図面 (/)
課題
解決手段
主灰(微粒)M2に水W1を添加してスラリー化し、主灰スラリー(微粒スラリー)を発泡させ、発泡スラリーから泡分Fを除去した後のスラリーSを水洗する。主灰を水洗、固液分離した後のろ液のBOD及びCODを増加させる成分を発泡スラリーの泡分に濃縮させることで、発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗して固液分離した後のろ液のBOD等が低下し、ろ液に対するBOD処理等が不要となり、排水処理コストが大幅に低下する。泡分を水洗してもよい。主灰M1の粒度を1mm未満に調整した後スラリー化したり、主灰スラリーに酸性ガスG又は酸を添加してもよい。発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーSを水洗した後固液分離して得られた固形分C等をセメント原料として利用することができる。
概要
背景
従来、都市ごみ等を焼却した際に発生する主灰のほとんどが最終処分場で埋め立て処理されていたが、最終処分場の枯渇の虞に鑑み、近年、セメント原料として有効利用されている。主灰は塩素分を多く含むため、セメント原料として有効利用するにあたって事前に塩素分を除去する必要がある。また、主灰は粒子の粒度によって塩素濃度が異なり、微粒子側に塩素分が偏在している。
そこで、特許文献1等には、図3に示すように、ホッパ22に受け入れた主灰Mと、主灰Mの1倍〜10倍の重量の水W4とを混合撹拌装置23で混合撹拌した後、主灰スラリーS3を分級装置24で微粒子スラリーS4と粗粒子CPとに分級し、微粒子スラリーS4をタンク25に供給して水洗し、酸性ガス導入装置26から酸性ガスGをタンク25に導入して微粒子スラリーS4に含まれる難溶性塩の分解を促進し、タンク25から排出したスラリーS5を固液分離装置27でろ液L2と微粒子Fとに固液分離し、ろ液L2を排水処理装置28で処理すると共に、微粒子Fを粗粒子CPと合流させてセメント原料として利用する装置21が記載されている。
概要
排水処理コストを低く抑えながら主灰を脱塩し、セメント原料等に有効利用する。主灰(微粒)M2に水W1を添加してスラリー化し、主灰スラリー(微粒スラリー)を発泡させ、発泡スラリーから泡分Fを除去した後のスラリーSを水洗する。主灰を水洗、固液分離した後のろ液のBOD及びCODを増加させる成分を発泡スラリーの泡分に濃縮させることで、発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗して固液分離した後のろ液のBOD等が低下し、ろ液に対するBOD処理等が不要となり、排水処理コストが大幅に低下する。泡分を水洗してもよい。主灰M1の粒度を1mm未満に調整した後スラリー化したり、主灰スラリーに酸性ガスG又は酸を添加してもよい。発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーSを水洗した後固液分離して得られた固形分C等をセメント原料として利用することができる。
目的
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、排水処理コストを低く抑えながら主灰を脱塩し、セメント原料等に有効利用することを目的とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
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請求項1
請求項2
前記泡分を水洗することを特徴とする請求項1に記載の主灰の脱塩方法。
請求項3
前記主灰の粒度を1mm未満に調整した後スラリー化することを特徴とする請求項1又は2に記載の主灰の脱塩方法。
請求項4
前記主灰スラリーに酸性ガス又は酸を添加することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の主灰の脱塩方法。
請求項5
請求項1乃至4のいずれかに記載の主灰の脱塩方法における前記発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗した後固液分離して得られた固形分、又は該スラリーを水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント原料として利用することを特徴とする主灰の脱塩・セメント原料化方法。
請求項6
請求項1乃至4のいずれかに記載の主灰の脱塩方法における前記泡分をそのまま、又は前記泡分を水洗した後固液分離して得られた固形分、あるいは前記泡分を水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント原料として利用することを特徴とする主灰の脱塩・セメント原料化方法。
請求項7
請求項8
前記泡分を水洗する第2の水洗装置をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の主灰の脱塩装置。
請求項9
請求項7又は8に記載の主灰の脱塩装置における前記発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗した後固液分離して得られた固形分、又は該スラリーを水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント製造装置に供給する供給装置をさらに備えることを特徴とする主灰の脱塩・セメント原料化装置。
請求項10
請求項7又は8に記載の主灰の脱塩装置における前記泡分をそのまま、又は前記泡分を水洗した後固液分離して得られた固形分、あるいは前記泡分を水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント製造装置に供給する供給装置をさらに備えることを特徴とする主灰の脱塩・セメント原料化装置。
技術分野
背景技術
0002
従来、都市ごみ等を焼却した際に発生する主灰のほとんどが最終処分場で埋め立て処理されていたが、最終処分場の枯渇の虞に鑑み、近年、セメント原料として有効利用されている。主灰は塩素分を多く含むため、セメント原料として有効利用するにあたって事前に塩素分を除去する必要がある。また、主灰は粒子の粒度によって塩素濃度が異なり、微粒子側に塩素分が偏在している。
0003
そこで、特許文献1等には、図3に示すように、ホッパ22に受け入れた主灰Mと、主灰Mの1倍〜10倍の重量の水W4とを混合撹拌装置23で混合撹拌した後、主灰スラリーS3を分級装置24で微粒子スラリーS4と粗粒子CPとに分級し、微粒子スラリーS4をタンク25に供給して水洗し、酸性ガス導入装置26から酸性ガスGをタンク25に導入して微粒子スラリーS4に含まれる難溶性塩の分解を促進し、タンク25から排出したスラリーS5を固液分離装置27でろ液L2と微粒子Fとに固液分離し、ろ液L2を排水処理装置28で処理すると共に、微粒子Fを粗粒子CPと合流させてセメント原料として利用する装置21が記載されている。
先行技術
0004
特許第5561326号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかし、上記特許文献1等に記載の主灰の脱塩・セメント原料化装置21では、スラリーS5を脱水して得られたろ液L2を排水処理装置28で処理するが、ろ液L2に含まれる重金属類の濃度を低減し、BOD(生物化学的酸素要求量)及びCOD(化学的酸素要求量)が排水基準を満たすようにろ液L2を排水処理するには多額のコストを要し、改善の余地があった。
0006
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、排水処理コストを低く抑えながら主灰を脱塩し、セメント原料等に有効利用することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
本発明によれば、主灰を水洗、固液分離した後のろ液のBOD及びCODを増加させる成分を発泡スラリーの泡分に濃縮させることができるため、発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗して固液分離した後のろ液のBOD及びCODが低下し、ろ液に対するBOD及びCOD処理が不要となるため、排水処理コストを大幅に低減することができる。
0009
上記主灰の脱塩方法において、前記泡分を水洗することができる。上述のように、発泡スラリーの泡分に、主灰を水洗、固液分離した後のろ液のBOD及びCODを増加させる成分を濃縮させたため、従来に比べてBOD及びCOD処理に要するコストを低減することができると共に、脱塩した泡分も有効利用することができる。
0010
上記主灰の脱塩方法において、前記主灰の粒度を1mm未満に調整した後スラリー化することができ、塩素分が偏在している微粒子側のスラリーから効率よく脱塩を行うことができる。
0011
上記主灰の脱塩方法において、前記主灰スラリーに酸性ガス又は酸を添加することができ、主灰スラリーに含まれるフリーデル氏塩等の難溶性塩の分解を促進することで、主灰の脱塩率をさらに向上させることができる。
0012
また、本発明は、主灰の脱塩・セメント原料化方法であって、前記発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗した後固液分離して得られた固形分、又は該スラリーを水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント原料として利用することができる。
0013
さらに、本発明は、主灰の脱塩・セメント原料化方法であって、前記泡分をそのまま、又は前記泡分を水洗した後固液分離して得られた固形分、あるいは前記泡分を水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント原料として利用することができる。
0014
上記両発明によれば、低コストで脱塩した主灰をセメント原料として有効利用することができる。
0015
さらに、本発明は、主灰の脱塩装置であって、主灰に水を添加してスラリー化し、該主灰スラリーを発泡させる発泡装置と、該発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗する水洗装置とを備えることを特徴とする。本発明によれば、発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗して固液分離した後のろ液のBOD及びCODが低下し、このろ液に対するBOD及びCOD処理が不要となるため、排水処理コストを大幅に低減することができる。
0016
上記主灰の脱塩装置において、前記泡分を水洗する第2の水洗装置をさらに備えることができる。これにより、上述のように、発泡スラリーの泡分に、主灰を水洗、固液分離した後のろ液のBOD及びCODを増加させる成分を濃縮させることができ、従来に比べてBOD及びCOD処理に要するコストを低減することができると共に、脱塩した泡分も有効利用することができる。
0017
また、本発明は、主灰の脱塩・セメント原料化装置であって、前記発泡スラリーから泡分を除去した後のスラリーを水洗した後固液分離して得られた固形分、又は該スラリーを水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント製造装置に供給する供給装置をさらに備えることができる。
0018
さらに、本発明は、主灰の脱塩・セメント原料化装置であって、前記泡分をそのまま、又は前記泡分を水洗した後固液分離して得られた固形分、あるいは前記泡分を水洗しながら固液分離して得られた固形分をセメント製造装置に供給する供給装置をさらに備えることができる。
0019
上記両発明によれば、低コストで脱塩した主灰をセメント原料として有効利用することができる。
発明の効果
0020
以上のように、本発明によれば、排水処理コストを低く抑えながら主灰を脱塩し、セメント原料等に有効利用することができる。
図面の簡単な説明
0021
本発明に係る主灰の脱塩・セメント原料化装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。
本発明に係る主灰の脱塩・セメント原料化装置の第2の実施形態を示す全体構成図である。
従来の主灰の脱塩・セメント原料化装置の一例を示す全体構成図である。
実施例
0022
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
0023
図1は、本発明に係る主灰の脱塩・セメント原料化装置の第1の実施形態を示し、この装置1は、ごみ焼却灰(以下「主灰」という。)M1を受け入れるホッパ2と、ホッパ2から供給された主灰M1の粒度を調整する分級装置3と、分級装置3から排出された微粒M2に水W1と、酸性ガスGとを添加し、微粒M2をスラリー化すると共に、酸性ガスGによって発泡させるタンク4と、タンク4内の発泡スラリーからオーバーフロー式や吸気手段等を用いて泡分Fを回収する泡回収タンク6と、発泡スラリーから泡分Fを回収した後のスラリーSを固液分離するフィルタプレス等の固液分離装置7と、固液分離装置7から排出されたろ液Lを排水処理する排水処理装置8を備える。
0024
分級装置3は、主灰M1の粒径を1mm未満に調整するために設けられる。これにより、主灰M1の塩素濃度の低い粗粒子をそのままセメント原料等として利用し、塩素濃度の高い微粒子のみを処理対象とする。
0025
スラリー化装置及び発泡装置としてのタンク4は、微粒M2を水W1によりスラリー化し、この微粒スラリーに、散気盤やエアレーション装置等(不図示)を通して供給される酸性ガスGを吹き込んで発泡させるために設けられる。酸性ガスGの代わりに硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸等の酸をタンク4内に投入し、酸性ガスGを吹き込まずに空気Aを吹き込んで微粒スラリーを発泡化してもよい。また、微粒スラリーの発泡のみを目的として、酸を投入せずに空気Aのみをタンクに吹き込んでもよい。
0026
酸性ガス導入装置5は、タンク4に酸性ガスGを導入するために設けられ、導入する酸性ガスGとしては、CO2を多く含むセメントキルンの排ガスやSO2を多く含む塩素バイパス設備の排ガスを利用することができる。
0027
次に、上記構成を有する脱塩・セメント原料化装置1の動作について図1を参照しながら説明する。
0028
ホッパ2に受け入れた主灰M1を分級装置3に供給し、分級装置3で粒度調整した後の粒径1mm未満の微粒M2をタンク4に投入する。この微粒M2の重量の1倍〜10倍の重量の水W1をタンク4内の微粒M2に添加してスラリー化する。
0029
微粒M2をスラリー化した後、タンク4に酸性ガス導入装置5から酸性ガスGを吹き込み、微粒スラリーに含まれるフリーデル氏塩等の難溶性塩の分解を促進させると共に、スラリーを発泡化する。タンク4内の微粒スラリーのpHを2〜12、より好ましくは4〜9、さらに好ましくは6〜8に調整する。スラリーの発泡化により、微粒スラリーの5〜20%が発泡し、80〜95%がスラリーのまま残る。
0030
タンク4内の泡分Fを泡回収タンク6に貯留した後、供給装置(不図示)を介してセメント製造設備に供給し、セメント原料として利用する。この泡分Fには、BOD及びCODを増加させる成分が濃縮しているため、泡分Fをセメント製造設備にそのまま投入することでBOD及びCOD処理を不要とする。
0031
一方、タンク4内のスラリーSを固液分離装置7に供給し、洗浄水W2によって水洗しながら固液分離し、固形分Cとろ液Lとに分離する。固形分Cは、供給装置(不図示)を介してセメント製造装置に供給し、セメント原料として利用する。スラリーSを洗浄した後の洗浄水W2は、タンク4においてスラリー化のための水W1として再利用することができる。
0033
以上説明したように、従来微粒スラリー全体について重金属類、BOD及びCODに関する処理を行っていたのに対し、本実施の形態では、BOD及びCODに関する排水処理を省略し、泡分Fを除去した後のスラリーSについてのみ重金属類の濃度を低減する処理を行うだけであるため、排水処理コストを大幅に低減することができる。
0034
次に、本発明に係る主灰の脱塩・セメント原料化装置の第2の実施形態について図2を参照しながら説明する。この装置11は、図1に示す装置1の構成に加え、泡回収タンク6の後段に固液分離機12と、排水処理装置13とをさらに備える。尚、装置1と同一の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
0035
固液分離機12は、泡回収タンク6からの泡分Fを固液分離するために設けられ、泡分Fを固形分C1と、ろ液L1とに分離する。排水処理装置13は、固液分離機12からのろ液L1を、BOD、COD及び重金属含有量が排水基準を満たすように排水処理するために設けられる。
0036
次に、上記構成を有する脱塩・セメント原料化装置11の動作について、上記装置1と異なるもののみ説明する。
0037
泡回収タンク6に貯留される泡分Fを固液分離機12に供給し、洗浄水W3によって水洗しながら固液分離し、固形分C1とろ液L1とに分離する。固形分C1は、供給装置(不図示)を介してセメント製造装置に供給し、セメント原料として利用する。泡分Fを洗浄した後の洗浄水W3は、タンク4においてスラリー化のための水W1として再利用することができる。
0038
一方、ろ液L1には、BOD及びCODを増加させる成分が濃縮され、重金属も含まれているため、排水処理装置13において、ろ液L1のBOD、COD及び重金属含有量が排水基準を下回るように排水処理した後放流する。
0039
以上説明したように、従来微粒スラリー全体について重金属類、BOD及びCODに関する処理を行っていたのに対し、本実施の形態では、泡分F側にBOD及びCODを増加させる成分を濃縮させてBOD及びCOD処理を行うため、従来に比べて処理量が低下し、処理コストを低減すると共に、排水処理装置13を小型に抑えることができる。また、泡分Fをセメント製造設備に投入しないため、第1の実施形態の泡分Fをそのままセメント原料として利用する場合よりも、セメント製造設備における熱量損失を低減することができる。
0040
尚、上記実施の形態では、タンク4から排出されたスラリーS及び泡回収タンク6から排出された泡分Fをフィルタプレス等の固液分離装置7、12で水洗しながら固液分離したが、脱水機等を用いてスラリーSを単に固液分離することもできる。
0043
1 主灰の脱塩・セメント原料化装置
2 ホッパ
3分級装置
4タンク
5酸性ガス導入装置
6 タンク
7固液分離装置
8排水処理装置
11 主灰の脱塩・セメント原料化装置
12 固液分離装置
13 排水処理装置
C、C1固形分
G 酸性ガス
L、L1ろ液
M1 主灰
M2微粒
Sスラリー
W1 水
W2、W3 洗浄水