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技術 電極、蓄電装置、電子機器、及び電極の作製方法

出願人 株式会社半導体エネルギー研究所
発明者 落合輝明川上貴洋
出願日 2015年12月22日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-249710
公開日 2016年7月11日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-127015
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード エンベロープ状 粒子保持能 ウェアラブル機器 ガス抜き後 六角形構造 商用施設 無機物材料 素子体積
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

充放電特性の優れた蓄電装置を提供する。充放電サイクルにおける容量の低下が抑制された蓄電装置を提供する。

解決手段

集電体及び活物質層を有し、活物質層は、活物質及び結着剤を有し、結着剤は、ポリベンゾオキサジンを有する、電極を提供する。また、結着剤として、ポリベンゾオキサジンと、他の材料と、を有する電極を提供する。活物質には、塩基性を示す材料を用いてもよい。また、電極は、高温をかけて作製してもよい。

概要

背景

近年、リチウムイオン二次電池リチウムイオンキャパシタ空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話スマートフォン、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末携帯音楽プレーヤデジタルカメラ医療機器、又は、ハイブリッド車HEV)、電気自動車EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車など、半導体産業発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギー供給源として現代情報化社会に不可欠なものとなっている。

このように、様々な分野又は用途でリチウムイオン二次電池は用いられている。そのなかで、リチウムイオン二次電池に求められる特性として、高エネルギー密度、優れたサイクル特性、及び様々な動作環境での安全性などがある。

また、リチウムイオン二次電池は、少なくとも、正極、負極、及び電解液を有している(特許文献1)。

概要

充放電特性の優れた蓄電装置を提供する。充放電サイクルにおける容量の低下が抑制された蓄電装置を提供する。集電体及び活物質層を有し、活物質層は、活物質及び結着剤を有し、結着剤は、ポリベンゾオキサジンを有する、電極を提供する。また、結着剤として、ポリベンゾオキサジンと、他の材料と、を有する電極を提供する。活物質には、塩基性を示す材料を用いてもよい。また、電極は、高温をかけて作製してもよい。

目的

本発明の一態様は、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制された蓄電装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

集電体及び活物質層を有し、前記活物質層は、活物質及び結着剤を有し、前記結着剤は、ポリベンゾオキサジンを有する、電極

請求項2

集電体及び活物質層を有し、前記活物質層は、活物質及び結着剤を有し、前記結着剤は、ポリベンゾオキサジンと、フッ素樹脂と、を有する、電極。

請求項3

請求項1又は2において、前記活物質層は、リチウムマンガン元素M、及び酸素を有する酸化物を有し、前記元素Mは、クロムコバルトアルミニウムニッケル、鉄、マグネシウムモリブデン亜鉛インジウムガリウム、銅、チタンニオブシリコン、又はリンである、電極。

請求項4

請求項3において、前記活物質層は、リチウム、マンガン、前記元素M、又は酸素と、前記結着剤の有する元素のいずれか一と、の結合を含む化合物を有する、電極。

請求項5

請求項3又は4において、前記活物質層は、前記酸化物を有する粒子を有し、前記粒子は、第1の領域及び第2の領域を有し、前記第2の領域は、前記第1の領域の少なくとも一部と接し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ、リチウムと、酸素と、を有し、前記第1の領域又は前記第2の領域の少なくとも一方は、マンガンを有し、前記第1の領域又は前記第2の領域の少なくとも一方は、前記元素Mを有する、電極。

請求項6

請求項5において、前記第1の領域は、層状岩塩型結晶構造である第1の結晶を有し、前記第2の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第2の結晶を有し、前記第1の結晶が有する{001}面は、前記第2の結晶が有する{100}面、{13−1}面、又は{−131}面の少なくともいずれか一と平行である、電極。

請求項7

請求項5において、前記第1の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第1の結晶を有し、前記第2の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第2の結晶を有し、前記第1の結晶の向きと、前記第2の結晶の向きと、が異なる、電極。

請求項8

請求項5において、前記第1の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第1の結晶を有し、前記第2の領域は、スピネル型の結晶構造である第2の結晶を有する、電極。

請求項9

請求項5乃至8のいずれか一項において、前記第1の領域及び前記第2の領域は、マンガンと、前記元素Mと、酸素と、を有し、前記第1の領域のマンガン、前記元素M、及び酸素の原子数比はa1:b1:c1で表され、前記第2の領域のマンガン、前記元素M、及び酸素の原子数比はa2:b2:c2で表され、c1/(a1+b1)は2.2以上であり、c2/(a2+b2)は2.2未満である、電極。

請求項10

請求項5乃至9のいずれか一項において、前記粒子は、第3の領域を有し、前記第3の領域は、前記第2の領域の少なくとも一部と接する、電極。

請求項11

請求項10において、前記第3の領域は、炭素を有する、電極。

請求項12

請求項10又は11において、前記第3の領域の厚さが0.4nm以上40nm以下である、電極。

請求項13

請求項3乃至12のいずれか一において、前記第2の領域は層状の領域を有し、前記層状の領域の厚さが0.4nm以上40nm以下である、電極。

請求項14

正極及び負極を有し、前記正極又は前記負極は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電極である、蓄電装置

請求項15

請求項14に記載の蓄電装置と、表示装置、操作ボタン外部接続ポートスピーカ、又はマイクと、を有する、電子機器

請求項16

ベンゾオキサジンモノマーと、活物質と、溶媒と、を含む混合物を作製し、前記混合物を含む層を、集電体上に形成し、前記混合物を含む層を、150℃以上で加熱し、ポリベンゾオキサジンを含む活物質層を前記集電体上に作製する、電極の作製方法

請求項17

請求項16において、前記活物質は、リチウム、マンガン、元素M、及び酸素を有する酸化物を有し、前記元素Mは、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、又はリンである、電極の作製方法。

技術分野

0001

本発明の一態様は、電極蓄電装置、及び電子機器、並びにそれらの作製方法に関する。

0002

なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置表示装置発光装置、蓄電装置、記憶装置撮像装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げることができる。

0003

なお、本明細書中において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池二次電池ともいう)、リチウムイオンキャパシタ、及び電気二重層キャパシタなどを含む。

背景技術

0004

近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話スマートフォン、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末携帯音楽プレーヤデジタルカメラ医療機器、又は、ハイブリッド車HEV)、電気自動車EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車など、半導体産業発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギー供給源として現代情報化社会に不可欠なものとなっている。

0005

このように、様々な分野又は用途でリチウムイオン二次電池は用いられている。そのなかで、リチウムイオン二次電池に求められる特性として、高エネルギー密度、優れたサイクル特性、及び様々な動作環境での安全性などがある。

0006

また、リチウムイオン二次電池は、少なくとも、正極、負極、及び電解液を有している(特許文献1)。

先行技術

0007

特開2012−9418号公報

発明が解決しようとする課題

0008

リチウムイオン二次電池の開発は、充放電特性、サイクル特性、信頼性、安全性、又はコストといった様々な面で改善の余地が残されている。

0009

本発明の一態様は、充放電特性の優れた蓄電装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制された蓄電装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、安全性又は信頼性の高い蓄電装置を提供することを課題の一とする。

0010

または、本発明の一態様は、蓄電装置の体積あたり及び/又は重量あたりの容量を高めることを課題の一とする。または、本発明の一態様は、電極の体積あたり及び/又は重量あたりの容量を高めることを課題の一とする。

0011

または、本発明の一態様は、正極活物質を有する正極において、より高い電位電池反応を安定に行うことを課題の一とする。または、本発明の一態様は、電極を均一な厚みで作製することを課題の一とする。

0012

または、本発明の一態様は、新規物質、正極活物質、結着剤、電極、リチウムイオン二次電池、電池、もしくは蓄電装置、又はそれらの作製方法を提供することを課題の一とする。

0013

なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。

課題を解決するための手段

0014

本発明の一態様は、集電体及び活物質層を有し、活物質層は、活物質及び結着剤を有し、結着剤は、ポリベンゾオキサジンを有する、電極である。

0015

または、本発明の一態様は、集電体及び活物質層を有し、活物質層は、活物質及び結着剤を有し、結着剤は、ポリベンゾオキサジンと、フッ素樹脂と、を有する、電極である。

0016

上記各構成において、活物質層は、リチウムマンガン元素M、及び酸素を有する酸化物を有し、元素Mは、クロムコバルトアルミニウムニッケル、鉄、マグネシウムモリブデン亜鉛インジウムガリウム、銅、チタンニオブシリコン、又はリンであってもよい。このとき、活物質層は、リチウム、マンガン、元素M、又は酸素と、結着剤の有する元素のいずれか一と、の結合を含む化合物を有していてもよい。

0017

上記各構成において、活物質層は、上記酸化物を有する粒子を有し、粒子は、第1の領域及び第2の領域を有し、第2の領域は、第1の領域の少なくとも一部と接し、第1の領域及び第2の領域は、それぞれ、リチウムと、酸素と、を有し、第1の領域又は第2の領域の少なくとも一方は、マンガンを有し、第1の領域又は第2の領域の少なくとも一方は、元素Mを有していてもよい。

0018

このとき、第1の領域は、層状岩塩型結晶構造である第1の結晶を有し、第2の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第2の結晶を有し、第1の結晶が有する{0 0 1}面は、第2の結晶が有する{1 0 0}面、{1 3 −1}面、又は{−1 3 1}面の少なくともいずれか一と平行であってもよい。

0019

または、第1の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第1の結晶を有し、第2の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第2の結晶を有し、第1の結晶の向きと、第2の結晶の向きと、が異なっていてもよい。

0020

または、第1の領域は、層状岩塩型の結晶構造である第1の結晶を有し、第2の領域は、スピネル型の結晶構造である第2の結晶を有していてもよい。

0021

上記各構成において、第1の領域及び第2の領域は、マンガンと、元素Mと、酸素と、を有し、第1の領域のマンガン、元素M、及び酸素の原子数比はa1:b1:c1で表され、第2の領域のマンガン、元素M、及び酸素の原子数比はa2:b2:c2で表され、c1/(a1+b1)は2.2以上であり、c2/(a2+b2)は2.2未満であってもよい。

0022

上記各構成において、粒子は、第3の領域を有し、第3の領域は、第2の領域の少なくとも一部と接していてもよい。例えば、第3の領域は、炭素を有していてもよい。例えば、第3の領域の厚さが0.4nm以上40nm以下であってもよい。

0023

上記各構成において、第2の領域は層状の領域を有し、層状の領域の厚さが0.4nm以上40nm以下であってもよい。

0024

また、本発明の一態様は、正極及び負極を有し、正極又は負極は、上記いずれかの構成の電極である、蓄電装置である。

0025

また、本発明の一態様は、上記の蓄電装置と、表示装置、操作ボタン外部接続ポートスピーカ、又はマイクと、を有する、電子機器である。

0026

また、本発明の一態様は、ベンゾオキサジンモノマーと、活物質と、溶媒と、を含む混合物を作製し、混合物を含む層を、集電体上に形成し、混合物を含む層を、150℃以上、好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上で加熱し、ポリベンゾオキサジンを含む活物質層を集電体上に作製する、電極の作製方法である。

発明の効果

0027

本発明の一態様により、充放電特性の優れた蓄電装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制された蓄電装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、安全性又は信頼性の高い蓄電装置を提供することができる。

0028

または、本発明の一態様により、蓄電装置の体積あたり及び/又は重量あたりの容量を高めることができる。または、本発明の一態様により、電極の体積あたり及び/又は重量あたりの容量を高めることができる。

0029

または、本発明の一態様により、正極活物質を有する正極において、より高い電位で電池反応を安定に行うことができる。または、本発明の一態様により、電極を均一な厚みで作製できる。

0030

または、本発明の一態様により、新規な物質、正極活物質、結着剤、電極、リチウムイオン二次電池、電池、もしくは蓄電装置、又はそれらの作製方法を提供することができる。

0031

なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。

図面の簡単な説明

0032

電極の一例を示す図。
粒子の一例を示す図。
結晶構造の一例を説明する図。
結晶構造の一例を説明する図。
活物質の作製方法の一例を示すフローチャート
蓄電装置の一例及び電極の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
円筒型蓄電池の一例を示す図。
コイン型蓄電池の一例を示す図。
蓄電システムの一例を示す図。
蓄電システムの一例を示す図。
蓄電システムの一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
蓄電装置の一例を示す図。
電子機器の一例を示す図。
電子機器の一例を示す図。
電子機器の一例を示す図。
電子機器の一例を示す図。
実施例1の充放電特性を示す図。
実施例2の充放電特性及びサイクル特性を示す図。
実施例2の充放電特性を示す図。

0033

実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。

0034

なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。

0035

また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。

0036

なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。

0037

(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の電極について図1を用いて説明する。

0038

本実施の形態では、本発明の一態様の電極を、リチウムイオン二次電池に適用する場合を例に説明するが、本発明の一態様の電極の用途はこれに限られない。本発明の一態様の電極は、電池、一次電池、二次電池、リチウム空気電池鉛蓄電池リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、亜鉛空気電池コンデンサ、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、ウルトラキャパシタスーパー・キャパシタなどに適用することができる。

0039

本発明の一態様の電極は、集電体101及び活物質層102を有する。

0040

図1(A)は、電極100aを俯瞰した図であり、図1(B)は、図1(A)の破線で囲んだ部分の側面図である。電極100aは、集電体101の片面のみに活物質層102が設けられた構造である。

0041

図1(C)は、電極100bを俯瞰した図であり、図1(D)は、図1(C)の破線で囲んだ部分の側面図である。電極100bは、集電体101の両面に活物質層102が設けられた構造である。

0042

活物質層102は、活物質及び結着剤(バインダともいう)を有する。

0043

本明細書中において、結着剤は、活物質と活物質を結着もしくは接着させる機能、及び/又は、活物質層と集電体を結着もしくは接着させる機能を有する。また、結着剤は、電極又は電池の作製中に、その状態が変化する場合がある。例えば、結着剤は、液体固体、又はゲル等の少なくともいずれか一の状態をとることがある。また、結着剤は、電極又は電池の作製中に、単量体モノマー)から重合体ポリマー)に変化する場合がある。

0044

ここで、高容量のリチウムイオン二次電池を作製するために好適な活物質には、塩基性を示す材料がある。例えば、正極活物質として好適に用いることができるリチウムマンガン複合酸化物は、塩基性を示す場合が多い。

0045

結着剤が塩基性に弱いと、塩基性の高い活物質と組み合わせて活物質層102を形成した際に、不具合が生じることがある。例えば、ポリフッ化ビニリデンPVdF)は、塩基性に弱く、塩基性の高い活物質と混合することでゲル化してしまうことがある。結着剤がゲル状になる、又は凝集すると、結着剤と活物質とを含む混合物が均一に混練されず、活物質層102を均一な厚さで形成することが困難となる。また、熱又は水分等によりゲル化は進行しやすい。例えば、一度に大容量の混合物を作製する場合には、混練時に発生する熱によりゲル化が進行しやすくなる。また、大気中の水分等が含まれないよう、混合物を用いた活物質層102の形成は迅速に行う必要が生じる。このように、結着剤がゲル化しやすいと、電極を作製する際の量産性が低下する場合がある。

0046

また、電極の作製工程中に、加熱を行う場合がある。このとき、結着剤の耐熱性が低いと、加熱温度が制限され、電極の特性を十分に高められないという問題が生じる。

0047

そこで、本発明の一態様では、結着剤としてポリベンゾオキサジン(ベンゾオキサジン樹脂ともいう)を用いる。

0048

ポリベンゾオキサジンは、半導体封止材等として用いられる熱硬化性樹脂である。本発明者らは、このポリベンゾオキサジンが、蓄電装置の電極の結着剤として好適に用いることができることを見出した。

0049

ポリベンゾオキサジンは、寸法安定性耐水性耐薬品性難燃性等に優れている。また、ポリベンゾオキサジンは、電解液に不溶である。また、ポリベンゾオキサジンは、吸水性が低いため、増粘剤等を用いる必要もなく、簡便に結着剤として使用することができる。

0050

例えば、ポリベンゾオキサジンは塩基性に強いため、塩基性を示す活物質を有する電極に好適に用いることができる。なお、ポリベンゾオキサジンと組み合わせて用いる活物質は塩基性に限られず、例えば、中性を示す活物質、又は酸性を示す活物質と組み合わせて用いてもよい。

0051

また、ポリベンゾオキサジンは、高い電圧をかけても分解及び変質が生じにくいため、正極活物質層に含まれる結着剤として好適に用いることができる。なお、ポリベンゾオキサジンは負極活物質層に含まれる結着剤として用いてもよい。

0052

ポリベンゾオキサジンは、例えば、ベンゾオキサジン環を有するモノマー(以下、ベンゾオキサジンモノマーと記す)を重合することで形成することができる。

0053

ポリベンゾオキサジンは、例えば、ベンゾオキサジンモノマーの開環重合で得ることができる。電極の作製時には、まず、活物質と、ベンゾオキサジンモノマーと、を混練し、混合物を形成する。そして、集電体上に混合物を塗布し、その後、加熱することでベンゾオキサジンモノマーを重合させ、ポリベンゾオキサジンを含む活物質層を集電体上に形成する。活物質と結着剤とを混練する際には、ベンゾオキサジン環を有する化合物はモノマーの状態であるため、結着剤のゲル化又は凝集を抑制することができる。また、ベンゾオキサジンモノマーは重合前後で体積に差が生じにくいため、集電体上の混合物を加熱し活物質層を形成した際にも、体積変化膨張又は収縮)が小さい。そのため、電極の厚みの均一性、及び集電体と活物質層の密着性に悪影響を及ぼしにくい。

0054

ベンゾオキサジンモノマー又はポリベンゾオキサジンは、5%重量減少温度が250℃以上であると好ましく、300℃以上であるとより好ましく、350℃以上であるとさらに好ましい。耐熱性の高い結着剤を用いることで、電極作製時により高い温度で加熱することができ、好ましい。

0055

ベンゾオキサジンモノマーとしては、ビスフェノール化合物アミン化合物の反応によって得られるF−a型ベンゾオキサジン化合物、及びフェニルジアミン化合物フェノール化合物の反応によって得られるP−d型ベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。F−a型ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジン化合物、及びビスフェノールF型ベンゾオキサジン化合物などが挙げられる。P−d型ベンゾオキサジン化合物としては、ジアミノジフェニルメタン型ベンゾオキサジン化合物などが挙げられる。

0056

なお、本発明の一態様の電極又は活物質層には、ポリベンゾオキサジンだけでなく、ベンゾオキサジンモノマー等のベンゾオキサジン環を有する化合物が含まれていてもよい。ベンゾオキサジン環を有する化合物としては、例えば、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン環を有する化合物等が挙げられるが、これに限られない。

0057

本発明の一態様において、結着剤は、ポリベンゾオキサジン単体に限られない。本発明の一態様では、結着剤として、複数の材料を用いてもよい。

0058

例えば、結着剤として、塩基性に弱い結着剤と、ポリベンゾオキサジンと、を用いてもよい。これにより、結着剤として塩基性に弱い結着剤を単体で用いる場合に比べて、塩基性に弱い結着剤のゲル化又は凝集を抑制することができる。

0059

例えば、結着剤として、耐熱性の低い結着剤と、ポリベンゾオキサジンと、を用いてもよい。これにより、結着剤として耐熱性の低い結着剤を単体で用いる場合に比べて、結着剤がより高温又はより長時間の加熱に耐えうる場合がある。

0060

例えば、実施例2で後述するように、結着剤としてポリベンゾオキサジンとPVdFとを用いると、結着剤としてPVdF単体を用いる場合に比べて、高い放電容量を実現することができ、好ましい。

0061

また、結着剤は、ベンゾオキサジン環を有する化合物と、他の化合物の複合材料であってもよい。例えば、ベンゾオキサジン樹脂と、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等と、の共重合体であってもよい。

0062

本発明の一態様の電極は、蓄電装置に用いることができる。蓄電装置は、一対の電極(正極及び負極)を有し、各電極は、活物質層を有する。正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、結着剤を有することが好ましい。

0063

本発明の一態様の蓄電装置では、少なくとも正極活物質層又は負極活物質層のいずれか一方の結着剤としてポリベンゾオキサジンを用いる。一方の活物質層のみにポリベンゾオキサジンを用いる場合、他方に用いる結着剤の種類は問わない。例えば、本発明の一態様では、正極活物質層が、結着剤としてポリベンゾオキサジンを有する。正極活物質層は、さらに別の材料を結着剤として有していてもよい。このとき、負極活物質層が有する結着剤は特に限定されない。

0064

結着剤として用いることができる他の材料について例示する。本発明の一態様の電極において、下記材料の少なくともいずれか一と、ポリベンゾオキサジンとが、共に活物質層に含まれていてもよい。

0065

例えば、結着剤として水溶性高分子を用いることができる。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロースCMC)、メチルセルロースエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースジアセチルセルロース再生セルロースなどのセルロース誘導体、又は澱粉などを用いることができる。

0066

また、結着剤として、スチレンブタジエンゴムSBR)、スチレン・イソプレンスチレンゴムアクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムエチレンプロピレンジエン共重合体などのゴム材料を用いることができる。これらのゴム材料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いてもよい。これらのゴム材料は、ゴム弾性を有し、伸び縮みしやすいため、充放電に伴う活物質の膨張収縮、又は電極の曲げなどに伴うストレスに強く、信頼性の高い電極を得ることができる一方で、疎水基を有し水に溶けにくい場合がある。このような場合には、水溶液中で粒子が水に溶解しない状態で分散するので、活物質層102の形成に使用する溶剤を含む組成物電極合剤組成物ともいう)を、塗布するために適した粘度にまで高めることが難しいことがある。この際に、粘度調整機能の高い水溶性高分子、例えば多糖類を用いると、溶液の粘度を適度に高める効果が期待できるうえに、ゴム材料と互いに均一に分散し、均一性の高い良好な電極、例えば電極膜厚又は電極抵抗の均一性が高い電極を得ることができる。

0068

結着剤は上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。

0069

活物質層の総量に対する結着剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさらに好ましい。

0070

以下では、本発明の一態様の電極の他の構成要素について、詳述する。

0071

≪集電体≫
集電体は、蓄電装置内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。正極集電体及び負極集電体には、例えば、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、これらの合金、又は焼結した炭素などをそれぞれ用いることができる。または、銅もしくはステンレス鋼を炭素、ニッケルもしくはチタン等で被覆して用いてもよい。または、シリコン、チタン、ネオジムスカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。または、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で集電体を形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムバナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。

0072

集電体の表面では、電解液との不可逆な反応が生じる場合がある。よって、集電体は、電解液との反応性が低いことが好ましい。例えば、集電体にステンレス等を用いることにより、電解液との反応性をより低くすることができる場合があり、好ましい。

0073

また、正極集電体及び負極集電体には、それぞれ、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状多孔質状、及び不織布を包括する様々な形態の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との密着性を上げるために、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、表面に細かい凹凸を有していてもよい。また、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。

0074

また、集電体の表面の一部にアンダーコート層を設けてもよい。ここでアンダーコート層とは、集電体と活物質層との接触抵抗の低減、又は集電体と活物質層との密着性向上のための被覆層をいう。なお、アンダーコート層は、集電体の一面全体に形成されていなくてもよく、島状に(部分的に)形成されていてもよい。また、アンダーコート層が活物質として容量を発現しても構わない。アンダーコート層としては、例えば炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラックケッチェンブラック登録商標)等のカーボンブラックカーボンナノチューブ黒鉛などを用いることができる。また、アンダーコート層として、金属層、炭素及び高分子を含む層、並びに金属及び高分子を含む層を含む層を用いることもできる。

0075

≪活物質層≫
活物質層は、活物質を含む。活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物質のみを指すが、本明細書等では、本来「活物質」である材料に加えて、導電助剤及び結着剤などを含めたものも、活物質層と呼ぶ。

0076

正極活物質層は、1種類以上の正極活物質を有する。負極活物質層は、1種類以上の負極活物質を有する。

0077

正極活物質及び負極活物質は、蓄電装置の電池反応の中心的役割を担いキャリアイオンの放出及び吸収を行う物質である。蓄電装置の寿命を高めるためには、活物質が、電池反応の不可逆反応に係る容量が小さい材料であることが好ましく、充放電効率の高い材料であることが好ましい。

0078

正極活物質には、リチウムイオン等のキャリアイオンの挿入及び脱離が可能な材料を用いることができる。正極活物質としては、例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、スピネル型の結晶構造、NASICON型の結晶構造を有する材料等が挙げられる。

0079

例えば、正極活物質として、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を材料として用いることができる。

0080

オリビン型の結晶構造を有する材料としては、リチウム含有複合リン酸塩一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))が挙げられる。一般式LiMPO4の代表例としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFeaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCobPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigCohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等の化合物が挙げられる。

0081

例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)は、安全性、安定性、高容量密度高電位初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項バランスよく満たしているため、好ましい。

0082

正極活物質としてLiFePO4を用いることにより、過充電などの外部負荷に対しても安定で、安全性の高い蓄電装置を実現することができる。よって、例えば、持ち運びを行うモバイル機器、及び身体に身に着けるウェアラブル機器等に用いる蓄電装置として、特に優れている。

0083

層状岩塩型の結晶構造を有する材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、LiNi0.8Co0.2O2等のNiCo系(一般式は、LiNixCo1−xO2(0<x<1))、LiNi0.5Mn0.5O2等のNiMn系(一般式は、LiNixMn1−xO2(0<x<1))、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2等のNiMnCo系(NMCともいう。一般式は、LiNixMnyCo1−x−yO2(x>0、y>0、x+y<1))が挙げられる。さらに、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li2MnO3−LiMO2(MはCo、Ni又はMn)等も挙げられる。

0084

特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定であること、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。

0085

スピネル型の結晶構造を有する材料としては、例えば、LiMn2O4、Li1+xMn2−xO4(0<x<2)、LiMn2−xAlxO4(0<x<2)、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。

0086

LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有する材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2又はLiNi1−xMxO2(0<x<1)(M=Co、Al等))を混合すると、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点があり好ましい。

0087

または、正極活物質として、一般式Li(2−j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等のリチウム含有複合ケイ酸塩を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiO4の代表例としては、Li(2−j)FeSiO4、Li(2−j)NiSiO4、Li(2−j)CoSiO4、Li(2−j)MnSiO4、Li(2−j)FekNilSiO4、Li(2−j)FekColSiO4、Li(2−j)FekMnlSiO4、Li(2−j)NikColSiO4、Li(2−j)NikMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FemNinCoqSiO4、Li(2−j)FemNinMnqSiO4、Li(2−j)NimConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等の化合物が挙げられる。

0088

または、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるNASICON型化合物を用いることができる。NASICON型化合物としては、Fe2(MnO4)3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等が挙げられる。

0089

または、正極活物質として、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2等の金属カルコゲナイド硫化物セレン化物テルル化物)、LiMVO4(M=Mn、Co、Ni)等の逆スピネル型の結晶構造を有する材料、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。

0090

また、正極活物質として、上記材料を複数組み合わせた材料を用いてもよい。例えば、上記材料を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3O2とLi2MnO3の固溶体を正極活物質として用いることができる。

0091

なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンアルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物、リチウム含有複合リン酸塩、及びリチウム含有複合ケイ酸塩において、リチウムを、アルカリ金属(例えば、ナトリウムカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムストロンチウムバリウムベリリウム、マグネシウム等)などのキャリアで置換した化合物を用いてもよい。

0092

正極活物質の一次粒子平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。

0093

また、例えば正極活物質としてオリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合には、リチウムの拡散経路が一次元であるため、リチウム拡散が遅い。よって、オリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合、充放電の速度を高めるためには正極活物質の平均粒径は、例えば好ましくは5nm以上1μm以下とするとよい。または、正極活物質の比表面積は、例えば好ましくは10m2/g以上50m2/g以下とするとよい。

0094

オリビン構造を有する活物質では、例えば層状岩塩型の結晶構造を有する活物質などと比較して充放電に伴う構造変化がきわめて少なく、結晶構造が安定であるため、過充電などの動作に対しても安定であり、正極活物質として用いた場合に安全性の高い蓄電装置を実現することができる。

0095

負極活物質としては、例えば炭素系材料合金系材料等を用いることができる。

0096

炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズMCMB)、コークス人造黒鉛ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛、又は球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。また、黒鉛の形状としては鱗片状のもの又は球状のものなどがある。

0097

黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1V以上0.3V以下 vs.Li/Li+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。

0098

キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、In等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高いため、蓄電装置の容量を高めることができる。このような元素を用いた合金系材料(化合物系材料)としては、例えば、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等がある。

0099

また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO2、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム−黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることができる。ここで、SiOとは、珪素と酸素を有する化合物であり、珪素と酸素の原子数比を珪素:酸素=α:βとすると、αは、βの近傍の値を有することが好ましい。ここで近傍の値を有するとは、例えばαとβの差の絶対値は、βの値に対して好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。

0100

また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3−xMxN(MはCo、Ni又はCu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示し好ましい。

0101

リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができる。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。

0102

また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物が挙げられる。

0103

負極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。

0104

正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、導電助剤を有してもよい。

0105

導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。

0106

導電助剤により、電極中に電気伝導ネットワークを形成することができる。導電助剤により、負極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。

0107

導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバー又はカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末もしくは金属繊維、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。

0108

薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用いることにより、活物質間又は活物質−集電体間電気伝導率を高めることができる。

0109

なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のことをいう。

0110

グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。

0111

平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用いることが、特に好ましい。

0112

次に、本発明の一態様の電極の作製方法について説明する。

0113

まず、活物質と、導電助剤と、結着剤と、を混合する。これらの混合物に、所定の粘度になるまで溶媒を添加し、混練することで、電極合剤組成物を形成することができる。この工程において、混練と極性溶媒との添加を複数回繰り返し行ってもよい。電極合剤組成物は、スラリー状であっても、ペースト状であってもよい。なお、溶媒としては、例えば、水、又はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを用いることができる。安全性とコストの観点から、水を用いることが好ましい。

0114

例えば、結着剤としてベンゾオキサジンモノマーを用いる場合には、固形分比が40%以上60%以下であると好ましく、44%以上55%以下であると特に好ましい。これにより、集電体上に活物質層をムラなく形成することができる。

0115

以上の工程により、活物質、導電助剤、結着剤の分散状態が均一な電極合剤組成物を形成することができる。

0116

次に、スラリーを集電体の片面又は両面に、例えば、ドクターブレード法等の塗布法などにより設ける。

0117

次に、集電体上に設けたスラリーを、通風乾燥又は減圧真空)乾燥等の方法で乾燥させることにより活物質層を形成する。この乾燥は、例えば、50℃以上180℃以下の熱風を用いて行うとよい。このステップにより、活物質層中に含まれる極性溶媒を蒸発させる。なお、雰囲気は特に限定されない。

0118

ここで、この活物質層に、ロールプレス法又は平板プレス法等の圧縮方法により圧力を加えることで、活物質層の密度を高めてもよい。また、プレスを行う際に、90℃以上180℃以下、好ましくは120℃以下の熱を加えることにより、アンダーコート層又は活物質層に含まれる結着剤を、電極の特性を変化させない程度に軟化させることで、集電体と活物質層との密着性をさらに高めることができる。

0119

次に、活物質層を乾燥させる。乾燥は、減圧(真空)下又は還元雰囲気下にて行うとよい。この乾燥工程は、例えば、50℃以上300℃以下の温度で、1時間以上48時間以下で行うとよい。この乾燥によって、活物質層に存在する極性溶媒及び水分を除去する。

0120

さらに、活物質層が形成された集電体にプレスを行ってもよい。これにより、活物質層と集電体との密着性を高めることができる。また、活物質層の密度を高めることができる。また、プレスを行う際に、90℃以上180℃以下、好ましくは120℃以下の熱を加えることにより、アンダーコート層又は活物質層に含まれる結着剤を、電極の特性を変化させない程度に軟化させることで、集電体と活物質層との密着性をさらに高めることができる。

0121

最後に、所定のサイズに集電体及び活物質層を打ち抜くことにより、電極を作製することができる。

0122

以上のように、本実施の形態では、結着剤にポリベンゾオキサジンを用いて、電極を作製する。これにより、塩基性を示す活物質を用いた場合でも、活物質層の形成時に、結着剤がゲル化する又は凝集することを抑制できる。よって、活物質と結着剤とを含む混合物を均一に混練でき、活物質層を均一な厚さで形成することができる。

0123

また、電極の作製工程中に、高温で加熱することができるため、電極の特性を十分に高めることができ、充放電特性の良好な蓄電装置を実現できる。

0124

本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。

0125

(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電極に用いることができる活物質について図2図5を用いて説明する。

0126

なお、活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物質のみを指すが、本明細書等においては、本来の『活物質』を被覆する層(被覆層)も含む場合がある。

0127

本実施の形態では、活物質に用いることができる「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」と、その作製方法について説明する。

0128

リチウムマンガン複合酸化物は、塩基性が高い。ポリベンゾオキサジンは塩基性に強いため、活物質にリチウムマンガン複合酸化物を用いる場合の結着剤として好適である。

0129

また、本実施の形態で例示する活物質を用いた電極は、作製時に加熱処理を施すことで、放電容量を高めることができる。本発明の一態様では、耐熱性の高いポリベンゾオキサジンを結着剤として用いるため、加熱処理の温度を高くすることができる。したがって、放電容量が十分に高められた電極を作製することができる。

0130

例えば、リチウムマンガン複合酸化物は、組成式LiaMnbMcOdで表すことができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、又はシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、リン等の組成は、例えばICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばEDX(エネルギー分散X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、ICP−MS分析と併用して、不活性ガス融解法、XAFS(X線吸収微細構造分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、及びリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。また、リチウムマンガン複合酸化物は、層状岩塩型の結晶構造を有するものであることが好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物は、層状岩塩型の結晶構造及びスピネル型の結晶構造を有するものであってもよい。

0131

なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このようなリチウムマンガン複合酸化物とするために、例えば、組成式をLiaMnbNicOd(1.6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3)の範囲とすることが好ましい。例えば、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式で表されるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが好ましい。本明細書等において、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式で表されるリチウムマンガン複合酸化物とは、原料材料の量の割合(モル比)を、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表されるが、この組成からずれることもある。

0132

領域によって結晶構造、結晶方位、又は酸素含有量が異なるリチウムマンガン複合酸化物の粒子の断面図の例を図2(A)、(B)に示す。

0133

図2(A)、(B)に示すように、結晶構造、結晶方位、又は酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物は第1の領域131、第2の領域132、及び第3の領域133を有することが好ましい。

0134

図2(A)に示すように、第2の領域132は、第1の領域131に少なくとも一部が接する。第2の領域132は、第1の領域131の外側に位置する。また、第3の領域133は、第2の領域132に少なくとも一部が接する。第3の領域133は、第2の領域132の外側に位置する。ここで、外側とは、粒子の表面により近いことを示す。

0135

また、図2(B)に示すように、第1の領域131は、第2の領域132に覆われない領域を有してもよい。また、第2の領域132は、第3の領域133に覆われない領域を有してもよい。また、例えば第1の領域131に第3の領域133が接する領域を有してもよい。また、第1の領域131は、第2の領域132及び第3の領域133のいずれにも覆われない領域を有してもよい。

0136

第1の領域131及び第2の領域132は、リチウムと、酸素と、を有する。また、第1の領域131及び第2の領域132の少なくとも一方はマンガンを有する。また、第1の領域131及び第2の領域132の少なくとも一方は元素Mを有する。第1の領域131及び第2の領域132は、それぞれ、マンガンと、元素Mと、の両方を有することがより好ましい。

0137

ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外の金属元素、又はシリコン、リンであることが好ましく、Ni、Ga、Fe、Mo、In、Nb、Nd、Co、Sm、Mg、Al、Ti、Cu、又はZnから選ばれた金属元素、Si、又はPのいずれかであることがより好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。

0138

第2の領域132が層状の領域を有する場合に、その厚さは、例えば0.1nm以上50nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましく、2nm以上10nm以下であることがさらに好ましい。例えば、第2の領域132が有する、炭素を含む層の膜厚は、0.4nm以上40nm以下とすることが好ましい。

0139

第3の領域133は、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子の表面を含むことが好ましい。

0140

第3の領域133には、炭素又は金属化合物を用いることができる。ここで、金属としては例えばコバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マンガン、チタン、亜鉛、リチウム等が挙げられる。金属化合物の一例として、これらの金属との酸化物や、フッ化物などが挙げられる。

0141

第3の領域133は、上記の中でも、炭素を有することが特に好ましい。炭素は導電性が高いため、炭素で被覆された粒子を蓄電池の電極に用いることにより、例えば電極の抵抗を低くすることができる。また、第3の領域133が炭素を有することで、第3の領域と接する第2の領域を酸化することができる。また、第3の領域133はグラフェンを有してもよく、酸化グラフェンを有してもよく、還元された酸化グラフェンを有してもよい。グラフェン及び還元された酸化グラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度が高いという優れた物理特性を有する。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子を効率よく被覆することができる。

0142

第3の領域133が、グラフェンをはじめとする炭素を有することで、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料に用いた二次電池のサイクル特性を向上させることができる。

0143

また、第3の領域133が層状の領域を有する場合に、その厚さは、例えば0.1nm以上50nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましく、2nm以上10nm以下であることがさらに好ましい。例えば、第3の領域133が有する、炭素を含む層の膜厚は、0.4nm以上40nm以下とすることが好ましい。

0144

リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子を用いて蓄電装置を作製した場合、電池反応、例えば充電又は放電に対して、第3の領域133は第1の領域131及び第2の領域132と比較して、より安定であることが好ましい。

0145

また、リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、一次粒子の平均粒子径が、5nm以上50μm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。また比表面積が5m2/g以上15m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお平均粒子径は、SEM走査型電子顕微鏡)もしくはTEMによる観察、又はレーザ回折散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。また比表面積は、ガス吸着法により測定することができる。

0146

また、第2の領域132は、第1の領域131と異なる組成を有することが好ましい。

0147

例えば、第1の領域131と第2の領域132の組成を分けて測定し、第1の領域131及び第2の領域132がそれぞれ、リチウム、マンガン、元素M、及び酸素を有し、第1の領域131のリチウム、マンガン、元素M、及び酸素の原子数比はa1:b1:c1:d1で表され、第2の領域132のリチウム、マンガン、元素M、及び酸素の原子数比はa2:b2:c2:d2で表される場合について説明する。なお、第1の領域131と第2の領域132のそれぞれの組成は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)を用いたEDX(エネルギー分散型X線分析法)で測定することができる。EDXを用いた測定では、リチウムの組成の測定が困難な場合がある。そのため、以下では第1の領域と第2の領域の組成の違いは、リチウム以外の元素について述べる。ここで、d1/(b1+c1)は2.2以上が好ましく、2.3以上であることがより好ましく、2.35以上3以下であることがさらに好ましい。また、d2/(b2+c2)は2.2未満であることが好ましく、2.1未満であることがより好ましく、1.1以上1.9以下であることがさらに好ましい。またこの場合でも、第1の領域131と第2の領域132を含むリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の組成は、前述の0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。

0148

また、第2の領域132が有するマンガンは、第1の領域131が有するマンガンと価数が異なっていてもよい。また、第2の領域132が有する元素Mは、第1の領域131が有する元素Mと価数が異なっていてもよい。

0149

ここで、各領域の組成、又は元素の価数に空間的な分布がある場合には、例えば複数の箇所についてその組成又は価数を評価し、その平均値を算出し、該領域の組成又は価数としてもよい。

0150

また、第2の領域132と第1の領域131との間に、遷移層を有してもよい。ここで遷移層とは、例えば組成が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶構造が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶の格子定数が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。

0151

または、第2の領域132と第1の領域131との間に、混合層を有してもよい。ここで混合層とは、例えば異なる結晶方位を有する2以上の結晶が混合する領域である。または、混合層とは、例えば異なる結晶構造を有する2以上の結晶が混合する領域である。または、混合層とは、例えば異なる組成を有する2以上の結晶が混合する領域である。

0152

ここで、第2の領域132は、第1の領域131と異なる結晶構造を有してもよい。または、第2の領域132は、第1の領域131と異なる向きの結晶を有してもよい。

0153

第1の領域131は、層状岩塩型の結晶構造を有することが好ましい。また、第2の領域132は、スピネル型の結晶構造、又は層状岩塩型の結晶構造のいずれか一を少なくとも有することが好ましい。

0154

例えば、第2の領域132はスピネル型の結晶構造を有し、かつ第1の領域131は層状岩塩型の結晶構造を有することが好ましい。

0155

または、例えば、第1の領域131及び第2の領域132は層状岩塩型の結晶構造を有し、かつ、第1の領域131の有する第1の結晶の第1の面と、第2の領域132の有する第2の結晶の第2の面と、が平行であることが好ましい。

0156

ここで、第1の結晶が有する{0 0 1}面は、第2の結晶が有する{1 0 0}面、{1 3 −1}面、又は{−1 3 1}面の少なくともいずれか一と平行であることが好ましい。または、第1の結晶が有する{1 0 0}面は、第2の結晶が有する{0 0 1}面、{1 3 −1}面、又は{−1 3 1}面の少なくともいずれか一と平行であることが好ましい。または、第1の結晶が有する{1 3 −1}面は、第2の結晶が有する{0 0 1}面、{1 0 0}面、又は{−1 3 1}面の少なくともいずれか一と平行であることが好ましい。または、第1の結晶が有する{−1 3 1}面は、第2の結晶が有する{0 0 1}面、{1 0 0}面、又は{1 3 −1}面の少なくともいずれか一と平行であることが好ましい。

0157

また、例えば、第1の領域131及び第2の領域132は層状岩塩型の結晶構造を有し、かつ、第1の領域131の有する結晶の第1の方位と、第2の領域132の有する結晶の第2の方位と、が平行であることが好ましい。ここで、第1の領域131が有する結晶と、第2の領域132が有する結晶の、結晶方位について説明する。

0158

ここで、<1 0 0>、<1 1 0>、及び<−1 1 0>の3つの結晶方位を第1群とする。また、<0 0 1>、<0 1 1>、及び<0 1 −1>を第2群とする。また、<−3 2 3>、<3 1 6>、及び<6 −1 3>を第3群とする。また、<3 2 −3>、<3 −1 6>、及び<6 1 3>を第4群とする。

0159

第1の領域131が有する結晶は、第1群乃至第4群のうち一つの群から選ばれるいずれかの方位を有する。第2の領域132が有する結晶は、第1群乃至第4群のうち、第1の領域131が有する結晶とは異なる群から選ばれるいずれかの方位を有する。

0160

上記、組み合わせの一例を説明する。ここでは(001)面と(100)面について説明する。以下では結晶の対称性を考慮しない指数記載方法を取る。

0161

図3にLi2MnO3の結晶構造をb軸の負の方向からみた図を示す。ここで、図3に示す破線Aで囲んだ領域が有する層A−1及び層A−2を、層A−2側から、層A−1及び層A−2に垂直な方向から見た図を図4(A)に示す。ここで層A−1は酸素を有し、層A−2はリチウム及びマンガンを有する。

0162

また、図3に示す破線Bで囲んだ領域が有する層B−1及び層B−2を、層B−2側から層B−1と層B−2に垂直な方向から見た図を図4(B)に示す。

0163

図4(A)では、酸素原子の上に、リチウム又はマンガンが、[1 1 0]方向、[−1 0 0]方向、又は[1 −1 0]方向にずれて積層している。同様に図4(B)では、酸素が形成する六角形構造の上に、リチウム又はマンガンが、[0 −1 1]方向、[0 0 −1]方向、又は[0 1 1]方向にずれて積層している。また、図4(A)、(B)において、金属原子の位置(リチウム又はマンガンがある位置)は大よそ一致する。これらのことから、2つの構造は共通点が多く、積層する場合の整合性が良いと考えられる。

0164

以下では、図5を用いて、上記の粒子の作製方法例を説明する。本実施の形態では、まず、リチウムマンガン複合酸化物を合成する。その後、リチウムマンガン複合酸化物に被覆層を形成し、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を有する粒子を得る。

0165

[ステップS11:出発原料量]
はじめに、各出発原料を秤量する。

0166

リチウムマンガン複合酸化物の原料としては、マンガン化合物及びリチウム化合物を用いることができる。また、マンガン化合物及びリチウム化合物の原料と共に、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、及びリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物の原料を用いることができる。マンガン化合物としては、例えば、二酸化マンガン三二酸化マンガン四三酸化マンガン水和マンガン酸化物、炭酸マンガン硝酸マンガンなどを用いることができる。また、リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム炭酸リチウム硝酸リチウムなどを用いることができる。

0167

本実施の形態では、マンガン化合物であるMnCO3と、リチウム化合物であるLi2CO3と、NiOと、を出発原料として用いる。

0168

出発原料として、Li2CO3とMnCO3とNiOとを用いる場合、例えば、秤量の割合(モル比)をLi2CO3:MnCO3:NiO=1:0.7:0.3とすると、最終生成物であるリチウムマンガン複合酸化物として、Li2Mn0.7Ni0.3O3が作製されることとなる。この場合、リチウムマンガン複合酸化物の原子数比は、Li:(Mn+Ni)=2:1となる。

0169

本実施の形態では、リチウムマンガン複合酸化物の原子数比がLi:(Mn+Ni)=2:1からずれるように、出発原料の秤量の割合(モル比)を調整する。

0170

本実施の形態では、出発原料の秤量の割合(モル比)をLi2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318となるように秤量する。

0171

[ステップS12:出発原料の混合]
次に、Li2CO3、MnCO3、及びNiOを混合する。出発原料の混合方法については特に制限はなく、解砕機又は粉砕機等を用いることができる。例えば、ボールミルビーズミルジェットミルローラーミル等を用いることができる。また、混合の方式は、乾式でもよいし、湿式でもよい。湿式の際に用いることができる溶媒としても特に制限はなく、例えば、水、アルコールアセトンなどを用いることができる。

0172

出発原料の混合を湿式で行う場合には、混合後に、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、混合された出発原料に含まれる溶媒を蒸発させて、混合原料を得ることができる。加熱処理は、例えば50℃以上150℃以下で行えばよい。

0173

[ステップS13:焼成
次に、坩堝に混合原料を入れ、焼成を行う。焼成温度は、例えば、800℃以上1000℃以下とする。焼成時間は、例えば、5時間以上20時間以下とする。焼成ガス乾燥空気を用い、流量を10L/minとする。焼成雰囲気は、大気雰囲気としてもよいし、酸素ガスを用いた雰囲気としてもよい。混合原料を焼成することで、焼成物(リチウムマンガン複合酸化物)が形成される。

0174

[ステップS14:解砕処理
焼成によって合成されたリチウムマンガン複合酸化物は、複数の一次粒子が焼結して大きな二次粒子が形成された状態となっている。そこで、複数の一次粒子が焼結したリチウムマンガン複合酸化物に対して、解砕処理を行う。焼成物に解砕処理を行うことにより、焼成物を砕いて一次粒子にする、又は一次粒子に近い粉末にする。本明細書等において、解砕処理には、焼結物粉砕される操作も含む。なお、粉砕とは、一次粒子を砕く操作をいう。解砕処理は、出発原料の混合方法と同様に、解砕機又は粉砕機等を用いることができる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ローラーミル等を用いることができる。また、解砕・粉砕の方式は、乾式でもよいし、湿式でもよい。湿式の際に用いることができる溶媒としても特に制限はなく、例えば、水、アルコール、アセトンなどを用いることができる。

0175

ここで、解砕・粉砕を行った後の粒子の大きさについては、例えば粒子の比表面積を測定することにより評価することができる。粒子の比表面積を増加させることにより、該粒子を電極に用いた蓄電装置を作製する場合に、例えば粒子と電解液との接触面積を増やすことができる。電解液との接触面積を増やすことにより、蓄電装置の反応速度を高めることができ、例えば出力特性を向上させることができる。

0176

解砕処理を行うことにより、粒子の比表面積を増加させることができ、好ましい。「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」の比表面積は例えば、0.1m2/g以上が好ましい。また、粒子の比表面積が大きくなり過ぎると、該粒子を用いて作製する電極において、表面積に対して結着剤量不足する場合があり、強度が低下する場合がある。ここで結着剤量を増やすと、単位重量及び単位体積あたりの電極の容量が低下する場合がある。よって、「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」の比表面積は例えば、1m2/g以上50m2/g以下が好ましく、5m2/g以上30m2/g以下がより好ましい。

0177

本実施の形態では、一次粒子が焼結したリチウムマンガン複合酸化物の解砕処理を、ビーズミルを用いて、アセトンを用いた湿式法により行う。

0178

解砕処理を湿式で行う場合には、解砕処理後に、加熱処理を行う。加熱処理を行うことにより、溶媒を蒸発させることができる。加熱処理は、例えば50℃以上150℃以下で行えばよい。その後、真空乾燥を行うことにより、粉末状のリチウムマンガン複合酸化物を得る。

0179

[ステップS15:加熱処理]
次に、坩堝に解砕処理後のリチウムマンガン複合酸化物を入れ、300℃以上1000℃以下、好ましくは600℃以上900℃以下で加熱処理を行う。加熱時間は、例えば、5時間以上20時間以下とし、ガスに乾燥空気を用い、流量を10L/minとする。加熱雰囲気は、大気雰囲気としてもよいし、酸素ガスを用いた雰囲気としてもよい。

0180

以上の工程により、組成式LiaMnbMcOdで表されるリチウムマンガン複合酸化物を形成することができる。本実施の形態では、原料材料の秤量の割合(モル比)を、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより、組成式Li1.68Mn0.8062M0.318O3で表されるリチウムマンガン複合酸化物を形成することができる。

0181

また、解砕処理を行った後のリチウムマンガン複合酸化物は、解砕処理の衝撃により、結晶性乱れが生じる場合がある。また、リチウムマンガン複合酸化物に酸素欠損が生じる場合がある。よって、真空乾燥を行った後の粉末状のリチウムマンガン複合酸化物に、再度加熱処理を行うことが好ましい。

0182

解砕処理後のリチウムマンガン複合酸化物に加熱処理を行うことにより、酸素欠損を修復するとともに、解砕処理時の結晶性の乱れを回復させることができる。また、再度加熱処理を行った後の粉末状のリチウムマンガン複合酸化物に、再度、解砕処理を行ってもよい。

0183

本実施の形態に示すリチウムマンガン複合酸化物は、原子数比をLi:(Mn+Ni)=2:1からずれるように調整している。このため、原子数比がLi:(Mn+Ni)=2:1となるリチウムマンガン複合酸化物を電極に用いる場合と比較して、電圧が増加し、放電容量も増加する。

0184

以上の工程により、粒子状のリチウムマンガン複合酸化物を得ることができる。ここで、リチウムマンガン複合酸化物は、第1の領域及び第2の領域を有することが好ましい。

0185

次に、リチウムマンガン複合酸化物に被覆層を設ける。ここで、被覆層は、「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」の有する第3の領域と一致してもよいし、第3の領域と、リチウムマンガン複合酸化物の一部と、を有しても構わない。また、「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」の有する第2の領域は、例えば該被覆層の一部を有してもよい。第2の領域は、例えば、該被覆層の一部である、層状の領域を有していてもよい。

0186

本実施の形態では、被覆層として、炭素を含む層を設ける。炭素を含む層として、グラフェンを用いることが好ましい。

0187

本実施の形態では、炭素を含む層として、酸化グラフェン(Graphene Oxide;GOと略記する)を還元することによって得られたグラフェン(Reduced Graphene Oxide;RGOと略記する)を用いる。

0188

酸化グラフェンは、Hummers法、Modified Hummers法、又は黒鉛類の酸化等、種々の合成法を用いて作製することができる。

0189

例えば、Hummers法は、鱗片状グラファイト等のグラファイトを酸化して、酸化グラファイトを形成する手法である。形成された酸化グラファイトは、グラファイトがところどころ酸化されることでカルボニル基カルボキシル基ヒドロキシル基等の官能基が結合したものであり、グラファイトの結晶性が損なわれ、層間の距離が大きくなっている。このため超音波処理等により、容易に層間を分離して、酸化グラフェンを得ることができる。

0190

また、酸化グラフェンの一辺の長さ(フレークサイズともいう。)は50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下である。フレークサイズが大きいほど、リチウムマンガン複合酸化物の表面を覆いやすくなるため好ましい。

0191

まず、酸化グラフェンと水とを混練し、酸化グラフェンの分散溶液を作製する。このとき、酸化グラフェンは、0.5wt%以上5wt%以下とすることが好ましい。0.5wt%未満であると、リチウムマンガン複合酸化物の表面を覆うことが困難となる。また、5wt%を超えると、電極体積が嵩張り、電極重量が重くなってしまう。

0192

[ステップS16:酸化グラフェンとの混合]
次に、酸化グラフェンの分散溶液にリチウムマンガン複合酸化物を入れ、固練りを行う。なお、固練りとは、高粘度による混練をいう。固練りを行うことにより、リチウムマンガン複合酸化物の粉末の凝集をほどくことができ、酸化グラフェンとリチウムマンガン複合酸化物とを、より均一に分散させることができる。

0193

次に、酸化グラフェンとリチウムマンガン複合酸化物との混合物を乾燥し、その後、解砕することにより、酸化グラフェンが被覆されたリチウムマンガン複合酸化物を得る。例えば、乾燥は、ベルジャーを用いて減圧下で行い、解砕には乳鉢を用いることができる。

0194

[ステップS17:酸化グラフェンの還元]
次に、リチウムマンガン複合酸化物の表面に被覆された酸化グラフェンに還元処理を行う。酸化グラフェンの還元処理は、加熱処理によって行ってもよいし、還元剤を用いて溶媒中で反応させて行ってもよい。本実施の形態では、酸化グラフェンを、還元剤を用いて溶媒中で反応させる。

0195

なお、酸化グラフェンの還元は、電極作製中に行ってもよい。例えば、酸化グラフェンが被覆されたリチウムマンガン複合酸化物と、結着剤と、導電助剤と、を混合した後に酸化グラフェンを還元してもよい。または、該混合物を含む層を集電体上に形成した後に、酸化グラフェンを還元してもよい。本発明の一態様では、結着剤としてポリベンゾオキサジンを用いる。ポリベンゾオキサジンは耐熱性が高いため、酸化グラフェンを還元させるために高温で活物質層を加熱することができる。したがって、該混合物を加熱することで、酸化グラフェンを熱還元し、グラフェンを形成してもよい。また、該混合物に還元剤を混ぜることで、酸化グラフェンを化学還元し、グラフェンを形成してもよい。

0196

酸化グラフェンを、還元剤を用いて溶媒中で反応させることにより、リチウムマンガン複合酸化物の表面に被覆された酸化グラフェンは還元され、グラフェンが形成される。なお、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されず、一部の酸素は、グラフェンに残存していてもよい。グラフェンに酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPSで測定した場合にグラフェン全体の2atomic%以上20atomic%以下、好ましくは3atomic%以上15atomic%以下である。この還元処理は、室温以上150℃以下、好ましくは室温以上80℃以下の温度で行うことが好ましい。還元処理の際、加熱を行うことにより、還元反応を促進させることができる。また、酸化グラフェンの還元時間は、3分以上10時間以下とすることができる。

0197

還元剤としては、アスコルビン酸ヒドラジンジメチルヒドラジンヒドロキノン水素化硼素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンあるいはそれらの誘導体を用いることができる。例えば、アスコルビン酸及びヒドロキノンは、ヒドラジン又は水素化硼素ナトリウムに比べ還元力が弱いため安全性が高く、工業的に利用しやすい点において好ましい。

0198

溶媒には、極性溶媒を用いることができる。還元剤を溶解することができるものであれば、材料は限定されない。例えば、水、メタノールエタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミドDMF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシドDMSO)、エチレングリコールジエチレングリコールグリセリンのいずれか一種又は二種以上の混合液を用いることができる。

0199

還元剤及び溶媒を含む還元液としては、エタノール及びアスコルビン酸の混合液、又は水、アスコルビン酸及び水酸化リチウムの混合液を用いることができる。本実施の形態では、アスコルビン酸、水、及び水酸化リチウムを含む還元液を用いる場合について説明する。

0200

リチウムマンガン複合酸化物に被覆した酸化グラフェンを、還元液中で反応させることにより、酸化グラフェンは、アスコルビン酸によりプロトンが付加される。その後、H2Oが脱離することにより、酸化グラフェンが還元される。

0201

[ステップS18:粉末の回収
還元処理後、粉末の回収を行う。ここでは、還元液の濾過を行う。ここで得られる物質を、物質Aと呼ぶ。濾過には、吸引濾過等を用いることができる。または、遠心分離を用いて物質Aと、液体と、を分離してもよい。

0202

次に、得られた物質Aを洗浄する。洗浄は、例えば、還元液に含まれる溶媒として挙げた溶媒を用いて行うとよい。なお、還元液に含まれる溶媒と同一の溶媒としてもよいし、異なる溶媒を用いてもよい。

0203

次に、加熱を行う。この加熱処理は、例えば、50℃以上500℃未満、より好ましくは120℃以上400℃以下の温度で、1時間以上48時間以下で行うとよい。この加熱処理によって、極性溶媒又は水分を蒸発あるいは除去させる。当該加熱処理においても、酸化グラフェンの還元を促進させることができる。加熱処理は、減圧(真空)下、還元雰囲気下、又は大気圧下で行うことが好ましい。ガスとしては、空気、窒素、又はその他の不活性ガスを用いることができる。

0204

ここで、物質Aが粒子である場合、該粒子は例えば二次粒子を形成することが好ましい。物質Aが二次粒子を形成する場合の二次粒子の粒径は、その平均値が例えば好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは1μm以上20μm以下である。ここで粒径は、例えば粒度分布計を用いて測定される粒径を指す。または、物質Aが二次粒子を形成する場合に、その二次粒子の粒径を指してもよい。二次粒子の粒径は、前述の粒度分布計の他に、例えば顕微鏡による粒子の観察により算出することができる。また、粒径としては、例えばその断面の面積から円換算の直径を算出することができる。

0205

なお、物質Aを洗浄した後に、物質Aを溶媒に分散させた液を作製し、溶液にスプレードライ処理を行って、乾燥させてもよい。スプレードライ処理を行うことにより、物質Aが例えば二次粒子を形成して、粒径が変化する場合がある。

0206

また、スプレードライ処理後に、さらに加熱処理を行うことが好ましい。例えば、50℃以上500℃未満、より好ましくは120℃以上400℃以下の温度で、1時間以上48時間以下で行うとよい。この加熱処理によって、極性溶媒又は水分を蒸発あるいは除去させる。当該加熱処理においても、酸化グラフェンの還元を促進させることができる。加熱処理は、減圧(真空)下、還元雰囲気下、又は大気圧下で行うことが好ましい。ガスとしては、空気、窒素、又はその他の不活性ガスを用いることができる。

0207

以上の工程により、酸化グラフェンは還元され、リチウムマンガン複合酸化物の表面にグラフェンを形成することができる。これにより、リチウムマンガン複合酸化物の表面の少なくとも一部にグラフェンが設けられた粒子を形成することができる。

0208

グラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度が高いという優れた物理特性を有する。そのため、当該粒子を含む電極を電池に用いることにより、例えば当該電極の電気伝導性及び物理特性をより高めることができる。

0209

還元処理後に加熱処理を行うことにより、加熱処理を行う前と比較して得られるグラフェンの電気伝導度をより高めることができる場合がある。

0210

加熱処理は、電極作製前、電極作製工程中、及び電極作製後のどの時点でも行うことができる。

0211

還元処理後に加熱処理を行うことにより、「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」に、第1の領域乃至第3の領域が形成される場合がある。第1の領域乃至第3の領域は、加熱処理前に形成されてもよい。あるいは、加熱処理の過程において形成されてもよい。また、例えば、加熱処理前に形成されていた第1の領域乃至第3の領域の厚さ、組成、及び結晶構造等が、加熱処理の過程において変化してもよい。

0212

例えば、電極作製工程において、「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」と、結着剤と、を混合した後、加熱処理を行ってもよい。これにより、結着剤が有する元素と、該粒子が有する元素と、が反応する場合がある。

0213

例えば、結着剤にフッ素を有する化合物であるPVdFを用いる場合、PVdFが有するフッ素と、該粒子が有するリチウム、マンガン、及び元素Mのいずれか一以上と、が金属フッ化物を形成してもよい。または、被覆層に含まれる元素と、フッ素と、が結合を形成してもよい。ここで結合を有するとは、例えばXPS等を用いて分析することにより、観測できる結合状態を指す。または、結合を有するとは、例えば該結合を有する材料を有することを指す。例えば被覆層として炭素を含む層を用いる場合には、フッ素と炭素を含む化合物が形成されてもよい。

0214

また、本発明の一態様において、結着剤に含まれる元素は、電極を構成する他の材料(活物質、導電助剤、又は集電体等)が有する元素と結合を有していてもよい。

0215

結着剤が有する元素と、該粒子が有する元素(又は電極を構成する他の材料が有する元素)と、の結合を形成することにより、例えば、電極の強度をより高めることができる場合がある。または、あらかじめ結合を形成しておくことにより、例えば蓄電装置を作製した後、蓄電装置の充放電の際に、不可逆な反応を抑制できる場合がある。

0216

加熱処理の温度は、該粒子又は該電極を構成する材料の耐えうる温度以下とする。例えば、120℃以上、好ましくは160℃以上、さらに好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上とする。また、例えば、600℃以下、好ましくは500℃以下、さらに好ましくは400℃以下、より好ましくは300℃以下とする。

0217

また、加熱処理の雰囲気は、酸素、空気、窒素、希ガスなどのガスを用いることができる。また、大気圧下で加熱処理を行ってもよいし、減圧下でもよい。ここで、例えば酸素を有するガスを用いることにより、電極を構成する各材料、例えばリチウムマンガン複合酸化物を有する粒子と、結着剤と、の反応が促進される可能性がある。ここで結着剤との反応が促進される、とは、例えば結着剤が有する元素と、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子が有する元素と、の結合がXPSなどの分析によって観測されることを指す。また、窒素又は希ガスなどの不活性ガスを用いることにより、電極を構成する各材料、例えば集電体などの変質を抑制することができる場合がある。また、減圧下で加熱処理を行うことにより、電極を構成する各材料、例えば集電体などの変質を抑制することができる場合がある。

0218

以上に挙げた方法で「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」を作製することができる。

0219

「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」を用いて蓄電装置等を作製する場合、蓄電装置を作製するまでの各工程において第1の領域乃至第3の領域が形成されることがある。各領域は、それぞれ「リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子」の作製過程、及び蓄電池作製過程のいずれの過程において形成されていてもよい。例えば、第1の領域乃至第3の領域は、電極作製前、例えば粒子の合成後に形成されてもよい。あるいは、電極作製工程中に形成されてもよい。また、例えば粒子の合成後に形成された第1の領域乃至第3の領域の厚さ、組成、及び結晶構造等が、電極形成の過程において変化してもよい。また、第1の領域乃至第3の領域は、蓄電装置等を作製する各工程の加熱処理において、形成されてもよい。

0220

リチウムマンガン複合酸化物の作製工程において、ステップS14等に示す、一次粒子が焼結したリチウムマンガン複合酸化物の解砕処理工程は、電池の特性を左右する重要な工程である。解砕処理工程では、一次粒子が焼結したリチウムマンガン複合酸化物に、シェアすりつぶし応力)をかけることにより、粉末のリチウムマンガン複合酸化物を形成する。このとき、リチウムマンガン複合酸化物が層状岩塩型の結晶構造を有する場合には、層と平行となる面又は層と垂直となる面において、一次粒子が劈開して、割れてしまうことがある。一次粒子が劈開して割れてしまったものを、本明細書等では、劈開面を有する粒子、又は劈開面が露出した粒子と呼ぶ。なお、割れてしまった一次粒子には、劈開面を有さないものも含まれる。

0221

また、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物のように、劈開性を有する粒子を活物質として用いる場合には、解砕処理時だけでなく、電極作製工程において、電極に圧力を加えて成形する際に、活物質層に圧力がかかることにより、活物質がさらに割れてしまうことがある。

0222

また、捲回型の電池を製造する際には、電極の捲回時に大きな応力が作用する。また、電極の捲回体筐体収納した場合であっても、常に捲回軸の外側に向かう応力が作用するため、活物質がさらに割れてしまうおそれがある。

0223

このように、活物質であるリチウムマンガン複合酸化物の一次粒子が劈開して割れてしまうと、電池の放電容量の低下、又はサイクル特性の低下を招く原因となる。

0224

このような場合にも、リチウムマンガン複合酸化物の劈開面において、炭素を含む層を設けることが好ましい。また、炭素を含む層は、劈開面の全てを覆っていても良いし、劈開面を有するリチウムマンガン複合酸化物の全体を覆っていてもよい。ここで、劈開面とは、例えば、劈開により露出した面を含む。

0225

本発明の一態様において、リチウムマンガン複合酸化物を覆うように、グラフェンが形成される。グラフェンは、リチウムマンガン複合酸化物の表面の全体に設けられてもよく、一部のみに設けられてもよい。また、粒子において、露出した劈開面を覆うようにグラフェンが形成されることが好ましい。リチウムマンガン複合酸化物の劈開面の少なくとも一部にグラフェンが設けられる。劈開面の少なくとも一部にグラフェンが覆われた活物質を電極に用いることにより、電池の電圧の低下、又は放電容量の低下を抑制することができる。これにより、充放電に伴う電池のサイクル特性を向上させることができる。

0226

グラフェンは、柔軟性、及び機械的強度が高いという優れた物理特性を有する。そのため、当該活物質を含む電極を電池に用いることにより、電池が充放電を繰り返すことで、リチウムマンガン複合酸化物が膨張収縮したとしても、体積変化でリチウムマンガン複合酸化物がさらに劈開して割れてしまうことを防止することができる。

0227

また、電極作製工程において、電極に圧力を加えて成形する際に、リチウムマンガン複合酸化物にかかる圧力をグラフェンの機械的強度により緩和することができる。これにより、リチウムマンガン複合酸化物がさらに劈開して割れてしまうことを防止することができる。

0228

さらに、捲回型の電池において、電極の捲回時に大きな応力が作用した場合、又は電極の捲回体を筐体に収納した場合に、電極に常に捲回軸の外側に向かう応力がかかったとしても、リチウムマンガン複合酸化物がさらに劈開して割れてしまうことを防止することができる。

0229

以上のように、本実施の形態で説明した、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子を電極に用いる場合には、本発明の一態様のように、塩基性に強く、耐熱性の高いポリベンゾオキサジンを結着剤として好適に用いることができる。また、結着剤として、ポリベンゾオキサジン及びフッ素を有する化合物(PVdFなど)を用いることで、該粒子が有する原子と、フッ素との結合を形成してもよい。なお、該粒子が有する原子と、ポリベンゾオキサジンが有する原子との結合を形成してもよい。

0230

本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。

0231

(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の様々な形態について、図6図20を用いて説明する。なお、本発明の一態様の蓄電装置は、本実施の形態で例示する構成に限られず、様々な形状、形態を適用することができる。

0232

本実施の形態では、リチウムイオン二次電池を例に説明するが、本発明の一態様の蓄電装置はこれに限られない。

0233

本実施の形態の蓄電装置は、一対の電極(正極及び負極)を有し、一対の電極はそれぞれ活物質層と集電体とを有する。本実施の形態の蓄電装置は、正極活物質層又は負極活物質層の少なくとも一方に、結着剤としてポリベンゾオキサジンを有する。これにより、充放電特性に優れた蓄電装置とすることができる。例えば、正極活物質層に、ポリベンゾオキサジンが含まれることが好ましい。また、正極活物質層には、ベンゾオキサジン環を含む化合物が含まれていてもよい。また、正極活物質層には、ポリベンゾオキサジン以外にも、結着剤として機能する材料が含まれていてもよい。

0234

薄型の蓄電池]
図6(A)に、電池セル500を示す。図6(A)では、電池セル500の一例として、薄型の蓄電池の形態を示すが、本発明の一態様の蓄電装置はこれに限られない。

0235

図6(A)に示すように、電池セル500は、正極503、負極506、セパレータ507、及び外装体509を有する。電池セル500は、正極リード510及び負極リード511を有してもよい。

0236

図7(A)、(B)に、図6(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の一例をそれぞれ示す。図7(A)、(B)には、正極503と負極506を1組用いて作製した電池セル500の断面構造をそれぞれ示す。

0237

図7(A)、(B)に示すように、電池セル500は、正極503、負極506、セパレータ507、電解液508、及び外装体509を有する。セパレータ507は、正極503と負極506の間に挟まれている。外装体509内は、電解液508で満たされている。

0238

正極503は、正極活物質層502と、正極集電体501とを含む。負極506は、負極活物質層505と、負極集電体504とを含む。活物質層は、集電体の片面又は両面に形成することができる。セパレータ507は、正極集電体501と負極集電体504の間に位置する。

0239

電池セルは、正極及び負極をそれぞれ1つ以上有する。例えば、電池セルは、複数の正極及び複数の負極からなる積層構造とすることもできる。

0240

図8(A)に、図6(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の別の例を示す。また、図8(B)に図6(A)における一点鎖線B1−B2間の断面図を示す。

0241

図8(A)、(B)には、正極503と負極506を複数組用いて作製した電池セル500の断面構造を示す。電池セル500が有する電極層数に限定はない。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する蓄電装置とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電装置とすることができる。

0242

図8(A)、(B)では、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する正極503を2つと、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する正極503を2つと、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する負極506を3つ用いる例を示す。つまり、電池セル500は、6層の正極活物質層502と、6層の負極活物質層505を有する。なお、図8(A)、(B)では、セパレータ507が袋状の例を示すが、これに限定されず、セパレータ507は短冊状であっても、蛇腹状であってもよい。

0243

次に、図6(B)に、正極503の外観図を示す。正極503は、正極集電体501及び正極活物質層502を有する。

0244

また、図6(C)に、負極506の外観図を示す。負極506は、負極集電体504及び負極活物質層505を有する。

0245

ここで、正極503及び負極506は、積層される複数の正極同士又は複数の負極同士を電気的に接続するために、タブ領域を有することが好ましい。また、タブ領域には電極リードを電気的に接続することが好ましい。

0246

図6(B)に示すように、正極503は、タブ領域281を有することが好ましい。タブ領域281の一部は、正極リード510と溶接されることが好ましい。タブ領域281は正極集電体501が露出する領域を有することが好ましく、正極集電体501が露出する領域に正極リード510を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。また、図6(B)ではタブ領域281の全域において正極集電体501が露出している例を示すが、タブ領域281は、その一部に正極活物質層502を有してもよい。

0247

図6(C)に示すように、負極506は、タブ領域282を有することが好ましい。タブ領域282の一部は、負極リード511と溶接されることが好ましい。タブ領域282は負極集電体504が露出する領域を有することが好ましく、負極集電体504が露出する領域に負極リード511を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。また、図6(C)ではタブ領域282の全域において負極集電体504が露出している例を示すが、タブ領域282は、その一部に負極活物質層505を有してもよい。

0248

なお、図6(A)では、正極503と負極506の端部が概略揃っている例を示すが、正極503は、負極506の端部よりも外側に位置する部分を有していてもよい。

0249

電池セル500において、負極506の正極503と重ならない領域の面積は小さいほど好ましい。

0250

図7(A)では、負極506の端部が、正極503の内側に位置する例を示す。このような構成とすることにより、負極506を全て正極503と重ねる、又は負極506の正極503と重ならない領域の面積を小さくすることができる。

0251

または、電池セル500において、正極503と負極506の面積は概略同じであることが好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正極503と負極506の面積は、概略同じであることが好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正極活物質層502の面積と負極活物質層505の面積は概略同じであることが好ましい。

0252

例えば、図8(A)、(B)に示すように、正極503のセパレータ507側の面の面積と負極506のセパレータ507側の面の面積は概略同じであることが好ましい。正極503の負極506側の面の面積と負極506の正極503側の面の面積を概略同じとすることにより、負極506の正極503と重ならない領域を小さくする(あるいは理想的にはなくす)ことができ、電池セル500の不可逆容量を減少させることができるため好ましい。または、図8(A)、(B)に示すように、正極活物質層502のセパレータ507側の面の面積と負極活物質層505のセパレータ507側の面の面積は概略同じであることが好ましい。

0253

また、図8(A)、(B)に示すように、正極503の端部と負極506の端部は概略揃うことが好ましい。また、正極活物質層502と負極活物質層505の端部は概略揃うことが好ましい。

0254

また、図7(B)では、正極503の端部が、負極506の内側に位置する例を示す。このような構成とすることにより、正極503を全て負極506と重ねる、又は正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることができる。負極506の端部が正極503の端部よりも内側に位置すると、負極506の端部に電流が集中してしまう場合がある。例えば、負極506の一部に電流が集中することで、負極506上にリチウムが析出してしまうことがある。正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることで、負極506の一部に電流が集中することを抑制できる。これにより、例えば、負極506上へのリチウムの析出が抑制でき、好ましい。

0255

図6(A)に示すように、正極リード510は、正極503に電気的に接続することが好ましい。同様に、負極リード511は、負極506に電気的に接続することが好ましい。正極リード510及び負極リード511は外装体509の外側に露出し、外部との電気的接触を得る端子として機能する。

0256

または、正極集電体501及び負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割を兼ねることもできる。その場合は、電極リードを用いずに、正極集電体501及び負極集電体504の一部を外装体509から外側に露出するように配置してもよい。

0257

また、図6(A)では、正極リード510と負極リード511は、電池セル500の同じ辺に配置されているが、図9に示すように、正極リード510と負極リード511を電池セル500の異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様の蓄電装置は、電極リードを自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の蓄電装置を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電装置を用いた製品の生産性を高めることができる。

0258

次に、電池セル500の作製方法の一例を、図10図12を用いて説明する。

0259

まず、正極503、負極506、及びセパレータ507を積層する。具体的には、正極503の上にセパレータ507を配置する。その後、セパレータ507の上に負極506を配置する。正極と負極を2組以上用いる場合は、さらに負極506の上にセパレータ507を配置した後、正極503を配置する。このようにセパレータ507を正極503と負極506の間に挟みながら正極503と負極506を交互に積層する。

0260

あるいは、セパレータ507を袋状にしてもよい。セパレータ507で電極を包むことで、該電極が製造工程中に損傷しにくくなり、好ましい。

0261

まず、セパレータ507上に正極503を配置する。次いで、セパレータ507を図10(A)の破線で示した部分で折り、セパレータ507で正極503を挟む。なお、ここでは正極503をセパレータ507で挟む例について説明したが、負極506をセパレータ507で挟んでもよい。

0262

ここで、正極503の外側のセパレータ507の外周部分を接合して、セパレータ507を袋状(又はエンベロープ状)とすることが好ましい。セパレータ507の外周部分の接合は、接着剤などを用いて行ってもよいし、超音波溶接、又は加熱による融着により行ってもよい。

0263

本実施の形態では、セパレータ507としてポリプロピレンを用いて、セパレータ507の外周部分を加熱により接合する。図10(A)に接合部514を示す。このようにして、正極503をセパレータ507で覆うことができる。

0264

次に、図10(B)に示すように、負極506と、セパレータに覆われた正極503と、を交互に重ねる。また、封止層115を有する正極リード510及び負極リード511を準備する。

0265

次に、図11(A)に示すように、正極503のタブ領域281に、封止層115を有する正極リード510を接続する。図11(B)に接続部の拡大図を示す。接合部512に圧力を加えながら超音波照射して、正極503のタブ領域281及び正極リード510を電気的に接続する(超音波溶接)。このとき、タブ領域281に湾曲部513を設けるとよい。

0266

湾曲部513を設けることによって、電池セル500の作製後に外から力が加えられて生じる応力を緩和することができる。よって、電池セル500の信頼性を高めることができる。

0267

同様の方法を用いて、負極506のタブ領域282と、負極リード511と、を電気的に接続することができる。

0268

次に、外装体509上に、正極503、負極506、及びセパレータ507を配置する。

0269

次に、外装体509を、図11(C)の外装体509の中央付近に破線で示した部分で折り曲げる。

0270

図12に、外装体509の外周を熱圧着により接合した部位を、接合部118として示す。電解液508を入れるための導入口119以外の外装体509の外周部を、熱圧着により接合する。熱圧着の際、電極リードに設けられた封止層も溶けて電極リードと外装体509との間を固定することができる。また、外装体509と電極リードとの間の密着性を向上することができる。

0271

そして、減圧雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で所望の量の電解液508を導入口119から外装体509の内側に入れる。そして、最後に、導入口119を熱圧着により接合する。このようにして、薄型の蓄電池である電池セル500を作製することができる。

0272

電池セル500を作製した後には、エージングを行うことが好ましい。エージング条件の一例について以下に説明する。まず初めに0.001C以上0.2C以下のレートで充電を行う。温度は例えば室温以上50℃以下とする。このときに、電解液の分解が生じ、ガスが発生した場合には、そのガスがセル内にたまると、電解液が電極表面と接することができない領域が発生してしまう。つまり、電極の実効的な反応面積が減少し、実効的な電流密度が高くなることに相当する。

0273

過度に電流密度が高くなると、電極の抵抗に応じて電圧降下が生じ、黒鉛へのリチウムの挿入が起こると同時に、黒鉛表面にリチウムが析出してしまう。このリチウムの析出は容量の低下を招く場合がある。例えば、リチウムが析出した後、表面に被膜等が成長してしまうと、表面に析出したリチウムが再溶出できなくなり、容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。また、析出したリチウムが物理的に崩落し、電極との導通を失った場合にも、やはり容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。よって、電極の電位が電圧降下によりリチウム電位まで到達する前に、ガスを抜くことが好ましい。

0274

ガス抜きを行う場合には、例えば薄型の蓄電池の外装体の一部を切断し、開封する。ガスにより外装体が膨張している場合には、再度、外装体の形を整えることが好ましい。また、再封止の前に必要に応じて電解液を足してもよい。

0275

また、ガス抜きを行った後に、室温よりも高い温度、好ましくは30℃以上60℃以下、より好ましくは35℃以上50℃以下において、例えば1時間以上100時間以下の間、充電状態で保持してもよい。初めに行う充電の際に、表面で分解した電解液は被膜を形成する。よって、例えばガス抜き後に室温よりも高い温度で保持することにより、形成された被膜が緻密化する場合も考えられる。

0276

以下では、本発明の一態様の蓄電装置の構成要素について、詳述する。なお、本実施の形態にて示す各部材の材料から、可撓性を有する材料を選択して用いると、可撓性を有する蓄電装置を作製することができる。なお、本実施の形態で例示する各蓄電装置を構成する、正極及び負極に用いることができる材料については、実施の形態1、2を参照することができる。

0277

≪電解液≫
電解液508の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネートクロロエチレンカーボネートビニレンカーボネートVC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネートEMC)、ギ酸メチル酢酸メチル酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテルメチルジグライムアセトニトリルベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホランスルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。

0278

また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、蓄電装置の内部短絡、又は過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電装置の破裂又は発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。電解液に用いる有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン三級スルホニウムカチオン、及び四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオン、並びに、イミダゾリウムカチオン及びピリジニウムカチオン等の芳香族カチオンが挙げられる。また、電解液に用いるアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートパーフルオロアルキルボレートヘキサフルオロホスフェート、又はパーフルオロアルキルホスフェート等が挙げられる。

0279

また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。

0280

また、蓄電装置に用いる電解液は、粒状のごみ又は電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。

0281

また、電解液にビニレンカーボネート(VC)、プロパンスルトン(PS)、tert−ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOBなどの添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とする。

0282

また、ポリマーを電解液で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。

0283

ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマー、PVdF、ポリアクリロニトリル等、及びそれらを含む共重合体等を用いることができる。例えばPVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるPVdF−HFPを用いることができる。また、ポリマーは、多孔質形状を有してもよい。

0284

また、電解液に重合開始剤及び架橋剤を添加し、電解液をゲル化してもよい。例えば、イオン液体を構成するカチオン又はアニオンに重合性の官能基を導入し、重合開始剤を用いてそれらを重合することで、イオン液体自体を重合してもよい。そして、重合したイオン液体を架橋剤によりゲル化してもよい。

0285

また、電解液と組み合わせて、硫化物系又は酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質、又はPEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いてもよい。例えば、固体電解質を活物質層の表面に形成してもよい。また、固体電解質と電解液を組み合わせて用いる場合には、セパレータ及びスペーサのうち少なくとも一方の設置が不要となる場合がある。

0286

また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電装置の薄型化及び軽量化が可能である。例えば、ポリエチレンオキシド系、ポリアクリロニトリル系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリアクリレート系ポリメタクリレート系ポリマーを用いることができる。また、常温(例えば25℃)で電解液をゲル化できるポリマーを用いることが好ましい。または、シリコーンゲルなどを用いてもよい。なお本明細書等において、例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーとは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含むポリマーを意味し、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体等を含む。

0287

なおFT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)等を用いることで、上記のポリマーを定性分析することができる。例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C−F結合を示す吸収を有する。またポリアクリロニトリル系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C≡N結合を示す吸収を有する。

0288

≪セパレータ≫
セパレータ507には、紙、不織布、ガラス繊維セラミックス、あるいは、ナイロン(ポリアミド)、ビニロンポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステルアクリルポリオレフィンポリウレタンといった合成繊維等を用いることができる。セパレータ507は、単層構造であっても積層構造であってもよい。

0289

より具体的には、セパレータ507には、例えば、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリルポリビニルアセテートポリビニルピロリドンポリエチレンイミンポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子及びこれらの誘導体、セルロース、紙、不織布、ガラス繊維から選ばれる一種を単独で、又は二種以上を組み合せて用いることができる。

0290

≪外装体≫
外装体509は、電解液508と接する面、すなわち内側の面が電解液508と顕著な反応を生じないことが好ましい。また、電池セル500の外部から電池セル500内に水分が混入すると、電解液508の成分等と水との反応が生じる場合がある。よって外装体509は、水分の透過性が低いことが好ましい。

0291

外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートアイオノマー、ポリアミド等を用いた膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造フィルムを用いることができる。このような三層構造とすることで、電解液及び気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。外装体を内側に折り曲げて重ねて、又は、2つの外装体それぞれの内面を向かい合わせて重ねて熱を加えることにより、内面の材料が融け2つの外装体を融着することができ、封止構造を作製することができる。

0292

外装体が融着等され封止構造が形成されている箇所を封止部とすると、外装体を内側に折り曲げて重ねた場合は、折り目以外の個所に封止部が形成され、外装体の第1の領域と、該第1の領域と重なる第2の領域とが融着等された構造となる。また、2枚の外装体を重ねた場合は熱融着等の方法で外周全てに封止部が形成される。

0293

電池セル500は、可撓性を有する外装体509を用いることで、可撓性を有する構成とすることができる。可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装することができ、電子機器の変形に合わせて電池セル500も曲げることもできる。

0294

[捲回体を用いた蓄電池]
図13及び図14に、本発明の一態様の蓄電装置である、捲回体を用いた蓄電池の構成例を示す。

0295

図13(A)、(B)に示す捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。

0296

捲回体993は、セパレータ996を挟んで、負極994と正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止容器などで覆うことにより角型の蓄電池が作製される。

0297

なお、負極994、正極995、及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計することができる。端子997又は端子998の一方を介して、負極994が負極集電体(図示せず)に接続され、他方を介して正極995が正極集電体(図示せず)に接続される。

0298

ここで、負極994の正極995と重ならない領域の面積は、小さいほど好ましい。図13(B)は、負極994の幅1091が、正極995の幅1092よりも小さい例を示す。また、負極994の端部は、正極995の内側に位置する。このような構成とすることにより、負極994を全て正極995と重ねる、又は負極994の正極995と重ならない領域の面積を小さくすることができる。

0299

また、負極994の面積に対して、正極995の面積が大きすぎると、正極995の余剰部分が多くなり、例えば体積あたりの蓄電池の容量が小さくなってしまう。よって、例えば、負極994の端部が正極995の端部よりも内側に位置することが好ましい。また、正極995の端部と負極994の端部の距離は3mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。あるいは、正極995と負極994の幅の差は、6mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。または、幅1091と幅1092を概略同じ値とし、負極994の端部を正極995の端部と概略揃えることが好ましい。

0300

図14(B)に示す蓄電池980は、図14(A)に示すように、フィルム981と、凹部を有するフィルム982と、捲回体993と、を有する。蓄電池980は、外装体となるフィルム981及びフィルム982を、熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に捲回体993を収納したものである。捲回体993は、端子997及び端子998を有し、フィルム981とフィルム982との内部で電解液に含浸される。

0301

フィルム981とフィルム982には、それぞれ、例えば、アルミニウムなどの金属材料又は樹脂材料を用いることができる。フィルム981及びフィルム982の材料として樹脂材料を用いると、外部から力が加わったときにフィルム981とフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。

0302

図14(A)、(B)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。

0303

外装体又は封止容器に樹脂材料などを用いることで、蓄電装置全体に可撓性をもたせることができる。ただし、外装体又は封止容器に樹脂材料を用いる場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。

0304

図15(B)に示す蓄電池990は、図15(A)に示すように、外装体991と、外装体992と、捲回体993と、を有する。

0305

図15(B)に示す蓄電池990は、外装体991の内部に上述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、端子997及び端子998を有し、外装体991及び外装体992の内部で電解液に含浸される。外装体991及び外装体992には、それぞれ、例えばアルミニウムなどの金属材料又は樹脂材料を用いることができる。外装体991及び外装体992の材料として樹脂材料を用いると、外部から力が加わったときに外装体991及び外装体992を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。

0306

[円筒型蓄電池]
次に、捲回体を用いた蓄電池の一例として、円筒型の蓄電池を示す。

0307

図16(A)に示す円筒型の蓄電池600は、上面に正極キャップ電池蓋)601を有し、側面及び底面に電池缶外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット絶縁パッキン)610によって絶縁されている。

0308

図16(B)は、円筒型の蓄電池の断面模式図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と帯状の負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるアルミニウム、チタン等の金属、これらの合金、又はこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、アルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、絶縁板609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。

0309

円筒型の蓄電池に用いる正極及び負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子607は、共にアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底に、それぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。

0310

ここで、負極606の正極604と重ならない領域の面積は、小さいほど好ましい。例えば、負極606の端部が正極604の端部よりも内側に位置することが好ましい。また、正極604の端部と負極606の端部の距離は3mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。あるいは、正極604の幅1093と、負極606の幅1094の差は、6mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。または、幅1093と幅1094を概略同じ値とし、負極606の端部を正極604の端部と概略揃えることが好ましい。

0311

[コイン型蓄電池]
図17に、本発明の一態様の蓄電装置である、コイン型の蓄電池の一例を示す。図17(A)はコイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図17(B)、(C)は、その断面図の一例である。

0312

コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。

0313

正極304は、正極集電体305と正極活物質層306とを接して有する。負極307は、負極集電体308と負極活物質層309とを接して有する。なお、コイン型の蓄電池に用いる正極及び負極は、それぞれ片面のみに活物質層を有する。

0314

正極活物質層306は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤、正極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。負極活物質層309は、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるための結着剤、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。

0315

正極活物質層306と負極活物質層309との間には、セパレータ310と、電解質(図示せず)とを有する。

0316

ここで、正極304と負極307の形状及び面積は概略同じであることが好ましく、かつ、正極304の端部と負極307の端部が概略揃うことが好ましい。図17(B)は、正極304の端部と負極307の端部が揃う例を示す。

0317

または、負極307の面積は、正極304の面積よりも大きく、かつ、正極304の端部は負極307の端部よりも内側に位置することが好ましい。図17(C)は、正極304の端部が負極307の端部よりも内側に位置する例を示す。

0318

正極缶301及び負極缶302には、それぞれ、電解液に対して耐腐食性のあるアルミニウム、チタン等の金属、これらの合金、又はこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、アルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307と、それぞれ電気的に接続する。

0319

これら負極307、正極304及びセパレータ310を電解質に含浸させ、図17(B)、(C)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の蓄電池300を製造する。

0320

[蓄電システム]
次に、蓄電システムの構造例について、図18図20を用いて説明する。ここで蓄電システムとは、例えば、蓄電装置を搭載した機器を指す。本実施の形態で説明する蓄電システムは、本発明の一態様の蓄電装置を有する。

0321

図18(A)、(B)は、蓄電システムの外観図である。蓄電システムは、回路基板900と、蓄電池913と、を有する。蓄電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図18(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と、端子952と、アンテナ914と、アンテナ915と、を有する。

0322

回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子電源端子などとしてもよい。

0323

回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ開口面アンテナ進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。または、アンテナ914もしくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914もしくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界磁界だけでなく、電界電力のやり取りを行うこともできる。

0324

アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。

0325

蓄電システムは、アンテナ914及びアンテナ915と、蓄電池913との間に層916を有する。層916は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。

0326

なお、蓄電システムの構造は、図18に限定されない。以下に変形例を示す。なお、図18(A)、(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、上記の説明を適宜援用できる。

0327

例えば、図19(A−1)、(A−2)に示すように、図18(A)、(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図19(A−1)は、上記一対の面の一方の面側から見た外観図であり、図19(A−2)は、上記一対の面の他方の面側から見た外観図である。

0328

図19(A−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図19(A−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。

0329

上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きくすることができる。

0330

または、図19(B−1)、(B−2)に示すように、図18(A)、(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図19(B−1)は、上記一対の面の一方の面側から見た外観図であり、図19(B−2)は、上記一対の面の他方の面側から見た外観図である。

0331

図19(B−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914及びアンテナ915が設けられ、図19(A−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式としては、NFCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用することができる。

0332

または、図20(A)に示すように、図18(A)、(B)に示す蓄電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。

0333

表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー液晶表示装置エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。

0334

または、図20(B)に示すように、図18(A)、(B)に示す蓄電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。

0335

センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質音声時刻硬度電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度傾度振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。

0336

本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。

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