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技術 光沢部材及びその製造方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 日野哲男高嶋健二山内一浩
出願日 2015年2月2日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-018344
公開日 2016年8月8日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-141041
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 合成繊維 紡糸方法及び装置
主要キーワード 軸体状 除電イオン 棒状金属 最長直線 解析コマンド 金色光沢 アクリル棒 分子軌道法計算
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

大掛かりな装置を用いずに製造することができ、かつ耐久性がよい光沢部材及びその製造方法を提供する。

解決手段

ポリマー基材10と、ポリマー基材10の上に配置されているポリマー繊維集合体11と、を有し、ポリマー繊維集合体11が、一定の方向に配向されているポリマー繊維12を有し、ポリマー基材10の構成材料の平均溶解度パラメータと、ポリマー繊維12が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータと、の差の絶対値が5(J/cm3)1/2未満であり、ポリマー繊維12の配向度が90%以上であり、ポリマー繊維12の繊維径が0.05μm以上5μm以下であり、ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下であり、かつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下であることを特徴とする、光沢部材1。

概要

背景

近年、有機材料から形成される金属調光沢膜は、金属を用いなくても金属調光沢を得られることから注目を集めている。

特許文献1には、有機材料から形成され金属調光沢を有する極細繊維集合体ナノファイバ膜)の製造方法が開示されている。特許文献1にて開示されているのは、高電圧を用いたナノファイバ作製方法であるエレクトロスピニング法を用いた金属調光沢繊維集合体(金属調光沢を有するナノファイバ膜)の製造方法である。また特許文献1によれば、下記(a)乃至(c)の少なくともいずれかの手段を用いて、回転体コレクタの表面に、一方向に並んだ極細繊維を、所定の幅、かつ所定の厚みで集成することにより、上記金属光沢繊維集合体が製造される。
(a)極細繊維(ナノファイバ)原料溶剤に溶かした溶液から繊維が引き出される部位である溶液離脱部位と回転体コレクタ間に高電圧を印加し、前記溶液離脱部位から、荷電された前記溶液を前記回転体コレクタに向かって噴射吸引する際に、前記回転体コレクタ上に直線的に巻き付けられる極細繊維に対して除電イオン照射して極細繊維の電荷中和する静電除去手段
(b)溶液離脱部位から回転体コレクタに至る紡糸空間電界を制御する電界制御手段
(c)回転体コレクタの回転により生じる回転体コレクタ表面の空気流によって、紡糸ジェット軌道が乱されることを抑制する空気流制御手段

概要

大掛かりな装置を用いずに製造することができ、かつ耐久性がよい光沢部材及びその製造方法を提供する。ポリマー基材10と、ポリマー基材10の上に配置されているポリマー繊維集合体11と、を有し、ポリマー繊維集合体11が、一定の方向に配向されているポリマー繊維12を有し、ポリマー基材10の構成材料の平均溶解度パラメータと、ポリマー繊維12が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータと、の差の絶対値が5(J/cm3)1/2未満であり、ポリマー繊維12の配向度が90%以上であり、ポリマー繊維12の繊維径が0.05μm以上5μm以下であり、ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下であり、かつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下であることを特徴とする、光沢部材1。

目的

本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、大掛かりな装置を用いずに製造することができ、かつ耐久性がよい光沢部材及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリマー基材と、前記ポリマー基材の上に配置されているポリマー繊維集合体と、を有し、前記ポリマー繊維集合体が、一定の方向に配向されているポリマー繊維を有し、前記ポリマー基材の構成材料の平均溶解度パラメータと、前記ポリマー繊維が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータと、の差の絶対値が5(J/cm3)1/2未満であり、前記ポリマー繊維の配向度が90%以上であり、前記ポリマー繊維の繊維径が0.05μm以上5μm以下であり、前記ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下であり、かつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下であることを特徴とする、光沢部材

請求項2

前記ポリマー繊維の配向度が95%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の光沢部材。

請求項3

前記ポリマー繊維の繊維径が0.05μm以上1μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光沢部材。

請求項4

前記ポリマー基材の構成材料と、前記ポリマー材料の少なくとも一部と、が同一の材料であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光沢部材。

請求項5

前記SOMOの絶対値が9eV以上10eV以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光沢部材。

請求項6

前記ポリマー繊維の配向度が95%以上であり、前記ポリマー基材の構成材料と、前記ポリマー材料と、が同一の材料であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光沢部材。

請求項7

前記ポリマー材料がホモポリマーであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光沢部材。

請求項8

エレクトロスピニング法を用いたポリマー繊維集合体を有する光沢部材の製造方法であって、溶液離脱部位からコレクタに至る紡糸空間電界を制御しつつ、前記溶液離脱部位からポリマー溶液吐出させる紡糸工程と、前記紡糸工程によって生じたポリマー繊維を前記コレクタで巻き取り、前記ポリマー繊維を配向させる配向工程と、を有し、前記コレクタがポリマー基材であり、前記コレクタとは離間し、かつ前記コレクタを挟み込むように配置される複数の電極を有し、前記紡糸工程において、前記溶液離脱部位へ印加する電圧とは逆の電圧を1秒以下のスイッチング速度で各前記電極へ交互に印加することを特徴とする、光沢部材の製造方法。

請求項9

各前記電極へ印加する電圧の絶対値が、前記溶液離脱部位へ印加する電圧の50%以下であることを特徴とする、請求項8に記載の光沢部材の製造方法。

請求項10

前記ポリマー基材の構成材料の平均溶解度パラメータと、前記ポリマー繊維集合体が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータと、の差の絶対値が5(J/cm3)1/2未満であり、前記ポリマー繊維が有するポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下であり、かつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下であり、前記ポリマー繊維の配向度が90%以上であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の光沢部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、光沢部材及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、有機材料から形成される金属調光沢膜は、金属を用いなくても金属調光沢を得られることから注目を集めている。

0003

特許文献1には、有機材料から形成され金属調光沢を有する極細繊維集合体ナノファイバ膜)の製造方法が開示されている。特許文献1にて開示されているのは、高電圧を用いたナノファイバ作製方法であるエレクトロスピニング法を用いた金属調光沢繊維集合体(金属調光沢を有するナノファイバ膜)の製造方法である。また特許文献1によれば、下記(a)乃至(c)の少なくともいずれかの手段を用いて、回転体コレクタの表面に、一方向に並んだ極細繊維を、所定の幅、かつ所定の厚みで集成することにより、上記金属光沢繊維集合体が製造される。
(a)極細繊維(ナノファイバ)原料溶剤に溶かした溶液から繊維が引き出される部位である溶液離脱部位と回転体コレクタ間に高電圧を印加し、前記溶液離脱部位から、荷電された前記溶液を前記回転体コレクタに向かって噴射吸引する際に、前記回転体コレクタ上に直線的に巻き付けられる極細繊維に対して除電イオン照射して極細繊維の電荷中和する静電除去手段
(b)溶液離脱部位から回転体コレクタに至る紡糸空間電界を制御する電界制御手段
(c)回転体コレクタの回転により生じる回転体コレクタ表面の空気流によって、紡糸ジェット軌道が乱されることを抑制する空気流制御手段

先行技術

0004

特開2009−102778号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、大掛かりな装置を用いずに製造することができ、かつ耐久性がよい光沢部材及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の光沢部材は、ポリマー基材と、前記基材の上に配置されているポリマー繊維集合体と、を有し、
前記ポリマー繊維集合体が、一定の方向に配向されているポリマー繊維を有し、
前記ポリマー基材の構成材料の平均溶解度パラメータと、前記ポリマー繊維が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータと、の差の絶対値が5(J/cm3)1/2未満であり、
前記ポリマー繊維の配向度が90%以上であり、
前記ポリマー繊維の繊維径が0.05μm以上5μm以下であり、
前記ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下であり、かつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下であることを特徴とする。

0007

また本発明の光沢部材の製造方法は、エレクトロスピニング法を用いたポリマー繊維集合体を有する光沢部材の製造方法であって、
溶液離脱部位からコレクタに至る紡糸空間の電界を制御しつつ、前記溶液離脱部位からポリマー溶液吐出させる紡糸工程と、
前記紡糸工程によって生じたポリマー繊維を前記コレクタで巻き取り、前記ポリマー繊維を配向させる配向工程と、を有し、
前記コレクタがポリマー基材であり、
前記コレクタとは離間し、かつ前記コレクタを挟み込むように配置される複数の電極を有し、
前記紡糸工程において、前記溶液離脱部位へ印加する電圧とは逆の電圧を1秒以下のスイッチング速度で各前記電極へ交互に印加することを特徴とする。

発明の効果

0008

本発明によれば、大掛かりな装置を用いずに製造することができ、かつ耐久性がよい光沢部材及びその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の光沢部材における実施形態の例を示す模式図である。
光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体の形成装置の例を示す模式図である。
本発明の光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体を示すレーザー顕微鏡写真である。

0010

[光沢部材]
以下、本発明の光沢部材について説明する。本発明の光沢部材は、ポリマー基材と、コノポリマー基材の上に配置されているポリマー繊維集合体と、を有する。本発明において、ポリマー繊維集合体は、一定の方向に配向されているポリマー繊維を有する。本発明において、ポリマー基材の構成材料の平均溶解度パラメータと、ポリマー繊維が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータと、の差の絶対値は5(J/cm3)1/2未満である。本発明において、ポリマー繊維の配向度は90%以上である。本発明において、ポリマー繊維の繊維径は0.05μm以上5μm以下である。本発明において、上記ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、ダイポールモーメントは0D以上3.50D以下であり、かつSOMOの絶対値は9eV以上12eV以下である。

0011

以上説明のように、本発明の光沢部材は、ポリマー基材と、このポリマー基材の上に配置される金属調光沢を有するポリマー繊維集合体と、を有している。また本発明の光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体は、同一方向(同方向)に高配向度で配向されたポリマー繊維を有している。尚、本発明において、ポリマー繊維は、その繊維径のサイズからナノファイバと呼ばれることがある。またポリマー繊維集合体は、上記ナノファイバからなる膜であることからナノファイバ膜と呼ばれることがある。

0012

本発明において、金属調光沢有するポリマー繊維集合体に含まれるポリマー繊維としては、ポリマー材料からなる極細繊維が用いられる。

0013

この金属調光沢を有するポリマー繊維集合体は、金属を用いずに金属調の光沢を発現させ得ることができるフィルムであり、重金属フリーの環境低負荷でかつ軽量でありながら、塗装メッキを使わずに金属のような光沢を持った外観表現できる。このため、例えば、様々な部材(筐体軸体等)の表面に付与して加飾層として使用することができる。尚、言うまでもなく、ポリマー繊維集合体は、例えば、基材の上や外周面直接形成されていても良いし、基材の上に接着層等の他の層を形成した上で当該他の層の上に形成されていてもよい。尚、本発明において、基材は、その表面に粘着剤からなる層が設けられていてもよいし、その表面がタック処理されていてもよい。

0014

本発明において、金属調光沢とは、金属類特有の光沢(金属光沢)に近似したものであり、より具体的には、滑らかな表面に見られる光を反射する性質を意味する。つまり、ポリマー繊維集合体の表面が滑らかであれば、本発明において用いられる非金属のポリマー繊維であっても金属類に特有の光沢とほぼ同様な光沢を発することができる。

0015

本発明において、金属光沢の具体例としては、アルミニウムや銀等から発せられる銀色光沢や、金等から発せられる黄金色の光沢(金色光沢)等が挙げられる。また本発明において、金属光沢には、メタリックレッド、メタリックブルー、メタリックイエロー等と呼ばれる、有彩色の金属光沢も含まれる。また金属光沢調の色としては、例えば、銀色が挙げられるが、これに限られず、光沢を有する有彩色も当然に含まれる。ここでいう有彩色としては、青色、黄色、緑色、紫色、赤色等が挙げられる。

0016

以下、図面を参照しながら、本発明の光沢部材について説明する。図1は、本発明の光沢部材における実施形態の例を示す模式図である。尚、図1(a)中の光沢部材1aは、板状の基材10と、この基材10の上に形成されポリマー繊維12からなるポリマー繊維集合体11と、を有する。一方、図1(b)中の光沢部材1bは、円柱(軸体)状の基材10と、この基材10の上、具体的には、外周面の上に形成されポリマー繊維12からなるポリマー繊維集合体11と、を有する。

0017

図1の光沢部材1において、ポリマー繊維集合体11は、少なくとも極細繊維であるポリマー繊維12を有している。また図1の光沢部材1において、ポリマー繊維12は、ポリマー繊維集合体11の面内において一軸方向に配向される態様で基材10の上に設けられている。このように、ポリマー繊維12を一定の方向に配向させることで、ポリマー繊維集合体11が緻密な膜となり膜の表面が滑らかになるため、結果として、良好な金属調光沢を有する光沢部材が得られる。

0018

次に、本発明の光沢部材の構成部材について説明する。

0019

(1)ポリマー繊維集合体(ナノファイバ膜)
本発明の光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体11は、金属調光沢を有し、ポリマー繊維12を有する部材である。

0020

本発明において、ポリマー繊維12とは、少なくとも1種類以上のポリマー材料を有し、径に対して長さが長いものをいう。本発明において、ポリマー繊維12の繊維径は、0.05μm以上5μm以下であり、ポリマー繊維12の長さは径の10倍以上である。特に、本発明において、金属調光沢を有するポリマー繊維集合体11は、この集合体に含まれるポリマー繊維12の繊維径が細ければ細い程、ポリマー繊維12を配向させた時に生じ得る表面凹凸ラフネスが小さくなり、かつ細密充填化されて隙間なく緻密な膜が形成される。このため、金属調光沢の効果が高まる。よって、本発明において、ポリマー繊維12の繊維径として、好ましくは、0.05μm以上3μm以下であり、より好ましくは、0.05μm以上1μm以下であり、特に好ましくは、0.05μm以上1μm未満である。ここでポリマー繊維12の繊維径が1μm未満の場合には、このポリマー繊維12を一定の方向へ配向させた時に、ポリマー繊維集合体11の表面に生じ得る凹凸サブミクロンレベル以下となるため金属調光沢を有する膜を得るには特に好ましい。一方、ポリマー繊維12の繊維径を0.05μm以上とすることで、板状の基材10の表面や軸体状の基材10の外周面に容易にポリマー繊維12で構成されるポリマー繊維集合体11を上手く形成することができるため、被覆性に優れる。

0021

尚、ポリマー繊維集合体11に含まれるポリマー繊維12の断面形状は特に限定されず、例えば、円形楕円形四角形多角形半円形等が挙げられる。またポリマー繊維12の断面形状は正確な形状でなくてもよいし、任意の断面で形状が異なっていてもよい。尚、本発明において、ポリマー繊維12の繊維径とは、ポリマー繊維12が円柱状のものでは、断面円形の直径をいうが、それ以外では、繊維断面における重心を通る最長直線の長さをいう。

0022

また図1の光沢部材1では、ポリマー繊維集合体11が、基材10の上にポリマー繊維12を一定方向に配向させながら配置させることで形成される層を2層積層させることで形成される膜(積層体)である。ただしポリマー繊維集合体11に含まれるポリマー繊維12を一定方向に配向させながら配置させることで形成される層の個数は特に限定されるものではなく、光沢部材1に所望の特性を持たせるために適宜層の数を決定すればよい。加えて、このポリマー繊維集合体11に含まれるポリマー繊維12からなる層において、各層の間には、他の層(例えば、接着層)を設けてもよい。またポリマー繊維集合体11の表面が、クリアコート等によって表面処理が施されていてもよい。

0023

(2)ポリマー繊維(ポリマーファイバ
ポリマー繊維集合体11が有するポリマー繊維12は、エレクトロスピニング法を用いて繊維の径がナノレベルであるファイバを作製することが可能であることが知られている従来公知の有機ポリマー材料が少なくとも一種類含まれていればよい。

0024

またポリマー繊維12には、言うまでもなく、本発明の効果が得られる範囲でポリマー材料(有機ポリマー材料)成分以外の他の成分を含めてもよい。例えば、ポリマー繊維12の強度向上のために従来公知の無機フィラーをポリマー繊維12に含めても良いし、また従来公知の繊維間を結合させる手段を適宜用いてポリマー繊維12の強度を強くすることも可能である。

0025

尚、ポリマー繊維12に無機フィラーを含ませる場合、無機フィラーの添加量に関しては、ポリマー繊維12について所望の物性が得られれば特に問題ないが、例えば、強度向上という観点では、ポリマー材料の量に対する無機フィラーの割合が高い方が好ましい。しかし、ポリマー繊維12中のポリマー材料の含有量は、ポリマー繊維12全体に対して5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。即ち、ポリマー繊維12中に少なくともポリマー材料が5質量%以上含ませることによって、機械的な脆さを抑制することができる。尚、ポリマー繊維12中にフィラー等を含ませる場合は、ポリマー繊維12に含ませる材料を超音波ボールミルを用いてポリマー材料に予め分散及び混合させてもよい。

0026

本発明において、ポリマー繊維12は、1個以上のポリマー材料を有する。ポリマー繊維12が有するポリマー材料は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。本発明において、ポリマー材料が有する繰り返し単位構造の少なくとも一部は、ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下でかつSOMO(Singly Occupied Molecular Orbital)の絶対値が9eV以上12eV以下である。これにより、光沢部材1に含まれるポリマー繊維集合体11は、長期間使用しても耐酸劣化が起こりにくく耐久性の高い金属調光沢膜となるため、実用耐久性の観点から好ましい。尚、本発明において、繰り返し単位構造とは、ポリマー繊維12が有するポリマー材料に含まれるモノマーユニットをいうものである。また本発明において、繰り返し単位構造におけるSOMOの絶対値は、好ましくは、9eV以上10eV以下である。

0027

ここでポリマー繊維12が有するポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部においてダイポールモーメントが0D以上3.50D以下である場合は、ポリマー材料自体の極性が低くなると共に、濡れ性も低くなる。これにより、ゴミ付着等による光沢の劣化が抑制される。加えて、ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、SOMOの絶対値が9eV以上12eVである場合は、ポリマー材料自体のラジカル定性が高くなると共にポリマー材料が酸化劣化されにくくなる。これにより本発明の光学部材は、長期間使用したときでもゴミ付着等により光沢が劣化するのが抑制される。

0028

尚、ポリマー繊維12が2種類以上のポリマー材料を有する場合、これらポリマー材料のうち少なくとも一種類のポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造の少なくとも一部において、上述したダイポールモーメント及びSOMOの要件を満たせばよい。また、ポリマー繊維12が有するポリマー材料のうち少なくとも一つがコポリマー共重合体)である場合、当該コポリマーに含まれる二種類以上の繰り返し単位構造の少なくとも一種類において、上述したダイポールモーメント及びSOMOの要件を満たせばよい。

0029

尚、ポリマー材料に含まれる繰り返し単位構造のダイポールモーメント並びにSOMOは、下記の分子軌道法計算プログラムを使用する。
Spartan’04ソフトウェアfor Windows version 1.0.3.(Wavefunction,Inc.,Irvine,CA,U.S.A.)(Windowsは登録商標

0030

そして基底関数として、6−31G*を用い、ハートリー−フォック(Hartree−Fock)による分子軌道計算を行うことで算出可能である。

0031

ダイポールモーメントが0D以上3.50D以下でかつSOMOの絶対値が9eV以上12eVの繰り返し単位構造(モノマーユニット)を有するポリマー材料の具体例として、ポリメタクリル酸メチルポリエチレンテレフタラートポリオレフィン等が挙げられる。本発明においては、ポリマー材料として、ホモポリマーやコポリマーを挙げることができるが、好ましくは、ホモポリマーである。尚、これらポリマー材料に含まれる繰り返し構造単位(モノマーユニット)のダイポール及びSOMOの値は、下記表1の通りである。一方、表1には、比較のためにポリアミドイミド及びポリ乳酸に関するデータも示してある。

0032

0033

(3)ポリマー基材
本発明の光沢部材を構成し、金属調光沢を有するポリマー繊維集合体は、ポリマー基材の上に積層されている。本発明において、ポリマー基材としては、板状や棒状のポリマー材料、ポリマー材料からなる薄膜が挙げられる。

0034

ここで本発明においては、ポリマー繊維集合体に含まれるポリマー繊維が有するポリマー材料の平均溶解度パラメータδAと、ポリマー基材の構成材料(ポリマー材料)の平均溶解度パラメータδBとの差Δδ(A−B)が下記式(1)の関係にある。
|Δδ(A−B)|<5[(J/cm3)1/2] (1)

0035

上記式(1)を満たすことにより、ポリマー繊維集合体とポリマー基材との界面密着性が良くなるため、耐久性が良好な、光沢部材を得ることできる。

0036

尚、平均溶解度パラメータはSP値と言うことができる。またポリマー繊維に含まれるポリマー材料の平均溶解度パラメータδAと、ポリマー基材の構成材料の平均溶解度パラメータδBとの差Δδ(A−B)はSP(solubility parameter)値差と、言い換えることができる。

0037

本発明において用いられる溶解度パラメータは、Hansenの溶解度パラメータである。Hansenパラメータは、原子分散力分子永久双極子間に生じる力、分子の水素結合から成るエネルギーから成り、それぞれδD、δP、δH[(J/cm3)1/2]で表される。ここで物質の溶解度パラメータδ[(J/cm3)1/2]に関して下記式(2)の関係が満たされる。
δ=(δD2+δP2+δH2)1/2[(J/cm3)1/2] (2)

0038

Hansenパラメータを得る方法としては、一般的な物質であれば測定値が文献値より得られ、特殊な物質で文献値として得られない場合も計算ソフトにより算出が可能である。

0039

ところで、Hansenパラメータの差が大きい物質同士を混合する場合、これら物質が混合(溶解)するために必要なエネルギーは大きくなり、溶解度が小さくなるため互いの混合は進まない。ここで物質aと物質bとのHansenパラメータの差|Δδ(a−b)| [(J/cm3)1/2]は、下記式(3)より算出することができる。
|Δδ(a−b)|=((δaD−δbD)2+(δaP−δbP)2+(δaH−δbH)2)1/2
(3)

0040

ポリマー材料系での溶解度パラメータδ[SP値、(J/cm3)1/2]は、例えば、下記表2の通りである。

0041

0042

ところで、平均溶解度パラメータは、ポリマー材料のユニット単位で考慮されるため、分子量には基本的には影響されない、ただし、例えば、高次構造が形成されるポリマー材料である場合、当該ポリマー材料の分子量(重量平均分子量)は、2000乃至200000であることが好ましい。

0043

本発明において、好ましくは、ポリマー基材の構成材料と、ポリマー繊維が有するポリマー材料の少なくとも一部と、が同一の材料である。ポリマー繊維に含まれるポリマー材料の少なくとも一部が、ポリマー基材の構成材料と同一の材料であることにより、ポリマー基材とポリマー繊維集合体との材料同士の溶解度パラメータの差を小さくすることができるからである。本発明において、より好ましくは、ポリマー基材の構成材料と、ポリマー繊維が有するポリマー材料と、が同一の材料である。ポリマー基材の構成材料と、ポリマー繊維が有する材料と、が同一であれば、両部材間SP値差がゼロにできるからである。

0044

(4)ポリマー繊維(ポリマーナノファイバ)の配向度
本発明に用いるポリマー繊維を一定の方向に並べる(配向させる)ことで、当該ポリマー繊維を含むポリマー繊維集合体に金属調光沢を具備させることができる。ここで、光沢部材として必要となる物性が得られれば、ポリマー繊維が配向してなるポリマー繊維集合体の形状は、単に平板状であってもよいし、軸体状の基材の外周面に同一方向に隙間なく巻き付けた形状であってもよい。またこのナノファイバ膜は、公知の技術を適宜選択し、あるいは場合によっては複数の公知技術を組み合わせて用いることができる。即ち、例えば、軸体状の基材の外周面にポリマー繊維を同一方向に揃えた(配向させた)場合には、このポリマー繊維は、軸体上で同一方向(例えば、軸体の軸方向に交差する方向、好ましくは直交する方向)に配向していると言える。尚、本発明において「同一方向(同方向)」とは、ポリマー繊維の目的とする配向方向において所望とする特性や効果が得られる範囲内における配向方向のずれを包含する略同一方向(略同方向)を含む概念である。

0045

ポリマー繊維が、同一方向に並んでいる(一軸配向している)割合は、以下の方法により簡便にポリマー配向度(%)として算出することができる。即ち、本発明の光沢部材を走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはレーザー顕微鏡により観察し、得られた画像(光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体の画像)を画像処理ソフト商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング製)の解析コマンド方向分布計測」で解析することでポリマー配向度を算出できる。より具体的には、得られた画像中の目的とする方向に配向するポリマー繊維の傾きを0°とし、このポリマーファイバーに対する傾きを0°乃至180°まで10°刻みで18等分に区分けし各区分度数表記し、観察した各範囲(各区間)のファイバの個数(度合)の度数分布図ヒストグラム)を描き、下記式(4)より求めることができる。

0046

0047

尚、式(4)中の配向度(%)とは、ポリマー繊維が、一方向に並んだ(配向している)割合である。即ち、この配向度が高いほど、ポリマー繊維が、一方向に並んだ(配向している)割合が高くなり、高配向であると言える。

0048

本発明の光沢部材において、ポリマー繊維の配向度は90%以上である。ここで配向度が90%未満である場合は、金属調光沢が得られない場合がある。本発明において、配向度は高ければ高いほど好ましく、具体的には、95%以上が好ましい。ポリマー繊維の配向度を90%以上にすることで、ポリマー繊維がポリマー繊維集合体の面内で一軸方向に揃っている。つまり、一方向に並んだ極細繊維の構成にすることで、緻密な膜が形成され、その結果として、良好な金属調光沢を有するポリマー繊維集合体の作製が可能となる。

0049

[光沢部材の製造方法]
金属調光沢を有する本発明の光沢部材は、基材の上にポリマー繊維集合体を形成することにより作製される。ここで、ポリマー繊維集合体は、溶液離脱部位からコレクタに至る紡糸空間の電界を制御する電界制御手段を有するエレクトロスピニング法を用いた製造方法によって製造することができる。

0050

ところで特許文献1では、金属調光沢膜であるポリマー繊維集合体を得る方法として、除電イオン照射手段、空気流制御手段又は電界制御手段を用いる方法が示されている。しかし、いずれの手段も、著しく高い配向度を可能にするための紡糸装置構成が必須であり、実用面での課題があった。具体的には、下記の通りである。

0051

除電イオン照射手段に関しては、紡糸空間における除電を良好に行うためには除電照射スペースを十分に取らなければならない場合があり、製造装置が必然的に大きくなる。

0052

空気流制御手段に関しては、空気流を制御するために1000rpm以上の高速回転が可能な回転体コレクタ機構等を備える必要があり、また騒音も必然的に大きくなる。

0053

紡糸空間の電界を制御する電界制御手段に関しては、除電イオン照射手段や空気流制御手段を用いる場合に生じる課題はない。ただし、特許文献1においては具体的な作製手法が示されていない。

0054

本発明の製造方法において用いられる基材(ポリマー基材)は、従来公知の方法で適宜用意可能な部材である。また基材の具体的な形状としては、板状、軸体状等が挙げられ、ポリマー繊維集合体はこの基材の上に形成される。尚、上述した軸体とは、棒状の形状をいうものであり、例えば、円柱状の棒、角柱状の棒等をいうものである。

0055

ここで、基材が軸体状である場合、基材の具体的な態様としては、軸体状に成形した樹脂材料が挙げられるが、これに限定されず、以下に説明するものも使用することができる。即ち、芯となる棒の周囲に、射出成形押出成形トランスファー成形プレス成形等の公知の成形方法によって樹脂からなる表層を形成したものも基材として用いることができる。尚、上述した芯棒の周囲に樹脂からなる表層を形成してなるものを基材として用いる場合、基材が有する表層については必要に応じて加熱処理研磨処理のいずれかを行ってもよい。

0056

本発明で用いられるエレクトロスピニング法(電界紡糸法静電紡糸法)は、ポリマー繊維の作製方法の一つである。エレクトロスピニング法では、様々なポリマーを容易に繊維形状紡糸できる。またエレクトロスピニング法を用いると、紡糸された繊維の形状のコントロールが比較的簡便であり、太さが数マイクロメートルからナノメートルサイズのポリマー繊維を容易に得ることができ、さらに作製プロセスが非常に簡便である。尚、エレクトロスピニング法とは、ポリマー繊維の原料溶液(ポリマー溶液)を収容したシリンジと、コレクタ電極との間に高電圧を印加して、シリンジから原料となるポリマー溶液を押出することでポリマー繊維を得る紡糸方法である。エレクトロスピニング法において、シリンジから押出された原料溶液(ポリマー溶液)は、電荷を帯びて電界中に飛散するが、時間経過と共に飛散したポリマー溶液に含まれる溶媒蒸発することで細線化が起こる結果、ポリマー繊維が形成される。このポリマー繊維は、コレクタに付着する。

0057

尚、エレクトロスピニング法で用いられる原料溶液を調製する手法としては、特に限定されず、従来公知の方法を適宜用いることができる。またこのとき、原料溶液に含まれる溶媒の種類や溶液に含まれる溶質(ポリマー)の濃度としては、特に限定されるものではなく、エレクトロスピニング法を行う際に最適な条件であればよい。

0058

以下、図面を参照しながら、エレクトロスピニング法を用いた本発明の光沢部材の製造方法について説明する。図2は、光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体の形成装置の例を示す模式図である。

0059

図2の形成装置2は、具体的には、貯蔵タンク21に収容されたポリマー溶液を、溶液離脱部位である紡糸口22から押し出す方法を採用している。尚、図2の形成装置2において、貯蔵タンク21は、配線23aを介して第一の高圧電源20aに電気接続されている。これにより、貯蔵タンク21や紡糸口22には、第一の高圧電源20aから電圧V1が印加される。

0060

紡糸口22から吐出されたポリマー溶液は、溶液中の溶媒が蒸発することによりポリマー繊維12になるがこのポリマー繊維12は軸体(円柱)状のコレクタ24によって回収される。図2の形成装置2において、軸体状のコレクタ24は、両端部にそれぞれ接続される軸25によって回転可能に設置されているので、エレクトロスピニング法により連続的に形成されるポリマー繊維22を、当該軸体の外周面に同一方向に隙間なく巻き取ることができる。

0061

また図2の形成装置2には、コレクタ24とは離間し、かつこのコレクタ24を挟み込むように配置される2本一組の電極26a、26bが設けられている。ここで、挟み込むとは、図2中の仮想平面27内にコレクタ24及び電極(26a、26b)が存在し、2本の電極(26a、26b)が一定の間隔をもって設けられる一方でこの間隔の中間にコレクタ24が設けられている状態をいう。

0062

図2の形成装置2において、2本の電極(26a、26b)は、いずれも配線23bによって電圧スイッチング装置28に接続されている。また電圧スイッチング装置28は、配線23cによって第二の高圧電源20bに電気接続されている。これにより、2本の電極(26a、26b)には、第二の高圧電源20bより電圧V2が印加されるが、電圧スイッチング装置28によって、2本の電極(26a、26b)のいずれかに選択的に印加される。また本発明において、第二の高圧電源20bから印加される電圧V2は、第一の高圧電源20aから印加される電圧V1とは逆の電圧、即ち、逆極性の電圧である。

0063

ここで、図2の形成装置2を用いた、ポリマー繊維集合体を有する光沢部材の製造方法の一例を説明する。

0064

まず、ポリマー成分を少なくとも含む原料溶液を調製し、この原料溶液をタンク21に導入する。そして、ポンプ等(不図示)によってタンク21に導入された原料溶液は一定の速度で紡糸口22まで押し出される。紡糸口22では、通常、1kV乃至50kVの電圧V1が印加されており、紡糸口22と電極(26a、26b)との間に発生する電気引力が原料溶液の表面張力を越える時、原料溶液のジェット30(噴出物)が軸体状のコレクタ24に向けて噴射される。この時、ジェット30中の溶媒は徐々に揮発し、コレクタ24に到達する際には、ジェットのサイズがナノレベルまで減少する。

0065

ここで紡糸中において、電極(26a、26b)には、第二の高圧電源20bより電圧V2が印加されるが、電圧スイッチング装置28により2本の電極(26a、26b)のうちのいずれか一方に選択的に印加される。また電圧スイッチング装置28により電圧V2を印加する電極を切り替えることができるので、第二の高圧電源20bより印加された電圧V2は、2本の電極(26a、26b)へ交互に印加される。そしてコレクタ24にてポリマー繊維12を集積させることにより、コレクタ24の上にポリマー繊維12からなる層(膜)が形成される。またタンク21(貯蔵タンク)に充填されているものとしては、上述した原料溶液(ポリマー溶液)に限定されるものではなく、ポリマー繊維12の原料となるポリマー材料を融点以上に加熱することで得られる溶融状態の原料(溶融ポリマー)であってもよい。

0066

ところで、コレクタ24を挟んでいる電極(26a、26b)への電圧は、紡糸口(溶液離脱部位)とは逆の電圧を印加することで紡糸口22から飛んできたジェット30が電極(26a、26b)の方へ引きつけられる。ここで各電極(26a、26b)には、電圧V2が所定のスイッチング速度で交互に印加されるため、ポリマー繊維12は電極(26a、26b)間においてコレクタ24の長手方向(軸方向)に対して垂直の方向で往復移動しながらコレクタ24に巻き取られる。その結果、コレクタ24に巻き取られたポリマー繊維12は、コレクタ24の長手方向(軸方向)に対して垂直の方向に配向する。

0067

図2の形成装置2を用いてポリマー繊維12の紡糸を行う際に、複数の電極(26a、26b)へ印加する電圧の大きさは、ポリマー繊維12が所望の方向で配向することができるのであれば特に限定されない。ただし電極(26a、26b)への印加電圧(V2)が強すぎると、いずれかの電極(26a、26b)にポリマー繊維12が集積されることがある。一方で電極(26a、26b)への印加電圧(V2)が弱すぎると、各電極(26a、26b)へスイッチングしながら印加することで生じる電界によるポリマー繊維12の配向に関するする効果が弱くなることがある。このため、紡糸口22に印加した電圧(V1)の絶対値に対して50%以下が好ましい。また各電極(26a、26b)へ交互に電圧を印加する際に電圧を印加する時間、即ち、スイッチング速度は、ポリマー繊維12について所望の配向が得られれば特に限定されないが、具体的には、1秒以下である。これよりも遅すぎると、ポリマー繊維12の配向度が低くなり、またいずれかの電極(26a、26b)にポリマー12が集積されることがある。一方、スイッチング速度を短くすることで、ポリマー繊維12の配向度がより向上する傾向がある。

0068

図3は、本発明の光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体を示すレーザー顕微鏡写真である。尚、図3は、ポリマー繊維の原材料PMMA(ポリメタクリル酸メチル)であるポリマー繊維集合体に関する写真である。

0069

本発明の光沢部材を製造する際に、基材の上(軸体の外周面を含む)へポリマー繊維集合体を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の技術を適宜選択、あるいはこれら技術を組み合わせて用いることができる。例えば、先に、ポリマー繊維を一軸方向に配向した膜(ポリマー繊維集合体)を作製した後に、この膜で基材を被覆する方法を用いてもよい。

0070

また本発明の光沢部材に含まれるポリマー繊維は、基材の上に直接形成・積層させてもよいし、基材の上に接着剤(粘着剤)からなる層を設けた上で、この接着剤からなる層の上にポリマー繊維を積層・接合させてもよく、従来公知の手法を適宜使用可能である。また、基材が軸体状のものである場合は、基材として、中心部と芯棒と、この芯棒の外周面上に形成された表層とからなる軸体を用いてもよい。この軸体を用いる場合は、表層の表面をタック処理した後に、当該表層の表面にポリマー繊維を形成・積層させてもよい。このように基材が有する表層の表面を処理することで、基材とポリマー繊維との密着性を容易に向上させることができ、耐久性が優れる。また本発明の光沢部材では、光沢部材をに含まれるポリマー基材の少なくとも表面は樹脂であるため、ポリマー繊維の原材料であるポリマー材料は、当該樹脂と密着性の高い材料であることが好ましい。当該樹脂と密着性の高いポリマー材料を用いることで接着剤(粘着剤)等を用いることなく基材の上にポリマー繊維を容易に積層・接合させ得ることができる。このためには、ポリマー繊維を形成する際に用いられるポリマー材料として、例えば、上述したようにSP値差を考慮したポリマーを用いることができる。

0071

本発明において、光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体は、一種類のポリマー材料から形成してもよいし、二種類以上のポリマー材料を混合することで調製されるポリマーブレンドから形成してもよい。

0072

以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。尚、以下に説明する実施例はあくまでも例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。また以下に説明する実施例を様々に変形、変更したものも本発明に含まれる。

0073

[実施例1]
実施例1では、ポリマー材料からなる棒状の基材(ポリマー基材)の外周にポリマー繊維からなる膜が設けられている光沢部材を作製した。尚、この膜は、ポリマー基材の上に設けられるポリマー繊維集合体である。

0074

(1)ポリマー溶液の調製
まず、ポリメタクリル酸メチル(PMMA、住友化学社製)と、ジメチルフォルムアミド(dimethyfolmamide、DMF)とを混合して、溶質濃度が28重量%であるポリメタクリル酸メチル溶液(ペースト希釈液)を調製した。

0075

(2)光沢部材の製造装置
本実施例では、エレクトロスピニング法により形成したポリマー繊維を棒状のポリマー基材(市販のPMMAアクリル丸棒)に直接巻き取ることで、ポリマー繊維集合体を有する光沢部材を作製した。

0076

本実施例において、光沢部材の製造装置として、図2の装置を用いた。ここで、ポリマー溶液の吐出部22は、エレクトロスピニング装置(メック社製)を用いた。またコレクタ24(回転コレクタ)として、φ10のPMMAアクリル丸棒を用いた。また噴射口22(溶液離脱部位)からコレクタ24に至る紡糸空間の電界を制御する電界制御手段として、コレクタ24(φ10のPMMAアクリル丸棒)とは離間しつつ、かつコレクタ24を挟み込むように配置した2つの棒状金属電極(電極26a、26b)を設けた。またこれら2つの棒状金属電極(26a、26b)を、第二の高圧電源20aに接続したスウィッチングエレクトロードユニット(電圧スイッチング装置28、メック社製)に接続し、これら2つの棒状金属電極(26a、26b)へ交互に溶液離脱部位への印加電圧とは逆の電圧V2をスイッチングしながら印加できるようにした。

0077

(3)紡糸工程
紡糸は、以下に説明する通りに行った。即ち、上記(1)で得たペースト希釈液を、タンク21に充填した。そして紡糸口22に18kVの電圧を印加しながら、コレクタ24の長手方向(コレクタ24の軸に平行な方向)に50mm/sで往復移動させた。この紡糸口22への電圧V1を印加と同時に、上記2つの棒状金属電極(26a、26b)にも電圧V2を印加した。具体的には、−4.5kVの電圧を上記2つの棒状金属電極(26a、26b)のいずれかにスイッチング速度0.5秒で切り替えながら印加した。以上説明した電圧の印加により紡糸口22からコレクタ24に向けてペースト希釈液のジェット30が噴射された。尚、本実施例においては、ペースト希釈液を50分間噴射した。

0078

(4)巻取工程
ペースト希釈液の噴射によって得られるポリマーファイバーは、50rpmの低速で同方向に回転する上記コレクタ(回転コレクタ)に巻き付けた。これにより、軸体状の基材10(PMMAアクリル棒)の外周面に、ポリマー繊維12が軸方向に概ね直交する方向に10μmの厚みで被覆された膜(ポリマー繊維集合体11)を容易に得ることができた。得られた膜は、銀色を呈した金属調光沢繊維膜であった。尚、基材10の上に形成されたポリマー繊維12の太さ(ポリマー繊維の繊維径の平均)は800nmであり、軸体状の基材10の上の形成されたポリマー繊維集合体11のいずれの任意点を測定してもその配向度は95%であった。

0079

[実施例2]
実施例1(1)において、溶質をポリメタクリル酸メチルに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET、三井化学社製)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)とを体積比で6対4の比率で混合した材料を用いた。これ以外は、実施例1と同様の方法により、光沢部材を作製した。本実施例においても、軸体状のポリマー基材10(市販のPMMAアクリル丸棒)の外周面に、軸方向に概ね直交する方向に配向されているポリマー繊維を有し厚みが10μmである膜(ポリマー繊維集合体)を容易に形成することができた。得られた膜は、銀色を呈した金属調光沢膜であった。尚、得られた光沢部材に含まれるポリマー繊維12の太さ(平均ポリマーファイバー径)は600nmであり、軸体状の基材10の上に形成されているポリマー繊維集合体11についていずれの任意点を測定してもその配向度は95%であった。

0080

[実施例3]
実施例1(1)において、溶質をポリメタクリル酸メチルに代えてポリオレフィン(olefin、ゼオン社製)を用いた。また実施例1(2)において、ポリマー基材として、軸体(φ10のPMMAアクリル丸棒)の表面にエポキシ樹脂DIC社製)を厚さ約1μmでコートしたものを使用した。これらを除いては、実施例1と同様の方法により、光沢部材を作製した。本実施例においても、軸体状のポリマー基材の外周面に、軸方向に概ね直交する方向に配向されているポリマー繊維を有し厚みが10μmで膜(ポリマー繊維集合体)を容易に形成することができた。得られた膜は、銀色を呈した金属調光沢膜であった。尚、得られた光沢部材に含まれるポリマー繊維12の太さ(平均ポリマーファイバー径)は750nmであり、軸体状の基材10の上に形成されているポリマー繊維12についていずれの任意点を測定してもその配向度は93%であった。

0081

[比較例1]
実施例1(2)において、コレクタとして、回転コレクタに代えてアースに接続した平板プレートを使用する一方で、2つの棒状金属電極を用いなかったことを除いては、実施例1と同様の方法により、光沢部材を作製した。

0082

本比較例では、コレクタ(平板プレート)の上に、ポリマー繊維を有し、厚みが概ね30μmである膜を容易に得ることができた。しかし、得られた膜について金属調光沢は示されておらず、白色であった。尚、得られた膜に含まれるポリマー繊維の太さ(平均ポリマーファイバー径)は750nmであり、コレクタの上に形成されるポリマー繊維のいずれの任意点を測定してもその配向度は0%であった。

0083

[比較例2]
実施例1(3)において、紡糸口への印加電圧を22kVとし、2つの棒状金属電極への印加電圧を−1.0kVとし、各棒状金属電極への電圧印加のスイッチング速度を5秒としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、光沢部材を作製した。

0084

本比較例では、軸体状の基材の外周面に、ポリマー繊維からなり厚みが概ね10μmである膜(ポリマー繊維集合体)を容易に得ることができた。しかし、得られた膜は金属調光沢を示さず、白色であった。尚、得られた光沢部材に含まれるポリマー繊維の太さ(平均ポリマーファイバー径)は800nmであり、軸体状の基材の上に形成されるポリマー繊維のいずれの任意点を測定してもその配向度は85%であった。

0085

[比較例3]
実施例1(1)において、溶質をポリメタクリル酸メチルに代えてポリアミドイミド(PAI東洋紡社製)を用いた。また実施例1(2)において、ポリマー基材として、軸体(φ10のPMMAアクリル丸棒)の表面に約1μmにスライスしたスチレンブタジエンゴムシートSBR、ゼオン社製)で被覆したものを使用した。これらを除いては、実施例1と同様の方法により、光沢部材を作製した。

0086

本比較例では、軸体状の基材の外周面に、ポリマー繊維を有し厚みが概ね10μmである膜(ポリマー繊維集合体)を容易に形成することができた。しかし、得られた膜は金属調光沢を示さず、白色であった。尚、得られた光沢部材に含まれるポリマー繊維の太さ(平均ポリマーファイバー径)は800nmであり、軸体状の基材の上に形成されるポリマー繊維のいずれの任意点を測定してもその配向度は85%であった。

0087

[比較例4]
実施例1(1)において、溶質をポリメタクリル酸メチルに代えてポリ乳酸(PLLA,ポリサエンス社製)を用いた。また実施例1(2)において、軸体状のポリマー基材として、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)樹脂を切削して作製した丸棒(φ10)を使用した。これらを除いては、実施例1と同様にして、繊維膜の作製を行った。

0088

本比較例においては、軸体状の基材の外周面に、ポリマー繊維からなり厚みが概ね10μmである膜(ポリマー繊維集合体)を容易に得ることができた。また得られた膜は銀色の金属調光沢を示した。尚、得られた光沢部材に含まれるポリマー繊維の太さ(平均ポリマーファイバー径)は630nmであり、軸体状の基材の上に形成されるポリマー繊維のいずれの任意点を測定してもその配向度は95%であった。

0089

[光沢部材の評価]
作製した光沢部材について、以下に説明する評価を行った。

0090

(1)汚れ耐久評価(ゴミ付着率)
次の簡易試験を行い、汚れ耐久性の評価を行った。

0091

まず、得られた光沢部材を高湿度(70%)下で1週間紫外光を照射した後、下記のゴミ付着試験を行い、ゴミ付着率を下記のようにして算出した。

0092

つまり、粉体汚染物質ポリスチレン粒子:サイズ5μm)1gを、得られた光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体の一部を切り出して作製した試験片(2×0.5cm)の上に塗布した。次に、塗布面を逆さにしてイオナイザーを照射しながら20回振って余分な汚れを取った後でCCDカメラ画像からゴミの数をカウントする(汚染A)。この後、光沢部材を構成しポリマー繊維集合体が形成されていない基材の所定の面を10回指ではじき再度CCDカメラ画像からゴミの数をカウントした(汚染B)。

0093

またゴミ付着率は下記式(I)から算出した。尚、式(I)中の平均値は、5回測定を行い得られた測定値を平均することで得られた平均値である。
〔(汚染B)の平均値〕÷〔(汚染A)の平均値〕=(ゴミ付着率) (I)

0094

算出の結果得られたゴミ付着率について、以下に示す評価基準と照合した上で、汚れ耐久評価の評価を行った。
○:ゴミ付着率が10%以下である。
×:ゴミ付着率が10%以上である。

0095

(2)金属調光沢の有無
光沢部材の金属調光沢は、アルミ板等の金属板と比較しながら、目視で評価した。

0096

(3)界面剥離耐性試験
作製した光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体の基材に対する密着性は、界面剥離耐性試験で評価することができる。界面剥離耐性試験は、例えば、以下に説明するプロセスに従って行うことができる。

0097

60℃で曲げの対象となる光沢部材を加温しながら、光沢部材が有するポリマー繊維集合体が平面状である開始直後の状態を曲げ角度0°として、曲げた部分、曲げの中心となる軸、元の位置が30°となるところまで曲げた後に、曲げ角度0°を通過し、曲げ角度マイナス30°となるところまで曲げ、角度0°まで戻す。この一連の操作を1回として20回繰り返す。その後、レーザー顕微鏡で、曲げ試験前後でのポリマー繊維集合体と基材との界面を観察し、以下に示す評価基準を用いて評価を行った。
○:ポリマー繊維集合体の界面での剥離が20点の任意測定領域において発生しないまたは、その発生が極めて軽微で、実用上に問題が無い。
×:ポリマー繊維集合体の界面での剥離が20点の任意測定領域において発生し、その発生が測定領域の大部分あるいは全体に発生している。

0098

下記表3に、実施例並びに比較例における、光沢部材の評価結果を示す。

0099

0100

表3より、実施例1乃至3で得られた光沢部材は、極細繊維(ポリマー繊維)が所定の方向に配向されてなる膜(ポリマー繊維集合体)を有するため、銀色の金属調光沢を示した。よって、本発明の製造方法に従って基材の上にポリマー繊維集合体を形成することにより、金属調光沢を有する光沢部材が得られることが確認できた。

0101

また実施例1乃至3の光沢部材に含まれるポリマー繊維集合体は、PMMA、PET又はolefinといった有機ポリマーからなるポリマー繊維で形成されている。これらポリマー繊維は、ダイポールが0D以上3.50D以下でかつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下の繰り返し単位構造で形成されている。表1より、実施例1乃至3で得られた光沢部材は、汚れ耐久(ゴミ付着率)は良好であった。一方、PAIからなるポリマー繊維で形成されるポリマー繊維集合体を含む比較例3の光沢部材は実施例1乃至3の光沢部材と比べて、汚れ耐久(ゴミ付着率)が良好でなかった。このことから、光沢部材に含まれるポリマー繊維が、少なくともその一部がダイポールが0D以上3.50D以下でかつSOMOの絶対値が9eV以上12eV以下繰り返し単位構造である場合は、ゴミ付着等による光沢の劣化が抑制されることが確認できた。

0102

比較例4の結果から、光沢部材において金属調光沢を示ものであってもSP値差(|Δδ(A−B)|)が5[(J/cm3)1/2]以上である場合は、汚れ耐久試験が悪いことが確認できた。よって比較例4のような系ではゴミ付着等により、光沢部材が有する光沢が劣化することが確認できた。

0103

また、実施例1乃至3、並びに比較例3及び比較例4から、基材(ポリマー基材)とポリマー繊維に含まれるポリマー材料のSP値差(|Δδ(A−B)|)が5[(J/cm3)1/2]未満であることで、界面剥離耐性が良好な光沢部材が得られることが確認できた。

0104

表3より、実施例1乃至3及び比較例4の光沢部材におけるポリマー繊維の配向度は、90%以上であった。一方、比較例1乃至3で作製した部材はポリマー繊維が所定の一方向に配向されることでもたらされる金属調光沢は見受けられず、白色であった。ここで、比較例1乃至3の部材に含まれるポリマー繊維からなる膜(ポリマー繊維集合体)の配向度は0%乃至85%の範囲内であった。よって、ポリマー繊維の配向度が90%以上である極細繊維膜(ポリマー繊維集合体)が金属調光沢の膜を得るには極めて効果的であることも確認できた。

0105

尚、比較例3では配向度が悪く、繊維が隙間なく揃ってないことで、ゴミが網目に噛んで汚れ耐久が悪くなっていることも確認できた。

実施例

0106

以上説明したように、本発明により、電界制御手段によって一方向に並んだ極細のポリマー繊維で形成される金属光沢膜(ポリマー繊維集合体)を有する光沢部材及びその製造方法を提供することができた。

0107

1:光沢部材、10:基材(ポリマー基材)、11:ポリマー繊維集合体、12:ポリマー繊維

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