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技術 積層不織布および空気清浄機

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 本村耕治村田崇彦住田寛人黒川崇裕光嶋隆敏
出願日 2015年1月9日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-003121
公開日 2016年7月14日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2016-128613
状態 特許登録済
技術分野 ガス中の分散粒子の濾過 積層体(2) 不織物
主要キーワード 原料液タンク 消臭フィルター 個数濃度 粒子計数器 空間率 メビウス 回収リール 検査シート
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年7月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

高い集塵効率と低い圧力損失とを備える積層不織布を提供する。

解決手段

第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層される第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1繊維の平均繊維径D1および前記第2繊維の平均繊維径D2は、D1>D2の関係を満たし、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側から見たとき、所定の領域において、前記第1繊維に重なり、かつ、前記第1繊維よりも手前に存在する前記第2繊維の部分2Faの合計の面積が、前記第1繊維によって形成される前記第1不織布の空隙Sに重なって存在する前記第2繊維の部分2Fbの合計の面積よりも大きい、積層不織布。

概要

背景

空気清浄機等に用いられる濾材としての不織布には、基本性能として、長期間にわたる高い集塵効率ダスト捕捉能力)および低い圧力損失流体が不織布を通過するときの抵抗力)が求められる。しかし、これらは相反する性質であり、両立させることが難しい。例えば、集塵効率を高めるには、不織布の目付け量密度)を増やせば良い。しかし、目付量を増やすと流体の流路が小さくなるため、流体に対する抵抗力が大きくなって、圧力損失が高くなる。さらに、集塵が進んで不織布の空隙が小さくなるにつれ、集塵効率はさらに向上するが、圧力損失も増加する。集塵は、不織布の内部にダストを含む流体が通過することにより行われるため、圧力損失の高い不織布の内部に流体を通過させるには、空気清浄機等のモータ出力吸引力)を高くする必要がある。そのため使用電力が大きくなったり、騒音が大きくなったりするといった問題がある。家庭用として室内に空気清浄機等を設置する場合、騒音に対する配慮はより重要である。

集塵効率を向上させるために、特許文献1は、平均繊維径の異なる2種類の繊維を均一に交絡させることを教示している。

また、特許文献2では、平均繊維径の大きい第1のナノファイバーおよびこれよりも平均繊維径の小さい第2のナノファイバーを用いて、第1のナノファイバーの目付量が第2のナノファイバーの目付量よりも小さくなるように、基材上に配置している。これにより、集塵効率が高まるとともに、圧力損失の上昇が抑制されることが教示されている。

概要

高い集塵効率と低い圧力損失とを備える積層不織布を提供する。第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層される第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1繊維の平均繊維径D1および前記第2繊維の平均繊維径D2は、D1>D2の関係を満たし、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側から見たとき、所定の領域において、前記第1繊維に重なり、かつ、前記第1繊維よりも手前に存在する前記第2繊維の部分2Faの合計の面積が、前記第1繊維によって形成される前記第1不織布の空隙Sに重なって存在する前記第2繊維の部分2Fbの合計の面積よりも大きい、積層不織布。

目的

本発明によれば、高い集塵効率と低い圧力損失とを備える積層不織布を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層される第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1繊維の平均繊維径D1および前記第2繊維の平均繊維径D2は、D1>D2の関係を満たし、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側から見たとき、所定の領域において、前記第1繊維に重なり、かつ、前記第1繊維よりも手前に存在する前記第2繊維の部分2Faの合計の面積が、前記第1繊維によって形成される前記第1不織布の空隙Sに重なって存在する前記第2繊維の部分2Fbの合計の面積よりも大きい、積層不織布。

請求項2

前記第2繊維の部分2Faのうち、前記第1繊維の長さ方向に沿って配置している前記第2繊維の部分の合計面積が、前記第1繊維の長さ方向と垂直な方向に沿って配置している前記第2繊維の部分の合計面積よりも大きい、請求項1に記載の積層不織布。

請求項3

前記D1および前記D2が、D2≦D1/10の関係を満たす、請求項1または2に記載の積層不織布。

請求項4

前記D2が、1μm未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層不織布。

請求項5

前記第2不織布が、第3繊維をさらに含み、前記第3繊維の平均繊維径D3が、D2<D3<D1の関係を満たし、前記第2繊維が、前記第1繊維と前記第3繊維との間に配置されており、前記主面2A側から見たとき、所定の領域において、前記第1繊維に重なり、かつ、前記第1繊維よりも手前に存在する前記第3繊維の部分の合計の面積が、前記第1不織布の前記空隙Sに重なって存在する前記第3繊維の部分の合計の面積よりも小さい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層不織布。

請求項6

前記D2が100nm以上500nm未満であり、前記D3が500nm以上1000nm未満である、請求項5に記載の積層不織布。

請求項7

前記主面2A側に、さらに多孔質な保護層を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層不織布。

請求項8

気体の吸い込み部と、前記気体の吐き出し部と、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層不織布と、を備え、前記積層不織布は、前記主面2Aが前記吸い込み部に対向するように、前記吸い込み部と前記吐き出し部との間に配置される、空気清浄機

技術分野

0001

本発明は、積層不織布に関し、例えば、空気清浄機濾材に用いられる積層不織布に関する。

背景技術

0002

空気清浄機等に用いられる濾材としての不織布には、基本性能として、長期間にわたる高い集塵効率ダスト捕捉能力)および低い圧力損失流体が不織布を通過するときの抵抗力)が求められる。しかし、これらは相反する性質であり、両立させることが難しい。例えば、集塵効率を高めるには、不織布の目付け量密度)を増やせば良い。しかし、目付量を増やすと流体の流路が小さくなるため、流体に対する抵抗力が大きくなって、圧力損失が高くなる。さらに、集塵が進んで不織布の空隙が小さくなるにつれ、集塵効率はさらに向上するが、圧力損失も増加する。集塵は、不織布の内部にダストを含む流体が通過することにより行われるため、圧力損失の高い不織布の内部に流体を通過させるには、空気清浄機等のモータ出力吸引力)を高くする必要がある。そのため使用電力が大きくなったり、騒音が大きくなったりするといった問題がある。家庭用として室内に空気清浄機等を設置する場合、騒音に対する配慮はより重要である。

0003

集塵効率を向上させるために、特許文献1は、平均繊維径の異なる2種類の繊維を均一に交絡させることを教示している。

0004

また、特許文献2では、平均繊維径の大きい第1のナノファイバーおよびこれよりも平均繊維径の小さい第2のナノファイバーを用いて、第1のナノファイバーの目付量が第2のナノファイバーの目付量よりも小さくなるように、基材上に配置している。これにより、集塵効率が高まるとともに、圧力損失の上昇が抑制されることが教示されている。

先行技術

0005

国際公開第2008/130019号パンフレット
国際公開第2013/121733号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1の方法では、圧力損失が大きくなり易い。特許文献2の方法でも、高い集塵効率と低い圧力損失とを両立させるには十分とは言えない。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一局面は、第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層される第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1繊維の平均繊維径D1および前記第2繊維の平均繊維径D2は、D1>D2の関係を満たし、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側から見たとき、所定の領域において、前記第1繊維に重なり、かつ、前記第1繊維よりも手前に存在する前記第2繊維の部分2Faの合計の面積が、前記第1繊維によって形成される前記第1不織布の空隙Sに重なって存在する前記第2繊維の部分2Fbの合計の面積よりも大きい、積層不織布に関する。

0008

本発明の他の一局面は、気体の吸い込み部と、前記気体の吐き出し部と、前記積層不織布と、を備え、前記積層不織布は、前記主面2Aが前記吸い込み部に対向するように、前記吸い込み部と前記吐き出し部との間に配置される、空気清浄機に関する。

発明の効果

0009

本発明によれば、高い集塵効率と低い圧力損失とを備える積層不織布を提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の一実施形態に係る積層不織布を模式的に示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る積層不織布を模式的に示す上面図である。
図2における第2繊維2Fを省略した上面図である。
図2の一部を拡大した上面図である。
本発明の他の一実施形態に係る積層不織布を模式的に示す断面図である。
本発明のさらに他の一実施形態に係る積層不織布を模式的に示す断面図である。
積層不織布の製造システムの一例の構成を示す図である。
本発明の一実施形態に係る空気清浄機を示す断面図である。
実施例における評価結果を示すグラフである。
実施例1で作製した積層不織布の電子顕微鏡写真である。
比較例1で作製した積層不織布の電子顕微鏡写真である。

実施例

0011

本発明に係る積層不織布は、第1繊維を含む第1不織布と、第1不織布に積層される第2繊維を含む第2不織布と、を備え、第1繊維の平均繊維径D1および第2繊維の平均繊維径D2は、D1>D2の関係を満たし、第2不織布の第1不織布に対向しない主面2A側から見たとき、所定の領域において、第1繊維に重なり、かつ、第1繊維よりも手前に存在する第2繊維の部分2Faの合計の面積が、第1繊維によって形成される第1不織布の空隙Sに重なって存在する第2繊維の部分2Fbの合計の面積よりも大きい。これにより、平均繊維径の小さな第2繊維が、第1繊維の近傍で粉塵捕捉するため、長期間にわたり使用した場合にも、第1不織布の空隙が保持される。そのため、圧力損失の増加が抑制され、積層不織布の耐用期間が長くなる。さらに、より平均繊維径の小さな第2繊維を含むことにより、集塵効率が向上する。

0012

第2繊維の部分2Faのうち、第1繊維の長さ方向に沿って配置している第2繊維の部分の合計面積は、第1繊維の長さ方向と垂直な方向に沿って配置している第2繊維の部分の合計面積よりも大きいことが好ましい。圧力損失の増加の抑制効果が、より高くなりやすいためである。

0013

D1およびD2は、D2≦D1/10の関係を満たすことが好ましい。特に、D2は、1μm未満であることが好ましい。第2不織布の表面積がより大きくなって、集塵効果がさらに向上するためである。また、静電気力を利用して第1不織布上に第2繊維を堆積させる場合、第2繊維が軽くなることで、第2繊維を第1繊維に重なるように配置させやすくなる。

0014

第2不織布は、第3繊維をさらに含んでもよい。この場合、第3繊維の平均繊維径D3が、D2<D3<D1の関係を満たし、第2繊維が、第1繊維と第3繊維との間に配置されることが好ましい。また、主面2A側から見たとき、所定の領域において、第1繊維に重なり、かつ、第1繊維よりも手前に存在する第3繊維の部分の合計の面積が、第1不織布の空隙Sに重なって存在する第3繊維の部分の合計の面積よりも小さいことが好ましい。空隙Sに重なるように第2繊維よりも太い第3繊維が配置されることにより、空隙Sを通過しようとする粉塵を、通過する前に第3繊維が捕捉することが可能となる。これにより、長期間にわたり使用した場合であっても、空隙Sは保持され易いため、圧力損失の増加および集塵効率の低下が抑制され易くなる。その結果、積層不織布の耐用期間がより長くなる。

0015

D2は100nm以上500nm未満であり、D3は500nm以上1000nm未満であることが好ましい。第2不織布の表面積が大きくなって、集塵効果がさらに向上するためである。

0016

積層不織布は主面2A側に、さらに多孔質な保護層を備えていることが好ましい。積層不織布の耐用期間がより長くなるためである。

0017

また、本発明に係る空気清浄機は、気体の吸い込み部と、気体の吐き出し部と、前記積層不織布と、を備え、積層不織布は、主面2Aが前記吸い込み部に対向するように、吸い込み部と吐き出し部との間に配置される。このような空気清浄機は、動作音が小さく、集塵効率に優れている。

0018

以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層不織布の具体的な態様を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層不織布を模式的に示した断面図である。積層不織布10は、第1繊維1Fを含む第1不織布1と、第1不織布1の表面に積層され、第2繊維2Fを含む第2不織布2とを備えている。すなわち、第1繊維1Fと第2繊維2Fとは、各繊維の集合体として、第1不織布および第2不織布を構成している。第1不織布1と第2不織布2とは、それぞれが一枚の布として分離可能であっても良いし、分離できなくても良い。

0019

第1不織布1は、例えば、第1繊維1Fが全体の95質量%以上を占めていることが好ましく、残りの5質量%未満は、他の繊維が占めていても良い。他の繊維としては、第2繊維2Fであっても良いし、第1繊維1Fおよび第2繊維2F以外の繊維であっても良い。第2不織布2も同様に、例えば、第2繊維2Fおよび後述する第3繊維3Fの合計が全体の95質量%以上を占めていることが好ましく、残りの5質量%未満は、他の繊維が占めていても良い。他の繊維としては、第1繊維1Fであっても良いし、第1繊維1F、第2繊維2Fおよび第3繊維3F以外の繊維であっても良い。言い換えれば、積層不織布10の厚み方向において、第1繊維1Fが例えば95質量%以上を占める領域を第1不織布、第2繊維2Fおよび第3繊維3Fの合計が例えば95質量%以上を占める領域を第2不織布とみなすことができる。

0020

第1繊維1Fの平均繊維径D1は、第2繊維2Fの平均繊維径D2よりも大きく、D1>D2の関係を満たす。つまり、積層不織布10では、平均繊維径の小さな第2繊維2Fが、第1不織布の一方の主面側に偏在しているため、当該一方の主面側の表面積が大きくなっている。そのため、第2不織布の側から粉塵を通過させる際、第2繊維2Fが第1不織布の内部に混在している場合と比較して、集塵効率が向上する。

0021

ここで、平均繊維径とは、例えば、10本の任意の繊維についてそれぞれ1箇所の直径を計測し、これらの平均値として求められる。繊維の直径とは、繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。

0022

さらに、積層不織布10において、第2不織布2の第1不織布1に対向しない主面2A側から見たとき、所定の領域において、第1繊維1Fに重なり、かつ、第1繊維1Fよりも手前に存在する第2繊維の部分2Faの合計の面積A2aは、第1繊維1Fによって形成される第1不織布1の空隙Sに重なって存在する第2繊維の部分2Fbの合計の面積A2bよりも大きい(図2参照)。つまり、第2繊維2Fは、主面2A側から見たとき、第1繊維1Fの第1不織布の一方の主面側に重なるように偏在している。

0023

所定の領域とは、例えば、積層不織布10を主面2A側から見たとき、少なくとも第1繊維1Fおよび第2繊維2Fが含まれる領域である。具体的には、主面2Aの法線方向から、積層不織布10の主面2Aの写真を撮影する。撮影された写真の範囲から、一辺がD1の5〜10倍の程度の長さである正方形によって囲まれた領域Rを所定の領域とすることができる。

0024

すなわち、本発明に係る積層不織布は、第1不織布の空隙Sを横切るように存在する第2繊維の部分2Fbよりも、第1繊維1Fに重なり、かつ、第1繊維1Fよりも手前に存在する第2繊維の部分2Faの方が多い(2Fa>2Fb)ことを特徴とする。粉塵の多くは第1繊維1Fに重なって存在する第2繊維2Faに吸着されるため、長期間にわたり使用する場合であっても、空隙Sはそのまま保持され、圧力損失の増加が抑制される。なお、積層不織布10の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格準拠した測定機を用いて測定した場合、例えば、5〜50Pa程度であることが好ましい。

0025

圧力損失の増加を抑制する観点から、面積A2aおよび面積A2bは、A2a>2×A2bの関係を満たすことがより好ましく、A2a>7×A2bの関係を満たすことが特に好ましい。なお、面積A2bは、A2b>0を満たすことが好ましい。後述するように、さらに第3繊維を配置する場合、第3繊維が空隙Sの内部に侵入することを抑制し易いためである。第2繊維の部分2Faは、第1繊維1Fと接していても良いし、接していなくても良い。

0026

空隙Sは、主面2Aから見て二次元的に規定されるものであり、粉塵が第1不織布の空間を通過する際の最初の入口である。空隙Sは、例えば、以下のように定義できる。

0027

まず、上記の方法によって決定された所定の領域Rに含まれる第1繊維1Fのうち、外縁が明確である1本以上を選択する。このとき、選択した第1繊維1Fの合計の面積が、領域Rの例えば50%以下となるようにする。第2繊維2Fがないものとして見ると、領域Rは、選択された第1繊維1Fとそれ以外の領域とに区別できる。この第1繊維1F以外の領域を、空隙Sと定義する。

0028

具体的には、例えば、図2に示すように、一辺がD1の約7倍の長さである正方形の所定の領域Rを決定する。領域Rに含まれる第1繊維1Fのうち、外縁が明確であり、合計の面積が領域Rの50%以下となるような第1繊維1FA〜1FDの4本を選択する。これにより、領域Rは、第1繊維1FA〜1FDおよびそれ以外の部分に大別される。そして、第1繊維1FA〜1FD以外の部分を、空隙S1〜S4とする。このとき、非常に狭い空隙については、空隙として見なさなくても差し支えない。

0029

面積A2aおよびA2bは、第1繊維1FA〜1FDに重なり、かつ、第1繊維より手前に存在する第2繊維の部分2Faと空隙S1〜S4に重なって存在する第2繊維の部分2Fbとを区分けして、それぞれの合計の面積を算出することにより得られる。

0030

第2繊維の部分2Faのうち、第1繊維1Fの長さ方向に沿って配置している第2繊維の部分2Fapの合計の面積A2apは、第1繊維1Fの長さ方向と垂直な方向に沿って配置している第2繊維の部分2Favの合計の面積A2avよりも大きい(A2ap>A2av)ことが好ましい。この場合、空隙Sを横切るように存在する第2繊維が少ないということができ、長期間にわたり使用した場合にも空隙Sが保持され易くなり、圧力損失の増加がさらに抑制される。面積A2apおよび面積A2avは、A2ap>5×A2avの関係を満たすことがより好ましい。

0031

第2繊維の部分2Fapおよび2Favは、図3および図4を参照して、次のように定義できる。図3は、図2の第2繊維2Fを省略して示した図である。図4は、図2に示された繊維のうち、第1繊維1FAおよび1FBと、第1繊維1FAに重なって存在する第2繊維2FAのみを示した図である。

0032

まず、領域Rにおける第1繊維1Fの端部近傍において、第1繊維1Fの幅(長さ方向とは垂直な方向の長さ)を2等分する点を決める。図3では、A1およびA2、B1およびB2、C1およびC2、D1およびD2である。これらをそれぞれ繋ぐ直線Lを引く(直線LA〜LD)。第1繊維1Fに重なって存在する第2繊維の部分2Faを1つの曲線と見なして、その接線を引いたとき、接線と直線Lとの成す角度θが、0〜40°となる第2繊維の部分2Faを、第1繊維1Fの長さ方向に沿って配置している第2繊維の部分2Fapと定義する。

0033

一方、角度θが、40°より大きい第2繊維の部分2Faを、第1繊維1Fの長さ方向と垂直な方向に沿って配置している第2繊維の部分2Favと定義する。第2繊維の部分2Faのように、第1繊維1FAおよび1FBにまたがって存在する場合(図4参照)、最も近い方の第1繊維について、上記定義を適用する。図4の場合、第2繊維の部分2Faは、第1繊維1FAの長さ方向に沿って配置する部分2Fapと、第1繊維1FBの長さ方向と垂直な方向に沿って配置する部分2Favとを含んでいる。

0034

また、本発明に係る積層不織布を特徴づける2Fa>2Fbという関係は、積層不織布の主面に対して垂直な断面を見た場合、図5を参照して、以下のようにも規定できる。

0035

積層不織布の主面に対して垂直な断面について、幅WがD1の5〜10倍である所定の領域Xを決定する。領域Xには、第1繊維1Fが少なくとも1本含まれるようにする。次いで、第1繊維1Fの断面の周りを囲む、一定の幅dをもつドーナツ状の領域Xfを設定する。幅dは、例えば、D1の1/5である。領域Xのうち、第1繊維1Fの断面および領域Xf以外の領域を領域Xsとする。

0036

ここで、領域Xfにおいて単位面積当たりに占める第2繊維の面積の割合Rfが、領域Xsにおいて単位面積当たりに占める第2繊維の面積の割合Rsよりも大きくなる場合、2Fa>2Fbの関係を満たしていると規定できる。つまり、領域Xfでは第2繊維が密な状態で存在しており、領域Xsでは第2繊維がそれよりも粗な状態で存在している。圧力損失の増加を抑制する観点から、割合Rfおよび割合Rsは、Rf>2×Rsの関係を満たすことがより好ましい。また、上記と同様の理由により、割合RsはRs>0を満たすことが好ましい。

0037

さらに、領域Xfを主面2A側の領域Xfaとそれ以外の領域Xfbとに分けた場合、集塵効率の観点から、領域Xfaにおいて単位面積当たりに占める第2繊維の面積の割合Rfaは、領域Xfbにおいて単位面積当たりに占める第2繊維の面積の割合Rfbよりも大きいことが好ましい。つまり、主面2A側により多く第2繊維が存在することが好ましい。領域Xfaは、次のように規定できる。まず、主面2Aの垂線であって、第1繊維に接する直線L1およびL2を引く。次に、直線L1およびL2と第1繊維との接点aおよびbを結び、主面2A側に曲線cを引く。この曲線cを含む領域を、領域Xfaとする。

0038

第2不織布2は、さらに、平均繊維径D3がD2<D3<D1の関係を満たす第3繊維3Fを含んでいることが好ましい(図6参照)。この場合、第2繊維2Fは、第1繊維1Fと第3繊維3Fとの間に、より多く配置されていることが好ましい。言い換えれば、第2繊維2Fの分布ピークが、第1繊維1Fと第3繊維3Fとの間にあることが好ましい。

0039

主面2A側から見たとき、所定の領域Rにおいて、第1繊維1Fに重なって存在する第3繊維3Faの合計の面積A3aは、第1不織布の空隙Sに重なって存在する第3繊維3Fbの合計の面積A3bよりも小さい(A3a<A3b)ことが好ましい。面積A3aおよび面積A3bは、第2繊維を第3繊維に置き換えて、上記と同様にして算出することができる。面積A3aおよび面積A3bは、3×A3a<A3bの関係を満たすことがより好ましい。

0040

言い換えれば、第3繊維3Fは、第1繊維1Fに重なって存在する第3繊維の部分3Faよりも、第1不織布の空隙Sを横切るように存在する第3繊維の部分3Fbの方が多い(3Fa<3Fb)。その一方で、第3繊維3Fは、第1繊維1F同士の間、つまり第1不織布の空間の内部には、できるだけ配置されないことが好ましい。圧力損失の増加が抑制され易いためである。第3繊維3Fは、第1繊維1Fと接していても良い。

0041

なお、第2繊維2Fが、第1繊維1F同士の間(第1不織布の空間の内部)に配置されることは許容される。このような第2不織布2は、例えば、第2繊維2Fを第1不織布の一方の主面に配置させた後、さらに、第3繊維3Fを当該主面に配置することにより得られる。

0042

空隙Sに重なるように存在するが、第1不織布の空間内部に配置されない第3繊維を多く含むことによって、第1不織布の空間を通過しようとする粉塵を、通過する前に第3繊維が捕捉することが可能となる。これにより、長期間にわたり使用した場合であっても、空隙Sは保持され易くなり、圧力損失の増加が抑制され易くなる。

0043

また、第3繊維3Fは、第2繊維2Fよりも大きい平均繊維径D3を有するため、第2繊維2Fでは捕捉できない大きな粉塵を捕捉することが可能である。そのため、第2繊維2Fの集塵の負荷が低減され、集塵効率がさらに向上する。

0044

以下、各繊維および各不織布等について、詳細に説明する。
[第1繊維]
第1繊維1Fの材質は特に限定されず、例えば、セルロースガラス繊維等が挙げられる。第1繊維1Fの平均繊維径D1は、第2繊維の平均繊維径D2よりも大きい。平均繊維径D1は、例えば、0.5μm〜20μmであり、10〜20μmであることが好ましい。

0045

[第1不織布]
第1不織布1は、積層不織布10の形状を保持する基材としての役割をもつ。例えば、積層不織布10をプリーツ加工する場合、第1不織布が基材となって、プリーツの形状を保持する。

0046

第1不織布の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1〜10Pa程度であることが好ましい。第1不織布の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布全体の初期の圧力損失も抑制されるため、第2繊維さらには第3繊維を偏在させる効果がより発揮され易い。

0047

第1不織布1は、第1繊維を含む。上記のとおり、第1不織布1は、第1繊維が全体の95質量%以上を占めていることが好ましい。つまり、第1不織布1は、第1繊維以外の繊維、例えば、第2繊維2Fや、第1繊維1Fおよび第2繊維2F以外の繊維を5質量%未満含んでいても良い。第1繊維1Fおよび第2繊維2F以外の繊維としては、特に限定されず、適宜選択することができる。

0048

第1不織布1の平均厚みは、圧力損失の観点から、50〜500μmであることが好ましく、20〜400μmであることがより好ましい。平均厚みとは、例えば、不織布の任意の10箇所の厚みの平均値である。厚みとは、不織布の2つの主面の間の距離である。第1不織布1の目付は、圧力損失の観点から、10〜100g/m2であることが好ましく、30〜50g/m2であることがより好ましい。

0049

第1不織布は、三次元的に連通する空間を有している。空隙Sは、上記のとおり、複数の第1繊維によって形成される二次元的な隙間として定義付けられているが、第1不織布の空間の割合(空間率)は、空隙Sの大きさを示す一つの指標である。つまり、空間率が高いほど、空隙Sは大きいとみなすことができる。空間率は、40〜70%であることが好ましい。空間率は、例えば、第1不織布の目付、厚みおよび第1不織布を構成する繊維の比重によって算出することができる。例えば、第1不織布が第1繊維のみから構成される場合、空間率=(1−目付/第1繊維の比重×厚み)×100、で表わされる。

0050

[第2繊維]
第2繊維2Fの材質は特に限定されず、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリウレタンナイロンなどのポリマーが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、電界紡糸法に適したポリマーであることが好ましい。

0051

第2繊維の平均繊維径D2は、第1繊維の平均繊維径D1よりも小さい。なかでも、D2は、D1の1/10以下(D2≦D1/10)であることが好ましい。また、D2は、D1の1/2000以上であることが好ましい。D2がこの範囲であれば、第2繊維2Fを第1繊維1Fに重なるように配置することがさらに容易となるとともに、第2不織布の表面積を大きくすることができる。具体的には、平均繊維径D2は、1μm未満であることが好ましく、500nm未満であることがより好ましい。また、平均繊維径D2は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。

0052

[第3繊維]
第3繊維3Fの材質は特に限定されず、例えば、第2繊維で挙げたのと同じ材質を例示することができる。

0053

第3繊維の平均繊維径D3は、D2<D3<D1の関係を満たすことが好ましい。D3がこの範囲であれば、第2繊維2Fでは捕捉が難しい大きさの粉塵を捕捉することを可能としながら、第2不織布の表面積を大きくすることができる。例えば、D2が100nm以上500nm未満であり、D3が500nm以上1000nm未満であり、D1が1000nm以上であっても良い。なかでも、D3は、D1の1/5より小さい(D3<D1/5)ことが好ましく、D2の2倍より大きい(D3>2×D2)ことが好ましい。

0054

[第2不織布]
第2不織布2は、粉塵を補足する機能を有する。主面2A側から見ると、第2不織布2を構成する第2繊維2Fは、第1繊維1Fに重なるように偏在している。つまり、第2繊維は、粉塵の入口である空隙Sを塞ぐことなく第1不織布に重ねて配置されているため、長期間にわたり使用した場合にも圧力損失の増加が抑制される。さらに、第2繊維は、第1繊維よりも小さな平均繊維径を有するため、高い集塵効率を発揮する。

0055

第2不織布2は、第3繊維3Fを含んでいても良い。第3繊維の割合は、第2繊維および第3繊維の合計に対して、10〜80質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。第3繊維の割合がこの範囲であれば、圧力損失の増加が抑制され易い。

0056

また、上記のとおり、第2不織布2は、第2繊維2Fおよび第3繊維3Fの合計が全体の95質量%以上を占めていることが好ましい。つまり、第2不織布2は、第2繊維2Fおよび第3繊維3F以外の繊維、例えば、第1繊維1Fや、第1繊維1F、第2繊維2Fおよび第3繊維3F以外の繊維を5質量%未満含んでいても良い。第1繊維1F、第2繊維2Fおよび第3繊維3F以外の繊維としては特に限定されず、適宜選択することができる。

0057

第2不織布2の目付は、0.1〜1.5g/m2であることが好ましく、0.3〜1.1g/m2であることがより好ましい。第2不織布の目付がこの範囲であると、空隙Sを塞ぐことなく第1不織布に重ねて配置することが容易となる。そのため、圧力損失の増加を抑制しながら、高い集塵効率を維持し易い。なお、第2不織布の初期の圧力損失は、5〜40Pa程度であることが好ましい。

0058

[保護層]
積層不織布10は、主面2A側に第2不織布を保護するための保護層を備えていても良い。保護層は、多孔質であれば特に限定されず、例えば不織布等が挙げられる。

0059

保護層の材質は特に限定されず、例えば、第1繊維と同じ材質が例示できる。保護層の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1〜10Pa程度であることが好ましい。保護層の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布全体の圧力損失も抑制されるため、第2繊維さらには第3繊維を偏在させる効果がより発揮され易い。

0060

保護層の平均厚みは、圧力損失の観点から、100〜500μmであることが好ましい。保護層の目付は、10〜50g/m2であることが好ましく、10〜30g/m2であることがより好ましい。保護層が不織布等の繊維から構成される場合、繊維の平均繊維径は、例えば、0.5μm〜20μmである。

0061

[積層不織布の製造方法]
積層不織布10は、例えば、電界紡糸法等により製造することができる。電界紡糸法では、ターゲットである第1不織布をグランドさせるかマイナス帯電させ、そこにプラス電圧印加された第2繊維の原料を溶解した溶液原料液)をノズルから噴射させる。第1不織布に到達する過程において原料液の溶媒揮発し、第1不織布には、原料の繊維状物(第2繊維)が堆積する。第1不織布と第2繊維とは静電気力により引き合うため、第2繊維は、第1不織布の第1繊維上に堆積し易い。

0062

以下、電界紡糸法を用いた積層不織布10の製造方法について、図7を参照しながら具体的に説明する。図7は、積層不織布10の製造システム200の一例の構成を概略的に示す図である。

0063

まず、第1繊維を含む第1不織布1を準備する。第1不織布は、第1繊維を形成する高分子やガラス繊維等を用いて、スパンボンド法乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法メルトブロー法などにより製造される。製造システム200では、第1不織布1は、製造ライン上流から下流に搬送される。

0064

製造システム200の最上流には、ロール状に捲回された第1不織布1を内部に収容した第1不織布供給装置20が設けられている。供給装置20は、モータ24により供給リール22を回転させて、供給リール22に捲回された第1不織布1を第1搬送コンベア21に供給する。

0065

第1不織布1は、搬送コンベア21により、電界紡糸ユニット25に移送される。電界紡糸ユニット25が具備する電界紡糸機構は、装置内の上方に設置された原料液を放出するための放出体26と、放出された原料液をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体26と対向するように配置された第1不織布1を上流側から下流側に搬送する第2搬送コンベア28と、を備えている。第2搬送コンベア28は、第1不織布1とともに第2繊維2Fを収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニット25の台数は、図6では2台(25a、25b)であるが、特に限定されるものではなく、1台でも3台以上でもよい。

0066

放出体26の第1不織布1の主面と対向する側には、原料液の放出口(図示せず)が複数箇所設けられている。放出体26の放出口と、第1不織布1との距離は、製造システムの規模にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。放出体26は、電界紡糸ユニット25aおよび25bの上方に設置された、第1不織布1の搬送方向と平行な第1支持体41から下方に延びる第2支持体42により、自身の長手方向が第1不織布1の主面と平行になるように支持されている。

0067

帯電手段は、放出体26に電圧を印加する電圧印加装置29と、第2搬送コンベア28(28a、28b)と平行に設置された対電極30とで構成されている。対電極30は接地(グランド)されている。これにより、放出体26と対電極30との間には、電圧印加装置29により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極30はマイナスに帯電されていても良い。また、対電極30を設ける代わりに、第2搬送コンベア28のベルト部分導体から構成してもよい。

0068

放出体26は、導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部は原料液32(32a、32b)を収容する収容部となる。原料液32は、放出体26の中空部と連通するポンプ33(33a、33b)の圧力により、原料液タンク34(34a、34b)から放出体26の中空に供給される。そして、原料液32は、ポンプ33の圧力により、放出口から第1不織布1の主面に向かって放出される。放出された原料液は、帯電した状態で放出体26と第2搬送コンベア28との間の空間を移動中に静電爆発起し、繊維状物(第2繊維)を生成する。このようにして生成された第2繊維の平均繊維径は、例えば1μm未満になる。

0069

上記のとおり、第1不織布と第2繊維とは静電気力により引き合うため、第2繊維は、第1不織布の第1繊維の近傍に優先的に堆積する。さらに、原料液32の放出を続けると、空隙Sに重なるように第2繊維が堆積する。つまり、本発明に係る積層不織布は、第2繊維の堆積量をコントロールすることによって得ることができる。具体的には、主面2A側から見たとき、空隙Sに重なって存在する第2繊維2Fbの合計の面積A2bが、第1繊維1Fに重なって存在する第2繊維2Faの合計の面積A2aよりも大きくなる前に原料液32の放出を停止することにより、得ることができる。

0070

さらに第3繊維を堆積させる場合、例えば、電界紡糸ユニット25bを第3繊維を堆積させるために用いても良い。この場合、原料液タンク34bには、第3繊維の原料液32bを収容する。第3繊維も、まず、第1不織布の第1繊維の近傍に優先的に堆積し、次いで空隙Sに重なるように堆積する。そのため、第2繊維の場合とは異なり、主面2A側から見たとき、空隙Sに重なって存在する第3繊維3Fbの合計の面積A3bが、第1繊維1Fに重なって存在する第3繊維3Faの合計の面積A3aよりも大きくなってから、原料液32bの放出を停止すれば良い。

0071

堆積させる繊維の平均繊維径は、原料液の吐出圧力印加電圧、原料液の濃度、放出口と第1不織布1との距離、温度、湿度などを調整することにより、変化させることができる。第3繊維の平均繊維径D3がD2<D3<D1の関係を満たすように、吐出条件を設定すればよい。

0072

電界紡糸ユニット25から搬出された第1不織布1と第2不織布2との積層体(すなわち積層不織布10)は、搬送ローラ36を介して、より下流側に配置されている回収装置37に回収される。回収装置37は、搬送されてくる膜を捲き取る回収リール38を内蔵している。回収リール38はモータ39により回転駆動される。

0073

回収された積層不織布10は、さらに、保護層を積層する工程に供されても良い。保護層は、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法などにより製造された不織布である。積層不織布10と保護層とは、例えば、接着剤による接着加熱処理等により接合される。なかでも、初期の圧力損失を低減し易い点で、接着剤を用いて接着する方法が好ましい。

0074

第2繊維および/または第3繊維の原料液に含まれる溶媒としては、原料である高分子の種類に応じて、適切なものを選択すればよい。例えば、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノールヘキサフルオロイソプロパノールテトラエチレングリコールトリエチレングリコールジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンメチルn−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトンジイソブチルケトンアセトンヘキサフルオロアセトンフェノールギ酸ギ酸メチルギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル安息香酸エチル安息香酸プロピル、酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピルフタル酸ジメチルフタル酸ジエチルフタル酸ジプロピル塩化メチル塩化エチル塩化メチレンクロロホルム、o−クロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタンジクロロプロパンジブロモエタン、ジブロモプロパン臭化メチル臭化エチル臭化プロピル酢酸ベンゼン、トルエン、ヘキサンシクロヘキサンシクロヘキサノンシクロペンタンo−キシレンp−キシレンm−キシレンアセトニトリルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドDMAc)、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。

0075

[空気清浄機]
本発明の空気清浄機100は、濾材として用いる積層不織布10と、気体の吸い込み部60と、気体の吐き出し部61とを備える。積層不織布10は、主面2Aが吸い込み部60に対向するように、吸い込み部60と吐き出し部61との間に配置される(図8参照)。積層不織布10は、蛇腹状にプリーツ加工されて配置されても良い。

0076

空気清浄機100は、外部の大気を吸い込み部60から空気清浄機100内部に取り込む。取り込まれた大気は、積層不織布10等を通過する間に集塵され、清浄化された大気が吐き出し部61から再び外部に放出される。

0077

空気清浄機100は、さらに、吸い込み部60と積層不織布10との間に、大きな塵等を捕捉するプレフィルター62等を備えても良い。また、積層不織布10と吐き出し部61との間に消臭フィルター63や加湿フィルター(図示せず)等が備えられても良い。

0078

[実施例]
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0079

評価法
(1)集塵効率(計数法
電界紡糸工程によって帯電した保護層を有する積層不織布を12cm×12cmに裁断し、サンプルとした。このサンプルに、タバコ日本たばこ産業株式会社、メビウス登録商標)、タール10mg)を3本延焼させて発生した煙および大気中の粉塵を、面風速5.3cm/secで吸引させた(吸引試験)。サンプルの上流側の大気中の粉塵(直径約0.3μm)濃度(個数)をC0、下流側の粉塵(直径約0.3μm)濃度(個数)をC1として、集塵効率(=1−C1/C0)×100(%)を算出した。個数濃度は、光散乱式自動粒子計数器を用いて求めた。上記吸引試験を連続して4回行った。なお、上流側に第2不織布を向けて配置した。

0080

(2)圧力損失
上記粉塵濃度測定の際に、サンプルの上流側の空気圧P0および下流側の空気圧P1をあわせて測定し、圧力損失(=P0−P1)を算出した。空気圧の測定には、JISB9908の規格に準拠した測定機(マノメータ)を使用した。

0081

[実施例1]
第1不織布としてセルロースを主体とする基材(厚み:300μm、D1:15μm、目付:42g/m2、空間率:61%)を使用した。図7に示すような製造システムにより、第1不織布に、第2繊維を含む第2不織布を積層し、積層不織布を作製した。第2繊維の原料液としては、PESを20質量%含むDMAc溶液を用いた。D2は、273nmであり、第1不織布上には、第2繊維が0.69g/m2堆積していた。さらに、主面2A上に、保護層としてメルトブロー不織布(厚み:152μm、平均繊維径:5μm、目付:18g/m2)を粉末状の熱硬化性接着剤を用いて接着した。評価結果を図9に示す。横軸は圧力損失であり、縦軸は集塵効率である。

0082

[面積A2aおよびA2bの算出]
保護層を積層する前の積層不織布10について、100μm四方の領域Rを電子顕微鏡を用いて撮影し、上記方法に従って、面積A2aおよびA2bを算出した。その結果、A2aは、A2bの約10倍の大きさであった。電子顕微鏡写真を図10に示す。

0083

図10において、白く光っているように見える細い糸状の部分が第2繊維であり、同じ太さで、やや暗く写っている糸状の部分も第2繊維である。また、やや白っぽく第2繊維よりも太い糸状に写っている部分が、選択された第1繊維である。第1繊維に囲まれ黒く示されている部分を、空隙Sと規定した。

0084

[面積A2apおよびA2avの算出]
上記方法に従って、部分2Fapおよび2Favを特定し、面積A2apおよびA2avを算出した。その結果、A2apは、A2avの約7倍の大きさであった。

0085

[割合RfおよびRsの算出]
上記方法に従って、割合Rf(Rfa+Rfb)およびRsを算出した。その結果、Rfa>Rfbであり、Rfは、Rsの約3倍であった。

0086

[実施例2]
図7に示すような製造システムにより、実施例1と同じ第1不織布に、第2繊維および第3繊維を含む第2不織布を積層し、積層不織布を作製した。第2繊維の目付(堆積量)は0.67g/m2、第3繊維の目付(堆積量)は0.35g/m2であった。第2繊維の原料液としては、PESを20質量%含むDMAc溶液を用いた。第3繊維の原料液には、PESを25質量%含むDMAc溶液を用いた。第2繊維の原料液および第3繊維の原料液の吐出条件を変えて、D2を273nm、D3を609nmとした。さらに、主面2A上に、保護層としてメルトブロー不織布(厚み:152μm、平均繊維径:5μm、目付:18g/m2)を粉末状の熱硬化性接着剤を用いて接着した。評価結果を図9に示す。

0087

実施例1と同様に計算した結果、A2aは、A2bの約10倍の大きさであり、A2apは、A2avの約7倍の大きさであり、Rfa>Rfbであり、RfはRsの約3倍であった。さらに、同様にして、面積A3aおよびA3bを算出した結果、A3bは、A3aの約4倍の大きさであった。

0088

[比較例1]
実施例1と同じ第1不織布に、ポリエステル繊維短繊維(平均繊維径:5.3μm)をニードルパンチ法により交絡させて、不織布を作製した。短繊維の目付は1.1g/m2であった。評価結果を図9に示す。実施例1と同様に計算した結果、A2aは、A2bの約0.8倍の大きさであり、A2apは、A2avの約1.2倍の大きさであり、Rfa<Rfbであり、RfはRsの約0.6倍であった。電子顕微鏡写真を図11に示す。

0089

[比較例2]
実施例1と同じ第1不織布に、ポリエステル繊維の短繊維(平均繊維径:5.3μm)をニードルパンチ法により交絡させて、不織布を作製した。短繊維の目付は2.0g/m2であった。評価結果を図9に示す。実施例1と同様に計算した結果、A2aは、A2bの約0.7倍の大きさであり、A2apは、A2avの約1.4倍の大きさであり、Rfa<Rfbであり、RfはRsの約0.5倍であった。

0090

[比較例3]
実施例1と同じ第1不織布に、実施例1と同様にして、平均繊維径が295nmであるPES繊維を堆積させた。PES繊維の目付(堆積量)を2.7g/m2とした。さらに、主面2A上に、実施例1と同様にしてメルトブロー不織布(保護層)を積層し、積層不織布を作製した。評価結果を図9に示す。実施例1と同様に計算した結果、A2aは、A2bの約0.2倍の大きさであり、A2apは、A2avの約1.2倍の大きさであり、Rfa<Rfbであり、RfはRsの約0.5倍であった。

0091

比較例1および2では、初期(1回目)の集塵効率は高いものの、2回目以降の吸引試験では、集塵効率が大きく低下している。一方で、圧力損失は大きく変化しなかった。比較例1および2は、短繊維をランダムに交絡させているため、繊維間の空隙の大きさは様々である。集塵により、比較的小さな空隙が塞がれるが、これより大きな空隙は保持されるため、圧力損失は大きく増加しない。しかし、大きな空隙から粉塵がすり抜け易いため、集塵効率は低下したものと考えられる。

0092

一方、実施例1および2では、平均繊維径のより小さい繊維を含むため、集塵効率は大きく低下しなかった。また、初期の圧力損失が低く、4回目の吸引試験後においても、圧力損失は低く抑えられていた。比較例3も、平均繊維径のより小さい繊維を含むため、集塵効率の低下は抑制される。しかし、初期の圧力損失が大きく、吸引試験に伴ってさらに圧力損失が大きくなった。

0093

本発明の積層不織布は、長期間にわたり使用した場合でも、集塵効率が高く、圧力損失の増加を抑制することが可能であるため、静音性が求められる家庭用や事務所用等の空気清浄機に適用することができる。なお、本発明の積層不織布の用途は、空気清浄機の濾材に限られず、例えば、電池用分離シート妊娠検査シート等の体外検査シート、塵を拭き取る拭取シート等の他の用途にも適用可能である。

0094

1:第1不織布、1F:第1繊維、2:第2不織布、2F:第2繊維、3F:第3繊維、10:積層不織布、20:第3不織布供給装置、21:第1搬送コンベア、22:供給リール、24:モータ、25a、25b:電界紡糸ユニット、26:放出体、28、28a、28b:第2搬送コンベア、29:電圧印加装置、30:対電極、32a、32b:原料液、33a、33b:ポンプ、34a、34b:原料液タンク、36:搬送ローラ、37:回収装置、38:回収リール、39:モータ、41:第1支持体、42:第2支持体、60;吸い込み部、61;吐き出し部、62:プレフィルター、63:消臭フィルター、100:空気清浄機、200:製造システム。

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