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課題

微細かつ均一な多孔構造を活かして、人工腎臓等の血液成分分離膜として有用に用いることができる、ナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダー孔径制御可能なポリメチルメタクリレートからなる多孔体およびその製造方法を提供すること

解決手段

ポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体において、プロトン核磁気共鳴測定で得られるスペクトルから求められるメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステルアクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステルα−メチルスチレンスチレン無水マレイン酸マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100が0.00001以上であり、多孔体の孔径の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形視野撮影された顕微鏡画像フーリエ変換して得られる、横軸波数縦軸が強度からなるグラフ曲線において、ピーク半値幅(a)、該ピーク極大波長(b)とするとき0<(a)/(b)≦1.2であることを特徴とする多孔体。

概要

背景

多孔体分離膜燃料電池セパレータ低誘電率材料吸着体触媒担体等に利用されている。中でも分離膜は人工腎臓血漿分離膜などの医療分野、水処理や炭酸ガス分離などの環境エネルギー分野をはじめとして幅広い用途で利用されている。また、膜分離プロセス液体から気体などの相転移を伴わないため、蒸留等と比較してエネルギー負荷が小さい分離プロセスとして注目されている。

ポリメチルメタクリレートは、その高い光線透過率から光学デバイスに好適に用いることができる。一方、高い生体適合性タンパク質特異吸着性を利用してポリメチルメタクリレート中空糸膜からなる人工腎臓として分離膜としても好適に用いることができる。この、ポリメチルメタクリレートの分離膜はポリメチルメタクリレートのステレオコンプレックスを利用して作製される。すなわち、ジメチルスルホキシドジメチルホルムアミド等のステレオコンプレックスを形成しうる有機溶媒アイソタクチックポリメチルメタクリレートシンジオタクチックポリメチルメタクリレートを溶解した原液を適当な形状の口金から貧溶媒中に吐出することで得ることができる(特許文献1)。しかし、特許文献1記載の方法はいわゆる溶液製膜と言われるものであり、膜表面の開孔率膜内部の空孔率と比較して低くなり、その結果膜表面が物質透過ボトルネックとなるため物質透過効率の向上に限界があった。この溶液製膜における開孔率低下は、溶液中のポリマー分子易動度溶融ポリマー中の易動度と比較して極めて高いことに起因している。すなわち、紡糸口金から吐出されたポリメチルメタクリレート溶液(原液)は、空気などの気体や凝固液等の液体との界面から相分離が開始する。この際、界面近傍では相分離が急速に進行するため、易動度が高いポリメチルメタクリレート分子凝集し、スキン層と呼ばれるポリメチルメタクリレートリッチな層が膜表面に形成される。このスキン層は膜内部と比較して空孔率が低ため、溶液製膜で作製した分離膜の表面開孔率は膜内部の空孔率と比較して低くなる傾向にあった。膜表面の開孔率をアップさせるため、スキン層を除去することも考えられるが、スキン層の厚さは数ミクロン以下であり、スキン層のみを除去することは技術的に難易度が高く、ましてや溶液製膜といった連続生産においてスキン層を除去することは現実的ではなかった。

膜表面の開孔率をアップさせる方法として、ポリメチルメタクリレートをメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解した原液をガラス板状に薄膜状に流延した後、水蒸気などの貧溶媒蒸気と接触し凝固させる方法がある(特許文献2)。しかし、得られる多孔膜ストレート孔層とボイド層からなる非対称膜であり、ボイド層の孔径は極めて広い分布を持つため、分離特性が低いだけでなく、粗大なボイドのため膜強度が低下するという問題があった。

上記特許文献1、2の方法は、いわゆる溶液製膜と言われるものであり、原液中の有機溶媒と凝固液中の貧溶媒との溶媒置換、すなわち物質移動が必要であり、製膜速度を上げることができないという問題があった。

特許文献3には、ポリエチレンなどの結晶性ポリマー加熱溶融し、口金から吐出して延伸する溶融製膜方法が記載されている。この溶融製膜方法は、ポリマーの非晶部分を引き裂き開孔する方法であり、延伸開孔法とも呼ばれ、溶液製膜と比較して製膜速度を上げることが可能であり、製膜速度を溶液製膜の100倍近くにまで上げることが可能となる。ただし、延伸開孔法が適用できるポリマーはポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性ポリマーの中でも一部に限られており、ポリメチルメタクリレートなどの非晶性ポリマーには適用することが困難であった。また、引き裂きにより開孔するため、孔径を制御することが困難であり、微細かつ均一な開孔が困難であった。

特許文献4には、別の溶融製膜法として、2種類以上のポリマーを溶融混練して得られたポリマーアロイから部分的にポリマーを除去して多孔化し分離膜とする方法が記載されている。本方法は、スピノーダル分解により得られた微細かつ均一な連続構造を有するアロイから多孔体を得る方法であり、微細かつ均一な開孔が可能な上、溶融樹脂を用いていることから製膜速度も速いという特徴がある。ただし、スピノーダル分解による溶融混練ポリマーアロイはポリマーアロイ系の選択、すなわちポリマーの組み合わせが重要である。特に多孔体を作製するにあたっては、ポリマーの除去も考慮してポリマーアロイ系を選択する必要があり、例えば溶媒を用いてポリマーを除去する場合、多孔体の基材ポリマーは溶解せず除去対象ポリマーのみ選択的に溶解する溶媒が必要となり、ポリマーアロイ系の選択幅が非常に狭くなる。特許文献4にはポリメチルメタクリレートのアロイ系としていくつかの組み合わせが記載されているが、容易なポリマー除去なアロイ系は記載されていない。

また、非特許文献1には、前記のとおり、ポリメチルメタクリレートは溶融混練時にもステレオコンプレックスを形成し、その融点が200℃以上となることが報告されており、そのため、ステレオコンプレックスが形成されると、溶融混練が困難となるばかりでなく部分的に未溶融部分が発生し、均一な溶融混練アロイが得られないといった問題が生じる。このような不均一なアロイからは均一な多孔体を得ることができないのは言うまでもない。

かかる状況から、表面開孔率が高く、かつ生産性が高いポリメチルメタクリレート多孔体を得る方法が要望されていた。

概要

微細かつ均一な多孔構造を活かして、人工腎臓等の血液成分分離膜として有用に用いることができる、ナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダーに孔径制御可能なポリメチルメタクリレートからなる多孔体およびその製造方法を提供すること ポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体において、プロトン核磁気共鳴測定で得られるスペクトルから求められるメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステルアクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステルα−メチルスチレンスチレン無水マレイン酸マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100が0.00001以上であり、多孔体の孔径の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形視野撮影された顕微鏡画像フーリエ変換して得られる、横軸波数縦軸が強度からなるグラフ曲線において、ピーク半値幅(a)、該ピーク極大波長(b)とするとき0<(a)/(b)≦1.2であることを特徴とする多孔体。なし

目的

本発明は、高い表面開孔率と微細かつ均一な多孔構造を活かして、人工腎臓等の血液成分分離膜や血液浄化カラムなどの吸着剤として有用に用いることができる、ナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダーに孔径制御可能なポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体において、プロトン核磁気共鳴測定で得られるスペクトルから求められるメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステルアクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステルα−メチルスチレンスチレン無水マレイン酸マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100が0.00001以上であり、多孔体の孔径の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形視野撮影された顕微鏡画像フーリエ変換して得られる、横軸波数縦軸が強度からなるグラフ曲線において、ピーク半値幅(a)、該ピーク極大波数(b)とするとき0<(a)/(b)≦1.2であることを特徴とする多孔体。

請求項2

前記繰り返し単位がポリメチルメタクリレートとの共重合体として含まれることを特徴とする請求項1に記載の多孔体。

請求項3

少なくとも一つの表面の開孔率が、10%以上80%以下である請求項1または2に記載の多孔体。

請求項4

多孔体の断面が厚さ方向に対して対称構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔体。

請求項5

前記多孔体が厚さが1μm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔体。

請求項6

多孔体の形状が中空糸状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔体。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の多孔体からなる分離膜

請求項8

分離対象物質生体成分であることを特徴とする請求項7に記載の分離膜。

請求項9

生体成分が血液またはその一部であることを特徴とする請求項8に記載の分離膜。

技術分野

0001

本発明は、優れた構造均一性を活かして、分離膜として有用に用いることができるナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダー構造制御可能なポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体に関する。

背景技術

0002

多孔体は分離膜、燃料電池セパレータ低誘電率材料吸着体触媒担体等に利用されている。中でも分離膜は人工腎臓血漿分離膜などの医療分野、水処理や炭酸ガス分離などの環境エネルギー分野をはじめとして幅広い用途で利用されている。また、膜分離プロセス液体から気体などの相転移を伴わないため、蒸留等と比較してエネルギー負荷が小さい分離プロセスとして注目されている。

0003

ポリメチルメタクリレートは、その高い光線透過率から光学デバイスに好適に用いることができる。一方、高い生体適合性タンパク質特異吸着性を利用してポリメチルメタクリレート中空糸膜からなる人工腎臓として分離膜としても好適に用いることができる。この、ポリメチルメタクリレートの分離膜はポリメチルメタクリレートのステレオコンプレックスを利用して作製される。すなわち、ジメチルスルホキシドジメチルホルムアミド等のステレオコンプレックスを形成しうる有機溶媒アイソタクチックポリメチルメタクリレートシンジオタクチックポリメチルメタクリレートを溶解した原液を適当な形状の口金から貧溶媒中に吐出することで得ることができる(特許文献1)。しかし、特許文献1記載の方法はいわゆる溶液製膜と言われるものであり、膜表面の開孔率膜内部の空孔率と比較して低くなり、その結果膜表面が物質透過ボトルネックとなるため物質透過効率の向上に限界があった。この溶液製膜における開孔率低下は、溶液中のポリマー分子易動度溶融ポリマー中の易動度と比較して極めて高いことに起因している。すなわち、紡糸口金から吐出されたポリメチルメタクリレート溶液(原液)は、空気などの気体や凝固液等の液体との界面から相分離が開始する。この際、界面近傍では相分離が急速に進行するため、易動度が高いポリメチルメタクリレート分子凝集し、スキン層と呼ばれるポリメチルメタクリレートリッチな層が膜表面に形成される。このスキン層は膜内部と比較して空孔率が低ため、溶液製膜で作製した分離膜の表面開孔率は膜内部の空孔率と比較して低くなる傾向にあった。膜表面の開孔率をアップさせるため、スキン層を除去することも考えられるが、スキン層の厚さは数ミクロン以下であり、スキン層のみを除去することは技術的に難易度が高く、ましてや溶液製膜といった連続生産においてスキン層を除去することは現実的ではなかった。

0004

膜表面の開孔率をアップさせる方法として、ポリメチルメタクリレートをメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解した原液をガラス板状に薄膜状に流延した後、水蒸気などの貧溶媒蒸気と接触し凝固させる方法がある(特許文献2)。しかし、得られる多孔膜ストレート孔層とボイド層からなる非対称膜であり、ボイド層の孔径は極めて広い分布を持つため、分離特性が低いだけでなく、粗大なボイドのため膜強度が低下するという問題があった。

0005

上記特許文献1、2の方法は、いわゆる溶液製膜と言われるものであり、原液中の有機溶媒と凝固液中の貧溶媒との溶媒置換、すなわち物質移動が必要であり、製膜速度を上げることができないという問題があった。

0006

特許文献3には、ポリエチレンなどの結晶性ポリマー加熱溶融し、口金から吐出して延伸する溶融製膜方法が記載されている。この溶融製膜方法は、ポリマーの非晶部分を引き裂き開孔する方法であり、延伸開孔法とも呼ばれ、溶液製膜と比較して製膜速度を上げることが可能であり、製膜速度を溶液製膜の100倍近くにまで上げることが可能となる。ただし、延伸開孔法が適用できるポリマーはポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性ポリマーの中でも一部に限られており、ポリメチルメタクリレートなどの非晶性ポリマーには適用することが困難であった。また、引き裂きにより開孔するため、孔径を制御することが困難であり、微細かつ均一な開孔が困難であった。

0007

特許文献4には、別の溶融製膜法として、2種類以上のポリマーを溶融混練して得られたポリマーアロイから部分的にポリマーを除去して多孔化し分離膜とする方法が記載されている。本方法は、スピノーダル分解により得られた微細かつ均一な連続構造を有するアロイから多孔体を得る方法であり、微細かつ均一な開孔が可能な上、溶融樹脂を用いていることから製膜速度も速いという特徴がある。ただし、スピノーダル分解による溶融混練ポリマーアロイはポリマーアロイ系の選択、すなわちポリマーの組み合わせが重要である。特に多孔体を作製するにあたっては、ポリマーの除去も考慮してポリマーアロイ系を選択する必要があり、例えば溶媒を用いてポリマーを除去する場合、多孔体の基材ポリマーは溶解せず除去対象ポリマーのみ選択的に溶解する溶媒が必要となり、ポリマーアロイ系の選択幅が非常に狭くなる。特許文献4にはポリメチルメタクリレートのアロイ系としていくつかの組み合わせが記載されているが、容易なポリマー除去なアロイ系は記載されていない。

0008

また、非特許文献1には、前記のとおり、ポリメチルメタクリレートは溶融混練時にもステレオコンプレックスを形成し、その融点が200℃以上となることが報告されており、そのため、ステレオコンプレックスが形成されると、溶融混練が困難となるばかりでなく部分的に未溶融部分が発生し、均一な溶融混練アロイが得られないといった問題が生じる。このような不均一なアロイからは均一な多孔体を得ることができないのは言うまでもない。

0009

かかる状況から、表面開孔率が高く、かつ生産性が高いポリメチルメタクリレート多孔体を得る方法が要望されていた。

0010

特開昭49−37879号公報
特開昭58−163490号公報
特開昭63−248405号公報
特開2003−64214号公報

先行技術

0011

E.L.Feitsma.,A.de.Boer.,G.Challa., 1975, Polymer Vol.16, pp.515-519

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、高い表面開孔率と微細かつ均一な多孔構造を活かして、人工腎臓等の血液成分分離膜血液浄化カラムなどの吸着剤として有用に用いることができる、ナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダーに孔径制御可能なポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体およびその製造方法を提供することをその課題とするものである。

課題を解決するための手段

0013

本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有するものである。
1.ポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体において、プロトン核磁気共鳴測定で得られるスペクトルから求められるメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステルアクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステルα−メチルスチレンスチレン無水マレイン酸マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100が0.00001以上であり、多孔体の孔径の10倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形視野撮影された顕微鏡画像フーリエ変換して得られる、横軸波数縦軸が強度からなるグラフ曲線において、ピーク半値幅(a)、該ピーク極大波数(b)とするとき0<(a)/(b)≦1.2であることを特徴とする多孔体。
2.前記繰り返し単位がポリメチルメタクリレートとの共重合体として含まれることを特徴とする1に記載の多孔体。
3.少なくとも一つの表面の開孔率が、10%以上80%以下である1または2に記載の多孔体。
4.多孔体の断面が厚さ方向に対して対称構造であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の多孔体。
5.前記多孔体が厚さが1μm以上5mm以下であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の多孔体。
6.多孔体の形状が中空糸状であることを特徴とする1〜5のいずれかに記載の多孔体。
7.1〜6のいずれかに記載の多孔体からなる分離膜。
8.分離対象物質生体成分であることを特徴とする7に記載の分離膜。
9.生体成分が血液またはその一部であることを特徴とする8に記載の分離膜。

発明の効果

0014

本発明によれば、ポリメチルメタクリレートと脂肪族ポリエステルにメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含むポリマーを添加してアロイ化すること、またはメタクリル酸メチルが与える繰り返し単位を(y)とし、メタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を(x)とするとき、(x)および(y)の繰り返し単位からなる共重合体を用いて脂肪族ポリエステルとアロイ化することで、ポリマーアロイの相分離構造が制御可能となり、該ポリマーアロイの成形品から脂肪族ポリエステルを除去することで、孔径が0.001μm以上50μm以下に制御された多孔体を得ることができる。

0015

本発明の方法で得られる多孔体は、ナノメーターオーダーからマイクロメーターオーダーに孔径制御可能な微細かつ均一な多孔構造を有することから、人工腎臓等の血液成分分離膜などの分離膜として有用に用いることができる。

0016

以下に本発明をさらに詳細に説明する。

0017

本発明における多孔体とは、連続孔を有する多孔体のことを指し、この連続孔をいとして活用することで分離膜として利用することが可能である。連続孔とは連続的に貫通した孔のことをであり、本発明においては、孔径の5倍の長さを有する孔を連続孔とする。分離膜は連続孔のサイズ、すなわち孔径は分離対象物質のサイズにより所望のサイズを設定できるが、0.001μm以上50μm以下が好ましく、0.002μm以上0.5μm以下がより好ましく、0.003μm以上0.1μm以下がさらに好ましい。孔径の測定方法は次の通りである。まず、多孔体を液体窒素で冷却し、応力を加え割断する。次に該断面の厚さ方向における中心部を電子顕微鏡で観察し、得られた電子顕微鏡写真をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットした際の極大値波数を求め、その逆数から孔径を得るものとする。このとき、電子顕微鏡写真の画像サイズは孔径の20倍以上100倍以下の長さを一辺とする正方形とする。

0018

多孔体を構成する孔径は均一であることが好ましく、大小さまざまな孔径の連続孔があるような不均一な場合は分離特性が低下するだけでなく、膜強度が低下するおそれがあり好ましくない。孔径の均一性は横軸に孔径、縦軸にその孔径を有する細孔の数をプロットした曲線のピーク半値幅で判断できる。すなわち、孔径が均一な膜の場合、曲線はシャープなピークを形成し、半値幅は狭くなる。一方、孔径が不均一な場合は曲線はブロードなピークを形成し、半値幅は広くなる。この、横軸に孔径、縦軸に細孔数をプロットしたグラフのピーク半値幅による孔径均一性評価は、横軸である孔径の逆数、すなわち波数としても同様の評価が可能であることから、前記電子顕微鏡写真をフーリエ変換したグラフを用いて評価するものとする。ただし、ピークの半値幅はピーク極大波数の増加に伴い増大する傾向にあるので、ピークの半値幅(a)、ピーク極大波数(b)とから計算される(a)/(b)の値を孔径の均一性評価の指標とした。優れた分離特性を発現するためには、孔径均一性は高い方が好ましく、前記(a)/(b)の値においては1.2以下であることが好ましく、1.1以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。また、ポリマーアロイの構造は均一である程良いので、(a)/(b)の下限値は特に限定されないが、通常0.1以上の値となる。本発明におけるピークの半値幅とはピークの頂点(点A)からグラフ縦軸に平行な直線を引き、該直線とスペクトルのベースラインとの交点(点B)としたとき、(点A)と(点B)を結ぶ線分中点(点C)におけるピークの幅である。なお、ここで言うピークの幅とは、ベースラインに平行で、かつ(点C)を通る直線上の幅のことである。

0019

多孔体は断面の厚さ方向において対称構造であっても非対称構造であっても良いが、対称構造の方が多孔体の強度が高いので好ましい。本発明における断面が厚さ方向に対して対称構造である多孔体とは、多孔体の厚さ(繊維の場合は直径、中空糸膜の場合は中空糸膜厚)をdとするとき、多孔体の表面からもう一方の表面へ垂直に0.005d〜0.015dの範囲の孔径(p1)と0.495d〜0.505dの範囲の孔径(p2)において、0.2≦(p2)/(p1)≦5である多孔体のことを指す。

0020

多孔体を分離膜として使用する際は、表面の開孔率が物質透過等の分離特性に大きな影響を与えるため、特に重要である。したがって、本発明の多孔体において、少なくとも一つの表面の開孔率は10%以上80%以下とするものである。開孔率が10%に満たないと多孔体内部の空孔率が高くても、表面が物質透過におけるボトルネックとなり、所望の特性が得られないという問題があり、開孔率が80%を越えると多孔体の強度が低下し、最終的には構造を維持できなくなる危険性があるという問題がある。

0021

開孔率は12%以上70%以下が好ましく、15%以上60%以下がより好ましい。従来の溶液製膜では、膜表面の開孔率は5%前後であり、10%以上とすることは困難であった。これは、前述の通り溶液中のポリマー分子の易動度が溶融ポリマー中の易動度と比較して極めて高いことに起因している。すなわち、相分離が開始する原液と空気などの気体との気−液界面および原液と凝固液との液−液界面において、ポリメチルメタクリレート分子が急速に析出、凝集するため、ポリメチルメタクリレートリッチな開孔率の低いスキン相を形成するためと考えられている。かかる表面開孔率の問題に対し鋭意検討した結果、ポリメチルメタクリレートと脂肪族ポリエステルからスピノーダル分解による相分離により得られるポリマーアロイから脂肪族ポリエステルを加水分解などにより除去することで、表面開孔率が10%以上80%以下であり、孔径が0.001μm以上50μm以下に制御された多孔体を得ることに成功した。これは、ポリメチルメタクリレートを溶融状態で相分離させることで、溶液状態における相分離と比較してポリメチルメタクリレート分子の易動度が抑制でき、その結果空孔率が低いスキン相が形成されず、表面開孔率を10%以上とすることができるものである。

0022

本発明における表面開孔率とは、多孔体の少なくとも一つの表面における単位面積あたりの開孔部面積の割合のことを指す。この表面開孔率は多孔体表面の電子顕微鏡画像解析することで行うこととする。すなわち、多孔体表面における孔径の5〜100倍の長さを一辺とする正方形の視野で観察した電子顕微鏡画像を画像解析ソフト(ScionImage(Scion Corporation社)、MatroxInspector(Matrox社)など)で開口部と非開口部を二値化で区別し、開孔部分の面積を算出することで開孔率が得られる。また、本発明における空孔率とは、多孔体の単位体積あたりの空孔部分体積の割合のことを指す。

0023

多孔体は分離膜の他に、その表面積の大きさを利用して吸着体として利用することもできる。特にポリメチルメタクリレートは血液適合性が高く、タンパク質などを特異的に吸着する特徴を有しており、本発明の多孔体は血液浄化カラムなどに好適である。

0024

多孔体の形状としては特に限定されるものではないが、分離膜として用いる場合は中空糸膜として利用できる中空糸状や、平膜コイル膜として利用できるシート状が好ましい。このうち中空糸膜は分離膜の面積を大きくとることができるため特に好ましい。また、吸着体として用いる場合はシート状や中空糸状の他に、編み地や不織布として使用できる繊維状やビーズなどの粒子状であることが好ましい。

0025

多孔体を分離膜として用いる場合、その厚さが薄すぎると分離特性が低下するだけでなく強度が低下し使用時に破壊する可能性があり好ましくない。逆に厚すぎると分離に長時間要するため好ましくない。したがって、多孔体の厚さは1μm以上5mm以下が好ましく、5μm以上2mm以下がより好ましく、10μm以上1mm以下がさらに好ましい。

0026

多孔体の形状としては特に限定されるものではないが、分離膜として用いる場合はシート状の平膜やコイル状の膜、中空繊維状の中空糸膜が好ましい。このうち中空糸膜は分離膜の面積を大きくとることができるため特に好ましい。

0027

かかる構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体を得る好ましい方法として、本発明によれば、ポリメチルメタクリレートと脂肪族ポリエステルにメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含むポリマーを添加してアロイ化すること、またはメタクリル酸メチルが与える繰り返し単位を(y)とし、メタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を(x)とするとき、(x)および(y)の繰り返し単位からなる共重合体を用いて脂肪族ポリエステルとアロイ化することで、ポリマーアロイの相分離構造が制御可能となり、該ポリマーアロイの成形品から脂肪族ポリエステルを除去することで、孔径が0.001μm以上50μm以下に制御された多孔体を得ることができる。

0028

ポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体とは、脂肪族ポリエステルを除去した後の多孔体の全重量の50重量%以上がポリメチルメタクリレートおよび/またはポリメチルメタクリレート共重合体で構成される多孔体を指す。

0029

ポリメチルメタクリレートおよびポリメチルメタクリレート共重合体の分子量については特に限定はないが、低すぎると多孔体の強度が低く、分離膜に用いることができなくなるため好ましくない。逆に分子量が高すぎると溶融時の粘度が高くなり溶融製膜が困難となるため、重量平均分子量は1万以上200万以下が好ましく、2万以上150万以下がより好ましく、3万以上100万以下がさらに好ましい。

0030

本発明のポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体は、ポリメチルメタクリレートと脂肪族ポリエステルにメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含むポリマーを添加してアロイ化すること、またはメタクリル酸メチルが与える繰り返し単位を(y)とし、メタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を(x)とするとき、(x)および(y)の繰り返し単位からなる共重合体を用いて脂肪族ポリエステルとアロイ化することで、ポリマーアロイの相分離構造が制御可能となり、該ポリマーアロイの成形品から脂肪族ポリエステルを除去することで得られる。したがって、微細かつ均一な連続孔を形成されるためには該ポリマーアロイの構造も微細かつ均一であることが必要である。微細かつ均一なポリマーアロイを得るためにはスピノーダル分解による相分離によるアロイ化が有効である。

0031

次に、スピノーダル分解について説明する。

0032

一般に、2成分以上の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる、部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成成長によって相分離するものがある。

0033

スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分以上の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。

0034

かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分以上の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相以上における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2 ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2 <0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2 >0である。

0035

またかかるバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。

0036

ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分以上の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分以上の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。相溶するか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanser Publishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。

0037

詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速にした場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。

0038

Λm〜[│Ts−T│/Ts]-1/2
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)ここで本発明でいうところの両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。

0039

スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行するが、本発明においては、最終的に巨視的な2相に分離する前の所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。本発明においては、共連続構造から完全に分散構造となってしまうと、本発明における脂肪族ポリエステルの除去による多孔構造形成が困難となるため好ましくない。

0040

スピノーダル分解を実現させるためには、2成分以上からなる樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることが必要である。本発明では、大きく分けて2つのポリマーアロイ化の方法がある、一つはポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステル、ならびにメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含むポリマー(以下ポリマーA)を添加したポリマーアロイ化の方法と、もうひとつはメタクリル酸メチルが与える繰り返し単位およびメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含む共重合体(以下共重合体B)ならびに脂肪族ポリエステルを用いたポリマーアロイ化の方法である。

0041

まずはじめに、ポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステルにポリマーAを添加したポリマーアロイ化の方法におけるスピノーダル分解を実現させる手法を二つ述べる。一つ目の手法は、ポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステル、ポリマーAが部分相溶系の場合、相溶条件下で溶融混練した後にスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解させることができる。もう一つの手法は、ポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステル、ポリマーAにおいてポリメチルメタクリレートと脂肪族ポリエステルの組み合わせ、およびポリメチルメタクリレートとポリマーAの組み合わせが融点以上分解温度以下の温度範囲で相溶し、脂肪族ポリエステルとポリマーAが非相溶のポリマーを選択した場合、例えば脂肪族ポリエステルにポリ乳酸、ポリマーAにアクリル酸/メチルメタクリレート(重量比4/96)共重合体を選択した場合、ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸を重量比44/56で仕込み、200〜240℃で溶融混練し相溶した状態にアクリル酸/メチルメタクリレート共重合体を添加すると、ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の相溶性が低下し、スピノーダル分解させることができる。この場合、アクリル酸/メチルメタクリレート共重合体の添加量コントロールすることでポリマーアロイの共連続構造サイズを制御できる。本発明の多孔体はポリマーアロイから脂肪族ポリエステルを除去することで多孔化する、すなわち、アクリル酸/メチルメタクリレート共重合体の添加量をコントロールすることで多孔体の細孔径の制御が可能となる。

0042

次に、共重合体Bと脂肪族ポリエステルを用いたポリマーアロイ化の方法におけるスピノーダル分解を実現させる手法としては、共重合体Bと脂肪族ポリエステルが部分相溶系の場合、相溶条件下で溶融混練した後にスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解させることができる。例えば、共重合体Bにα−メチルスチレン/メチルメタクリレート共重合体(繰り返し単位数比3/97)、脂肪族ポリエステルにポリ乳酸を選択した場合、α−メチルスチレン/メチルメタクリレート共重合体とポリ乳酸を重量比50/50で仕込み、温度240℃で相溶させ、200℃以下に冷却することでスピノーダル分解させることができる。この場合、スピノーダル分解させる際の冷却温度をコントロールすることでポリマーアロイの共連続構造サイズを制御できる。本発明の多孔体はポリマーアロイから脂肪族ポリエステルを除去することで多孔化する、すなわち、スピノーダル分解させる際の冷却温度をコントロールすることで多孔体の細孔径の制御が可能となる。

0043

部分相溶系において、溶融混練により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。相溶化のための温度は、部分相溶系の樹脂が相溶する条件である必要がある。溶融混練により相溶状態としたポリマーアロイをスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件は樹脂の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。本発明においては前記の如く、初期過程の構造周期を特定の範囲に制御した後、中期過程以降でさらに構造発展させて本発明で規定する特定の両相連続構造とすることが好ましい。

0044

ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの組み合わせからなるポリマーアロイは、両ポリマーの相溶性が非常に高いため相分離構造を制御することが困難であり、該ポリマーアロイからは所望の孔径を有する多孔体を形成させることが困難という問題があった。かかる問題に対して鋭意検討を行ったところ、ポリメチルメタクリレートと脂肪族ポリエステルにメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含むポリマーを添加してアロイ化すること、またはメタクリル酸メチルが与える繰り返し単位を(y)とし、メタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を(x)とするとき、(x)および(y)の繰り返し単位からなる共重合体を用いて脂肪族ポリエステルとアロイ化することで、ポリマーアロイの相分離構造が制御可能となり、該ポリマーアロイの成形品から脂肪族ポリエステルを除去することで所望の孔径を有する多孔体を形成させることができることを見出した。

0045

前記メタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位を含むポリマーの添加量、および前記(x)および(y)の繰り返し単位からなる共重合体における繰り返し単位(x)の量は、多孔体のプロトン核磁気共鳴測定で得られるスペクトルから求められるメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100が0.00001以上50以下とすることが好ましく、0.001以上30以下とすることがより好ましく、0.01以上20以下とすることがさらに好ましい。ここでいう繰り返し単位量とは、プロトン核磁気共鳴スペクトルにおける繰り返し単位を構成するプロトンに由来するピークの面積(S)をとし、該ピークに対応する繰り返し単位中のプロトン数(H)とするとき、(S)/(H)を繰り返し単位量とする。

0046

また、メタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレン、スチレン、無水マレイン酸、マレイミド、N置換マレイミドから選ばれる1種類以上の単量体が与えるユニットのうち、メタクリル酸メチルとのアロイ化においてメタクリル酸メチルとの相溶性が良好なメタクリル酸、メタクリル酸と炭素数2〜16の炭化水素基からなるメタクリル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸と炭素数1〜16の炭化水素基からなるアクリル酸エステル、α−メチルスチレンから選ばれる1種類以上の単量体が与えるユニットがより好ましい。

0047

また本発明で脂肪族ポリエステルとしては、ポリメチルメタクリレートとの相溶性およびポリマー除去における加水分解の容易性から、特にポリ乳酸が好適である。

0048

ポリマーアロイにおける脂肪族ポリエステルの比率はスピノーダル分解における連続構造の形成性を考慮すると、10重量%以上90重量%以下が好ましく、15重量%以上85重量%以下がより好ましく、20重量%以上80重量%以下がさらに好ましい。

0049

本発明の多孔体の前駆体であるポリマーアロイを成形する際には、通常、ポリマーアロイとなすと同時もしくはなした後であってかつ、多孔を形成する前に成形し、その後脂肪族ポリエステルを除去して多孔を形成する方法が採用される。成形形状は、任意の形状が可能である。ポリマーアロイを成形する際の成形方法としては、例えば、押出成形射出成形インフレーション成形ブロー成形などを挙げることができるが、中でも押出成形は押出時に相溶解させ、吐出後、スピノーダル分解しフィルムおよび/またはシート延伸時に熱処理し、その後の巻き取り前の自然冷却時に構造固定ができること、さらに様々な形状の口金を活用して中空糸状やフィルム状に成形でき、その後中空糸分離膜や平膜とすることができるため好ましい。また、射出成形も射出時の可塑化工程で相溶解させ、射出後、スピノーダル分解し金型内で熱処理と構造固定化が同時にできることから好ましい。

0050

ポリマーアロイからの脂肪族ポリエステルの除去方法としては、溶媒を用いて脂肪族ポリエステルを溶解指せて除去する方法や、脂肪族ポリエステルを分解させて除去する方法がある。このうち、脂肪族ポリエステルの分解による方法は、低分子量物質へ分解して除去するため、孔径が小さい場合でも効率的に多孔化できるため好ましい。脂肪族ポリエステルは、加水分解により容易に分解除去可能である。ポリメチルメタクリレートはアルカリに対する耐性が高いことから、アルカリ水溶液による加水分解が好適である。アルカリ水溶液で加水分解する際に、加熱することで分解速度をアップさせることも可能である。また、中空糸分離膜のような連続生産の場合、アルカリ水溶液漕を通過させることでオンラインで多孔化することも可能である。アルカリの例としては、水酸化カリウム水酸化ナトリウム炭酸ナトリウム炭酸カリウムなどが挙げられる。

0051

本発明の多孔体は、その微細かつ均一な連続多孔を活かして分離膜として利用できる。その分離膜用途の一例として、医療バイオツールなどの生体成分処理用途、水処理用途、果汁濃縮などの食品用途、蒸留などの代替としてケミカルプロセス用途、ガス分離用途、燃料電池セパレータなどの電子情報材料用途などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に生体成分処理用としては、ポリメチルメタクリレートの優れた血液適合性を活かし、血液浄化用モジュールに好適に利用できる。血液浄化用モジュールとは、血液を体外に循環させる際に、吸着、濾過透析および拡散等によって血中の老廃物有害物質を取り除く機能を有したモジュールのことをいう。そのような血液浄化用モジュールとして、人工腎臓や血漿分離膜などがある。特にポリメチルメタクリレートのタンパク質特異吸着性を利用して、透析や濾過では除去できない血液中の不要タンパク質を除去可能である。

0052

多孔体の分離膜以外に低誘電率材料としてプリント回路基材および積層板に利用できるほか、インバータースイッチング電源から高周波成分の漏洩電流を防ぐカバーシール部材などにも利用できる。また、広い表面積を活かして吸着体、触媒担体等にも利用可能である。

0053

以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。

0054

(実施例1)
ポリメチルメタクリレートに住友化学株式会社製「MHF」、脂肪族ポリエステルとして、D体量が1.4%であり、GPC測定によるPMMA換算の重量平均分子量が14万であるポリ乳酸樹脂、メチルメタクリレート/メタクリル酸ランダム共重合体重量構成比:メチルメタクリレート/メタクリル酸=96/4)を重量比44/55/2で使用し、リップ間隔0.2mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、240℃で溶融製膜を実施した。ドラム温度を60℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約150μm厚のアロイフィルムを作製した。

0055

該フィルムを10cm角に切り出し、20重量%濃度の水酸化カリウム水溶液100mlに3日間浸漬させポリ乳酸を加水分解除去し、多孔化した。超純水500mlに1時間浸漬し、さらに超純水200mlでリンスした後、凍結乾燥することでポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔質フィルムを得た。

0056

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該多孔質フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、メタクリル酸が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0057

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料白金スパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0058

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0059

(実施例2)
ポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステル、メチルメタクリレート/メタクリル酸ランダム共重合体の重量比が42/53/5とした以外は実施例1と同様の方法でポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔質フィルムを得た。

0060

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、メタクリル酸が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0061

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0062

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0063

(実施例3)
ポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステル、メチルメタクリレート/メタクリル酸ランダム共重合体の重量比が41/51/8とした以外は実施例1と同様の方法でポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔質フィルムを得た。

0064

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、メタクリル酸が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0065

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0066

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0067

(実施例4)
メチルメタクリレート/α−メチルスチレンランダム共重合体(重量構成比:メチルメタクリレート/αメチルスチレン=97/3)、脂肪族ポリエステルとして、D体量が1.4%であり、GPC測定によるPMMA換算の重量平均分子量が14万であるポリ乳酸樹脂、を重量比45/55で使用し、リップ間隔0.2mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、240℃で溶融製膜を実施した。ドラム温度を60℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約150μm厚のアロイフィルムを作製した。

0068

該フィルムを10cm角に切り出し、20重量%濃度の水酸化カリウム水溶液100mlに3日間浸漬させポリ乳酸を加水分解除去し、多孔化した。超純水500mlに1時間浸漬し、さらに超純水200mlでリンスした後、凍結乾燥することでポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔質フィルムを得た。

0069

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該多孔質フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、α−メチルスチレンが与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0070

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0071

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0072

(実施例5)
溶融製膜温度を240℃から180℃に変更した以外は実施例4と同様の方法で多孔質フィルムを得た。

0073

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該多孔質フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、α−メチルスチレンが与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0074

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0075

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0076

(実施例6)
ポリメチルメタクリレートに住友化学株式会社製「MHF」、脂肪族ポリエステルとして、D体量が1.4%であり、GPC測定によるPMMA換算の重量平均分子量が14万であるポリ乳酸樹脂、メチルメタクリレート/メタクリル酸ランダム共重合体(重量構成比:メチルメタクリレート/メタクリル酸=99/1)を重量比27/70/3で使用し、リップ間隔0.2mmに調整したT−ダイ付き二軸溶融混練機HK−25D(パーカーコーポレーション社製)に供し、240℃で溶融製膜を実施した。ドラム温度を60℃とし、巻き取り速度を調整することにより、約150μm厚のアロイフィルムを作製した。

0077

該フィルムを10cm角に切り出し、20重量%濃度の水酸化カリウム水溶液100mlに3日間浸漬させポリ乳酸を加水分解除去し、多孔化した。超純水500mlに1時間浸漬し、さらに超純水200mlでリンスした後、凍結乾燥することでポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔質フィルムを得た。

0078

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該多孔質フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、メタクリル酸が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0079

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0080

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0081

(実施例7)
ポリメチルメタクリレート、脂肪族ポリエステル、メチルメタクリレート/メタクリル酸ランダム共重合体の重量比が15/70/15とした以外は実施例6と同様の方法でポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔質フィルムを得た。

0082

該多孔質フィルムの断面を透過型電子顕微鏡を用い、倍率10,000倍で観察して得られた一片3μmの正方形の画像をフーリエ変換し、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフのピーク波数と半値幅から平均孔径と均一性の指標である(a)/(b)を求めた。また、該フィルムを重クロロホルムに溶解し、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、メタクリル酸が与える繰り返し単位量を(A)、メチルメタクリレートが与える繰り返し単位量を(B)とするとき、(A)/((A)+(B))×100を求めた。

0083

また、該多孔質シートの表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0084

結果を表1に示すとおり、均一な多孔構造を有するポリメチルメタクリレートを主成分とする多孔体であった。

0085

(比較例1)
ポリメチルメタクリレートに住友化学株式会社製「MHF」を使用し、メチルエチルケトンに溶解し、10重量%のポリメチルメタクリレートのメチルエチルケトン溶液を調製し、製膜原液とした。フィルム作製用アプリケータを用い、製膜原液をガラス板上に厚さ250μmの薄膜状に流延し、速やかに飽和水蒸気に接触させ多孔膜を得た。このときの水蒸気は温度83℃で、供給量は10mg/sec/cm2であった。

0086

多孔膜の断面を走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い、倍率100倍で観察したところ、20〜200μmの粗大なボイド構造であり、一片900μmの正方形の画像をフーリエ変換したが、波数を横軸に強度を縦軸にプロットしたグラフにピークは観察されなかった。

0087

多孔膜の表面開孔率は走査型電子顕微鏡S−5500型((株)日立製作所製)を用い倍率10万倍で観察することで実施した。なお、観察の前処理として、観察試料は白金でスパッタリングを行った。得られた観察画像は一辺500nmの正方形にトリミングし、画像解析ソフトScionImage(Scion Corporation社製)で二値化(Thereshhold)および面積計算(Analyze Particles)を実行し、表面開孔率を求めた。

0088

実施例

0089

結果を表1に示すとおり、得られた多孔膜は大気暴露面側に緻密層を有し、膜内部に不均一で粗大なボイド層を有する非対称構造の多孔膜であり、非常にもろく、分離膜として使用することは困難であった。

0090

本発明の製造方法で得られる多孔体は、孔径を微細かつ均一に制御することが可能であり、その結果、分離膜などとして用いたときに優れた特性を有するポリメチルメタクリレート多孔体を得ることができる。さらに、微細で均一な多孔を有することを活かして、低誘電率材料としてプリント回路基材および積層板に利用できるほか、インバーターやスイッチング電源から高周波成分の漏洩電流を防ぐカバーやシール部材などにも利用できる。また、広い表面積を活かして吸着体、触媒担体等にも利用可能である。

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