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技術 リチウムイオン二次電池の充電方法及びその充電制御システム

出願人 マクセルホールディングス株式会社
発明者 野村弘和小山邦彦
出願日 2014年12月25日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2014-263460
公開日 2016年7月7日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-123251
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 二次電池の保守(充放電、状態検知) 電池等の充放電回路
主要キーワード 定電圧設定値 充電プロファイル 物理定数 平均充電電流 SBR 規定充電電圧 CMI CCV
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

充電中電池発熱を抑制し、高効率での充電を可能し、電池特性を低下させずに充電時間の短縮化を図ることができるリチウムイオン二次電池充電方法及びその充電制御システムを提供する。

解決手段

本発明のリチウムイオン二次電池の充電方法は、第1のステップと第2のステップとを備え、前記第1のステップにおいて、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、前記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、前記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、前記第1のステップにおいて、充電電流値最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値CMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とする。

概要

背景

非水電解質二次電池一種であるリチウムイオン二次電池は、高電圧・高容量であることから広範に使用され、より有効に使用するために、その充電方法に関しても種々の改良が行われている。リチウムイオン二次電池の充電方法としては、一般的に定電流電圧(CCCV充電が用いられる。

CCCV充電は、図6に示すように行われる。図6において、横軸は時間、縦軸は電圧、電流、温度を示す。図6には、電流を図示のように制御して充電を行ったときの、電圧及び温度の変化が示されている。充電初期には先ず定電流(CC)充電を行う。即ち、完全充電状態の電池を1時間で放電可能な電流値を1Cとするとき、例えば0.7〜1C程度の定電流で充電を行う。充電に伴い電圧が上昇して、所定の設定電圧VC、例えば4.2Vに達するまでは、CC充電を継続する。設定電圧VCに達したときに定電圧(CV)充電に切り換えて、設定電圧VCを維持するように充電電流を減少させながら充電を行う。

近年、充電を短時間で実現するために、CCCV充電においては、CC充電時の電流をできるだけ大きくすることが求められている。充電量は、充電電流と時間を積算した値であるため、充電電流を増大させて行う手法は、充電時間の短縮のためには有効である。しかし、充電には発熱が伴い、その発熱量は電流の増加に従って大きくなる。また、リチウムイオン二次電池は、高温環境下で充電を行うと、充放電サイクル特性が低下することが知られている。このため、電池特性を低下させない急速充電方法が種々提案されている。

例えば、特許文献1には、初めに定電流で規定充電電圧まで充電を行った後、充電電流を逐次低減させながら段階的に充電を行うことにより、電池電圧の高い非水電解液二次電池に対して、良好なサイクル特性を維持しながら急速充電が可能な充電方法が提案されている。

また、特許文献2には、充電電流を1CAよりも十分に大きな値から開始し、段階的に充電電流を低減することにより、リチウムイオン電池耐久性を確保しつつ短時間で行える充電方法が提案されている。

また、特許文献3には、充電前の電池電圧及び電池表面温度を測定し、電池電圧が充電深度50%以下の電池電圧であり、且つ電池表面温度が0℃以上60℃以下の場合に、所定の電流値で定電流充電を行い、その後にその電流値よりも小さな電流値で定電流定電圧充電を行うことにより、短時間で十分な放電容量を確保しつつ、サイクル特性を維持できる充電方法が提案されている。

また、特許文献4には、充電電圧及び充電電流を電池に印加するための特定の可変充電プロファイルを用いることにより、サイクル寿命への急速充電の影響を抑制・排除しながら、リチウムイオン電池の充電時間を更に短縮することができる充電システムが提案されている。

一方、最近では、リチウムイオン二次電池の充電状態と、負極におけるリチウムイオン拡散係数との関係が明らかとなってきている(非特許文献1)。ここで、負極におけるリチウムイオンの拡散係数とは、負極におけるリチウムイオンの移動のしやすさを表す物理定数であり、負極活物質の種類によって決定されるものである。非特許文献1の図5には、負極活物質として黒鉛を用いた場合の充電状態とリチウムイオンの拡散係数との関係が示されている。非特許文献1の図5によると、黒鉛負極では、充電状態によりリチウムイオンの拡散係数が異なることが分かる。

通常、リチウムイオン二次電池の充電時のリチウムイオンの移動は、負極側が律速しており、充電時間を短縮するために充電電流を増大させても負極のリチウムイオンの受け入れ能力を超えると充電効率が低下し、電池の発熱量が増加して電池特性の低下に繋がる。ここで、負極のリチウムイオンの受け入れ能力は、負極におけるリチウムイオンの拡散係数に依存すると考えられる。従って、負極におけるリチウムイオンの拡散係数を考慮した充電方法を開発できれば効率的で電池特性を低下させない充電方法が提案できる可能がある。

概要

充電中の電池の発熱を抑制し、高効率での充電を可能し、電池特性を低下させずに充電時間の短縮化をることができるリチウムイオン二次電池の充電方法及びその充電制御システムを提供する。本発明のリチウムイオン二次電池の充電方法は、第1のステップと第2のステップとを備え、前記第1のステップにおいて、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、前記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、前記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、前記第1のステップにおいて、充電電流値最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値CMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とする。

目的

本発明は、上記状況を鑑みてなされたもので、負極におけるリチウムイオンの拡散係数を考慮した充電方式を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

所定の設定電圧までは充電電流増減させて充電する第1のステップと、前記設定電圧に達してからは、定電圧で充電して、前記設定電圧を維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを含むリチウムイオン二次電池充電方法であって、前記第1のステップにおいて、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、前記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、前記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、前記第1のステップにおいて、充電電流値最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値CMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の充電方法。

請求項2

前記第1のステップにおいて、前記充電率が40%以上60%以下の領域に前記CMINが設定されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の充電方法。

請求項3

前記CMAXが、0.4C以上4.0C以下であり、前記CMINが、0.2C以上2.0C以下である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池の充電方法。

請求項4

前記リチウムイオン二次電池の負極が、負極活物質として黒鉛を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の充電方法。

請求項5

前記負極活物質が、前記黒鉛を40質量%以上含む請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の充電方法。

請求項6

所定の設定電圧までは充電電流を増減させて充電する第1のステップと、前記設定電圧に達してからは、定電圧で充電して、前記設定電圧を維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを含む充電アルゴリズムを備えたリチウムイオン二次電池の充電制御システムであって、前記第1のステップにおいて、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、前記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、前記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、前記第1のステップにおいて、充電電流値の最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値をCMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の充電制御システム。

請求項7

前記第1のステップにおいて、前記充電率が40%以上60%以下の領域に前記CMINを設定する請求項6に記載のリチウムイオン二次電池の充電制御システム。

請求項8

前記CMAXが、0.4C以上4.0C以下であり、前記CMINが、0.2C以上2.0C以下である請求項6又は7に記載のリチウムイオン二次電池の充電制御システム。

請求項9

請求項6〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の充電制御システムを含むことを特徴とする電子機器

請求項10

請求項6〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の充電制御システムを含むことを特徴とする電池パック

技術分野

0001

本発明は、リチウムイオン二次電池充電方法及びその充電制御システムに関する。

背景技術

0002

非水電解質二次電池一種であるリチウムイオン二次電池は、高電圧・高容量であることから広範に使用され、より有効に使用するために、その充電方法に関しても種々の改良が行われている。リチウムイオン二次電池の充電方法としては、一般的に定電流電圧(CCCV充電が用いられる。

0003

CCCV充電は、図6に示すように行われる。図6において、横軸は時間、縦軸は電圧、電流、温度を示す。図6には、電流を図示のように制御して充電を行ったときの、電圧及び温度の変化が示されている。充電初期には先ず定電流(CC)充電を行う。即ち、完全充電状態の電池を1時間で放電可能な電流値を1Cとするとき、例えば0.7〜1C程度の定電流で充電を行う。充電に伴い電圧が上昇して、所定の設定電圧VC、例えば4.2Vに達するまでは、CC充電を継続する。設定電圧VCに達したときに定電圧(CV)充電に切り換えて、設定電圧VCを維持するように充電電流を減少させながら充電を行う。

0004

近年、充電を短時間で実現するために、CCCV充電においては、CC充電時の電流をできるだけ大きくすることが求められている。充電量は、充電電流と時間を積算した値であるため、充電電流を増大させて行う手法は、充電時間の短縮のためには有効である。しかし、充電には発熱が伴い、その発熱量は電流の増加に従って大きくなる。また、リチウムイオン二次電池は、高温環境下で充電を行うと、充放電サイクル特性が低下することが知られている。このため、電池特性を低下させない急速充電方法が種々提案されている。

0005

例えば、特許文献1には、初めに定電流で規定充電電圧まで充電を行った後、充電電流を逐次低減させながら段階的に充電を行うことにより、電池電圧の高い非水電解液二次電池に対して、良好なサイクル特性を維持しながら急速充電が可能な充電方法が提案されている。

0006

また、特許文献2には、充電電流を1CAよりも十分に大きな値から開始し、段階的に充電電流を低減することにより、リチウムイオン電池耐久性を確保しつつ短時間で行える充電方法が提案されている。

0007

また、特許文献3には、充電前の電池電圧及び電池表面温度を測定し、電池電圧が充電深度50%以下の電池電圧であり、且つ電池表面温度が0℃以上60℃以下の場合に、所定の電流値で定電流充電を行い、その後にその電流値よりも小さな電流値で定電流定電圧充電を行うことにより、短時間で十分な放電容量を確保しつつ、サイクル特性を維持できる充電方法が提案されている。

0008

また、特許文献4には、充電電圧及び充電電流を電池に印加するための特定の可変充電プロファイルを用いることにより、サイクル寿命への急速充電の影響を抑制・排除しながら、リチウムイオン電池の充電時間を更に短縮することができる充電システムが提案されている。

0009

一方、最近では、リチウムイオン二次電池の充電状態と、負極におけるリチウムイオン拡散係数との関係が明らかとなってきている(非特許文献1)。ここで、負極におけるリチウムイオンの拡散係数とは、負極におけるリチウムイオンの移動のしやすさを表す物理定数であり、負極活物質の種類によって決定されるものである。非特許文献1の図5には、負極活物質として黒鉛を用いた場合の充電状態とリチウムイオンの拡散係数との関係が示されている。非特許文献1の図5によると、黒鉛負極では、充電状態によりリチウムイオンの拡散係数が異なることが分かる。

0010

通常、リチウムイオン二次電池の充電時のリチウムイオンの移動は、負極側が律速しており、充電時間を短縮するために充電電流を増大させても負極のリチウムイオンの受け入れ能力を超えると充電効率が低下し、電池の発熱量が増加して電池特性の低下に繋がる。ここで、負極のリチウムイオンの受け入れ能力は、負極におけるリチウムイオンの拡散係数に依存すると考えられる。従って、負極におけるリチウムイオンの拡散係数を考慮した充電方法を開発できれば効率的で電池特性を低下させない充電方法が提案できる可能がある。

0011

特開平7−296853号公報
特開2005−185060号公報
特開2009−158142号公報
特開2011−24412号公報

先行技術

0012

J.Phys. Chem. B 1997,101,4641−4647

発明が解決しようとする課題

0013

しかし、特許文献1〜4に示すように、負極におけるリチウムイオンの拡散係数を考慮した充電方法は従来から提案されていない。

0014

本発明は、上記状況を鑑みてなされたもので、負極におけるリチウムイオンの拡散係数を考慮した充電方式を提供するものである。

課題を解決するための手段

0015

本発明のリチウムイオン二次電池の充電方法は、所定の設定電圧までは充電電流を増減させて充電する第1のステップと、前記設定電圧に達してからは、定電圧で充電して、前記設定電圧を維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを含むリチウムイオン二次電池の充電方法であって、前記第1のステップにおいて、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、前記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、前記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、前記第1のステップにおいて、充電電流値最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値CMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とする。

0016

また、本発明のリチウムイオン二次電池の充電制御システムは、所定の設定電圧までは充電電流を増減させて充電する第1のステップと、前記設定電圧に達してからは、定電圧で充電して、前記設定電圧を維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを含む充電アルゴリズムを備えたリチウムイオン二次電池の充電制御システムであって、前記第1のステップにおいて、前記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、前記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、前記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、前記第1のステップにおいて、充電電流値の最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値をCMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とする。

0017

また、本発明の電子機器は、上記本発明のリチウムイオン二次電池の充電制御システムを含むことを特徴とする。

0018

また、本発明の電池パックは、上記本発明のリチウムイオン二次電池の充電制御システムを含むことを特徴とする。

発明の効果

0019

本発明によれば、充電中の電池の発熱を抑制し、高効率での充電を可能し、電池特性を低下させずに充電時間の短縮化を図ることができるリチウムイオン二次電池の充電方法及びその充電制御システムを提供できる。

図面の簡単な説明

0020

図1は、本発明の充電方法の一例を示す図である。
図2は、本発明の充電アルゴリズムを表すフローチャートである。
図3は、実施例1の電池の充電率と、充電電流及び電池温度との関係を示す図である。
図4は、比較例1の電池の充電率と、充電電流及び電池温度との関係を示す図である。
図5は、比較例6の電池の充電率と、充電電流及び電池温度との関係を示す図である。
図6は、従来の一般的な定電流定電圧(CCCV)充電の一例を示す図である。

0021

(本発明のリチウムイオン二次電池の充電方法)
本発明の発明者らは、黒鉛負極の充電状態(SOC)と、黒鉛負極におけるリチウムイオンの拡散係数との関係を詳細に検討した結果、黒鉛負極のリチウムイオンの拡散係数は、充電率が0%以上40%未満の領域で最大値を示し、充電率が40%以上60%以下の領域で最小値を示し、充電率が60%を超える領域では上記最大値と上記最小値との中間値を示すことを見出した。

0022

そこで、本発明者らは、従来のCCCV充電のCC充電領域の充電方式を改善し、上記充電率の領域毎に充電電流を増減させる充電方法を採用することにより、充電中の電池の発熱を抑制し、高効率での充電を可能とし、電池特性を低下させずに充電時間の短縮化を図ることができる本発明のリチウムイオン二次電池の充電方法を完成させた。

0023

即ち、本発明のチウムイオン二次電池の充電方法(以下、本発明の充電方法という。)は、所定の設定電圧までは充電電流を増減させて充電する第1のステップと、上記設定電圧に達してからは、定電圧で充電して、上記設定電圧を維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを備えている。また、上記第1のステップにおいて、上記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、上記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、上記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、且つ、上記第1のステップにおいて、充電電流値の最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値をCMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とする。

0024

本発明の充電方法は、上記第1のステップを備えているため、負極のリチウムイオンの拡散係数が最も大きい領域、即ち、充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値A、及び、負極のリチウムイオンの拡散係数が次に大きい領域、即ち、充電率が60%を超える領域における平均充電電流値Cよりも、負極のリチウムイオンの拡散係数が最も小さい領域、即ち、充電率が40%以上60%以下の領域における平均充電電流値Bを小さくしているので、充電による電池の発熱を最小限にして、高効率の充電を行うことができる。これにより、電池の充放電サイクル特性等の電池特性を低下させずに充電時間の短縮化を図ることができる。

0025

ここで、充電率とは、完全放電状態の電池の充電率を0%とし、完全充電状態の電池の充電率を100%として、充電率100%の時点での充電電流と充電時間とを積算した値である総充電量に対する充電量割合を意味する。また、上記充電率は、完全放電状態の電池の充電を市販の残量表示ICを用いてモニターすることにより正確に測定できる。

0026

上記第1のステップにおいては、上記充電率が40%以上60%以下の領域に充電電流値の最小値CMINが設定されることになる。但し、充電中における何らかの障害を除去するために、例えば、充電率が0%以上40%未満の領域において充電電流値を一時的に低下させる工程を設定して、充電電流値の最小値が充電率が0%以上40%未満の領域に存在することになっても、上記のA>B、且つ、B<Cの関係は成立するものである。

0027

また、上記第1のステップによる充電開始時の電池の充電率が40%以上60%以下である場合、即ち完全放電状態ではない電池を充電する場合には、B<Cの関係のみを成立させればよい。実用上、完全放電状態でない電池の充電率は、その電池の電圧から推定できる。即ち、予め同一仕様の完全放電状態の電池について求めた電池電圧と充電率との関係を測定しておき、この関係に完全放電状態でない電池の電圧を当てはめることにより、完全放電状態でない電池の充電率を推定できる。充電開始時の電池の充電率を検出することにより、平均充電電流値Aで充電する工程を省略できる場合、又は、平均充電電流値Aで充電する時間を短くできる場合があり、これにより更に全体の充電時間を短縮できる。

0028

また、上記CMAXは、0.4C以上4.0C以下であることが好ましく、上記CMINは、0.2C以上2.0C以下であることが好ましい。これにより、より効率的に充電を行うことができる。

0029

本発明の充電方法は、負極に用いる負極活物質が黒鉛のみからなる場合に最も適切に適用できるが、負極活物質が黒鉛を少なくとも含んでいれば、本発明の充電方法を適用できる。また、上記負極活物質が黒鉛を40質量%以上含んでいれば、本発明の充電方法をより適切に適用できる。上記負極活物質に含まれる黒鉛の量により、電池の充電率とリチウムイオンの拡散係数との関係は多少変化するが、負極全体のリチウムイオンの拡散係数は、黒鉛のリチウムイオンの拡散係数に大きく影響されるからである。

0030

上記負極に用いることのできる黒鉛以外の負極活物質としては、例えば、シリコン(Si)を含む負極材料が挙げられる。また、上記負極材料としては、Siの超微粒子がSiO2中に分散した構造を有する複合材料(SiOx)を用いることができる。上記複合材料(SiOx)において、Siに対する酸素原子比xは、通常0.5≦x≦1.5である。また、上記複合材料を更に炭素被覆した複合材料(SiOx−C)とすることもできる。

0031

次に、本発明の充電方法を図面に基づき説明する。図1は、本発明の充電方法の一例を示す図である。図1において、横軸は充電率(%)、縦軸は充電電圧、充電電流を示す。図1に示すとおり、本発明の充電方法は、所定の設定電圧VCまでは充電電流を増減させて充電する第1のステップと、設定電圧VCに達してからは、定電圧で充電して、設定電圧VCを維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを備えている。また、第1のステップにおいて、リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、上記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、上記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、且つ、上記第1のステップにおいて、充電電流値の最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値をCMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下となるように充電電流値が設定されている。

0032

設定電圧VCは特に限定されないが、例えば、4.2〜4.5Vに設定でき、更に充電容量を増加させて電池のエネルギー密度を向上する観点から4.6V以上となる場合もある。また、図1では、第1のステップが終了して第2のステップ(CV充電)を開始する時点の充電率を80%としているが、これに限定されず、第2のステップ(CV充電)を開始する時点の充電率は70〜90%に設定できる。

0033

本発明の充電方法においては、上記第1のステップが終了して、上記第2のステップへ移行した後の動作は、従来のCCCV充電と同様である。

0034

本発明の充電方法による充電時間は、リチウムイオン二次電池の容量により変化するが、通常、0.5〜2時間程度である。上記充電は、電池の充電率が100%に達した時に終了するが、その時の電流値は典型的には0.1C以下である。

0035

本発明の充電方法に用いる充電装置は、本発明の充電方法が実施できれば特に限定されないが、後述する本発明のリチウムイオン二次電池の充電制御システムを備えたものが好ましい。

0036

(本発明のリチウムイオン二次電池の充電制御システム)
本発明のリチウムイオン二次電池の充電制御システム(以下、本発明の充電制御システムという。)は、所定の設定電圧までは充電電流を増減させて充電する第1のステップと、上記設定電圧に達してからは、定電圧で充電して、上記設定電圧を維持するように充電電流を減少させながら充電する第2のステップとを含む充電アルゴリズムを備えている。また、上記第1のステップにおいて、上記リチウムイオン二次電池の充電率が0%以上40%未満の領域における平均充電電流値をA、上記充電率が40%以上60%以下の領域での平均充電電流値をB、上記充電率が60%を超える領域での平均充電電流値をCとすると、A>B、且つ、B<Cの関係が成立し、且つ、上記第1のステップにおいて、充電電流値の最大値をCMAXとし、充電電流値の最小値をCMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINが、1.01以上3.00以下であることを特徴とする。

0037

本発明の充電制御システムは、前述の本発明の充電方法を実施するための充電アルゴリズムを備えているので、充電による電池の発熱を最小限にして、高効率の充電を行うことができる。これにより、電池の充放電サイクル特性等の電池特性を低下させずに充電時間の短縮化を図ることができる。

0038

上記充電アルゴリズムは、実質的には前述の本発明の充電方法の内容と同じである。図2に、上記充電アルゴリズムを表すフローチャートを示す。

0039

図2に示すように、充電がスタートすると、先ず電池の充電率を検出する(ステップS1)。次に、検出された充電率が40%未満か否かを判定する(ステップS2)。充電率が40%未満の場合(ステップS2:Yes)には、ステップ3に移り平均充電電流値Aで充電を行う。充電率が40%に達したら(ステップ4:Yes)、平均充電電流値Bで充電を行う(ステップ5)。充電率が60%に達したら(ステップ6:Yes)、平均充電電流値Cで充電を行う(ステップ7)。これに伴い、充電電圧が定電圧設定値VCに達したら(ステップ8:Yes)、ステップ9に移り定電圧設定値VCでCV充電を行う。これに伴い、充電率が100%に達したら(ステップ10:Yes)、ステップ11に移り充電電流を遮断し、充電が完了する。但し、図2には示していないが、定電圧設定値VCに達するまでの充電電流値の最大値をCMAXとし、その充電電流値の最小値をCMINとすると、CMAXとCMINとの比率CMAX/CMINは、1.01以上3.00以下に設定されている。

0040

本発明の充電制御システムは上記充電アルゴリズムを備えていれば、その具体的形態は問わないが、例えば、リチウムイオン二次電池を充電する充電装置を含み、上記充電装置は、充電電流及び充電電圧を電池に印加するために、上記充電アルゴリズム用いて充電を行う回路を含む形態が挙げられる。

0041

本発明の充電制御システムの他の形態としては、リチウムイオン二次電池を充電する充電装置を制御する電子ステムが挙げられる。上記電子システムには、各種のハードウェア、例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサマイクロコントローラ、システム・オンチップ(SOC)等が含まれる。また、上記電子システムとしては、上記充電アルゴリズムに基づきプログラムされたコンピュータシステムも含まれる。

0042

(本発明の電子機器)
本発明の電子機器は、上記本発明の充電制御システムを備えていることを特徴とする。本発明の電子機器は、上記本発明の充電制御システムを備えていれば、その具体的形態は問わないが、例えば、上記本発明の充電制御システムを備えた各種のモバイル機器等が該当する。

0043

(本発明の電池パック)
本発明の電池パックは、上記本発明の充電制御システムを備えていることを特徴とする。本発明の電池パックは、上記本発明の充電制御システムを備えていれば、その具体的形態は問わないが、例えば、リチウムイオン二次電池と、上記本発明の充電制御システムと、PTC素子と、保護回路等を備えた電池パックが挙げられる。

0044

以下、実施例により本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0045

先ず、以下のようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0046

<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO2:96.5質量部と、バインダであるポリフッ化ビニリデンPVDF)を10質量%の濃度で含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液:20質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。

0047

上記正極合剤含有ペーストを、厚みが12μmのアルミニウム箔正極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚さ及び密度を調節し、アルミニウム箔の露出部にニッケル製のリード体溶接して、長さ640mm、幅65mmの帯状の正極を作製した。得られた正極における正極合剤層は、片面あたりの厚みは65μmであった。

0048

<負極の作製>
平均粒子径D50%が22μm、面間隔d002が0.338nmで、BET法による比表面積が3.8m2/gである黒鉛A(表面を非晶質炭素で被覆していない黒鉛)と、平均粒子径D50%が18μm、面間隔d002が0.336nmで、BET法による比表面積が3.9m2/gである黒鉛B(黒鉛からなる母粒子の表面を非晶質炭素で被覆した黒鉛)とを、30:70の質量比で混合した混合物:98質量部、バインダであるカルボキシメチルセルロースCMC):1.0質量部及びスチレンブタジエンラバーSBR):1.0質量部を、イオン交換水と混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。

0049

上記負極合剤含有ペーストを、厚みが6μmの銅箔負極集電体)の両面に塗布した後、100℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面に負極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、負極合剤層の厚さ及び密度を調節し、銅箔の露出部にニッケル製のリード体を溶接して、長さ640mm、幅66mmの帯状の負極を作製した。得られた負極における負極合剤層は、片面あたりの厚みは70μmであった。

0050

非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との容積比3:7の混合物に、ビニレンカーボネートを3質量%溶解させた溶液に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させて非水電解液を調製した。

0051

<電池の組み立て>
上記帯状の正極を、ポリエチレン(PE)製のセパレータ(厚さ12μm)を介して上記帯状の負極に重ね、渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状巻回構造電極巻回体を作製した。この電極巻回体をポリプロピレン製絶縁テープで固定した。次に、外寸が厚さ5.5mm、幅51mm、高さ72mmのアルミニウム合金製の角形電池ケースに上記電極巻回体を挿入し、リード体の溶接を行うとともに、アルミニウム合金製の蓋板を電池ケースの開口端部に溶接した。その後、蓋板に設けた注入口から上記非水電解液を注入し、1時間静置した後に注入口を封止して、リチウムイオン二次電池を得た。

0052

<充電工程>
次に、作製したリチウムイオン二次電池を表1及び表2に示した実施例1〜4及び比較例1〜7の充電方法により充電した。即ち、各電池を設定電圧VCまでは充電電流を増減させて充電し(第1のステップ)、設定電圧VCに達してからはCV充電を行った(第2のステップ)。但し、便宜上、充電率が70%に達した段階の充電電圧を設定電圧VCとした。

0053

また、表1及び表2では、各充電率の範囲における充電電流と、充電率が0%以上40%未満の範囲での平均充電電流値A、充電率が40%以上60%以下の範囲での平均充電電流値B、充電率が60%を超えた範囲での平均充電電流値Cと、上記第1のステップにおける充電電流値の最大値CMAXと充電電流値の最小値CMINとの比率CMAX/CMINとを示した。更に、表1及び表2には、Cレートで表示したCMAX及びCMINの値も示した。表1及び表2では、充電電流の単位は全てアンペア(A)とした。

0054

0055

0056

<充電方法の評価>
上記充電工程における各電池の表面の最大温度(以下、単に最大温度という。)を測定した。また、各電池の充電開始から充電率が80%に達するまでの時間(以下、80%到達時間という。)、電池の充電開始から充電率が90%に達するまでの時間(以下、90%到達時間という。)を測定した。

0057

<電池の評価>
実施例1〜4及び比較例1〜7の各電池について、温度23℃の雰囲気下で、それぞれ実施例1〜4及び比較例1〜7の充電方法による充電(設定電圧VC:4.35V、充電終止電流:0.1A)を行った後、1C(3.0A)による定電流放電終止電圧:2.75V)を行い、この充放電を1サイクルとして、500サイクル充放電を繰り返し、下記式により容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100

0058

上記各評価の結果を表3及び表4に示す。更に、図3に実施例1の電池の充電率と、充電電流及び電池温度との関係を示し、図4に比較例1の電池の充電率と、充電電流及び電池温度との関係を示し、図5に比較例6の電池の充電率と、充電電流及び電池温度との関係を示した。

0059

0060

0061

表3及び表4から、実施例1〜4では、最大温度は全て36℃を下回り、80%到達時間は全て49分を下回り、90%到達時間は全て60分を下回り、容量維持率は全て83%以上となったことが分かる。即ち、実施例1〜4では、充電中の電池の発熱を抑制し、高効率での充電を可能とし、電池特性を低下させずに充電時間の短縮化を図ることができたことが分かる。

実施例

0062

一方、平均充電電流値B(以下、電流値Bという。)が平均充電電流値A(以下、電流値Aという。)及び平均充電電流値C(以下、電流値Cという。)より大きい比較例1、電流値Bが電流値Cより大きい比較例2及び3では、最大温度は全て41℃を超え、容量維持率は全て75%以下となった。また、電流値Bが電流値Aより大きい比較例4では、80%到達時間が49分を超え、90%到達時間が62分を超え、容量維持率が78%となり、CMAX/CMINが3.00を超えた比較例5では、最大温度が39℃を超え、容量維持率が78%となった。更に、従来の標準のCCCV充電を行った比較例6では、80%到達時間が49分を超え、90%到達時間が62分を超えた。また、従来の標準のCCCV充電より充電電流を大きくした比較例7では、最大温度が41℃を超え、容量維持率が74%となった。即ち、比較例1〜7では、最大温度、80%到達時間、90%到達時間及び容量維持率の少なくとも1項目において、実施例1〜4より劣ることが分かる。

0063

本発明のリチウムイオン二次電池の充電方法及び充電制御システムによれば、電池の温度上昇を抑制しながら、効率よく充電を行うことが可能となり、各種モバイル機器等に搭載されたあらゆる用途のリチウムイオン二次電池の充電に有効である。

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