図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2016年7月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

デュシェンヌ型筋ジストロフィー血友病等の遺伝性障害処置に対し、中途終止コドン突然変異を有する遺伝子の発現レベルを増大させ、改善された効力を有する新規アミノグリコシドの提供。

解決手段

下記に例示されるアミノグリコシド化合物

概要

背景

多くのヒトの遺伝子疾患ナンセンス突然変異に起因し、そこでは3種類の終止コドンUAA、UAGまたはUGA)の1つがアミノ酸をコードするコドン置換し、翻訳中途終了をもたらし、結局、末端切断された不活性タンパク質に至る。現在、何百ものそのようなナンセンス突然変異が知られており、そして、いくつかは嚢胞性線維症(CF)、デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィーDMD)、毛細血管拡張性運動失調、ハーラー(Hurler)症候群血友病A血友病Bテイサックス(Tay−Sachs)病などの疾患を含む致命的疾患の特定の症例を説明することが示された[1、2]。それらの疾病の多くについては、有効な治療は現在のところなく、そして、遺伝子治療が遺伝子疾患の可能な解決法のように見えるが、この技術がヒトで使用されることができる前に、まだ多くの重大な障害を解決する必要がある。

特定のアミノグリコシド類は、リボソームリードスルー(読み過ごし)終止コドンの突然変異誘導し、mRNA分子の一部から全長タンパク質を生成するそれらの能力のために、いくつかの遺伝子疾患の治療で治療的価値を有することが示されている。

典型的には、アミノグリコシド類は、致命的な感染症の治療のために一般に使われている非常に強力な広範囲スペクトルを有する抗生物質である。パロモマイシンのようなアミノグリコシド抗生物質の作用の機構は、原核生物のリボソームとの相互作用を伴ない、特に16SリボソームRNA解読A−領域と結合することを伴ない、それはタンパク質翻訳阻害および翻訳の正確性への妨害をもたらすことが受け入れられている。

細菌のリボソーム構造の決定のいくつかの業績は、細菌のA−部位のオリゴヌクレオチドモデル結晶およびNMR構造とともに、原核生物細胞での解読メカニズムを理解するために、およびアミノグリコシド類がどのようにして遺伝暗号の有害な読み誤りをもたらすかについて理解するために役立つ情報を提供した。これらの研究および他の研究は、非同系統のmRNA−tRNA複合体に対するA−部位の親和性は、アミノグリコシド結合により増大し、リボソームが非系統および同系統の複合体を効率的に区別するのを妨げているという仮説を起こした。

真核生物でのアミノグリコシド類による停止抑制の強化は、タンパク質合成中に翻訳の正確性を妨害する原核生物におけるアミノグリコシドの活性に類似したメカニズムで起こると考えられる。すなわち、ある特定のアミノグリコシド類のリボソームA−部位への結合は、恐らく放出因子を挿入する代わりに、ほぼ同系統のmRNA−tRNA複合体を安定させる細胞構造変化を引き起こす。アミノグリコシド類は、顕著に異なる効率でいろいろな終止コドンを抑制(UGA>UAG>UAA)し、その抑制効果は、終止コドンのすぐ下流の4番目ヌクレオチド同一性のみならず、終止コドン付近ローカル配列コンテキストにさらに依存する(C>U>A≧グラム)ことが示された。

効果的なリードスルー薬物の望ましい特徴は経口投与であること、および細菌に対してはほとんど効果がないか、全く効果を有しないことである。リードスルー薬物の抗菌活性は、特に胃腸GI生物相に関して、GI生物相平衡逆転に起因する副作用および耐性発現により、抗生物質の不必要な使用として望ましくない。この点で、上述の制限に加えて、臨床アミノグリコシド類の大多数は、細菌のリボソームに対して非常に選択的であり、ヒト細胞細胞質リボソームに対しては著しい影響を及ぼさない。

上述の制限を回避する努力において、生物薬物工業は、現在、ナンセンスリードスルー活性のための大きな化学ライブラリーをスクリーニングすることによって新しい終止突然変異抑制薬物を求めようとしている。このアプローチを使って、非アミノグリコシド化合物である3−[5−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル安息香酸PTC124)が発見された。PTC124が抗菌活性と報告された毒性とを有しないという事実は、リボソームに及ぼすその作用メカニズムがアミノグリコシド類のそれとは異なることを示唆する。

アミノグリコシド類が哺乳動物細胞の中途ナンセンス突然変異を抑制することができたという事実は、1985年にBurkeおよびMoggによって最初に実証され、彼らはまた、これらの薬物の遺伝子疾患治療における治療の可能性に注目した。研究された最初の遺伝子疾患は、嚢胞性線維症(CF)であり、コーカサス人集団で最も優勢常染色体劣性疾患であり、それは2,500人の新生児あたり1人に影響を及ぼす。CFは、嚢胞性線維性膜コンダクタンス制御因子(CFTR)タンパク質における突然変異に起因する。現在では、CFTR遺伝子に1,000を超えるCFをもたらす異なる突然変異が確認されたが、その突然変異の5〜10%は、中途終止コドンである。中部・東部ヨーロッパのユダヤ人において、W1282X突然変異および他のナンセンス突然変異は、すべてのCFTR変異体対立遺伝子の64%を占める。

CFTR終止突然変異のアミノグリコシド媒介抑制についての最初の実験は、CFTR遺伝子で見られる中途終止突然変異がゲンタマイシンファミリーおよびジェネティシン(G−418)のメンバーによって、気管支上皮細胞株で全長の機能性CFTRの出現により測定されるように抑制されることができることを証明した。

ヒトCFTR−G542X組み換え遺伝子を保有するCFTR−/−トランスジェニックマウス変異体からの腸組織の抑制実験は、ゲンタマイシンおよびより効果の少ないトブラマイシンでの処置マウスにヒトCFTRタンパク質が出現したことを証明した。最も重要なことに、二重盲検偽薬対照交差試験を使用する臨床研究は、ゲンタマイシンが罹患患者で終止突然変異を抑制することができることを示し、そしてゲンタマイシン治療は、CFTR終止突然変異を保有する19人の患者の群で鼻粘膜を通過する膜コンダクタンスを改善した。インビトロの系の培養細胞株または動物モデル試験されたアミノグリコシド類の治療可能性についての他の遺伝子疾患は、DMD、Hurler症候群、尿崩症腎症シスチン蓄積症色素性網膜炎、および毛細血管拡張性運動失調を含む。

しかしながら、アミノグリコシドの医薬としての使用における主な限界のうちの1つは、典型的には腎臓腎毒性)およびに関連する(内耳神経毒性病気で発現する哺乳動物に対するそれらの高い毒性である。この毒性の原因は、異なる要因とメカニズム(例えばリン脂質に対する相互作用、ホスホリパーゼの阻害およびフリーラジカルの形成)との組み合わせに起因すると推定される。細菌のリボソームに対しては選択的であると考えられたが、大部分のアミノグリコシド類は、また、真核生物のA−部位とも結合するが、それは細菌のA−部位に対するよりも低い親和性である。哺乳動物細胞での翻訳の阻害は、また、これらの薬物の高い毒性に関して可能性のある原因のうちの1つでもある。それらの細胞毒性増している別の因子は、12SのrRNAのA−部位のミトコンドリアリボソームへのそれらの結合であり、その配列は細菌のA−部位に非常に類似している。

多くの研究が、アミノグリコシド類と関連した毒性を理解し軽減する方法を提供するために試みられたが、それはフリーラジカル濃度を低下させるために抗酸化剤を使用すること、同様にアミノグリコシド類がリン脂質と相互作用する能力を低下させるためのポリ−L−アスパラギン酸塩およびダプトマイシンを使用することを含む。アミノグリコシド類の取り込みの際のメガリン(特に腎臓近位尿細管および内耳豊富であるマルチリガンドエンドサイトーシス受容体)の役割が、最近、証明された。メガリンへのアミノグリコシドの結合と競合するアゴニスト投与はまた、アミノグリコシドの取り込みおよび毒性の減少をもたらした。さらに、アミノグリコシドが投与される投与計画および/または方法を変えることが、毒性を減らす手段として検討されてきた。

アミノグリコシドの毒性を減らす広範囲な努力にもかかわらず、投与計画の変更以外に、殆どの結果は、終止突然変異を抑制するためのアミノグリコシド類の投与に関する標準的な臨床実務および手順へと成熟していなかった。例えば、臨床試験でのゲンタマイシンの弱毒性用量の使用が、インビトロ系と比較してインビボ系実験で得られた減少したリードスルー効率を恐らく引き起こした。アミノグリコシドであるジェネティシン(登録商標)(G−418硫酸塩)は、インビトロでの翻訳−転写系において最良終止抑制活性を示したが、それが非常に低い濃度でさえ致命的であるので、治療剤としてのその使用が可能でないことを明らかにした。例えば、ヒト繊維芽細胞に対するG−418のLD50は、ゲンタマイシン、ネオマイシンおよびカナマイシンの2.5〜5.0mg/mlと比較して、0.04mg/mlである。

若干のアミノグリコシド系薬物(例えばG−418およびゲンタマイシンなど)への真核生物リボソームの増加した感受性魅力的であるが、真核生物リボソームとのそれらの相互作用に関する十分な構造データ不足のために、今日まで合理的に説明することができなかった。G−418は、非常に低い濃度でさえ非常に有毒であるので、現在、ゲンタマイシンは様々な動物モデルおよび臨床試験で試験される唯一のアミノグリコシドである。培養細胞のそれらの比較的より低い毒性により、アミカシンおよびパロモマイシンが、終止突然変異抑制治療用ゲンタマイシンの代替品を代表することができることをいくつかの研究は示したが、これらのアミノグリコシド類による臨床試験はまだ報告されていない。

現在まで、ほとんど全ての抑制実験は、臨床的に、市販品のアミノグリコシド類を用いて実施されているが、終止コドンリードスルー誘因としてそれらの活性を最適化させる努力は何もされてこなかった。現在では、限られた数のアミノグリコシド類(ゲンタマイシン、アミカシンおよびトブラマイシンを含む)のみが、ヒトの体内投与用の抗生物質として臨床的に使用されている。これらのうち、トブラマイシンは終止突然変異抑制活性を持たず、ゲンタマイシンが動物モデルおよび臨床試験で終止突然変異抑制活性に関して試験された唯一のアミノグリコシドである。近年、ネアミン誘導体の1群が脊髄筋萎縮症(SPA)患者に由来する線維芽細胞SMNタンパク質のリードスルーを促進することが示された;しかしながら、これらの化合物は抗生物質として当初設計され、これらの誘導体のリードスルー活性のさらなる改善のためには、何らの結論も引き出されなかった。

国際公開第2007/113841号(これは、本発明者らの一部によるものであり、全体を本明細書中出典明示により援用する)は一群のパロモマイシン由来のアミノグリコシドを教示している。これらは、哺乳動物における低い細胞毒性と、低い抗菌活性とを発揮しながらも、高い中途終止停止コドン(premature stop−codon)突然変異読み過ごし活性を示すように特に設計されたものであり、したがって、遺伝性疾患の処置において使用することができるものである。この一群のパロモマイシン由来アミノグリコシドは、読み過ごし活性の向上ならびに毒性および抗菌活性の低下をもたらすパロマミンコアのある種の操作を導入することによって設計された。そのような操作がパロマミンコアのいくつかの位置に対してなされた。

国際公開第2007/113841号に記載されているパロマミンコアの1つのそのような操作は、アミノグリコシドコアの6’位におけるヒドロキシル基の有益な役割を明らかにすることである(例えば、下記のNB30およびNB54を参照のこと)。

国際公開第2007/113841号において明確化され、かつ、立証されているパロマミンコアの別の操作は、1つ以上の単糖成分を、あるいは、オリゴ糖成分をアミノグリコシドコアの3’位、5位および/または6位に導入することである。この操作は、本明細書中上記で示される例示的な化合物NB30および化合物NB54において“環III”として反映されている。

国際公開第2007/113841号において明確化され、かつ、立証されているパロマミンコアのさらなる操作は、(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリルAHB)成分をパロマミンコアの1位において導入することである。この操作は、本明細書中上記で示される例示的な化合物NB54において反映されている。AHB成分のそのような導入は、強化された読み過ごし活性および低下した毒性を提供することが立証されている。

国際公開第2007/113841号に記載されているパロマミンコアのさらなる操作は、6’位の水素アルキル(例えば、メチル置換基など)によって置換することである。この操作は化合物NB30および化合物NB54の誘導体(それぞれ、NB74およびNB84として示される)において例示されている。

追加の背景技術としては、Nudelman,I.,et al.,Bioorg Med Chem Lett,2006.16(24):p.6310−5;Hobbie,S.N.,et al.,Nucleic AcidsRes,2007.35(18):p.6086−93;Kondo,J.,et al.,Chembiochem,2007.8(14):p.1700−9;Rebibo−Sabbah,A.,et al.,Hum Genet,2007.122(3−4):p.373−81;Azimov,R.,et al.,Am J Physiol Renal Physiol,2008.295(3):p.F633−41;Hainrichson,M.,et al.,Org Biomol Chem,2008.6(2):p.227−39;Hobbie,S.N.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2008.105(52):p.20888−93;Hobbie,S.N.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2008.105(9):p.3244−9;Nudelman,I.,et al.,Adv.Synth.Catal.,2008.350:p.1682−1688;Nudelman,I.,et al.,J Med Chem,2009.52(9):p.2836−45;Venkataraman,N.,et al.,PLoS Biol,2009.7(4):p.e95;Brendel,C.,et al.,J Mol Med(Berl),2010.89(4):p.389−98;Goldmann,T.,et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci,2010.51(12):p.6671−80;Malik,V.,et al.,Ther Adv Neurol Disord,2010.3(6):p.379−89;Nudelman,I.,et al.,Bioorg Med Chem,2010.18(11):p.3735−46;Warchol,M.E.,Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg,2010.18(5):p.454−8;Lopez−Novoa,J.M.,et al.,Kidney Int,2011.79(1):p.33−45;Rowe,S.M.,et al.,J Mol Med(Berl),2011.89(11):p.1149−61;and Vecsler,M.,et al.,PLoS One,2011.6(6):p.e20733が挙げられる。

概要

デュシェンヌ型筋ジストロフィー血友病等の遺伝性障害の処置に対し、中途終止コドン突然変異を有する遺伝子の発現レベルを増大させ、改善された効力を有する新規なアミノグリコシドの提供。下記に例示されるアミノグリコシド化合物。なし

目的

多くの研究が、アミノグリコシド類と関連した毒性を理解し軽減する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記の一般式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩であって、中途終止コドン突然変異を有する遺伝子の発現レベルを増大させる方法において使用するための化合物またはその医薬的に許容され得る塩、ただし前記方法は、前記化合物またはその医薬的に許容され得る塩の存在下でタンパク質中に前記遺伝子を翻訳して前記終止コドンを読み過ごすことを含む:[式中、R1は、アルキルシクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;R2は水素または(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリルAHB)である;R3は、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;かつ、6’位および5”位のそれぞれの立体配置は独立してR−配置またはS−配置である]。

請求項2

前記中途終止コドン突然変異は、UGA,UAGおよびUAAからなる群から選択されるRNAコードを有する、請求項1に記載の化合物。

請求項3

前記タンパク質は、細胞質翻訳系中で翻訳される、請求項1に記載の化合物。

請求項4

R1はアルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。

請求項5

前記アルキルはメチルである、請求項4に記載の化合物。

請求項6

R2およびR3はそれぞれが水素である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。

請求項7

R2はAHBであり、R3は水素である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。

請求項8

R2は水素であり、R3はアルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。

請求項9

R2はAHBであり、R3はアルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。

請求項10

前記アルキルはメチルである、請求項9に記載の化合物。

請求項11

以下のものからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。

技術分野

0001

本発明は、そのいくつかの実施形態において、新しいクラスのアミノグリコシドに関連し、より具体的には、しかし、限定ではなく、遺伝性障害処置に対する改善された効力を有する新規なアミノグリコシドに関連する。

背景技術

0002

多くのヒトの遺伝子疾患ナンセンス突然変異に起因し、そこでは3種類の終止コドンUAA、UAGまたはUGA)の1つがアミノ酸をコードするコドン置換し、翻訳中途終了をもたらし、結局、末端切断された不活性タンパク質に至る。現在、何百ものそのようなナンセンス突然変異が知られており、そして、いくつかは嚢胞性線維症(CF)、デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィーDMD)、毛細血管拡張性運動失調、ハーラー(Hurler)症候群血友病A血友病Bテイサックス(Tay−Sachs)病などの疾患を含む致命的疾患の特定の症例を説明することが示された[1、2]。それらの疾病の多くについては、有効な治療は現在のところなく、そして、遺伝子治療が遺伝子疾患の可能な解決法のように見えるが、この技術がヒトで使用されることができる前に、まだ多くの重大な障害を解決する必要がある。

0003

特定のアミノグリコシド類は、リボソームリードスルー(読み過ごし)終止コドンの突然変異誘導し、mRNA分子の一部から全長タンパク質を生成するそれらの能力のために、いくつかの遺伝子疾患の治療で治療的価値を有することが示されている。

0004

典型的には、アミノグリコシド類は、致命的な感染症の治療のために一般に使われている非常に強力な広範囲スペクトルを有する抗生物質である。パロモマイシンのようなアミノグリコシド抗生物質の作用の機構は、原核生物のリボソームとの相互作用を伴ない、特に16SリボソームRNA解読A−領域と結合することを伴ない、それはタンパク質翻訳阻害および翻訳の正確性への妨害をもたらすことが受け入れられている。

0005

細菌のリボソーム構造の決定のいくつかの業績は、細菌のA−部位のオリゴヌクレオチドモデル結晶およびNMR構造とともに、原核生物細胞での解読メカニズムを理解するために、およびアミノグリコシド類がどのようにして遺伝暗号の有害な読み誤りをもたらすかについて理解するために役立つ情報を提供した。これらの研究および他の研究は、非同系統のmRNA−tRNA複合体に対するA−部位の親和性は、アミノグリコシド結合により増大し、リボソームが非系統および同系統の複合体を効率的に区別するのを妨げているという仮説を起こした。

0006

真核生物でのアミノグリコシド類による停止抑制の強化は、タンパク質合成中に翻訳の正確性を妨害する原核生物におけるアミノグリコシドの活性に類似したメカニズムで起こると考えられる。すなわち、ある特定のアミノグリコシド類のリボソームA−部位への結合は、恐らく放出因子を挿入する代わりに、ほぼ同系統のmRNA−tRNA複合体を安定させる細胞構造変化を引き起こす。アミノグリコシド類は、顕著に異なる効率でいろいろな終止コドンを抑制(UGA>UAG>UAA)し、その抑制効果は、終止コドンのすぐ下流の4番目ヌクレオチド同一性のみならず、終止コドン付近ローカル配列コンテキストにさらに依存する(C>U>A≧グラム)ことが示された。

0007

効果的なリードスルー薬物の望ましい特徴は経口投与であること、および細菌に対してはほとんど効果がないか、全く効果を有しないことである。リードスルー薬物の抗菌活性は、特に胃腸GI生物相に関して、GI生物相平衡逆転に起因する副作用および耐性発現により、抗生物質の不必要な使用として望ましくない。この点で、上述の制限に加えて、臨床アミノグリコシド類の大多数は、細菌のリボソームに対して非常に選択的であり、ヒト細胞細胞質リボソームに対しては著しい影響を及ぼさない。

0008

上述の制限を回避する努力において、生物薬物工業は、現在、ナンセンスリードスルー活性のための大きな化学ライブラリーをスクリーニングすることによって新しい終止突然変異抑制薬物を求めようとしている。このアプローチを使って、非アミノグリコシド化合物である3−[5−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル安息香酸PTC124)が発見された。PTC124が抗菌活性と報告された毒性とを有しないという事実は、リボソームに及ぼすその作用メカニズムがアミノグリコシド類のそれとは異なることを示唆する。

0009

アミノグリコシド類が哺乳動物細胞の中途ナンセンス突然変異を抑制することができたという事実は、1985年にBurkeおよびMoggによって最初に実証され、彼らはまた、これらの薬物の遺伝子疾患治療における治療の可能性に注目した。研究された最初の遺伝子疾患は、嚢胞性線維症(CF)であり、コーカサス人集団で最も優勢常染色体劣性疾患であり、それは2,500人の新生児あたり1人に影響を及ぼす。CFは、嚢胞性線維性膜コンダクタンス制御因子(CFTR)タンパク質における突然変異に起因する。現在では、CFTR遺伝子に1,000を超えるCFをもたらす異なる突然変異が確認されたが、その突然変異の5〜10%は、中途終止コドンである。中部・東部ヨーロッパのユダヤ人において、W1282X突然変異および他のナンセンス突然変異は、すべてのCFTR変異体対立遺伝子の64%を占める。

0010

CFTR終止突然変異のアミノグリコシド媒介抑制についての最初の実験は、CFTR遺伝子で見られる中途終止突然変異がゲンタマイシンファミリーおよびジェネティシン(G−418)のメンバーによって、気管支上皮細胞株で全長の機能性CFTRの出現により測定されるように抑制されることができることを証明した。

0011

ヒトCFTR−G542X組み換え遺伝子を保有するCFTR−/−トランスジェニックマウス変異体からの腸組織の抑制実験は、ゲンタマイシンおよびより効果の少ないトブラマイシンでの処置マウスにヒトCFTRタンパク質が出現したことを証明した。最も重要なことに、二重盲検偽薬対照交差試験を使用する臨床研究は、ゲンタマイシンが罹患患者で終止突然変異を抑制することができることを示し、そしてゲンタマイシン治療は、CFTR終止突然変異を保有する19人の患者の群で鼻粘膜を通過する膜コンダクタンスを改善した。インビトロの系の培養細胞株または動物モデル試験されたアミノグリコシド類の治療可能性についての他の遺伝子疾患は、DMD、Hurler症候群、尿崩症腎症シスチン蓄積症色素性網膜炎、および毛細血管拡張性運動失調を含む。

0012

しかしながら、アミノグリコシドの医薬としての使用における主な限界のうちの1つは、典型的には腎臓腎毒性)およびに関連する(内耳神経毒性病気で発現する哺乳動物に対するそれらの高い毒性である。この毒性の原因は、異なる要因とメカニズム(例えばリン脂質に対する相互作用、ホスホリパーゼの阻害およびフリーラジカルの形成)との組み合わせに起因すると推定される。細菌のリボソームに対しては選択的であると考えられたが、大部分のアミノグリコシド類は、また、真核生物のA−部位とも結合するが、それは細菌のA−部位に対するよりも低い親和性である。哺乳動物細胞での翻訳の阻害は、また、これらの薬物の高い毒性に関して可能性のある原因のうちの1つでもある。それらの細胞毒性増している別の因子は、12SのrRNAのA−部位のミトコンドリアリボソームへのそれらの結合であり、その配列は細菌のA−部位に非常に類似している。

0013

多くの研究が、アミノグリコシド類と関連した毒性を理解し軽減する方法を提供するために試みられたが、それはフリーラジカル濃度を低下させるために抗酸化剤を使用すること、同様にアミノグリコシド類がリン脂質と相互作用する能力を低下させるためのポリ−L−アスパラギン酸塩およびダプトマイシンを使用することを含む。アミノグリコシド類の取り込みの際のメガリン(特に腎臓近位尿細管および内耳豊富であるマルチリガンドエンドサイトーシス受容体)の役割が、最近、証明された。メガリンへのアミノグリコシドの結合と競合するアゴニスト投与はまた、アミノグリコシドの取り込みおよび毒性の減少をもたらした。さらに、アミノグリコシドが投与される投与計画および/または方法を変えることが、毒性を減らす手段として検討されてきた。

0014

アミノグリコシドの毒性を減らす広範囲な努力にもかかわらず、投与計画の変更以外に、殆どの結果は、終止突然変異を抑制するためのアミノグリコシド類の投与に関する標準的な臨床実務および手順へと成熟していなかった。例えば、臨床試験でのゲンタマイシンの弱毒性用量の使用が、インビトロ系と比較してインビボ系実験で得られた減少したリードスルー効率を恐らく引き起こした。アミノグリコシドであるジェネティシン(登録商標)(G−418硫酸塩)は、インビトロでの翻訳−転写系において最良終止抑制活性を示したが、それが非常に低い濃度でさえ致命的であるので、治療剤としてのその使用が可能でないことを明らかにした。例えば、ヒト繊維芽細胞に対するG−418のLD50は、ゲンタマイシン、ネオマイシンおよびカナマイシンの2.5〜5.0mg/mlと比較して、0.04mg/mlである。

0015

若干のアミノグリコシド系薬物(例えばG−418およびゲンタマイシンなど)への真核生物リボソームの増加した感受性魅力的であるが、真核生物リボソームとのそれらの相互作用に関する十分な構造データ不足のために、今日まで合理的に説明することができなかった。G−418は、非常に低い濃度でさえ非常に有毒であるので、現在、ゲンタマイシンは様々な動物モデルおよび臨床試験で試験される唯一のアミノグリコシドである。培養細胞のそれらの比較的より低い毒性により、アミカシンおよびパロモマイシンが、終止突然変異抑制治療用ゲンタマイシンの代替品を代表することができることをいくつかの研究は示したが、これらのアミノグリコシド類による臨床試験はまだ報告されていない。

0016

現在まで、ほとんど全ての抑制実験は、臨床的に、市販品のアミノグリコシド類を用いて実施されているが、終止コドンリードスルー誘因としてそれらの活性を最適化させる努力は何もされてこなかった。現在では、限られた数のアミノグリコシド類(ゲンタマイシン、アミカシンおよびトブラマイシンを含む)のみが、ヒトの体内投与用の抗生物質として臨床的に使用されている。これらのうち、トブラマイシンは終止突然変異抑制活性を持たず、ゲンタマイシンが動物モデルおよび臨床試験で終止突然変異抑制活性に関して試験された唯一のアミノグリコシドである。近年、ネアミン誘導体の1群が脊髄筋萎縮症(SPA)患者に由来する線維芽細胞SMNタンパク質のリードスルーを促進することが示された;しかしながら、これらの化合物は抗生物質として当初設計され、これらの誘導体のリードスルー活性のさらなる改善のためには、何らの結論も引き出されなかった。

0017

国際公開第2007/113841号(これは、本発明者らの一部によるものであり、全体を本明細書中出典明示により援用する)は一群のパロモマイシン由来のアミノグリコシドを教示している。これらは、哺乳動物における低い細胞毒性と、低い抗菌活性とを発揮しながらも、高い中途終止停止コドン(premature stop−codon)突然変異読み過ごし活性を示すように特に設計されたものであり、したがって、遺伝性疾患の処置において使用することができるものである。この一群のパロモマイシン由来アミノグリコシドは、読み過ごし活性の向上ならびに毒性および抗菌活性の低下をもたらすパロマミンコアのある種の操作を導入することによって設計された。そのような操作がパロマミンコアのいくつかの位置に対してなされた。

0018

国際公開第2007/113841号に記載されているパロマミンコアの1つのそのような操作は、アミノグリコシドコアの6’位におけるヒドロキシル基の有益な役割を明らかにすることである(例えば、下記のNB30およびNB54を参照のこと)。

0019

国際公開第2007/113841号において明確化され、かつ、立証されているパロマミンコアの別の操作は、1つ以上の単糖成分を、あるいは、オリゴ糖成分をアミノグリコシドコアの3’位、5位および/または6位に導入することである。この操作は、本明細書中上記で示される例示的な化合物NB30および化合物NB54において“環III”として反映されている。

0020

国際公開第2007/113841号において明確化され、かつ、立証されているパロマミンコアのさらなる操作は、(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリルAHB)成分をパロマミンコアの1位において導入することである。この操作は、本明細書中上記で示される例示的な化合物NB54において反映されている。AHB成分のそのような導入は、強化された読み過ごし活性および低下した毒性を提供することが立証されている。

0021

国際公開第2007/113841号に記載されているパロマミンコアのさらなる操作は、6’位の水素アルキル(例えば、メチル置換基など)によって置換することである。この操作は化合物NB30および化合物NB54の誘導体(それぞれ、NB74およびNB84として示される)において例示されている。

0022

追加の背景技術としては、Nudelman,I.,et al.,Bioorg Med Chem Lett,2006.16(24):p.6310−5;Hobbie,S.N.,et al.,Nucleic AcidsRes,2007.35(18):p.6086−93;Kondo,J.,et al.,Chembiochem,2007.8(14):p.1700−9;Rebibo−Sabbah,A.,et al.,Hum Genet,2007.122(3−4):p.373−81;Azimov,R.,et al.,Am J Physiol Renal Physiol,2008.295(3):p.F633−41;Hainrichson,M.,et al.,Org Biomol Chem,2008.6(2):p.227−39;Hobbie,S.N.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2008.105(52):p.20888−93;Hobbie,S.N.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,2008.105(9):p.3244−9;Nudelman,I.,et al.,Adv.Synth.Catal.,2008.350:p.1682−1688;Nudelman,I.,et al.,J Med Chem,2009.52(9):p.2836−45;Venkataraman,N.,et al.,PLoS Biol,2009.7(4):p.e95;Brendel,C.,et al.,J Mol Med(Berl),2010.89(4):p.389−98;Goldmann,T.,et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci,2010.51(12):p.6671−80;Malik,V.,et al.,Ther Adv Neurol Disord,2010.3(6):p.379−89;Nudelman,I.,et al.,Bioorg Med Chem,2010.18(11):p.3735−46;Warchol,M.E.,Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg,2010.18(5):p.454−8;Lopez−Novoa,J.M.,et al.,Kidney Int,2011.79(1):p.33−45;Rowe,S.M.,et al.,J Mol Med(Berl),2011.89(11):p.1149−61;and Vecsler,M.,et al.,PLoS One,2011.6(6):p.e20733が挙げられる。

0023

本発明は、哺乳動物細胞における低い毒性と、低い抗菌活性とを発揮しながらも、高い中途終止停止コドン突然変異読み過ごし活性を示すことによって遺伝性疾患(例えば、嚢胞性線維症など)の処置において有益に使用することができる新しいクラスのプソイド三糖(pseudo−trisaccharide)アミノグリコシドに関連する。今回開示されたアミノグリコシドは、アルキルが環III上の5”位において付加される、パロモマイシンの環I、環IIおよび環IIIに基づくコア構造を特徴とする。

0024

したがって、本発明のいくつかの実施形態の一局面によれば、下記の一般式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩が提供される:

[式中、
R1は、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
R2は水素または(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリル(AHB)である;
R3は、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
かつ、
6’位および5”位のそれぞれの立体配置は独立してR−配置またはS−配置である]。

0025

本発明のいくつかの実施形態によれば、R1はアルキルである。

0026

本発明のいくつかの実施形態によれば、アルキルはメチルである。

0027

本発明のいくつかの実施形態によれば、R2およびR3はそれぞれが水素である。

0028

本発明のいくつかの実施形態によれば、R2はAHBであり、R3は水素である。

0029

本発明のいくつかの実施形態によれば、R2は水素であり、R3はアルキルである。

0030

本発明のいくつかの実施形態によれば、R2はAHBであり、R3はアルキルである。

0031

本発明のいくつかの実施形態によれば、アルキルはメチルである。

0032

本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、化合物NB118、NB119、NB122、NB123、NB124、NB125、NB127およびNB128からなる群から選択される。

0033

本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、原核生物におけるIC50翻訳阻害に対する真核生物におけるIC50翻訳阻害の比率が15未満であることを特徴とする。本発明のいくつかの実施形態によれば、この比率は1未満である。

0034

本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、200μMを超えるグラム陰性菌におけるMICと、20μMを超えるグラム陽性菌におけるMICとを具備する。

0035

本発明のいくつかの実施形態の別の局面によれば、本明細書中に示される化合物のいずれか1つと、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。

0036

本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物は包装材に詰められ、かつ、包装材の中または表面において、遺伝性障害処置における使用について印刷された形で識別される。

0037

本発明のいくつかの実施形態の別の局面によれば、遺伝性障害を処置するための方法であって、その必要性のある対象に、治療有効量の本明細書中に示される化合物のいずれか1つを投与することによって行われる方法が提供される。

0038

本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、遺伝性障害の処置において使用されるためのものである。

0039

本発明のいくつかの実施形態の別の局面によれば、遺伝性障害を処置するための医薬品の製造における、本明細書中に示される化合物のいずれか1つの使用が提供される。

0040

本発明のいくつかの実施形態によれば、遺伝性障害は、中途終止コドン突然変異および/またはタンパク質切断表現型に伴うものである。

0041

本発明のいくつかの実施形態によれば、遺伝性障害は、嚢胞性線維症(CF)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、毛細血管拡張性運動失調症ハーラー症候群、血友病A、血友病B、アッシャー症候群およびテイ・サックス病からなる群から選択される。

0042

本発明のいくつかの実施形態によれば、遺伝性障害は嚢胞性線維症である。

0043

本発明のいくつかの実施形態の別の局面によれば、本明細書中に示される化合物の調製方法であって、
(a)一般式II:

(式中、
R1は、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
R4は水素または供与体アミノ保護基である;
R5は、R4が水素であるならば、供与体アミノ保護基であるか、または、R4が供与体アミノ保護基であるならば、水素である;
HPdのそれぞれが供与体ヒドロキシル保護基である;かつ
Lは脱離基である)
を有する供与体化合物を提供すること;
(b)供与体化合物を、下記の一般式III:

(式中、
点線はR−配置またはS−配置を示す;
R3は、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
R6は受容体アミノ保護基または(S)−4−アジド−2−O−アセチル−1−ブチリルである;
HPaは受容体ヒドロキシル保護基である;かつ
APaは受容体アミノ保護基である)
を有する受容体化合物とカップリングさせること;および
(c)アミノ保護基およびヒドロキシル保護基のそれぞれを除去し、それにより、上記化合物を得ること
を含む方法が提供される。

0044

本発明のいくつかの実施形態によれば、脱離基はトリクロロアセトイミダートである。

0045

本発明のいくつかの実施形態によれば、供与体ヒドロキシル保護基はO−ベンゾイルであり、供与体アミノ保護基はアジドである。

0046

本発明のいくつかの実施形態によれば、受容体ヒドロキシル保護基はO−アセチルであり、受容体アミノ保護基はアジドである。

0047

別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。

図面の簡単な説明

0048

本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。

0049

図1A〜図1Cは本発明のいくつかの実施形態によるC5−ジアステレオマーエステル(R,X)−27および(S,X)−28を製造するための合成経路(“a”は、DCC、4−DMAP、CSA、DCM、室温を表す)(図1A);(R,X)−27および(S,X)−28の1H−NMRスペクトル(スペクトルにおいて、(R,X)−27および(S,X)−28の特定プロトン間における化学シフトの差(Δδ)が強調されている)(図1B);およびセクター則による主成分アルコール化合物9の(Xによって表される)5−炭素における絶対配置割り当て(図1C)を表わす。

0050

図2A〜図2Fは終止コドン読み過ごしアッセイの結果を示しており、様々な遺伝性疾患(括弧内)を表す一連のナンセンス突然変異状況構築物において、従来報告されているNB30(白丸によって表示される)によって、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB118(黒三角によって表示される)およびNB119(白三角によって表示される)によって、および対照薬物としてのゲンタマイシン(黒四角によって表示される)によって誘導されるインビトロ終止コドン抑制レベル比較グラフを示し、R3X(USH1)構築物に関する結果が図2Aに示され、R245X(USH1)構築物に関する結果が図2Bに示され、G542X(CF)構築物に関する結果が図2Cに示され、W1282X(CF)構築物に関する結果が図2Dに示され、Q70X(HS)構築物に関する結果が図2Eに示され、R3381X(DMD)構築物に関する結果が図2Fに示される。

0051

図3A〜図3Fは終止コドン読み過ごしアッセイの結果を示しており、様々な遺伝性疾患(括弧内)を表す一連のナンセンス突然変異状況構築物において、従来報告されているNB54(黒丸によって表示される)によって、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB122(黒三角によって表示される)およびNB123(白三角によって表示される)によって、および対照薬物としてのゲンタマイシン(黒四角によって表示される)によって誘導されるインビトロ終止コドン抑制レベルの比較グラフを示し、R3X(USH1)構築物に関する結果が図3Aに示され、R245X(USH1)構築物に関する結果が図3Bに示され、G542X(CF)構築物に関する結果が図3Cに示され、W1282X(CF)構築物に関する結果が図3Dに示され、Q70X(HS)構築物に関する結果が図3Eに示され、R3381X(DMD)構築物に関する結果が図3Fに示される。

0052

図4A〜図4Dは、従来報告されているNB54(黒丸によって表示される)によって、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB122(黒三角によって表示される)およびNB123(白三角によって表示される)によって、および対照薬物としてのゲンタマイシン(黒四角によって表示される)によって達成されるPCDH15−R3Xナンセンス突然変異のエクスビボ抑制(図4A)、PCDH15−R245Xナンセンス突然変異のエクスビボ抑制(図4B)、IDUA−Q70Xナンセンス突然変異のエクスビボ抑制(図4C)およびCFTR−W1282Xナンセンス突然変異のエクスビボ抑制(図4D)を示す。

0053

図5A〜図5Dは、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB124(黒丸によって表示される)、NB125(白丸によって表示される)、NB127(黒三角によって表示される)およびNB128(白三角によって表示される)によって、従来報告されているNB74(白菱形によって表示される)およびNB84(黒菱形によって表示される)によって、ならびに、対照薬物としてのゲンタマイシン(黒四角によって表示される)およびG418(白四角によって表示される)によって達成される、CFTR−G542X(図5Aおよび図5C)、CFTR−W1282X(図5Bおよび図5D)のインビトロ中途終止コドン突然変異抑制アッセイの結果の比較プロットを示す。

0054

図6A〜図6Fは終止コドン読み過ごしアッセイの結果を示しており、様々な遺伝性疾患(括弧内)を表す一連のナンセンス突然変異状況構築物において、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB124(黒丸によって表示される)およびNB125(白丸によって表示される)によって、従来報告されているNB74(白菱形によって表示される)によって、および対照薬物としてのゲンタマイシン(黒四角によって表示される)によって誘導されるインビトロ終止コドン読み過ごしレベルの比較グラフを示し、R3X(USH1)構築物に関する結果が図6Aに示され、R245X(USH1)構築物に関する結果が図6Bに示され、G542X(CF)構築物に関する結果が図6Cに示され、W1282X(CF)構築物に関する結果が図6Dに示され、Q70X(HS)構築物に関する結果が図6Eに示され、R3381X(DMD)構築物に関する結果が図6Fに示されている。

0055

図7A〜図7Fは終止コドン読み過ごしアッセイの結果を示しており、様々な遺伝性疾患(括弧内)を表す一連のナンセンス突然変異状況構築物において、従来報告されているNB84(黒菱形によって表示される)によって、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB127(黒三角によって表示される)およびNB128(白三角によって表示される)によって、および対照薬物としてのG418(白四角によって表示される)およびゲンタマイシン(黒四角によって表示される)によって誘導されるインビトロ終止コドン抑制レベルの比較グラフを示し、R3X(USH1)構築物に関する結果が図7Aに示され、R245X(USH1)構築物に関する結果が図7Bに示され、G542X(CF)構築物に関する結果が図7Cに示され、W1282X(CF)構築物に関する結果が図7Dに示され、Q70X(HS)構築物に関する結果が図7Eに示され、R3381X(DMD)構築物に関する結果が図7Fに示されている。

0056

図8A〜図8Dは、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB124(黒丸によって表示される)、NB125(白丸によって表示される)、NB127(黒三角によって表示される)、およびNB128(白三角によって表示される)によって、従来報告されているNB74(白菱形によって表示される)およびNB84(黒菱形によって表示される)によって、ならびに、対照薬物のゲンタマイシン(黒四角によって表示される)およびG418(白四角によって表示される)によって達成される、構築物CFTR−G542X(図8Aおよび図8C)、構築物CFTR−W1282X(図8Bおよび図8D)について行われたエクスビボ中途終止コドン突然変異抑制アッセイの結果の比較プロットを示す。

0057

図9A〜図9Eは終止コドン読み過ごしアッセイの結果を示しており、様々な遺伝性疾患(括弧内)を表す一連のナンセンス突然変異状況構築物において、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB124(黒丸によって表示される)およびNB125(白丸によって表示される)によって、従来報告されているNB74(黒菱形によって表示される)によって、ならびに、対照薬物のゲンタマイシン(黒四角によって表示される)およびG418(白四角によって表示される)によって誘導されるエクスビボ終止コドン抑制レベルの比較グラフを示し、R3X(USH1)構築物に関する結果が図9Aに示され、R245X(USH1)構築物に関する結果が図9Bに示され、Q70X(HS)構築物に関する結果が図9Cに示され、W1282X(CF)構築物に関する結果が図9Dに示され、G542X(CF)構築物に関する結果が図9Eに示されている。

0058

図10A〜図10Eは終止コドン読み過ごしアッセイの結果を示しており、様々な遺伝性疾患(括弧内)を表す一連のナンセンス突然変異状況構築物において、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB127(黒四角によって表示される)およびNB128(白三角によって表示される)によって、従来報告されているNB84(黒菱形によって表示される)によって、ならびに、対照薬物のゲンタマイシン(黒四角によって表示される)およびG418(白四角によって表示される)によって誘導されるエクスビボ終止コドン抑制レベルの比較グラフを示し、R3X(USH1)構築物に関する結果が図10Aに示され、R245X(USH1)構築物に関する結果が図10Bに示され、Q70X(HS)構築物に関する結果が図10Cに示され、W1282X(CF)構築物に関する結果が図10Dに示され、G542X(CF)構築物に関する結果が図10Eに示されている。

0059

図11A〜図11Dは、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB118(図11A)、NB119(図11B)、NB122(図11C)およびNB123(図11D)について測定された原核生物系(黒丸によって表示される)および真核生物系(白丸によって表示される)におけるインビトロ翻訳阻害の半対数プロットを示す。

0060

図12A〜図12Dは、ゲンタマイシン(白四角によって表示される)について、および本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物のNB118(白丸によって表示される)、NB119(黒丸によって表示される)、NB122(白三角によって表示される)およびNB123(黒三角によって表示される)について、HEK−293細胞図12Aおよび図12C)およびヒト包皮線維芽細胞(HFF細胞)(図12Bおよび図12D)における試験化合物濃度に対するエクスビボ細胞生存性百分率の半対数プロットを示す。

0061

図13A〜図13Bは、一連の公知化合物および本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物について認められるような、真核生物系におけるインビトロでの読み過ごし活性と、タンパク質翻訳阻害との間における可能な相関を特定するための散乱プロットを示しており、タンパク質合成の増大する阻害(より低いIC50)には、読み過ごし活性の増大が伴っている:これに対して、図13Aは、6つの異なるナンセンス突然変異(W1282X、Q70X、R3X、R245X、G542XおよびR3381X)を使用する、試験アミノグリコシドの1.4μMの濃度におけるインビトロ読み過ごし活性に対する真核生物での翻訳阻害(X軸に示される)の半対数プロットであり、図1Bは、図13Aに示される同じデータの線形プロットである。

0062

本発明は、そのいくつかの実施形態において、新しいクラスのアミノグリコシドに関連し、より具体的には、しかし、限定ではなく、遺伝性障害の処置に対する改善された効力を有する新規なアミノグリコシドに関連する。

0063

特に、本発明は、そのいくつかの実施形態において、アミノグリコシド類の新規なクラスに関し、それは、例えば、遺伝子疾患の治療において有益に使用されうる。具体的には、本発明は、パロモマイシン由来の化合物の新規なクラスに関し、それらは高い中途終止−コドン突然変異のリードスルー活性を示し、一方で哺乳動物細胞において低毒性を発揮する。したがって、本発明はこれらの化合物を含む医薬組成物および嚢胞性線維症(CF)などの遺伝子疾患の治療におけるそれらの使用に関する。本発明は、さらにこれらの化合物を製造する方法に関する。

0064

本発明の原理および操作は、図面および付随する説明を参照してより良く理解されることができる。

0065

本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施、または、実行される。また、本明細書中において用いられる表現法および用語法は説明のためであって、限定として見なされるべきでないことを理解しなければならない。

0066

上記で検討したように、パロマミンの構造に対するいくつかの構造上の操作は、哺乳動物細胞における低毒性を発揮しながらも、改善された中途終止コドン突然変異読み過ごし活性を発揮することが示されている合成アミノグリコシドをもたらしている。これらの構造上の操作に従うことにより、臨床用アミノグリコシドであるパロモマイシンのプソイド三糖誘導体としての例示的な化合物NB30およびNB54の開発に至っている。NB30において明らかにされる構造上の概念により、著しく低下した細胞毒性が、ゲンタマイシンおよびパロモマイシンとの比較で示され、また、PCDH15遺伝子のナンセンス突然変異(1型アッシャー症候群(USH1)の根本的原因)の用量依存的抑制が促進されたが、その抑制効力はゲンタマイシンおよびパロモマイシンの抑制効力と比較して顕著に低かった。NB54は、第二世代概念の構造として開発されたものであり、著しく低下した細胞毒性、蝸牛毒性および急性毒性を示したが、ゲンタマイシンおよびパロモマイシンの読み過ごし効率よりも実質的に大きい読み過ごし効率を有する。

0067

そのようなアミノグリコシドの構造活性相関関係をさらに解明している間、それらの治療効果を遺伝性障害との関連でさらに改善する試みにおいて、本発明者らは数多くのさらなる修飾をパロマミン構造の様々な位置で調べており、そして、驚くべきことに、リボサミン環(環III)における5”側鎖の水素をメチル基により置換することによって、得られたアミノグリコシドは、著しく低下した細胞毒性を示し、一方で、同時に、ゲンタマイシンの読み過ごし活性と比較したときでさえ、病因となるナンセンス突然変異の実質的により高い読み過ごし活性を示すことを見出している。したがって、本発明者らは、遺伝的突然変異から生じる疾患と闘うことができる実現性のある薬物候補物を構成するファルマコフォアにおける別の重要な位置を特定している。

0068

何らかの特定の理論にとらわれるわけではないが、ある修飾をリボサミン環(環III)に導入することにより、以前の概念の構造(例えば、上記化合物NB30およびNB54を参照のこと)における環Iおよび環IIの既に十分に確立された影響が保たれ、一方で、著しい抑制活性および低下した毒性を有する新しい構造モチーフが導入されることが示唆される。

0069

本発明を実行に移している間に、本発明者らは、側鎖の(S)−5”−メチル基がリボサミン環(環III)に対して導入されたアミノグリコシド(例えば、NB30、NB54、NB74およびNB84)の調製に成功しており、それにより、新しい一群のアミノグリコシドを作製している。本発明者らは、これらの新しく設計された化合物が、例えば、ゲンタマイシンと比較した場合、著しく低下した細胞毒性を示し、一方で、同時に、病因となるナンセンス突然変異の実質的により高い読み過ごし活性を示すことを明らかにしている。また、(S)−5”−メチル基の設置は、細胞毒性に対し著しい影響を与えることはないが、得られた構造体の終止コドン読み過ごし活性および真核生物リボソームに対する特異性を、以前に報告された構造体の場合と比較して大幅に高めることも認められた。

0070

メチル基をリボサミン環のC5”位に設置することにより、新しいステレオジェン中心が生じるので、本発明者らは、規定された絶対配置を有する両方のC5”−ジアステレオマーを調製し、それらの生物学的特性を比較している。

0071

したがって、新しいファルマコフォア点、すなわち、(S)−5”−メチル基が、抑制活性に著しく影響し、かつ、細胞毒性に対する著しい影響を何ら有しないリボサミン環(環III)の有用な構造要素として発見されている。

0072

この新しいファルマコフォア点は、例えば、国際公開第2007/113841号において発見および開示される4つの以前の点に今回加えられる5番目の点である。スキーム1は、これまでに発見された5つすべてのファルマコフォア点を有するパロマミンコアを示す(これらのファルマコフォア点がそれらの発見順に従ってiからivまでの数字で示される)。具体的には、“i”によって表されるファルマコフォア点は、ヒドロキシル基の6’位における提供を示す;“ii”によって表されるファルマコフォア点は、AHB基のN1位における提供を示す;ファルマコフォア点“iii”は、第2の糖類環に結合する第3の糖類成分(環III)の提供を示す;“iv”は6’位の修飾の提供である(これは低級アルキルとしてスキーム1において例示される);本明細書中に開示されるファルマコフォア点は“v”によって表され、5”位の修飾の提供を示す(これは低級アルキルとしてスキーム1において例示される)。

0073

したがって、本発明のいくつかの実施形態の一局面によれば、下記の一般式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩が提供される:

[式中、
R1は、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択され、好ましくはアルキルである;
R2は水素または(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリル(AHB)である;
R3は、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなる群から選択され、好ましくは水素またはアルキルである;
かつ、
6’位および5”位のそれぞれの立体配置は独立してR−配置またはS−配置である]。

0074

環II上のO5位における環IIIの位置が最適な結果を示すことが示されているが、環IIIについての他の位置も考えられることが本明細書中では留意される(例えば、環II上のO6位、ならびに、環I上の3’位および4’位など)。

0075

本明細書中で使用される用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は−OH基を示す。

0076

本明細書中で使用される用語「アミン」は−NR’R’’基を記載し、ここでR’およびR’’のそれぞれは独立して水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式環、アリール、またはヘテロアリールであり、これらの用語は本明細書中で定義される。

0077

本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分岐鎖基を含む脂肪族炭化水素を記載する。アルキル基は1個〜20個の炭素原子、または1個〜10個の炭素原子を有することができ、分岐されても分岐されなくてもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、アルキルは1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル(すなわち、メチル、エチルプロピルおよびブチル)である。

0078

用語「シクロアルキル」は、3個以上の炭素原子を含有する、すべてが炭素の単環式環または縮合環(すなわち、隣接する一対の炭素原子を共有する環)の分岐型または非分岐型の基であって、環の1つ以上が完全共役のπ電子系を有さず、さらには置換され得るか、または非置換であり得るものを示す。例示的なシクロアルキル基には、例えば、シクロプロピルシクロブチルシクロペンチルシクロヘキシルまたはシクロドデシルが含まれる。

0079

数値範囲、例えば「1個〜10個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの10個までの炭素原子を含むということを意味する。いくつかの実施形態では、アルキルは1〜6個または1〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキルは置換または非置換でありうる。置換されている場合、置換基は、例えば、アルキル(分岐されたアルキルを形成する)、アルケニルアルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、およびヒドロキシアルキルであることができ、これらの用語は本明細書中下記で定義される。本明細書中で使用される用語「アルキル」はまた、飽和または不飽和の炭化水素包含するので、この用語はアルケニルおよびアルキニルをさらに包含する。

0080

用語「アルケニル」は、本明細書中に定義されるように、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和なアルキル、例えばアリル、ビニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ヘキセニルおよびi−プロペニルを記載する。アルケニルは、本明細書において上記に記載されるような1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。

0081

用語「アルキニル」は、本明細書中に定義されるように、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなる不飽和アルキルを示す。アルキニルは、本明細書において上記に記載されるような1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。

0082

用語「アリール」は、完全共役のπ電子系を有する、すべてが炭素の単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。アリール基は、本明細書において上記に記載されるような1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。

0083

用語「ヘテロアリール」は、例えば、窒素酸素およびイオウなどの1個または複数個原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロールフランチオフェンイミダゾールオキサゾールチアゾールピラゾールピリジンピリミジンキノリンイソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、本明細書において上記に記載されるような1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。代表的な例は、チアジアゾール、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。

0084

用語「複素脂環式」は、本明細書中で使用される場合、窒素、酸素および硫黄などの1つ以上の原子を環(複数可)に有する単環式環基または縮合環基を表す。環はまた、1つ以上の二重結合を有し得る。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。複素脂環式は置換され得るか、または非置換であり得る。置換された複素脂環式は1つ以上の置換基を有してもよく、したがって、それぞれの置換基は独立して、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素脂環式であり得る。代表的な例として、モルホリンピペリジンピペラジンテトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランなどが挙げられる。

0085

用語「ハライド」は、本明細書中で使用される場合、ハロ原子アニオン、すなわち、F−、Cl−、Br−およびI−を示す。

0086

用語「ハロ」は、置換基としてのF原子、Cl原子、Br原子およびI原子を表す。

0087

用語「アルコキシ」は、R’−O−アニオン(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を示す。

0088

用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書中で使用される場合、1つのヒドロキシル基により置換されたアルキル基を示し、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルおよび4−ヒドロキシペンチルを示す。

0089

用語「アルコキシアルキル」は、本明細書中で使用される場合、1つのアルコキシ基により置換されたアルキル基を示し、例えば、メトキシメチル、2−メトキシエチル、4−エトキシブチル、n−プロポキシエチルおよびt−ブトキシエチルを示す。

0090

成分(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリルはまた、本明細書中ではAHBとして示される。本発明のいくつかの実施形態によれば、AHB成分の代替として、α−ヒドロキシ−β−アミノプロピオニル(AHP)成分が可能である。これらのいわゆる側鎖または随意的成分は、標的部位へのアミノグリコシド修飾酵素の接近を阻止すると考えられる。そのうえ、AHBまたはAHPは、ホスホジエステルに結合し、かつ、16SrRNAのA部位のグアノシンのフーグスティ塩基面に結合する1,3−または1,2−ヒドロキシルアミン成分を含有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、いずれかの立体化学を示す、低級アルキルに沿ったカルボニル(複数可)、ヒドロキシル(複数可)およびアミノ(複数可)の組合せを伴う他の成分が、AHBおよび/またはAHPに代わる随意的な置換基として考えられることが本明細書中では留意される。例えば、2−アミノ−3−ヒドロキシブタノイル、3−アミノ−2−ヒドロキシペンタノイルおよび5−アミノ−3−ヒドロキシヘキサノイルなど。

0091

本明細書中では、AHBを指す場合は常に、本明細書中に記載されるような同等の基(例えば、AHP)もまた包含されることは言うまでもない。

0092

本明細書中で使用される場合、表現「成分」は、化学反応を受けて、今度は別の分子実体共有結合により結合する化学的実体(例えば、分子または基など)の一部、好ましくは主要部を表す。

0093

本発明のいくつかの実施形態によれば、R1はアルキルである。

0094

いくつかの実施形態によれば、R1は、本明細書中で定義されるような低級アルキルであり、これには、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびイソプロピルが含まれるが、これらに限定されない。本発明の他の実施形態によれば、R1はメチルである。

0095

代替において、R1はシクロアルキルであり、これには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。

0096

さらなる代替において、R1はアリールであり、例えば、置換または非置換フェニルなどである。非限定的な例には、フェニルおよびトルエンが含まれる。

0097

本発明のいくつかの実施形態において、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2およびR3はそれぞれが水素である。スキーム1(上記参照)に示されるファルマコフォア点に関して、これらの化合物は第5(v)の点を有しており、第2(ii)の点および第4(iv)の点を有しない。これらの化合物は、遺伝性障害の処置における使用のために考慮される以前から知られている化合物および薬物と比較して、優れた薬理学プロフィールを示す。すなわち、これらの化合物は、下記の実施例の節において明らかにされるように、毒性がより低く、中途終止コドン突然変異を読み過ごすことにおいてより効率的である。

0098

水素をR2位およびR3位に呈する例示的なアミノグリコシド化合物には、下記の化合物が含まれる:

これらは、環IIIの5”位におけるキラル中心の立体配置が互いに異なる。

0099

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2およびR3はそれぞれが水素である。

0100

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2およびR3はそれぞれが水素である。

0101

本発明のいくつかの実施形態において、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2はAHBであり、R3は水素原子である。スキーム1(上記参照)に示されるファルマコフォア点に関して、第5(v)の点を有すること以外に、これらの化合物は第2(ii)の点を有しており、第4(iv)の点を有しない。これらの化合物は、遺伝性障害の処置における使用のために考慮される以前から知られている化合物および薬物と比較して、優れた薬理学的プロフィールを示す。すなわち、これらの化合物は、下記の実施例の節において明らかにされるように、毒性がより低く、中途終止コドン突然変異を読み過ごすことにおいてより効率的である。

0102

AHB成分をR2位に有し、かつ、水素をR3に有する例示的なアミノグリコシド化合物には、下記の化合物が含まれる:

これらは、環IIIの5”位におけるキラル中心の立体配置が互いに異なる。

0103

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2はAHBであり、R3は水素原子である。

0104

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2はAHBであり、R3は水素原子である。

0105

本発明のいくつかの実施形態において、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2は水素であり、R3はアルキルである。スキーム1(上記参照)に示されるファルマコフォア点に関して、第5(v)の点を有すること以外に、これらの化合物は第2(ii)の点を有しておらず、第4(iv)の点を有する。これらの化合物は、遺伝性障害の処置における使用のために考慮される以前から知られている化合物および薬物と比較して、優れた薬理学的プロフィールを示す。すなわち、これらの化合物は、下記の実施例の節において明らかにされるように、毒性がより低く、中途終止コドン突然変異を読み過ごすことにおいてより効率的である。

0106

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2は水素であり、R3はアルキルである。

0107

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2は水素であり、R3はアルキルである。

0108

本発明のいくつかの実施形態によれば、R3がアルキルである上記実施形態のいずれにおいても、R3は、本明細書中で定義されるように低級アルキルである。これらの実施形態によれば、R3はメチルである。

0109

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2は水素であり、R3はシクロアルキルである。

0110

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2は水素であり、R3はシクロアルキルである。

0111

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2は水素であり、R3はシクロアルキルである。

0112

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2は水素であり、R3はアリールである。

0113

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2は水素であり、R3はアリールである。

0114

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2は水素であり、R3はアリールである。

0115

水素をR2位に呈し、かつ、アルキルをR3位に呈する例示的なアミノグリコシド化合物には、下記の化合物が含まれる:

これらは、環IIIの5”位におけるキラル中心の立体配置が互いに異なる。

0116

本発明のいくつかの実施形態において、R2はAHBであり、R3はアルキルである。スキーム1(上記参照)に示されるファルマコフォア点に関して、これらの化合物は5つすべての点を有する;これらの化合物は、下記の実施例の節において明らかにされるように、より低い細胞毒性およびより大きい読み過ごし効力の点で、以前から知られている化合物および薬物と比較して、最も優れた薬理学的プロフィールを示す。

0117

R2がAHBであり、かつ、R3がアルキルである例示的なアミノグリコシド化合物には、下記の化合物が含まれる:

これらは、環IIIの5”位におけるキラル中心の立体配置が互いに異なる。

0118

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2はAHBであり、R3はアルキルである。

0119

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2はAHBであり、R3はアルキルである。

0120

本発明のいくつかの実施形態によれば、R3がアルキルである上記実施形態のいずれにおいても、R3は、本明細書中で定義されるように低級アルキルである。これらの実施形態によれば、R3はメチルである。

0121

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2はAHBであり、R3はシクロアルキルである。

0122

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2はAHBであり、R3はシクロアルキルである。

0123

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2はAHBであり、R3はシクロアルキルである。

0124

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアルキルであり、R2はAHBであり、R3はアリールである。

0125

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにシクロアルキルであり、R2はAHBであり、R3はアリールである。

0126

場合により、R1は、本明細書中に記載されるようにアリールであり、R2はAHBであり、R3はアリールである。

0127

合成アミノグリコシドが、中途終止コドン突然変異によって引き起こされる遺伝性疾患を処置するための薬物候補物を構成し(読み過ごし活性を示し)、同時に、低い細胞毒性を示すか、または、細胞毒性を全く示さないことが可能であることを定量的に予測し、かつ、評価するための方法について探索している間に、原核生物の翻訳系(これはある程度、ミトコンドリアの翻訳系に類似しているか、または似ている)と比較して、真核生物の細胞質の翻訳系(すなわち、真核生物の細胞質リボソーム)に対する化合物の大きい選択性が予測尺度として使用され得ることが見出された。この選択性を定量化するために容易に使用することができる数値が、真核生物における翻訳阻害を原核生物における翻訳阻害に対して相関させる比率IC50Euk/IC50Proである(本明細書中下記の表3を参照のこと)。下記の実施例の節において明らかにされるように、どのような所与のアミノグリコシド化合物(例えば、本発明のいくつかの実施形態による化合物など)であれ、翻訳を原核生物において阻害することを上回る、翻訳を真核生物において阻害することに対する所与のアミノグリコシド化合物の顕著な選択性が、中途終止コドン突然変異に伴う遺伝性障害を処置するための薬物候補物としてのその有効性および安全性を予測するために使用され得る。

0128

それにもかかわらず、選択性を示すIC50Euk/IC50Proの比率は、薬物候補物をこの一群のアミノグリコシドから選択するための十分な判断基準でないことが本明細書中では留意される;翻訳阻害の機構もまた考慮しなければならない。例えば、アミノグリコシドNB33(これは元化合物パロマミンの二量体である)は、低いと見なされ、したがって、良好な読み過ごし薬物候補物についての予測性を有する約2の比率値を示すことが見出された。しかしながら、NB33は読み過ごし活性を本質的に示さない。NB33は、RNAの細胞質A部位と、NB33との間における複合体の結晶において示されるように[ChemBioChem、2007、8(14)、1617頁]、翻訳機構を異なる阻害様式で阻害することが想定される。

0129

何らかの特定の理論にとらわれる訳ではないが、上記検討からの1つの可能な結論は、アミノグリコシドが中途終止コドン突然変異読み過ごし薬物候補物の所望される形質を示すためには、1)薬物候補物は、原核生物リボソームおよび真核生物リボソームの両方を、アミノアシル−tRNA結合部位に結合し、デコーディング時の立体配座を安定化する同じ結合機構によって阻害しなければならないか、または、タンパク質翻訳プロセスを、校正プロセス忠実性を妨げることによって阻害しなければならないことであり、そして、2)真核生物に有利であるIC50Euk/IC50Proの比率はまた、原核生物リボソームに対する化合物の特異性における著しい低下、言い換えれば、高まったIC50Pro値を伴うべきであることである。この要件についての代表的な一例がG418である;そのIC50Euk/IC50Pro比率は225であり、これはゲンタマイシンのIC50Euk/IC50Pro比率に対して著しく低いが、それでもなお、G418は、相対的に非常に低いIC50Pro値によって示されるように高毒性である。

0130

したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、原核生物におけるIC50翻訳阻害に対する真核生物におけるIC50翻訳阻害の比率が、15〜1の間における任意の中間の値を含めて、15未満、10未満、5未満または1未満であることを特徴とする。

0131

本明細書中下記において明らかにされるように、本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物を調製し、試験している間に、原核生物の細胞質のタンパク質合成の増大した阻害もまた、増大した読み過ごし活性に伴うことが認められている。表3に示されるデータは、スキーム1に示されるファルマコフォアの様々な点の系統的付加により、細胞質リボソームに対する化合物の特異性が徐々に増大し、かつ、原核生物リボソームに対するそれらの特異性が徐々に低下することを示す。

0132

様々なアミノグリコシドが原核生物に対して選択的であると予測することは妥当であると思われる。これは、様々なアミノグリコシドが、他の原核生物に対して活性であるために、ストレプトミセス属および他の種(例えば、サッカロポリスポラエリトラエア(Saccharopolyspora erythraea)種など)における天然の選択によって開発されているからである。それにもかかわらず、本発明のいくつかの実施形態による化合物は、原核生物翻訳系(リボソーム)に対する真核生物翻訳系(リボソーム)の逆になった選択性を示す。

0133

したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、原核生物におけるIC50翻訳阻害に対する真核生物におけるIC50翻訳阻害の比率が15未満であり、1未満であることを特徴とする。

0134

本明細書中上記で検討したように、有望なアミノグリコシド化合物は、本発明のいくつかの実施形態によれば、顕著な抗菌活性を有しないもの、または、抗菌活性を何ら有しないものである。そのような非活性はまた、この化合物の哺乳動物に対する細胞毒性が低いか、または全くないことについて予測するものである。調製され、抗菌活性またはその欠如について試験された例示的な化合物によって示される結果を、本明細書中下記の表1および表2に示す。

0135

したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、200μM超、300μM超、500μM超、700μM超または1000μM超であるグラム陰性菌におけるMIC値、同様にまた、20μM超、40μM超、80μM超または100μM超であるグラム陽性菌におけるMIC値を特徴とする。

0136

本実施形態は、さらに本明細書に記載された化合物の任意のエナンチオマー、ジアステレオマー、プロドラッグ溶媒和物水和物、および/または医薬的に許容される塩類を包含する。

0137

本明細書中で使用される場合、用語「エナンチオマー」は、互いの完全な反転反射鏡像)によるのみでその対応物に関して重ね合わせられる化合物の立体異性体を指す。エナンチオマーは、それらが右手および左手のように互いを指すので、「掌性」を持つと言われている。エナンチオマーは、全生物系などの、掌性を単独で有する環境に存在する場合を除き、同一の化学的および物理的性質を有する。本発明の実施形態の関連において、化合物は1つ以上のキラル中心を示す場合があり(ただし、この場合、キラル中心のそれぞれがR−配置またはS−配置および任意の組合せを示す)、したがって、本発明のいくつかの実施形態による化合物は、どのようなキラル中心であれ、R−配置またはS−配置を示すそれらのキラル中心を有することができる。

0138

用語「ジアステレオマー」は、本明細書中で使用される場合、互いにエナンチオマーでない立体異性体を示す。化合物の2つ以上の立体異性体が、異なる立体配置を等価な(関連した)立体中心のすべてではなく、その1つ以上において有し、互いの鏡像ではないとき、ジアステレオ異性が生じる。2つのジアステレオ異性体が、ただ1つだけの立体中心において互いに異なるとき、それらはエピマーである。それぞれの立体中心(キラル中心)が2つの異なる立体配置を生じさせ、したがって、2つの異なる立体異性体を生じさせる。本発明の関連において、本発明の様々な実施形態が、立体配置の任意の組合せで、すなわち、任意のジアステレオマーで存在する、多数のキラル中心を有する化合物を包含する。

0139

用語「プロドラッグ」は、インビボで活性化合物(活性な親薬物)に変換される薬物を指す。プロドラッグは、親薬物の投与を促進するのに典型的に役立つ。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。プロドラッグは、医薬組成物で親薬物と比較して改善された溶解度を有することができる。プロドラッグはまた、インビボで活性化合物の徐放を達成するためにもしばしば用いられる。制限されることなく、プロドラッグの例としては、1つ以上のカルボン酸部分を有し、エステル(「プロドラッグ」)として投与される本発明の化合物が挙げられるであろう。そのようなプロドラッグは、インビボで加水分解され、それによって遊離した化合物(親薬物)を提供する。選択されたエステルは、プロドラッグの溶解度特性および加水分解率の両方に影響を及ぼす可能性がある。

0140

用語「溶媒和物」は、可変化学量論(例えば、ジ、トリテトラペンタヘキサなど)の複合体を指し、それは溶質(本発明の化合物)および溶媒によって形成され、それによって溶媒は溶質の生物学的活性を妨げない。適切な溶媒は、例えば、エタノール酢酸などを含む。

0141

用語「水和物」は、上記で定義されたように、溶媒和物を指し、溶媒は水である。

0142

用語「医薬的に許容される塩」は、親化合物およびその対イオン荷電種を指し、それは親化合物の溶解度特性を改変するために、および/または親化合物による生物体への任意の大きな刺激を減少させるために典型的に用いられ、一方で、投与された化合物の生物学的活性および特性を維持する。非限定的な医薬的に許容される塩の例としては、ヒドロキシルアニオン(O−)およびカチオン(非制限的に例えばアンモニウムナトリウムカリウムなど)が挙げられる。非限定的な医薬的に許容される塩の別の一例がアンモニウムカチオンおよびその酸付加塩であろう。酸付加塩の例には、塩酸付加塩硫酸付加塩(硫酸塩)、酢酸付加塩、アスコルビン酸付加塩、ベンゼンスルホン酸付加塩、ショウノウスルホン酸付加塩、クエン酸付加塩、マレイン酸付加塩メタンスルホン酸付加塩ナフタレンスルホン酸付加塩、シュウ酸付加塩、リン酸付加塩、コハク酸付加塩、硫酸付加塩、酒石酸付加塩およびトルエンスルホン酸付加塩が含まれるが、これらに限定されない。

0143

本発明のいくつかの実施形態によれば、酸付加塩は硫酸塩である。

0144

さらに本発明によれば、本明細書に記載される化合物を製造する方法が提供される。

0145

本明細書で記載される合成経路は、受容体と供与体との間の反応を含み、それにより用語「受容体」は、本明細書ではパロマミンに由来する骨格の構造を記載するために使われ、それはC5、C6およびC3’などの位置で少なくとも1個の、好ましくは選択的に選ばれた利用可能な(保護されていない)ヒドロキシル基を有し、それはグリコシル化反応の間は反応性であって、グリコシルを受け入れることができ、そして、用語「供与体」は、本明細書ではグリコシルを記載するために使用される。本発明のいくつかの実施形態によれば、受容体上の位置はC5位である。

0146

本明細書中で使用される場合、用語「グリコシル」は、単糖類ヘミアセタール官能基からヒドロキシル基を除去することによって、および低級オリゴ糖類拡張によって得られる化学基を指す。

0147

用語「単糖」は、本明細書中で使用され、また、この技術分野で広く知られているように、加水分解によってそれ以上分解され得ない糖類分子1個だけからなる糖の単純な形態を示す。単糖の最も一般的な例には、グルコースデキストロース)、フルクトースガラクトースおよびリボースが含まれる。単糖はその炭水化物の炭素原子の数に従って分類することができる:すなわち、3個の炭素原子を有するトリオース、例えば、グリセロアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンなど;4個の炭素原子を有するテトロース、例えば、エリトローストレオースおよびエリトルロースなど;5個の炭素原子を有するペントース、例えば、アラビノースリキソース、リボース、キシロースリブロースおよびキシルロースなど;6個の炭素原子を有するヘキソース、例えば、アロースアルトロース、ガラクトース、グルコース、グロースイドースマンノースタロース、フルクトース、プシコースソルボースおよびタガトースなど;7個の炭素原子を有するヘプトース、例えば、マンノヘプツロースセドヘプツロースなど;8個の炭素原子を有するオクトース、例えば、2−ケト−3−デオキシマンノ−オクトナートなど;9個の炭素原子を有するノノース、例えば、シアロースなど;ならびに、10個の炭素原子を有するデコース。単糖は、スクロース(一般的な糖)のようなオリゴ糖および他の多糖類(例えば、セルロースおよびデンプンなど)の基本構成要素である。

0148

本明細書中で使用される場合、用語「オリゴ糖類」は、2つ以上の単糖類単位(これらは本明細書で定義されている)を含む化合物を指す。本発明のいくつかの実施形態によれば、オリゴ糖類は、2〜6個の単糖類を含む。あるいは、オリゴ糖類は2〜4個の単糖類を含み、さらには、オリゴ糖類は2つの単糖類単位を有する二糖類部分である。

0149

供与体および受容体は、本発明のいくつかの実施形態による望ましい化合物を形成するために設計される。以下は、本発明のこの態様のいくつかの実施形態を記載し、本明細書に記載される化合物の例示的な部分集合を製造する例示的な方法を提示する。本発明のいくつかの実施形態による例示的な化合物を製造する詳細な方法は、以下の実施例の節に与えられる。

0150

本発明のいくつかの実施形態の化合物の合成は、一般に、(i)パロマミン骨格に存在する選択された位置で1個以上のヒドロキシルおよびアミンの選択的な保護によって受容体化合物を製造し、そして、1つまたは2つの位置を未保護のままとし、したがって上記で定義したように供与体(グリコシル)化合物を自由に受け入れることができるようにすること;(ii)グリコシルに存在する選択された位置で1個以上のヒドロキシルおよびアミンの選択的な保護によって供与体化合物を製造し、1つの位置を未保護のままにし、したがって上記で定義したように受容体化合物と自由に結合できるようにすること;(iii)供与体と受容体をカップリング反応に供すること;および(iv)全ての保護基を除去し、それにより所望の化合物を得ることを含む。

0151

本明細書中で使用される場合、用語「保護基」は、特定の官能性をブロックまたは保護し、一方で化合物上の他の官能基を反応させる一般的に使用される置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物中のアミン官能性をブロックまたは保護する、アミノ基に結合した置換基を指す。適切なアミノ保護基は、アジ化物(アジド)、N−フタルイミド、N−アセチル、N−トリフルオロアセチル、N−t−ブトキシカルボニル(BOC)、N−ベンジルオキシカルボニル(CBz)およびN−9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。同様に、「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル官能基をブロックまたは保護するヒドロキシル基の置換基を指す。適切な保護基は、イソプロピリデンケタールおよびシクロヘキサノンジメチルケタール(2つの隣接したヒドロキシル基との1,3−ジオキサンを形成する)、4−メトキシ−1−メチルベンゼン(2つの隣接したヒドロキシル基との1,3−ジオキサンを形成する)、O−アセチル、O−クロロアセチル、O−ベンゾイルおよびO−シリルを含む。保護基の一般的な記載およびそれらの使用については、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照されたい。

0152

いくつかの実施形態によれば、アミノ保護基には、アジド(N3−)基および/またはN−フタルイミド基が含まれ、ヒドロキシル保護基には、O−アセチル(AcO−)、O−ベンゾイル(BzO−)および/またはO−クロロアセチルが含まれる。本明細書中では、適用可能であるとき、「保護基」は化合物上の1つの反応性官能基を保護することができるか、または、例えば、2つの隣接する官能基(例えば、イソプロピリデンケタールによって一度に保護され得る2つのヒドロキシル基)の場合などにおいて、2つ以上の官能基を同時に保護することができる成分を示すものとする。

0153

したがって、本明細書で示される一般式Iを有する化合物を製造する方法が提供される。該方法は、適切に保護された受容体化合物と適切に保護された供与体化合物とを製造して、これらの2つの化合物を互いにカップリングさせて、その後、生成する化合物からすべての保護基を除去することにより実施される。

0154

供与体化合物は、その1”位に脱離基(これはLによって表される)、および5”位にアルキル、シクロアルキルまたはアリール(これはR1によって表される)を有する一般式IIによって表すことができる保護された単糖である:

(式中、
R1は、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
R4は水素または供与体アミノ保護基である;
R5は、R4が水素であるならば、供与体アミノ保護基であるか、または、R4が供与体アミノ保護基であるならば、水素である;かつ
HPdのそれぞれが供与体ヒドロキシル保護基である)。

0155

本明細書中では、5”位におけるキラル中心の絶対的立体配置が、R−配置およびS−配置の両方の選択肢を(ジアステレオマーである)2つの個々の分離可能な供与体として、または、そのラセミ混合物として与えるR4およびR5の正体によって決定されるものとする。R−供与体化合物およびS−供与体化合物のそれぞれを得るための詳細な方法、ならびに、それらの絶対的立体配置を割り当て方法が下記の実施例の節において示される。

0156

本明細書中で使用される場合、「脱離基」なる表現は、有機分子からの脱離が化学反応中に容易に行われ、一方で、脱離が、そのときの脱離する原子、基または成分の相対的な安定性によって促進される、化学変化を起こしやすい原子、基または化学的成分を表す。典型的には、強酸共役塩基である基はどれも、脱離基として作用することができる。したがって、本発明の実施形態による好適な脱離基の代表的な例には、限定されないが、トリクロロアセトイミダート、アセテートトシラートトリフラートスルホナート、アジド、ハライド、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、シアナートチオシアナートニトロおよびシアノが含まれる。

0157

本発明のいくつかの実施形態によれば、脱離基はトリクロロアセトイミダートであり、これは受容体とのカップリング反応における最も満足すべき結果を与えたが、他の脱離基も考えられる。

0158

本発明のいくつかの実施形態によれば、供与体ヒドロキシル保護基のそれぞれがO−ベンゾイルであり、R4またはR5のどちらかにおける供与体アミノ保護基がアジドであるが、他の保護基も考えられる。

0159

供与体化合物の構造により、本発明のいくつかの実施形態による生じた化合物における環IIIの絶対構造、すなわち、5”位の立体配置と、その位置におけるアルキルのタイプとが決まる。本発明のいくつかの実施形態による化合物を与えるために好適である例示的な供与体化合物には、化合物(S)−17および化合物(R)−18が含まれ、それらの調製が本明細書中下記のスキーム2に例示される。

0160

受容体は、いくつかの実施形態によれば、一般式IIIを有する:

(式中、
点線はR−配置またはS−配置を示す;
R3は、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
R6は受容体アミノ保護基または(S)−4−アジド−2−O−アセチル−1−ブチリル(AHBの保護形態)である;
HPaは受容体ヒドロキシル保護基である;かつ
APaは受容体アミノ保護基である)。

0161

本発明のいくつかの実施形態によれば、受容体ヒドロキシル保護基はO−アセチルであり、供与体アミノ保護基はアジドであるが、他の保護基も考えられる。

0162

本明細書中では、上記で提供される例示的な実施形態はAHBの保護された形態を示すが、他の有用な成分(例えば、本明細書中上記で示されるようなAHPなど)が代わりに使用されることがあるので、AHB成分の使用に限定することを意味するものではないものとする。それらの場合において、この過程は、AHBの代わりに使用される成分の反応基がそれに応じて保護される受容体化合物を使用することによって改変されることになる。

0163

受容体化合物の構造により、本発明のいくつかの実施形態による生じた化合物における環Iおよび環IIの絶対構造、すなわち、6’位の立体配置と、存在するときにはその位置におけるアルキルのタイプと、N1位でのアミノ基における置換基とが決まる。本発明のいくつかの実施形態による化合物を与えるために好適である例示的な受容体化合物には、化合物19、20、219および220が含まれ、それらの調製が本明細書中下記のスキーム3およびスキーム4に例示される。

0164

したがって、上記過程は下記によって行われる:
(a)目的供与体化合物および目的受容体化合物の両方を提供すること;
(b)上記受容体化合物を上記供与体化合物にカップリングすること(これはまた、グリコシル化反応として示される);および
(c)続いて、保護基のそれぞれを除くことにより、目的化合物を得ること。

0165

例えば、例示的な化合物NB118を、化合物(S)−21(これは、受容体化合物19を供与体化合物(S)−17によりグリコシル化すること(カップリングすること)によって得られる)を脱保護することによって得ることができる。対応して、例示的な化合物NB119は、受容体化合物19を供与体化合物(R)−18とカップリングすることの生成物である化合物(R)−22を脱保護することによって得られる。

0166

同様に、例示的な化合物NB122は、受容体化合物20と供与体化合物(S)−17との間におけるカップリング生成物である化合物(S)−23を脱保護することによって得られる。対応して、例示的な化合物NB123は、受容体化合物20を供与体化合物(R)−18とカップリングすることの生成物である化合物(R)−24を脱保護することによって得られる。

0167

例示的な化合物NB124は、受容体化合物219と供与体化合物(S)−17との間におけるカップリング生成物である化合物(S)−221を脱保護することによって得られる。対応して、例示的な化合物NB125は、受容体化合物219を供与体化合物(R)−18とカップリングすることの生成物である化合物(R)−222を脱保護することによって得られる。

0168

例示的な化合物NB127は、受容体化合物220と供与体化合物(S)−17との間におけるカップリング生成物である化合物(S)−223を脱保護することによって得られる。対応して、例示的な化合物NB128は、受容体化合物220を供与体化合物(R)−18とカップリングすることの生成物である化合物(R)−224を脱保護することによって得られる。

0169

後続の実施例の部分で証明されるように、本明細書で示される化合物は、切断変異抑制活性、すなわち中途終止コドン突然変異のリードスルーを誘発する能力を有するように設計され、そして実際にそれが示された。そのような活性は、これらの化合物を遺伝子疾患、特に切断変異により特徴づけられる疾患の治療のための治療的に活性な薬物としての使用に適した化合物とする。

0170

このように、本発明の別の態様によれば、遺伝子疾患を治療する方法が提供される。その方法は、本発明のこの態様にしたがって、それを必要とする被験体に、一般式Iを有する治療上有効量の1つ以上の本明細書で示される化合物を投与することにより実施される。

0171

本明細書中で使用される場合、用語「治療(処置)」は、病態の進行を止めるか、実質的に阻害するか、遅らせるか、または後退させるか、病態の臨床的または感覚的な徴候を実質的に改善するか、または病態の臨床的または感覚的な徴候の出現を実質的に防止することを含む。

0172

本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、治療されている病態の徴候の1つ以上をある程度まで取り除いてくれる、投与された高分子の量を言う。

0173

用語「遺伝子疾患(遺伝性障害)」は、本明細書中で使用される場合、両親からしばしば継承される1つ以上の欠陥遺伝子に起因し、欠陥のある劣性遺伝子の2人の健康なキャリアが子供をつくる場合あるいは欠陥遺伝子が優性である場合に予想外に出現しうる慢性疾患を指す。遺伝子疾患は、異なる遺伝様式で現れ、それは遺伝子の1つの変異したコピーだけが子孫が影響を受けるのに必要である常染色体優性様式、および遺伝子の2つのコピーが子孫が影響を受けるのに変異される必要がある常染色体劣性様式を含むことができる。

0174

いくつかの実施形態によれば、遺伝子疾患は、その不適切な翻訳をもたらす切断変異を有する遺伝子を含む。不適切な翻訳は、必須タンパク質の合成の減少または中止を引き起こす。

0175

そのような遺伝子疾患の例示として、非制限的には、嚢胞性線維症(CF)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、毛細血管拡張性運動失調、ハーラー症候群、血友病A、血友病B、アッシャー症候群およびテイ−サックス病が挙げられる。

0176

したがって、遺伝子疾患を治療するための医薬の製造において、本明細書で示される一般式Iを有する化合物の使用が提供される。

0177

本明細書で記載された方法および使用のいずれにおいても、本明細書に記載される化合物は、それ自身で利用されうるし、または医薬組成物の一部を形成することができ、さらに医薬的に許容される担体を含む。

0178

このように、さらに本発明によれば、活性成分としての本明細書で記載の新規化合物のいずれかおよび医薬的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。

0179

本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に示される化合物と、他の化学的成分(例えば、医薬的に許容されかつ好適な担体および賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物体に対する化合物の投与を容易にすることである。

0180

以降、用語「医薬的に許容される担体」は、生物体に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しない担体または希釈剤を示す。担体の非限定的な例には、プロピレングリコール生理食塩水エマルジョン、および有機溶媒と水の混合物、ならびに固体の担体(例えば、粉末状の担体)およびガス状の担体がある。

0181

本明細書中において、用語「賦形剤」は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウムリン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体ゼラチン植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。

0182

薬物の配合および投与のための様々な技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に見出され得る。

0183

本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々な方法によって、例えば、混合、溶解、造粒糖衣錠作製、研和乳化カプセル化包括化または凍結乾燥の従来の方法によって製造することができる。

0184

本発明に従って使用するための医薬組成物は、本明細書中に示される化合物を医薬として使用可能な製剤にする加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む一つ以上の医薬的に許容される担体を使用して従来のように配合されてもよい。適切な配合は選択された投与経路に依存する。

0185

いくつかの実施形態によれば、投与は経口的に達成される。経口投与の場合、本明細書中に示される化合物は、化合物を、この分野で十分に知られている薬学的に許容される担体と組み合わせることによって容易に配合することができる。そのような担体により、本明細書中に示される化合物は、患者によって経口摂取される錠剤ピル、糖衣錠、カプセル液剤ゲルシロップスラリー剤、懸濁物などとして配合することが可能になる。経口使用される薬学的調製物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプンコムギデンプン、コメデンプンジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴムメチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドンPVP)などの生理学的に許容されるポリマーである。所望する場合には、架橋型ポリビニルピロリドン寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。

0186

経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュフィット型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟密閉カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤と混合された活性成分を含有し得る。軟カプセルでは、本明細書中に示される化合物を好適な液体脂肪油流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路に好適な投薬形態でなければならない。

0187

注射の場合、本明細書中に示される化合物は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る、緩衝液(例えば、ハンクス溶液リンゲル溶液、または生理学的な食塩水緩衝液など)であって、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールの如き有機溶媒を含むまたは含まない緩衝液において配合することができる。

0188

経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。

0189

糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタンラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、活性なアミノグリコシド化合物の量を明らかにするために、または活性なアミノグリコシド化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。

0190

口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。

0191

吸入による投与の場合、本明細書中に示される化合物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタントリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物(典型的には、粉末状の担体、液状の担体、および/またはガス状の担体を含む)の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または吹き入れ器で使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、本明細書中に示される化合物と好適な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。

0192

本明細書中に示される化合物は非経口投与、例えばボーラス注射または連続点滴のために配合されることができる。注射のための配合は、単位用量形態(例えばアンプルまたは多用量コンテナ)で提供されることができ、これらには所望により保存剤が添加されている。組成物は懸濁物、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルジョンであることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤の如き配合剤を含むことができる。

0193

非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態における化合物調製物の水溶液が含まれる。さらに、本明細書中に示される化合物の懸濁物を、適切なオイル状注射用懸濁物およびエマルジョン(例えば、油中水型水中油型、または油エマルジョン中の油中水型)として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステルオレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有し得る。場合により、懸濁物はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために本明細書中に示される化合物の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有し得る。

0194

あるいは、本明細書中に示される化合物は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌されたパイロジェン非含有水)を用いて構成される粉末形態にする。

0195

本明細書中に示される化合物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。

0196

本明細書中に記載される医薬組成物はまた、固相またはゲル相の好適な担体または賦形剤を含むことができる。そのような担体または賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなど)が含まれるが、これらに限定されない。

0197

本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、活性成分が、意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果がある量は、処置されている被験体の疾患の症状を防止、軽減または改善するために、あるいは、処置されている被験体の生存延ばすために効果的な本明細書中に示される化合物の量を意味する。

0198

治療効果がある量の決定は十分に当業者の範囲内であり、特に本願明細書で与えられる詳細な開示に鑑みればそうである。

0199

本実施形態の方法に使用される本明細書中に示される化合物に対して、治療的に有効な量または用量は最初に動物における活性アッセイから推定されることができる。例えば、活性アッセイによって測定されるような変異抑制レベルを含む循環濃度範囲(例えば切断変異の実質的なリードスルーを達成する試験化合物の濃度)を達成するために、用量は動物モデルで配合されることができ、かかる情報は人間に有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。

0200

本明細書中に示される化合物の毒性および治療効力は、実験動物における標準的な薬学的手法によって、例えば対象化合物についてEC50(最大効果の50%が観察される化合物の濃度)およびLD50(試験された動物の50%の死を生ずる致死量)を測定することによって明らかにすることができる。これらの活性アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトへの使用のための投薬量範囲を定める際に使用することができる。

0201

投薬量は、用いられる投薬形態物および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」(第1章、1頁)を参照のこと)。

0202

投薬量および投薬間隔を、望ましい効果を維持するために十分である本明細書中に示される化合物の血漿中レベル(これは最小有効濃度(MEC)と呼ばれる)を提供するために個々に調節することができる。MECはそれぞれの調製物について変化するが、インビトロデータ(例えば、切断変異、すなわち変異コドンのリードスルーを有する遺伝子全体の発現の50%〜90%を達成するために必要な化合物の濃度)から推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は個々の特性および投与経路に依存する。HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して、血漿中濃度を求めることができる。

0203

投薬間隔もまた、MEC値を使用して決定することができる。調製物は、時間の10%〜90%について、好ましくは30%〜90%の間、最も好ましくは50%〜90%の間、MECを越える血漿中レベルを維持する治療法を使用して投与されなければならない。

0204

処置される慢性状態重篤度および応答性に依存して、投薬は上述の徐放性組成物の単回投与であることも可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、あるいは、定期的な処置の間に十分な改善が達成されるまで、または、定期的な処置の間に疾患状態の実質的な縮小が達成されるまで続く。

0205

投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている被験体、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。本発明の組成物は、所望される場合には、活性成分を含有する1つまたは複数の単位用量形態を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA食品医薬品局承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックまたは(吸入用の)加圧容器などである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売規制する政府当局により定められた形式容器に付けられた通知が伴うことがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用担体に配合された本実施形態による化合物を含む組成物はまた、本明細書において上記に詳述されるように、適応される状態の処置または診断をするために、調製され、適切な容器に入れられ、かつ表示され得る。

0206

従って、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書で規定されたように、包装材で包装されて、遺伝子疾患の治療で使用するために、包装材料中にまたは包装材料上に印刷されて識別される。

0207

本明細書において記載される組成物、方法および使用のいずれにおいても、化合物は遺伝子疾患の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて利用されることができる。

0208

本明細書中に示される化合物、または、本明細書中に示される化合物を含有する医薬組成物は、当然、慢性のものである遺伝性障害を処置することに主に向けられるので、処置されている対象の全生涯にわたって投与されることが予想される。したがって、本化合物を含有する医薬組成物の投与様式は、投与、好ましくは自己投与による投与について容易かつ快適なものとなるべきであり、また、患者の安寧および生涯の経過にもたらす犠牲を最小限にとどめるものとするべきである。

0209

本明細書中に示される化合物、または、本明細書中に示される化合物を含有する医薬組成物の反復的かつ周期的な投与は、例えば、毎日、すなわち、1日あたり1回行われることが可能であり、より好ましくは、投与は、毎週、すなわち、1週間あたり1回行われ、より好ましくは、投与は、毎月、すなわち、1ヶ月あたり1回行われ、最も好ましくは、投与は、数ヶ月毎に(例えば、1.5ヶ月毎に、2ヶ月毎に、3ヶ月毎に、4ヶ月毎に、5ヶ月毎に、または、さらには6ヶ月毎に)1回行われる。

0210

本明細書中上記で検討したように、現在知られているアミノグリコシドを切断突然変異読み過ごし薬剤として使用するための制限のいくつかには、それらが主として抗菌性である(主として抗菌剤として使用される)という事実が関連している。どのような抗菌剤であれ、抗菌剤の長期使用はあまり保証されておらず、また、命を脅かすことさえある。これは、抗菌剤が腸の微生物叢を変化させ、このことが他の医学的状態(例えば、炎症性腸疾患再燃など)を誘発または悪化させることがあり、また、微生物の一部の病理学菌株における抵抗性の出現を誘発することがあるからである。

0211

いくつかの実施形態において、本明細書中に示される化合物は抗菌活性を実質的に有しない。「抗菌活性がない」とは、特定の菌株についてのその最小阻害濃度(MIC)が、この菌株に関して抗生物質であると見なされる化合物の濃度よりもはるかに大きいことを意味する。さらに、これらの化合物のMICは、切断突然変異抑制活性を発揮するために要求される濃度よりも著しく大きい。

0212

実質的に非殺菌性であるので、本明細書中に示される化合物は上記の有害作用を発揮せず、したがって、標的とされない良性の微生物および/または有益な微生物を含有し得る吸収経路を介して投与され得、したがって、それらの保存が要求されることさえあり得る。本明細書中に示される化合物のこの重要な特徴により、これらの化合物は、慢性状態に対する特に効果的な薬剤となる。これは、本明細書中に示される化合物が、抗菌剤に関連した有害な蓄積的作用を誘発することなく反復的かつ生涯にわたって投与されることが可能であり、また、さらには、経口投与または直腸投与により、すなわち、GI管を介して投与されることが可能であるからである(このことは、慢性障害を処置することに向けられる薬物にとって非常に有用かつ重要な特徴である)。

0213

本明細書中上記で検討したように、いくつかの実施形態によれば、本明細書中に示される化合物は、原核生物細胞の翻訳系と比較して真核生物の細胞翻訳系に対して選択的である。すなわち、本明細書中に示される化合物は、原核生物細胞(例えば、細菌の細胞など)におけるそれらの活性と比較した場合、より高い活性を真核生物細胞(例えば、哺乳動物(ヒト)の細胞など)において示す。何らかの特定の理論にとらわれる訳ではないが、本明細書中に示される化合物は、リボソームが遺伝子の翻訳に関与している間に16SリボソームRNAのA部位に結合することによって作用することが知られているので、原核生物のリボソームのA部位、ならびに、その原核生物対応物質に似ているミトコンドリアのリボソームのA部位と比較して、真核生物のリボソームのA部位に対するより高い親和性を有するか、または、そうではない場合には、真核生物のA部位に対して選択的であることが想定される。

0214

本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。

0215

用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。

0216

用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。

0217

表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。

0218

本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。

0219

数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。

0220

本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。

0221

本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連する5”−アルキル基を有するアミノグリコシド類が開発されることが予想され、この用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。

0222

明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。

0223

本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。

0224

次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。

0225

実施例1
化学合成
合成手順
NB118、NB119、NB122、NB123、NB124、NB125、NB127およびNB128の各化合物を、既に確立された立体化学により(S)−5−メチルおよび(R)−5−メチルを有する2つの個々の化合物(化合物(S)−17および化合物(R)−18)として環IIIの構築を伴う一般的手順に従って、かつ、それらをグリコシル化反応のための供与体として使用して合成した。これらの供与体は、下記のスキーム2に例示されるように既知チオグリコシド化合物7から容易に得ることができた(スキーム2において、“a”は、1,1−ジメトキシプロパン、CSA、アセトン、室温を表す;“b”は、Dess−MartinペルヨージナンDMP)、DCM、室温を表す;“c”は、MeMgBr、THF、−30℃を表す;“d”は、TsCl、Py、4−DMAP、室温を表す;“e”は、NaN3、HMPA、DMF、70℃を表す;“f”は、酢酸/水(8:2)、還流を表す;“g”は、BzCl、Py、4−DMAP、室温を表す;“h”は、NBS、アセトン/水(8:2)、−30℃を表す;“I”は、CCl3CN、DBU、DCM、0℃を表す)。

0226

C2−ヒドロキシルおよびC3−ヒドロキシルのイソプロピリデンによる選択的保護(2,2−ジメトキシプロパン/アセトン、CSA)の後、残っている第一級アルコール酸化を、Dess−Martinペルヨージナン(DMP、ジクロロメタン)を使用して行って、アルデヒド化合物8を2工程について70%の単離収率で得た。化合物8をMeMgBrにより処理して、対応する第二級アルコールを88%の単離収率でC5−ジアステレオマーの混合物(4:1の比率)として得た。この混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって分離し、主成分ジアステレオマーを、別々にC5位での絶対的立体化学の割り当てに供した(下記参照)。本研究では、主成分ジアステレオマーおよび少量成分ジアステレオマーが(R)−配置および(S)−配置をそれぞれ示すことが立証された(化合物(R)−9および化合物(S)−10)。

0227

スキーム2におけるその後の工程をそれぞれのジアステレオマーに対して別々に行った。第二級アルコールのトシル化(TsCl、ピリジン、4−DMAP)の後、対応するトシラート(化合物(R)−11および化合物(S)−12)のNaN3によるSN2置換(DMF、HMPA)を行って、反転した配置を有するアジドの化合物(S)−13および化合物(R)−14を得た。イソプロピリデンケタールの酢酸水溶液による加水分解、その後、生じた第二級アルコールのベンゾイル化を行って、ベンゾアートの化合物(S)−15および化合物(R)−16を得た。プソイド三糖のNB30およびNB54の組立てに関する初期の研究では、所望されるC5受容体はグリコシル化反応において反応性がより小さく、トリクロロアセトイミダート型供与体が満足すべき結果を与えたことが明らかにされている。

0228

ただし、供与体としてのチオグリコシド型供与体(例えば、(S)−15および(R)−16など)(上記のスキーム2を参照のこと)を使用するグリコシル化反応は、N−ヨードスクシンイミド(NIS)およびトリフルオロメタンスルホン酸(HOTf)、または、NISおよびトリフル酸銀(AgOTf)を含む様々なグリコシル化試薬の存在下で行われ得るものとする。

0229

したがって、チオグリコシドの化合物(S)−15および(R)−16は、対応するトリクロロアセトイミダートの化合物(S)−17および(R)−18に、2つの連続する工程で、すなわち、アセトン水溶液中でのNBSによる加水分解、および、生じたヘミアセタールのDBU存在下でのCCl3CNによる処理で変換された。供与体の化合物(S)−17および(R)−18を、さらに精製することなくグリコシル化反応において使用した。

0230

例示的なプソイド三糖の化合物NB118、NB119、NB122およびNB123の合成を、下記のスキーム3に例示されるように、本質的には同じ化学的転換を使用することによって、以前の報告(国際公開第2007/113841号)に示されるような対応する選択的に保護されたプソイド二糖受容体の化合物19および20と、供与体の化合物(S)−17および(R)−18とから達成した(スキーム3において、“a”は、BF3・Et2O、DCM、4Å MS、−20℃を表す;“b”は、MeNH2−EtOH、室温を表す;“c”は、PMe3、NaOH、THF、室温を表す)。

0231

ルイス酸(BF3・Et2O/DCM)により促進されるグリコシル化により、保護されたプソイド三糖化合物21〜24を、排他的に新たに生じたグリコシド結合におけるベータアノマーとして、79%〜85%の単離収率で得た。その後、2つの逐次的脱保護工程、すなわち、すべてのエステル保護を除くためのメチルアミンによる処理、および、アジドを対応するアミンに変換するためのStaudinger反応(Me3P、THF/NaOH)により、標的化合物のNB118、NB119、NB122およびNB123を2工程について79%〜82%の単離収率で得た。

0232

すべての例示的化合物の構造、すなわち、NB118、NB119、NB122、NB123、NB124、NB125、NB127およびNB128の構造を、質量スペクトル分析と一緒に、2D 1H−13C HMQCおよびHMBC、2D COSY、ならびに、1D選択的TOCSYの各実験を含む、1D−NMRおよび2D−NMRの様々な技術の組合せによって確認した(ESMを参照のこと)。

0233

図1A〜図1Cは下記のものを表す:C5−ジアステレオマーエステル(R,X)−27および(S,X)−28の合成計画、試薬ならびに条件(条件において、“a”は、DCC、4−DMAP、CSA、DCM、室温を表す)(図1A);(R,X)−27および(S,X)−28の1H−NMRスペクトル(スペクトルにおいて、(R,X)−27および(S,X)−28の特定プロトン間における化学シフトの差(Δδ)が強調されている)(図1B);およびセクター則による主成分アルコール化合物9の(Xによって表される)5−炭素における絶対配置の割り当て(図1C)。

0234

化合物9および10(スキーム2を参照のこと)における側鎖C5−アルコールにおける立体化学の割り当てについて、主生成物の化合物9を、以前に報告された手順に従って、既知の絶対的立体化学を有する(R)−2−メトキシ−2(1−ナフチルプロパン酸(R)−MαNPおよび(S)−MαNPとの(DCC、4−DMAP、CSAを使用する)カップリングに別個に供して、対応するエステル(R,X)−MαNP−27および(S,X)−MαNP−28を得た(図1Aを参照のこと)。その後、(Xによって表される)C5位の絶対配置を、1H−NMR異方性法を使用することによって決定した(図1B〜図1C):化学シフトの差[Δδ=δ(R,X)−δ(S,X)]がH−3(−0.15)およびH−4(−0.30)については負であり、一方で、H−6(+0.28)についての化学シフトの差は正であった。その後、セクター則に従った(R,X)−MαNP−27および(S,X)−MαNP−28の各構造の配置(図1Cを参照のこと;OMαNPおよびH−5は前方および後方にそれぞれ位置し、一方で、Δδ正部分はMαNP面の右側であり、Δδ負部分は左側である)により、化合物9におけるC5のR−配置(X=R)が確認された。

0235

類似する合成手順および合成の基本原理に従って、プソイド三糖のNB124、NB125、NB127およびNB128の合成を、下記のスキーム3に例示されるのと本質的には同じ化学的転換を使用することによって、以前に報告された(国際公開第2007/113841号)対応する選択的に保護されたプソイド二糖受容体化合物219および220と、供与体化合物(S)−17および(R)−18とから達成した(下記のスキーム4を参照のこと)(スキーム4において、“a”は、BF3・Et2O、DCM、4Å MS、−20℃を表す;“b”は、MeNH2−EtOH、室温を表す;“c”は、PMe3、NaOH、THF、室温を表す)。

0236

材料および方法:
反応を全てアルゴン雰囲気下で実施し、特に明記しない限り、無水溶媒を使用した。

0237

化学薬品は全て、特に明記しない限り、Sigma−Aldrich,Flukaなどの一般の販売業者から得た。

0238

反応をシリカゲル60F254(0.25mm、Merck)でのTLCによってモニターし、スポットを、(NH4)Mo7O24・4H2O(120グラム)および(NH4)2Ce(NO3)6(5グラム)を10%H2SO4(800ml)中に含有する黄色溶液による炭化によって可視化した。

0239

カラムクロマトグラフィーをシリカゲル60(70〜230メッシュ)で行った。

0240

1D−および2D−NMRスペクトルを、Bruker Avance(商標)500分光計で常法により記録した。

0241

質量スペクトル分析を、Bruker Daltonix Apex3質量分析計電子スプレーイオン化(ESI)のもとで、または、TSQ−70B質量分析計(Finnigan Mat)によって行った。

0242

すべての生物学的試験において、すべての試験されたアミノグリコシドはそれらの硫酸塩形態であった。報告された濃度は各アミノグリコシドの遊離アミン形態の濃度を示す。

0243

4−メチルフェニル・2,3−O−1−メチルエチリデン−1−チオ−β−D−リボペントアルド−1,4−フラノシド(化合物8)の調製:
アセトン(500ml)中の4−メチルフェニル・1−チオ−β−D−リボフラノシド(化合物7、25グラム、0.097mol)および1,1−ジメトキシプロパン(22.3ml、0.39mol)の混合物を室温で約5分間撹拌し、その後、触媒量のCSA(1.0グラム)と、MgSO4(5.0グラム)とを加えた。反応の進行をTLCによってモニターした。TLCは完了を5時間後に示した。反応混合物酢酸エチルにより希釈し、飽和NaHCO3および食塩水により洗浄した。一緒にした有機層をMgSO4で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)に供して、所望される2,3−イソプロピリデン誘導体を82%の収率で得た(23.5グラム)。

0244

0245

0246

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ