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課題
解決手段
概要
背景
MRI装置では、静磁場マグネットが発生する均一な静磁場中に配置された被検体に電磁波であるRF信号を照射し、被検体内の核スピンを励起すると共に、核スピンが発生する電磁波であるNMR信号を受信し、信号処理することにより、被検体を画像化する。RF信号の照射とNMR信号の受信とは、ラジオ周波数の電磁波を送信あるいは受信するRFアンテナもしくはRFコイルと呼ばれるアンテナ装置(以下、RFアンテナと呼ぶ。)によって行なわれる。
MRI装置では、被検体にRF信号を照射するため、RF信号によって被検体の体温上昇が生じないよう制御する必要がある。このため、ラジオ波の人体吸収比率(比吸収率)であるSARが被検体に対して安全になるように管理される。これをSARマネジメントという。通常3テスラ以上のMRI装置では、RF信号の照射パワーはリアルタイムでモニタされ、SARマネジメントがなされる。
RFアンテナに入力されるRF信号の照射パワー(Pinput)は、式(1)のように、RFアンテナで消費されてRFアンテナの発熱を引き起こすもの(アンテナ消費パワー:Pantenna)と、被検体で消費され、被検体の発熱を引き起こすもの(被検体消費パワー:Pobject)との和で表される。
Pinput=Pantenna+Pobject ・・・(1)
正確なSARマネジメントをするためは、正確な被検体消費パワーPobjectの把握が必要である。この被検体消費パワーPobjectは、例えば、RFアンテナの共振のQ値を用いて算出できる。すなわち、RFアンテナ内部に被検体(被検体)が入っていない状態でのQ値(Qempty)と、入っている状態のQ値(Qloaded)とを測定により得、それらを用いて、以下の式(2)で算出する(特許文献1参照)。
Pobject=Pinput*(1−Qloaded/Qempty) ・・・(2)
また、全身SAR(W/kg)は、Pobject(W)と被検体体重M(kg)を用いて式(3)のように表せる。
全身SAR(W/kg)=Pobject(W)/M(kg)・・・(3)
概要
RFアンテナのQ値に基づいて被検体のSARを予測する際に、被検体に応じた適切なQ値を得る磁気共鳴イメージング装置を提供する。磁気共鳴イメージング装置は、複数のチャンネルを有する高周波アンテナ103と、供給部212から高周波アンテナ103に供給された各周波数の高周波信号についての進行波と反射波との振幅をそれぞれ測定するモニタ202と、測定した各振幅から得た反射係数を予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより、高周波アンテナ103のQ値を算出するQ値算出部213と、算出したQ値の妥当性を判断するQ値妥当性チェック部214とを備える。
目的
本発明は、RFアンテナのQ値に基づいて被検体のSARを予測する際に、被検体に応じた適切なQ値を得ることを目的とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
複数のチャンネルを有する高周波アンテナと、前記高周波アンテナに3以上の異なる周波数の高周波信号を供給する供給部と、前記供給部から前記高周波アンテナに供給された各周波数の高周波信号についての進行波と反射波との振幅をそれぞれ測定するモニタと、各前記振幅から得た反射係数を予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより、前記高周波アンテナのQ値を算出するQ値算出部と、前記Q値算出部が算出したQ値の妥当性を判断するQ値妥当性チェック部と、を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
請求項2
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記Q値妥当性チェック部は、前記Q値算出部が算出したQ値が妥当でないと判断した場合に、安全マージンを確保して過大にSARが算出されるようにQ値を設定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
請求項3
請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記Q値妥当性チェック部は、被検体の姿勢情報と被検体情報の少なくとも一つに応じて定まるQ値又はQ値の比率の妥当な範囲に基づいて、前記Q値算出部が算出したQ値の妥当性を判別することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
請求項4
請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記Q値妥当性チェック部は、被検体の姿勢情報と被検体情報の少なくとも一つに応じて定まる前記チャンネル毎のQ値の分布パターンに基づいて、前記Q値算出部が算出したQ値の妥当性を判別することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
請求項5
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記Q値妥当性チェック部は、被検体の画像を前記チャンネル毎に分割して得た分割画像における該被検体の信号領域の面積比に応じて予め定めておいたQ値又はQ値の比の妥当な範囲に基づいて、前記Q値算出部が算出したQ値の妥当性を判別することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
請求項6
請求項3又は5記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記Q値妥当性チェック部は、Q値又はQ値の比の妥当な範囲を、過去の実測データに基づいて定めることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
請求項7
複数のチャンネルを有する高周波アンテナと、前記高周波アンテナに3以上の異なる周波数の高周波信号を供給する供給部と、前記供給部から前記高周波アンテナに供給された各周波数の高周波信号についての進行波と反射波との振幅をそれぞれ測定するモニタと、各種データを処理するデータ処理部と、を備えた磁気共鳴イメージング装置におけるQ値算出方法であって、前記データ処理部は、各前記振幅から得た反射係数を予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより、前記高周波アンテナのQ値を算出するQ値算出ステップと、前記Q値算出ステップで算出したQ値の妥当性を判断するQ値妥当性チェックステップと、を備えたことを特徴とするQ値算出方法。
技術分野
0001
本発明は、被検体に高周波信号(以下、Radio Frequency信号;RF信号)を照射し、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:以下NMRという)信号を計測し、物質の密度分布や緩和時間分布等を画像化する磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:以下MRIとする)技術に関し、特に、RF信号の人体吸収比率、SAR(Specific Absorption Rate;比吸収率)の制御技術に関する。
背景技術
0002
MRI装置では、静磁場マグネットが発生する均一な静磁場中に配置された被検体に電磁波であるRF信号を照射し、被検体内の核スピンを励起すると共に、核スピンが発生する電磁波であるNMR信号を受信し、信号処理することにより、被検体を画像化する。RF信号の照射とNMR信号の受信とは、ラジオ周波数の電磁波を送信あるいは受信するRFアンテナもしくはRFコイルと呼ばれるアンテナ装置(以下、RFアンテナと呼ぶ。)によって行なわれる。
0003
MRI装置では、被検体にRF信号を照射するため、RF信号によって被検体の体温上昇が生じないよう制御する必要がある。このため、ラジオ波の人体吸収比率(比吸収率)であるSARが被検体に対して安全になるように管理される。これをSARマネジメントという。通常3テスラ以上のMRI装置では、RF信号の照射パワーはリアルタイムでモニタされ、SARマネジメントがなされる。
0004
RFアンテナに入力されるRF信号の照射パワー(Pinput)は、式(1)のように、RFアンテナで消費されてRFアンテナの発熱を引き起こすもの(アンテナ消費パワー:Pantenna)と、被検体で消費され、被検体の発熱を引き起こすもの(被検体消費パワー:Pobject)との和で表される。
0005
Pinput=Pantenna+Pobject ・・・(1)
正確なSARマネジメントをするためは、正確な被検体消費パワーPobjectの把握が必要である。この被検体消費パワーPobjectは、例えば、RFアンテナの共振のQ値を用いて算出できる。すなわち、RFアンテナ内部に被検体(被検体)が入っていない状態でのQ値(Qempty)と、入っている状態のQ値(Qloaded)とを測定により得、それらを用いて、以下の式(2)で算出する(特許文献1参照)。
0006
Pobject=Pinput*(1−Qloaded/Qempty) ・・・(2)
また、全身SAR(W/kg)は、Pobject(W)と被検体体重M(kg)を用いて式(3)のように表せる。
0007
全身SAR(W/kg)=Pobject(W)/M(kg)・・・(3)
先行技術
0008
米国特許第8102177号明細書
発明が解決しようとする課題
0009
近年のMRI装置は、RFアンテナの送信チャンネル数が2〜16チャンネルに増加する傾向にある。複数の送信チャンネルを備えることで、それぞれのチャンネルで照射パワーや位相を変えて、照射の空間的均一化を図るような工夫もなされている。複数のチャンネルを備えるRFアンテナを用いる場合、正確な被検体消費パワーPobjectを求めるためには、全てのチャンネルについて、Q値を測定し、式(1)および式(2)を計算する必要がある。
0010
アンテナのQ値測定は、通常、ネットワークアナライザなどの高価な専用装置を使用し、実際に被検体を配置した状態で、進行波と反射波とを位相を含めて測定する必要がある。しかし、高価な専用装置をMRI装置に組み込むことはコスト的に難しい。また、通常の撮像の実行に加え、Q値の測定を行うことになるため、被検体の拘束時間も長くなる。
0011
こうしたコストあるいは時間的な課題に対して、3以上の異なる周波数の高周波信号それぞれの進行波および反射波の振幅の測定結果を、予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより得られる回路係数に基づいてQ値を算出する方法があるが、進行波と反射波の測定およびフィッティング時の残差が多く発生した場合、Q値が正確な値から外れると、結果的に被検体に対するSARが不正となる可能性が課題として挙げられる。
0012
そこで本発明は、RFアンテナのQ値に基づいて被検体のSARを予測する際に、被検体に応じた適切なQ値を得ることを目的とする。
課題を解決するための手段
0013
上記目的を達成するために、本発明は、複数のチャンネルを有する高周波アンテナに供給された各周波数の高周波信号についての進行波と反射波との振幅をそれぞれ測定し、測定した各振幅から得た反射係数を予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより、高周波アンテナのQ値を算出し、算出したQ値の妥当性を判断することを特徴とする。
発明の効果
0014
本発明によれば、複数のチャンネルを有するRFアンテナに供給する3以上の異なる周波数の高周波信号それぞれの進行波および反射波の振幅の測定結果を、予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより得られる回路係数に基づいてQ値を算出する際に、算出したQ値の妥当性を判断するので、被検体に応じた適切なQ値を得ることができる。その結果、適切なQ値に基づいて算出した被検体消費パワーPobjectを用いて適切なSARマネジメントができる。
図面の簡単な説明
0015
本発明の実施形態のMRI装置の概略構成図
(a)は、本発明の実施形態のRF送信系のブロック図、(b)は、本発明の実施形態のデータ処理部の機能ブロック図
RFアンテナの共振回路モデルの一例を示す図
計測した反射係数を共振回路モデルにフィッティングする様子を示す図
Q値算出処理と妥当性チェックのフローチャート
Q値妥当性チェックに用いる、姿勢情報毎の妥当なQ値範囲とQ値の判定の例を示した表
実施例2のQ値妥当性チェックに用いる、RFアンテナ103の略中央に被検体の主要部が配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示した説明図
実施例2のQ値妥当性チェックに用いる、RFアンテナ103の左右方向に偏って被検体の主要部が配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示した説明図
実施例2のQ値妥当性チェックに用いる、RFアンテナ103の上下方向に偏って被検体の主要部が配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示した説明図
実施例2のQ値妥当性チェックに用いる、RFアンテナ103内に被検体の主要部が横向きに配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示した説明図
実施例2のQ値妥当性チェックに用いる、RFアンテナ103内に低体重の被検体の主要部がオフセンタ撮像する為に配置された場合の、各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示した説明図
実施例2のQ値妥当性チェックに用いる、通常有り得ないQ値の分布パターンを示した説明図
実施例3のQ値妥当性チェックに用いる、分割画像における被検体信号の面積比と、Q値又はQ値の比の妥当な範囲とを比較する説明図である。
実施例3のQ値妥当性チェックに用いる、面積比とQ値又はQ値の比の妥当な範囲との関係の一例を示す図である。
実施例
0016
以下、本発明を適用する各実施例を説明する。本発明の各実施例を説明する全図において、特に断らない限り、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
0017
[MRI装置の構成]
本発明に係るMRI装置の構成についての一例を説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一例100の概略構成図である。MRI装置100は、被検体112が配置される計測空間に静磁場を形成するマグネット101と、静磁場に所定の方向の磁場勾配を与える傾斜磁場コイル102と、高周波信号(RF信号)を被検体112に送信するとともに被検体112から発生する核磁気共鳴信号(NMR信号)を受信するRFアンテナ103と、RFアンテナ103から送信されるRF信号(RF波)を作成してRFアンテナ103に送信するとともに、RFアンテナ103が受信したNMR信号に対し信号処理を行う送受信機104と、傾斜磁場コイル102に電流を供給する傾斜磁場電源109と、送受信機104および傾斜磁場電源109の駆動を制御するとともに、種々の情報処理およびオペレータによる操作を受け付けるデータ処理部105と、データ処理部105の処理結果を表示するための表示装置108と、被検体112を載置するベッド111を備える。
0018
傾斜磁場電源109と傾斜磁場コイル102とは傾斜磁場制御ケーブル107で接続される。また、RFアンテナ103と送受信機104とは、RFアンテナ103と送受信機104との間で信号を送受信する送受信ケーブル106で接続される。
0019
本実施形態のRFアンテナ103は、所定の周波数で共振し、1以上のチャンネルを有するマルチチャンネルアンテナである。
0020
データ処理部105は、送受信機104および傾斜磁場電源109を制御し、静磁場中に配置された被検体112に対し、RFアンテナ103および傾斜磁場コイル102から、数ミリ秒間隔程度の断続したRF信号および傾斜磁場を、それぞれ照射および印加する。また、そのRF信号に共鳴して被検体112から発せられるNMR信号をRFアンテナ103にて受信し、信号処理を行い、画像を再構成する。被検体112は、例えば、人体の所定の部位である。
0021
本実施形態のデータ処理部105は、さらに、RFアンテナ103の各チャンネルのQ値を算出する。そして、算出したQ値と被検体情報を比較し、Q値の妥当性をチェックする。そして、妥当性有りと判定した適切なQ値を用いて撮像時のSARマネジメントを行う。
0022
[RF送受信系の構成]
図2(a)は、図1における、データ処理部105、送受信機104、送受信ケーブル106およびRFアンテナ103(RF送信系)の詳細なブロック図である。ここでは、RFアンテナ103が4チャンネルである場合を例示するが、本発明は4チャンネルに限定されず、任意のチャンネル数の場合にも適用可能である。
0023
本図に示すように、本実施形態の送受信機104は、RFパルス生成部(RF Pulse generator;以下、単にパルス生成部と呼ぶ。)201と、増幅器(パワーアンプ:Power Amplifier)203と、モニタ(monitor)202を備える。
0024
パルス生成部201は、RFアンテナ103から送信するRF信号のパルス波形(送信RFパルス)を生成する。送信RFパルスは、パワーアンプ203に入力される。なお、送信RFパルスは、RFアンテナ103のチャンネル毎に生成される。
0025
パワーアンプ203は、入力された送信RFパルスを増幅し、RFアンテナ(RF antenna)103に送信する。
0026
送受信ケーブル106は、パワーアンプ203を介して、パルス生成部201とRFアンテナ103との間を接続するケーブルである。図2(a)の例では、RFアンテナ103が4チャンネルであるため、RFアンテナ103とパルス生成部201は、4本の送受信ケーブル106で接続される。
0027
モニタ202は、パワーアンプ203出力直後に配置され、送受信ケーブル106を通ってRFアンテナ103に供給される高周波信号(RF信号)の進行波と反射波の振幅をモニタする。
0028
モニタ202は、進行波と反射波とをそれぞれ、チャンネル毎にモニタし、それぞれの振幅をデータ処理部105に出力する。
0029
[データ処理部の機能構成]
次に、本実施形態のQ値算出およびSARマネジメントに係るデータ処理部105の機能構成を説明する。本実施形態では、モニタ202で取得した進行波および反射波の振幅からQ値を算出する。これを実現するため、データ処理部105は、図2(b)に示すように、供給部212と、Q値算出部213と、Q値妥当性チェック部214、SAR管理部215と、被検体情報管理部216と、画像データベース部217を備える。
0030
供給部212は、RFアンテナ103に高周波信号(RF信号)を供給する。本実施形態では、RFアンテナ103の、各チャンネルに供給するRFパルス波形を、パルス生成部201に生成させるよう指示を行う。
0031
Q値算出部213は、モニタ202から得た各振幅を用いて、RFアンテナ103のQ値を算出する。例えば、Q値算出部213は、周波数を変えて進行波の振幅と反射波の振幅とから得た複数の反射係数を予め定めた共振回路モデルに非線形最小二乗フィッティングすることで、共振回路モデルの回路パラメータL,C,Rの値を求める。そして、求めた回路パラメータL,C,Rの値から公知の計算式を用いてQ値(Qloaded)を算出する。なお、反射係数は、反射波の振幅を進行波の振幅で除算した値の平方根を計算することにより得る。図3Aに共振回路モデルの一例を、図3Bに計測した反射係数を共振回路モデルにフィッティングする様子を示す。菱形印が反射係数の各計測点であり、曲線301がフィッティング曲線である。
0032
Q値妥当性チェック部214は、Q値算出部213が算出した各チャンネルのQ値(Qloaded)の比Qrと、被検体情報管理部216から得られる被検体情報及び姿勢情報、画像データベース部217から得られる画像情報と、を比較しQ値(Qloaded)の妥当性をチェックする。詳細は後述する。
0033
SAR管理部215は、RFアンテナ内部に被検体(被検体)が入っていない(無負荷)状態でのQ値(Qempty)と、入っている(有負荷)状態のQ値(Qloaded)とを用いて、式(2)で被検体消費パワー(Pobject)を算出し、式(3)でSARを計算する。また、SAR管理部215は、本撮像が始まってからも照射RF波形の実測を継続し、予測と比べて実測が限度を超えて異なり、安全性が損なわれる懸念が生じれば警告を出したり、装置の緊急停止などを行う。
0034
[Q値測定実施例]
Q値算出部213による、Q値算出処理の流れを説明する。図4は、本実施形態のQ値算出処理の処理フローである。Q値算出部213は、被検体112が変わる毎、撮像部位が変わる毎に、マグネット101の計測空間に被検体112を挿入した状態での撮像中に、Q値算出処理を行う。また、Q値算出処理を、RFアンテナ103の各チャンネルについて行う。本処理フローは、予めプログラムとしてデータ処理部105内の記憶装置に記憶されており、データ処理部105内のCPUがそのプログラムを読み出して実行することにより実施される。以下、各ステップの詳細を説明する。
0036
ステップS1202で、データ処理部105は、ステップS1201で得られた周波数毎の反射係数をフィッティングし、共振回路モデルのL、C、Rを取得する。
0037
ステップS1203で、Q値算出部213は、ステップS1202でフィッティングにより得られた共振回路モデルのL、C、Rの値から、Q値を算出する。
0038
ステップS2104で、データ処理部105は、前述のステップS1201〜S1203を全チャンネルについて実施する。なお、RFアンテナ103内に被検体を配置しない無負荷状態で計測したQ値をQemptyとし、、RFアンテナ103内に被検体を配置した有負荷状態で計測したQ値をQloadedとする。
0039
ステップS1205で、Q値妥当性チェック部214は、計測したQ値(Qempty、Qloaded)が妥当な値か否かをチェックする。詳細は後述する。計測したQ値が妥当な値であれば(OK)、計測したQ値をSAR管理部215に渡して、処理を終了する。一方、妥当な値でなければ(NG)、ステップS1206に移行する。
0040
ステップS1206で、データ処理部105は、計測したQ値が妥当な値でないので、安全マージンを確保して過大にSARが算出されるQ値を設定して、SAR管理部215に渡す。
0041
以上が、Q値算出処理の流れの概要である。
0042
[Q値妥当性チェック処理の詳細]
Q値妥当性チェック部214の処理について詳細を説明する。Q値妥当性チェック部214は、Q値算出部213での算出した各チャンネルのQ値(Qloaded)を得る。また、被検体情報管理部214から被検体情報及び姿勢情報と、当該情報に関連付けられた妥当なQ値(Qloaded)或いは比率Qrの範囲を得る。そして、Q値妥当性チェック部214は、各チャンネルのQ値(Qloaded)が、被検体情報及び姿勢情報に応じた妥当なQ値(Qloaded)の範囲内あるいは比率Qrの範囲内か否かを判断する。
0043
Q値妥当性チェック部214は、妥当であると判断した場合には、測定したQ値(Qloaded)をSAR管理部215に渡す。一方、エラーと判断した場合には、測定したQ値(Qloaded)を採用せずに、安全マージンを確保したQ値を算出し、SAR管理部215に渡す。
0044
以下、本発明に係るQ値の妥当性チェックについて各実施例を、4チャンネル照射コイルを例として詳細に説明する。
0045
[Q値妥当性チェック実施例1]
本発明の実施例1を説明する。本実施例1は、被検体の姿勢情報毎にQ値の妥当な範囲Qdを予め定めてテーブルとして記憶しておき、撮像時の被検体の姿勢情報に応じてQ値の妥当な範囲Qdをテーブルから選択して、当該妥当な範囲に基づいて計算で求めたQ値の妥当性チェックを行う。以下、本実施例1を詳細に説明する。
0046
図5を用いて、被検体の姿勢情報に対するQ値(Qloaded)の妥当な範囲Qdの定義と比較方法について説明する。図5は、被検体の姿勢情報(撮像部位)と対応するQd/Qemptyの最小値と最大値を示したテーブルである。このテーブルは、Q値妥当性チェック部214内に保持される。ここでQemptyは無負荷時に測定したQ値である。このQdの範囲は、例えば予めネットワークアナライザで測定したQ値に対して、統計学的に決定することができる。
0047
Q値妥当性チェック部214は、被検体情報管理部216から姿勢情報を取得し、取得した姿勢情報に対応するQd/Qemptyの最小値及び最大値をテーブルから取得する。一方、Q値妥当性チェック部214は、Q値算出部213が算出したQ値(Qloaded)をQemptyで除した比Qloaded/Qemptyを求める。そして、求めたQloaded/Qemptyがテーブルから取得したQd/Qemptyの最小値及び最大値の範囲内であるか否かを確認する。範囲内であれば計測した各チャンネルのQ値(Qloaded)は妥当と判断し、範囲から外れるのであれば妥当な範囲内の値でない(エラー)とする。
0048
測定したQ値(Qloaded)が妥当な範囲でないと判断された場合、Q値(Qloaded)としてQdの最小値を採用すれば、統計学的に小さい値であるので、このQ値(Qdの最小値)から算出したSARは被検体に対して十分に安全であるといえる。
0049
以上説明したように、本実施例1は、被検体の姿勢情報毎にQ値の妥当な範囲Qdを予め定めてテーブルとして記憶しておき、撮像時の被検体の姿勢情報に応じてQ値の妥当な範囲Qdをテーブルから選択して、当該妥当な範囲に基づいて計算で求めたQ値の妥当性チェックを行う。これにより、3以上の異なる周波数の高周波信号それぞれの進行波および反射波の振幅の測定結果を、予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより得られる回路係数に基づいてQ値を算出する際に、撮像時の被検体の姿勢情報に応じて適切なQ値を得ることができる。
0050
[Q値妥当性チェック実施例2]
次に、本発明の実施例2を説明する。本実施例2は、各チャンネルのQ値が取るべき値の分布パターンが被検体の姿勢情報や被検体情報に応じて定まることを利用する。つまり、被検体の姿勢情報や被検体情報に応じて定まる各チャンネルのQ値が取るべき値の分布パターンと、実際に計測された各チャンネルのQ値の分布パターンとを比較し、双方の分布パターンが略一致していれば、計測した各チャンネルのQ値を妥当と判断し、不一致であればエラーと判断する。以下、本実施例2を図6A〜6Fに基づいて詳細に説明する。
0051
Q値算出部213が算出したn(nは自然数)チャンネルRFアンテナ103の各チャンネルのQ値(Qloaded[i]>0;i=1〜n)の比Qrを、Q値妥当性チェック部214において、式(4)のよう求める。
・・・(4)
0052
そして、Q値妥当性チェック部214は、被検体の姿勢情報(挿入方向、撮像部位、オフセンタ位置(量)等)や被検体情報(身長、体重、年齢、性別等)に応じて定まる妥当なQr[i]の分布パターンと、求めた各チャンネルのQr[i]の分布パターンとを比較する。求めたQr[i]の分布パターンが、被検体の姿勢情報や被検体情報に応じて定まる妥当なQr[i]の分布パターンに略一致していれば、求めた各チャンネルのQ値(Qloaded[i])が妥当であると判断し、不一致であれば求めた各チャンネルのQ値(Qloaded[i])をエラーとする。
0053
エラーの場合は、比率Qr[i]が異なっているため、撮像を開始する被検体と登録された被検体情報とが異なっていることが考えられる。そこで、例えば、被検体情報が異なっていることを表示装置118に表示して操作者に知らせる。
0054
以下、図6A〜図6Fを用いて、RFアンテナ103が4チャンネルの場合の、被検体の姿勢情報や被検体情報に応じて定まる各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンと、該分布パターンに応じたQ値(Qloaded[i])の妥当性判断を具体的に説明する。なお、本実施例は4チャンネルに限らず、任意のチャンネル数nで実施可能である。
0055
図6Aは、RFアンテナ103の略中央に被検体の主要部が配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示している。被検体が小さく低体重の場合には、各チャンネルのQ値(Qloaded[i])はそれぞれ一様に大きな値を示し、被検体が大きく高体重の場合には、各チャンネルのQ値(Qloaded[i])はそれぞれ一様に小さな値を示する。被検体が高体重で静磁場中心位置からシフトされた(オフセンタされた)位置に配置された場合も同様のQ値(Qloaded[i])分布パターンとなる。従って、いずれの場合もQr[i]はそれぞれ1/4近傍の値となる。一方、被検体の頭部、腹部、腰部を撮像する場合に、これらの部位はRFアンテナ103の略中央に配置されので、これらの部位の撮像時の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])及び比Qr[i]は、図6Aに示すような分布パターンになる。
0056
そこで、Q値妥当性チェック部214は、被検体情報管理部214から得た被検体の姿勢情報が、頭部、腹部、腰部のいずれかの場合に、或いは、被検体が静磁場中心位置からオフセンタされた位置に配置された場合であって高体重である場合に、求められた各チャンネルのQ値(Qloaded[i])が略一様な値であってQr[i]が1/4近傍の値となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断し、これら以外の場合をエラーと判断する。
0057
図6Bは、RFアンテナ103の左右方向に偏って被検体の主要部が配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示している。被検体がチャンネル1、2側にオフセンタされて配置された場合には、被検体に近いチャンネル1,2のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、被検体から離れたチャンネル3,4のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなる。従って、Qr[3]、Qr[4]>Qr[1]、Qr[2]となる。逆に、被検体がチャンネル3,4側にオフセンタされて配置された場合には、被検体から遠いチャンネル1,2のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、被検体に近いチャンネル3,4のQ値(Qloaded)が相対的に小さくなる。従って、Qr[3]、Qr[4]<Qr[1]、Qr[2]となる。
0058
そこで、Q値妥当性チェック部214は、被検体情報管理部214から得た被検体のオフセンタ情報に基づいて、被検体がチャンネル1,2側にオフセンタ配置された場合に、チャンネル1,2のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、チャンネル3,4のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、Qr[3]、Qr[4]>Qr[1]、Qr[2]となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断する。或いは、被検体がチャンネル3,4側にオフセンタ配置された場合に、チャンネル1,2のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、チャンネル3,4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、Qr[3]、Qr[4]<Qr[1]、Qr[2]となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断する。従って、これら以外の場合をエラーと判断する。
0059
図6Cは、RFアンテナ103の上下方向に偏って被検体の主要部が配置された場合の各チャンネルのQ値(Qloaded[i])の分布パターンを示している。被検体の主要部がチャンネル1、4側に配置された場合には、被検体に近いチャンネル1,4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、被検体から離れたチャンネル2,3のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなる。従って、Qr[2]、Qr[3]>Qr[1]、Qr[4]となる。逆に、被検体の主要部がチャンネル2,3側に配置された場合には、被検体から遠いチャンネル1,4のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、被検体に近いチャンネル2,3のQ値(Qloaded)が相対的に小さくなる。従って、Qr[2]、Qr[3]<Qr[1]、Qr[4]となる。一般的に、胸部(Breast)撮像の場合には、被検体の主要部は上方向に偏って配置され、低体重でセンタ撮像(オフセンタ無し)の場合には、被検体の主要部は下方向に偏って配置される。
0060
そこで、Q値妥当性チェック部214は、被検体情報管理部214から得た被検体の姿勢情報が胸部の場合に、チャンネル1,4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、チャンネル2,3のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、Qr[2]、Qr[3]>Qr[1]、Qr[4]となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断する。或いは、被検体情報が低体重でセンタ撮像(オフセンタ無し)の場合に、チャンネル1,4のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、チャンネル2,3のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、Qr[2]、Qr[3]<Qr[1]、Qr[4]となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断する。従って、これら以外の場合をエラーと判断する。
0061
一般的に、被検体の下肢を撮像する際には被検体は横向きになる。図6Dは、このような場合におけるRFアンテナ103内の被検体の配置姿勢を示す。つまり、RFアンテナ103内の被検体の姿勢は、被検体の体幹部がチャンネル1,2側に下肢がチャンネル3側に配置される場合と、被検体の体幹部がチャンネル3,4側に下肢がチャンネル2側に配置される場合とがある。このように被検体の下肢を撮像する場合には、被検体に近いチャンネル1,2,3のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、被検体から離れたチャンネル4のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなり、Qr[1]、Qr[2]、Qr[3]>Qr[4]となるか、或いは、被検体に近いチャンネル2,3、4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、被検体から離れたチャンネル1のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなり、Qr[2]、Qr[3]、Qr[4]>Qr[1]となる。
0062
そこで、Q値妥当性チェック部214は、被検体情報管理部214から得た被検体の姿勢情報が下肢の場合に、チャンネル1,2,3のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、チャンネル4のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、Qr[1]、Qr[2]、Qr[3]>Qr[4]となるか、或いは、チャンネル2,3、4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、チャンネル1のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなり、Qr[2]、Qr[3]、Qr[4]>Qr[1]となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断する。従って、これら以外の場合をエラーと判断する。
0063
図6Eは、低体重の被検体をオフセンタ撮像する場合の、RFアンテナ103内の被検体の配置姿勢を示す。このような場合には、被検体の主要部はチャンネル1又は4側に配置される。このような場合には、被検体に近いチャンネル1又は4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、被検体から離れた他のチャンネル2,3のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなり、Qr[1]<Qr[2]、Qr[3]、Qr[4]又はQr[4]<Qr[1]、Qr[2]、Qr[3]となる。
0064
そこで、Q値妥当性チェック部214は、被検体情報管理部214から得た被検体情報が低体重で姿勢情報がオフセンタの場合に、チャンネル1又は4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、他のチャンネル2,3のQ値(Qloaded)が相対的に大きくなり、Qr[1]<Qr[2]、Qr[3]、Qr[4]又はQr[4]<Qr[1]、Qr[2]、Qr[3]となれば、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])を妥当と判断する。従って、これら以外の場合をエラーと判断する。
0065
図6Fは、通常有り得ないQ値の分布パターンを示す。このようなQ値の分布バターンが測定された場合にはエラーと判断する。具体的には、チャンネル1,3のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、チャンネル2,4のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、Qr[2]、Qr[4]>Qr[1]、Qr[3]となる場合や、チャンネル1,3のQ値(Qloaded)が相対的に大きく、チャンネル2,4のQ値(Qloaded)が相対的に小さく、Qr[2]、Qr[4]<Qr[1]、Qr[3]となる場合は、被検体の主要部がRFアンテナ103内でその対角線上に配置されることを意味する。このように被検体を配置することは通常有り得ないので、測定した各チャンネルのQ値(Qloaded[i])がこのような分布パターンを示した場合にはエラーと判断する。
0066
以上説明したように、本実施例2は、被検体の姿勢情報や被検体情報に応じて定まる各チャンネルのQ値が取るべき値の分布パターンと、実際に計測された各チャンネルのQ値の分布パターンとを比較し、双方の分布パターンが略一致していれば、計測した各チャンネルのQ値を妥当と判断し、不一致であればエラーと判断する。その結果、3以上の異なる周波数の高周波信号それぞれの進行波および反射波の振幅の測定結果を、予め定めた回路モデルにフィッティングすることにより得られる回路係数に基づいてQ値を算出する際に、撮像時の被検体の姿勢情報に応じて適切なQ値を得ることができる。特に、Q値の具体的な値を用いずに、各チャンネルのQ値の相互関係を表す分布パターンでQ値の妥当性を判断するので、撮像時の被検体の姿勢情報に応じてより適切なQ値を得ることができる。
0067
[Q値妥当性チェック実施例3]
本発明の実施例3を説明する。本実施例3は、チャンネル毎に被検体画像における被検体信号の面積率に応じてQ値又はQ値の比の妥当な範囲Qdを予め定義しておく。そして、この予め定義しておいたQ値又はQ値の比の妥当な範囲Qdを計測した各チャンネルのQ値又はQ値の比と比較することで、当該計測した各チャンネルのQ値の妥当性を判断する。被検体信号の面積率と妥当な範囲Qdとの関係は、予め、ネットワークアナライザで測定した値を用いる。以下、本実施例3を図7A、図7Bを用いて詳細に説明する。
0068
最初に、被検体の画像情報に対するQ値又はQ値の比の妥当な範囲Qdの定義と比較方法について説明する。
0069
図7Aのように、被検体112を撮像したAXIAL画像を画像データベース216より取得し、チャンネル数分に分割する。分割の仕方は、例えば、RFアンテナ103の各チャンネルが有する主要な感度領域に基づいて分割することができる。或いは、AXIAL画像に各チャンネルの感度分布を掛け合わせた画像を分割画像としても良い。図7Aは4チャンネルRFアンテナ103に対応して4分割した例を示す。そして、i(i=1〜n)番目のチャンネル(i)に対応する分割画像(i)における被検体信号の面積率(i)によって、そのチャンネル(i)のQ値又はQ値の比の妥当範囲Qd[i]を定義する。つまり、
面積率(i)
=(分割画像(i)内で被検体信号の存在する面積)/(分割画像(i)の面積)
Qd[i]=T(面積率(i))
とする。ここでT()は、例えばネットワークアナライザで測定したQ値(Qloaded[i])とその時の面積率(i)との関係に基づいて予め定めた、面積率と妥当範囲Qdとの関係を表す関数又はテーブルを意味する。
0070
なお、AXIAL画像は、SARが十分に低いシーケンスで撮像した画像であり、実際の被検体負荷として取り扱うことが可能である。
0072
以上説明したように、本実施例3は、チャンネル毎に被検体画像における被検体信号の面積率に応じてQ値又はQ値の比の妥当な範囲Qdを予め定義しておき、計測した各チャンネルのQ値又はQ値の比と比較することで、当該計測した各チャンネルのQ値の妥当性を判断する。これにより、前述の実施例1、2と比較して、実際の被検体の配置姿勢に応じてQ値の妥当性チェックの精度がより高くなる。脂肪信号を低下させた画像であればさらに精度が高くなる。また、本実施例3は様々な配置姿勢に対応できる。たとえば足を開く角度や、横方向のずれなどに対応することができ、被検体の配置姿勢に対するQ値の妥当性チェックの自由度が高い。
0073
[Q値妥当性チェック実施例4]
本発明の実施例4を説明する。本実施例4は、前述の実施例1,3において、参照するQ値又はQ値の比の妥当範囲Qdを、過去の実測データに基づいて定める。過去に妥当であると判断されたQ値(Qloaded)又はQ値の比を検査部位や画像パターンに対して蓄積し、公知の統計学的な手法でQ値(Qloaded)又はQ値の比の最大値と最小値を求めてQ値の妥当範囲Qdと定義し、Q値妥当性チェック部214に記録する。
0074
本実施例4によれば、妥当範囲Qdの精度を実測データの増加に従い向上させることができる。
0075
100MRI装置、101マグネット、102傾斜磁場コイル、103RFアンテナ、104送受信機、105データ処理部、106送受信ケーブル、107傾斜磁場制御ケーブル、108表示装置、109傾斜磁場電源、111ベッド、112 被検体、201パルス生成部、202モニタ、203パワーアンプ、212 供給部、213Q値算出部、214 Q値妥当性チェック部、215SAR管理部、216被検体情報管理部、217画像データベース部、301フィッティング結果、302 フィッティング結果