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技術 液圧式打撃装置、並びにバルブタイミングの切換方法およびバルブポートの設定方法

出願人 古河ロックドリル株式会社
発明者 小泉匡弘平野栄司松田年雄後藤智宏
出願日 2015年1月30日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-017110
公開日 2016年8月8日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-140929
状態 特許登録済
技術分野 地中削孔 衝撃工具及びその付属品
主要キーワード ピストン後室 ピストン前室 後退制御 前進制御 円環状溝 打撃効率 中空通路 高圧接続
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多を防止もしくは抑制、またはキャビテーションエロージョンの発生を防止もしくは抑制する。

解決手段

ピストン520のピストン前室501を高圧回路低圧回路とに交互に切換えるように作動圧油を制御する切換弁機構550を備える液圧式打撃装置において、切換弁機構550は、ピストン520を前進から後退へと切換えるバルブ526の切換え作動を完了するタイミングが、破砕対象からの反射応力波破砕工具後端に最も早く戻る条件のときに、反射応力波が破砕工具の後端に到達する前にピストン前室501の圧油によってピストン520が後退を開始するタイミングT1ないしT2に設定されている。

概要

背景

この種の液圧式打撃装置としては、ピストン前室およびピストン後室高圧回路低圧回路とに交互に切換える「前後室高低圧切換式」、および、ピストン後室を常時高圧回路に接続するとともに、ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換える「前室高低圧切換−後室常時高圧式」が知られている。前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置としては、例えば特許文献1記載の技術が開示されている。

特許文献1記載の液圧式打撃装置は、シリンダと、このシリンダの内部に摺嵌されたピストンとを備えている。ピストンの外周面とシリンダの内周面との間には、軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室が画成され、シリンダの内部には、ピストンと非同軸に配置されたバルブを有する切換弁機構を備えている。同文献記載の液圧式打撃装置は、切換弁機構のバルブを切換えることにより、ピストン前室およびピストン後室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えて、ピストンをシリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具後端を打撃するようになっている。従来、この種の液圧式打撃装置では、切換弁機構のバルブ切換えタイミングは、打撃直後にバルブがその後退位置への切換が完了するように設定されている。

この種の液圧式打撃装置では、打撃用の破砕工具として、ピストンが打撃するシャンクロッド、および、先端にビットを装着してシャンクロッドに接続されるロッドといった工具類を用いる。実際のさく孔作業においては、所望のさく孔長に達するまでロッドを継ぎ足しながらさく孔を行う。なお、本明細書においては、液圧式打撃装置の打撃方向を「前方」と定義して説明する。

概要

岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多を防止もしくは抑制、またはキャビテーションエロージョンの発生を防止もしくは抑制する。ピストン520のピストン前室501を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるように作動圧油を制御する切換弁機構550を備える液圧式打撃装置において、切換弁機構550は、ピストン520を前進から後退へと切換えるバルブ526の切換え作動を完了するタイミングが、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、反射応力波が破砕工具の後端に到達する前にピストン前室501の圧油によってピストン520が後退を開始するタイミングT1ないしT2に設定されている。

目的

本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ピストンの前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるように作動圧油を制御する液圧式打撃装置において、岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多の発生を防止もしくは抑制する、または、キャビテーション−エロージョンの発生を防止もしくは抑制する液圧式打撃装置、並びにバルブタイミングの切換方法およびバルブポート設定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路低圧回路とに交互に切換えバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具後端を打撃する液圧式打撃装置であって、前記切換弁機構は、前記ピストンを前進から後退へと切換えるバルブ切換え作動を完了するタイミングが、打撃後に破砕対象からの反射応力波が前記破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、前記反射応力波が前記破砕工具の後端に到達する前に前記ピストン前室の圧油によって前記ピストンが後退を開始するタイミングに設定されていることを特徴とする液圧式打撃装置。

請求項2

シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置であって、前記切換弁機構は、前記ピストンを前進から後退へと切換えるバルブ切換え作動を完了するタイミングが、打撃後に破砕対象からの反射応力波が前記破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、前記反射応力波が前記破砕工具の後端に到達する前に前記ピストン前室内で発生していた打撃に起因するキャビテーションが前記ピストン前室に供給された高圧油によって消滅するタイミングに設定されていることを特徴とする液圧式打撃装置。

請求項3

前記液圧式打撃装置は、前記打撃用の破砕工具として、前記ピストンが打撃するシャンクロッド、および、先端にビットを装着して前記シャンクロッドに接続される複数のロッドとを用いるものであり、前記打撃後に破砕対象からの反射応力波が前記破砕工具の後端に最も早く戻る条件が、前記ロッド1本目でさく孔を行うときであることを特徴とする請求項1または2に記載の液圧式打撃装置。

請求項4

前記切換弁機構は、前記ピストン前室および前記ピストン後室を交互に高圧回路と低圧回路とに切換えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液圧式打撃装置。

請求項5

シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置の前記バルブの作動タイミングを切換える方法であって、前記液圧式打撃装置での打撃時に、打撃後に破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件を設定し、その戻り条件下にて前記反射応力波が最も早く戻るタイミングを測定し、その測定された反射応力波の戻りタイミングに基づいて、該戻りタイミングよりも早いタイミングで前記ピストンの後退が開始されるように前記バルブの切換え作動を完了することを特徴とするバルブタイミングの切換方法。

請求項6

シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置の前記バルブのポートの位置を設定する方法であって、前記液圧式打撃装置での打撃時に、打撃後に破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件を設定し、その戻り条件下にて前記反射応力波が最も早く戻るタイミングを測定し、その測定された反射応力波の戻りタイミングに基づいて、該戻りタイミングよりも早いタイミングで前記ピストンの後退が開始されるように前記バルブの作動タイミングを切換えるバルブポートの位置を設定することを特徴とするバルブポートの設定方法

技術分野

0001

本発明は、さく岩機ブレーカ等の液圧式打撃装置係り、特に、ピストン前室高圧回路低圧回路とに交互に切換えるように作動圧油を制御する液圧式打撃装置に関する。

背景技術

0002

この種の液圧式打撃装置としては、ピストン前室およびピストン後室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換える「前後室高低圧切換式」、および、ピストン後室を常時高圧回路に接続するとともに、ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換える「前室高低圧切換−後室常時高圧式」が知られている。前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置としては、例えば特許文献1記載の技術が開示されている。

0003

特許文献1記載の液圧式打撃装置は、シリンダと、このシリンダの内部に摺嵌されたピストンとを備えている。ピストンの外周面とシリンダの内周面との間には、軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室が画成され、シリンダの内部には、ピストンと非同軸に配置されたバルブを有する切換弁機構を備えている。同文献記載の液圧式打撃装置は、切換弁機構のバルブを切換えることにより、ピストン前室およびピストン後室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えて、ピストンをシリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具後端を打撃するようになっている。従来、この種の液圧式打撃装置では、切換弁機構のバルブ切換えタイミングは、打撃直後にバルブがその後退位置への切換が完了するように設定されている。

0004

この種の液圧式打撃装置では、打撃用の破砕工具として、ピストンが打撃するシャンクロッド、および、先端にビットを装着してシャンクロッドに接続されるロッドといった工具類を用いる。実際のさく孔作業においては、所望のさく孔長に達するまでロッドを継ぎ足しながらさく孔を行う。なお、本明細書においては、液圧式打撃装置の打撃方向を「前方」と定義して説明する。

先行技術

0005

特開昭46−1590号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明者は、この種の液圧式打撃装置の更なる高出力化を目指し、前後室高低圧切換式の検討を始めたが、この検討の過程において、前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置が高出力仕様であるが故の問題点を見出した。
第一に、この種の液圧式打撃装置では、ロッド1本目でさく孔を行うときとロッドを継ぎ足してさく孔を行うときとでは、対応する駆動油圧機器スペックの好適な設定条件に違いが生じる場合があるという問題である。また、第二に、この種の液圧式打撃装置において、一定の条件下においては、作用機序の異なるキャビテーション複合して発生し、ピストン前室内でのキャビテーション−エロージョンの発生が問題となることも見出した。

0007

詳しくは、この種の液圧式打撃装置では、ピストンを前進から後退へと切換える局面において、ピストンがシャンクロッドを打撃した直後は、打撃によって生じた打撃エネルギーは、圧縮応力波として、シャンクロッド、ロッドおよびビットを順に伝播して岩盤破砕するところ、破砕で消費しきれなかった打撃エネルギーは、今度は、反射応力波としてビットからロッドを介してシャンクロッド後端に到達する。
ここで、従来の切換弁機構でのバルブ切換のタイミングチャート(打撃〜反射応力波到達〜バルブ切換のタイミング)を図5に示す。同図において、各タイミングとピストン変位の関係を上段に、キャビテーションの気泡量との関係を下段に表している。

0008

図5に示すように、実際のさく孔作業中において、特にロッド1本目でのさく孔時、上記バルブ切換タイミングにおいては、切換弁機構のバルブ切換えよりも先に、上記反射応力波がピストンに到達する場合がある。この場合、切換弁機構のバルブが切換えられる前に反射応力波がピストンに到達するため、ピストン前室の圧油によってピストンが後退を開始するよりも早くピストンが後退を開始する。そのため、本来の打撃サイクルに対して打撃数が増加することになる。

0009

したがって、高打撃数に見合うだけの圧油を供給する必要が生じ、液圧式打撃装置の駆動油圧機器のスペックを向上させて対応する必要がある。なお、この現象は、前後室高低圧切換式を採用する高出力仕様の液圧式打撃装置で顕著に発生するが、さく孔対象が硬岩である場合にも同様な状況が確認されることから、岩盤からの反発が大きいことが原因であると考えられる。

0010

これに対し、ロッド2本目以降、ロッドを継ぎ足してさく孔をする場合は、反射応力波の伝達経路が長くなるので、図5に示すように、切換弁機構のバルブ切換タイミングよりも後に、シャンクロッド後端に反射応力波が到達する。したがって、反射応力波によってピストンが後退を開始することは無く、ピストン変位が本来のピストン変位になり、本来の打撃サイクルが行われる。そのため、仮に、ロッド1本目でのさく孔時の高打撃数に対応して駆動油圧機器を設定すると、ロッドを継ぎ足してさく孔をする場合には、駆動油圧機器がオーバースペックになる。

0011

第二に、この種の液圧式打撃装置において、ピストンがシャンクロッドを打撃した直後はピストンが急制動するので、ピストン前室内は、低圧油が慣性で排出されて負圧状態となりキャビテーションが発生するという問題がある。ここで、このようなキャビテーションは、特許文献1に記載されるような前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置だけではなく、上記前室高低圧切換−後室常時高圧式の液圧式打撃装置においても発生する現象であり、高出力仕様であることとは無関係である。本明細書では、このキャビテーションを「打撃由来のキャビテーション」と呼ぶことにする。
一方で、この種の液圧式打撃装置では、上述したバルブ切換タイミングにおいては、上述したように、高出力仕様の液圧式打撃装置である場合や、さく孔対象が硬岩である場合には、低圧から高圧へとピストン前室の圧力の切換が完了する前、つまり、ピストンが低圧下の状態で、反射応力波がシャンクロッド後端に到達してピストンが後退する。

0012

したがって、ピストン前室は、ピストンが低圧下で後退するので負圧状態となるためキャビテーションが発生する。本明細書では、このキャビテーションを「反射応力波由来のキャビテーション」と呼ぶことにする。なお、ロッド2本目以降、ロッドを継ぎ足してさく孔をする場合は、反射応力波が到達する前にピストン前室が高圧に切換えられるので、反射応力波由来のキャビテーションは発生しない。

0013

このように、この種の液圧式打撃装置では、ピストン前室においては、打撃由来のキャビテーションと反射応力波由来のキャビテーションが複合して発生することにより、キャビテーションの発生量が増長される場合がある。そして、キャビテーションが発生した状態でピストン前室が高圧に切換えられると、キャビテーションは供給された高圧油によって圧縮される。

0014

このとき、キャビテーション量が多い程、高圧油によるキャビテーションの圧縮作用が急激に進行してエロージョンが発生する。エロージョンが発生すると液圧式打撃装置の構成部材が損傷するという問題がある。また、ピストン前室に供給される高圧油は、本来、ピストンを後退させるためのものであるが、その一部がキャビテーションの圧縮に消費されてしまうので、キャビテーションの発生量が増長されると油圧効率自体も低下するという問題もある。
例えば、図5に示したように、2本目のロッドが接続された場合の反射応力波の到達例では、ピストン変位が本来のピストン変位になる。そのため、バルブが切換えられてからピストンが動き始めるまでにタイムラグがあることが見て取れるが、このタイムラグは、高圧油がキャビテーションの圧縮に消費されているために発生するものである。

0015

そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ピストンの前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるように作動圧油を制御する液圧式打撃装置において、岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多の発生を防止もしくは抑制する、または、キャビテーション−エロージョンの発生を防止もしくは抑制する液圧式打撃装置、並びにバルブタイミングの切換方法およびバルブポート設定方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0016

上記課題を解決するために、本発明のうち、本発明の第一態様に係る液圧式打撃装置は、シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置であって、前記切換弁機構は、前記ピストンを前進から後退へと切換えるバルブ切換え作動を完了するタイミングが、打撃後に破砕対象からの反射応力波が前記破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、前記反射応力波が前記破砕工具の後端に到達する前に前記ピストン前室の圧油によって前記ピストンが後退を開始するタイミングに設定されていることを特徴とする。

0017

本発明の第一態様に係る圧式打撃装置によれば、ピストンを前進から後退へと切換える局面において、切換弁機構のバルブ切換え作動を完了するタイミングが、打撃後に破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、反射応力波が破砕工具の後端に到達する前にピストン前室の圧油によってピストンが後退を開始するタイミングに設定されているので、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に到達する前にピストンを破砕工具の後端から離すことができる。そのため、ピストンの後退動作が反射応力波によって加速されることがない。したがって、液圧式打撃装置の打撃数が過剰に増加することはない。

0018

また、本発明の第二態様に係る液圧式打撃装置は、シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置であって、前記切換弁機構は、前記ピストンを前進から後退へと切換えるバルブ切換え作動を完了するタイミングが、打撃後に破砕対象からの反射応力波が前記破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、前記反射応力波が前記破砕工具の後端に到達する前に前記ピストン前室内で発生していた打撃に起因するキャビテーションが前記ピストン前室に供給された高圧油によって消滅するタイミングに設定されていることを特徴とする。

0019

本発明の第二態様に係る液圧式打撃装置によれば、ピストンを前進から後退へと切換える局面において、切換弁機構のバルブ切換え作動を完了するタイミングが、打撃後に破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、反射応力波が破砕工具の後端に到達する前に前室内で発生していた打撃に起因するキャビテーションが前室に供給された高圧油によって消滅するタイミングに設定されているので、破砕工具後端に反射応力波が到達する前に、打撃由来のキャビテーションをピストン前室に供給された高圧油によって消滅させることができる。そのため、打撃由来のキャビテーションと反射応力波由来のキャビテーションとが複合的に発生してキャビテーション発生量が増長されることはない。

0020

ここで、本発明のいずれか一の態様に係る液圧式打撃装置において、前記液圧式打撃装置は、前記打撃用の破砕工具として、前記ピストンが打撃するシャンクロッド、および、先端にビットを装着して前記シャンクロッドに接続される複数のロッドとを用いるものであり、前記打撃後に破砕対象からの反射応力波が前記破砕工具の後端に最も早く戻る条件が、前記ロッド1本目でさく孔を行うときであることは好ましい。このような構成であれば、ロッド1本目でさく孔を行うときと、ロッドを継ぎ足してさく孔を行うときとに合わせた駆動油圧機器のスペックの選定も不要である。
また、本発明のいずれか一の態様に係る液圧式打撃装置において、前記切換弁機構は、前記ピストン前室および前記ピストン後室を交互に高圧回路と低圧回路とに切換える構成であれば、高出力仕様の前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置を提供する上で好適である。

0021

また、上記課題を解決するために、本発明のうち、本発明の一態様に係るバルブタイミングの切換方法は、シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置の前記バルブの作動タイミングを切換える方法であって、前記液圧式打撃装置での打撃時に、打撃後に破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件を設定し、その戻り条件下にて前記反射応力波が最も早く戻るタイミングを測定し、その測定された反射応力波の戻りタイミングに基づいて、該戻りタイミングよりも早いタイミングで前記ピストンの後退が開始されるように前記バルブの切換え作動を完了することを特徴とする。

0022

本発明の一態様に係るバルブタイミングの切換方法によれば、打撃後に破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件を設定し、その戻り条件下にて反射応力波が最も早く戻るタイミングを測定し、その測定された反射応力波の戻りタイミングに基づいて、その戻りタイミングよりも早いタイミングでピストンの後退が開始されるようにバルブの切換え作動を完了するので、岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多の発生を防止もしくは抑制、または、キャビテーション−エロージョンの発生を防止もしくは抑制するように液圧式打撃装置のバルブタイミングを切換えることができる。

0023

また、上記課題を解決するために、本発明のうち、本発明の一態様に係るバルブポートの設定方法は、シリンダと、該シリンダの内部に摺嵌されたピストンと、前記ピストンの外周面と前記シリンダの内周面との間に画成されて軸方向の前後に離隔配置されたピストン前室およびピストン後室と、少なくとも前記ピストン前室を高圧回路と低圧回路とに交互に切換えるバルブを有する切換弁機構とを備え、前記ピストンを前記シリンダ内で前後進させて打撃用の破砕工具の後端を打撃する液圧式打撃装置の前記バルブのポートの位置を設定する方法であって、前記液圧式打撃装置での打撃時に、打撃後に破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件を設定し、その戻り条件下にて前記反射応力波が最も早く戻るタイミングを測定し、その測定された反射応力波の戻りタイミングに基づいて、該戻りタイミングよりも早いタイミングで前記ピストンの後退が開始されるように前記バルブの作動タイミングを切換えるバルブポートの位置を設定することを特徴とする。

0024

本発明の一態様に係るバルブポートの設定方法によれば、打撃後に破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件を設定し、その戻り条件下にて反射応力波が最も早く戻るタイミングを測定し、その測定された反射応力波の戻りタイミングに基づいて、該戻りタイミングよりも早いタイミングでピストンの後退が開始されるように、バルブの作動タイミングを切換えるバルブポートの位置を設定するので、岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多の発生を防止もしくは抑制、または、キャビテーション−エロージョンの発生を防止もしくは抑制するように液圧式打撃装置のバルブポートの位置を設定することができる。

発明の効果

0025

本発明によれば、岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多を防止もしくは抑制、またはキャビテーション−エロージョンの発生を防止もしくは抑制することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明に係るピストン前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置の第一実施形態の模式図である。
ピストンを前進から後退へと切換える局面での、本発明に係る切換弁機構のバルブ切換えのタイミングチャートである。
第一実施形態に係る液圧式打撃装置の動作を説明する図((a)〜(d))である。
本発明に係る液圧式打撃装置の第二実施形態であり、第二実施形態は、前室高低圧切換—後室常時高圧方式の液圧式打撃装置の模式図である。
比較例として示す、ピストンを前進から後退へと切換える局面での、従来の切換弁機構でのバルブ切換えのタイミングチャートである。

実施例

0027

以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この液圧式打撃装置は、軸方向中央の大径部521、522と、その大径部の前後に形成された小径部523、524とを有するピストン520を備えている。そして、このピストン520が、シリンダ500内に摺嵌して設けられることで、シリンダ500内にピストン前室501とピストン後室502とがそれぞれ画成されている。ピストン大径部521、522の中央には排油溝525が形成されている。

0028

ピストン前室501には、後述するバルブ526の前後進切換によってピストン前室501を高圧回路538と低圧回路539へとそれぞれ連通させるピストン前室通路506が接続されている。一方、ピストン後室502には、バルブ526の前後進切換えによりピストン後室502を高圧回路538と低圧回路539とにそれぞれ連通させるピストン後室通路507が接続されている。高圧回路538には高圧アキュムレータ540が設けられ、低圧回路539には低圧アキュムレータ543が設けられている。

0029

ピストン前室501の後方には、ピストン前進制御ポート503が所定間隔隔離して設けられ、ピストン後室502の前方には、ピストン後退制御ポート504が所定間隔隔離して設けられている。なお、ピストン前進制御ポート503は、通常ストローク用とショートストローク用として開口部が二箇所に設けられており、ピストン前室501側のピストン前進制御ポート503aが、可変絞りを備えたショートストローク用である。本明細書では、通常ストロークの設定、すなわち、可変絞りを全閉状態として、ピストン後室502側のピストン前進制御ポート503が作用する設定で説明をする。

0030

ピストン前進制御ポート503の後方には、ピストン後退制御連動ポート508が所定間隔離隔して設けられている。また、ピストン後退制御ポート504の前方には、ピストン前進制御連動ポート509が所定間隔離隔して設けられている。ピストン後退制御連動ポート508とピストン前進制御連動ポート509の間には、それぞれに所定距離離隔して排油ポート505が設けられている。排油ポート505は、排油通路519を介して低圧回路539に連通している。さらに、ピストン前進制御ポート503とピストン後退制御連動ポート508は、後述するバルブ後室511にバルブ制御通路518を介して連通しており、ピストン後退制御ポート504とピストン前進制御連動ポート509は、後述するバルブ前室510にバルブ制御通路517を介して連通している。

0031

また、シリンダ500には、ピストン520と非同軸に弁室541が形成され、この弁室541にバルブ(スプール)526が摺嵌されて切換弁機構550を構成している。弁室541には、前方から後方へ向けて順に、バルブ前室510、バルブ後退保持室515、主室542、バルブ前進保持室516、およびバルブ後室511が円環状の段によって形成されている。主室542には、前方から後方へ向けて所定間隔離隔して、ピストン前室低圧ポート512、ピストン高圧ポート514、およびピストン後室低圧ポート513が設けられている。ピストン前室低圧ポート512とピストン高圧ポート514の間には、ピストン前室通路506が接続されており、ピストン高圧ポート514とピストン後室低圧ポート513の間には、ピストン後室通路507が接続されている。

0032

バルブ526は、大径部527、528、529と、その前後に設けられた中径部530、531と、中径部530の前側に設けられた小径部532と、中径部531の後側に設けられた小径部533とを有する中実弁体(スプール)である。大径部527と大径部528の間には、ピストン前室切換溝534が円環状に設けられ、大径部528と大径部529の間には、ピストン後室切換溝535が円環状に設けられている。小径部532とピストン前室切換溝534とは、相互に連通路536で連通され、小径部533とピストン後室切換溝535とは、相互に連通路537で連通されている。

0033

切換弁機構550のバルブ526は、弁室541に対して、バルブ前室510に小径部532が位置し、バルブ後退保持室515に中径部530が位置し、主室542に大径部527、528、529が位置し、バルブ前進保持室516に中径部531が位置し、バルブ後室511に小径部533が位置するように摺嵌されている。バルブ526が前進後退動作を行うことで、大径部527はピストン前室低圧ポート512を開閉し、大径部528はピストン前室通路506とピストン高圧ポート514を連通/閉止すると同時にピストン後室通路507とピストン高圧ポート514を閉止/連通し、大径部529はピストン後室低圧ポート513を開閉するようになっている。

0034

ピストン前室通路506がピストン高圧ポート514と連通するとバルブ後退保持室515は連通路536を介することにより高圧となる。逆に、ピストン後室通路507がピストン高圧ポート514と連通するとバルブ前進保持室516は連通路537を介することにより高圧となる。バルブ前室510の受圧面積は、バルブ前進保持室516の受圧面積よりも大きく設定されている。同様に、バルブ後室511の受圧面積は、バルブ後退保持室515の受圧面積よりも大きく設定されている。

0035

ここで、図1では、ピストン520が打撃するシャンクロッド、および先端にビットを装着しシャンクロッドに接続されるロッドといった工具類(以下、破砕工具という)の図示を省略しているが、実際のさく孔作業においては、所望のさく孔長に達するまでロッドを継ぎ足しながらさく孔を行う。
このとき、ピストン520が、図示しないシャンクロッドを打撃した直後においては、打撃によって生じた打撃エネルギーは圧縮の応力波として、シャンクロッド、ロッド、およびビットと伝播して岩盤を破砕するが、破砕で消費しきれなかった打撃エネルギーは、今度は、反射応力波としてビットからロッドを介してシャンクロッド後端に到達する。これに対し、この液圧式打撃装置では、上記切換弁機構550は、ピストン520を前進から後退へと切換えるバルブ526の切換え作動を完了するタイミングが、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、破砕対象からの反射応力波が不図示の破砕工具の後端に到達する前にピストン前室501の圧油によってピストン520が後退を開始するタイミングに設定される(タイミングT1)。

0036

さらに、この液圧式打撃装置では、切換弁機構550は、ピストン520を前進から後退へと切換えるバルブ526の切換え作動を完了するタイミングが、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に到達する前にピストン前室501内で発生していた打撃に起因するキャビテーションがピストン前室501に供給された高圧油によって消滅するタイミングに設定される(タイミングT2)。

0037

すなわち、本実施形態では、上記バルブ526の切換えタイミングを、本発明の第一態様および第二態様に対応してタイミングT1およびタイミングT2とすると以下のように定義することができる。
タイミングT1:破砕工具後端に反射応力波が到達する前にピストン520が破砕工具後端から離れている。
タイミングT2:破砕工具後端に反射応力波が到達する前に打撃由来のキャビテーションが消滅している。

0038

以下、上記切換弁機構550のバルブ526の切換え作動の完了タイミングについて、図2に示す、ピストン520を前進から後退へと切換える局面での、打撃〜バルブ切換〜反射応力波到達のタイミングチャートを参照しつつより詳しく説明する。なお、同図において、各タイミングとピストン変位の関係を上段に、気泡量との関係を下段に表している。また、同図においては、反射応力波が液圧式打撃装置にもたらす影響を説明するために、反射応力波の到達時間が短い、すなわち、ロッド1本目の状態のみを表している。

0039

本実施形態では、破砕対象からの反射応力波が最も早く戻る条件として、上記のようにロッド1本目の状態を設定した。そして、ロッド1本目の状態の戻り条件下にて、反射応力波が、破砕工具の後端に最も早く戻るタイミングを測定した。この測定した戻りタイミングを、図2に「反射応力波到達タイミングR」として示す。
本実施形態では、この反射応力波の戻りタイミングRに基づいて、同図にバルブ切換え完了タイミングT1,T2を示すように、この戻りタイミングRよりも早いタイミングでピストン520の後退が開始されるようにバルブ526の切換え作動を完了するようにバルブタイミングを切換えている。

0040

バルブ526のタイミングを切換える方策としては、ピストン520を後退させるための各ポートの位置や受圧面積等の設定を変えることで対応できるが、本実施形態では、ピストン後退制御ポート504の軸方向の開口位置を調整することにより、タイミングT1,T2を切換えている。すなわち、本実施形態では、上記測定された反射応力波の戻りタイミングRに基づいて、この戻りタイミングRよりも早いタイミングでピストン520の後退が開始されるようにバルブ526の作動タイミングを切換えるピストン後退制御ポート504の軸方向の開口位置を設定している。

0041

ここで、ピストン後退制御ポート504の設定位置に応じてバルブ526の作動タイミングが切換えられて、上記タイミングT1では、図2に示すように、タイミングT1にてピストン前室501が高圧となり、ピストン520がシャンクロッドの後端から完全に離れて、二点鎖線で示す打撃点Dを超えた位置まで後退してから反射応力波(反射応力波到達タイミングR)がシャンクロッド後端に到達していることがわかる。したがって、ピストン520が反射応力波によって後退を始めることはないので、常に適正な打撃サイクルが行われるようになっている。

0042

また、上記タイミングT2では、図2に示すように、バルブ526の作動タイミングがタイミングT2にて切換えられてピストン前室501が高圧となり、打撃由来のキャビテーションが高圧油によって消滅した後(気泡量=0)に、シャンクロッド後端に反射応力波(反射応力波到達タイミングR)が到達していることがわかる。そのため、反射応力波由来のキャビテーションが発生することはない。したがって、キャビテーションの発生量が増長されることはないので、エロージョンによる機器の損傷や油効率の低下が防止される。

0043

なお、図2に示すように、タイミングT1は、タイミングT2よりもバルブ526の切換えタイミングが早いので、前述したとおり、適正な打撃サイクルが行われるだけではなく、反射応力波由来のキャビテーションも発生しないので、エロージョンや打撃効率の低下といった問題が発生することもない。また、タイミングT2では、反射応力波がシャンクロッド後端に到達するときには、ピストン520が打撃点Dに至らないまでもシャンクロッド後端からは離れて後退を開始しているので、打撃サイクルを維持する上で大きな問題とはならない。

0044

次に、この液圧式打撃装置の動作、および上記バルブ526の切換えタイミングの作用効果について図3を参照しつつ詳しく説明する。なお、図3では、高圧状態のときの通路を「網掛け」にて図示している。
今、上記切換弁機構550のバルブ526が前進位置に切換えられると、図3(a)に示すように、ピストン高圧ポート514とピストン後室通路507が連通してピストン後室502が高圧となる。一方、ピストン前室低圧ポート512とピストン前室通路506が連通してピストン前室501が低圧となるので、ピストン524は前進する。このとき、バルブ前室510とバルブ後室511は共に低圧となるものの、バルブ前進保持室516は高圧となっており、バルブ526は前進位置に保持される。

0045

次いで、同図(b)に示すように、ピストン524が前進してピストン後退制御ポート504とピストン後室502が連通するとバルブ前室510が高圧となる。ここで、バルブ前室510の受圧面積はバルブ前進保持室516の受圧面積よりも大きいのでバルブ526は後退を開始する。このとき、バルブ後室511は、バルブ制御通路518、ピストン後退制御連動ポート508、排油ポート505および排油通路519を介して低圧回路539と連通しているので、バルブ526は問題なく後退することができる。

0046

ここで、本実施形態では、ピストン520が打撃点まで達した後に、切換弁機構550は、ピストン520を前進から後退へと切換えるバルブ切換え作動を完了するタイミングが、上記タイミングT1ないしT2に設定されているので、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に最も早く戻る条件のときに、反射応力波が破砕工具の後端に到達する前に、バルブ526はその後退位置への切換が完了する。

0047

バルブ後退位置では、同図(c)に示すように、ピストン前室501がピストン高圧ポート514と連通してピストン前室501が高圧となると共に、ピストン後室502がピストン後室低圧ポート513に連通してピストン後室502が低圧になるので、ピストン520は後退に転じる。バルブ前室510とバルブ後室511は共に低圧となるものの、バルブ後退保持室515は高圧となり、バルブ526は後退位置に保持される。なお、図3(c)では、ピストン前室501は、既に低圧から高圧へと切換が完了しており、ピストン520が後退へと転じる状態を表している。

0048

ピストン520が後退してピストン前進制御ポート503とピストン前室501が連通するとバルブ後室511が高圧となり、同図(d)に示すように、バルブ後室511の受圧面積がバルブ後退保持室515の受圧面積よりも大きいのでバルブ526は前進を開始する。このとき、バルブ前室510は、バルブ制御通路517、ピストン前進制御連動ポート509、排油ポート505および排油通路519を介して低圧回路539と連通しているので、バルブ526は問題なく前進することができる。そして、バルブ526が再び前進位置に切換えられ、上記のサイクルが繰り返されて打撃が行われる。

0049

ここで、図3(c)に示した局面、すなわち、ピストン520が図示しないシャンクロッドを打撃した直後においては、打撃によって生じた打撃エネルギーは圧縮の応力波として、シャンクロッド、ロッド、およびビットを順に伝播して岩盤を破砕するが、破砕で消費しきれなかった打撃エネルギーは、今度は、反射応力波としてビットからロッドを介してシャンクロッド後端に到達する。

0050

このとき、図5に示した従来のバルブ切換えタイミングでは、実際のさく孔作業中において、ピストンがピストン前室の圧油によって後退を開始するよりも早く前述の反射応力波がピストンに到達する場合がある。この現象は、前後室高低圧切換式の液圧式打撃装置で顕著に発生するが、さく孔対象が硬岩である場合にも同様な状況が確認されることから、岩盤からの反発が大きいことが原因であると考えられる。

0051

すなわち、ロッド1本目でさく孔を行うときやさく孔対象が硬岩である場合に、図5を参照して前述した通り、従来の液圧式打撃装置では、打撃直後にバルブがその後退位置への切換が完了するように設定されているが、このバルブ切換タイミングにおいては、ピストン前室が低圧から高圧へと切換が完了する前に反射応力波がシャンクロッド後端に到達してピストンが後退することになる。
したがって、従来の液圧式打撃装置では、例えば、ロッド1本目でさく孔を行うときとロッドを継ぎ足してさく孔を行うときとでは、対応する駆動油圧機器のスペックの好適な設定条件に違いが生じる場合がある。また、ピストン前室は、ピストンが低圧下で後退するので負圧状態となり、反射応力波由来のキャビテーションが発生する。

0052

これに対し、本実施形態の液圧式打撃装置によれば、図2に示したように、ピストン520を前進から後退へと切換える局面において、切換弁機構550のバルブ526の切換え作動を完了するタイミングT1が、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に到達する前に、ピストン前室501の圧油によってピストン520が後退を開始するタイミングに設定されているので、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に到達する前に、ピストン520を破砕工具の後端から離すことができる。そのため、ピストン520の後退動作が反射応力波によって加速されることがない。したがって、液圧式打撃装置の打撃数が過剰に増加することはないので、それに合わせた駆動油圧機器のスペックの選定も不要である。

0053

また、本実施形態の液圧式打撃装置によれば、図2に示したように、ピストン520を前進から後退へと切換える局面において、切換弁機構550のバルブ526の切換え作動を完了するタイミングT2が、破砕対象からの反射応力波が破砕工具の後端に到達する前に、ピストン前室501内で発生していた打撃に起因するキャビテーションがピストン前室501に供給された高圧油によって消滅するタイミングに設定されているので、破砕工具後端に反射応力波が到達する前に、打撃由来のキャビテーションをピストン前室501に供給された高圧油によって消滅させることができる。

0054

そのため、打撃由来のキャビテーションと反射応力波由来のキャビテーションとが複合的に発生してキャビテーション発生量が増長されることはない。したがって、本実施形態の液圧式打撃装置によれば、岩盤からの反発が大きいことに由来する打撃数過多の発生を防止または抑制するとともに、キャビテーション−エロージョンの発生を防止または抑制することができる。

0055

そして、本実施形態での切換弁機構550のバルブ526の切換えタイミングと従来のバルブ切換タイミングについて、図2図5とを参照して対比すると、本実施形態でのバルブ526の切換えタイミングは、従来とは全く異なる思想によって決定されていることがよく分かる。すなわち、従来のバルブ切換タイミングは、反射応力波が到達してからバルブを切換えているのに対して、本実施形態でのバルブ526は、タイミングT1、タイミングT2のいずれのタイミングにおいても、反射応力波の到達よりも前にバルブ526を切換えている。

0056

本実施形態と従来のバルブ切換タイミングとが、正反対ともいえるバルブ切換タイミングを採用している理由として、従来のバルブ切換タイミングは、打撃時におけるピストン速度を最大にすることを主眼において設定されていたのに対して、本実施形態でのバルブ526の切換えタイミングは、高出力仕様の液圧式打撃装置を開発する過程で創出されたものであって、打撃数の過剰な増加とピストン前室501におけるキャビテーションーエロージョンを抑制することを主眼としているためである。

0057

以上説明したように、本実施形態では、従来のようにバルブが切換えられる前に反射応力波がシャンクロッド後端に到達してピストンが後退を開始することがなく、また、本実施形態での気泡量は、ほぼ同じスケールで示す図2図5を対比すれば明らかなように従来と比べると格段に少ない。これらの差異によって、本実施形態の液圧式打撃装置は、打撃数が過剰となることがなく、且つ、キャビテーション−エロージョンの発生を防止または抑制して、油圧効率に優れるという効果がもたらされるのである。

0058

次に、本発明に係る液圧式打撃装置の第二実施形態(前室高低圧切換—後室常時高圧方式の液圧式打撃装置)について図4を参照しつつ説明する。
同図に示すように、第二実施形態の液圧式打撃装置は、シリンダ100と、シリンダ100の内部に軸方向に沿ってスライド移動可能に摺嵌されたピストン200とを備えている。ピストン200は、軸方向中央の大径部(前)201、大径部(後)202と、その大径部201、202の前後に形成された小径部(前)203、小径部(後)204とを有する。小径部(前)203の直径は、小径部(後)204の直径よりも小さく設定されている。ピストン大径部201、202の略中央には、円環状のバルブ切換溝205が形成されている。

0059

ピストン200が、シリンダ100内に摺嵌して設けられることで、ピストン200の外周面とシリンダ100の内周面との間に、軸方向の前後に離隔してピストン前室110とピストン後室111とがそれぞれ画成されている。そして、シリンダ100の内部には、ピストン前室110を高圧回路101と低圧回路102とに交互に切換えてピストン200の前進および後退が繰返されるように作動油を給排させる切換弁機構210が設けられている。

0060

この切換弁機構210は、シリンダ100の内部に、ピストン200と非同軸に形成された弁室130と、この弁室130に摺嵌されたバルブ(スプール)300とを有する。弁室130は、前方から後方へ向けて順に、弁室小径部132、弁室大径部131、および弁室中径部133が多段円環状溝によって形成されている。弁室大径部131には、前方から後方へ向けてそれぞれ所定間隔離隔して、バルブ制御室137、ピストン前室低圧ポート135、ピストン前室高圧ポート134、および低圧ポート136が設けられている。

0061

ピストン前室110には、バルブ300の前後進切換によってピストン前室110を高圧回路101と低圧回路102へとそれぞれ連通させるピストン前室通路120が接続されている。一方、ピストン後室111には高圧回路101と常時連通させるピストン後室通路121が接続されている。高圧回路101には高圧アキュムレータ400が設けられ、低圧回路102には低圧アキュムレータ401が設けられている。

0062

ピストン前室110とピストン後室111の間には、前方から後方へ向けてそれぞれ所定間隔隔離して、ピストン後退制御ポート113、バルブ制御ポート114、およびピストン前進制御ポート112が設けられている。ピストン前進制御ポート112は、通常ストローク用とショートストローク用として開口部が二箇所に設けられている。ピストン前室110側のピストン前進制御ポート112aが可変絞りを備えたショートストローク用である。第二実施形態では、通常ストロークの設定、すなわち、可変絞りを全閉状態として、ピストン後室111側のピストン前進制御ポート112が作用する設定で説明をする。

0063

バルブ300は、軸方向に貫通するバルブ中空通路311を有する中空円筒形状の弁体である。バルブ300は、バルブ大径部301、302と、バルブ大径部301の前側に設けられたバルブ小径部304と、バルブ大径部302の後側に設けられたバルブ中径部305とを外周面に有する。バルブ大径部301とバルブ大径部302の間には、円環状のピストン前室切換溝306が設けられている。

0064

この切換弁機構210は、バルブ大径部301、302が弁室大径部131と摺嵌するように構成され、バルブ小径部304が弁室小径部132と摺嵌するように構成され、バルブ中径部305が弁室中径部133と摺嵌するように構成されている。バルブ300の両端面は、前方がバルブ前端面308、後方がバルブ後端面309となっている。バルブ小径部304とバルブ大径部301との境界には、バルブ段付面(前)310が形成され、バルブ大径部303とバルブ中径部305の境界にはバルブ段付面(後)312が形成されている。

0065

高圧回路101は、ピストン前室高圧ポート134に接続されており、低圧回路102はピストン前室低圧ポート135および低圧ポート136にそれぞれ接続されている。
ピストン前室通路120は、一方がピストン前室110に接続され、他方が弁室大径部131のピストン前室高圧ポート134とピストン前室低圧ポート135との中間部に接続されている。バルブ高圧通路(前)123は、ピストン後退制御ポート113と弁室130の前側端面を接続し、バルブ高圧通路(後)124は、弁室130の後側端面と高圧回路101の高圧アキュムレータ400よりも上流側(図4中で右側)の位置とを接続している。したがって、バルブ中空通路311は常時高圧となっている。

0066

なお、バルブ高圧通路(前)123は、ピストン後退制御ポート113とバルブ高圧通路(後)124とを接続してもよい。バルブ低圧通路125は、ピストン前進制御ポート112と低圧ポート136とを接続している。バルブ制御通路126は、バルブ制御ポート114とバルブ制御室137とを接続している。なお、バルブ低圧通路125は、ピストン前進制御ポート112と低圧回路102とを直接接続してもよい。

0067

上記の構成により、ピストン後室111は常時高圧接続されるとともに、切換弁機構210の作動により、ピストン前室110は、高圧と低圧に交互に切換えられ、ピストン前室110が低圧に接続されると、ピストン後室111が常時高圧に接続されているのでピストン200は前進し、ピストン前室110が高圧接続されると、ピストン後室111との受圧面積の差によりピストン200が後退するようになっている。

0068

ここで、この第二実施形態液圧式打撃装置においても、ピストン200を前進から後退へと切換えるバルブ300の切換え作動を完了するタイミングが、上述した第一実施形態の図2に示したように、反射応力波が到達するより前にピストン前室110の圧油によってピストン200が後退を開始するように上記タイミングT1ないしT2に設定されている。これにより、この第二実施形態液圧式打撃装置においても、上記第一実施形態にて詳述した作用機序により、打撃数の過剰な増加の発生を防止または抑制するとともに、キャビテーション−エロージョンの発生を防止または抑制することができる。

0069

以上、本発明の第一実施形態(本発明の第一態様および第二態様に対応するタイミングT1およびタイミングT2)および第二実施形態について図面を参照して説明したが、本発明に係る液圧式打撃装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しなければ、その他の種々の変形や各構成要素を変更することが許容されることは勿論である。

0070

500シリンダ
501ピストン前室
502ピストン後室
520ピストン
526バルブ
538高圧回路
539低圧回路
540高圧アキュムレータ
543低圧アキュムレータ
550切換弁機構
T1 バルブ切換え作動を完了するタイミング
T2 バルブ切換え作動を完了するタイミング

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