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技術 X線回折測定用非水系電解質二次電池及びX線回折測定方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 金谷日出和
出願日 2014年12月25日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2014-263475
公開日 2016年7月7日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-122634
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析 電池の電槽・外装及び封口 電池用電極の担体または集電体 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード X線回折法 補正用領域 小型コンピューター ハードパック 内部標準試料 金属ベリリウム 電気的導通性 ソフトパック
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

X線透過性を上昇させ、高感度で且つ格子定数を評価することが可能な、透過法によるX線回折測定を容易に可能とする電池及びX線回折測定方法を提供する。

解決手段

正極と負極と前記正極と負極間に配されたセパレーターからなる電極体を浸漬する非水系電解液収納する電池容器から構成されるX線回折測定用非水系電解質二次電池であって、負極が、負極の全外周部及び外周部以外の一部に電気集電体が存在し、前記負極のうち前記電気集電体を除く部分の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、その電池容器が、電池容器の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、負極の外周部以外の一部に存在する電気集電体とX線透過率が高い材料及び電池容器のX線透過率が高い材料が、X線照射経路上に配置されていることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池及びX線回折測定方法。

概要

背景

近年、非水系電解質二次電池、特にリチウム二次電池は、携帯電話,PHS(簡易携帯電話),小型コンピューター等の携帯機器類電源電力貯蔵用電源、電気自動車用電源として注目されている。
非水系電解質二次電池は、一般に、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、非水系電解質とから構成され、それら構成材料金属缶外装したハードパック型やアルミラミネートフィルムで外装したソフトパック型(ラミネートセル)などがある。

このような非水系電解質二次電池を構成する正極活物質としては、コバルト酸リチウムに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物が、負極活物質としては、黒鉛グラファイト)に代表される炭素質材料が、非水系電解質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)に代表される電解質塩エチレンカーボネートに代表される高沸点溶媒ジエチルカーボネートに代表される低沸点溶媒を組み合わせた非水系溶媒に溶解したものが広く用いられている。

ところで、電池の研究を進めるにあたり、電池の充放電メカニズムなどの解明が重要であり、そのための分析方法に関しても多くの検討がなされている。
その充放電メカニズム解明のための分析方法としては、電池を分解し、正極などの構成材料を取り出して分析を行うEx−Situ分析が、現在までの分析方法の主流となっていた。
しかし、近年、電池を分解せず充放電を行ったまま各種分析を行うIn−Situ分析の手法に注目が集まっている。

現在、様々なIn−Situ分析手法が存在するが、充放電中の正極活物質の結晶構造解析する方法のひとつとして、X線回折法(XRD法)が挙げられる。
しかしながら、通常の研究に用いられる電池では、電池を構成する部材自体の中に金属などのX線を遮る材料が用いられてる(例えば、特許文献1参照)。このようなX線を遮る材料で電池が構成されていると、X線を十分に透過させることができず、In−Situ XRD法を行った際のその分析精度に問題が残されていた。

このような課題を克服し、充放電中の電池正極材の結晶構造を解析する手法としては、専用充放電用セルを用いる集中法(反射法)による測定と、ソフトパック型電池(ラミネートセル)透過法による測定の2種類の測定法が開発されている。

先ず、専用充放電用セルを用いた集中法(反射法)による測定については、現在数社から専用の充放電セルが販売されている。この方法では、専用セルを組み上げ、X線が照射される領域にX線透過率の高い金属ベリリウムを用いることによって、高い回折線強度を得ることができる。また、ブラッグブレンターノ光学系での集中法を用いた測定が可能なため、角度分解能に優れるといった特徴がある。
しかしながら、この方法では、先述したとおり金属ベリリウムを用いていることによって、金属ベリリウムが電解液などと反応し、非常に毒性の高い酸化ベリリウムを生成してしまうため、実験の安全性に大きな問題を抱えている。

次に、ラミネートセル透過法を用いた測定では、専用のセルを組み上げる必要がないものの、X線が電池を十分に透過する構造を有していることが必要である。ラミネートセル型電池であれば、集中法(反射法)の専用セルで問題となった酸化ベリリウムによる安全性の問題は生じない。また、通常組み上げて種々の試験を行なうラミネートセル型電池の内部状態構造解析が可能であるという点で大きなメリットがある。

一方で、この透過法を用いたラミネートセル型電池の充放電中における正極材のX線回折測定(以下、透過法In−SituXRD測定)を行うにあたっては、「回折線の強度低下」、及び「試料変位による回折角度のずれ」の下記2点が課題となっている。

(1).回折線の強度低下:
入射X線が、ラミネートセル型電池を構成する電気集電体、負極、正極、セパレーター、電解液等に吸収されることから、透過法を用いる以上必ず発生する現象である。
特に、実験室系X線回折装置のほとんどは銅のX線管球を用いていることから、波長1.54ÅのCuKα線を用いた透過法測定においては、ラミネートセル型電池を構成する負極の電気集電体を可能な限り薄くする、面積を減らす、もしくは排除することが非常に重要である。

(2).測定した回折角度のずれ:
充放電に伴うラミネートセル型電池が前後に変位してしまうことにより生じる。
ラミネートセルの位置が前後してしまった場合、測定に用いているX線回折装置の測定光学系、即ちゴニオメーター半径が変わってしまい、測定から得られたピーク位置(2θ)から格子定数を算出することが困難となってしまう。
そこで、各測定において回折角度がずれてしまった場合には、変位してしまった試料に対し内部標準試料となるような物質を用いて角度補正を行って対処することが必要となってくる。

この角度補正を考える場合、充放電中に構造が変化せず、内部標準試料として使用できる可能性のある物質としては、ラミネート材の金属(2枚)、正極電気集電体金属、負極電気集電体金属が挙げられる。
ラミネート材の金属の一つである正極電気集電体金属には、通常アルミニウムが用いられることが多い。その場合、ラミネートセル型電池には、構造中にアルミニウムが3枚含まれることとなり、各アルミニウム位置の相対的なずれによって、アルミニウムのピークは3本に分かれた形で検出されるので、解析においてはアルミニウムの正確なピーク位置を求めることは困難であるため、現実的には内部標準試料の代替物として既知の負極電気集電体金属を用いることが最も現実的である。

したがって、このように透過法を用いたラミネートセル型電池の充放電中におけるX線回折測定において、解析に十分な強度が得られ、且つ得られたデータからラミネートセルの充放電中の変位を補正して正極活物質の格子定数を算出可能なデータが得られるような、透過法In−SituXRD測定用ラミネートセル型電池を開発することが希求されている。

概要

X線の透過性を上昇させ、高感度で且つ格子定数を評価することが可能な、透過法によるX線回折測定を容易に可能とする電池及びX線回折測定方法を提供する。 正極と負極と前記正極と負極間に配されたセパレーターからなる電極体を浸漬する非水系電解液収納する電池容器から構成されるX線回折測定用非水系電解質二次電池であって、負極が、負極の全外周部及び外周部以外の一部に電気集電体が存在し、前記負極のうち前記電気集電体を除く部分の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、その電池容器が、電池容器の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、負極の外周部以外の一部に存在する電気集電体とX線透過率が高い材料及び電池容器のX線透過率が高い材料が、X線照射経路上に配置されていることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池及びX線回折測定方法。なし

目的

本発明は、上記希求される透過法における問題点に鑑み、充放電中のラミネートセル型電池に対する透過法を用いたX線回折測定(透過法In−SituXRD測定)において、正極活物質から十分な回折ピーク強度が得られ、且つ得られたデータからラミネートセルの充放電中の変位を補正して正極活物質の格子定数を算出することが可能な、ラミネートセル型電池の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

正極と負極と前記正極と負極間に配されたセパレーターからなる電極体と前記電極体を浸漬する非水系電解液収納する電池容器から構成されるX線回折測定用非水系電解質二次電池であって、前記負極が、負極の全外周部及び外周部以外の一部に電気集電体が存在し、前記負極のうち前記電気集電体を除く部分の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、前記電池容器が、前記電池容器の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、前記負極の前記外周部以外の一部に存在する電気集電体とX線透過率が高い材料及び電池容器のX線透過率が高い材料が、X線照射経路上に配置されていることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池。

請求項2

前記X線透過率が高い材料は、リチウムであることを特徴とする請求項1に記載のX線回折測定用非水系電解質二次電池。

請求項3

請求項1又は2に記載のX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いた正極活物質X線回折測定方法において、前記X線回折測定用非水系電解質二次電池の負極の電気集電体が、銅箔により構成され、透過法によるX線回折測定によって得られた前記電気集電体を構成する銅箔の(111)及び(200)面の回折角から、前記X線回折測定用非水系電解質二次電池の正極活物質の回折角の変位補正することを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いた正極活物質のX線回折測定方法。

技術分野

0001

本発明は、X線回折測定用非水系電解質二次電池とその二次電池を用いたX線回折測定方法に関し、その詳細は、X線回折を用いて電池内部の状態を把握するのに好適なX線回折用非水系電解質二次電池及びX線回折測定方法に関する。

背景技術

0002

近年、非水系電解質二次電池、特にリチウム二次電池は、携帯電話,PHS(簡易携帯電話),小型コンピューター等の携帯機器類電源電力貯蔵用電源、電気自動車用電源として注目されている。
非水系電解質二次電池は、一般に、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、非水系電解質とから構成され、それら構成材料金属缶外装したハードパック型やアルミラミネートフィルムで外装したソフトパック型(ラミネートセル)などがある。

0003

このような非水系電解質二次電池を構成する正極活物質としては、コバルト酸リチウムに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物が、負極活物質としては、黒鉛グラファイト)に代表される炭素質材料が、非水系電解質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)に代表される電解質塩エチレンカーボネートに代表される高沸点溶媒ジエチルカーボネートに代表される低沸点溶媒を組み合わせた非水系溶媒に溶解したものが広く用いられている。

0004

ところで、電池の研究を進めるにあたり、電池の充放電メカニズムなどの解明が重要であり、そのための分析方法に関しても多くの検討がなされている。
その充放電メカニズム解明のための分析方法としては、電池を分解し、正極などの構成材料を取り出して分析を行うEx−Situ分析が、現在までの分析方法の主流となっていた。
しかし、近年、電池を分解せず充放電を行ったまま各種分析を行うIn−Situ分析の手法に注目が集まっている。

0005

現在、様々なIn−Situ分析手法が存在するが、充放電中の正極活物質の結晶構造解析する方法のひとつとして、X線回折法(XRD法)が挙げられる。
しかしながら、通常の研究に用いられる電池では、電池を構成する部材自体の中に金属などのX線を遮る材料が用いられてる(例えば、特許文献1参照)。このようなX線を遮る材料で電池が構成されていると、X線を十分に透過させることができず、In−Situ XRD法を行った際のその分析精度に問題が残されていた。

0006

このような課題を克服し、充放電中の電池正極材の結晶構造を解析する手法としては、専用充放電用セルを用いる集中法(反射法)による測定と、ソフトパック型電池(ラミネートセル)透過法による測定の2種類の測定法が開発されている。

0007

先ず、専用充放電用セルを用いた集中法(反射法)による測定については、現在数社から専用の充放電セルが販売されている。この方法では、専用セルを組み上げ、X線が照射される領域にX線透過率の高い金属ベリリウムを用いることによって、高い回折線強度を得ることができる。また、ブラッグブレンターノ光学系での集中法を用いた測定が可能なため、角度分解能に優れるといった特徴がある。
しかしながら、この方法では、先述したとおり金属ベリリウムを用いていることによって、金属ベリリウムが電解液などと反応し、非常に毒性の高い酸化ベリリウムを生成してしまうため、実験の安全性に大きな問題を抱えている。

0008

次に、ラミネートセル透過法を用いた測定では、専用のセルを組み上げる必要がないものの、X線が電池を十分に透過する構造を有していることが必要である。ラミネートセル型電池であれば、集中法(反射法)の専用セルで問題となった酸化ベリリウムによる安全性の問題は生じない。また、通常組み上げて種々の試験を行なうラミネートセル型電池の内部状態構造解析が可能であるという点で大きなメリットがある。

0009

一方で、この透過法を用いたラミネートセル型電池の充放電中における正極材のX線回折測定(以下、透過法In−SituXRD測定)を行うにあたっては、「回折線の強度低下」、及び「試料変位による回折角度のずれ」の下記2点が課題となっている。

0010

(1).回折線の強度低下:
入射X線が、ラミネートセル型電池を構成する電気集電体、負極、正極、セパレーター、電解液等に吸収されることから、透過法を用いる以上必ず発生する現象である。
特に、実験室系X線回折装置のほとんどは銅のX線管球を用いていることから、波長1.54ÅのCuKα線を用いた透過法測定においては、ラミネートセル型電池を構成する負極の電気集電体を可能な限り薄くする、面積を減らす、もしくは排除することが非常に重要である。

0011

(2).測定した回折角度のずれ:
充放電に伴うラミネートセル型電池が前後に変位してしまうことにより生じる。
ラミネートセルの位置が前後してしまった場合、測定に用いているX線回折装置の測定光学系、即ちゴニオメーター半径が変わってしまい、測定から得られたピーク位置(2θ)から格子定数を算出することが困難となってしまう。
そこで、各測定において回折角度がずれてしまった場合には、変位してしまった試料に対し内部標準試料となるような物質を用いて角度補正を行って対処することが必要となってくる。

0012

この角度補正を考える場合、充放電中に構造が変化せず、内部標準試料として使用できる可能性のある物質としては、ラミネート材の金属(2枚)、正極電気集電体金属、負極電気集電体金属が挙げられる。
ラミネート材の金属の一つである正極電気集電体金属には、通常アルミニウムが用いられることが多い。その場合、ラミネートセル型電池には、構造中にアルミニウムが3枚含まれることとなり、各アルミニウム位置の相対的なずれによって、アルミニウムのピークは3本に分かれた形で検出されるので、解析においてはアルミニウムの正確なピーク位置を求めることは困難であるため、現実的には内部標準試料の代替物として既知の負極電気集電体金属を用いることが最も現実的である。

0013

したがって、このように透過法を用いたラミネートセル型電池の充放電中におけるX線回折測定において、解析に十分な強度が得られ、且つ得られたデータからラミネートセルの充放電中の変位を補正して正極活物質の格子定数を算出可能なデータが得られるような、透過法In−SituXRD測定用ラミネートセル型電池を開発することが希求されている。

先行技術

0014

特開2012−119093号公報

発明が解決しようとする課題

0015

本発明は、上記希求される透過法における問題点に鑑み、充放電中のラミネートセル型電池に対する透過法を用いたX線回折測定(透過法In−SituXRD測定)において、正極活物質から十分な回折ピーク強度が得られ、且つ得られたデータからラミネートセルの充放電中の変位を補正して正極活物質の格子定数を算出することが可能な、ラミネートセル型電池の提供を目的とするものである。

課題を解決するための手段

0016

本発明者は、透過法In−SituXRD測定において、正極活物質から十分な回折ピーク強度が得られ、且つ得られたデータから充放電中の変位を補正して、正極活物質の格子定数を算出することが可能なラミネートセルを鋭意検討した結果、電池の構成材料である負極の材質及びその集電材の構造を測定に適したものに変更することにより、電池のX線透過性を向上させつつ、測定時の試料変位を補正できるという知見を得て、本発明を完成した。

0017

すなわち、本発明のX線回折用非水系電解質二次電池の第1の発明は、正極と負極と、その正極と負極間に配されたセパレーターからなる電極体と、その電極体を浸漬する非水系電解液収納する電池容器から構成されるX線回折測定用非水系電解質二次電池であって、その負極が、負極の全外周部及び外周部以外の一部に電気集電体が存在し、前記負極のうち前記電気集電体を除く部分の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、電池容器が、前記電池容器の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、負極の外周部以外の一部に存在する電気集電体とX線透過率が高い材料及び電池容器のX線透過率が高い材料が、X線照射経路上に配置されていることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池である。

0018

本発明の第2の発明は、第1の発明におけるX線透過率が高い材料は、リチウムであることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池である。

0019

本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明に記載のX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いた正極活物質のX線回折測定方法において、そのX線回折測定用非水系電解質二次電池の負極の電気集電体が銅箔により構成され、透過法によるX線回折測定によって得られた負極の電気集電体を構成する銅箔の(111)及び(200)面の回折角から、X線回折測定用非水系電解質二次電池の正極活物質の回折角の変位を補正することを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いた正極活物質のX線回折測定方法である。

発明の効果

0020

本発明によって、ラミネートセル型電池に対する透過法In−SituXRD測定において、正極活物質から十分な回折ピーク強度が得られ、より精度の高い定性分析が可能となると共に、得られたデータからラミネートセルの充放電中の変位を補正して正極活物質の格子定数を算出することが可能となった。

図面の簡単な説明

0021

本発明に係るラミネートセル型電池の一例の構造を示す概略図である。
本発明に係るラミネートセル型電池の一例の断面構造を示す概略図である。
本発明に係る負極電気集電体の構造を示す正面図である。
比較例1、2の測定で得られたX線回折測定結果である。

0022

図1、2に一例を示す本発明のX線回折用非水系電解質二次電池A(以下、単に「電池」と称す場合は、このX線回折用非水系電解質二次電池を示すものとする)は、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極1(図1では図示せず)と、負極3とが、セパレーター2を介して対向するように配置され、電池容器4(ラミネート製)で外装された非水系電解質二次電池である。

0023

この電池は、負極3を構成する負極の電気集電体9の少なくとも一部がX線透過率の高い材料3bで構成された負極を備えるものである。
図1において、Aは本発明に係るX線回折非水系電解質二次電池、2はセパレーター、3は負極、3bの細破線で囲まれた範囲が電気集電体の一部を構成するX線透過率が高い材料、4の一点鎖線が電池容器、5はタブリード、6の太破線指し示す範囲がX線照射領域、9は負極の電気集電体である。また、図2において、1は正極、2はセパレーター、3は負極、4は電池容器、5はタブリード、10は負極、セパレーター、正極で構成する電極体である。
図2中の白抜き矢印は、X線の照射方向を、11はX線照射経路を示している。なお、符号6で指し示す電池に照射されるX線照射領域の大きさは、4〜20mm×1mmで、X線の照射に際して、このX線照射領域6が、タブリード5に掛からず、且つ本願における外周部に位置する集電体9に掛からない領域に設定される。

0024

この負極3は、通常、銅箔にグラファイトなどの負極活物質を積層したものを用いるが、銅などのX線透過率の低い材料が用いられると、X線を透過させることができず、X線分析が困難となる。そこで、本発明に係る電池においては、X線分析の際にX線を透過させる部分を、X線透過率が高い材料3bで構成するものである。
このX線透過率が高い材料3bとしては、リチウムが好ましい。リチウムは、負極活物質として用いることが可能であり、かつ導電性を有するため電気集電体を負極全面に配置する必要がなく、X線を透過させる部分に電気集電体がなくとも十分に負極として作用させることが可能である。

0025

一方で、負極3は外部との電気的導通が必要であるため、X線経路干渉しない外周の一部に電気集電体9を配置することが好ましく、さらに負極の全外周部に配置されていることも好ましく、この電気集電体9にリード線等(符号5のタブリードなど)を取り付けることで、外部との電気的導通が効率よく行える。

0026

図3は本発明に係る負極の電気集電体9(銅箔製)の構造を示す正面図で、6の太破線で指し示す範囲はX線照射領域を示し、aはその幅を示すもので、8は電気集電体9の試料ずれ補正用領域で、bはその幅を示すものである。
この電気集電体9を積層する位置は、X線測定の自由度を高く維持するため、少なくとも負極の外周の一部に積層することが好ましい。さらに、電気的導通性を高めるため、負極の全外周部に配置することが好ましい。加えて、図3に示すように、透過法XRD測定の光路上の、X線照射領域6の面積(b/a)の5〜95%程度の領域が電気集電体9で覆われるような形状(0.05≦b/a≦0.95)に電気集電体9を加工することが好ましい。さらに、試料ずれを補正可能なように図3に一例が示される符号8に見られるような電気集電体の試料ずれ補正用領域を備えている。

0027

ここで、負極の電気集電体9は、Cu、Fe、Niから構成される群より選択される1種以上の金属またはその合金からなることが好ましい。これらの金属もしくはその合金を用いることで、集電体へのリチウムのドープが抑制されるので、集電体の脆化が抑制され、充放電を繰り返すことが可能となる。

0028

また正極1においても、外部との電気的導通を確保するため電気集電体が必要であり、電気集電体としてアルミニウムを用いることが望ましい。この集電体にリード線等を取り付けることで、効率の良い外部との電気的導通が得られ、また、この正極を構成するアルミニウムはX線透過を妨げることがないように40μm以下の厚みが好ましい。
したがって、本発明に係る電池の電極に用いる集電体の構成としては、負極の電気集電体が銅からなり、正極の電気集電体がアルミニウムからなることが好ましい。このような組み合わせにより、集電体の導電性が高く、充放電効率に優れた電池が得られる。

0029

さらに、本発明に係る電池においては、負極と同様に少なくとも一部がX線透過可能材料からなる電池容器を用いる。
そのような電池容器として、金属製の電池缶はX線の透過が困難であるため、その一部をX線透過率の高い材料に変更することで、X線分析を可能とする。そのX線透過率の高い材料としては、例えば、ベリリウムやアルミニウムなどの軽金属箔、樹脂ガラスなどが用いられる。しかしながら、電池缶の材料変更は、コスト的に高くなるため、電池容器としてラミネート製セルを用いることが好ましい。

0030

この電池容器として一般的に用いられるラミネートは、アルミニウム箔が積層され、X線の透過が可能であるが、電池内の密閉性保証されるのなら、特に材質を限定するものではなく、このラミネートが有機樹脂フィルムのみから構成されていても良く、その場合有機樹脂フィルムの酸素透過度が5ml/(m2・24hr・MPa)以下であり、水蒸気透過度が0.5g/(m2・d)以下であることが望ましい。
なお、このように酸素透過度と水蒸気透過度を規定する理由は、セル内への酸素透過によって充放電中に電池の劣化が生じること、及び空気中水分と電解液とが反応し、腐食性の高いHFを生成する化学反応が生じることによって、測定の安全性に悪影響を与える可能性が高くなるために規定している。

0031

さらに、図1に示す電池容器4及びX線透過率が高い材料3bからなるX線透過率が高い材料は、図2に示すようにX線照射経路11上に一直線に並ぶように配置されていることが重要である。これによりX線透過可能な経路が確保でき、X線透過率が向上し、高精度なX線回折用非水系電解質二次電池が得られる。

0032

以下に、電池の各構成を詳細に説明する。
電池構成
(1)正極
本発明に係る電池においては、X線回折用としてX透過率を高めるため、電気集電体を除いた正極の厚みは0.01〜0.05mm程度が好ましく、負極より面積が小さいものが好ましい。

0034

(2)負極
負極に用いられるX線透過率が高い材料には、金属リチウム、もしくはリチウム合金を使用することが好ましい。
これらは、電極を構成することが可能な強度と導電性を有するため、X線を透過させる部分において電気集電体をなくすことができる。負極を構成する金属リチウム、もしくはリチウム合金は、X線透過を妨げることがないよう、厚みを0.5〜2.0mmの範囲とすることが好ましい。

0035

(3)セパレーター
正極と負極との間にはセパレーターを挟み込んで配置する。
セパレーターは、正極と負極間の絶縁、さらには電解液を保持するなどの機能を持つものであり、一般的な非水系電解質二次電池で使用されているものを用いることができる。
例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、あるいはそれら積層品等の多孔膜など、その必要機能を有するものであればよく、一般的な非水系電解質二次電池で使用されているセパレーターであれば、特に限定されるものではない。

0036

(4)非水系電解液
非水系電解液は、電解質としてのリチウム塩有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートブチレンカーボネートトリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートエチルメチルカーボネートジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランジメトキシエタン等のエーテル化合物エチルメチルスルホンブタンスルトン等の硫黄化合物リン酸トリエチルリン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。

0037

電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2等、およびそれらの複合塩を用いることができる。さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。

0038

(5)電池の構成
上記正極および負極を、セパレーターを介して積層して電極体を構成し、この電極体に非水系電解液を含浸させる。正極および負極は、それぞれ外部端子に接続して導通させる。
以上の構成のものを電池容器であるラミネートで密閉してX線回折測定用非水系電解質二次電池を完成させることができる。

0039

以下に、本発明に係るX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いたX線回折測定法の一例を示す。
上記の二次電池に対して、X線回折装置を用いて2θスキャンを実施する。この時に用いるX線回折装置は、透過測定が実施可能な光学系を有している必要があり、特に高密度のX線をラミネート製セルに集光させることが可能な光学系であることが好ましい。また、X線が吸収されることで、回折X線強度が十分でない場合もある為、検出器高感度のものが好ましく、特に半導体検出器が好ましい。また、X線管球の出力が大きく、入射X線強度が高ければなお良い。

0040

得られたスペクトルを解析する場合には、通常のX線回折測定データ解析と同様に、バックグラウンドを除去したのちに、ピークサーチを行なって、得られたピークの回折角(2θ)を算出する。得られたピークにおいて、銅箔の(111)若しくは(200)面の回折角(2θ)位置を、予め通常の集中法により測定しておいた基準となる銅箔の回折角(2θ)位置と照合して、回折角(2θ)の位置ずれがある場合には差分を算出する。正極活物質の回折角(2θ)について、算出された回折角(2θ)の差分だけ変位しているものと判断して補正する。これにより充放電中の回折ピーク挙動、すなわちピークシフトを、定性的、且つ相対的に評価することが可能となる。この回折角の位置ずれは、充放電時におけるガス発生等による二次電池構成部材の変形あるいは位置ずれによるものである。

0041

さらに、得られたピークから格子定数を算出することは、結晶構造を定量的に評価する上で非常に重要である。
格子定数の最も簡易的な算出方法は、ブラッグの条件式「2dsinθ=λ」に、測定された回折角θ、既知のX線の波長λを入れて格子面間隔dを算出し、解析する物質の結晶系の条件式を用いて格子定数を算出する。

0042

例えば、六方晶であれば、「1/d2=4/3a2×(h2+hk+k2)+l2/c2」
という関係式が与えられている。h、k、lはミラー指数を表し、a、cはそれぞれa軸格子定数とc軸格子定数を表している。
よって、少なくとも (hkl)で表される2つの面が検出されていれば、上式は2次の連立方程式となり、解を求めることが可能となる。

0043

この方法では、測定中ラミネート型セルの変位を補正することが可能であるため、未充電のラミネート型セルを測定した結果と、粉末状態の正極材を通常の集中光学系で測定した結果を比較し、初期値として2θ位置を規格化すれば、変位量が補正された2θの値から、各充放電状態における格子定数を算出することが可能となる。
よって、ラミネート型セル測定前に集中法にて粉末のX線回折測定を実施して、リートベルト解析等で格子定数を算出、精密化しておくことが好ましい。

0044

実施例でのX線回折測定は、X線回折装置に「スペクトリス社製のX‘pert PRO MPD」を用いた。光学系は、入射X線側にフォーカシングミラーを用いてX線を集光し、電池は透過法用のステージを用いて、試料の電池を固定した。受光側には、高感度半導体検出器を用いてX線を検出した。
測定条件は、装置出力を45kV、40mAとし、15mmのビームマスク、1/2°の発散スリット、0.02radのソーラースリットを用いて、2θ=15°から50°の範囲を約20分で測定した。

0045

図1に示されるラミネートセル型電池を作製して透過法In−SituXRD測定を行った。
負極には、X線透過率が高い材料として厚み2mmの金属リチウムを用い、図2、3に示すようにX線照射面積の20%程度の領域が覆われるような形状(b/a=0.2)に加工した銅箔製の電気集電体9を配置した。
外装するラミネートは、厚みが0.1mmで、酸素透過度が5ml/(m2・24hr・MPa)、水蒸気透過度が0.5g/(m2・d)のアルミラミネートフィルムを用いた。

0046

作製した実施例1に係るラミネートセル型電池を測定した結果、電池構造から予測される正極活物質由来のピークがすべて得られ、且つ集電体である銅箔の(111)及び(200)面のピークもシャープに現れ、良好な結果を得た。

0047

(比較例1)
X線透過部分に電気集電体である銅箔を配置せずに比較例1に係るラミネートセル電池を作製した。作製したラミネートセル型電池を用いて実施例1と同じ条件でX線回折測定を実施した。

0048

その結果、回折強度は上昇したが、電気集電体を構成する銅箔のピークは現れず、標準ピーク位置として利用できそうな正極活物質以外のピークは、45°付近に現れるアルミニウムのピークのみであった。ただし、X線の光路には、正極の電気集電体であるアルミニウムとラミネート由来のアルミニウムの計3枚が存在する為、ピークが3本に分離したように現れた。またちょうどその位置に正極活物質のピークが出現し、アルミニウムピークと重なってしまったことから、測定中にラミネート型セルが変位しているかどうかを判断することができず、位置の補正が困難であった。ため、正極活物質の格子定数を算出することはできなかった。

0049

(比較例2)
電気集電体である厚み15μmの銅箔に、負極活物資であるカーボン粉末を50μmの厚みで積層した負極を用いた以外は実施例1と同じ比較例2に係るラミネートセル型電池を作製した。この電池を用いて実施例1と同条件でX線回折測定を実施した。

実施例

0050

その結果、得られた強度は実施例1と比較して減少し、正極活物質由来の(006)面のピークが認識できなくなった。格子定数算出には、通常、より高角度側のピークを用い、且つ複数のピークから求めた値の平均値を採用する為、c軸格子定数の算出の精度が低下してしまう可能性が生じた。

0051

1 正極
2セパレーター
3 負極
3bX線透過率が高い材料
4電池容器(ラミネート製)
5タブリード
6X線照射領域
8試料ずれ補正用電気集電体領域
9 負極の電気集電体(銅箔製)
10電極体
11X線照射経路
AX線回折測定用非水系電解質二次電池
a X線照射領域幅
b 試料ずれ補正用電気集電体領域幅

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