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技術 ステンレス材の溶接方法

出願人 クリナップ株式会社
発明者 吉江邦将上遠野政信半道進一鈴木治人
出願日 2014年12月26日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-264331
公開日 2016年7月11日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-123986
状態 特許登録済
技術分野 3次曲面及び複雑な形状面の研削,研磨等 仕上研磨、刃砥ぎ、特定研削機構による研削 アーク溶接一般 処理全般、補助装置、継手、開先形状
主要キーワード ベルト研磨機 アーク溶接後 発生範囲 被溶接部位 ステンレス基材 天板同士 キッチン天板 研磨ベルト
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

アーク溶接時に表面処理ステンレス材表面処理層白化面積を低減することを可能とする。

解決手段

少なくとも1つの表面処理ステンレス材2を含む複数のステンレス材を溶接するステンレス材の溶接方法。表面処理ステンレス材2の溶接を行う部位の表面処理層22を除去しステンレス基材21が露出した、被溶接部位となる露出部23を形成し、表面処理ステンレス材2の露出部23と露出部23の周縁部を加熱し、表面処理ステンレス材2の露出部23と他のステンレス材の被溶接部位とを当接し、表面処理ステンレス材2の露出部23と他のステンレス材の被溶接部位との当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接を行い、アーク溶接後の表面処理ステンレス材2の露出部23周辺の表面処理層22に発生した表面処理層の白化部分を研磨により除去する。

概要

背景

従来、水周り、特にキッチンに用いられるステンレス材は、水滴が付着し汚れ易いため、こうしたステンレス材に汚れが付着しにくくする、または取り除き易くする技術が求められていた。

こうした技術の一例として、特許文献1には、ステンレス材に対してケイ酸を含むコーティング剤を用いて表面処理を行い、Si、Li及びNaを含む溶液を塗布した後、これを焼成することで良好な外観親水性とを備えた表面処理ステンレス材を得る技術が開示されている。こうして生成された表面処理ステンレス材は、キッチンにおいては特にシンク用に用いられる。

一方で、ステンレス材を用いた天板とシンクの接合や、天板同士の接合のために当該ステンレス材同士をTIG(Tungsten Inert Gas)溶接MIG(Metal Inert Gas)溶接、MAG(Metal Active Gas)溶接等のアーク溶接を用いて接合する方法が知られている。

上述した表面処理を施したステンレス材を用いて溶接を行う場合、コーティング電流阻害するために適切な溶接をすることができない。導電性を阻害するコーティングがされたステンレス材を用いて溶接を行う技術の一例として、特許文献2には、コーティングの一部を研磨除去し、ステンレス材の導電性を確保する技術が開示されている。

概要

アーク溶接時に表面処理ステンレス材の表面処理層白化面積を低減することを可能とする。少なくとも1つの表面処理ステンレス材2を含む複数のステンレス材を溶接するステンレス材の溶接方法。表面処理ステンレス材2の溶接を行う部位の表面処理層22を除去しステンレス基材21が露出した、被溶接部位となる露出部23を形成し、表面処理ステンレス材2の露出部23と露出部23の周縁部を加熱し、表面処理ステンレス材2の露出部23と他のステンレス材の被溶接部位とを当接し、表面処理ステンレス材2の露出部23と他のステンレス材の被溶接部位との当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接を行い、アーク溶接後の表面処理ステンレス材2の露出部23周辺の表面処理層22に発生した表面処理層の白化部分を研磨により除去する。

目的

本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、アーク溶接時に表面処理層の白化面積を低減することのできるステンレス材の溶接方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

表面処理ステンレス材と表面非処理ステンレス材とを溶接するステンレス材の溶接方法であって、前記表面処理ステンレス材の溶接を行う部位の表面処理層を除去しステンレス基材露出した、被溶接部位となる露出部を形成する表面処理層除去工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部及び前記露出部の周縁部を加熱するプレヒート工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部と前記表面非処理ステンレス材の被溶接部位とを当接する当接工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部と前記表面非処理ステンレス材の前記被溶接部位との当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接を行う溶接工程と、前記アーク溶接後の前記表面処理ステンレス材の前記露出部の周辺に発生した前記表面処理層の白化部分を研磨により除去する研磨工程と、を有することを特徴とするステンレス材の溶接方法。

請求項2

表面処理ステンレス材同士を溶接するステンレス材の溶接方法であって、前記表面処理ステンレス材の溶接を行う部位の表面処理層を除去しステンレス基材が露出した、被溶接部位となる露出部を形成する表面処理層除去工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部及び前記露出部の周縁部を加熱するプレヒート工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部同士を当接する当接工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部同士が当接した当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接を行う溶接工程と、前記アーク溶接後の前記表面処理ステンレス材の前記露出部の周辺に発生した前記表面処理層の白化部分を研磨により除去する研磨工程と、を有することを特徴とするステンレス材の溶接方法。

請求項3

前記プレヒート工程は320℃以上の温度で加熱することを特徴とする請求項1又は2記載のステンレス材の溶接方法。

請求項4

前記当接工程と前記溶接工程との間において、前記表面処理ステンレス材の表裏において、前記露出部を所定の間隔をあけて純銅板で覆う被覆工程を備え、前記溶接工程においては、前記純銅板の前記間隔から前記露出部と前記他のステンレス材の前記被溶接部位との当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接が行われ、前記溶接工程と前記研磨工程との間に、前記純銅板を取り除く除去工程とを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のステンレス材の溶接方法。

請求項5

前記純銅板による前記被覆工程は、前記表面ステンレス材に取り付けられる治具であって、アーク放電が行われる側に位置し第1幅を有する第1スリットが形成された表面側純銅板と、前記表面側純銅板の下面側に設けられ第2幅を有する第2スリットが形成された裏面側純銅板と、前記裏面側純銅板の下面側に設けられた支持板と、前記表面側純銅板、前記裏面側純銅板及び前記支持板を締結するクランプと、を備える治具を用いて、前記表面側純銅板と前記裏面側純銅板との間に前記表面処理ステンレス材を挟み、前記表面側純銅板の前記第1スリット及び前記裏面側純銅板の前記第2スリットから前記露出部と前記他のステンレス材の前記被溶接部位との当接部分を露出して行われ、前記溶接工程は、前記第1スリットから前記露出部と前記他のステンレス材の前記被溶接部位との当接部分にアーク放電を行うことで行われる、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のステンレス材の溶接方法。

請求項6

前記被覆工程において、前記第1スリットの幅は3mm〜5mmであり、前記第2スリットの幅は1mm〜4mmである前記治具を用いることを特徴とする請求項5記載のステンレス材の溶接方法。

技術分野

0001

本発明は、キッチン天板等に用いられるステンレス材同士を溶接する際に用いられる溶接方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、水周り、特にキッチンに用いられるステンレス材は、水滴が付着し汚れ易いため、こうしたステンレス材に汚れが付着しにくくする、または取り除き易くする技術が求められていた。

0003

こうした技術の一例として、特許文献1には、ステンレス材に対してケイ酸を含むコーティング剤を用いて表面処理を行い、Si、Li及びNaを含む溶液を塗布した後、これを焼成することで良好な外観親水性とを備えた表面処理ステンレス材を得る技術が開示されている。こうして生成された表面処理ステンレス材は、キッチンにおいては特にシンク用に用いられる。

0004

一方で、ステンレス材を用いた天板とシンクの接合や、天板同士の接合のために当該ステンレス材同士をTIG(Tungsten Inert Gas)溶接、MIG(Metal Inert Gas)溶接、MAG(Metal Active Gas)溶接等のアーク溶接を用いて接合する方法が知られている。

0005

上述した表面処理を施したステンレス材を用いて溶接を行う場合、コーティング電流阻害するために適切な溶接をすることができない。導電性を阻害するコーティングがされたステンレス材を用いて溶接を行う技術の一例として、特許文献2には、コーティングの一部を研磨除去し、ステンレス材の導電性を確保する技術が開示されている。

先行技術

0006

国際公開第2006/092941号公報
特開2012−143481号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、表面処理を施したステンレス材同士をアーク溶接する場合、急激な加熱により溶接部位の周囲に残存する表面処理層に細かな傷が発生してステンレス表面が白化することで、溶接後の製品美観を損ねていた。

0008

こうした美観の悪化に対処するため、アーク溶接後に、白化した表面処理層を研磨して除去することが行われていた。

0009

しかし、表面処理層を除去した部分については上述した表面処理層に起因する親水性等の諸機能が消失する。そのため、表面処理層の白化する面積を低減させることが求められていた。

0010

そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、アーク溶接時に表面処理層の白化面積を低減することのできるステンレス材の溶接方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

第1発明に係るステンレス材の溶接方法は、表面処理ステンレス材と表面非処理ステンレス材とを溶接するステンレス材の溶接方法であって、前記表面処理ステンレス材の溶接を行う部位の表面処理層を除去しステンレス基材露出した、被溶接部位となる露出部を形成する表面処理層除去工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部及び前記露出部の周縁部を加熱するプレヒート工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部と前記表面非処理ステンレス材の被溶接部位とを当接する当接工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部と前記表面非処理ステンレス材の前記被溶接部位との当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接を行う溶接工程と、前記アーク溶接後の前記表面処理ステンレス材の前記露出部の周辺に発生した前記表面処理層の白化部分を研磨により除去する研磨工程と、を有することを特徴とする。

0012

第2発明に係るステンレス材の溶接方法は、表面処理ステンレス材同士を溶接するステンレス材の溶接方法であって、前記表面処理ステンレス材の溶接を行う部位の表面処理層を除去しステンレス基材が露出した、被溶接部位となる露出部を形成する表面処理層除去工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部及び前記露出部の周縁部を加熱するプレヒート工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部同士を当接する当接工程と、前記表面処理ステンレス材の前記露出部同士が当接した当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接を行う溶接工程と、前記アーク溶接後の前記表面処理ステンレス材の前記露出部の周辺に発生した前記表面処理層の白化部分を研磨により除去する研磨工程と、を有することを特徴とする。

0013

第3発明に係るステンレス材の溶接方法は、第1又は第2発明において、前記プレヒート工程は320℃以上の温度で加熱することを特徴とする。

0014

第4発明に係るステンレス材の溶接方法は、第1乃至第3発明の何れか1つにおいて、前記当接工程と前記溶接工程との間において、前記表面処理ステンレス材の表裏において、前記露出部を所定の間隔をあけて純銅板で覆う被覆工程を備え、前記溶接工程においては、前記純銅板の前記間隔から前記露出部と前記他のステンレス材の前記被溶接部位との当接部分に対してアーク放電を行いアーク溶接が行われ、前記溶接工程と前記研磨工程との間に、前記純銅板を取り除く除去工程とを有することを特徴とする。

0015

第5発明に係るステンレス材の溶接方法は、第1乃至第4発明の何れか1つにおいて、前記純銅板による前記被覆工程は、前記表面ステンレス材に取り付けられる治具であって、アーク放電が行われる側に位置し第1幅を有する第1スリットが形成された表面側純銅板と、前記表面側純銅板の下面側に設けられ第2幅を有する第2スリットが形成された裏面側純銅板と、前記裏面側純銅板の下面側に設けられた支持板と、前記表面側純銅板、前記裏面側純銅板及び前記支持板を締結するクランプと、を備える治具を用いて、前記表面側純銅板と前記裏面側純銅板との間に前記表面処理ステンレス材を挟み、前記表面側純銅板の前記第1スリット及び前記裏面側純銅板の前記第2スリットから前記露出部と前記他のステンレス材の前記被溶接部位との当接部分を露出して行われ、前記溶接工程は、前記第1スリットから前記露出部と前記他のステンレス材の前記被溶接部位との当接部分にアーク放電を行うことで行われる、ことを特徴とする。

0016

第6発明に係るステンレス材の溶接方法は、第5発明において、前記被覆工程において、前記第1スリットの幅は3mm〜5mmであり、前記第2スリットの幅は1mm〜4mmである前記治具を用いることを特徴とする。

発明の効果

0017

上述した構成からなる本発明によれば、アーク溶接時に表面処理層の白化面積を低減することが可能となる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施形態に係るステンレス材の溶接方法が実施されるアーク溶接機を示す模式図である。
溶接対象となる表面処理ステンレス材の端部の表面処理層が除去され露出部が形成された状態を示す模式図である。
2枚の表面処理ステンレス材の露出部同士が突き合わされた状態で治具が取り付けられた状態を示す模式図である。
図3に示す状態で2枚の表面処理ステンレス材が溶接された状態を示す模式図である。
溶接後の表面処理ステンレス材から治具が取り除かれた状態を示す模式図である。
溶接後の表面処理ステンレス材のビード及び表面処理層の白化部位が除去された状態を示す模式図である。

実施例

0019

以下、本発明の実施形態に係るステンレス材の溶接方法について、図を用いて説明する。

0020

図1は、本発明の実施形態に係るステンレス材の溶接方法が実施されるアーク溶接機を示す模式図である。図2は、溶接対象となる表面処理ステンレス材2の端部の表面処理層22が除去され露出部23が形成された状態を示す模式図である。

0021

アーク溶接機は、表面処理ステンレス材2に取り付けられる治具1と、表面処理ステンレス材2にアーク放電を行う電極3とを備えて構成されている。

0022

治具1は、表面処理ステンレス材2の上面に当接する表面側純銅板11と、表面処理ステンレス材2の下面に当接する裏面側純銅板12と、裏面側純銅板12の下面側に設けられた支持板13と、表面側純銅板11、裏面側純銅板12及び支持板13を締結するクランプ14とを備えている。

0023

表面側純銅板11は、酸素を含有しない純銅(無酸素銅)よりなる熱伝導性に優れた板状部材であり、中央部分に矩形の孔状の第1スリット111が形成されている。第1スリット111の幅(図1における紙面右方向の幅)は、3mm〜5mmとなっている。表面側純銅板11は、アーク溶接時に表面処理ステンレス材2を冷却する機能を有している。

0024

裏面側純銅板12は、表面側純銅板11と同様に純銅よりなる熱伝導性に優れた板状部材であり、中央部分に矩形の凹部である第2スリット121が形成されている。第2スリット121の幅(図1における紙面左右方向の幅)は、1mm〜4mmとなっている。裏面側純銅板12もまた、アーク溶接時に表面処理ステンレス材2を冷却する機能を有している。第1スリット111と異なり第2スリット121は貫通孔となっていないのは、アーク放電による治具1自体の破損を防ぐためである。

0025

支持板13は、S45C炭素鋼製の板状部材である。なお、この支持板13の素材は、他の材質でもよく、また、設けない態様としてもよい。

0026

クランプ14は、表面側純銅板11、裏面側純銅板12及び支持板13を締結するクランプであり、ねじの回転力締結力に変換することで締結を行う。

0027

電極3は、アーク放電を行う電極であり、この電極3と表面処理ステンレス材2との間でアーク放電が行われることでステンレス材2の溶接が行われる。

0028

上述したアーク溶接機による溶接の対象となる表面処理ステンレス材2は、図2に示すように、ステンレス基材21と、ステンレス基材21の表面に形成された表面処理層22とを備えて構成されている。

0029

ステンレス基材21は、SUS304等のステンレス製の板状の部材で構成されている。このステンレス基材21として、表面処理ステンレス材2では表面に何ら処理を施していないステンレス基材21が想定されている。しかし、本発明はこれに限らず、エンボス加工や、冷間圧延後に砥粒研磨ベルトによる研磨等を行ったステンレス基材21を用いてもよい。

0030

表面処理層22は、表面に−SiO2基を有する親水性の皮膜である。表面処理層22が形成されていることで、表面処理ステンレス材2の汚れ落ちをし易くする防汚性を付与するとともに、細かな擦り傷の発生を防止することのできる硬度と高い透明度とを付与することができる。

0031

こうした表面処理ステンレス材2は、表面処理層22が形成されているため、当初の状態では通電性を有していない。そのため、アーク溶接を行う際には、図2に示すように、溶接が行われる部位について研磨等の任意の方法により表面処理層22を除去し、ステンレス基材21が露出した露出部23を形成する必要がある。

0032

なお、本実施形態においては露出部23は表面処理ステンレス材2の端部に形成されているが、本発明においてはこれに限らず、溶接を行いたい位置に応じて任意の個所に形成することができる。

0033

また、露出部23は、上述したように表面処理層22を除去することで形成される他、表面処理層22の形成時に表面処理層22が形成されない部分を設け、この部分を露出部23としてもよい。そのため、本発明においては、表面処理層22の未形成部分を設けることも含めて表面処理層22の除去という。

0034

こうして表面処理ステンレス材2に露出部23が形成された後、図1に示したアーク溶接機を用いて本発明を適用した溶接が行われる。

0035

アーク溶接機を用いたアーク溶接に先立ち、露出部23が形成された表面処理ステンレス材2について、ハロゲンヒータ等の加熱手段を用いて320℃以上の温度で加熱するプレヒートが行われる。このプレヒートを行うことにより、表面処理層22が改質され、溶接時の表面処理層22の白化を効果的に防止することができる。

0036

なお、本実施形態においてはプレヒートは320℃以上の温度で行われるが、本発明においてはこれに限らず、表面処理層22の材質等の特性に応じて表面処理層22の改質を行うことのできる温度であれば適宜調節することができる。

0037

また、プレヒートは溶接が行われる露出部23の近傍においてのみ行えば効果を奏することができるため、工数及び設備投資等のコストの観点と効果とのバランスから、本実施形態においては露出部23が形成されている端部から10mm程度の範囲においてプレヒートが行われる。なお、本発明においてはこの範囲に限られず、これ以上の範囲についてプレヒートが行われてもよい。

0038

また、表面処理ステンレス材2が一旦320℃に到達しさえすれば、当該温度を所定時間保持しなくともプレヒートによる効果を奏することができ、かつ当該効果を持続させることができる。

0039

次に、露出部23が形成されるとともにプレヒートが行われ、本発明に係る溶接方法に必要な事前処理が完了した表面処理ステンレス材2について、アーク溶接が行われる。このアーク溶接の手順について以下に説明する。

0040

図3は、2枚の表面処理ステンレス材2の露出部同士が突き合わされた状態で治具が取り付けられた状態を示す模式図である。

0041

まず、溶接対象となる2枚の表面処理ステンレス材2について、露出部23同士が突き合わされて当接される。

0042

次に、図3に示すように、当接した2枚の表面処理ステンレス材2に治具1が取り付けられる。なお、図3及び後述する図4においては、説明を容易にすべく、治具1は支持板13を除いて図示されている。表面処理ステンレス材2への治具の取り付けは、表面側純銅板11と裏面側純銅板12との間に表面処理ステンレス材2を挟み込み、クランプ14を締め込むことで行われる。

0043

こうして治具1が取り付けられた状態において、2枚の表面処理ステンレス材2の露出部23は、表面側純銅板11の第1スリット111から外部に露出した状態となっている。

0044

また、裏面側純銅板12の第2スリット121は、2枚の表面処理ステンレス材2の下部において、これらが当接している辺に沿う配置となる。

0045

次に、治具1が取り付けられた状態で、電極3からアーク放電Sを行い、2枚の表面処理ステンレス材2の溶接を行う。図4は、図3に示す状態で2枚の表面処理ステンレス材が溶接された状態を示す模式図である。

0046

アーク溶接は、表面側純銅板11のスリット111から露出している2枚の表面処理ステンレス材2の露出部23に対して電極3からアーク放電Sを行うことにより行われる。

0047

このアーク溶接は、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接、MIG(Metal Inert Gas)溶接、MAG(Metal Active Gas)溶接等、任意のアーク溶接を適用することができる。

0048

アーク放電により2枚の表面処理ステンレス材2の露出部23同士が溶融する。そして冷却をすることにより、溶接部位24が形成される。

0049

このとき、溶接が行われた露出部23の周辺に位置する表面処理層22には、溶接に伴う高温によりステンレス基材21が急激に熱膨張することで生じる、細かい傷である白化部位221が発生する。

0050

従来のアーク溶接では、アーク溶接時に発生する白化部位の発生幅は6mmを大きく超えるものであった。一方、本発明に係る溶接方法によると、従来のアーク溶接方法と比較して白化部位の範囲を狭めることができる。

0051

具体的には、本実施形態に係る溶接方法においては、図4の紙面において溶接された2つのステンレス基材21の溶接部位24及び双方に発生した白化部位221を合わせた幅は、6mm以下に抑えることが可能となる。

0052

これは、上述したプレヒートによる表面処理層22の改質効果に加え、更にアーク溶接時に溶接対象となる露出部23の周縁部がその表裏において熱伝導率の高い純銅である表面側純銅板11及び裏面側純銅板12に覆われることで、当該周縁部が効果的に冷却され、ステンレス基材21の急激な熱膨張が抑制されるためである。

0053

特に、表面側純銅板11の第1スリット111の幅を3mm〜5mm、裏面側純銅板12の第2スリット121の幅を1mm〜4mmとすることで、白化部位221の発生を効果的に防止することができる。

0054

第1スリット111の幅が3mm未満である場合には効果的にアーク溶接を行うことができず、5mmを超える場合には冷却効果が不十分となり、白化部位221の発生範囲の低減を図ることが難しくなる。

0055

また、第2スリット121の幅が1mm未満の場合にはビードの高さが不安定になり、4mmを超える場合には冷却効果が不十分となり、白化部位221の発生範囲の低減を図ることが難しくなる。

0056

次に、溶接が完了した表面処理ステンレス材2から治具1が取り外される。図5は、溶接後の表面処理ステンレス材2から治具が取り除かれた状態を示す模式図である。治具1の取り外しは、クランプ14を緩め、表面側純銅板11及び裏面側純銅板12の間に挟まれた表面処理ステンレス材2を取り出すことで行われる。

0057

次に、治具1が取り外された表面処理ステンレス材2に対し、溶接部位24の隆起部分(ビード)及び白化部位221の研磨による除去が行われる。図6は、溶接後の表面処理ステンレス材2のビード及び表面処理層22の白化部位221が除去された状態を示す模式図である。

0058

溶接部位24のビード及び白化部位221の研磨は、ベルト研磨機等を用いて行われる。そして、研磨により当該ビードが除去され平坦部位24’になるとともに、白化部位221が除去されステンレス基材21が露出した平滑露出部25となる。

0059

この平滑露出部25は表面処理層22が除去された部位であるため当該部位においては表面処理層22に起因する防汚性を奏することができず、外観も変化してしまう。しかし、白化部位221の範囲が狭く抑えられることで、この平滑露出部25の範囲を従来のアーク溶接により発生するものよりも狭いものとすることができ、影響を最小限に留めることができる。

0060

このように、上述した実施形態に係るステンレス材の溶接方法によると、アーク溶接時に表面処理ステンレス材の表面処理層の白化面積を低減することが可能となる。

0061

なお、本発明においては、上述した実施形態において用いられていたアーク溶接機の形状に限られず、表面処理ステンレス材の表裏において、それぞれ露出部の周縁部分を露出部から所定の間隔をあけて純銅板で覆うことのできる形状であれば、他の形状のアーク溶接機を用いることもできる。

0062

特に、治具の形状については、溶接対象となる表面処理ステンレス材の形状に応じて適宜変更することができる。

0063

また、本発明に係るステンレス材の溶接方法による溶接対象となる複数のステンレス材については、表面処理ステンレス材を少なくとも1つ含めばよい。そして、他のステンレス材としては、表面処理ステンレス材である他、表面処理層が形成されていないステンレス材(表面非処理ステンレス材)であってもよい。

0064

表面処理ステンレス材については、被溶接部位は露出部であるため、表面処理ステンレス材同士を溶接する場合にはこの露出部同士を当接させ当該当接部分に対してアーク溶接が行われる。

0065

一方、表面処理ステンレス材と表面非処理ステンレス材とを溶接する場合には、表面処理ステンレス材の露出部と、表面非処理ステンレス材の被溶接部位とを当接させ、当該当接部分に対してアーク溶接が行われる。

0066

1治具
2表面処理ステンレス材
3電極
11 表面側純銅板
12 裏面側純銅板
13 支持板
14クランプ
21ステンレス基材
22表面処理層
23露出部
24溶接部位
25 平滑露出部
111 第1スリット
121 第2スリット

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