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技術 光走査装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 石館毅洋工藤源一郎
出願日 2015年1月28日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2015-014127
公開日 2016年8月4日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2016-139019
状態 特許登録済
技術分野 機械的光走査系 FAXの走査装置 レーザービームプリンタ
主要キーワード 偶数角形 回転角度精度 グリップリング 出し側端 点灯時期 周期差 定常回転状態 偏芯精度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

異なる内角を有する回転多面鏡において、画像不良を防止するとともに、製造誤差にかかわらず反射面の特定を容易にする。

解決手段

光走査装置40は、光ビーム出射する光源17と、光源から出射された光ビームが感光体50の表面上を走査するように光ビームを偏向する回転多面鏡113と、を備え、回転多面鏡は、四角形状であり、回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、回転多面鏡のもう一組の正対する内角の差は、0.03°以下である。

概要

背景

従来、デジタル複写機レーザビームプリンタファクシミリ装置などの電子写真方式画像形成装置は、光走査装置を備えている。光走査装置は、感光ドラム(以下、感光体という。)の表面上を、画像情報に従って変調されたレーザ光(以下、光ビームという。)で走査して静電潜像を形成する。静電潜像は、現像装置により現像剤(以下、トナーという。)でトナー像に現像される。感光体上のトナー像は、転写装置により紙などの記録媒体転写される。定着装置は、転写された記録媒体上のトナー像を定着して、記録媒体上に画像を形成する。

光走査装置は、光ビームを出射する光源と、光ビームで感光体を走査するように光源から出射された光ビームを偏向する回転多面鏡とを有する。光走査装置は、各走査における感光体上の画像書き込み開始位置走査開始位置)をいつも同じにするために、主走査方向の同期信号(以下、BD信号という。)を生成する。BD信号は、光ビームがビーム検出器(Beam Detector、以下、BDという。)に入射すると、BDからBD信号が出力される。

回転多面鏡は、複数の反射面を有し、それぞれの反射面の光学特性が同じになるように製造(加工)されている。しかし、製造誤差により、いずれかの反射面の光学特性が他の反射面の光学特性(反射率回転軸に対する反射面の角度)と異なることがある。そこで、回転多面鏡の反射面を特定して、反射面の光学特性を補正している(特許文献1)。回転多面鏡の反射面を特定するために、BD信号を用いるものがある(特許文献2)。通常、回転多面鏡は、正多角形状に形成されている。しかし、特許文献2は、BD信号による反射面の特定を容易にするために、回転多面鏡を非正多角形状に形成し、互いに隣り合う第1内角と第2内角とを異ならせている。

概要

異なる内角を有する回転多面鏡において、画像不良を防止するとともに、製造誤差にかかわらず反射面の特定を容易にする。光走査装置40は、光ビームを出射する光源17と、光源から出射された光ビームが感光体50の表面上を走査するように光ビームを偏向する回転多面鏡113と、を備え、回転多面鏡は、四角形状であり、回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、回転多面鏡のもう一組の正対する内角の差は、0.03°以下である。

目的

本発明は、異なる内角を有する回転多面鏡において、画像不良を防止するとともに、製造誤差にかかわらず反射面の特定を容易にすることができる光走査装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

光走査装置であって、光ビーム出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、を備え、前記回転多面鏡は、四角形状であり、前記回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、前記回転多面鏡のもう一組の正対する内角の差は、0.03°以下であることを特徴とする光走査装置。

請求項2

光走査装置であって、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、を備え、前記回転多面鏡は、前記光ビームを偏向する4つの反射面を備え、前記4つの反射面を4辺として規定される四角形において、前記回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、前記回転多面鏡のもう一組の正対する内角の差は、0.03°以下であることを特徴とする光走査装置。

請求項3

光走査装置であって、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、を備え、前記回転多面鏡は、六角形状であり、前記回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、前記一組の正対する内角のうちの一方の内角の隣りの一つ内角と前記一組の正対する内角のうちの他方の内角との差は、0.03°より大きいことを特徴とする光走査装置。

請求項4

光走査装置であって、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、を備え、前記回転多面鏡は、前記光ビームを偏向する6つの反射面を備え、前記6つの反射面を6辺として規定される六角形状において、前記回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、前記一組の正対する内角のうちの一方の内角の隣りの一つ内角と前記一組の正対する内角のうちの他方の内角との差は、0.03°より大きいことを特徴とする光走査装置。

請求項5

光走査装置であって、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、を備え、前記回転多面鏡は、2n個(nは、1以上の整数である。)の反射面を有する偶数角形状であり、基準値αを180°×(2n−1)/ 2nとし、製造誤差許容値をaとしたときに、前記回転多面鏡は、前記回転多面鏡の一つの内角の称呼値をα−aより小さな値とし、前記一つの内角に正対する内角の称呼値をα+aより大きな値とし、残りの少なくとも二つの内角の称呼値をα−aとα+aの間の値として、加工されたものであることを特徴とする光走査装置。

請求項6

光走査装置であって、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、を備え、前記回転多面鏡は、2n個(nは、1以上の整数である。)の反射面を有し、基準値αを180°×(2n−1)/ 2nとし、製造誤差の許容値をaとしたときに、前記回転多面鏡は、前記2n個の反射面によって規定される2n角形において、前記2n角形の一つの内角の称呼値をα−aより小さな値とし、前記一つの内角に正対する内角の称呼値をα+aより大きな値とし、残りの少なくとも二つの内角の称呼値をα−aとα+aの間の値として、加工されたものであることを特徴とする光走査装置。

請求項7

前記一つの内角と前記正対する内角の隣りの一つの内角との差は、2aよりも大きいことを特徴とする請求項5または6に記載の光走査装置。

請求項8

前記回転多面鏡は、内接円を有する形状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光走査装置。

請求項9

前記回転多面鏡の複数の反射面により偏向された前記光ビームを受光して、前記感光体に対する前記光ビームの走査開始位置を示す信号を生成する信号生成手段と、前記信号の間隔を用いて、前記回転多面鏡の前記複数の反射面を特定する処理装置と、を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光走査装置。

請求項10

前記回転多面鏡は、光走査装置に設けられており、前記処理装置は、前記光走査装置の起動中に生成される前記信号に基づいて、前記光走査装置の起動中に前記回転多面鏡の前記複数の反射面の特定を完了させることを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。

請求項11

請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光走査装置と、前記感光体と、前記光ビームによって走査されることによって前記感光体の表面上に形成された静電潜像トナーを用いて現像する現像手段と、前記現像手段によって現像されたトナー像記録媒体転写する転写手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置

技術分野

0001

本発明は、回転多面鏡を有する光走査装置に関する。

背景技術

0002

従来、デジタル複写機レーザビームプリンタファクシミリ装置などの電子写真方式画像形成装置は、光走査装置を備えている。光走査装置は、感光ドラム(以下、感光体という。)の表面上を、画像情報に従って変調されたレーザ光(以下、光ビームという。)で走査して静電潜像を形成する。静電潜像は、現像装置により現像剤(以下、トナーという。)でトナー像に現像される。感光体上のトナー像は、転写装置により紙などの記録媒体転写される。定着装置は、転写された記録媒体上のトナー像を定着して、記録媒体上に画像を形成する。

0003

光走査装置は、光ビームを出射する光源と、光ビームで感光体を走査するように光源から出射された光ビームを偏向する回転多面鏡とを有する。光走査装置は、各走査における感光体上の画像書き込み開始位置走査開始位置)をいつも同じにするために、主走査方向の同期信号(以下、BD信号という。)を生成する。BD信号は、光ビームがビーム検出器(Beam Detector、以下、BDという。)に入射すると、BDからBD信号が出力される。

0004

回転多面鏡は、複数の反射面を有し、それぞれの反射面の光学特性が同じになるように製造(加工)されている。しかし、製造誤差により、いずれかの反射面の光学特性が他の反射面の光学特性(反射率回転軸に対する反射面の角度)と異なることがある。そこで、回転多面鏡の反射面を特定して、反射面の光学特性を補正している(特許文献1)。回転多面鏡の反射面を特定するために、BD信号を用いるものがある(特許文献2)。通常、回転多面鏡は、正多角形状に形成されている。しかし、特許文献2は、BD信号による反射面の特定を容易にするために、回転多面鏡を非正多角形状に形成し、互いに隣り合う第1内角と第2内角とを異ならせている。

先行技術

0005

特開2001−260413号公報
特開2013−109113号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところが、回転多面鏡の内角の差が小さい場合、製造誤差により回転多面鏡の一回転あたりのBD信号周期に同じパターンが繰り返し発生することがある。このような場合、反射面を特定することが困難である。一方、回転多面鏡の内角の差が大きい場合、反射面の特定は容易になるが、画像不良が発生することがある。

0007

そこで、本発明は、異なる内角を有する回転多面鏡において、画像不良を防止するとともに、製造誤差にかかわらず反射面の特定を容易にすることができる光走査装置を提供する。

課題を解決するための手段

0008

前述の課題を解決するために、本発明の一実施形態による光走査装置は、
光ビームを出射する光源と、
前記光源から出射された前記光ビームが感光体の表面上を走査するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、
を備え、
前記回転多面鏡は、四角形状であり、
前記回転多面鏡の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、前記回転多明鏡のもう一組の正対する内角の差は、0.03°以下である。

発明の効果

0009

本発明によれば、異なる内角を有する回転多面鏡において、画像不良を防止するとともに、製造誤差にかかわらず反射面の特定を容易にすることができる。

図面の簡単な説明

0010

実施例1による対向する第1内角と第3内角に差を付けた回転四面鏡の平面図。
画像形成装置の断面図。
光走査装置を示す図。
回転多面鏡を回転させるモータの断面図。
隣り合う内角は異なるが対角の大きさがほぼ同じ回転多面鏡の説明図。
入射光路BD光路を示す図。
比較例による隣り合う第1内角と第4内角に差を付けた回転四面鏡の平面図。
異形回転多面鏡及び台形回転多面鏡のBD信号周期を示す図。
製造誤差によりBD信号周期の差が低減した状態を示す図。
実施例1による異形回転多面鏡の反射面特定の限界点を示す図。
BD信号周期ずれ製造誤差を角度相当に変換した値のヒストグラム
回転六面鏡のBD信号周期に発生する繰り返しパターンの例を示す図。
第1内角と第4内角に差を付けた回転六面鏡のBD信号周期を示す図。
図13に示すBD信号周期において2面×3周期を生じる例を示す図。
実施例2による回転六面鏡の説明図。
実施例2による回転六面鏡の説明図。

0011

以下、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。

0012

(画像形成装置)
本発明による電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という。)100を説明する。図2は、画像形成装置100の断面図である。画像形成装置100の一例として、タンデム型カラーレーザビームプリンタを示す。画像形成装置100は、電子写真方式により記録媒体(以下、シートという。)Pに画像を形成する。画像形成装置100は、4つの画像形成部10(10Y、10M、10C、10Bk)を有する。参照符号添え字Y、M、C及びBkは、それぞれ、イエローマゼンタシアン及びブラックを表す。以下の説明において、添え字Y、M、C及びBkを省略することがある。

0013

画像形成部10のそれぞれは、像担持体としての感光ドラム(以下、感光体という。)50(50Y、50M、50C、50Bk)を有する。それぞれの感光体50の周りには、感光体50に作用するプロセス部材が配置されている。具体的には、感光体50の周りに、帯電ローラ帯電器)12(12Y、12M、12C、12Bk)、現像装置13(13Y、13M、13C、13Bk)、および一次転写ローラ一次転写部材)15(15Y、15M、15C、15Bk)が配置されている。4つの画像形成部10の下には、光走査装置(露光装置)40が配置されている。

0014

帯電ローラ(帯電部材)12は、帯電バイアス印加されて、感光体50の表面を均一に帯電する。現像装置13は、それぞれの色の現像剤(トナー)を担持する現像ローラ現像剤担持体)94(94Y、94M、94C、94Bk)を有する。現像ローラ(現像手段)94は、現像バイアスが印加されて、感光体50の表面上(感光体上)に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像にする。

0015

画像形成装置100は、画像形成部10から複数色のトナー像が一次転写される中間転写ベルト中間転写体)20を有する。中間転写ベルト20は、4つの画像形成部10の上に配置されている。中間転写ベルト20は、一対のベルト搬送ローラ21および22に掛け渡された無端状ベルトである。中間転写ベルト20は、矢印Rで示す方向に回転する。

0016

一次転写ローラ15は、中間転写ベルト20を挟んで画像形成部10の感光体50と対向して配置されて、中間転写ベルト20と感光体50との間に一次転写部PT(PTY、PTM、PTC、PTBk)を形成する。一次転写ローラ15に転写電圧を印加することにより、感光体50上のトナー像は、中間転写ベルト20へ一次転写される。

0017

4つの画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkは、中間転写ベルト20の下に並列に配設されている。中間転写ベルト20の回動方向Rに沿って、イエロー画像形成部10Y、マゼンタ画像形成部10M、シアン画像形成部10C、及びブラック画像形成部10Bkの順に配置されている。画像形成部10は、それぞれの色のトナーでイエロートナー像マゼンタトナー像シアントナー像、及びブラックトナー像を形成する。二次転写ローラ(転写手段)65は、中間転写ベルト20を挟んでベルト搬送ローラ21と対向して配置されて、中間転写ベルト20と二次転写ローラ65との間に二次転写部STを形成する。

0018

画像形成装置100の本体51の下部に、シートP(記録媒体)を収容する給紙カセット52が設けられている。給紙カセット52は、本体51の側面から本体51の下部に着脱可能に装着されている。給紙カセット52の上方に、ピックアップローラ24及び給紙ローラ25が設けられている。ピックアップローラ24及び給紙ローラ25は、給紙カセット52に収容されたシートPを一枚ずつ給送する。シートPの重送を防止するために、リタードローラ26は、給紙ローラ25に対向して配設されている。

0019

本体51の内部におけるシートPの搬送経路27は、図2に示す本体51の右側面に沿って略垂直に設けられている。搬送経路27には、レジストレーションローラ対29、二次転写部ST、定着装置53及び排出ローラ対28が設けられている。

0020

(画像形成プロセス)
以下、画像形成装置100における画像形成プロセスを説明する。帯電ローラ12は、感光体50の表面を均一に帯電する。光走査装置40は、均一に帯電された感光体50の表面を、それぞれの色の画像情報に従って変調されたレーザ光(以下、光ビームという。)L(LY、LM、LC、LBk)で露光して感光体50の表面に静電潜像を形成する。現像装置13は、それぞれの色のトナーで静電潜像を現像して感光体50の上にそれぞれの色のトナー像を形成する。4つの画像形成部10により形成された4色のトナー像は、回転方向Rに回転する中間転写ベルト20へ一次転写ローラ15により一次転写されて、中間転写ベルト20の上に重ね合わされる。一次転写後に感光体50上に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置14(14Y、14M、14C、14Bk)により回収される。

0021

一方、シートPは、給紙カセット52からピックアップローラ24及び給紙ローラ25によりレジストレーションローラ対29へ給送される。レジストレーションローラ対29は、中間転写ベルト20上の重ね合わされたトナー像とタイミングを合わせて、シートPを二次転写ローラ65と中間転写ベルト20との間の二次転写部STへ搬送する。

0022

中間転写ベルト20上に重ね合わされたトナー像は、二次転写部STにおいて、シートP上へ一括して二次転写される。二次転写時に転写されずに中間転写ベルト20上に残ったトナーは、中間転写ベルト20のクリーニング機構(不図示)により回収される。トナー像が転写されたシートPは、二次転写部STの上方に設けられた定着装置53へ搬送経路27に沿って搬送される。

0023

定着装置53は、シートPを加熱および加圧して、トナー像をシートPに定着する。このようにして、シートPにフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成されたシートPは、排出ローラ対28によって、本体51の上部に設けられた排紙トレイ54上に排出される。

0024

(光走査装置)
上述したように、画像形成装置100のフルカラー画像形成において、光走査装置40は、それぞれの色の画像情報に従って画像形成部10のそれぞれの感光体50Y、50M、50C及び50Bkをそれぞれの所定のタイミングで露光する。それによって、感光体50上に、それぞれの色の画像情報に応じたそれぞれの色のトナー像が形成される。高品質なフルカラー画像を得るために、光走査装置40により形成されるそれぞれの静電潜像の形成位置は、高精度に再現される必要がある。本実施例において、光走査装置40は、4つの画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkに共用されている。

0025

図3は、光走査装置40を示す図である。図3(a)は、光走査装置40の縦断面図である。図3(b)は、光源ユニット93(93a、93b)と反対の側から見た光走走査装置40の斜視図である。図3(c)は、光源ユニット93の側から見た光走走査装置40の斜視図である。以下、図2及び図3を用いて、光走査装置40を説明する。

0026

光走査装置40は、光学箱(以下、筐体という。)85を有する。筐体85には、光源ユニット93(93a、93b)、回転多面鏡42、レンズ60(60a、60b、60c、60d)及び反射ミラー62(62a、62b、62c、62d、62e、62f、62g、62h)が設けられている。光走査装置40は、それぞれの色の画像情報に従って変調された光ビームを出射する4つの半導体レーザ(以下、光源という。)17(17Y、17M、17C、17Bk)を備えている。光源ユニット93aは、イエローの画像情報に従って変調された光ビームLYを出射する光源17Y及びマゼンタの画像情報に従って変調された光ビームLMを出射する光源17Mを保持している。光源ユニット93bは、シアンの画像情報に従って変調された光ビームLCを出射する光源17C及びブラックの画像情報に従って変調された光ビームLBkを出射する光源17Bkを保持している。

0027

光走査装置40は、筐体85の中央部に、光ビームLを偏向する偏向ユニット偏向手段)45が設けられている。偏向ユニット45は、回転多面鏡(偏向部材)42、回転多面鏡42を回転させるモータ41、及びモータ41を駆動する回路基板43を有する。光源17から出射された光ビームLは、回転多面鏡42に向けて出射される。光ビームLは、回転する回転多面鏡42により偏向される。回転多面鏡42によって偏向された光ビームLは、光走査装置40内に設置されたレンズ60及び反射ミラー62などの光学部材により案内されて感光体50へ導かれる。光ビームLは、図3(b)の矢印Yで示す主走査方向(感光体50の回転軸線方向)に沿って感光体50の表面上(感光体上)を走査する。

0028

以下、光ビームLBk、LC、LM、LYのそれぞれの光路について詳細に説明する。感光体50Yに対応する光源17Yから出射された光ビームLYは、回転多面鏡42により偏向され、レンズ60cに入射する。レンズ60cを通過した光ビームLYは、レンズ60dに入射し、レンズ60dを通過した後、反射ミラー62aにより反射される。反射ミラー62aにより反射された光ビームLYは、透明窓42Yを通過して感光体50Yを走査する。

0029

感光体50Mに対応する光源17Mから出射された光ビームLMは、回転多面鏡42により偏向され、レンズ60cに入射する。レンズ60cを通過した光ビームLMは、レンズ60dに入射し、レンズ60dを通過した後、反射ミラー62b、反射ミラー62c、反射ミラー62dにより反射される。反射ミラー62dにより反射された光ビームLMは、透明窓42Mを通過して感光体50Mを走査する。

0030

感光体50Cに対応する光源17Cから出射された光ビームLCは、回転多面鏡42により偏向され、レンズ60aに入射する。レンズ60aを通過した光ビームLCは、レンズ60bに入射し、レンズ60bを通過した光ビームLCは、反射ミラー62e、反射ミラー62f、反射ミラー62gにより反射される。反射ミラー62gにより反射された光ビームLCは、透明窓42Cを通過して感光体50Cを走査する。

0031

感光体50Bkに対応する光源17Bkから出射された光ビームLBkは、回転多面鏡42により偏向され、レンズ60aに入射する。レンズ60aを通過した光ビームLBkは、レンズ60bに入射し、レンズ60bを通過した後、反射ミラー62hにより反射される。反射ミラー62hにより反射された光ビームLBkは、透明窓42Bkを通過して感光体50Bkを走査する。

0032

(BD)
光走査装置40は、光ビームLの各走査において感光体50上の画像書き込み開始位置(走査開始位置)をいつも同じにするために、主走査方向Yの同期信号(以下、BD信号という。)を生成するビーム検出器(以下、BDという。)97を有する。BD(信号生成手段)97は、光源ユニット93bの光源制御基板92b上に設けられている。BD97は、光ビームLBkの主走査方向Yの画像書き出し側に配置されている。BD97は、回転多面鏡42の反射面により偏向された光ビームLBkを受光して、感光体50に対する光ビームLの主走査方向Yの画像書き出し位置を示すBD信号を生成する。回転多面鏡42により偏向された光ビームLBkは、主走査方向Yの画像書き出し側端部で光路91を通りBDレンズ90によりBD97上に結像される。BD97上を光ビームLBkが通過することにより、BD97からBD信号が出力される。よって、画像形成時には、走査毎に光ビームLBkがBD97上を通過するタイミングで光源17Bkを点灯させる必要がある。

0033

なお、光ビームLY、LM及びLCにより画像書き込みを開始するタイミングも、光ビームLBkのBD信号に基づいて決定する。しかし、光ビームLY、LM及びLCのそれぞれにBDを設けてもよい。あるいは、光ビームLY及びLMに一つのBDを設け、光ビームLC及びLBkに別のBDを設けてもよい。

0034

一般に、停止状態にあるモータ41の回転を開始したときに、BD97へ入射する光ビームLBkの点灯時期を決定する同期検知書き込み(以下、BDサーチという。)を行う。例えば、印刷ジョブが画像形成装置100へ入力されると、まず、所定のタイミングで偏向ユニット45の回転多面鏡42を保持するモータ41が回転を開始する。そして、モータ41の加速中、または定常回転状態になったところで、光源17Bkを点灯させ、BD97からBD信号が出力されるまで光源17Bkを点灯させたままとする。BD信号を検出したら、光源17Bkを消灯する。BD信号の検出から所定時間後に光源17Bkを点灯し、再びBD信号を検出したら、光源17Bkを消灯する。このようなタイミングで光源17Bkの点灯及び消灯を制御することにより、1走査毎にBD信号を検出することができる。

0035

BDサーチは、例えば、一つのジョブの中で1枚目の画像形成のための画像書き込みの前に行われる。感光ドラム50の軸線方向(主走査方向Y)における画像書き込み開始位置は、BD信号が検知された時点での回転多面鏡42の回転位置から求めることができる。例えば、BD信号の検知から予め求めた所定時間後に、画像情報に従って変調された光ビームLの出射を開始すれば、各走査における感光体50上の画像書き込み開始位置を同じにすることができる。回転多面鏡42が所定の回転速度で定常回転している限り、BD信号に基づいて回転多面鏡42の回転位置を常時把握することができる。BD信号に基づいて光源17の点灯及び消灯を制御することにより、各走査の画像書き込み開始位置を同じにすることができる。

0036

(モータ)
図4は、回転多面鏡42を回転させるモータ41の断面図である。図4に示すように、モータ41は、回転軸101、軸受103、ロータ磁石回転子)108、ステータコイル固定子)109及びホールIC回転位相検知部)110を有する。基板102は、光走査装置40の筐体85に固定されている。軸受103は、基板102に加締めなどで固定されている。回転軸101は、軸受103の内径孔103aに挿入されて軸受103により回転可能に支持されている。

0037

ロータボス104は、回転軸101に固定されている。ロータボス104は、座面部111を有する。回転多面鏡42は、回転多面鏡42の下面がロータボス104の座面部111に接触するように、ロータボス104の上に配置されている。押さえ板105は、回転多面鏡42の上面に接触して配置されている。グリップリング106は、押さえ板105の上に配置されて回転軸101の環状溝101aに係止されている。回転多面鏡42は、ロータボス104と押さえ板105とに挟まれてグリップリング106によりロータボス104すなわち回転軸101に固定されている。

0038

ロータボス104の下部には、金型によって絞り加工されたカップ形状のロータフレーム107が固定されている。ロータフレーム107の内周に、ロータ磁石108が固定されている。ロータフレーム107は、高精度な絞り加工が可能な薄肉鉄板により形成されている。ロータ磁石108は、ゴム製のマグネットからなる。ステータコイル109は、基板102上に固定されている。ステータコイル109は、回転軸101の軸線Xに垂直な方向にロータ磁石108と対向してロータフレーム107内に配置されている。

0039

ホール素子を有するホールIC110は、基板102上に配置されている。ホールIC110は、回転軸101の軸線Xに平行な方向にロータ磁石108と対向して配置されている。回転多面鏡42は、ロータフレーム107、ロータ磁石108、ロータボス104、押さえ板105及びグリップリング106と一体的に、回転軸101に保持されている。回転多面鏡42は、ロータフレーム107、ロータ磁石108、ロータボス104、押さえ板105、グリップリング106及び回転軸101と一体的に回転および停止する。

0040

(回転多面鏡)
本実施例の回転多面鏡42は、反射面1、2、3及び4(以下、面1、面2、面3及び面4ということもある。)(図3(b)及び図3(c))を有する四面鏡である。回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4は、回転多面鏡42の回転軸101に対して平行となるように切削加工されている。しかしながら、各反射面1、2、3及び4は、加工誤差により回転軸101に非平行な部分をそれぞれ含むことがある。そのため、回転軸101に非平行な部分で光が反射されると、感光体50の表面(被走査面)上における光の照射位置目標位置から定常的にずれる。これは、「面倒れ」と呼ばれている。この面倒れは、回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4毎に周期的に照射位置がずれるため、面倒れがある状態で画像形成を行うと、画像の副走査方向に周期的な濃淡むらが生じ画像劣化を引き起こす。面倒れは、加工精度を上げることで少なくすることが可能であるが、その場合、加工コストが増大する。

0041

そこで、回転多面鏡42の回転中に回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4を特定し、面倒れが生じている反射面を走査する光ビームの画像データを補正する。画像データは、面倒れが生じている反射面による走査位置ずれの影響が小さくなるように、補正される。面倒れの他にも回転多面鏡42のわずかな加工精度誤差によって生じる画像劣化成分として、主走査方向Yの書出し位置ずれ、画像の倍率ずれ等がある。このような画像劣化成分を、電気的に補正することができれば画質の向上や製造コストの低減に繋げられる。

0042

加工精度に起因して回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4毎に周期的に現れる画像劣化成分は、各反射面1、2、3及び4に応じた電気補正制御を行うことにより補正することができる。このため、回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4を確実に特定することが求められる。

0043

回転多面鏡42の各反射面1、2、3及び4からの光ビームLにより生成されるBD信号の周期の差を利用して、回転中の回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4を特定する方法が提案されている。一般的に、回転多面鏡42は、面分割誤差ができるだけ発生しないよう精度良く作られており、回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4間のBD信号に周期差が発生しないおそれがある。その場合、回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4を特定ができないおそれがある。そこで、回転多面鏡42を、あえて、正多角形ではなく非正多角形とすることが提案されている。本明細書において、非正多角形は、正多角形の一部をわずかに変形した形状である。例えば、回転多面鏡42の隣り合う第1内角と第2内角を互いに異ならせることにより、BD信号に周期差を発生させて反射面1、2、3及び4の特定を可能にすることができる。

0044

しかしながら、回転多面鏡42の隣り合う第1内角と第2内角を互いに異ならせるように設計しただけでは、確実に反射面1、2、3及び4を特定できるとは言い切れない。なぜなら、回転多面鏡42を非正多角形とし、かつ隣り合う第1内角と第2内角を互いに異ならせて、BD信号に周期差を発生させたとしても、反射面1、2、3及び4を特定できないBD信号周期差パターンが存在するからである。以下、反射面1、2、3及び4を特定できないBD信号周期差パターンを発生させる回転多面鏡について説明する。

0045

図5は、隣り合う内角は異なるが対角の大きさがほぼ同じ回転四面鏡121の説明図である。図5(a)は、回転四面鏡121の平面図である。図5(b)は、回転四面鏡121により発生するBD信号周期を示す図である。回転四面鏡121は、平行四辺形または菱形である。回転四面鏡121は、回転四面鏡121が回転方向に回転する順番に(左回りに)面1、面2、面3および面4を有する。面2と面3とのなす内角を第1内角θ23、面3と面4とのなす内角を第2内角θ34、面4と面1とのなす内角を第3内角θ41、面1と面2とのなす内角を第4内角θ12とする。回転四面鏡121は、回転方向に回転する順番に(左回りに)第1内角θ23、第2内角θ34、第3内角θ41及び第4内角θ12を有する。それぞれの内角の頂部は、丸められていてもよい。図5(a)に示す回転四面鏡121は、以下のような内角の条件を有する。
・θ12≒θ34
・θ23≒θ41
互いに隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34は、異なっている。同様に、互いに隣り合う第2内角θ34と第3内角θ41、第3内角θ41と第4内角θ12、及び第4内角θ12と第1内角θ23も異なっている。対向する第1内角θ23と第3内角θ41は、ほぼ同じである。また、対向する第2内角θ34と第4内角θ12は、ほぼ同じである。

0046

図5(b)において、縦軸は、回転四面鏡121が回転しているときに回転四面鏡121の反射面1、2、3及び4の切換えに要する時間(BD信号周期)を表している。T12は、面1のBD信号出力から面2のBD信号出力までに要する時間を表す。T23は、面2のBD信号出力から面3のBD信号出力までに要する時間を表す。T34は、面3のBD信号出力から面4のBD信号出力までに要する時間を表す。T41は、面4のBD信号出力から面1のBD信号出力までに要する時間を表す。

0047

ここで、回転四面鏡121の内角の関係を示す上式において、第4内角θ12と第2内角θ34は、一致(=)ではなく略一致(≒)とし、第1内角θ23と第3内角θ41も、一致(=)ではなく略一致(≒)としている。その理由は、例え、内角が一致していなくても、BD信号を検出する画像形成装置100は、BD信号周期が一致していると検出する可能性があるためである。例えば、BD信号を検知する画像形成装置100の分解能が粗い場合、より大きな角度ずれであってもBD信号周期が一致していると判断してしまう。その他、回転四面鏡121の回転軸101の軸線Xに対する反射面1、2、3及び4の偏芯量などもBD信号周期の差にわずかに影響する。BD信号を検知する画像形成装置100の分解能を高くすれば、よりわずかな角度差であってもBD信号周期の差を検出することができる。しかし、画像形成装置100の部品コストアップを招くため分解能の向上はあまり現実的ではない。

0048

図5(b)に示すように、時間T12と時間T23の関係は、時間T34と時間T41の関係と同じである。すなわち、BD信号周期は、2面毎に同じ周期性を持っている。このように、回転四面鏡121を非正多角形としてBD信号周期に差を発生させたとしても、2面周期毎に同じ周期性を持ってしまった場合、BD信号を検出する画像形成装置100は、面1か面3かの判別あるいは面2か面4かの判別ができなくなってしまう。

0049

上より、回転多面鏡42の互いに隣合う第1内角θ23と第2内角θ34の称呼角度に差をつけただけでは、製造誤差のために、対向する第1内角θ23と第3内角θ41がほぼ同じで、対向する第2内角θ34と第4内角θ12がほぼ同じになる可能性がある。結果として、回転多面鏡42は、図5(a)に示すような平行四辺形またはひし形の回転四面鏡121になってしまう可能性がある。この場合、図5(b)に示すように、時間T12と時間T23により形成されるT12−T23パターンと時間T34と時間T41により形成されるT34−T41パターンが同じになる。すなわち、BD信号周期が2面周期毎に同じ周期性を有することとなる。本実施例において、これを2面×2周期という。すなわち、2面×2周期は、回転四面鏡の一回転の間のBD信号周期に二つの同じパターンが発生する場合である。2面×2周期の場合、BD信号周期の差から面1と面3の識別または面2と面4の識別ができなくなる。

0050

尚、ここで議論している製造誤差は、前述の通り、回転多面鏡42の内角がそれぞれ異なる角度を持つような面分割誤差精度だけを含むものではない。製造誤差は、回転多面鏡42の回転軸101に対する反射面1〜4毎の偏芯精度、BD信号を検出する画像形成装置100の分解能起因の量子化誤差、回転多面鏡42の面精度差等のBD信号周期に差を発生させる全ての要因を含んでいる。

0051

製造誤差に対する対策として容易に考えられることは、第1内角θ23と第2内角θ34の差を大きくし、仮に製造誤差が生じても、確実に2面間毎に同じ周期性を持たぬ様に耐性を上げることである。しかしながら、この方法では、プリント出力した画像に対し、回転多面鏡42を非正多角形にした弊害が大きくなる問題がある。

0052

先述の通り、画像形成中は、回転多面鏡42を一定速度で回転させ、BD信号から回転多面鏡42の回転位置を常時把握し、BD信号に同期して光源17の駆動を行う。回転多面鏡42を非正多角形にすることによりBD信号周期に差を設けたとしても、BD信号は、1走査内における光源17の駆動制御の全ての基準となる。BD信号から画像書出しまでの時間およびBD信号から画像書き終わりまでの時間は、回転多面鏡42の反射面1、2、3及び4の間で異なることはない。その理由を、図6を用いて以下に説明する。

0053

図6は、入射光路112とBD光路91を示す図である。図6は、隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34が異なる回転四面鏡122への光ビームの入射光路112と、反射面からBD97へ向かう光ビームのBD光路91を示している。図6(a)において、光ビームは、反射面2で反射している。図6(b)において、光ビームは、回転多面鏡122が回転方向R1に回転して次の反射面3で反射している。図6に示す回転四面鏡122は、反射面1、2、3および4に接する内接円122aを有する。一般に、回転四面鏡が正方形である場合、光ビームは、回転四面鏡が90°(=360°/4)回転する毎にBD光路91へ反射される。一方、図6に示す隣り合う内角が異なる回転四面鏡122の場合、回転四面鏡122がより大きい角度を回転するかより小さい角度を回転するかの違いはあるものの、反射点およびBD光路91は、反射面1〜4にかかわらず理論的に同じである。そして、光ビームがBD光路91へ反射してから画像書出しまでの時間(回転角度)および画像書き終わりまでの時間(回転角度)、画像書き出しの反射点及び画像書き終わりの反射点も全て同じである。すなわち、回転多面鏡42を非正多角形にしても、非正多角形が内接円を有していれば、BD信号を全ての基準としている主走査方向Yにおける画像形成タイミングに関しては理論的に弊害がない。

0054

一方、主走査方向Yに垂直な副走査方向(感光体50の回転方向)に一定速度で回転している感光体50に、異なるBD信号周期(間隔)で出力されるBD信号を基に画像形成を行うと、回転多面鏡42の反射面1〜4毎に画像書出し間隔が変わる。よって、本来、副走査方向に等間隔となるはずの走査線の間隔が異なってしまう。すなわち、回転多面鏡42が一定速度で回転していても、BD信号周期が異なるため、見かけ上1回転周期ジッター成分を有することとなる。これによって、色ずれモアレ等の画像不良を引き起こす可能性が生じる。

0055

通常、このような画像不良を引き起こさないようにするために、モータ41の1回転周期のジッター成分は、0.010%以下程度に抑えられている。これに対し、例えば、回転四面鏡の隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34に0.05°の差をつけると、0.055%(=0.05/90)ものジッター成分が発生する。これは、回転多面鏡42を非正多角形にすることで強制的に与えるBD信号周期の差の大きさ次第では、無視できない値となることを意味している。

0056

以上のように、回転中の回転多面鏡42の反射面1〜4を特定するために、隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34に差をつけただけでは、製造誤差等により2面×2周期になる可能性がある。結果として、内角差を大きくすることにより、または設計上の称呼内角(公称値)を基準値90°から大きくずらすことにより、製造誤差への耐性を高める必要が生じる。しかし、内角差を大きくしたり、基準値αから称呼内角を大きくずらしたりすると、副走査方向の画像不良が発生する可能性がある。

0057

次に、回転中の回転多面鏡42の反射面1〜4を特定するための本実施例による回転多面鏡42の形状を説明する。前述の通り、隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34に差をつけても、図5(b)に示すように2面周期毎に同じ周期性を有してしまう可能性がある。そのため、仮に製造誤差が生じても、確実に、2面毎に同じ周期性を有しないように隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34の差を大きくする必要があった。これを逆説的にとらえると、回転中の回転多面鏡42の反射面1〜4を確実に特定するためには、回転多面鏡42の一回転中に周期性を発生する可能性を確実に防止すればよい。

0058

正四角形の回転四面鏡においてBD信号周期に差を発生させる場合、回転四面鏡の角数4の約数である2に基づく2面×2周期が周期性を生み出す唯一のパターンである。2面×2周期の場合、回転四面鏡121の一回転の間のBD信号周期に二つの同じパターンが発生する。回転四面鏡121の一回転中のBD信号周期に二つの同じパターンが出現することを防止するためには、図5(b)に示すような
T12=T34、または、T23=T41
の関係になる可能性を確実に防げばよい。そのためには、回転四面鏡121の場合、隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34に差を付けるというよりも、対向する第1内角θ23と第3内角θ41に差を付ける又は対向する第2内角θ34と第4内角θ12に差を付けるとよい。

0059

それを示した形状が図1である。図1は、実施例1による対向する第1内角θ23と第3内角θ41に差を付けた回転四面鏡113の平面図である。回転四面鏡113は、四つの反射面を4辺として規定される四角形状である。回転四面鏡113の内角の基準値αは、内角の和360°を角数4で割った90°である。製造誤差の範囲を±a°とする。aは、許容値である。ここでは、設計上の内角の値を称呼値(称呼内角)ということとする。図1(a)において、第1内角θ23の称呼値は、90°−a°である。第3内角θ41の称呼値は、90°+a°である。第2内角θ34及び第4内角θ12の称呼値は、90°である。図1(a)には、基準値90°を省略して±a°のみを示している。図1(a)に示す回転四面鏡113の対向する第1内角θ23と第3内角θ41の差は、2a°である。

0060

図1(b)において、第1内角θ23の称呼値は、90°−2a°である。第3内角θ41の称呼値は、90°+2a°である。第2内角θ34及び第4内角θ12の称呼値は、90°である。図1(b)には、基準値90°を省略して±2a°のみを示している。図1(b)に示す回転四面鏡113の対向する第1内角θ23と第3内角θ41の差は、4a°である。

0061

以下、図1に示す回転四面鏡113を異形回転多面鏡113という。まず、図1(b)に示す異形回転多面鏡113を、図7に示す比較例の回転四面鏡114と比較しつつ説明する。図1(b)に示す異形回転多面鏡113の対向する第4内角θ12および第2内角θ34の称呼値は、通常の正四角形の回転多面鏡の内角の基準値αと同じ90°である。そして、対向する第1内角θ23と第3内角θ41は、基準値90°より2a°だけ異なる称呼値を有する。この場合、第1内角θ23が鋭角、第4内角θ41が鈍角であるので、
第1内角θ23=90°−2a°
第3内角θ41=90°+2a°
という関係にある。なお、図1(a)に示す回転多面鏡は、4つの反射面を辺によって4つの角部が形成された四角形であるが、回転多面鏡の実施の形態としては、4つの角部が面取り加工曲面加工)されていても良い。このような回転多面鏡では、4つの回転多面鏡に4つの反射面によって規定される仮想の四角形の4つの内角は、上記第1内角θ23、第2内角θ34、第3内角θ41、第4内角θ12に相当する。

0062

図7は、比較例による隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34に差を付けた回転四面鏡114の平面図である。以下、図7に示す回転四面鏡114を台形回転多面鏡114という。図7の台形回転多面鏡114の隣り合う第3内角θ12および第4内角θ41の称呼値は、通常の正四角形の回転多面鏡の内角の基準値αと同じ90°である。そして、隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34は、異形回転多面鏡113と同様に基準値90°より2a°だけ異なる称呼値を有する。この場合、第1内角θ23が鋭角、第2内角θ34が鈍角であるので、
第1内角θ23=90°−2a°
第2内角θ34=90°+2a°
という関係にある。

0063

図8は、異形回転多面鏡113及び台形回転多面鏡114のBD信号周期を示す図である。図8(a)は、異形回転多面鏡113の称呼のBD信号周期を示す図である。図8(b)は、台形回転多面鏡114の称呼のBD信号周期を示す図である。図8は、時間T12、時間T23、時間T34及び時間T41によりBD信号周期を表している。図8に示すBD信号周期は、設計上の称呼値である。しかし、BD信号周期は、異形回転多面鏡113又は台形回転多面鏡114の1回転中の値であってもよいし、何回転かの平均値であってもよい。また、異形回転多面鏡113又は台形回転多面鏡114の内角の和は、360°である。異形回転多面鏡113及び台形回転多面鏡114は、四角形であるので、どこの内角に差をつけたかに関わらず、90°(=360°/4)相当がBD信号周期の平均値となる。

0064

図8(a)を参照して、異形回転多面鏡113の第2内角θ34及び第4内角θ12は、基準値90°と称呼値として有しているので、BD信号周期における時間T34と時間T12は、基準値90°に相当する平均値である。一方、異形回転多面鏡113の対向する第1内角θ23と第3内角θ41は、基準値90°に±2a°の差を付けた称呼値を有する。そのため、BD信号周期における時間T23及び時間T41は、平均値の時間T12と時間T34に挟まれる形で、それぞれ平均値から大きく異なる位置にプロットされている。このずれ量は、角度換算すると、第1内角θ23と第3内角θ41を基準値90°から異ならせた±2a°の量に相当する。

0065

これに対して、図8(b)を参照すると、台形回転多面鏡114の隣り合う第1内角θ23と第2内角θ34は、基準値90°に±2a°の差を付けた称呼値を有する。そのため、BD信号周期における隣り合う時間T23及び時間T34は、連続して平均値から大きく異なる位置にプロットされている。それに続き、台形回転多面鏡114の正常な90°回転でBD信号周期が生成される時間T41及び時間T12が現れる。隣り合う時間T23及び時間T34のずれ量も、同様に角度換算すると、第1内角θ23と第2内角θ34を基準値90°から異ならせた±2a°の量に相当する。

0066

次に、異形回転多面鏡113及び台形回転多面鏡114の製造誤差耐性について述べる。尚、製造誤差耐性とは、前述した製造誤差±a°がBD信号周期の差を低減する方向に発生したとき、反射面特定ができなくなるまでの耐性を表している。すなわち、回転多面鏡の内角により大きい内角差をつけないとBD信号周期の差を検出できなくなる場合は、製造誤差耐性が低いことを意味する。

0067

本実施例では、実際に製造された異形回転多面鏡113及び台形回転多面鏡114の内角に称呼値に対して±a°の製造誤差が発生したときのBD信号周期に生じる差を、±a°相当で表す。例えば、通常の正四角形の回転多面鏡の内角の称呼値は、基準値90°であり、内角の称呼値90°に対して±a°の製造誤差が発生したとき、BD信号周期を角度換算して90°±a°相当と表す。すなわち、±a°の製造誤差により生ずるBD信号周期の差を±a°相当としてあらわす。

0068

異形回転多面鏡113と台形回転多面鏡114との製造誤差耐性を比較するにあたり、±a°の製造誤差のために反射面の特定がしにくい方向に内角が形成されたと仮定する。すなわち、±a°の製造誤差によりBD信号周期に生じる差が最も低減するように内角が形成されたと仮定する。

0069

図9は、±a°の製造誤差によりBD信号周期の差が低減した状態を示す図である。図9(a)は、異形回転多面鏡113の製造誤差耐性を示す図である。図9(b)は、台形回転多面鏡114の製造誤差耐性を示す図である。異形回転多面鏡113の場合、図8(a)に示すようなBD信号周期が図9(a)に示すようなBD信号周期へ変化したときに、時間T23と時間T41のBD信号周期の差が最も小さくなる。
具体的には、
時間T12=90°相当
時間T23=90°+2a°相当
時間T34=90°相当
時間T41=90°−2a°相当
から、
時間T12=90°相当
時間T23=90°+a°相当
時間T34=90°相当
時間T41=90°−a°相当
である。
図9(a)において、点線は、異形回転多面鏡113の称呼のBD信号周期であるのに対し、実線は、±a°の製造誤差により±a°相当のずれを生じたBD信号周期である。

0070

図9(a)から、対向する内角が異なる異形回転多面鏡113の称呼のBD信号周期には時間T23と時間T41との間に4a°相当の周期差があるのに対し、製造誤差が生じると2a°相当まで周期差が減少していることがわかる。しかし、異形回転多面鏡113の反射面1〜4を特定することができない2面毎に同じ周期性(2面×2周期)を有することは防止されている。図9(a)に示す状態では、まだ反射面の特定が可能である。

0071

同様に、台形回転多面鏡114の場合、図8(b)に示すようなBD信号周期が図9(b)に示すようなBD信号周期へ変化したときに、時間T23と時間T34のBD信号周期の差が最も小さくなる。
具体的には、
時間T12=90°相当
時間T23=90°+2a°相当
時間T34=90°−2a°相当
時間T41=90°相当
から
時間T12=90°−a°相当
時間T23=90°+a°相当
時間T34=90°−a°相当
時間T41=90°+a°相当
である。
図9(b)において、点線は、台形回転多面鏡114の称呼のBD信号周期であるのに対し、実線は、±a°の製造誤差により±a°相当のずれを生じたBD信号周期である。

0072

図9(b)から、隣り合う内角が異なる台形回転多面鏡114の称呼のBD信号周期には時間T23と時間T34との間に4a°相当の周期差があるのに対し、製造誤差が生じると反射面を特定することができない2面×2周期が発生することが分かる。つまり、回転中に台形回転多面鏡114の反射面の特定ができなくなる限界点の条件は、称呼のBD信号周期の時間T23と時間T34との間に4a°相当以上の周期差が存在しないことである。台形回転多面鏡114においては、±a°の製造誤差によるBD信号周期に生ずる±a°相当のずれの少なくとも2倍(±2a°)以上、すなわち隣り合う内角に4a°より大きな差を付ける必要がある。

0073

台形回転多面鏡114において、図9(b)に示すような反射面の特定ができなくなる2面×2周期のBD信号周期は、時間T12、T23、T34及びT41の全てに±a°の製造誤差が生じて初めて成立する。しかし、量産を想定した場合、原理的に2面×2周期を有する可能性がある台形回転多面鏡114と、原理的に2面×2周期を有する可能性がない異形回転多面鏡113では、信頼性を考えると大きな違いがあるといえる。

0074

次に、図10を参照して、台形回転多面鏡114と同じ製造誤差耐性のとき、つまり、回転中の異形回転多面鏡113の反射面を特定できなくなる限界点の条件を説明する。図10は、実施例1による異形回転多面鏡113の反射面特定の限界点を示す図である。異形回転多面鏡113の場合、図10の点線で示す称呼のBD信号周期が、±a°の製造誤差により±a°相当のずれを生じた実線で示すBD信号周期へ変化したときに、異形回転多面鏡113の反射面の特定が不可能になる。
具体的には、
時間T12=90°相当
時間T23=90°+a°相当
時間T34=90°相当
時間T41=90°−a°相当
から
時間T12=90°相当
時間T23=90°相当
時間T34=90°相当
時間T41=90°相当
である。

0075

すなわち、回転中の異形回転多面鏡113の反射面を特定できなくなる限界点の条件は、称呼のBD信号周期の時間T23と時間T41との間に±a°の製造誤差により生じる±a°相当のずれ以上の周期差が存在しないことである。すなわち、対向する内角に2a°より大きい差を付けることにより、±a°の製造誤差にかかわらず回転中の異形回転多面鏡113の反射面の特定が可能である。異形回転多面鏡113の対向する内角に必要な差(2a°より大きい差)は、台形回転多面鏡114の隣り合う内角に必要な差(4a°より大きい差)の1/2に相当する。

0076

前述の通り、内角差や基準値からの角度ずれを大きくとると主走査方向に対し画像不良の弊害がなくても、副走査方向に対し画像不良を引き起こす可能性が生じる。そのため、内角差や基準値からの角度ずれは、できるだけ設けない方が画像品質上好ましい。よって、異形回転多面鏡113は、台形回転多面鏡114と比較して製造誤差に対する耐性が強いので、内角差や基準値からの角度ずれをできるだけ小さくしつつ反射面の特定が可能な構成である。

0077

ここで、BD信号周期差を発生させる要因としては、回転多面鏡42の内角がそれぞれ異なる角度を持つような面分割誤差精度だけではない。回転多面鏡42の回転軸101に対する反射面1〜4毎の偏芯精度、BD信号を検知する画像形成装置100の分解能起因の量子化誤差、回転多面鏡42の面精度差等も、BD信号周期差を発生させる要因として挙げられることは既に述べた。この中で、特に支配的な要因は、回転多面鏡42の内角がそれぞれ異なる角度を持つ面分割誤差精度である。

0078

この面分割誤差は、回転多面鏡42の反射面1〜4を鏡面加工する際の加工機位置決め精度における誤差である。具体的には、回転四面鏡の場合、ある一つの反射面を鏡面加工した後、次の反射面を加工するために、90°ずつ回転を行うが、面分割誤差は、回転角度の誤差を指す。回転角度の割出しは、一般に、ロータリーエンコーダなどを用いて行われる。ロータリーエンコーダの回転角度精度は、1パルスあたりのモータの回転角度の分解能に左右される。そのため、ロータリーエンコーダの分解能を上げれば角度割出し自体は、精度を向上することができる。

0079

しかし、回転多面鏡42の鏡面加工時にはその加工に用いられるバイトによる大きな振動が加工機側に伝わるため、ロータリーエンコーダで角度割出しを行っただけでは、その振動によって角度がずれてしまうため満足な鏡面加工ができない。よって、角度割出し後には、その角度がずれないように加工機側をロックする工程が必要となるが、その際に若干の角度ずれが生じてしまう。つまり、ロータリーエンコーダの分解能を向上させただけでは、面分割誤差の高精度化には限界がある。

0080

一般に、ロータリーエンコーダの分解能を高めたとしても、上記のその他のBD信号周期差を発生させる要因を加えた、BD信号周期ずれ製造誤差を角度に相当した値±a°は、実角度で表すと、±0.015°(±1分弱)程度が量産限界となる。図11は、BD信号周期ずれ製造誤差を角度相当に変換した値のヒストグラムである。図11は、市販されている高精度ロータリーエンコーダを使用した際のヒストグラムであり、ほぼ±0.015°程度が量産限界であることを示している。

0081

ここで、BD信号周期の差により反射面を特定する際の画像への弊害を少なくするために、可能な限り高精度な分割誤差精度を持つ回転多面鏡に対し、最小限の内角差をつけることが望ましい。なぜなら、回転多面鏡に内角差をあえて付けるという画像劣化に繋がる弊害に対し、高精度な回転多面鏡の分割誤差精度の使用で、弊害を抑制きるからである。

0082

上記の結果より、高精度な分割誤差精度を持つ回転多面鏡で想定するべきBD信号周期ずれ製造誤差を角度相当に変換した値±a°は、最小で±0.015°である。よって、図1(a)に示す実施例1による異形回転多面鏡113の内角の具体的な称呼値は、以下のとおりである。
第1内角θ23=90°−0.015°より小さい値
第2内角θ34=90°
第3内角θ41=90°+0.015°より大きい値
第4内角θ12=90°
異形回転多面鏡113の対向する第1内角θ23と第3内角θ41との差は、0.03°より大きい値である。

0083

一方、前述の通り、内角差や基準値からの角度ずれは、できるだけ小さい方が画像品質上好ましいため、第4内角θ12と第2内角θ34は、基準値90°を称呼値とするとよい。よって、もう一方の対向する第4内角θ12と第2内角θ34の差は、必然的に0.03°以下となる。つまり、異形回転多面鏡113の一組の正対する内角の差は、0.03°より大きく、かつ、もう一組の正対する内角の差は、0.03°以下である。

0084

画像形成装置100は、BD97からのBD信号に基づいてBD信号周期を求め、BD信号周期の差(BD信号間隔)に基づいて回転多面鏡の反射面を特定する処理装置を有する。処理装置は、光走査装置40の起動中に生成されるBD信号に基づいて、光走査装置40の起動中に回転多面鏡の複数の反射面の特定を完了させるように構成されていてもよい。この構成によれば、モータ41の加速中においても、BD信号周期差により回転中の回転多面鏡の反射面を特定することができる。これによって、画像形成プロセスを早めることができ、成果物が排出されるまでの速度が向上する。

0085

実施例1においては、回転多面鏡42の一例として回転四面鏡113を示したが、実施例2においては、回転多面鏡42の一例として回転六面鏡を説明する。実施例2において、実施例1と同様の構造には、同様の参照符号を付して説明を省略する。実施例2の画像形成装置100及び光走査装置40は、実施例1と同様であるので説明を省略する。実施例1で説明したように回転四面鏡を非正四角形にしてBD信号周期差を発生させる場合、2面×2周期が周期性を生み出す唯一のパターンであった。そして、2面×2周期を生じる可能性を確実に避ける構成が、最も内角差や基準値からの角度ずれを付けずに製造誤差に対する耐性が強く、確実に反射面を特定可能な構成であった。

0086

一方、回転六面鏡の場合、回転六面鏡の角数6の約数2および3に対応して、2面×3周期および3面×2周期というパターンが存在する。確実に反射面を特定可能な構成とするためには、2面×3周期および3面×2周期が生じる可能性を確実になくすことが必要である。図12は、回転六面鏡のBD信号周期に発生する繰り返しパターンの例を示す図である。図12(a)は、回転六面鏡の一回転あたりのBD信号周期に発生する2面×3周期の繰り返しパターンを示す図である。回転六面鏡の2面毎に同じパターンが連続して発生している。図12(b)は、回転六面鏡の一回転あたりのBD信号周期に発生する3面×2周期の繰り返しパターンを示す図である。回転六面鏡の3面毎に同じパターンが連続して発生している。このような場合、画像形成装置100は、回転中の回転六面鏡の反射面を特定することができない。

0087

3面×2周期の発生を防止するためには、少なくとも、回転六面鏡の角数6の約数のうち二番目に大きい約数3より1大きい値4に対応する4面間のBD信号周期が異なるような関係を確立する必要がある。図13は、第1内角と第4内角に差を付けた回転六面鏡のBD信号周期を示す図である。

0088

ここで、回転六面鏡の内角の和は、720°であるので、いずれの内角に差を付けるかに関わらず120°(=720°/6)相当がBD信号周期の平均値である。また、本実施例において想定されるBD信号周期ずれ製造誤差を角度相当に変換した値を±a°とする。内角差や基準値からの角度ずれをできるだけ付けない条件において、回転六面鏡の反射面を特定できなくなる限界点の条件は、
時間T12=120°−a°相当
時間T45=120°+a°相当
となる。しかし、4面間のBD信号周期が異なるという条件のみでは、4という数字偶数であるため、製造誤差により2面×3周期を生じる可能性がある。図14は、図13に示すBD信号周期において2面×3周期を生じる例を示す図である。図14において、点線は、図13に示す4面間のBD信号周期を異ならせたときの称呼のBD信号周期を示し、実線は、製造誤差により±a°相当のずれが生じたBD信号周期を示す。図14に示すように2面×3周期を生じる場合、回転六面鏡の反射面の特定ができない。

0089

よって、図13に示す4面間のBD信号周期が異なるという条件に加えて、さらに2面×3周期が生じることを防止する条件を設定する。図13に示す4面間のBD信号周期が異なるという条件において、2面×3周期を生じる要因は、
時間T12=時間T34、
または
時間T23=時間T45
である。よって、少なくとも±a°の製造誤差による±a°相当のずれが、時間T12と時間T34との間、又は時間T23と時間T45との間に生じるように回転六面鏡に内角差を付ければよい。以下、図15及び図16を参照して、4面間のBD信号周期が異なるという条件および2面×3周期を防止する条件を満たす実施例2による回転六面鏡115及び116を説明する。回転六面鏡115及び116は、六つの反射面を6辺として規定される六角形状である。

0090

図15は、実施例2による回転六面鏡115の説明図である。図15(a)は、実施例2による回転六面鏡115の平面図である。図15(b)は、回転六面鏡115のBD信号周期を示す図である。図15(b)において、点線は、図13に示す4面間のBD信号周期を異ならせたときの称呼のBD信号周期を示している。回転六面鏡115は、回転六面鏡115の回転方向に回転する順番に(左回りに)面1、面2、面3、面4、面5及び面6を有する。面1と面2とのなす内角を第1内角θ12とする。同様に、面2と面3とのなす内角を第2内角θ23、面3と面4とのなす内角を第3内角θ34、面4と面5とのなす内角を第4内角θ45、面5と面6とのなす内角を第5内角θ56及び面6と面1とのなす内角を第6内角θ61とする。回転六面鏡115は、回転方向に回転する順番に(左回りに)第1内角θ12、第2内角θ23、第3内角θ34、第4内角θ45、第5内角θ56及び第6内角θ61を有する。それぞれの内角の頂部は、丸められていてもよい。回転六面鏡115は、面1、2、3、4、5及び6に接する内接円115aを有する。なお、図15(a)に示す回転多面鏡は、6つの反射面を辺によって6つの角部が形成された六角形であるが、回転多面鏡の実施の形態としては、6つの角部が面取り加工(曲面加工)されていても良い。このような回転多面鏡では、6つの回転多面鏡に6つの反射面によって規定される仮想の六角形の6つの内角は、上記第1内角θ12、第2内角θ23、第3内角θ34、第4内角θ45、第5内角θ56、第6内角θ61に相当する。

0091

回転六面鏡115においては、時間T12=時間T34となる可能性をなくすために、第1内角θ12と第3内角θ34との間に、±a°の製造誤差の最大値最小値との差である許容差2a°より大きい内角差をつけている。その際、回転六面鏡115の内角の和720°を維持するために、第2内角θ23、第5内角θ56及び第6内角θ61は、基準値αから所定の角度ずれ量−a/3を有する。回転六面鏡115の内角の基準値αは、内角の和720°(=180°×(角数−2))を角数6で割った120°である。これらの条件を設定することにより、回転六面鏡115は、±a°の製造誤差を加味しても、角数6の約数2及び3から導かれる2面×3周期及び3面×2周期が生じる可能性をなくすことができる。よって、回転中の回転六面鏡115の反射面1〜6をBD信号周期差から確実に特定することができる。

0092

ここで、回転六面鏡115において、一般に、前述の想定されるBD信号周期ずれ製造誤差を角度相当に変換した値±a°を実角度で表すと、±0.015°程度に相当する。よって、図15に示す実施例2による回転六面鏡(異形回転六面鏡)115の内角の具体的な称呼値は、以下のとおりである。
第1内角θ12=120°−0.015°より小さい値
第2内角θ23=120°−0.005°
第3内角θ34=120°+0.015°より大きい値
第4内角θ45=120°+0.015°より大きい値
第5内角θ56=120°−0.005°
第6内角θ61=120°−0.005°

0093

図16は、実施例2による回転六面鏡116の説明図である。図16(a)は、実施例2による回転六面鏡116の平面図である。図16(b)は、回転六面鏡116のBD信号周期を示す図である。図16(b)において、点線は、図13に示す4面間のBD信号周期を異ならせたときの称呼のBD信号周期を示している。回転六面鏡116は、面1、2、3、4、5及び6に接する内接円116aを有する。

0094

回転六面鏡116においては、時間T23=時間T45となる可能性をなくすために、第2内角θ23及び第4内角θ45との間に、±a°の製造誤差の最大値と最小値との差である許容差2a°より大きい内角差をつけている。その際、回転六面鏡116の内角の和720°を維持するために、第3内角θ34、第5内角θ56及び第6内角θ61は、基準値120°から所定の角度ずれ量−a/3を有する。これらの条件を設定することにより、回転六面鏡116は、±a°の製造誤差を加味しても、角数6の約数2及び3から導かれる2面×3周期及び3面×2周期が生じる可能性をなくすことができる。よって、回転中の回転六面鏡116の反射面1〜6をBD信号周期差から確実に特定することができる。

0095

ここで、図16に示す実施例2による回転六面鏡(異形回転六面鏡)116の内角の具体的な称呼値は、以下のとおりである。
第1内角θ12=120°−0.015°より小さい値
第2内角θ23=120°−0.015°より小さい値
第3内角θ34=120°−0.005°
第4内角θ45=120°+0.015°より大きい値
第5内角θ56=120°−0.005°
第6内角θ61=120°−0.005°

0096

つまり、回転六面鏡115及び116で反射面特定可能となる内角差の条件は、正対する一組の内角の差が0.030°より大きく、かつその一組の内角うちの一方の内角の隣りの一つの内角と他方の内角との差も0.030°より大きいことである。

0097

以下、実施例3を説明する。実施例3では、反射面の数が2n個である回転多面鏡(偶数角形の回転多面鏡)を説明する。実施例3において、実施例1又は実施例2と同様の構造には、同様の参照符号を付して説明を省略する。実施例3の画像形成装置100及び光走査装置40は、実施例1と同様であるので説明を省略する。

0098

実施例1及び実施例2で説明したように、回転多面鏡を非正多角形にしてBD信号周期差を発生させる場合、多角形の角数の約数から導かれる面数に対応して同じパターンが繰り返される周期性が生じていた。そして、そのようなパターンを生じる可能性をなくすことにより、製造誤差にかかわらずBD信号周期差から確実に反射面を特定することができる。そして、実施例2においては、少なくとも、角数の約数のうち二番目に大きい約数より1つ大きい数に対応する面数間のBD信号周期が異なるような条件を設定する必要があることを述べた。

0099

ここで、反射面の数が偶数2n個(nは、1以上の整数である。)である偶数角形状を有する回転多面鏡においては、以下の関係が成り立つ。

0100

0101

すなわち、偶数2nの反射面を有する回転多面鏡において、反射面の数2nの二番目に大きい約数は、nである。二番目に大きい約数+1は、n+1である。偶数角形の回転多面鏡においては、n面×2周期の発生を防止するために、少なくとも、n+1面間のBD信号周期が異なるような関係を確立する必要がある。すなわち、少なくとも、2n角形の回転多面鏡の第1内角と第n内角との間に、想定される製造誤差の最大値と最小値との差である許容差より大きい内角差を付ける必要がある。ここで、二番目に大きい約数+1(=n+1)に相当する数が、3、5、7などの素数であれば、第1内角と第n内角との間に、許容差より大きい内角差を付けることにより、BD信号周期差から確実に反射面を特定することができる。

0102

一方で、二番目に大きい約数+1(=n+1)に相当する数が、1とn+1以外の約数を有する場合、第1内角と第n内角との間に、許容差より大きい内角差を付けるだけでは、不十分である。例えば、n+1が4、6などである場合、約数2、3を有するので、BD信号周期に同じパターンの繰り返しを生じる可能性がある。そこで、さらに、その約数周期で発生する周期的なパターンの発生を防止するために、約数面間について上記と同様の条件を設定すればよい。このようにして、反射面の特定が不能なパターンの発生を確実に防止することができる。

0103

実施例1では回転四面鏡、実施例2では回転六面鏡を説明したが、実施例3で述べた思想に基づく条件を設定すれば、偶数角形の回転多面鏡に本発明を適用することができる。

実施例

0104

本実施例よれば、異なる内角を有する回転多面鏡において、画像不良を防止するとともに、製造誤差にかかわらず反射面の特定を容易にすることができる。

0105

17・・・半導体レーザ(光源)
40・・・光走査装置
50・・・感光ドラム(感光体)
113・・・回転四面鏡(回転多面鏡)
115、116・・・回転六面鏡(回転多面鏡)

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