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技術 ゲル、乾燥ゲルおよびその製造方法

出願人 三星電子株式会社国立大学法人北海道大学
発明者 飯嶋一雄グン剣萍黒川孝幸羽根由貴子
出願日 2014年12月26日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2014-266081
公開日 2016年7月11日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-124955
状態 特許登録済
技術分野 高分子物質の処理方法 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 音響カプラー ささえ 圧縮破断 内部破壊 化粧用材料 本水溶液 三次元網目構造体 丈夫さ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年7月11日)のものです。
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図面 (6)

課題

機械的強度が高く、且つ表面の湿潤性を長く保つことができるゲルおよびその製造方法を提供する。

解決手段

本発明に係るゲル1は、溶媒3を保持する高分子三次元網目構造2を備え、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒3が能動的に滲み出て、表面が湿潤する溶媒滲み出し性を有し、前記溶媒における平衡膨潤時において、延伸仕事が、3000J/m3以上である。本発明のゲル1の製造方法は、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造2のゲルを調製する工程Aと、得られたゲルを、溶媒3の少なくとも一部が凝集するように凍結させる工程Bとを備え、主として工程Aにより、力学的エネルギーを加えた場合にも溶媒3を保持する溶媒保持小孔21を形成し、工程Bにより、力学的エネルギーを加えた場合に溶媒3を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔22を形成する。

概要

背景

高分子架橋して三次元網目構造体を形成する素材として、高分子ゲル素材がある。その応用範囲は幅広く、寒天ゼラチン等の食品関連から、コンタクトレンズ等の医療関連まで様々である。一般に、高分子ゲルはその不均一網目構造の為、機械的強度が大変低く産業への応用が限られているが、様々な機能を有する高分子ゲル素材が提案されている。例えば、特許文献1には機械的強度を高めたダブルネットワーク(Double Network)ゲル素材が、非特許文献1には疎水性ナノドメインナノ相分離した微細構造由来する物理的ネットワークおよびシンナモイル基の架橋を利用した化学的ネットワークからなるハイブリッドハイドロゲルが提案されている。

また、非特許文献2においては、−15〜−20℃の温度で多孔性ハイドロゲルビーズを作製することにより、ピストン圧迫した際に水が放出され、負荷解除および水を加えることにより、サンプルが元の形状に回復するゲルが開示されている。また、非特許文献3においては、−196℃に冷却し、その後に所望の温度に加温し、且つ重合禁止剤としてハイドロキノン反応溶液に含ませて重合したハイドロゲルが開示されている。更に、非特許文献4には、クリオゲルを用いたクロマトグラフィーが開示されている。

概要

機械的強度が高く、且つ表面の湿潤性を長く保つことができるゲルおよびその製造方法を提供する。本発明に係るゲル1は、溶媒3を保持する高分子の三次元網目構造2を備え、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒3が能動的に滲み出て、表面が湿潤する溶媒滲み出し性を有し、前記溶媒における平衡膨潤時において、延伸仕事が、3000J/m3以上である。本発明のゲル1の製造方法は、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造2のゲルを調製する工程Aと、得られたゲルを、溶媒3の少なくとも一部が凝集するように凍結させる工程Bとを備え、主として工程Aにより、力学的エネルギーを加えた場合にも溶媒3を保持する溶媒保持小孔21を形成し、工程Bにより、力学的エネルギーを加えた場合に溶媒3を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔22を形成する。

目的

本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、機械的強度が高く、且つ表面の湿潤性を長く保つことができるゲルおよびその製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

溶媒を保持する高分子三次元網目構造を備え、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒が能動的に滲み出て、表面が湿潤する溶媒滲み出し性を有し、前記溶媒における平衡膨潤時において、延伸仕事が3000J/m3以上であるゲル

請求項2

前記三次元網目構造は、前記力学的エネルギーを加えた場合に、前記溶媒を能動的に滲み出す内包する溶媒滲み出し性孔と、前記溶媒を保持する溶媒保持小孔とが形成されている請求項1に記載のゲル。

請求項3

ハイドロゲルである請求項1又は2に記載のゲル。

請求項4

前記力学的エネルギーが、圧縮力および超音波照射の少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル。

請求項5

前記三次元網目構造は、ベースとなる網目構造に、他の高分子鎖が絡み付いている、複数の網目構造からなる相互侵入網目構造である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲル。

請求項6

溶媒と、前記溶媒を保持する高分子の三次元網目構造とを備え、前記三次元網目構造内または三次元網目構造間で水素結合を形成することが可能な官能基を含むゲルを調製する工程Aと、前記ゲルを、前記溶媒の少なくとも一部が凝集するように凍結させる工程Bとを備え、主として前記工程Aにより、力学的エネルギーを加えた場合にも前記溶媒を保持する溶媒保持小孔を形成し、前記工程Bにより、前記力学的エネルギーを加えた場合に前記溶媒を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔を形成するゲルの製造方法。

請求項7

第一モノマー成分から重合架橋反応により第一の網目構造を得る工程αと、前記第一の網目構造と相互に絡み合い、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造を構築するために、前記第一の網目構造と、前記溶媒と、第二モノマー成分を含むゲルから第二の網目構造を得る工程βとを備え、前記工程βは、前記溶媒の少なくとも一部を結晶化させた状態で行い、前記工程αおよび前記工程βにより、力学的エネルギーを加えた場合にも前記溶媒を保持する溶媒保持小孔を形成し、前記工程βにより、力学的エネルギーを加えた場合に前記溶媒を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔を形成するゲルの製造方法。

請求項8

前記溶媒として水を含み、前記工程βにおいて、氷結晶を形成する請求項6又は7に記載のゲルの製造方法。

請求項9

前記力学的エネルギーが、圧縮力および超音波照射の少なくともいずれかである請求項6〜8のいずれか1項に記載のゲルの製造方法。

請求項10

前記三次元網目構造は、ベースとなる網目構造に、他の高分子鎖が絡み付いている、複数の網目構造からなる相互侵入網目構造である請求項6〜9のいずれか1項に記載のゲルの製造方法。

請求項11

溶媒不含もしくはゲルに含ませることができる最大の溶媒含有量100質量%に対して、80質量%以下の溶媒を含み、前記溶媒を充分に含ませることにより、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゲルが得られる乾燥ゲル

技術分野

0001

本発明は、溶媒を保持する高分子三次元網目構造を有するゲル乾燥ゲル、およびゲルの製造方法に関する。

背景技術

0002

高分子が架橋して三次元網目構造体を形成する素材として、高分子ゲル素材がある。その応用範囲は幅広く、寒天ゼラチン等の食品関連から、コンタクトレンズ等の医療関連まで様々である。一般に、高分子ゲルはその不均一網目構造の為、機械的強度が大変低く産業への応用が限られているが、様々な機能を有する高分子ゲル素材が提案されている。例えば、特許文献1には機械的強度を高めたダブルネットワーク(Double Network)ゲル素材が、非特許文献1には疎水性ナノドメインナノ相分離した微細構造由来する物理的ネットワークおよびシンナモイル基の架橋を利用した化学的ネットワークからなるハイブリッドハイドロゲルが提案されている。

0003

また、非特許文献2においては、−15〜−20℃の温度で多孔性ハイドロゲルビーズを作製することにより、ピストン圧迫した際に水が放出され、負荷解除および水を加えることにより、サンプルが元の形状に回復するゲルが開示されている。また、非特許文献3においては、−196℃に冷却し、その後に所望の温度に加温し、且つ重合禁止剤としてハイドロキノン反応溶液に含ませて重合したハイドロゲルが開示されている。更に、非特許文献4には、クリオゲルを用いたクロマトグラフィーが開示されている。

0004

国際公開第2003/093337号

先行技術

0005

Weiss, R.A. et al.; Polymer 2013, 54, 2174-2182
Okay, O. et al.; Reactive & Functional Polymers 2009, 69, 273-280.
Okay, O. et al.; Macromol. Sci., Part A., 2007, 44, 1195-1202.
Srivastava, A. et al.; Nature Protocols 2010, 5, 1737-1747.

発明が解決しようとする課題

0006

高分子ゲル素材は、内部に水等の溶媒を高い割合で閉じ込めることができるという利点があるが、その表面に関しては、空気中に放置するとやがて湿潤状態ではなくなり、乾燥状態になってしまうという欠点がある。乾燥状態になると、高分子ゲル表面の湿潤性が悪くなるため、高分子ゲル素材の応用が限定されてしまう。機械的強度が高く、更に表面の湿潤性を長く保つことができるゲルを提供できれば、ゲルの応用できる分野が格段に増える。

0007

本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、機械的強度が高く、且つ表面の湿潤性を長く保つことができるゲルおよびその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]溶媒を保持する高分子の三次元網目構造を備え、
力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒が能動的に滲み出て、表面が湿潤する溶媒滲み出し性を有し、
前記溶媒における平衡膨潤時において、延伸仕事が、3000J/m3以上であるゲル。
本願発明に係るゲルによれば、ゲル表面が乾燥しても力学的エネルギーを加えることにより表面の湿潤性を回復できるので、表面が乾燥することにより応用が限定されていた分野をはじめ、新たな用途への応用展開も期待できる。また、新たに溶媒を加えたり、ゲルを溶媒に浸漬してゲル内に溶媒を注入する工程を排除するものではないが、ゲル利用時にゲル自身に内包されている溶媒を能動的に滲み出させることができるので、利用しやすさが格段に向上し、様々な用途への応用展開が期待できる。また、機械的強度が強いので、湿潤性が求められている用途全般に好適に利用できる。また、機械的強度が強いことから、ゲルを機械等に設置して利用する用途や、ゲルに摩擦や力が加わる用途等にも好適である。
[2] 前記三次元網目構造は、前記力学的エネルギーを加えた場合に、前記溶媒を能動的に滲み出す内包する溶媒滲み出し性孔と、前記溶媒を保持する溶媒保持小孔とが形成されている[1]に記載のゲル。
当該構成により、溶媒滲み出し性と溶媒保持性両立させることができるという優れた効果を奏する。
[3]ハイドロゲルである[1]又は[2]に記載のゲル。
ハイドロゲルとすることにより、簡便且つ安価に、且つ様々な用途に応用展開できる。また、応用可能な高分子鎖多岐にわたるので、目的に応じたゲルを提供しやすいというメリットを有する。
[4] 前記力学的エネルギーが、圧縮力および超音波照射の少なくともいずれかである[1]〜[3]のいずれかに記載のゲル。
力学的エネルギーとして、上記手段を用いることにより、簡便に表面の湿潤性を回復させることができる。
[5] 前記三次元網目構造は、ベースとなる網目構造に、他の高分子鎖が絡み付いている、複数の網目構造からなる相互侵入網目構造である[1]〜[4]のいずれかに記載のゲル。
当該構成により、ベースとなる網目構造をしなやかに他の網目構造が支え力学的特性の優れたゲルが得られる。

0009

[6]溶媒と、前記溶媒を保持する高分子の三次元網目構造とを備え、前記三次元網目構造内または三次元網目構造間で水素結合を形成することが可能な官能基を含むゲルを調製する工程Aと、前記ゲルを、前記溶媒の少なくとも一部が凝集するように凍結させる工程Bとを備える。主として前記工程Aにより、力学的エネルギーを加えた場合にも前記溶媒を保持する溶媒保持小孔を形成し、前記工程Bにより、前記力学的エネルギーを加えた場合に前記溶媒を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔を形成するゲルの製造方法。
[7] 第一モノマー成分から重合・架橋反応により第一の網目構造を得る工程αと、前記第一の網目構造と相互に絡み合い、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造を構築するために、第一の網目構造と、前記溶媒と、第二モノマー成分を含むゲルから第二の網目構造を得る工程βとを備える。前記工程βは、前記溶媒の少なくとも一部を結晶化させた状態で行い、前記工程αおよび前記工程βにより、力学的エネルギーを加えた場合にも前記溶媒を保持する溶媒保持小孔を形成し、前記工程βにより、力学的エネルギーを加えた場合に前記溶媒を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔を形成するゲルの製造方法。
上記[6]および[7]に係る製造方法によれば、容易に表面の湿潤性を回復できる。
[8] 前記溶媒として水を含み、前記工程βにおいて、氷結晶を形成する[6]又は[7]に記載のゲルの製造方法。
上記[8]に係る製造方法によれば、容易にハイドロゲルを製造できる。
[9] 前記力学的エネルギーが、圧縮力および超音波照射の少なくともいずれかである[6]〜[8]のいずれかに記載のゲルの製造方法。
[10] 前記三次元網目構造は、ベースとなる網目構造に、他の高分子鎖が絡み付いている、複数の網目構造からなる相互侵入網目構造である[6]〜[9]のいずれかに記載のゲルの製造方法。

0010

[11]溶媒不含もしくはゲルに含ませることができる最大の溶媒含有量100質量%に対して、80質量%以下の溶媒を含み、前記溶媒を充分に含ませることにより、[1]〜[5]のいずれかに記載のゲルが得られる乾燥ゲル。
本明細書において、乾燥ゲルとは、上記において特定したように、(i)溶媒不含または(ii)ゲルに含ませることができる最大の溶媒含有量100質量%に対して、80質量%以下の溶媒を含むゲルをいう。本願発明に係る乾燥ゲルによれば、使用直前まで上記(i)または(ii)の状態にしておくことができるので、保管輸送に好適である。本発明のゲルによれば、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒が能動的に滲み出て表面を湿潤させることができるので、例えば、医療現場において、実際に使用する前に薬剤含有の溶媒をゲルに含ませ、患部に貼り付ける用途に好適である。また、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒を能動的に滲み出した結果、滲み出し可能な溶媒がいずれ枯渇することになるが、新たに溶媒を追加することにより、ゲルに溶媒を吸収させ、再生利用することができる。なお、溶媒不含とは、実質的に溶媒を含んでいないゲルであればよく、不可避的に含まれる溶媒は考慮しない。

発明の効果

0011

本発明によれば、機械的強度が高く、且つ表面の湿潤性を長く保つことができるゲルおよびその製造方法を提供することができるという優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

0012

本実施形態に係るゲルの模式的斜視図である。
図1のII−II切断部の三次元網目構造のみを図示した部分拡大端面図である。
図1のIII−III切断部断面図における溶媒と三次元網目構造の配置の一例を模式的に示す説明図である。
従来例に係るゲルのIII−III切断部断面図に相当する位置における溶媒と三次元網目構造の配置の一例を模式的に示す説明図である。
実施例2に係るゲルをキムタオル上に載置したときの、水の滲み出し性を示す写真

実施例

0013

以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、これに限定されるものではない。

0014

本発明のゲルは、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造を備える。三次元網目構造とは、高分子鎖が高度に分岐し、三次元方向に網目状のネットワークを形成したものを指す。三次元網目構造は、例えば、重合性モノマーの中で重合性官能基を複数有する架橋剤を用いて重合させることにより得られる。また、高分子の官能基と架橋剤を反応させたり、光照射により側鎖に導入された光反応部位を架橋させたりすることにより網目構造を得ることができる。

0015

高分子の三次元網目構造は、単一ポリマーからなる網目構造、2種以上のポリマーが互いに侵入して絡みあった網目構造を例示できる。複数のポリマーが相互侵入した網目構造を用いる場合には、それぞれの高分子鎖が網目構造であることは必須では無く、全体として網目構造が構築できていればよい。また、高分子鎖間で互いに架橋構造を有していてもよい。強靭なゲルを提供する観点からは、ベースとなる網目構造に、他の高分子鎖が絡み付いている、複数の網目構造からなる相互侵入網目構造が好ましい。ゲル強度および製造工程の簡便化の観点からは、ダブルネットワーク型ゲルがより好ましい。

0016

ダブルネットワーク型ゲルとしては、特許文献1に開示した構成が例示できる。また、ゲルの基本骨格を構成する架橋性第1ポリマーを、網目の極めて疎な部分である空洞部の散在する剛直な網目構造により形成し、一方で、ランダムコイル形態をとる非架橋性の第2ポリマーを、この空洞部に集中的に存在させ、柔軟性を保ちつつ、その末端部で第1ポリマーの網目構造に物理的に絡み付かせた形態が挙げられる。ここで「物理的に絡み付いている」とは、二つ以上の非連続的な線状の物体共有結合等により結合した状態にはないが、空間的な位置を束縛され得る位置関係を取っている箇所が少なくとも1つ存在し、且つ前記双方またはいずれか一方が物理的に破壊または変形されなければ、ほどけない状態をいう。

0017

本発明のゲルに保持する溶媒は、三次元網目構造に含浸され、保持可能なものであれば特に限定されず、単一または複数種の溶媒を用いることができる。例えば、水、エタノールイソプロピルアルコール、3−メトキシ3−メチル−1−ブタノール等のアルコール類プロピレングリコールエチレングリコール等のグリコール類エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類等の親水性溶媒ジメチルスルホキシドテトラヒドロフランシクロヘキサン等が挙げられる。

0018

溶媒には、任意の物質を溶解または分散させることができる。例えば、ヒアルロン酸等の化粧成分や、界面活性剤、薬剤等を任意に添加した溶媒も好適に用いられる。取扱い容易性・安全性の観点から、溶媒として水を用いたハイドロゲルが好ましい。また、水に少量のアルコール等の親水性溶媒を添加したものも好適である。溶媒のうちの20体積%以上が水の場合には、本願明細書においては「ハイドロゲル」の分類に含めるものとする。

0019

本発明のゲルは、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒が能動的に滲み出て表面が湿潤する溶媒滲み出し性を有する。ここで力学的エネルギーとは、例えば、引張力、圧縮力、ねじり力、曲げ力および剪断力等の機械的応力が挙げられる。また、超音波衝撃波等が例示できる。更に、紙等と接触させることにより生じる毛細管現象を利用したゲルに対する表面張力でもよい。用途により好適な例は変動し得るが、簡便性等の観点から、圧縮力および超音波照射の少なくともいずれかとすることが好ましい。なお、本発明でいう力学的エネルギーの程度は、三次元網目構造が変形するのは問題ないが、三次元網目構造が崩壊するものは含まない。

0020

また、内包されている溶媒とは、ゲル中に含まれている溶媒のことをいい、表面のみならずゲル内部に内包されている溶媒も含む意味である。更に、「溶媒滲み出し性」とは、力学的エネルギーを加えることに呼応して表面が湿潤するものをいう。本発明のゲルは、力学的エネルギーを加えることにより高分子の三次元網目構造が崩壊せずに、且つ外部から溶媒を追加することなくゲル表面の湿潤を与えることができるものをいう。即ち、力学的エネルギーを加えることにより、ゲルの網目を構成する高分子に拘束されない溶媒をゲル表面に補うことができる。なお、外部から溶媒を加えることを排除するものではない。

0021

ゲルの形状は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、シート状、板状でもよく、また、用途に応じて球状としたり直方体としたり、ビーズ状としたりすることができる。また、任意の形状を組み合わせて用いたり、複数のゲルを重ねて用いたりしてもよい。丈夫さの観点からは、ゲルの厚みが1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがより好ましい。

0022

図1に、本実施形態に係るゲルの一例を示す模式的斜視図を、図2に、図1のII−II切断部の三次元網目構造のみを取り出した部分拡大端面図の一例を示す。ゲル1は、シート状の形態を成す。シート状の厚みは特に限定されないが、丈夫さの観点からは1mm以上であることが好ましい。ゲル1の内部は、図2に示すように、高分子の三次元網目構造2を有する。三次元網目構造2には、サイズの小さい孔である溶媒保持小孔21と、サイズの大きい孔である溶媒滲み出し性孔22を少なくとも有する。溶媒保持小孔21と溶媒滲み出し性孔22のサイズや比率は、加える力学的エネルギーの程度等を考慮して設計すればよい。平衡膨潤させた初期ゲルにおいて、溶媒保持小孔21と溶媒滲み出し性孔22に、溶媒が含有せしめられている。

0023

本実施形態に係るゲル(初期ゲル)における平衡膨潤時の延伸仕事(破壊靱性)は、3000J/m3以上とする。材料が破壊に至るまでに与えるエネルギーを3000J/m3以上とすることにより、靱性が高く、耐久性の高いゲルを提供でき、力学的エネルギーを加えた時にゲルが崩壊しない範囲を充分に広くとることができる。また、表面の湿潤性が要求される用途に加え、摩擦を伴う用途や摺動性が必要とされる用途にも好適に適用できる。延伸仕事は、4000J/m3以上がより好ましく、5000J/m3以上が特に好ましい。なお、本願明細書において、この破壊靱性の値は、後述する実施例において測定したときに得られる値をいう。

0024

靱性を高くするためには、全体が破断する前にエネルギーを散逸する機構(犠牲結合)を有することが効果的である。犠牲結合には例えば共有結合、イオン結合、水素結合、錯体疎水性相互作用ファンデルワールス力を用いることができる。犠牲結合を得る方法としては、前述のダブルネットワーク構造を有する二重網目ゲルが好適である。ダブルネットワーク構造を取ることにより、全体が破断する前の変形時に、一方の網目が効果的に内部破壊することにより、破断に必要なエネルギーを大きく増大させることができる。

0025

図3に、図1のIII−III切断部断面図における、溶媒と三次元網目構造の配置を模式的に図示した説明図を示す。溶媒3は、図3に示すように、溶媒保持小孔21と溶媒滲み出し性孔22に含有されている。溶媒保持小孔21は、外部から力学的エネルギーが加わった際にも、内包されている溶媒3をゲル1内に保持する役割を担い、溶媒滲み出し性孔22は、外部から力学的エネルギーが加わった際に、内包されている溶媒をゲル表面に滲み出させる役割を担う。溶媒滲み出し性孔22の形状やサイズにより、力学的エネルギーに対する溶媒滲み出し性速度や量が変動し得るので、サイズや形状の異なる溶媒滲み出し性孔22をゲル内に複数配置し、ゲル内に残存している溶媒量に応じて、適切な滲み出し量が得られるようにしてもよい。

0026

溶媒保持小孔21と溶媒滲み出し性孔22の形状を保持する観点から、三次元網目構造は、形状が記憶され、構造が維持されていることが好ましい。これにより、溶媒保持小孔21と溶媒滲み出し性孔22の構造をより強固にし、強靭なゲルを提供できる。三次元網目構造の形状を記憶させる方法としては、重合工程により形状を構築する方法、得られたゲルを凍結乾燥工程等により多孔サイズを変更し、水素結合により形状を記憶する方法が例示できる。特に溶媒として水を用いる場合には、三次元網目構造の水素結合により三次元網目構造自身が強固に保持できることに加えて、溶媒保持小孔21の溶媒保持性をより高めることができる。このため、溶媒保持小孔21と溶媒滲み出し性孔22のそれぞれの機能をより効果的に高めることができるというメリットもある。

0027

図4に、従来例に係るゲルについての、図1中のIII−III切断部に相当する位置で切断した場合の、溶媒と三次元網目構造の配置を示す模式的説明図を示す。従来例においては、図4に示すように、溶媒保持小孔21に対応する小孔が多数設けられ、これによって溶媒103がゲル101内に保持されていた。従来例に係るゲル101は、高分子鎖が非常に複雑に絡み合った三次元網目構造102を有し、溶媒分子が容易に動けない状態となっているため、内部に水等の溶媒を高い割合で閉じ込めることができるものである。しかしながら、ゲルの表面に関しては、経時的に乾燥して湿潤性が悪くなっていくという問題があった。従来のゲルにおいては、圧縮力を加えてもゲル表面に溶媒が滲み出ることはほとんどない。仮に一部の溶媒が滲み出たとしても、溶媒分子の拡散速度が極低速であり、しかも極少量しか滲み出さないので、ゲルを崩壊させない範囲の力で表面に湿潤性(ウエット性)を与えることはできなかった。

0028

一方、本実施形態のゲルは、ゲル1に圧縮力を加えると、溶媒滲み出し性孔22からゲル表面に能動的に溶媒が滲み出し、表面に湿潤性が与えられる。本発明のゲルによれば、力学的エネルギーを与えることにより、溶媒滲み出し性孔22に内包されている溶媒の一部が表面に滲み出す。溶媒の滲み出し性を与えられる条件の力学的エネルギーを与えることにより、繰り返し、表面に湿潤性を与えることができる。

0029

繰り返しの使用により、溶媒滲み出し性孔22内に内包されている溶媒がやがて枯渇することになるが、三次元網目構造を有し、溶媒保持小孔21も有していることから、ゲルとしての機能を維持することができる。溶媒滲み出し性孔22のサイズ・比率や、力学的エネルギーの強度等を調整することにより表面の湿潤性の寿命を長く持たせることが可能となる。

0030

ゲル1は、ディスポーザブル用途として用いてもよいが、溶媒を再度ゲルに含ませて再生させることができる。

0031

圧縮力の最適な大きさは、三次元網目構造が崩壊せずに、且つ表面に湿潤性が得られる範囲にすればよい。ゲルの構成によるが、単位時間当たりの流束の観点から、溶媒保持小孔21の孔径は、500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。溶媒保持小孔21の孔径の下限は、溶媒を保持できるサイズであれば特に限定されない。

0032

また、溶媒滲み出し性孔22は、無刺激時の溶媒保持の観点から、孔径が3mm以下であることが好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。また、単位時間当たりの流束の観点から、溶媒保持小孔21の孔径は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがより好ましい。

0033

本発明のゲルは、好適には、含溶媒量が10%以上(より好適には50%以上、更に好適には85%以上)である。このように、ゲルに多量の溶媒を存在させることにより、しなやか性および物質の透過性が向上するので、ドラックデリバリーシステムDDS)や徐放性が要求される用途にも有用である。なお、含溶媒量の上限値は特に限定されないが、ゲルの機械強度維持等の理由から、通常は99.9%以下、好適には99%以下、より好適には95%以下である。また、本発明のゲルは、好適には、収縮度が20〜95%(更に好適には60〜95%、最も好適には70〜95%)である。

0034

ゲルの圧縮破断応力の最適な範囲は用途により変動し得るが、好適には1〜100MPaであり、より好適には5〜50MPaであり、最も好適には10〜40MPaである。更に、このゲルの引張破断応力の最適な範囲は用途により変動し得るが、好適には0.1〜100MPaであり、更に好適には0.1〜50MPaであり、最も好適には0.5〜5MPaである。

0035

溶媒滲み出し性は、溶媒滲み出し性孔22の空隙サイズが大きい程、また、溶媒滲み出し性孔22の数が多い程高まるので、用途により求められる溶媒滲み出し性を考慮してゲルを作製すればよい。

0036

本発明の乾燥ゲルは、溶媒不含もしくはゲルに含ませることができる最大の溶媒含有量100質量%に対して、80質量%以下の溶媒を含むものであり、更に、溶媒を充分に含ませることにより、前述のゲルが得られるものである。本発明のゲルは、使用する前に溶媒を含ませることが可能であるので、保管や輸送に好適である。また、本発明のゲルは、新たに溶媒を追加することにより、ゲルに溶媒を吸収させることができるので、再生利用することができる。

0037

次に、本発明に係るゲルの製造方法の一例について説明する。但し、本発明のゲルの製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。

0038

[製造方法1]
まず、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造のゲルを調製する(工程A)。得られたゲルを、前記溶媒分子が分散された状態で凝集するように凍結させる(工程B)。主として工程Aにより、力学的エネルギーを加えた場合にも溶媒を保持する溶媒保持小孔21を形成する。また、工程Bにより、力学的エネルギーを加えた場合に溶媒を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔を形成する。

0039

工程Aは、従来公知のゲルの作製方法により製造することができる。ここでは、相互侵入型の三次元網目構造を有するハイドロゲルを例に取り説明する。

0040

まず、10モル%以上が、電荷を有する不飽和モノマーである第一モノマー成分を重合し架橋する。具体的には、第一モノマー成分に、必要に応じて架橋剤を加え、更に重合開始剤等の添加剤を加えて重合反応を行う。これにより第一の網目構造を形成する。次いで、60モル%以上が、電気的に中性である不飽和モノマーである第二モノマー成分に重合開始剤等の添加剤を加え、更に、必要に応じて架橋剤を加えた溶液を調製する。そして、この溶液に第一の網目構造を有するゲルをこの溶液に浸漬し、充分な時間をおいて第二モノマー成分、開始剤等をゲル内に充分に拡散させる。次いで、溶液からゲルを取り出し、ゲル中の第二モノマー成分を重合させる。これらの工程を経て、第一の網目構造中に第二の網目構造が形成された二重網目構造のハイドロゲルが得られる(図1参照)。二重網目構造とすることにより、第一の網目構造を、第二の網目構造がしなやかにささえ、ゲル強度を高めることができる。同様の工程により、更に三重構造以上のハイドロゲルを作製してもよい。

0041

ここで、第二モノマー成分を重合に加えて架橋も行う場合には、第一モノマー成分を重合して架橋する場合よりも架橋度を小さく設定することが好ましい。架橋度は、架橋剤の量を調整することにより容易に調整できる。好適には、第一の網目構造の架橋度が0.1〜50mol%であり、第二の網目構造の架橋度が0.001〜20mol%となるように、より好適には、第一の網目構造の架橋度が1〜20mol%であり、第二の網目構造の架橋度が0.01〜5mol%となるように、最も好適には、第一の網目構造の架橋度が2〜10mol%であり、第二の網目構造の架橋度が0.05〜1mol%となるようにする。特に、ゲルの含溶媒量を大きくしたり(即ち、膨潤度を大きくする)場合には両方の架橋度を下げることが好ましく、弾性率を大きくするためには、両方の架橋度を上げることが好ましい。

0042

ゲルは、ベースとなる第一の網目構造に、第二の網目構造がゲル全体において均一に絡み付いている複数の網目構造が形成されているゲルでもよいし、ベースとなる第一の網目構造に、直鎖状ポリマーがゲル全体において均一に絡み付いている複数の網目構造が形成されているゲルでもよい。また、ハイドロゲル中の第一モノマー成分量:第二モノマー成分量は、機械強度等の特性を付与する観点から、モル比で1:2〜1:100(好適には1:3〜1:50、より好適には1:3〜1:30)とすることが好ましい。

0043

ここで、電荷を有する不飽和モノマーとしては、好適には、酸性基(例えば、カルボキシル基リン酸基及びスルホン酸基を)や塩基性基(例えば、アミノ基)有する不飽和モノマーを、例えば、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸アクリル酸メタクリル酸又はそれらの塩を挙げることができる。また、電気的に中性である不飽和モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドビニルピリジンスチレンメチルメタクリレートフッ素含有不飽和モノマー(例えば、トリフルオロエチルアクリレート)、ヒドロキシエチルアクリレート又は酢酸ビニルを挙げることができる。第一モノマー成分中の電荷を有する不飽和モノマーの量は、第一モノマー成分に対し10モル%以上であり、好適には100モル%である。また、第二モノマー成分中の電荷を有しない不飽和モノマーの量は、第二モノマー成分に対し10モル%以上であり、好適には100モル%である。

0044

水素結合は、プロトンアクセプターとなる単量体プロトンドナーとなる単量体との共重合体を重合してポリマーを得ることにより容易に得ることができる。プロトンアクセプターとなる単量体としては、2−ウレイドエチルメタクリレート、2−ウレイドメチル(メタ)クリレートが例示できる。また、プロトンドナーとなる単量体としては、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマーが例示できる。

0045

なお、ゲル中におけるモノマー量は、各々の網目構造が1種類のモノマーより構成されている場合には、元素分析により決定する。また、2種以上の場合は、元素分析では複雑になり決定できない場合がある。このような場合は、例えば、製造の際に使用したモノマー量から、重合しなかったモノマー量を引くことにより求められる。

0046

第一モノマー成分は、電荷を有する不飽和モノマーを10モル%以上含むことが好ましい。例えば、第二モノマー成分として必須的に用いられる、電気的に中性である不飽和モノマーを用いてもよい。また、第二モノマー成分に関しては、電気的に中性である不飽和モノマーを60モル%以上含む限り特に限定されず、例えば、第一モノマー成分として必須的に用いられる、電荷を有する不飽和モノマーを用いてもよい。例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド(AAm)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)等を挙げることができる。更には、ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナンキチンアルギン酸などの多糖類やゼラチン、コラーゲンなどのタンパク質でもよい。

0047

また、機械強度を改善する観点から、原料である有機モノマーとして、水不溶性モノマー水溶性モノマーの両方を用いることが好適である。この際、水不溶性モノマーを、第一の網目構造のためにのみ用いても、第二の網目構造又は直鎖状ポリマーのためにのみ用いても、両方のために用いてもよい。また、水不溶性モノマーと水溶性モノマーの比が、9.9:0.1〜0.1:9.9とすることが好適である。特に、第一の網目構造において、水溶性モノマー:水不溶性モノマー=0:100〜1:99、また、第二の網目構造又は直鎖状ポリマーにおいて、水溶性モノマー:水不溶性モノマー=0:100〜10:90と設定することがより好適である。更に、第一の網目構造において、水溶性モノマー:水不溶性モノマー=0:100〜1:99、また、第二の網目構造において、水溶性モノマー:水不溶性モノマー=0:100〜5:95が更に好適である。なお、ゲルの含水量を減少させるためには、疎水性モノマー含有量を増加させればよい。

0048

水不溶性モノマーとしては、例えば、フッ素含有モノマー、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、フッ化ビニリデン等を挙げることができる。

0049

更に、原料である有機モノマーとして、金属イオンと錯体を形成し得る基を有するモノマーを用い、且つその金属イオンをゲル中に導入することにより、ゲル中に錯体を形成させることも好適である。一般に、ゲル中の錯形成の割合、即ち金属導入率を高くすると、含溶媒量を小さくし、且つ機械強度を大きくすることができる。この際、金属イオンと錯体を形成し得る基を有するモノマーを、第一の網目構造のためにのみ用いても、第二の網目構造(相互侵入網目構造ハイドロゲル)又は直鎖状ポリマー(セミ相互侵入網目構造ハイドロゲル)のためにのみ用いても、両方のために用いてもよい。好適な態様は、第一の網目構造において、金属イオンと錯体を形成させたものである。また、金属含有量は、0.03〜1mol/Lが好適であり、0.01〜0.3mol/Lがより好適である。また、好適には、錯体を形成し得る基を有するモノマーの含有量は、第一の網目構造を構成する全モノマー量に対して、10〜100mol%、更に好適には30〜100mol%である。

0050

更に、金属イオンと錯体を形成し得る基を有するモノマーの比は、好適には1:1〜1:1000であり、更に好適には1:10〜1:100である。金属イオンとしては、錯体を形成し得る金属イオンであれば特に限定されず、例えば、亜鉛イオン鉄イオンニッケルイオンコバルトイオンクロムイオン等を挙げることができる。また、金属イオンと錯体を形成し得る基とは、選択した金属イオンと錯体を形成し得る基を指し、例えば、金属イオンとして、亜鉛、鉄、ニッケルコバルトクロム等の多価金属を選択した場合、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を挙げることができる。また、金属イオンと錯体を形成し得る基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸スチレンスルホン酸ビニルリン酸を挙げることができる。

0051

重合開始剤は特に限定されず、重合すべき有機モノマーに対応して種々のものが選択される。例えば、有機モノマーとしてAMPS、AAm、AAを熱重合する場合には、過硫酸カリウムなどの水溶性熱触媒、過硫酸カリウム−チオ硫酸ナトリウムなどのレドックス開始剤を用いることができ、光重合する場合には、光増感剤として2−オキソグルタル酸を用いることができる。また、有機モノマーとしてStを熱重合する場合には、アゾビスイソブチロニトリルAIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)などの有機溶媒溶解性の熱触媒を用いることができ、光重合する場合には、光増感剤としてベンゾフェノンを使用することができる。

0052

また、架橋剤も特に限定されず、架橋重合すべき有機モノマーに対応して種々のものが選択される。例えば、有機モノマーとしてAMPS、AAm、AAを用いた場合には、N,N′−メチレンビスアクリルアミドを、有機モノマーとしてStを用いた場合には、エチレングリコールジメタクリレートをそれぞれ使用することができる。また、第一の網目構造を有するゲルを浸漬する溶液の溶媒に関しては、前記溶液に浸漬されるゲルへの悪影響を防止し、且つ二重網目構造や直鎖状ポリマーを、第一の網目構造の網目に良好に絡みつける観点から、この溶液の溶媒が、第一の網目構造を有するゲル中の溶媒と同じであることが好適である。なお、最終的にゲル中に含まれる溶媒に関しては、製造段階からその溶媒を使っても、或いは、製造後に溶媒交換を行ってもよい。なお、ゲル中に金属イオンを導入した態様に関しては、得られた相互侵入網目構造ハイドロゲルを真空乾燥させた後にこの金属塩溶液に浸漬することにより行う。この操作によれば、ネットワーク間の距離を極力近づけることにより、効率よく金属イオンと錯体を形成することができる。

0053

第一の網目構造を有するゲルに拡散した第二モノマー成分の重合反応は、冷却、加熱または/および紫外線等の活性光線照射する方法等により行うことができる。この重合反応は、前記ゲルの第一の網目構造を壊さない条件下でなされる。架橋反応は、所定濃度の架橋剤、反応開始剤を第二モノマー成分と一緒に溶媒中に混合し、第一の網目構造を有するゲルに拡散させる。具体的には、第一の網目構造を有するゲルを、架橋剤を含有する第二モノマー溶液に浸漬し、例えば、24時間低温下で拡散させる。なお、拡散途中で架橋してしまうことを避けるために、室温以下、例えば4℃付近が好ましい。

0054

工程Bは、ゲルに含浸された溶媒の少なくとも一部を凝集するように凍結させる。滲み出し性を付与したい用途に応じて、溶媒滲み出し性孔22と溶媒保持小孔21の比率・溶媒滲み出し性孔22のサイズを設計すればよい。時間および凍結温度を調整することにより、これらを調整できる。溶媒滲み出し性孔22のサイズを大きくしたい場合には、凍結温度を低くする、または/および凍結時間を長く設定すればよい。工程Bにより、図3に示すような溶媒滲み出し性孔22を形成できる。溶媒滲み出し性孔22のサイズは、均一である必要は無く不均一であってもよい。

0055

ハイドロゲルの場合には、氷結晶化させる観点から0℃以下で行う。凝固点降下の観点からは、−5℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましい。また、凍結時間は、氷結晶成長の観点から1分以上が好ましく、より大きな結晶成長の効果を得るためには5分以上がより好ましい。また、重合反応進行の観点から、120分以下とすることが好ましい。更に、凍結プロセスを行う時のハイドロゲルは、ゲル全体に均一な温度となるように、厚みを0.1〜10mmとすることが好ましい。

0056

溶媒滲み出し性を制御するために、厚み方向に溶媒滲み出し性孔のサイズが異なるように設計してもよい。例えば、表面滲み出し性を付与したい主面側に凍結条件を満たす部材を接近させ、当該主面側に溶媒滲み出し性孔22が相対的に多くなるように設計してもよい。また、溶媒滲み出し性を緩やかにしたい場合には、表面滲み出し性を付与したい主面側から厚み方向に離間するにつれて、溶媒滲み出し性孔22のサイズが大きくなるように設計することもできる。

0057

製造方法1によれば、ゲルを作製後に凍結して溶媒滲み出し性孔を製造するので、製造工程が簡便であるというメリットがある。また、凍結後の溶媒滲み出し性孔は、水素結合により保持させることが好ましく、水素結合により、解凍後ミクロ構造をより効果的に維持できる。

0058

[製造方法2]
次に、上記とは異なる製造方法の一例について説明する。製造方法2においては、まず、第一モノマー成分から重合・架橋反応により第一の網目構造を得る(工程α)。次いで、得られた第一の網目構造と相互に絡み合い、溶媒を保持する高分子の三次元網目構造を構築するために、第一の網目構造と、溶媒と、第二モノマー成分を含むゲルから第二の網目構造を得る(工程β)。溶媒として水を用いた場合について説明する。

0059

工程βは、溶媒の少なくとも一部を結晶化させた状態で行う。工程αおよび工程βにより、力学的エネルギーを加えた場合にも前記溶媒を保持する溶媒保持小孔を形成し、工程βにより、力学的エネルギーを加えた場合に前記溶媒を能動的に滲み出す溶媒滲み出し性孔を形成する。ここでは、相互侵入型の三次元網目構造を有するハイドロゲルを例に取り説明する。

0060

工程αは、製造方法1と同様の工程を経て第一の網目構造を得ることができる。例えば、電荷を有する不飽和モノマー、電気的に中性である不飽和モノマー、必要に応じて架橋剤を加え、更にUVラジカル重合開始剤等の添加剤を加えた水溶液を用意し、これに紫外光を照射することにより第1の網目構造を得る。

0061

次いで、第二モノマー成分を含む充分な量の水溶液に、工程αで得られたゲルを投入し、膨潤させる。膨潤したゲルを浸漬液ごと冷却する。冷却温度は、溶媒である水の結晶が得られる温度とする。そして、ラジカル発生剤を主面に塗布した2枚のガラスを用意し、充分に冷却した後に、一対のガラスに前述の膨潤したゲルを挟持して、氷結晶が形成されている温度で重合し、第二の網目構造を得る。重合時間は、第二モノマー成分が充分に重合できる時間とする。溶媒が凍結する条件で重合させることにより、溶媒が凍った部分にゲルが形成されない。即ち、凍らなかったまわりの部分にゲルが形成される。このため、多孔質のゲルが得られる。モノマーが濃縮された領域は凍らない条件で重合させる。即ち、溶媒の結晶があるところに溶媒滲み出し性を有する孔を形成されたスポンジのようなゲルが形成される。重合後、ゲルを室温にて解凍し、純水に投入し、複数回純水にて洗浄することにより未反応の原料等を取り除く。これらの工程を経て、ハイドロゲルが得られる。

0062

好適なモノマー成分としては、製造方法1において説明したモノマーを例示できる。第二モノマー成分を重合に加えて架橋も行う場合には、第一モノマー成分を重合して架橋する場合よりも架橋度を小さく設定することが好ましい。架橋度の好ましい範囲は、製造方法1において述べたとおりである。また、第一モノマー成分量:第二モノマー成分量は、機械的強度等を付与する観点から、製造方法1で述べた範囲とすることが好ましい。第一モノマー成分は、電荷を有する不飽和モノマーを10モル%以上含むことが好ましい。

0063

また、機械強度を改善する観点から、原料である有機モノマーとして、水不溶性モノマーと水溶性モノマーの両方を用いることが好適である。この際、水不溶性モノマーを、第一の網目構造のためにのみ用いても、第二の網目構造又は直鎖状ポリマーのためにのみ用いても、両方のために用いてもよい。好適な比率は、製造方法1と同様である。また、製造方法2においても金属イオンと錯体を形成し得る基を有するモノマーを用いて、金属イオンと取り込むようにしてもよい。また、重合開始剤、架橋剤は、製造方法1で挙げた化合物を例示できる。

0064

ハイドロゲルの場合には、工程βにおいて、氷結晶化させる観点から0℃以下で行う。凝固点降下の観点からは、−5℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましい。ゲルが割れないようにするために、−50℃以上の条件で凍結および重合させることが好ましい。また、凍結時間は、氷結晶成長の観点から1分以上が好ましく、より大きな結晶成長の効果を得るためには5分以上がより好ましい。また、重合反応進行の観点から、120分以下とすることが好ましい。更に、凍結プロセスを行う時のハイドロゲルは、ゲル全体に均一な温度となるように、厚みを50mm以下とすることが好ましい。

0065

特に第二モノマー成分の化合物の種類や量、架橋剤の量を制御することにより、溶媒滲み出し性を制御することができる。製造方法2によれば、凍結条件にて重合させることにより、溶媒を意図的に凝集させ、溶媒滲み出し性孔を容易に製造できる。また、凍結条件でモノマーが重合されるため、解凍後もミクロ構造が維持できる。

0066

次に、乾燥ゲルの製造方法について説明する。乾燥ゲルは、製造方法1または製造方法2等の方法により得られたゲルに対し、風乾加熱乾燥、凍結乾燥など蒸発による乾燥または、含有溶媒と相溶性を有し、且つゲルにとって貧溶媒に浸漬することにより脱溶媒する方法がある。また、合成時に溶媒を用いない塊重合により乾燥ゲルを調製することもできる。

0067

本発明に係るゲルによれば、力学的エネルギーを加えることにより、内包されている溶媒が能動的に滲み出て、表面が湿潤する溶媒滲み出し性を有するので、表面が乾燥することにより応用が限定されていた分野をはじめ、新たな用途への応用展開が期待できる。例えば、冷却ジェルシート、皮膚への薬剤塗布湿布等の医療用材料フェイスマスク等の化粧用材料細胞培養培地音響カプラーゲル(例えば超音波診断プローブに装着する用途)等に好適である。また、力学的強度が高いものを用いれば、耐擦り性が必要な用途にも応用可能であり、摺動部材として好適である。

0068

[実施例]
(破壊力強さの測定)
靱性は延伸仕事を測定することによって評価できる。延伸仕事は引張試験器(オリエンテック社製、RTC−1150A)により試験片を延伸破断させた際の応力−歪曲線の描く面積から求められる。延伸仕事の計測は、材料を使用時の溶媒で平衡膨潤させた状態で行う。試験片の形状はダンベル状が望ましく、最も短い辺が少なくとも細孔の直径の10倍の大きさが好ましい。本明細書においては、試験片の形状としてダンベル状JISK−6151−7号片を用いた。

0069

(実施例1)
アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム10.4g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、オキソグルタル酸0.007gを純水で溶解し、50mLメスフラスコを用いて50mL水溶液とした。これを8cm×8cm×2mmのガラス製の型に注入し、アルゴン雰囲気下で紫外光を8時間照射し、第一の網目構造を有するゲルを合成した。

0070

得られたゲルを4分割し、アクリルアミド71.1g、メチレンビスアクリルアミド0.15g、オキソグルタル酸0.15gを含む500mLの水溶液に投入したところ、本水溶液を吸収し、ゲルは体積10倍程度に膨潤した。これを2枚のガラス板で挟み、アルゴン雰囲気下で紫外光を8時間照射し、第二の網目構造を合成した。次いで、合成後、純水で平衡膨潤したゲルを−50℃冷凍庫に入れ、溶媒の一部を凝固させた。その後、ゲルを冷凍庫から取り出し、解凍後純水に投入し、実施例1に係るゲルを得た。

0071

(実施例2)
アクリルアミド1.4g、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム6.9g、メチレンビスアクリルアミド0.08g、オキソグルタル酸0.005gを純水で溶解し、50mLメスフラスコを用いて50mL水溶液とした。これを8cm×8cm×2mmのガラス製の型に注入し、アルゴン雰囲気下で紫外光を8時間照射し、第一の網目構造を有するゲルを合成した。

0072

得られたゲルを6分割し、アクリルアミド35.5g、メチレンビスアクリルアミド0.008g、過硫酸アンモニウム0.73gを含む500mLの水溶液に投入したところ、本水溶液を吸収し、ゲルは体積10倍程度に膨潤した。

0073

次いで、膨潤したゲルを浸漬液ごと−5℃に冷却した。テトラメチルエチレンジアミン0.15mL/枚を塗布して−20℃に冷却したガラスを12枚用意した。ゲル、ガラス共に所定の温度になったところで、テトラメチルエチレンジアミン塗布面がゲルに接するようにガラスで挟み、−50℃冷凍庫に入れ、一昼夜静置することにより第二の網目構造を重合した。

0074

その後、ゲルを冷凍庫から取り出し、解凍後純水に投入、3回純水交換を行って未反応の原料等を取り除き、実施例2に係るゲルを得た。

0075

実施例2により得られたゲルシートを、吸水性のある紙タオル名称:キムタオル)の上に2時間放置したところ、紙タオルの表面張力によりゲルから水が滲み出し、目視により水を吸水していることを確認した。また、また、延伸仕事を上述の方法により測定した結果、9610J/m3であり、破壊力強さが充分に強いことを確認した。

0076

(比較例1)
アクリルアミド1.5g、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム6.5g、メチレンビスアクリルアミド0.1g、過硫酸アンモニウム0.1gを純水で溶解し、50mLメスフラスコを用いて、50mL水溶液とした。この水溶液を−5℃に冷却後、テトラメチルエチレンジアミン0.3mL投入し充分に攪拌した。この水溶液をあらかじめ−20℃に冷却しておいた8cm*8cm*2mmのガラス製の型に注入し、−50℃冷凍庫に入れ、1昼夜静置した。その後、ゲルを冷凍庫から出し、解凍後純水に投入、3回純水交換を行って未反応の原料等を取り除き、ゲルを得た。比較例1に係る延伸仕事を上述の法要により測定した結果、180J/m3であった。

0077

また、市販のゲルをキムタオルの上に載置して吸水性を評価したところ、2時間放置後においても、キムタオルが目視において吸水していることを確認できなかった。

0078

1ゲル
2三次元網目構造
3溶媒
21 溶媒保持小孔
22 溶媒滲み出し性孔
30 紙タオル

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