図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
コーヒーは、主に熱帯地域で栽培される。一般的に、収穫されたコーヒーの実は、種皮と果肉とが産地で除去される。種皮と果肉とが除去(精製)されたコーヒー豆(生豆)は、消費地に輸送される。
コーヒー豆の精製の方法として、自然乾燥式および水洗式がある。自然乾燥式では、収穫したコーヒーの実を天日乾燥した後、脱穀して種皮および果肉を剥く。その後、さらに篩にかけて生豆を得る。この方法では、シルバースキン(渋皮)、パーチメント(内果皮)、果肉などが充分に分離・除去されない。また、コンクリート、レンガ敷、あるいは、土を煉り固めた非舗装の道路の上などで、2ないし3週間かけて乾燥させるため、衛生管理が充分とは言えず、乾燥時に汚れがつきやすい。このため、自然乾燥式を採用するブラジルなどの産地から輸送されるコーヒー豆(unwashed coffee)は、種皮、果肉などに加え、泥、埃、さらには、石、木片などの夾雑物も混入しており、汚れが激しいことが知られている。コロンビアなどの産地で採用される水洗式精製でも、水洗後の生豆を屋外で水分が15%程度以下になるまで乾燥させる。このため、乾燥時の汚れは避けられない。
コーヒー豆は、一般的に、船便で輸送される。このため、ポストハーベスト農薬、輸送中に混入する麻繊維に加え、高温船倉での発酵臭あるいはカビ臭がコーヒー豆についてしまう。このため、消費地の近くまで輸送・輸入されたコーヒー豆は、産地での精製方法によらず、高品質といわれる生豆であっても、多量の夾雑物が混入して汚れていて、発酵臭、カビ臭などの異臭がするのが実情である。
コーヒー豆は、カフェインなどの成分抽出用原料などとして生豆のままで、あるいは焙煎した後に飲用に供されている。焙煎飲用されるコーヒーの味、香りなどの風味は、産地および品種の違いだけでなく、焙煎条件によっても大きく変化する。また、生豆の汚れが、焙煎後のコーヒーの味、香り、その他の品質に影響を及ぼす。特に、自然乾燥式で精製された生豆は、不完全焙煎の原因となりやすいパーチメント、抽出コーヒーの渋味および濁りの原因となる種皮特にシルバースキンの残存量が多く、また、夾雑物も混入していて、品質が不安定で、さらに焙煎後に泥臭さが残る。
しかし、コーヒー豆の清浄化については、焙煎に供する生豆をブローして麻繊維などをとばす程度行われているにすぎない。しかし、コーヒー生豆には目視できる汚れだけでなくセンターカット部分にも汚れが付着しており、この部分の汚れはブロワーなどでは到底除去できない。
コーヒー豆は、水分の存在によって風味を損ない易く、保存できなくなるため、水洗浄は避けられている。また、コーヒー豆の焙煎は、200〜250℃程度の高温で行われるので、焙煎時にある程度の混入物があっても支障ないと考えられている。焙煎機には、乾燥豆を装入する必要があることも水洗浄が避けられる理由の1つである。
概要
品質の低下を抑制しつつ、コーヒー生豆から汚れを除去する。コーヒー生豆を処理する際に、除去工程と水洗工程と乾燥工程とを行う。除去工程では、粉末除去装置10で、未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する。水洗工程では、洗浄装置20でコーヒー生豆を撹拌しながら水洗する。乾燥工程では、乾燥装置30で、コーヒー生豆を脱水して水分量を内含水分および表面水分の全量で20重量%以下にする。その後、選別装置40でコーヒー生豆を良品のみに選別し、焙煎装置50でコーヒー生豆を焙煎する。
目的
本発明は、品質の低下を抑制しつつ、コーヒー生豆から汚れを除去することを目的とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記コーヒー生豆を撹拌しながら水洗する水洗工程と、前記水洗工程の後に前記コーヒー生豆を脱水して水分量を内含水分および表面水分の全量で20重量%以下にする乾燥工程と、を有することを特徴とするコーヒー豆処理方法。
請求項2
前記乾燥工程の後に、前記コーヒー生豆を選別する選別工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のコーヒー豆処理方法。
請求項3
前記選別工程は、前記コーヒー生豆の光学画像を用いるものであることを特徴とする請求項2に記載のコーヒー豆処理方法。
請求項4
未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記コーヒー生豆を撹拌しながら水洗する水洗工程と、前記水洗工程の後に前記コーヒー生豆を脱水して水分量を内含水分および表面水分の全量で20重量%以下にする乾燥工程と、前記乾燥工程の後に、前記コーヒー生豆を焙煎して焙煎コーヒー豆を得る焙煎工程と、を有することを特徴とする焙煎コーヒー豆製造方法。
請求項5
技術分野
背景技術
0003
コーヒー豆の精製の方法として、自然乾燥式および水洗式がある。自然乾燥式では、収穫したコーヒーの実を天日乾燥した後、脱穀して種皮および果肉を剥く。その後、さらに篩にかけて生豆を得る。この方法では、シルバースキン(渋皮)、パーチメント(内果皮)、果肉などが充分に分離・除去されない。また、コンクリート、レンガ敷、あるいは、土を煉り固めた非舗装の道路の上などで、2ないし3週間かけて乾燥させるため、衛生管理が充分とは言えず、乾燥時に汚れがつきやすい。このため、自然乾燥式を採用するブラジルなどの産地から輸送されるコーヒー豆(unwashed coffee)は、種皮、果肉などに加え、泥、埃、さらには、石、木片などの夾雑物も混入しており、汚れが激しいことが知られている。コロンビアなどの産地で採用される水洗式精製でも、水洗後の生豆を屋外で水分が15%程度以下になるまで乾燥させる。このため、乾燥時の汚れは避けられない。
0004
コーヒー豆は、一般的に、船便で輸送される。このため、ポストハーベスト農薬、輸送中に混入する麻繊維に加え、高温船倉での発酵臭あるいはカビ臭がコーヒー豆についてしまう。このため、消費地の近くまで輸送・輸入されたコーヒー豆は、産地での精製方法によらず、高品質といわれる生豆であっても、多量の夾雑物が混入して汚れていて、発酵臭、カビ臭などの異臭がするのが実情である。
0005
コーヒー豆は、カフェインなどの成分抽出用原料などとして生豆のままで、あるいは焙煎した後に飲用に供されている。焙煎飲用されるコーヒーの味、香りなどの風味は、産地および品種の違いだけでなく、焙煎条件によっても大きく変化する。また、生豆の汚れが、焙煎後のコーヒーの味、香り、その他の品質に影響を及ぼす。特に、自然乾燥式で精製された生豆は、不完全焙煎の原因となりやすいパーチメント、抽出コーヒーの渋味および濁りの原因となる種皮特にシルバースキンの残存量が多く、また、夾雑物も混入していて、品質が不安定で、さらに焙煎後に泥臭さが残る。
0006
しかし、コーヒー豆の清浄化については、焙煎に供する生豆をブローして麻繊維などをとばす程度行われているにすぎない。しかし、コーヒー生豆には目視できる汚れだけでなくセンターカット部分にも汚れが付着しており、この部分の汚れはブロワーなどでは到底除去できない。
0007
コーヒー豆は、水分の存在によって風味を損ない易く、保存できなくなるため、水洗浄は避けられている。また、コーヒー豆の焙煎は、200〜250℃程度の高温で行われるので、焙煎時にある程度の混入物があっても支障ないと考えられている。焙煎機には、乾燥豆を装入する必要があることも水洗浄が避けられる理由の1つである。
先行技術
0009
特許3022885号公報
発明が解決しようとする課題
0010
従来、水洗浄が避けられていることからもわかるように、コーヒー生豆を水に長時間浸すことは、コーヒー豆の品質の維持にとって、好ましくない。
0011
そこで、本発明は、品質の低下を抑制しつつ、コーヒー生豆から汚れを除去することを目的とする。
課題を解決するための手段
0012
上述の目的を達成するため、本発明は、コーヒー豆処理方法において、未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記コーヒー生豆を撹拌しながら水洗する水洗工程と、前記水洗工程の後に前記コーヒー生豆を脱水して水分量を内含水分および表面水分の全量で20重量%以下にする乾燥工程と、を有することを特徴とする。
0013
また、本発明は、焙煎コーヒー豆製造方法において、未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記コーヒー生豆を撹拌しながら水洗する水洗工程と、前記水洗工程の後に前記コーヒー生豆を脱水して水分量を内含水分および表面水分の全量で20重量%以下にする乾燥工程と、前記乾燥工程の後に、前記コーヒー生豆を焙煎して焙煎コーヒー豆を得る焙煎工程と、を有することを特徴とする。
0014
また、本発明は、コーヒー豆処理システムにおいて、未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する粉末除去装置と、前記粉末除去装置で微粉末を除去した前記コーヒー生豆を撹拌しながら水洗する水洗装置と、前記水洗装置で洗浄した前記コーヒー生豆を脱水して水分量を内含水分および表面水分の全量で20重量%以下にする乾燥装置と、を有することを特徴とする。
発明の効果
0015
本発明によれば、品質の低下を抑制しつつ、コーヒー生豆から汚れを除去することができる。
図面の簡単な説明
実施例
0017
本発明に係るコーヒー豆処理方法の一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
0018
図1は、本実施の形態のコーヒー豆処理システムの系統図である。
0019
コーヒー豆処理システムは、粉末除去装置10と洗浄装置20と乾燥装置30とを有する。
0020
粉末除去装置10は、受け入れタンク11とバルブ12と生豆搬送配管13とレシーバタンク14とロータリーバルブ15と生豆搬送ブロワ16と集塵配管17とフィルター18と集塵ブロワ19とを有している。受け入れタンク11は、たとえば上方が開放された円筒状の部分とその円筒状の部分の下方に設けられた漏斗状の部分とからなる。
0021
生豆搬送配管13は、受け入れタンク11の下端にバルブ12を介して接続されている。生豆搬送配管13と受け入れタンク11との接続部分には、外側から二次空気が流れ込むように空隙が形成されている。生豆搬送配管13は受け入れタンク11との接続部分から鉛直下方に延び、その後、一旦水平に延びた後、鉛直上方に延び、水平に折れ曲がった後、レシーバタンク14の側面に接続している。生豆搬送配管13の受け入れタンク11との接続部分から下方に延び水平に折れ曲がる部分には、生豆搬送ブロワ16から水平方向に延びた配管が接続している。
0022
レシーバタンク14は、たとえば円筒状に形成されている。レシーバタンク14の下端は、ロータリーバルブ15に接続されている。レシーバタンク14の上端には、集塵配管17が接続している。レシーバタンク14の下端は、ロータリーバルブ15を介して、洗浄装置20に接続されている。ロータリーバルブ15は、2つの出口を有していて、他方の出口は、受け入れタンク11につながっている。
0023
集塵配管17は、フィルター18を介して集塵ブロワ19に接続されている。
0024
洗浄装置20は、洗浄タンク21と撹拌器22とバルブ23と配管24とを有している。洗浄タンク21は、たとえば上方が開放された円筒状に形成されている。洗浄タンク21の下端にはバルブ23を介して配管24が接続されている。撹拌器22は、洗浄タンク21に蓄えられた水を撹拌する。洗浄タンク21に接続された配管24の他端は、乾燥装置30に延びている。乾燥装置30は、たとえば遠心脱水装置である。
0025
乾燥装置30には選別機40が接続されている。選別機40には焙煎機50が接続されている。
0026
図2は、本実施の形態のコーヒー豆処理方法のフローチャートである。
0027
このコーヒー豆処理方法は、除去工程(S1)と水洗工程(S2)と乾燥工程(S3)と選別工程(S4)と焙煎工程(S5)とを有する。除去工程(S1)では、まず、受け入れタンク11に未焙煎の乾燥したコーヒー生豆90を投入する(S1)。このコーヒー生豆90は、たとえば産地で生成されて、処理地まで輸送されたコーヒー豆である。このコーヒー生豆90は、コロンビアなどから輸送されるウオッシュト、あるいは、ブラジルなどから輸送されるアンウオッシュトの生豆である。コーヒー生豆90に汚れなどの微粉末が付着していてもよい。
0028
次に、ロータリーバルブ15を受け入れタンク11側に切り替えた状態で、生豆搬送ブロワ16から空気を吹き出させる。生豆搬送ブロワ16から吹き出した空気は、生豆搬送配管13を落ちてきたコーヒー生豆をレシーバタンク14に向かって送り出す。レシーバタンク14に送られたコーヒー生豆は、重力によってロータリーバルブ15側に落下する。このようにして、コーヒー生豆を移送することによって、コーヒー生豆同士がぶつかりあって、コーヒー生豆の表面に付着した汚れなどの微粉末は、コーヒー生豆から離脱する。
0029
このとき、集塵ブロワ19でレシーバタンク14から空気を吸いだしておくことによって、コーヒー生豆よりも軽い汚れは、集塵配管17を通って、フィルター18側に送られる。その結果、コーヒー生豆に付着した微粉末は除去され、フィルター18に捕捉される。このようにして除去工程(S1)では、未焙煎の乾燥したコーヒー生豆に付着した微粉末を除去する。
0030
水洗工程(S2)では、まず、バルブ23を閉じた状態で、ロータリーバルブ15を洗浄装置20側に切り替えて、除去工程(S1)で微粉末が除去されたコーヒー生豆を洗浄装置20に投入する。その後、バルブ23を閉じたまま、洗浄装置20に水を注入し、攪拌器22によって洗浄装置20内の水を攪拌する。このようにして、コーヒー生豆は攪拌されながら水洗される。水を取り替えて複数回水洗工程(S2)を行ってもよい。
0031
シルバースキンおよびセンターカット部分の汚れは水流攪拌では除去しにくいため、洗浄装置20中の水は、撹拌翼を供えた装置で強制撹拌することが好ましい。生豆に加える水の量は、生豆と充分に接触し、水流を生じうる量であればよく、具体的には生豆と同程度ないし1.5倍程度であることが好ましい。また洗浄に用いられる水は、室温以下であることが望ましく、具体的に20℃以下が好ましく、さらには10℃以下、より好ましくは5℃以下である。一般的に汚れを洗浄する場合には、低温水よりも温水を用いた方が洗浄効率がよいが、温水の使用よりも室温以下の水を用いて撹拌により汚れを洗浄する方が洗浄後のコーヒー豆の品質面から好ましい。洗浄後のコーヒーの生豆は、その洗浄水の濁度(JIS K0101に準拠して測定)が、通常10以下である。
0032
乾燥工程(S3)では、まずバルブ23を開き、水洗後のコーヒー生豆を洗浄装置20から乾燥装置30に投入する。洗浄装置20から乾燥装置30へのコーヒー生豆の移送は、たとえば重力による落下、あるいは、圧縮空気による送り出しを用いることができる。その後、乾燥装置30を作動させ、水洗により表面に水分が付着し、内部に水分が浸透したコーヒー生豆を乾燥させる。乾燥後のコーヒー生豆の内含水分および表面水分の全量が20重量%以下にすることが好ましい。
0033
乾燥装置30は、たとえば遠心脱水装置と送風乾燥装置の組み合わせである。遠心脱水は、回転数1000rpm 以上で5分間以上行うことが好ましい。遠心脱水後のコーヒー生豆の全水分量は、19%以下であることが好ましい。遠心脱水後のコーヒー生豆の乾燥は、強制送風下に行うことが好ましい。
0034
選別工程(S4)では、乾燥後のコーヒー生豆を選別機40によって選別する。たとえば輸送されるコーヒー生豆をカメラで撮影しながら、光学画像をデータ処理することにより色・模様・大きさなどを測定し、品質が悪いコーヒー生豆を取り除く。焙煎工程(S5)では、乾燥させ、良品だけに選別されたコーヒー生豆を焙煎機50によって焙煎する。
0035
本実施の形態では、除去工程(S1)において乾燥状態でコーヒー生豆から微粉末を除去しているため、水洗時間が短くても、十分にコーヒー生豆の汚れを除去できる。つまり、コーヒー生豆を水に浸す時間が短くなるため、コーヒー生豆の品質の低下が抑制される。また、除去工程(S1)および水洗工程(S2)で、コーヒー生豆から汚れを除去しているため、コーヒー生豆の品質が視認しやすくなる。このため、選別工程(S4)によって、良品のコーヒー生豆のみを選別することができるようになる。
0036
この処理に供されるコーヒーの品種、産地などは特に限定されない。品種はアラビカ種(ブルボン種)、ロブスタ種、リベリカ種いずれであってもよい。また産地で精製(乾燥)された未焙煎のコーヒー生豆であればよく、産地での精製方法は、水洗式あるいは自然乾燥式のいずれであってもよい。このようなコーヒー生豆の水分量は、通常、自然乾燥式(たとえばブラジル)のもので11〜13%程度であり、水洗式(たとえばインドネシア)のもので14〜15%程度である。
0037
10…粉末除去装置、11…受け入れタンク、13…生豆搬送配管、14…レシーバタンク、15…ロータリーバルブ、16…生豆搬送ブロワ、17…集塵配管、18…フィルター、19…集塵ブロワ、20…洗浄装置、21…洗浄タンク、22…撹拌器、23…バルブ、24…配管、30…乾燥装置、40…選別装置、50…焙煎装置