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技術 溶接接合構造および溶接接合方法

出願人 日立GEニュークリア・エナジー株式会社
発明者 丸野祐策宮田肇茂中尚登
出願日 2015年1月7日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2015-001234
公開日 2016年7月11日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-124017
状態 特許登録済
技術分野 アーク溶接一般 原子力プラント 処理全般、補助装置、継手、開先形状
主要キーワード 溶接接合構造 材料条件 地熱発電設備 加工硬化層 プラント構成部材 進展方向 配管外面 原子力設備
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この項目の情報は公開日時点(2016年7月11日)のものです。
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図面 (7)

課題

溶接熱影響部近傍より応力腐食割れが発生し、材料内部へき裂進展した場合でも、き裂進展経路上でき裂の進展を抑制する。

解決手段

溶接構造物における接合部となる突き合わせ部に開先加工が施され、その後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属肉盛りされた溶接接合構造において、少なくとも前記開先加工部の母材金属と接する溶接パスと、環境と接する溶接パスが、結晶粒径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織で構成される。また、溶接構造物における接合部となる突き合わせ部に開先加工を施し、その後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属が肉盛りした溶接接合方法において、少なくとも前記開先加工部の母材金属と接する溶接パスと、環境と接する溶接パスを、結晶粒径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織で構成する。

概要

背景

原子力発電プラントでは、高温高圧純水に接して使用されるオーステナイト系ステンレス鋼(Fe基合金)製の配管及び炉内構造物等,並びにNi基合金の炉内構造物等の溶接部近傍において、応力腐食割れによるひびの損傷事例が報告されている。

応力腐食割れとは、材料条件環境条件応力条件が一定の条件で重畳した場合に発現する経年劣化事象の一つであり、これまでに、様々な対策技術が開発され、原子力発電プラントの配管及び炉内構造物等に適用されてきた。

例えば、炭素含有量の高いステンレス鋼溶接した際、熱影響部結晶粒界上にクロム炭化物が形成されることにより、その近傍にクロム欠乏層ができ、耐食性が低下して応力腐食割れ発生の原因となることが分かった。本事象を解決する材料面からの改善策として、ステンレス鋼中の炭素含有量を減らし、溶接時の熱鋭敏化を抑制した低炭素系ステンレス鋼が開発され、原子力発電プラントの配管及び炉内構造物等に適用されている。

一般的に、ステンレス鋼製の配管及び構造物を溶接する場合には、図1に示すように、溶接接合するプラント構成部材の各端面に加工された開先を、互いに突合せ、この突合せ部に溶接金属多層盛りして溶接する。

近年、低炭素系ステンレス鋼を使用した再循環系配管等において、図1中の配管内面3に位置する溶接熱影響部6の内表面に、加工硬化層が存在すると応力腐食割れが発生し、これが配管内面3から配管外面2方向に溶接熱影響部6を進展した後に、溶接金属5に達している事例が報告されている。

尚、一般的に配管内面3に位置する溶接熱影響部6の内表面の加工硬化層から発生した応力腐食割れは、溶接残留応力の作用により、配管内面3の表面から板厚方向に配管外面2方向に進展する際に、溶接金属5の方向に徐々に進展方向を変えながら、溶接金属5へ進展することが知られている。

また、一般的にステンレス鋼製の配管及び構造物を溶接する場合には、図2に示すように、溶接金属5中の溶接金属組織であるデンドライト組織は、溶接時の溶湯温度勾配に従い、溶接金属組織のマクロ成長方向7は溶接を開始した配管内面3から溶接を終了した配管外面2の板厚方向に整合した成長方向となる。

さらに、溶接金属5の溶接金属組織を詳細に観察すると、図2中(b)に示した様に、溶接金属が接する配管1に対し、溶接金属組織のミクロ的成長方向8は、結晶学的にエピタキシャル方位を維持したまま成長する。

すなわち、配管内面3に位置する溶接熱影響部6の内表面の加工硬化層から発生した応力腐食割れが、溶接残留応力の作用により、配管内面3の表面から板厚方向に配管外面2方向に進展した後に、溶接金属5に達した際、応力腐食割れは溶接金属組織の成長方向に沿って、図2中(c)のδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の界面を進展する問題があった。

更に、溶接金属5内に進展した応力腐食割れは、溶接金属組織の複雑さからそのき裂先端位置を超音波探傷等の非破壊検査法にて検知することが困難であった。また、図3に示すように、応力腐食割れはき裂長さ50μm以下の範囲においては進展性を持たないが、50μmを超えるとき裂同士の合体等によりその長さ及び深さが急激に増加し、以降進展性のき裂となり、材料内部を進展することが明らかとなった。

日本機械学会発電用原子力設備維持規格に従い、健全性が確認された場合は、割れを有したままの原子力発電プラントの継続運転を認めているが、配管や構造物等の溶接部における信頼性向上の観点から、溶接熱影響部や溶接金属中での応力腐食割れの進展を抑制することは、極めて重要な対策の一つと考えられる。

この溶接熱影響部6や溶接金属中5での応力腐食割れの進展を抑制する対策として、耐応力腐食割れ性を向上した配管の溶接接合工法が、特許文献1で提案されている。特許文献1に記載されている配管の溶接接合工法は、配管の接合端部近傍の内面に、配管の母材よりも耐応力腐食割れ性に優れた材料を用いて肉盛を施し、この肉盛された配管の接合端部に、肉盛部の少なくとも一部を残して開先を形成し、肉盛部同士を突合わせて溶接接合している。

一方、特許文献2には、配管の肉盛溶接方法が記載されている。この特許文献2では、配管を溶接する前に、配管の開先加工部に応力腐食割れ進展方向と交差する方向に溶接金属のデンドライト組織を成長させた肉盛溶接層を形成し、その後、肉盛溶接層同士を溶接接合している。配管の開先加工部において、配管の外面側から内面側に向かって肉盛を行うことによって、上記したように、応力腐食割れ進展方向と交差する方向に溶接金属のデンドライト組織を成長させることができる。

この配管の溶接接合構造では、配管内面側の溶接熱影響部付近で発生した応力腐食割れが、応力腐食割れ進展方向と交差する方向に形成されたデンドライト組織によって、溶接金属の内部に進展することを抑制している。

更に、特許文献3には、配管内面側の溶接熱影響部の近傍でプラント構成部材の表面に発生した応力腐食割れにより生じたき裂が、溶接金属の内部に進展することを抑制している溶接接合構造が記載されている。

この方法では、開先加工部に複数層溶接パスによる肉盛部を有し、この肉盛部において、下層である第1溶接と、この第1溶接パスと隣り合って第1溶接パスの上に施された上層である第2溶接パスの境界に沿って、下層の溶接パス内に微細化したδ-フェライト相9を形成する。

δ-フェライト相9は、一方向に伸びδフェライト相9の、その方向での連続性分断された状態であり、δ-フェライト相9よりも長さが短くなり、また、δ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の間の界面の連続性が、図2のδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の間の界面の連続性よりも低くなっている。

そして、特許文献3では、隣り合う溶接パスの境界に沿って存在する連続性が分断されたδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の領域が、200μm〜1000μmの幅を有して形成され、これにより、応力腐食割れの進展経路であるδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の界面を分断できるため、配管内面側の溶接熱影響部6の近傍でプラント構成部材の表面に発生した応力腐食割れにより生じたき裂が、溶接金属5の内部に向かって深く進展することを抑制している。

概要

溶接熱影響部近傍より応力腐食割れが発生し、材料内部へき裂が進展した場合でも、き裂進展経路上でき裂の進展を抑制する。溶接構造物における接合部となる突き合わせ部に開先加工が施され、その後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属が肉盛りされた溶接接合構造において、少なくとも前記開先加工部の母材金属と接する溶接パスと、環境と接する溶接パスが、結晶粒径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織で構成される。また、溶接構造物における接合部となる突き合わせ部に開先加工を施し、その後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属が肉盛りした溶接接合方法において、少なくとも前記開先加工部の母材金属と接する溶接パスと、環境と接する溶接パスを、結晶粒径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織で構成する。

目的

本発明の目的は、溶接熱影響部近傍より応力腐食割れが発生し、材料内部へき裂が進展した場合でも、き裂進展経路上でき裂の進展を抑制することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

溶接構造物における接合部となる突き合わせ部に開先加工が施され、その後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属肉盛りされた溶接接合構造において、少なくとも前記開先加工部の母材金属と接する溶接パスと、環境と接する溶接パスが、結晶粒径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織で構成されることを特徴とする溶接接合構造。

請求項2

溶接構造物における接合部となる突き合わせ部に開先加工を施し、その後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属が肉盛りした溶接接合方法において、少なくとも前記開先加工部の母材金属と接する溶接パスと、環境と接する溶接パスを、結晶粒径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織で構成することを特徴とする溶接接合方法。

請求項3

請求項2において、前記溶接金属組織を、超音波攪拌溶接磁気攪拌溶接或いは摩擦攪拌溶接の何れかの攪拌手段により形成することを特徴とする溶接接合方法。

技術分野

0001

本発明は溶接接合構造および溶接接合方法に関する。

背景技術

0002

原子力発電プラントでは、高温高圧純水に接して使用されるオーステナイト系ステンレス鋼(Fe基合金)製の配管及び炉内構造物等,並びにNi基合金の炉内構造物等の溶接部近傍において、応力腐食割れによるひびの損傷事例が報告されている。

0003

応力腐食割れとは、材料条件環境条件応力条件が一定の条件で重畳した場合に発現する経年劣化事象の一つであり、これまでに、様々な対策技術が開発され、原子力発電プラントの配管及び炉内構造物等に適用されてきた。

0004

例えば、炭素含有量の高いステンレス鋼溶接した際、熱影響部結晶粒界上にクロム炭化物が形成されることにより、その近傍にクロム欠乏層ができ、耐食性が低下して応力腐食割れ発生の原因となることが分かった。本事象を解決する材料面からの改善策として、ステンレス鋼中の炭素含有量を減らし、溶接時の熱鋭敏化を抑制した低炭素系ステンレス鋼が開発され、原子力発電プラントの配管及び炉内構造物等に適用されている。

0005

一般的に、ステンレス鋼製の配管及び構造物を溶接する場合には、図1に示すように、溶接接合するプラント構成部材の各端面に加工された開先を、互いに突合せ、この突合せ部に溶接金属多層盛りして溶接する。

0006

近年、低炭素系ステンレス鋼を使用した再循環系配管等において、図1中の配管内面3に位置する溶接熱影響部6の内表面に、加工硬化層が存在すると応力腐食割れが発生し、これが配管内面3から配管外面2方向に溶接熱影響部6を進展した後に、溶接金属5に達している事例が報告されている。

0007

尚、一般的に配管内面3に位置する溶接熱影響部6の内表面の加工硬化層から発生した応力腐食割れは、溶接残留応力の作用により、配管内面3の表面から板厚方向に配管外面2方向に進展する際に、溶接金属5の方向に徐々に進展方向を変えながら、溶接金属5へ進展することが知られている。

0008

また、一般的にステンレス鋼製の配管及び構造物を溶接する場合には、図2に示すように、溶接金属5中の溶接金属組織であるデンドライト組織は、溶接時の溶湯温度勾配に従い、溶接金属組織のマクロ成長方向7は溶接を開始した配管内面3から溶接を終了した配管外面2の板厚方向に整合した成長方向となる。

0009

さらに、溶接金属5の溶接金属組織を詳細に観察すると、図2中(b)に示した様に、溶接金属が接する配管1に対し、溶接金属組織のミクロ的成長方向8は、結晶学的にエピタキシャル方位を維持したまま成長する。

0010

すなわち、配管内面3に位置する溶接熱影響部6の内表面の加工硬化層から発生した応力腐食割れが、溶接残留応力の作用により、配管内面3の表面から板厚方向に配管外面2方向に進展した後に、溶接金属5に達した際、応力腐食割れは溶接金属組織の成長方向に沿って、図2中(c)のδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の界面を進展する問題があった。

0011

更に、溶接金属5内に進展した応力腐食割れは、溶接金属組織の複雑さからそのき裂先端位置を超音波探傷等の非破壊検査法にて検知することが困難であった。また、図3に示すように、応力腐食割れはき裂長さ50μm以下の範囲においては進展性を持たないが、50μmを超えるとき裂同士の合体等によりその長さ及び深さが急激に増加し、以降進展性のき裂となり、材料内部を進展することが明らかとなった。

0012

日本機械学会発電用原子力設備維持規格に従い、健全性が確認された場合は、割れを有したままの原子力発電プラントの継続運転を認めているが、配管や構造物等の溶接部における信頼性向上の観点から、溶接熱影響部や溶接金属中での応力腐食割れの進展を抑制することは、極めて重要な対策の一つと考えられる。

0013

この溶接熱影響部6や溶接金属中5での応力腐食割れの進展を抑制する対策として、耐応力腐食割れ性を向上した配管の溶接接合工法が、特許文献1で提案されている。特許文献1に記載されている配管の溶接接合工法は、配管の接合端部近傍の内面に、配管の母材よりも耐応力腐食割れ性に優れた材料を用いて肉盛を施し、この肉盛された配管の接合端部に、肉盛部の少なくとも一部を残して開先を形成し、肉盛部同士を突合わせて溶接接合している。

0014

一方、特許文献2には、配管の肉盛溶接方法が記載されている。この特許文献2では、配管を溶接する前に、配管の開先加工部に応力腐食割れ進展方向と交差する方向に溶接金属のデンドライト組織を成長させた肉盛溶接層を形成し、その後、肉盛溶接層同士を溶接接合している。配管の開先加工部において、配管の外面側から内面側に向かって肉盛を行うことによって、上記したように、応力腐食割れ進展方向と交差する方向に溶接金属のデンドライト組織を成長させることができる。

0015

この配管の溶接接合構造では、配管内面側の溶接熱影響部付近で発生した応力腐食割れが、応力腐食割れ進展方向と交差する方向に形成されたデンドライト組織によって、溶接金属の内部に進展することを抑制している。

0016

更に、特許文献3には、配管内面側の溶接熱影響部の近傍でプラント構成部材の表面に発生した応力腐食割れにより生じたき裂が、溶接金属の内部に進展することを抑制している溶接接合構造が記載されている。

0017

この方法では、開先加工部に複数層溶接パスによる肉盛部を有し、この肉盛部において、下層である第1溶接と、この第1溶接パスと隣り合って第1溶接パスの上に施された上層である第2溶接パスの境界に沿って、下層の溶接パス内に微細化したδ-フェライト相9を形成する。

0018

δ-フェライト相9は、一方向に伸びδフェライト相9の、その方向での連続性分断された状態であり、δ-フェライト相9よりも長さが短くなり、また、δ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の間の界面の連続性が、図2のδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の間の界面の連続性よりも低くなっている。

0019

そして、特許文献3では、隣り合う溶接パスの境界に沿って存在する連続性が分断されたδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の領域が、200μm〜1000μmの幅を有して形成され、これにより、応力腐食割れの進展経路であるδ-フェライト相9とγ-オーステナイト相10の界面を分断できるため、配管内面側の溶接熱影響部6の近傍でプラント構成部材の表面に発生した応力腐食割れにより生じたき裂が、溶接金属5の内部に向かって深く進展することを抑制している。

先行技術

0020

特開2005−28405号公報
特開2009−39734号公報
特願2011−206809号公報

発明が解決しようとする課題

0021

しかし上記特許文献のものでは、き裂進展経路上でき裂の進展を抑制することについて改良の余地がある。

0022

本発明の目的は、溶接熱影響部近傍より応力腐食割れが発生し、材料内部へき裂が進展した場合でも、き裂進展経路上でき裂の進展を抑制することにある。

課題を解決するための手段

0023

上記課題を解決するため、例えば特許請求の範囲に記載された構成を採用する。

発明の効果

0024

本発明によれば、溶接熱影響部近傍より応力腐食割れが発生し、材料内部へき裂が進展した場合でも、き裂進展経路上でき裂の進展を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0025

従来の溶接接合構造を示す縦断面図
図1に示す溶接部の溶接凝固組織を示す説明図
オーステナイト系ステンレス鋼の耐応力腐食割れ性試験結果を示す説明図
本発明の溶接施工方法による溶接凝固組織を示す説明図
本発明の実施例1の溶接施工方法による溶接凝固組織を示す説明図
本発明の実施例1における溶接施工方法の概念

0026

溶接金属部5を応力腐食割れが進展する場合、その進展経路はマクロ的な溶接金属組織成長方向7だけではなく、ミクロ的溶接金属の成長方向8にも影響されることが明らかとなっている。

0027

よって本実施形態では、接合部となる部分に開先加工を施した後に、該開先加工部の突合せ部に溶接金属を肉盛りする溶接施工方法においてし、少なくとも原子炉環境並びに冷却水環境等に接する溶接パスにおける溶接金属と、少なくとも開先部の母材金属と接する溶接パスにおける溶接金属を、図4に示す様なδ-フェライト相の粒子径が50μm以下のセル状組織を有する溶接金属組織とする。

0028

以下、図面を参照しながら詳細を説明する。

0029

図5には、オーステナイト系ステンレス鋼配管への本実施例による溶接施工例を示す。溶接対象となる配管1の突合せ部に開先加工を施し、図1の手順1に示すように開先加工部4を形成する。その後、開先加工部4を突合せ、図5の手順2に示すように、開先加工部4に配管1の配管内面3から配管外面2へ向けて溶接金属を積層させる。

0030

溶接金属を積層させる際に、図5に示した様に配管内面3側の原子炉環境或いは冷却水環境に接触する内表面の溶接金属パス及び、配管1及び開先加工部4と接触する溶接金属パスを、例えば図6(b)に示した超音波攪拌溶接等で施工することにより、図4に示した組織連続性の低いセル状組織を形成させた攪拌溶接層11を設ける。

0031

配管内面3側の原子炉環境或いは冷却水環境に接触する内表面の溶接金属パス以外、並びに配管1及び開先加工部4と接触する溶接金属パス以外の溶接パスは図6(a)に示した通常の溶接方法にて施工する。

0032

前記の溶接は、いずれも入熱量が20kj/cm未満で、TIG溶接にて実施する。また、前層の溶接パスを施工後、次層の溶接パスを施工する際の前層パス近傍の溶接金属5の温度が、350℃未満となる条件で溶接を実施することが望ましい。また、TIG溶接以外に被覆アーク溶接或いはサブマージアーク溶接等を適用してもよい。

0033

本実施例によれば、配管内面3上に位置する溶接金属11及び配管1及び開先加工部4の母材金属と接する溶接パスにおける溶接金属11の溶接金属組織を、図4に示した組織連続性の低いセル状組織とすることが可能となる。また、本実施例によれば、溶接金属11の溶接金属中におけるδ-フェライト相9の粒子径を50μm以下に分散させることが可能となり、溶接熱影響部6近傍より応力腐食割れが発生し、材料内部へき裂が進展した場合でも、溶接金属5及び溶接金属11に進展してきた応力腐食割れのき裂の進展を、溶接金属11の領域で抑制することができる。

0034

尚、上述した実施例では、原子力発電プラントの再循環系配管のFe基合金であるステンレス鋼溶接構造物について説明したが、シュラウド等の溶接継手のFe基合金であるステンレス鋼溶接構造物並びに炉底部におけるNi基合金の溶接構造物に適用できることは言うまでもない。

0035

また、Ni基合金の溶接構造物に本発明を適用する場合、Ni基合金はオーステナイト相単相合金である為、上述した実施例におけるδ-フェライト相の代替として、Ni基合金におけるオーステナイト相の結晶粒径を50μmとすることで、同等の耐応力腐食割れ性を付与することが可能である。

0036

更に、本実施例では、配管内面3上に位置する溶接金属11及び配管1及び開先加工部4の母材金属と接する溶接パスにおける溶接金属11の形成に、超音波攪拌溶接を用いた例を示したが、溶接金属組織を攪拌可能な方法であれば、例えば摩擦攪拌溶接磁気攪拌溶接等を用いても良い。

実施例

0037

加えて、本実施例では、組織連続性の低いセル状組織を形成させた攪拌溶接層11を、配管内面3側の原子炉環境或いは冷却水環境に接触する内表面の溶接金属パス及び、配管1及び開先加工部4と接触する溶接金属パスに設けたが、全ての溶接金属5を攪拌溶接層11としても良い。

0038

本発明は、溶接施工方法及び溶接接合構造並びにNi基及びFe基合金の溶接構造物に係り、例えば、原子力発電プラントの高温高圧純水に接して使用される炉内構造物並びに配管等に適用するに好適な溶接施工方法及び溶接接合構造並びにNi基及びFe基合金の溶接構造物に関わり、その耐応力腐食割れ性を向上させる効果が得られるものであるが、腐食環境にて使用される構造物、例えば火力発電設備地熱発電設備海水中で使用される機器、並びに油田及びガス田環境中にて使用される機器の溶接施工法、溶接接合構造、溶接構造物へ適用し、その耐食性を向上させることにも利用できる。

0039

1配管
2配管外面
3配管内面
4開先加工部
5溶接金属
6溶接熱影響部
7溶接金属組織のマクロ的成長方向
8 溶接金属組織のミクロ的成長方向
9 δ-フェライト相
10 γ-オーステナイト相
11攪拌溶接層
12溶融池
13溶接電極
14シールドガス
15アーク
16ノズル
17溶加材
18 超音波振動子

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