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技術 電力変換制御装置、電力変換ユニット及び電力システム

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 富樫仁夫松山哲也吉本淳貴
出願日 2015年1月23日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-011716
公開日 2016年7月28日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-136823
状態 未査定
技術分野 交流電動機の制御一般
主要キーワード 閾値振幅 閾値周波数 正出力端子 負出力端子 絶縁アンプ スイッチング素子電流 電力変換制御装置 判断値
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図面 (20)

課題

電力変換制御装置の性能及び機能を確保しつつ電力変換制御装置の低コスト化を図る。

解決手段

電力変換制御装置3は、直流電源交流負荷1の第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と直流電源を交流負荷1の第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路2sを制御する。電力変換制御装置3は、第1電流センサ5と、第2電流センサ6とを備えている。第1電流センサ5は、第1相のスイッチング部と交流負荷1の第1相とを接続する2次側電流経路において、2次側の電流経路を流れる電流を検出する。第2電流センサ6は、直流電源と第2相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路において、1次側の電流経路を流れる電流を検出する。

概要

背景

直流電源から出力された直流電力を、電力変換装置を用いて、交流負荷印加されるべき交流電力へと変換することが行われている。電力変換装置は、電力変換制御装置によって制御される。一例では、交流負荷は3相モータであり、電力変換装置はインバータであり、この場合は電力変換制御装置をモータ制御装置と称することができる。他の一例では、交流負荷は電力系統であり、電力変換装置は系統連系インバータであり、この場合は電力変換制御装置を系統連系インバータ制御装置と称することができる。

従来、交流負荷の互いに異なる相の電流を検出できるように、少なくとも2つの電流センサを有する電力変換制御装置が用いられていた。このような電力変換制御装置によれば、交流負荷に印加されている電流ベクトル(又は3相電流)を特定することができる。電力変換制御装置は、特定された電流ベクトルを用いて電力変換装置を制御する。

電流センサを有する電力変換制御装置については、種々の検討がなされている(特許文献1〜特許文献3参照)。

概要

電力変換制御装置の性能及び機能を確保しつつ電力変換制御装置の低コスト化をる。電力変換制御装置3は、直流電源を交流負荷1の第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と直流電源を交流負荷1の第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路2sを制御する。電力変換制御装置3は、第1電流センサ5と、第2電流センサ6とを備えている。第1電流センサ5は、第1相のスイッチング部と交流負荷1の第1相とを接続する2次側電流経路において、2次側の電流経路を流れる電流を検出する。第2電流センサ6は、直流電源と第2相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路において、1次側の電流経路を流れる電流を検出する。

目的

すなわち、本開示は、
直流電源から出力された直流電力が互いに異なる第1相及び第2相を有する交流負荷に印加されるべき交流電力へと変換されるように、前記直流電源を前記交流負荷の前記第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と前記直流電源を前記交流負荷の前記第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路を制御する電力変換制御装置であって、
前記第1相のスイッチング部と前記交流負荷の前記第1相とを接続する2次側の電流経路において、2次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第1電流センサと、
前記直流電源と前記第2相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路において、1次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第2電流センサと、
を備える、電力変換制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

直流電源から出力された直流電力が互いに異なる第1相及び第2相を有する交流負荷印加されるべき交流電力へと変換されるように、前記直流電源を前記交流負荷の前記第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と前記直流電源を前記交流負荷の前記第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路を制御する電力変換制御装置であって、前記第1相のスイッチング部と前記交流負荷の前記第1相とを接続する2次側電流経路において、2次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第1電流センサと、前記直流電源と前記第2相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路において、1次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第2電流センサと、を備える、電力変換制御装置。

請求項2

前記スイッチング回路の各スイッチング部よりも前記交流負荷側に存する2次側の電流経路を流れる電流を検出する電流センサとして、前記第1電流センサのみを備える、請求項1に記載の電力変換制御装置。

請求項3

前記第1電流センサはカレントトランスであり、前記第2電流センサはシャント抵抗である、請求項1又は2に記載の電力変換制御装置。

請求項4

前記スイッチング回路を含むインバータの外部に設けられ、前記第2電流センサの検出値を示すアナログ信号を受信することによって過電流が発生したか否かを判定する過電流検出部を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換制御装置。

請求項5

前記過電流検出部は、ハードウエアで構成され、前記第2電流センサの検出値を示す前記アナログ信号が入力され、電流閾値よりも大きい前記第2電流センサの検出値を示す前記アナログ信号が入力された時点から一定期間にわたって過電流が検出されたことを示すアナログ信号を継続して出力する過電流検出回路と、前記過電流検出回路から出力された前記アナログ信号を用いて過電流が発生したか否かを判定する過電流判定部とを有する、請求項4に記載の電力変換制御装置。

請求項6

前記電力変換制御装置は、前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電圧基本波成分振幅閾値振幅以上のときにおいて、前記第2電流センサの検出値を用いず前記第1電流センサの検出値を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第1運転を行い、前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電圧の基本波成分の振幅が前記閾値振幅未満のときにおいて、前記第1センサの検出値及び前記第2センサの検出値の両方を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第2運転を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換制御装置。

請求項7

前記電力変換制御装置は、キャリア信号と前記交流負荷に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号とを比較することによって、PWM方式で前記スイッチング回路を制御し、前記交流負荷の前記第2相について、前記キャリア信号の振幅に対する前記指令信号の振幅の比である変調率閾値変調率以上であるときにおいて、前記第2電流センサの検出値を用いず前記第1電流センサの検出値を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第1運転を行い、前記交流負荷の前記第2相について、前記変調率が前記閾値変調率未満であるときにおいて、前記第1センサの検出値及び前記第2センサの検出値の両方を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第2運転を行い、前記閾値変調率は、0.5〜0.9の範囲にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換制御装置。

請求項8

前記電力変換制御装置は、前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電力の基本波成分の周波数閾値周波数以上のときにおいて、前記第2電流センサの検出値を用いず前記第1電流センサの検出値を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第1運転を行い、前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電力の基本波成分の周波数が前記閾値周波数未満のときにおいて、前記第1センサの検出値及び前記第2センサの検出値の両方を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第2運転を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換制御装置。

請求項9

前記閾値周波数は500〜2500Hzの範囲にある、請求項8に記載の電力変換制御装置。

請求項10

前記電力変換制御装置は、キャリア信号と前記交流負荷に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号とを比較することによって、PWM方式で前記スイッチング回路を制御し、前記キャリア信号の周波数は20〜50kHzである、請求項1〜9に記載の電力変換制御装置。

請求項11

前記第2電流センサと協働せず前記第1電流センサと協働して、又は、前記第1センサ及び前記第2センサと協働して、前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する2相電流推定部と、推定された前記電流ベクトルと前記交流負荷に印加されるべき交流電圧を表す指令電圧ベクトルとを用いて、前記交流負荷に印加されている回転磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力変換制御装置。

請求項12

前記磁束推定部は、推定された前記電流ベクトルのα軸成分と前記指令電圧ベクトルのα軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のα軸成分を推定するα軸誘起電圧推定部と、推定された前記電流ベクトルのβ軸成分と前記指令電圧ベクトルのβ軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分を推定するβ軸誘起電圧推定部と、推定された前記誘起電圧のα軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのα軸成分を仮に推定するα軸磁束推定部と、推定された前記誘起電圧のβ軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を仮に推定するβ軸磁束推定部と、推定された前記誘起電圧のβ軸成分又は仮に推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を用いて仮に推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を補正するα軸成分補正部と、推定された前記誘起電圧のα軸成分又は仮に推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を用いて仮に推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を補正するβ軸成分補正部と、を有する、請求項11に記載の電力変換制御装置。

請求項13

前記磁束推定部は、推定された前記電流ベクトルのα軸成分と前記指令電圧ベクトルのα軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のα軸成分を仮に推定するα軸誘起電圧推定部と、推定された前記電流ベクトルのβ軸成分と前記指令電圧ベクトルのβ軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分を仮に推定するβ軸誘起電圧推定部と、仮に推定された前記誘起電圧のβ軸成分又は推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を用いて仮に推定された前記誘起電圧のα軸成分を補正するα軸成分補正部と、仮に推定された前記誘起電圧のα軸成分又は推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を用いて仮に推定された前記誘起電圧のβ軸成分を補正するβ軸成分補正部と、補正された前記誘起電圧のα軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのα軸成分を推定するα軸磁束推定部と、補正された前記誘起電圧のβ軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を推定するβ軸磁束推定部と、を有する、請求項11に記載の電力変換制御装置。

請求項14

前記電力変換制御装置は、前記交流負荷としての3相モータを制御するモータ制御装置として動作し、前記回転磁束ベクトルは、前記3相モータの鎖交磁束ベクトル又は回転子磁束ベクトルである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の電力変換制御装置。

請求項15

前記回転磁束ベクトルは、前記鎖交磁束ベクトルであり、前記電力変換制御装置は、前記鎖交磁束ベクトルが指令磁束ベクトル追従するように前記3相モータを制御する、請求項14に記載の電力変換制御装置。

請求項16

前記電力変換制御装置は、推定された前記電流ベクトルと推定された前記鎖交磁束ベクトルとを用いて前記3相モータに印加されているモータトルクを推定するトルク推定部を備え、前記モータトルクが指令トルクに追従するように前記指令磁束ベクトルを特定する、請求項15に記載の電力変換制御装置。

請求項17

前記回転磁束ベクトルは、前記回転子磁束ベクトルであり、前記電力変換制御装置は、推定された前記回転子磁束ベクトルの位相を推定する位相推定部を備え、推定された前記位相を用いて指令電流ベクトル及び推定された前記電流ベクトルの座標系統一させ、該統一後における推定された前記電流ベクトル及び前記指令電流ベクトルを用いて、前記電流ベクトルが前記指令電流ベクトルに追従するように前記3相モータを制御する、請求項14に記載の電力変換制御装置。

請求項18

請求項1〜17のいずれか1項に記載の電力変換制御装置及びスイッチング回路を有する、電力変換ユニット

請求項19

前記スイッチング回路には、炭化ケイ素又は窒化ガリウムを含む半導体素子が用いられている、請求項18に記載の電力変換ユニット。

請求項20

請求項18又は19に記載の直流電源、電力変換ユニット及び交流負荷を有する、電力システム

技術分野

0001

本開示は、電力変換制御装置電力変換ユニット及び電力システムに関する。

背景技術

0002

直流電源から出力された直流電力を、電力変換装置を用いて、交流負荷印加されるべき交流電力へと変換することが行われている。電力変換装置は、電力変換制御装置によって制御される。一例では、交流負荷は3相モータであり、電力変換装置はインバータであり、この場合は電力変換制御装置をモータ制御装置と称することができる。他の一例では、交流負荷は電力系統であり、電力変換装置は系統連系インバータであり、この場合は電力変換制御装置を系統連系インバータ制御装置と称することができる。

0003

従来、交流負荷の互いに異なる相の電流を検出できるように、少なくとも2つの電流センサを有する電力変換制御装置が用いられていた。このような電力変換制御装置によれば、交流負荷に印加されている電流ベクトル(又は3相電流)を特定することができる。電力変換制御装置は、特定された電流ベクトルを用いて電力変換装置を制御する。

0004

電流センサを有する電力変換制御装置については、種々の検討がなされている(特許文献1〜特許文献3参照)。

先行技術

0005

特開2004−159391号公報
特開2012−50215号公報
特開2009−33876号公報

発明が解決しようとする課題

0006

従来の技術では、電力変換制御装置の性能及び機能を確保しつつ電力変換制御装置の低コスト化を図ることは困難である。本開示は、この困難性を緩和させうる新規な技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

すなわち、本開示は、
直流電源から出力された直流電力が互いに異なる第1相及び第2相を有する交流負荷に印加されるべき交流電力へと変換されるように、前記直流電源を前記交流負荷の前記第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と前記直流電源を前記交流負荷の前記第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路を制御する電力変換制御装置であって、
前記第1相のスイッチング部と前記交流負荷の前記第1相とを接続する2次側電流経路において、2次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第1電流センサと、
前記直流電源と前記第2相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路において、1次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第2電流センサと、
を備える、電力変換制御装置を提供する。

発明の効果

0008

本開示の第1電流センサ及び第2電流センサの組み合わせは、電力変換制御装置の性能及び機能を確保しつつ電力変換制御装置の低コスト化を図ることに適している。

図面の簡単な説明

0009

3相モータ、インバータ及びモータ制御装置のブロック図
インバータの内部構成及び第1の実施形態における電流センサの配置を説明するための図
dq座標系を説明するための図
αβ座標系を説明するための図
第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図
スイッチング素子電流の抽出に要する時間を確保できない事態を説明するための図
第1運転が行われる場合と第2運転が行われる場合とを説明するための図
第1の実施形態の磁束・トルク推定部の内部構成を説明するためのブロック図
磁束指令演算部の内部構成を説明するためのブロック図
過電流検出部の内部構成を説明するためのブロック図
過電流検出回路から出力されるアナログ信号を説明するための図
第1の実施形態の磁束推定部で得られるゲイン特性と従来の磁束推定部で得られるゲイン特性の相違を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
第1の実施形態の磁束推定部で得られる位相特性と従来の磁束推定部で得られる位相特性の相違を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
従来の磁束推定部による磁束の推定精度を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
第1の実施形態の磁束推定部による磁束の推定精度を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
変形例1−1の磁束・トルク推定部の内部構成を説明するためのブロック図
変形例1−2の磁束・トルク推定部の内部構成を説明するためのブロック図
変形例1−3の磁束・トルク推定部の内部構成を説明するためのブロック図
変形例1−3の磁束推定部で得られるゲイン特性と従来の磁束推定部で得られるゲイン特性の相違を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
変形例1−3の磁束推定部で得られる位相特性と従来の磁束推定部で得られる位相特性の相違を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
好適な補正係数を説明するためのグラフ
変形例1−3の磁束推定部による磁束の推定精度を示すために行ったシミュレーションの結果を示すグラフ
インバータの内部構成及び変形例1−4における電流センサの配置を説明するための図
インバータの内部構成及び変形例1−5における電流センサの配置を説明するための図
第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためのブロック図
第3の実施形態に係る系統連系インバータ制御装置の構成を説明するためのブロック図

実施例

0010

本開示の第1態様は、
直流電源から出力された直流電力が互いに異なる第1相及び第2相を有する交流負荷に印加されるべき交流電力へと変換されるように、前記直流電源を前記交流負荷の前記第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と前記直流電源を前記交流負荷の前記第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路を制御する電力変換制御装置であって、
前記第1相のスイッチング部と前記交流負荷の前記第1相とを接続する2次側の電流経路において、2次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第1電流センサと、
前記直流電源と前記第2相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路において、1次側の前記電流経路を流れる電流を検出する第2電流センサと、
を備える、電力変換制御装置を提供する。

0011

コスト削減の観点から、2次側の電流経路に設ける電流センサの数は最小限に留め、1次側の電流経路の電流センサを併せて活用することにはメリットがある。2次側の電流経路はフローティングしているため、2次側の電流経路に設ける電流センサとして絶縁式の電流センサが用いられる必要性が高く、その絶縁式の電流センサは高価になり易いためである。また、1次側の電流経路に電流センサを設ける場合には、電流センサを設ける電流経路として接地電位に接続された経路を用いることができ、従って安価な非絶縁式の電流センサが用いられうるためである。また、交流負荷の電流ベクトルの推定精度を確保し電力変換制御装置の制御性能を確保する観点から、互いに異なる相の電流が検出されるように2次側の電流経路と1次側の電流経路とにそれぞれ電流センサを設けることにはメリットがある。交流電力の周波数が高い場合は、1次側の電流経路を継続して電流が流れる期間が短くなり易く1次側の電流経路の電流センサによる検出値は制御に利用され難いが、2次側の電流経路の電流センサの検出値のみから電流ベクトルを十分な精度で推定できるためである。また、交流電力の周波数が低い場合は、2次側の電流経路の電流センサの検出値のみから電流ベクトルを精度よく推定することは難しいが、1次側の電流経路の電流センサによる検出値を併せて用いることで推定精度を確保できるためである。以上の説明から理解されるように、第1態様における第1電流センサと第2電流センサとの組み合わせは、電力変換制御装置を低コストで構成しつつ、交流電力の周波数が低くても高くても電力変換制御装置の制御性能を確保することを容易とする。なお、本明細書において、1次側は各スイッチング部よりも直流電源側であり、2次側は各スイッチング部よりも交流負荷側である。

0012

本開示の第2態様は、第1態様に加え、
前記スイッチング回路の各スイッチング部よりも前記交流負荷側に存する2次側の電流経路を流れる電流を検出する電流センサとして、前記第1電流センサのみを備える、電力変換制御装置を提供する。

0013

第2の態様によれば、電力変換制御装置の低コスト化を図り易い。

0014

本開示の第3態様は、第1態様又は第2態様に加え、
前記第1電流センサはカレントトランスであり、
前記第2電流センサはシャント抵抗である、電力変換制御装置を提供する。

0015

シャント抵抗は、1次側の電流経路用の電流センサとして安価に構成されうるため、第2電流センサとして好適である。カレントトランスは、絶縁式のセンサとして信頼性が高いため、第1電流センサとして好適である。

0016

本開示の第4態様は、第1〜第3態様に加え、
前記スイッチング回路を含むインバータの外部に設けられ、前記第2電流センサの検出値を示すアナログ信号を(ハードウエアの部分で)受信することによって過電流が発生したか否かを判定する過電流検出部を備える、電力変換制御装置を提供する。

0017

第4態様の過電流検出部は、交流電力の周波数が高く、1次側の電流経路を継続して電流が流れる期間が短い場合であっても、確実に第2電流センサの検出値を示すアナログ信号を受信することができる。従って、第4態様の構成は、直流電源と第2相のスイッチング部とを接続する電流経路で生じる過電流の検出に適している。

0018

本開示の第5態様は、第4態様に加え、
前記過電流検出部は、
ハードウエアで構成され、前記第2電流センサの検出値を示す前記アナログ信号が入力され、電流閾値よりも大きい前記第2電流センサの検出値を示す前記アナログ信号が入力された時点から一定期間にわたって過電流が検出されたことを示すアナログ信号を継続して出力する過電流検出回路と、
前記過電流検出回路から出力された前記アナログ信号を用いて過電流が発生したか否かを判定する過電流判定部とを有する、電力変換制御装置を提供する。

0019

第5態様の過電流検出回路は、一定期間にわたって過電流が検出されたことを示すアナログ信号を継続して出力する。このようなアナログ信号は瞬間的に出力されるアナログ信号に比べて処理され易いため、過電流判定部は過電流の発生の有無を容易に判定できる。

0020

本開示の第6態様は、第1〜第5態様に加え、
前記電力変換制御装置は、
前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電圧基本波成分振幅閾値振幅以上のときにおいて、前記第2電流センサの検出値を用いず前記第1電流センサの検出値を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第1運転を行い、
前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電圧の基本波成分の振幅が前記閾値振幅未満のときにおいて、前記第1センサの検出値及び前記第2センサの検出値の両方を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第2運転を行う、電力変換制御装置を提供する。

0021

本開示の第7態様は、第1〜第5態様に加え、
前記電力変換制御装置は、
キャリア信号と前記交流負荷に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号とを比較することによって、PWM方式で前記スイッチング回路を制御し、
前記交流負荷の前記第2相について、前記キャリア信号の振幅に対する前記指令信号の振幅の比である変調率閾値変調率以上であるときにおいて、前記第2電流センサの検出値を用いず前記第1電流センサの検出値を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第1運転を行い、
前記交流負荷の前記第2相について、前記変調率が前記閾値変調率未満であるときにおいて、前記第1センサの検出値及び前記第2センサの検出値の両方を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第2運転を行い、
前記閾値変調率は、0.5〜0.9の範囲にある、電力変換制御装置を提供する。

0022

本開示の第8態様は、第1〜第5態様に加え、
前記電力変換制御装置は、
前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電力の基本波成分の周波数が閾値周波数以上のときにおいて、前記第2電流センサの検出値を用いず前記第1電流センサの検出値を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第1運転を行い、
前記交流負荷の前記第2相に印加されるべき交流電力の基本波成分の周波数が前記閾値周波数未満のときにおいて、前記第1センサの検出値及び前記第2センサの検出値の両方を用いて前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する第2運転を行う、電力変換制御装置を提供する。

0023

本開示の第9態様は、第8態様に加え、
前記閾値周波数は500〜2500Hzの範囲にある、電力変換制御装置を提供する。

0024

第6〜第9態様によれば、第1運転と第2運転とを適切に切り替えることができる。

0025

本開示の第10態様は、第1〜第9態様に加え、
前記電力変換制御装置は、キャリア信号と前記交流負荷に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号とを比較することによって、PWM方式で前記スイッチング回路を制御し、
前記キャリア信号の周波数は20〜50kHzである、電力変換制御装置を提供する。

0026

キャリア信号の周波数の下限を上記のように設定すれば、電流リプルの抑制を図ることができる。キャリア信号の周波数の上限を上記のように設定すれば、1次側の電流経路を継続して電流が流れる期間が短すぎて第2電流センサによる検出値を制御に利用できないという事態を回避し易い。

0027

本開示の第11態様は、第1〜第10態様に加え、
前記第2電流センサと協働せず前記第1電流センサと協働して、又は、前記第1センサ及び前記第2センサと協働して、前記交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定する2相電流推定部と、
推定された前記電流ベクトルと前記交流負荷に印加されるべき交流電圧を表す指令電圧ベクトルとを用いて、前記交流負荷に印加されている回転磁束ベクトルを推定する磁束推定部と、を備える、電力変換制御装置を提供する。

0028

第11態様の2相電流推定部及び磁束推定部によれば、交流負荷に印加されている電流ベクトル及び回転磁束ベクトルの推定値を用いたスイッチング回路の制御が可能となる。

0029

本開示の第12態様は、第11態様に加え、
前記磁束推定部は、
推定された前記電流ベクトルのα軸成分と前記指令電圧ベクトルのα軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のα軸成分を推定するα軸誘起電圧推定部と、
推定された前記電流ベクトルのβ軸成分と前記指令電圧ベクトルのβ軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分を推定するβ軸誘起電圧推定部と、
推定された前記誘起電圧のα軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのα軸成分を仮に推定するα軸磁束推定部と、
推定された前記誘起電圧のβ軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を仮に推定するβ軸磁束推定部と、
推定された前記誘起電圧のβ軸成分又は仮に推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を用いて仮に推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を補正するα軸成分補正部と、
推定された前記誘起電圧のα軸成分又は仮に推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を用いて仮に推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を補正するβ軸成分補正部と、を有する、電力変換制御装置を提供する。

0030

本開示の第13態様は、第11態様に加え、
前記磁束推定部は、
推定された前記電流ベクトルのα軸成分と前記指令電圧ベクトルのα軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のα軸成分を仮に推定するα軸誘起電圧推定部と、
推定された前記電流ベクトルのβ軸成分と前記指令電圧ベクトルのβ軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分を仮に推定するβ軸誘起電圧推定部と、
仮に推定された前記誘起電圧のβ軸成分又は推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を用いて仮に推定された前記誘起電圧のα軸成分を補正するα軸成分補正部と、
仮に推定された前記誘起電圧のα軸成分又は推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を用いて仮に推定された前記誘起電圧のβ軸成分を補正するβ軸成分補正部と、
補正された前記誘起電圧のα軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのα軸成分を推定するα軸磁束推定部と、
補正された前記誘起電圧のβ軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を推定するβ軸磁束推定部と、を有する、電力変換制御装置を提供する。

0031

従来の磁束推定部では、磁束の推定値の初期値誤差オフセット誤差等がある場合には磁束の推定精度(典型的には積分精度)を確保することが難しかった。これに対し、第12態様又は第13態様の補正部は、これらの誤差に基づく推定精度の低下を緩和させることができる。従って、第12態様又は第13態様の磁束推定部によれば、高い精度で回転磁束ベクトルを推定することができる。

0032

本開示の第14態様は、第11〜第13態様に加え、
前記電力変換制御装置は、前記交流負荷としての3相モータを制御するモータ制御装置として動作し、
前記回転磁束ベクトルは、前記3相モータの鎖交磁束ベクトル又は回転子磁束ベクトルである、電力変換制御装置を提供する。

0033

本開示の第15態様は、第14態様に加え、
前記回転磁束ベクトルは、前記鎖交磁束ベクトルであり、
前記電力変換制御装置は、前記鎖交磁束ベクトルが指令磁束ベクトル追従するように前記3相モータを制御する、電力変換制御装置を提供する。

0034

本開示の第16態様は、第15態様に加え、
前記電力変換制御装置は、
推定された前記電流ベクトルと推定された前記鎖交磁束ベクトルとを用いて前記3相モータに印加されているモータトルクを推定するトルク推定部を備え、
前記モータトルクが指令トルクに追従するように前記指令磁束ベクトルを特定する、電力変換制御装置を提供する。

0035

本開示の第17態様は、第14態様に加え、
前記回転磁束ベクトルは、前記回転子磁束ベクトルであり、
前記電力変換制御装置は、
推定された前記回転子磁束ベクトルの位相を推定する位相推定部を備え、
推定された前記位相を用いて指令電流ベクトル及び推定された前記電流ベクトルの座標系を統一させ、該統一後における推定された前記電流ベクトル及び前記指令電流ベクトルを用いて、前記電流ベクトルが前記指令電流ベクトルに追従するように前記3相モータを制御する、電力変換制御装置を提供する。

0036

第14〜第17態様の電力変換制御装置は、モータ制御装置として好適に動作する。

0037

本開示の第18態様は、
第1〜第17態様のいずれか1つに記載の電力変換制御装置及びスイッチング回路を有する、電力変換ユニットを提供する。

0038

第18態様によれば、第1態様の効果と同じ効果を得ることができる。

0039

本開示の第19態様は、第18態様に加え、
前記スイッチング回路には、炭化ケイ素又は窒化ガリウムを含む半導体素子が用いられている、電力変換ユニットを提供する。

0040

炭化ケイ素又は窒化ガリウムを含む半導体素子を用いたスイッチング回路は、高速スイッチングに適している。

0041

本開示の第20態様は、
第18又は第19態様に記載の直流電源、電力変換ユニット及び交流負荷を有する、電力システムを提供する。

0042

第20態様によれば、第1態様の効果と同じ効果を得ることができる。

0043

本開示の第21態様は、
直流電源から出力された直流電力が互いに異なる第1相及び第2相を有する交流負荷に印加されるべき交流電力へと変換されるように、前記直流電源を前記交流負荷の前記第1相に電気的に接続する第1相のスイッチング部と前記直流電源を前記交流負荷の前記第2相に電気的に接続する第2相のスイッチング部とを有するスイッチング回路を制御する電力変換制御装置であって、
推定された前記交流負荷に印加されている電流ベクトルと前記交流負荷に印加されるべき交流電圧を表す指令電圧ベクトルとを用いて、前記交流負荷に印加されている回転磁束ベクトルを推定する磁束推定部を備える、電力変換制御装置を提供する。

0044

なお、第21態様では、第11態様の2相電流推定部を用いて交流負荷に印加されている電流ベクトルを特定するものであってもよく、他の方法で電流ベクトルを特定するものであってもよい。第1相のスイッチング部と交流負荷の第1相とを接続する2次側の電流経路と、第2相のスイッチング部と交流負荷の第2相とを接続する2次側の電流経路と、にそれぞれ電流センサを設けて、これらの電流センサの検出値から電流ベクトルを特定する2相電流推定部を用いてもよい。直流電源と各相のスイッチング部とを接続する1次側の電流経路のうち、直流電源からスイッチング回路の第1相のスイッチング部へと枝分かれした後の部分と、直流電源からスイッチング回路の第2相のスイッチング部へと枝分かれした後の部分と、にそれぞれ電流センサを設けて、これらの電流センサの検出値から電流ベクトルを特定する2相電流推定部を用いてもよい。後述の変形例1−5と同様、1シャント電流検出方式シングルシャント電流検出方式)に従い、直流電源からスイッチング回路の各相のスイッチング部へと枝分かれする前の部分を流れる母線電流を検出する位置に電流センサを設け、母線電流と、スイッチング回路の各スイッチング部が生成するスイッチングパターンとに基づいて電流ベクトルを特定する態様も採用されうる。

0045

本開示の第22態様は、第21態様に加え、
前記磁束推定部は、
推定された前記電流ベクトルのα軸成分と前記指令電圧ベクトルのα軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のα軸成分を推定するα軸誘起電圧推定部と、
推定された前記電流ベクトルのβ軸成分と前記指令電圧ベクトルのβ軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分を推定するβ軸誘起電圧推定部と、
推定された前記誘起電圧のα軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのα軸成分を仮に推定するα軸磁束推定部と、
推定された前記誘起電圧のβ軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を仮に推定するβ軸磁束推定部と、
推定された前記誘起電圧のβ軸成分又は仮に推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を用いて仮に推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を補正するα軸成分補正部と、
推定された前記誘起電圧のα軸成分又は仮に推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を用いて仮に推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を補正するβ軸成分補正部と、を有する、電力変換制御装置を提供する。

0046

本開示の第23態様は、第21態様に加え、
前記磁束推定部は、
推定された前記電流ベクトルのα軸成分と前記指令電圧ベクトルのα軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のα軸成分を仮に推定するα軸誘起電圧推定部と、
推定された前記電流ベクトルのβ軸成分と前記指令電圧ベクトルのβ軸成分とを用いて前記交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分を仮に推定するβ軸誘起電圧推定部と、
仮に推定された前記誘起電圧のβ軸成分又は推定された前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を用いて仮に推定された前記誘起電圧のα軸成分を補正するα軸成分補正部と、
仮に推定された前記誘起電圧のα軸成分又は推定された前記回転磁束ベクトルのα軸成分を用いて仮に推定された前記誘起電圧のβ軸成分を補正するβ軸成分補正部と、
補正された前記誘起電圧のα軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのα軸成分を推定するα軸磁束推定部と、
補正された前記誘起電圧のβ軸成分を用いて前記回転磁束ベクトルのβ軸成分を推定するβ軸磁束推定部と、
を有する、電力変換制御装置を提供する。

0047

本開示の第24態様は、第21〜第23態様に加え、
前記電力変換制御装置は、前記交流負荷としての3相モータを制御するモータ制御装置として動作し、
前記回転磁束ベクトルは、前記3相モータの鎖交磁束ベクトル又は回転子磁束ベクトルである、電力変換制御装置を提供する。

0048

本開示の第25態様は、第24態様に加え、
前記回転磁束ベクトルは、前記鎖交磁束ベクトルであり、
前記電力変換制御装置は、前記鎖交磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように前記3相モータを制御する、電力変換制御装置を提供する。

0049

本開示の第26態様は、第25態様に加え、
前記電力変換制御装置は、
推定された電流ベクトルと推定された前記鎖交磁束ベクトルとを用いて前記3相モータに印加されているモータトルクを推定するトルク推定部を備え、
前記モータトルクが指令トルクに追従するように前記指令磁束ベクトルを特定する、電力変換制御装置を提供する。

0050

本開示の第27態様は、第24態様に加え、
前記回転磁束ベクトルは、前記回転子磁束ベクトルであり、
前記電力変換制御装置は、
推定された前記回転子磁束ベクトルの位相を推定する位相推定部を備え、
推定された前記位相を用いて指令電流ベクトル及び推定された前記電流ベクトルの座標系を統一させ、該統一後における推定された前記電流ベクトル及び前記指令電流ベクトルを用いて、前記電流ベクトルが前記指令電流ベクトルに追従するように前記3相モータを制御する、電力変換制御装置を提供する。

0051

本開示の第28態様は、
第21〜第27態様のいずれか1つに記載の電力変換制御装置及びスイッチング回路を有する、電力変換ユニットを提供する。

0052

本開示の第29態様は、第28態様に加え、
前記スイッチング回路には、炭化ケイ素又は窒化ガリウムを含む半導体素子が用いられている、電力変換ユニットを提供する。

0053

本開示の第30態様は、
第28又は第29態様に記載の直流電源、電力変換ユニット及び交流負荷を有する、電力システムを提供する。

0054

なお、本開示に係る電力変換制御装置は、発電機制御装置としても用いられうる。また、本開示内容を、1又は複数のステップからなる制御方法として捉えることもできる。

0055

以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。

0056

(第1の実施形態)
第1の実施形態では、電力変換制御装置はモータ制御装置であり、電力変換装置はインバータであり、交流負荷は3相モータである。モータ制御装置及びインバータは電力変換ユニットを構成する。直流電源、電力変換ユニット及び交流負荷は電力システムを構成する。図1に示すように、モータ制御装置3は、インバータ2及び交流負荷1に接続されうる。

0057

(3相モータ1)
3相モータ1は、回転子と、固定子とを有している。回転子は、永久磁石1m(図3A参照)を備えている。固定子は、3相分の電機子巻線を有している。3相モータ1のU相に対応する電機子巻線をU相巻線と称することがある。3相モータ1のV相に対応する電機子巻線をV相巻線と称することがある。3相モータ1のW相に対応する電機子巻線をW相巻線と称することがある。3相モータ1は、磁気的突極性を有するモータであってもよく、磁気的突極性を有さないモータであってもよい。具体的に、3相モータ1は、永久磁石同期モータ、埋込磁石同期モータ等である。

0058

(インバータ2)
インバータ2は、具体的にはPWM(Pulse Width Modulation)インバータである。インバータ2は、スイッチング回路2sを用いたPWM制御によって、直流電圧電圧ベクトル(3相交流電圧)に変換する。インバータ2は、電圧ベクトルを3相モータ1に印加する。本実施形態では、インバータ2は、パワーモジュールによって実現されている。パワーモジュールとしては、IPM(Intelligent Power Module)が例示される。直流電圧は、図示しない直流電源から供給される。

0059

本実施形態のインバータ2の内部構成を、図2を参照しながら説明する。インバータ2は、スイッチング回路2sを備えている。スイッチング回路2sは、U相用ハーフブリッジ回路、V相用のハーフブリッジ回路及びW相用のハーフブリッジ回路を有している。各ハーフブリッジ回路は、一対のスイッチング素子を有する。各ハーフブリッジ回路及び平滑化コンデンサ4は、直流電源(図示は省略)の正出力端子及び負出力端子に接続される。具体的に、各ハーフブリッジ回路において、一対のスイッチング素子は、直流電源の正出力端子と負出力端子との間に直列接続される。各ハーフブリッジ回路に直流電源からの直流電圧が印加される。U相用のハーフブリッジ回路は高電圧側のスイッチング素子8u及び低電圧側のスイッチング素子9uを含み、V相用のハーフブリッジ回路は高電圧側のスイッチング素子8v及び低電圧側のスイッチング素子9vを含み、W相用のハーフブリッジ回路は高電圧側のスイッチング素子8w及び低電圧側のスイッチング素子9wを含む。高電圧側のスイッチング素子8u,8v,8wは、上アーム8u,8v,8wとも呼ばれる。低電圧側のスイッチング素子9u,9v,9wは、下アーム9u,9v,9wとも呼ばれる。スイッチング素子8uにはダイオード10uが並列接続され、スイッチング素子8uにはダイオード10uが並列接続され、スイッチング素子8vにはダイオード10vが並列接続され、スイッチング素子8wにはダイオード10wが並列接続され、スイッチング素子9uにはダイオード11uが並列接続され、スイッチング素子9vにはダイオード11vが並列接続され、スイッチング素子9wにはダイオード11wが並列接続されている。ダイオード10u、10v、10w、11u、11v及び11wの順方向は、直流電源の低電圧側から高電圧側に向かう方向である。ダイオード10u、10v、10w、11u、11v及び11wは、それぞれフリーホイールダイオードとして機能する。

0060

U相用のハーフブリッジ回路(第1相のスイッチング部)は、直流電源を3相モータ1(交流負荷)のU相(第1相)に電気的に接続する。V相用のハーフブリッジ回路(第2相のスイッチング部)は、直流電源を3相モータ1のV相(第2相)に電気的に接続する。W相用のハーフブリッジ回路(第3相のスイッチング部)は、直流電源を3相モータ1のW相(第3相)に電気的に接続する。スイッチング回路2sは、直流電源から出力された直流電力が3相モータ1に印加されるべき3相の交流電力へと変換されるように、モータ制御装置3(電力変換制御装置)によって制御される。

0061

以下では、dq座標系に基づいてモータ制御装置を説明することがある。また、αβ座標系に基づいてモータ制御装置を説明することもある。dq座標系及びαβ座標系は、二次元直交座標系である。dq座標系及びαβ座標系について、図3A及び3Bを用いて説明する。

0062

図3Aに示すdq座標系は、回転座標系である。d軸及びq軸は、永久磁石1mが作る磁束の回転速度(回転数)と同じ速度で回転する。反時計回り方向が、位相の進み方向である。永久磁石1mは、3相モータ1の回転子に設けられた永久磁石を表す。d軸は、永久磁石1mが作る磁束の方向に延びる軸として設定されている。q軸は、d軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。U軸はU相巻線に対応し、V軸はV相巻線に対応し、W軸はW相巻線に対応する。U軸、V軸及びW軸は、回転子が回転しても、回転しない。つまり、U軸、V軸及びW軸は、固定軸である。角度(位相)θは、U軸からみたd軸の進み角である。角度θは、回転子位置又は磁極位置とも称される。回転数ωは、回転子の回転数を表す。本明細書では、特に断りが無い限り、角度は電気角を意味する。d軸とq軸との間の角度、角度θ及び回転数ωは、電気角に基づいた値である。

0063

図3Bに示すαβ座標系は、固定座標系である。α軸及びβ軸は、固定軸である。反時計回り方向が、位相の進み方向である。α軸は、U軸と同一方向に延びる軸として設定されている。β軸は、α軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。

0064

以下、情報として伝達される電流値(実際に流れる電流ではない)を、電流iu、電流iv及び電流iwのように、符号を付して表記する。図1に示すように、モータ制御装置3は、3相モータ1の1相(U相)に流出入する電流を検出し、その検出値(電流iu)を示すアナログ信号を生成する。また、モータ制御装置3は、インバータ2における上記電流が流れる相とは異なる相(V相)に流出入する電流を検出し、その検出値(電流iv)を示すアナログ信号を生成する。モータ制御装置3は、電流iuと電流ivと指令トルクT*とを用いて、インバータ2及び3相モータ1を制御する。具体的に、モータ制御装置3によれば、3相モータ1に印加される交流電流及び交流電力が制御されうる。なお、指令トルクT*は、図示しない上位制御装置で生成される。

0065

図2及び図4に示すように、モータ制御装置3は、電流センサ5、電流センサ6、2相電流推定部22、磁束・トルク推定部23、減算部24、指令振幅演算部25、指令磁束演算部26、指令電圧演算部29、2相3相変換部(2相3相座標変換部)30及び過電流検出部31を備えている。

0066

本実施形態では、2相電流推定部22、磁束・トルク推定部23、減算部24、指令振幅演算部25、指令磁束演算部26、指令電圧演算部29及び2相3相変換部30は、DSP(Digital Signal Processor)又はマイクロコンピュータにおいて実行される制御アプリケーションによって提供されている。ただし、これらの要素は、論理回路によって構成されるものを含んでいてもよい。DSP又はマイクロコンピュータは、コアメモリ、A/D変換回路及び通信ポート等の周辺装置を含んでいてもよい。本実施形態では、電流センサ5、電流センサ6及び過電流検出部31は、ハードウエアを含んでいる。

0067

(モータ制御装置3による制御)
モータ制御装置3の動作を簡単に説明する。電流センサ5によって、3相モータ1のU相に流出入する電流が検出される(電流iuを示すアナログ信号が生成される)。電流センサ6によって、インバータ2のV相に流出入する電流が検出される(電流ivを示すアナログ信号が生成される)。第1運転においては、2相電流推定部22によって、電流iuから、2相電流iαβが生成される。第2運転においては、2相電流推定部22によって、電流iu及び電流ivから、2相電流iαβが生成される。磁束・トルク推定部23によって、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ*とから、推定磁束ψαβと、推定磁束ψαβの位相θsと、推定トルクTとが求められる。つまり、磁束・トルク推定部23によって、モータトルク及び電機子鎖交磁束が推定される。減算部24によって、推定トルクTと指令トルクT*との差(トルク誤差ΔT=T*−T)が求められる。指令振幅演算部25によって、指令トルクT*から、指令磁束|ψS*|が特定される。指令磁束演算部26によって、指令磁束|ψS*|と、トルク誤差ΔTと、位相θsとから、指令磁束ベクトルψαβ*が特定される。指令電圧演算部29によって、指令磁束ベクトルψαβ*と、推定磁束ψαβと、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ*が特定される。2相3相変換部30によって、指令2相電圧vαβ*が、指令3相電圧vuvw*に変換される。指令3相電圧vuvw*に基づいてインバータ2が動作する。このような制御によって、3相モータ1は、電機子鎖交磁束の振幅及びモータトルクがそれぞれ指令磁束|ψS*|及び指令トルクT*に追従するように制御される。

0068

また、モータ制御装置3には、過電流検出部31が設けられている。過電流検出部31は、V相で過電流が発生しているか否かを判断するのに適した構成を有している。

0069

本明細書では、電流iu、電流iv及び電流iwと同様、2相電流iαβは、実際に3相モータ1を流れる電流ではなく、情報として伝達される電流値を意味する。同様に、指令2相電圧vαβ*、推定磁束ψαβ、位相θs、推定トルクT、指令トルクT*、指令磁束|ψS*|、指令磁束ベクトルψαβ*及び指令3相電圧vuvw*等も、情報として伝達される値を意味する。

0070

次に、モータ制御装置3の構成要素を説明する。

0071

(電流センサ5)
電流センサ5(第1電流センサ)は、U相用のハーフブリッジ回路(第1相のスイッチング部)と3相モータ1(交流負荷)のU相(第1相)とを接続する2次側の配線(電流経路)において、該配線を流れる電流を検出する。本実施形態では、モータ制御装置(電力変換制御装置)3は、スイッチング回路2sのU相、V相及びW相の各ハーフブリッジ回路(各スイッチング部)よりも3相モータ1側(交流負荷側)に存する電流経路を流れる電流を検出する電流センサとして、電流センサ5のみを有している。電流センサ5は、3相モータ1のU相に流出入する電流を検出し、その検出値(U相電流iu)を示すアナログ信号を生成し、出力する。本実施形態では、電流センサ5は、絶縁式の電流センサである。具体的に、電流センサ5は、カレントトランスである。電流センサ5として、シャント抵抗を用いることもできる。ただし、シャント抵抗を用いる場合には、絶縁アンプを含む回路を併せて用いることによって、絶縁を確保しつつ電圧を増幅する必要がある。

0072

(電流センサ6)
電流センサ6(第2電流センサ)は、直流電源とV相用のハーフブリッジ回路(第2相のスイッチング部)とを接続する1次側の配線(電流経路)において、該配線を流れる電流を検出する。図2に示すように、本実施形態では、電流センサ6は、インバータ2の内部において、母線(具体的には負極母線)12とV相用のハーフブリッジ回路との間に介在し、V相用のハーフブリッジ回路に流出入する電流を測定する。具体的には、電流センサ6は、母線12とスイッチング素子9vとの間に直列に介在している。電流センサ6で検出する電流の相は、電流センサ5で検出する電流の相とは異なる。本実施形態では、電流センサ6は、非絶縁式の電流センサである。具体的に、本実施形態では、低コストでモータ制御装置3を構成する目的で、電流センサ6としてシャント抵抗が用いられている。図2に示す例では、V相のみならず、U相及びW相にもシャント抵抗を設けている。この構成によれば、3相間で抵抗値アンバランスになることが防止され、3相平衡が確保され易い。なお、本実施形態では、U相及びW相のシャント抵抗を用いた電流検出は行われない。また、U相及びW相にシャント抵抗を設けることは、必須ではない。

0073

以下では、母線12と各ハーフブリッジ回路との間を流れる電流をスイッチング素子電流と呼ぶことがある。また、U相、V相及びW相のスイッチング素子電流の検出値を、U相スイッチング素子電流iu、V相スイッチング素子電流iv及びw相スイッチング素子電流iwと表記することがある。この表記に従えば、本実施形態の電流センサ6は、V相のスイッチング素子電流を検出し、その検出値(V相スイッチング素子電流iv)を表すアナログ信号を生成する。

0074

(2相電流推定部22)
本実施形態の2相電流推定部22は、2相電流iαβ(α軸電流iα及びβ軸電流iβ)を推定する。推定された2相電流iαβは、磁束・トルク推定部23及び指令電圧演算部29に与えられる。2相電流推定部22は、モータ制御装置3が第1運転を行っているときと第2運転を行っているときとで異なる動作を行う。

0075

第1運転では、2相電流推定部22は、第2電流センサ6と協働せず第1電流センサ5と協働して3相モータ1(交流負荷)に印加されている電流ベクトルを特定する。つまり、2相電流推定部22は、第2電流センサ6の検出値を用いず第1電流センサ5の検出値を用いて、2相電流iαβを特定する。具体的に、第1運転では、2相電流推定部22は、3相モータ1からフィードバックされる検出値として第1電流センサ5の検出値のみを用いて、2相電流iαβを特定する。より具体的には、第1運転では、2相電流推定部22は、式(1)に従って、U相電流iuから2相電流iαβを演算する。式(1)において、sはラプラス演算子、ωnは交流電力の基本波周波数である。U相電流iuのみから2相電流iαβを推定する技術の詳細については、特許文献2を参照されたい。

0076

0077

第2運転では、2相電流推定部22は、第1センサ5及び第2センサ6と協働して3相モータ1(交流負荷)に印加されている電流ベクトルを特定する。つまり、2相電流推定部22は、第1電流センサ5の検出値及び第2電流センサ6の検出値の両方を用いて、2相電流iαβを特定する。具体的に、第2運転では、2相電流推定部22は、3相モータ1からフィードバックされる検出値として第1電流センサ5の検出値及び第2電流センサ6の検出値の2つのみを用いて、2相電流iαβを特定する。より具体的には、第2運転では、2相電流推定部22は、式(2)に従って、U相電流iu及びV相スイッチング素子電流ivから2相電流iαβを演算する。

0078

0079

第1運転及び第2運転の2つの運転が存在する理由について説明する。モータ制御装置3では、電流センサ6によって電流が検出され、その検出値を示すアナログ信号がサンプリング周期ts毎にサンプリングされる。サンプリングのタイミングにおいて電流センサ6によって電流が検出されていさえすればその検出値を用いた制御をすることができるようにも思われるが、そうではない。サンプリングは量子化等の他の工程を伴い、サンプリングを含む一連の工程(アナログ信号を抽出する工程)は一瞬でなされるわけではなく、一定時間tex(A/D変換等にかかる時間)をかけてなされるためである。すなわち、スイッチング素子9vのオン期間(スイッチング素子8vのオフ期間)には電流センサ6をV相電流が流れ電流センサ6はV相スイッチング素子電流ivを生成するものの、この期間が短い場合にはV相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号を抽出するための一連の工程は完了しないためV相スイッチング素子電流ivをインバータ2及び3相モータ1の制御に用いることができない。具体的には、2相電流推定部22は、2相電流iαβを推定するに当たり、V相スイッチング素子電流ivを用いることができない。本明細書では、このような事態を「抽出に要する時間を確保できない事態」と称することがある。

0080

インバータ2としてPWMインバータを用いた場合の「抽出に要する時間を確保できない事態」について、図5A及び図5Bを用いて説明する。図5Aは、キャリア信号13と3相モータ1のV相に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号(電圧レベル)Vとの関係を示す。図5Aに示す例では、キャリア信号13は、周期的な三角波信号である。キャリア信号13の周期をキャリア周期と称する。キャリア信号13は、モータ制御装置3が有する図示しないデューティ生成部で生成される。電圧レベルVは、デューティ生成部において、指令3相電圧vuvw*のV相成分を用いて生成される。デューティ生成部において、電圧レベルVとキャリア信号13とが比較される。キャリア信号13のレベル上昇過程において、電圧レベルVがキャリア信号13と交差するタイミングに至ると、デューティ生成部は、V相の上アームがオフとなり下アームがオンとなるようなデューティ信号をスイッチング回路2sに供給する。これにより、V相の電流がスイッチング素子9v及び電流センサ6(シャント抵抗)を流れる。キャリア信号13が最大レベルに達した後、キャリア信号13のレベルは下降していく。キャリア信号13のレベルの下降過程において、電圧レベルVがキャリア信号13と交差するタイミングに至ると、デューティ生成部は、V相の下アームがオフとなり上アームがオンとなるようなデューティ信号をスイッチング回路2sに供給する。これにより、V相の電流はスイッチング素子9v及び電流センサ6(シャント抵抗)には流れなくなる。すなわち、キャリア信号13が電圧レベルVを上回っている期間において、電流センサ6は、V相の電流を検出し、V相スイッチング素子電流ivを表すアナログ信号を生成する。

0081

キャリア信号13が電圧レベルVを上回っている期間が過度に短い場合は、V相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号を抽出することができない。この場合は、スイッチング素子9vのオン期間が短くスイッチング素子9vと母線12との間の配線を電流が継続して流れる期間が十分には確保されないためである。このような事態は、電圧レベルVの振幅の最大値図5Aの「抽出不可」の範囲にあるときに生じる。このような事態は、電圧レベルVの振幅が大きいとき、キャリア信号13の振幅に対する電圧レベルVの振幅(変調率)が大きいとき等に生じうる。3相モータ1のV相に印加されるべき交流電圧が大きいときは3相モータ1を高い周波数で動作させるべきときであるため、上記の事態は電圧レベルVの周波数が高いときに生じうるともいえる。キャリア周波数が高い(キャリア周期が短い)場合もこのような事態を招きやすく、この場合にV相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号を抽出するには電圧レベルVの最大値を低く設定しなければならない(3相モータ1への印加電圧を制限しなければならない)という制約が課される。

0082

以上の説明から明らかであるように、「抽出に要する時間を確保できない事態」が生じる(又は生じ易い)場合には第1運転が行われ、そうでない場合には第2運転が行われるべきである。このような基準で運転を切り替えるには、図5Bに示すように、電圧レベル16(大きい最大値を有する電圧レベルV)がデューティ生成部で生成される場合には、第1運転を行い、電圧レベル15(小さい最大値を有する電圧レベルV)がデューティ生成部で生成される場合には第2運転を行えばよい。

0083

具体的に、本実施形態では、3相モータ1のV相(第2相)に印加されるべき交流電圧の基本波成分の振幅が閾値振幅Vth以上のときにおいて、第1運転が行われる。3相モータ1のV相に印加されるべき交流電圧の基本波成分の振幅が閾値振幅Vth未満のときにおいて、第2運転が行われる。インバータ2から出力される交流電圧の基本波成分の振幅を最大で振幅Vfmaxまで高めることができるようにモータ制御装置3(又は電力変換ユニット、又は電力システム)が構成されている場合、閾値振幅Vthを例えば振幅Vfmaxの50〜90%の振幅とすることができる。振幅Vfmaxは、一例では、変調率が1.0となるときにインバータ2から出力される交流電圧の基本波成分の振幅である。

0084

3相モータ1のV相(第2相)について、変調率が0.5以上であるときにおいて第1運転が行われ、変調率が0.5未満であるときにおいて第2運転が行われるようにしてもよい(図5B参照)。なお、第1運転と第2運転とを切り替えるための閾値変調率は、0.5に限らず、0.5〜0.9の範囲から選択可能である。

0085

3相モータ1のV相(第2相)に印加されるべき交流電力の基本波成分の周波数が閾値周波数ωth以上のときにおいて第1運転が行われ、同周波数が閾値周波数ωth未満のときにおいて第2運転が行われてもよい。閾値周波数ωthは、例えば500〜2500Hzの範囲にある。

0086

第1運転及び第2運転の切り替えに関する数値例を以下に示す。電流リプルを小さくする観点からは、交流電力の基本波1周期に対応するキャリア信号の周期数は多い方がよい。例えば、交流電力の基本波の周波数が500Hz(3相モータ1の極対数が1の場合、回転数は30000rpm)であり、スイッチング周波数(キャリア周波数)が10kHzである場合、基本波の1周期はキャリア信号の20周期に相当する。20周期あれば、電流リプルはある程度抑制される。電流リプル抑制の観点から、好ましくは、交流電力の基本波の周波数が500Hz以上の場合には、キャリア周波数は20kHz以上である。20kHzを超える高速スイッチングには、SiC(炭化ケイ素)又はGaN(窒化ガリウム)を含む半導体のスイッチング素子を用いることが好ましい。なお、上述のように、電流センサ6(シャント抵抗)を用いた電流検出には、高いキャリア周波数を採用することは好ましくないため、従来技術では、キャリア周波数は十数kHz以下にすべきと考えられていた。しかし、本発明者らの検討によれば、キャリア周波数が50kHz(キャリア周期は20μs)の場合でも、キャリア周期に対して50%のオフ期間を確保すれば、抽出に要する時間が数μs(10μs以下)のマイクロコンピュータを用いて電流測定値を示す信号を抽出することができる。従って、キャリア周波数を50kHz以下に設定することは、「抽出に要する時間を確保できない事態」を回避する観点から妥当である。

0087

(磁束・トルク推定部23)
磁束・トルク推定部23は、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ*とから、電機子鎖交磁束及びトルクを推定する(推定磁束ψαβ及び推定トルクTを特定する)。図6に示すように、本実施形態では、磁束・トルク推定部23は、磁束推定部23aと、トルク推定部23bとを有している。

0088

(磁束推定部23a)
磁束推定部23aは、2相電流iαβ(α軸電流iα及びβ軸電流iβ)と、指令2相電圧vαβ*(指令α軸電圧vα*及び指令β軸電圧vβ*)とから、第2推定磁束ψ2αβ(第2推定磁束ψ2α,ψ2β)及び第2推定磁束ψ2αβの位相θsを特定する。具体的に、磁束推定部23aでは、式(3)に従い、α軸電流iαと指令α軸電圧vα*とから、第1推定磁束ψ1αが演算される。式(4)に従い、β軸電流iβと指令β軸電圧vβ*とから、第1推定磁束ψ1βが演算される。式(5)に従い、第1推定磁束ψ1αと第1推定磁束ψ1βとから、第2推定磁束ψ2αが演算される。式(6)に従い、第1推定磁束ψ1βと第1推定磁束ψ1αとから、第2推定磁束ψ2βが演算される。式(7)に従い、第2推定磁束ψ2αと第2推定磁束ψ2βとから、第2推定磁束ψ2αβの位相θsが演算される。式(3)及び(4)におけるRaは、3相モータ1の1相当たりの巻線抵抗である。sはラプラス演算子である。ωcは、不完全積分(1次遅れ系)のカットオフ周波数である。eα及びeβは、3相モータ1の誘起電圧eαβのα成分とβ成分である。式(5)及び(6)におけるω*は、3相モータ1の指令速度(指令電気角速度)である。指令速度ω*は、上位制御装置から与えられる。式(5)及び(6)に基づいて得られる効果については、図9Aから図10Bを用いた後述の説明を参照されたい。

0089

0090

磁束推定部23aの具体的な内部構成を説明する。図6に示すように、磁束推定部23aは、α軸誘起電圧推定部46と、β軸誘起電圧推定部47と、α軸磁束推定部(第1積分器)40と、β軸磁束推定部(第2積分器)41と、ブロック42と、ブロック43と、加算部(加算器)44と、減算部(減算器)45とを有している。α軸誘起電圧推定部46は、α軸電流iαと指令α軸電圧vα*とから、α軸誘起電圧eαを演算し、出力する。β軸誘起電圧推定部47は、β軸電流iβと指令β軸電圧vβ*とから、β軸誘起電圧eβを演算し、出力する。α軸誘起電圧eαとβ軸誘起電圧eβは、互いに位相の異なる交流電圧(信号)である。α軸磁束推定部40は、α軸誘起電圧eαを積分して第1推定磁束ψ1αを得て、出力する。β軸磁束推定部41は、β軸誘起電圧eβを積分して第1推定磁束ψ1βを得て、出力する。ブロック42は、第1推定磁束ψ1αに、ωc/ω*を乗じ、乗算結果ψ1αωc/ω*を出力する。ブロック43は、第1推定磁束ψ1βに、ωc/ω*を乗じ、乗算結果ψ1βωc/ω*を出力する。加算部44は、第1推定磁束ψ1αに乗算結果ψ1βωc/ω*を足し合わせることによって第2推定磁束ψ2αを得て、出力する。減算部45は、第1推定磁束ψ1βから乗算結果ψ1αωc/ω*を減じることによって第2推定磁束ψ2βを得て、出力する。α軸誘起電圧推定部46及びα軸磁束推定部40によって、式(3)の演算が実現される。β軸誘起電圧推定部47及びβ軸磁束推定部41によって、式(4)の演算が実現される。ブロック43及び加算部44によって、式(5)の演算が実現される。ブロック42及び減算部45によって、式(6)の演算が実現される。なお、図6では省略しているが、磁束推定部23aは、第2推定磁束ψ2αと第2推定磁束ψ2βとから、第2推定磁束ψ2αβの位相θsを演算して出力する位相推定部を有している。

0091

要するに、磁束推定部23aは、推定された電流ベクトル(2相電流iαβ)と交流負荷(3相モータ1)に印加されるべき交流電圧を表す指令電圧ベクトル(指令2相電圧vαβ*)とを用いて、交流負荷に印加されている回転磁束ベクトル(第2推定磁束ψ2αβ)を推定する。具体的には、磁束推定部23aは、推定された電流ベクトルのα軸成分(α軸電流iα)と指令電圧ベクトルのα軸成分(指令α軸電圧vα*)とを用いて交流負荷(3相モータ1)で発生している誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を推定するα軸誘起電圧推定部46と、推定された電流ベクトルのβ軸成分(β軸電流iβ)と指令電圧ベクトルのβ軸成分(指令β軸電圧vβ*)とを用いて交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を推定するβ軸誘起電圧推定部47と、推定された誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を用いて回転磁束ベクトルのα軸成分(第1推定磁束ψ1α)を仮に推定するα軸磁束推定部40と、推定された誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を用いて回転磁束ベクトルのβ軸成分(第1推定磁束ψ1β)を仮に推定するβ軸磁束推定部41と、仮に推定された回転磁束ベクトルのβ軸成分(第1推定磁束ψ1β)を用いて仮に推定された回転磁束ベクトルのα軸成分(第1推定磁束ψ1α)を補正するα軸成分補正部(ブロック43及び加算部44)と、仮に推定された回転磁束ベクトルのα軸成分(第1推定磁束ψ1β)を用いて仮に推定された回転磁束ベクトルのβ軸成分(第1推定磁束ψ1β)を補正するβ軸成分補正部(ブロック42及び減算部45)と、を有している。

0092

上述の説明に関し、本実施形態では、電力変換制御装置は、交流負荷としての3相モータ1を制御するモータ制御装置3として動作するものであり、回転磁束ベクトルは、3相モータ1の鎖交磁束ベクトルである。しかし、回転磁束ベクトルとして回転子磁束ベクトル(磁石磁束)を用いるモータ制御装置を構成することもできる(詳細は、第2の実施形態参照)。

0093

磁束推定部23aは、第2推定磁束ψ2αβ(推定磁束ψ2α,ψ2β)を電機子鎖交磁束の推定磁束ψαβとして採用し、出力する。ただし、第1推定磁束ψ1αβ(推定磁束ψ1α,ψ1β)を電機子鎖交磁束の推定磁束ψαβとして採用し、出力してもよい。式(7)の右辺の推定磁束ψ2α及び推定磁束ψ2βを推定磁束ψ1α及び推定磁束ψ1βに変更して位相θsを特定することもできる。また、磁束推定部23aは、指令2相電圧vαβ*に代えて、3相モータ1に印加されている電圧の検出値を3相2相変換させて得た2相電圧を用いて、推定磁束ψαβを求めるものであってもよい。

0094

(トルク推定部23b)
トルク推定部23bは、2相電流iαβ(α軸電流iα及びβ軸電流iβ)と、推定磁束ψαβ(推定磁束ψα,ψβ)とから、モータトルクを推定する。本実施形態では、トルク推定部23bは、式(8)を用いて、推定トルクTを求める。式(8)におけるPnは、3相モータ1の極対数である。

0095

0096

磁束・トルク推定部23で得られた推定磁束ψαβは、指令電圧演算部29に与えられる。位相θsは、指令磁束演算部26に与えられる。推定トルクTは、減算部24に与えられる。なお、本実施形態では磁束推定部23aとトルク推定部23bとが一体となって磁束・トルク推定部23を構成しているが、磁束推定部23aとトルク推定部23bとを互いに独立した推定部とすることもできる。

0097

(減算部24)
減算部24は、推定トルクTと指令トルクT*との差(トルク誤差ΔT:T*−T)を求める。減算部24としては、公知の演算子を用いればよい。

0098

(指令振幅演算部25)
指令振幅演算部25は、指令トルクT*から指令磁束|ψS*|を特定する。指令磁束|ψS*|はスカラーである。本実施形態の指令磁束|ψS*|は、モータ電流を最小とするためのものである。モータトルクを目標値としつつ、モータ電流の値に対するモータトルクの値の比率が最大となるように、3相モータを制御する制御は、最大トルク/電流(MTPA:Maximum Torque Per Ampere)制御として知られてる。本実施形態では、指令振幅演算部25は、テーブルを用いて指令トルクT*から指令磁束|ψS*|を特定するように構成されている。指令振幅演算部25は、演算によって指令磁束|ψS*|を特定するように構成されていてもよい。

0099

最大トルク/電流制御を実行する場合の指令磁束|ψS*|の特定方法は、以下の説明によって当業者に理解される。3相モータ1として磁気的突極性を有さないモータを用いる場合、電機子鎖交磁束の振幅|ψS|及びモータトルクTは、式(9)及び(10)で概算される。|ψa0|は、3相モータ1における永久磁石1mが作る磁石磁束の振幅として与えられた定数である。以下の説明では、|ψa0|を磁束パラメータと称することがある。Lは、3相モータ1の電機子巻線の一相当たりのインダクタンスである。iqはq軸電流である。Pnは、モータの極対数である。式(9)及び(10)から、式(11)が導かれる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を指令磁束|ψS*|にそれぞれ置き換えることで、指令トルクT*と指令磁束|ψS*|との関係式が導かれる。この関係式を用いれば、指令トルクT*から指令磁束|ψS*|を求めることができる。当然ながら、変換テーブルを作成することもできる。

0100

0101

3相モータ1として磁気的突極性を有するモータを用いる場合、電機子鎖交磁束の振幅|ψS|及びモータトルクTは、式(12)及び(13)で概算される。Ldは、d軸インダクタンスである。Lqは、q軸インダクタンスである。idはd軸電流である。d軸電流id及びq軸電流iqは、式(14)の関係を概ね満たす。式(12)、(13)及び(14)によって、変数id,iqを用いることなくモータトルクTから電機子鎖交磁束の振幅|ψS|を特定可能な変換テーブルが得られる。Tを指令トルクT*に、|ψS|を指令磁束|ψS*|にそれぞれ置き換えれば、指令トルクT*から指令磁束|ψS*|を特定することができる。

0102

0103

(指令磁束演算部26)
指令磁束演算部26は、指令磁束|ψS*|と、位相θsと、トルク誤差ΔTとから、電機子鎖交磁束が追従するべき指令磁束ベクトルψαβ*を特定する。本実施形態における指令磁束演算部26は、図7に示すブロック図に従って、指令磁束ベクトルψαβ*を特定する。具体的に、指令磁束演算部26は、PI制御部38と、加算部36と、ベクトル生成部37とを有している。PI制御部38は、ΔTをゼロに収束させるための比例積分制御によって、位相補正量ΔθS*を特定する。加算部36は、位相θSと位相補正量ΔθS*との合計(θS*:θS+ΔθS*)を求める。ベクトル生成部37は、指令磁束|ψS*|と合計θS*とから、指令磁束ベクトルψαβ*を特定する。具体的に、ベクトル生成部37は、式(15)及び(16)を用いて指令磁束ベクトルψαβ*を求める。指令磁束ベクトルψαβ*は、指令電圧演算部29に与えられる。

0104

0105

(指令電圧演算部29)
指令電圧演算部29は、指令磁束ベクトルψαβ*と推定磁束ψαβとの差と、2相電流iαβとから、指令2相電圧vαβ*(指令α軸電圧vα*及び指令β軸電圧vβ*)を特定する。本実施形態では、指令電圧演算部29は、式(17)を用いて、指令2相電圧vαβ*を求める。式(17)におけるtsは、制御周期(サンプリング周期)である。なお、3相モータ1が高速回転しているときは、巻線抵抗Raに基づく電圧降下が非常に小さい。このため、指令電圧演算部29は、式(17)の右辺第2項を無視して、指令磁束ベクトルψαβ*と推定磁束ψαβとの差から、指令2相電圧vαβ*を特定するように構成されていてもよい。指令2相電圧vαβ*は、2相3相変換部30に与えられる。

0106

0107

(2相3相変換部30)
2相3相変換部30は、指令2相電圧vαβ*を、指令3相電圧vuvw*に変換する。その後、指令3相電圧vuvw*に対応する電圧ベクトルが、インバータ2によって生成され、3相モータ1に印加される。

0108

(過電流検出部31)
本実施形態の過電流検出部31は、V相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号をハードウエアの部分で受信することによって、過電流が発生したか否かを判定する。具体的には、過電流検出部31は、U相電流iuを示すアナログ信号及びV相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号を用いて、3相モータ1のU相、V相及びW相のいずれかで過電流が発生したか否かを判定する。過電流検出部31は、インバータ2の外部に設けられている。図8Aに示すように、過電流検出部31は、過電流検出回路31aと、過電流判定部31bとを有している。

0109

(過電流検出回路31a)
過電流検出回路31aは、ハードウエアで構成されている。過電流検出回路31aは、V相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号と、電流閾値(過電流判断値)ivmaxとを用いて、アナログ信号SOCを生成し、出力する。電流閾値ivmaxは定数である。アナログ信号SOCは、電流閾値ivmaxよりも大きいV相スイッチング素子電流ivが過電流検出回路31aに入力された時点から一定期間tcにわたって相対的に高いレベル(Hレベル)に保持される。それ以外の期間においては、アナログ信号SOCは、相対的に低いレベル(Lレベル)に保持される。本実施形態では、アナログ信号SOCは電圧であり、Hレベルはアナログ信号SOCが相対的に高い電圧であることを意味し、Lレベルはアナログ信号SOCが相対的に低い電圧であることを意味する。過電流検出回路31aは、典型的には、コンパレータ回路及びラッチ回路を含む。模式図8Bに、電流閾値ivmaxと、V相スイッチング素子電流ivと、アナログ信号SOCとの関係を示す。なお、模式図8Bでは、V相スイッチング素子電流ivが非ゼロである期間が短いことを強調する目的でV相スイッチング素子電流ivが4箇所でデルタ関数的に表現されている。実際には、V相スイッチング素子電流ivは、スイッチング素子9vのオン期間に相当する幅を有するパルス波形スイッチングパルス波形)を形成する。

0110

(過電流判定部31b)
過電流判定部31bは、アナログ信号SOCを用いてV相の過電流検出を行う。具体的に、過電流判定部31bは、サンプリング周期ts毎に、一定時間texをかけて、アナログ信号SOCを抽出する工程を実施する。過電流判定部31bは、アナログ信号SOCがHレベルであるときは過電流が発生していると判定し、アナログ信号SOCがLレベルであるときは過電流が発生していないと判定する。

0111

上述のように、モータ制御装置3は、スイッチング素子9vのオン期間が短い場合には、電流センサ6によるV相電流の検出値(V相スイッチング素子電流iv)を示すアナログ信号を抽出することができない。しかし、本実施形態の過電流検出部31によれば、このような場合であってもV相の過電流検出が可能となる。過電流検出回路31aは、ハードウエアによって構成されているため、V相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号の受信、V相スイッチング素子電流ivと電流閾値ivmaxとの比較及びアナログ信号SOCの出力を常時行うことができるためである。すなわち、電流閾値ivmaxよりも大きいV相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号が過電流検出回路31aに入力された時点から一定期間tcにわたって過電流が検出されたことを示すHレベルのアナログ信号SOCが過電流検出回路31aから継続出力され、継続出力されているが故にそのアナログ信号SOCが過電流判定部31bによって抽出されうるためである。なお、本実施形態では、期間tcは、時間tex以上の長さを有する。これにより、過電流判定部31bによる過電流検出が確実になされうる。

0112

なお、本実施形態では、直流電源とU相用のハーフブリッジ回路とを接続する配線ではなくU相用のハーフブリッジ回路と3相モータ1とを接続する配線においてU相電流を検出することによってU相電流iuを表すアナログ信号が生成されている。このアナログ信号はスイッチングパルス波形ではなく正弦波に近い波形を有するため、同アナログ信号が抽出されている途中で同アナログ信号が不連続に変化する事態は生じない(スイッチング素子9uのON期間においては、スイッチング素子9uを流れる電流の瞬時値と3相モータ1のU相を流れる電流の瞬時値とはほぼ同じである。これに対し、スイッチング素子9uのOFF期間は、前者の電流はゼロであるが後者の電流が非ゼロである期間を含む。スイッチング素子9uのOFF期間であっても3相モータ1のインダクタンス成分の作用で電流が3相モータ1を流れ続けようとし、しかもダイオード10uを通して他相との間で電流が還流することによって電流が3相モータ1を流れ続けうるようにスイッチング回路2sが構成されているためである。これらが、「抽出に要する時間を確保できない事態」が発生していなければ母線12とスイッチング素子9uの間の配線を流れる電流を測定しても3相モータ1に流出入する電流を測定してもほぼ同じ電流検出値を得ることができる理由であり、また、U相電流iuを表すアナログ信号がスイッチングパルス波形ではなく正弦波に近い波形を有する理由である)。つまり、U相電流iuを示すアナログ信号の抽出に要する時間を確保できない事態は生じない。従って、過電流検出部31は、過電流判定部31bにU相電流iuを直接与えることによって、U相の過電流検出を行うことができる(図8A参照)。また、図示は省略するが、本実施形態では、ハードウエアの演算回路を用いてU相電流iuとV相スイッチング素子電流ivとからW相電流iw(=−iu−iv)を演算し、W相電流iwと電流閾値ivmaxとを比較する過電流検出回路(過電流検出回路31aと同様の回路)を用いてアナログ信号(アナログ信号SOCと同様の信号)を生成している。そして、生成されたアナログ信号を過電流判定部31bに与えることによって、W相の過電流検出を行っている。

0113

改めて断るまでもないが、V相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号の抽出に要する時間を確保できる場合(第2運転を行う場合)には、過電流検出部31は、過電流検出回路31aを用いず、過電流判定部31bにV相スイッチング素子電流ivを直接与えることによって、V相の過電流検出を行うこともできる。この場合、W相の過電流検出も、過電流検出回路を用いずに行うことができる。

0114

(従来技術の問題点)
本実施形態の効果の理解を促す目的で、従来技術の問題点を説明する。特許文献1には、3相モータの3相電流のうち1相(例えばU相)の電流を電流センサによって検出し、検出した電流から、残りの2相(例えばV相及びW相)の電流を推定する技術が記載されている。特許文献2には、多相モータにおける1相の電流を電流センサで検出し、検出した電流から、2相電流(α,β軸電流又はd,q軸電流)を推定する技術が記載されている。これらの技術によれば、電流センサの数を1つにすることができる。従って、これらの技術によれば、低コストで電力変換制御装置を実現できる。しかし、これらの技術では、電流が検出された相以外の2相の間で発生する過電流を検出することができない。また、これらの技術では、モータの始動時等の回転数が低いときは、電流が検出された相以外の2相の電流の推定精度を確保したり、2相電流の推定精度を確保したりすることは難しい。このため、これらの技術では、モータの始動時等の回転数が低いときは、精度よくモータを制御することが難しい。モータ以外の交流負荷を制御する場合も同様である。

0115

また、シャント抵抗によって、PWMインバータの各相のスイッチング素子電流を検出し、電流検出値を用いてモータを制御する技術も知られている。この技術のみを採用する場合、図5Aを用いて説明したように、印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号の振幅がキャリア信号の振幅を上回り続けている期間をある程度確保しなければ、モータ制御装置はスイッチング素子電流を示すアナログ信号を抽出することができない。キャリア信号の周波数(スイッチング周波数)を低くしてこの問題を解消することも考えられるが、スイッチング周波数を過度に低くすると電流リプルが大きくなる。

0116

(本実施形態の効果:低コストでの性能の確保)
本実施形態のモータ制御装置3は、スイッチング回路2sのU相、V相及びW相の各ハーフブリッジ回路(各スイッチング部)よりも3相モータ1側(2次側)の電流経路を流れる電流を検出する電流センサとして、電流センサ5のみを有している。この位置で電流を検出するためには、カレントトランス等の絶縁式の電流センサが必要である。2次側の電流経路はフローティングしているため、電流センサ5として絶縁式の電流センサが用いられる必要性が高いためである。すなわち、電流センサ5として高価な電流センサを用いる必要性が高い。一方、モータ制御装置3は、スイッチング回路2sのU相、V相及びW相の各ハーフブリッジ回路(各スイッチング部)よりも直流電源側(1次側)の電流経路を流れる電流を検出する電流センサとして、電流センサ6を有している。この位置での電流検出には、シャント抵抗等の非絶縁式の電流センサを用いることができる。電流センサ6を設ける1次側の電流経路として、接地電位に接続された電流経路を用いることは容易であるためである。すなわち、電流センサ6として安価な電流センサを用いることができる。このように、本実施形態では、高価な電流センサを2個用いる必要がなく、高価な電流センサ1個と安価な電流センサ1個との組み合わせによって3相モータ1を制御することができる。従って、本実施形態のモータ制御装置3は、低コストで構成されうる。なお、2次側の互いに異なる2相の電流経路にそれぞれシャント抵抗を設けても、低コスト化を図ることは難しい。絶縁性を確保するためにシャント抵抗と併せて絶縁アンプ等を用いる必要があり、そのためにはコストがかかるためである。

0117

さらに、電流センサ5と電流センサ6との組み合わせによれば、3相モータ1の速度が低い場合(始動時等)も高い場合も交流負荷を流れる電流ベクトルを十分な精度で推定することができる。

0118

(本実施形態の効果:低コストでの過電流検出)
また、本実施形態のモータ制御装置3は、過電流検出部31を有している。過電流検出部31によれば、電流センサ6が接続された相のスイッチング素子のオン期間が短い場合であっても、その相の過電流を検出することができる。また、3相のうち検出した2相の電流の検出値から残る1相の電流を計算し、その計算値から過電流を検出することができる。つまり、全ての相の過電流を検出することができる。

0119

(本実施形態の効果:磁束推定の補正)
図6を用いて説明したとおり、本実施形態では、α軸磁束推定部40の出力(α軸誘起電圧eα)を、β軸磁束推定部41の出力(β軸誘起電圧eβ)を用いて、α軸成分補正部(ブロック43及び加算部44)によって補正している。また、同様に、β軸磁束推定部41の出力(β軸誘起電圧eβ)を、α軸磁束推定部40の出力(α軸誘起電圧eα)を用いてβ軸成分補正部(ブロック42及び減算部45)によって補正している。すなわち、第1推定磁束ψ1α及び第1推定磁束ψ1βが第2推定磁束ψ2α及び第2推定磁束ψ2βへと補正され、第2推定磁束ψ2α及び第2推定磁束ψ2βが推定磁束ψα及び推定磁束ψβとして採用される。α軸成分を実軸成分、β軸成分を虚軸成分として複素数表現すると、誘起電圧eαβと第2推定磁束ψ2αβとの関係は式(18)で表すことができる。

0120

0121

従来の不完全積分を用いる場合は、推定磁束ψα及び推定磁束ψβ(推定磁束ψαβ)として、第1推定磁束ψ1α及び第1推定磁束ψ1β(推定磁束ψ1αβ)と同じ推定磁束が用いられる。誘起電圧eαβと推定磁束ψ1αβとの関係は式(19)で表すことができる。

0122

0123

式(18)及び式(19)のゲイン特性を図9Aに示す。式(18)及び式(19)の位相特性を図9Bに示す。図9Aにおいて、線50は、式(19)のゲイン特性、つまり不完全積分を用いた場合のゲイン特性を示す。線51は、式(18)のゲイン特性、つまり本実施形態の場合のゲイン特性を示す。図9Bにおいて、線52は、式(19)の位相特性、つまり不完全積分を用いた場合の位相特性を示す。線53は、式(18)の位相特性、つまり本実施形態の場合の位相特性を示す。線50〜線53は、ωc=40rad/sの場合のものである。積分器の位相特性は周波数によらず位相が−90度であることが理想的である。線52の位相は、低周波数領域において−90度から大きく乖離している。これに対し、線53の位相は、低周波数領域においても実質的に−90度であることを示している。線52及び線53から、従来技術に従って不完全積分に基づく推定磁束ψ1αβを推定磁束ψαβとして用いる場合よりも、本実施形態に基づき推定磁束ψ2αβを推定磁束ψαβとして用いる場合の方が、良好な位相特性を得ることができることが分かる。

0124

図10A及び図10Bを用いて磁束の推定精度について説明する。図10A及び図10Bにおいて、線54は、真のα軸磁束を表す。線55は、真のβ軸磁束を表す。「真の」は、実際に3相モータ1に印加されている磁束を誤差なく表していることを意味する。線56は、第1推定磁束ψ1αを表す。線57は、第1推定磁束ψ1βを表す。線58は、第2推定磁束ψ2αを表す。線59は、第2推定磁束ψ2βを表す。線56及び線58によって表されているように、推定磁束ψ1α,ψ2αの初期値には、意図的に誤差が与えられている。具体的に、真のα軸磁束の初期値は0.1Wbであり、真のβ軸磁束及び推定磁束ψ1α,ψ1β,ψ2α,ψ2βの初期値は0Wbである。図10A及び図10B横軸時間軸)のスケールは、推定開始直後の過渡現象が把握されるように設定されている。線54及び線56から、第1推定磁束ψ1αの位相は真のα軸磁束の位相から遅れていることが把握され、線55及び線57から、第1推定磁束ψ1βの位相は真のβ軸磁束の位相から遅れていることが把握される。このことは、式(19)つまり不完全積分を用いた場合は、高効率な動作点からずれた動作点で3相モータ1が動作すること、大きなモータ電流が流れること、及び3相モータ1で大きな損失が発生することを意味する。また、このことは、始動時等の3相モータ1の速度が低いときの制御に悪影響を及ぼしうる。一方、線54及び線58から、第2推定磁束ψ2αの位相は真のα軸磁束の位相に高い精度で一致していることが把握され、線55及び線59から、第2推定磁束ψ2βの位相は真のβ軸磁束の位相に高い精度で一致していることが把握される。このことは、式(18)つまり本実施形態によれば、始動時等の3相モータ1の速度が低い場合であっても、3相モータ1を高効率に運転することが可能であることを意味する。

0125

なお、本実施形態では、U相及びV相の2相の電流を測定するように電流センサ5及び電流センサ6が設けられ、これらの検出値を用いた制御がなされるようにモータ制御装置3が構成されている。しかし、他の2相の電流を測定するように電流センサ5及び電流センサ6を設けても、同様の制御を行うことができる。また、本実施形態において説明した事項は、電力変換制御装置の他、電力変換ユニット、電力システム及び制御方法にも適用できる。また、本実施形態において説明した事項は、電力変換制御装置を発電機制御装置として用いる場合にも適用できる。この点は、後述の変形例及び実施形態についても同様である。

0126

(変形例1−1)
第1の実施形態の磁束推定部23a(図6)に代えて、図11に示す磁束推定部73aを用いることもできる。以下、磁束推定部73aについて説明する。なお、変形例1−1では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0127

磁束推定部73aは、ブロック42及びブロック43に代えて、ブロック70及びブロック71を有している。ブロック70は、α軸誘起電圧eαを用いた演算を行い、演算結果eαωc/ω*(s+ωc)を出力する。演算結果eαωc/ω*(s+ωc)は、第1の実施形態のブロック42からの出力と同じである。ブロック71は、β軸誘起電圧eβを用いた演算を行い、演算結果eβωc/ω*(s+ωc)を出力する。演算結果eβωc/ω*(s+ωc)は、第1の実施形態のブロック43からの出力と同じである。加算部44において、第1推定磁束ψ1αに演算結果eβωc/ω*(s+ωc)が足し合わされることによって、第2推定磁束ψ2αが得られる。減算部45において、第1推定磁束ψ1βから演算結果eαωc/ω*(s+ωc)が減じられることによって、第2推定磁束ψ2βが得られる。

0128

要するに、磁束推定部73aは、推定された電流ベクトルのα軸成分(α軸電流iα)と指令電圧ベクトルのα軸成分(指令α軸電圧vα*)とを用いて交流負荷(3相モータ1)で発生している誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を推定するα軸誘起電圧推定部46と、推定された電流ベクトルのβ軸成分(β軸電流iβ)と指令電圧ベクトルのβ軸成分(指令β軸電圧vβ*)とを用いて交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を推定するβ軸誘起電圧推定部47と、推定された誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を用いて回転磁束ベクトルのα軸成分(第1推定磁束ψ1α)を仮に推定するα軸磁束推定部40と、推定された誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を用いて回転磁束ベクトルのβ軸成分(第1推定磁束ψ1β)を仮に推定するβ軸磁束推定部41と、推定された誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を用いて仮に推定された回転磁束ベクトルのα軸成分(第1推定磁束ψ1α)を補正するα軸成分補正部(ブロック71及び加算部44)と、推定された誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を用いて仮に推定された回転磁束ベクトルのβ軸成分(第1推定磁束ψ1β)を補正するβ軸成分補正部(ブロック70及び減算部45)と、を有している。

0129

第1の実施形態の磁束推定部23aと同様、磁束推定部73aは式(18)を実現する。従って、変形例1−1によれば、第1の実施形態の効果と同じ効果を得ることができる。

0130

(変形例1−2)
第1の実施形態の磁束推定部23a(図6)に代えて、図12に示す磁束推定部83aを用いることもできる。以下、磁束推定部83aについて説明する。なお、変形例1−2では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0131

磁束推定部83aは、磁束推定部23aとは異なり、α軸磁束推定部40、β軸磁束推定部41、ブロック42、ブロック43、加算部44及び減算部45を有しない。これらに代えて、磁束推定部83aは、ブロック82と、ブロック83と、加算部84と、減算部85と、α軸磁束推定部80と、β軸磁束推定部81とを有している。

0132

ブロック82は、α軸誘起電圧eαにωc/ω*を乗じ、乗算結果eαωc/ω*を出力する。ブロック83は、β軸誘起電圧eβにωc/ω*を乗じ、乗算結果eβωc/ω*を出力する。加算部84は、α軸誘起電圧eαに乗算結果eβωc/ω*を足し合わせることによって加算結果ecα=eα+eβωc/ω*を得る。減算部85は、β軸誘起電圧eβから乗算結果eαωc/ω*を減じることによって減算結果ecβ=eβ−eαωc/ω*を得る。α軸磁束推定部80は、加算結果ecαを積分して推定磁束ψ2αを得て、出力する。推定磁束ψ2αは、第1の実施形態の第2推定磁束ψ2αと同じである。β軸磁束推定部81は、減算結果ecβを積分して推定磁束ψ2βを得て、出力する。推定磁束ψ2βは、第1の実施形態の第2推定磁束ψ2βと同じである。

0133

要するに、磁束推定部83aは、推定された電流ベクトルのα軸成分(α軸電流iα)と指令電圧ベクトルのα軸成分(指令α軸電圧vα*)とを用いて交流負荷(3相モータ1)で発生している誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を仮に推定するα軸誘起電圧推定部46と、推定された電流ベクトルのβ軸成分(β軸電流iβ)と指令電圧ベクトルのβ軸成分(指令β軸電圧vβ*)とを用いて交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を仮に推定するβ軸誘起電圧推定部47と、仮に推定された誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を用いて仮に推定された誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を補正するα軸成分補正部(ブロック83及び加算部84)と、仮に推定された誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を用いて仮に推定された誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を補正するβ軸成分補正部(ブロック82及び減算部85)と、補正された誘起電圧のα軸成分(加算結果ecα)を用いて回転磁束ベクトルのα軸成分(推定磁束ψ2α)を推定するα軸磁束推定部80と、補正された誘起電圧のβ軸成分(減算結果ecβ)を用いて回転磁束ベクトルのβ軸成分(推定磁束ψ2β)を推定するβ軸磁束推定部81と、を有している。

0134

第1の実施形態の磁束推定部23aと同様、磁束推定部83aは式(18)を実現する。従って、変形例1−2によれば、第1の実施形態の効果と同じ効果を得ることができる。

0135

(変形例1−3)
第1の実施形態の磁束推定部23aに代えて、図13に示す磁束推定部93aを用いることもできる。以下、磁束推定部93aについて説明する。なお、変形例1−3では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0136

磁束推定部93aは、磁束推定部23aとは異なり、α軸磁束推定部40、β軸磁束推定部41、ブロック42、ブロック43、加算部44及び減算部45を有しない。これらに代えて、磁束推定部93aは、ブロック98と、ブロック99と、加算部94と、減算部95と、α軸磁束推定部90と、β軸磁束推定部91と、ブロック92と、ブロック93と、を有している。

0137

ブロック98は、α軸誘起電圧eαに補正係数bを乗じて乗算結果beαを得る。ブロック99は、β軸誘起電圧eβに補正係数bを乗じて乗算結果beβを得る。加算部94は、乗算結果beαに、1制御周期前の乗算結果aωcψ2βを加算して加算結果ecα=beα+aωcψ2βを得る。減算部95は、乗算結果beβから1制御周期前の乗算結果aωcψ2αを減じて減算結果ecβ=beβ−aωcψ2αを得る。α軸磁束推定部90は、加算結果ecαを積分して推定磁束ψ2αを得て、出力する。β軸磁束推定部91は、減算結果ecβを積分して推定磁束ψ2βを得て、出力する。

0138

要するに、磁束推定部93aは、推定された電流ベクトルのα軸成分(α軸電流iα)と指令電圧ベクトルのα軸成分(指令α軸電圧vα*)とを用いて交流負荷(3相モータ1)で発生している誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を仮に推定するα軸誘起電圧推定部46と、推定された電流ベクトルのβ軸成分(β軸電流iβ)と指令電圧ベクトルのβ軸成分(指令β軸電圧vβ*)とを用いて交流負荷で発生している誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を仮に推定するβ軸誘起電圧推定部47と、推定された回転磁束ベクトルのβ軸成分(推定磁束ψ2β)を用いて仮に推定された誘起電圧のα軸成分(α軸誘起電圧eα)を補正するα軸成分補正部(ブロック98、ブロック93及び加算部94)と、推定された回転磁束ベクトルのα軸成分(推定磁束ψ2α)を用いて仮に推定された誘起電圧のβ軸成分(β軸誘起電圧eβ)を補正するβ軸成分補正部(ブロック99、ブロック92及び減算部95)と、補正された誘起電圧のα軸成分(加算結果ecα)を用いて回転磁束ベクトルのα軸成分(推定磁束ψ2α)を推定するα軸磁束推定部90と、補正された誘起電圧のβ軸成分(減算結果ecβ)を用いて回転磁束ベクトルのβ軸成分(推定磁束ψ2β)を推定するβ軸磁束推定部91と、を有している。なお、α軸成分補正部によって用いられる推定された回転磁束ベクトルのβ軸成分は、具体的には、1制御周期前に推定された回転磁束ベクトルのβ軸成分である。また、β軸成分補正部によって用いられる推定された回転磁束ベクトルのα軸成分は、具体的には、1制御周期前に推定された回転磁束ベクトルのα軸成分である。

0139

α軸成分を実軸成分、β軸成分を虚軸成分として複素数表現すると、誘起電圧eαβと推定磁束ψ2αβとの関係は式(20)で表せる。

0140

0141

式(20)のゲイン特性を図14Aに示す。式(20)の位相特性を図14Bに示す。図14A及び図14Bの線50及び線52は、図9A及び図9Bの線50及び線52(不完全積分を用いた場合のゲイン特性及び位相特性)と同じである。図14Aの線60は、式(20)のゲイン特性、つまり変形例1−3の場合のゲイン特性を示す。図14Bの線61は、式(20)の位相特性、つまり変形例1−3の場合の位相特性を示す。線50、線52、線60及び線61は、ωc=40rad/sの場合のものである。線60及び線61は、a=5かつb=1の場合のものである。上述のように、積分器の位相特性は周波数によらず位相が−90度であることが理想的である。線61の位相は、低周波数領域においても概ね−90度である。一方、ゲイン特性は線60に示されるように低下する。ゲイン特性を改善するには、図15の線62に示すように、周波数に応じて補正係数bを変更すればよい。

0142

図16を用いて磁束の推定精度について説明する。図16の線54及び線55は、図10A及び10Bの線54(真のα軸磁束に対応)及び線55(真のβ軸磁束に対応)と同じである。線63は、推定磁束ψ2αを表す。線64は、推定磁束ψ2βを表す。線63によって表されているように、推定磁束ψ2αの初期値には意図的に誤差が与えられている。具体的に、推定磁束ψ2α及びψ2βの初期値は0Wbである。図16の横軸(時間軸)のスケールは、推定開始直後の過渡現象が把握されるように設定されている。線54、線55、線63及び線64から、推定磁束ψ2α,ψ2βの位相遅れは、制御開始から1周期経過後には概ね解消していることが分かる。このことは、変形例1−3によれば、3相モータ1を高効率に運転することが可能であることを意味する。

0143

(変形例1−4)
以下、変形例1−4のモータ制御装置について説明する。変形例1−4では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0144

変形例1−4のモータ制御装置は、図17に示すように、電流センサ5及び電流センサ6に加え、電流センサ7(第3電流センサ)を有していている。電流センサ7は、直流電源とW相用のハーフブリッジ回路(第3相のスイッチング部)とを接続する配線(電流経路)において、該配線を流れる電流を検出する。具体的には、電流センサ7は、インバータ2の内部において、母線12とW相用のハーフブリッジ回路との間に直列に介在し、W相用のハーフブリッジ回路に流出入する電流を測定する。電流センサ6と同様、電流センサ7は、非絶縁式の電流センサであり、例えばシャント抵抗である。

0145

また、変形例1−4のモータ制御装置は、第1の実施形態の2相電流推定部22に代えて、2相電流推定部22とは異なる動作が行うことがある2相電流推定部を有する。以下では、2相電流推定部22と区別する目的で、変形例1−4の2相電流推定部を2相電流推定部Xと称することがある。

0146

図5Aを用いた説明から理解されるように、3相モータ1のV相に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号(電圧レベル)Vが大きい場合には、V相スイッチング素子電流ivを示すアナログ信号の抽出に要する時間を確保できない事態を招き易い。同様に、3相モータ1のW相に印加されるべき交流電圧の基本波成分を表す指令信号(電圧レベル)Wが大きい場合には、W相スイッチング素子電流iwを示すアナログ信号の抽出に要する時間を確保できない事態を招き易い。

0147

以上を考慮し、変形例1−4では、電圧レベルWの最大値が電圧レベルVの最大値以上の場合には、2相電流推定部Xは、2相電流推定部22と同じ動作を行う(U相電流iuとともに状況に応じてV相スイッチング素子電流ivを用いる運転を行う)。

0148

電圧レベルWの最大値が電圧レベルVの最大値未満の場合には、2相電流推定部Xは、2相電流推定部22とは異なり、U相電流iuとともに状況に応じてW相スイッチング素子電流iwを用いる運転を行うを用いる運転を行う。具体的には、電圧レベルWが大きい場合には、2相電流推定部Xは、第1の実施形態の第1運転と同様、式(1)に従ってU相電流iuから2相電流iαβを特定する第1運転を行う。電圧レベルWが小さい場合には、2相電流推定部Xは、U相電流iu及びW相スイッチング素子電流iwから2相電流iαβを特定する。後者の運転は、式(2)とは異なり式(21)に従う運転であるものの、第1の実施形態の第2運転と技術上の意義は共通する。従って、本明細書では、後者の運転も第2運転と称する。変形例1−4においても、第1運転を行うか第2運転を行うかを、第1の実施形態と同様に、閾値振幅Vth、変調率又は閾値周波数ωthを基準に判断することができる。

0149

0150

変形例1−4では、電圧レベルV及び及び電圧レベルWのうち最大値が低い方が、第1運転を行うか第2運転を行うかの判断基準とされる。そして、判断基準とされた電圧レベルの最大値が大きい場合には第1運転が行われ、小さい場合は第2運転が行われる。従って、変形例1−4によれば、第1の実施形態に比べて、積極的に第2運転を行うことができる。

0151

なお、変形例1−4では、V相スイッチング素子電流iv又はW相スイッチング素子電流iwを用いた第2運転を行うと判断されてから、V相スイッチング素子電流iv又はW相スイッチング素子電流iwを示すアナログ信号の抽出が行われ、その後V相スイッチング素子電流iv又はW相スイッチング素子電流iwが2相電流推定部Xによって用いられる。ただし、第2運転で用いられる可能性があるV相スイッチング素子電流iv又はW相スイッチング素子電流iwを示すアナログ信号の抽出がなされてから、V相スイッチング素子電流iv又はW相スイッチング素子電流iwを用いた第2運転を行うか否かの判断がなされ、第2運転を行うと判断された場合にV相スイッチング素子電流iv又はW相スイッチング素子電流iwが2相電流推定部Xによって用いられるようにしてもよい。

0152

要するに、変形例1−4の電力変換制御装置(モータ制御装置)は、第2電流センサとして選択されうる2つの電流センサ(電流センサ6及び電流センサ7)であって、スイッチング回路2sにおける互いに異なるスイッチング部(ハーフブリッジ回路)に流出入する電流を検出する2つの電流センサを有し、2つの電流センサの検出値のうち、第2運転を行うための条件を満たし易い方の電流センサの検出値を第2電流センサの検出値として用いる。

0153

(変形例1−5)
以下、変形例1−5のモータ制御装置について説明する。変形例1−5では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0154

変形例1−5では、図18に示すように、電流センサ6に代えて、電流センサ6bが用いられている。典型的には、電流センサ6bはシャント抵抗である。電流センサ6bは、母線12に設けられており、母線電流idcを検出できるように構成されている。母線電流idcから3相電流を推定する方式は、1シャント電流検出方式(シングルシャント電流検出方式)と呼ばれている。1シャント電流検出方式の詳細については、特許文献3等を参照されたい。1シャント電流検出方式によっても、V相スイッチング素子電流ivを生成することができる。このV相スイッチング素子電流ivを用いても、第1の実施形態と同様の制御を行うことができる。

0155

要するに、変形例1−5では、第2電流センサは、直流電源と第2相のスイッチング部(V相用のハーフブリッジ回路)とを接続する電流経路のうち、直流電源からスイッチング回路2sの各相のスイッチング部へと枝分かれする前の部分である母線12を流れる電流を検出するものであり、電力変換制御装置(モータ制御装置)は、第1センサの検出値(U相電流iu)と、第2センサで得られた母線12を流れる電流の検出値と、スイッチング回路2sの各スイッチング部が生成するスイッチングパターンとを用いて第2運転を行う。なお、スイッチングパターンは、各ハーフブリッジ回路(スイッチング部)のスイッチング素子のON・OFFのタイミングを示すものであり、先に説明したデューティ信号に基づいて生成される。

0156

(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態のモータ制御装置(電力変換制御装置)103について、図19を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0157

モータ制御装置103は、電流センサ5、電流センサ6、2相電流推定部22、磁束推定部123、座標変換部110、指令電流演算部111、指令電圧演算部112、座標変換部113、位相推定部114及び2相3相変換部30を備えている。

0158

(モータ制御装置103による制御の概要
以下、モータ制御装置103の動作の概要を説明する。磁束推定部123によって、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ*とから、磁石磁束が推定される(推定磁石磁束ψmαβが特定される)。以下では、推定磁石磁束ψmαβのα軸成分をα軸推定磁石磁束ψmαと記載し、β軸成分をβ軸推定磁石磁束ψmβと記載することがある。位相推定部114によって、推定磁石磁束ψmαβから、推定磁石磁束ψmαβの位相θdが特定される。座標変換部110によって、2相電流iαβと位相θdとから、2相電流idqが特定される。以下では、2相電流idqのd軸成分をd軸電流idと記載し、q軸成分をq軸電流iqと記載することがある。指令電流演算部111によって、指令トルクT*から、指令2相電流idq*が特定される。以下では、指令2相電流idq*のd軸成分をd軸指令電流id*と記載し、q軸成分をq軸指令電流iq*と記載することがある。指令電圧演算部112によって、指令2相電流idq*と2相電流idqとから、指令2相電圧vdq*が特定される。座標変換部113によって、指令2相電圧vdq*と位相θdとから、指令2相電圧vαβ*が特定される。

0159

第2の実施形態では、指令電圧演算部112は、指令トルクT*から求めた指令2相電流idq*と、2相電流iαβを座標変換して得られる電流ベクトルidqとが一致するように、指令2相電圧vαβ*を求める。この点で、指令電圧演算部112は、第1の実施形態の指令電圧演算部29とは異なる。

0160

次に、モータ制御装置103の構成要素を説明する。

0161

(磁束推定部123)
磁束推定部123は、2相電流iαβと、指令2相電圧vαβ*とから、推定磁石磁束ψmαβ(推定磁石磁束ψmα,ψmβ)を特定する。本実施形態では、磁束推定部123は、先に説明した式(3)及び式(4)と、以下の式(22)及び(23)とを用いて、推定磁石磁束ψmを求める。式(22)及び(23)におけるLは、電機子反作用磁束推定用インダクタンスである。

0162

0163

(位相推定部114)
位相推定部114は、推定磁石磁束ψmαβ(推定磁石磁束ψmα,ψmβ)から、推定磁石磁束ψmαβの位相θdを特定する。具体的には、位相推定部114は、式(24)に従って、位相θdを求め、出力する。

0164

0165

なお、式(24)で位相θdを求めた上で、式(25)を実現するPLL(phase locked loop)を構成することによって位相θd^を求め、位相θdに代えて位相θd^を採用することもできる。

0166

0167

(座標変換部110)
座標変換部110は、位相θdを用いて、2相電流iαβを2相電流idqに変換する。具体的には、座標変換部110は、式(26)に従って2相電流iαβを2相電流idqに変換する。

0168

0169

(指令電流演算部111)
指令電流演算部111は、指令トルクT*から、指令2相電流idq*を生成する。具体的に、指令電流演算部111は、式(27)及び式(28)を用いて、指令2相電流idq*を求める。

0170

0171

(指令電圧演算部112)
指令電圧演算部112は、指令2相電流idq*と2相電流idqとから、指令2相電圧vdq*を生成する。具体的に、指令電圧演算部112は、式(29)及び式(30)を用いて、指令2相電圧vdq*を求める。式(29)及び式(30)のKpiは電流制御用PI制御の比例ゲインであり、Kiiは電流制御用PI制御の積分ゲインである。

0172

0173

位相推定部114、座標変換部110、指令電流演算部111及び指令電圧演算部112等に関する説明から理解されるように、第2の実施形態では、回転磁束ベクトルは、回転子磁束ベクトル(磁石磁束)であり、電力変換制御装置103は、推定された回転子磁束ベクトル(推定磁石磁束ψmαβ)の位相θdを推定する位相推定部114を備え、位相θdを用いて指令電流ベクトル(指令2相電流idq*)及び推定された電流ベクトル(2相電流iαβ)の座標系を統一させ、該統一後における推定された電流ベクトル(2相電流idq)及び指令電流ベクトル(指令2相電流idq*)を用いて、電流ベクトルが指令電流ベクトル(指令2相電流idq*)に追従するように3相モータ1を制御する。

0174

(座標変換部113)
座標変換部113は、位相θdを用いて、指令2相電圧vdq*を指令2相電圧vαβ*に変換する。具体的に、座標変換部113は、式(31)に従って指令2相電圧vdq*を指令2相電圧vαβ*に変換する。

0175

0176

(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態の電力変換制御装置について、図20を参照しながら説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。

0177

第3の実施形態では、電力変換制御装置は系統連系インバータ制御装置203であり、電力変換装置はインバータ(系統連系インバータ)2であり、交流負荷は3相電力系統201である。系統連系インバータ制御装置203及びインバータ2は電力変換ユニットを構成する。直流電源、電力変換ユニット及び交流負荷は電力システムを構成する。図20に示すように、系統連系インバータ制御装置203は、インバータ2及び3相電力系統201に接続されうる。

0178

系統連系インバータ制御装置203は、電流センサ5、電流センサ6、電圧センサ206、2相電流推定部22、3相2相変換部(3相2相座標変換部)223、座標変換部210、指令電圧演算部212、座標変換部213、位相推定部214、加算部224及び2相3相変換部30を備えている。

0179

(電力変換制御装置203による制御の概要)
以下、電力変換制御装置203の動作の概要を説明する。電圧センサ206によって、3相電力系統201のU相とV相の間の線間電圧と、V相とW相の間の線間電圧が検出され、それらの検出値(線間電圧vuv及び線間電圧vwv)が生成される。3相2相変換部223によって、線間電圧vuv及び線間電圧vwvから、2相電圧vαβが特定される。位相推定部214によって、2相電圧vαβから、2相電圧vαβの位相θdが特定される。座標変換部210によって、2相電流iαβと位相θdとから、2相電流idqが特定される。指令電圧演算部212によって、指令2相電流idq*と2相電流idqとから、指令電圧偏差vdq*が特定される。指令2相電流idq*は、上位制御装置から与えられる。座標変換部213によって、指令電圧偏差vdq*と位相θdとから、指令電圧偏差vαβ*が特定される。加算部224によって、指令電圧偏差vαβ*と2相電圧vαβとから、指令2相電圧vαβ**が特定される。2相3相変換部30によって、指令2相電圧vαβ**から、指令3相電圧vuvw*が特定される。このような制御によって、インバータ2から3相電力系統201へ出力される電流ベクトルが、指令電流ベクトル(指令2相電流idq*)に追従するように制御される。

0180

第3の実施形態では、2相電圧Vαβを用いて位相θdを求める。指令2相電流idq*が上位制御装置から与えられる。指令電圧偏差vαβ*に2相電圧vαβを加算して指令2相電圧vαβ**を特定する。これらの点で、第3の実施形態は、第2の実施形態とは異なる。

0181

次に、系統連系インバータ制御装置203の構成要素を説明する。

0182

(電圧センサ206)
電圧センサ206は、3相電力系統201のU相とV相の間の線間電圧と、V相とW相の間の線間電圧を検出し、それらの検出値(線間電圧vuv及び線間電圧vwv)を生成する。

0183

(3相2相変換部223)
3相2相変換部223は、線間電圧vuv及び線間電圧vwvを、2相電圧vαβに変換する。具体的に、3相2相変換部223は、式(32)を用いて線間電圧vuv,vwvを3相2相変換して2相電圧vαβ(vα,vβ)を求め、出力する。

0184

0185

(位相推定部214)
位相推定部214は、2相電圧vαβから、2相電圧vαβの位相θdを特定する。具体的に、位相推定部214は、式(33)に従って、位相θdを求める。

0186

0187

なお、式(33)で位相θdを求めた上で、式(34)を実現するPLLを構成することによって位相θd^を求め、位相θdに代えて位相θd^を採用することもできる。

0188

0189

(座標変換部210)
座標変換部210は、位相θdを用いて、2相電流iαβを2相電流idqに変換する。この変換には、式(26)と同じ変換式が用いられる。

0190

(指令電圧演算部212)
指令電圧演算部212は、指令2相電流idq*と2相電流idqとから、指令電圧偏差vdq*を特定する。具体的に、指令電圧演算部212は、式(35)及び式(36)に従って、指令電圧偏差vdq*を特定する。

0191

0192

(座標変換部213)
座標変換部213は、位相θdを用いて、指令電圧偏差vdq*を指令電圧偏差vαβ*に変換する。この変換には、式(31)と同じ変換式が用いられる。

0193

(加算部224)
加算部224は、指令電圧偏差vαβ*と2相電圧vαβとから、指令2相電圧vαβ**を特定する。第3の実施形態では、第2の実施形態とは異なり、指令2相電圧vαβ**が、2相3相変換部30に入力され、指令3相電圧vuvw*に変換される。

0194

13相モータ
1m永久磁石
2インバータ
2sスイッチング回路
3,103,203電力変換制御装置
平滑コンデンサ
5,6,6b,7電流センサ
8u,8v,8w,9u,9v,9wスイッチング素子
10u,10v,10w,11u,11v,11wダイオード
12母線
13キャリア信号
V,15,16電圧レベル
222相電流推定部
23 磁束・トルク推定部
23a,40,41,73a,80,81,83a,90,91,93a,123磁束推定部
23b トルク推定部
24,45,85,95 減算部(減算器)
25指令振幅演算部
26指令磁束演算部
29,112,212指令電圧演算部
30 2相3相変換部(2相3相座標変換部)
31過電流検出部
31a過電流検出回路
31b過電流判定部
36,44,84,94,224加算部(加算器)
37ベクトル生成部
38PI制御部
42,43,70,71,82,83,92,93,98,99ブロック
46,47誘起電圧推定部
50〜64 線
110,113,210,213 座標変換部
111指令電流演算部
114,214位相推定部
201 3相電力系統
206電圧センサ
223 3相2相変換部(3相2相座標変換部)

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