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技術 捩り振動低減装置

出願人 ヴァレオカペックジャパン株式会社
発明者 藤田司山本喜誉司
出願日 2015年1月23日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-011635
公開日 2016年7月28日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-136051
状態 特許登録済
技術分野 防振装置 流体伝動装置の形式及びその他伝動装置との組み合わせ
主要キーワード 形状一体 余裕角度 左右両回転 正逆反対 逃げ構造 回転余裕 バネ弾性力 凸型構造
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課題

従来の入力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、且つ部品点数を増加させずに、ダンパー一体としての強度・剛性を確保しつつ、入力部材及び出力部材回転駆動における相対回転回転余裕を効果的に設定できる篏合構造を提供すること。

解決手段

第1及び第2の入力側回転部材の形状を同一形状とし両部材締結固定するリベット穴位置を複数隣接して等間隔に設定し選択使用することにより、出力側回転部材の相対回転に対する回転余裕度左右両回転に対して任意に確保することができる。

概要

背景

捩り振動低減装置であるダンパー(以降、具体的にはダンパーと称する。)は、エンジン動力伝達軸に連結される入力側回転部材ドライブプレート及びサイドプレート)と、トルクコンバータタービンに連結される出力側回転部材ハブクラッチ)と、これらの入力側回転部材と出力側回転部材とを回転方向弾性的に連結するとともに円周方向に沿って配置されたトーションスプリングと、トーションスプリングを直列作動させる中間部材バックプレート)とにより構成されている。(上記の入力側回転部材と出力側回転部材における「入力」及び「出力」の表現は便宜的なものであり、どちらか一方が「入力」であって他方が「出力」であれば技術上差支えない。)

トルクコンバータのダンパーは、走行状態に応じてエンジンとトランスミッションとを直結し、エンジン駆動により伝達される振動を吸収する捩り振動低減装置としての機能を果たしている。入力側回転部材は、内燃機関(エンジン)のクランクシャフト伝動装置入力軸との間にあって、入力側のトルクを与える部材をいい、たとえばドライブプレート及び/もしくはサイドプレートによって実現されるものである。材質・形状に特に制限はないが、回転に耐えうる一定以上の剛性を有する材料であって回転運動適合するような平面視略円形円盤状)の形状によってなるのが望ましい。

出力側回転部材は、入力側からのトルクが伝達される出力側の部材をいい、たとえばハブクラッチによって実現されるものである。材質・形状に特に制限はないが、回転による振動に耐えうる一定以上の剛性を有する材料、回転運動に適合するような平面視略円形(円盤状)の形状によってなるのが望ましい。入力側回転部材と出力側回転部材とは相対回転可能に配設される。

上記回転部材は円周面上にばね収容部を有し、入力側回転部材及び出力側回転部材が相対回転の動きをする際にこれに連動して伸縮運動を行うばね(トーションスプリング)が収容される機能を持つ。詳細には、上記回転部材は、かかるトーションスプリングが当接する当接部を両端部に備えている。

これらの部材は、エンジン駆動に伴う高速から低速までを任意変動する回転トルクを、トーションスプリングの緩衝を介して捩り振動を吸収しながら適時伝達しなければならないため、高度な剛性を必要とする。また同時に正負回転方向の変化にも対応して逐次機能を発揮するための構造寸法の確保及び安定性及び長期信頼性が要求される。

特に入力側回転部材であるドライブプレート及びサイドプレートは、入力された回転トルクを減衰させることなくスムースに伝達させるため、強固な嵌合固定による一体化回転軸方向及び垂直方向に対して均等な質量バランスが要求される。

また上述のような構造を有するダンパー構造において、トルク伝達軸回転中心として効率的に回転トルクを伝達しつつ、入力側回転部材と出力側回転部材との相対回転を可能とするためには、両部材の回転軸に対する相対回転の可能な角度(自由度)を十分にとることが望ましい。しかしこの自由度は上記トーションスプリングの配置や接合のためのリベットの位置によって大きな制約を受けるため、ダンパーを構成する各部材の形状及び構造において様々な技術検討が成されている。

特許文献1(特開2014−145377号公報)には、入力側回転部材であるドライブプレートとサイドプレートをほぼ同一形状とし、それらの一方に凸型構造リブを設け、他方にリブ篏合用開口部を設けることによって、両プレートが対向面合わせの状態で出力回転部材であるハブクラッチを中間に内包する構造について技術思想が開示されている。

この凸型構造リブがリブ篏合用開口部に嵌合接合されることにより、ドライブプレート及びサイドプレートは入力側回転部材として一体化される。凸型構造リブ及びリブ篏合用開口部は共に同一形状の入力側回転部材の基礎形状部材からプレス加工によって簡易製造加工することができる。しかし、この方法ではドライブプレート及びサイドプレートは完全な同一形状ではないため、製造工程上、同一部材として部材統合共通部品化)を図ることはできない。

また特許文献2(特開2013−217450号公報)には、入力側回転部材であるドライブプレートとサイドプレートを同一形状とし、出力側回転部材であるハブクラッチを介在して対向面を合せる構造を有する捩り振動低減装置について技術思想が開示されている。

しかし、この技術思想は、2枚の出力側回転部材を接合固定するためのリベットの固定部を円周上の最外周側に配置させることにより、大小2種類のトーションスプリングの配置の自由度を拡大させ、且つハブクラッチのリベット逃げ構造をなくすことが主な目的となっている。このため、2枚の出力側回転部材同士の内周側における接合固定力に若干の脆弱性が残り、回転軸方向への両プレートの膨潤及び収縮力に対しては構造的に弱い。また本技術思想には、ハブクラッチの相対回転の左右回転方向の違いによって回転自由度を選択設定する等の技術思想は含まれていない。

上記のように、入力側回転部材及び出力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、且つ部品点数を削減させ、捩り振動低減装置一体としての強度・剛性を十分に確保しつつ、入力側回転部材及び出力側回転部材の回転駆動における相対的左右回転の自由度を確保できるダンパー構造の開発が望まれている。

概要

従来の入力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、且つ部品点数を増加させずに、ダンパー一体としての強度・剛性を確保しつつ、入力部材及び出力部材の回転駆動における相対回転の回転余裕を効果的に設定できる篏合構造を提供すること。第1及び第2の入力側回転部材の形状を同一形状とし両部材を締結固定するリベット穴位置を複数隣接して等間隔に設定し選択使用することにより、出力側回転部材の相対回転に対する回転余裕度左右両回転に対して任意に確保することができる。

目的

上記のように、入力側回転部材及び出力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、且つ部品点数を削減させ、捩り振動低減装置一体としての強度・剛性を十分に確保しつつ、入力側回転部材及び出力側回転部材の回転駆動における相対的左右回転の自由度を確保できるダンパー構造の開発が望まれている

効果

実績

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請求項1

同一形状であって互いに向かい合う略円リング状の第1及び第2の入力側回転部材と、前記第1及び第2の入力側回転部材の間に挟まれ略同心状にかつ正逆反対方向に相対回転可能に配置された略円盤リング状の出力側回転部材と、前記第1及び/もしくは第2の入力側回転部材及び前記出力側回転部材の円周方向に略等間隔に形成され、両者の相対回転方向両端部をばね受け部とするばね収容部と、前記ばね収容部に収容されるばねとを具備する捩り振動低減装置であって、前記第1入力側回転部材と第2の入力側回転部材とのリベット固定において1のリベット固定に対してリベット固定用穴が同一半径円周上に隣接して2以上を有し、いずれかのリベット固定穴を選択することにより前記出力側回転部材の前記第1及び第2の入力回転部材に対する相対回転可能範囲を対称又は非対称にすることを選択可能としたことを特徴とする捩り振動低減装置。

請求項2

前記第1入力側回転部材と第2の入力側回転部材とのリベット固定において、前記出力側回転部材の外周に均等角に形成された複数の突起部同士の間隔の同一半径円周上であって略中央部に前記複数のリベット穴中心穴を有し、リベット固定の際いずれか又は複数のリベット固定穴を選択することにより、前記出力側回転部材の前記第1及び第2の入力回転部材に対する相対回転可能範囲を対称又は非対称にすることを選択可能としたことを特徴とする請求項1に記載の捩り振動低減装置。

技術分野

0001

本発明は、自動車原動機であるエンジン動力伝達装置であるトランスミッションとの間に配設されるトルクコンバータダンパーと称される捩り振動低減装置に関する。

背景技術

0002

捩り振動低減装置であるダンパー(以降、具体的にはダンパーと称する。)は、エンジンの動力伝達軸に連結される入力側回転部材ドライブプレート及びサイドプレート)と、トルクコンバータのタービンに連結される出力側回転部材ハブクラッチ)と、これらの入力側回転部材と出力側回転部材とを回転方向弾性的に連結するとともに円周方向に沿って配置されたトーションスプリングと、トーションスプリングを直列作動させる中間部材バックプレート)とにより構成されている。(上記の入力側回転部材と出力側回転部材における「入力」及び「出力」の表現は便宜的なものであり、どちらか一方が「入力」であって他方が「出力」であれば技術上差支えない。)

0003

トルクコンバータのダンパーは、走行状態に応じてエンジンとトランスミッションとを直結し、エンジン駆動により伝達される振動を吸収する捩り振動低減装置としての機能を果たしている。入力側回転部材は、内燃機関(エンジン)のクランクシャフト伝動装置入力軸との間にあって、入力側のトルクを与える部材をいい、たとえばドライブプレート及び/もしくはサイドプレートによって実現されるものである。材質・形状に特に制限はないが、回転に耐えうる一定以上の剛性を有する材料であって回転運動適合するような平面視略円形円盤状)の形状によってなるのが望ましい。

0004

出力側回転部材は、入力側からのトルクが伝達される出力側の部材をいい、たとえばハブクラッチによって実現されるものである。材質・形状に特に制限はないが、回転による振動に耐えうる一定以上の剛性を有する材料、回転運動に適合するような平面視略円形(円盤状)の形状によってなるのが望ましい。入力側回転部材と出力側回転部材とは相対回転可能に配設される。

0005

上記回転部材は円周面上にばね収容部を有し、入力側回転部材及び出力側回転部材が相対回転の動きをする際にこれに連動して伸縮運動を行うばね(トーションスプリング)が収容される機能を持つ。詳細には、上記回転部材は、かかるトーションスプリングが当接する当接部を両端部に備えている。

0006

これらの部材は、エンジン駆動に伴う高速から低速までを任意変動する回転トルクを、トーションスプリングの緩衝を介して捩り振動を吸収しながら適時伝達しなければならないため、高度な剛性を必要とする。また同時に正負回転方向の変化にも対応して逐次機能を発揮するための構造寸法の確保及び安定性及び長期信頼性が要求される。

0007

特に入力側回転部材であるドライブプレート及びサイドプレートは、入力された回転トルクを減衰させることなくスムースに伝達させるため、強固な嵌合固定による一体化回転軸方向及び垂直方向に対して均等な質量バランスが要求される。

0008

また上述のような構造を有するダンパー構造において、トルク伝達軸回転中心として効率的に回転トルクを伝達しつつ、入力側回転部材と出力側回転部材との相対回転を可能とするためには、両部材の回転軸に対する相対回転の可能な角度(自由度)を十分にとることが望ましい。しかしこの自由度は上記トーションスプリングの配置や接合のためのリベットの位置によって大きな制約を受けるため、ダンパーを構成する各部材の形状及び構造において様々な技術検討が成されている。

0009

特許文献1(特開2014−145377号公報)には、入力側回転部材であるドライブプレートとサイドプレートをほぼ同一形状とし、それらの一方に凸型構造リブを設け、他方にリブ篏合用開口部を設けることによって、両プレートが対向面合わせの状態で出力回転部材であるハブクラッチを中間に内包する構造について技術思想が開示されている。

0010

この凸型構造リブがリブ篏合用開口部に嵌合接合されることにより、ドライブプレート及びサイドプレートは入力側回転部材として一体化される。凸型構造リブ及びリブ篏合用開口部は共に同一形状の入力側回転部材の基礎形状部材からプレス加工によって簡易製造加工することができる。しかし、この方法ではドライブプレート及びサイドプレートは完全な同一形状ではないため、製造工程上、同一部材として部材統合共通部品化)を図ることはできない。

0011

また特許文献2(特開2013−217450号公報)には、入力側回転部材であるドライブプレートとサイドプレートを同一形状とし、出力側回転部材であるハブクラッチを介在して対向面を合せる構造を有する捩り振動低減装置について技術思想が開示されている。

0012

しかし、この技術思想は、2枚の出力側回転部材を接合固定するためのリベットの固定部を円周上の最外周側に配置させることにより、大小2種類のトーションスプリングの配置の自由度を拡大させ、且つハブクラッチのリベット逃げ構造をなくすことが主な目的となっている。このため、2枚の出力側回転部材同士の内周側における接合固定力に若干の脆弱性が残り、回転軸方向への両プレートの膨潤及び収縮力に対しては構造的に弱い。また本技術思想には、ハブクラッチの相対回転の左右回転方向の違いによって回転自由度を選択設定する等の技術思想は含まれていない。

0013

上記のように、入力側回転部材及び出力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、且つ部品点数を削減させ、捩り振動低減装置一体としての強度・剛性を十分に確保しつつ、入力側回転部材及び出力側回転部材の回転駆動における相対的左右回転の自由度を確保できるダンパー構造の開発が望まれている。

先行技術

0014

特開2014−145377号公報
特開2013−217450号公報

発明が解決しようとする課題

0015

エンジン出力伝達機構であるトルクコンバータ内の捩り振動低減装置ダンパーは、略円リング形状の入力回転部材と出力回転部材で構成され、両回転部材の相対回転が可能な構造を有することにより介在するバネ等の弾性力を利用して捩り振動を吸収する機能を発揮する。急激な回転トルクを円滑に出力側に伝達するためには、捩り振動低減装置全体としての十分な強度及び剛性が必要であり、回転部材の円周内側でのリベット等による接合固定が必要であった。しかし、複数のリベット固定は、逆に両回転部材の相対的な左右回転の回転角(自由度)を制限し、トーションスプリング等の配置や数をも制限していた。

0016

本発明はこうした従来技術上の問題点を解決することを企図したものであり、従来の入力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、且つ部品点数を増加させずに、ダンパー一体としての強度・剛性を確保しつつ、入力側回転部材及び出力側回転部材の回転駆動における相対的左右回転の自由度を確保できる篏合構造を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0017

かかる課題を解決するために、本願発明に係る捩り振動低減装置は、
同一形状であって互いに向かい合う略円盤リング状の第1及び第2の入力側回転部材と、
前記第1及び第2の入力側回転部材の間に挟まれ略同心状にかつ正逆反対方向に相対回転可能に配置された略円盤リング状の出力側回転部材と、
前記第1及び/もしくは第2の入力側回転部材及び前記出力側回転部材の円周方向に略等間隔に形成され、両者の相対回転方向両端部をばね受け部とするばね収容部と、
前記ばね収容部に収容されるばねと、
具備して構成され、
前記第1入力側回転部材と第2の入力側回転部材とのリベット固定において1のリベット固定に対してリベット固定用穴が同一半径円周上に隣接して2以上を有し、
いずれかのリベット固定穴を選択することにより前記出力側回転部材の前記第1及び第2の入力回転部材に対する相対回転可能範囲を対称又は非対称にすることを選択可能としたこと
に特徴を有する。

0018

以降、上記の第1の入力側回転部材をドライブプレートと称し、第2の入力側回転部材をサイドプレートと称する。また、以降、出力側回転部材をハブクラッチと称する。

0019

本は発明に係る捩り振動低減装置は、入力側回転部材であるドライブプレートとサイドプレートが同一形状であり、それらが相対向するように出力側回転部材であるハブクラッチを挟み込みリベット等により固定されるため、出力側回転部材に対する入力側回転部材の回転軸方向の及び垂直方向の質量バランスが均一となり、回転における歪み変形力の発生を最小限に制限することができる。つまり急激な回転トルク発生や予想を超えた急激なトルク変動に対しても回転駆動において軸方向の振動、ブレ、たわみを最小限にすることができる。

0020

従来のドライブプレート及びサイドプレート構造である材質、大きさ、厚さ、形状のままで十分耐え得ることができ、トルクコンバータの軽量化、低コスト化そして長期安定性に大いに貢献できる。

0021

またドライブプレート及びサイドプレートの部材製造においても、従来のように形状の相違する2部品を製造するのに比較して、一種類の入力側回転部材を2個製造すればよく、大きな製造コストの低減及び部品点数の削減及び管理コストの低減につながる。

0022

本は発明に係る捩り振動低減装置は、ドライブプレート及びサイドプレートのリベット固定において、1のリベット固定に対してリベット固定用穴が同一半径円周上に隣接して2以上を有し、いずれかのリベット固定穴を選択することにより、出力側回転部材であるハブクラッチのドライブプレート及びサイドプレートに対する相対回転可能範囲を非対称にすることができる。また同様に対称にすることを選択することもできる。

0023

捩り振動低減吸収機能においてハブクラッチは、ドライブプレート及びサイドプレートの入力側回転部材の回転(正回転方向と称する。)に相対して逆回転の動き(相対逆回転と称する。)となる。この際、入力側回転部材の急激な回転駆動に対してはハブクラッチ側の相対した逆回転の動き(回転角度)は必然的に大きくなる。次にハブクラッチの相対逆回転は緩衝バネ(トーションスプリング)の弾性緩衝により反動として今度は正回転方向に回転する。しかしその反動による正回転方向の回転角度は小さくなる。

0024

このように上記の捩り振動低減装置の入力側回転部材と出力側回転部材の特有な相対回転の動きによって捩り振動が減衰されるのであるが、この両回転部材の相対回転に許される回転角(回転自由度)は、当然無限ではなく、入力側回転部材と出力側回転部材との形状及びリベット等の固定位置によって制約を受けるため相対回転角度(回転自由度)は一定の制限を受けている。同様に上記のように反動正回転する回転角度においても制約を受けていることになる。つまりハブクラッチの相対的な逆及び正両回転の回転角度は両入力側回転部材の同一半径円周上に設けられた2か所のリベットに挟まれて制約を受ける。

0025

しかし本発明に係る捩り振動低減装置によれば、ドライブプレートとサイドプレートを締結する1のリベット固定用穴を同一半径円周上に並列して2個ずつ設けているため、実際のリベット固定において、例えば同一半径円周上に並列した2個のリベット穴のうち逆回転方向側のリベット穴を全て選択した場合は、相対逆回転側の回転角を正回転側の回転角より大きく設定することができる。

0026

これにより、入力側回転部材の急激な回転駆動に対してハブクラッチの相対した逆回転の動き(回転角度)は必然的に大きくなるが、その逆回転に対する回転角度(回転自由度)を大きく設定することができ、次にハブクラッチの反動として小さく回転する正回転方向の回転角度(回転自由度)は小さく設定することができる。

0027

つまり本発明に係る捩り振動低減装置は、上記のように、1のリベット固定位置に対してリベット固定用穴が隣接して2以上を有し、いずれかのリベット固定穴を選択することにより、ハブクラッチの入力回転部材に対する相対回転可能範囲を非対称にすることができる。ハブクラッチの大きな相対回転方向の自由度を高め且つ小さな回転方向の自由度を縮小化する択一的設計が可能になる。

0028

またドライブプレート及びサイドプレートの形状を同一で対向面対称にし、リベット固定用穴を同一半径円周上に並列して2か所ずつ設けることにより、リベット固定位置は任意に選択できるにもかかわらず、左右形状対称であるドライブプレート及びサイドプレートの同一性は損なわれないため、同一部品として共用化できることに変わりはない。

0029

同様に、本発明に係る捩り振動低減装置は、ドライブプレート及びサイドプレートの円周面内側のリベット固定を前提としているため、両プレートの円周内側の締結強度は十分に保たれる。つまり両プレートの円周内側における接合固定力の脆弱性及び回転軸方向への両プレートの膨潤及び収縮力に対する危惧は回避することができる。

0030

本発明に係る捩り振動低減装置は、ドライブプレートとサイドプレートとのリベット固定において、ハブクラッチの外周に均等角に形成された複数の突起部同士の間隔の同一半径円周上であって略中央部に複数のリベット穴の中心穴を有し、リベット固定の際いずれか又は複数のリベット固定穴を選択することにより、ハブクラッチのドライブプレート及びサイドプレートに対する左右の相対回転可能範囲を対称又は非対称にすることを選択することができる。

0031

例えば、上記のハブクラッチの突起部同士の間隔の同一半径円周上にある複数のリベット穴の略中央部のリベット穴を選択してリベット固定をした場合及び略中央部のリベット穴から左右等距離にあるリベット穴の二つを選択してリベット固定した場合は、ハブクラッチのドライブプレート及びサイドプレートに対する左右の相対回転可能範囲は同角度であり対称とすることができる。

0032

また、本発明に係る捩り振動低減装置は、急激な回転トルクを受けた入力側回転部材の急激な回転トルクに対して大きな回転角をもって回転しようとする相対的な逆回転に対しては、リベットまでの角度距離を大きく設定し、逆に反動する正回転方向に対する角度距離を小さく設定することができ、設計的自由度が増すことになるメリットは大きい。

0033

ハブクラッチの急激な相対的逆回転によりリベット位置に接触し破損等に至る危険性を回避することができる上、予め想定した安全設計をするができる。また、その回転距離も並列設定するリベット穴の間隔の幅によって任意に設定できる。

0034

並列設定されたリベット穴のいずれを使用しても、ドライブプレート及びサイドプレートを互いに固定するリベット数及びリベット固定間隔は、円周上全体として均一とすれば、強固な固定力は維持できる。

0035

本発明に係る捩り振動低減装置は、リベット固定穴をひとつに対して複数個設けることにより、回転方向に対して相対回転するハブクラッチの回転余裕を回転方向に対して非対称にすることも対称にすることも可能となるため、選択性を持たせた同一形状の入力側回転部材を共通部材として提供できる。

0036

本発明に係る捩り振動低減装置は、入力側回転部材であるドライブプレート及びサイドプレートの形状を同一形状とし両部材を締結固定するリベット穴位置を複数隣接して等間隔に設定し選択使用することにより、出力側回転部材であるハブクラッチの相対回転に対する回転自由度を左右両回転に対して任意に設定確保できることを特徴としている。

0037

加えて、本発明に係る捩り振動低減装置は、入力側回転部材の基本的な形態(環状形状、厚さ、重量等)を変えず、入力側回転部材の対称構造により共通化させ、ダンパー一体としての強度・剛性を確保しつつ、長期信頼性・安定性を維持したトルクコンバータの効率的稼働に大いに貢献する。

発明の効果

0038

本発明に係る捩り振動低減装置ダンパーによれば、入力側回転部材の低コスト化に対応できるため、より省スペースで安価な且つ長期信頼性・安定性の高い捩り振動低減装置の実現が可能になる。

0039

これにより、ダンパーを含むトルクコンバータ機能及びトランスミッション全体としての機能の向上及び軽量化、長期信頼性を確保することができ、自動車エンジン駆動機構における技術的経済的効果は大きい。

図面の簡単な説明

0040

本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の部材の構成を示した概念図である。
本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の全体を示した外観図である。
本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の全体を示した外観図である。
本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の全体を示した外観図である。

実施例

0041

以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。

0042

図1は、本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の構造形態部材ごとに示す斜視図である。同図に示すように、駆動エンジン側(図1においては右側)からドライブプレート11、バックプレート14、ハブクラッチ13、サイドプレート12、ハブスプライン18の順でトランスションである出力側へ略円盤状の回転部材が構成されている。

0043

図1に示すように、トーションスプリング15はドライブプレート11及びサイドプレート12の貫通する収容部に外周から抱合される態様で挟み込まれ、スプリング中心軸をハブクラッチ13の平面方向に合せて配置される構造となっている。トーションスプリング15は大型のものを15a、小型のものを15bとしている。トーションスプリング15は大きなサイズのものが図1において4組(8本)示されており、そのバネ弾性力により捩り振動を吸収する機能を担う。本発明においては、トーションスプリング15の数、大きさ及び配置については何ら制約するものではない。動力伝達軸の図は省略している。

0044

本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置のドライブプレート11及びサイドプレート12は、同一形状の部材であり、図1に示すように間に挟み込まれるハブクラッチ13に対して同一面を向けた態様(同一面対向形態)で構成される。入力側回転部材であるドライブプレート11及びサイドプレート12が同形状の対向形態で構成されていることにより、回転における軸方向に対する振動や歪みを最小限に抑えることができる。また回転駆動が滑らかとなり回転トルクをロスなくハブクラッチ及び動力伝達軸に伝達することができる。

0045

ドライブプレート11及びサイドプレート12にはリベット穴100が円周上に等間隔で設けられ、リベット19によって両プレートは締結固定される。またドライブプレート11及びサイドプレート12は、外周近傍部において大型リベット20で強固に固定される構造となっている。図1においてはリベット穴100及びリベット19の位置は、略円盤リング形状であるドライブプレート11及びサイドプレート12の内周側に回転中心から90度間隔で4カ所設けられているが、その配置は90度間隔に限定するものではなく、均等角の配置であればよい。

0046

ハブクラッチ13の外周には、円周上一定間隔で突起部21を有する。図1においては、突起部21の数は4であるが、この数も限定するものではなく均等角で配置されていればよい。回転駆動の際、入力側回転部材であるドライブプレート11及びサイドプレート12の回転においてハブクラッチ13は、相対的に逆回転をすることによって捩り振動を低減させる機能を果たす。つまり回転に伴いハブクラッチ13の突起部21のサイド側がトーションスプリング15に接触しバネの緩衝を受けることにより捩り振動を低減される。

0047

上記のハブクラッチ13が回転する場合、ハブクラッチ13の突起部21はトーションスプリング15に接触し収縮させるが、この際、リベット19に最も近接する状態となる。トーションスプリング15の収縮する許容距離内にリベット19が存在すると、ハブクラッチ13の突起部21が追突し損傷を受けることになる。ただし、突起部21は、ドライブプレート11及びサイドプレート12の最も外周に位置する大型リベット20には接触しない。

0048

本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置は、上記のようにハブクラッチ13の突起部21がリベット19に接触することを回避するためにリベット穴100及びリベット19の配置を設計段階コントロールする機能を有する。

0049

図2は、本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の全体を示した外観図である。図2に示すように、捩り振動低減装置1は略円盤状であり中心部に略円形貫通孔を有するリング形状の形態をとっている。同図における上面側に描かれたサイドプレート12(ハブスプライン18を含む。)と下面側に描かれたドライブプレート11との間には、ハブクラッチ13、バックプレート14、トーションスプリング大15a及びトーションスプリング小15bが挟み込まれた態様で構成されている。

0050

図2の左下4分の1部分は、図中の表面側に描かれたサイドプレート12(ハブスプライン18を含む。)を除いた状態を示した外観図である。同図に示すように、ドライブプレート11及びサイドプレート12には、リベット穴100が2個、同一円周上に並列設定されている。図2の場合は、このリベット穴2個のセットが両プレートの内周面に均等角(90度)の間隔で4カ所設定されている。(以降、均等角の間隔で設定された略同一カ所の複数のリベット穴をリベット穴セットと称する。)但し、本発明はリベット穴セットを、図2のように4カ所に限定するものではない。

0051

図3は、本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の全体を示した外観図である。同図に示すように、2個のリベット穴100セットのリベット穴100aのみを用いてドライブプレート11及びサイドプレート12をリベット19で締結する。この場合、他の4カ所のリベット穴2個セットも同じ選択となる。図2に示すように回転駆動の際、ハブクラッチ13の相対的な逆回転を図3における左回転とした場合、ハブクラッチ13の突起部21のサイド面はリベット穴100aに挿入されたリベット19に角度Aの回転で接触することになる。

0052

同様に図3に示すように、2個のリベット穴100セットのリベット穴100bのみを用いてリベット19で締結した場合は、ハブクラッチ13の突起部21のサイド面はリベット穴100bに挿入されたリベット19に角度Bの回転で接触することになる。つまりリベット締結固定において、リベット穴100a又は100bのどちらを選択するかによって、ハブクラッチ13の相対回転角度(回転角余裕度)を変更することができる。

0053

図3に示す事例としては、入力側回転部材であるドライブプレート11及びサイドプレート12は右回転をし、ハブクラッチ13は相対的に左回転となる事例を示している。但し、捩り振動はハブクラッチ13の左右相対回転の繰返しにより減衰させるものであり、入力側回転部材の回転方向によりハブクラッチ13の相対回転方向及びその大きさも決まることになる。よって入力側回転部材の回転方向を設定することによってハブクラッチ13の相対回転角度(回転角余裕度)を予め予想し、リベット穴セットのリベット穴100a又は100bのいずれかを選択すればよいことになる。

0054

また、このリベット穴セットはドライブプレート11及びサイドプレート12の円周上に等間隔で設定されているため、両プレートの同一形状(左右対称形状)は維持される。よって両プレートは共通部材として扱えることに変わりはない。

0055

図4は、本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置の全体を示した外観図である。図4の左下4分の1部分は、図中の表面側に描かれたサイドプレート12(ハブスプライン18を含む。)を除いた状態を示した外観図である。同図に示すようにドライブプレート11及びサイドプレート12のリベット穴100セットには、100cと100dと100eの3個のリベット穴が同一円周上に並列設定されている。図4の場合は、このリベット穴3個のセットが両プレートの内周面に均等角の間隔で4カ所設定されることになる。但し前述同様に本発明は、このリベット穴のセットを4カ所に限定するものではない。

0056

図4に示すように、3個セットのリベット穴100セットのリベット穴100dのみを用いてドライブプレート11及びサイドプレート12をリベット19で締結した場合、他の4カ所のリベット穴3個セットも同じ選択となる。図4に示すように回転駆動の際、ハブクラッチ13の相対的な逆回転を図4における左回転とした場合、ハブクラッチ13の突起部21のサイド面はリベット穴100dに挿入されたリベット19に角度Cの回転で接触することになる。

0057

この角度Cは、ハブクラッチ13の2個の突起部21の略中間位置となるため、ハブクラッチ13が右回転になった時も同様にハブクラッチ13の突起部21は角度Cでリベット19に接触することになる。この場合は、左右どちらの回転においても接触する相対回転角度(回転角余裕度)は同じになる。

0058

同様に図4に示すように、3個セットのリベット穴100セットのリベット穴100d及び100eの2個を用いてリベット19で締結した場合は、ハブクラッチ13の突起部21のサイド面はリベット穴100dに挿入されたリベット19に角度Cの回転で接触することになり、右回転となった場合は、角度Dでリベット穴100eのリベット100に接触することになる。

0059

この場合は、リベット穴100d及び100eの2個を用いた2個のリベット100でドライブプレート11及びサイドプレート12を締結することになり、十分な固定強度を得ることができる。一方、ハブプレート13の相対回転においては、入力側回転部材であるドライブプレート11及びサイドプレート12を急激な初期駆動に対して相対的に逆回転するハブプレート13の回転角度Cの余裕角度を大きく確保することができ、逆に反動である右回転に対しては縮小された角度Dの余裕度とすることができる。

0060

また、このリベット穴セット3個はドライブプレート11及びサイドプレート12の円周上に等間隔で設定されているため、1個の不使用のリベット穴cを含めて両プレートの同一形状(左右対称形状)は維持されるため、両プレートは共通部材として扱えることに変わりはない。つまり、リベット穴セットの数やリベット穴間隔を設計時に予め設定しておくことにより、使用するリベット穴を後に選択してハブクラッチ13の相対回転に対する回転余裕度を選択することができる。

0061

以上のように本発明の一実施形態に係る捩り振動低減装置は、入力側回転部材であるドライブプレート及びサイドプレートの形状を同一形状とし両部材を締結固定するリベット穴位置をリベット穴セットのごとく複数隣接して等間隔に設定し、締結において選択使用することにより、出力側回転部材であるハブクラッチの相対回転に対する回転余裕度を左右両回転に対して任意に設定確保できることを特徴としている。

0062

また、ドライブプレート及びサイドプレートは、略円盤板形状の母材から回転軸方向に向けた金型プレス工程で簡易に製造することができる。よって両プレートの共通部材化は金型費用を含めた製造上のコストダウン及び工期短縮化に大きく貢献する。

0063

本発明に係る捩り振動低減装置は、リベット穴100の形状、位置、数、大きさを限定するものではない。但し、好ましくは、ハブクラッチ13の突起部21に対して中間且つ略中央部に位置することが最も上述の機能を発揮する。表裏形状一体化されたドライブプレート及びサイドプレートがハブクラッチ13を表裏面から形状、質量共に均等にセンタリングし且つ支え保持する構造であれば、捩り振動低減機能、安定した効率の高いトルク伝達機能を、より高度に発揮することが可能になる。

0064

なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。また本発明が二次的製造物に組込まれた場合でも、これらはすべて、本技術思想の一部である。

0065

本発明は、高い制振効果と高い許容トルクとを長期に保つための品質を確保するため工夫されたトルクコンバータの捩り振動低減装置ダンパーを提供するためものであり、自動車のエンジン出力系トランスミションにおける本発明の採用だけではなく、エンジン駆動システムを有する広い産業分野において活用される可能性の高い技術である。駆動エンジンの出力を効率よく伝達し、高信頼性を確保し、かつ軽量化、低コスト化につながる本発明の産業上の利用可能性は大きい。

0066

1・・・捩り振動低減装置
11・・・ドライブプレート(入力側回転部材)
12・・・サイドプレート(入力側回転部材)
13・・・ハブクラッチ(出力側回転部材)
14・・・バックプレート(中間部材)
15a・・トーションスプリング大
15b・・トーションスプリング小
18・・・ハブスプライン
19・・・リベット
20・・・大型リベット
21・・・突起部
100・・リベット穴

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