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技術 抵抗変化型素子およびその製造方法

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 生田目俊秀長尾忠昭
出願日 2015年1月15日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-005464
公開日 2016年7月21日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2016-131216
状態 未査定
技術分野 半導体メモリ CVD 絶縁膜の形成 オブシンスキー素子 薄膜、厚膜装置
主要キーワード 部分温度 フォーミング過程 アルミニウム酸化物膜 非晶質酸化アルミニウム チェス盤 酸化ニオビウム 分散形成 引き抜き量
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重要な関連分野

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図面 (10)

課題

非揮発性メモリ等に利用される抵抗変化型素子フォーミング電圧を低下させ、また繰り返し特性を向上させる。

解決手段

部電極11と上部電極14との間に金属酸化物膜12が挟まれた素子構造で、非晶質酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウム13の島状/粒子状領域を金属酸化物膜12上に形成する。抵抗変化素子オンオフ動作を実現するフィラメントの核となる酸素欠損が島状または粒子状の酸化アルミニウム等の下に当初より形成されているので、フォーミング初期高電圧印加による酸素欠損生成が不要となる。このような領域はわずかのサイクル数のALD処理により作製できる。

概要

背景

代表的な不揮発性メモリの一つに、電圧印可することにより上下電極間に設けられた絶縁膜抵抗変化を利用した抵抗変化型メモリ(Resistive random access memory:ReRAM)が挙げられ、高性能化、高信頼性および低コスト化の観点から活発に研究・開発されている。

ReRAMとは単純なMIM(Metal-insulator-metal)構造であり、しかもプロセス温度も低く、相補性金属酸化膜半導体(Complementary metal-oxide-semiconductor:CMOS)ロジックへの混載にも適している。ReRAMのメモリ動作としては、大きく分けて二つの方法が提案されている。一つは電極材料電圧印可によって絶縁膜へ拡散して上下電極間で繋がる伝導パスフィラメント)を形成するメカニズムであり、代表的な電極材料としてCuおよびPtが検討されている。もう一方は、絶縁膜にイオン性金属酸化物を用いて、還元反応によって膜中に酸素欠損が導入されて上下電極間でフィラメントを形成するメカニズムであり、代表的なイオン性金属酸化物として酸化ニッケル(NiO)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化チタン(TiO2)及び酸化タンタル(TaOx)が検討されている。電圧の印可方向を変えることで、フィラメントが繋がった低抵抗状態と繋がりがなくなった高抵抗状態を利用してメモリ動作が行われる(たとえば、非特許文献1および2)。

ReRAMでは、フィラメントを形成させるための初期動作として、フォーミングと呼ばれる疑似絶縁破壊が必要になる。フィラメントがランダムに形成されることが原因の高いフォーミング電圧を低下させるために、絶縁膜として多結晶酸化物層と、この多結晶酸化物層よりも厚いアモルファス層とを積層化させて、多結晶酸化物層のバウンダリ起因のフィラメントを用いることが開示されている(たとえば、特許文献1)。また、絶縁層に酸素欠損を導入するために、酸素引き抜き物質電極と絶縁膜との界面に分散配置することが開示されている(たとえば、特許文献2)。

しかしながら、上記特許文献に記載された多結晶酸化物層のバウンダリ起因のフィラメント形成は、バウンダリの数および物性が多結晶層形成条件に大きく影響され、フォーミング電圧のばらつきを引き起こさせる問題を含んでいた。また、分散される酸素引き抜きの物質がTiOxに表されるように酸素欠損の酸化物である必要があり、絶縁膜からの酸素引き抜き量を決める酸素欠損の量を調整できず、フィラメントの形成を制御しづらい問題があった。

また、SrTiO3単結晶の最表面のO−Ti結合の酸素と原子層堆積(Atomic layer deposition:ALD)法による酸化アルミニウム(Al2O3)膜の成膜で用いられるトリメチルアルミニウム(trimethylaluminium:TMA、Al(CH3)3)原料とが反応して、SrTiO3最表面から酸素を除去して酸素欠損を導入し、結果として2次元電子ガスを作製することが報告されている(たとえば、非特許文献3)。しかしながら、上記非特許文献に記載された最表面からの酸素の除去は、単結晶基板によるオーダーリングしたO−Ti結合にのみ触れられており、非晶質および多結晶から構成された酸化チタン(TiO2)の場合のTMAとO−Ti結合の酸素との反応およびそれに基づく酸素欠損の導入についてはまったく触れられていない問題がある。

さらに、TMA原料を用いたALD法による酸化アルミニウム(Al2O3)膜の生成段階で、GaAs基板上に生成した自然酸化物(例えば、GaOxおよびAsOx)の酸素とTMAとが反応して、自然酸化物膜を除去できることが報告されている(たとえば、非特許文献4)。しかしながら、上記非特許文献に記載された自然酸化物は化学量論比から酸素プアーな酸化物であるためにTMAとの酸素の反応はしやすく、化学量論組成比あるいはそれ以上の酸素リッチな酸化物において、酸素との反応およびそれに基づく酸素欠損の導入についてはまったく触れられていない問題がある。

概要

非揮発性メモリ等に利用される抵抗変化型素子のフォーミング電圧を低下させ、また繰り返し特性を向上させる。 下部電極11と上部電極14との間に金属酸化物膜12が挟まれた素子構造で、非晶質酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウム13の島状/粒子状領域を金属酸化物膜12上に形成する。抵抗変化素子オンオフ動作を実現するフィラメントの核となる酸素欠損が島状または粒子状の酸化アルミニウム等の下に当初より形成されているので、フォーミング初期高電圧印加による酸素欠損生成が不要となる。このような領域はわずかのサイクル数のALD処理により作製できる。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、上記の問題の酸素欠損の量を酸化物に均一分散させたReRAM等の抵抗変化型素子およびその製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

第1の電極と第2の電極との間に設けられた金属酸化物膜を有する抵抗変化型素子であって、前記第1の電極と前記金属酸化物膜の間に非晶質な酸化アルミニウムまたは酸化炭化アルミニウムの島状または粒子状物が分散されている抵抗変化型素子。

請求項2

前記島状または粒子状物の平均粒径は、0.1nm以上0.6nm以下である、請求項1に記載の抵抗変化型素子。

請求項3

前記金属酸化物を構成する少なくとも1つの元素酸化物生成自由エネルギーが、0℃から400℃の温度範囲内の少なくとも一部の範囲内で酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギーより低い、請求項1または2に記載の抵抗変化型素子。

請求項4

前記金属酸化物は、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(Hf)からなる群から選択された少なくとも一つを含む、請求項1から3の何れかに記載の抵抗変化型素子。

請求項5

前記島状または粒子状物は、前記第1の電極に酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムを堆積させるとともに、堆積により当初前記第1の電極上に互いに孤立して形成された酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムの領域が連続した膜状に連結される前に堆積を打ち切ることにより形成する、請求項1から4の何れかに記載の抵抗変化型素子の製造方法。

請求項6

前記堆積は原子層堆積(ALD)法により行う、請求項5に記載の抵抗変化型素子の製造方法。

請求項7

前記ALD法による堆積におけるALDサイクルは3サイクル以下である、請求項6に記載の抵抗変化型素子の製造方法。

請求項8

前記ALD法による堆積はトリメチルアルミニウムを使用して行われる、請求項6または7に記載の抵抗変化型素子の製造方法。

請求項9

前記ALD法による堆積は0℃以上400℃以下で行われる、請求項8に記載の抵抗変化型素子の製造方法。

請求項10

前記ALD法による堆積は22℃以上300℃以下で行われる、請求項9に記載の抵抗変化型素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、不揮発性メモリ等に使用できる抵抗変化型素子およびその製造法に関するものである。

背景技術

0002

代表的な不揮発性メモリの一つに、電圧印可することにより上下電極間に設けられた絶縁膜抵抗変化を利用した抵抗変化型メモリ(Resistive random access memory:ReRAM)が挙げられ、高性能化、高信頼性および低コスト化の観点から活発に研究・開発されている。

0003

ReRAMとは単純なMIM(Metal-insulator-metal)構造であり、しかもプロセス温度も低く、相補性金属酸化膜半導体(Complementary metal-oxide-semiconductor:CMOS)ロジックへの混載にも適している。ReRAMのメモリ動作としては、大きく分けて二つの方法が提案されている。一つは電極材料電圧印可によって絶縁膜へ拡散して上下電極間で繋がる伝導パスフィラメント)を形成するメカニズムであり、代表的な電極材料としてCuおよびPtが検討されている。もう一方は、絶縁膜にイオン性金属酸化物を用いて、還元反応によって膜中に酸素欠損が導入されて上下電極間でフィラメントを形成するメカニズムであり、代表的なイオン性金属酸化物として酸化ニッケル(NiO)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化チタン(TiO2)及び酸化タンタル(TaOx)が検討されている。電圧の印可方向を変えることで、フィラメントが繋がった低抵抗状態と繋がりがなくなった高抵抗状態を利用してメモリ動作が行われる(たとえば、非特許文献1および2)。

0004

ReRAMでは、フィラメントを形成させるための初期動作として、フォーミングと呼ばれる疑似絶縁破壊が必要になる。フィラメントがランダムに形成されることが原因の高いフォーミング電圧を低下させるために、絶縁膜として多結晶酸化物層と、この多結晶酸化物層よりも厚いアモルファス層とを積層化させて、多結晶酸化物層のバウンダリ起因のフィラメントを用いることが開示されている(たとえば、特許文献1)。また、絶縁層に酸素欠損を導入するために、酸素引き抜き物質電極と絶縁膜との界面に分散配置することが開示されている(たとえば、特許文献2)。

0005

しかしながら、上記特許文献に記載された多結晶酸化物層のバウンダリ起因のフィラメント形成は、バウンダリの数および物性が多結晶層形成条件に大きく影響され、フォーミング電圧のばらつきを引き起こさせる問題を含んでいた。また、分散される酸素引き抜きの物質がTiOxに表されるように酸素欠損の酸化物である必要があり、絶縁膜からの酸素引き抜き量を決める酸素欠損の量を調整できず、フィラメントの形成を制御しづらい問題があった。

0006

また、SrTiO3単結晶の最表面のO−Ti結合の酸素と原子層堆積(Atomic layer deposition:ALD)法による酸化アルミニウム(Al2O3)膜の成膜で用いられるトリメチルアルミニウム(trimethylaluminium:TMA、Al(CH3)3)原料とが反応して、SrTiO3最表面から酸素を除去して酸素欠損を導入し、結果として2次元電子ガスを作製することが報告されている(たとえば、非特許文献3)。しかしながら、上記非特許文献に記載された最表面からの酸素の除去は、単結晶基板によるオーダーリングしたO−Ti結合にのみ触れられており、非晶質および多結晶から構成された酸化チタン(TiO2)の場合のTMAとO−Ti結合の酸素との反応およびそれに基づく酸素欠損の導入についてはまったく触れられていない問題がある。

0007

さらに、TMA原料を用いたALD法による酸化アルミニウム(Al2O3)膜の生成段階で、GaAs基板上に生成した自然酸化物(例えば、GaOxおよびAsOx)の酸素とTMAとが反応して、自然酸化物膜を除去できることが報告されている(たとえば、非特許文献4)。しかしながら、上記非特許文献に記載された自然酸化物は化学量論比から酸素プアーな酸化物であるためにTMAとの酸素の反応はしやすく、化学量論組成比あるいはそれ以上の酸素リッチな酸化物において、酸素との反応およびそれに基づく酸素欠損の導入についてはまったく触れられていない問題がある。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、上記の問題の酸素欠損の量を酸化物に均一分散させたReRAM等の抵抗変化型素子およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一側面によれば、第1の電極と第2の電極との間に設けられた金属酸化物膜を有する抵抗変化型素子であって、前記第1の電極と前記金属酸化物膜の間に非晶質な酸化アルミニウムまたは酸化炭化アルミニウムの島状または粒子状物が分散されている抵抗変化型素子が与えられる。
ここで、前記島状または粒子状物の平均粒径は、0.1nm以上0.6nm以下であってよい。
また、前記金属酸化物を構成する少なくとも1つの元素酸化物生成自由エネルギーが、0℃から400℃の温度範囲内の少なくとも一部の範囲内で酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギーより低いものであってよい。
また、前記金属酸化物は、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(Hf)からなる群から選択された少なくとも一つを含んでよい。
本発明の他の側面によれば、前記島状または粒子状物は、前記第1の電極に酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムを堆積させるとともに、堆積により当初前記第1の電極上に互いに孤立して形成された酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムの領域が連続した膜状に連結される前に堆積を打ち切ることにより形成する、上記何れかの抵抗変化型素子の製造方法が与えられる。
ここで、前記堆積は原子層堆積(ALD)法により行ってよい。
また、前記ALD法による堆積におけるALDサイクルは3サイクル以下であってよい。
また、前記ALD法による堆積はトリメチルアルミニウムを使用して行われてよい。
また、前記ALD法による堆積は0℃以上400℃以下で行われてよい。
また、前記ALD法による堆積は22℃以上300℃以下で行われてよい。

発明の効果

0010

本発明によれば、低くしかも安定したフォーミング電圧を有するとともに、抵抗変化特性に優れたReRAM等の抵抗変化型素子を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の実施形態に係る抵抗変化型素子の概略断面図。
本発明の実施形態に係る1T−1R型の抵抗変化型素子の概略断面図。
本発明の実施形態に係る抵抗変化型素子の作製工程図
本発明の実施例に係るALD法の成膜温度に対するTiO2膜の比抵抗の変化の結果を示す図。
本発明の実施例に係るALDサイクルに対するTiO2膜の比抵抗の変化の結果を示す図。
本発明の実施形態に係るALD法の3サイクル以内の場合と4サイクル以上の場合との酸素欠損および電子生成のメカニズムの違いを説明する模式図。
本発明の実施形態に係る非晶質な酸化アルミニウムによるフィラメント形成の模式図。
本発明の実施例に係るフォーミング電圧の素子間のばらつき特性を示す図。
本発明の実施例に係る非晶質な酸化アルミニウム無の抵抗変化型メモリの電圧サイクル数に対する抵抗変化の信頼性を示す図。

0012

以下、図を参照しながら、本発明の実施形態に係る抵抗変化型素子および抵抗変化型素子の製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明では抵抗変化型素子の代表的な用途である抵抗変化型メモリについてもっぱら説明するが、当然ながら一般性を失うものではない。

0013

図1は、本発明の実施形態に係る抵抗変化型メモリ10の概略構成図である。前記抵抗変化型メモリ10は、上部電極14と下部電極11との間に設けられた金属酸化物膜12を含む。前記上部電極14と前記金属酸化物膜12の間に、平均粒径は、0.1nm以上0.6nm以下の非晶質な酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウム13が島状または粒子状に分散されている。

0014

また、図2は本実施形態に係る1T−1R型の抵抗変化型メモリ10の断面模式図である。素子分離16で分割されたシリコン基板15上へ、通常のCMOSプロセスでソース(S)およびドレイン(D)を有するトランジスタ17が形成されている。前記S上に層間絶縁膜18に形成されたコンタクトプラグ19上に接地線20が形成され、前記D上に層間絶縁膜18に形成されたコンタクトプラグ19上に中継配線21が形成される。前記中継配線21上に層間絶縁膜22に形成されたコンタクトプラグ23上に、抵抗変化型メモリ10の下部電極11が形成される。前述のように形成した抵抗変化型メモリ10の上部電極14上に層間絶縁膜24を貫通してコンタクトプラグ25が形成され、前記コンタクトプラグ25上へビット線26が形成される。

0015

図3抵抗型変化メモリの製造工程図である。図3(a)において、層間絶縁膜22に形成されたコンタクトプラグ23上へ形成された下部電極11を形成する。下部電極11は密着層導電層積層構造で構成され、Tiおよびクロム(Cr)などの密着層が用いられ、導電層には通常知られた材料で形成されたものを用いることができる。これらの導電層の形成材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、Ta、タングステン(W)などの金属材料やこれらの合金インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性酸化物を挙げることができる。また、これらの導電層は、例えば表面を金属材料でめっきすることにより2層以上の積層構造を形成していてもよい。

0016

次に、図3(b)に示すように、金属酸化物膜12を形成する。金属酸化物膜12は、構成する少なくとも1つの元素の酸化物生成自由エネルギーが、0℃から400℃の温度範囲内の少なくとも一部の部分温度範囲内でAl2O3の酸化物生成自由エネルギーより大きい材料を用いて形成する(表1)。なお、当然のことではあるが、フォーミングは上記大小関係、すなわち
[金属酸化物生成自由エネルギー(金属酸化物膜12中の少なくとも一つの元素)]>[金属酸化物生成自由エネルギー(Al2O3)]
成立する(つまり、金属酸化物膜12上に酸素欠損が生成される)温度範囲内でフォーミングを行う。

0017

金属酸化物膜12は、Ti、Ta、Nb、Zr、およびHfからなる群から選択された少なくとも一つを含んだ材料で形成してもよい。これらの金属酸化物膜12は作製条件によっては優れた絶縁性の特性を示すために容易に酸素欠損を形成しづらく、酸素欠損に起因したフォーミングを形成するには高いフォーミング電圧を印可する必要があった。また、フォーミング形成する個所はランダムにしかもメモリ毎に大きなばらつきを生じた。

0018

本願発明者らはこの問題を解決すべく検討を重ねた結果、ガラス基板へ形成した膜厚が10nmのルチル構造のTiO2膜上にTMA原料とH2Oガスを用いたALD法によってアルミニウム酸化物膜を堆積させていくと、堆積の比較的初期段階でこのTiO2膜が絶縁体から導体へ変わることを見出した。図4は、ALD法の成膜温度に対するルチル構造のTiO2膜の比抵抗の変化を示す。ALDサイクルは50サイクル一定とした。比抵抗はホール測定によって求められた。全ての温度域で、比抵抗値は10−2から10−1Ωcmオーダーと小さくなり、TiO2膜が絶縁体から導体へ変わることが分かった。また、ALD成膜温度を300℃一定として、ALDサイクルに対するTiO2膜の比抵抗の変化を図5に示す。ALDサイクルが3サイクルまでは、比抵抗値が測定限界の絶縁性を示したが、4サイクルで急激に比抵抗値が10−1Ωcmまで低下して導体へ変わったことが分かった。4サイクル以上は10−2から10−1Ωcmオーダーであり、導体を維持していることが分かった。

0019

この3サイクルと4サイクル以上との違いについて、図6を用いて説明する。ALD法では、TMA原料とH2Oガスを交互に供給するサイクル数を変えることで、Al2O3膜の膜厚を制御できる。成膜速度は、0.08〜0.15nm/cycleであり、図6(a)に示すように3サイクルまでは島状および粒子状に分散形成するが、図6(b)に示すように4サイクル以上になると膜状に変わる。しかし、島状および粒子状の場合にでも、TiO2膜に酸素欠損が導入されて、電子が生成する。このメカニズムは以下のとおりであると考えられる。TMA原料が、TiO2膜の表面に付着すると、TiO2膜の最表面の酸素とTMA原料のAl元素およびCH3基とが反応して、Al2O3およびCO2ガスが生成する。この生成に伴って、TiO2膜に酸素欠損が生成する。この反応をまとめたのが(1)式である。この反応は、非特許文献3でも示されている。

0020

2Al(CH3)3+10TiO2 → Al2O3+5Ti2O3+3CH4(g)+C2H4(g)+CO2(g)+H2(g) — (1)

0021

3サイクルまでは隣接する酸素欠損の間の距離が離れているために電子は流れないが、4サイクル以上になると酸素欠損同士の距離間は電子が流れる範囲内まで近づくために、電子が流れる。ここで、上記の(1)式は、2種類の金属酸化物が接した場合の酸化物生成自由エネルギーの差による酸素の移動によく類似している。よって、ALDの成膜温度の0℃から400℃の温度域、例えば22℃で、Al2O3の酸化物生成自由エネルギーは−1060kJ/molであり、ルチル構造のTiO2の酸化物生成自由エネルギー−888kJ/molに比べて小さな値であるために、TiO2の酸素をうばいやすい。金属酸化物の酸化物生成自由エネルギーをまとめた表1に示すように、他に、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオビウム(NbO)、酸化タンタル(Ta2O5)をALD法で成膜した場合でも、酸素欠損の生成についてはAl2O3膜の場合と同じ現象が起こる。

0022

0023

また、0℃〜400℃の温度範囲でALD法により作製したAl2O3の構造は非晶質であった。なお、結晶化には900℃以上での熱処理が必要なことは当業者にとっては技術常識である。特に、22℃〜300℃のALD成膜温度範囲が低欠陥で高品質なAl2O3を安定して形成できてよい。この条件を外れた場合には、不純物を含んだ酸化アルミニウムになることもある。さらに、H2Oガスの供給が不十分な場合や無い場合には、非晶質な酸炭化アルミニウムが同じく3サイクルまでは島状または粒子状に形成された。

0024

また、非晶質な酸化アルミニウムおよび酸炭化アルミニウムの平均粒径は、0.1nm以上0.6nm以下であることが好ましい。ラフネスが大きすぎると上部電極とのコンタクトが不十分になりやすい。

0025

抵抗変化型メモリでは、その動作原理上、下部電極11と上部電極14との間に挟まれた酸化物膜12は絶縁体である必要があるため、導体化した金属酸化物膜をここに使用することはできない。しかし、上述したように、酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムの堆積の初期段階では酸素欠陥堆積物の下に存在するにもかかわらず金属酸化物膜は絶縁性を維持することを利用すれば、上述したところの酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムの下に形成される酸素欠損をフォーミングの際のフィラメント成長の核として利用できる抵抗変化型メモリが実現可能である。本発明者らはこのような着想に基づいて本発明を完成させるに至ったものである。

0026

上述の着想に基づいて、図3(c)に示すように、金属酸化物膜12の上に上記条件を満足するように島状または粒子状の酸化アルミニウム13を3サイクル以下のALD法によって形成する。次に、図3(d)に示すように、上部電極14を形成する。上部電極14には通常知られた材料で形成されたものを用いることができる。これらの電極の形成材料としては、例えば、Al、Pt、Au、Ag、Cu、Ni、Mo、Ta、Wなどの金属材料やこれらの合金、ITO、ZnOなどの導電性酸化物を挙げることができる。また、これらの電極は、例えば表面を金属材料でめっきすることにより2層以上の積層構造を形成していてもよい。

0027

次に、図3(e)に示すように、通常のフォトリソグラフィプロセスによって、サイズに合わせたレジストパターン27を形成する。続いて、エッチングプロセスで下部電極11まで加工した後に、レジスト膜剥離して、図3(f)に示すように、抵抗変化型メモリを作製する。

0028

図7は、非晶質な酸化アルミニウムの(a)有および(b)無の場合の、酸素欠損のフィラメント形成を示す断面模式図である。(b)の場合、大きなフォーミング電圧を印可することで酸素欠損を導入するために、ランダムに酸素欠損が生成して、この酸素欠損を起因としたフィラメント形成のために、結果としてメモリ毎のばらつきが大きくなる。すなわち、この構成(b)でフォーミング電圧が高くなるのは、フォーミング過程の最初でフィラメントの核となる酸素欠損を酸化物層表面に形成するために必要な電圧が高く、またこの酸素欠損の形成のために必要な電圧がこの表面の膜質、ひいてはその製造条件のわずかな違いに大きく左右されるのでチップ間のばらつきが大きくなるからである。一方、(a)の場合、酸化アルミニウムの面するTiO2膜の表面に酸素欠損を分散して形成できているために、低いフォーミング電圧でよく、しかもメモリ毎のばらつきも小さくなることを見出した。言い換えれば、本発明の構成(a)では酸化アルミニウムを酸化物層表面に形成した時には既に酸素欠損が形成されているので、フォーミング過程の当初に従来必要だった高い電圧が不要になり、またフォーミング電圧への膜質の影響が排除されるためにばらつきも減少するのである。

0029

なお、上述した島状または粒子状の酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムを実現する方法としてALD法を挙げたが、この実現方法は必ずしもALD法に限定されるわけではない。形成された酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウムの島状または粒子状領域が成長しすぎて連結することにより連続した膜上になる前に成長プロセスを停止できるように制御可能な方法であれば採用できる。例えば、TMAガスを供給しながらMOCVD法により上述した成長制御を行なうことも可能である。

0030

以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0031

本実施例においては、図1に示した抵抗変化型メモリ10と同様の構成を酸化シリコン(SiO2)(100nm)上に形成した。

0032

実施例の抵抗型変化メモリは、Si基板を用い、表面を酸化することでSiO2層を100nm形成した後、密着層としてのTi膜を、DCスパッタリング法を用いて、室温において、Arガスで0.1Pa、スパッタリングパワー200Wの条件で膜厚10nm形成した。続いて、Ti膜上へ導電性としてPt膜を、DCスパッタリング法を用いて、室温において、Arガスで0.1Pa、スパッタリングパワー200Wの条件で膜厚100nm形成して、下部電極11を作製した。

0033

次に、金属酸化物膜12としてのTiO2膜を、Pt膜上へ、ALD装置を用い、テトラキシジメチルアミドチタニウム(Tetrakis-dimethlamido-titanium:TDMAT)原料→Arパージガス→H2O酸化ガス→Arパージガスの供給で1サイクルとしたシーケンスで、TDMAT原料容器の温度100℃、H2O容器の温度20℃、真空度10Pa、成長温度300℃、200サイクルで約10nm形成した。このTiO2膜は非晶質構造であった。アナターゼおよびルチル構造は、この非晶質構造の膜を各々酸素雰囲気で500℃および窒素雰囲気で800℃で熱処理することで作製した。以下では、ルチル構造のTiO2膜を用いた例を示す。

0034

次に、非晶質な酸化アルミニウム13は、ルチル構造のTiO2膜上へ、ALD装置を用い、TMA原料→Arパージガス→H2O酸化ガス→Arパージガスの供給で1サイクルとしたシーケンスで、TMA原料容器の温度0〜20℃、H2O容器の温度0〜20℃、真空度10Pa、成長温度0〜400℃およびサイクル数を1〜100と変えて成膜した。以下では、成膜温度300℃、3サイクルで成膜した例を示す。

0035

次に、上部電極14としては、直径100μmの孔の開いたステンシルマスクを通して、Pt膜を、DCスパッタリング法を用いて、室温で、Arガスで0.1Pa、スパッタリングパワー200Wの条件で膜厚100nm形成したものを使用した。

0036

このようにして作製した抵抗変化型メモリ10の特性は、評価環境を25℃、暗所真空中として測定した。図8および図9は抵抗変化型メモリ10の特性を測定した結果を示すグラフであり、図8はフォーミング電圧の素子間のばらつき特性、図9は信頼性の特性を示す。

0037

図8はフォーミング電圧の素子間のばらつき特性であり、比較的小さなチェス盤状のパターンを持つ棒グラフで表されるところの本実施例の抵抗変化型メモリ10の測定結果に加えて、比較対象としての非晶質な酸化アルミニウム無のデータ(細かな点を分散させたパターンの棒グラフ)もプロットされている。非晶質な酸化アルミニウム無の抵抗変化型メモリのフォーミング電圧の分布範囲は1.8〜4.5Vと幅広く分散しているので、素子を確実にフォーミングするためには高電圧領域までフォーミング電圧を印可する必要がある。一方、本実施例の非晶質な酸化アルミニウム有の抵抗変化型メモリは、約75%のメモリが2.5Vのフォーミング電圧に集中しており、また分布広がりも比較対象のデータに比べて非常に狭い。すなわち、本実施例ではフォーミング電圧のばらつきを小さくできる効果が現われている。

0038

図9は、フォーミング後の非晶質な酸化アルミニウム無の抵抗変化型メモリの電圧サイクル数に対する抵抗変化の信頼性の特性である。絶対値は0.3Vだがその極性を10m秒ごとに反転させた矩形波電圧を100サイクル印加した。当該繰り返し試験の最初から100サイクルの繰り返しが終了するまで、低抵抗領域は1E+3オーダーで、高抵抗領域は1E+8オーダーと、特性で重要な抵抗差高抵抗と低抵抗との比の値)は5桁の良好な特性であった。また、この5桁は100サイクル後でも維持するなど信頼性も高いことが分かった。一方、図8に示した従来の酸化アルミニウムなしのキャパシタは、上と同じサイクル試験を行ったところ、サイクル数が60回を超えると、低抵抗値が徐々に大きくなり、高抵抗と低抵抗の比の値が5桁よりも減少する傾向を示した。また、キャパシタによっては、高抵抗値と低抵抗値が同じになるキャパシタの破壊も認められた。

実施例

0039

以上の結果から、本発明の抵抗変化型メモリの動作確認ができ、本発明の有用性が確かめられた。

0040

以上説明したように、本発明によれば、抵抗変化型メモリに代表される抵抗変化型素子の性能向上に大いに貢献することが可能である。

0041

特許第5309615号
特開2014−22660号公報

先行技術

0042

B. J. Choi et al., “Resistive switching mechanism of TiO2 thin films grown by atomic-layer deposition”, J. Appl. Phys. 98, 033715(2005).
S. Seo et al., “Reproducible resistance switching in polycrystalline NiO films”, Appl. Phys. Lett., 85, 5655(2004).
S. W. Lee et al., Nano Lett., 12, 4775(2012).
H. D. Lee et al., Appl. Phys. Lett., 94, 222108(2009).

0043

10---抵抗変化型メモリ
11---下部電極
12---金属酸化物膜
13---非晶質な酸化アルミニウムまたは酸炭化アルミニウム
14---上部電極
15---シリコン基板
16---素子分離
17---トランジスタ
18、22、24---層間絶縁膜
19、23、25---コンタクトプラグ
20---接地線
21---中継配線
26---ビット線

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