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図面 (11)

課題

金属の腐食現象、特に、高温多湿腐食試験機内での腐食試験屋外での暴露試験実使用環境下における移動体など、過酷な腐食環境下における金属の腐食現象を観察するための動的観察方法および動的観察装置を提供する。

解決手段

対象物を観察するための撮像装置10と、撮像装置10を内部に収容し、少なくとも撮像装置10の視野に入る部分が透明であるケース20とを備える動的観察装置1を用い、金属の腐食現象を継続的に観察する。

概要

背景

鋼板等の金属材料には、機械的強度に加え、使用用途使用環境等によっては高い耐食性が要求される。そのように高い耐食性が要求される金属材料を研究、開発する際には、腐食試験機を用いた促進試験大気暴露試験を行うことにより、金属材料の耐食性評価が行われる。

例えば、腐食試験機を用いた促進試験の一種である複合サイクル腐食試験CCT)は、次のように実施される。まず、試験対象となる金属材料から試験片としての金属板を作成し、必要に応じて表面処理を施した後、試験機内に設置する。次に、前記金属板を、塩水の付与(浸漬または噴霧)、乾燥、湿潤等の複数の工程からなる単位サイクルに繰り返し暴露する。これにより、実環境よりも腐食の進行を早め、短期間で金属材料の耐食性を評価することができる。そして、数時間または数日といった単位で上記サイクルを繰り返した後、金属板における腐食深さや、試験片が塗装金属板である場合には塗膜膨れ幅などを測定することによって、金属材料の耐食性が評価される。測定に際しては、試験片は腐食試験機から取り出され、測定終了後、必要に応じて再度腐食試験機内に設置され、引き続き試験が行われる。

特に、金属の腐食に起因する現象である塗膜膨れの観察は、塗装金属板の耐食性を評価する上で非常に重要であるが、そのための方法は、上記のように腐食試験機から試験片を取り出し、ルーペ等を用いて塗膜膨れ幅を測定するといった方法に限られていた。

そこで近年、腐食試験後の塗膜の状態をより詳細に評価する方法として、TVカメラを用いる方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載された方法では、腐食試験後の塗装鋼板の表面をTVカメラで撮像し、得られた輝度情報に基づいて塗膜欠陥と塗膜膨れの発生域の面積を個別に求めている。

概要

金属の腐食現象、特に、高温多湿の腐食試験機内での腐食試験屋外での暴露試験実使用環境下における移動体など、過酷な腐食環境下における金属の腐食現象を観察するための動的観察方法および動的観察装置を提供する。対象物を観察するための撮像装置10と、撮像装置10を内部に収容し、少なくとも撮像装置10の視野に入る部分が透明であるケース20とを備える動的観察装置1を用い、金属の腐食現象を継続的に観察する。

目的

さらに、近年では自動車等の移動体においても、その構成部材である金属について、実際の使用環境下における腐食の進行を観察することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

対象物を観察するための撮像装置と、前記撮像装置を内部に収容し、少なくとも前記撮像装置の視野に入る部分が透明であるケースとを備える動的観察装置を用い、金属の腐食現象を継続的に観察する動的観察方法

請求項2

前記撮像装置が対向する前記ケースの面に、該ケースの外側へ向かって突出する突出部が設けられており、前記突出部に前記撮像装置の少なくとも一部が収容されている動的観察装置を用い、前記対象物に与える影響を低減した状態で金属の腐食現象を継続的に観察する請求項1に記載の動的観察方法。

請求項3

前記撮像装置による撮像を、1秒〜24時間の間隔で断続的に行う、請求項1または2に記載の動的観察方法。

請求項4

前記ケースの外側にワイパー機構を設け、該ワイパー機構により該ケース外表面への付着物を除去する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項5

前記撮像装置による撮像を断続的に行い、前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われていない時にのみ動作させるよう制御する、請求項4に記載の動的観察方法。

請求項6

前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われる1秒〜1分前に動作させるよう制御する、請求項5に記載の動的観察方法。

請求項7

前記撮像装置および前記ケースを傾斜させた状態で観察を行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項8

前記ケース内部を除湿する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項9

前記ケース内部の圧力を該ケース外部よりも高くする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項10

前記対象物が腐食試験機内に設置されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項11

前記対象物が暴露場に設置されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項12

前記対象物が移動体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項13

前記撮像装置によって得た映像を前記ケース外に送信する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の動的観察方法。

請求項14

金属の腐食現象を継続的に観察するための動的観察装置であって、対象物を観察するための撮像装置と、前記撮像装置を内部に収容し、少なくとも前記撮像装置の視野に入る部分が透明であるケースとを備える、動的観察装置。

請求項15

前記撮像装置が対向する前記ケースの面に、該ケースの外側へ向かって突出する突出部が設けられており、前記突出部に前記撮像装置の少なくとも一部が収容されている、請求項14に記載の動的観察装置。

請求項16

前記ケースの、前記撮像装置が対向する部分の厚みが10mm以下である、請求項14または15に記載の動的観察装置。

請求項17

前記撮像装置による撮像を1秒〜24時間の間隔で断続的に行うよう制御する制御手段を有する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項18

前記ケースの外側の、前記撮像装置が対向する面への付着物を除去するためのワイパー機構を備える、請求項14〜17のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項19

前記撮像装置による撮像を一定の時間間隔で断続的に行い、前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われていない時にのみ動作させるよう制御する制御手段を有する、請求項18に記載の動的観察装置。

請求項20

前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われる1秒〜1分前に動作させるよう制御する制御手段を有する、請求項19に記載の動的観察装置。

請求項21

前記ケース内部を除湿するための除湿手段を備える、請求項14〜20のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項22

前記ケース内部の圧力を、該ケース外部よりも高くするための与圧部を備える、請求項14〜21のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項23

前記撮像装置および前記ケースを傾斜させる傾斜手段を備える、請求項14〜22のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項24

前記撮像装置と前記対象物との距離を調節するための距離調節手段を備える、請求項14〜23のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項25

前記対象物表面上における観察位置を、上下方向および左右方向の少なくとも一方に調節するための位置調節手段を備える、請求項14〜24のいずれか一項に記載の動的観察装置。

請求項26

前記撮像装置によって得た映像を前記ケース外に送信する送信装置を有する、請求項14〜25のいずれか一項に記載の動的観察装置。

技術分野

0001

本発明は、金属の腐食現象、特に、高温多湿腐食試験機内での腐食試験屋外での暴露試験など、過酷な腐食環境下における金属の腐食現象を観察するための動的観察方法に関するものである。また、本発明は前記動的観察を行うための動的観察装置に関するものである。

背景技術

0002

鋼板等の金属材料には、機械的強度に加え、使用用途使用環境等によっては高い耐食性が要求される。そのように高い耐食性が要求される金属材料を研究、開発する際には、腐食試験機を用いた促進試験大気暴露試験を行うことにより、金属材料の耐食性評価が行われる。

0003

例えば、腐食試験機を用いた促進試験の一種である複合サイクル腐食試験CCT)は、次のように実施される。まず、試験対象となる金属材料から試験片としての金属板を作成し、必要に応じて表面処理を施した後、試験機内に設置する。次に、前記金属板を、塩水の付与(浸漬または噴霧)、乾燥、湿潤等の複数の工程からなる単位サイクルに繰り返し暴露する。これにより、実環境よりも腐食の進行を早め、短期間で金属材料の耐食性を評価することができる。そして、数時間または数日といった単位で上記サイクルを繰り返した後、金属板における腐食深さや、試験片が塗装金属板である場合には塗膜膨れ幅などを測定することによって、金属材料の耐食性が評価される。測定に際しては、試験片は腐食試験機から取り出され、測定終了後、必要に応じて再度腐食試験機内に設置され、引き続き試験が行われる。

0004

特に、金属の腐食に起因する現象である塗膜膨れの観察は、塗装金属板の耐食性を評価する上で非常に重要であるが、そのための方法は、上記のように腐食試験機から試験片を取り出し、ルーペ等を用いて塗膜膨れ幅を測定するといった方法に限られていた。

0005

そこで近年、腐食試験後の塗膜の状態をより詳細に評価する方法として、TVカメラを用いる方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載された方法では、腐食試験後の塗装鋼板の表面をTVカメラで撮像し、得られた輝度情報に基づいて塗膜欠陥と塗膜膨れの発生域の面積を個別に求めている。

先行技術

0006

特開平8−278118号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1に記載された方法では、腐食試験の結果をより定量的に評価することができるものの、しかしその評価は、あくまでも腐食試験後に、腐食試験機から試験片を取り出して実施されるものであった。

0008

腐食試験機内での金属の腐食やそれに起因する塗膜膨れは、塩水が付与された状態での乾燥、湿潤工程の中で進行すると考えられている。しかし、上述のように腐食試験機から試験片を取り出して行われる測定では、腐食が発生した後の状態を知ることができるのみであり、腐食の進行過程についての知見を得ることは困難である。塗膜膨れ等、金属の腐食現象の進行を直接、動的に観察することができれば、腐食や塗膜膨れ発生のメカニズムについての理解がさらに進むと考えられるが、これまでに腐食試験機内における金属の腐食の進行を動的に観察した例はなかった。

0009

これは、腐食試験が行われる環境下で、撮像装置を長時間にわたって動作させることが困難なためである。塗膜膨れは、塗膜欠陥付近に生じる極めて小さな塗膜の膨れであるため、これを観察するには、マイクロスコープ等の撮像装置を試験片に近接させて設置し、塗膜のごく小さな膨れの変化を捉える必要がある。しかし、促進試験が行われる際の腐食試験機内は、塩水の噴霧や塩水への浸漬が行われることに加え、乾燥雰囲気と、温度70℃、相対湿度100%といった高温多湿雰囲気に繰り返しさらされるという、極めて過酷な環境である。このような環境下で撮像装置を長時間にわたって動作させることは極めて困難である。

0010

また、屋外での大気暴露試験においても同様の問題がある。大気暴露試験において試験片は、促進試験のような人工的高温多湿雰囲気にさらされることはないものの、日照、雨、、風などの天候の変動に加え、大気中の硫黄酸化物飛来海塩粒子等の腐食要因にもさらされる。さらに、促進試験と異なり、試験期間が年単位と極めて長期におよぶ。そのため、大気暴露試験における金属の腐食現象を撮像装置によって動的に観察することも、やはり困難である。

0011

さらに、近年では自動車等の移動体においても、その構成部材である金属について、実際の使用環境下における腐食の進行を観察することが望まれている。しかし、この場合にも同様に、大気や雨水などに暴露された状態で長期間観察を行う必要があるため、腐食の進行を動的に観察することは困難といえる。

0012

本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、金属の腐食現象、特に、高温多湿の腐食試験機内での腐食試験や屋外での暴露試験、実使用環境下における移動体など、過酷な腐食環境下における金属の腐食現象を観察するための動的観察方法および動的観察装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、過酷な腐食環境下における金属の腐食現象を動的に観察するために最適な装置構成を見出し、本発明を完成するに至った。

0014

すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.対象物を観察するための撮像装置と、
前記撮像装置を内部に収容し、少なくとも前記撮像装置の視野に入る部分が透明であるケースとを備える動的観察装置を用い、金属の腐食現象を継続的に観察する動的観察方法。

0015

2.前記撮像装置が対向する前記ケースの面に、該ケースの外側へ向かって突出する突出部が設けられており、前記突出部に前記撮像装置の少なくとも一部が収容されている動的観察装置を用い、前記対象物に与える影響を低減した状態で金属の腐食現象を継続的に観察する前記1に記載の動的観察方法。

0016

3.前記撮像装置による撮像を、1秒〜24時間の間隔で断続的に行う、前記1または2に記載の動的観察方法。

0017

4.前記ケースの外側にワイパー機構を設け、該ワイパー機構により該ケース外表面への付着物を除去する、前記1〜3のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0018

5.前記撮像装置による撮像を断続的に行い、
前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われていない時にのみ動作させるよう制御する、前記4に記載の動的観察方法。

0019

6.前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われる1秒〜1分前に動作させるよう制御する、前記5に記載の動的観察方法。

0020

7.前記撮像装置および前記ケースを傾斜させた状態で観察を行う、前記1〜6のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0021

8.前記ケース内部を除湿する、前記1〜7のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0022

9.前記ケース内部の圧力を該ケース外部よりも高くする、前記1〜8のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0023

10.前記対象物が腐食試験機内に設置されている、前記1〜9のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0024

11.前記対象物が暴露場に設置されている、前記1〜9のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0025

12.前記対象物が移動体である、前記1〜9のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0026

13.前記撮像装置によって得た映像を前記ケース外に送信する、前記1〜12のいずれか一項に記載の動的観察方法。

0027

14.金属の腐食現象を継続的に観察するための動的観察装置であって、
対象物を観察するための撮像装置と、
前記撮像装置を内部に収容し、少なくとも前記撮像装置の視野に入る部分が透明であるケースとを備える、動的観察装置。

0028

15.前記撮像装置が対向する前記ケースの面に、該ケースの外側へ向かって突出する突出部が設けられており、前記突出部に前記撮像装置の少なくとも一部が収容されている、前記14に記載の動的観察装置。

0029

16.前記ケースの、前記撮像装置が対向する部分の厚みが10mm以下である、前記14または15に記載の動的観察装置。

0030

17.前記撮像装置による撮像を1秒〜24時間の間隔で断続的に行うよう制御する制御手段を有する、前記14〜16のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0031

18.前記ケースの外側の、前記撮像装置が対向する面への付着物を除去するためのワイパー機構を備える、前記14〜17のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0032

19.前記撮像装置による撮像を一定の時間間隔で断続的に行い、
前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われていない時にのみ動作させるよう制御する制御手段を有する、前記18に記載の動的観察装置。

0033

20.前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われる1秒〜1分前に動作させるよう制御する制御手段を有する、前記19に記載の動的観察装置。

0034

21.前記ケース内部を除湿するための除湿手段を備える、前記14〜20のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0035

22.前記ケース内部の圧力を、該ケース外部よりも高くするための与圧部を備える、前記14〜21のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0036

23.前記撮像装置および前記ケースを傾斜させる傾斜手段を備える、前記14〜22のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0037

24.前記撮像装置と前記対象物との距離を調節するための距離調節手段を備える、前記14〜23のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0038

25.前記対象物表面上における観察位置を、上下方向および左右方向の少なくとも一方に調節するための位置調節手段を備える、前記14〜24のいずれか一項に記載の動的観察装置。

0039

26.前記撮像装置によって得た映像を前記ケース外に送信する送信装置を有する、前記14〜25のいずれか一項に記載の動的観察装置。

発明の効果

0040

本発明によれば、金属の腐食現象、特に、高温多湿の腐食試験機内での腐食試験や屋外での暴露試験、実使用環境下の移動体など、過酷な腐食環境下における金属の腐食現象を継続的に観察することができる。本発明によって得られる観察結果は、金属の腐食現象やそれに起因する塗膜膨れ等のメカニズムを解明する上で極めて有用である。

図面の簡単な説明

0041

本発明の第1の実施形態における動的観察装置の正面概略図である。
本発明の第1の実施形態における動的観察装置の上面概略図である。
本発明の第2の実施形態における動的観察装置の正面概略図である。
本発明の第2の実施形態における動的観察装置の上面概略図である。
本発明の第3の実施形態における動的観察装置の正面概略図である。
本発明の第3の実施形態における動的観察装置の上面概略図である。
本発明の第3の実施形態の動的観察装置において、マイクロスコープカメラおよびケースを傾斜させた状態を示す正面概略図である。
複合サイクル試験フローチャートである。
本発明の動的観察装置によって複合サイクル試験機内で撮影された塗膜膨れの写真である。
複合サイクル試験における塗膜膨れ幅の経時変化を示す図である。

0042

次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。
本発明においては、対象物を観察するための撮像装置と、前記撮像装置を内部に収容し、少なくとも前記撮像装置の視野に入る部分が透明であるケースとを備える動的観察装置を使用して金属の腐食現象を継続的に観察することが重要である。該ケース内に撮像装置を収容しているため、外部の腐食環境による撮像装置の動作不良や腐食、破損を防止することができ、長期にわたって撮像装置を安定に動作させることができる。

0043

[撮像装置]
上記撮像装置の種類は特に限定されず、対象物である金属の腐食状態を観察できるものであれば、任意のものを使用することができる。微細腐食部分や塗膜膨れを詳細に観察するという観点からは、CCDやCMOSセンサーを備えたマイクロスコープカメラを用いることが好ましい。また、対象物の種類や使用条件によっては、赤外線カメラを用いても良い。なお、工業用内視鏡などのファイバースコープカメラを撮像装置として使用する場合には、対物レンズが取り付けられたファイバーの一方の末端をケース内に収容し、カメラ等が取り付けられたファイバー他方の末端をケースの外部に設置することもできる。

0044

上記撮像装置の数は特に限定されず、1つであってもよいが複数台とすることもできる。複数の撮像装置を用いる場合には、それぞれ同じ種類であってもよく、異なる種類のものであってもよい。また、複数の撮像装置を用いる場合には、それぞれの撮像装置で同じ位置を観察してもよいが、別の位置を観察することや、同じ位置を異なる角度から観察することもできる。

0045

上記撮像装置は、対象物の表面に光を照射するための照明装置を備えていることが好ましい。照明装置を備えた撮像装置を用いることにより、対象物が置かれた環境の明るさにかかわらず、安定して観察を行うことができる。前記照明装置としては、小型で寿命の長い発光ダイオードLED)を用いることが好ましい。なお、撮像装置の照明部の明るさが十分でない場合や撮像装置が照明装置を備えていない場合には、ケース内に別途、照明装置を設けることもできる。

0046

上記撮像装置による動的観察は、動画の撮影と静止画の撮影のいずれの方法で行ってもよい。動画を撮影する場合には、観察期間全体を通して動画を撮影、記録することもできるが、所定の間隔で断続的に撮影することもできる。また、長期間にわたって観察を行うという観点からは、データ容量を小さくするために静止画による記録を行うことが好ましい。その場合、所定の間隔で静止画を記録するインターバル撮影微速度撮影)を行うことができる。インターバル撮影を行う場合には、1秒〜24時間の間隔で撮像を断続的に行うことが好ましい。撮像間隔を1秒以上とすることにより、得られる画像の枚数過度に多くなることを防止し、データ量を抑制することができる。一方、撮像間隔を24時間以下とすることにより、腐食の経時的変化を捉えやすくなる。なお、撮像間隔は、1分〜6時間とすることがより好ましく、1分〜3時間とすることがさらに好ましい。

0047

[ケース]
上記ケースは、撮像装置を内部に収容し、かつ少なくとも前記撮像装置の視野に入る部分が透明である。これは、該透明である部分(透明部)を通して撮像装置により対象物の表面を観察するためである。したがって、撮像装置は、その対象物側先端が前記透明部に対向するように設置される。換言すれば、前記ケースを構成する部材のうち、少なくとも撮像装置と対象物との間の、撮像装置の視野内に位置する部分が、透明な材料で構成されている。前記透明部の材質としては、光を透過して撮像装置による観察が可能である材質であれば、透明塩ビやアクリル等の樹脂ガラスなど、任意のものを使用することができるが、強度や加工性透明度の点からはアクリル樹脂を使用することが好ましい。

0048

前記ケースは、上述したように撮像装置の視野内が透明であればよく、それ以外の部分については透明であっても、不透明であってもよい。したがって、ケース壁面のうち撮像装置が対向する部分のみを窓状の透明部とすることもできるが、ケース壁面のうち対象物に対向する面全体を透明とすれば装置構造を簡略化することができるため好ましい。また、ケース全体を透明とすれば、ケース内の状態を外部から確認できるため好ましい。

0049

本発明の動的観察方法においては、ケース内に収容された撮像装置が、観察対象である金属部材などの表面に対向するように動的観察装置を設置する。その際には、該動的観察装置が対象物の表面の腐食を観察する部位に直接接触しないようにする必要がある。対象物の表面が動的観察装置によって覆われていると、その部分は周囲の雰囲気と接触しないため腐食が抑制され、結果的に腐食状態の観察が阻害される。これを防止するために、動的観察装置は対象物の表面から一定の距離をおいて設置される。該距離は特に限定されず、撮像装置の焦点距離等に応じて適宜設定すれば良い。

0050

[突出部]
また、本発明においては、上記ケースの撮像装置が対向する面に、該ケースの外側へ向かって突出する突出部が設けられており、前記突出部に撮像装置の少なくとも一部が収容されていることが好ましい。このように突出部を設け、該突出部の内部に撮像装置の少なくとも対象物側を収容すれば、前記ケースの対象物側の面のうち、該突出部のみを対象物に近接させて観察を行うことが可能となり、突出部以外の部分を相対的に対象物から遠ざけることができる。これにより、ケースによって覆われる対象物の面積を小さくし、対象物の腐食の進行に動的観察装置が及ぼす影響を低減することができる。

0051

前記突出部の形状は特に限定されず、任意の形状とすることができる。例えば、ケースの一側面に、四角柱状または円筒状の突出部を設け、その内部に撮像装置の先端を収容することができる。また、ケースの一側面全体にテーパーを設け、四角錐状または円錐状に突出させることや、さらにその四角錐や円錐の頂点部分を対象物表面と平行となるように平らとした四角錐台状や円錐台状に突出させることもできる。

0052

[撮像装置が対向する部分の厚み]
また、本発明においては、上記ケースの、撮像装置が対向する部分の厚みを10mm以下とすることが好ましい。前記撮像装置が対向する部分を薄くすることにより、ケース内部に収容されている撮像装置を、対象物表面に近づけることができ、より詳細に腐食状態を観察することが可能となる。さらに、ケース外表面を対象物の表面から遠ざけ、対象物の腐食の進行に本発明の動的観察装置が及ぼす影響を低減することができる。なお、撮像装置が対向する部分のみを厚み10mm以下とし、その他の部分の厚みを10mm超とすることもできるし、その他の部分の厚みも10mm以下とすることもできる。また、上述したように突出部を設ける場合、該突出部の撮像装置が対向する部分の厚みを10mm以下とすればよい。

0053

[ワイパー機構]
さらに、本発明においては、ケースの外側にワイパー機構を設け、該ワイパー機構により該ケース外表面への付着物を除去することが好ましい。本発明の動的観察方法を、腐食試験機中の試験片に対して適用する場合、動的観察装置は塩水や高温多湿といった環境にさらされる。その結果、ケースの外面には塩水やケース内外の温度差により凝結した水滴などが付着し、それにより観察が妨げられることがある。また、大気暴露試験や移動体における観察においては、雨水や大気中の水分が凝結した水滴、大気や雨水に含まれる汚染物質、埃等がケース表面に付着することがある。そこで、上述のようにワイパー機構を設け、ケースの外表面、特に撮像装置の視野内に付着した水滴や汚れなどの付着物を除去することにより、どのような環境においても、長期にわたってより鮮明に金属の腐食状態を観察することができる。

0054

なお、前記ワイパー機構の構造は特に限定されず、任意のものとすることができる。具体的には、1本または2本以上のワイパーブレードをケース外表面に押し当てた状態で繰り返し往復させる構造とすることができ、例えば、ワイパーブレードを1点で固定し、その1点を支点として円弧状の軌跡を描くように揺動運動させるワイパー機構を用いることができる。また、ワイパーブレードを平行に繰り返し往復させるワイパー機構とすれば、円弧状に揺動運動するワイパー機構のように支点を離れた位置に設ける必要がないため、ワイパー機構をより小型化することができるため、好ましい。

0055

ワイパーブレードの材質は特に限定されず、ケース外表面の付着物を除去できるものであれば任意の材質とすることができるが、ゴム製とすることが好ましい。また、ワイパーブレードを支持、駆動する部材の材質についても限定されないが、耐食性および加工性の観点からは樹脂製とすることが好ましく、なかでも寸法安定性に優れるガラス繊維強化樹脂とすることがより好ましい。また、ワイパーは、モーターエアシリンダなど任意の駆動装置によって駆動することができる。

0056

ワイパー機構を利用する場合、該ワイパー機構を、前記撮像装置による観察が行われていない時にのみ動作させるよう制御することが好ましい。撮像装置による観察が行われている間にワイパーブレードが撮像装置の視野内を横切ると、対象物の観察が妨げられてしまう。上記のように、ワイパー機構の動作タイミングが撮像装置による撮影タイミングと重ならないように、両者を制御することにより、ワイパーブレードが観察を阻害することを防止できる。例えば、撮影と撮影の間のみワイパー機構を動作させてもよいし、各撮影の直前にのみワイパー機構を動作させてもよい。具体的には、インターバル撮影のように、撮像を断続的に行う場合には、前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われていない時にのみ動作させるよう制御することが好ましい。また、前記ワイパー機構を、前記撮像装置による撮像が行われる1秒〜1分前に動作させるよう制御すれば、ケース外表面に付着した汚染物質を確実に除去した状態で観察を行うことができるため、より好ましい。

0057

[傾斜手段]
本発明の一実施態様においては、前記撮像装置および前記ケースを傾斜させた状態で観察を行うことができる。例えば、腐食試験機を用いた促進試験や、大気曝露試験等を行う際には、垂直(90°)、45°、30°、水平(0°)など、試験法によって定められた様々な角度で対象物を設置した状態で試験が行われる。その際、対象物の被観察面に対して撮像方向が垂直となるように、前記撮像装置および前記ケースを傾斜させた状態で観察を行えば、試験法によらず、対象物の被観察面を正面から観察することができる。また、反対に、対象物の被観察面に対して撮像方向が斜めとなるように、前記撮像装置および前記ケースを傾斜させた状態で観察を行えば、正面からとは異なる視点で腐食現象を観察することもできる。なお、ここで「傾斜させた状態」とは、水平面に対して傾斜させた状態を意味するものとする。

0058

前記撮像装置および前記ケースを傾斜させた状態で観察を行う方法は特に限定されないが、上記動的観察装置が、撮像装置およびケースを傾斜させる傾斜手段を備えることが好ましい。前記傾斜手段としては、例えば、撮像装置を内部に収容した状態のケースを、所定の角度に傾斜させた状態で支持・固定する支持台を用いることができる。前記傾斜手段は、傾斜角度を調節可能であることが好ましく、例えば、0°(水平)〜90°(垂直)の間の任意の角度で固定可能なものとすることもできるし、0°、30°、45°、90°などの段階的に設定された所定の角度で固定可能なものとすることもできる。

0059

上記のように撮像装置および前記ケースを傾斜させる場合、該ケースを傾けても撮像装置の位置が変化しないように、ボルト固定板などを用いてケース内で固定されていることが好ましい。

0060

[距離調節手段]
本発明の動的観察装置は、撮像装置と対象物との距離を調節するための距離調節手段を備えることが好ましい。距離調節手段を設けることにより、撮像装置の焦点位置や観察範囲を調節することが可能となる。また、前記距離調節手段は、対象物と撮像装置の少なくとも一方を移動させることができるものであればよい。前記距離調節手段としては、撮像装置と対象物との距離を調節することができるものであれば任意のものを用いることができるが、ケースは移動させずに、該ケース内に収容された撮像装置を、対象物に対して前後方向に移動させることができるようにすることが好ましい。これにより、ケースごと移動させて、ケースやワイパーが対象物と干渉することを防止できる。また、動的観察装置自体が対象物を支持する構造である場合には、対象物を移動させることによって距離を調整してもよい。

0061

前記距離調節手段としては、ボールネジなどを回転させることによって距離を調節できる機構を用いることが好ましい。また、前記距離調節手段は、ケースの外部から距離を調節できるように、例えば、ボールネジを回転させるためのつまみ等の操作部をケース外に備えていることがより好ましい。

0062

[位置調節手段]
本発明の動的観察装置は、前記対象物表面上における観察位置を、上下方向および左右方向の少なくとも一方に調節するための位置調節手段を備えることが好ましい。位置調節手段を設けることにより、対象物の任意の位置を観察することが可能となる。前記位置調節手段は、上下方向と左右方向の両者に調節可能であることが好ましい。また、前記位置調節手段は、対象物と撮像装置の少なくとも一方を移動させることができるものであればよい。なお、ここで上下方向および左右方向とは、対象物の被観察面に向かって見たときの、被観察面に平行な面内における方向とし、被観察面が垂直となるように対象物が設置されている際の上下を上下方向とする。

0063

前記位置調整手段が撮像装置を移動させるものである場合、該撮像装置のみを移動させてもよいが、撮像装置を収容しているケースごと移動させるものとすることもできる。前記位置調節手段としては、例えば、ボールネジなどを回転させることによって距離を調節できる機構を用いることができる。その場合、上下方向における位置を調節するためのボールネジと、左右方向における位置を調節するためのボールネジを設け、上下方向と左右方向における位置を独立して調節可能とすることがより好ましい。

0064

[除湿]
また、本発明においては、ケース内部を除湿することが好ましい。本発明の動的観察装置は、促進試験における相対湿度100%といった高湿度雰囲気や、大気暴露試験における雨、雪など、様々な環境にさらされるため、撮像装置をケース内に収容して保護している。しかし、何らかの理由により水蒸気等の水分がケース内部に侵入すると、撮像装置の光学部品ケース内面結露して観察の妨げとなるだけでなく、撮像装置の故障の原因となるおそれがある。そこで、ケース内部を除湿することにより、このような水分に侵入による影響を抑制することができる。なお、除湿の効果を十分に得るためには、ケース内の相対湿度を80%以下とすることが好ましく、70%以下とすることがより好ましい。

0065

上記除湿を行うために、動的観察装置には除湿手段が設けられる。前記除湿手段はケース内部を除湿することができるものであれば、ケースの内部と外部のどちらに設けられていてもよい。具体的には、ケース内に除湿剤や除湿装置を設置する方法、ケース外からケース内へドライエアを供給する方法など、任意の方法を用いて除湿を行うことができる。なかでも、長期にわたって安定して除湿を行うという観点からは、前記除湿手段として、ケース外からケース内へドライエアを供給するためのドライエア供給装置を用いることが好ましい。該ドライエアは、空気を除湿して生成することができる。その除湿には任意の除湿装置を用いることができるが、コストの点から、中空糸膜式(メンブレン式エアドライヤーを用いることが好ましい。生成したドライエアは、ケース外部に設けられたコンプレッサポンプ等のエア供給装置を用いて、ケース内部に送られる。この場合、前記エア供給装置は、後述する与圧部を兼ねることができる。

0066

ケース外からケース内へドライエアを供給する場合には、該ケースの任意の位置に、供給されたエアをケース内からケース外へ排気するための排気口を設ける。前記排気口からは、直接ケース外部へ排気することもできるが、排気によって対象物周囲の環境が乱されることを防止するために、排気口に接続されたチューブ等を介して、対象物から離れた位置に排気することが好ましい。また、前記排気口には、必要に応じて、ケース外からの空気や水分の侵入を防止するための逆止弁を設けることもできる。

0067

[与圧]
本発明においては、ケース内部の圧力を該ケース外部よりも高くすることが好ましい。上述したように、水分がケース内部に侵入すると、結露等の問題が生じる。また、ケース外部から腐食性物質高温の空気などがケース内に侵入することによっても撮像装置に異常をきたすおそれがある。そこで、ケース内を陽圧とすることにより、外部から水分、腐食性物質、高温の空気等がケース内部へ侵入することを防ぐことができる。

0068

ケース内部の圧力を該ケース外部よりも高くするために、動的観察装置には与圧部が設けられる。与圧を行う方法は特に限定されないが、例えば、ケース外部に設けられたコンプレッサ、ポンプ等のエア供給装置を用いてケース内へエアを供給することによってケース内部を外部より高圧とすることができる。その場合、該ケースの任意の位置に、供給されたエアをケース内からケース外へ排気するための排気口を設ける。前記排気口からは、直接ケース外部へ排気することもできるが、排気によって対象物周囲の環境が乱されることを防止するために、排気口に接続されたチューブ等を介して、対象物から離れた位置に排気することが好ましい。また、前記排気口には、必要に応じて、ケース外からの空気や水分の侵入を防止するための逆止弁を設けることもできる。

0069

与圧を行う際のケース内圧力は、前記エア供給手段や、前記排気口を調整することによって制御できる。また、前記排気口にバルブを設け、その開度を調整することでケース内圧力を制御することもできる。

0070

なお、上記与圧部としてエア供給手段を用いる場合、該エア供給手段は除湿手段のエア供給手段を兼ねることが好ましい。これにより、1つのエア供給手段で除湿と与圧を行うことができ、装置構造を簡略化できる。

0071

また、除湿手段および与圧部のいずれか一方または両方にエア供給手段を用いる場合、該エア供給手段からケース内へ供給されるエアの温度を調節するための温度調節部を設けることがより好ましい。ケース内へエアを供給するための配管等の途中に温度調節部を設け、必要に応じて加熱や冷却を行って一定の温度としたエアをケース内に供給することにより、外気温度の影響を受けることなく、安定して撮像装置による観察を行うことが可能となる。なお、その際にケース内に供給するエアの温度は、使用する撮像装置の仕様等に応じて決定すれば良いが、一般的には60℃以下とすることが好ましい。

0072

[対象物]
本発明の動的観察装置は、金属の腐食現象を観察するためのものであり、少なくとも一部が金属からなる、あらゆる物品を観察対象とすることができる。促進試験や大気暴露試験において用いる場合には、板状の対象物(試験片)を用いることが一般的であるが、対象物の形状はこれに限定されず、あらゆる形状とすることができる。例えば、自動車や鉄道車両などの移動体、機械構造物建築物などを観察対象とすることも可能である。また、観察対象の金属は、材質を問わない他の部材の表面に被覆されたもの、例えば、めっき皮膜溶射皮膜などであってもよい。また、金属の表面に、化成処理などの表面処理や、塗装が施されたものであってもよい。

0073

本発明の動的観察方法においては、腐食試験機内に設置された対象物の観察を行うこともできる。腐食試験機による促進試験中の腐食を観察する場合には、動的観察装置を試験片とともに腐食試験機内に設置する。その際、試験片と動的観察装置は個別に腐食試験機内に据え付けてもよいが、試験片を固定するための試験片固定部と動的観察装置を固定するための動的観察装置固定部を備える固定用台座に試験片と動的観察装置の両者を固定した後、該固定用台座ごと腐食試験機内に設置すれば、試験片と撮像装置との角度や距離等の位置関係を容易に調整できるため好ましい。

0074

本発明の動的観察方法は、大気暴露試験における腐食の観察に適用することもできる。その場合には、動的観察装置を暴露場に設置して観察を行う。例えば、暴露場内に設けられた暴露架台に試験片を設置し、該試験片の表面に近接させて、動的観察装置を設置すれば良い。その際、動的観察装置は試料片に直接固定してもよく、また、暴露架台や他の部材を利用して固定しても良い。

0075

また、本発明の動的観察方法においては、移動体を対象物とすることもできる。本発明を適用可能な移動体は特に限定されず、例えば、自動車、鉄道車両、自転車オートバイ船舶航空機など、任意の移動体を対象物とできる。移動体における腐食を観察する場合には、該移動体を構成する金属製部材の表面に対峙するように本発明の動的観察装置を設置すれば良く、その固定方法は特に限定されない。

0076

[映像の送信]
本発明の動的観察方法においては、撮像装置によって得た映像をケース外に送信することが好ましい。映像をケース外へ送信することにより、対象物と離れた位置において金属の腐食状態を観察することが可能となる。送信の方法は特に限定されず、有線無線を問わず、任意の方法を用いることができる。

0077

例えば、腐食試験機内などの腐食性環境における腐食を観察する場合であっても、ケーブル無線LAN等を用いてケース外に映像を送信することにより、腐食試験機の外部などの安全な環境に設置されたコンピュータ等で前記映像を受信し、観察や記録を行うことができる。ケーブルを用いて有線で映像を送信する場合には、そのケーブルを撮像装置の制御や撮像装置への電源供給に利用することもできる。

0078

また、遠隔地に存在する暴露場に動的観察装置を設置するような場合には、撮像装置から直接、または撮像装置に接続された送信装置を用いて、電話回線インターネットを介して映像を送信することもできる。これにより、遠隔地で長期間にわたり実施される暴露試験の状況を、離れた場所でリアルタイムに観察、記録することが可能となる。

0079

対象物が自動車などの移動体である場合には、撮像装置によって得た映像を、無線送信装置を用いて送信することもできる。前記無線送信装置は、撮像装置に内蔵されていても良いが、撮像装置と接続された状態でケース内やケース外の別の場所に設置されていても良い。これにより、前記無線送信装置から送信される映像を、移動体から離れた任意の場所で受信し、腐食状態の観察や記録を行うことが可能となる。

0080

なお、ケース内に記録部を設け、該記録部によって映像を記録してもよい。この場合、撮像装置で得た映像をケース外へ送信する必要はなく、一定の期間観察を行った後、記録部に記録された映像のデータを回収すれば良い。前記記録部は、撮像装置に内蔵されていても、撮像装置とは別体として設けられていてもよく、記録には任意の記録媒体を利用できる。

0081

<第1の実施形態>
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態において用いられる動的観察装置の正面概略図であり、図2は同実施形態において用いられる動的観察装置の上面概略図である。図1、2に示した動的観察装置1は、撮像装置としてのマイクロスコープカメラ10を備えており、マイクロスコープカメラ10はケース20に収容されている。

0082

ケース20は直方体の箱であり、第1ケース部材21の上部に、第2ケース部材22を、キャップボルト23を用いて固定することにより構成されている。第1ケース部材21と第2ケース部材との接触面にはOリング24を配して、ケース20の気密性を確保している。第1ケース部材21と第2ケース部材22は、いずれも無色透明アクリル樹脂製である。そのため、ケース内に設置されたマイクロスコープカメラ10によってケース外の対象物を観察することが可能であるとともに、外部よりケース内の状態を容易に確認することができる。

0083

マイクロスコープカメラ10は、ケース20の一方の側面にカメラの先端(対物レンズ側)を近接させるように図示されない固定部材によって固定されている。また、マイクロスコープカメラ10には、ケーブル11が接続されている。ケーブル11はケース20の壁面を貫通してケース外へ伸びており、ケース外に設置された制御装置に接続されている。マイクロスコープカメラ10への電源の供給やマイクロスコープカメラ10で撮影された画像の制御装置への送信は、ケーブル11を介して行われる。ケーブル11がケース20を貫通する部分は、気密性を確保するためにゴム製部材によってシールされている。

0084

ケース20の外部には、ケースの外側表面に付着した水滴や汚れなどを除去するためのワイパー機構30が設けられている。ワイパー機構の構造は、図中には示されていないが、次の通りである。ワイパー機構30は、ワイパーブレードおよび駆動装置を有している。前記ワイパーブレードは、保持部材によって、ケース壁面に一定の圧力で押し当てられた状態で移動可能に保持されている。また、前記駆動装置はエアシリンダを備えており、前記ワイパーブレードは、ケース壁面に押し当てられた状態のまま、前記エアシリンダによって繰り返し往復運動するよう構成されている。前記エアシリンダは、後述するコンプレッサによって送られるエアによって駆動され、その動作は、制御装置によってバルブを制御することによって行われる。

0085

ケース20の外部には、さらにコンプレッサ40が設けられており、コンプレッサ40は給気用チューブ41によってケース20の壁面に設けられた給気口42に接続されている。コンプレッサ40からのエアは、給気用チューブ41の途中に設けられたレギュレータ(図示されていない)によって圧力を調整された後、ケース内へ供給される。これにより、ケース20内の圧力をケース外部よりも高くすることができる。給気用チューブ41には、さらに流量調整バルブを設けてもよい。また、ケース20には、供給されたエアをケース外へ排気するための排気口43が設けられており、排気口43にはさらに排気用チューブ44が接続されている。排気用チューブ44は、ケース20や対象物から離れた位置まで伸びており、それにより、対象物周囲の雰囲気が排気によって乱され、腐食状態が変化してしまうことを防止できる。

0086

給気用チューブ41の途中には、中空糸膜式エアドライヤー45が設けられており、エアの除湿が行われる。中空糸膜式エアドライヤー45で除湿されたエアを供給することにより、ケース20内の湿度を低く保つことができる。

0087

また、給気用チューブ41は分岐してワイパー機構30にも接続されており、給気用チューブ41を通じて供給されたエアは、ワイパー機構30のエアシリンダの駆動にも利用される。

0088

上記のように構成された動的観察装置1を対象物の前に設置して、観察を実施する。その際、対象物表面の所望の部位が撮像装置であるマイクロスコープカメラ10の視野内に収まり、かつ、マイクロスコープカメラ10の焦点が前記対象物の表面に合うように、動的観察装置1の設置位置が決定される。

0089

<第2の実施形態>
次に、撮像装置が対向する前記ケースの面に、該ケースの外側へ向かって突出する突出部を設けた第2の実施形態について説明する。図3は第2の実施形態において使用される動的観察装置2の正面概略図であり、図4は同実施形態において使用される動的観察装置2の上面概略図である。なお、第2の実施形態における、以下に説明する以外の点は、第1の実施形態と同様である。また、第1の実施例と共通するものには第1の実施例で用いたものと同様の符号を付している。

0090

図中50は円筒状突出部であり、円筒状突出部50は、ケース20の一方の側面の略中央に設けられている。そして、マイクロスコープカメラ10は、先端(対物レンズ側)が円筒状突出部50の内部に収容されている。円筒状突出部50の厚み(円筒の高さ)は、外寸で20mmとした。このように突出部を設けることにより、対象物に近接させる部分の面積を小さくすることができ、その結果、動的観察装置が存在することにより対象物が受ける影響を小さくすることができる。

0091

また、円筒状突出部50の先端部、すなわち、対象物と対向する面を厚み5mmの薄肉部51とした。このように、ケースの、対象物と撮像装置との間に位置する部分の肉厚を薄くすることによって、撮像装置をより対象物に近づけて設置することが可能となる。ケース20の、薄肉部51以外は、強度や加工性の観点から薄肉部51よりも肉厚とした。

0092

<第3の実施形態>
次に、動的観察装置が傾斜手段、距離調節手段、および位置調節手段を備えている第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態における動的観察装置3の正面概略図、図6は、動的観察装置3の上面概略図である。図5、6、および後述する図7では、ケース20等の構造を一部簡略化して示している。なお、第3の実施形態における、以下に説明する以外の点は、第2の実施形態と同様である。また、第1および第2の実施形態と共通するものには、第1および第2の実施形態と同様の符号を付している。

0093

図5、6に示したように、支持構造体60の上に傾斜板70が支持されており、マイクロスコープカメラ10を収容したケース20は傾斜板70上に固定されている。また、マイクロスコープカメラ10に対向する位置には、ケース20の円筒状突出部50に近接するように対象物80を固定するための対象物固定構造体81が設けられている。図5、6では、板状の対象物80が、垂直に設置されており、マイクロスコープカメラ10の撮像方向が対象物80の被観察面に垂直となるように設置されている。

0094

マイクロスコープカメラ10は、図示されない距離調節手段によって、矢印Aで示した前後方向、すなわち、対象物80に近づく方向と対象物80から遠ざかる方向に移動させることができ、任意の位置で固定することが可能となっている。前記位置調整手段を駆動するための操作部は、ケース20の外部に設置されており、マイクロスコープカメラ10をケース20内に収容した状態でマイクロスコープカメラ10の位置を前後に調節することができる。

0095

また、ケース20は図示されない位置調節手段によって、矢印Bで示した上下方向(図5)と、矢印Cで示した左右方向(図6)に、独立して移動させることができる。ここで、矢印Bで示した上下方向とは、対象物80の被観察面に平行かつ、傾斜板70に垂直な方向であり、図5に示した状態では支持構造体60に対して垂直な方向である。また、矢印Cで示した左右方向とは、対象物80の被観察面に平行かつ、傾斜板70に平行な方向である。

0096

図7は、第3の実施形態の動的観察装置3において、マイクロスコープカメラ10およびケース20を傾斜させた状態を示す正面概略図である。本実施形態においては、ケース20が傾斜板70上に固定されているため、図に示すように傾斜板70を傾斜させた状態で固定することにより、ケース20を傾斜させることができる。ここで傾斜板70は、矢印Dの方向に自在に傾斜可能となるよう、支持構造体60との交点73で連結されている。傾斜板70は、交点73を支点として傾斜させ、角度固定板71にネジ72で固定することによって傾斜した状態に保持される。角度固定板71には図示されない複数のネジ穴が設けられているとともに、矢印Eの方向に移動自在となっており、角度固定板71を矢印Eの方向に移動させることにより、傾斜板70を所望の角度で固定することができる。なお、図7では傾斜角度θを45°としているが、0°(水平)から90°(垂直)まで、所望の角度とすることが可能であるため、幅広い条件での腐食試験における動的観察を行うことができる。

0097

本実施形態では、対象物80を固定するための対象物固定構造体81も傾斜板70上に固定されているため、傾斜板70を傾斜させると、対象物80も傾斜することになる。そのため、腐食試験を行う際に、対象物80の角度が採用する試験法で定められた角度となるように傾斜板70を傾斜されれば、マイクロスコープカメラ10およびケース20も同じ角度で傾斜するため、常に対象物80に対して垂直な方向、すなわち正面から観察を行うことができる。

0098

次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、そのような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。

0099

腐食試験機を用いて複合サイクル試験を実施し、その際の試験片の腐食状態を、図1図2に示した動的観察装置1を用いて観察した。サンプルとしては、冷延鋼板の表面に化成処理および電着塗装を施した塗装鋼板を使用した。該冷延鋼板から、幅70mm、長さ150mmの試験片を切り出し、化成処理および電着塗装を施し、次いで、カッターナイフで表面中央に長さ80mmのカット傷を付与した後、腐食試験機内へセットした。

0100

動的観察装置は、前記試験片の表面を観察できるように試験機内に設置した。コンプレッサを用いて前記動的観察装置のケース内へ腐食試験機外部からエアを送り込むことにより、ケース内を常温に維持するとともに、ケース内の圧力を大気圧以上とした。さらに、前記エアは中空糸膜式エアドライヤーによって除湿された後にケース内へ供給されるため、ケース内は乾燥状態に保たれている。

0101

複合サイクル試験は、SAEJ2334に準拠した条件で実施した。すなわち、図8に示すように、試験片を、(i)相対湿度100%、温度50℃の湿潤環境に6時間保持したのち、(ii)塩水(0.5質量%NaCl+0.1質量%CaCl2+0.075質量%NaHCO3)に15分間浸漬し、次いで(iii)相対湿度50%、温度60℃の乾燥環境に17時間45分保持する一連のサイクル(i)〜(iii)を平日の5日間行い、休日の2日間には上記(iii)に続いてさらに(iv)相対湿度50%、温度60℃の乾燥環境に48時間保持する一連のサイクル(i)〜(iv)を行うサイクルである。

0102

動的観察装置による観察は、間隔60秒でインターバル撮影を行うことにより実施した。観察の結果、試験片に付与したカット傷から塗膜膨れが生じ、その塗膜膨れが時間の経過にともなって成長する様子を連続的に観察することができた。

0103

図9は、塩水試験開始から18時間後における試験片表面を撮影した写真である。また、図10は、(ii)塩水浸漬、(iii)乾燥、および(i)湿潤からなるサイクルを2回繰り返す間の、3時間ごとの塗膜膨れ幅の測定結果である。図10横軸は腐食試験開始からの経過時間(h)を、縦軸は塗膜膨れ幅(mm)を、それぞれ示している。このように、本発明の動的観察装置を用いることにより、腐食試験機内での促進試験の間における塗膜膨れ幅の経時変化を捉えることに成功した。ここで、塗膜膨れ幅は、図9に矢印で示したように、カット傷から塗膜膨れの先端までの距離とした。

0104

図10に示した結果より、塗膜膨れ幅は単調に増加するのではなく、(iii)乾燥の工程において顕著に増加することが分かった。また、(iii)の工程においても、(i)塩水浸漬終了後の数時間は塗膜膨れ幅がほとんど変化しないことが分かる。

実施例

0105

なお、上記実施例においては、本発明の動的観察方法を、極めて過酷な腐食環境で実施される複合サイクル試験に適用したが、塩水噴霧試験、大気暴露試験や、実使用環境における移動体など、他の環境における金属の腐食現象の観察に使用できることはいうまでもない。

0106

1〜3 :動的観察装置
10 :マイクロスコープカメラ(撮像装置)
11 :ケーブル
20 :ケース
21 :第1ケース部材
22 :第2ケース部材
23 :キャップボルト
24 :Oリング
30 :ワイパー機構
40 :コンプレッサ
41 :給気用チューブ
42 :給気口
43 :排気口
44 :排気用チューブ
45 :中空糸膜式エアドライヤー
50 :円筒状突出部
51 :薄肉部
60 :支持構造体
70 :傾斜板
71 :角度固定板
72 :ネジ
73 :支点
80 :対象物
81 :対象物固定構造体

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