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技術 二軸延伸積層フィルム

出願人 三菱瓦斯化学株式会社
発明者 小田尚史佐藤要津中伸幸加藤智則
出願日 2015年1月7日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-001703
公開日 2016年7月11日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-124253
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の延伸成形、応力解放成形 積層体(2) 被包材 包装体
主要キーワード 仕込み段階 不飽和カルボン酸エステル系共重合体 炉体温度 クリップ式 芳香族ポリエステルブロック 昇温操作 予熱条件 可動ヘッド
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課題

ガスバリア性耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、且つ、レトルト時の収縮率が小さい二軸延伸積層フィルムの提供。

解決手段

一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する二軸延伸積層フィルムであって、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にある、二軸延伸積層フィルム。[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

概要

背景

食品化粧品及び医薬品等酸素による内容物の変質嫌う製品包装するためのフィルムとして、ポリアミド系の未延伸フィルムまたは延伸フィルムが使用されている。
例えば、特開平7−276591号公報(特許文献1)では、芳香族ポリアミド及びアイオノマー樹脂合物からなる層、脂肪族ポリアミドからなる層及びこれらの混合物からなる層の少なくとも2層から構成される積層フィルムが、ガスバリア性耐屈曲性及び透明性に優れており、食品、化粧品及び医薬品等の包装用フィルムとして使用できることが記載されている。
また、特開2008−80689号公報(特許文献2)及び特開2008−94048号公報(特許文献3)では、芳香族ポリアミドを主成分とする層及び脂肪族ポリアミドを主成分とする層からなる未延伸フィルムを所定の温度及び延伸倍率で、ロールテンター式の逐次二軸延伸法により延伸し、所定の温度及び時間で熱固定処理して得られる二軸延伸フィルムが、ガスバリア性、耐屈曲性及び透明性に加えて、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、レトルト処理時の収縮率が小さく、食品包装用として優れていることが記載されている。
しかしながら、これらの二軸延伸フィルムは、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性及び柔軟性の点では優れているものの、レトルト処理時の収縮率及び耐衝撃性の点で改良の余地があった。

概要

ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、且つ、レトルト時の収縮率が小さい二軸延伸積層フィルムの提供。一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する二軸延伸積層フィルムであって、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にある、二軸延伸積層フィルム。[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]なし

目的

本発明によれば、食品、化粧品及び医薬品等の酸素による内容物の変質を嫌う各種製品の包装に適した物性を有する二軸延伸積層フィルムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する二軸延伸積層フィルムであって、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にある、二軸延伸積層フィルム。 [前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

請求項2

昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(X)の軟化温度が180℃〜200℃の範囲にある、請求項1に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項3

層構成が、層(Y)/層(X)/層(Y)である、請求項1又は2に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項4

層構成が、層(Y)/層(Z)/層(X)/層(Z)/層(Y)であり、層(Z)が、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含み、その質量比A:Bが10:90〜30:70の範囲である組成物からなる、請求項1又は2に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項5

層(Y)が、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含み、その質量比A:Bが3:97〜10:90の範囲である組成物からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項6

層(X)が、芳香族ポリアミド(A)と柔軟成分(C)とを含み、その質量比A:Cが99:1〜80:20の範囲である組成物からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項7

柔軟成分(C)が、エチレン成分アクリル酸エステル成分との質量比(エチレン成分:アクリル酸エステル成分)が90:10〜70:30の範囲であるエチレンアクリル酸エステル共重合体エチレン性不飽和カルボン酸グラフト変性したポリエステル系エラストマー、及びスチレン−エチレン−ブチレン共重合体からなる群より選択される、請求項6に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項8

脂肪族ポリアミド(B)がナイロン6またはナイロン66である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項9

未延伸積層フィルム縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍の延伸倍率同時二軸延伸もしくは逐次二軸延伸を行った後、200℃〜220℃の範囲で熱固定処理して得られるものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項10

少なくとも片方の面にシーラント層を有するものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルムを用いた食品包装用フィルムまたは食品包装体

請求項12

下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する未延伸積層フィルムを、予熱温度75〜150℃及び予熱時間5〜60秒の条件で予熱した後、縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸もしくは逐次二軸延伸を行った後、熱固定温度200℃〜220℃及び熱固定時間5〜50秒の条件で熱固定処理して、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度を200℃〜220℃の範囲に調整することを含む、二軸延伸積層フィルムの製造方法。 [前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

技術分野

0001

本発明は、二軸延伸積層フィルム、より詳しくは、ガスバリア性耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、レトルト処理時の収縮率が小さく寸法安定性に優れた二軸延伸積層フィルムに関する。

背景技術

0002

食品化粧品及び医薬品等酸素による内容物の変質嫌う製品包装するためのフィルムとして、ポリアミド系の未延伸フィルムまたは延伸フィルムが使用されている。
例えば、特開平7−276591号公報(特許文献1)では、芳香族ポリアミド及びアイオノマー樹脂合物からなる層、脂肪族ポリアミドからなる層及びこれらの混合物からなる層の少なくとも2層から構成される積層フィルムが、ガスバリア性、耐屈曲性及び透明性に優れており、食品、化粧品及び医薬品等の包装用フィルムとして使用できることが記載されている。
また、特開2008−80689号公報(特許文献2)及び特開2008−94048号公報(特許文献3)では、芳香族ポリアミドを主成分とする層及び脂肪族ポリアミドを主成分とする層からなる未延伸フィルムを所定の温度及び延伸倍率で、ロールテンター式の逐次二軸延伸法により延伸し、所定の温度及び時間で熱固定処理して得られる二軸延伸フィルムが、ガスバリア性、耐屈曲性及び透明性に加えて、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、レトルト処理時の収縮率が小さく、食品包装用として優れていることが記載されている。
しかしながら、これらの二軸延伸フィルムは、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性及び柔軟性の点では優れているものの、レトルト処理時の収縮率及び耐衝撃性の点で改良の余地があった。

先行技術

0003

特開平7−276591号公報
特開2008−80689号公報
特開2008−94048号公報

発明が解決しようとする課題

0004

このような状況の下、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、且つ、レトルト時の収縮率が小さく、食品、化粧品及び医薬品等の包装用等として好適に使用できる二軸延伸フィルムの提供が求められている。特に加熱処理が必要とされる食品等の包装用等として好適に用いることができる二軸延伸フィルムの提供が求められている。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは上記課題にかんがみて鋭意検討した結果、特定の芳香族ポリアミドを主成分として含む層(X)と脂肪族ポリアミドを主成分として含む層(Y)とを有する二軸延伸積層フィルムにおいて、予熱温度予熱時間熱固定温度及び熱固定時間などの延伸処理条件を制御して、層(X)及び(Y)、特に層(Y)の、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる軟化温度を所定の範囲に調整することによって、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性のバランスが良好であり、レトルト処理時の収縮率が小さく、寸法安定性に優れた二軸延伸積層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。二軸延伸積層フィルムにおいて、各層のナノサーマルアナリシスによって得られる軟化温度に着目した例はこれまでになく、ナノサーマルアナリシスによって得られる層(X)及び(Y)、特に層(Y)の軟化温度を所定の範囲に調整することで上記の優れた物性が得られることは当業者がこれまでに予測し得なかった効果である。

0006

すなわち、本発明は、以下に示した二軸延伸積層フィルム及びそれを用いた食品包装用フィルムまたは食品包装体、ならびに二軸延伸積層フィルムの製造方法に係るものである。
[1]下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する二軸延伸積層フィルムであって、
昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にある、二軸延伸積層フィルム。




[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]
[2]昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(X)の軟化温度が180℃〜200℃の範囲にある、[1]に記載の二軸延伸積層フィルム。
[3]層構成が、層(Y)/層(X)/層(Y)である、[1]又は[2]に記載の二軸延伸積層フィルム。
[4]層構成が、層(Y)/層(Z)/層(X)/層(Z)/層(Y)であり、層(Z)が、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含み、その質量比A:Bが10:90〜30:70の範囲である組成物からなる、[1]又は[2]に記載の二軸延伸積層フィルム。
[5]層(Y)が、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含み、その質量比A:Bが3:97〜10:90の範囲である組成物からなる、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。
[6]層(X)が、芳香族ポリアミド(A)と柔軟成分(C)とを含み、その質量比A:Cが99:1〜80:20の範囲である組成物からなる、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。
[7]柔軟成分(C)が、エチレン成分アクリル酸エステル成分との質量比(エチレン成分:アクリル酸エステル成分)が90:10〜70:30の範囲であるエチレンアクリル酸エステル共重合体エチレン性不飽和カルボン酸グラフト変性したポリエステル系エラストマー、及びスチレン−エチレン−ブチレン共重合体からなる群より選択される、[6]に記載の二軸延伸積層フィルム。
[8]脂肪族ポリアミド(B)がナイロン6またはナイロン66である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。
[9]未延伸積層フィルム縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸もしくは逐次二軸延伸を行った後、200℃〜220℃の範囲で熱固定処理して得られるものである、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。
[10]少なくとも片方の面にシーラント層を有するものである、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルム。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の二軸延伸積層フィルムを用いた食品包装用フィルムまたは食品包装体。
[12]下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する未延伸積層フィルムを、予熱温度75〜150℃及び予熱時間5〜60秒の条件で予熱した後、縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸もしくは逐次二軸延伸を行った後、熱固定温度200℃〜220℃及び熱固定時間5〜50秒の条件で熱固定処理して、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度を200℃〜220℃の範囲に調整することを含む、二軸延伸積層フィルムの製造方法。




[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

発明の効果

0007

本発明によれば、食品、化粧品及び医薬品等の酸素による内容物の変質を嫌う各種製品の包装に適した物性を有する二軸延伸積層フィルムを提供することができる。本発明の二軸延伸積層フィルムは、特に加熱処理などが必要とされる食品の包装用フィルムまたは包装体として好適に用いることができる。

0008

以下、本発明の二軸延伸積層フィルム及びそれを用いた食品包装用フィルムまたは食品包装体ならびに二軸延伸積層フィルムの製造方法の好ましい実施形態について具体的に説明する。

0009

1.二軸延伸積層フィルム
本発明の二軸延伸積層フィルムは、下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有し、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にあることを特徴としている。




[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

0010

本発明においては、層(X)及び(Y)を含む二軸延伸積層フィルムにおいて、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にあることにより、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性のバランスを良好なものとすることができ、しかもレトルト処理時の収縮率を小さくすることができるといった効果を奏することができる。ここで、ナノサーマルアナリシスとは、加熱機構を有する微小探針プローブ)によって、サンプル表面の微小領域(100μm以下)の軟化温度を特定する技術であり、実施例に記載の方法によって測定することができる。ナノサーマルアナリシスによる軟化温度を特定することによって、微小領域の結晶状態を把握することができる。
以下、ナノサーマルアナリシスによる軟化温度と、DSC示差走査熱量測定)による軟化温度の違いについて説明する。
DSCによる軟化温度は、測定対象となる試料をDSCの炉内に入れ、10〜20℃/分程度の比較的ゆっくりとした速度で昇温させながら、試料の熱量変化を測定し、軟化温度を測定する。この際に、昇温速度が比較的ゆっくりであるため、測定試料は元の試料の結晶状態にかかわらず、測定中再結晶化が進行する。そのため、結晶化の状態や程度に関係のない試料固有の軟化温度が観測される。例えば、ナイロン6のDSCによる軟化温度は225℃、ナイロンMXD6の軟化温度は237℃と測定される。
これに対して、ナノサーマルアナリシスは、加熱機構を有する微小な探針(プローブ)を測定試料に接触させながら、試料を高速(例えば100℃/秒)で昇温させながら測定を行う。測定試料は昇温により膨張するため、試料に接触したプローブは反り返った状態になる。さらに加熱を進めると、ある温度で試料が軟化するが、その際にプローブが試料に埋没してプローブの傾きが変化する。この一連昇温操作において、プローブの変位を追跡して温度−変位曲線を描き、変位曲線のピークトップ読むことで、試料の軟化温度を特定する。
ナノサーマルアナリシスの特徴は、軟化温度測定時の昇温速度が例えば100℃/秒と高速であることであり、測定中に試料は結晶化する時間がないため、DSCとは異なり、延伸処理などの製造条件及び結晶化条件などに起因する測定試料の当初の結晶化の状態及び結晶化の程度を反映した軟化温度が観測される。
例えば、ナイロン6においては、DSCでは225℃の軟化温度が、ナノサーマルアナリシスでは、結晶状態によって40〜260℃の範囲に変化し得る。一方、ナイロンMXD6においては、DSCでは、237℃の軟化温度が、ナノサーマルアナリシスでは、結晶状態によって70〜260℃の範囲に変化し得る。
このため、本発明の二軸延伸積層フィルムにおいて、各層のナノサーマルアナリシスによる軟化温度を測定することで、二軸延伸積層フィルムを構成する各層の樹脂(あるいは樹脂組成物)の結晶化の状態及び結晶化の程度を知ることが可能となる。本発明は、層(X)及び層(Y)を含む二軸延伸積層フィルムにおいて、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度が200℃〜220℃の範囲にあることにより、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性のバランスを良好なものとすることができ、しかもレトルト処理時の収縮率を小さくすることができるといった効果を奏することができることを見出して完成させたものである。

0011

本発明の二軸延伸積層フィルムは、芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有するものであり、層(X)と層(Y)とを積層してなる未延伸積層フィルムを縦横軸方向に逐次もしくは同時に延伸して得られる。
本発明の二軸延伸積層フィルムの層構成は層(X)及び層(Y)を有するものであれば特に制限されないが、フィルムの衝撃強度及び耐ピンホール性の観点から、層(X)/層(Y)等の2層構造、層(Y)/層(X)/層(Y)、層(X)/層(Y)/層(X)等の3層構造、層(Y)/層(X)/層(Y)/層(X)/層(Y)、層(X)/層(Y)/層(X)/層(Y)/層(X)等の5層構造などが好ましい。中でも、層(Y)/層(X)/層(Y)の三層構成が、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐衝撃性をより効果的に発揮することができるため好ましい。
層(X)と層(Y)との間には中間層を設けてもよい。例えば、層(X)と層(Y)との間に、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含む層(Z)を設けることにより、層(X)と層(Y)との密着性を高めることができ、それによって耐屈曲性及び耐衝撃性をより高めることができる。層(Z)を含む場合の層構成としては、層(Y)/層(Z)/層(X)、層(Y)/層(Z)/層(X)/層(Z)/層(Y)などが好ましく挙げられる。中でも、層間接着性の観点から、層(Y)/層(Z)/層(X)/層(Z)/層(Y)の五層構成が好ましい。
以下、本発明の二軸延伸積層フィルムを構成する各層について詳しく説明する。

0012

本発明の二軸延伸積層フィルムにおいて、層(X)は、下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む。




[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

0013

ここで、「層(X)が芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む」とは、層(X)を構成する成分の合計質量に対する芳香族ポリアミド(A)の質量比が、80質量%以上、好ましくは90質量%、更に好ましくは95質量%以上であることをいう。

0014

なお、芳香族ポリアミド(A)において、前記ジアミン単位及び前記ジカルボン酸単位の合計は100モル%を超えないものとする。また、芳香族ポリアミド(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の構成単位を更に含んでいてもよい。

0015

芳香族ポリアミド(A)中のジアミン単位は、前記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位をジアミン単位中に70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む。

0016

一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、オルトキシリレンジアミンメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0017

一般式(I)で示されるジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物としては、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミンパラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミンエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミンテトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミンヘキサメチレンジアミンヘプタメチレンジアミンオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等の脂肪族ジアミンハンツマン社製のジェファーミンエラスタミン(いずれも商品名)に代表されるエーテル結合を有するポリエーテル系ジアミン等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0018

芳香族ポリアミド(A)中のジカルボン酸単位は、重合時の反応性、並びに芳香族ポリアミド(A)の結晶性及び成形性の観点から、前記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を、ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含む。

0019

前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。
前記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸グルタル酸アジピン酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0020

前記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位の種類は用途に応じて適宜決定される。芳香族ポリアミド(A)中の直鎖脂肪族ジカルボン酸単位は、芳香族ポリアミド(A)に優れたガスバリア性を付与することに加え、包装材料包装容器加熱殺菌後耐熱性を保持する観点から、アジピン酸単位セバシン酸単位、及び1,12−ドデカンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを、直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に合計で50モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。

0021

芳香族ポリアミド(A)中の直鎖脂肪族ジカルボン酸単位は、芳香族ポリアミド(A)のガスバリア性及び適切なガラス転移温度融点等の熱的性質の観点からは、アジピン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましい。また、芳香族ポリアミド(A)中の直鎖脂肪族ジカルボン酸単位は、芳香族ポリアミド(A)に適度なガスバリア性及び成形加工適性を付与する観点からは、セバシン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましく、低吸水性耐候性、耐熱性を要求される用途に用いられる場合は、1,12−ドデカンジカルボン酸単位を直鎖脂肪族ジカルボン酸単位中に50モル%以上含むことが好ましい。

0022

芳香族ポリアミド(A)中の前記一般式(II)で示されるジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、フタル酸イソフタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸シュウ酸マロン酸等の炭素数3以下の脂肪族ジカルボン酸フマル酸マレイン酸、1,3−ベンゼン二酢酸、1,4−ベンゼン二酢酸等の不飽和結合を有するジカルボン酸を例示できるが、これらに限定されるものではない。

0023

芳香族ポリアミド(A)は、芳香族ポリアミド(A)に更なるガスバリア性を付与することに加え、包装材料や包装容器の成形加工性を容易にする目的の場合、芳香族ジカルボン酸単位をジカルボン酸単位中に合計で0.1モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは、0.5〜15モル%であり、更に好ましくは1〜10モル%である。芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ジカルボン酸単位の種類は用途に応じて適宜決定されるが、イソフタル酸単位及び/又はテレフタル酸単位をジカルボン酸単位中に含むことが好ましい。イソフタル酸単位とテレフタル酸単位との含有比(イソフタル酸単位:テレフタル酸単位)は、特に制限されなく、用途に応じて適宜決定される。例えば、適度なガラス転移温度や結晶性を下げる観点からは、両単位の合計を100としたとき好ましくは0:100〜100:0、より好ましくは0:100〜60:40、更に好ましくは0:100〜40:60、更に好ましくは0:100〜30:70である。

0024

芳香族ポリアミド(A)の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、本発明においては、15000以上が好ましく、より好ましくは20000以上、更に好ましくは23000以上である。また、35000以下が好ましく、より好ましくは30000以下、更に好ましくは28000以下である。数平均分子量が上記範囲であると、成形性が良好であることに加え、引張機械物性及び耐衝撃強度が優れたフィルムを得ることができるとともに、ポリアミドとしての未反応物等が少なく、性状が安定している。数平均分子量は、末端アミ基濃度及び末端カルボキシル基濃度定量値から次式により求めることができる。
数平均分子量=2×1,000,000/([NH2]+[COOH])
[NH2]:末端アミノ基濃度(μeq/g)
[COOH]:末端カルボキシル基濃度(μeq/g)

0025

芳香族ポリアミド(A)は、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分とを重縮合させることで製造することができる。重縮合条件等を調整することで重合度を制御することができる。重縮合時分子量調整剤として少量のモノアミンモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、芳香族ポリアミド(A)を構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率モル比)を1からずらして調整してもよい。

0026

芳香族ポリアミド(A)の重縮合方法としては、反応押出法加圧塩法、常圧滴下法、加圧滴下法等が挙げられるが、これらに制限されない。また、反応温度は出来る限り低い方が、芳香族ポリアミド(A)の黄色化ゲル化を抑制でき、安定した性状の芳香族ポリアミド(A)が得られる。

0027

反応押出法は、ジアミン成分及びジカルボン酸成分からなるポリアミドを押出機溶融混練して反応させる方法である。反応押出法に用いる原料は、ジアミン成分及びジカルボン酸をそのまま投入しても良いし、事前重合釜を用いて、ポリアミド塩や数平均分子量2000以下のポリアミドオリゴマーに調製してから投入してもよい。また、ポリアミドの劣化を防ぐために、窒素雰囲気下で、数段のオープンベントまたは真空ベントなどで水を除去しながら反応を進めるのが好ましい。
加圧塩法は、ナイロン塩を原料として加圧下にて溶融重縮合を行う方法である。具体的には、ジアミン成分と、ジカルボン酸成分とからなるナイロン塩水溶液を調製した後、該水溶液を濃縮し、次いで加圧下にて昇温し、縮合水を除去しながら重縮合させる。内を徐々に常圧に戻しながら、芳香族ポリアミド(A)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧して芳香族ポリアミド(A)を回収する。

0028

常圧滴下法は、常圧下にて、ジカルボン酸成分を加熱溶融し、ジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる方法である。この際、生成するポリアミド化合物の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。常圧滴下法は、前記加圧塩法と比較すると、塩を溶解するための水を使用しないため、バッチ当たりの収量が大きく、また、原料成分の気化凝縮を必要としないため、反応速度の低下が少なく、工程時間を短縮できる。
加圧滴下法は、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分を仕込み加熱溶融し、次いで、缶内を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながらジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる方法である。この際、生成するポリアミド化合物の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、芳香族ポリアミド(A)の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧して芳香族ポリアミド(A)を回収する。

0029

芳香族ポリアミド(A)の溶融粘度すなわち、数平均分子量の調整方法は、上記した重合方法中の撹拌トルクでの重合終了点を判断する方法の他に、予め、モノマー仕込み段階で、モル比を1からずらして調整することで、目標の数平均分子量を設定する方法がある。

0030

芳香族ポリアミド(A)の重縮合においては、アミド化反応を促進する観点から、リン原子含有化合物を添加することが好ましい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物次亜リン酸次亜リン酸ナトリウム次亜リン酸カリウム次亜リン酸リチウム次亜リン酸マグネシウム次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物ホスホン酸ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウムフェニルホスホン酸エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム亜リン酸マグネシウム亜リン酸カルシウム亜リン酸トリエチル亜リン酸トリフェニルピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
リン原子含有化合物の添加量は、芳香族ポリアミド(A)のリン原子濃度換算で0.1〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜600ppmであり、更に好ましくは5〜400ppmである。0.1ppm以上であれば、重合中に芳香族ポリアミド(A)が着色しにくく透明性が高くなる。1000ppm以下であれば、芳香族ポリアミド(A)がゲル化しにくく、また、リン原子含有化合物に起因すると考えられるフィッシュアイ成形品中への混入も低減でき、成形品外観が良好となる。

0031

また、芳香族ポリアミド(A)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中の芳香族ポリアミド(A)の着色を防止するためには十分な量のリン原子含有化合物を存在させる必要があるが、場合によっては芳香族ポリアミド(A)のゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物アルカリ金属酢酸塩アルカリ金属炭酸塩アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化ルビジウム水酸化セシウム酢酸リチウム酢酸ナトリウム酢酸カリウム酢酸ルビジウム、酢酸セシウムナトリウムメトキシドナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシドカリウムメトキシドリチウムメトキシド炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、リン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物:アルカリ金属化合物=1.0:0.05〜1.0:1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0:0.1〜1.0:1.2、更に好ましくは、1.0:0.2〜1.0:1.1である。

0032

芳香族ポリアミド(A)の加熱溶融は、例えば、常圧もしくは加圧の溶融重合または単軸もしくは二軸の押出機内で行うことができる。得られた芳香族ポリアミド(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0033

層(X)には、芳香族ポリアミド(A)に加えて柔軟成分(C)を配合してもよい。芳香族ポリアミド(A)に柔軟成分(C)を配合することにより、得られる二軸延伸積層フィルムの耐屈曲性及び耐衝撃性をより高めることができる。ここで、柔軟成分(C)とは、二軸延伸積層フィルムの耐屈曲性(ピンホール数)及び耐衝撃性(衝撃穴あけ強度)を、柔軟成分(C)を配合しない二軸延伸積層フィルムに比べて改善できるものであれば、特に制限されないが、1000回ゲルボフレックステストを実施した時の624cm2当たりのピンホール数が5個以下となり、且つ、衝撃穴あけ強度が柔軟成分を配合しない場合に比べて40%以上改善するものが好ましく挙げられる。

0034

本発明に用いることができる柔軟成分(C)としては、例えば、エチレン・α−オレフィン系共重合体プロピレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・プロピレン・α−オレフィン系共重合体、
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、エチレン・プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸エステル系共重合体、プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸エステル系共重合体、
アイオノマ重合体等のオレフィン系重合体
スチレン系エラストマーウレタン系エラストマーフッ素系エラストマー塩化ビニルエラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等のエラストマー;
チオコールゴム多硫化ゴムアクリルゴムシリコーンゴムポリエーテルゴムエピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムなどを挙げることができる。

0035

これらの中でも、耐熱性及びポリアミド成分との相溶性に優れる点で、オレフィン系重合体及びエラストマーが好ましい。

0036

オレフィン系重合体において、エチレン・α−オレフィン系共重合体、プロピレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・プロピレン・α−オレフィン系共重合体は、エチレン及びプロピレンから選ばれる少なくとも1種と、炭素数3以上のα−オレフィンとを共重合してなる重合体である。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン1−ヘキセン、1−ヘプテン1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
また、オレフィン系重合体には、上記エチレン及びプロピレンから選ばれる少なくとも1種、炭素数3以上のα-オレフィンに加えて、以下のジエンを共重合しうる。共重合しうるジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエンDMDT)、ジシクロペンタジエンシクロヘキサジエンジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン及び2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどの非共役ジエンポリエン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。

0037

エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、エチレン・プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸エステル系共重合体、プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・プロピレン・α,β−不飽和カルボン酸/不飽和カルボン酸エステル系共重合体は、エチレン及びプロピレンから選ばれる少なくとも1種と、α,β−不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸エステル単量体から選ばれる少なくとも1種とを共重合した重合体である。
α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸などが挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステルエチルエステルプロピルエステルブチルエステルペンチルエステルヘキシルエステルヘプチルエステルオクチルエステルノニルエステル、デシルエステル又はこれらの混合物などが挙げられる。
これらの中でも、エチレンとアクリル酸エステル単量体とを共重合したエチレン−アクリル酸エステル共重合体が好ましく、特にエチレン成分とアクリル酸エステル成分との質量比(エチレン成分:アクリル酸エステル成分)が90:10〜70:30の範囲であるエチレン−アクリル酸エステル共重合体が好ましく挙げられる。

0038

オレフィン系重合体の具体例としては、EPRエチレン−プロピレン共重合体)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)、EBR(エチレン−ブテン共重合体)、EOR(エチレン−オクテン共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)、EMA(エチレン−アクリル酸メチル共重合体)、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体)などが挙げられる。

0039

アイオノマ−重合体は、オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体カルボキシル基の少なくとも一部が金属イオン中和によりイオン化されたものである。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等が例示されるが、中でもエチレンが好ましく用いられる。α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられるが、不飽和カルボン酸エステル単量体が共重合されていても構わない。
金属イオンとしては、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の他、Al、Sn、Sb、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Cdなどを挙げることできる。

0040

ポリエステル系エラストマーとしては、芳香族ポリエステルブロック非芳香族ポリエステルブロックとからなるブロック共重合体、芳香族ポリエステルブロックとポリエーテルブロックとからなるブロック共重合体、芳香族ポリエステルブロックと非芳香族ポリエステルブロックとポリエーテルブロックとからなるブロック共重合体である。

0041

芳香族ポリエステルブロックは、芳香族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルと炭素数2〜12の脂肪族及び/または脂環式ジオールとのエステル化反応、または、エステル交換反応により得られるポリエステルオリゴマーである。芳香族ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステルエラストマーの原料として知られるものを使用することができる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、ジメチルテレフタレートジメチルイソフタレートジメチルフタレート、2,6−ジメチルナフタレート等のジメチルエステルジエチルテレフタレート、ジエチルイソフタレートジエチルフタレート、2,6−ジエチルナフタレート等が挙げられる。
炭素数2〜12の脂肪族及び/または脂環式ジオールとしては、ポリエステルの原料、特にポリエステルエラストマーの原料として公知のものを用いることができる。具体的には、エチレングリコールプロピレングリコールトリメチレングリコールテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、上記以外に三官能性ジオール、その他のジオール、他のジカルボン酸及びそのエステルを少量程度共重合しても良く、更に、アジピン酸等の脂肪族または脂環式のジカルボン酸、または、そのアルキルエステル等を共重合成分として使用してもよい。
芳香族ポリエステルブロックとして、具体的には、ポリエチレンテレフタレートオリゴマーポリプロピレンテレフタレートオリゴマーポリブチレンテレフタレートオリゴマーポリテトラメチレンテレフタレートオリゴマー)、ポリペンタメチレンテレフタレートオリゴマー等を挙げることができる。

0042

非芳香族ポリエステルブロックは、脂肪族または脂環式ジカルボン酸脂肪族ジオールとを縮合することにより得られるポリエステルオリゴマー、脂肪族ラクトンまたは脂肪族モノオールカルボン酸から合成されたポリエステルオリゴマーである。前者のポリエステルオリゴマーの具体例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸またはコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸のうちの一種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール等のジオールのうちの一種以上とを縮合させて得られる構造のポリエステルオリゴマーを挙げることができる。また、後者のポリエステルオリゴマーの具体例としては、ε−カプロラクトン、ω−オキシカプロン酸等から合成されたポリカプロラクトン系ポリエステルオリゴマーを挙げることができる。

0043

ポリエーテルブロックとしては、例えば、ポリ(アルキレンオキシドグリコール等の重量平均分子量が400〜6,000、好ましくは500〜4,000、特に好ましくは600〜3,000のポリエーテルオリゴマーを挙げることができる。具体的なポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体等を挙げることができる。

0044

スチレン系エラストマーは、スチレンなどの芳香族ビニル化合物系重合体ブロック共役ジエン系重合体ブロックとからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1つと、共役ジエン系重合体ブロックを少なくとも1つとを有するブロック共重合体が用いられる。共役ジエン系重合体ブロックにおける不飽和結合は水素添加されていてもよい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、主として芳香族ビニル化合物由来する構造単位からなる重合体ブロックである。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、ビニルナフタレンビニルアントラセン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどを挙げることができる。芳香族ビニル化合物系重合体ブロックはこれら単量体の1種または2種以上からなる構造単位を有しているが、場合により、少量の他の不飽和単量体からなる構造単位を有していてもよい。
共役ジエン系重合体ブロックは、1,3−ブタジエンクロロプレンイソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン系化合物の1種または2種以上から形成された重合体ブロックである。

0045

スチレン系エラストマーの具体例としては、SBS(スチレン−ブチレンスチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体)などが挙げられる。

0046

柔軟成分(C)としては、前述したオレフィン系重合体、エステル系エラストマー、またはスチレン系エラストマー等の柔軟成分に、さらにカルボン酸および/またはその誘導体等の官能基を導入して酸変性したものを使用することができる。柔軟成分(C)に上記官能基を導入することで、柔軟成分(C)と芳香族ポリアミド(A)の末端基と反応して柔軟性を付与するとともに、芳香族ポリアミド(A)と柔軟成分(C)との接着性を改良することにより、延伸フィルムの耐衝撃性を改良することができる。ポリアミド成分に対して親和性を有する官能基としては、カルボン酸基カルボン酸無水物基カルボン酸エステル基カルボン酸金属塩基、カルボン酸イミド基カルボン酸アミド基及びエポキシ基などが好ましく挙げられる。

0047

酸変性率変性に用いた酸のベース樹脂に対する質量比)は0.01〜25質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%である。酸変性率が上記の範囲であると、熱安定性が損なわれることがなく、ポリアミド成分に対する親和性を高める効果が発揮される。酸変性率は、酸変性された柔軟成分を、熱したキシレンで溶解し、フェノールフタレイン指示薬としてナトリウムメチラート滴定して求めることができる。

0048

酸変性された柔軟成分(C)の好ましい例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン-メチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸変性ポリエステル系エラストマー(例えば、ポリエステルブロックと重量平均分子量が600〜3,000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールとからなるブロック共重合体)、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック(SEBS)共重合体、無水マレイン酸変性エチレン—プロピレン—ジエンモノマー(EPDM)ターポリマーゴムなどが挙げられる。

0049

柔軟成分(C)の融点Tmは、耐熱性及び溶融成形性の観点から、好ましくは80〜220℃、より好ましくは90〜180℃、更に好ましく100〜160℃である。
融点は、示差走査熱量計島津製作所社製、商品名:DSC−60〕を用い、昇温速度10℃/分で、窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行うことにより測定される。
柔軟成分(C)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

0050

層(X)が芳香族ポリアミド(A)と柔軟成分(C)とを含む組成物からなる場合、層(X)における芳香族ポリアミド(A)と柔軟成分(C)の質量比A:Cは、99:1〜80:20が好ましく、より好ましくは98:2〜85:15であり、更に好ましくは95:5〜88:12である。

0051

層(X)には、本発明の目的及び作用効果阻害しない範囲で、芳香族ポリアミド(A)及び柔軟成分(C)以外に、一般に用いられる各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、無機充填材難燃剤導電性付与剤結晶核剤紫外線吸収剤酸化防止剤制振剤、抗菌剤防虫剤防臭剤着色防止剤熱安定剤離型剤帯電防止剤可塑剤滑剤着色剤顔料染料発泡剤、制泡剤およびカップリング剤などが挙げられるが、これらに限定されない。但し、これらの添加剤の配合量は、層(X)を構成する成分の合計質量に対して10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。

0052

本発明の二軸延伸積層フィルムにおいて、層(Y)は、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む。ここで、「層(Y)が芳香族ポリアミド(B)を主成分として含む」とは、層(Y)を構成する成分の合計質量に対する脂肪族ポリアミド(B)の質量比が、80質量%以上、好ましくは90質量%、更に好ましくは95質量%以上であることをいう。

0053

本発明に用いることができる脂肪族ポリアミド(B)は、アミド結合{−N H−C(=O )−}を含み、分子骨格中芳香環を含まない構成単位を主成分とする、ポリアミドであれば特に制限されない。ここで「主成分とする」とは、脂肪族ポリアミド(a)の構成単位のうち、芳香環を含まない構成単位が60モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%占めることをいう。
例えば、ラクタム類開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られる脂肪族ポリアミドを用いることができる。
ラクタム類としては、具体的にはε‐カプロラクタム、エナントラクタム、ω‐ラウロラクタムなどが挙げられる。
ジアミンとしては、脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンが挙げられ、中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、1,9 −ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどが好ましく挙げられる。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸が挙げられ、中でも、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、コルク酸、グルタル酸、アゼライン酸、β−メチルアジピン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、ピメリン酸、ドデカン二酸、1,1,3−トリデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及びダイマー酸などが好ましく挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸及び13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。

0054

本発明に用いることができる脂肪族ポリアミド(B)の具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド5,6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,10、ポリアミド4,10、ポリアミド5,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12などが好ましく挙げられる。また、複数のポリアミドを押出機等で共重合化したポリアミド類を使用することもできる。
これらの中でも、ε−カプロラクタムの単独重合体であるポリアミド6(ナイロン6)またはポリアミド6,6(ナイロン66)が、安価に入手でき、二軸延伸操作を円滑に遂行できるので好ましい。これらを共重合したポリアミド6,66も好適に用いることができる。
脂肪族ポリアミド(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0055

層(Y)には、脂肪族ポリアミド(B)に加えて、層(X)の成分として説明した芳香族ポリアミド(A)を配合してもよい。脂肪族ポリアミド(B)に加えて芳香族ポリアミド(A)を配合することにより、得られる二軸延伸積層フィルムの耐屈曲性及び耐衝撃性をより高めることができ、また、ガスバリア性をより高めることができる。また、二軸延伸積層フィルムの透明性を上げるといった効果も期待することができる。

0056

層(Y)が芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含む組成物からなる場合、層(Y)における芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)の質量比A:Bは、3:97〜10:90が好ましく、より好ましくは4:96〜9:91であり、更に好ましくは5:95〜8:92である。

0057

層(Y)には、本発明の目的及び作用効果を阻害しない範囲で、芳香族ポリアミド(A)及び脂肪族ポリアミド(B)以外に、一般に用いられる各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、層(X)において例示したものと同じものを挙げることができる。但し、これらの添加剤の配合量は、層(Y)を構成する成分の合計質量に対して10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。

0058

本発明の二軸延伸積層フィルムにおいては、層(X)及び層(Y)以外の他の層を有していてもよい。他の層としては、層(X)と層(Y)を十分な強度で接着させる接着層や、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含む組成物からなる層(Z)などが挙げられる。
接着層を構成しうる樹脂は、例えばポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン類等が挙げられる。

0059

層(Z)は、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを含む組成物からなる層であり、層(Z)における芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)との質量比A:Bは、10:90〜30:70であり、好ましくは13:87〜27:73であり、より好ましくは15:85〜25:75であり、更に好ましくは18:82〜22:78である。層(Z)は、芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)とを上記の配合比で含むことにより、層(X)及び層(Y)との密着性を高めることができ、それによって二軸延伸積層フィルムの耐屈曲性及び耐衝撃性をより高めることができる。層(Z)に用いられる芳香族ポリアミド(A)及び脂肪族ポリアミド(B)はそれぞれ層(X)又は層(Y)において説明したものと同じものを挙げることができる。好ましい化合物も同様のものを例示することができる。

0060

本発明に係る二軸延伸積層フィルムは、層(X)、層(Y)及びその他の層を有する未延伸積層フィルムを縦横方向に逐次もしくは同時に延伸することによって製造することができる。より具体的には以下の方法により製造することができる。
まず、実質的に無定型配向していない未延伸積層フィルムを製造する。未延伸積層フィルムの厚みは、フィルムの用途や延伸倍率に応じて適宜選択されるが、通常は100〜300μmの範囲である。
共押出法による製造方法では、各層の原料を3〜5台の押出機により溶融し、フラットダイまたは環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状または環状の未延伸積層フィルムを作製することができる。
得られた未延伸積層フィルムを、フィルムの流れ方向である縦軸方向(MD)と、それに直角な横軸方向(TD)に逐次もしくは同時に延伸する。延伸倍率は特に制限されないが、通常、2.5〜5.0倍である。延伸倍率が、上記範囲であると、延伸の効果が十分に得られ、フィルムの強度を高めることができる。二軸延伸の方法は、テンタ一式逐次二軸延伸、テンタ一式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの従来公知の延伸方法を採用することができる。

0061

本発明においては、縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍の延伸倍率で延伸することが好ましい。未延伸積層フィルムを上記の延伸倍率で延伸することによりバリア性機械強度に優れたフィルムにすることができる。
例えば、テンタ一式逐次二軸延伸方法による場合には、未延伸積層フィルムを70〜90℃の温度に加熱してロール式縦延伸機によって縦軸方向に2.5〜5倍に延伸し、続いてテンタ一式横延伸機によって100〜150℃の温度に加熱して横軸方向に2.6〜4.0倍に延伸することにより製造することができる。
他方、テンタ一式同時二軸延伸方法、またはチューブラー式同時二軸延伸方法による場合には、例えば100〜150℃の温度にて、縦横同時に、縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍に延伸することにより製造することができる。

0062

なお、未延伸積層フィルムは、延伸前に予熱することが好ましい。予熱温度(予熱炉体温度)は75〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、更に好ましくは90〜130℃である。予熱温度(予熱炉体温度)を当該温度範囲とすることで、延伸ムラが少なく、優れた機械物性を有する二軸延伸積層フィルムが得られる。なお、本明細書において「予熱温度(予熱炉体温度)」とは、同時二軸延伸の場合は、同時二軸延伸装置内の入り口付近予熱ゾーンの温度を意図しており、逐次二軸延伸の場合は、縦延伸機の延伸炉(ロール)の温度を意図している。
また予熱は、延伸炉内の炉体温度(予熱炉体温度)を上記温度に設定することに加えて、未延伸フィルムを加熱ロールと接触させたり、放射熱源IRヒーターハロゲンヒーター等)を用いてもよく、熱風を吹き付けてもよいなど、未延伸フィルムに直接熱をかける予熱処理をすることが好ましい。延伸炉の予熱炉体温度を特定の温度範囲にすることに加えて、未延伸フィルムに直接予熱をかけることにより、フィルムの熱ムラが減り、より均一に延伸することができる。中でも、未延伸フィルムに熱風を吹きつける操作が、より均一な延伸を可能とする点で好ましい。
予熱時間(予熱開始から延伸するまでの時間)は、5〜60秒の範囲が好ましく、より好ましくは7〜40秒、更に好ましくは10〜30秒である。予熱時間を当該時間とすることで、延伸ムラが少なく、優れた機械物性を有する二軸延伸積層フィルムが得られる。

0063

上記方法により延伸された積層フィルムは、その後、熱固定処理を施すことが好ましい。熱固定処理を施すことにより、二軸延伸フィルムの寸法安定性を良好なものとすることができる。
熱固定温度は、200〜220℃の範囲が好ましく、より好ましくは200〜210℃、更に好ましくは203〜205℃である。
また、熱固定時間は、5〜50秒の範囲が好ましく、より好ましくは8〜40秒、更に好ましくは10〜30秒である。
熱固定処理を行った後、ボーイング現象によりフィルム両端部の光軸安定性が損なわれない範囲、例えば0.5〜5%の範囲で横軸方向(TD)に弛緩処理トーイン)を行ってもよい。横軸方向(TD)の延伸倍率が高い場合はトーインを大きくすることが好ましい。

0064

本発明の二軸延伸積層フィルムは、延伸時の予熱条件、熱固定温度及び熱固定時間を適宜調整することにより、層(X)及び層(Y)の昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる各軟化温度を所望の範囲に制御することができる。本発明においては、予熱条件、熱固定温度及び熱固定時間を上記の範囲内で適宜調整することにより、層(Y)の軟化温度を200℃以上220℃以下の範囲に制御することができる。また、層(X)の軟化温度を180℃以上200℃以下の範囲に制御することができる。
層(Y)の軟化温度は、好ましくは202℃以上217℃以下、更に好ましくは205℃以上215℃以下、特に好ましくは205℃以上210℃以下である。層(Y)の軟化温度が上記の範囲であると、得られる二軸延伸積層フィルムのガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性を良好なものとすることができるだけでなく、レトルト時の収縮率を小さくすることができる。
また、層(X)の軟化温度は、好ましくは185℃以上200℃以下、更に好ましくは190℃以上199℃以下、特に好ましくは195℃以上198℃以下である。層(X)の軟化温度が上記の範囲であると、得られる二軸延伸積層フィルムのガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性を良好なものとすることができる。

0065

本発明の好ましい態様において、本発明の二軸延伸積層フィルムの製造方法は、下記一般式(I)で示される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、下記一般式(II)で示される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位とを有する芳香族ポリアミド(A)を主成分として含む層(X)と、脂肪族ポリアミド(B)を主成分として含む層(Y)とを有する未延伸積層フィルムを、予熱温度75〜150℃及び予熱時間5〜60秒の条件で予熱した後、縦軸方向(MD)に2.5〜5.0倍、且つ、横軸方向(TD)に2.6〜4.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸もしくは逐次二軸延伸を行った後、熱固定温度200℃〜220℃及び熱固定時間5〜50秒の条件で熱固定処理して、昇温速度100℃/秒で実施されるナノサーマルアナリシスによって得られる層(Y)の軟化温度を200℃〜220℃の範囲に調整することを含む。




[前記一般式(II)中、mは2〜18の整数を表す]

0066

本発明の二軸延伸積層フィルムは、優れたガスバリア性を有している。本発明の二軸延伸積層フィルムの23℃、相対湿度60%における酸素透過率は6.0〜8・5(ml/(m2・day・atm))の範囲であることが好ましく、より好ましくは6.3〜8.2、更に好ましくは6.5〜8.0である。

0067

また、本発明の二軸延伸積層フィルムは、優れた柔軟性を有している。本発明の二軸延伸積層フィルムのASTMD882に準じて測定した23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間調湿後の引張弾性率は、縦軸方向(MD)に2.5〜4.0GPaの範囲が好ましく、より好ましくは2.6〜3.5GPa、更に好ましくは2.7〜3.0GPaであり、横軸方向(TD)に2.5〜4.0GPaの範囲が好ましく、より好ましくは2.6〜3.5GPa、更に好ましくは2.7〜3.0GPaである。
また、ASTM D882に準じて測定した23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間調湿後の引張破断強度は、縦軸方向(MD)190〜240MPaの範囲が好ましく、より好ましくは195〜240MPa、更に好ましくは195〜240MPaであり、横軸方向(TD)に175〜210MPaの範囲が好ましく、より好ましくは180〜210MPa、更に好ましくは185〜210MPaである。
また、ASTM D882に準じて測定した23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間調湿後の引張破断伸びは、縦軸方向(MD)に110〜170%の範囲が好ましく、より好ましくは115〜170%、更に好ましくは120〜170%であり、横軸方向(TD)に110〜170%の範囲が好ましく、より好ましくは115〜170%、更に好ましくは120〜170%である。

0068

本発明の二軸延伸積層フィルムは、優れた耐屈曲性を有している。例えば、実施例に記載の方法で、本発明の二軸延伸積層フィルムに1000回ゲルボフレックステストを実施した時のピンホール数は、0〜10個/624cm3の範囲が好ましく、より好ましくは0〜8個/624cm3、更に好ましくは0〜5個/624cm3である。

0069

また、本発明の二軸延伸積層フィルムは、耐衝撃性の点でも優れている。ASTMD781に準じて測定される23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間調湿後の本発明の二軸延伸積層フィルムの衝撃穴あけ強度は、15〜30kg-cmの範囲が好ましく、より好ましくは18〜30kg-cm、更に好ましくは20〜30kg-cmである。

0070

本発明の二軸延伸積層フィルムは、上記の物性に加えて、レトルト時の収縮率が小さく寸法安定性に優れている。本発明の二軸延伸積層フィルムの実施例に記載した方法で測定した平均の収縮率であるレトルト時の収縮率は、0〜5%の範囲が好ましく、より好ましくは0〜4、更に好ましくは0〜3%である。

0071

また、本発明の二軸延伸積層フィルムは透明性が十分に高い。JIS K7105に準じて測定した23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1週間調湿後の本発明の二軸延伸積層フィルムのHAZE(ヘイズ)値は、0〜15%の範囲が好ましく、より好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜6%である。

0072

上記のように本発明の二軸延伸積層フィルムは、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性のバランスが良好であることから、食品、化粧品及び医薬品等の酸素による内容物の変質を嫌う製品を包装するためのフィルム又は包装体として好適に用いることができる。特に青果物鮮魚精肉などの吸湿及び乾燥などの変敗の影響を受けやすい食品を包装するためのフィルム又は収納するための包装体として好適に用いることができる。
本発明の二軸延伸積層フィルムは、レトルト処理時の収縮率が小さく寸法安定性に優れるため、電子レンジでの食品の加熱などの高温になる加熱調理時にも好適に使用することができ、食品包装用フィルムまたは食品包装体等として特に好適に用いることができる。
本発明の食品包装用フィルムは、使用時に所望の大きさにカットして用いることができる。また、本発明の食品包装体の形状は、包装される食品を適切な状態で包装し、保存できるものであれば特に制限されなく、包装される食品の形状等に応じて適宜選択すればよい。

0073

本発明の二軸延伸積層フィルムの厚みは、用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限されないが、フィルム強度、耐衝撃性、バリア性、ドライラミネーションのし易さ、コスト等の観点からは10〜50μmの範囲が好ましく、より好ましくは12〜40μm、更に好ましくは15〜30μmである。

0074

なお、本発明の二軸延伸積層フィルムには、片方の面あるいは両方の面にシーラント層が配置されていてもよい。
シーラント層を構成するフィルム材料としては、ヒートシール性を有する各種の可撓性ポリマーフィルムを使用することができ、それらの中から目的及び用途に応じて適宜選択すればよい。良好なヒートシール性の発現を考慮した場合には、低密度ポリエチレン高密度ポリエチレン線状低密度ポリエチレンポリプロピレンポリブテン、これらの共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体変性ポリオレフィン樹脂及びこれらの混合物を使用することが好ましい。中でも、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンを使用することが好ましい。これらフィルムの表面には火炎処理及びコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
シーラント層の厚みは、5〜300μmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは5〜80μmである。

0075

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例及び比較例において、以下に示す測定法及び評価法を採用した。

0076

(1)軟化温度測定
<試料調製>
実施例又は比較例で得られた二軸延伸積層フィルムを、4〜5cm角にハサミ切り、20数枚重ねて、一端をホッチキスで固定した。その後、テフロン登録商標シート上で、常温硬化型エポキシ樹脂(丸本ストルアス製 EpoFix kit)を試料間に滴下し張り合わせた。エポキシ樹脂で張り合わせた後、試料上部をテフロン(登録商標)シートで覆い、金属板重りを載せて、一晩放置した。一晩放置後は、積層した状態で固化しているため、一部を切り出し、ウルトラミクロトームライカマイクロシステムズ製)を用いて、下記条件で鏡面を露出した断面試料を作成した。なお、表面出し及び鏡面出しの切削はいずれも常温で行った。
・表面出し
使用ナイフガラスナイフ逃げ角:6°)
設定厚み:3−5μm
切削速度:任意(手動
・鏡面出し
使用ナイフ:35°ダイヤモンドナイフ
設定厚み:0.2〜0.5μm
切削速度:1.0mm/秒
<ナノサーマルアナリシス>
鏡面状に仕上げた断面試料を用いて、ナノサーマルアナリシス分析を下記装置、条件で実施した。
測定はSPM(走査型プローブ顕微鏡)で二軸延伸多層フィルムの断面を見ながら、サーマルカンチレバーを約1μmの間隔で走査させながら各層の軟化温度を測定し、測定点10点の平均値を各層の軟化温度とした。
・装置:アナシス社製ナノサーマルアナリシス装置VESTA
・条件:開始温度:50℃
終了温度:380℃
昇温速度:100℃/秒
冷却速度:100℃/秒
サンプリング速度:100pt/秒
プローブ:N200
荷重:1.5KV

0077

(2)引張強度試験
引張試験機(株式会社東洋精機製作所製、製品名「ストログラフV1−C」)を用いて、ASTMD882に準じて、実施例又は比較例で得られたフィルムを、23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間調湿後、引張弾性率、引張破断強度、引張破断伸びを測定した。

0078

(3)HAZE
値測定装置(日本電色工業社製、製品名「COH−300A」)を用いて、JIS−K−7105に準じて、実施例又は比較例で得られたフィルムを、23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間調湿後、HAZEを測定した。

0079

(4)レトルト処理による収縮率
実施例又は比較例で得られた二軸延伸積層フィルムに油性フェルトペンで10cm角の正方形を書いた。次に121℃で30分間レトルト処理を行い、レトルト処理後の正方形の各辺の長さを測定し、その平均値を測定した。レトルト処理後の正方形の一辺の長さの平均値を、レトルト処理前の正方形の一辺の長さで除した値を、レトルト処理による収縮率として算出した。

0080

(5)厚み測定
以下の厚み測定機を使用して、延伸前及び延伸後の積層フィルムの各層の厚みを測定した。
測定機器:グンゼ製多層膜厚測定装置DC−8200

0081

(6)酸素透過率
Mocon社製OXTRAN2/21SHを用いて、ASTMD3985に準じて、23℃、60%RH(相対湿度)の雰囲気下で、酸素透過率の値が安定するまで測定を実施した。

0082

(7)耐屈曲性(ピンホール数/624cm2)
理学工業(株)製、ゲルボーフレックステスターを用いて、下記の方法に従いピンホール数を測定した。
23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間、実施例又は比較例で得られた二軸延伸積層フィルム(30.48cm×20.32cm)を調湿後、直径8.89cmの円筒状にし、円筒状フイルムの一端をゲルボフレックステスターの固定ヘッド側に、他の端を可動ヘッド側に固定し、初期把持間隔を17.78cmとした。ストロークの最初の8.89cmで440度のひねりを与え、その後6.35cmは直線水平運動で全ストロークを終えるような屈曲疲労を、40回/分の速さで、1000回行い、積層フイルムに発生した624cm2当たりのピンホール数を数えた。なお、測定は23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で行った。

0083

(8)衝撃穴あけ強度
23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気下で1週間、実施例又は比較例で得られた二軸延伸積層フィルムを調湿後、ASTMD781に準じ、東測精密工業(株)製、フィルムインパクト試験機型式:ITF−60)を用いて実施した。

0084

実施例1
撹拌機分縮器、全縮器圧力調整器温度計滴下槽ポンプアスピレーター窒素導入管、底排弁、及びストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精したアジピン酸13000g(88.95mol)、次亜リン酸ナトリウム0.3749g(0.0035mol)、酢酸ナトリウム0.1944g(0.0024mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、反応容器内を0.4MPaGに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。
170℃に到達後、反応容器内の溶融した原料に対し、滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン12042g(88.42mol)の滴下を開始し、反応容器内の圧力を0.4MPaGに保ち、生成する縮合水を系外へ除きながら、反応容器内を連続的に260℃まで昇温した。
メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応容器内を80kPaGに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応容器内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化した。
次にこのペレットを、ステンレス製回転ドラム式加熱装置に仕込み、5min−1で回転させた。そして、十分に窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温(23℃)から150℃まで昇温した。反応系内温度が150℃に達した時点で1torr以下まで減圧を行い、さらに反応系内の温度を110分間で190℃まで昇温した。反応系内の温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、固相重合反応を継続した。
反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて反応系内の温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、MXDA/AA共重合体(MXDA:AA=49.85:50.15(mol%))である芳香族ポリアミド(A1)を得た。
得られた芳香族ポリアミド(A1)と、ポリ−ε−カプロアミド(宇部興産株式会社製ナイロン61022B)(脂肪族ポリアミド(B1))とを、65mmφ押出機3台を使用して、芳香族ポリアミド(A1)は、1台の押出機を260℃に設定し、脂肪族ポリアミド(B1)は2台の押出機を用いて、それぞれの押出機を240℃に設定し、それぞれ溶融させ、250℃設定のアダプターを通過させ、Tダイ内で積層させて3層構造(Y/X/Y)の積層フィルムとして押出した。
30℃のキャストロールピニング装置を用いて密着急冷し、Y/X/Y=60/60/60μmの多層原反フィルム(未延伸積層フィルム)を得た。得られた未延伸積層フィルムを、クリップ式同時二軸延伸機にて予熱吹付温度85℃、予熱炉体温度120℃にて30秒間保持した後に、縦軸方向に3.4倍、横軸方向に3.4倍延伸し、このフィルムの端部をテンタークリップで保持して、テンターオーブン内で、205℃で30秒間の熱固定処理を行った。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。結果を表1に示す。

0085

<実施例2>
熱固定温度を215℃、熱固定時間を10秒にしたこと以外は、実施例1と同様に積層二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0086

<実施例3>
熱固定時間を10秒にしたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0087

<実施例4>
層(Y)を構成するポリアミドを、芳香族ポリアミド(A1):脂肪族ポリアミド(B1)=5:95重量%の混合物とし、熱固定時間を10秒にしたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0088

<実施例5>
層(X)を構成するポリアミドを、芳香族ポリアミド(A1)に、柔軟成分(C1)として、エチレン含量が80重量%、無水マレイン酸変性率0.1%のエチレン—メチルアクリレート共重合体(Dupont社製DPA21E810)を配合し、芳香族ポリアミド(A1):柔軟成分(C1)=90:10重量%の混合物としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0089

<実施例6>
層(X)を構成するポリアミドを、芳香族ポリアミド(A1)に、柔軟成分(C2)として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール65重量%を含有するポリエステルエラストマーと、無水マレイン酸を0.5重量%及びラジカル発生剤として0.05重量%を温度230℃ で反応させたポリエステルエラストマー(三菱化学株式会社製プリマロイAPIF138)を配合し、芳香族ポリアミド(A1):柔軟成分(C2)=95:5重量%の混合物としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0090

<実施例7>
層(X)を構成するポリアミドを、芳香族ポリアミド(A1)に、柔軟成分(C3)として、スチレン系エラストマー(クレイトンポリマージパン株式会社製スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体クレイトンG1657)を配合し、芳香族ポリアミド(A1):柔軟成分(C3)=97:3重量%の混合物としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0091

<実施例8>
層(X)を構成するポリアミドを、芳香族ポリアミド(A1)に、柔軟成分(C2)として、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを65重量%を含有するポリエステルエラストマーと、無水マレイン酸を0.5重量%及びラジカル発生剤として0.05重量%を温度230℃で反応させたポリエステルエラストマー(三菱化学株式会社製プリマロイAPIF138)を配合して、芳香族ポリアミド(A1):柔軟成分(C2)=95:5重量%の混合物とし、層(Y)を構成するポリアミドを、芳香族ポリアミド(A1):脂肪族ポリアミド(B1)=5:95重量%の混合物としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0092

<比較例1>
熱固定温度を210℃としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0093

<比較例2>
熱固定温度を215℃、熱固定時間を30秒にしたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムの厚みは、18.1μmであった。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0094

<比較例3>
予熱時間を30秒としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0095

<比較例4>
予熱時間を30秒、熱固定温度を210℃としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0096

<比較例5>
予熱吹付温度を70℃、予熱炉体温度を70℃としたこと以外は、実施例1と同様に二軸延伸積層フィルムを得た。得られた二軸延伸積層フィルムについて、前記(1)〜(8)の物性を評価した。

0097

0098

実施例

0099

これらの結果に示されるとおり、本願実施例で得られた二軸延伸積層フィルムは、ガスバリア性、耐屈曲性、透明性、耐衝撃性及び柔軟性が良好であり、さらにレトルト時の収縮率が小さく寸法安定性の点でも優れていることがわかった。
一方、比較例で得られた二軸延伸積層フィルムは、柔軟性、耐屈曲性及び耐衝撃性に劣ることがわかった。また、層(X)の軟化温度が2点検出され、均一に適切な結晶化度の状態で延伸されていないことを示す結果となった。

0100

本発明の二軸延伸積層フィルムは、食品、化粧品及び医薬品等の酸素による内容物の変質を嫌う各種製品の包装として好適に用いることができる。本発明の二軸延伸積層フィルムは、加熱処理などが必要とされる食品の包装用フィルムまたは包装体として特に有用である。

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