図面 (/)

技術 メタノール資化性菌の培養方法

出願人 三菱瓦斯化学株式会社
発明者 三毛門毅伊丸岡智子池本一人
出願日 2015年1月8日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-002447
公開日 2016年7月11日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2016-123391
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 微生物による化合物の製造
主要キーワード 高分子不純物 シンゲン 物質変換 培養生産物 オクロバクトラム 紅色非硫黄細菌 マリーナ チオバチルス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年7月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

メタノール資化性微生物を用いた有用化合物生産において、その培養液には水溶性高分子、代表的にはタンパク質が含まれ、その除去方法が求められている。

解決手段

メタノール資化性微生物と1種類以上の非メタノール資化性微生物とを共に培養することにより、水溶性高氏分子、特にタンパク質を除去し、上記課題を解決した。

概要

背景

発酵による物質生産においてメタノールは安価で大量に入手可能な炭素源であり、メタノール資化性菌を用いた物質生産はコスト面で非常に優れている。メタノール資化性菌には、メチロバクテリウム属(Methylobacterium属)、メチロフィラス属(Methylophilus属)、メチロバチルス属(Methylobacillus属)、ハイホミクロビウム属(Hyphomicrobium属)、パラコッカス属(Paracoccus属)、ピキア属(Pichia属)、ハンセヌラ属(Hansenula属)、カンジダ属(Candida属)、トルロプシス属(Torulopsis属)などがある。医薬品のほか、各種酵素類、各種アミノ酸(特許文献1)、コエンザイムQ10などの補酵素類(特許文献2、3、4、5)、S−アデノシルメチオニン(特許文献6)、ビタミンB12(特許文献7)、ポリヒドロキシ酪酸(特許文献8)などの工業生産に盛んに用いられている。

このように、現在数多くの物質を、メタノール資化性菌を用いた発酵法により製造することが可能である。しかし、その培養液には菌体菌体破砕物分泌物由来する高分子不純物が発生しその除去が課題である。特にタンパク質成分が多く、その除去が問題であった。また、目的化合物夾雑タンパク質が反応して純度下げる危険性があった。タンパク成分は精製時の不純物としてカラムクロマトグラフィーへの閉塞等の製造上に問題を生じさせる。

また、不純物としてタンパク質を含有すると、まれにではあるがアレルギー成分となり、その除去は求められている。このようにタンパク質が培養液中に存在することは多くの欠点がある。これまでに、pHを下げることでタンパク質を析出させ、遠心分離によって除去する方法(特許文献9)が知られている。しかし、大量に存在する培養液中からの除去は収率の低下、装置の大型化等により費用がかさむ欠点があった。そのため、より簡便で安価な方法が求められている。

養生産の際に2種類以上の菌を使用して培養する方法が知られている。これまでの場合、アルコール発酵ではでんぷん糖化に麹カビ、糖のアルコールへの変換に酵母のように2つの菌は異なる物質変換に使われている。2種類以上の微生物共存する培養系を共培養または混合培養という。例えば、紅色非硫黄細菌光合成によって水素を発生させ、その水素を水素資化性菌がメタンに変換する共培養方法(特許文献10)や、グルコノバクターオキシダンスを培養しソルボースから2−ケトL−グロン酸を合成する系においてバチルスメガテリウムと共培養させることで生育が良好になる方法(特許文献11)、メタノールを炭素源とする場合、メタノール資化性菌であるメチロバチルス属細菌をメタノールで培養し、生産、分泌した単糖類を炭素源とする有用物質生産菌と混合培養してアミノ酸などの有用物質を生産させる方法(特許文献12)などが知られている。一方、PQQの製造方法として、PQQを合成するメタノール資化性微生物を培養する方法(特許文献13)などが知られている

概要

メタノール資化性微生物を用いた有用化合物生産において、その培養液には水溶性高分子、代表的にはタンパク質が含まれ、その除去方法が求められている。メタノール資化性微生物と1種類以上の非メタノール資化性微生物とを共に培養することにより、水溶性高氏分子、特にタンパク質を除去し、上記課題を解決した。 なし

目的

しかし、その培養液には菌体、菌体破砕物、分泌物に由来する高分子不純物が発生しその除去が課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

メタノール資化性微生物と1種類以上の非メタノール資化性微生物とを共に培養するメタノール資化性微生物の培養方法

請求項2

メタノール資化性微生物の培養液中に非メタノール資化性微生物を添加することを特徴とする培養方法。

請求項3

メタノール資化性微生物がメチロバクテリウム属(Methylobacterium属)、メチロフィラス属(Methylophilus属)、メチロバチルス属(Methylobacillus属)、グルコノバクター属(Gluconobacter属)、アセトバクター属(Acetobacter属)、ミクロコッカス属(Micrococcus属)、シュードモナス属(Pseudomonas属)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium属)、サルシナ属(Sarcina属)、セラチア属(Serratia属)、プロタミノバクター属(Protaminobacter属)、ハイホミクロビウム属(Hyphomicrobium属)、パラコッカス属(Paracoccus属)、ピキア属(Pichia属)、ハンセヌラ属(Hansenula属)、カンジダ属(Candida属)、トルロプシス属(Torulopsis属)に属することを特徴とする請求項1又は2の培養方法。

請求項4

非メタノール資化性微生物がバークホルデリア属(Burkholderia属)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas属)又はクリセオバクテリウム属(Chryseobacterium属)に属することを特徴とする請求項1又は2の培養方法。

請求項5

非メタノール資化性微生物を添加する量がメタノール資化性微生物の培養液に対して0.001から10%であり、添加後の非メタノール資化性微生物濁度OD610nmにおいて0.00001から0.5である請求項2の培養方法。

請求項6

請求項1又は2の方法を用いたピロロキノリンキノンの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、安価で大量に入手可能なメタノール炭素源に用い、発酵法によって、夾雑タンパク質の少ない目的化合物生産する方法に関する。

背景技術

0002

発酵による物質生産においてメタノールは安価で大量に入手可能な炭素源であり、メタノール資化性菌を用いた物質生産はコスト面で非常に優れている。メタノール資化性菌には、メチロバクテリウム属(Methylobacterium属)、メチロフィラス属(Methylophilus属)、メチロバチルス属(Methylobacillus属)、ハイホミクロビウム属(Hyphomicrobium属)、パラコッカス属(Paracoccus属)、ピキア属(Pichia属)、ハンセヌラ属(Hansenula属)、カンジダ属(Candida属)、トルロプシス属(Torulopsis属)などがある。医薬品のほか、各種酵素類、各種アミノ酸(特許文献1)、コエンザイムQ10などの補酵素類(特許文献2、3、4、5)、S−アデノシルメチオニン(特許文献6)、ビタミンB12(特許文献7)、ポリヒドロキシ酪酸(特許文献8)などの工業生産に盛んに用いられている。

0003

このように、現在数多くの物質を、メタノール資化性菌を用いた発酵法により製造することが可能である。しかし、その培養液には菌体菌体破砕物分泌物由来する高分子不純物が発生しその除去が課題である。特にタンパク質成分が多く、その除去が問題であった。また、目的化合物と夾雑タンパク質が反応して純度下げる危険性があった。タンパク成分は精製時の不純物としてカラムクロマトグラフィーへの閉塞等の製造上に問題を生じさせる。

0004

また、不純物としてタンパク質を含有すると、まれにではあるがアレルギー成分となり、その除去は求められている。このようにタンパク質が培養液中に存在することは多くの欠点がある。これまでに、pHを下げることでタンパク質を析出させ、遠心分離によって除去する方法(特許文献9)が知られている。しかし、大量に存在する培養液中からの除去は収率の低下、装置の大型化等により費用がかさむ欠点があった。そのため、より簡便で安価な方法が求められている。

0005

養生産の際に2種類以上の菌を使用して培養する方法が知られている。これまでの場合、アルコール発酵ではでんぷん糖化に麹カビ、糖のアルコールへの変換に酵母のように2つの菌は異なる物質変換に使われている。2種類以上の微生物共存する培養系を共培養または混合培養という。例えば、紅色非硫黄細菌光合成によって水素を発生させ、その水素を水素資化性菌がメタンに変換する共培養方法(特許文献10)や、グルコノバクターオキシダンスを培養しソルボースから2−ケトL−グロン酸を合成する系においてバチルスメガテリウムと共培養させることで生育が良好になる方法(特許文献11)、メタノールを炭素源とする場合、メタノール資化性菌であるメチロバチルス属細菌をメタノールで培養し、生産、分泌した単糖類を炭素源とする有用物質生産菌と混合培養してアミノ酸などの有用物質を生産させる方法(特許文献12)などが知られている。一方、PQQの製造方法として、PQQを合成するメタノール資化性微生物を培養する方法(特許文献13)などが知られている

先行技術

0006

特開2008−295457号公報
特開2013−078291号公報
特許第2751183号公報
特公平05−016833号公報
特公平05−010077号公報
特開2009−213469号公報
特開平09−238698号公報
特開2002−017380号公報
特公平7−113024号公報
特開2013−192547号公報
特開平01−034293号公報
特開平10−113196号公報
特開平1−218597号公報

発明が解決しようとする課題

0007

メタノールを炭素源とする場合、メタノール資化性菌であるメチロバチルス属細菌をメタノールで培養し、生産、分泌した単糖類を炭素源とする有用物質生産菌と混合培養してアミノ酸などの有用物質を生産させる方法(特許文献12)などが知られている。
これまでに、物質変換に有用な方法として使用されているが、精製に使用する例は知られていない。

0008

培養液からのタンパク質除去方法は多くの作業工程を必要としてきた。そのため高価な設備運転費用が必要であった。また、その後の精製工程を行うにも問題が生じやすい。そのため、なるべく培養段階でタンパク質成分の高度の除去ができる簡便な方法が求められている。本発明の目的は培養段階で不純物のタンパク質を除去する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、培養を2種類以上の菌で行うことでタンパク質を含む不純物の少ない目的化合物を含む水溶液を得られる本発明に至った。本発明は以下のとおりである。
(1)メタノール資化性微生物と1種類以上の非メタノール資化性微生物とを共に培養するメタノール資化性微生物の培養方法
(2)メタノール資化性微生物の培養液中に非メタノール資化性微生物を添加することを特徴とする培養方法。
(3)メタノール資化性微生物がメチロバクテリウム属(Methylobacterium属)、メチロフィラス属(Methylophilus属)、メチロバチルス属(Methylobacillus属)、ハイホミクロビウム属(Hyphomicrobium属)、グルコノバクター属(Gluconobacter属)、アセトバクター属(Acetobacter属)、ミクロコッカス属(Micrococcus属)、シュードモナス属(Pseudomonas属)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium属)、サルシナ属(Sarcina属)、セラチア属(Serratia属)、プロタミノバクター属(Protaminobacter属)、パラコッカス属(Paracoccus属)、メチロファーガ属(Methylophaga属)、アンシロバクター属(Ancylobacter属)、キサントバクター属(Xanthobacter属)、チオバチルス属(Thiobacillus属)、オリゴナス属(Oligomonus属)、ピキア属(Pichia属)、ハンセヌラ属(Hansenula属)、カンジダ属(Candida属)、トルロプシス属(Torulopsis属)に属することを特徴とする(1)又は(2)の培養方法。
(4)非メタノール資化性微生物がバークホルデリア属(Burkholderia属)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas属)、クリセオバクテリウム属(Chryseobacterium属)に属することを特徴とする(1)又は(2)の培養方法。
(5)非メタノール資化性微生物を添加する量がメタノール資化性微生物の培養液に対して0.001から10%であり、添加後の非メタノール資化性微生物濁度OD610nmにおいて0.00001から0.5である(2)の培養方法。
(6)(1)又は(2)の方法を用いたピロロキノリンキノンの製造方法。

発明の効果

0010

本発明は、メタノール資化性菌を用いることで安価なメタノールを炭素源として物質生産が可能であるだけでなく、メタノール資化性菌と共培養させる微生物がメタノールを炭素源としないため、メタノール資化性菌が生産する目的化合物の生産性を低下させることなく、しかもそれらがメタノール資化性菌由来のタンパク質を消費することで、目的化合物の安定性に寄与することに加え、工業生産の際には培養上清中の不純物が少ないことで精製工程の負荷が大幅に軽減される点において、これまでにない画期的な物質生産方法であると言える。
すなわち、本発明により、メタノール資化性菌で目的化合物を生産すると共に簡便に培養液中のタンパク質を代表とする水溶性高分子を除去する方法を提供できる。言い換えると不純物の少ない培養液を得ることができ、精製工程の効率化を行うことが可能になる。

図面の簡単な説明

0011

実施例4におけるPQQ生産菌培養上澄液のSDSPAGE像

0012

本発明はメタノール資化性微生物と1種類以上の非メタノール資化性微生物とを共に培養するメタノール資化性微生物の培養方法である。
これによりメタノール資化性微生物で目的物を生産すると共に、簡便に培養液中のタンパク質を代表とする水溶性高分子除去する方法を提供できる。

0013

目的物はメタノール資化性微生物によって生産にできるものであれば構わない。具体的にはピロロキノリンキノン(以下、PQQと記すことがある)類やポリヒドロキシ酪酸(PHB)が挙げられる。

0014

メタノール資化性微生物とは、メタノールを炭素源として利用でき、メタノールを酸化することでエネルギーを獲得できる微生物であれば構わない。本発明で利用できるメタノール資化性微生物として例えば、メチロバクテリウム属(Methylobacterium属)、メチロフィラス属(Methylophilus属)、メチロバチルス属(Methylobacillus属)、ハイホミクロビウム属(Hyphomicrobium属)、グルコノバクター属(Gluconobacter属)、アセトバクター属(Acetobacter属)、ミクロコッカス属(Micrococcus属)、シュードモナス属(Pseudomonas属)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium属)、サルシナ属(Sarcina属)、セラチア属(Serratia属)、プロタミノバクター属(Protaminobacter属)、パラコッカス属(Paracoccus属)、メチロファーガ属(Methylophaga属)、アンシロバクター属(Ancylobacter属)、キサントバクター属(Xanthobacter属)、チオバチルス属(Thiobacillus属)、オリゴモナス属(Oligomonus属)、ピキア属(Pichia属)、ハンセヌラ属(Hansenula属)、カンジダ属(Candida属)、トルロプシス属(Torulopsis属)に属する微生物が挙げられる。

0015

目的物がPQQ類の場合は、培養液はメタノール資化性微生物であって、PQQ類を生産する微生物を培養して得られる。具体的にはメチロバクテリウム属(Methylobacterium属)、メチロフィラス属(Methylophilus属)、メチロバチルス属(Methylobacillus属)、ハイホミクロビウム属(Hyphomicrobium属)、グルコノバクター属(Gluconobacter属)、アセトバクター属(Acetobacter属)、ミクロコッカス属(Micrococcus属)、シュードモナス属(Pseudomonas属)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium属)、サルシナ属(Sarcina属)、セラチア属(Serratia属)、プロタミノバクター属(Protaminobacter属)、パラコッカス属(Paracoccus属)、メチロファーガ属(Methylophaga属)、アンシロバクター属(Ancylobacter属)、キサントバクター属(Xanthobacter属)、チオバチルス属(Thiobacillus属)、オリゴモナス属(Oligomonus属)に属する微生物であれば特に使用する微生物に制限はなく、例えばメチロフィラスフラバス、メチロフィラスメチロトロファス、グルコノバクターオキシダンス、グルコノバクターセレビシエミクロコッカスルテウス、ミクロコッカス フラバス、シュードモナスアエルギノサ、シュードモナス メンドシナコリネバクテリウムシューツベルクロシス、コリネバクテリウムジフテリエ、コリネバクテリウム ウルセランス、セラチアプリムチカ、セラチアマルセンス、キサントバクターアウトトロフィカス、ハイホミクロビウム メチロボラム、ハイホミクロビウム デ二トリフィカンス、ハイホミクロビウム ブルガレ、メチロバチルスグリコゲネス、メチロバクテリウムエクストロクエンス、メチロバクテリウムオルガノフィラム、メチロバクテリウム ロディウム、メチロバクテリウムメソフィリカム、メチロバクテリウムラジオトレランス、アンシロバクター アキュアティカス、キサントバクターオートトロフィカス、キサントバクターフラバムアセトバクターメタノリカスパラコッカスデニトリフィカンス、チオバチルスノベルス、オリゴモナスメタノリカ、メチロファーガマリーナおよびメチロファーガ サラシカなどを使用することができる。

0016

本発明における非メタノール資化性菌とはメタノール以外の物質を炭素源として利用できる微生物をいう。炭素源となるものは例えばメタノール資化性菌が分泌あるいは漏出した有機物が挙げられ、具体的にはタンパク質、ペプチド、アミノ酸のほか、DNA、RNAなどの核酸類グルコースフルクトースなどの単糖類、スクロースラクトースなどの二糖類ラフィノースマルトトリオースシクロデキストリンなどのオリゴ糖類N−アセチルグルコサミンやN−アセチルムラミン酸などのアミノ糖類フォスファチジルコリンフォスファチジルセリンセラミドなどの脂質、エタノールブタノールグリセロールなどのアルコール類が挙げられる。本発明において、好ましくはタンパク質、ペプチド、アミノ酸を炭素源として利用できる非メタノール資化性菌である。使用できる非メタノール資化性微生物は、メタノール資化性微生物の存在下で培養可能な微生物であり、メタノール耐性が0〜5wt%の微生物である。
メタノール資化性微生物がピロロキノリンキノン類を生産する場合、ピロロキノリンキノン類の濃度が100から5000ppmの濃度で培養可能な微生物であることが好ましい。具体的にはバークホルデリア属(Burkholderia属)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas属)、クリセオバクテリウム属(Chryseobacterium属)、ブルセラ属(Brucella属)、オクロバクトラム属(Ocrhrobactrum属)、ラルストニア属(Ralstonia属)、クプリアヴィダス属(Cupriavidus属)、ヘルバスピリラム属(Herbaspirillum属)に属する微生物を使用できる。制限はないが、例えばバークホルデリアヴィエトナミエンシス、バークホルデリア セノセパシア、バークホルデリアマルチボランス、ステノトロホモナスマルトフィリア、クリセオバクテリウムホミニス、クリセオバクテリウムビスセラム、ブルセライノピナタ、ブルセラ ピニペディアリスオクロバクトラムトリティシ、オクロバクトラムアンスロピ、オクロバクトラムインテルメディウム、ラルストニアピケティ、ラルストニアインシディオサ、ラルストニアマンニトリリティカ、ラルストニア シジギ、クプリアヴィダス ネカトル、クプリアヴィダスレスピラクリ、クプリアヴィダスカンピネンシス、ヘルバスピリラムヒルネリ、ヘルバスピリラムクロフェノリカム、ヘルバスピリラムフリシンゲンセなどの微生物を使用することが好ましい。
メタノール資化性微生物の培養で製造されたPQQ類の培養液に含まれる不純物のタンパク質やその他の培養生産物は、非メタノール資化性微生物により該微生物内に取り込まれ除去される。

0017

製造方法として、非メタノール資化性微生物はメタノール資化性微生物と同時に添加しても良いし、二段培養としてメタノール資化性微生物で調製した培養液に添加しても良い。二段培養とはある微生物の培養上清を用いて別の微生物を培養する方法を言う。
添加する非メタノール資化性微生物は培地で増殖させたストック、あるいは培地で増殖させた後、遠心分離などで取り除き得られた沈殿菌体ペレットにメタノール資化性微生物培養上澄液を加えたストックのいずれも用いることができる。

0018

添加する非メタノール資化性微生物の菌濃度範囲は、OD610nmで0.001から5が好ましい。この濃度範囲で非メタノール資化性微生物の添加量は、メタノール資化性微生物培養液の0.001から10%であり、添加後の非メタノール資化性微生物濁度がOD610nmにおいて0.00001から0.5であるのが好ましい。この範囲とすることで、メタノール資化性微生物の増殖、目的化合物の生産に悪影響が少なく好ましい。

0019

添加する非メタノール資化性微生物のOD610nmが0.001未満であり、かつ添加量がメタノール資化性微生物培養液の0.001%未満であっても特に問題ない。
添加する非メタノール資化性微生物のOD610nmが5以下で、かつ添加量がメタノール資化性微生物培養液の10%以下とすることにより、添加微生物由来の不純物が増えることなく、また添加微生物の菌体量が増えることなく、遠心分離工程やタンパク質除去工程での目的化合物の収率が上がり、メタノール資化性微生物等の目的化合物を適切に生産することが出来る。

0020

非メタノール資化性微生物を添加するタイミングは添加する微生物の濃度と量にもよるが、培養終了の12時間前までに、好ましくは24時間前までに添加すると、添加微生物が十分に増殖し、それに伴ってタンパク質などの有機物が消費されるため、よりタンパク質除去効果が高い。
溶液のPQQ類の濃度は0.01から30g/L, 好ましくは0.5から10g/Lである。この濃度範囲とすることで、析出することなく、良好な生産性を維持することが出来る。濃度が低い場合には培養液の濃縮をおこなって使用することができる。
培養液に含まれるタンパク質の濃度は培養状態によって変わるが、好ましくは0.0001から10g/Lである。この濃度範囲であれば、不溶成分が生じることなく、配管詰まることなく、好ましい。この範囲より低い場合は、他の方法で除去できる可能性が高い。

0021

本発明での培養条件は一般的な微生物の培養条件が使用でき、0から50℃、好ましくは10から40℃の範囲で培養すればよい。培養期間は適時決めることができる。一般的には1から40日が培養期間である。
培養方法はバッチ式連続式で培養できる。培養装置は特に制限がないが、気泡搭、攪拌方式、試験管フラスコ等目的に合わせて選択すればよい。pHは2から11が使用でき、好ましくは5から8である。この範囲を外れると培養が困難である。
pH調整のために加える酸の種類は特に制限されないが、塩酸臭化水素酸沃化水素酸過塩素酸硝酸硫酸などの無機酸、蟻酸酢酸プロピオン酸酪酸トリクロロ酢酸メタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸などの有機酸などが挙げられ、その中でも塩酸が好ましい。
pH調整のために加える塩基の種類は特に制限されないが、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化リチウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウムアンモニア炭酸アンモニウムコリンテトラメチルアンモニウムハイドロサイド等が使用できる。
培養に使用した微生物はリボソームRNAの配列で同定可能であり、粗結晶等からも残留する塩基をPCR増幅することで特定できる。

0022

さらにこれまで知られている一般的な処理でタンパク質等の不純物を除くことは可能である。培養状態でのタンパク質の量が減ることはこれらの後工程の負荷を下げ、カラムの長寿命や負荷量の増加を行えるようになることで低価格で製造できる。
前記のように処理された溶液に含まれるタンパク量は低く、その後の精製は一般的なカラムクロマトグラフィーや再結晶法で精製することができる。カラムクロマトグラフィーとしては、DEAE−Sephadex (ジエチルアミノエチル陰イオン交換樹脂セファデックス以下同様)(フアルマシア社、登録商標)A−25カラムに吸着後、KCl溶液溶出する方法(M.Ameyama et al.,Agric.Biol.Chem.,第48巻、p.561〜565(1984))のようなイオン交換樹脂での精製が使用できる。さらにその後、また、塩化ナトリウム塩化カリウム硫酸ナトリウム硫酸カリウムを使用する塩析による溶解度を下げる方法、エタノール、メタノール、プロパノールアセトニトリルのような貧溶媒を加えて結晶を析出させる方法が使用できる。または懸濁、もしくは溶液状態でpHを変えて溶解度を変えて析出させる方法も使用できる。

0023

除去できる水溶性高分子としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸のほかDNA、RNAなどの核酸類、グルコース、フルクトースを始めとした単糖類、スクロース、ラクトースなどの二糖類、ラフィノース、マルトトリオース、シクロデキストリンなどのオリゴ糖類、N−アセチルグルコサミンやN−アセチルムラミン酸などのアミノ糖類、フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン、セラミド、などの脂質、エタノール、ブタノール、グリセロールなどのアルコール類が挙げられる。

0024

本発明で得られたPQQ類は、医薬または機能性食品の有効成分とすることができる。即ち、皮膚外用剤注射剤経口剤坐剤等の形態、あるいは、日常食する飲食物、栄養補強食、各種病院食等の形態で提供可能である。なお、調製の際に使用される添加剤としては、液剤としては水、果糖ブドウ糖等の糖類、落下生油大豆油オリーブ油等の油類ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等のグリコール類を用いることができる。錠剤カプセル剤顆粒剤などの固形剤賦型剤としては乳糖ショ糖マンニット等の糖類、滑沢剤としてはカオリンタルクステアリン酸マグネシウム等、崩壊剤としてデンプンアルギン酸ナトリウム結合剤としてポリビニルアルコールセルロースゼラチン等、界面活性剤としては脂肪酸エステル等、可塑剤としてグリセリン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて溶解促進剤充填剤等を加えてもよい。また、PQQは、単独でも、他の素材と組み合わせても使用できる。組み合わせ可能な素材としては、ビタミンB群ビタミンCおよびビタミンE等のビタミン類アミノ酸類アスタキサンチン、α-カロテンβ-カロテン等のカロテノイド類ドコサヘキサエン酸エイコサペンタエン酸等のω3脂肪酸類アラキドン酸等のω6脂肪酸類などが例示されるが、これらに限定されるものではない。

0025

以下に実施例及び参考例を揚げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び参考例のみに限定されるものではない。

0026

ピロロキノリンキノンジナトリウムは三菱化学製を使用した。また、特に断りがない限り、和光試薬を使用した。

PQQ分析
装置:島津製作所、高速液体クロマトグラフィー、LC−10A
カラム:InertsilODS−3(5μm)、4.6×150mm I.D.
測定温度:40℃
検出:260nmにおける吸光度
溶離液:120mM H3PO4/6.7M CH3OH
溶出速度:1.5mL/min

タンパク質分析
Bradford法
Bio−rad社Bradford試薬を使用し595nm吸光度を測定し、その値からタンパク含量を決定した。なお、検量線γ−グロブリン希釈系列液で作成した。
吸光度の測定はPerkinElmer社 Multimode Plate Reader ARVO X3を用いた。

タンパク質除去率
接種前のPQQ含有メタノール資化性微生物培養上澄液に含まれるタンパク質濃度と、菌接種後の任意の時間における培養上澄液中のタンパク質濃度をそれぞれBradford法で測定し、その濃度の差を菌接種前のタンパク質濃度で除した値をタンパク質除去率とした。

培養液濁度測定(OD)
光路長1cmの樹脂セルに、イオン交換水で適当に希釈した培養液を適量入れ、610nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。これをOD610nmとする。希釈倍率は培養液の濃度によるが、OD610nm=0.1から0.4の範囲に収まるように希釈した。分光光度計はThermo Fisher Scientific社製GENESYS20を用いた。

PQQ含有メタノール資化性菌培養上澄液
ハイホミクロビウムエスピーを用いて、特許文献13と同様の方法で3Lジャーで培養し、その培養液を遠心分離して菌体を取り除いた上澄液を用いた。

培養液のSDS−PAGE
3種類の非メタノール資化性菌をPQQ含有メタノール資化性菌培養上澄液に植菌し遠心分離で取り除いた培養上澄液とサンプルバッファを1:1で混合し、95℃で5分間加熱処理した。ただちに冷却し、垂直型ミニゲル電気泳動装置(TEFCO社、TC−808)にゲル濃度12%のプレキャストゲル(TEFCO社、SDS−PAGE mini)をセットしてサンプルを各ウェルに10μlずつロードした。

0027

参考例1微生物準備
区の海辺採取した微生物3種をスラント化し、16SrRNA解析を実施し、同定した。使用したプライマーは以下の表1に示す。本プライマーを用いたPCRの結果得られた配列、BLAST検索結果および最も高い相同性を示した種とその相同率を表2に示す。同定したこれらの微生物を以下ステノトロホモナスエスピー、バークホルデリアエスピー、クリセオバクテリウム エスピーと記す。






LB培地を30mlの試験管に5ml入れ、ステノトロホモナス エスピー、バークホルデリア エスピー、クリセオバクテリウム エスピーの3種類の非メタノール資化性微生物をそれぞれ接種後、30℃で2日間、210rpmにて振とう培養した。この培養液を15000rpmで3分間遠心して菌体を沈降させ、液を取り除いた後、メタノール資化性菌の一種ハイホミクロビウム属微生物の培養液であるPQQ含有メタノール資化性菌培養上澄液に再懸濁し、等量のDMSOを加えて−80℃で冷凍保存した。

0028

比較例1 酸を用いたタンパク質除去方法
メタノール資化性菌の一種ハイホミクロビウム属微生物の培養液であるPQQ含有メタノール資化性菌培養上澄液に硫酸を加えpHを4に調整して10〜30℃で1日保存し、析出物を取り除くことによって、液中のタンパク質を90%取り除くことができた。

0029

実施例1 1種類のメタノール資化性微生物と3種類の非メタノール資化性微生物の共培養
バークホルデリアエスピー、ステノトロホモナスエスピー、クリセオバクテリウム エスピーの3種について、濁度OD610が0.5〜2.0の参考例1のDMSOストックと、メタノール資化性微生物であるハイホミクロビウム属細菌を合わせて30ml試験管に入れたPQQ含有メタノール資化性微生物培養液1mlに4種同時にそれぞれ20μLずつ接種した。これを30℃、300rpmで94時間振とう培養した。
タンパク濃度0.73g/L
PQQ回収率97%
でタンパク質の49%が除去できたことに加え、PQQ濃度の減少もなかった。

0030

実施例2 PQQ生産メタノール資化性微生物の培養液に3種類の非メタノール資化性微生物を添加した培養
実施例1と同様に、参考例1で準備したバークホルデリアエスピー、ステノトロホモナスエスピー、クリセオバクテリウム エスピーの3種類の非メタノール資化性微生物を、メタノール資化性微生物であるハイホミクロビウム属細菌の培養液1mlを入れた30ml試験管にそれぞれ20μlずつ接種した。これを実施例1の条件で培養を行った。
タンパク濃度0.65g/L
PQQ回収率96%
でタンパク質の55%が除去できたことに加え、PQQ濃度の減少もなかった。

0031

実施例3 3種類の非メタノール資化性菌を接種した3Lジャーでの培養
特許文献13と同様にPQQを生産するメタノール資化性菌であるハイホミクロビウム属微生物を丸菱バイオエンジ 3Lジャー Bioneer を用いて培養液量1.5Lにて培養した。培養開始後、培養液中PQQ濃度が十分に高くなった時点で、参考例1のバークホルデリアエスピー、ステノトロホモナスエスピー、クリセオバクテリウム エスピーの3種類の非メタノール資化性微生物を植菌した。植菌後1日1回サンプリングし、約90時間培養を継続した後停止した。その間のタンパク質濃度およびPQQ濃度の推移を下の表3に示す。3種の菌を植菌した時点を0時間とした。

0032

実施例4培養液のSDS−PAGE
実施例3のジャー培養の培養上澄液をSDS−PAGEに供した。培養上澄液とサンプルバッファを1:1で混合し、95℃で5分間加熱処理した。ただちに冷却し、垂直型ミニゲル電気泳動装置(TEFCO社、TC−808)にゲル濃度12%のプレキャストゲル(TEFCO社、SDS−PAGE mini)をセットしてサンプルを各ウェルに10μlずつロードした。マーカーGEヘルスケアLMW Marker Kitを使用し、4μlをウェルにロードした。3種の非メタノール資化性微生物を添加した時点を0時間とした。図1のように49時間後には分子量66kDa付近に存在していたタンパク質のバンドはほぼ消失しており、全体のタンパク質濃度が大きく低下しており、Bradford法の結果と一致することを確認した。

0033

実施例5 1種のみを接種したジャー培養
非メタノール資化性微生物のクリセオバクテリウムエスピーの参考例1のストックをPQQ生産菌培養途中の培養液に植菌した。クリセオバクテリウム エスピーを接種した時点を0時間とし、PQQ生産量とタンパク質濃度の経時変化を下の表4に示す。同時に、クリセオバクテリウム エスピーを植菌せずにPQQ生産菌のみを同じ条件で培養し、コントロールとした。

実施例

0034

実施例1,2,3,5より、2種類以上の菌の共培養において、非メタノール資化性細菌はメタノール資化性細菌が菌体外に排出あるいは菌体が破壊されたことで培地中に放出されたタンパク質・ペプチド類などの有機物を炭素源として分解し吸収している可能性が高いと考えられる。加えて、非メタノール資化性微生物は、メタノール資化性微生物のメタノール資化を阻害せず、その生育や目的生産物の合成にも悪影響を与えない。本発明はPQQ類の生産だけでなく、広くメタノール資化性微生物の培養生成物発酵生産における非常に優れたタンパク質除去方法であるといえる。また、比較例1の酸を用いたタンパク質除去方法と比較して遜色ないタンパク質除去率であることから、プロセスの削減、設備コストの削減に寄与する画期的な技術であると考えられる。工業的にPQQを生産する場合において、PQQ類と反応してその濃度を下げるタンパク質やペプチドを分解し吸収する細菌との共培養は有効であることが示された。

0035

本発明により簡便なメタノール資化性微生物由来有用化合物の製造方法を提供することができる。また高品質の目的化合物も提供でき、食品、医薬品、化粧品の用途に広く使用することが可能である。特に、本発明はPQQ類を簡便に製造することができ、得られるPQQ類は純度が高く、医薬や機能性食品の有効成分として好適に使用することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ