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技術 局所音場を生成するスピーカーシステムおよび方法

出願人 学校法人成蹊学園公立大学法人首都大学東京岡山県
発明者 岩本宏之深谷紀元眞田明田中信雄
出願日 2015年1月23日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-010845
公開日 2016年7月28日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-136656
状態 特許登録済
技術分野 可聴帯域変換器の回路等 可聴帯域変換器の細部(特性を得るもの)
主要キーワード 時間平均流 奇数次モード 振動放射音 中央領 数値解析結果 高周波数帯域成分 低周波数帯域成分 音響放射効率
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図面 (18)

課題

局所音場を生成するための新規スピーカーシステムを提供する。

解決手段

本発明によれば、アレイ面に複数のサブスピーカーを分散配置してなるスピーカーアレイを備えるスピーカーシステムであって、各前記サブスピーカーに固有信号処理部と、入力された音声信号を各前記信号処理部に出力する信号分配部と、主音量を各前記信号処理部に設定する主音量設定部と、を含み、各前記信号処理部は、設定された前記主音量に所定の音量重み係数を乗じてなるサブ音量に応じた増幅率で前記信号分配部から入力される音声信号を増幅するための信号増幅部と、前記信号増幅部が増幅した音声信号の位相を必要に応じて180度遅延させる補正を実施するための位相補正部と、を含むスピーカーシステムが提供される。

概要

背景

スピーカから発せられる音声は、それを必要としない人にとっては騒音感じられる場合がある。例えば、踏切警報音は、踏切を渡ろうとする人や車にとっては重要な意味を持つ音声情報であるが、踏切の近くに住む住人にとっては耐え難い騒音となる。アパートマンションなどの共同住宅におけるテレビオーディオの音もまた然りである。つまり、多くの場合、スピーカーから発せられる音声は、スピーカーから遠く離れた場所になるべく伝播させないようにすることが望ましいのである。

この点に関し、特定のエリア内でのみ音が大きな音圧を維持し、エリアの外では音圧が急峻に減衰する、いわゆる“局所音場”を生成するためのスピーカーシステムについて種々研究がなされている。例えば、非特許文献1は、局所音場を生成する目的で、双指向性スピーカーを平面上に並べたスピーカーアレイを用いて急峻な距離減衰特性を有するエバネッセント波再生するスピーカーシステムを開示する。

一方、非特許文献2は、矩形平板加振した際に発生する振動放射音キャンセレーションメカニズムを開示する。

概要

局所音場を生成するための新規なスピーカーシステムを提供する。本発明によれば、アレイ面に複数のサブスピーカーを分散配置してなるスピーカーアレイを備えるスピーカーシステムであって、各前記サブスピーカーに固有信号処理部と、入力された音声信号を各前記信号処理部に出力する信号分配部と、主音量を各前記信号処理部に設定する主音量設定部と、を含み、各前記信号処理部は、設定された前記主音量に所定の音量重み係数を乗じてなるサブ音量に応じた増幅率で前記信号分配部から入力される音声信号を増幅するための信号増幅部と、前記信号増幅部が増幅した音声信号の位相を必要に応じて180度遅延させる補正を実施するための位相補正部と、を含むスピーカーシステムが提供される。

目的

本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、局所音場を生成するための新規なスピーカーシステムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アレイ面に複数のサブスピーカーを分散配置してなるスピーカーアレイを備えるスピーカーシステムであって、各前記サブスピーカーに固有信号処理部と、入力された音声信号を各前記信号処理部に出力する信号分配部と、主音量を各前記信号処理部に設定する主音量設定部と、を含み、各前記信号処理部は、前記信号分配部から入力される音声信号を増幅するための信号増幅部と、前記信号増幅部が増幅した音声信号の位相を180度遅延させる補正を実施するための位相補正部と、を含み、各前記信号増幅部に、前記アレイ面と同寸法の平板にVVC分布励起させた場合における前記サブスピーカーの振動面に対応する該平板の振動領域振幅代表値正規化した値を音量重み係数として設定し、各前記位相補正部に、前記平板に前記VVC分布を励起させた場合における前記サブスピーカーの振動面に対応する該平板の振動領域の変位方向に応じて、該VVC分布に係る2つのグループのいずれかを設定し、前記信号増幅部は、設定された前記主音量に前記音量重み係数を乗じてなるサブ音量に応じた増幅率で入力された音声信号を増幅し、前記位相補正部は、一方のグループが設定されている場合にのみ音声信号の補正を実施する、スピーカーシステム。

請求項2

前記VVC分布は、2つの奇数次振動モードの連成により体積速度がゼロになる振動分布である、請求項1に記載のスピーカーシステム。

請求項3

入力された音声信号をN個(Nは2以上の整数。以下同様。)の周波数帯域成分に分離して前記信号分配部に入力する帯域分離部をさらに含み、各前記信号処理部は、前記信号分配部から入力される前記N個の周波数帯域成分のそれぞれを増幅するためのN個の前記信号増幅部と、N個の前記信号増幅部が増幅した周波数帯域成分のそれぞれの位相を180度遅延させる補正を実施するためのN個の前記位相補正部と、N個の前記位相補正部が補正したN個の周波数帯域成分を重畳して出力する信号重畳部と、を含み、各前記信号増幅部には、入力される前記周波数帯域成分に対応する所定の前記VVC分布を前記平板に励起させた場合における前記サブスピーカーの振動面に対応する該平板の前記振動領域の振幅の代表値を正規化した値が前記音量重み係数として設定され、各前記位相補正部には、前記平板に前記周波数帯域成分に対応する前記所定の前記VVC分布を励起させた場合における前記サブスピーカーの振動面に対応する該平板の振動領域の変位方向に応じて、該VVC分布に係る2つのグループのいずれかが設定される、請求項1または2に記載のスピーカーシステム。

請求項4

前記位相補正部に他方のグループが設定される場合に該位相補正部を設けない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスピーカーシステム。

請求項5

前記アレイ面は矩形である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスピーカーシステム。

請求項6

前記複数のサブスピーカーはマトリックス状に配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスピーカーシステム。

請求項7

アレイ面に複数のサブスピーカーを分散配置してなるスピーカーアレイを使用して局所音場を生成する方法であって、前記アレイ面と同寸法の平板を定義することと、前記平板にVVC分布を励起させた場合の振動変位分布を求めることと、各前記サブスピーカーの振動面に対応する前記平板の振動領域の振幅の代表値を算出することと、前記振動領域の変位方向に応じて、該振動領域に対応する前記サブスピーカーを2つのグループに分けることと、各前記サブスピーカーに対応する前記振動領域の前記代表値を正規化して該サブスピーカーの音量重み係数を定義することと、主音量に各前記サブスピーカーに設定された前記音量重み係数を乗じた値を該サブスピーカーのサブ音量として決定することと、第1のグループに属する前記サブスピーカーへの入力音声信号と第2のグループに属する前記サブスピーカーへの入力音声信号の位相が180度ずれるようにして各前記サブスピーカーから音声を出力することと、を含む方法。

請求項8

前記VVC分布は、2つの奇数次の振動モードの連成により体積速度がゼロになる振動分布である、請求項7に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、スピーカーシステムに関し、より詳細には、局所音場を生成するためのスピーカーシステムに関する。

背景技術

0002

スピーカから発せられる音声は、それを必要としない人にとっては騒音感じられる場合がある。例えば、踏切警報音は、踏切を渡ろうとする人や車にとっては重要な意味を持つ音声情報であるが、踏切の近くに住む住人にとっては耐え難い騒音となる。アパートマンションなどの共同住宅におけるテレビオーディオの音もまた然りである。つまり、多くの場合、スピーカーから発せられる音声は、スピーカーから遠く離れた場所になるべく伝播させないようにすることが望ましいのである。

0003

この点に関し、特定のエリア内でのみ音が大きな音圧を維持し、エリアの外では音圧が急峻に減衰する、いわゆる“局所音場”を生成するためのスピーカーシステムについて種々研究がなされている。例えば、非特許文献1は、局所音場を生成する目的で、双指向性スピーカーを平面上に並べたスピーカーアレイを用いて急峻な距離減衰特性を有するエバネッセント波再生するスピーカーシステムを開示する。

0004

一方、非特許文献2は、矩形平板加振した際に発生する振動放射音キャンセレーションメカニズムを開示する。

先行技術

0005

弘章,古家賢一,羽田陽一,平面スピーカアレーを用いたエバネッセント波再生手法の検討,電子情報通信学会技報,Vol.131(2011),pp29-34
田中信雄,島義弘,黒田雅治,振動放射音の制御に関する研究,日本機械学会論文集(C編),57巻537号(1991-5),pp94-101

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、局所音場を生成するための新規なスピーカーシステムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、音場を局所化する新たな手法につき鋭意検討する中で、矩形平板に発現する音のキャンセレーション現象(非特許文献2)に着目し、矩形平板の振動モードをスピーカーアレイで模擬すれば、任意周波数の局所音場を生成することができるのではないかという着想を得た。そして、この着想から以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。

0008

すなわち、本発明によれば、アレイ面に複数のサブスピーカーを分散配置してなるスピーカーアレイを備えるスピーカーシステムであって、各前記サブスピーカーに固有信号処理部と、入力された音声信号を各前記信号処理部に出力する信号分配部と、主音量を各前記信号処理部に設定する主音量設定部と、を含み、各前記信号処理部は、前記信号分配部から入力される音声信号を増幅するための信号増幅部と、前記信号増幅部が増幅した音声信号の位相を180度遅延させる補正を実施するための位相補正部と、を含み、各前記信号増幅部に、前記アレイ面と同寸法の平板にVVC分布励起させた場合における前記サブスピーカーの振動面に対応する該平板の振動領域振幅代表値正規化した値を音量重み係数として設定し、各前記位相補正部に、前記平板に前記VVC分布を励起させた場合における前記サブスピーカーの振動面に対応する該平板の振動領域の変位方向に応じて、該VVC分布に係る2つのグループのいずれかを設定し、前記信号増幅部は、設定された前記主音量に前記音量重み係数を乗じてなるサブ音量に応じた増幅率で入力された音声信号を増幅し、前記位相補正部は、一方のグループが設定されている場合にのみ音声信号の補正を実施する、スピーカーシステムが提供される。

発明の効果

0009

上述したように、本発明によれば、局所音場を生成するための新規なスピーカーシステムが提供される。

図面の簡単な説明

0010

矩形アルミ平板を加振させた場合の音響放射パワーおよび体積速度と加振周波数の関係を示す図。
矩形のアルミ平板を加振させた場合の振動変位分布放射音圧分布を示す図。
(1,1)+(1,3) VVC分布における反共振周波数77 Hzの正弦波音のエネルギー時間平均流量の数値解析結果を示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの外観図
スピーカーアレイを使用して局所音場を生成する方法を示すフローチャート
本実施形態のスピーカーシステムのアレイ面およびこれと同寸法の平板を示す図。
音量重み係数を定義しグループを決定する方法を説明するための概念図。
本実施形態のスピーカーシステムのサブスピーカーについて定義された音量重み係数のヒストグラムを示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの正弦波音(周波数100 Hz)の放射音圧分布を示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの実装構成を示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの正弦波音(周波数400 Hz)の放射音圧分布を示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの正弦波音(周波数400 Hz、600 Hz、800 Hz)の放射音圧分布を示す図。
矩形のアルミ平板に励起する10種類のVVC分布の振動変位分布を示す図。
矩形のアルミ平板に励起する10種類のVVC分布の音響放射効率周波数特性を示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの実装構成を示す図。
3種類のVVC分布の音響放射パワーの周波数特性を示す図。
本実施形態のスピーカーシステムの実装構成を示す図。

実施例

0011

以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。

0012

最初に、本発明のスピーカーシステムの基本思想について説明する。

0013

図1(a)は、矩形のアルミ平板(0.575 m ×0.945 m ×2 mm、損失係数η=0.001)の周辺単純支持した状態で中央の一点を加振した際に、当該平板より放射される音響放射パワーおよび当該平板の体積速度(振動速度を板全面で積分した値)と加振周波数の関係(数値解析結果)を示す。図1(a)に示すように、平板の振動においては、平板が持つ複数の固有振動数に一致する加振周波数において音響放射パワーのピークが観察されるが、この音響放射パワーの1次と2次のピークの後の加振周波数において音響放射パワーと体積速度が共に極小になっている。

0014

続いて、図1(b)は、上述した平板に(1,1)モードと(1,3)モードのみを励起させた場合の、当該平板より放射される音響放射パワーおよび当該平板の体積速度と加振周波数の関係(数値解析結果)を示す。図1(b)においては、(1,1)モードの共振を示す1次のピークと(1,3)モードの共振を示す2次のピークの後の加振周波数77 Hzにおいて、音響放射パワーと体積速度が共に極小になっていることが見て取れる。このことから、平板の振動において、音響放射パワーと体積速度が共に極小になる現象は、2つの異なる奇数次モード連成によるものと考えられる。以下においては、この現象を「反共振」と呼び、反共振が発現する平板の加振周波数を「反共振周波数」と呼び、2つの異なる奇数次の振動モードが連成した振動分布を「VVC分布(VVC:Volume Velocity Cancelled)」と呼ぶ。

0015

次に、平板にVVC分布のみを励起させた場合の音の減衰について検討する。

0016

図2(a)は、上述した平板に(1,3)モード(固有振動数64 Hz)を励起させた場合の振動変位分布(上段)と正弦波音(周波数77 Hz)の放射音圧分布(下段)の数値解析結果を示し、図2(b)は、上述した平板に(1,1)モードと(1,3)モードのVVC分布(反共振周波数77 Hz)を励起させた場合の振動変位分布(上段)と正弦波音(反共振周波数77 Hz)の放射音圧分布(下段)の数値解析結果を示す。図2(a)の放射音圧分布は、VVC分布の放射音圧との比較のため、(1,3)モードのみを使用し、VVC分布が励起される周波数と同じ77Hzで加振したものを示す。なお、以下においては、(1,1)モードと(1,3)モードのVVC分布を(1,1)+(1,3) VVC分布という(他の振動モードの組み合わせについても同様)。

0017

図2(a)(b)の上段を見比べると、(1,1)+(1,3) VVC分布の振動変位分布は、(1,3)モードのそれに比べて中央ノーダルエリアの振幅が増幅され、体積速度が0になっていることが見て取れる。一方、平板から放射された77 Hzの正弦波音の音圧について、図2(a)(b)の下段を見比べると、(1,3)モードでは、平板から0.3 mの観測点で74 dB、1.3 mの観測点で67 dBのレベルを示しており、1 mで7 dBの減衰が生じているのに対し、(1,1)+(1,3) VVC分布では、平板から0.3 mの観測点で74 dB、1.3 mの観測点で48 dBを示しており、1 mで26 dBの減衰が生じていることが見て取れる。

0018

一方、図3は、(1,1)+(1,3) VVC分布における反共振周波数77 Hzの正弦波音のエネルギーの時間平均流量の数値解析結果を示す。図3から、(1,1)+(1,3) VVC分布において、平板の中央部から放射される音のエネルギーが平板の左右の領域において吸い込まれる現象が生じていることが見て取れる。つまり、平板にVVC分布を励起させた場合、当該VVC分布に係る反共振周波数の音は、平板近傍で大幅に減衰して遠距離場まで伝播しない。

0019

これは、VVC分布に係る反共振周波数の音について局所音場が生成されることを意味するが、広い周波数に渡って平板にVVC分布のみを励起させることは通常不可能であり、実際の自然現象では、他の振動モードに係る音の影響で局所音場は生成されない。この点につき、本発明は、スピーカーアレイを使用して所望のVVC分布を模擬することによって任意周波数の局所音場を生成しようとするものである。なお、ここでは、矩形の平板を例にとってVVC分布による局所音場の発現原理を説明したが、VVC分布による局所音場は、円形楕円形多角形など、矩形以外の形状の平板においても発現することに留意されたい。

0020

以上、本発明の基本思想について説明してきたが、続いて、本発明のスピーカーシステムを実施形態に基づいて説明する。

0021

図4は、本発明の実施形態であるスピーカーシステム100の外観を示す。本実施形態のスピーカーシステム100は、矩形のアレイ面102に複数のサブスピーカー10を分散配置してなるスピーカーアレイと、各サブスピーカーの音量と振幅の位相を独立制御するための機構(図示せず)を備える。図4に示す例の場合、スピーカーシステム100は、21個の等価なコーン型のサブスピーカー10が3×7のマトリックス状にエンクロージャに埋め込まれている。ただし、本発明は、サブスピーカー10をコーン型に限定するものではなく、振動面が小さく且つ振動面が分割振動しないものであれば、ホーン型平面型などの他の形式のスピーカーを採用してもよい。また、本発明は、サブスピーカー10の数および配置態様を限定するものではなく、本発明の目的を達成するのに十分な数のサブスピーカー10を略均等に分散配置するものであればよい。

0022

以上、本実施形態のスピーカーシステム100の外観構成を説明したが、続いて、スピーカーアレイを使用して局所音場を生成する方法を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。

0023

(ステップ1)
ステップ1では、スピーカーシステム100のアレイ面102と同寸法の平板を定義する。図6(a)に示すように、スピーカーシステム100のアレイ面102が0.575 m ×0.945 mの矩形の平面であり、アレイ面102に対して半径0.0275 mのサブスピーカー10が所定の間隔(長辺方向:0.135 m、長辺方向:0.27 m)をおいて配置されている場合、ステップ1では、図6(b)に示すように、アレイ面102と同じ面積・形状を有する平板30を定義する。なお、仮に、アレイ面102が矩形以外の形状(円形、楕円形、多角形など)を有する場合は、ステップ1で、その形状を有する平板を定義する。

0024

(ステップ2)
ステップ2では、平板30を所定の境界条件で加振して所望のVVC分布のみを励起させた場合における平板30の振動変位を計算し、平板30の振動変位分布を求める。以下、境界条件として単純支持を採用した場合を例にとって平板30の振動変位の計算手順を説明する。なお、境界条件は、単純支持に限定されないことはいうまでもない。

0025

無限大バフルに埋め込まれた単純支持矩形平板に加振力が作用した場合の平板の運動方程式は下記式(1)のように記述することができる。

0026

0027

なお、平板の曲げ剛性Dは下記式(2)により求まる。

0028

0029

ここで、外力fが正弦波力として平板の(ξ1 , η1)点に作用する時、外力fは下記式(3)として記述することができ、平板変位も同様に変数分離形式で下記式(4)として記述することができる。

0030

0031

次に,上記式(3)および(4)を上記式(1)に代入すると、運動方程式は下記式(5)のようになる。したがって、平板振動変位は、運動方程式の解として下記式(6)として記述することができ、振動速度は下記式(7)となる。

0032

0033

ここで、上記式(6)における、φmn,ωmnは(m,n)次固有関数とその固有角周波数であり、それぞれ、下記式(8)および(9)のように表される。

0034

0035

(ステップ3)
ステップ3では、ステップ2で求めた平板30の振動変位分布に基づいて各サブスピーカー10の振動面に対応する平板30の振動領域の振幅の代表値を算出する。なお、以下では、ステップ2において、平板30に(1,1)+(1,3) VVC分布のみを励起させた場合の振動変位分布を求めた場合について検討する。

0036

図7(b)は、平板30に(1,1)+(1,3) VVC分布のみを励起させた場合の振幅最大時の振動変位分布を示す。ここで、振動変位分布は、Z軸方向に正負の値が定義されており、Z軸の正方向はスピーカーシステム100の出音方向に相当する。なお、図7(b)に示す振動変位分布は、平板30の左右領域が負方向に最大限変位し、中央領域が正方向に最大限変位した瞬間の変位分布を表すものであり、この半周期後には、左右領域と中央領域の変位の方向が反転する。

0037

ステップ3では、まず、図7(a)において、平板30上に破線の円で示すように、スピーカーシステム100の21個のサブスピーカー10の振動面に対応する21個の振動領域を平板30上に定義する。例えば、スピーカーシステム100の5番目のサブスピーカー10の場合、当該サブスピーカー10の振動面に対応する平板30の振動領域は、当該サブスピーカー10のコーンの開口部と同寸法の円形領域R5がこれに相当する。

0038

次に、定義した各振動領域内の複数の観測点S(x,y)における振幅(z)を図7(b)に示す振動変位分布から求め、得られた複数の振幅(z)の代表値を算出する。ここで、代表値とは、例えば、得られた複数の振幅(z)の平均値である。

0039

(ステップ4)
ステップ4では、ステップ3で求めた振動領域の変位方向に応じて当該振動領域に対応するサブスピーカー10を2つのグループに分ける。具体的には、図7(b)に示す振動変位分布に基づいて各振動領域の振幅の代表値を算出した場合、5番目のサブスピーカー10に対応する振動領域R5の代表値は負の値を取るので、振動領域R5の変位方向は負方向であり、11番目のサブスピーカー10に対応する振動領域R11の代表値は正の値を取るので、振動領域R11の変位方向は正方向である。この場合、例えば、11番目のサブスピーカー10の帰属を第1のグループとし、5番目のサブスピーカー10の帰属を第2のグループとする。他のサブスピーカー10についても、同様の観点から、第1または第2のグループのいずれかに分ける。

0040

(ステップ5)
ステップ5では、ステップ3で求めた21個の振動領域の振幅の代表値を適切な方法で正規化してサブスピーカー10の音量重み係数αを定義する。具体的には、各振動領域の代表値から正負の符号を取って絶対値とし、例えば、各絶対値を21個の絶対値の中の最大値で割って正規化し、その正規化した値を当該振動領域に対応するサブスピーカー10の音量重み係数αとする。

0041

(ステップ6)
ステップ6では、スピーカーシステム100に設定された主音量に各サブスピーカー10の音量重み係数αを乗じた値を当該サブスピーカー10の音量として決定する。例えば、スピーカーシステム100の主音量が「1」に設定された場合、音量重み係数αが「0.5」に定義されたサブスピーカー10の音量は、「1×0.5=0.5」に設定される。なお、以下においては、サブスピーカー10の音量を「サブ音量」という。

0042

(ステップ7)
最後に、ステップ7では、ステップ6で設定した音量でサブスピーカー10から音声を出力する。このとき、第1のグループに属するサブスピーカー10への入力音声信号と第2のグループに属するサブスピーカー10への入力音声信号の位相が180度ずれるように制御して各サブスピーカー10から音声を出力する。

0043

図8は、スピーカーシステム100のスピーカーアレイを構成する21個のサブスピーカー10について定義された音量重み係数αのヒストグラムを示す。なお、図8は、スピーカーシステム100の主音量が「1」に設定された場合に21個のサブスピーカー10の音量に設定されるサブ音量のヒストグラムとして見ることもできる。なお、図8においては、棒グラフがゼロ平面の上下に伸びているが、これは、第1のグループ(G1)に属する9個のサブスピーカー10(符号7〜12)への入力音声信号と第2のグループ(G2)に属する12個のサブスピーカー10(符号1〜6、符号16〜21)の振動の位相が180度ずれていることを表している。

0044

図9は、図6(a)に示すスピーカーシステム100を上述した方法で制御した場合の周波数100 Hzの正弦波音の放射音圧分布の数値解析結果を示す。なお、図9に示す●はサブスピーカー10の配置位置に対応している(後の図11、12において同様)。図9に示すように、スピーカーシステム100のアレイ面から放射された周波数100 Hzの正弦波音の音圧がアレイ面から0.3 mの観測点で67 dB、1.3 m離れた観測点では43 dBまで減衰しており、局所音場が生成されていることが見て取れる。ここで、留意すべきは、スピーカーシステム100の場合、(1,1)+(1,3) VVC分布に係る反共振周波数77 Hzから外れた周波数100 Hzの音について局所音場が生成されている点である。

0045

以上、本実施形態のスピーカーシステム100を使用して局所音場を生成する方法について説明してきたが、続いて、上述した方法を実現するための第1の実装形態について説明する。

0046

図10は、スピーカーシステム100の第1の実装構成を示す。図10に示すように、スピーカーシステム100は、主音量設定部110と信号分配部120を備えている。さらに、スピーカーシステム100は、21個のサブスピーカー10のそれぞれの前段に固有の信号処理部20を備えており、各信号処理部20は、信号増幅部22、位相補正部24およびパワーアンプ26を備えている。

0047

ここで、本実施形態においては、各サブスピーカー10に対応する信号処理部20の信号増幅部22に当該サブスピーカー10について定義された音量重み係数αを設定しておく。また、本実施形態においては、各サブスピーカー10に対応する信号処理部20の位相補正部24に当該サブスピーカー10が属するグループの識別子(以下、グループ識別子という)を設定しておく。

0048

図10に示す例では、サブスピーカー10aに対応する信号処理部20の信号増幅部22aに音量重み係数αとして[0.1]が設定され、位相補正部24aにグループ識別子として[2]が設定されている。同様に、サブスピーカー10bに対応する信号処理部20の信号増幅部22bに音量重み係数αとして[1.0]が設定され、位相補正部24bにグループ識別子として[1]が設定されており、サブスピーカー10cに対応する信号処理部20の信号増幅部22cに音量重み係数αとして[0.5]が設定され、位相補正部24cにグループ識別子として[2]が設定されている。

0049

スピーカーシステム100の主音量が設定されると、これを受けて、主音量設定部110は、その設定量を21個の信号処理部20に対して一斉に設定する。一方、スピーカーシステム100に音声信号が入力されると、これを受けて、信号分配部120は、その音声信号を21個の信号処理部20に対して同一信号を一斉に出力する。

0050

各信号処理部20に主音量設定部110から主音量が設定されると、信号増幅部22は、設定された主音量に音量重み係数αを乗じた値をサブ音量として決定する。そして、信号増幅部22は、信号分配部120から入力される音声信号を決定したサブ音量に応じた増幅率で増幅し、増幅した音声信号を後段の位相補正部24に出力する。

0051

図10に示す例では、サブスピーカー10aの信号増幅部22aは、主音量設定部110から入力された主音量[5.0]に音量重み係数α[0.1]を乗じた値[0.5]をサブスピーカー10aのサブ音量として決定している。そして、信号増幅部22aは、信号分配部120から入力された音声信号を決定したサブ音量[0.5]に応じた増幅率で増幅し、増幅した音声信号を位相補正部24aに出力している。同様に、サブスピーカー10bの信号増幅部22bは、主音量[5.0]に音量重み係数α[1.0]を乗じた値[5.0]をサブスピーカー10bのサブ音量として決定し、入力された音声信号をサブ音量[5.0]に応じた増幅率で増幅して位相補正部24bに出力しており、サブスピーカー10cの信号増幅部22aは、主音量[5.0]に音量重み係数α[0.5]を乗じた値[2.5]をサブスピーカー10cのサブ音量として決定し、入力された音声信号をサブ音量[2.5]に応じた増幅率で増幅して位相補正部24cに出力している。

0052

一方、各信号処理部20の位相補正部24は、自身に設定されたグループ識別子に基づき、必要に応じて、信号増幅部22から入力された音声信号の位相を遅延させる補正を行った後、当該音声信号を後段のパワーアンプ26に出力する。これを受けて、パワーアンプ26は、入力された音声信号を電流増幅してサブスピーカー10に入力し、サブスピーカー10は、入力された音声信号に基づいて音声を出力する。

0053

図10に示す例では、グループ識別子Gとして[2]が設定されている位相補正部24aおよび位相補正部24cが入力された音声信号の位相を180度遅延させる補正を実施した後、補正後の音声信号をパワーアンプ26aおよびパワーアンプ26cに出力する。一方、グループ識別子Gとして[1]が設定されている位相補正部24bは、補正を実施せず、入力された音声信号をそのままパワーアンプ26bに出力する。その結果、第1のグループ(G1)に属するサブスピーカー10bへの入力音声信号と、第2のグループ(G2)に属するサブスピーカー10aおよび10cへの入力音声信号の位相が180度ずれるようになる。

0054

なお、同じ目的を達成するために、別法として、位相補正部24aおよび位相補正部24cが補正を実施せず、位相補正部24bが補正を実施するようにしてもよいことはいうまでもない。要するに、本実施形態においては、2つのグループ識別子のうち、いずれか一方のグループ識別子が設定された位相補正部24のみが補正を実施し、他方のグループ識別子が設定された位相補正部24は補正を実施しないようにすればよい。さらなる別法として、補正を実施しない方のグループ識別子が設定される位相補正部24をそもそも最初から設けないようにしてもよい。

0055

以上、スピーカーシステム100の第1の実装形態を示す説明してきたが、続いて、第2の実装形態について説明する。

0056

図11は、図6(a)に示すスピーカーアレイを使用して反共振周波数77 Hzの(1,1)+(1,3) VVC分布を模擬した場合の周波数400 Hzの正弦波音の放射音圧分布の数値解析結果を示す。図11に示すように、スピーカーシステム100のアレイ面から放射された周波数400 Hzの正弦波音の音圧がアレイ面から0.3mの観測点で71 dB、1.3 m離れた観測点で50 dBを示しており、図9に示した周波数100 Hzの正弦波音に係る結果(1mで26 dBの減衰)と比較して減衰作用が低下していることが見て取れる。このような減衰作用の低下は、模擬する(1,1)+(1,3) VVC分布の曲げ波波長に対して音の波長が短くなることで指向性が強くなることが原因と考えられる。

0057

一方、図12は、図6(a)に示すスピーカーアレイを使用して反共振周波数470 Hzの(1,5)+(1,7) VVC分布を模擬した場合の3種類の正弦波音(周波数400 Hz、600 Hz、800 Hz)の放射音圧分布の数値解析結果を示す。図12に示す結果は、(1,5)+(1,7) VVC分布を模擬することで高周波数帯域(400 Hz 〜 800 Hz)の局所音場が生成されることを意味する。

0058

一方、図13は、図6(b)に示す平板30に10種類の異なるVVC分布を励起させた場合の振動変位分布を示し、図14は、各VVC分布の音響放射効率の周波数特性を示す。図14に示すように、連成する奇数次モードがより高次になるほど、音響放射効率がより高周波数側でノッチを打っている。

0059

このことは、模擬するVVC分布の種類によって異なる周波数帯域の局所音場が生成されることを意味し、さらに、そこから、2以上のVVC分布を同時的に模擬すれば、より広い周波数帯域の局所音場が生成されることが導出される。

0060

この点につき、以下では、2以上のVVC分布を同時的に模擬するためのスピーカーシステム100の実装形態について説明する。

0061

図15は、低周波数帯域に対応する第1のVVC分布(例えば、反共振周波数77 Hzの(1,1)+(1,3) VVC分布)と高周波数帯域に対応する第2のVVC分布(例えば、反共振周波数470 Hzの(1,5)+(1,7) VVC分布)を同時的に模擬するためのスピーカーシステム100の実装形態を示す。なお、以下においては、図10に示した要素と共通する内容については、適宜、その説明を省略する。

0062

図15に示すように、スピーカーシステム100は、主音量設定部110、信号分配部120に加え、帯域分離部130を備えている。さらに、各信号処理部20は、信号増幅部22、位相補正部24、パワーアンプ26に加え、信号重畳部28を備えている。

0063

帯域分離部130は、スピーカーシステム100に入力される音声信号を第1のVVC分布に対応する低周波数帯域成分と第2のVVC分布に対応する高周波数帯域成分に分離して信号分配部120に出力する。これを受けて、信号分配部120は、低周波数帯域成分および高周波数帯域成分を21個の信号処理部20に一斉に出力する。

0064

ここで、各信号処理部20は、2種類のVVC分布(すなわち、2種類の周波数帯域成分)に対応する2つの信号増幅部22を備えており、第1の信号増幅部22には、第1のVVC分布に係る振動変位分布に基づいて定義された音量重み係数αが設定され、第2の信号増幅部22には、第2のVVC分布に係る振動変位分布に基づいて定義された音量重み係数αが設定される。

0065

また、各信号処理部20は、2つのVVC分布(すなわち、2種類の周波数帯域成分)に対応する2つの位相補正部24を備えており、第1の位相補正部24には、第1のVVC分布に係る振動変位分布に基づいて決定されたグループの識別子が設定され、第2の位相補正部24には、第1のVVC分布に係る振動変位分布に基づいて決定されたグループの識別子が設定される。

0066

図15に示す例では、サブスピーカー10aに関し、第1の信号増幅部22a−1に音量重み係数αとして[1.0]が設定され、第1の位相補正部24a−1にグループ識別子として[1]が設定され、第2の信号増幅部22a−2に音量重み係数αとして[0.5]が設定され、第2の位相補正部24a−2にグループ識別子として[3]が設定されている。同様に、サブスピーカー10bに関し、第1の信号増幅部22b−1に音量重み係数αとして[0.5]が設定され、第1の位相補正部24b−1にグループ識別子として[2]が設定され、第2の信号増幅部22b−2に音量重み係数αとして[1.0]が設定され、第2の位相補正部24b−2にグループ識別子として[4]が設定されている。

0067

スピーカーシステム100の主音量が設定されると、これを受けて、主音量設定部110は、その設定量を21個の信号処理部20に一斉に設定する。各信号処理部20の2つの信号増幅部22は、主音量設定部110から入力された主音量に基づいてサブ音量を決定する。

0068

そして、第1および第2の信号増幅部22は、それぞれ、入力された音声信号を決定したサブ音量に応じた増幅率で増幅し、増幅した音声信号を後段の位相補正部24に出力する。

0069

図15に示す例では、サブスピーカー10aに係る第1の信号増幅部22a−1は、主音量[5.0]に予め設定された音量重み係数α[1.0]を乗じた値[5.0]を低周波数帯域のサブ音量として決定し、信号分配部120から入力された低周波数帯域の音声信号を決定したサブ音量[5.0]に応じた増幅率で増幅して第1の位相補正部24a−1に出力している。一方、サブスピーカー10aに係る第2の信号増幅部22a−2は、主音量[5.0]に予め設定された音量重み係数α[0.1]を乗じた値[0.5]を高周波数帯域のサブ音量として決定し、信号分配部120から入力された高周波数帯域の音声信号を決定したサブ音量[0.5]に応じた増幅率で増幅して第2の位相補正部24a−2に出力している。

0070

同様に、サブスピーカー10bに係る第1の信号増幅部22b−1は、主音量[5.0]に予め設定された音量重み係数α[0.1]を乗じた値[0.5]を低周波数帯域成分のサブ音量として決定し、信号分配部120から入力された低周波数帯域の音声信号を決定したサブ音量[0.5]に応じた増幅率で増幅して第1の位相補正部24b−1に出力している。一方、サブスピーカー10bに係る第2の信号増幅部22b−2は、主音量[5.0]に予め設定された音量重み係数α[1.0]を乗じた値[5.0]を高周波数帯域成分のサブ音量として決定し、信号分配部120から入力された高周波数帯域の音声信号を決定したサブ音量[5.0]に応じた増幅率で増幅して第2の位相補正部24a−2に出力している。

0071

一方、各信号処理部20の第1および第2の位相補正部24は、それぞれ、第1および第2の信号増幅部22から増幅後の音声信号が入力されると、自身に設定されたグループ識別子に基づき、必要に応じて、入力された音声信号の位相を遅延させる補正を実施した後、当該音声信号を後段の信号重畳部28に出力する。

0072

図15に示す例では、グループ識別子Gとして[2]が設定されている位相補正部24a−2および位相補正部24b−1が入力された音声信号の位相を180度遅延させる補正を実施する一方で、グループ識別子Gとして[1]が設定されている位相補正部24a−1および位相補正部24b−2は、補正を実施せず、入力された音声信号をそのまま信号重畳部28aおよび28bに出力する。

0073

各信号処理部20の信号重畳部28は、第1の位相補正部24から入力された低周波数帯域の音声信号と第2の位相補正部24から入力された高周波数帯域の音声信号を重畳し、重畳した音声信号をパワーアンプ26に出力する。

0074

図15に示す例では、信号重畳部28aは、第1の位相補正部24a−1から入力された低周波数帯域の音声信号と第2の位相補正部24a−2から入力された高周波数帯域の音声信号を重畳し、パワーアンプ26aに出力する。これを受けて、パワーアンプ26aは、入力された音声信号を電流増幅してサブスピーカー10aに入力し、サブスピーカー10aは、入力された音声信号に基づいて音声を出力する。同様に、信号重畳部28bは、第1の位相補正部24b−1から入力された低周波数帯域の音声信号と第2の位相補正部24b−2から入力された高周波数帯域の音声信号を重畳し、パワーアンプ26bに出力する。これを受けて、パワーアンプ26bは、入力された音声信号を電流増幅してサブスピーカー10bに入力し、サブスピーカー10bは、入力された音声信号に基づいて音声を出力する。

0075

その結果、第1のグループ(G1)に属するサブスピーカー10aへの入力音声信号の低周波数成分と、第2のグループ(G2)に属するサブスピーカー10bへの入力音声信号の低周波数成分の位相が180度ずれるようになる。同じく、第1のグループ(G1)に属するサブスピーカー10bへの入力音声信号の高周波数成分と、第2のグループ(G2)に属するサブスピーカー10aへの入力音声信号の高周波数成分の位相が180度ずれるようになる。

0076

なお、図10について説明したように、上述した態様に限らず、いずれか一方のグループ識別子が設定された位相補正部24のみが補正を実施するようにすればよく、補正を実施しない方のグループ識別子が設定される位相補正部24をそもそも最初から設けないようにしてもよい。

0077

また、図15は、紙面都合上、帯域分離部130が音声信号を2つの周波数帯域に分離する態様を示したが、帯域分離部130が音声信号をN個(Nは2以上の整数)の周波数帯域成分に分離する場合は、各信号処理部20に、N個の周波数帯域成分のそれぞれを増幅するためのN個の信号増幅部22と、N個の信号増幅部が増幅した周波数帯域成分のそれぞれの位相を180度遅延させる補正を実施するためのN個の位相補正部24が用意されることになる。なお、その場合の信号処理の内容については、当業者であれば、上述した説明内容から演繹的に理解するところであるので、これ以上の説明を省略する。

0078

以上、スピーカーシステム100の第2の実装形態について説明してきたが、次に、第3の実装形態について説明する。

0079

図16は、上述したスピーカーアレイでVVC分布を模擬した際の音響放射パワーの周波数特性を示し、図16(a)、(b)および(c)は、それぞれ、(1,1)+(1,3) VVC分布、(1,3)+(1,5) VVC分布および(1,5)+(1,7) VVC分布を模擬した場合の結果を示す。図16に示すように、スピーカアレイでVVC分布を模擬した際の音響放射パワーは周波数が高くなるほど大きくなっており、周波数が高くなるほど音の減衰作用が小さくなることが見て取れる。

0080

この点につき、以下では、模擬するVVC分布に係る音響放射パワーの周波数特性に応じて出力信号平準化するためのスピーカーシステム100の実装形態について説明する。

0081

図17は、スピーカーシステム100の第3の実装形態を示す。なお、以下においては、図15に示した要素と共通する内容については、適宜、その説明を省略する。

0082

図15において上述したように、各信号処理部20は、2つのVVC分布(すなわち、2種類の周波数帯域成分)に対応する2つの信号増幅部22を備えているところ、本実装形態においては、各信号増幅部22の前段に平準化部29が設けられる。ここで、平準化部29は、周波数成分ごとに音の減衰作用がばらつくのを抑えるための機能部であり、信号分配部120から入力される入力信号に対して、模擬するVVC分布に係る音響放射パワーの周波数特性の逆数乗算するフィルタとして機能する。

0083

例えば、低周波数帯域(50〜400 Hz)の局所音場を(1,1)+(1,3) VVC分布の模擬で実現する場合、平準化部29a−1および平準化部29b−1は、図16(a)に示す音響放射パワーの値を400 Hzの値(最大値)で除算した値の逆数を信号分配部120から入力される入力信号に掛け合わせる。例えば、高周波数帯域(400〜800 Hz)の局所音場を(1,5)+(1,7) VVC分布の模擬で実現する場合、平準化部29a−2および平準化部29b−2は、図16(c)に示す音響放射パワーの値を800 Hzの値(最大値)で除算した値の逆数を信号分配部120から入力される入力信号に掛け合わせる。

0084

上述した第3の実装形態によれば、信号増幅部22から出力される出力信号が平準化されるので、周波数成分ごとに音の減衰作用がばらつくことが抑制される。なお、図17においては、平準化部29を信号増幅部22の前段に設ける構成を例示的に示したが、平準化部29は、信号増幅部22の後段に設けるようにしてもよいし、位相補正部24の後段に設けるようにしてもよい。

0085

以上、説明したように、本実施形態によれば、スピーカーアレイを使用して任意周波数の局所音場を生成することができる。

0086

以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。

0087

10…サブスピーカー
20…信号処理部
22…信号増幅部
24…位相補正部
26…パワーアンプ
28…信号重畳部
29…平準化部
30…平板
100…スピーカーシステム
102…アレイ面
110…主音量設定部
120…信号分配部
130…帯域分離部

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