケット130L及び130Rに取り付けられている。図8においては左後輪用の車輪支持装置10のみが図示されているが、左右の後輪の車輪支持装置10は、車両の前後方向の中心線に対し互いに左右対称をなす点を除き、互いに同一の構造を有している。よって、これ以降は左後輪の車輪支持装置10についてのみ説明する。

0064

図9に示されているように、車輪支持装置10は、回転軸線14に整合する軸受16と、スリーブ部58Sにて軸受16の内側に嵌合するアクスルハブ58とを含んでいる。この実施形態においても、軸受16のインナレース52はスリーブ部58Sの周りに配置され、例えばスリーブ部58Sの内端部カシメられることにより、スリーブ部58Sに固定されている。しかし、アクスルハブ58にはアクスルが嵌合しておらず、アクスルハブ58自体が回転軸として機能することにより、車輪12のホイール部材74及びブレーキディスク72と共に回転軸線14の周りに回転する。なお、スリーブ部58Sに対するインナレース52の固定は、例えばボルト締結のように、カシメ以外の手段であってもよい。

0065

軸受16及びアクスルハブ58のスリーブ部58Sの内端部はトレーリングアーム122Lの後端部に挿入されており、軸受16のアウタレース54のフランジ部54Fはブラケット130Lに対し車両の横方向外側に配置されている。フランジ部54Fとブラケット130との間には、ブレーキバックプレート62の内周部が配置されており、フランジ部54F及びブレーキバックプレート62はボルト64によりブラケット130Lに固定されている。トレーリングアーム122Lの内部には、複数のリブ132が一体に設けられており、軸受16のアウタレース54はこれらのリブ132によって位置決めされ保持されるようになっている。

0066

以上の説明から解るように、インナレース52は軸受16の回転レース部材であり、よってアクスルハブ58は軸受16を支持する回転支持部材として機能する。これに対し、アウタレース54は軸受16の静止レース部材であり、よってブラケット130などは軸受16を支持する静止支持部材として機能する。

0067

図9に示されているように、この実施形態においても、アクスルハブ58のフランジ部58Fの円筒状の表面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Aが周方向に延在するよう接着により固定されている。ブレーキバックプレート62の車両横方向の内面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Cが径方向に垂直に延在するよう接着により固定されている。車両横方向の外側のシール部材68の外面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Dが周方向に延在するよう接着により固定されている。更に、ブラケット130Lの車両横方向に延在する外周面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Bが外周方向に延在するよう接着により固定されている。アクスルハブ58などの部材に対する除電器110A〜110Dの接着面は、それぞれ対応する除電器による除電の効果が及ぶ範囲内にある。

0068

従って、除電器110Bによりブラケット130L及び軸受16のアウタレース54に帯電する正の電荷が低減される点を除き、第一の実施形態と同様に、除電器110A〜110Dによりインナレース52、アウタレース54及びシール部材68に帯電する正の電荷が低減される。よって、軸受16内のグリース66に正の電荷が過剰に帯電することを防止することができる。従って、グリース66の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して過剰に高くなり車輪12の回転に伴う軸受16内の粘性抵抗が過大になることを防止することができる。

0069

特に、第二の実施形態によれば、軸受16のアウタレース54は、トレーリングアーム122Lの後端部に一体的に固定されたブラケット130Lに取り付けられている。よって、軸受の静止レース部材がサスペンションアームに一体的に固定された軸受支持部材である場合にも、軸受内のグリースに正の電荷が過剰に帯電することを防止することができることが解る。

0070

[第三の実施形態]
図10は、マクファーソンストラット式フロントサスペンション140に適用された本発明の第三の実施形態にかかる車輪支持装置10の要部を示す拡大部分断面図である。なお、図10において、図1乃至図3に示された部材に対応する部材には、これらの図において付された符号と同一の符号が付されている。

0071

図10に示されたフロントサスペンション140は、従動前輪用のサスペンションである。ナックル18には回転軸線14に沿って延在するスピンドル142が一体に設けられている。軸受16はアクスルハブ58のスリーブ部58Sの内側に嵌合し、アウタレース54がスリーブ部58Sに圧入されることにより、スリーブ部58Sに固定されている。軸受16のインナレース52はスピンドル142に嵌合し、インナレース52とスピンドル142との間には一端に鍔部144Aを有するスリーブ144が介装されている。アクスルハブ58のフランジ部58Fには、第一及び第二の実施形態と同様に、ブレーキディスク72及び車輪12のホイール部材74が取り付けられている。

0072

スピンドル142の先端にはハブナット84が螺合し、ハブナット84は鍔部144Aを介してインナレース52をスピンドル142の大径の根元部142Bとの間に挟んだ状態にて保持している。図10には示されていないが、インナレース52及び根元部142Bは互いに係合する突起と窪みなどの手段により、回転軸線14の周りに相対回転しないよう係合している。よって、ナックル18は、スピンドル142により軸受16を介してアクスルハブ58、ブレーキディスク72及びホイール部材74を回転軸線14の周りに回転可能に支持している。従って、この第三の実施形態においては、インナレース52は車輪12を回転軸線14の周りに回転可能に支持する軸受の静止レースとして機能し、アウタレース54は軸受の回転レースとして機能する。

0073

以上の説明から解るように、インナレース52は軸受16の静止レース部材であり、よってスピンドル142を有するナックル18及びスリーブ144などは軸受16を支持する静止支持部材として機能する。これに対し、アウタレース54は軸受16の回転レース部材であり、よってアクスルハブ58は軸受16を支持する回転支持部材として機能する。

0074

図10に示されているように、この実施形態においても、ナックル18の車両横方向の外面及びブレーキバックプレート62の車両横方向の内面には、短冊状をなす自己放電式除電器110B及び110Cが径方向に垂直に延在するよう接着により固定されている。車両横方向の内側のシール部材68の外面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Dが周方向に延在するよう接着により固定されている。更に、アクスルハブ58のスリーブ部58Sの表面には、短冊状をなす自己放電式除電器110Aが周方向に延在するよう接着により固定されている。アクスルハブ58などの部材に対する除電器110A〜110Dの接着面は、それぞれ対応する除電器による除電の効果が及ぶ範囲内にある。

0075

従って、第一の実施形態と同様に、除電器110A〜110Cによりインナレース52及びアウタレース54に帯電する正の電荷が低減される。更に、第一の実施形態と同様に、除電器110Dによりシール部材68に帯電する正の電荷が低減される。よって、軸受16内のグリース66に正の電荷が過剰に帯電することを防止することができる。従って、グリース66の粘性が過剰な電荷の帯電に起因して過剰に高くなり車輪12の回転に伴う軸受16内の粘性抵抗が過大になることを防止することができる。

0076

特に、第三の実施形態によれば、軸受16のインナレース52は非回転部材であるナックル18のスピンドル142に固定され、アウタレース54は回転部材であるアクスルハブ58のスリーブ部58Sに固定されている。よって、軸受16のインナレース52が静止レース部材であり、アウタレース54が回転レース部材である場合にも、軸受内のグリースに正の電荷が過剰に帯電することを防止することができることが解る。

0077

なお、上述の第一乃至第三の実施形態に係る車輪支持装置10について、本願発明者が行った実験により、以下の効果を確認することができた。即ち、自己放電式除電器110A〜110Dが設けられていない場合には、軸受16内のグリース66の電位は数百乃至千ボルト程度にまで上昇した。これに対し、第一の実施形態の構成によれば、グリース66の電位は数十ボルト程度にまでしか上昇せず、グリース66の適正な粘性を確保することができた。

0078

以上の説明から解るように、各実施形態における除電器110A〜110Dは、所謂イオン分離式の非アース型の自己放電式除電器である。即ち、除電器110Aなどは、コロナ放電により空気を正の空気イオンと負の空気イオンとに分離し、車輪支持装置10の構成部材に帯電する正の電荷と負の空気イオンとの電気的中和によって除電を行い、電気的なアースのための配線を必要としない。従って、前述の特許文献に記載された静電気除去装置が使用される場合に比して、車輪支持装置10における除電のための構造を単純化すると共に、除電を達成するために必要なコストを大幅に低減することができる。

0079

特に、第一乃至第三の実施形態によれば、除電器110A〜110Dによる除電により、インナレース52及びアウタレース54の両方に帯電する正の電荷が低減される。よって、インナレース52及びアウタレース54の一方に帯電する正の電荷しか低減されない場合に比して、グリース66に正の電荷が過剰に帯電することを効果的に防止することができる。

0080

また、第一乃至第三の実施形態によれば、樹脂製のシール部材68の表面に固定された除電器110Dによってシール部材68に帯電する正の電荷が低減され、シール部材68に接するグリース66に帯電する正の電荷が低減される。よって、シール部材68の表面に除電器が固定されていない場合に比して、グリース66に帯電する正の電荷を効果的に低減することができる。

0081

また、第一乃至第三の実施形態によれば、自己放電式除電器がアクスルハブ58などに設置される場合にも、除電器はそれらの部材に直接接着により固定される。よって、除電器を固定するための特別な部材を追加する必要がないので、車輪支持装置10の構造の複雑化やコストアップを将来することなく、軸受16内のグリース66の電荷の帯電量を低減することができる。なお、シール部材68はゴム製であっても、各実施形態の場合と同様に自己放電式除電器を固定することにより、グリース66の電荷の帯電量を低減できることが確認されている。

0082

更に、第一乃至第三の実施形態によれば、除電器110A〜110Dは、導電性の金属箔112に導電性の粘着剤114が付着されたテープの形態をなし、除電されるべき部材に対する除電器の固定は、金属箔112を粘着剤114にて部材に接着することにより行われる。よって、除電されるべき部材の表面に除電を行う金属箔を接着により容易に固定することができる。更に、粘着剤の層は導電性を有するので、粘着剤の層が導電性を有しない場合に比して、特定の部材から金属箔への電荷の移動を効率的に行わせ、これにより除電の効果を高くすることができる。なお、粘着剤の層の厚さが数十〜数百μm程度であれば、粘着剤の層が導電性を有していなくても、電荷は特定の部材から金属箔へ移動することができる。よって、粘着剤の層は導電性を有していなくてもよい。

0083

以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。

0084

例えば、上述の各実施形態においては、軸受16、軸受支持部材としてのナックル18及びナックル18に接続された付属部材としてブレーキバックプレート62に、自己放電式除電器110A〜110Dが固定されているが、除電器110A〜110Dの何れかが省略されてもよい。

0085

また、除電器が固定される位置、数及び延在方向は、上述の各実施形態における位置、数及び延在方向に限定されない。例えば、除電器110Aはアクスルハブ58のフランジ部58Fの側面に固定されてもよい。また、各実施形態において、周方向に延在するよう固定された除電器が径方向に沿って延在するよう固定されてもよい。

0086

また、上述の各実施形態においては、軸受16のインナレース52及びアウタレース54には自己放電式除電器は設けられていない。しかし、可能ならば、インナレース52及び/アウタレース54に自己放電式除電器が設けられてもよい。

0087

また、上述の各実施形態においては、軸受16は転動体がボールであるボールベアリングであるが、軸受はその転動体がロータであるロータベアリングであってもよい。また、軸受16の両端にはシール部材68が設けられているが、シール部材68が設けられていなくてもよい。

0088

また、上述の各実施形態においては、ブレーキディスク72が設けられており、よって車輪に制動力を付与する制動装置ディブレーキである。しかし、本発明の車輪支持装置は、制動装置がドラムブレーキである車両に適用されてもよい。

0089

更に、上述の第一及び第三の実施形態においては、サスペンションはマクファーソンストラット式フロントサスペンションであり、第二の実施形態においては、サスペンションはツイストビーム式リヤサスペンションである。しかし、本発明の車輪支持装置が適用される車両のサスペンションは、例えばダブルウイッシュボーン式のサスペンション、トレーリングアーム式のサスペンション、車軸式のサスペンションのような他の任意の形式のサスペンションであってもよい。

0090

10…車輪支持装置、12…車輪、16…軸受、18…ナックル、22…車体、52…インナレース、54…アウタレース、56…ボール、58…アクスルハブ、62…ブレーキバックプレート、66…グリース、68…シール部材、72…ブレーキディスク、74…ホイール部材、82…アクスル、86、90…ユニバーサルジョイント、110A〜110D…自己放電式除電器、ユニバーサルジョイント、112…金属箔、122L、122R…トレーリングアーム、130L、130R…ブラケット、142…スピンドル

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